(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20240919BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240919BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240919BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240919BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240919BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20240919BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240919BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240919BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240919BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20240919BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20240919BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20240919BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21V8/00 310
F21W103:20
F21W103:10
F21W103:40
F21W103:55
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:45
F21W102:00
F21W102:30
(21)【出願番号】P 2020178221
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】菊地 賢三
(72)【発明者】
【氏名】チャムナロブ・ロンナユット
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003428(WO,A1)
【文献】特開2020-038777(JP,A)
【文献】特開2021-190342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21V 8/00
F21W 103/20
F21W 103/10
F21W 103/40
F21W 103/55
F21W 103/00
F21W 103/35
F21W 103/45
F21W 102/00
F21W 102/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、導光体とを有する発光ユニットを備え、
前記導光体は、前記光源から放射状に出射された光を幅方向において平行化しながら内部へと入射する入射部と、
前記入射部から平行化した状態で入射した光を幅方向において拡散しながら反射する第1の反射部と、
前記第1の反射部で拡散した状態で反射された光を幅方向において平行化しながら反射する第2の反射部と、
前記第2の反射部で平行化した状態で反射された光を幅方向において拡散しながら反射する第3の反射部と、
前記第3の反射部で拡散した状態で反射された光を外部へと出射する出射部とを有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第1の反射部は、前記光源から出射された光の光軸と平行な中心軸を中心に円錐状に傾斜した反射面を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第3の反射部は、前記第2の反射部で平行化した状態で反射された光を幅方向に拡散しながら反射する第1の拡散カットと、
前記第2の反射部で平行化した状態で反射された光を前記第1の拡散カットよりも幅方向の一方側に向けて拡散しながら反射する第2の拡散カットとを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記出射部は、前記第3の反射部で拡散した状態で反射された光を幅方向に拡散しながら外部へと出射する第3の拡散カットを含むことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
光源と、導光体とを有する発光ユニットを備え、
前記導光体は、前記光源から放射状に出射された光を幅方向において拡散し
、且つ、この幅方向と直交する厚み方向において平行化しながら内部へと入射する入射部と、
前記入射部から拡散した状態で入射した光を幅方向
及び厚み方向において平行化しながら反射する第1の反射部と、
前記第1の反射部で平行化した状態で反射された光を幅方向において拡散しながら反射する第2の反射部と、
前記第2の反射部で拡散した状態で反射された光を外部へと出射する出射部とを有
し、
前記入射部は、前記光源から出射された光の光軸方向に沿った前記導光体の水平断面において、前記光源から出射された光の光軸と直交する中心軸を中心に前記導光体を円弧状に切り欠くように形成されると共に、前記光源から出射された光の光軸方向に沿った前記導光体の鉛直断面において、凸状に湾曲していることを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
前記第2の反射部は、前記第1の反射部で平行化した状態で反射された光を幅方向に拡散しながら反射する第1の拡散カットと、
前記第1の反射部で平行化した状態で反射された光を前記第1の拡散カットよりも幅方向の一方側に向けて拡散しながら反射する第2の拡散カットとを含むことを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記出射部は、前記第2の反射部で拡散した状態で反射された光を幅方向に拡散しながら外部へと出射する第3の拡散カットを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記発光ユニットは、幅方向に複数並んだ状態で設けられていることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記複数の発光ユニットの幅方向に並ぶ複数の前記導光体が一体に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、インナーレンズなどの導光体とを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の入射面から導光体の内部へと入射し、導光体の内部で光を導光させながら、導光体の出射面から導光体の外部へと光を出射する。これにより、導光体の出射面を車両用灯具の発光面として発光させることが可能である。
【0004】
ところで、上述したLEDは、指向性(直進性)が高いといった反面、光が拡散し難いといった特性を持ち合わせている。このため、車両用灯具では、導光体の出射面(発光面)のうちLEDの正面中央の光軸周辺部分が他の部分よりも強く光る、いわゆる輝度(発光)ムラが生じ易くなっている。
【0005】
このため、上記特許文献1に記載の車両用灯具では、導光体に複数の反射面を設けて、これら複数の反射面で反射された光を出射面に向けて導光させる間に、反射面に設けられたレンズカット部により光を拡散させることによって、導光体の出射面において輝度ムラの少ない均一な発光を得ることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した特許文献1に記載の車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の入射面から平行化しながら入射した後、第1反射面で光を平行状態のまま反射し、第2反射面のレンズカット部により光を幅方向に拡散しながら反射し、第3反射面のレンズカット部により光を幅方向に拡散しながら出射面に向けて反射している。これにより、導光体の出射面から幅方向に拡散された光を出射している。
【0008】
しかしながら、第2反射面のレンズカット部により幅方向に拡散された光は、第3反射面のレンズカット部において幅方向に拡散制御がしづらい光となっている。したがって、上記特許文献1に記載の車両用灯具において、導光体の幅方向においてより均一的な発光を得るためには、第3反射面のレンズカット部による精度の高い配光制御が必要となる。
【0009】
また、上記特許文献1に記載の車両用灯具では、第2反射面のレンズカット部により幅方向に拡散された光を第3反射面のレンズカット部により更に幅方向に拡散させている。この場合、第2反射面及び第3反射面のレンズカット部により幅方向に拡散される光を出射面の幅に合わせるために、第2反射面及び第3反射面のレンズカット部による精度の高い配光制御が必要となる。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光体の幅方向における均一的な発光を高い精度でなお且つ容易に制御することを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 光源と、導光体とを有する発光ユニットを備え、
前記導光体は、前記光源から放射状に出射された光を幅方向において平行化しながら内部へと入射する入射部と、
前記入射部から平行化した状態で入射した光を幅方向において拡散しながら反射する第1の反射部と、
前記第1の反射部で拡散した状態で反射された光を幅方向において平行化しながら反射する第2の反射部と、
前記第2の反射部で平行化した状態で反射された光を幅方向において拡散しながら反射する第3の反射部と、
前記第3の反射部で拡散した状態で反射された光を外部へと出射する出射部とを有することを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記第1の反射部は、前記光源から出射された光の光軸と平行な中心軸を中心に円錐状に傾斜した反射面を含むことを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記第3の反射部は、前記第2の反射部で平行化した状態で反射された光を幅方向に拡散しながら反射する第1の拡散カットと、
前記第2の反射部で平行化した状態で反射された光を前記第1の拡散カットよりも幅方向の一方側に向けて拡散しながら反射する第2の拡散カットとを含むことを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記出射部は、前記第3の反射部で拡散した状態で反射された光を幅方向に拡散しながら外部へと出射する第3の拡散カットを含むことを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 光源と、導光体とを有する発光ユニットを備え、
前記導光体は、前記光源から放射状に出射された光を幅方向において拡散し、且つ、この幅方向と直交する厚み方向において平行化しながら内部へと入射する入射部と、
前記入射部から拡散した状態で入射した光を幅方向及び厚み方向において平行化しながら反射する第1の反射部と、
前記第1の反射部で平行化した状態で反射された光を幅方向において拡散しながら反射する第2の反射部と、
前記第2の反射部で拡散した状態で反射された光を外部へと出射する出射部とを有し、
前記入射部は、前記光源から出射された光の光軸方向に沿った前記導光体の水平断面において、前記光源から出射された光の光軸と直交する中心軸を中心に前記導光体を円弧状に切り欠くように形成されると共に、前記光源から出射された光の光軸方向に沿った前記導光体の鉛直断面において、凸状に湾曲していることを特徴とする車両用灯具。
〔6〕 前記第2の反射部は、前記第1の反射部で平行化した状態で反射された光を幅方向に拡散しながら反射する第1の拡散カットと、
前記第1の反射部で平行化した状態で反射された光を前記第1の拡散カットよりも幅方向の一方側に向けて拡散しながら反射する第2の拡散カットとを含むことを特徴とする前記〔5〕に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記出射部は、前記第2の反射部で拡散した状態で反射された光を幅方向に拡散しながら外部へと出射する第3の拡散カットを含むことを特徴とする前記〔5〕又は〔6〕に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記発光ユニットは、幅方向に複数並んだ状態で設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔9〕 前記複数の発光ユニットの幅方向に並ぶ複数の前記導光体が一体に形成されていることを特徴とする前記〔8〕に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、導光体の幅方向における均一的な発光を高い精度でなお且つ容易に制御することを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用灯具の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具の構成を示す上面図である。
【
図3】
図1に示す車両用灯具の構成を示す下面図である。
【
図4】
図1に示す車両用灯具の構成を示す正面図である。
【
図5】
図1に示す車両用灯具の構成を示す背面図である。
【
図6】
図1に示す車両用灯具が備える発光ユニットの
図2中に示す線分A-Aによる断面図である。
【
図7】導光体の第3の反射部の構成を示す正面図である。
【
図8】
図7中に示す線分B-Bによる第3の反射部の断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係る車両用灯具が備える発光ユニットの構成を示す断面図である。
【
図10】
図9に示す発光ユニットの入射部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具(発光ユニット)の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具(発光ユニット)の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具(発光ユニット)の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0015】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図8に示す車両用灯具1Aについて説明する。
【0016】
なお、
図1は、車両用灯具1Aの構成を示す斜視図である。
図2は、車両用灯具1Aの構成を示す上面図である。
図3は、車両用灯具1Aの構成を示す下面図である。
図4は、車両用灯具1Aの構成を示す正面図である。
図5は、車両用灯具1Aの構成を示す背面図である。
図6は、車両用灯具1Aが備える発光ユニット2Aの
図2中に示す線分A-Aによる断面図である。
図7は、導光体4Aの第3の反射部13の構成を示す正面図である。
図8は、
図7中に示す線分B-Bによる第3の反射部13の断面図である。
【0017】
本実施形態の車両用灯具1Aは、例えば、車両(図示せず。)の後端側の両コーナー部に搭載される方向指示器(ターンランプ/ウィンカーランプ)に本発明を適用したものである。
【0018】
なお、本実施形態では、車両の後部において左右対称に配置される方向指示器のうち、後部右側に配置された方向指示器を例に挙げて、車両用灯具1Aの構成を説明するものとする。
【0019】
また、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1Aを正面(車両後方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。したがって、車両を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向とは、前後左右を逆にした方向となっている。
【0020】
具体的に、この車両用灯具1Aは、
図1~
図6に示すように、複数の発光ユニット2Aを備え、これら複数(本実施形態では3つ)の発光ユニット2Aが幅方向に並んだ状態で一体化された構造を有している。
【0021】
なお、本実施形態の車両用灯具1では、3つの発光ユニット2Aが並ぶ構成を例示しているが、車幅方向に並ぶ複数の発光ユニット2Aを順次点灯させるシーケンシャルタイプの方向指示器として、実際は複数の発光ユニット2Aを最適な数(例えば8つ)だけ並べた構成となっている。
【0022】
各発光ユニット2Aは、光源3と、導光体4Aとを有している。車両用灯具1Aは、灯体(図示せず。)の内側に、複数の発光ユニット2Aの各々対応した複数の光源3と、複数の発光ユニット2Aの各々対応した複数の導光体4Aとが配置された構成を有している。また、複数の導光体4Aは、幅方向に並んだ状態で一体に形成された導光レンズ40Aにより構成されている。
【0023】
なお、灯体は、前面が開口したハウジングと、このハウジングの開口を覆う透明なレンズカバーとにより構成される。また、灯体の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0024】
光源3は、橙色光(以下、単に「光」という。)Lを発する発光ダイオード(LED)からなる。複数の光源3は、LEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板5の一面(本実施形態では上面)側に、幅方向に等間隔に並んだ状態で実装されている。これにより、各光源3は、光Lを上方に向けて放射状に出射する。すなわち、これら複数の光源3は、同じ回路基板5の同一面上に設けられて、互いに同一方向に向けて光Lを放射状に出射する構成となっている。
【0025】
なお、回路基板5は、上述したLEDを駆動する駆動回路が設けられた構成となっているが、LEDが設けられた実施基板と、駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、これら実装基板と回路基板とをハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、LEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0026】
導光体4Aは、光源3から出射された光Lを導光させる光透過性部材からなる。光透過性部材には、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質のものを用いることができる。
【0027】
導光体4Aは、光源3から出射された光Lが入射する入射部6と、入射部6から入射した光Lを導光させる第1の導光部7、第2の導光部8、第3の導光部9及び第4の導光部10と、第1の導光部7と第2の導光部8との間に位置して、第1の導光部7の内部で導光される光Lを第2の導光部8に向けて反射する第1の反射部11と、第2の導光部8と第3の導光部9との間に位置して、第2の導光部8の内部で導光される光Lを第3の導光部9に向けて反射する第2の反射部12と、第3の導光部9と第4の導光部10との間に位置して、第3の導光部9の内部で導光される光Lを第4の導光部10に向けて反射する第3の反射部13と、第4の導光部10の内部で導光される光Lを外部に向けて出射する出射部14とを有している。
【0028】
第1の導光部7は、その下端側に位置する入射部6と、その上端側に位置する第1の反射部11との間で、光Lを上方に向けて導光させる部分を構成している。
【0029】
第2の導光部8は、その後端側に位置する第1の反射部11と、その前端側に位置する第2の反射部12との間で、光Lを前方に向けて導光させる部分を構成している。
【0030】
第3の導光部9は、その上端側に位置する第2の反射部12と、その下端側に位置する第3の反射部13との間で、光Lを下方に向けて導光させる部分を構成している。
【0031】
第4の導光部10は、その後端側に位置する第3の反射部13と、その前端側に位置する出射部14との間で、光Lを前方に向けて導光させる部分を構成している。
【0032】
第1の導光部7は、第2の導光部8の後端側から下方に向かって円錐台状に突出形成されている。第2の導光部8、第3の導光部9及び第4の導光部10は、それぞれ板状に形成されて、互いに同じ幅で形成されている。
【0033】
入射部6は、光源3と対向して配置されて、光源3と対向する部分の中央に位置して、光源3から出射された光Lの一部が入射する第1の集光入射面6aと、第1の集光入射面6aの周囲を囲む位置から光源3側に突出した突出部の内周側に位置して、光源3から出射された光Lの一部が入射する第2の集光入射面6bと、突出部の外周側に位置して、第2の集光入射面6bから入射した光Lを反射する集光反射面6cとを有している。
【0034】
入射部6では、光源3から出射された光Lのうち、第1の集光入射面6aから入射した光Lを光軸寄りに集光させる。一方、第2の集光入射面6bから入射した光Lを集光反射面6cで反射させることによって光軸寄りに集光させる。
【0035】
これにより、入射部6では、光源3から上方に向けて放射状に出射された光Lを平行化(コリメート)しながら、第1の導光部7(導光体4A)の内部へと入射する。したがって、第1の導光部7の内部に入射した光Lは、平行化した状態で上方の第1の反射部11に向けて導光されることになる。
【0036】
第1の反射部11は、第1の反射面11aを有している。第1の反射面11aは、光源3から出射された光Lの光軸AXと平行且つこの光軸AXよりも後方に位置する中心軸BXを中心に第2の導光部8の後端中央部を円錐状に切り欠くように形成されている。また、第1の反射面11aは、中心軸BXに対して所定の角度(本実施形態では45°)で円錐状に傾斜している。
【0037】
これにより、第1の反射部11では、第1の導光部4の内部で幅方向に平行化した状態で導光される光Lを第1の反射面7aにより幅方向に拡散しながら、前方の第2の導光部8に向けて反射する。
【0038】
したがって、第2の導光部8の内部に入射した光Lは、第2の導光部8の幅方向において拡散しながら、前方の第2の反射部12に向けて導光されることになる。一方、第2の導光部8の内部に入射した光Lは、第2の導光部8の厚み方向において平行化した状態のまま、前方の第2の反射部12に向けて導光されることになる。
【0039】
第2の反射部12は、第2の反射面12aを有している。第2の反射面12aは、第2の反射部12の前後方向に沿った鉛直断面において、下方に向けて所定の角度(本実施形態では第2の導光部8の内部で導光される光Lの光軸に対して45°)で傾斜している。
【0040】
一方、第2の反射面12aは、第2の反射部12の幅方向に沿った鉛直断面において、幅方向の中央部から幅方向の両端部に向かって互いに逆向きに下方に向かって湾曲している。
【0041】
第2の反射面12aには、第2の導光部8の厚み方向に延在する複数の反射カット15が幅方向に周期的に並んで設けられている。複数の反射カット15は、幅方向の中央部から幅方向の両端部に向かって互いに逆向きに上端側の幅よりも下端側の幅が広がるように傾斜して設けられている。また、複数の反射カット15は、幅方向の中央部から幅方向の両端部に向かって漸次傾斜が大きくなっている。
【0042】
また、各反射カット15は、第2の反射部12の水平断面において、放物線を描くように湾曲した放物反射面により構成されている。また、複数の反射カット15は、互いに異なる位置に焦点を有する放物反射面により構成されている。
【0043】
これにより、第2の反射部12では、第2の導光部8の内部で幅方向に拡散した状態で導光される光Lを第2の反射面8a(複数の反射カット15)により幅方向に平行化(コリメート)しながら、下方の第3の導光部9に向けて反射する。
【0044】
したがって、第3の導光部9の内部に入射した光Lは、第3の導光部9の幅方向において平行化した状態で、下方の第3の反射部13に向けて導光されることになる。一方、第3の導光部9の内部に入射した光Lは、第3の導光部9の厚み方向において平行化した状態のまま、下方の第3の反射部13に向けて導光されることになる。
【0045】
なお、本実施形態では、上述した複数の反射カット15が互いに異なる位置に焦点を有する放物反射面により構成されたものとなっているが、これとは別に、複数の反射カット15が互いに同じ位置に焦点を有し、それぞれのF値が異なる放物反射面により構成されたものとすることも可能である。
【0046】
第3の反射部13は、第3の反射面13aを有している。第3の反射面13aは、第3の反射部13の前後方向に沿った鉛直断面において、前方に向けて所定の角度(本実施形態では第3の導光部9の内部で導光される光Lの光軸に対して45°)で傾斜している。
【0047】
第3の反射面13aには、
図7及び
図8に示すように、複数の第1の拡散カット16及び複数の第2の拡散カット17が幅方向に周期的に並んで設けられている。本実施形態では、2つの第1の拡散カット16と1つの第2の拡散カット17とが幅方向に周期的に並んで設けられている。なお、第1の拡散カット16と第2の拡散カット17との配列や数、間隔等については、適宜変更することが可能である。
【0048】
第1の拡散カット16は、円筒状に湾曲しながら、第3の導光部9の厚み方向に延在して設けられている。第2の拡散カット17は、円錐状に湾曲し且つ幅方向の一方側(車幅方向の内側)に傾斜しながら、第3の導光部9の厚み方向に複数並んで設けられている。
【0049】
第3の反射部13では、第3の導光部9の内部で幅方向に平行化した状態で導光される光Lを第3の反射面13a(第1の拡散カット16及び第2の拡散カット17)により幅方向に拡散しながら、前方の第4の導光部10に向けて反射する。
【0050】
このうち、第1の拡散カット16は、第3の導光部9の内部で幅方向に平行化した状態で導光される光Lを幅方向に拡散しながら、前方の第4の導光部10に向けて反射する。
【0051】
一方、第2の拡散カット17は、第3の導光部9の内部で幅方向に平行化した状態で導光される光Lを第1の拡散カット16よりも幅方向の他方側(車幅方向の外側)に拡散しながら、前方の第4の導光部10に向けて反射する。
【0052】
したがって、第4の導光部10の内部に入射した光Lは、第4の導光部10の幅方向において拡散しながら、前方の出射部14に向けて導光されることになる。また、第4の導光部10の内部で幅方向に拡散しながら導光される光Lは、幅方向において隣り合う導光体4Aの第4の導光部10に入射しながら、前方の出射部14に向けて導光されることになる。一方、第4の導光部10の内部に入射した光Lは、第4の導光部10の厚み方向において平行化した状態のまま、前方の出射部14に向けて導光されることになる。
【0053】
出射部14は、第4の導光部10の内部で導光される光Lを外部に向けて出射する出射面14aを有している。出射部14には、複数の第3の拡散カット18が幅方向に並んで設けられている。複数の第3の拡散カット18は、円筒状に湾曲しながら、第4の導光部10の厚み方向に延在して設けられている。
【0054】
これにより、出射部14では、第4の導光部10の内部で幅方向に拡散した状態で導光される光Lを第3の拡散カット18により幅方向に拡散しながら、導光体4Aの外部へと出射する。一方、出射部14では、第4の導光部10の内部で厚み方向に平行化した状態で導光される光Lを平行化した状態のまま導光体4Aの外部へと出射する。
【0055】
したがって、出射部14では、発光ユニット2Aの発光面として、出射面14aを均一に発光させることが可能である。
【0056】
また、上記発光ユニット2Aでは、出射部14の前方に、配光制御用の拡散レンズ20を備えた構成となっている。拡散レンズ20は、その背面側に光Lが入射する入射面20aと、その正面側に光Lを出射する出射面20bとを有している。
【0057】
また、出射面20bには、この出射面20bから出射される光Lを拡散レンズ20の厚み方向(上下方向)に拡散させる第4の拡散カット21が設けられている。
【0058】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Aでは、上述した光源3から出射された光Lを導光体4Aの入射部6から平行化しながら入射した後、第1の反射部11により幅方向に拡散しながら反射し、第2の反射部12により幅方向に平行化しながら反射し、第3の反射部13により光を幅方向に拡散しながら出射部14に向けて反射している。
【0059】
この構成の場合、第2の反射部12により幅方向に平行化された光Lを第3の反射部13により幅方向に拡散制御するため、この幅方向における光Lの拡散制御を精度良く、なお且つ、容易に行うことが可能である。
【0060】
また、第1の反射部11と第2の反射部12との間の距離(第2の導光部8の長さ)を調整することによって、第1の反射部11により幅方向に拡散される光Lの幅を容易に変更することが可能である。
【0061】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Aでは、各発光ユニット2Aの幅方向における均一的な発光を高い精度でなお且つ容易に制御することが可能である。
【0062】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図9及び
図10に示す車両用灯具1Bについて説明する。
【0063】
なお、
図9は、車両用灯具1Bが備える発光ユニット2Bの構成を示す断面図である。
図10は、発光ユニット2Bの入射部31の構成を示す平面図である。また、以下の説明では、上記車両用灯具1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0064】
本実施形態の車両用灯具1Bは、上記発光ユニット2Aの代わりに、発光ユニット2Bを備えている。また、発光ユニット2Bは、上記導光体4Aの代わりに、複数の導光体4Bが一体化された導光レンズ40Bを有している。それ以外は、上記車両用灯具1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0065】
導光体4Bは、光源3から出射された光Lが入射する入射部31と、入射部31から入射した光Lを導光させる第1の導光部32、第2の導光部33及び第3の導光部34と、第1の導光部32と第2の導光部33との間に位置して、第1の導光部32の内部で導光される光Lを第2の導光部33に向けて反射する第1の反射部35と、第2の導光部33と第3の導光部34との間に位置して、第2の導光部33の内部で導光される光Lを第3の導光部34に向けて反射する第2の反射部36と、第3の導光部34の内部で導光される光Lを外部に向けて出射する出射部37とを有している。
【0066】
このうち、第1の導光部32は、上記第2の導光部8と同じ構成であり、第2の導光部33は、上記第3の導光部9と同じ構成であり、第3の導光部34は、上記第4の導光部10と同じ構成である。
【0067】
また、第1の反射部35は、上記第2の反射部12と同じ構成であり、第2の反射部36は、上記第3の反射部13と同じ構成であり、出射部37は、上記出射部14と同じ構成である。
【0068】
入射部31は、第1の導光部32の後端側に位置して、光源3から出射された光Lが入射する入射面31aを構成している。これに合わせて、光源3は、前方に向けて光Lを出射するように配置されている。
【0069】
入射面31aは、第1の導光部32の前後方向に沿った水平断面において、光源3から出射された光Lの光軸AXと直交する中心軸CXを中心に第1の導光部32の後端中央部を円弧状に切り欠くように形成されている。また、入射面31aは、第1の導光部32の前後方向に沿った鉛直断面において、凸状に湾曲している。
【0070】
これにより、入射部31では、光源3から前方に向けて放射状に出射された光Lを幅方向において拡散しながら、第1の導光部32(導光体4B)の内部へと入射する。また、入射部31では、光源3から前方に向けて放射状に出射された光Lを厚み方向において平行化(コリメート)しながら、第1の導光部32(導光体4B)の内部へと入射する。
【0071】
したがって、第1の導光部32の内部に入射した光Lは、第1の導光部32の幅方向において拡散しながら、前方の第1の反射部35に向けて導光されることになる。一方、第1の導光部32の内部に入射した光Lは、第1の導光部32の厚み方向において平行化した状態のまま、前方の第1の反射部35に向けて導光されることになる。
【0072】
第1の反射部35では、第1の導光部32の内部で幅方向に拡散した状態で導光される光Lを第1の反射面35a(複数の反射カット15)により幅方向に平行化(コリメート)しながら、下方の第2の導光部33に向けて反射する。
【0073】
したがって、第2の導光部33の内部に入射した光Lは、第2の導光部33の幅方向において平行化した状態で、下方の第2の反射部36に向けて導光されることになる。一方、第2の導光部33の内部に入射した光Lは、第2の導光部33の厚み方向において平行化した状態のまま、下方の第2の反射部36に向けて導光されることになる。
【0074】
第2の反射部36では、第2の導光部33の内部で幅方向に平行化した状態で導光される光Lを第2の反射面36a(第1の拡散カット16及び第2の拡散カット17)により幅方向に拡散しながら、前方の第3の導光部34に向けて反射する。
【0075】
したがって、第3の導光部34の内部に入射した光Lは、第3の導光部34の幅方向において拡散しながら、前方の出射部37に向けて導光されることになる。また、第3の導光部34の内部で幅方向に拡散しながら導光される光Lは、幅方向において隣り合う導光体4Bの第3の導光部34に入射しながら、前方の出射部37に向けて導光されることになる。一方、第3の導光部34の内部に入射した光Lは、第3の導光部34の厚み方向において平行化した状態のまま、前方の出射部37に向けて導光されることになる。
【0076】
出射部37では、第3の導光部34の内部で幅方向に拡散した状態で導光される光Lを第3の拡散カット18により幅方向に拡散しながら、導光体4Bの外部へと出射する。一方、出射部37では、第3の導光部34の内部で厚み方向に平行化した状態で導光される光Lを平行化した状態のまま導光体4Bの外部へと出射する。
【0077】
したがって、出射部37では、発光ユニット2Bの発光面として、出射面37aを均一に発光させることが可能である。
【0078】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1Bでは、上述した光源3から出射された光Lを導光体4Bの入射部31から幅方向に拡散しながら入射した後、第1の反射部35により幅方向に平行化しながら反射し、第2の反射部36により光を幅方向に拡散しながら出射部37に向けて反射している。
【0079】
この構成の場合、第1の反射部35により幅方向に平行化された光Lを第2の反射部36により幅方向に拡散制御するため、この幅方向における光Lの拡散制御を精度良く、なお且つ、容易に行うことが可能である。
【0080】
また、入射部31と第1の反射部35との間の距離(第1の導光部32の長さ)を調整することによって、入射部31により幅方向に拡散される光Lの幅を容易に変更することが可能である。
【0081】
したがって、本実施形態の車両用灯具1Bでは、各発光ユニット2Bの幅方向における均一的な発光を高い精度でなお且つ容易に制御することが可能である。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記車両用灯具1A,1Bでは、その配置する向きについて特に限定されるものではなく、複数の発光ユニット2A,2Bが並ぶ方向を幅方向から高さ方向に変更したり、上下反転して配置したりすることが可能である。
【0083】
上記導光体4A,4Bでは、第2の反射部12(第1の反射部35)により光Lを下方に向けて反射する構成となっているが、第2の反射部12(第1の反射部35)により光Lを上方に向けて反射する構成としてもよい。
【0084】
上記拡散レンズ20については、必ずしも必要な構成ではなく、省略することも可能である。また、上記拡散レンズ20は、導光体4A,4Bと一体に形成した構成や、導光体4A,4Bと別体に配置した構成としてもよい。
【0085】
また、上記拡散レンズ20については、上述した構成以外にも、入射面20aと出射面20bとの何れか一方の面に、光Lを幅方向に拡散させる拡散カットを設けたり、何れか他方の面に、光Lを厚み方向に拡散させる拡散カットを設けたりすることが可能である。
【0086】
また、拡散レンズ20、第3の反射部13(第2の反射部36)及び出射部14(出射部37)の間で、光Lの拡散制御を調整することも可能である。例えば、上述した第3の反射部13の第1の拡散カット16及び第2の拡散カット17を省略し、第3の反射部13(第2の反射部36)及び出射部14(出射部37)において、光Lを幅方向に拡散させるようにしてもよい。
【0087】
なお、上記実施形態では、車両用灯具1A,1Bとして、後部側の方向指示器に本発明を適用した場合を例示しているが、前部側の方向指示器に本発明を適用することも可能である。
【0088】
また、本発明が適用される車両用灯具については、上述した方向指示器に限らず、例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯ランプ(DRL)、リッドランプ、尾灯(テールランプ)、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプなどの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。また、上記光源3が発する光の色についても、白色光や赤色光、橙色光など、その用途に応じて適宜変更することも可能である。
【0089】
また、本発明は、上述した車両用灯具に好適に用いられるものの、例えば一般照明など車両用灯具以外の用途に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1A,1B…車両用灯具 2A,2B…発光ユニット 3…光源 4A,4B…導光体 5…回路基板 6…入射部 7…第1の導光部 8…第2の導光部 9…第3の導光部 10…第4の導光部 11…第1の反射部 12…第2の反射部 13…第3の反射部 14…出射部 15…反射カット 16…第1の拡散カット 17…第2の拡散カット 18…第3の拡散カット 20…拡散レンズ 21…第4の拡散カット 31…入射部 32…第1の導光部 33…第2の導光部 34…第3の導光部 35…第1の反射部 36…第2の反射部 37…出射部 40A,40B…導光レンズ L…光