(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】卵焼き用フライパン
(51)【国際特許分類】
A47J 37/10 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A47J37/10 301
(21)【出願番号】P 2020186342
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391050466
【氏名又は名称】日高 忍
(72)【発明者】
【氏名】日高 忍
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211155330(CN,U)
【文献】特開2005-103232(JP,A)
【文献】特開2002-000463(JP,A)
【文献】実開昭52-025668(JP,U)
【文献】実開昭58-136039(JP,U)
【文献】登録実用新案第3163883(JP,U)
【文献】登録実用新案第3026841(JP,U)
【文献】実公昭27-010564(JP,Y1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2020-0000514(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/00-37/07
A47J 37/10-37/12
A23L 13/00-17/00
A23L 17/10-17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が平らな略長方形状の底板(3)と、前記底板(3)の一辺(2)に連ねて設けられた略蒲鉾型の凹部(1)とを有するフライパン本体(100)を有する
フライパンであって、
前記底板(3)の下面(10)に、前記底板(3)の上面が形成する平面から前記凹部(1)の下端部(8)までの距離と、前記底板(3)の上面が形成する平面からその下端部(6)までの距離が略同等となるように脚(7)を設けたこと
を特徴とする卵焼き用フライパン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は巻き卵焼き(ロール卵)や出汁巻き卵を作るためのフライパンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄焼き卵を焼く加熱調理部と、焼いた薄焼き卵を巻いてロール体となったものを一旦載置する載置部を有する調理器具が特許文献1に記載されている。
ロール体となったものを載置部に載置することで、次の薄焼き卵は加熱調理部全体を使用して焼くことができる。載置部にあるロール体となったものを再度加熱調理部に戻してさらに薄焼き卵を巻き、また載置部に載置する。これを繰り返して大きなロール状卵焼きを作るものである。
【0003】
また、加熱容器に原料液を供給し、加熱凝固する薄焼き食品の端部にソーセージなどの中芯を載せ、薄焼き食品と中芯を結着させた後、中芯を巻き始め端として薄焼き食品を巻き上げる中芯入りロール巻食品の製造法が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている調理器具による調理では、薄焼き卵を巻いたものを中芯としている。つまり最初の薄焼き卵を巻くときには中芯となるものがなく、薄焼き卵の端部が巻き始め端となる。そのため、巻き始めるときに巻き始め端が破れてしまうことがある。
【0007】
特許文献2に記載されている中芯入りロール巻食品の製造法は、薄焼き食品の端部に載せて結着させたソーセージなどの棒状食品を中芯としている。棒状食品と薄焼き食品の結着は不安定なもので、巻き上げるときに剥がれてしまうおそれがある。そのため薄焼き食品または棒状食品の表面に結着剤を塗布するなどの手間が必要となることもある。
本発明は、ロール卵や出汁巻き卵を作るときに安定して巻き始められる卵焼き用フライパンを提供するものであり、上述の課題を解決することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するための請求項1に記載の本発明は、上面が平らな略長方形状の底板(3)と、前記底板(3)の一辺(2)に連ねて設けられた略蒲鉾型の凹部(1)とを有するフライパン本体(100)を有することを特徴とする卵焼き用フライパンである。
【0009】
また、この課題を解決するための請求項2に記載の本発明は、前記底板(3)の下面に、前記底板(3)の上面が形成する平面から前記凹部(1)の下面の下端部(8)までの距離と略同等の前記底板(3)の上面が形成する平面からの距離にある下端部(6)を有する脚(7)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の卵焼き用フライパンである。
【発明の効果】
【0010】
ロール卵や出汁巻き卵を作るときに安定して巻き始められるようになる。調理に不慣れな人でも、例えば箸を使ってロール卵をきれいに作ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一の実施の形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施の形態の開口面を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第一の実施の形態を裏側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施の形態の調理過程を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第一の実施の形態の調理過程を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第一の実施の形態の調理過程を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第一の実施の形態の調理過程を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第二の実施の形態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第三の実施の形態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の第四の実施の形態を示す三面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態の斜視図である。第一の実施の形態の卵焼き用フライパンはフライパン本体(100)とその一端(4)に設けられた把手(5)を有する。
【0013】
フライパン本体(100)は上面が平らな略長方形状の底板(3)を有する。底板(3)を挟んで一端(4)の反対側に、底板(3)の一辺(2)に連ねて略蒲鉾型の凹部(1)を形成する。凹部(1)の略蒲鉾型は細長い蒲鉾型であってもよく、扁平な蒲鉾型であってもよい。
【0014】
凹部(1)は後述するように、溶き卵を注いで焼き固め、巻き卵焼きを巻き始めるための棒状または板状の芯を作る略蒲鉾型の溝である。この芯が例えば左右が極端に非対称な形状であると上手に巻けず、巻けたとしても出来上がった巻き卵焼きが左右非対称な形状となってしまう。
【0015】
そこで底板(3)の上面が形成する平面に凹部(1)が形成する開口面(9)(
図2参照)の形状を、一辺(2)と略同等の長さの長辺を有する略長方形となるように凹部(1)を略蒲鉾型に形成している。
図2に第一の実施の形態の略蒲鉾型の凹部(1)が形成する開口面(9)を斜線部で示す。
【0016】
図3は第一の実施の形態を裏側から見た場合の斜視図である。
図1と
図3において、底板(3)の下面(10)に、底板(3)の上面が形成する平面から凹部(1)の下面の下端部(8)までの距離と略同等の底板(3)の上面が形成する平面からの距離にある下端部(6)を有する脚(7)を設ける。つまり、底板(3)の上面が形成する平面から凹部(1)の下面の下端部(8)までの距離と底板(3)の上面が形成する平面から脚(7)の下端部(6)までの距離が略同等となるようにする。このようにすると、フライパン本体(100)を図示しない調理用レンジの五徳に載せたときに底板(3)の上面が傾きの少ない略水平面となる。
【0017】
第一の実施の形態では底板(3)の下面(10)の周縁部に脚(7)を略コの字型に配している。
第一の実施の形態は以上のような構成である。
【0018】
次に第一の実施の形態の作用について説明する。
図4に図示しない調理用レンジの五徳に載せた第一の実施の形態の卵焼き用フライパンの凹部(1)に溶き卵(21)を注いだ状態を示す。溶き卵(21)の中に刻んだ野菜などの具材(22)を入れてもよい。加熱された溶き卵(21)は具材(22)とともに次第に略蒲鉾型に固まる。
【0019】
凹部(1)の溶き卵(21)がある程度固まったら
図5に示すように残りの溶き卵(23)を底板(3)の上面に注いで、略均一に拡げる。このとき、溶き卵(21)と溶き卵(23)が繋がる。
【0020】
溶き卵(21)が略蒲鉾型に固まったら図示しない箸などを使って、
図6に示すように溶き卵(23)の上に折り返して巻き始める。さらに巻いて
図7に示すように巻き卵焼き(24)が出来上がる。
【0021】
図8に本発明の第二の実施の形態の斜視図を示す。第二の実施の形態は凹部(1)と底板(3)の上面を結ぶ溝(25)を有する。調理者が把手(5)を持って、凹部(1)側が上、把手(5)側が下になるようにフライパン本体(100)を傾けると、凹部(1)に溜まった図示しない調理用油などがこの溝(25)を流れて底板(3)の上面に載り、便利である。
【0022】
図9に本発明の第三の実施の形態の斜視図を示す。第三の実施の形態は、第一の実施の形態における脚(7)に代えて、フライパン本体(100)の裏面(10)に馬蹄形部材(26)と棒状部材(27)を溶着などで取り付けたものである。馬蹄形部材(6)と棒状部材(27)は脚(7)と同様に、フライパン本体(100)を図示しない調理用レンジの五徳に載せたときに底板(3)の上面が傾きの少ない略水平面となるようにするためのものである。
【0023】
図10に本発明の第四の実施の形態のフライパン本体の第三角法による三面図、つまり正面図(101)、右側面図(102)および下面図(103)とA-A断面図(104)を示す。第四の実施の形態は凹部(1)を比較的扁平な蒲鉾型に形成したものである。また、凹部(1)と底板(3)の上面との境界部、つまり第一の実施の形態における一辺(2)に相当する部分は面取りを施した形状、つまりRを有する形状となっている。
【符号の説明】
【0024】
1…凹部、2…一辺、3…底板、4…一端、5…把手、6…脚の下端部、7…脚、8…凹部の下端部、9…開口面、10…底板の下面、21…溶き卵、22…具材、23…溶き卵、24…巻き卵焼き、25…溝、26…馬蹄形部材、27…棒状部材、100…フライパン本体、101…正面図、102…右側面図、103…下面図、104…A-A断面図