(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 7/08 20060101AFI20240919BHJP
F24C 7/02 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F24C7/08 310
F24C7/02 310
(21)【出願番号】P 2020186496
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 宗郷
(72)【発明者】
【氏名】朝井 淳毅
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特公平3-25697(JP,B2)
【文献】特開2020-159635(JP,A)
【文献】特開平6-18046(JP,A)
【文献】特開平2-115620(JP,A)
【文献】特開平1-200120(JP,A)
【文献】特開2009-127923(JP,A)
【文献】特開平5-203157(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2908601(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016112683(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/08
F24C 7/02
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱庫と、
前記加熱庫から離隔して配置され、前記加熱庫内の
調理音を
少なくとも検出する第1検出ユニットと、
前記加熱庫と前記第1検出ユニットとの間に介在され、前記第1検出ユニットから前記加熱庫に向かって延びる
第1介在部材と
、
前記加熱庫から離隔して配置され、前記調理音以外の音を検出する第2検出ユニットと、
前記加熱庫と前記第2検出ユニットとの間に介在され、前記第2検出ユニットから前記加熱庫に向かって延びる第2介在部材と
を備え、
前記
第1介在部材は、前記音を通過させる貫通孔を有
し、
前記加熱庫は、前記加熱庫の内部と外部とを連通する連通孔を有し、
前記貫通孔は、前記連通孔に連続し、
前記第2介在部材は、前記連通孔が形成されていない部分に対向する、加熱調理器。
【請求項2】
前記
第1介在部材
及び前記第2介在部材の耐熱温度は、前記加熱庫の最高温度よりも高い、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記第1検出ユニットから前記加熱庫に向かって延びる、請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記貫通孔の内径は、一定の大きさを有する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記連通孔の内径は、前記貫通孔の内径と略同じ大きさを有する、請求項
1に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記
第1介在部材
及び前記第2介在部材の各々は、
外周面と、
前記外周面に配置される凸部及び凹部の少なくとも一方と
を含み、
前記第1介在部材の前記凸部は、前記
第1介在部材の外側に突出し、
前記第1介在部材の前記凹部は、前記
第1介在部材の内側に窪
み、
前記第2介在部材の前記凸部は、前記第2介在部材の外側に突出し、
前記第2介在部材の前記凹部は、前記第2介在部材の内側に窪む、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記第1検出ユニットは、音を検出する検出素子と、前記検出素子が固定される基板とを含み、
前記基板は、前記基板の厚み方向に貫通する開口部を有し、
前記開口部は、前記貫通孔に連続する、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記開口部の内径は、前記貫通孔の内径と略同じ大きさを有する、請求項
7に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記加熱庫は、複数の壁部によって構成され、
前記第1検出ユニット及び前記第2検出ユニットは、互い
に隣り合うとともに、同一の前記壁部に対向する、請求項
1に記載の加熱調理器。
【請求項10】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、
加熱開始後に前記第1検出ユニット及び前記第2検出ユニットにより検出される音に基づいて、前記第1検出ユニット及び前記第2検出ユニットに前記調理音以外の音が伝わる特性を推定し、
前記推定した特性に基づいて前記第2検出ユニットにより検出される音を示す音信号を補正し、
前記第1検出ユニットにより検出される音を示す音信号と、前記補正した音信号とに基づいて、音データを生成する、請求項
1又は請求項
9に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記加熱庫を収容する筐体と、
前記筐体と前記加熱庫との間に配置される送風機と
をさらに備え、
前記筐体と前記加熱庫との間には、前記送風機により発生する空気が流通する空気通路が形成され、
前記第1検出ユニットは、前記空気通路に配置される、請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記加熱庫を収容する筐体と、
前記筐体の正面側に配置され、前記加熱庫を開閉する扉と
をさらに備え、
前記第1検出ユニットは、前記扉に配置される、請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記第1検出ユニットが検出した音を出力するスピーカーをさらに備える、請求項1から請求項
12のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記加熱庫から離隔して配置され、前記加熱庫内を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像を表示する表示部と
をさらに備える、請求項
13に記載の加熱調理器。
【請求項15】
被加熱物を収容する加熱庫と、
前記加熱庫から離隔して配置され、前記加熱庫内の音を検出する第1検出ユニットと、
前記加熱庫と前記第1検出ユニットとの間に介在され、前記第1検出ユニットから前記加熱庫に向かって延びる介在部材と
を備え、
前記介在部材は、前記音を通過させる貫通孔を有し、
前記第1検出ユニットは、前記加熱庫内の調理音を少なくとも検出し、
前記加熱庫から離隔して配置され、前記調理音以外の音を検出する第2検出ユニットをさらに備え、
前記加熱庫は、複数の壁部によって構成され、
前記第1検出ユニット及び前記第2検出ユニットは、互い隣り合うとともに、同一の前記壁部に対向する、加熱調理器。
【請求項16】
被加熱物を収容する加熱庫と、
前記加熱庫から離隔して配置され、前記加熱庫内の音を検出する第1検出ユニットと、
前記加熱庫と前記第1検出ユニットとの間に介在され、前記第1検出ユニットから前記加熱庫に向かって延びる介在部材と、
制御部と
を備え、
前記介在部材は、前記音を通過させる貫通孔を有し、
前記第1検出ユニットは、前記加熱庫内の調理音を少なくとも検出し、
前記加熱庫から離隔して配置され、前記調理音以外の音を検出する第2検出ユニットをさらに備え、
前記制御部は、
加熱開始後に前記第1検出ユニット及び前記第2検出ユニットにより検出される音に基づいて、前記第1検出ユニット及び前記第2検出ユニットに前記調理音以外の音が伝わる特性を推定し、
前記推定した特性に基づいて前記第2検出ユニットにより検出される音を示す音信号を補正し、
前記第1検出ユニットにより検出される音を示す音信号と、前記補正した音信号とに基づいて、音データを生成する、加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子レンジ、オーブン及びトースター等の加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の加熱調理器は、加熱室と、撮像部とを備える。加熱室は、食品を収納する。加熱室の側壁面には、貫通孔が形成される。撮像部は、貫通孔を通じて加熱室内を撮像する。
【0003】
特許文献1のような加熱調理器では、撮像部により加熱室内を撮像するため、ユーザーは撮像された画像を目視することによって、調理の進行状況を把握することができる。従って、食品が焦げたり生焼けになったりすることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような加熱調理器では、調理の進行状況を把握するために、ユーザーは画像を目視する必要がある。従って、ユーザーは他の作業を一旦停止するため、ユーザーにとって画像を目視することは煩わしい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、目視することなく、調理の進行状況を把握することが可能な加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面の加熱調理器は、加熱庫と、第1検出ユニットと、介在部材とを備える。前記加熱庫は、被加熱物を収容する。前記第1検出ユニットは、前記加熱庫から離隔して配置され、前記加熱庫内の音を検出する。前記介在部材は、前記加熱庫と前記第1検出ユニットとの間に介在され、前記第1検出ユニットから前記加熱庫に向かって延びる。前記介在部材は、前記音を通過させる貫通孔を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、目視することなく、調理の進行状況を把握することが可能な加熱調理器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態の加熱調理器の外観を示す模式的な正面図である。
【
図2】第1実施形態の加熱調理器の内部構造を正面側から示す模式的な断面図である。
【
図3】第1実施形態の加熱調理器の内部構造を上方から示す模式的な断面図である。
【
図4】第1実施形態の加熱調理器の構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態の第1検出ユニット、第1介在部材、第2検出ユニット及び第2介在部材周辺の構造を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態の第1検出ユニット及び第2検出ユニットの構造を示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態の第1検出ユニット及び第2検出ユニットの構造を示す断面図である。
【
図8】第1実施形態の第1介在部材及び第2介在部材の構造を示す図である。
【
図9】第1実施形態の加熱調理器の処理フローを示す図である。
【
図10】第1変形例の第1介在部材及び第2介在部材の構造を示す図である。
【
図11】第2変形例の第1介在部材及び第2介在部材の構造を示す図である。
【
図12】第3変形例の第1介在部材及び第2介在部材の構造を示す図である。
【
図13】第4変形例の第1介在部材及び第2介在部材の構造を示す図である。
【
図14】第5変形例の第1検出ユニット、第1介在部材、第2検出ユニット及び第2介在部材周辺の構造を示す断面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る加熱調理器の内部構造を上方から示す模式的な断面図である。
【
図16】本発明の第3実施形態の制御部による音データの生成フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る加熱調理器の実施形態を説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本実施形態では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示す。Z軸は鉛直方向に平行であり、X軸及びY軸は水平方向に平行である。Y軸の正方向は加熱調理器の背面側を示し、Y軸の負方向は加熱調理器の正面側を示す。本実施形態では、便宜上、加熱調理器の正面側を加熱調理器の前側とし、加熱調理器の背面側を加熱調理器の後側として説明する場合がある。また、便宜上、Z軸方向を上下方向として説明する場合がある。Z軸の正方向は上方向を示す。ただし、上下方向、上方向、及び下方向は、説明の便宜上定めるものであり、鉛直方向に一致する必要はない。また、あくまで説明の便宜のために、上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係る加熱調理器の使用時及び組立時の向きを限定しない。
【0011】
(第1実施形態)
図1から
図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る加熱調理器100について説明する。
図1は、第1実施形態の加熱調理器100の外観を示す模式的な正面図である。なお、
図1では、理解を容易にするために、加熱庫1内を直接目視するための目視窓を描いていない。
図2は、第1実施形態の加熱調理器100の内部構造を正面側から示す模式的な断面図である。
図3は、第1実施形態の加熱調理器100の内部構造を上方から示す模式的な断面図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、加熱調理器100は、加熱庫1と、第1検出ユニット20と、第1介在部材30とを少なくとも備える。また、本実施形態では、加熱調理器100は、送風機6をさらに備える。また、本実施形態では、加熱調理器100は、第2検出ユニット40をさらに備える。また、本実施形態では、スピーカー4bをさらに備える。なお、第1介在部材30は、本発明の「介在部材」の一例である。以下、詳細に説明する。
【0013】
加熱調理器100は、被加熱物を加熱調理する。被加熱物は、例えば、食品を含む。加熱調理器100は、加熱庫1と、筐体2と、扉3とを備える。
【0014】
加熱庫1は、被加熱物を収容する。具体的には、加熱庫1は、箱状部材である。加熱庫1は、被加熱物を収容する加熱室Sを有する。加熱室Sは、被加熱物を加熱調理するための空間である。
【0015】
図2及び
図3に示すように、加熱庫1は、複数の壁部を含む。具体的には、加熱庫1は、側壁1a、側壁1b、上壁1c、下壁1d、後壁1e及び前壁1fを含む。なお、側壁1a、側壁1b、上壁1c、下壁1d、後壁1e及び前壁1fの各々は、本発明の「壁部」の一例である。前壁1fは、扉3の背面側に固定されている。側壁1a、側壁1b、上壁1c、下壁1d、後壁1e及び前壁1fの材質は、例えば金属である。なお、ユーザーが加熱庫1内を目視できるように、前壁1fの全部又は一部が透光性と耐熱性とを有する例えばガラスによって形成されていてもよい。
【0016】
筐体2は、加熱庫1を収容する。筐体2は、複数の壁部を含む。具体的には、筐体2は、側壁2a、側壁2b、上壁2c、下壁2d及び後壁2eを含む。側壁2a、側壁2b、上壁2c、下壁2d及び後壁2eの材質は、例えば金属である。
【0017】
図1及び
図3に示すように、扉3は、筐体2の正面側に配置される。扉3は、加熱庫1を開閉する。扉3は、前面3aと、前面3aの上部に配置される取っ手3bと、前面3aに配置される操作部3cとを含む。操作部3cは、ユーザーからの操作を受け付ける。操作部3cは、例えば開始ボタン3dと、停止ボタン3eと、条件設定ボタン3fとを含む。開始ボタン3dは、加熱を開始するためのボタンである。停止ボタン3eは、加熱を停止するためのボタンである。条件設定ボタン3fは、加熱時間及び加熱温度等の加熱条件を設定するためのボタンである。
【0018】
図4は、第1実施形態の加熱調理器100の構成を示すブロック図である。
図1及び
図4に示すように、加熱調理器100は、スピーカー4bを備える。また、加熱調理器100は、表示部4aを備える。具体的には、加熱調理器100は、表示ユニット4を備える。表示ユニット4は、扉3の前面3aに配置される。表示ユニット4は、表示部4a及びスピーカー4bを含む。表示部4aは、例えば液晶パネルを含む。表示部4aは、画像を表示する。本実施形態では、表示部4aは、撮像部7が撮像した画像を表示する。スピーカー4bは、第1検出ユニット20が検出した音を出力する。従って、第1検出ユニット20が検出した音を加熱調理器100から出力することができる。
【0019】
また、
図2及び
図4に示すように、加熱調理器100は、加熱部5を備える。加熱部5は、加熱庫1内の食品を加熱する。加熱部5は、例えばマイクロ波供給装置である。加熱部5は、マイクロ波を加熱庫1内に供給する。加熱部5は、例えば加熱庫1の下方に配置される。なお、加熱部5は、加熱庫1内の食品を加熱できるのであれば、マイクロ波供給装置でなくてもよい。例えば、加熱部5は、発熱するヒーターであってもよい。また、加熱部5は、高温の熱風又は高温の蒸気を加熱庫1内に吹き付けるものであってもよい。
【0020】
また、
図2及び
図3に示すように、加熱調理器100は、送風機6を備える。送風機6は、加熱調理器100の空気通路P100に空気を流通させることによって、加熱調理器100の内部を冷却する。具体的には、加熱調理器100は、空気通路P100を有する。空気通路P100は、空間Sa、空間Sb、空間Sc及び空間Seによって構成される。空間Saは、加熱庫1の側壁1aと筐体2の側壁2aとの間に配置される。空間Sbは、側壁1bと側壁2bとの間に配置される。空間Scは、上壁1cと上壁2cとの間に配置される。空間Seは、後壁1eと後壁2eとの間に配置される。送風機6は、空間Saに配置される。筐体2の側壁2aは、筐体2の内部に空気を流入させるための開口2gを有する。側壁2bは、筐体2の外部に空気を排出させるための開口2hを有する。送風機6が駆動されることによって、空気流が発生する。そして、開口2gを介して加熱調理器100の内部に空気が流入する。流入した空気は、空間Saから空間Sc及び空間Seを介して空間Sbまで流れる。空間Sbまで流れた空気は、開口2hから加熱調理器100の外部に排出される。空気通路P100に空気を流通させることによって、空気通路P100に配置される例えば電子部品が高温になることを抑制できる。
【0021】
本実施形態では、加熱調理器100は、第1検出ユニット20と、第1介在部材30とを備える。第1検出ユニット20は、加熱庫1から離隔して配置される。従って、加熱庫1の熱が第1検出ユニット20に伝達されることが抑制されるため、第1検出ユニット20が高温になることを抑制できる。
【0022】
第1検出ユニット20は、加熱庫1内の音を検出する。すなわち、第1検出ユニット20は、加熱庫1内の調理音を検出する。第1介在部材30は、加熱庫1と第1検出ユニット20との間に介在される。第1介在部材30は、第1検出ユニット20から加熱庫1に向かって延びる。
【0023】
図5は、第1実施形態の第1検出ユニット20、第1介在部材30、第2検出ユニット40及び第2介在部材50周辺の構造を示す断面図である。
図6は、第1実施形態の第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40の構造を示す斜視図である。
図7は、第1実施形態の第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40の構造を示す断面図である。
図8は、第1実施形態の第1介在部材30及び第2介在部材50の構造を示す図である。
図5から
図7に示すように、第1検出ユニット20は、検出素子21と、基板22とを含む。検出素子21は、音を検出する。検出素子21は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)マイクロフォンを含む。検出素子21は、音を検出するための検出面21aを有する。検出素子21は、検出した音に基づいて音信号を生成し、制御部60(
図4参照)に送信する。なお、検出素子21は、音を検出素子21の内部に取り込むための音孔(図示せず)を有し、音孔を通過した音が、検出素子21によって検出される。本明細書では、音孔が配置される面を、検出面21aと記載する。
【0024】
基板22には、検出素子21が固定される。基板22は、例えば樹脂からなる。基板22は、搭載面22aと、搭載面22aに配置される複数の配線部22bとを有する。基板22の搭載面22aには、検出素子21の検出面21aが固定される。配線部22bには、検出素子21が電気的に接続される。配線部22bは、検出素子21の外側まで引き出される。各配線部22bは、電極部22cを有する。電極部22cは、制御部60に電気的に接続される。また、基板22は、基板22の厚み方向に貫通する開口部22dを有する。開口部22dは、音を通過させる。
【0025】
図5及び
図8に示すように、第1介在部材30は、細長形状を有する。第1介在部材30は、例えば円筒形状を有する。第1介在部材30は、外周面30aと、一端面30bと、他端面30cと、貫通孔30dとを有する。一端面30bは、第1検出ユニット20側に配置される。一端面30bは、第1検出ユニット20の基板22に密着する。一端面30bと基板22との間に、例えば接着剤(図示せず)が配置されてもよい。一端面30bが基板22に密着することによって、一端面30bと基板22との隙間を介して貫通孔30d内に音が入ることを抑制できる。他端面30cは、加熱庫1側に配置される。他端面30cは、加熱庫1に密着する。他端面30cと加熱庫1との間に、例えば接着剤(図示せず)が配置されてもよい。他端面30cが加熱庫1に密着することによって、他端面30cと加熱庫1との隙間を介して貫通孔30d内に音が入ることを抑制できる。
【0026】
貫通孔30dは、加熱庫1内の音を通過させる。従って、加熱庫1内の音は、第1介在部材30を介して第1検出ユニット20に到達するため、第1検出ユニット20は、加熱庫1内の音を検出することができる。よって、検出した音を例えばスピーカー4bから出力させることによって、ユーザーは、表示部4aを目視することなく、調理の進行状況を把握することができる。また、ユーザーは、調理音が聞こえない場合に比べて、食欲がそそられるとともに、料理することが楽しくなる。なお、第1検出ユニット20と加熱庫1との間に第1介在部材30を配置しない場合、加熱庫1内の音は、空気通路P100に拡散するため第1検出ユニット20でほとんど検出されない。また、第1検出ユニット20と加熱庫1との間に第1介在部材30を配置しない場合、空気通路P100内の例えば送風機6の駆動音が第1検出ユニット20で検出される。送風機6の駆動音は加熱庫1内の調理音に比べて大きいため、第1介在部材30を配置しない場合、調理音が送風機6の駆動音によってかき消される。従って、第1検出ユニット20によって調理音を検出することが困難である。すなわち、第1介在部材30は、加熱庫1内の調理音を第1検出ユニット20に伝えるように機能するとともに、加熱庫1内の音以外の雑音によって調理音がかき消されることを抑制するように機能する。
【0027】
貫通孔30dは、第1検出ユニット20から加熱庫1に向かって延びる。従って、加熱庫1内の音を第1検出ユニット20に伝えることができる。具体的には、貫通孔30dは、一端面30bから他端面30cまで形成される。
【0028】
貫通孔30dの内径D30d(
図7参照)は、一定の大きさを有する。従って、貫通孔30dを通過する音の振動数が変化することを抑制できる。貫通孔30dは、基板22の開口部22dに連続する。従って、貫通孔30dから開口部22dを介して検出素子21に音を伝えることができる。貫通孔30dの内径D30d(
図7参照)は、開口部22dの内径D22d(
図7参照)と略同じ大きさを有する。従って、貫通孔30dと開口部22dとの境界部分で音の振動数が変化することを抑制できる。
【0029】
また、貫通孔30dの内径D30d(
図7参照)は、加熱庫1の連通孔1gの内径D1g(
図5参照)と略同じ大きさを有する。具体的には、加熱庫1の上壁1cは、連通孔1gを有する。連通孔1gは、加熱庫1の内部と外部とを連通する。第1介在部材30の貫通孔30dは、加熱庫1の連通孔1gに連続する。従って、加熱庫1内の音が連通孔1gを介して第1介在部材30の貫通孔30dに伝わる。また、貫通孔30dの内径D30d(
図7参照)は、連通孔1gの内径D1g(
図5参照)と略同じ大きさを有する。従って、連通孔1gと貫通孔30dとの境界部分で音の振動数が変化することを抑制できる。なお、連通孔1gは、本発明の「連通孔」の一例である。
【0030】
また、第1介在部材30の耐熱温度は、加熱庫1の最高温度よりも高い。従って、第1介在部材30が加熱庫1の温度に起因して劣化することを抑制できる。加熱庫1の最高温度とは、加熱調理器100を使用した際に加熱庫1の側壁1a、側壁1b、上壁1c、下壁1d、後壁1e及び前壁1fが達する最高温度である。例えば、加熱調理器100が電子レンジである場合、加熱庫1の最高温度は、約100℃である。また、例えば、加熱調理器100がオーブンである場合、加熱庫1の最高温度は、約250℃である。第1介在部材30の耐熱温度は、例えば270℃以上である。第1介在部材30の材質としては、例えばシリコーンゴム又はテフロン(登録商標)を用いることができる。
【0031】
第1検出ユニット20は、空気通路P100に配置される。従って、第1検出ユニット20は、空気通路P100を流通する空気によって冷却されるため、第1検出ユニット20が高温になることを抑制できる。
【0032】
また、本実施形態では、加熱調理器100は、第2検出ユニット40と、第2介在部材50とを備える。第2検出ユニット40は、加熱庫1から離隔して配置される。従って、加熱庫1の熱が第2検出ユニット40に伝達されることが抑制されるため、第2検出ユニット40が高温になることを抑制できる。
【0033】
本実施形態では、第2検出ユニット40は、第1検出ユニット20と同じ構造を有する。すなわち、第2検出ユニット40は、検出素子21と、基板22とを含む。また、第2介在部材50は、第1介在部材30と同じ構造を有する。すなわち、第2介在部材50は、貫通孔30dを有する。また、第2介在部材50は、加熱庫1と第2検出ユニット40との間に配置される。従って、第2検出ユニット40及び第2介在部材50の構造の詳細な説明を省略する。
【0034】
第2検出ユニット40は、第1検出ユニット20とは異なり、加熱庫1内の音をほとんど検出しない。具体的には、第2介在部材50は、第1介在部材30とは異なり、加熱庫1の連通孔1gが形成されていない部分に対向する。従って、加熱庫1内の音は第2介在部材50の貫通孔30dにほとんど伝わらないため、第2検出ユニット40は調理音をほとんど検出しない。
【0035】
ところで、空気通路P100内の雑音が大きい場合、第1検出ユニット20は、加熱庫1内の調理音だけでなく、空気通路P100内の雑音も検出する。具体的には、雑音は、加熱庫1に伝わり、第1介在部材30を介して第1検出ユニット20によって検出される。一方、第2検出ユニット40は、調理音以外の音を主に検出する。従って、第2検出ユニット40が検出した音に基づいて、第1検出ユニット20が検出した雑音を低減することができる。具体的には、第2検出ユニット40は、加熱庫1内の調理音をほとんど検出せず、空気通路P100内の雑音を検出する。
【0036】
第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40は、互いに隣り合うように配置される。また、第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40は、加熱庫1の同一の壁部(ここでは上壁1c)に対向する。従って、雑音は、第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40によって略均等に検出される。よって、第2検出ユニット40が検出した雑音に基づいて、第1検出ユニット20が検出した雑音を容易に低減することができる。
【0037】
本実施形態では、加熱調理器100は、撮像部7を備える。撮像部7は、加熱庫1から離隔して配置される。従って、加熱庫1の熱が撮像部7に伝達されることが抑制されるため、撮像部7が高温になることを抑制できる。
【0038】
撮像部7は、加熱庫1内を撮像する。従って、撮像部7が撮像した加熱庫1内の画像を例えば表示部4aに表示させることができる。具体的には、加熱庫1は、連通孔1hを有する。連通孔1hは、加熱庫1の内部と外部とを連通する。撮像部7は、連通孔1hを介して加熱庫1内の食品の調理状態を撮像する。連通孔1hは、例えば側壁1aと上壁1cとの接続部分に配置される。撮像部7が食品の調理状態を撮像することが可能であれば、連通孔1hの位置は特に限定されないが、加熱庫1の上部に配置されることが好ましい。また、撮像部7は、撮像した画像に基づいて撮像データを生成し、制御部60に送信する。
【0039】
また、連通孔1hと撮像部7との間には、耐熱性を有する透明な部材(図示せず)が配置されてもよい。この場合、透明な部材の耐熱温度は、加熱庫1の最高温度よりも高い。透明な部材の材質としては、例えばガラスを用いることができる。また、撮像部7は透明な部材を介して加熱庫1内を撮像することができるため、透明な部材は、例えば連通孔1hを塞ぐように配置されてもよいし、撮像部7の撮像レンズ(図示せず)を覆うように配置されてもよい。
【0040】
また、
図4に示すように、加熱調理器100は、記憶部8、通信部9及び制御部60を備える。記憶部8は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部8は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部8は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部8は、制御部60の制御の下、音データ及び画像データ等を記憶する。
【0041】
通信部9は、通信ネットワーク(図示せず)に接続するためのインターフェイス装置である。通信ネットワークは、例えばインターネット又はLAN(Local Area Network)である。本実施形態では、加熱調理器100は、通信ネットワークを介して他の装置と通信可能である。他の装置は、表示部及びスピーカーの少なくとも一方を備える。他の装置としては、スマートフォン及びタブレット端末等が挙げられる。
【0042】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部60は、記憶部8に記憶されたプログラムを実行することにより、加熱部5の動作及び表示ユニット4の動作を制御する。
【0043】
制御部60は、第1検出ユニット20が検出した音に基づく音信号を受信する。制御部60は、第2検出ユニット40が検出した音に基づく音信号を受信する。制御部60は、第2検出ユニット40により検出された雑音に基づいて、第1検出ユニット20により検出された音から雑音(ノイズ)成分を低減させた音データを生成する。言い換えると、制御部60は、第1検出ユニット20により検出された音から、第2検出ユニット40により検出された音を雑音成分として除去する。そして、制御部60は、略調理音からなる音データを生成する。なお、第1検出ユニット20により検出された音から、第2検出ユニット40により検出された音を雑音成分として除去する方法としては、例えばビームフォーミング(Beamforming)技術及びエコーキャンセル(Echo-cancel)技術を用いることができる。
【0044】
また、制御部60は、撮像部7から受信した撮像データに基づいて、画像データを生成する。
【0045】
次に、加熱調理器100の処理フローについて説明する。
図9は、第1実施形態の加熱調理器100の処理フローを示す図である。なお、ここでは、理解を容易にするために、表示ユニット4に画像を表示させるとともに音を出力させる例について説明するが、通信部9を介して他の装置に画像データ及び音データを送信して、他の装置に画像を表示させたり音を出力させたりしてもよい。
【0046】
図9に示すように、ステップS1において、ユーザーによって、加熱条件が設定された後、開始ボタン3dが押下される。
【0047】
ステップS2において、制御部60は、加熱部5を用いて食品の加熱を開始する。また、制御部60は、第1検出ユニット20、第2検出ユニット40及び撮像部7を駆動する。また、制御部60は、送風機6を駆動する。
【0048】
ステップS3において、制御部60は、撮像部7から受信した撮像データに基づいて、画像データを生成する。
【0049】
ステップS4において、制御部60は、第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40から受信した音信号に基づいて、音データを生成する。具体的には、制御部60は、第2検出ユニット40により検出された雑音に基づいて、第1検出ユニット20により検出された音から雑音成分を低減させた音データを生成する。
【0050】
ステップS5において、制御部60は、画像データに基づく画像を、表示ユニット4の表示部4aに表示させる。また、制御部60は、音データに基づく音を、スピーカー4bに出力させる。
【0051】
ステップS6において、制御部60は、停止ボタン3eが押下されたか否かを判定する。
【0052】
ステップS6において、停止ボタン3eが押下されたと制御部60が判定した場合、加熱処理を終了する。具体的には、制御部60は、加熱部5による加熱を停止する。また、制御部60は、第1検出ユニット20、第2検出ユニット40、撮像部7及び送風機6の駆動を停止する。また、制御部60は、表示部4aによる画像の表示を停止させるとともに、スピーカー4bによる音の出力を停止させる。
【0053】
一方、ステップS6において、停止ボタン3eが押下されていないと制御部60が判定した場合、ステップS7に進む。
【0054】
ステップS7において、制御部60は、加熱した時間が設定された時間を経過したか否かを判定する。
【0055】
ステップS7において、加熱した時間が設定された時間を経過していないと制御部60が判定した場合、ステップS3に戻る。
【0056】
一方、ステップS7において、加熱した時間が設定された時間を経過したと制御部60が判定した場合、加熱処理を終了する。
【0057】
次に、
図10から
図13を参照して、第1実施形態の変形例による第1介在部材30及び第2介在部材50の構造について説明する。各変形例において、第1介在部材30と第2介在部材50とは同じ構造を有するため、第1介在部材30の構造について説明する。
【0058】
(第1変形例)
図10は、第1変形例の第1介在部材30及び第2介在部材50の構造を示す図である。
図10に示すように、第1介在部材30は、外周面30aと、一端面30bと、他端面30cと、貫通孔30dと、凸部30eとを有する。凸部30eは、第1介在部材30の外側に突出する。従って、第1介在部材30の表面積が増加するため、第1介在部材30の放熱性が高くなる。よって、加熱庫1の熱が第1介在部材30を介して第1検出ユニット20に伝達されることが抑制されるため、第1検出ユニット20が高温になることをより抑制できる。具体的には、凸部30eは、外周面30aに配置される。凸部30eは、外周面30aから第1介在部材30の径方向外側に突出する。凸部30eは、円盤形状を有する。第1介在部材30は、複数の凸部30eを有する。複数の凸部30eは、第1介在部材30の軸方向に互いに離隔する。
【0059】
(第2変形例)
図11は、第2変形例の第1介在部材30及び第2介在部材50の構造を示す図である。
図11に示すように、第1介在部材30は、外周面30aと、一端面30bと、他端面30cと、貫通孔30dと、凸部30fとを有する。凸部30fは、第1介在部材30の外側に突出する。従って、第1介在部材30の表面積が増加するため、第1検出ユニット20が高温になることをより抑制できる。具体的には、凸部30fは、外周面30aに配置される。凸部30fは、外周面30aから第1介在部材30の径方向外側に突出する。凸部30fは、半球形状を有する。第1介在部材30は、複数の凸部30fを有する。複数の凸部30fは、第1介在部材30の周方向に互いに離隔する。
【0060】
(第3変形例)
図12は、第3変形例の第1介在部材30及び第2介在部材50の構造を示す図である。
図12に示すように、第1介在部材30は、外周面30aと、一端面30bと、他端面30cと、貫通孔30dと、凹部30gとを有する。凹部30gは、第1介在部材30の内側に窪む。従って、第1介在部材30の表面積が増加するため、第1検出ユニット20が高温になることをより抑制できる。具体的には、凹部30gは、外周面30aに配置される。凹部30gは、外周面30aから第1介在部材30の径方向内側に窪む。凹部30gは、半球形状を有する。第1介在部材30は、複数の凹部30gを有する。複数の凹部30gは、第1介在部材30の周方向に互いに離隔している。
【0061】
(第4変形例)
図13は、第4変形例の第1介在部材30及び第2介在部材50の構造を示す図である。
図13に示すように、第1介在部材30は、外周面30aと、一端面30bと、他端面30cと、貫通孔30dとを有する。第1介在部材30は、円錐台形状を有する。他端面30cの面積は、一端面30bの面積に比べて小さい。従って、第1介在部材30の加熱庫1に接触する面積が小さくなるため、加熱庫1から第1介在部材30に伝達される熱量が少なくなる。よって、第1介在部材30の温度が高くなることを抑制できるため、第1検出ユニット20が高温になることをより抑制できる。
【0062】
また、一端面30bの面積が他端面30cの面積に比べて大きいため、第1介在部材30の一端面30b側の放熱性が高くなる。従って、第1介在部材30の温度が高くなることをより抑制できる。
【0063】
(第5変形例)
図14は、第5変形例の第1検出ユニット20、第1介在部材30、第2検出ユニット40及び第2介在部材50周辺の構造を示す断面図である。
図14に示すように、第5変形例の第1検出ユニット20では、基板22の搭載面22aには、検出素子21の検出面21aとは反対側の面が固定される。すなわち、検出面21aは、基板22とは反対側に配置される。基板22は、開口部22dを有しない。そして、第1介在部材30の一端面30bは、検出素子21に密着する。第5変形例では、第1実施形態と同様、加熱庫1内の音は、第1介在部材30の貫通孔30dを介して検出素子21の検出面21aに到達する。従って、検出素子21は、加熱庫1内の音を検出することができる。また、第2検出ユニット40は、第1検出ユニット20と同じ構造を有する。また、第2介在部材50の一端面30bは、検出素子21に密着する。第2検出ユニット40のその他の構造は、第1検出ユニット20と同様である。
【0064】
(第2実施形態)
図15を参照して、本発明の第2実施形態に係る加熱調理器100について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、第1検出ユニット20を扉3に配置する例について説明する。
図15は、本発明の第2実施形態に係る加熱調理器100の内部構造を上方から示す模式的な断面図である。
【0065】
図15に示すように、本実施形態の加熱調理器100は、加熱庫1と、第1検出ユニット20と、第1介在部材30とを少なくとも備える。また、加熱調理器100は、第2検出ユニット40をさらに備える。また、加熱調理器100は、第2介在部材50をさらに備える。
【0066】
本実施形態では、第1検出ユニット20は、扉3に配置される。ここで、加熱調理器100の側壁2a、側壁2b、上壁2c、下壁2d及び後壁2eは、部屋の壁等に近接して配置される場合がある。この場合、側壁2a、側壁2b、上壁2c、下壁2d及び後壁2eと部屋の壁等との間では、空気が滞留しやすく、熱が籠りやすい。よって、側壁2a、側壁2b、上壁2c、下壁2d及び後壁2eの温度は、低下しにくい。一方、扉3は解放空間に面するため、扉3の温度は、側壁2a、側壁2b、上壁2c、下壁2d及び後壁2eの温度に比べて、低下しやすい。よって、第1検出ユニット20を扉3に配置することによって、第1検出ユニット20が高温になることを抑制できる。また、筐体2内に送風機6が配置される場合であっても、送風機6の駆動音が第1検出ユニット20で検出されることを抑制できる。
【0067】
第1実施形態と同様、第1検出ユニット20は、加熱庫1から離隔して配置される。従って、加熱庫1の熱が第1検出ユニット20に伝達されることが抑制されるため、第1検出ユニット20が高温になることを抑制できる。また、第1介在部材30は、加熱庫1と第1検出ユニット20との間に介在される。
【0068】
本実施形態では、加熱庫1の前壁1fは、連通孔1gを有する。第1介在部材30の貫通孔30dは、前壁1fの連通孔1gに連続する。
【0069】
また、本実施形態では、第2検出ユニット40は、扉3に配置される。第2検出ユニット40は、加熱庫1の前壁1fから離隔して配置される。また、第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40は、互いに隣り合うように配置される。
【0070】
第2実施形態のその他の構造及びその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0071】
(第3実施形態)
図16を参照して、本発明の第3実施形態の制御部60による音データの生成方法について説明する。第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態とは異なり、第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40に調理音以外の音が伝わる特性を推定する例について説明する。
図16は、本発明の第3実施形態の制御部60による音データの生成フローを示す図である。なお、ここでは、理解を容易にするために、制御部60が実行する処理のうち音データの生成処理について説明する。
図16のステップS41からステップS43は、
図9のステップS4に対応する。
【0072】
本実施形態では、制御部60は、加熱開始後に第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40により検出される音に基づいて、第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40に調理音以外の音が伝わる特性を推定する。その後、制御部60は、推定した特性に基づいて第2検出ユニット40により検出される音を示す音信号を補正する。そして、制御部60は、第1検出ユニット20により検出される音を示す音信号と、補正した音信号とに基づいて、音データを生成する。従って、第1検出ユニット20により検出された音から、雑音成分を高精度に除去することができる。
【0073】
具体的には、
図16に示すように、食品の加熱を開始することによって、音データの生成処理が開始される。
【0074】
ここで、加熱開始直後は、加熱庫1内の調理音がほとんど発生しないため、第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40によって検出される音の略全てが、調理音以外の音である。よって、ステップS41において、制御部60は、加熱開始直後に第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40により検出される音に基づいて、機械振動音等の雑音が第1検出ユニット20及び第2検出ユニット40に伝わる経路の特性を伝達関数として推定する。なお、加熱開始直後とは、加熱開始から所定時間経過するまでを意味する。また、加熱開始直後とは、加熱開始から被加熱物から音が発せられるまでを意味する。具体的には、加熱開始直後とは、加熱開始から数秒又は数十秒経過するまでを意味する。ステップS41の特性の推定は、加熱開始から所定時間経過する前に完了する。
【0075】
ステップS42において、制御部60は、推定した特性(伝達関数)を用いて第2検出ユニット40が検出する音示す音信号を補正する。
【0076】
ステップS43において、制御部60は、第1検出ユニット20が検出した音を示す音信号から、補正した音信号を雑音成分として減じることによって、音データを生成する。
【0077】
なお、第3実施形態で説明した音データの生成処理方法は、第1実施形態で説明した加熱調理器100の処理フローに組み合わせることが可能である。この場合、ステップS43で生成した音データをステップS4で生成する音データとして用いる。
【0078】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0079】
例えば上記の第1実施形態及び第2実施形態では、電気調理器が第2検出ユニットを備える例について示したが、電気調理器は、第2検出ユニットを備えなくもよい。例えばノイズサプレッション(Noise Suppression)技術を用いることにより、1つの第1検出ユニットだけで雑音成分を低減させてもよい。
【0080】
また、
図10から
図12に示した第1変形例から第3変形例では、第1介在部材が凸部又は凹部を含む例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第1介在部材は、外周面に配置される凸部及び凹部の両方を含んでもよい。
【0081】
また、上記の第1実施形態では、加熱調理器が撮像部、表示部及びスピーカーを備える例について示したが、本発明はこれに限らない。加熱調理器は、これらを備えなくてもよい。この場合、加熱調理器は、例えば、通信部を介して他の装置に音データを送信して、他の装置に音だけを出力させてもよい。
【0082】
また、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、第1検出ユニット及び第2検出ユニットを互いに隣り合うように配置する例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、第2検出ユニットを雑音の発生源である送風機に隣接させてもよい。
【0083】
また、第1実施形態では、第1検出ユニットを上壁に配置する例について示したが、第1検出ユニットを前壁、後壁、側壁又は下壁に配置してもよい。
【0084】
また、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、加熱調理器が第1検出ユニット及び第2検出ユニットを1つずつ備える例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、加熱調理器は、複数の第1検出ユニット及び複数の第2検出ユニットを備えてもよい。
【0085】
また、例えば
図5及び
図14において、検出素子の検出面を、基板の搭載面に対して略平行になるように配置する例について示したが、本発明はこれに限らない。すなわち、検出素子の検出面を、基板の搭載面に対して略平行とならないように配置してもよい。例えば、検出素子の検出面を、基板の搭載面に交差する方向に延びるように配置してもよい。
【0086】
また、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、加熱庫が連通孔を有するとともに、連通孔に連続するように第1介在部材を配置する例について示したが、加熱庫は連通孔を有しなくてもよい。例えば、加熱庫の一部を他の部分に比べて薄く形成する。薄く形成された部分は、他の部分に比べて振動しやすく、音を伝えやすい。よって、薄く形成された部分に対向して第1介在部材及び第1検出ユニットを配置することにより、加熱庫内の音を検出することが可能である。なお、第2介在部材は、薄く形成されていない部分に対向して配置する。
【0087】
また、制御部は、例えば、調理音の周波数の変化、調理音の振幅の変化、又は単位時間当たりの調理音の発生数の変化に基づいて、加熱部を停止させたり、加熱部の出力を増減させたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、加熱調理器の分野に有用である。
【符号の説明】
【0089】
1 加熱庫
1a 側壁(壁部)
1b 側壁(壁部)
1c 上壁(壁部)
1d 下壁(壁部)
1e 後壁(壁部)
1f 前壁(壁部)
1g 連通孔
2 筐体
3 扉
4a 表示部
4b スピーカー
6 送風機
7 撮像部
20 第1検出ユニット
21 検出素子
22 基板
22d 開口部
30 第1介在部材(介在部材)
30a 外周面
30d 貫通孔
30e 凸部
30f 凸部
30g 凹部
40 第2検出ユニット
60 制御部
100 加熱調理器
D1g 内径(連通孔の内径)
D22d 内径(開口部の内径)
D30d 内径(貫通孔の内径)
P100 空気通路