(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】ホイール式作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
E02F9/16 K
(21)【出願番号】P 2020198235
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎太郎
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-248607(JP,A)
【文献】特開2019-051795(JP,A)
【文献】特開平09-048286(JP,A)
【文献】国際公開第2018/129707(WO,A1)
【文献】米国特許第05794976(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00 - 9/16
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びたシャーシと、
前記シャーシの前側に設けられた前輪と、
前記シャーシの後側に設けられた後輪と、
前記前輪を覆った状態で前記シャーシの側部に配置された前フェンダと、
前記後輪を覆った状態で前記シャーシの側部に配置された後フェンダと、
前記前フェンダと前記後フェンダとの間に設けられた収納ボックスと、
前記前フェンダと前記後フェンダとの間に前後方向に延びて設けられたステップと、
を備えたホイール式作業車両において、
前記前フェンダと前記後フェンダとは、それぞれ前記シャーシに対して直接的に取付けられ、
前記前フェンダと前記後フェンダとの間には、一端が前記前フェンダに取付けられると共に他端が前記後フェンダに取付けられ、前後方向に延び
たビームが
前記ステップとは別に設けられ、
前記収納ボックス
の底面は、前
記ビームの上
面に取付けられていることを特徴とするホイール式作業車両。
【請求項2】
請求項1のホイール式作業車両において、
前
記ビームは
、前後方向において前記収納ボックスの取付位置を調整することが可能なように構成されていることを特徴とするホイール式作業車両。
【請求項3】
請求項1のホイール式作業車両において、
前記前フェンダは、前記シャーシの車幅方向に延びる泥除け板と、前記泥除け板の前記シャーシ側
の端縁に前後方向に延びて設けられた取付板とを有し、
前記後フェンダは、前記シャーシの車幅方向に延びる泥除け板と、前記泥除け板の前記シャーシ側
の端縁に前後方向に延びて設けられた取付板とを有し、
前記前フェンダの前記取付板は、前記前フェンダの前記泥除け板を挟んで離れた複数個所がボルトを用いて前記シャーシに取付けられ、
前記後フェンダの前記取付板は、前記後フェンダの前記泥除け板を挟んで離れた複数個所がボルトを用いて前記シャーシに取付けられていることを特徴とするホイール式作業車両。
【請求項4】
前後方向に延びたシャーシと、
前記シャーシの前側に設けられた前輪と、
前記シャーシの後側に設けられた後輪と、
前記前輪を覆った状態で前記シャーシの側部に配置された前フェンダと、
前記後輪を覆った状態で前記シャーシの側部に配置された後フェンダと、
前記前フェンダと前記後フェンダとの間に設けられた収納ボックスと、
を備えたホイール式作業車両において、
前記前フェンダと前記後フェンダとは、それぞれ前記シャーシに対して直接的に取付けられ、
前記前フェンダと前記後フェンダとの間には、一端が前記前フェンダに取付けられると共に他端が前記後フェンダに取付けられ、前後方向に延びたビームが設けられ、
前記収納ボックスは、前記ビームの上側に取付けられ、
前記ビームは、前後方向において前記収納ボックスの取付位置を調整することが可能なように構成され、
前記ビームの前記上側には、前後方向を長手方向とする長孔が設けられており、前記収納ボックスの底面には丸孔が設けられており、
前記収納ボックスは、前記ビームの前記長孔と前記収納ボックスの前記丸孔とを介して、ねじ部材によって前記ビームに取付けられていることを特徴とするホイール式作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャーシに設けられた前輪と後輪によって一般道路を走行可能なホイール式作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイール式作業車両の代表例としては、ホイール式油圧ショベルが挙げられる。このホイール式油圧ショベルは、自走可能なホイール式の下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、上部旋回体の前部に回動可能に設けられた作業装置とを含んで構成されている。ホイール式油圧ショベルは、ホイール式の下部走行体によって道路を走行して作業現場に移動する。そして、作業現場では、作業装置を用いて土砂の掘削作業等を行う。
【0003】
ホイール式の下部走行体は、前後方向に延びたシャーシと、シャーシの前側に設けられた前輪と、シャーシの後側に設けられた後輪と、前輪を覆った状態でシャーシの側部に配置された前フェンダと、後輪を覆った状態でシャーシの側部に配置された後フェンダと、を備えている。また、下部走行体の前フェンダと後フェンダとの間には、収納ボックスが設けられているものがある。
【0004】
収納ボックスは、前後方向に長尺な直方体状のボックスとして形成されている。収納ボックスは、内部にメンテナンス用の工具、消耗品等を収容する。また、収納ボックスには、前側の端面と後側の端面とにそれぞれブラケットが取付けられている。収納ボックスは、前後のブラケットを介してシャーシに取付けられている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によるシャーシに対する収納ボックスの取付構造は、収納ボックスの前端面と後端面とにそれぞれブラケットを取付け、このブラケットをシャーシに取付ける構成となっている。従って、大きさや形状が異なる収納ボックスをシャーシに取付けるためには、ブラケットの形状を変更したり、シャーシと収納ボックスとの間にアタッチメントを追加したりしなくてはならず、コストが嵩んでしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、大きさや形状が異なる収納ボックスをシャーシに対して容易に取付けることができるようにしたホイール式作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、前後方向に延びたシャーシと、前記シャーシの前側に設けられた前輪と、前記シャーシの後側に設けられた後輪と、前記前輪を覆った状態で前記シャーシの側部に配置された前フェンダと、前記後輪を覆った状態で前記シャーシの側部に配置された後フェンダと、前記前フェンダと前記後フェンダとの間に設けられた収納ボックスと、前記前フェンダと前記後フェンダとの間に前後方向に延びて設けられたステップと、を備えたホイール式作業車両において、前記前フェンダと前記後フェンダとは、それぞれ前記シャーシに対して直接的に取付けられ、前記前フェンダと前記後フェンダとの間には、一端が前記前フェンダに取付けられると共に他端が前記後フェンダに取付けられ、前後方向に延びたビームが前記ステップとは別に設けられ、前記収納ボックスの底面は、前記ビームの上面に取付けられている。
また、本発明の一実施形態は、前後方向に延びたシャーシと、前記シャーシの前側に設けられた前輪と、前記シャーシの後側に設けられた後輪と、前記前輪を覆った状態で前記シャーシの側部に配置された前フェンダと、前記後輪を覆った状態で前記シャーシの側部に配置された後フェンダと、前記前フェンダと前記後フェンダとの間に設けられた収納ボックスと、を備えたホイール式作業車両において、前記前フェンダと前記後フェンダとは、それぞれ前記シャーシに対して直接的に取付けられ、前記前フェンダと前記後フェンダとの間には、一端が前記前フェンダに取付けられると共に他端が前記後フェンダに取付けられ、前後方向に延びたビームが設けられ、前記収納ボックスは、前記ビームの上側に取付けられ、前記ビームは、前後方向において前記収納ボックスの取付位置を調整することが可能なように構成され、前記ビームの前記上側には、前後方向を長手方向とする長孔が設けられており、前記収納ボックスの底面には丸孔が設けられており、前記収納ボックスは、前記ビームの前記長孔と前記収納ボックスの前記丸孔とを介して、ねじ部材によって前記ビームに取付けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、大きさや形状が異なる収納ボックスをシャーシに対して容易に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るホイール式油圧ショベルを示す左側面図である。
【
図4】下部走行体の要部を拡大して示す左側面図である。
【
図5】前フェンダ、後フェンダ、上段ステップ、中段ステップ、下段ステップ、ビームおよび収納ボックスを示す斜視図である。
【
図6】前フェンダ、上段ステップ、中段ステップ、下段ステップ、ビームおよび収納ボックスを
図4中の矢示VI-VI方向から示す断面図である。
【
図7】前フェンダ、後フェンダ、上段ステップ、中段ステップ、下段ステップおよびビームを示す斜視図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態によるビームを、前フェンダ、後フェンダ、上段ステップ、中段ステップおよび下段ステップと一緒に
図7と同様位置から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るホイール式作業車両の実施形態を、ホイール式油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0012】
図1ないし
図7は、本発明の第1の実施形態を示している。
図1、
図2において、ホイール式油圧ショベル1は、自走が可能なホイール式の下部走行体2と、旋回輪3を介して下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に回動可能に設けられた作業装置5とにより構成されている。
【0013】
上部旋回体4は、後述のシャーシ8上に旋回輪3を介して旋回可能に取付けられた旋回フレーム6を有している。旋回フレーム6は、上部旋回体4のベースとなる強固な支持構造体として形成されている。旋回フレーム6の左前側には、内部に運転室を有するキャブ7が設けられている。このキャブ7には、後述の上段ステップ14、中段ステップ15、下段ステップ16に足を掛けて乗降する。
【0014】
下部走行体2は、後述のシャーシ8、前輪9、後輪10、前フェンダ11、後フェンダ13、ビーム17、収納ボックス18を含んで構成されている。
【0015】
シャーシ8は、下部走行体2のベースを構成している。シャーシ8は、前後方向に延びた断面矩形状のボックス構造体として形成されている。即ち、シャーシ8は、前後方向に水平に延びる上面板8Aと、上面板8Aと上下方向で対面する下面板8Bと、上面板8Aと下面板8Bとの間に配置され左右方向で対面する左面板8C、右面板(図示せず)とを備えている。上面板8Aの前後方向(長さ方向)の中央部には、大径な円筒状の筒体8Dが設けられている。この筒体8D上には、旋回輪3が取付けられる。また、シャーシ8の前部および後部には、それぞれ後述のアウトリガ22が設けられている。
【0016】
図3に示すように、シャーシ8の左面板8Cには、前後方向の中間部の前側寄りに位置して前ブラケット8Eが設けられている。また、左面板8Cの中間部の後側寄りには、後ブラケット8Fが設けられている。前ブラケット8Eは、後述の前フェンダ11を取付けるための台座を構成している。一方、後ブラケット8Fは、後述の後フェンダ13を取付けるための台座を構成している。そして、前ブラケット8Eの取付面と後ブラケット8Fの取付面には、上下方向と前後方向に間隔をもって例えば4個のねじ孔(図示せず)がそれぞれ設けられている。なお、右面板にも、前ブラケットと後ブラケット(いずれも図示せず)が設けられている。
【0017】
前輪9は、シャーシ8の前側に設けられている。ここで、シャーシ8を構成する下面板8Bの前側には、左右方向に延びるフロントアクスル8Gが設けられている。前輪9は、このフロントアクスル8Gの左右方向の両端部にステアリング操作可能に取付けられている。
【0018】
後輪10は、シャーシ8の後側に設けられている。ここで、シャーシ8を構成する下面板8Bの後側には、左右方向に延びるリヤアクスル8Hが設けられている。後輪10は、このリヤアクスル8Hの左右方向の両端部に取付けられている。
【0019】
前フェンダ11は、前輪9を覆った状態でシャーシ8の左側部と右側部の両方に配置されている(左側のみ図示)。前フェンダ11は、前輪9の上側を覆った天板11Aと、天板11Aの後部から前輪9の後側を覆うように斜め下側に延びた泥除け板11Bとを有している。天板11Aと泥除け板11Bは、シャーシ8の車幅方向(左右方向)に延びている。また、泥除け板11Bのシャーシ8側の端縁には、取付板11Cが一体的に取付けられている。
【0020】
図4に示すように、取付板11Cは、泥除け板11Bを挟んで前後方向に延びた板体として形成されている。取付板11Cは、シャーシ8の前ブラケット8Eの取付面と対面している。この状態で取付板11Cは、複数本、例えば4本のボルト12を用いて前ブラケット8Eに対して直接的に取付けられている。
【0021】
具体的には、取付板11Cは、泥除け板11Bを挟んで離れた複数個所、例えば、泥除け板11Bを挟んで2箇所ずつ合計4箇所がボルト12を用いてシャーシ8側に取付けられている。これにより、泥除け板11Bは、前側と後側の両方向(板厚方向)に倒れ難く、高い強度をもってシャーシ8に取付けることができる。
【0022】
図6に示すように、シャーシ8から離れた泥除け板11Bの左側部位には、上下方向に間隔をもって上側ステップステー11Dと下側ステップステー11Eとが設けられている。また、泥除け板11Bの下側部位には、左右方向の中間部と右側に位置してビームステー11Fが設けられている。上側ステップステー11Dには、後述する上段ステップ14の前部が取付けられている。下側ステップステー11Eには、後述する中段ステップ15の前部が取付けられている。2個のビームステー11Fには、それぞれ後述するビーム17の前部が取付けられている。さらに、泥除け板11Bの下部には、下側ステップステー11Eの下側に位置して後述する下段ステップ16の前吊下げ板16Bが取付けられている。
【0023】
図2に示すように、後フェンダ13は、後輪10を覆った状態でシャーシ8の左側部と右側部の両方に配置されている。後フェンダ13は、後輪10の上側を覆った天板13Aと、天板13Aの前部から後輪10の前側を覆うように斜め下側に延びた泥除け板13Bとを有している。天板13Aと泥除け板13Bは、シャーシ8の車幅方向(左右方向)に延びている。また、泥除け板13Bのシャーシ8側の端縁には、取付板13Cが一体的に取付けられている。
【0024】
図4に示すように、取付板13Cは、前側の取付板11Cと同様に、泥除け板13Bを挟んで前後方向に延びた板体として形成されている。取付板13Cは、シャーシ8の後ブラケット8Fの取付面と対面している。この状態で取付板13Cは、複数本、例えば4本のボルト12を用いて後ブラケット8Fに対して直接的に取付けられている。
【0025】
具体的には、取付板13Cは、泥除け板13Bを挟んで離れた複数個所、例えば、泥除け板13Bを挟んで2箇所ずつ合計4箇所がボルト12を用いてシャーシ8側に取付けられている。これにより、泥除け板13Bは、前側と後側の両方向(板厚方向)に倒れ難く、高い強度をもってシャーシ8に取付けることができる。
【0026】
図7に示すように、シャーシ8から離れた泥除け板13Bの左側には、上下方向に間隔をもって上側ステップステー13Dと下側ステップステー(図示せず)が設けられている。また、泥除け板13Bの下側には、左右方向の中間部と右側に位置してビームステー(図示せず)が設けられている。上側ステップステー13Dには、上段ステップ14の後部が取付けられている。下側ステップステーには、中段ステップ15の後部が取付けられている。2個のビームステーには、それぞれビーム17の後部が取付けられている。さらに、泥除け板13Bの下部には、下側ステップステーの下側に位置して後述する下段ステップ16の後吊下げ板16Cが取付けられている。
【0027】
上段ステップ14は、前フェンダ11と後フェンダ13との間の上側部位に設けられている。上段ステップ14は、前後方向に延びた断面C字状の鋼材からなり、その上面には、滑止め加工が施されている。上段ステップ14の前部は、前フェンダ11の上側ステップステー11Dにボルト12を用いて取付けられている。上段ステップ14の後部は、後フェンダ13の上側ステップステー13Dにボルト12を用いて取付けられている。
【0028】
また、中段ステップ15は、前フェンダ11と後フェンダ13との間の上下方向の中間部位に設けられている。中段ステップ15は、上段ステップ14と同様に、前後方向に延びた断面C字状の鋼材からなり、その上面には、滑止め加工が施されている。中段ステップ15の前部は、前フェンダ11の下側ステップステー11Eにボルト12を用いて取付けられている。中段ステップ15の後部は、後フェンダ13の下側ステップステーにボルト12を用いて取付けられている。
【0029】
下段ステップ16は、中段ステップ15の下側に位置して前後方向に延びた足掛け部16Aと、足掛け部16Aの前端から上側に延びた前吊下げ板16Bと、足掛け部16Aの後端から上側に延びた後吊下げ板16Cとを備えている。そして、下段ステップ16の前吊下げ板16Bは、その上部が前フェンダ11の泥除け板11Bの下部にボルト12を用いて取付けられている。下段ステップ16の後吊下げ板16Cは、その上部が後フェンダ13の泥除け板13Bの下部にボルト12を用いて取付けられている。
【0030】
3段の上段ステップ14、中段ステップ15、下段ステップ16は、下段ステップ16、中段ステップ15、上段ステップ14の順で足を掛けることにより、キャブ7に乗り込んだり、上部旋回体4のメンテナンスを行ったりすることができる。一方、上段ステップ14、中段ステップ15、下段ステップ16の順で足を掛けることにより、上部旋回体4から降りることができる。
【0031】
2本のビーム17は、前フェンダ11と後フェンダ13との間に設けられている。
図6、
図7に示すように、2本のビーム17は、左右方向に離れて並んだ状態で、前後方向に延びて設けられている。ビーム17は、断面C字状の鋼材によって形成されている。ビーム17の一端となる前部は、前フェンダ11のビームステー11Fにボルト12を用いて取付けられている。一方、ビーム17の他端となる後部は、後フェンダ13のビームステーにボルト12を用いて取付けられている。
【0032】
ここで、ビーム17は、後述の収納ボックス18を支持する上面部17Aを有している。上面部17Aには、前後方向(長さ方向)に間隔をもって2個のボルト挿通孔17Bが形成されている。ボルト挿通孔17Bは、収納ボックス18を取付けるためのボルト12が挿通されるもので、ボルト12のねじ部よりも少し大きな丸孔として形成されている。ビーム17に設けられた2個のボルト挿通孔17Bの間隔寸法は、収納ボックス18に設けられた2個のボルト挿通孔に対応している。なお、ボルト挿通孔17Bは、例えば上面部17Aの下面側にナットを溶接することで、ねじ孔とすることもできる。
【0033】
このように構成された2本のビーム17は、前フェンダ11と後フェンダ13との間に掛け渡されることにより、収納ボックス18の支持台として機能している。また、2本のビーム17は、前フェンダ11と後フェンダ13とを連結することにより、前フェンダ11と後フェンダ13の強度を高めることもできる。
【0034】
収納ボックス18は、前フェンダ11と後フェンダ13との間に設けられている。収納ボックス18は、2本のビーム17の上側に取付けられている。収納ボックス18は、シャーシ8の左面板8C、前フェンダ11、後フェンダ13、上段ステップ14、中段ステップ15に囲まれた空間に配置されている。収納ボックス18は、内部にメンテナンス用の工具、消耗品等(いずれも図示せず)を収容する。そして、収納ボックス18は、全体として前後方向に長尺な直方体状のボックスとして形成され、ボックス体19と蓋体20とにより構成されている。
【0035】
ボックス体19は、収納ボックス18の本体部を構成している。ボックス体19は、前後方向に長尺な直方体状の容器であり、前フェンダ11側の前端面19Aと、後フェンダ13側の後端面19Bと、上段ステップ14および中段ステップ15側の左面19Cと、シャーシ8側の右面19Dと、上面19Eと、下面19Fとを有している。左面19Cには、ボックス体19に物品を出し入れするための開口部19Gが上段ステップ14と中段ステップ15との間に長方形状に開口している。また、左面19Cには、蓋体20が取付けられている。
【0036】
ボックス体19の底面をなす下面19Fには、丸孔からなる複数個、例えば4個のボルト挿通孔(いずれも図示せず)が設けられている。4個のボルト挿通孔は、2本のビーム17の2個のボルト挿通孔17Bに対応するように、前後方向と左右方向に間隔をもって配置されている。
【0037】
ここで、ボックス体19は、2本のビーム17のボルト挿通孔17Bに下面19Fのボルト挿通孔が合うように、2本のビーム17の上面部17A上に下面19Fを載せる。この状態で、下面19Fのボルト挿通孔とビーム17のボルト挿通孔17Bとに上側からボルト12を挿通し、ボルト挿通孔17Bから突出したねじ部にナット21を螺着する。これにより、ボックス体19は、2本のビーム17の上側に取付けることができる。なお、ボルト12とナット21は、ねじ部材を構成している。
【0038】
蓋体20は、左面19Cに開閉可能に設けられている。蓋体20は、長方形状の開口部19Gを閉塞するために長方形状に形成されている。蓋体20は、例えば前端部が左面19Cに水平方向に回動可能に取付けられている。蓋体20には、施錠機能を有するノブ20Aが設けられている。
【0039】
アウトリガ22は、シャーシ8の前部および後部に取付けられている。前部と後部のアウトリガ22は、作業装置5を用いて土砂の掘削作業等を行うときに、地面を押圧することで車体を安定させる。
【0040】
本実施形態によるホイール式油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、以下、その動作について説明する。
【0041】
キャブ7に乗り込んだり、上部旋回体4のメンテナンスを行ったりする場合には、下段ステップ16、中段ステップ15、上段ステップ14の順で足を掛けて上る。一方、運転や作業が終了したら、上段ステップ14、中段ステップ15、下段ステップ16の順で足を掛けて降りることができる。また、メンテナンスを行う場合には、収納ボックス18の蓋体20を開くことにより、ボックス体19内の工具等を取り出すことができる。
【0042】
ホイール式油圧ショベル1を走行させる場合には、キャブ7に乗り込んだオペレータは、原動機を始動して油圧モータを駆動する。この状態で、オペレータは、走行ペダル、ハンドル(いずれも図示せず)を操作することにより、左右の前輪9および左右の後輪10を駆動してホイール式油圧ショベル1を作業現場に向けて走行させることができる。
【0043】
ホイール式油圧ショベル1が走行しているときには、前輪9、後輪10が巻き上げた土砂等が飛散する虞がある。この場合、前フェンダ11が前輪9を覆い、後フェンダ13が後輪10を覆うことで、周囲への土砂等の飛散を防止することができる。
【0044】
作業現場に到着した後には、下部走行体2のシャーシ8に取付けられたアウトリガ22によって車体を安定させる。この状態で、キャブ7内の操作レバー(図示せず)を操作することにより、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5を回動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0045】
ここで、ホイール式油圧ショベル1は、装備品の設定(作業装置の仕様、寒冷地仕様等)が異なる場合、即ち、使用者の要望に合わせた設計変更が施される。設定変更によっては、装備する工具や消耗品も異なるため、収納ボックス18の大きさ、形状が変更されることがある。
【0046】
この場合、特許文献1では、収納ボックスの前端面と後端面とにそれぞれブラケットを取付け、このブラケットをシャーシに取付けることで、シャーシに収納ボックスを取付ける構成としている。従って、大きさや形状が異なる収納ボックスをシャーシに取付けるためには、前後から挟めるようにブラケットの形状を変更したり、シャーシと収納ボックスとの間にアタッチメントを追加したりしなくてはならない。
【0047】
然るに、本実施形態によれば、前フェンダ11と後フェンダ13とは、それぞれシャーシ8に対して直接的に取付けられている。また、前フェンダ11と後フェンダ13との間には、一端となる前部が前フェンダ11に取付けられると共に他端となる後部が後フェンダ13に取付けられ、前後方向に延びたビーム17が設けられている。この上で、収納ボックス18は、ビーム17の上側に取付けられている。
【0048】
この結果、収納ボックス18は、ビーム17の上側に取付ける構造であるから、シャーシ8の左面板8C、前フェンダ11、後フェンダ13、上段ステップ14、中段ステップ15に囲まれた空間に収まる大きさ、形状であれば、ブラケットの変更やアタッチメントの追加を行うことなく、大きさや形状が異なる収納ボックス18であってもシャーシ8に対して容易に取付けることができる。
【0049】
前フェンダ11は、シャーシ8の車幅方向に延びる泥除け板11Bと、泥除け板11Bのシャーシ8側端縁に前後方向に延びて設けられた取付板11Cとを有している。また、後フェンダ13は、シャーシ8の車幅方向に延びる泥除け板13Bと、泥除け板13Bのシャーシ8側端縁に前後方向に延びて設けられた取付板13Cとを有している。そして、前フェンダ11の取付板11Cは、前フェンダ11の泥除け板11Bを挟んで離れた複数個所がボルト12を用いてシャーシ8に取付けられている。また、後フェンダ13の取付板13Cは、後フェンダ13の泥除け板13Bを挟んで離れた複数個所がボルト12を用いてシャーシ8に取付けられている。これにより、泥除け板11B,13Bは、前側と後側の両方向(板厚方向)に倒れ難く、高い強度をもってシャーシ8に取付けることができる。
【0050】
次に、
図8は本発明の第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、ビームは、前後方向において収納ボックスの取付位置を調整することが可能なように構成されていることにある。なお、第2の実施形態では、前述した第1の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0051】
図8において、第2の実施形態による2本のビーム31は、第1の実施形態によるビーム17と同様に、前フェンダ11と後フェンダ13との間に、左右方向に離れて並んだ状態で前後方向に延びて設けられている。また、2本のビーム31は、断面C字状の鋼材からなり、一端となる前部が前フェンダ11のビームステー11Fにボルト12を用いて取付けられ、他端となる後部が後フェンダ13のビームステーにボルト12を用いて取付けられている。さらに、ビーム31は、上面部31Aを有している。
【0052】
しかし、第2の実施形態によるビーム31は、上面部31Aに前後方向(長さ方向)に間隔をもって配置された2個のボルト挿通孔31Bがそれぞれ前後方向を長手方向とする長孔として形成されている点で、第1の実施形態によるビーム17と相違している。
【0053】
2本のビーム31の上側に収納ボックス18を取付ける場合には、ボックス体19の下面19Fのボルト挿通孔(丸孔)とビーム31のボルト挿通孔31B(長孔)とに亘って上側からボルト12を挿通し、ボルト挿通孔31Bから突出したねじ部にナット21を螺着する。
【0054】
ここで、長孔として形成されたボルト挿通孔31Bは、収納ボックス18の前後方向の位置を調整する機能を有している。具体的には、ボルト挿通孔31Bは、前後方向に長尺な長孔として形成されることにより、ビーム31に対する収納ボックス18の取付位置(ボルト12とナット21による固定位置)をボルト挿通孔31Bの長さの分だけ移動させることができる。
【0055】
かくして、このように構成された第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施形態によれば、ビーム31は、前後方向において収納ボックス18の取付位置を調整することが可能なように構成されている。具体的には、ビーム31の上面部31Aには、前後方向を長手方向とする長孔からなるボルト挿通孔31Bが設けられており、収納ボックス18の底面としての下面19Fには、丸孔からなるボルト挿通孔が設けられている。この上で、収納ボックス18は、ビーム31のボルト挿通孔31B(長孔)と収納ボックス18のボルト挿通孔(丸孔)とを介して、ねじ部材としてのボルト12およびナット21によってビーム31に取付けられている。これにより、収納ボックス18の位置を簡単に変更することができる。
【0056】
なお、第1の実施形態では、ビーム17を2本設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、左右方向に広幅な1本(1枚)のビームによって収納ボックスを支持する構成としてもよい。また、3本以上のビームによって収納ボックスを支持する構成としてもよい。これらの構成は、第2の実施形態にも同様に適用することができる。
【0057】
第2の実施形態では、ビーム31のボルト挿通孔31Bを長孔として形成することにより、ビーム31上で収納ボックス18の取付位置を前後方向に調整することが可能なように構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、収納ボックスの下面に設けられたボルト挿通孔を長孔とすることにより、ビーム上で収納ボックスを前後方向に位置調整する構成としてもよい。また、ビームのボルト挿通孔と収納ボックスのボルト挿通孔の両方を長孔とする構成としてもよい。さらに、丸孔からなるボルト挿通孔を多数個並べて設け、使用するボルト挿通孔を選択することにより、ビーム上で収納ボックスを前後方向に位置調整する構成としてもよい。
【0058】
また、第1、第2の実施形態では、ホイール式作業車両としてホイール式油圧ショベル1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、ホイール式クレーン等の他のホイール式作業車両に適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 ホイール式油圧ショベル(ホイール式作業車両)
8 シャーシ
9 前輪
10 後輪
11 前フェンダ
11B,13B 泥除け板
11C,13C 取付板
12 ボルト(ねじ部材)
13 後フェンダ
17,31 ビーム
17B ボルト挿通孔
18 収納ボックス
19F 下面(底面)
21 ナット(ねじ部材)
31B ボルト挿通孔(長孔)