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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】がん治療のためのゲムシタビン誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7068 20060101AFI20240919BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240919BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240919BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A61K31/7068
A61K31/7105 ZNA
A61P35/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2020500030
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2018023148
(87)【国際公開番号】W WO2018175323
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】62/473,441
(32)【優先日】2017-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519336481
【氏名又は名称】スチョウ サーナオミクス バイオファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】509127310
【氏名又は名称】サーナオミクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルー, パトリック ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】アンサリ, アスラム
(72)【発明者】
【氏名】コアン, パーカー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】シュイ, ジョン ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】シモネンコ, ヴェラ
(72)【発明者】
【氏名】チョン, トム
【審査官】梅田 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-526456(JP,A)
【文献】特表2007-521310(JP,A)
【文献】国際公開第2015/183794(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61P 1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物のがんを治療するための薬学的組成物であって、ゲムシタビン(GEM)-タウロコール酸(TCA)塩を含み、前記がんが、肺がん又は膵臓がんである、薬学的組成物。
【請求項2】
RNAiトリガーを更に含み、前記RNAiトリガーが、哺乳動物細胞におけるRNAi効果を活性化するための低分子干渉RNA(siRNA)オリゴ、マイクロRNA(miRNA)オリゴ、又はアンタゴミルオリゴを含む、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
siRNAオリゴが、mTOR遺伝子mRNAと100%の配列相同性を有し、mTOR遺伝子発現に対する阻害活性を有する、請求項2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
siRNAオリゴが、mTOR遺伝子mRNA:mTOR-siRNA:センス,5’-r(CACUACAAAGAACUGGAGUUCCAGA)-3’、アンチセンス,5’-r(UCUGGAACUCCAGUUCUUUGUAGUG)-3’と100%の配列相同性を有し、mTOR遺伝子発現に対する阻害活性を有する、請求項2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
siRNAオリゴがTGF-β1遺伝子mRNAと100%の配列相同性を有し、TGF-β1遺伝子発現に対する阻害活性を有する、請求項2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
siRNAオリゴが、TGF-β1遺伝子mRNA,TGF-β1-siRNA:センス,5’-r(CCCAAGGGCUACCAUGCCAACUUCU)-3’、アンチセンス,5’-r(AGAAGUUGGCAUGGUAGCCCUUGGG)-3’と100%の配列相同性を有し、TGF-β1遺伝子発現に対する阻害活性を有する、請求項2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
siRNAオリゴがCOX-2遺伝子mRNAと100%の配列相同性を有し、COX-2遺伝子発現に対する阻害活性を有する、請求項2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
siRNAオリゴが、COX-2遺伝子mRNA,COX-2-siRNA:センス,5’-r(GGUCUGGUGCCUGGUCUGAUGAUGU)-3’、アンチセンス,5’-r(ACAUCAUCAGACCAGGCACCAGACC)-3’と100%の配列相同性を有し、COX-2遺伝子発現に対する阻害活性を有する、請求項2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
第一のものとは異なる第二のRNAiトリガーを更に含み、前記RNAiトリガーが、哺乳動物細胞におけるRNAi効果を活性化するための低分子干渉RNA(siRNA)オリゴ、マイクロRNA(miRNA)オリゴ、又はアンタゴミルオリゴを含む、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
miRNAオリゴが、miR-132、miR-150、又はmiR-155を含む、請求項2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
アンタゴミルが、アンタゴミル-132、アンタゴミル-150、又はアンタゴミル-155を含む、請求項2又は3に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
GEM-TCAが、それ自体でがん治療のための化学療法薬として投与されうるか、又はがん治療のための組合せ治療薬としてRNAi又はDNAオリゴをパッケージ化しうる、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
siRNAオリゴが表1の配列を含む、請求項2、3、又は13の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
siRNAオリゴが表2の配列を含む、請求項2、3、又は13の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
薬学的に許容される担体を更に含む、請求項1から15の何れか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
哺乳動物のがんを治療するか、又は哺乳動物の新生物もしくは腫瘍細胞の増殖を阻害するための医薬であって、前記がんが、肺がん又は膵臓がんであり、前記新生物もしくは腫瘍細胞が、肺の新生物もしくは腫瘍細胞又は膵臓の新生物もしくは腫瘍細胞である、請求項1から16の何れか一項に記載の薬学的組成物の治療的有効量を含む、医薬。
【請求項18】
哺乳動物の新生物もしくは腫瘍細胞のアポトーシスを誘導するための医薬であって、前記新生物もしくは腫瘍細胞が、肺の新生物もしくは腫瘍細胞又は膵臓の新生物もしくは腫瘍細胞である、請求項1から16の何れか一項に記載の薬学的組成物の有効量を含む、医薬。
【請求項19】
がんを有する哺乳動物のゲムシタビンに対する化学療法感受性を増強するための医薬であって、前記がんが、肺がん又は膵臓がんである、請求項1から16の何れか一項に記載の薬学的組成物の有効量を含む、医薬。
【請求項20】
がんが膵臓がんである、請求項17から19の何れか一項に記載の医薬。
【請求項21】
哺乳動物が実験動物である、請求項17から20の何れか一項に記載の医薬。
【請求項22】
哺乳動物がヒトである、請求項17から20の何れか一項に記載の医薬。
【請求項23】
薬学的組成物が、肺がん異種移植マウスモデル(A549細胞)を用いてGemZarよりも腫瘍増殖を阻害する、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
薬学的組成物が、膵臓がん異種移植マウスモデル(PANC-1細胞)を用いてGemZarよりも腫瘍増殖を阻害する、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
哺乳動物のがんを治療するための薬学的組成物であって、GEM-TACとSTP302を含み、前記がんが、肺がん又は膵臓がんである、薬学的組成物。
【請求項26】
哺乳動物のがんを治療するための薬学的組成物であって、GEM-TACと組合せてヒトPDL-1遺伝子発現に対抗するsiRNAオリゴを含み、前記がんが、肺がん又は膵臓がんである、薬学的組成物。
【請求項27】
哺乳動物のがんを治療するための薬学的組成物であって、GEM-TACと組合せてヒトPDL-2遺伝子発現に対抗するsiRNAオリゴを含み、前記がんが、肺がん又は膵臓がんである、薬学的組成物。
【請求項28】
ヒトのがんを治療するか、又はヒトの新生物もしくは腫瘍細胞の増殖を阻害するための医薬であって、前記がんが、肺がん又は膵臓がんであり、前記新生物もしくは腫瘍細胞が、肺の新生物もしくは腫瘍細胞又は膵臓の新生物もしくは腫瘍細胞である、請求項23から27の何れか一項に記載の薬学的組成物の治療的有効量を含む、医薬。
【請求項29】
がんが膵臓がんである、請求項28に記載の医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連特許出願への相互参照]
この出願は、その全体が出典明示によりここに援用される2017年3月19日出願の米国仮特許出願第62/473441号の利益と優先権を主張する。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、ゲムシタビン系化合物、組成物、及び製剤、並びに単独で又はRNA干渉(RNAi)化合物と併用してのがん治療薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[膵臓がん治療には緊急の満たされていないニーズがある]
膵臓がんは、侵襲性浸潤、早期転移、及び既存の化学療法薬と放射線療法に対するほぼ完全な耐性のために、予後が最も悪い悪性腫瘍の一つである(1)。過去数年間、ゲムシタビン(2’,2’-ジフルオロデオキシシチジン)の使用により、膵臓がん患者において臨床症状が改善され、全生存期間が僅かに長くなることが示されてきた。従って、ゲムシタビンは膵臓がんに対する第一選択治療選択肢になった(2)。しかし、ゲムシタビンに対する化学療法抵抗性は増加しており、膵臓がんに対する臨床治療の失敗の主な原因となっている。ゲムシタビンに対する耐性は、主にアポトーシスに対する耐性の増加に起因していると提案されている(3)。従って、アポトーシスを誘導し、ゲムシタビンに対する化学療法感受性を増強するための新しい治療戦略が、この疾患において緊急に必要とされている。
【0004】
[siRNAがん治療薬]
RNA干渉(RNAi)は、遺伝子阻害の内因性過程であり、事実上あらゆる遺伝子の発現を阻害する強力な手段を提供する。RNAi技術は、細胞培養及び動物疾患モデルにおける機能遺伝学のための広く受け入れられたツールになっており、従って、治療応用に大きな期待がかけられている。膵臓がんの増殖と発生における経路に関与するTGF-β1、COX-2、mTOR、EGFR、及びRAF1の重要な役割の理解により、我々は代替治療アプローチとしてRNA干渉(RNAi)の使用を検討するよう促された。低分子干渉RNA(siRNA)薬の一つの利点は、タンパク質レベルの低下が阻害を増幅するはずであるため、その遺伝子標的に対する強力な阻害効果である。別の利点は、経路の様々なメンバーの阻害を評価し、よって最も効率的な標的をより効率的に識別する能力である。
【0005】
[miRNAがん治療薬]
マイクロRNA(miRNA)は、その主な機能がコーディングmRNA転写産物の翻訳を調節することである、18-24ヌクレオチドの非コーディングRNAのクラスである。miRNAによる細胞トランスクリプトームの生理学的調節は、発生中及び成熟組織恒常性において重要な役割を果たしている。miRNAの異常な発現はヒトがんにおいて一般的であり、miRNAは正常細胞に比べて腫瘍細胞で過剰発現し又は過少発現する可能性がある(4,5)。がんにおける異常なmiRNA発現の基礎をなすものは、ゲノム変化(増幅と欠失)、エピジェネティックな機構、又は転写因子調節変化を含み、多様でありうる(5,6)。多くの場合、異常なmiRNAのコーディングmRNA標的が解明されており、そのタンパク質産物ががん細胞における重要な細胞増殖、細胞死、及び転移機構を調節する転写産物が含まれている(4-9)。
【0006】
一つのmiRNA分子であるmiR-132は、Rasの分子ブレーキであるp120 RasGAPをダウンレギュレートすることにより、病的血管新生を促進すると特徴付けられている。miR-132を合成アンタゴミルオリゴでターゲティングすると、複数の腫瘍モデルにおいて血管新生と腫瘍量が減少した。最近の研究では、miR-132が膵臓がんで増加し、網膜芽細胞腫の腫瘍抑制因子を標的にしたことが示された(3)。別のmiRNAであるmiR-155は、生存率の低下に関連している膵腫瘍での発現上昇を示した(4)。miR-155は初期の膵腫瘍のバイオマーカーであると思われ、膵臓がんのバイオマーカーとして更に評価する必要がある(5)。miR-155の役割は、p53を介した腫瘍抑制の後退に関連しており(6)、他の腫瘍タイプでの腫瘍形成活性を伴うことも示されている(7,8)。最近、我々は、改変RNAオリゴであるアンタゴミル-132とアンタゴミル-155をヒスチジン-リジン共重合体(HKP)と共にナノ粒子中にパッケージ化し、ヘルペス間質性角膜炎のウイルス誘発マウスモデルを用いてこの二重標的阻害剤を試験した(10)。この二重標的miR-132及びmiR-155アプローチの著明な抗血管新生効果は、全ての処置マウスで観察された。
【0007】
オリゴヌクレオチド治療薬の開発は、アンタゴミルオリゴなどの医薬品有効成分の効率的な送達に依存している。我々は、ヒトBxPC-3又はPanc-1膵腫瘍細胞を用いたマウス異種移植腫瘍モデルを使用して、二重標的アンタゴミル-132/155の全身送達についてHKPを試験する(11-14)。
【0008】
[化学療法薬及びRNAi送達システム]
多くの化学療法薬の適用が、膵臓がん及び他のがんタイプの治療に対してなされてきた。化学療法耐性及び化学療法薬毒性の懸念により、その治療可能性が制限されてきた。この発明は、RNAi治療薬と、既に臨床適用されている化学療法薬であるゲムシタビンの強みを、siRNA又はmiRNAの送達のためにゲムシタビン誘導体を使用して組合せている。
【0009】
ゲムシタビン(2’,2’-ジフルオロデオキシシチジン)は、抗腫瘍活性を示すヌクレオシド類似体である。ゲムシタビンは細胞期特異性を示し、主にDNA合成(S期)を受ける細胞を殺し、G1/S期境界を通る細胞の進行を遮断する。ゲムシタビンは、ヌクレオシドキナーゼによって細胞内で代謝され、活性な二リン酸(dFdCDP)及び三リン酸(dFdCTP)ヌクレオシドになる。ゲムシタビンの細胞傷害性効果は、二リン酸ヌクレオシドと三リン酸ヌクレオシドの二つの作用の組合せに起因し、これがDNA合成の阻害につながる。第一に、ゲムシタビン二リン酸が、リボヌクレオチドレダクターゼを阻害し、これが、DNA合成のためにデオキシヌクレオシド三リン酸を生成する反応を触媒する役割を果たす。二リン酸ヌクレオシドによるこの酵素の阻害により、dCTPを含むデオキシヌクレオチドの濃度が低下する。第二に、ゲムシタビン三リン酸が、DNAへの取り込みについてdCTPと競合する。(二リン酸の作用による)dCTPの細胞内濃度の減少が、ゲムシタビン三リン酸のDNAへの取り込みを向上させる(自己増強)。ゲムシタビンヌクレオチドがDNAに取り込まれた後、たった一つの追加のヌクレオチドが、成長しているDNA鎖に付加される。この付加後、更なるDNA合成が阻害される。DNAポリメラーゼεは、ゲムシタビンヌクレオチドを除去できず、成長しているDNA鎖を修復できない(マスクされた鎖終結)。CEM Tリンパ芽球様細胞では、ゲムシタビンはプログラム細胞死の特徴の一つであるヌクレオソーム間DNA断片化を誘導する。
【0010】
ゲムシタビンは、出典明示によりその全体がここに援用される米国特許第4808614号において、抗ウイルス化合物として最初に記載された。ゲムシタビンの抗腫瘍特性は、出典明示によりその全体がここに援用される米国特許第5464826号において後に記載された。出典明示によりその全体がここに援用される米国特許第4808614号及び同第5464826号の製剤教示には、その請求項に記載の化合物を非経口投与することができること、またその後に水溶液で再構成される乾燥粉末が好ましいことが、記載されている。現在、ゲムシタビンは、注射又は注入による投与の前に投与管理者によってその後に再構成される、凍結乾燥された非経口薬として市販されている。
ここで使用される「ゲムシタビン」という用語は、ゲムシタビン遊離塩基と所定のゲムシタビン誘導体を意味する。これら誘導体は、僅かな修飾に関連する化学構造であり、同じプロドラッグ特性を持つ。
【0011】
米国食品医薬品局(FDA)は、1996年にGEMZAR(ジェムザール)(登録商標)(Eli Lilly&Co.,Indianapolis,Indiana)という商品名で注射用製剤として米国で販売されるゲムシタビン塩酸塩を最初に承認した。その臨床製剤は、静脈内使用のためのみの滅菌形態で提供される。GEMZAR(登録商標)のバイアルには、200mg又は1gのゲムシタビンHCl(遊離塩基として表される)がマンニトール(それぞれ200mg又は1g)と酢酸ナトリウム(それぞれ12.5mg又は62.5mg)と共に滅菌凍結乾燥粉末として処方されて含まれている。pH調整のために、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムが添加されている場合がある。
【0012】
ゲムシタビンは、インビトロでシスプラチンとの用量依存的な相乗作用を示す。ゲムシタビン三リン酸蓄積又はDNA二本鎖切断に対するシスプラチンの効果は観察されなかった。インビボでは、ゲムシタビンは、LX-1及びCALU-6ヒト肺異種移植片に対してシスプラチンと組合せて活性を示したが、NCI-H460又はNCI-H520異種移植片で見られたのは最小の活性であった。ゲムシタビンは、ルイス肺マウス異種移植片においてシスプラチンと相乗的であった。シスプラチンの4時間前にゲムシタビンに曝露する連続曝露が最大の相互作用をもたらした。
【0013】
GEMZAR(登録商標)は、局所進行性(ステージIIIA又はIIIB)又は転移性(ステージIV)NSCLCの患者の第一選択治療に対してシスプラチンと組合せて適用される。GEMZAR(登録商標)は、患者の局所進行性(切除不能なステージII又はステージIII)又は転移性膵臓がん(ステージIV)の治療の第一選択治療としても利用できる。しかし、ゲムシタビンの毒性が、患者に投与できる薬物の投薬量を制限する。ゲムシタビンHCLはまた患者における半減期が非常に短い(短期注入の半減期は32~94分であった)。半減期と分布容積は、年齢、性別、注入期間に依存する。更に、ゲムシタビンに曝露された細胞における多剤耐性の発生が、その有効性を制限する場合がある。従って、ゲムシタビンの半減期を十分に延長し、例えば、治療細胞の多剤耐性を最小にし、その毒性を制限することにより、その治療効果を最大にするゲムシタビンの製剤が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】抗がん化学療法薬をRNAi治療薬送達ビヒクルとして使用するという概念の概略図。ゲムシタビン(GEM)がヒスチジン-リジンポリマー(HKP)と化学的に結合されて新化学物質GEM-HKPを形成する。このGEM-HKPは、ナノ粒子製剤で腫瘍標的遺伝子に特異的なsiRNAを運ぶことができる。ゲムシタビン及びがん遺伝子抑制性siRNAを介したこのしかるべき抗がん活性が、新規のがん治療アプローチとなりうる。
図2】25merと21merのsiRNA二重鎖間のサイレンシング効力の比較。最も強力な25merと21merのsiRNAを、6組の各セットから最初に選択した。比較は、Lipo2000(Invitrogen,CA)を用いたインビトロトランスフェクションとそれに続くRT-PCR分析を使用して、ヒトVEGFタンパク質を発現する2つの腫瘍細胞株(DLD-1(結腸がん)及びMBA-MD-435(乳がん))で実施した。0.3μg又は2.0μg用量の何れかで、特に2.0μgで、25mer siRNAが21mer siRNAよりも強い阻害活性を示した。
図3】mTORを標的とする強力なsiRNAの選択。(A)下方パネルは、ヒトMDA-MB-231細胞及びマウスCT26細胞中にトランスフェクトした8つの25mer siRNA二重鎖の選択を対照siRNAと共に示している。24時間後、mRNAを収集し、標準対照遺伝子標的Rigs15を用いるQ-RT-PCRに供した。パネルは、ヒトMDA-MB-231細胞及びマウスCT26細胞のトランスフェクション後にQ-RT-PCRを使用した強力なmTOR-siRNAの選択を証明している。
図4】マウスの眼におけるアンタゴミル-132ナノ粒子によるmiR-132のノックダウン。アンタゴミル-132治療レジメンは、角膜においてピークmiR-132ノックダウンをもたらした(A)(プール化n=6マウス/群)。ボンフェローニの事後検定による一元配置ANOVAを使用して、有意水準を計算した。P≦0.05()。6つの角膜を収集し、QPCR又はWBによる分析のためにプール化した。(B)アンタゴミル-132及びスクランブル配列をHSV感染マウスに結膜下注入し、異なる群から単離した角膜からのRasGAP mRNAの定量を実施した(n=6マウス/群)。有意水準は、スチューデントt検定(独立)によって決定した。***P≦0.001。
図5】強力な抗血管新生活性が、二重標的アンタゴミル-132/155で観察された。WTマウスとmiR-155KOマウスの片眼にHSV-1 REを感染させた。抗血管新生効果を、12日目と15日目p.i.に血管新生スコアを用いて測定した。二重標的アンタゴミル-132/155は、15日目p.i.に3群全てで最も強力な活性を示す。有意水準は、スチューデントt検定(独立)によって決定した。P≦0.001(***);P≦0.01(**);P≦0.05()。エラーバーは平均±SEを表す。これらの実験は2回繰り返した。
図6】ゲムシタビンとタウロコール酸の組合せの概略図。GEM-TCA中に製剤化できるゲムシタビンとタウロコール酸の化学構造。この新規な製剤は二重の機能を持ち、抗がん剤とRNAi送達ビヒクルの両方として機能する。
図7】GEMZAR(登録商標)とGEM-TCAの細胞傷害性の比較。1×10のHeLa細胞を150ulのEMEM/10%FBS中の96ウェルプレートのウェルに播種した。翌日、培地に、同じ培地で希釈した0.1nM-100uMのGEMZAR(登録商標)又はGEM-TCAを補充した。化学物質曝露の72時間後、細胞傷害性をCell Titer-Glo Luminescent細胞生存アッセイ(Promega)で評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す。
図8】GEMZAR(登録商標)とGEM-TCAの細胞傷害性の比較。2×10のPanc-1及びHepG2細胞を、150ulのEMEM/10%FBS中の96ウェルプレートのウェルに播種した。翌日、培地に、同じ培地で希釈した0.1nM-100uMのGEMZAR(登録商標)又はGEM-TCAを補充した。化学物質曝露の72時間後、細胞傷害性をCell Titer-Glo Luminescent細胞生存アッセイ(Promega)で評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す。
図9】GEM-TCAに対するPanc-1細胞の化学療法感受性に関するmTORsiRNAによるフォワードトランスフェクションの効果。5×10のPanc-1細胞を、100ulのDMEM/10%FBSの96ウェルプレートのウェルに播種した。翌日、細胞に、製造業者の推奨に従ってsiRNA/リポフェクタミン2000複合体をトランスフェクトした。5~6時間で、培地を変えた。翌日、様々な濃度のGEM-TCAをトランスフェクト細胞に適用した。化学物質曝露の72時間後、細胞傷害性をCell Titer-Glo Luminescent細胞生存アッセイ(Promega)で評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す。対照、非標的化siRNAでトランスフェクトされた細胞とは異なる(p<0.05、スチューデントt検定)
図10】GEM-TCAに対するPanc-1細胞の化学療法感受性に関するTGF-β1siRNA及びmTORsiRNAによるフォワードトランスフェクションの効果。翌日、培地に、同じ培地で希釈した3.9nM~1000nMのGEM-TCAを補充した。化学物質曝露の48時間後、細胞傷害性をCell Titer-Glo Luminescent細胞生存アッセイ(Promega)で評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す。対応サンプル両側スチューデントt検定を使用して有意性を判定した。
図11】GEM-TCA/siRNAナノ粒子製剤の粒子サイズ測定。GEMZAR(登録商標)/siRNA製剤と比較したsiRNAペイロードに対する様々な比率のGEM-TCAでのナノ粒子サイズの測定。
図12】GEM-TCA/siRNAナノ粒子製剤の粒子ゼータ電位測定。GEMZAR(登録商標)/siRNA製剤と比較したsiRNAペイロードに対する様々な比率のGEM-TCAでのナノ粒子ゼータ電位及びサイズの測定。
図13】新規抗がんアプローチとしてのゲムシタビンへの結合のためのHKP(H3K4b)の化学構造
図14】ゲムシタビンとのHKPの化学結合経路。これはゲムシタビンとHKPの間に共有結合を形成する一般的な概念である。窒素の孤立電子対がカルボニルに移動し、最終的にC=N二重結合とヒドロキシルを形成するという特別な特性がある。実際には、アミドは酸触媒によりカルボキシルへ加水分解される。これは、HKPの「C末端」のみが酸条件でカルボキシル基に戻ることを意味する。これは、修飾のために我々が利用できるユニークなブレイクアウトになる。我々はC末端カルボキシル基を介してHKPを修飾できる。
図15】ゲムシタビンとHKPの結合のためのEDC-NHS化学。EDC-NHS化学を使用する利点:1.EDC-NHS反応が、酸条件で最も効果的に起こる。2.HKPは酸条件下でカルボキシル基を生成する。3.EDC-NHS反応は、-NH よりも-NHを優先する。ゲムシタビンの-NHは、pKaの値が低い(約2.8)ため、酸条件でHKPの干渉アミンに抵抗し、これがHKPの自己結合の代わりにゲムシタビンをHKPと結合させる。
図16】HKP及びGEM-HKPの波長。HKPと比較すると、ゲムシタビンはより小さい分子(40×小さい)であり、提案された反応機構に示されるように、HKP上に加えられたゲムシタビン1分子はHKPピーク位置を遅らせない。また、ゲムシタビンは、約205nmにも吸光度を有しているが、等モルレベルならば、HKPと比較してその吸光度は無視できる。更に、より長い又は短い時点(0~60分)で他の強いピークは見つからなかった。HPLC及びUVの結果に基づいて、以下の結論を下すことができる:提案されたHKP-ゲムシタビン(GEM-HKP)化合物は正常に合成された。新規化合物は、一つのHKPに結合する一つのゲムシタビンを有している。有意な副産物は観察されなかった。
図17】異なるUV吸光度でのサイズ排除によるHKP、ゲムシタビン、HKP/ゲムシタビン混合物、及びGEM-HKPコンジュゲートの測定。HKP及びゲムシタビンは異なる分子量で示される:HKP(9.6kD)及びゲムシタビン(236D)。サイズ排除カラムでの測定により、我々は、HKPとゲムシタビンが異なる時点で出てくることを見出した。HKPピークは約19分に現れたが、ゲムシタビンピークは約5分に現れた。ゲムシタビンは、約19分で全く吸光しない。しかし、GEM-HKPを測定すると、この単一化合物は205nmと272nmの両方で吸光度を示し、約19分に2つのピークを一緒に示す。
図18】GEM-HKPの物理化学的特性の測定。GEM-HKP水溶液とsiRNA水溶液を4:1の比率で混合した場合のナノ粒子製剤の粒子サイズとゼータ電位。スクランブルsiRNAをGEM-HKPと共に使用してナノ粒子を形成し、元のHKPを同じ条件下で陽性対照として使用した。Brookhaven 90Plus Nanosizerを使用して、ナノ粒子のサイズとゼータ電位を測定した:GEM-HKPの平均粒子サイズは78.4nmで、ゼータ電位は25mVである。GEM-HKP/siRNAのナノ粒子は、HKP/siRNAと同様のゼータ電位を有するが、粒子サイズはより小さい。
図19】GEM-HKPはPanc-1細胞にsiRNAを送達する。我々は次にレポーターとしてAF488 siRNA(蛍光AF488で修飾したスクランブルsiRNA)を使用して、GEM-HKPと共にナノ粒子を形成し、インビトロsiRNAトランスフェクションに対するその能力を評価した。HKP-siRNAナノ粒子を対照として使用した。我々の新規化合物GEM-HKPは、HKPと同様の効率でsiRNAを細胞中に送達する能力を持っている。Panc-1細胞株をこの評価のためのモデルとして使用した。
図20】腫瘍細胞を死滅させるためのGEM-HKP細胞傷害活性。非特異的なAF488標識siRNAをPanc-1細胞に、HKP又はGEM-HKPと共に4.5:1の担体:siRNA比でトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、siRNAとトランスフェクション剤又は薬物のみを含む培地を新鮮培地と置き換えた。トランスフェクションの48時間後と72時間後に、細胞死滅の評価のために細胞増殖の画像を撮影した。細胞殺活性はトランスフェクション後24時間ではあまり明確ではなかったが、GEM-HKP担持siRNAナノ粒子は強力な細胞殺活性を示した。この結果は、GEM-HKPがsiRNA送達(HKP機能)と腫瘍細胞死滅(ゲムシタビン機能)の特性を保持できることを示唆している。従って、GEM-HKPは治療用siRNA薬をまた送達する新規の抗腫瘍剤になりうる。
図21】処置の72時間後でのPanc-1細胞培養におけるゲムシタビン及びGEM-HKPコンジュゲートの投薬量依存性細胞傷害性。ゲムシタビン単独、GEM-HKPコンジュゲートへのPanc-1細胞の暴露後、各処置の細胞傷害性を、「Cell Titer-Glo Luminescent細胞生存性アッセイ」(Promega)で評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す。この研究では、各ポイントでのHKP濃度は、Gem/HKPでのその濃度に等しい。図に示されるように、GEM-HKPの細胞傷害性はゲムシタビンの細胞傷害性に匹敵するが、HKPは細胞傷害性を示さなかった。
図22】A549(肺がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TCAは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=6。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した。
図23】PANC-1(ヒト膵臓がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=5。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した。
図24】PANC-1(ヒト膵臓がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=8。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した。GemZarとGEM-TACの治療ベネフィット間には有意な差がある。
図25】処置後37日目の全腫瘍重量によるPANC-1(ヒト膵臓がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=8。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した。GemZarとGEM-TACの治療ベネフィット間には有意な差がある。
図26】腫瘍内注射によるLoVo(ヒト結腸がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。STP302は、mir150/HKP製剤を用いたmiRNA治療薬候補である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=6。GEM-TAC+STP302の組合せは、その個々の使用よりも優れた効果をもたらした。
図27】腫瘍内注射により、注射後16日目に採取したLoVo(ヒト結腸がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。STP302は、mir150/HKP製剤を用いたmiRNA治療薬候補である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホートグループN=6。GEM-TAC+STP302の組合せは、その個々の使用よりも優れた効果をもたらした。
図28】腫瘍内注射によるLoVo(ヒト結腸がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=8。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した。GemZarとGEM-TACの治療ベネフィット間には有意な差がある。
図29】腫瘍内注射により、注射後18日目で測定したLoVo(ヒト結腸がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=8。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した。GemZarとGEM-TACの治療ベネフィット間には有意な差がある。
図30】ヒトPDL-1に対する陽性siRNA配列を同定した。ヒト子宮頸がん細胞株であるCaski細胞培養を使用して、複数のsiRNA配列をPDL-1遺伝子発現の阻害についてスクリーニングした。陽性siRNA配列に星印を付した。
図31】ヒトPDL-1に対する更なる陽性siRNA配列を同定した。ヒト子宮頸がん細胞株であるCaski細胞培養を使用して、複数のsiRNA配列をPDL-1遺伝子発現の阻害についてスクリーニングした。陽性siRNA配列に星印を付した。
図32】ヒトPDL-2に対する陽性siRNA配列を同定した。ヒト子宮頸がん細胞株であるCaski細胞培養を使用して、PDL-2遺伝子発現の阻害について複数のsiRNA配列をスクリーニングした。陽性siRNA配列に星印を付した。
図33】ヒトPDL-2に対する陽性siRNA配列を同定した。ヒト子宮頸がん細胞株であるCaski細胞培養を使用して、PDL-2遺伝子発現の阻害について複数のsiRNA配列をスクリーニングした。陽性siRNA配列に星印を付した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、がん治療のため及びRNAiがん治療薬の増強のための、化学療法薬ゲムシタビン(GEM)と所定の誘導体、タウロコール酸(TCA又はTAC)製剤、及びヒスチジン-リジンポリマー(HKP)コンジュゲートを含む薬学的組成物を提供する。第一の実施態様は、哺乳動物、より具体的にはヒトのがんなどの様々なタイプのがんの治療のための、GEM及びTCA製剤(GEM-TCA)、抗がん治療用組成物を含む。第二の実施態様は、様々なタイプのがんの治療のためのGEM及びHKPコンジュゲート(GEM-HKP)を含む。第三の実施態様は、効率的なsiRNA又はmiRNA送達又はその両方のためのGEM-TCAを含む治療用組成物を含む。第四の実施態様は、効率的なsiRNA又はmiRNA送達又はその両方のためのGEM-HKPを含む治療用組成物を含む。第五の実施態様は、がん治療薬を含む、様々な治療状態のためにこれら薬学的化合物、製剤、及び組成物を使用する方法を含む。
【0016】
ここで使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、一又は複数を指す。
【0017】
本発明は、ゲムシタビン誘導体とRNAiトリガーを含む薬学的組成物を含む。この実施態様の一態様では、ゲムシタビン誘導体は、タウロコール酸分子と静電気引力状態にあるゲムシタビン分子を含む。この実施態様の別の態様では、ゲムシタビンは、デオキシコール酸をタウリンと共に含むタウロコール酸組成物と組み合わされる。また別の態様では、ゲムシタビンとタウロコール酸は約0.0:0.1~1.0:2.0のモル比にある。この実施態様の別の態様では、ゲムシタビン誘導体は、ゲムシタビン分子とヒスチジン-リジンポリマーを含む化学的コンジュゲートを含む。ゲムシタビンは遊離塩基の形態でありうる。また別の態様では、組成物は、第一のものとは異なる第二のRNAiトリガーを更に含む。
【0018】
ヒスチジン-リジンポリマーは、出典明示によりそれらの全体がここに援用される米国特許第7070807B2号、同第7163695B2号、及び同第7772201B2号に記載されている。この実施態様の一態様では、HKPは構造(R)K(R)-K(R)-(R)K(X)を含み、ここでR=KHHHKHHHKHHHKHHHK、K=リジン、及びH=ヒスチジンである。
【0019】
RNAiトリガーは、ヒト細胞又は他の哺乳動物細胞においてRNAi効果を活性化する任意の分子である。このようなRNAiトリガーには、低分子干渉RNA(siRNA)オリゴ、マイクロRNA(miRNA)オリゴ、又はアンタゴミルオリゴが含まれる。
【0020】
ここで使用される場合、「siRNAオリゴ」、「siRNA分子」又は「siRNA二重鎖」は、分子が細胞中に導入された後、細胞内の遺伝子の発現を妨害し、あるいはウイルス遺伝子の発現を妨害する、二重鎖オリゴヌクレオチド、すなわち短い二本鎖ポリヌクレオチドである。例えば、それは、一本鎖(ss)標的RNA分子の相補的ヌクレオチド配列を標的にして、それに結合する。siRNA分子は、化学的に合成されるか又は当業者に知られている技術によって構築等される。そのような技術は、出典明示によりその全体がここに援用される米国特許第5898031号、同第6107094号、同第6506559号、同第7056704号、及び欧州特許第1214945号及び同第1230375号に記載されている。当該分野の慣例により、siRNAオリゴが特定のヌクレオチド配列によって特定される場合、その配列は二重鎖分子のセンス鎖を指す。
【0021】
分子を含む一又は複数のリボヌクレオチドは、当該分野で知られている技術により化学的に修飾されうる。その個々のヌクレオチドの一又は複数のレベルで修飾されることに加えて、オリゴヌクレオチドの骨格が修飾されうる。更なる修飾には、siRNA分子への結合のための小分子(例えば、糖分子)、アミノ酸、ペプチド、コレステロール、及び他の大きな分子の使用が含まれる。
【0022】
一態様では、siRNA分子は、長さが約17から約27塩基対の二本鎖オリゴヌクレオチドである。更なる一態様では、分子は19から25塩基対の長さの二本鎖オリゴヌクレオチドである。別の態様では、分子は25塩基対の長さの二本鎖オリゴヌクレオチドである。これらの全ての態様において、分子は、両端に平滑末端を、又は両端にオーバーハングを持つ粘着末端(主鎖を超えて伸びる不対塩基)を、又は一端に平滑末端、他端に粘着末端を有しうる。特定の一態様では、分子は両端に平滑末端を有する。別の特定の態様では、分子は25塩基対(25mer)の長さを有し、両端に平滑末端を有する。
【0023】
この実施態様の一態様では、siRNA分子は、表1のセンス配列によって特定される分子である。
【0024】
この実施態様の別の態様では、siRNAオリゴは、mTOR遺伝子mRNAと特定の配列相同性(好ましくは100%)を有し、mTOR遺伝子発現に対する阻害活性を有する。そのようなsiRNAオリゴの例は、mTOR-siRNA:
センス,5’-r(CACUACAAAGAACUGGAGUUCCAGA)-3’、
アンチセンス,5’-r(UCUGGAACUCCAGUUCUUUGUAGUG)-3’
である。
【0025】
この実施態様のまた別の態様では、siRNAオリゴは、TGF-β1遺伝子mRNAと特定の配列相同性(好ましくは100%)を有し、TGF-β1遺伝子発現に対する阻害活性を有する。そのようなsiRNAオリゴの例は、TGF-β1-siRNA:
センス,5’-r(CCCAAGGGCUACCAUGCCAACUUCU)-3’、
アンチセンス,5’-r(AGAAGUUGGCAUGGUAGCCCUUGGG)-3’
である。
【0026】
この実施態様のまた別の態様では、siRNAオリゴは、COX-2遺伝子mRNAと特定の配列相同性(好ましくは100%)を有し、COX-2遺伝子発現に対する阻害活性を有する。そのようなsiRNAオリゴの例は、COX-2-siRNA:
センス,5’-r(GGUCUGGUGCCUGGUCUGAUGAUGU)-3’、
アンチセンス,5′-r(ACAUCAUCAGACCAGGCACCAGACC)-3’
である。
【0027】
この実施態様の更なる態様では、miRNAオリゴは、miR-132(accguggcuuucgauuguuacu)、miR-150(ucucccaacccuuguaccagug)、又はmiR-155(uuaaugcuaaucgugauagggguu)を含むか又はこれに対して相同性(好ましくは100%)を有する。
【0028】
この実施態様の更に別の態様では、アンタゴミルは、アンタゴミル-132(accguggcuuucgauuguuacu)、アンタゴミル-150(ucucccaacccuuguaccagug)、又はアンタゴミル-155(uuaaugcuaaucgugauagggguu)を含むか又はこれに対して相同性(好ましくは100%)を有する。
【0029】
この実施態様の別の態様では、組成物は薬学的に許容される担体と組み合わされる。そのような担体は、ここに含まれる教示が与えられると、当業者によって決定可能である。
【0030】
本発明はゲムシタビン分子とタウロコール酸分子を含む薬学的組成物をまた含む。ゲムシタビンは遊離塩基の形態でありうる。この実施態様の一態様では、タウロコール酸は、タウリンと共にデオキシコール酸を含む。この実施態様の更なる態様では、組成物は、上記のRNA干渉(RNAi)トリガーを更に含む。この実施態様のまた更なる態様では、組成物は、第一のものとは異なる第二のRNAiトリガーを含む。この実施態様の別の態様では、組成物は薬学的に許容される担体と組み合わされる。そのような担体は、ここに含まれる教示が与えられると、当業者によって決定可能である。
【0031】
本発明はゲムシタビン分子及びヒスチジン-リジンポリマー(HKP)を含む薬学的組成物を更に含む。ゲムシタビンは遊離塩基の形態でありうる。この実施態様の一態様では、組成物は、上記のRNA干渉(RNAi)トリガーを更に含む。この実施態様の別の態様では、組成物は、第一のものとは異なる第二のRNAiトリガーを含む。この実施態様の更なる態様では、組成物は薬学的に許容される担体と組み合わされる。そのような担体は、ここに含まれる教示が与えられると、当業者によって決定可能である。
【0032】
本発明の組成物は、ヒト及び他の哺乳動物におけるがん及び他の新生物性疾患の治療に有用である。
【0033】
本発明は、本発明の組成物の何れかの治療的有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物のがんを治療し又は哺乳動物の新生物又は腫瘍細胞の増殖を阻害する方法を提供する。本発明の一態様では、新生物又は腫瘍細胞は膵臓がん細胞である。
【0034】
本発明はまた本発明の組成物の何れかの有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における新生物又は腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する方法をまた提供する。本発明の一態様では、新生物又は腫瘍細胞は膵臓がん細胞である。
【0035】
本発明は、本発明の組成物の何れかの有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、がんを有する哺乳動物のGEMに対する化学療法感受性を増強する方法を更に提供する。本発明の一態様では、がんは膵臓がんである。
【0036】
哺乳動物には、ヒトと実験動物、例えば非ヒト霊長類、イヌ及びげっ歯類などが含まれる。本発明の一実施態様では、哺乳動物はヒトである。
【実施例
【0037】
次の実施例は、本発明の所定の態様を例証するものであり、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0038】
実施例1.化学療法薬送達siRNAを用いた標的がん治療薬
多くの化学療法が、膵臓がん及び他のタイプのがんの治療に使用されている。化学療法抵抗性及び化学療法薬毒性の懸念により、その治療可能性が制限されている。この発明は、siRNA又はmiRNAの送達のために、RNAi治療薬とゲムシタビン(既に臨床適用されている化学療法薬)の強みを組み合わせたものである。図1は、ゲムシタビンとポリペプチド担体HKPを、インビトロ及びインビボでの腫瘍細胞死滅とsiRNA又はmiRNA送達という二成分の特性を保って、化学的に結合させることができる概略プロセスを示す。この新規化合物GEM-HKPを水溶液中で所定の比率でmTOR特異的siRNAと混合すると、mTOR標的siRNA治療薬と、ゲムシタビンを介した腫瘍細胞死滅の特性を備えた自己組織化ナノ粒子が形成される(図1)。
【0039】
実施例2.25merは21merより強い阻害活性を示した
最初に、我々は、標的遺伝子サイレンシングに対して25mer siRNAが21mer siRNAよりも強力であることを見出した。実験の一つにおいて、我々は、6組の二重鎖の各セットから選択された25merと21merのsiRNA間でサイレンシング効果を比較した。Lipo2000を用いたインビトロトランスフェクションとそれに続くRT-PCR分析を使用して、ヒトVEGFタンパク質をプリプレスする2つの腫瘍細胞株(DLD-1(ヒト結腸がん)とMBA-MD-435(ヒト乳がん))で比較を行った。図2に見られるように、0.3ug及び2.0ugの両方の投薬量で、25mer siRNAは21mer siRNAよりも強い阻害活性を示した。加えて、我々は、眼の血管新生マウスモデルを通じて、VEGF、VEGFR1、及びVEGFR2を標的とするカクテルsiRNAが単一のsiRNA阻害剤よりも強い抗血管新生活性を示すことを実証した。更に、siRNAをHKPナノ粒子にパッケージ化することで、siRNAの全身送達システムがもたらされた。MBA-MD-435異種移植腫瘍モデルを通じて実証されたHKP-Raf1-siRNA及びHKP-EGFR-siRNAの抗腫瘍活性は、HKPを使用して、膵臓がんの治療のためのEGFR-RAF1-mTOR又はVEGFR2-RAF1-mTOR siRNAカクテル治療効果を増強するという我々の努力を強く支持する。
【0040】
実施例3.mTOR遺伝子発現を標的とする強力なsiRNAの選択
がん治療にナノ粒子を介したsiRNAカクテルを使用するという我々の概念実証及び実現可能性の研究において、我々は、EGFR、VEGFR2、RAF-1及びmMTOR遺伝子(ヒト及びマウスの両方)を標的とする最も強力なsiRNA二重鎖が同定され、細胞培養とそれに続くQ-RT-PCR及びウエスタンブロット分析によって検証されたことを最初に見出した。mTOR siRNAの選択では、我々はsiRNAオリゴ合成のためにインシリコスクリーニングで選択された8つのsiRNA配列を最初に使用する。ついで、我々は、これらのsiRNAをヒトMDA-MB-231細胞及びマウスCT26細胞中にトランスフェクトした。24時間後、全mRNAを収集し、標準対照遺伝子標的Rigs15を用いてqRT-PCR分析に供した。図3から、mTORを標的とする強力なsiRNA二重鎖(ヒト及びマウスmRNAの両方)が選択されたことが分かる。
【0041】
実施例4.潜在的な抗がん治療薬のためのmiR-132及びmiR-155のノックダウン
アンタゴミル-132治療レジメンは、角膜においてピークmiR-132ノックダウンをもたらした(A)(プール化n=6マウス/群)。ボンフェローニの事後検定による一元配置ANOVAを使用して有意水準を計算した。P≦0.05()。6つの角膜を収集し、QPCR又はWBによる分析のためにプール化した。(B)アンタゴミル-132及びスクランブル配列をHSV感染マウスに結膜下注入し、異なる群から単離した角膜からのRasGAP mRNAの定量を実施した(n=6マウス/群)。有意水準は、スチューデントt検定(独立)によって決定した。***P≦0.001(図4)。
【0042】
マウス膵臓がん組織及び膵臓がん患者の血漿中のmiR-155の増加が、qRT-PCRを使用して、マウス正常及び膵臓がん組織(PDAC)における標的遺伝子mRNA及びmiR-155の発現との相関関係と共に観察された。膵臓がん患者、非がん対照、及び他のGIがんの患者からのヒト血漿サンプル中のmiR-155レベルの検出で、膵臓がん対膵臓疾患を伴う非がん対照、膵臓疾患を伴わない非がん対照、上部GIがん、結腸がん、及び肝臓がん。p,0.05。WTマウスとmiR-155KOマウスの片眼にHSV-1 REを感染させた。抗血管新生効果を、12日目と15日目p.i.に血管新生スコアを用いて測定した。二重標的アンタゴミル-132/155は、15日目p.i.に3群全てで最も強力な活性を示す。有意水準は、スチューデントt検定(独立)によって決定した。P≦0.001(***);P≦0.01(**);P≦0.05()。エラーバーは平均±SEを表す(図5)。
【0043】
実施例5.ゲムシタビンとタウロコール酸の組合せ製剤
ゲムシタビン(dFdC)は、デオキシシチジンの類似体である新規の抗がんヌクレオシドである。それはプロドラッグであり、細胞内に輸送されると、デオキシシチジンキナーゼによりリン酸化されて活性型になるはずである。ゲムシタビン二リン酸(dFdCTP)とゲムシタビン三リン酸(dFdCTP)は双方ともDNA合成に必要とされるプロセスを阻害する。dFdCTPのDNAへの取り込みは、ゲムシタビンが細胞死を引き起こす主要な機構である可能性が最も高い。伸長するDNA鎖の末端にゲムシタビンヌクレオチドが取り込まれた後、もう一つのデオキシヌクレオチドが加えられ、その後、DNAポリメラーゼが進行できなくなる。プルーフリーディング酵素はこの位置からゲムシタビンを除去できないため、この作用(「マスクされた終結」)は明らかに薬物をDNA中にロックする。更に、ゲムシタビン代謝産物が細胞の調節プロセスに及ぼす独特の作用が、細胞増殖に対する全体的な阻害活性を高めるのに役立つ。この相互作用は「自己増強」と呼ばれ、非常に少ない他の抗がん剤で証明されている。
【0044】
ゲムシタビン、(2’-デオキシ-2’,2’-ジフルオロシチジン;1-(4アミノ-2-オキソ-1H-ピリミジン-1-イル)-2-デオキシ-2,2-ジフルロ-D-シトジン;dFdC;CAS番号95058-81-4;C9HUF2N3O4,Mr263.2)は、米国薬局方における公式承認基準物質である(「ゲムシタビン塩酸塩」及び「注射用ゲムシタビン」に関して、Official Monographs,USP27,第1追補USP NF,p 3060-61)。ゲムシタビンは次の化学構造を有する:化学式:C26H45NO7S;モル質量:515.7058g/mol;融点:125.0℃(257.0°F;398.1K)。ゲムシタビンの構造を図6に示す。
【0045】
タウロコール酸は強力な生物学的洗剤であり、脂質を溶解し、膜結合タンパク質を遊離するために使用できる。それは細菌学の培地成分であり、MacConkeyブロスの幾つかの形態で使用される。また、リパーゼ活性を加速することができる。ワクチンの製造において、また薬物及びワクチンの送達を支援するためのビヒクルとして可能性を有している。タウロコール酸は胆汁酸であり、コール酸とタウリンの結合産物である。そのナトリウム塩は、肉食動物の胆汁の主要成分である。それは、脂肪の乳化に関与する潮解性の黄色がかった結晶性胆汁酸である。それは、哺乳動物の胆汁中にナトリウム塩として生じる。医療用途では、胆汁促進薬(cholagogue)及び胆汁分泌促進薬(choleretic)として投与される。タウロコール酸の加水分解により、タウリンが生成される。タウロコール酸の構造を図6に示す。
【0046】
本発明は、リポソームが、siRNA又はmiRNAオリゴなどの様々な負に荷電した分子の何れかを含みうる、ゲムシタビンと配位したタウロコール酸の組成物を提供する。複合体形成物質は、グリココール酸、又はコリルグリシン、又はタウロ脂質、セラミド-1スルホン酸塩などの両親媒性分子である。ここで使用される「ゲムシタビン」という用語はゲムシタビン遊離塩基とゲムシタビン誘導体を意味する。
【0047】
組成物は、有利には、siRNA及びmiRNA、抗腫瘍剤、抗真菌剤、他の活性剤の中でも特に抗生物質、特にシスプラチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ビノレルビン、エピルビシンを含むゲムシタビン以外の二次治療薬と組み合わせて使用できる。本発明は、薬学的に許容される賦形剤中の治療的有効量の本発明の複合体がヒトなどの哺乳動物に投与される方法を特に考慮する。図6に示されるように、我々はこの新しく作成された構造をGEM-TCAと名付ける。
【0048】
実施例6.ゲムシタビン-タウロコール酸(GEM-TCA)の製剤
製剤化には2つの工程が含まれる:
[ゲムシタビン遊離塩基の調製] ゲムシタビン塩酸塩は、多くの商品名で販売されている医薬品中の有効成分である。ゲムシタビンの遊離塩基を調製するには、ゲムシタビン塩酸塩(5.0g)と炭酸カリウム(4.0g、1.5モル当量)を1.0Lの丸底フラスコに加える。次に、ジクロロメタン(350mL)とエタノール(300mL)を加える。フラスコの内容物を室温で一晩激しく攪拌する。フリット漏斗で乳白色の溶液をきれいなボトルに濾過する。強制乾燥空気の助けを借りて、蒸発により溶媒の大部分を除去する。固形物を高真空下に30℃において8時間置く。遊離塩基は白色固体粉末であり、検証はH-NMRにより行った。
【0049】
[ゲムシタビン-タウロコール酸塩(1:1),プロドラッグの調製] 0.30g(1.139mmol)のゲムシタビン遊離塩基を50℃においてエチルアルコール(20mL;200proof)に溶解する。別のフラスコで、タウロコール酸(0.58g;1.124mmol)をエチルアルコール(10mL;200proof)に溶解する。TC溶液をゲムシタビンに滴下して加える。10mLのエタノールを加え、沈殿が生じるまで50℃において溶液を攪拌する(約30分)。室温で溶液を冷却する。沈殿した固形物を真空濾過で収集し、真空デシケーターで乾燥させる。その結果、白色固体の外観になる。
【0050】
望ましくは、組成物及び方法は、次の利点の一又は複数を示す:1)アニオン性ステロイドとゲムシタビンの間の強い静電気相互作用を達成する、2)溶解性の問題を回避する、3)ゲムシタビン-タウロコレート複合体の高い安定性、4)ゲムシタビンを高濃度でボーラス又は短期注入として投与する能力、5)ゲムシタビンの半減期の延長、6)ゲムシタビンの毒性の減少、7)ゲムシタビンの治療効果の増加、及び8)がん細胞における多剤耐性の調節。
【0051】
実施例7.GEMZAR(登録商標)とGEM-TCAの細胞傷害性の比較
GEM-TCA製剤を入手した後、承認された抗がん剤であるGEMZAR(登録商標)と比較して、その腫瘍細胞殺効力を試験した。10%FBSを補充した150ulのEMEMで処理する前日に、1×10のHeLa細胞を96ウェルプレートのウェルに播種した。翌日、50uLのGEMZAR(登録商標)又はGEM-TCAを同じ培地で希釈し、細胞に加えた(0.1nM~100uM)。化学物質曝露の72時間後、CellTiter-Glo Luminescent細胞生存アッセイ(Promega)で細胞傷害性を評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す(図7)。明らかに、GEM-TCAは、0.1nM~100nMの濃度を用いたHela細胞培養研究において、GEMZAR(登録商標)と同じ抗がん(腫瘍細胞死滅)活性を示した。
【0052】
実施例8.HepG2及びPanc-1細胞培養におけるGEMZAR(登録商標)とGEM-TCAの比較
我々は、GEMZAR(登録商標)及びGEM-TCAの腫瘍細胞殺効力を、HepG2(高分化型肝細胞がんを患っている15歳の白人男性の肝組織に由来する、ヒト肝がん細胞からなる永久細胞株)及びPanc-1(56歳の白人男性の管由来の膵臓がんから樹立された細胞株)細胞培養を用い、その後に細胞生存率を測定することにより更に比較した。GEMZAR(登録商標)とGEM-TCAの細胞傷害性の比較は、次の工程で実施した。2×10のPanc-1及びHepG2細胞を150ulのEMEM/10%FBSの96ウェルプレートのウェルに播種した。翌日、培地に、同じ培地で希釈した0.1nM~100uMのGEMZAR(登録商標)又はGemTcを補充した。化学物質曝露の72時間後、細胞傷害性をCell Titer-Glo Luminescent細胞生存率アッセイ(Promega)で評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す。再び、GEM-TCAは、0.1nM~100nMの濃度においてHepG2とPanc-1の両方の細胞培養試験で同じ腫瘍細胞殺効力を示した(図8)。
【0053】
実施例9.GEM-TCAに対するPanc-1細胞の化学療法感受性に関するmTOR遺伝子のmRNAに特異的なsiRNAによるフォワードトランスフェクションの効果
膵腫瘍は最も致命的なタイプの消化器がんであり、5年生存率は5%である。アジュバント化学療法はゲムシタビン単独又は放射線療法を伴う5-フルオロウラシル注入との併用のままである。膵臓がんが転移すると、それは一様に致命的であり、診断から典型的には6ヶ月の全生存期間である。ゲムシタビンは、局所進行性及び転移性の両方の疾患において標準となっている。チロシンキナーゼ阻害剤エルロチニブの追加は、生存期間中央値を僅か2週間延長する。ゲムシタビンベースのレジメンは現在、局所進行性又は転移性膵臓腺がんの患者の標準的な第一選択治療として受け入れられているが、第二選択の設定での治療に関するコンセンサスはない。最近、チロシンキナーゼ阻害剤スニチニブとmTOR阻害剤エベロリムスの2つの標的薬剤が、膵神経内分泌腫瘍に対してFDAにより承認された。
【0054】
ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231及びマウスCT26細胞を用いた細胞培養試験と、それに続くqRT-PCR分析により強力なmTOR特異的siRNAを同定した:mTOR-siRNA:
センス:5’-r(GGUCUGGUGCCUGGUCUGAUGAUGU)-3’
アンチセンス:5’-r(ACAUCAUCAGACCAGGCGCACCAGACC)-3’
【0055】
発がん性遺伝子標的ノックダウンがGEM-TCAに対するPanc-1細胞の化学療法感受性を誘導しうるという独自の仮説を実現するために、次の手順で実験を行った。5×10のPanc-1細胞を、100ulのDMEM/10%FBSの96ウェルプレートのウェルに播種した。翌日、製造業者の推奨に従って、細胞にsiRNA/リポフェクタミン2000複合体をトランスフェクトした。5~6時間で培地を変えた。翌日、様々な濃度のGEM-TCAが、トランスフェクトされた細胞に適用される。化学物質曝露の72時間後、細胞傷害性をCell Titer-Glo Luminescent細胞生存率アッセイ(Promega)で評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は、対照、非標的siRNAでトランスフェクトされた細胞とは異なる各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す(p<0.05,スチューデントt検定)。図9の観察に基づいて、2つの固定mTOR-siRNA濃度:10nM及び20nMで、GEM-TCAによる腫瘍細胞死滅が12.3nM~1μMの濃度で有意に改善されたことが分かる。
【0056】
実施例10.低用量GEM-TCAに曝露されたPanc-1細胞の化学療法感受性に対するTGF-β1siRNA及びmTORsiRNAの効果
TGF-β1siRNAとmTORsiRNAがPanc-1細胞のGEM-TCAに対する化学的感受性を誘導するという性質をよく理解するために、我々は、これらの2つのsiRNA二重鎖を30nMの固定濃度で試験し、更に細胞を3.9nM~1μMまでの様々な濃度でGEM-TCAに曝露した。翌日、培地に、同じ培地で希釈した3.9nM~1000nMのGemTcを補充した。化学物質曝露の48時間後、Cell Titer-Glo Luminescent細胞生存率アッセイ(Promega)で細胞傷害性を評価した。未処理細胞(ブランク)から得られた値を100%に設定した。全ての値は各希釈に対して4回反復の平均±S.D.を表す。対応サンプル両側スチューデントt検定を使用して有意性を判定した。TGF-β1siRNAは、複数のインビトロ及びインビボアッセイを用いて以前に同定され検証された:
センス:5’-r(CCUCAAUUCAGUCUCUCAUCUGCGCAA)-3’
アンチセンス:5’-r(UUGCAGAUGAGAGACUGAAUUGAGG)-3
【0057】
図10の観察から、我々は、TGF-β1siRNAとmTORsiRNAの両方が、低濃度(3.9nM)でGEM-TCA処理に対してPanc-1細胞を有意に感作することができることを見出した。GEM-TCA濃度が15.6nMに増加すると、mTORsiRNA処置の感作効果は消失した。しかし、GEM-TCA濃度が62.5nMに増加した場合でも、感作効果は依然として有意であった。何れの場合も、最大細胞死滅は60%で止まった。これらの結果に基づいて、我々は、GEM-TCAが腫瘍細胞殺特性を保持しており、その抗腫瘍活性はmTORsiRNA又は他の腫瘍標的サイレンシングsiRNAによって更に増強されうると結論付ける。
【0058】
実施例11.GEM-TCA/siRNAナノ粒子の特徴付け
我々は、10/1、又は20/1、又は30/1、又は40/1、又は50/1の比率のGEM-TCA/siRNA製剤の粒子サイズとゼータ電位を更に測定した。その結果、GEM-TCA/siRNAが10/1の比率の場合、平均粒子サイズは約153.2nm(図11)で、ゼータ電位は約-10.62(図12)である。従って、GEM-TCAはsiRNAを分子量10/1の比率でナノ粒子にパッケージ化できる。
【0059】
実施例12.ゲムシタビンとHKPの結合戦略のデザイン
残基反復及び分岐ペプチドのポリアミンとして、HKPは修飾が非常に困難である。3種類の官能性アミン(ペプチド結合のアミンを除く)がある:48個のイミダゾール基、20個のイプシロン-アミン、及び5個のN末端アルファ-アミン。それらのアミンを介してHKPを修飾したい場合、それらが互いに干渉し、最終的に様々な分岐を持つ複数の中間体が生成される。我々は、HKPのC末端に、他の全ての官能性アミン基とは異なる特別なアミンが一つあることを見出した。それは、C末端カルボキシルのヒドロキシル(-OH)であった位置であったが、HKPではアミドと呼ばれるアミンに置き換えられた(図13)。窒素の孤立電子対がカルボニルに移動し、最終的にC=N二重結合とヒドロキシルを形成するという特別な特性がある。実際、アミドは酸触媒によりカルボキシルへ加水分解される。これは、HKPの唯一の「C末端」が酸条件下でカルボキシル基に戻ることを意味する。これは、修飾に利用することができる独特のブレイクアウトになる。我々はC末端のカルボキシル基を介してHKPを修飾できる。
【0060】
ゲムシタビンはヌクレオシド類似体である。ゲムシタビンの殆どの化学修飾は、専ら2つの部位、4-(N)及び5’-(OH)を介しており、様々なゲムシタビン誘導体が開発されている。プロドラッグとして、その2つの部位を介した修飾により、ゲムシタビンが体内で活性薬物として放出され、送達効率が改善される。図14で提案されるように、我々は、HKPとゲムシタビンを結合させる戦略としてEDC-NHS化学を選択することにした。これはカルボジイミド架橋剤化学である。EDC(EDACとも呼ばれる)は1-エチル-3-(-3-ジメチルアミノプロピル)で、NHSはN-ヒドロキシスクシンイミドである。
【0061】
EDC-NHS化学を使用する利点:
1.EDC-NHS反応が、酸条件で最も効果的に生じる。
2.HKPは酸条件下でカルボキシル基を生成する。
3.EDC-NHS反応は、-NH よりも-NHを優先する。
4.ゲムシタビンの-NHは、pKaの値が低い(約2.8)ため、酸条件でHKPの干渉アミンに抵抗し、これがHKPの自己結合の代わりにゲムシタビンをHKPと結合させる(図15)。
【0062】
実施例13.GEM-HKP構造及び分子量の特徴付け
図16に見られるように、HKP分子は約200nmに特徴的なUV吸収ピークを持ち、これが主にヒスチジンに起因する一方、ゲムシタビンは、シトシンに対してそれぞれ209nmと272nmに糖を表す2つのピークを持つ。そこで、我々は、ゲムシタビンの指標として272nmのピーク波長を選択し、HKPの指標として205nmを選択した。次に、図17に示されるように、純粋なHKPとゲムシタビンに対してHPLCアッセイを実行した。HKP(9.6kD)とゲムシタビン(236D)の分子量には大きな違いがあるため、それらは異なる時点でカラムから出てきた。HKPのピークは約19分に現れ、ゲムシタビンのピークは約5分に現れた。ゲムシタビンは、約19分で全く吸収がない。しかし、GEM-HKPを測定した場合、この単一化合物は205nmと272nmの両方で吸光度を示し、共に約19分に2つのピックを示す。
【0063】
HKPとゲムシタビンを結合させた後、生成された状態の化合物は、約19分の同じ時点で、272nmと205nmの両方の波長に2つの強いピークを示した。HKPと比較すると、ゲムシタビンはかなり小さい分子(40倍小さい)であり、提案された反応機構に示されるように、HKPに加わった1分子のゲムシタビンはHKPピーク位置を余り遅らせない。また、ゲムシタビンは約205nmにも吸光度を有するが、等モルレベルの場合、HKPと比較してその吸光度は無視できる。更に、我々は、より長い又はより短い時点(0~60分)では他の強いピークを見出さなかった。
HPLC及びUVの結果に基づいて、我々は以下の結論を出すことができる:
1.提案されたHKP-ゲムシタビン(HKP-GEM)化合物は成功裡に合成される。
2.新規化合物では、一つのHKPに一つのゲムシタビンが結合している。
3.有意な副産物は観察されなかった。
【0064】
実施例14.GEM-HKP/siRNAナノ粒子製剤特性
我々は、HKP-GEM水溶液とsiRNA水溶液を4:1の比率で混合したときのナノ粒子製剤の物理化学的特性(粒子サイズとゼータ電位)を更に測定する。スクランブルsiRNAをGEM-HKPと共に使用してナノ粒子を形成し、元のHKPを同じ条件下で陽性対照として使用した。ナノ粒子のサイズとゼータ電位は、Brookhaven 90Plus Nanosizerを使用して測定した。図16に示されるように、GEM-HKPの平均粒子サイズは79nmで、ゼータ電位は25mVである。GEM-HKP/siRNAのナノ粒子は、HKP/siRNAと同様のゼータ電位を有するが、粒子サイズは異なる(図18)。しかし、これは新規化合物であるため、最適な比率は少し変わる可能性があり、それは後で解決される可能性がある。ナノサイザーの結果に基づいて、新規化合物HKP-GEMのナノ粒子形成能を検証した。
【0065】
実施例15.GEM-HKPはsiRNAをPanc-1細胞中に送達する
我々は、次に、レポーターとしてAF488siRNA(蛍光AF488で修飾されたスクランブルsiRNA)を使用して、GEM-HKPと共にナノ粒子を形成し、インビトロsiRNAトランスフェクションに対するその能力を評価した。HKP-siRNAナノ粒子を対照として使用した。図19に示されるように、我々の新規化合物GEM-HKPには、HKPと同様の効率でsiRNAを細胞中に送達する能力がある。Panc-1細胞株をこの評価のモデルとして使用した。
【0066】
実施例16.GEM-HKPは腫瘍細胞殺活性を示す
図19の観察に基づいて、腫瘍細胞を殺すためのその細胞傷害活性についてGEM-HKPを試験することに更に移った。非コーディングAF488標識siRNAを、Panc-1細胞に、HKP又はGEM-HKPと共に4.5:1の担体:siRNA比でトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、siRNAとトランスフェクション剤又は薬物のみを含む培地を新鮮培地と置き換えた。トランスフェクションの48時間後と72時間後に、細胞死滅の評価のために細胞増殖の画像を撮影した(図20)。細胞殺活性はトランスフェクション後24時間ではあまり明確ではなかったが、GEM-HKP担持siRNAナノ粒子は強力な細胞殺活性を示した。この結果は、GEM-HKPがsiRNA送達(HKP機能)と腫瘍細胞死滅(ゲムシタビン機能)の特性を保持できることを示唆している。従って、GEM-HKPは新規の抗腫瘍剤でありながら、治療用siRNA薬を送達できる。
【0067】
実施例17.GEM-TACは、GemZarよりも強力なA549異種移植腫瘍モデルにおける活性腫瘍増殖阻害剤である
A549(肺がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験は、MODが治療なしの腫瘍モデル群であることを実証した。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TCAは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=6。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した(図22)。
【0068】
実施例18.GEM-TACは、GemZarよりも強力なPANC-1異種移植腫瘍モデルにおける活性腫瘍増殖阻害剤である
PANC-1(膵臓がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験は、MODが治療なしの腫瘍モデル群であることを実証した。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TCAは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=6。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した(図23、24、25)。
【0069】
実施例19.GEM-TACは、Lovo細胞異種移植腫瘍モデルにおいてSTP302と組み合わせて抗腫瘍活性を増強することができる
Lovo細胞(結腸がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験は、MODが治療なしの腫瘍モデル群であることを実証した。STP302は、mir150/HKP製剤を使用したmiRNA治療薬候補である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=6。GEM-TAC+STP302の組合せは、その個々の使用よりも優れた効果をもたらした(図26、27)。
【0070】
実施例20.GEM-TACは、Lovo細胞異種移植腫瘍モデルにおいてSTP302と組み合わせて抗腫瘍活性を増強することができる
Lovo細胞(結腸がん)細胞異種移植マウスモデルを用いた腫瘍抑制試験は、MODが治療なしの腫瘍モデル群であることを実証した。MODは治療なしの腫瘍モデル群である。GEMは、GemZarで治療された腫瘍モデル群である。GEM-TACは、ゲムシタビン-タウロコール酸製剤で治療された腫瘍モデル群である。コホート群N=8。GemZarとGEM-TACを同じ投薬量で使用した。GemZarとGEM-TACの治療ベネフィット間には有意な差がある(図28、29)。
【0071】
実施例21.Caski細胞培養研究を使用して、ヒトPDL-1遺伝子に対して強力なsiRNA配列を選択した
ヒト子宮頸がん細胞株,Caski細胞培養を使用して、PDL-1遺伝子発現の阻害について複数のsiRNA配列をスクリーニングした。陽性のsiRNA配列に星印を付した(図30、31)。Human_PDL1_3. 5’-UCGCCAAACUAAACUUGCUGCUUAA-3’(1533);Human_PDL1_6. 5’-AAGCAUAAAGAUCAAACCGUUGGUU-3’(1635)**
【0072】
実施例22.Caski細胞培養研究を使用して、ヒトPDL-2遺伝子に対して強力なsiRNA配列を選択した
ヒト子宮頸がん細胞株,Caski細胞培養を使用して、PDL-2遺伝子発現の阻害について複数のsiRNA配列をスクリーニングした。陽性のsiRNA配列に星印を付した(図32、33)。Human_PDL1_6. 5’-AAGCAUAAAGAUCAAACCGUUGGUU-3’(1635)***;H_PDL2(918)5’-CAGGACCCATCCAACTTGGCTGCTT-3’***
【0073】
【0074】
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【0075】
発行された特許及び公開特許出願を含む、ここで特定される全ての刊行物、及びurlアドレス、アクセッション番号などによりここで特定される全てのデータベースエントリの開示は、その全体が出典明示によりここに援用される。
【0076】
この発明をその所定の実施態様に関連して記載し、多くの詳細を例示目的で説明したが、本発明は追加の実施態様を受け入れる余地が高く、ここに記載の詳細の所定のものは本発明の基本的な原理から逸脱することなくかなり変更することができることは当業者には明らかであろう。
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