(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】合わせガラス用中間膜、ロール体及び合わせガラスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20240919BHJP
B60J 1/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
C03C27/12 N
B60J1/00 H
C03C27/12 D
(21)【出願番号】P 2020526158
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 JP2019050019
(87)【国際公開番号】W WO2020137851
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2018246941
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 潤
(72)【発明者】
【氏名】西野 博満
(72)【発明者】
【氏名】糸川 亜弥
(72)【発明者】
【氏名】柳井 正史
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052810(JP,A)
【文献】特開2018-083228(JP,A)
【文献】特開2017-110036(JP,A)
【文献】国際公開第2017/039004(WO,A1)
【文献】特開2009-161407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/12,
B32B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合わせガラス用中間膜本体と、前記合わせガラス用中間膜本体の第1の表面上に、印刷により表示された印刷部とを備え、
前記印刷部が、UVレーザー印刷により表示された印刷部であり、
前記印刷部が、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印であるか、又は、合わせガラス用中間膜の製品情報である、合わせガラス用中間膜。
【請求項2】
前記印刷部が、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項3】
前記印刷部が、線、文字、記号又は図形として表示されている、請求項1又は2に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項4】
前記印刷部が、線幅10mm以下の線として表示されている部分を有する、請求項3に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項5】
一端と、前記一端の反対側に他端とを有し、
前記他端の厚みが、前記一端の厚みよりも大きく、
中間膜全体での楔角が0.1mrad以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項6】
下記の作製方法により合わせガラスを得たときに、得られた合わせガラスにおいて、中間膜の前記印刷部に対応する領域の平行光透過率と、前記印刷部周辺の非印刷部に対応する領域の平行光透過率との差の絶対値が5%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
合わせガラスの作製方法:JIS R3202:2011に準拠した厚み2mmの第1のクリアガラス及びJIS R3202:2011に準拠した厚み2mmの第2のクリアガラスを用意する。中間膜の前記印刷部が前記第1のクリアガラス側に位置するように、中間膜を前記第1のクリアガラスと前記第2のクリアガラスとで挟み、240℃及び98N/cmの線圧力の条件で予備圧着する。その後、140℃及び1.3MPaの圧力の条件で圧着し、合わせガラスを得る。
【請求項7】
ヘッドアップディスプレイである合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜であって、
ヘッドアップディスプレイの表示領域に対応する表示対応領域を有する、請求項1~
6のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項8】
シェード領域を有する、請求項1~
7のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラスに用いられる、請求項1~
8のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜。
【請求項10】
巻き芯と、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の合わせガラス用中間膜とを備え、
前記合わせガラス用中間膜が、前記巻き芯の外周に巻かれている、ロール体。
【請求項11】
第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に配置された合わせガラス用中間膜とを備える合わせガラスの製造方法であって、
前記合わせガラス用中間膜は、合わせガラス用中間膜本体と、前記合わせガラス用中間膜本体の第1の表面上に、印刷により表示された印刷部とを備え、前記印刷部は、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印であり、
前記合わせガラス用中間膜の第1の表面上に前記第1の合わせガラス部材を配置する、第1の配置工程と、
前記合わせガラス用中間膜の前記第1の表面とは反対側の第2の表面上に、前記第2の合わせガラス部材を配置する、第2の配置工程とを備え、
前記第1の配置工程において、前記合わせガラス用中間膜の前記印刷部を目印にして、前記第1の合わせガラス部材と前記合わせガラス用中間膜とを貼り合わせるか、又は、前記第2の配置工程において、前記合わせガラス用中間膜の前記印刷部を目印にして、前記第2の合わせガラス部材と前記合わせガラス用中間膜とを貼り合わせる、合わせガラスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラスを得るために用いられる合わせガラス用中間膜に関する。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いたロール体及び上記合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合わせガラスは、一般に、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片の飛散量が少なく、安全性に優れている。このため、上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に広く使用されている。上記合わせガラスは、一対のガラス板の間に合わせガラス用中間膜を挟み込むことにより、製造されている。
【0003】
例えば、上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス及びサイドガラス等に用いられている。また、自動車に用いられる上記合わせガラスとして、ヘッドアップディスプレイ(HUD)が知られている。HUDでは、自動車のフロントガラスに、自動車の走行データである速度などの計測情報等を表示させることができ、運転者はフロントガラスの前方に表示が映し出されているように認識することができる。
【0004】
下記の特許文献1には、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜が開示されている。この中間膜は、熱可塑性樹脂を含み、一端と、上記一端とは反対側に上記一端よりも大きい厚みを有する他端とを有し、ヘッドアップディスプレイの表示領域に対応する表示対応領域を有する。この中間膜では、上記表示対応領域と、上記表示対応領域に隣接する周囲領域とが、目視にて識別可能であるか、又は、上記表示対応領域の色又は光沢度が、上記表示対応領域に隣接する周囲領域の色又は光沢度と異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
合わせガラスは、合わせガラス部材と中間膜とを貼り合わせた後、該合わせガラス部材の端部からはみ出ている中間膜を切り取る(トリムカット)ことにより製造される。
【0007】
合わせガラスの製造工程においては、上記合わせガラス部材と上記中間膜とが適切な組み合わせで用いられる必要がある。しかしながら、複数の中間膜の外見が類似していることが多く、製造時において中間膜を判別することが困難なことがある。中間膜の判別が困難であることを悪用し、他社製品のラベルを取替えてコピー品を販売するといったことが行われることがある。
【0008】
また、合わせガラスの製造工程においては、上記合わせガラス部材と上記中間膜とを適切な位置にて貼り合わせることが望ましい。上記合わせガラス部材と上記中間膜とが適切な位置で貼り合わせられていない場合には、トリムカットによって廃棄される中間膜の量が増加したり、製造された合わせガラスに性能上又は外観上の不具合が生じたりすることがある。
【0009】
例えば、中間膜がシェード領域を有する場合には、製造された複数の合わせガラスにおいて、シェード領域の位置及び幅等にばらつきが生じることがある。特にサイドガラス等の形状が対称でない合わせガラスを製造する際は、シェード領域の位置及び幅等にばらつきが生じやすい。
【0010】
また、HUDに用いられる中間膜として、楔状の中間膜が用いられることがある。楔角が調整された中間膜の表示対応領域と合わせガラス部材の表示対応領域とを一致させることにより二重像を効果的に抑えることができる。しかしながら、中間膜の楔角を調整したとしても、上記合わせガラス部材と上記中間膜とが適切な位置で貼り合わせられていない場合には、これらの表示対応領域間の位置ずれが生じ、その結果、二重像が生じることがある。特に一端から他端にかけて厚みの増加量が変化する部分を有する楔状の中間膜では、表示対応領域間の位置ずれによる二重像が生じやすい。
【0011】
上記のように、合わせガラス部材と中間膜とが、適切な組み合わせで用いられなかったり、適切な位置にて貼り合わせられなかったりする場合には、結果として、合わせガラスの製造効率が低くなる。
【0012】
本発明の目的は、合わせガラスの製造効率を高めることができる合わせガラス用中間膜を提供することである。また、本発明は、上記合わせガラス用中間膜を用いたロール体及び上記合わせガラス用中間膜を用いる合わせガラスの製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広い局面によれば、合わせガラス用中間膜本体と、前記合わせガラス用中間膜本体の第1の表面上に、印刷により表示された印刷部とを備え、前記印刷部が、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印であるか、又は、合わせガラス用中間膜の製品情報である、合わせガラス用中間膜(本明細書において、「合わせガラス用中間膜」を「中間膜」と略記することがある)が提供される。
【0014】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記印刷部が、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印である。
【0015】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記印刷部が、線、文字、記号又は図形として表示されている。
【0016】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記印刷部が、線幅10mm以下の線として表示されている部分を有する。
【0017】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記印刷部が、UVレーザー印刷により表示された印刷部である。
【0018】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、一端と、前記一端の反対側に他端とを有し、前記他端の厚みが、前記一端の厚みよりも大きく、中間膜全体での楔角が0.1mrad以上である。
【0019】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、ヘッドアップディスプレイである合わせガラスに用いられる合わせガラス用中間膜であって、ヘッドアップディスプレイの表示領域に対応する表示対応領域を有する。
【0020】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、シェード領域を有する。
【0021】
本発明に係る中間膜のある特定の局面では、前記中間膜は、車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラスに用いられる。
【0022】
本発明の広い局面によれば、巻き芯と、上述した合わせガラス用中間膜とを備え、前記合わせガラス用中間膜が、前記巻き芯の外周に巻かれている、ロール体が提供される。
【0023】
本発明の広い局面によれば、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、前記第1の合わせガラス部材と前記第2の合わせガラス部材との間に配置された合わせガラス用中間膜とを備える合わせガラスの製造方法であって、上述した合わせガラス用中間膜の第1の表面上に前記第1の合わせガラス部材を配置する、第1の配置工程と、前記合わせガラス用中間膜の前記第1の表面とは反対側の第2の表面上に、前記第2の合わせガラス部材を配置する、第2の配置工程とを備え、前記第1の配置工程において、前記合わせガラス用中間膜の前記印刷部を目印にして、前記第1の合わせガラス部材と前記合わせガラス用中間膜とを貼り合わせるか、又は、前記第2の配置工程において、前記合わせガラス用中間膜の前記印刷部を目印にして、前記第2の合わせガラス部材と前記合わせガラス用中間膜とを貼り合わせる合わせガラスの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る合わせガラス用中間膜は、合わせガラス用中間膜本体と、上記合わせガラス用中間膜本体の第1の表面上に、印刷により表示された印刷部とを備える。本発明に係る中間膜では、上記印刷部が、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印であるか、又は、合わせガラス用中間膜の製品情報である。本発明に係る合わせガラス用中間膜では、上記の構成が備えられているので、合わせガラスの製造効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び正面図である。
【
図2】
図2(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び正面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第5の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第6の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7(a)及び(b)は、本発明の第7の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び正面図である。
【
図8】
図8(a)及び(b)は、本発明の第8の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び正面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜の変形例を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、
図1に示す合わせガラス用中間膜が巻かれたロール体を模式的に示す斜視図である。
【
図12】
図12は、実施例の二重像の評価における予備圧着方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0027】
本発明に係る合わせガラス用中間膜(本明細書において、「中間膜」と略記することがある)は、合わせガラスに用いられる。
【0028】
本発明に係る中間膜は、合わせガラス用中間膜本体(本明細書において、「中間膜本体」と略記することがある)と、上記合わせガラス用中間膜本体の第1の表面上に、印刷により表示された印刷部とを備える。上記中間膜本体は、中間膜における印刷部を除く部分を含む。本発明に係る中間膜では、上記印刷部が、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印であるか、又は、合わせガラス用中間膜の製品情報である。
【0029】
上記印刷部は、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印であってもよく、合わせガラス用中間膜の製品情報であってもよく、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印と合わせガラス用中間膜の製品情報との双方であってもよい。
【0030】
本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているので、合わせガラスの製造効率を高めることができる。本発明に係る中間膜では、上記の構成が備えられているので、中間膜を容易に判別することができ、また、トリムカットによって廃棄される中間膜の量を少なくしたり、製造された合わせガラスの性能又は外観を良好にしたりすることができる。
【0031】
上記印刷部は、線、文字、記号又は図形として表示されていることが好ましい。
【0032】
上記中間膜本体は、1層の構造又は2層以上の構造を有する。上記中間膜本体は、1層の構造を有していてもよく、2層の構造を有していてもよく、2層以上の構造を有していてもよい。上記中間膜本体は、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を有していてもよい。上記中間膜本体は、単層の中間膜本体であってもよく、多層の中間膜本体であってもよい。なお、上記中間膜本体の層数は、上記中間膜の層数と一致する。
【0033】
上記印刷部は、上記中間膜本体の第1の表面上のみに備えられていてもよく、上記中間膜本体の第1の表面上と、該第1の表面とは反対側の第2の表面上とに備えられていてもよい。上記中間膜は、中間膜の第1の表面上に上記印刷部を有していてもよく、中間膜の第1の表面上と、該第1の表面とは反対側の第2の表面上とに上記印刷部を有していてもよい。
【0034】
上記印刷部と上記中間膜本体とは、目視にて識別可能であることが好ましい。この場合に、上記印刷部と上記中間膜本体とは、通常の環境下(例えば蛍光灯照射下)において目視にて識別可能であってもよく、特定波長の光を照射したときに目視にて識別可能であってもよい。上記印刷部と上記中間膜本体とは、通常の環境下において目視にて識別可能ではなく、かつ特定波長の光を照射したときに目視にて識別可能であってもよい。特に、上記印刷部と上記中間膜本体とが特定波長の光を照射したときに目視にて識別可能である場合には、合わせガラスの製造後においても、該合わせガラスに特定波長の光を照射することで、中間膜及び合わせガラスの製品情報を追跡することができる。
【0035】
上記印刷部と上記中間膜本体とが、目視にて識別可能であるか否かは、通常の視力(例えば視力1.0)を有する者が、中間膜の第1の表面(印刷部を有する表面)を、該第1の表面から70cm離れた位置から目視したときに、上記印刷部と上記中間膜本体とを識別可能か否かで判断する。
【0036】
上記印刷部は、線、文字、記号又は図形等が印刷により表示された領域である。したがって、上記印刷部は、中間膜の表面をエンボス加工によって光沢度を変化させた領域とは異なり、また、上記印刷部は、着色剤等を配合した樹脂組成物により成形された中間膜における着色部とは異なる。
【0037】
また、上記印刷部は、合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印であるか、又は、合わせガラス用中間膜の製品情報である。したがって、上記印刷部は、意匠性のために形成された印刷部とは異なる。
【0038】
上記印刷部は、線を有していてもよく、文字を有していてもよく、記号を有していてもよく、図形を有していてもよい。上記印刷部は、線、文字、記号及び図形が組み合わせられていてもよい。また、図形としては、円形状、三角形状、四角形状及び点形状等の図形が挙げられる。上記印刷部は、バーコード及び二次元コード等を有していてもよい。上記二次元コードとしては、QRコード(登録商標)等が挙げられる。
【0039】
合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印として、上記印刷部は線を有することが好ましい。合わせガラス部材への貼り合わせ位置の目印として、上記印刷部は線として表示されている部分を有することが好ましい。
【0040】
上記線としては、合わせガラス部材の端部との位置合わせのための線(目印)、及びHUD領域の位置合わせのための線(目印)等が挙げられる。
【0041】
上記合わせガラス部材の端部との位置合わせのための線が印刷される位置、及びHUD領域の位置合わせのための線が印刷される位置は、用いる合わせガラス部材の大きさにより適宜変更される。
【0042】
上記線は、直線であってもよく、折れ線であってもよく、曲線であってもよい。また、上記線は、実線であってもよく、点線であってもよく、波線であってもよい。
【0043】
上記線の線幅は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.1mm以上である。上記線の線幅は、好ましくは330mm以下、より好ましくは300mm以下、より一層好ましくは250mm以下、さらに好ましくは200mm以下、さらに一層好ましくは150mm以下、さらにより一層好ましくは100mm以下、特に好ましくは10mm以下、最も好ましくは5mm以下である。上記線幅が上記下限以上及び上記上限以下であると、印刷部の識別力を高めることができ、また、合わせガラス部材への貼り合わせを容易にすることができる。
【0044】
合わせガラス用中間膜の製品情報としての上記印刷部は、線、文字、記号、又は図形として表示されていることが好ましい。
【0045】
上記製品情報としては、製造業者名、製品名、商標、ロット番号、バーコード及び二次元コード等が挙げられる。線、文字、記号、図形、又はこれらを組み合わせることにより、上記製品情報としての印刷部が表示されていてもよい。
【0046】
上記印刷部の色としては、特に限定されず、白色、黒色、赤色、青色、黄色及び緑色等が挙げられる。上記印刷部は、半透明であってもよい。半透明とは、完全透明ではなくかつ透けて見えることをいう。上記印刷部は、通常の光源下(例えば蛍光灯照射下)では無色であり、特定波長の光を照射したときに発光してもよい。
【0047】
上記印刷部は、合わせガラスの製造時にトリムカットにより取り除かれてもよく、取り除かれなくてもよい。上記印刷部がトリムカットにより完全に取り除かれる場合には、製造された合わせガラスの中間膜において、印刷部が存在しない。上記印刷部は、合わせガラスの製造時にトリムカットにより取り除かれることが好ましい。上記印刷部がトリムカットにより取り除かれない場合には、製造された合わせガラスの中間膜において、印刷部が存在する。
【0048】
上記印刷部を形成する方法としては、レーザー印刷、インクジェット印刷、マジックマーカー印刷及びラベラー印刷等が挙げられる。
【0049】
上記印刷部は、レーザー印刷、インクジェット印刷又はラベラー印刷により表示された印刷部であることが好ましく、レーザー印刷又はインクジェット印刷により表示された印刷部であることがより好ましく、レーザー印刷により表示された印刷部であることがさらに好ましい。レーザー印刷は、UVレーザー印刷であることが好ましい。上記印刷部がUVレーザー印刷等のレーザー印刷により表示された印刷部であると、合わせガラスの製造時に付与される熱及び圧力等の影響により該印刷部が消えやすくなり、その結果、合わせガラスにおいて該印刷部を視認し難くすることができる。上記印刷部が、通常の光源下では無色であり、かつ特定波長の光を照射したときに発光する印刷部である場合、該印刷部は、インクジェット印刷により表示された印刷部であることが好ましい。このような性質を有する印刷部は、例えば、アルマーク社製「リンクス UV蛍光インク 1121」等の蛍光トナーをインクジェット印刷することにより表示させることができる。
【0050】
上記印刷部は、加熱により表示されなくなることが可能であることが好ましい。合わせガラスが熱圧着により形成される場合に、上記印刷部は、熱圧着時の加熱により表示されなくなることが可能であることが好ましい。上記印刷部は、70℃以上の加熱により表示されなくなることが可能であることが好ましい。また、上記印刷部は、120℃以上の加熱により表示されなくなることが可能であることがより好ましい。
【0051】
上記UVレーザー印刷に用いることができる装置の市販品としては、キーエンス社製「MD-U1000C」等が挙げられる。
【0052】
上記インクジェット印刷に用いることができる装置の市販品としては、キーエンス社製「MK-U6000」等が挙げられる。また、蛍光トナーをインクジェット印刷することができる装置の市販品としては、アルマーク社製「LINX 7900」等が挙げられる。
【0053】
上記マジックマーカー印刷に用いることができる装置の市販品としては、アヤハエンジニアリング社製「AMK-マジックLL」等が挙げられる。
【0054】
上記ラベラー印刷に用いることができる装置の市販品としては、アヤハエンジニアリング社製「AMK-クリーン」等が挙げられる。
【0055】
下記の合わせガラスの光照射試験をしたときに、該合わせガラスにおける中間膜の上記印刷部に対応する領域により投影される影の輝度に差がないことが好ましい。
【0056】
光照射試験:縦30cm及び横15cmの中間膜を用意する。上記縦方向が中間膜のTD方向であり、上記横方向が中間膜のMD方向であることが好ましい。JIS R3202:2011に準拠した厚み2mmの第1のクリアガラス及びJIS R3202:2011に準拠した厚み2mmの第2のクリアガラスを用意する。中間膜の上記印刷部が第1のクリアガラス側に位置するように、中間膜を第1のクリアガラスと第2のクリアガラスとで挟み、240℃及び98N/cmの線圧力の条件で予備圧着する。その後、140℃及び1.3MPaの圧力の条件で圧着し、合わせガラスを得る。床からの高さ80cmの位置に床に対して垂直な方向に向かって床から15度の角度で強光源装置を設置する。強光源装置から175cm離れた位置でありかつ合わせガラスの中央が床からの高さ1mとなる位置に、合わせガラスの面方向が強光源の照射方向に直交するように、かつ合わせガラスの第1のクリアガラス側が強光源側となるように合わせガラスを配置する。強光源から合わせガラスに光を照射して、合わせガラスから25cm背面に、該合わせガラスにおける中間膜の上記印刷部に対応する領域により投影される影を視力1.0の検査員が目視にて確認し、影の輝度の差の有無を判定する。
【0057】
なお、上記光照射試験においては、上記印刷部が、上記中間膜本体の第1の表面上と第2の表面上との双方に備えられ、かつ合わせガラスの両側で異なる輝度の値が得られる場合には、特定の位置関係にて合わせガラスを得る。すなわち、高い輝度の値が得られる印刷部が第1のクリアガラス側に位置するように、低い輝度の値が得られる印刷部が第2のクリアガラス側に位置するようにして合わせガラスを得る。
【0058】
上記光照射試験で用いられる合わせガラスにおいて、中間膜の上記印刷部に対応する領域の平行光透過率は、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上である。
【0059】
上記光照射試験で用いられる合わせガラスにおいて、中間膜の上記印刷部に対応する領域の平行光透過率と、印刷部周辺の非印刷部に対応する領域の平行光透過率との差の絶対値は、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。なお、印刷部周辺の非印刷部とは、印刷部から5mm以内の領域を意味する。
【0060】
上記平行光透過率は、JIS R3106:1998に準拠して測定される。具体的には、分光光度計を用いて、透過した平行光のみが積分球へ受光するように、光源と積分球との光路上で光軸の法線に平行に、かつ積分球から13cm離れた地点に、上記合わせガラスを設置した状態で測定される。上記平行光透過率は、この状態で測定された分光透過率から算出された可視光線透過率を意味する。上記分光光度計としては、例えば、日立ハイテク社製「U-4100」等が挙げられる。
【0061】
上記中間膜は、一端と、上記一端の反対側に他端とを有することが好ましい。上記一端と上記他端とは、中間膜において対向し合う両側の端部である。
【0062】
上記中間膜は、MD方向とTD方向とを有することが好ましい。中間膜は、例えば、溶融押出成形により得られる。MD方向は、中間膜の製造時の中間膜の流れ方向である。TD方向は、中間膜の製造時の中間膜の流れ方向と直交する方向であり、かつ中間膜の厚み方向と直交する方向である。上記一端と上記他端とが、TD方向の両側に位置していることが好ましい。
【0063】
本発明に係る中間膜では、上記他端の厚みが上記一端の厚みと同じであってもよい。本発明に係る中間膜では、上記他端の厚みが上記一端の厚みよりも大きくてもよい。上記他端の厚みが上記一端の厚みよりも大きい中間膜は、楔状の中間膜である。
【0064】
本発明に係る中間膜は、ヘッドアップディスプレイの表示領域に対応する表示対応領域を有していてもよい。上記表示対応領域は、情報を良好に表示させることができる領域である。
【0065】
上記表示対応領域は、長さ方向と幅方向とを有することが好ましい。中間膜の汎用性に優れるので、上記表示対応領域の幅方向が、上記一端と上記他端とを結ぶ方向であることが好ましい。上記表示対応領域は、帯状であることが好ましい。
【0066】
二重像を抑える観点からは、上記中間膜は、楔状の中間膜であることが好ましい。
【0067】
二重像をより一層抑える観点からは、上記中間膜は、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有することが好ましい。上記中間膜は、一端から他端に向かって、厚みが次第に大きくなる部分を有することが好ましい。上記中間膜は、上記表示対応領域の厚み方向の断面形状が楔状であることが好ましい。上記中間膜の厚み方向の断面形状としては、台形、三角形及び五角形等が挙げられる。
【0068】
二重像を更により一層抑える観点からは、中間膜は、厚みが増加している領域の中に、一端側から他端側にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有することが好ましい。二重像を更により一層抑える観点からは、中間膜は、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端側から他端側にかけて楔角が大きくなる部分を有することが好ましい。
【0069】
本発明に係る中間膜が楔状の中間膜である場合に、二重像を効果的に抑える観点から、中間膜全体での楔角は、好ましくは0.1mrad(0.00575度)以上、より好ましくは0.2mrad(0.0115度)以上であり、好ましくは2mrad(0.1146度)以下、より好ましくは0.7mrad(0.0401度)以下である。
【0070】
上記中間膜の楔角は、中間膜における最大厚み部分と最小厚み部分との中間膜の第1の表面(一方の表面)部分を結んだ直線と、中間膜における最大厚み部分と最小厚み部分との中間膜の第2の表面(他方の表面)部分を結んだ直線との交点における内角である。なお、最大厚み部分が複数ある場合、最小厚み部分が複数ある場合、最大厚み部分が一定の領域にある場合、又は最小厚み部分が一定の領域にある場合には、楔角を求めるための最大厚み部分及び最小厚み部分は、求められる楔角が最も大きくなるように選択される。
【0071】
上記中間膜の楔角及び後述の上記中間膜の厚みの測定に用いる測定器としては、接触式厚み計測器「TOF-4R」(山文電気社製)等が挙げられる。
【0072】
上記厚みの測定は、上述の測定器を用い、膜搬送速度2.15mm/分~2.25mm/分で、一端から他端に向けて最短距離となるように行う。
【0073】
上記中間膜を合わせガラスとした後の上記中間膜の楔角(θ)及び後述の中間膜の厚みの測定に用いる測定器としては、非接触多層膜厚測定器(例えば、ルメトリクス社製「OPTIGAUGE」)等が挙げられる。非接触多層膜厚測定器を用いると、合わせガラスのままで中間膜の厚みを測定することができる。
【0074】
なお、二重像を抑えるために、中間膜の楔角を調整したとしても、中間膜の表示対応領域と合わせガラス部材の表示対応領域との位置ずれが生じた場合には、二重像が生じることがある。本発明では、中間膜が上記印刷部を備えているので、合わせガラス部材への貼り付け位置を適切に認識することができ、中間膜の表示対応領域と合わせガラス部材の表示対応領域との位置ずれを効果的に抑えることができ、その結果、二重像を効果的に抑えることができる。
【0075】
本発明に係る中間膜が上記表示対応領域を有する場合には、上記一端から上記他端に向けて18cmの位置から、上記一端から上記他端に向けて61.8cmの位置までの領域内に、上記表示対応領域を有することが好ましい。この場合には、二重像を効果的に抑えることができる。
【0076】
本発明に係る中間膜が楔状の中間膜である場合には、上記一端から上記他端に向けて18cmの位置から、上記一端から上記他端に向けて61.8cmの位置までの領域内において、中間膜は、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有することが好ましい。この場合には、二重像を効果的に抑えることができる。なお、上記厚み方向の断面形状が楔状である部分は、上記の領域内の少なくとも一部に存在していればよい。
【0077】
本発明に係る中間膜及び上記中間膜本体は、シェード領域を有していてもよい。本発明に係る中間膜は、上記表示対応領域と上記シェード領域とを有していてもよい。この場合に、上記シェード領域は、上記表示対応領域と離れていてもよい。本発明に係る中間膜は、上記表示対応領域を有さずかつ上記シェード領域を有していてもよい。上記シェード領域は、例えば、太陽光線又は屋外照明等により、運転中のドライバーが眩しさを感じるのを防ぐことなどを目的として設けられる。上記シェード領域は、遮熱性を付与するために設けられることもある。上記シェード領域は、中間膜の縁部に位置することが好ましい。上記シェード領域は帯状であることが好ましい。
【0078】
シェード領域においては、色及び可視光線透過率を変えたりするために、着色剤又は充填剤を用いてもよい。着色剤又は充填剤は、中間膜の厚み方向の一部の領域にのみ含まれていてもよく、中間膜の厚み方向の全体の領域に含まれていてもよい。上記シェード領域は、上記印刷部とは異なる。なお、上記シェード領域の表面上に、上記印刷部が形成されていてもよい。
【0079】
なお、中間膜がシェード領域を有する場合には、製造された複数の合わせガラスにおいて、シェード領域の位置及び幅等にばらつきが生じることがある。本発明では、中間膜が上記印刷部を備えているので、合わせガラス部材への貼り付け位置を適切に認識することができ、中間膜の表示対応領域と合わせガラス部材の表示対応領域との位置ずれを効果的に抑えることができ、その結果、シェード領域の位置及び幅等のばらつきを効果的に抑えることができる。
【0080】
表示をより一層良好にし、視野をより一層広げる観点からは、上記表示対応領域の可視光線透過率は好ましくは80%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。上記表示対応領域の可視光線透過率は、上記シェード領域の可視光線透過率よりも高いことが好ましい。上記表示対応領域の可視光線透過率は、上記シェード領域の可視光線透過率よりも低くてもよい。上記表示対応領域の可視光線透過率は、上記シェード領域の可視光線透過率よりも、好ましくは50%以上高く、より好ましくは60%以上高い。
【0081】
なお、例えば、表示対応領域及びシェード領域の中間膜において、可視光線透過率が変化している場合には、表示対応領域の中心位置及びシェード領域の中心位置にて、可視光線透過率が測定される。
【0082】
分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、JIS R3211:1998に準拠して、得られた合わせガラスの波長380nm~780nmにおける上記可視光線透過率を測定することができる。なお、ガラス板として、JIS R3202:2011に準拠した厚み2mmのクリアガラスを用いることが好ましい。
【0083】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0084】
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び正面図である。
図1(a)は、
図1(b)中のI-I線に沿う断面図である。なお、
図1及び後述する図における中間膜及び印刷部の大きさ及び寸法は、図示の便宜上、実際の大きさ及び形状から適宜変更している。
【0085】
図1(a)では、中間膜11の厚み方向の断面が示されている。なお、
図1(a)及び後述の図では、図示の便宜上、中間膜及び中間膜を構成する各層の厚み、並びに楔角(θ)は、実際の厚み及び楔角とは異なるように示されている。また、
図1(a)では、図示の便宜上、印刷部は示していない。
【0086】
図1に示す中間膜11は、第1の層1(中間層)と、第2の層2(表面層)と、第3の層3(表面層)と、印刷部4とを備える。第1の層1と第2の層2と第3の層3とにより中間膜本体が構成されている。中間膜本体は、第1の層1と第2の層2と第3の層3とを備える。第3の層3は、着色剤を含む着色部3Xと、着色剤を含まない非着色部3Yとを有する。
【0087】
第1の層1の第1の表面側に、第2の層2が配置されており、積層されている。第1の層1の第1の表面とは反対の第2の表面側に、第3の層3が配置されており、積層されている。第1の層1は、第2の層2と第3の層3との間に配置されており、挟み込まれている。中間膜11は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11は、合わせガラス用中間膜である。中間膜11は、3層の構造を有し、多層中間膜である。
【0088】
中間膜11は、一端11aと、一端11aの反対側に他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。第2の層2及び第3の層3の厚み方向の断面形状は楔状である。第1の層1の厚み方向の断面形状は矩形である。第2の層2及び第3の層3の厚みは、他端11b側のほうが一端11a側よりも大きい。従って、中間膜11の他端11bの厚みは一端11aの厚みよりも大きい。従って、中間膜11は、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。また、着色部3Xの厚みは、他端11b側のほうが一端11a側よりも大きい。
【0089】
中間膜11は、一端11a側から他端11b側にかけて厚みが増加している領域を有する。中間膜11は、厚みが増加している領域の中で、一端11a側から他端11b側にかけて厚みの増加量は均一である。
【0090】
中間膜11は、ヘッドアップディスプレイの表示領域に対応する表示対応領域R1を有する。中間膜11は、表示対応領域R1の隣に周囲領域R2を有する。本実施形態では、表示対応領域R1が、一端11aから他端11bに向けて18cmの位置から、一端11aから他端11bに向けて63.8cmの位置までの領域である。
【0091】
中間膜11は、表示対応領域R1と離れて、シェード領域R3を有する。シェード領域R3は、中間膜11の縁部に位置している。シェード領域R3は、着色部3Xが存在する部分の領域に対応する。
【0092】
中間膜本体の表面上に印刷部4が形成されている。中間膜本体の表面上に、印刷部4が、印刷により表示されている。印刷部4は、合わせガラス部材G1への貼り合わせ位置の目印である。印刷部4は、2本の実線4aと2本の点線4bとを有する。2本の点線4bの間の領域が、中間膜11の表示対応領域R1に対応する。2本の実線4aは、合わせガラス部材G1の端部との位置合わせのための目印である。2本の点線4bは、HUD領域の位置合わせのための目印である。
【0093】
2本の実線4aを合わせガラス部材G1の端部に合わせ、また、2本の点線4bを合わせガラス部材G1の表示対応領域に合わせて、中間膜11を合わせガラス部材G1に貼り合わせることにより、合わせガラスを良好に製造することができる。
【0094】
中間膜は、
図1(a)に示す形状で、単層であってもよく、2層であってもよく、4層以上であってもよい。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る合わせガラス用中間膜の変形例、即ち中間膜11の変形例を模式的に示す断面図である。
図9に示す中間膜11-2のように、着色剤を含む着色部3Xを部分的に形成せずに、シェード領域R3を形成してもよい。また、中間膜は、
図1(a)及び
図12に示す形状で、シェード領域R3部分を、シェード領域ではない領域としてもよく、透明領域としてもよい。
【0095】
図11は、
図1に示す合わせガラス用中間膜が巻かれたロール体を模式的に示す斜視図である。
【0096】
中間膜11が巻かれて、中間膜11のロール体51とされてもよい。
【0097】
図11に示すロール体51は、巻き芯61と、中間膜11とを備える。中間膜11は、巻き芯61の外周に巻かれている。
【0098】
図2(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び正面図である。
図2(a)は、
図2(b)中のI-I線に沿う断面図である。
図2(a)では、中間膜11Aの厚み方向の断面が示されている。また、
図2(a)では、図示の便宜上、印刷部は示していない。
【0099】
図2に示す中間膜11Aは、第1の層1Aと、印刷部4Aとを備える。第1の層1Aにより中間膜本体が構成されている。中間膜本体は、第1の層1Aである。中間膜11Aは、第1の層1Aのみの1層の構造を有する。中間膜11Aは、単層の中間膜である。中間膜11Aは、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11Aは、合わせガラス用中間膜である。また、第1の層1Aは、着色剤を含む着色部1AXと、着色剤を含まない非着色部1AYとを有する。
【0100】
中間膜11Aは、一端11aと、一端11aとは反対側に他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。中間膜11Aの他端11bの厚みは一端11aの厚みよりも大きい。従って、中間膜11A及び第1の層1Aは、厚みの薄い領域と、厚みの厚い領域とを有する。また、着色部1AXの厚みは、他端11b側のほうが一端11a側よりも大きい。
【0101】
中間膜11Aは、一端11a側から他端11b側にかけて厚みが増加している領域を有する。中間膜11Aは、厚みが増加している領域の中で、一端11a側から他端11b側にかけて厚みの増加量は均一である。
【0102】
中間膜11A及び第1の層1Aは、厚み方向の断面形状が矩形である部分11Aa,1Aaと厚み方向の断面形状が楔状である部分11Ab,1Abとを有する。
【0103】
中間膜11Aは、ヘッドアップディスプレイの表示領域に対応する表示対応領域R1を有する。中間膜11Aは、表示対応領域R1の隣に周囲領域R2を有する。
【0104】
中間膜11Aは、表示対応領域R1と離れて、シェード領域R3を有する。シェード領域R3は、中間膜11Aの縁部に位置している。シェード領域R3は、着色部1AXが存在する部分の領域に対応する。
【0105】
第1の層1Aの表面上に印刷部4Aが形成されている。中間膜本体の表面上に、印刷部4Aが、印刷により表示されている。印刷部4Aは、合わせガラス部材G1Aへの貼り合わせ位置の目印である。印刷部4Aは、2本の点線4Abを有する。2本の点線4bは、合わせガラス部材G1Aの端部との位置合わせのための目印である。
【0106】
2本の点線4Abを合わせガラス部材G1Aの端部に合わせて、中間膜11Aを合わせガラス部材G1Aに貼り合わせることにより、合わせガラスを良好に製造することができる。
【0107】
中間膜は、
図2(a)に示す形状で、2層以上であってもよい。
図2(a)に示す形状で、着色剤を含む着色部1AXを部分的に形成せずに、シェード領域R3を形成してもよい。また、中間膜は、
図2(a)に示す形状で、シェード領域R3部分を、シェード領域ではない領域としてもよく、透明領域としてもよい。
【0108】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図3では、中間膜11Bの厚み方向の断面が示されている。また、
図3では、図示の便宜上、印刷部は示していない。
【0109】
図3に示す中間膜11Bは、第1の層1B(中間層)と、第2の層2B(表面層)と、第3の層3B(表面層)と、印刷部とを備える。第3の層3Bは、着色剤を含む着色部3BXと、着色剤を含まない非着色部3BYとを有する。中間膜11と、中間膜11Bとでは、厚みが増加している領域における厚みの増加量が異なる。
【0110】
中間膜11Bは、一端11a側から他端11b側にかけて厚みが増加している領域を有する。中間膜11Bは、厚みが増加している領域の中に、一端11a側から他端11b側にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有する。また、中間膜11Bは、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有する。中間膜11Bは、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端側から他端側にかけて楔角が大きくなる部分を有する。
図3に示す形状で、着色剤を含む着色部3BXを部分的に形成せずに、シェード領域R3を形成してもよい。また、中間膜は、
図3に示す形状で、シェード領域R3部分を、シェード領域ではない領域としてもよく、透明領域としてもよい。
【0111】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図4では、中間膜11Cの厚み方向の断面が示されている。また、
図4では、図示の便宜上、印刷部は示していない。
【0112】
図4に示す中間膜11Cは、中間膜本体である第1の層1Cと、印刷部とを備える。第1の層1Cは、着色剤を含む着色部1CXと、着色剤を含まない非着色部1CYとを有する。第1の層1Cにより中間膜本体が構成されている。中間膜本体は、第1の層1Cである。中間膜11Cは、第1の層1Cのみの1層の構造を有する。中間膜11Cは、単層の中間膜である。中間膜11Aと、中間膜11Cとでは、厚みが増加している領域における厚みの増加量が異なる。
【0113】
中間膜11Cは、一端11a側から他端11b側にかけて厚みが増加している領域を有する。中間膜11Cは、厚みが増加している領域の中に、一端11a側から他端11b側にかけて厚みの増加量が大きくなる部分を有する。また、中間膜11Cは、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有する。中間膜11Cは、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端側から他端側にかけて楔角が大きくなる部分を有する。
【0114】
中間膜11C及び第1の層1Cは、厚み方向の断面形状が矩形である部分11Ca,1Caと厚み方向の断面形状が楔状である部分11Cb,1Cbとを有する。
図4に示す形状で、着色剤を含む着色部1CXを部分的に形成せずに、シェード領域R3を形成してもよい。また、中間膜は、
図4に示す形状で、シェード領域R3部分を、シェード領域ではない領域としてもよく、透明領域としてもよい。
【0115】
図5は、本発明の第5の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図5では、中間膜11Dの厚み方向の断面が示されている。また、
図5では、図示の便宜上、印刷部は示していない。
【0116】
図5に示す中間膜11Dは、第1の層1D(中間層)と、第2の層2D(表面層)と、第3の層3D(表面層)と、印刷部とを備える。第3の層3Dは、着色剤を含む着色部3DXと、着色剤を含まない非着色部3DYとを有する。中間膜11と、中間膜11Dとでは、厚みが増加している領域における厚みの増加量が異なる。
【0117】
中間膜11Dは、一端11a側から他端11b側にかけて厚みが増加している領域を有する。中間膜11Dは、厚みが増加している領域の中に、一端11a側から他端11b側にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有する。また、中間膜11Dは、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有する。中間膜11Dは、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端側から他端側にかけて楔角が小さくなる部分を有する。
図5に示す形状で、着色剤を含む着色部3DXを部分的に形成せずに、シェード領域R3を形成してもよい。また、中間膜は、
図5に示す形状で、シェード領域R3部分を、シェード領域ではない領域としてもよく、透明領域としてもよい。
【0118】
図6は、本発明の第6の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図である。
図6では、中間膜11Eの厚み方向の断面が示されている。また、
図6では、図示の便宜上、印刷部は示していない。
【0119】
図6に示す中間膜11Eは、第1の層1Eと、印刷部とを備える。第1の層1Eは、着色剤を含む着色部1EXと、着色剤を含まない非着色部1EYとを有する。第1の層1Eにより中間膜本体が構成されている。中間膜本体は、第1の層1Eである。中間膜11Eは、第1の層1Eのみの1層の構造を有する。中間膜11Eは、単層の中間膜である。中間膜11Aと、中間膜11Eとでは、厚みが増加している領域における厚みの増加量が異なる。
【0120】
中間膜11Eは、一端11a側から他端11b側にかけて厚みが増加している領域を有する。中間膜11Eは、厚みが増加している領域の中に、一端11a側から他端11b側にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有する。また、中間膜11Eは、厚み方向の断面形状が楔状である領域を有する。中間膜11Eは、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端側から他端側にかけて楔角が小さくなる部分を有する。
【0121】
中間膜11E及び第1の層1Eは、厚み方向の断面形状が矩形である部分11Ea,1Eaと厚み方向の断面形状が楔状である部分11Eb,1Ebとを有する。
図6に示す形状で、着色剤を含む着色部1EXを部分的に形成せずに、シェード領域R3を形成してもよい。また、中間膜は、
図6に示す形状で、シェード領域R3部分を、シェード領域ではない領域としてもよく、透明領域としてもよい。
【0122】
図7(a)及び(b)は、本発明の第7の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び正面図である。
図7(a)は、
図7(b)中のI-I線に沿う断面図である。
図7(a)では、中間膜11Fの厚み方向の断面が示されている。また、
図7(a)では、図示の便宜上、印刷部は示していない。
【0123】
図7に示す中間膜11Fは、第1の層1Fと、印刷部4Fとを備える。第1の層1Fにより中間膜本体が構成されている。中間膜本体は、第1の層1Fである。中間膜11Fは、第1の層1Fのみの1層の構造を有する。中間膜11Fは、単層の中間膜である。中間膜11Fは、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11Fは、合わせガラス用中間膜である。
【0124】
中間膜11Fは、一端11aと、一端11aとは反対側に他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。中間膜11Fでは、他端11bの厚みと一端11aの厚みとは同じである。
【0125】
第1の層1Fの表面上に印刷部4Fが形成されている。中間膜本体の表面上に、印刷部4Fが、印刷により表示されている。印刷部4Aのうち、2本の点線4Fbは、合わせガラス部材G1Fへの貼り合わせ位置の目印であり、「ABCDE」の文字4Fcは、合わせガラス用中間膜の製品情報である。なお、文字の代わりに、上記印刷部は、記号及び図形等の製品情報であってもよい。また、上記印刷部は、二次元コード及びバーコード等の製品情報であってもよい。
【0126】
2本の点線4Fbを合わせガラス部材G1Fの表示対応領域に合わせて、中間膜11Fを合わせガラス部材G1Fに貼り合わせることにより、合わせガラスを良好に製造することができる。
【0127】
図8(a)及び(b)は、本発明の第8の実施形態に係る合わせガラス用中間膜を模式的に示す断面図及び正面図である。
図8(a)は、
図8(b)中のI-I線に沿う断面図である。
図8(a)では、中間膜11Gの厚み方向の断面が示されている。また、
図8(a)では、図示の便宜上、印刷部は示していない。
【0128】
図8に示す中間膜11Gは、第1の層1G(中間層)と、第2の層2G(表面層)と、第3の層3G(表面層)と、印刷部4Gとを備える。第1の層1Gと第2の層2Gと第3の層3Gとにより中間膜本体が構成されている。中間膜本体は、第1の層1Gと第2の層2Gと第3の層3Gとを備える。第3の層3Gは、着色剤を含む着色部3GXと、着色剤を含まない非着色部3GYとを有する。
【0129】
第1の層1Gの第1の表面側に、第2の層2Gが配置されており、積層されている。第1の層1Gの第1の表面とは反対の第2の表面側に、第3の層3Gが配置されており、積層されている。第1の層1Gは、第2の層2Gと第3の層3Gとの間に配置されており、挟み込まれている。中間膜11Gは、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜11Gは、合わせガラス用中間膜である。中間膜11Gは、3層の構造を有し、多層中間膜である。
【0130】
中間膜11Gは、一端11aと、一端11aとは反対側に他端11bとを有する。一端11aと他端11bとは対向し合う両側の端部である。中間膜11Gでは、他端11bの厚みと一端11aの厚みとは同じである。また、着色部3GXの厚みは、他端11b側のほうが一端11a側よりも小さい。
【0131】
中間膜11Gは、シェード領域R3を有する。シェード領域R3は、中間膜11Gの縁部に位置している。シェード領域R3は、着色部3GXが存在する部分の領域に対応する。
【0132】
中間膜本体の表面上に印刷部4Gが形成されている。中間膜本体の表面上に、印刷部4Gが、印刷により表示されている。印刷部4Gは、合わせガラス部材G1Gへの貼り合わせ位置の目印である。印刷部4Gは、2本の実線4Gaを有する。2本の実線4Gaは、合わせガラス部材G1Gの端部との位置合わせのための目印である。
【0133】
2本の実線4Gaを合わせガラス部材G1Gの端部に合わせて、中間膜11Gを合わせガラス部材G1Gに貼り合わせることにより、合わせガラスを良好に製造することができる。
【0134】
中間膜は、
図8(a)に示す形状で、単層であってもよく、2層であってもよく、4層以上であってもよい。
図8(a)に示す形状で、着色剤を含む着色部3GXを部分的に形成せずに、シェード領域R3を形成してもよい。また、中間膜は、
図8(a)に示す形状で、シェード領域R3部分を、シェード領域ではない領域としてもよく、透明領域としてもよい。
【0135】
上記中間膜の厚みは特に限定されない。上記中間膜の厚みは、中間膜を構成する各層の合計の厚みを示す。よって、多層の中間膜11の場合には、該中間膜の厚みは、第1の層1と第2の層2と第3の層3との合計の厚みを示す。
【0136】
中間膜の最大厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは0.8mm以上であり、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下である。
【0137】
中間膜の一端と他端との間の距離をXとする。中間膜は、一端から内側に向かって0X~0.2Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X~0.2Xの距離の領域に最大厚みを有することが好ましい。中間膜は、一端から内側に向かって0X~0.1Xの距離の領域に最小厚みを有し、他端から内側に向かって0X~0.1Xの距離の領域に最大厚みを有することがより好ましい。中間膜は一端に最小厚みを有し、中間膜は他端に最大厚みを有することが好ましい。
【0138】
中間膜11,11A,11B,11C,11D,11Eは、他端11bに最大厚みを有し、一端11aに最小厚みを有する。
【0139】
実用面の観点、並びに接着力及び耐貫通性を充分に高める観点からは、表面層の最大厚みは、好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。
【0140】
実用面の観点、並びに耐貫通性を充分に高める観点からは、2つの表面層の間に配置される層(中間層)の最大厚みは、好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上であり、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.6mm以下、さらに好ましくは0.3mm以下である。
【0141】
上記中間膜の一端と他端との距離Xは、好ましくは0.5m以上、より好ましくは0.8m以上、さらに好ましくは1m以上であり、好ましくは3m以下、より好ましくは2m以下、さらに好ましくは1.5m以下である。
【0142】
印刷前中間膜(印刷部を備えない中間膜)を作製した後、該印刷前中間膜の表面上に、線、文字、記号又は図形等を印刷して印刷部を形成することにより、上記中間膜本体と上記印刷部とを備える上記中間膜を製造することができる。
【0143】
上記印刷部は、中間膜本体を形成するための組成物と異なる組成物により形成されていてもよい。上記印刷部を形成するための組成物は、着色剤を含んでいてもよい。該着色剤としては、染料及び顔料等が挙げられる。
【0144】
以下、多層の中間膜の各層、並びに単層の中間膜における中間膜本体を構成する材料の詳細を説明する。
【0145】
(熱可塑性樹脂)
上記中間膜は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記中間膜は、熱可塑性樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂を含むことが好ましい。上記中間膜本体は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(0)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記中間膜本体は、熱可塑性樹脂(0)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(0)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記印刷部は、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。上記印刷部は、ポリビニルアセタール樹脂を含んでいてもよい。上記中間膜本体に含まれる熱可塑性樹脂と、上記印刷部に含まれる熱可塑性樹脂とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第1の層は、熱可塑性樹脂(1)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、熱可塑性樹脂(2)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂(以下、熱可塑性樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、熱可塑性樹脂(3)として、ポリビニルアセタール樹脂(以下、ポリビニルアセタール樹脂(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂(1)と上記熱可塑性樹脂(2)と上記熱可塑性樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。遮音性がより一層高くなることから、上記熱可塑性樹脂(1)は、上記熱可塑性樹脂(2)及び上記熱可塑性樹脂(3)と異なることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)と上記ポリビニルアセタール樹脂(2)と上記ポリビニルアセタール樹脂(3)とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。遮音性がより一層高くなることから、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)と異なることが好ましい。上記熱可塑性樹脂(0)、上記熱可塑性樹脂(1)、上記熱可塑性樹脂(2)及び上記熱可塑性樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記ポリビニルアセタール樹脂(0)、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0146】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0147】
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス部材又は他の層に対するポリビニルアセタール樹脂と可塑剤とを含む層の接着力がより一層高くなる。
【0148】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)をアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールのアセタール化物であることが好ましい。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより得られる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70モル%~99.9モル%の範囲内である。
【0149】
上記ポリビニルアルコール(PVA)の平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、より一層好ましくは1500以上、さらに好ましくは1600以上、特に好ましくは2600以上、最も好ましくは2700以上、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、さらに好ましくは3500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
【0150】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0151】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれるアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3~5であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
【0152】
上記アルデヒドは特に限定されない。一般には、炭素数が1~10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1~10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-バレルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。上記アルデヒドは、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド又はn-バレルアルデヒドであることが好ましく、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドであることがより好ましく、n-ブチルアルデヒドであることがさらに好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0153】
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上であり、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0154】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは17モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは22モル%以上であり、好ましくは28モル%以下、より好ましくは27モル%以下、さらに好ましくは25モル%以下、特に好ましくは24モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の機械強度がより一層高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率が20モル%以上であると反応効率が高く生産性に優れ、また28モル%以下であると、合わせガラスの遮音性がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0155】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の各含有率は、好ましくは25モル%以上、より好ましくは28モル%以上、より一層好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは31.5モル%以上、特に好ましくは32モル%以上、最も好ましくは33モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の各含有率は、好ましくは38モル%以下、より好ましくは37モル%以下、さらに好ましくは36.5モル%以下、特に好ましくは36モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0156】
遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性をより一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率は、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率よりも低いことが好ましい。遮音性をさらに一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは9モル%以上、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上である。遮音性をさらに一層高める観点からは、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは9モル%以上、特に好ましくは10モル%以上、最も好ましくは12モル%以上である。上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(2)の水酸基の含有率との差の絶対値、及び、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)の水酸基の含有率と、上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の水酸基の含有率との差の絶対値は、好ましくは20モル%以下である。
【0157】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0158】
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、さらに好ましくは0.5モル%以上であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0159】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.1モル%以上、より一層好ましくは7モル%以上、さらに好ましくは9モル%以上であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは24モル%以下、特に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。特に、上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセチル化度が0.1モル%以上、25モル%以下であると、耐貫通性に優れる。
【0160】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセチル化度は、好ましくは0.01モル%以上、より好ましくは0.5モル%以上であり、好ましくは10モル%以下、より好ましくは2モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0161】
上記アセチル化度は、アセチル基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセチル基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して測定できる。
【0162】
上記ポリビニルアセタール樹脂(0)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上であり、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0163】
上記ポリビニルアセタール樹脂(1)のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは47モル%以上、より好ましくは60モル%以上であり、好ましくは85モル%以下、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは75モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0164】
上記ポリビニルアセタール樹脂(2)及び上記ポリビニルアセタール樹脂(3)の各アセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上であり、好ましくは75モル%以下、より好ましくは71モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0165】
上記アセタール化度は、以下のようにして求める。主鎖の全エチレン基量から、水酸基が結合しているエチレン基量と、アセチル基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を求める。得られた値を、主鎖の全エチレン基量で除算してモル分率を求める。この百分率で示した値がアセタール化度である。
【0166】
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。但し、ASTM D1396-92による測定を用いてもよい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、上記アセタール化度(ブチラール化度)及び上記アセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出され得る。
【0167】
中間膜本体中に含まれる熱可塑性樹脂100重量%中、ポリビニルアセタール樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より一層好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上である。上記中間膜本体の熱可塑性樹脂の主成分(50重量%以上)は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0168】
(可塑剤)
中間膜の接着力をより一層高める観点からは、中間膜は、可塑剤を含むことが好ましい。中間膜の接着力をより一層高める観点からは、上記中間膜本体は、可塑剤(以下、可塑剤(0)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記印刷部は、可塑剤を含んでいてもよい。上記中間膜本体に含まれる可塑剤と、上記印刷部に含まれる可塑剤とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の層は、可塑剤(以下、可塑剤(1)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第2の層は、可塑剤(以下、可塑剤(2)と記載することがある)を含むことが好ましい。上記第3の層は、可塑剤(以下、可塑剤(3)と記載することがある)を含むことが好ましい。中間膜に含まれている熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である場合に、中間膜(各層)は、可塑剤を含むことが特に好ましい。ポリビニルアセタール樹脂を含む層は、可塑剤を含むことが好ましい。
【0169】
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0170】
上記可塑剤としては、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。上記可塑剤は有機エステル可塑剤であることが好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0171】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2-エチル酪酸、ヘプチル酸、n-オクチル酸、2-エチルヘキシル酸、n-ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0172】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、多塩基性有機酸と、炭素数4~8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物等が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0173】
上記有機エステル可塑剤としては、トリエチレングリコールジ-2-エチルプロパノエート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ-n-オクタノエート、トリエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ-n-ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,3-プロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、1,4-ブチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-2-エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリレート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。上述のアジピン酸エステル以外の他のアジピン酸エステルを用いてもよい。
【0174】
上記有機リン酸可塑剤としては、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0175】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0176】
【0177】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5~10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn-プロピレン基を表し、pは3~10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6~10の有機基であることが好ましい。
【0178】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート(3GH)を含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0179】
上記中間膜本体において、上記熱可塑性樹脂(0)100重量部に対する上記可塑剤(0)の含有量を含有量(0)とする。上記含有量(0)は、好ましくは25重量部以上、より好ましくは30重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは60重量部以下、さらに好ましくは50重量部以下である。上記含有量(0)が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記含有量(0)が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
【0180】
上記第1の層において、上記熱可塑性樹脂(1)100重量部に対する上記可塑剤(1)の含有量を、含有量(1)とする。上記含有量(1)は、好ましくは50重量部以上、より好ましくは55重量部以上、さらに好ましくは60重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは90重量部以下、さらに好ましくは85重量部以下、特に好ましくは80重量部以下である。上記含有量(1)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(1)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
【0181】
上記第2の層において、上記熱可塑性樹脂(2)100重量部に対する上記可塑剤(2)の含有量を、含有量(2)とする。上記第3の層において、上記熱可塑性樹脂(3)100重量部に対する上記可塑剤(3)の含有量を、含有量(3)とする。上記含有量(2)及び上記含有量(3)はそれぞれ、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、さらに好ましくは20重量部以上、特に好ましくは24重量部以上である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)はそれぞれ、好ましくは40重量部以下、より好ましくは35重量部以下、さらに好ましくは32重量部以下、特に好ましくは30重量部以下である。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記下限以上であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。上記含有量(2)及び上記含有量(3)が上記上限以下であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。
【0182】
合わせガラスの遮音性を高めるために、上記含有量(1)は上記含有量(2)よりも多いことが好ましく、上記含有量(1)は上記含有量(3)よりも多いことが好ましい。
【0183】
合わせガラスの遮音性をより一層高める観点からは、上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、さらに好ましくは20重量部以上である。上記含有量(2)と上記含有量(1)との差の絶対値、並びに上記含有量(3)と上記含有量(1)との差の絶対値はそれぞれ、好ましくは80重量部以下、より好ましくは75重量部以下、さらに好ましくは70重量部以下である。
【0184】
(遮熱性物質)
上記中間膜及び上記中間膜本体は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記印刷部は、遮熱性物質を含んでいてもよい。上記中間膜本体に含まれる遮熱性物質と、上記印刷部に含まれる遮熱性物質とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記第2の層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記第3の層は、遮熱性物質を含むことが好ましい。上記遮熱性物質は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0185】
上記遮熱性物質は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むか、又は遮熱粒子を含むことが好ましい。この場合に、上記遮熱性物質は、上記成分Xと上記遮熱粒子との双方を含んでいてもよい。
【0186】
成分X:
上記中間膜及び上記中間膜本体は、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物の内の少なくとも1種の成分Xを含むことが好ましい。上記印刷部は、上記成分Xを含んでいてもよい。上記中間膜本体に含まれる上記成分Xと、上記印刷部に含まれる上記成分Xとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記成分Xを含むことが好ましい。上記成分Xは遮熱性物質である。上記成分Xは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0187】
上記成分Xは特に限定されない。成分Xとして、従来公知のフタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物及びアントラシアニン化合物を用いることができる。
【0188】
上記成分Xとしては、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニンの誘導体、アントラシアニン及びアントラシアニンの誘導体等が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記アントラシアニン化合物及び上記アントラシアニンの誘導体はそれぞれ、アントラシアニン骨格を有することが好ましい。
【0189】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、上記成分Xは、フタロシアニン、フタロシアニンの誘導体、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。
【0190】
遮熱性を効果的に高め、かつ長期間にわたり可視光線透過率をより一層高いレベルで維持する観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することも好ましい。上記成分Xは、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性をさらに一層高くする観点からは、上記成分Xは、バナジウム原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
【0191】
上記中間膜本体100重量%中又は上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.02重量%以上である。上記中間膜本体100重量%中又は上記成分Xを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記成分Xの含有量は、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。上記成分Xの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。例えば、可視光線透過率を70%以上にすることが可能である。
【0192】
遮熱粒子:
上記中間膜及び上記中間膜本体は、遮熱粒子を含むことが好ましい。上記印刷部は、遮熱粒子を含んでいてもよい。上記中間膜本体に含まれる遮熱粒子と、上記印刷部に含まれる遮熱粒子とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第2の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記第3の層は、上記遮熱粒子を含むことが好ましい。上記遮熱粒子は遮熱性物質である。遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。上記遮熱粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0193】
合わせガラスの遮熱性をより一層高める観点からは、上記遮熱粒子は、金属酸化物粒子であることがより好ましい。上記遮熱粒子は、金属の酸化物により形成された粒子(金属酸化物粒子)であることが好ましい。
【0194】
可視光よりも長い波長780nm以上の赤外線は、紫外線と比較して、エネルギー量が小さい。しかしながら、赤外線は熱的作用が大きく、赤外線が物質に吸収されると熱として放出される。このため、赤外線は一般に熱線と呼ばれている。上記遮熱粒子の使用により、赤外線(熱線)を効果的に遮断できる。なお、遮熱粒子とは、赤外線を吸収可能な粒子を意味する。
【0195】
上記遮熱粒子の具体例としては、アルミニウムドープ酸化錫粒子、インジウムドープ酸化錫粒子、アンチモンドープ酸化錫粒子(ATO粒子)、ガリウムドープ酸化亜鉛粒子(GZO粒子)、インジウムドープ酸化亜鉛粒子(IZO粒子)、アルミニウムドープ酸化亜鉛粒子(AZO粒子)、ニオブドープ酸化チタン粒子、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子、ルビジウムドープ酸化タングステン粒子、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)、錫ドープ酸化亜鉛粒子、珪素ドープ酸化亜鉛粒子等の金属酸化物粒子や、六ホウ化ランタン(LaB6)粒子等が挙げられる。これら以外の遮熱粒子を用いてもよい。熱線の遮蔽機能が高いため、金属酸化物粒子が好ましく、ATO粒子、GZO粒子、IZO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がより好ましく、ATO粒子、ITO粒子又は酸化タングステン粒子がさらに好ましく、ITO粒子又は酸化タングステン粒子が特に好ましい。上記遮熱粒子がITO粒子又は酸化タングステン粒子を含む場合に、上記遮熱粒子は、ITO粒子と酸化タングステン粒子とを含んでいてもよい。特に、熱線の遮蔽機能が高く、かつ入手が容易であるので、錫ドープ酸化インジウム粒子(ITO粒子)が好ましく、酸化タングステン粒子も好ましい。
【0196】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、酸化タングステン粒子は、金属ドープ酸化タングステン粒子であることが好ましい。上記「酸化タングステン粒子」には、金属ドープ酸化タングステン粒子が含まれる。上記金属ドープ酸化タングステン粒子としては、具体的には、ナトリウムドープ酸化タングステン粒子、セシウムドープ酸化タングステン粒子、タリウムドープ酸化タングステン粒子及びルビジウムドープ酸化タングステン粒子等が挙げられる。
【0197】
中間膜及び合わせガラスの遮熱性をより一層高くする観点からは、セシウムドープ酸化タングステン粒子が特に好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性をさらに一層高くする観点からは、該セシウムドープ酸化タングステン粒子は、式:Cs0.33WO3で表される酸化タングステン粒子であることが好ましい。
【0198】
上記遮熱粒子の平均粒子径は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上であり、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、熱線の遮蔽性が充分に高くなる。平均粒子径が上記上限以下であると、遮熱粒子の分散性が高くなる。
【0199】
上記「平均粒子径」は、体積平均粒子径を示す。平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製「UPA-EX150」)等を用いて測定できる。
【0200】
上記中間膜本体100重量%中又は上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上である。上記中間膜本体100重量%中又は上記遮熱粒子を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記遮熱粒子の含有量は、好ましくは6重量%以下、より好ましくは5.5重量%以下、さらに好ましくは4重量%以下、特に好ましくは3.5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。上記遮熱粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、遮熱性が充分に高くなり、かつ可視光線透過率が充分に高くなる。
【0201】
(金属塩)
上記中間膜及び上記中間膜本体は、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩の内の少なくとも1種の金属塩(以下、金属塩Mと記載することがある)を含むことが好ましい。上記印刷部は、上記金属塩Mを含んでいてもよい。上記中間膜本体に含まれる上記金属塩Mと、上記印刷部に含まれる上記金属塩Mとは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第2の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。上記第3の層は、上記金属塩Mを含むことが好ましい。なお、アルカリ土類金属とは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びRaの6種の金属を意味する。上記金属塩Mの使用により、中間膜とガラス板などの合わせガラス部材との接着性又は中間膜における各層間の接着性を制御することが容易になる。上記金属塩Mは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0202】
上記金属塩Mは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。中間膜中に含まれている金属塩は、K及びMgの内の少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。
【0203】
また、上記金属塩Mは、炭素数2~16の有機酸のアルカリ金属塩、又は炭素数2~16の有機酸のアルカリ土類金属塩であることがより好ましい。上記金属塩Mは、炭素数2~16の有機酸のマグネシウム塩であることもより好ましい。また、上記金属塩Mは、炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩又は炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩であることがさらに好ましい。
【0204】
上記炭素数2~16のカルボン酸マグネシウム塩及び上記炭素数2~16のカルボン酸カリウム塩としては、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カリウム、2-エチル酪酸マグネシウム、2-エチルブタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸マグネシウム及び2-エチルヘキサン酸カリウム等が挙げられる。
【0205】
上記金属塩Mを含む中間膜、又は上記金属塩Mを含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)におけるMg及びKの含有量の合計は、好ましくは5ppm以上、より好ましくは10ppm以上、さらに好ましくは20ppm以上であり、好ましくは300ppm以下、より好ましくは250ppm以下、さらに好ましくは200ppm以下である。Mg及びKの含有量の合計が上記下限以上及び上記上限以下であると、中間膜とガラス板との接着性又は中間膜における各層間の接着性をより一層良好に制御できる。
【0206】
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜及び上記中間膜本体は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記印刷部は、紫外線遮蔽剤を含んでいてもよい。上記中間膜本体に含まれる紫外線遮蔽剤と、上記印刷部に含まれる紫外線遮蔽剤とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0207】
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0208】
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属原子を含む紫外線遮蔽剤、金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾトリアゾール化合物)、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾフェノン化合物)、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤(トリアジン化合物)、マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤(マロン酸エステル化合物)、シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤(シュウ酸アニリド化合物)及びベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤(ベンゾエート化合物)等が挙げられる。
【0209】
上記金属原子を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
【0210】
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤、トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤である。上記紫外線遮蔽剤は、より好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤であり、さらに好ましくはベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤である。
【0211】
上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物を含む紫外線遮蔽剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0212】
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
【0213】
上記ベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等が挙げられる。紫外線を遮蔽する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤は、ハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール構造を有する紫外線遮蔽剤であることがより好ましい。
【0214】
上記ベンゾフェノン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0215】
上記トリアジン構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、ADEKA社製「LA-F70」及び2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0216】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤としては、2-(p-メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル-2,2-(1,4-フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2-(p-メトキシベンジリデン)-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル4-ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
【0217】
上記マロン酸エステル構造を有する紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B-CAP、Hostavin PR-25、Hostavin PR-31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0218】
上記シュウ酸アニリド構造を有する紫外線遮蔽剤としては、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-5-t-ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N-(2-エチルフェニル)-N’-(2-エトキシ-フェニル)シュウ酸ジアミド、2-エチル-2’-エトキシ-オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
【0219】
上記ベンゾエート構造を有する紫外線遮蔽剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
【0220】
上記中間膜本体100重量%中又は上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上、特に好ましくは0.5重量%以上である。上記中間膜本体100重量%中又は上記紫外線遮蔽剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは2.5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.8重量%以下である。上記紫外線遮蔽剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、期間経過後の可視光線透過率の低下をより一層抑制することができる。特に、上記紫外線遮蔽剤を含む層100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量%以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
【0221】
(酸化防止剤)
上記中間膜及び上記中間膜本体は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記印刷部は、酸化防止剤を含んでいてもよい。上記中間膜本体に含まれる酸化防止剤と、上記印刷部に含まれる酸化防止剤とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記第1の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第2の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記第3の層は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0222】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
【0223】
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0224】
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス-(4-メチル-6-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス-(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス-(2-メチル-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェノール)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’-t-ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0225】
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、及び2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチル-1-フェニルオキシ)(2-エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0226】
上記酸化防止剤の市販品としては、例えばBASF社製「IRGANOX 245」、BASF社製「IRGAFOS 168」、BASF社製「IRGAFOS 38」、住友化学工業社製「スミライザーBHT」、堺化学工業社製「H-BHT」、並びにBASF社製「IRGANOX 1010」等が挙げられる。
【0227】
中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記中間膜本体100重量%中又は酸化防止剤を含む層(第1の層、第2の層又は第3の層)100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の添加効果が飽和するので、上記中間膜本体100重量%中又は上記酸化防止剤を含む層100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は2重量%以下であることが好ましい。
【0228】
(他の成分)
上記中間膜、上記中間膜本体、上記印刷部、上記第1の層、上記第2の層及び上記第3の層はそれぞれ、必要に応じて、カップリング剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、金属塩以外の接着力調整剤、耐湿剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0229】
(合わせガラス)
図10は、
図1に示す合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を示す断面図である。
【0230】
図10に示す合わせガラス21は、中間膜部11Xと、第1の合わせガラス部材22と、第2の合わせガラス部材23とを備える。中間膜部11Xは、第1の合わせガラス部材22と第2の合わせガラス部材23との間に配置されており、挟み込まれている。中間膜部11Xの第1の表面に、第1の合わせガラス部材22が配置されている。中間膜部11Xの第1の表面とは反対の第2の表面に、第2の合わせガラス部材23が配置されている。
【0231】
中間膜部11Xは、中間膜11により形成されている。例えば、合わせガラス21の製造時に、中間膜11をトリムカットすることで、中間膜部11Xを形成することができる。中間膜部11Xは、印刷部4を有していてもよい。中間膜部11Xは、印刷部4を有していなくてもよい。
【0232】
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。上記合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材がそれぞれガラス板又はPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムであり、かつ上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材として、少なくとも1枚のガラス板を含むことが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び第2の合わせガラス部材の双方がガラス板であることが特に好ましい。
【0233】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、線入り板ガラス及びグリーンガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代わる合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0234】
上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の各厚みは特に限定されないが、好ましくは1mm以上であり、好ましくは5mm以下である。上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上であり、好ましくは5mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上であり、好ましくは0.5mm以下である。
【0235】
(合わせガラスの製造方法)
本発明に係る合わせガラスの製造方法は、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に配置された合わせガラス用中間膜とを備える合わせガラスの製造方法である。
【0236】
本発明に係る合わせガラスの製造方法は、上述した合わせガラス用中間膜の第1の表面上に上記第1の合わせガラス部材を配置する、第1の配置工程と、上記合わせガラス用中間膜の該第1の表面とは反対側の第2の表面上に、上記第2の合わせガラス部材を配置する、第2の配置工程とを備える。
【0237】
本発明に係る合わせガラスの製造方法では、下記の(1)又は(2)を備える。(1)上記第1の配置工程において、上記合わせガラス用中間膜の上記印刷部を目印にして、上記第1の合わせガラス部材と上記合わせガラス用中間膜とを貼り合わせる。(2)上記第2の配置工程において、上記合わせガラス用中間膜の上記印刷部を目印にして、上記第2の合わせガラス部材と上記合わせガラス用中間膜とを貼り合わせる。
【0238】
本発明に係る合わせガラスの製造方法は、上記第2の配置工程後に、上記第1の合わせガラス部材と、上記中間膜と、上記第2の合わせガラス部材とを圧着する、圧着工程を備えることが好ましい。
【0239】
上記圧着工程は、予備接着工程と、本圧着工程とを備えていてもよい。上記圧着工程の一例を下記に示す。
【0240】
上記第2の配置工程で得られた上記第1の合わせガラス部材と、上記中間膜と、上記第2の合わせガラス部材との積層体を、押圧ロールに通したり、又はゴムバックに入れて減圧吸引したりする。これにより、第1の合わせガラス部材と中間膜及び第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気することができる。次いで、約70℃~110℃の条件で予備接着(予備接着工程)する。次いで、予備接着された積層体を、オートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120℃~150℃及び1MPa~1.5MPaの圧力で圧着する(本圧着工程)。
【0241】
本発明に係る合わせガラスの製造方法では、上記第2の配置工程後、上記予備接着工程後又は上記本圧着工程後に、第1,第2の合わせガラス部材の端部に沿って、中間膜がトリムカットされることが好ましい。
【0242】
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜は、建築物用又は車両用の中間膜であることが好ましく、車両用の中間膜であることがより好ましい。上記中間膜は、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜は、車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラスに好適に用いられる。また、上記合わせガラスは、建築物用又は車両用の合わせガラスであることが好ましく、車両用の合わせガラスであることがより好ましい。上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記合わせガラスは、車両のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラスに好適に用いられる。
【0243】
以下に実施例及び比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。なお、以下の実施例2,20は参考例である。
【0244】
用いたポリビニルアセタール樹脂では、アセタール化に、炭素数4のn-ブチルアルデヒドが用いられている。ポリビニルアセタール樹脂に関しては、アセタール化度(ブチラール化度)、アセチル化度及び水酸基の含有率はJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定した。なお、ASTM D1396-92により測定した場合も、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法と同様の数値を示した。
【0245】
(実施例1)
第1の層を形成するための組成物の作製:
下記の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の層を形成するための組成物を得た。
【0246】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1.0モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる第1の層(中間膜本体)中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第1の層(中間膜本体)中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0247】
中間膜及びロール体の作製:
第1の層を形成するための組成物を、押出機を用いて押出し、厚みが均一である印刷前中間膜を得た。得られた印刷前中間膜は、幅1000mm、長さ125m及び厚み780μmのサイズを有していた。
【0248】
キーエンス社製「MD-U1000C」を用いて、印刷前中間膜の一端側から15mmの位置に、中間膜の製品情報である文字をUVレーザー印刷して、白色の印刷部を形成し、中間膜本体と印刷部とを備える中間膜を作製した(外郭の形状は、
図7,8参照)。UV照射の強度は60%とした。なお、UV照射の強度100%は、レーザーダイオードの出力2.5Wを意味する。
【0249】
巻き芯(甲賀高分子社製、材質:タルク含有ポリプロピレン、外径15cm×高さ120cm)の外周に、巻き取り張力1.3N/cmの条件で、得られた中間膜125mをロール状に巻き取り、ロール体を作製した。
【0250】
(実施例2)
キーエンス社製「MK-U6000」を用いて、インクジェット印刷して赤色の印刷部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0251】
(実施例3)
シェード領域を除く第1の層を形成するための組成物の作製:
下記の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、シェード領域を除く第1の層を形成するための組成物を得た。
【0252】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1.0モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる第1の層(シェード領域を除く)中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第1の層(シェード領域を除く)中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0253】
第1の層中のシェード領域を形成するための組成物の作製:
下記の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の層中のシェード領域を形成するための組成物を得た。
【0254】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1.0モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる第1の層(シェード領域)中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第1の層(シェード領域)中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
得られる第1の層(シェード領域)中で0.025重量%となる量のSG-1505(アントラキノン化合物、住化カラー社製「BLUE SG-1505」)(着色剤)
【0255】
中間膜及びロール体の作製:
シェード領域を除く第1の層を形成するための組成物と第1の層中のシェード領域を形成するための組成物とを、押出機を用いて押出し、厚みが均一である印刷前中間膜を得た。得られた印刷前中間膜は、幅990mm、長さ125m及び厚み780μmのサイズを有し、かつ一端と、該一端から他端に向けて150mmの位置との間の領域において、シェード領域を有していた。キーエンス社製「MD-U1000C」を用いて、印刷前中間膜の一端側から20mmの位置及び他端側から20mmの位置に、線幅0.5mmの実線をUVレーザー印刷して、白色の印刷部を形成し、中間膜本体と印刷部とを備える中間膜を作製した(外郭の形状は、
図7,8参照)。UV照射の強度は60%とした。
【0256】
なお、上記印刷部は、合わせガラス部材の端部との位置合わせのための線である。
【0257】
得られた中間膜を、実施例1と同様にして、巻き芯の外周にロール状に巻き取り、ロール体を作製した。
【0258】
(実施例4)
線幅1mmの点線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例3と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0259】
(実施例5)
キーエンス社製「MK-U6000」を用いて、線幅1mmの点線をインクジェット印刷して青色の印刷部を形成したこと以外は、実施例3と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0260】
(実施例6)
線幅5mmの実線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例3と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0261】
(実施例7)
線幅10mの点線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例3と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0262】
(実施例8)
アヤハエンジニアリング社製「AMK-クリーン」を用いて、印刷前中間膜の一端側から30mmの位置及び他端側から20mmの位置に、線幅5mmの点線をラベラー印刷して黒色の印刷部を形成したこと以外は、実施例3と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0263】
(比較例1)
印刷部を形成しなかったこと以外は、実施例3と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0264】
(実施例9)
実施例1で得られた第1の層を形成するための組成物を、押出機を用いて押出し、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有する印刷前中間膜を得た。得られた印刷前中間膜は、幅(一端と他端との距離)990mm、長さ125m及び平均厚み1028μmのサイズを有していた。
【0265】
キーエンス社製「MD-U1000C」を用いて、印刷前中間膜の一端側から180mmの位置及び他端側から412mmの位置に、線幅0.5mmの実線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成し、中間膜本体と印刷部とを備える中間膜を作製した。UV照射の強度は50%とした。
【0266】
なお、上記印刷部は、HUD領域の位置合わせのための線である。
【0267】
得られた中間膜は、一端に最小厚みを有し、他端に最大厚みを有していた。一端の厚みは780μm、他端の厚みは1275μmであった。得られた中間膜は、厚みが増加している領域の中に、一端側から他端側にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、かつ、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端側から他端側にかけて楔角が小さくなる部分を有する中間膜を作製した(外郭の形状は、
図6参照)。一端と他端との間の距離をXとしたときに、中間膜は、一端から0.3Xの位置に凸部の最も突出している部分が位置していた。中間膜全体の楔角は0.5mradであった。
【0268】
得られた中間膜を、実施例1と同様にして、巻き芯の外周にロール状に巻き取り、ロール体を作製した。
【0269】
(実施例10)
第1の層を形成するための組成物の作製:
下記の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の層を形成するための組成物を得た。
【0270】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度3000、水酸基の含有率22モル%、アセチル化度13モル%、アセタール化度65モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)60重量部
得られる第1の層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第1の層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0271】
第2の層及び第3の層を形成するための組成物の作製:
下記の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第2の層及び第3の層を形成するための組成物を得た。
【0272】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)38重量部
得られる第2の層及び第3の層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第2の層及び第3の層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0273】
中間膜及びロール体の作製:
第1の層を形成するための組成物と、第2の層及び第3の層を形成するための組成物とを、共押出機を用いて共押出し、厚み方向の断面形状が楔状である部分を有する印刷前中間膜を得た。得られた印刷前中間膜は、幅(一端と他端との距離)990mm、長さ125m及び平均厚み1028μmのサイズを有していた。
【0274】
キーエンス社製「MD-U1000C」を用いて、印刷前中間膜の一端側から180mmの位置及び他端側から352mmの位置に、線幅0.5mmの実線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成し、中間膜を作製した。UV照射の強度は60%とした。
【0275】
なお、上記印刷部は、HUD領域の位置合わせのための線である。
【0276】
また、得られた中間膜は、一端に最小厚みを有し、他端に最大厚みを有していた。一端の厚みは780μm、他端の厚みは1275μmであった。得られた中間膜は、厚みが増加している領域の中に、一端側から他端側にかけて厚みの増加量が小さくなる部分を有し、かつ、厚み方向の断面形状が楔状である領域の中に、一端側から他端側にかけて楔角が小さくなる部分を有する中間膜を作製した(外郭の形状は、
図5参照)。一端と他端との間の距離をXとしたときに、中間膜は、一端から0.3Xの位置に凸部の最も突出している部分が位置していた。中間膜全体の楔角は0.5mradであった。
【0277】
得られた中間膜を、実施例1と同様にして、巻き芯の外周にロール状に巻き取り、ロール体を作製した。
【0278】
(実施例11)
印刷前中間膜の一端側から15mmの位置及び他端側から15mmの位置に、線幅2mmの実線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例10と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。なお、上記印刷部は、合わせガラス部材の端部との位置合わせのための線である。
【0279】
(実施例12)
キーエンス社製「MK-U6000」を用いて、線幅1mmの実線をインクジェット印刷して緑色の印刷部を形成したこと以外は、実施例11と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0280】
(実施例13)
印刷前中間膜の一端側から35mmの位置及び他端側から35mmの位置に、線幅1mmの実線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例11と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。UV照射の強度は80%とした。
【0281】
(実施例14)
アヤハエンジニアリング社製「AMK-クリーン」を用いて、印刷前中間膜の一端側から10mmの位置及び他端側から10mmの位置に、線幅1mmの点線をラベラー印刷して赤色の印刷部を形成したこと以外は、実施例11と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0282】
(比較例2)
印刷部を形成しなかったこと以外は、実施例10と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0283】
(実施例15)
中間膜の幅等の寸法を表4に示すように変更したこと、印刷前中間膜の一端側から10mmの位置及び他端側から10mmの位置に、線幅100mmの点線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例10と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0284】
(実施例16)
中間膜の幅等の寸法を表4に示すように変更したこと、印刷前中間膜の一端側から5mmの位置及び他端側から5mmの位置に、線幅220mmの点線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例10と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0285】
(実施例17)
中間膜の幅等の寸法を表4に示すように変更したこと、印刷前中間膜の一端側から5mmの位置に、線幅300mmの実線をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例3と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0286】
(実施例18)
印刷前中間膜の一端側から100mmの位置に、中間膜の製品情報である二次元コード(QRコード(登録商標))をUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0287】
(実施例19)
印刷前中間膜の一端側から120mmの位置に、中間膜の製品情報であるバーコードをUVレーザー印刷して白色の印刷部を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。
【0288】
(実施例20)
中間膜の形状及び幅等の寸法を表4に示すように変更したこと、印刷前中間膜の一端側から150mmの位置に、中間膜の製品情報である文字をアルマーク社製「LINX 7900」を用いてインクジェット印刷して無色(透明)の印刷部を形成したこと以外は、実施例10と同様にして、中間膜及びロール体を作製した。なお、蛍光トナーとしてはアルマーク社製「リンクス UV蛍光インク 1121」を用いた。
【0289】
(実施例21)
第1の層を形成するための組成物の作製:
下記の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第1の層を形成するための組成物を得た。
【0290】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度3000、水酸基の含有率22モル%、アセチル化度13モル%、アセタール化度65モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)60重量部
得られる第1の層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる第1の層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0291】
シェード領域を除く第2の層及び第3の層を形成するための組成物の作製:
下記の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第2の層及び第3の層を形成するための組成物を得た。
【0292】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)38重量部
得られる第2の層及び第3の層中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られるシェード領域を除く第2の層及び第3の層中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
【0293】
第2の層中のシェード領域を形成するための組成物の作製:
下記の成分を配合し、ミキシングロールで充分に混練し、第2の層中のシェード領域を形成するための組成物を得た。
【0294】
ポリビニルアセタール樹脂(平均重合度1700、水酸基の含有率30.5モル%、アセチル化度1.0モル%、アセタール化度68.5モル%)100重量部
トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート(3GO)40重量部
得られる第2の層(シェード領域)中で0.2重量%となる量のTinuvin326(2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
得られる中間膜(シェード領域)中で0.2重量%となる量のBHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)
得られる中間膜(シェード領域)中で0.025重量%となる量のSG-1505(アントラキノン化合物、住化カラー社製「BLUE SG-1505」)(着色剤)
【0295】
中間膜及びロール体の作製:
第1の層を形成するための組成物と、シェード領域を除く第2の層を形成するための組成物と、第2の層中のシェード領域を形成するための組成物と、第3の層を形成するための組成物とを、共押出機を用いて共押出し、印刷前中間膜を得た。得られた印刷前中間膜は、幅(一端と他端との距離)1016mm、長さ125m及び厚み780μmのサイズを有し、かつ一端と、該一端から他端に向けて150mmの位置との間の領域において、シェード領域を有していた。アルマーク社製「LINX 7900」を用いて、印刷前中間膜の一端側から10mmの位置及び他端側から10mmの位置に、線幅5mmの実線をインクジェット印刷して無色(透明)の印刷部を形成し、中間膜本体と印刷部とを備える中間膜を作製した(外郭の形状は、
図7,8参照)。なお、蛍光トナーとしてはアルマーク社製「リンクス UV蛍光インク 1121」を用いた。
【0296】
得られた中間膜を、実施例1と同様にして、巻き芯の外周にロール状に巻き取り、ロール体を作製した。
【0297】
(評価)
(1)中間膜本体と印刷部との識別性
(1-1)蛍光灯照射下での識別性
実施例1~21で得られた中間膜について、以下の評価を行った。蛍光灯照射下の室内において、視力1.0を有する者が、中間膜の印刷部を有する表面を、該表面から70cm離れた位置から目視したときに、上記印刷部と上記中間膜本体とを識別可能か否かを判断した。なお、比較例1,2で得られた中間膜は、印刷部を形成していないため、評価は行わなかった。
【0298】
(1-2)波長365nmの光照射下での識別性
蛍光トナーを使用した実施例20,21で得られた中間膜について、以下の評価を行った。波長365nmの光を照射し、視力1.0を有する者が、中間膜の印刷部を有する表面を、該表面から70cm離れた位置から目視したときに、上記印刷部と上記中間膜本体とを識別可能か否かを判断した。
【0299】
[中間膜本体と印刷部との識別性の判定基準]
○:中間膜本体と印刷部とをはっきりと識別可能
△:中間膜本体と印刷部とをわずかに識別可能
×:中間膜本体と印刷部とを識別不可
【0300】
(2)光照射試験
(2-1)輝度
JIS R3202:2011に準拠した300mm×150mmの大きさ、及び、厚み2mmの2枚のクリアフロートガラス(第1のクリアフロートガラス及び第2のクリアフロートガラス)を用意した。ロール状の中間膜を展開し、TD方向(縦)30cm及びMD方向(横)15cmに切り取り、光照射試験用中間膜を作製した。なお、光照射試験用中間膜の表面において、上記印刷部と上記印刷部が形成されていない部分とを有するように光照射試験用中間膜を作製した。光照射試験用中間膜の印刷部が第1のクリアフロートガラス側に位置するように、光照射試験用中間膜を第1のクリアフロートガラスと第2のクリアフロートガラスとで挟み、240℃及び98N/cmの線圧力の条件で予備圧着した。その後、140℃及び1.3MPaの圧力の条件で圧着し、光照射試験用合わせガラスを得た。
【0301】
床からの高さ80cmの位置に床に対して垂直な方向に向かって床から15度の角度で強光源装置(日本技術センター社製「S-Light SA160」)を設置した。強光源装置から175cm離れた位置でありかつ合わせガラスの中央が床からの高さ1mとなる位置に、光照射試験用合わせガラスの面方向が強光源の照射方向に直交するように、かつ合わせガラスの第1のクリアガラス側が強光源側となるように光照射試験用合わせガラスを配置した。強光源から合わせガラスに光を照射して、光照射試験用合わせガラスから25cm背面に、該光照射試験用合わせガラスにおける中間膜の上記印刷部に対応する領域により投影される影を、視力1.0の検査員が目視にて確認し、影の輝度の差の有無を判定した。
【0302】
なお、比較例1,2で得られた中間膜は、印刷部を形成していないため、評価は行わなかった。
【0303】
[光照射試験(輝度)の判定基準]
A:輝度に差がない
B:輝度に差がある
【0304】
なお、上記判定結果が「A」である場合には、視力1.0を有する者が、光照射試験用合わせガラスの上記第1のクリアフロートガラス側の表面を、70cm離れた位置から目視したときに、上記印刷部と上記中間膜本体とを識別できなかった。
【0305】
(2-2)印刷部に対応する領域と非印刷部に対応する領域との平行光透過率の差
光照射試験用合わせガラスを用い、JIS R3106:1998に準拠して、印刷部に対応する領域と、印刷部周辺の非印刷部に対応する領域との平行光透過率を以下のようにして、測定した。分光光度計(日立ハイテク社製「U-4100」)を用いて、透過した平行光のみが積分球へ受光するように、光源と積分球との光路上で光軸の法線に平行に、かつ積分球から13cm離れた地点に印刷部に対応する領域又は印刷部周辺の非印刷部に対応する領域が位置するように、光照射試験用合わせガラスを設置した。この状態で分光透過率を測定した。得られた分光透過率から可視光線透過率を算出し、印刷部に対応する領域の平行光透過率、及び印刷部周辺の非印刷部に対応する領域の平行光透過率を求めた。印刷部に対応する領域の平行光透過率と印刷部周辺の非印刷部に対応する領域の平行光透過率との差の絶対値を求めた。
【0306】
[光照射試験(平行光透過率の差)の判定基準]
A:平行光透過率の差の絶対値が5%以下
B:平行光透過率の差の絶対値が5%を超える
【0307】
(3)シェード領域の位置ずれ
実施例3~8,17,21及び比較例1で得られた中間膜について、以下のシェード領域の位置ずれの評価を行った。
【0308】
合わせガラスの作製:
図8に示す合わせガラス部材G1Gの外郭形状を有する一対のガラス板(クリアガラス、510mm×910mmの大きさ、厚み2.0mm)を用意した。実施例3~8,17,21で得られた中間膜について、ロール状の中間膜を展開し、上記印刷部を目印にして、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材とを貼り合わせ、はみ出した部分をトリムカットし、積層体を得た。比較例1で得られた中間膜について、ロール状の中間膜を展開し、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材とを貼り合わせ、はみ出した部分をトリムカットし、積層体を得た。得られた積層体を、ガラス板の表面温度が50℃になるまでオーブン内で予備加熱した後、ゴムバッグ内に移した。次いで、ゴムバッグを吸引減圧機に接続し、加熱すると同時に-600mmHgの減圧下で保持しながら、積層体の温度(予備圧着温度)が18分間で90℃となるように加熱した後、大気圧に戻して予備圧着を終了して、予備圧着された積層体を得た。予備圧着された積層体を、オートクレーブを用いて、150℃及び1.2MPaの圧力で圧着することにより、合わせガラスを得た。
【0309】
同様にして、合わせガラスを合計10枚作製した。
【0310】
10枚の合わせガラスを並べ、シェード領域の先端の位置を目視にて確認した。
【0311】
[シェード領域の位置ずれの判定基準]
○:シェード領域の位置ずれが認められない
×:シェード領域の位置ずれが認められる
【0312】
(4)二重像
実施例9~16及び比較例2で得られた中間膜について、以下の二重像の評価を行った。
【0313】
合わせガラスの作製:
一対のガラス板(クリアガラス、510mm×920mmの大きさ、厚み2.0mm)を用意した。実施例9~16で得られた中間膜について、ロール状の中間膜を展開し、上記印刷部を目印にして、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材とを貼り合わせ、はみ出した部分をトリムカットし、積層体を得た。比較例2で得られた中間膜について、ロール状の中間膜を展開し、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材とを貼り合わせ、はみ出した部分をトリムカットし、積層体を得た。得られた積層体を、
図12に示すように、EPDM製ゴムチューブ(枠部材)にはめ込んだ。ゴムチューブの幅は15mmである。次に、EPDM製ゴムチューブにはめ込まれた積層体を予備圧着した。予備圧着された積層体を、オートクレーブを用いて、150℃及び1.2MPaの圧力で圧着することにより、合わせガラスを得た。
【0314】
同様にして、合わせガラスを合計10枚作製した。
【0315】
得られた合わせガラスをフロントガラスの位置に設置した。合わせガラスの下方に設置した表示ユニットから表示情報を合わせガラスに反射させ、所定の位置(表示対応領域の中心)で二重像の有無を目視で確認した。二重像を下記の基準で判定した。
【0316】
[二重像の判定基準]
○:全ての合わせガラスにおいて、二重像が確認されない
×:10枚中1枚以上で、二重像が確認される
【0317】
詳細及び結果を下記の表1~4に示す。なお、表1~4において、「合わせガラス部材の端部との位置合わせ用の目印」又は「HUD領域の位置合わせ用の目印」を、「位置合わせ用の目印」と記載した。
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
【符号の説明】
【0322】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G…第1の層
1Aa,1Ca,1Ea…厚み方向の断面形状が矩形である部分
1Ab,1Cb,1Eb…厚み方向の断面形状が楔状である部分
1AX,1CX,1EX…着色部
1AY,1CY,1EY…非着色部
2,2B,2D,2G…第2の層
3,3B,3D,3G…第3の層
3X,3BX,3DX,3GX…着色部
3Y,3BY,3DY,3GY…非着色部
4,4A,4F,4G…印刷部
4a,4Aa,4Ga…実線
4b,4Ab,4Fb…点線
4Fc…文字
11,11A,11B,11C,11D,11E,11F,11G,11-2…中間膜
11a…一端
11b…他端
11Aa,11Ca,11Ea…厚み方向の断面形状が矩形である部分
11Ab,11Cb,11Eb…厚み方向の断面形状が楔状である部分
11X…中間膜部
21…合わせガラス
22…第1の合わせガラス部材
23…第2の合わせガラス部材
R1…表示対応領域
R2…周囲領域
R3…シェード領域
G1,G1A,G1F,G1G…合わせガラス部材
51…ロール体
61…巻き芯