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特許7557368軸方向磁束モータ、半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータ用回転子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】軸方向磁束モータ、半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータ用回転子
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/2793 20220101AFI20240919BHJP
   H02K 1/02 20060101ALI20240919BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20240919BHJP
   H02K 1/2706 20220101ALI20240919BHJP
【FI】
H02K1/2793
H02K1/02 Z
H02K1/22 A
H02K1/2706
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020526970
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 EP2018081567
(87)【国際公開番号】W WO2019096997
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-07-06
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】102017127157.0
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515056277
【氏名又は名称】ゲーカーエン シンター メタルズ エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(72)【発明者】
【氏名】トゥ,ホン ザン
(72)【発明者】
【氏名】ボルネマン,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】ティラー,シュテファン
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】大橋 達也
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-249347号公報
【文献】特開2014-195351号公報
【文献】特開2017-60376号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/2793, 1/2706, 1/02, 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向磁束モータ(2)、半径方向磁束モータ(23)又は横方向磁束モータ(24)用の回転子(1)であって、軸方向(3)に沿って延伸する回転軸(4)を有し、前記回転子(1)が環状に延伸し、周辺方向(5)に沿って、交互に配置されている第1の磁化を有する第1の永久磁石(6)と、第1の磁化と異なる第2の磁化を有する第2の永久磁石(7)とを有し、
前記第1の磁化と前記第2の磁化とは前記周辺方向(5)を向いており、
前記第1の永久磁石(6)と前記第2の永久磁石(7)との間に、軟磁性複合材料を含む第1の材料(8)と、鉄含有材料を含む第2の材料(9)とが配置され、
前記第2の材料(9)は焼結され、
前記第2の材料(9)は永久磁石を含まない回転子(1)
【請求項2】
前記軸方向磁束モータ(2)については、前記第1の材料(8)及び前記第2の材料(9)が層状かつ前記軸方向(3)に沿って前後に配置され、前記半径方向磁束モータ(23)及び前記横方向磁束モータ(24)については、前記第1の材料(8)及び前記第2の材料(9)が層状かつ半径方向(13)に沿って前後に配置される請求項1に記載の回転子(1)。
【請求項3】
前記軸方向磁束モータ(2)については、前記第1の材料(8)及び前記第2の材料(9)が全体として前記軸方向(3)に沿って全高(10)を有し、前記第1の材料(8)が前記全高(10)の少なくとも10%である第1の高さ(11)に渡って延伸し、前記半径方向磁束モータ(23)及び前記横方向磁束モータ(24)については、前記第1の材料(8)及び前記第2の材料(9)が全体として半径方向(13)に沿って全高(10)を有し、前記第1の材料(8)が前記全高(10)の少なくとも10%である第1の高さ(11)に渡って延伸する請求項1又は請求項2に記載の回転子(1)。
【請求項4】
前記軸方向磁束モータ(2)については、前記永久磁石(6,7)が前記軸方向(3)に沿って前記全高(10)と同一の長さ(12)を有し、前記半径方向磁束モータ(23)及び前記横方向磁束モータ(24)については、前記永久磁石(6,7)が前記半径方向(13)に沿って前記全高(10)と同一の長さ(12)を有する請求項3に記載の回転子(1)。
【請求項5】
前記永久磁石(6,7)が前記半径方向(13)に少なくとも部分的に前記第1の材料(8)より外側に延伸する請求項から請求項4のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項6】
前記永久磁石(6,7)が前記半径方向(13)に少なくとも部分的に前記第1の材料(8)より内側に延伸する請求項から請求項5のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項7】
前記半径方向磁束モータ(23)及び前記横方向磁束モータ(24)については、前記第1の材料(8)が前記半径方向(13)に前記半径方向磁束モータ(23)及び前記横方向磁束モータ(24)の固定子(14)と隣接して配置されている請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の回転子(1)。
【請求項8】
軸方向磁束モータ(2)、半径方向磁束モータ(23)又は横方向磁束モータ(24)の形の電気駆動装置であって、少なくとも固定子(14)及び請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転子(1)を備え、前記固定子(14)がコイル(16)に囲まれた複数の核(15)を有する電気駆動装置。
【請求項9】
前記固定子(14)が軟磁性複合材料を有する請求項8に記載の電気駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気駆動装置用の回転子、特に軸方向磁束モータ(AFM:Axial Flux Motor)、半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータ用の回転子に関する。特に、上記各種電気駆動装置について、異なる回転子が提案される。
【背景技術】
【0002】
電気駆動装置は、発電機及び電気機械として用いることができる。電気駆動装置は、通常、同軸上に向かい合って配置された固定子及び回転子を備えている。ここで、回転子とは永久磁石のキャリアをいい、固定子はコイル配列を有する。
【0003】
回転子又は固定子は、シャフトと接続されていてもよい。上記シャフトは、電気駆動装置により駆動され(電気機械としての動作)、回転動作を軸方向磁束モータに伝達する(発電機動作)。上記電気駆動装置の基本的な構成は、公知であるとすることができる。ここでは、回転子特有の構成について説明する。
【0004】
軸方向磁束モータにおいて、具体的には、回転子及び固定子は、軸方向に沿って前後に配置されている。このとき、磁化の異なる磁石が、周辺方向に沿って回転子上に交互に配置されている。軸方向磁束モータの磁場線は、回転軸に対し略平行に軸方向に走っている。すなわち、磁場は回転軸に対し略平行である。
【0005】
軸方向磁束電気機械は、例えば独国特許第102009021703号明細書に記載のものが知られている。
【0006】
半径方向磁束モータにおいて、具体的には、回転子及び固定子は、半径方向に前後に配置されている(すなわち、例えば回転子が内側で固定子が外側、又はその逆)。このとき、磁化の異なる磁石が、周辺方向に沿って回転子上に交互に配置されている。半径方向磁束モータの磁場線は、回転軸に対し略横方向に半径方向に走っている。すなわち、磁場は回転軸に対し略横方向を向いている。
【0007】
横方向磁束モータは、通常、固定子及び回転子を備える。具体的には、回転子及び固定子は、半径方向に前後に配置されている(すなわち、例えば回転子が内側で固定子が外側、又はその逆)。このとき、磁化の異なる磁石が、周辺方向に沿って回転子上に交互に配置されている。横方向磁束モータの磁場線は、回転軸に対し略平行に軸方向に走っている。すなわち、磁場は回転軸に対し略平行である。このとき、磁束は三次元に半径方向及び周辺方向にも走っている。
【0008】
一例として、横方向磁束モータのクローポール型固定子の構成を以下に説明する。2つのクローポール型固定子が隣り合って軸方向に沿って配置され、端面を介して互いに接している。各クローポール型固定子は、基面から軸方向に沿って延伸する複数の極を有する。第1のクローポール型固定子の第1の極及び第2のクローポール型固定子の第2の極が、周辺方向に沿って交互に配置されており、それぞれ互いに隣接し、軸方向に互いに重畳しつつ互いに離間して配置されている。これらの極は、内周面に配置されていてもよいし、外周面に配置されていてもよい。また、クローポール型固定子は、外周面又は内周面上の端面を介して互いに接している。クローポール型固定子の間隙において、軸方向には端面間に、半径方向には互いに接する端面と極の間に、コイルを周辺方向に延伸してクローポール型固定子の間に配置してもよい。
【0009】
国際公開第2016/066714号に記載の軟磁性複合材料(SMC)からなる核を有する電気機械が知られている。上記文献において回転子に用いられる永久磁石は、回転軸に平行な方向に、すなわち軸方向に磁化されている。つまり、磁場の磁束線は、それぞれの永久磁石から軸方向に出ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】独国特許第102009021703号明細書
【文献】国際公開第2016/066714号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
固定子のコイル配列は、例えば通電巻線に囲まれたSMCからなる核を有する。各核は、通電巻線を介して核の周辺に電流が伝わると磁化されるように配置された素子であってもよい。通電巻線はコイルとして形成されていてもよい。各コイルは、各核の外径と略等しい内径を有していてもよい。
【0012】
具体的には、SMCは互いに電気的に絶縁された鉄粉粒子から形成されている。交流電場におけるSMC粒子中の鉄の損失は、一般的に小さい。従って、この点を鑑みると、最もよく使用される鋼鉄の積層体(鋼板もしくは電気鋼)の代わりに、SMCを電気機械において少なくとも一部に使用することが望ましいと考えられる。SMCから部品を作成するため、粒子を圧縮し、硬化する。ここで、SMC材料は焼結されない。代わりに、融点より低く、材料が意図された配列を恒久的に保つのに十分な温度で、焼き戻しを行う。
【0013】
電気駆動装置(すなわち軸方向磁束電気駆動装置、半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータ)の回転子は、永久磁石又はさらに軟磁性素子を、例えば凹部に有していてもよい。永久磁石を用いて、電気駆動装置(具体的には、軸方向磁束電動機、半径方向磁束電動機又は横方向磁束モータ)として、永久励起直流同期モータ又はブラシレス直流モータ(略称:BLDC)を形成することができる。また、例えば軟磁性素子を用いて、軸方向、半径方向又は横方向の電動機として、リラクタンスモータを作ることができる。
【0014】
電気機械の性能向上が常に求められている。
【0015】
上記を鑑み、本発明は、背景技術を用いて説明した課題を少なくとも部分的に解決することを目的とする。具体的には、電気駆動装置用(軸方向磁束モータ、半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータ用)のより効率の高い回転子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1の特徴に係る回転子が提案される。さらに発展させた有用な態様が、従属請求項の対象となっている。特許請求の範囲において個々に挙げられている特徴は、技術的に有意義に互いに組み合わせることが可能であり、明細書の記載及び図面の詳細により補完することができ、これにより発明の別の実施形態が提示される。
【0017】
軸方向に延伸する回転軸を有する電気駆動装置用(具体的には、軸方向磁束モータ、半径方向磁束モータ及び/又は横方向磁束モータ用)の回転子がこれに寄与する。上記回転子は、環状に延伸しており、周辺方向に沿って複数の永久磁石(本明細書では、具体的には、軟磁性素子もその概念に含む)を有する。永久磁石は、周辺方向に沿って、交互に磁化が異なることが好ましい(第1の磁化を有する第1の永久磁石及び第2の磁化を有する第2の永久磁石)。永久磁石の磁化はそれぞれ周辺方向を向いており、永久磁石は周辺方向に沿ってそれぞれ互いに離間して配置され、永久磁石の間には第1の材料として少なくとも軟磁性複合材料が配置されている。
【0018】
ここでは特に、永久磁石が軸方向ではなく、周辺方向に磁化されることが提案される。つまり、一方の(各)永久磁石の磁場の磁束線(もしくはその大部分)が、それぞれの永久磁石から(略)周辺方向に出ている。
【0019】
永久磁石の間には、磁束線の集中(磁束密度の向上、渦電流損失の低減)に寄与することができる第1の材料が配置されている。
【0020】
具体的には、永久磁石から周辺方向に出る磁場の磁束線は、周辺方向に接する第1の材料を介して、隣接する磁石に通じる。
【0021】
具体的には、永久磁石の間には、第2の材料として鉄含有材料がさらに配置されている。
【0022】
第2の材料は、焼結鉄含有材料又は電気鋼材料であることが好ましい。
【0023】
具体的には、第1の材料と第2の材料を組み合わせることにより、第1の材料及び/又は第2の材料の表面で生じる渦電流損失に起因する鉄の損失を回避もしくは低減することができる。
【0024】
軸方向磁束モータについては、第1の材料及び第2の材料が層状かつ軸方向に沿って前後に配置されることが好ましい。すなわち、具体的には、軸方向に沿って一方の材料、他方の材料の順に配置されている。
【0025】
具体的には、半径方向磁束モータ及び/又は横方向磁束モータについては、第1の材料及び第2の材料が層状かつ半径方向に沿って前後に配置されている。すなわち、具体的には、半径方向に沿って一方の材料、他方の材料の順に配置されている。
【0026】
電気機械を形成するため、固定子上の回転子の配置において、具体的には、第1の材料が固定子に対向して配置されている。
【0027】
具体的には、半径方向磁束モータ及び/又は横方向磁束モータについては、第1の材料が半径方向に半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータの固定子と隣接して配置されている。具体的には、第2の材料が固定子に対し離間して配置されている。具体的には、第2の材料と固定子の間に、第1の材料が配置されている。
具体的には、軸方向磁束モータについては、第1の材料及び第2の材料が全体として軸方向に沿って全高を有し、第1の材料が全高の少なくとも10%、特に少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%である第1の高さに渡って延伸している。
【0028】
好ましくは、第1の材料が全高の最大90%、特に最大80%である第1の高さを有する。
具体的には、半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータについては、第1の材料及び第2の材料が全体として半径方向に沿って全高を有し、第1の材料が全高の少なくとも10%、特に少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%である第1の高さに渡って延伸している。
好ましくは、第1の材料が全高の最大90%、特に最大80%である第1の高さを有する。
【0029】
具体的には、軸方向磁束モータ用の永久磁石は、軸方向に沿って全高に(略)対応する長さを有している。具体的には、半径方向磁束モータ及び/又は横方向磁束モータ用の永久磁石は、半径方向に沿って全高に(略)対応する長さを有している。
【0030】
具体的には、永久磁石が半径方向に少なくとも部分的に(特に完全に)第1の材料より(場合によっては、第2の材料より)外側に延伸している。
【0031】
具体的には、永久磁石が半径方向に少なくとも部分的に(特に完全に)第1の材料より(場合によっては、第2の材料より)内側に延伸している。
【0032】
さらに、軸方向磁束モータ、半径方向磁束モータ又は横方向磁束モータの形の電気駆動装置であって、少なくとも固定子及び上記回転子を備え、固定子がコイルに囲まれた複数の核を有する電気駆動装置が提案される。
【0033】
具体的には、固定子が軟磁性複合材料を有する。
【0034】
核(もしくはコイル)の数は、永久磁石の数と異なっていてもよい。
【0035】
回転子の態様は、電気駆動装置(もしくは軸方向磁束モータ、半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータ)についても同じように適用でき、逆もまた同様である。
【0036】
なお、ここで使用される数詞(「第1の」、「第2の」・・・)は、主として、複数の同じような対象又は変数を区別するため(だけ)に用いられる。すなわち、具体的には、必ずしもこれらの対象又は変数の従属関係及び/又は順序を規定するものではない。従属関係及び/又は順序を表す必要がある場合は、本明細書中に明示的に示される。又は、詳細に記載された態様を読めば、当業者には自明である。
【0037】
以下、本発明及び技術的背景について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は示される実施形態により限定されない。具体的には、明示的な定めがない限り、図面で説明された事項の一部を抽出し、本明細書及び/又は図面における他の構成要素及び知見と組み合わせることも可能である。なお、具体的には、図面とりわけ図示された大小関係は、単なる概略的なものである。同じ符号は同じ対象を指しているため、他の図面の記載が補足的に使用されることもある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】軸方向磁束モータの第1の実施形態を示す斜視図。
図2図1の軸方向磁束モータの回転子を示す斜視図。
図3図2の回転子を示す側面図。
図4図2及び図3の回転子を示す回転軸に沿った図。
図5】第1の材料及び第2の材料の分布に対する渦電流損失及び生じ得る回転モーメントを示すグラフ。
図6】軸方向磁束モータの第2の実施形態を示す第1の斜視図。
図7図6の軸方向磁束モータを示す第2の斜視図。
図8】半径方向磁束モータ及び横方向磁束モータ並びに時間変化する磁場における一時点での磁束の経路を示す図。
図9図8の半径方向磁束モータを示す回転軸に沿った側面図。
図10図9の半径方向磁束モータを示す斜視図。
図11】横方向磁束モータの一部を切り抜いて示す回転軸に沿った側面図。
図12図11の切り抜き箇所を示す第1の斜視図。
図13図11及び図12の切り抜き箇所を示す第2の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、回転軸4を有する軸方向磁束モータ2の第1の実施形態を示す斜視図である。軸方向磁束モータ2は、固定子14及び回転子1を備え、固定子14はコイル16に囲まれた複数の核15を有する。核15は、少なくとも部分的に第1の材料8から作製される。
【0040】
図2は、図1の軸方向磁束モータ2の回転子1を示す斜視図である。図3は、図2の回転子1を示す側面図である。図4は、図2及び図3の回転子1を示す回転軸4に沿った図である。以下、図2から図4をまとめて説明する。
【0041】
回転子1は、軸方向3に沿って延伸する回転軸4を有し、回転子1は環状に延伸し、周辺方向5に沿って(第1の磁化を有する)複数の第1の永久磁石6及び(第1の磁化と異なる第2の磁化を有する)複数の第2の永久磁石7を有する。永久磁石6,7は、周辺方向5に沿って交互に磁化が異なっている。永久磁石6,7の磁化はそれぞれ周辺方向5を向いている。つまり、(永久磁石から出るもしくは永久磁石に入る)磁束線の方向17は、周辺方向5である。永久磁石6,7は、周辺方向5に沿ってそれぞれ互いに離間して配置され、永久磁石6,7の間に、第1の材料8として軟磁性複合材料が配置されている。
【0042】
永久磁石6,7の間には、第2の材料9としてさらに鉄含有材料が配置されている。第1の材料8及び第2の材料9は、層状かつ軸方向3に沿って前後に配置されている。軸方向3に沿って、第1の材料8、第2の材料9の順に配置されている。
【0043】
第1の材料8及び第2の材料9が全体として、軸方向3に沿って全高10を有し、ここでは第1の材料8が全高10の約50%である第1の高さ11に渡って延伸している。
【0044】
永久磁石6,7は、軸方向3に沿って全高10に対応する長さ12を有する。
【0045】
永久磁石6,7は、半径方向13に第1の材料8より外側にも内側にも延伸している。
【0046】
図5は、第1の材料及び第2の材料の分布(全高10に対する第1の高さ11の比20[%]、横軸)に対する渦電流損失18[W](縦軸)及び生じ得る回転モーメント19[mNm](ミリニュートン・メートル)(縦軸)を示すグラフである。
【0047】
第1の曲線21は、比20に対する渦電流損失18の推移を示している。第2の曲線22は、比20に対する生じ得る回転モーメント19の推移を示している。
【0048】
図6は、軸方向磁束モータ2の第2の実施形態を示す第1の斜視図である。図7は、軸方向磁束モータ2を示す第2の斜視図である。これらの態様については、図1から図4の記載を援用する。
【0049】
軸方向磁束モータ2において、回転子1及び固定子14が軸方向3に沿って前後に配置されている。ここで、磁化の異なる永久磁石6,7が周辺方向5に沿って、回転子1上に交互に配置されている。軸方向磁束モータ2の磁場線は、回転軸4に対し略平行に軸方向3に走っている。つまり、磁場は回転軸4に対し略平行である。
【0050】
図8は、半径方向磁束モータ23及び横方向磁束モータ24並びに時間変化する磁場における一時点での磁束もしくは磁場線25の経路を示している。固定子14にコイル16は図示しておらず、一時点での時間変化する磁場の極性の切り替わりを、+/-の記号で表している。回転子1は、軸方向3に沿って延伸する回転軸4を有し、回転子1は環状に延伸し、周辺方向5に沿って(第1の磁化を有する)複数の第1の永久磁石6及び(第1の磁化と異なる第2の磁化を有する)複数の第2の永久磁石7を有する。永久磁石6,7は、周辺方向5に沿って交互に磁化が異なっている。永久磁石6,7の磁化はそれぞれ周辺方向5を向いている。つまり、(永久磁石から出るもしくは永久磁石に入る)磁束線の方向17は、周辺方向5である。永久磁石6,7は、周辺方向5に沿ってそれぞれ互いに離間して配置され、永久磁石6,7の間には、半径方向13に外側に第1の材料8として軟磁性複合材料が、半径方向13に内側に第2の材料9が配置されている。
【0051】
図9は、半径方向磁束モータ23を示す回転軸4に沿った側面図である。図10は、図9の半径方向磁束モータ23を示す斜視図である。以下、図9及び図10をまとめて説明する。これらの態様については、図8の記載を援用する。
【0052】
半径方向磁束モータ23において、回転子1及び固定子14は半径方向13に前後に(すなわち、ここでは回転子1が内側、固定子14が外側に)配置されている。このとき、磁化の異なる永久磁石6,7が、周辺方向5に沿って回転子1上に交互に配置されている。半径方向磁束モータ23の磁場線25は、回転軸4に対し略横方向に半径方向13に走っている。すなわち、磁場は回転軸4に対し略横方向を向いている。
【0053】
半径方向磁束モータ23については、第1の材料8及び第2の材料9が層状かつ半径方向13に沿って前後に配置されている。すなわち、ここでは内側から半径方向13に沿って外側に向かって、第2の材料9、第1の材料8の順に配置されている。
【0054】
電気機械を形成するため、固定子14上の回転子1の配置において、第1の材料8が固定子14に対向して配置されている。
【0055】
半径方向磁束モータ23については、第1の材料8が半径方向13に半径方向磁束モータ23の固定子14と隣接して配置されている。第2の材料9が、固定子14に対し離間して配置されている。第2の材料9と固定子14の間に、第1の材料8が配置されている。
【0056】
半径方向磁束モータ23については、第1の材料8及び第2の材料9が全体として、半径方向13に沿って全高10を有し、第1の材料8が第1の高さ11に渡って延伸している。
【0057】
図11は、横方向磁束モータ24の一部を切り抜いて示す回転軸4に沿った側面図である。図12は、図11の切り抜き箇所を示す第1の斜視図である。図13は、図11及び図12の切り抜き箇所を示す第2の斜視図である。以下、図11から図13をまとめて説明する。
【0058】
横方向磁束モータ24は、通常、固定子14及び回転子1を備える。回転子1及び固定子14は、半径方向13に前後に(すなわち、ここでは回転子1が内側、固定子14が外側に)配置されている。このとき、磁化の異なる永久磁石6,7が、周辺方向5に沿って回転子1上に交互に配置されている。横方向磁束モータ24の磁場線25は、回転軸4に対し略平行に軸方向3に走っている。すなわち、磁場は回転軸4に対し略平行である。このとき、磁束は三次元に半径方向13及び周辺方向5にも走っている。
【0059】
クローポール型固定子14については、2つのクローポール型固定子14が隣り合って軸方向3に沿って配置され、端面25を介して互いに接している(端面25は図12に示す)、又は一体となっている(図13参照)。各クローポール型固定子14は、基面29から軸方向3に沿って延伸する複数の極27,28を有する。第1のクローポール型固定子14の第1の極27及び第2のクローポール型固定子14の極28が、周辺方向5に沿って交互に配置されており、それぞれ互いに隣接し、軸方向3に互いに重畳しつつ互いに離間して配置されている。極27,28は、内周面30に配置されている。クローポール型固定子14は、外周面31上の端面25を介して互いに接している(図12参照。一体となっている場合は、図13参照)。クローポール型固定子14の間隙において、軸方向3には端面25間に、半径方向13には互いに接する端面25と極27,28の間に、コイル16が周辺方向5に延伸してクローポール型固定子14の間に配置されている。
横方向磁束モータ24については、第1の材料8及び第2の材料9が層状かつ半径方向13に沿って前後に配置されている。すなわち、ここでは内側から半径方向13に沿って外側に向かって、第2の材料9、第1の材料8の順に配置されている。
【0060】
電気機械を形成するため、固定子14上の回転子1の配置において、第1の材料8が固定子14に対向して配置されている。
【0061】
横方向磁束モータ24については、第1の材料8が半径方向13に横方向磁束モータ24の固定子14と隣接して配置されている。第2の材料9が、固定子14に対し離間して配置されている。第2の材料9と固定子14の間に、第1の材料8が配置されている。
【0062】
横方向磁束モータ24については、第1の材料8及び第2の材料9が全体として、半径方向13に沿って全高10を有し、第1の材料8が第1の高さ11に渡って延伸している。
【符号の説明】
【0063】
1 回転子
2 軸方向磁束モータ
3 軸方向
4 回転軸
5 周辺方向
6 第1の永久磁石
7 第2の永久磁石
8 第1の材料
9 第2の材料
10 全高
11 第1の高さ
12 長さ
13 半径方向
14 固定子
15 核
16 コイル
17 磁束線の方向
18 渦電流損失[W]
19 回転モーメント[mNm]
20 第1の高さ/全高比[%]
21 第1の曲線
22 第2の曲線
23 半径方向磁束モータ
24 横方向磁束モータ
25 磁場線
26 端面
27 第1の極
28 第2の極
29 基面
30 内周面
31 外周面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13