(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】排水システム
(51)【国際特許分類】
E03F 5/20 20060101AFI20240919BHJP
E03F 5/10 20060101ALI20240919BHJP
E01D 19/08 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
E03F5/20
E03F5/10 A
E01D19/08
(21)【出願番号】P 2021007250
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】那須 秀之
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-197030(JP,A)
【文献】特開2006-274652(JP,A)
【文献】特開2002-256603(JP,A)
【文献】米国特許第05613797(US,A)
【文献】中国実用新案第213203786(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/20
E03F 5/10
E01D 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁に配置された排水桝部と、
前記排水桝部の内側に配置され、サイフォン現象の発生を誘発する排水部材と、
前記排水部材の排水口に接続された配管と、
前記配管から上方に向かって分岐する分岐管と、を備
え、
前記分岐管は、前記排水口より上方に開口を有する、
排水システム。
【請求項2】
前記開口と前記排水口の鉛直方向の間隔は、100mm以下である、請求項
1に記載の排水システム。
【請求項3】
前記開口に配置された蓋を更に備えた、請求項
1または
2に記載の排水システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高架橋道路の路面の雨水等を排除するために、路肩部に排水桝が設けられ、排水桝の流出口に排水管が接続される。排水管は地上まで設置され、地下排水管等に接続される。排水桝は橋梁の床版(コンクリート製)に埋め込まれて設置されている。
【0003】
雨水等は、路面から排水桝に流入収集され、排水管を非満管流で流下していく。満管流を発生させるための高排水ドレン部材を排水桝内に設けることで、排水流量を増加させることができる(排水能力向上)。高排水ドレン部材は、排水桝の下部から排水桝内に貫通する排水管等の上端に設けられる。
【0004】
従来より、排水管の径は呼び径150mmまたは200mmが普及しており、排水管が接続される排水桝の流出口径も同様である。このような既設の排水桝に、上記の高排水ドレン部材を設けるためには、排水桝の流出口内の鉛直方向に、満管流用の排水管(呼び径75または100mm)を貫通させて、排水桝流出口の内径と満管流用の排水管外径とのクリアランスをモルタルや合成樹脂製充填剤で裏込めし、止水および管の固定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように高排水ドレン部材が排水管の上端に設けられているため、排水管内を定期的に点検および清掃する際には、高排水ドレン部材を排水管から取り外してから排水管内部に器具を挿入する必要があり、手間がかかっていた。また、排水桝部の形状によっては、高排水ドレン部材を容易に取り外せない場合もある。
【0007】
本開示は、高排水のドレン部材を用いた排水桝に対して点検および清掃を容易に行うことが可能な排水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の開示にかかる排水システムは、排水桝部と、排水部材と、配管と、分岐管と、を備える。排水桝部は、橋梁に配置されている。排水部材は、排水桝部の内側に配置され、サイフォン現象の発生を誘発する。配管は、排水部材の排水口に接続されている。分岐管は、配管から上方に向かって分岐する。
【0009】
このように、配管から上方に向かって分岐した分岐管を設けることによって、分岐管から点検または清掃のための用具を挿し込んで、配管の点検または清掃を行うことができる。
【0010】
第2の開示にかかる排水システムは、第1の開示にかかる排水システムであって、分岐管は、排水口より上方に開口を有する。
【0011】
排水部材の排水口から排水桝部に流入した水が排出されるため、雨水等が流れ込むと排水桝部の水位は、排水部材の排水口の高さにまでなることが多い。そのため、分岐管の開口を排水部材の排水口よりも上方に配置することで、開口が水面よりも上方に位置しやすくなり、点検・清掃を行い易くなる。
【0012】
第3の開示にかかる排水システムは、第2の開示にかかる排水システムであって、開口と排水口の鉛直方向の間隔は、100mm以下である。
【0013】
これにより、排水桝部の高さを100mm程度に収めることができる。
【0014】
第4の開示にかかる排水システムは、第2または第3の開示にかかる排水システムであって、開口に配置された蓋を更に備える。
【0015】
これにより、塵等の分岐管への流入を防ぐことができるため、分岐管からの点検または清掃を行い易くなる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、高排水のドレン部材を用いた排水桝に対して点検および清掃を容易に行うことが可能な排水システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示にかかる実施の形態1における排水システムを橋梁に設置した状態を示す図。
【
図2】本開示にかかる実施の形態1における排水システムの構成を示す模式断面図。
【
図3】本開示にかかる実施の形態1における排水システムの部分拡大図。
【
図6】
図3のサイフォンドレン部材を示す斜視断面図。
【
図8】(a)
図3の配管接続構造の分解図、(b)
図8(a)のキャップを底面側から視た斜視図。
【
図9】本開示にかかる実施の形態2の排水システムの構成を示す断面図。
【
図10】(a)本開示にかかる実施の形態2の排水システムに用いられる継手の上面図、(b)本開示にかかる実施の形態2の排水システムに用いられる継手の半断面図。
【
図11】本開示にかかる実施の形態2の排水システムの改修を説明するための図。
【
図12】本開示にかかる実施の形態2の排水システムの改修を説明するための図。
【
図13】本開示にかかる実施の形態2の排水システムの改修を説明するための図。
【
図14】本開示にかかる実施の形態2の変形例における継手を示す断面図。
【
図15】
図14に示す継手を用いて改修した状態の排水システムを示す図。
【
図16】本開示にかかる実施の形態2の変形例における継手を示す半断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本開示の実施の形態に係る排水システムについて図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
以下に、本開示にかかる実施の形態1における排水システム1について説明する。
【0019】
(排水システム1の概要)
図1は、本開示にかかる実施の形態1の排水システム1を橋梁に設置した状態を示す図である。図に示すように、排水システム1は、橋梁200の側溝に沿って複数配置されている。橋梁200に降った雨水が排水システム1に流れ込み、橋梁200外に排水される。
【0020】
図2は、排水システム1の構成を示す模式断面図である。
図3は、
図2の部分拡大図である。
【0021】
図2に示すように、排水システム1は、蓋10と、排水桝部20と、サイフォンドレン部材30(排水部材の一例)と、接続構造80と、排水配管90(排水管の一例)と、を備える。
【0022】
(蓋10)
図4は、蓋10と排水桝部20の分解斜視図である。
【0023】
蓋10は、例えば金属製の複数の孔を有する蓋である。複数の孔は雨の流入を妨げなければどのような形状でも良く、例えば、グレーチングのように網目状に形成されていても良いし、長方形の孔が複数開けられていても良い。蓋10は、排水桝部20に支持されており、蓋10から雨水が排水桝部20に流れ込む。蓋10は、本実施の形態では一例として四角形状であるが、これに限らず四角以外の多角形、丸、または楕円であってもよい。
【0024】
なお、本実施の形態では、蓋10として金属製のものを用いているが、金属製に限らなくてもよく、樹脂製等であってもよい。
【0025】
(排水桝部20)
排水桝部20は、
図2に示すように、上枡21と、下枡22と、高さ調整部23と、を有している。上枡21は、金属製であり、蓋10の周囲に配置される枠体である。上枡21の内側が排水桝部20の開口部20aに対応し、蓋10が配置される。
【0026】
上枡21は、側壁41と、蓋載置部42と、を有する。側壁41は、蓋10の周囲を囲むように形成されている。蓋載置部42は、側壁41の下端から内側に向かって側壁41に対して概ね垂直に形成されている。蓋載置部42に蓋10が載置される。
【0027】
下枡22は、例えばFRP製であり、側壁51と、上枡支持部52と、絞り部53と、接続部54と、を有する。
【0028】
側壁51は、上枡21の周囲を囲むように形成されている。上枡支持部52は、側壁51の下端から内側に向かって側壁51に対して概ね垂直に形成されている。上枡支持部52に、上枡21が支持される。上枡支持部52と蓋載置部42には、下枡22に対する上枡21の高さ位置を調整する高さ調整部23が設けられている。
【0029】
絞り部53は、
図4に示すように外観が円筒形状であり、
図2に示すように上枡支持部52の下方に設けられている。絞り部53の上端は後述する接続部54によって上枡支持部52と接続されている。
【0030】
絞り部53の下部53aは、
図2に示すようにコンクリート床版201の底下端面201aから下方に突出している。絞り部53の下端53bは開放されており、後述する接続構造80のキャップ83によって塞がれている。キャップ83の底面83aが止水面を構成する。
【0031】
また、絞り部53は、
図2に示すように左右方向において開口部20aよりも左右の一方側にずれて配置されている。
【0032】
接続部54は、上枡支持部52と絞り部53とを接続する。接続部54は、上枡支持部52の内側の端から絞り部53の上端までを接続する。
【0033】
接続部54は、
図2に示すように、上面54aと、下面54bと、一対の側面54c(
図4において片方のみ示されている)と、を有している。上面54aと下面54bは、
図2に示すように、略平行に傾斜して配置されている。側面54cは、上面54aの両端と下面54bの両端を繋ぐように配置されている。上面54aは、後述するサイフォンドレン部材30の上方の近傍を覆うように配置されている。下面54bは、後述する分岐管86の下側に配置されている。
【0034】
高さ調整部23は、下枡22に対する上枡21の高さ位置を調整する。高さ調整部23は、ボルト61と、ナット62と、を有する。ボルト61は、上枡支持部52に形成された貫通孔に挿入されている。ボルト61は、上枡支持部52に対して略垂直に配置されている。ボルト61のヘッド61aが、上枡21の蓋載置部42に下方から当接している。ナット62は、貫通孔と同軸になるように上枡支持部52に固定されている。ナット62には、ボルト61が挿通されている。ボルト61のナット62への捻じ込み量を変更することによって、上枡21の下枡22に対する高さを変更することができる。高さ調整部23は、上枡支持部52の対向する長辺と対向する短辺の全てに設けられていてもよいし、どちらか一方のみに設けられていてもよい。
【0035】
ここで、
図2に示すように、下枡22の上端付近までコンクリート床版201が設けられ、コンクリート床版201の上部に舗装202が設けられている。舗装202の上端と、上枡21の上端の位置は概ね一致している。舗装202の厚さにあわせるように、高さ調整部23によって下枡22に対する上枡21の位置を調整することができる。
【0036】
(サイフォンドレン部材30)
サイフォンドレン部材30(排水部材の一例)は、サイフォンドレン部材30と接続構造80を介して接続されている排水配管90(後述する)に排水される水にサイフォン現象の発生を誘発する。サイフォンドレン部材30は、排水桝部20に流入した雨水の排水能力を向上させるための高排水機能を有する排水部材である。
【0037】
図5は、サイフォンドレン部材30を示す斜視図である。
図6は、サイフォンドレン部材30の斜視断面図である。
図7は、
図6の正面図である。
【0038】
サイフォンドレン部材30は、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂を用いて射出成形によって作成することができる。なお、合成樹脂に限るものではなく、鋳型を用いた鋳鉄製であってもよい。
【0039】
サイフォンドレン部材30は、蓋部材31と、装着筒32と、複数の縦リブ33と、を有する。
【0040】
蓋部材31は、板状であり、円盤状に形成されている。装着筒32は筒状に形成されている。蓋部材31と装着筒32の各々の中心軸は、共通軸上に配置され、鉛直方向に一致している。この共通軸をドレン軸Oとし、ドレン軸O方向に沿うサイフォンドレン部材30の装着筒32を下側とし、蓋部材31側を上側とする。また、サイフォンドレン部材30をドレン軸O方向から視た平面視においてドレン軸Oに直交する方向を径方向とし、ドレン軸O周りに周回する方向を周方向とする。
【0041】
装着筒32は、落し口部34を形成する筒部71と、筒部71の上端から径方向の外側に延びる板状の鍔部72と、を有する。筒部71と鍔部72が連設される内面側の接続部分32aは、
図7に示すようにテーパー面或いは曲面に形成されたベルマウス形状に形成されている。接続部分32aが曲面である場合、ドレン軸Oと平行な方向の断面の曲率半径は5mm~20mmであるほうが好ましい。
【0042】
落し口部34は、雨水を排水する部分であり、落し口部34の上端の開口(筒部71の上端の内側ともいえる)を排水口34aとする。排水口34aは、鍔部72の内側ともいえる。排水口34aから蓋部材31までの鉛直方向における距離は、鍔部72から蓋部材31までの鉛直方向における距離と概ね同じである。ドレン軸Oに沿った方向において排水口34aと鍔部72の位置が概ね一致する。
【0043】
落し口部34の開口34bは、排水口34aよりも下側であって、径が一定の部分を示し、開口34bの開口径がR1(
図7参照)として示されている。また、開口径がR1の開口34bの面積を、落し口部34の開口面積とする。なお、開口径R1は筒部71の内径に相当し、落し口部34の開口面積は、筒部71の内径を直径とする面積に相当する。また、接続部分32aによって、開口34bから排水口34aに向かって除々に径が大きくなっている。
【0044】
サイフォンドレン部材30は、後述するが、接続構造80においてソケット81を介して縦管85と接続されている。
【0045】
図5および
図6に示すように、蓋部材31の外周縁31aと、鍔部72の外周縁72aの間に形成される部分が、雨水が落し口部34の排水口34aに流入する流入開口30aとなる(
図6の矢印B参照)。流入開口30aの面積は、落し口部34の開口34bの開口面積(径R1の部分)よりも大きい面積となるよう、蓋部材31の大きさや高さ形状が調整される。
【0046】
複数の縦リブ33は、
図6に示すように、装着筒32の鍔部72の上面72dと、蓋部材31の下面31cの外周部とを連結している。蓋部材31は、複数の縦リブ33によって下方から支持され、
図7に示すように、装着筒32から所定高さH1を確保した位置で支持されている。複数の縦リブ33は、流入開口30aに設けられ、平面視において径方向に沿って形成され、周方向に対して交差して形成されている。縦リブ33は、流入開口30aから落し口部34に流入する雨水を整流する機能を有している。本実施の形態では、縦リブ33は、6つ形成されており、6つの縦リブ33は、ドレン軸Oを中心として等間隔の角度(約60度間隔)で設けられているが、これに限られるものではない。
【0047】
蓋部材31は、鉛直方向の上方から視て落し口部34の開口34bを塞ぐように配置されている。また、蓋部材31の面積は落し口部34の開口34bの開口面積(径R1の部分)より大きく設定されている。なお、本実施の形態では蓋部材31の中心と落し口部34の開口の中心が鉛直方向に一致しているが、蓋部材31と落し口部34がともに傾いて斜めに配置されている場合には、蓋部材31の蓋面積が落し口部34の開口面積と同じ面積とすると、鉛直方向から視て落し口部34の開口34bを塞ぐことができず、蓋部材31と落し口部34の間に空気が入る隙間(渦流による空気芯)が生じることになる。
【0048】
そのため、鉛直方向に直交する面に対する蓋部材31の投影面積が落し口部34の開口34bの投影面積より大きく設定されているほうが好ましい。
【0049】
蓋部材31の蓋直径R2または最小幅寸法は、落し口部34の開口径R1(開口34bの径R1)より大きく、かつ開口径R1の245%以下である。さらに、蓋部材31の鍔部72の外周縁72aからの高さをH1、落し口部34の開口径をR1とした場合に、R1/H1の値が1.3~8.0の範囲を満たし、H1が10~60mmの範囲を満たし、開口面積は30cm2以上190cm2以下であるほうが好ましい。
【0050】
なお、
図5に示すように、蓋部材31の上面31bには、上方に突出し、周方向に間隔を空けて配置された把持リブ35が設けられている。把持リブ35は、サイフォンドレン部材30を接続構造80の縦管85に接続する際に作業者によって把持される。
【0051】
(サイフォンドレン部材の排水枡部における位置)
次に、サイフォンドレン部材30の排水桝部20の内側における位置について述べる。
【0052】
本実施の形態では、
図3に示すように、サイフォンドレン部材30の排水口34aがキャップ83の底面83aよりも高い位置に配置されている。
【0053】
これにより、
図3に示すように、鍔部72から底面83aまでの間の空間Sがゴミ溜め部として機能し、雨水とともに流れ込む異物が空間Sに溜められる。
【0054】
橋梁200に降った雨水は、
図2に示す蓋10から接続部54に沿って絞り部53に流れ込む(矢印A参照)。雨水とともに流れ込む異物は空間S(
図3参照)に溜められ、水位が鍔部72を超えると、超えた分の雨水が排水口34aに流れ込み、後述する縦管85から排水される。このとき、サイフォンドレン部材30によってサイフォン現象が誘発され、細い配管であっても効率よく雨水を排水することができる。
【0055】
また、空間Sにたまったゴミを定期的に取り除くことによって、高圧洗浄の頻度を少なくすることができ、点検・清掃にかかるコストを低減することができる。
【0056】
(接続構造80、排水配管90)
図8(a)は、
図2の接続構造80の分解図である。
図8(b)は、キャップ83の底面から視た斜視図である。
【0057】
接続構造80は、サイフォンドレン部材30と排水配管90を接続する。接続構造80は、ソケット81と、配管部82と、キャップ83と、ソケット84と、を有する。
【0058】
ソケット81は、塩化ビニル管の継手であり、
図3に示すように上方からサイフォンドレン部材30の筒部71が差し込まれる。
【0059】
配管部82は、ソケット81を介してサイフォンドレン部材30と接続される。配管部82は、縦管85と、分岐管86と、蓋87と、を有する。
【0060】
縦管85と分岐管86は、例えば塩化ビニルによって形成されている。縦管85は、鉛直方向に沿って配置されている。縦管85は、
図3に示すように、上端に形成された開口85aと、下端に形成された開口85bと、側面に形成された開口85cと、を有する。開口85aは、サイフォンドレン部材30の排水口34aと対向する。開口85bは、排水配管90の上端の開口と対向する。
【0061】
分岐管86は、縦管85から上方に向かって分岐している。分岐管86は、縦管85から分岐し斜め上方に向かって延びている。分岐管86は、縦管85の開口85cに接続されている。分岐管86は、両端に開口を有し、一方の端の開口が開口85cと対向するように縦管85に繋がっている。分岐管86の他方の端(上方ともいえる)の開口86aは、サイフォンドレン部材30の排水口34aよりも上方に位置する。鉛直方向において開口86aの縁の下端が排水口34a以上の位置に配置されている。また、開口86aの縁の下端から排水口34aまでの鉛直方向における距離をdとすると、dは100mm以下に設定されている。
【0062】
分岐管86は、
図3に示すように、第1分岐管部分861と、第2分岐管部分862と、ソケット863と、を有する。
【0063】
第1分岐管部分861は、筒状であり、分岐管86のうち縦管85に接続されている部分である。第2分岐管部分862は、筒状であり、ソケット863を介して、第1分岐管部分861に接続されている。本実施の形態では、第2分岐管部分862は、第1分岐管部分861と同じ外径と内径を有するが、異なっていてもよい。第2分岐管部分862は、第1分岐管部分861と同軸上に配置されている。
【0064】
第1分岐管部分861は、両端に開口を有し、一方の端の開口が開口85cに繋がるように縦管85に繋がっている。第1分岐管部分861の他方の端の開口は、第2分岐管部分862の両端の開口のうち一方の端の開口と対向している。第2分岐管部分862の他方の端の開口は、分岐管86の先端の開口86aを構成する。
【0065】
ソケット863は、筒状であり、例えば、ソケット863の両端の内側に雌ネジが形成され、第1分岐管部分861の他方の端の外周および第2分岐管部分862の一方の端の外周に雄ネジが形成される。ソケット863と第1分岐管部分861が螺合し、ソケット863と第2分岐管部分862が螺合することによって、ソケット863を介して第1分岐管部分861と第2分岐管部分862を接続することができる。
【0066】
分岐管86の長さと排水桝部20の形状によっては、配管部82を排水桝部20の内側に配置し難い場合があるが、本実施の形態のように分岐管86を第1分岐管部分861と第2分岐管部分862に分割することによって配管部82を排水桝部20の内側に配置しやすくすることができる。
【0067】
具体的には、
図8(a)に示すように、縦管85と第1分岐管部分861から構成される構造体を排水桝部20の下端53bから挿入し、第2分岐管部分862およびソケット863を排水桝部20の開口部20aから挿入して、排水桝部20内において、ソケット863を介して第1分岐管部分861に第2分岐管部分862を繋ぐ。これによって、配管部82を排水桝部20の内側に配置することができる。
【0068】
なお、縦管85に第1分岐管部分861が繋げられた構造体を排水桝部20の下端53bから挿入しやすいため、該構造体の水平方向における最大幅は、排水桝部20の下端53bの開口の直径よりも短い方が好ましい。この最大幅は、縦管85の中心軸に対して垂直な方向において第1分岐管部分861の縦管85から突出した長さと、縦管85の直径との和(
図3中eで示す)である。
【0069】
蓋87は、分岐管86の上方の開口86aを塞ぐように配置されている。蓋87は、開口86aを開閉可能に分岐管86(詳細には、第2分岐管部分862)に取り付けられている。例えば、蓋87は、分岐管86にヒンジ等を用いて取り付けられている。
【0070】
縦管85は、ソケット81に下方から差し込まれる。この縦管85の長さを調整することにより、サイフォンドレン部材30の高さ位置を変更することができる。例えば、ソケット81の両端の内側に雌ネジが形成され、筒部71の下端の外周および縦管110の上端の外周に雄ネジが形成される。ソケット81と筒部71が螺合し、ソケット81と縦管85が螺合することによって、ソケット81を介して筒部71と縦管85を接続することができる。
【0071】
キャップ83は、塩化ビニル管の継手である。キャップ83は、
図3に示すように、絞り部53の下端53bがキャップ83の内側に挿入されるように配置される。キャップ83には、
図8(b)に示すように底面83aの中央に縦管85の外径+1mmの穴83bが形成されている。穴83bには、縦管85が挿通される。なお、本実施の形態では、キャップ83の底面83aが、止水面を形成する。例えば、キャップ83の内側には雌ネジが形成され、絞り部53の下部53aの外周には雄ネジが形成される。絞り部53にキャップ83が螺合することによって、キャップ83を絞り部53に取り付けることができる。
【0072】
キャップ83は、
図2に示すように、コンクリート床版201の底下端面201aから下方に突出した絞り部53の下部53aに配置されている。
【0073】
ソケット84は、塩化ビニル管の継手であり、縦管85と排水配管90を接続する。ソケット84は、位置決めとキャップ83の支えとして配置されている。縦管85は、分岐管86より下側の部分がソケット84を挿通している。排水配管90は、塩化ビニル管であり、ソケット84に下方から挿入されている。例えば、ソケット84の両端の内側に雌ネジが形成され、縦管85の下端の外周および排水配管90の上端の外周に雄ネジが形成される。ソケット84と縦管85を螺合し、ソケット84と排水配管90を螺合することによって、ソケット84を介して縦管85と排水配管90を接続することができる。
【0074】
また、キャップ83の上端と絞り部53の間は、
図2に示すように、シリコンシーラント(積水化学社製)88が全周にわたって塗布されてシールされている。さらに、ソケット84とキャップ83と縦管85の間は、シリコンシーラント(積水化学社製)89が全周にわたって塗布されてシールされている。
【0075】
(特徴等)
本実施の形態の排水システム1では、縦管85(配管の一例)から上方に向かって分岐した分岐管86を設けることによって、分岐管86から点検または清掃のための用具を挿し込んで、縦管85および排水配管90の点検または清掃を行うことができる。
【0076】
また、
図2に示す形状の排水桝部20の場合、排水桝部20の上面54aがサイフォンドレン部材30の上側の近傍に覆うように配置されているため、サイフォンドレン部材30を容易に着脱することができないが、分岐管86を設けることによって、サイフォンドレン部材30を取り外さずに縦管85および排水配管90の点検・清掃を容易に行うことができる。
【0077】
本実施の形態の排水システム1では、分岐管86は、排水口34aより上方に開口86aを有する。サイフォンドレン部材30(排水部材の一例)の排水口34aから排水桝部20に流入した水が排出されるため、雨水等が流れ込むと排水桝部20の水位は、サイフォンドレン部材30の排水口34aの高さにまでなることが多い。そのため、分岐管86の開口86aをサイフォンドレン部材30の排水口34aよりも上方に配置することで、開口86aが水面よりも上方に位置しやすくなり、点検・清掃を行い易くなる。
【0078】
本実施の形態の排水システム1では、開口86aと排水口34aの鉛直方向の間隔dは、100mm以下である。これにより、排水桝部20の高さを100mm程度に収めることができる。
【0079】
本実施の形態の排水システム1は、開口86aに配置された蓋87を更に備える。これにより、塵等の分岐管への流入を防ぐことができるため、分岐管からの点検または清掃を行い易くなる。
【0080】
(実施の形態2)
以下に、本開示にかかる実施の形態2の排水システム2について説明する。
【0081】
本実施の形態2の排水システム2は、実施の形態1に排水システム1の配管部82に代えて継手100が用いられている。継手100は、実施の形態1の排水システム1を改修するために用いられる。すなわち、本実施の形態2の排水システム2は、例えば排水桝部20等が腐食して実施の形態1の排水システム1を改修したものである。
【0082】
図9は、本実施の形態2の排水システム2を示す断面図である。
【0083】
本実施の形態2の排水システム2は、実施の形態1の接続構造80とは異なる接続構造280を備える。
【0084】
接続構造280は、サイフォンドレン部材30と排水配管90を接続する。本実施の形態2の接続構造280は、ソケット81と、継手100と、ソケット84と、を有する。
【0085】
継手100は、実施の形態1の配管部82に代えて、サイフォンドレン部材30と排水配管90の間を繋ぐ。
【0086】
図10(a)は、継手100の上面図である。
図10(b)は、継手100の中心軸Qを基準とする半断面図である。
【0087】
継手100は、例えば塩化ビニルを材料として用いることができる。継手100は、縦管110と、フランジ部120と、側部130と、底部140と、分岐管170と、蓋180と、を有している。
【0088】
縦管110は、両端が開口した筒形状である。縦管110は、サイフォンドレン部材30と接続される端に開口110aを有し、排水配管90と接続される端に開口110bを有する。
【0089】
フランジ部120は、板状であり、縦管110の外周面110cから外側に向かって伸びている。フランジ部120は、外周面110cに対して垂直に形成されている。フランジ部120は、
図10(a)に示すように、外形が矩形状に形成されている。フランジ部120は、縦管110と繋がっている。フランジ部120の四角には、貫通孔120aが形成されている。貫通孔120aにボルト等が挿入されて、フランジ部120をコンクリート床版201の底下端面201aに固定することができる。なお、フランジ部120の外形は、矩形状に限らなくてもよく、円板状又は多角形状であってもよい。また、貫通孔120aは、少なくとも3つ以上設けられている方が好ましい。
【0090】
フランジ部120の開口110a側の面には、板状のゴム等によって形成された弾性体160が設けられている。これによってフランジ部120と、底下端面201aとの間で止水することができる。
【0091】
側部130は、筒状であって、縦管110の外側に配置されている。側部130は、縦管110の周囲の全周に亘って形成されている。側部130は、フランジ部120の開口110b側の面から開口110b側に向かって外周面110cに沿って配置されている。側部130は、開口110bの位置までは形成されていない。
【0092】
なお、既設の排水配管90を利用する場合には、排水配管90との接続を考慮して、側部130の縦管110に沿った長さは、コンクリート床版201から突出している排水桝部20の下部53aの長さ以上に設定する方が好ましい。
【0093】
底部140は、側部130の開口110b側の端と、外周面110cとを繋ぐ。底部140は、板状であり、外周面110cから外側に向かって円環状に形成されている。
【0094】
縦管110の外周面110cのフランジ部120よりも開口110a側の部分には、等間隔に形成された目盛り150が設けられている。この目盛り150は、サイフォンドレン部材30を配置する高さを調整する際に縦管110を切断するために設けられている。目盛り150は、線状または点状に印刷や刻印等によって示されており、中心軸Qに沿って配置されている。
【0095】
また、縦管110のうち、フランジ部120よりも開口110a側の部分を、第1縦管部分111とする。縦管110のうちフランジ部120から底部140までの部分を、第2縦管部分112とする。縦管110のうち底部140から開口110b側の部分を、第3縦管部分113とする。
【0096】
第1縦管部分111の外形寸法をφDuとし、側部130の外形寸法をφDとすると、φDu<φDに設定されている。また、第1縦管部分111と第2縦管部分112と第3縦管部分113は、それらの内径φdがほぼ等しく、内径差10mm以内に設定されている。また、第3縦管部分113の外形寸法をφDbとすると、φDu≦φDb、φD>φDbと設定されている。
【0097】
なお、第1縦管部分111、第2縦管部分112および第3縦管部分113は、本実施の形態の構成のように内径および外径が一定の筒状であってもよい。
【0098】
分岐管170および蓋180は、縦管110を清掃するために設けられている。
【0099】
分岐管170は、筒状であり、縦管110の第1縦管部分111に接続されている。第1縦管部分111の側面には、開口111dが形成されている。開口111dに分岐管170が接続されている。分岐管170は、開口111dから斜め上方に向かって配置されている。分岐管170の先端には、開口170aが形成されている。
【0100】
分岐管170は、
図10(b)に示すように、第1分岐管部分171と、第2分岐管部分172と、ソケット173と、を有する。
【0101】
第1分岐管部分171は、筒状であり、分岐管170のうち縦管110の第1縦管部分111に接続されている部分である。第2分岐管部分172は、筒状であり、ソケット173を介して、第1分岐管部分171に接続されている。本実施の形態では、第2分岐管部分172は、第1分岐管部分171と同じ外径と内径を有するが、異なっていてもよい。第2分岐管部分172は、第1分岐管部分171と同軸上に配置されている。
【0102】
第1分岐管部分171は、両端に開口を有し、一方の端の開口が開口111dと繋がるように第1縦管部分111に接続されている。第1分岐管部分171の他方の端の開口は、第2分岐管部分172の両端の開口のうち一方の端の開口と対向している。第2分岐管部分172の他方の端の開口は、分岐管170の先端の開口170aを構成する。
【0103】
ソケット173は、筒状であり、例えば、ソケット173の両端の内側に雌ネジが形成され、第1分岐管部分171の他方の端の外周および第2分岐管部分172の一方の端の外周に雄ネジが形成される。ソケット173と第1分岐管部分171が螺合し、ソケット173と第2分岐管部分172が螺合することによって、ソケット173を介して第1分岐管部分171と第2分岐管部分172を接続することができる。
【0104】
なお、実施の形態1と同様に、縦管110に第1分岐管部分171が繋げられた構造体を排水桝部20の下端53bから挿入しやすいため、該構造体の水平方向における最大幅は、排水桝部20の下端53bの開口の直径よりも短い方が好ましい。この最大幅は、縦管110の中心軸に対して垂直な方向において第1分岐管部分171の縦管110から突出した長さと、縦管110の直径との和(
図10(b)中eで示す)である。
【0105】
蓋180は、開口170aを塞ぐように配置されている。蓋180は、開口170aを開閉可能に、分岐管170(詳細には、第2分岐管部分172)に取り付けられている。例えば、蓋180は、分岐管170にヒンジ等を用いて取り付けられている。
【0106】
図9に示すように、実施の形態1と同様に、開口170aの縁の下端と排水口34aとの鉛直方向における距離dは、0mm~100mmに設定することができる。
【0107】
(改修方法)
図11は、排水システム1を改修する際の排水桝部20を示す図である。コンクリート床版201の底下端面201aより下方の下枡22の下部53aが腐食等している場合、
図12に示すように、腐食している下部53aが切り取られる。
図12において、切り取られた下部53aが点線で示されている。
【0108】
次に、縦管110と縦管110に繋がった第1分岐管部分171から構成される構造体が、下方から、下枡22の内側に挿し込まれる。
【0109】
挿し込まれた後に、フランジ部120が下方よりコンクリート床版201の底下端面201aに当接され、
図10(a)に示す貫通孔120aからボルト等を挿入することによって、フランジ部120がコンクリート床版201に固定される。
そして、上方から、第2分岐管部分172とソケット173が、開口部20aを介して下枡22に挿入され、第2分岐管部分172はソケット173を介して第1分岐管部分171に接続される。
【0110】
また、
図13に示すように、ソケット81を用いて、縦管110の第1縦管部分111とサイフォンドレン部材30が接続される。サイフォンドレン部材30のドレン軸Oと継手100の縦管110の中心軸Qが同軸上に配置される。
【0111】
また、
図9に示すように、ソケット84を用いて、縦管110の第3縦管部分113と排水配管90が接続される。なお、ソケット84と縦管110の間は、シリコンシーラント(積水化学社製)89が全周にわたって塗布されてシールされる。
【0112】
以上のように、継手100を用いてサイフォンドレン部材30と排水配管90を接続することができる。
【0113】
(特徴等)
本実施の形態の排水システム2では、縦管110(配管の一例)から上方に向かって分岐した分岐管170を設けることによって、分岐管170から点検または清掃のための用具を挿し込んで、配管の点検または清掃を行うことができる。
【0114】
また、
図9に示す形状の排水桝部20の場合、排水桝部20の上面54aがサイフォンドレン部材30の上側の近傍に覆うように配置されているため、サイフォンドレン部材30を容易に着脱することができないが、分岐管86を設けることによって、サイフォンドレン部材30を取り外さずに縦管85および排水配管90の点検・清掃を容易に行うことができる。
【0115】
本実施の形態の排水システム2では、分岐管170は、排水口34aより上方に開口170aを有する。サイフォンドレン部材30(排水部材の一例)の排水口34aから排水桝部20に流入した水が排出されるため、雨水等が流れ込むと排水桝部20の水位は、サイフォンドレン部材30の排水口34aの高さにまでなることが多い。そのため、分岐管170の開口170aをサイフォンドレン部材30の排水口34aよりも上方に配置することで、開口170aが水面よりも上方に位置しやすくなり、点検・清掃を行い易くなる。
【0116】
本実施の形態の排水システム2では、開口170aと排水口34aの鉛直方向の間隔dは、100mm以下である。これにより、排水桝部20の高さを100mm程度に収めることができる。
【0117】
本実施の形態の排水システム1は、開口170aに配置された蓋180を更に備える。これにより、塵等の分岐管への流入を防ぐことができるため、分岐管からの点検または清掃を行い易くなる。
【0118】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0119】
(A)
上記実施の形態1、2の排水システム1、2では、分岐管86、170は、直線状であるが、これに限らず全部または一部が曲線状であってもよい。ただし、開口86a、170aは、水平よりも上方に向けて開口されている。これは、サイフォン現象の発生を誘発するために、枡内の水位が排水口34aよりも上方の位置になる必要があるため、最低でも開口86a、170aの縁の下端が排水口34aよりも上方の方が点検、清掃が行いやすいためである。
【0120】
ただし、枡内に水が存在しないときに点検および清掃を行う場合には、この限りでなく、開口86a、170aの縁の下端が開口110aよりも下方に位置していてもよい。
【0121】
(B)
本実施の形態1、2の排水システム1、2では、ソケット81を介して、サイフォンドレン部材30は縦管85、110と接続されているが、これに限らず、縦管85、110とサイフォンドレン部材30の筒部71のいずれか一方を他方に挿し込んでもよい。さらに、縦管85、110とサイフォンドレン部材30の筒部71を接着等で接続してもよい。
【0122】
このような構成の場合、ソケット81を取り付けるための長さが必要ないため、分岐管86、170から開口85a、110aまでの長さを短くしてもよい。
【0123】
(C)
上記実施の形態1、2の排水システム1、2では、蓋87、180が設けられているが、設けられていなくてもよい。ただし塵の侵入を防止する観点からは蓋が設けられている方が好ましい。
【0124】
(D)
上記実施の形態2では、フランジ部120が縦管110の外周面110cから配置されているが、
図14に示す継手101のように、外周面110cから所定の間隔を空けて配置されていてもよい。
【0125】
図14に示す継手101では、フランジ部121が、側部130の開口110a側の端130aから外側に向かって形成されている。このような構成の場合、雨水は側部130および底部140で囲まれた空間に溜まるため、止水面は底部140となる。
【0126】
(E)
上記実施の形態2では、
図12に示すように、下枡22の下部53aを切り取っているが、
図14に示す継手101を用いた場合、側部130の内径が絞り部53の外径よりも大きく、側部130の長さが、絞り部53のコンクリート床版201から突出している長さよりも長いときには、下部53aを切りとらなくてもよい。
【0127】
これは、
図15に示すように、側部130と縦管110の間の空間に、絞り部53の下部53a(
図15の点線参照)が挿入されるため、絞り部53の下部53aを切り取らなくても継手101を設置することができるためである。
【0128】
また、フランジ部121の内側の端は、側部130の端130aよりも縦管110側に突出していてもよいが、下部53aを切り取らない場合には、フランジ部121の内側の端の突出量は、下部53aに干渉しない程度が好ましい。
【0129】
(F)
上述した実施の形態1、2の分岐管86、170は、第1分岐管部分861、171と第2分岐管部分862、172が、ソケット863、173によって接続されて構成されているが、ソケット863、173に限らなくてもよく、接着や熱融着によって接続されてもよい。
【0130】
(G)
上述した実施の形態では、分岐管86、170は、第1分岐管部分861、171と、第2分岐管部分862、172に分割されているが、3つ以上の部分に分割されていてもよい。
【0131】
(H)
上述した実施の形態では、分岐管86、170は、第1分岐管部分861、171と、第2分岐管部分862、172に分割されているが、排水システム1を作成する際若しくは改修する際に、排水桝部20の内側に配置することが可能であれば、分割されていなくてもよい。
【0132】
図16は、実施の形態2の変形例として、分割されていない分岐管370を有する継手300を示す図である。
図16に示す継手300の分岐管370は筒状であり、両端に開口を有する。分岐管370は、両端のうち一方の端の開口が縦管110の開口111dと繋がるように縦管110に接続している。分岐管370の他方の端の開口は、分岐管370の先端の開口370aを構成する、蓋180は、開口370aを開閉自在に分岐管370に取り付けられている。
なお、実施の形態2の継手100の分岐管170に限らず、実施の形態1の配管部82の分岐管86も分割されていなくてもよい。
【0133】
(I)
上記実施の形態1、2では、排水桝部20は、上面54aがサイフォンドレン部材30の上側近傍に配置されるように構成されているが、このような排水桝部20の形状に限定されず、排水桝部20の内壁がサイフォンドレン部材30の近傍に配置されていないような形状の排水桝部が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0134】
1 :排水システム
20 :排水桝部
30 :サイフォンドレン部材
34a :排水口
85 :縦管
86 :分岐管