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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/496 20060101AFI20240919BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A61F13/496 100
A61F13/49 410
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021031745
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022132973
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水元 陽星
【審査官】岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-063943(JP,A)
【文献】特開2015-092957(JP,A)
【文献】特開平08-182699(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0268566(US,A1)
【文献】特表2022-519902(JP,A)
【文献】特開2011-120809(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104010611(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/496
A61F 13/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートの間に吸収要素を設けた内装体を形成し、前記内装体の反身体側に幅方向に伸縮可能な外装体を固定し、
前記外装体の前身頃と後身頃の幅方向の両側部を固定したサイドシール部上に掴み部を設け、
前記掴み部を、前記サイドシール部の破断時に指先を挿入する切欠き部と、前記切欠き部の周辺部に指先で把持するエンボス加工部とで形成したことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記掴み部をサイドシール部におけるウエスト部の上端部に設け、
側面視において、前記切欠き部を逆三角形状に形成し、
側面視において、前記エンボス加工部における切欠き部の頂部の起点部よりも上側に位置する上側エンボス加工部の剛性よりも切欠き部の頂部の起点部よりも下側に位置する下側エンボス加工部の剛性を小さくした請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記外装体を身体側に位置する内側シートと反身体側に位置する外側シートで形成し、
前記切欠き部の頂部の起点部を、前記サイドシール部における内側シートと反身体側から身体側に折返された外側シートとが重なる折返し部の下端部に位置させた請求項記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートの間に吸収体を設けた内装体を形成し、前記内装体の反身体側に幅方向に伸縮可能な外装体を固定し、
前記外装体の前身頃と後身頃の幅方向の両側部を固定したサイドシール部から前方上側に向かって延在する破断線部上に掴み部を設け、
前記掴み部を、前記破断線部の破断時に指先を挿入する切欠き部と、前記切欠き部の周辺部に指先で把持するエンボス加工部とで形成したことを特徴とする使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツタイプの使い捨ておむつに関するものであり、特に、使い捨ておむつの外装体を破断する掴み部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつの取外時に、外装体のサイドシール部を容易に破断するために、サイドシール部におけるウエスト下方部の脚開口部に近接する部位の接合強度を、その他の部位の接着強度よりも小さくする手段が知られている。(特許文献1)
【0003】
また、使い捨ておむつの取外時に、外装体のサイドシール部を容易に破断するために、サイドシール部におけるウエスト部の両側に外側に延出する一対の取手部を設ける手段が知られている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015―146887号公報
【文献】特開2012-75458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の手段では、着用者がサイドシール部の破断の起点位置を迅速に把握できず、また、サイドシール部の破断時に破断の両側部をしっかり把持できない恐れがある。
【0006】
また、特許文献2の手段では、着用時にサイドシール部の取手部がズボン、スカート等の衣服に絡まって、衣服の着脱時にサイドシール部が破断される恐れがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、使い捨ておむつの外装体のサイドシール部等に掴み部を形成して、サイドシール部を容易かつ迅速に破断することができる使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した手段は次記のとおりである。
第1手段は、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートの間に吸収要素を設けた内装体を形成し、前記内装体の反身体側に幅方向に伸縮可能な外装体を固定し、前記外装体の前身頃と後身頃の幅方向の両側部を固定したサイドシール部上に掴み部を設け、前記掴み部を、前記サイドシール部の破断時に指先を挿入する切欠き部と、前記切欠き部の周辺部に指先で把持するエンボス加工部とで形成したことを特徴とする。
【0009】
第2手段は、第1手段の構成において、前記掴み部をサイドシール部におけるウエスト部の上端部に設け、側面視において、前記切欠き部を逆三角形状に形成し、側面視において、前記エンボス加工部における切欠き部の頂部の起点部よりも上側に位置する上側エンボス加工部の剛性よりも切欠き部の頂部の起点部よりも下側に位置する下側エンボス加工部の剛性を小さくしたことを特徴とする。
【0010】
第3手段は、第手段の構成において、前記外装体を身体側に位置する内側シートと反身体側に位置する外側シートで形成し、前記切欠き部の頂部の起点部を、前記サイドシール部における内側シートと反身体側から身体側に折返された外側シートとが重なる折返し部の下端部に位置させたことを特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】
第4手段は、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートの間に吸収体を設けた内装体を形成し、前記内装体の反身体側に幅方向に伸縮可能な外装体を固定し、前記外装体の前身頃と後身頃の幅方向の両側部を固定したサイドシール部から前方上側に向かって延在する破断線部上に掴み部を設け、前記掴み部を、前記破断線部の破断時に指先を挿入する切欠き部と、前記切欠き部の周辺部に指先で把持するエンボス加工部とで形成したことを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
【0015】
第1手段によれば、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートの間に吸収要素を設けた内装体を形成し、内装体の反身体側に幅方向に伸縮可能な外装体を固定し、外装体の前身頃と後身頃の幅方向の両側部を固定したサイドシール部上に掴み部を設け、掴み部を、サイドシール部の破断時に指先を挿入する切欠き部と、切欠き部の周辺部に指先で把持するエンボス加工部とで形成したので、使い捨ておむつの取外し時に、掴み部を速やかに認識して、エンボス加工部を指先で挟んで反対方向に引張ってサイドシール部を容易に破断することができる。また、外装体の幅方向に延在している弾性部材の切断部の内側への引込みを防止することができる。
【0016】
第2手段によれば、第1手段による効果に加えて、掴み部をサイドシール部におけるウエスト部の上端部に設け、側面視において、切欠き部を逆三角形状に形成し、側面視において、エンボス加工部における切欠き部の頂部の起点部よりも上側に位置する上側エンボス加工部の剛性よりも切欠き部の頂部の起点部よりも下側に位置する下側エンボス加工部の剛性を小さくしたので、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部を指先で挟んで反対方向に引張ってサイドシール部の下方に向けてより容易に破断することができる。
【0017】
第3手段によれば、第手段による効果に加えて、外装体を身体側に位置する内側シートと反身体側に位置する外側シートで形成し、切欠き部の頂部の起点部を、サイドシール部における内側シートと反身体側から身体側に折返された外側シートとが重なる折返し部の下端部に位置させたので、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部を指先で挟んで反対方向に引張ってサイドシール部の下方に向けてさらに容易に破断することができる。
【0018】
【0019】
【0020】
第4手段によれば、液透過性の表面シートと液不透過性の裏面シートの間に吸収体を設けた内装体を形成し、内装体の反身体側に幅方向に伸縮可能な外装体を固定し、外装体の前身頃と後身頃の幅方向の両側部を固定したサイドシール部から前方上側に向かって延在する破断線部上に掴み部を設け、掴み部を、破断線部の破断時に指先を挿入する切欠き部と、切欠き部の周辺部に指先で把持するエンボス加工部とで形成したので、使い捨ておむつの取外し時に、掴み部を速やかに認識して、エンボス加工部を指先で挟んで反対方向に引張って破断線部を容易に破断することができる。
【0021】
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】使い捨ておむつの身体面側の平面図である。
図2】使い捨ておむつの反身体面側の平面図である。
図3図1のA-A断面図である。
図4図1のB-B断面図である。
図5図1のC-C断面図である。
図6】使い捨ておむつの装着状態の斜視図である。
図7】第1実施形態の(a)は切欠き部の左側面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図8】第2実施形態の(a)は切欠き部の左側面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図9】第3実施形態の切欠き部の左側面図である。
図10】第4実施形態の切欠き部の左側面図である。
図11】第5実施形態の切欠き部の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1,2に示すように、使い捨ておむつは、内装体10と、内装体10の反身体側に固定された外装体20から形成されている。
【0024】
<内装体>
図3~5に示すように、内装体10は、身体側に設けられた液透過性の表面シート11と、反身体側に設けられた液不透過性の裏面シート12と、表面シート11と裏面シート12の間に設けられた吸収要素13と、内装体10の幅方向の両側部に設けられた立体ギャザー16から形成されている。
【0025】
表面シート11の幅方向の両側部は、裏面シート12と吸収要素13の両側部を延在し吸収要素13の反身体側に延在している。また、表面シート11の縦方向の両側部は、吸収要素13の両側部を超えて延在している。
【0026】
表面シート11としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好ましい。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿等が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0027】
裏面シート12の幅方向の両側部は、反身体側に折り返され吸収要素13の外側部まで延在している。また、裏面シート12の縦方向の両側部は、吸収要素13の両側部を超えて延在している。
【0028】
裏面シート12としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等の液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好ましい。遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0029】
吸収要素13は、吸収体14と、吸収体14を覆う包装シート15から形成されている。また、展開状態において、吸収要素13は、矩形状の長方形に形成されている。
【0030】
吸収体14は、装着者の腹側部に対応する腹部と、装着者の股間部に対応する股間部と、装着者の背側部に対応する背部から形成されている。腹部と、股間部と、背部の寸法は、装着者の体形等に合わせて適宜定めることができるが、股間部の幅方向の最狭幅の長さを、腹部や背部の幅方向の長さに対して40~60%にし、股間部の縦方向の長さを、吸収体14の縦方向の長さに対して20~50%にするのが好ましい。これにより、装着者に使い捨ておむつをフィットさせることができる。
【0031】
吸収体14としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。
【0032】
包装シート15としては、吸収体14内に混合されている高吸収性ポリマーの漏下を防止するために、液透過性のクレープ紙を用いることができる。
【0033】
立体ギャザー16は、内装体10の反身体側の幅方向の側部に固定された固定部と、固定部から内装体10の幅方向の側部を延在し内装体10の身体側の幅方向の側部まで延在する本体部から形成されている。また、本体部の縦方向の前後部は、内装体10の身体側に固定され、本体部の縦方向の中間部は、内装体10の身体側とは非固定とされ身体側に向かって起立する。
【0034】
立体ギャザー16は、本体部の先端部で折返された立体ギャザーシート17と縦方向に延在する細長状の立体ギャザー弾性部材18から形成されている。
【0035】
立体ギャザーシート17としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらに立体ギャザーシート17については、尿等の透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤等をコーティングした撥水処理不織布を用いるのが好ましい。
【0036】
立体ギャザー弾性部材18としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするために、太さは925dtex以下、伸長率は150~350%、間隔は10.0mm以下とするのが好ましい。なお、図3に二点鎖線で示すように、立体ギャザー弾性部材18は、その伸縮力によって立体ギャザー16を内面に向かって起立させ、糸状の他、所定の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
【0037】
<外装体>
図1,2に示すように、外装体20は、装着者の腹側に対向する前身頃Fと背側に対向する後身頃Bが一体的に形成され、前身頃Fと後身頃Bの幅方向の両側部は固定されサイドシール部21Aを形成する。また、外装体20の幅方向の両側部には、脚開口を形成する凹状の脚周りライン21Bに沿って切断されて略砂時計形状に形成されている。これにより、図6に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口と脚を通すための左右一対の脚開口が形成されている。
【0038】
外装体20は、サイドシール部21Aを有する縦方向の前後領域である胴周り部Tと、前後の胴周り部Tを連結する脚開口部Lから形成されている。また、胴周り部Tは、概念的にウエスト開口部に位置するウエスト部Wと、ウエスト部Wよりも脚開口部L側に位置するウエスト下方部Uから形成されている。
【0039】
複数の細長状の弾性部材24は、外装体20の前身頃Fと後身頃Bのウエスト部Wに、縦方向に所定の間隔を隔てて幅方向に延在して設けられ、複数の細長状の弾性部材25は、外装体20の前身頃Fと後身頃Bのウエスト下方部Uは、縦方向に所定の間隔を隔てて幅方向に延在して設けられている。
【0040】
複数の細長状の弾性部材26は、外装体20の後身頃Bに、縦方向に所定の間隔を隔ててサイドシール部21Aから脚周りライン21Bに沿って延在して設けられ、複数の細長状の弾性部材27は、外装体20の前身頃Fに、縦方向に所定の間隔を隔ててサイドシール部21Aから脚周りライン21Bに沿って延在して設けられ、複数の細長状の弾性部材28は、外装体20の前身頃Fに、縦方向に所定の間隔を隔ててサイドシール部21Aから弾性部材27に沿って延在して設けられている。
【0041】
成人用の使い捨ておむつの場合、弾性部材24の伸長率は160~320%、弾性部材25と弾性部材27の伸張率は160~320%、弾性部材26と弾性部材28の伸張率は230~320%にすることが好ましい。これにより、外装体20を装着者に密着させることができる。
【0042】
図3~5に示すように、外装体20は、装着者の身体側に位置する内側シート22と反身体側に位置する外側シート23から形成されている。また、外側シーと23の縦方向の両側部は身体側に折返されて折返し部23Aを形成する。また、内側シート22と外側シート23としては、表面シート11と同様に不織布で形成するのが好ましい。なお、弾性部材24~28は、内側シート22と外側シート23の間に挟持されている。
【0043】
(第1実施形態の摘み部)
図7には、第1実施形態の摘み部30を図示している。図7(a)に示すように、外装体20の前身頃Fと後身頃Bの幅方向の両側部に設けられたサイドシール部21Aのウエスト部Wの上側部には、上側が開放された略V字形状の切欠き部31が設けられている。また、切欠き部31の下側周部には、所定の幅を有するエンボス加工部34が形成されている。これにより、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで周方向の引張ってサイドシール部21Aを容易に破断することができる。また、ウエスト部Wに設けられている弾性部材24の両側部を内側シート22と外側シート23の間に固定して弾性部材24の引込みを防止することができる。
【0044】
図7(a),(b)に示すように、切欠き部31の頂部である起点部32は、内側シート22と外側シート23が折返されてシート枚数が3枚になっている折返し部23Aの下部に位置して形成されている。これにより、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで周方向の引張ってサイドシール部21Aをより容易に破断することができる。
【0045】
なお、切欠き部31の上下方向の長さは10~40mmであり、上下方向に延在する仮想線Aと切欠き部31の辺との交差角度は10~45度、エンボス加工部34の切欠き部31の辺に直交する幅は5~15mmに形成するのが好ましい。これにより、切欠き部31が過度に大きくなるのを防止することができる。また、エンボス加工部34のエンボスパタンとしてはドッドパターン、ジグザグパターン、スパイクパターン、格子パターン、市松パターン等が好ましい。これにより、エンボス加工部34の過度の剛性の高まりを抑制することができる。
【0046】
(第2実施形態の摘み部)
図8には、第2実施形態の摘み部30を図示している。なお、第1実施形態と摘み部と同一部品には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図8に示すように、エンボス加工部34における切欠き部31の起点部32よりも上側に位置する上側エンボス加工部34Aのエンボスの個数よりもエンボス加工部34における切欠き部31の起点部32よりも下側に位置する下側エンボス加工部34Bのエンボスの個数を少なく形成している。これにより、上側エンボス加工部34Aの剛性よりも下側エンボス加工部34Bの剛性を低くすることができ、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで周方向の引張ってサイドシール部21Aをさらに容易に破断することができる。
【0048】
(第3実施形態の摘み部)
図9には、第3実施形態の摘み部30を図示している。なお、第1実施形態と摘み部と同一部品には同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
図9に示すように、外装体20の前身頃Fと後身頃Bの幅方向の両側部に設けられたサイドシール部21Aのウエスト下方部Uの中間部には、略円形状の切欠き部31が設けられている。また、切欠き部31の外側周部には、所定の幅を有するエンボス加工部34が形成されている。なお、切欠き部31の中心はサイドシール部21上に位置させている。これにより、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで周方向の引張ってサイドシール部21Aを容易に破断することができる。また、ウエスト下方部Uに設けられている弾性部材25の両側部を内側シート22と外側シート23の間に固定して弾性部材25の引込みを防止することができる。
【0050】
切欠き部31の上部、すなわち12時の方向には、上側に凸部を有する円弧状の上側起点部32Aが設けられ、切欠き部31の下部、すなわち6時の方向には、下側に凸部を有する円弧状の下側起点部32Bが設けられている。これにより、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで周方向の引張ってサイドシール部21Aをより容易に破断することができる。なお、上側起点部32Aの形状を円弧状から三角形状に替えることもできる。
【0051】
なお、切欠き部31の径は20~40mmであり、エンボス加工部34の切欠き部31に直交する幅は5~15mmに形成するのが好ましい。これにより、切欠き部31が過度に大きくなるのを防止することができる。
【0052】
(第4実施形態の摘み部)
図10には、第4実施形態の摘み部30を図示している。なお、第1実施形態と摘み部と同一部品には同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
図10に示すように、外装体20の前身頃Fと後身頃Bの幅方向の両側部に設けられたサイドシール部21Aのウエスト下方部Uの中間部には、略矩形状の切欠き部31が設けられている。また、切欠き部31の外側周部には、所定の幅を有するエンボス加工部34が形成されている。なお、切欠き部31の対角線はサイドシール部21A上にサイドシール部21Aに沿って設けられている。これにより、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで周方向の引張ってサイドシール部21Aを容易に破断することができる。また、ウエスト下方部Uに設けられている弾性部材25の両側部を内側シート22と外側シート23の間に固定して弾性部材25の引込みを防止することができる。
【0054】
切欠き部31の上部、すなわち12時の方向には、上側に凸部を有する円弧状の上側起点部32Aが設けられ、切欠き部31の下部、すなわち6時の方向には、下側に凸部を有する円弧状の下側起点部32Bが設けられている。これにより、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで周方向の引張ってサイドシール部21Aをより容易に破断することができる。なお、上側起点部32Aの形状を円弧状から三角形状に替えることもできる。
【0055】
なお、切欠き部31の対角線の長さは20~40mmであり、エンボス加工部34の切欠き部31に直交する幅は5~15mmに形成するのが好ましい。これにより、切欠き部31が過度に大きくなるのを防止することができる。
【0056】
(第5実施形態の摘み部)
図11には、第5実施形態の摘み部30を図示している。なお、第1実施形態と摘み部と同一部品には同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
図11に示すように、前身頃Fにおけるウエスト下方部Uの両側部には、サイドシール部21から前方上側に向かって延在する破断用のミシン目等の破断線部36が設けられている。
【0058】
破断線部36の中間部には、略矩形状の切欠き部31が設けられている。また、切欠き部31の外側周部には、所定の幅を有するエンボス加工部34が形成されている。なお、切欠き部31の対角線は破断線部36上に破断線部36に沿って設けられている。これにより、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで破断線部36に対して直交する方向に引張って破断線部36を容易に破断することができる。また、ウエスト下方部Uに設けられている弾性部材25の切断部を内側シート22と外側シート23の間に固定して弾性部材25の引込みを防止することができる。
【0059】
切欠き部31における破断線部36上の上部に位置する部位には、破断線部36に沿って上側に凸部を有する円弧状の上側起点部32Aが設けられ、切欠き部31における破断線部36上の下部に位置する部位には、破断線部36に沿って下側に凸部を有する円弧状の下側起点部32Bが設けられている。これにより、使い捨ておむつの取外し時に、エンボス加工部34を指で挟んで破断線部36に対して直交する方向に引張って破断線部36をより容易に破断することができる。なお、上側起点部32Aの形状を円弧状から三角形状に替えることもできる。
【0060】
なお、切欠き部31の対角線の長さは20~40mmであり、エンボス加工部34の切欠き部31に直交する幅は5~15mmに形成するのが好ましい。これにより、切欠き部31が過度に大きくなるのを防止することができる。
【0061】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
【0062】
・「前身頃」「後身頃」は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を境としてそれぞれ前側及び後側の部分を意味する。また、股間部は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を含む前後方向範囲を意味し、吸収体が括れ部を有する場合には当該括れ部を有する部分の前後方向範囲を意味する。
【0063】
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
【0064】
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
【0065】
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、使い捨ておむつに利用できるものである。
【符号の説明】
【0067】
10 内装体
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収要素
20 外装体
21A サイドシール部
30 摘み部
31 切欠き部
32 起点部
32A 上側起点部
32B 下側起点部
34 エンボス加工部
34A 上側エンボス加工部
34B 下側エンボス加工部
36 破断線部
B 後身頃
F 前身頃
U ウエスト下方部
W ウエスト部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11