(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
E06B9/322
(21)【出願番号】P 2021034418
(22)【出願日】2021-03-04
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-66676(JP,A)
【文献】特開2008-88626(JP,A)
【文献】特開2019-143313(JP,A)
【文献】実開平2-29269(JP,U)
【文献】特開2020-85239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽装置における遮蔽材の開閉状態を操作するための操作装置であって、
前記遮蔽材を開閉するための回転力を前記遮蔽装置に伝達する出力軸と、
前記出力軸を回転させるように設けられ、前記遮蔽材の開閉状態を操作するための回転力が入力される入力軸と、
前記入力軸に一体回転可能に設けられた太陽歯車と、該太陽歯車と噛み合う少なくとも1つ以上の遊星歯車と、該少なくとも1つ以上の遊星歯車と噛み合う内歯車と、前記少なくとも1つ以上の遊星歯車を軸支するとともに前記出力軸と一体回転可能に接続されるキャリアプレートとを有する遊星歯車機構と、
前記遮蔽装置の操作者により操作可能に設けられた切替操作部を有し、該切替操作部に対する操作に応じて、前記内歯車の回転を規制する第1駆動状態と、前記内歯車を前記入力軸と一体回転させる第2駆動状態とに前記操作装置を切り替える切替機構と
を備える操作装置。
【請求項2】
前記切替機構は、前記入力軸の軸方向に移動可能に設けられるとともに、前記第1駆動状態において、前記軸方向における前記内歯車側に移動されて前記内歯車の回転を規制し、前記第2駆動状態において、前記軸方向における前記内歯車とは逆側に移動されて前記内歯車の回転の規制を解除する切替部材を有することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記切替機構は、前記入力軸の軸方向に移動可能且つ前記内歯車と一体回転可能に設けられるとともに、前記第2駆動状態において、前記軸方向における前記内歯車とは逆側に移動されて前記入力軸と回転方向に係合して前記内歯車に前記入力軸の回転を伝達し、前記第1駆動状態において、前記軸方向における前記内歯車側に移動されて前記入力軸との係合を解除する伝達部材を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、ブラインドの操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力軸の回転が伝達される太陽歯車と、出力軸に回転を伝達する遊星キャリアと、内歯車とを備える遊星歯車機構と、入力軸のブラインド上昇回転方向の回転に対して、内歯車の回転を不能とし、入力軸のブラインド下降回転方向の回転に対して、内歯車の回転を許容する第1クラッチ機構と、入力軸のブラインド上昇回転方向の回転に対して、遊星キャリアの回転を入力軸と切り離し、入力軸のブラインド下降回転方向の回転に対して、遊星キャリアを入力軸と一体回転させる第2クラッチ機構とを備えるブラインドの昇降装置、が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この昇降装置によれば、操作部の操作によりブラインド上昇回転方向の回転が入力軸に伝達されたときには遊星歯車機構によって減速された回転が出力軸に出力され、ブラインド下降回転方向の回転が入力軸に伝達されたときには遊星歯車機構の機能が無効化されて入力軸と同速の回転が出力軸に出力される。このように入力軸から出力軸へ回転力が伝達されることによって、ブラインドが上昇操作される際の操作荷重を軽量化することができるとともに、ブラインドが下降操作される際の下降速度を高速化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の昇降装置によれば、同一回転速度の入力軸の回転に対して、引き上げ操作時と下降操作時とにおける駆動軸の回転速度、すなわち、駆動軸における正回転方向速度と逆回転方向速度とを互いに異ならせることができるものの、駆動軸における同一回転方向の回転速度を変更することができない、という問題がある。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、入力された回転の回転速度に対する同一回転方向における駆動軸の回転速度を変更することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、遮蔽装置における遮蔽材の開閉状態を操作するための操作装置であって、前記遮蔽材を開閉するための回転力を前記遮蔽装置に伝達する出力軸と、前記出力軸を回転させるように設けられ、前記遮蔽材の開閉状態を操作するための回転力が入力される入力軸と、前記入力軸に一体回転可能に設けられた太陽歯車と、該太陽歯車と噛み合う少なくとも1つ以上の遊星歯車と、該少なくとも1つ以上の遊星歯車と噛み合う内歯車と、前記少なくとも1つ以上の遊星歯車を軸支するとともに前記出力軸と一体回転可能に接続されるキャリアプレートとを有する遊星歯車機構と、前記遮蔽装置の操作者により操作可能に設けられた切替操作部を有し、該切替操作部に対する操作に応じて、前記内歯車の回転を規制する第1駆動状態と、前記内歯車を前記入力軸と一体回転させる第2駆動状態とに前記操作装置を切り替える切替機構とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、入力された回転の回転速度に対する同一回転方向における駆動軸の回転速度を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るブラインドの構成を示す正面図である。
【
図2】実施形態に係る操作装置の構成を示す正面図である。
【
図3】実施形態に係る操作装置の底面一部を示す斜視図である。
【
図4】実施形態に係る操作装置の構成を示す斜視図である。
【
図5】実施形態に係る操作装置の構成を示す縦断面図である。
【
図6】遊星歯車機構の構成を示す分解斜視図である。
【
図8】第1駆動状態における操作装置を示す斜視図である。
【
図9】第1駆動状態における操作装置を示す正面図である。
【
図14】第1駆動状態における遊星歯車機構の動作を示す図である。
【
図15】第2駆動状態における操作装置を示す斜視図である。
【
図16】第2駆動状態における操作装置を示す正面図である。
【
図20】第2駆動状態における遊星歯車機構の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。以下の実施形態においては、遮蔽材としてスラットを備える横型ブラインドに本発明を適用した場合を例にとり説明を行う。なお、以下の実施形態においては、ブラインドが設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、ブラインドの長手方向を左右方向と称して以後説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
(全体構成)
本実施形態に係るブラインドの全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るブラインドの構成を示す正面図である。なお、
図1においてはヘッドボックスのみ、その内部が示されている。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態に係るブラインド1は、ヘッドボックス2、複数のスラット4、昇降コード5、ラダーコード6、ボトムレール7、操作装置8、駆動軸22、ドラム装置24を備える。
【0013】
ヘッドボックス2は、全体として略直方体状に形成され、内部に収容空間が画成され、遮蔽材としての複数のスラット4を吊り下げ支持する支持部材であり、複数のブラケット21を介して窓枠等に固定される。ヘッドボックス2内には、駆動軸22、巻取ドラム241及び回転ドラム242を有するドラム装置24が設けられる。また、ヘッドボックス2の一端部には操作装置8が設けられる。
【0014】
スラット4は、ヘッドボックス2とボトムレール7との間において、ヘッドボックス2から垂下するラダーコード6によって、上下方向に複数配置されるように支持されている。ラダーコード6は、一端がドラム装置24における回転ドラム242に連結されてヘッドボックス2から垂下すると共に、他端がボトムレール7に連結され、スラット4を挟むようにその前方及び後方に配されてスラット4を個別に支持する。
【0015】
ボトムレール7は、ヘッドボックス2から垂下する昇降コード5によりブラインド1の最下端に位置するように吊り下げ支持される。昇降コード5は、一端がドラム装置24における巻取ドラム241に巻取り及び巻解き可能に連結されるとともに、他端がボトムレール7に連結されることによって、ボトムレール7を吊り下げ支持する。
【0016】
駆動軸22は、その軸方向がヘッドボックス2の長手方向、即ち左右方向を向くように、ヘッドボックス2内において回転可能に支持される。ドラム装置24における巻取ドラム241は、駆動軸22により回転され、ボトムレール7を昇降させることによってスラット4をも昇降させる。また、ドラム装置24における回転ドラム242は、駆動軸22により所定の角度範囲だけ回転され、これによって、前方及び後方のラダーコード6が上下方向に相対移動してスラット4が回転される。
【0017】
(操作装置の構成)
本実施形態に係る操作装置の構成について説明する。
図2~
図5は、それぞれ、本実施形態に係る操作装置の構成を示す正面図、底面一部を示す斜視図、全体斜視図、縦断面図である。
【0018】
図2~
図5に示すように、操作装置8は、収容部材80、入力軸810、プーリ811、切替機構82、遊星歯車機構84、出力軸850を備える。切替機構82は、切替部材821、バネ822、切替操作部823、規制部材831、バネ832、伝達部材833を有する。収容部材80は、ヘッドボックス2内に固定可能に形成される。入力軸810の一部、切替部材821の一部、バネ822、切替操作部823、規制部材831、バネ832、伝達部材833、及び遊星歯車機構84は、収容部材80により画成された収容空間内に収容される。
【0019】
入力軸810は、その軸方向が左右方向を向くように、収容部材80内により回転可能に支持される。入力軸810は、左右方向外方側(
図5中左側)に配される第1軸820と、左右方向内方側(
図5中右側)に配され、第1軸820と一体回転可能に連結される第2軸830とにより構成される。プーリ811は、入力軸810における左右方向外方側端部に入力軸810と一体回転可能に設けられ、操作装置8から垂下して操作者が牽引可能な紐状の操作部材812(
図1参照)が巻き掛けられるように形成される。操作部材812が操作者により牽引されることによって、プーリ811を介して入力軸810に回転力が入力される。
【0020】
切替部材821は、相対回転可能に入力軸810に挿通される部材であり、径外方向に突出するように形成された3つの係止部821Aを有する。切替部材821は、3つの係止部821Aが係止されることにより入力軸810周りの回転が収容部材80によって規制されるように(
図13参照)、且つ入力軸810の軸方向、即ち左右方向に移動可能に設けられる。切替操作部823は、相対回転可能に入力軸810に挿通される部材であり、径外方向に突出するとともに操作者が指で把持可能に形成された把持部823Aを有する。収容部材80の底面には、
図3に示すように、外部と収容空間とを連通させる孔80Aが形成されており、切替操作部823は把持部823Aの一部が収容空間の外部に露出するように配される。
【0021】
切替部材821及び切替操作部823は、いずれも入力軸810における第1軸820に挿通され、切替操作部823は、切替部材821に対して左右方向外方側(
図5中左側)に配される。第1軸820の左右方向内方側端部、即ち、第2軸830との連結部分は、周方向全域に亘って径外方向に突出してフランジ状に形成される。また、第1軸820は、フランジ状部分から更に径外方向に突出する3つの係合部820Aを有する。バネ822は、本実施形態において圧縮コイルバネとして構成される弾性部材であり、左右方向において第1軸820のフランジ状部分及び係合部820Aと切替部材821とを左右方向に隔てる収容部材80の内面の一部(不図示)と、切替部材821との間に位置するように第1軸820に挿通され、前記収容部材80の内面の一部を台座として切替部材821を左右方向外方側(
図5中左側)へ常時付勢する。
【0022】
規制部材831は、相対回転可能に入力軸810に挿通されるとともに収容部材80の内面に摺接しながら回転可能に形成され、3つの被係止部831Aを有する。3つの被係止部831Aは、それぞれ、切替部材821の3つの係止部821Aに対応して設けられ、左右方向外方側に突出するように形成される。伝達部材833は、相対回転可能に入力軸810に挿通され、且つ規制部材831よりも入力軸810の径方向に小さく形成された部材であり、左右方向外方側に突出するように形成され、第1軸820の3つの係合部820Aに対応して設けられた3つの被係合部833Aを有する。規制部材831には、3つの被係合部833Aに対応する孔が形成されており、これらの孔に被係合部833Aがそれぞれ挿通される。これによって、3つの被係合部833Aが規制部材831から左右方向に出没可能となっている。3つの被係合部833Aは、規制部材831の孔に常に挿通されるように設けられて規制部材831と回転方向に係合するため、伝達部材833は規制部材831と一体回転することとなる。
【0023】
規制部材831及び伝達部材833は、いずれも入力軸810における第2軸830に挿通される。規制部材831は、切替部材821に対して左右方向内方側に配され、伝達部材833は、規制部材831に対して左右方向内方側に配される。遊星歯車機構84は、第2軸830における左右方向内方側端部に設けられる。バネ832は、本実施形態において圧縮コイルバネとして構成される弾性部材であり、左右方向において伝達部材833と遊星歯車機構84との間に位置するように第2軸830に挿通され、遊星歯車機構84を台座として伝達部材833を左右方向外方側へ常時付勢する。規制部材831は、第1軸820のフランジ状部分と遊星歯車機構84とによって左右方向、即ち入力軸810の軸方向に移動不能に設けられ、一方、伝達部材833は、軸方向に移動可能に設けられている。これによって、3つの被係合部833Aが規制部材831から出没するように伝達部材833がバネ832により付勢される。
【0024】
出力軸850は、遊星歯車機構84に対して左右方向内方側に配され、遊星歯車機構84を介して入力軸810の回転力が伝達されるように遊星歯車機構84に設けられる。また、出力軸850は、一体回転可能に駆動軸22と接続される。
【0025】
(遊星歯車機構の構成)
遊星歯車機構の構成について説明する。
図6は、遊星歯車機構の構成を示す分解斜視図である。
図7は、
図5のA-A線断面図である。
【0026】
図6及び
図7に示すように、遊星歯車機構84は、太陽歯車840、内歯車841、遊星キャリア842、4つの遊星歯車843、キャリアプレート844を備える。太陽歯車840は、第2軸830の左右方向内方側端部において第2軸830と一体回転するように形成される。
【0027】
遊星キャリア842は、面外方向が左右方向を向くように配された略円盤状の部材であり、左右方向外方側において第2軸830と相対回転可能に接続され、左右方向内方側の面において出力軸850と一体回転可能に接続される。また、遊星キャリア842は、左右方向外方側の面に設けられ、軸方向が左右方向を向くように形成された4つの遊星軸842Aを有する。4つの遊星歯車843は、太陽歯車840及び内歯車841と噛み合うように、4つの遊星軸842Aに回転(自転)可能に軸支される。そして、4つの遊星歯車843が入力軸810周りに回転(公転)すると、遊星歯車843を遊星軸842Aで軸支する遊星キャリア842が回転し、遊星キャリア842と一体回転可能に接続された出力軸850も回転する。
【0028】
内歯車841は、全体として略円筒状に形成されるとともに内周壁に4つの遊星歯車843と噛み合う歯スジが形成され、相対回転可能に第2軸830に挿通される。また、内歯車841は、
図4及び
図5に示すように、左右方向外方側において規制部材831と一体回転するように連結される。キャリアプレート844は、全体として略環状に形成され、遊星キャリア842の4つの遊星軸842Aのそれぞれの端部が嵌合可能な孔が形成された部材である。4つの遊星歯車843が4つの遊星軸842Aに軸支された状態において4つの遊星軸842Aのそれぞれの端部がキャリアプレート844の孔に嵌合されることによって、4つの遊星歯車843の軸方向への移動が規制される。
【0029】
このように構成された操作装置8は、後に詳述するように、操作者の切替操作部823に対する操作に応じて、入力軸810の回転が遊星歯車機構84を介して減速されて出力軸850に伝達される第1駆動状態と、入力軸810の回転が遊星歯車機構84を介して同速で出力軸850に伝達されて入力軸810と出力軸850とが一体回転する第2駆動状態とに切り替えられる。
【0030】
(第1駆動状態)
第1駆動状態における操作装置の動作について説明する。
図8、
図9は、それぞれ、第1駆動状態における操作装置を示す斜視図、正面図である。
図10~
図13は、それぞれ、
図9のB-B線断面図、D-D線断面図、D-D線断面を示す斜視図、C-C線断面図である。
図14は、第1駆動状態における遊星歯車機構の動作を示す図である。
【0031】
図8及び
図9に示すように、切替操作部823の左右方向内方側端部において3つの傾斜面が形成されるとともに、切替部材821の3つの係止部821Aそれぞれの左右方向外方側端部において、切替操作部823の傾斜面に対応する傾斜面が形成される。
図10に示すように操作者が把持部823Aを後方に移動させると、切替操作部823が入力軸810周りの一方向に回転され、操作装置8が第2駆動状態から第1駆動状態に切り替えられる。この回転によって、切替操作部823における3つの傾斜面と、切替部材821の3つの係止部821Aにおける傾斜面とが回転運動を直線運動に変換するように摺接し、切替部材821がバネ822の付勢力に抗して左右方向内方に移動される。
【0032】
切替部材821が左右方向内方側へ移動されると、
図11に示すように、規制部材831の3つの被係止部831Aのそれぞれと、切替部材821の3つの係止部821Aのそれぞれとが、入力軸810周りの回転方向に係合可能な状態となる。
図13に示すように、切替部材821は、入力軸810周りの回転が規制された状態で収容部材80に収容されている。したがって、操作装置8が第1駆動状態にある場合、3つの被係止部831Aが3つの係止部821Aにより回転方向に係止され、これによって、規制部材831と一体回転可能に連結される内歯車841の回転が規制される。
【0033】
また、切替部材821が左右方向内方側へ移動されると、
図12に示すように、第2駆動状態において規制部材831から左右方向外方に露出された伝達部材833の3つの被係合部833Aが、3つの係止部821Aによりバネ832の付勢力に抗して左右方向内方に押動される。これによって、3つの被係合部833Aが第1軸820の3つの係合部820Aに係合されず、規制部材831を介して内歯車841に入力軸810の回転力が伝達されない状態となる。
【0034】
図14に示すように、内歯車841の回転が規制される状態において、太陽歯車840が入力軸810により回転され、4つの遊星歯車843の回転を介して入力軸810の回転力が遊星キャリア842及び遊星キャリア842に接続される出力軸850に伝達される。より具体的には、4つの遊星歯車843は、それぞれ、太陽歯車840と逆回転方向で対応する遊星軸842A周りに回転(自転)されるとともに、太陽歯車840と同回転方向で入力軸810周りに回転(公転)される。これにより、入力軸810の回転速度が遊星歯車機構84を介して減速されて出力軸850に伝達される。
【0035】
このように、第1駆動状態にある操作装置8によれば、プーリ811により入力軸810に入力される回転力が、入力軸810の回転速度を減速させて出力軸850に伝達させる遊星歯車機構84を介して駆動軸22に伝達されることにより、操作者が第2駆動状態と比較してより小さい牽引力によりブラインド1の開閉操作を行うことができる。
【0036】
(第2駆動状態)
第2駆動状態における操作装置の動作について説明する。
図15、
図16は、それぞれ、第2駆動状態における操作装置を示す斜視図、正面図である。
図17-
図19は、それぞれ、
図16のE-E線断面図、F-F線断面図、F-F線断面を示す斜視図である。
図20は、第2駆動状態における遊星歯車機構の動作を示す図である。
【0037】
図15~
図17に示すように、操作者が把持部823Aを前方に移動させると、切替操作部823が入力軸810周りに第2駆動状態から第1駆動状態への切替とは逆方向に回転され、操作装置8が第1駆動状態から第2駆動状態に切り替えられる。この回転によって、切替部材821が切替操作部823により押動されず、切替部材821がバネ822の付勢力により左右方向外方に移動される。
【0038】
切替部材821が左右方向外方へ移動されることによって、
図18に示すように、規制部材831の3つの被係止部831Aのそれぞれと、切替部材821の3つの係止部821Aのそれぞれとの係合が解除される。また、切替部材821が左右方向外方へ移動されることによって、
図19に示すように、伝達部材833の3つの被係合部833Aは、バネ832の付勢力により規制部材831から左右方向外方へ露出され、第1軸820の3つの係合部820Aにより係合される状態となる。これによって、規制部材831と連結される内歯車841が入力軸810と一体回転することとなる。
【0039】
図20に示すように、太陽歯車840及び内歯車841が入力軸810と一体回転されることによって、4つの遊星歯車843は、それぞれ、対応する遊星軸842A周りに回転(自転)されることなく入力軸810周りに回転(公転)される。これによって、遊星キャリア842及び遊星キャリア842に接続される出力軸850が入力軸810と一体回転される。即ち、入力軸810の回転速度が遊星歯車機構84を介して減速されずに出力軸850に伝達される。
【0040】
このように、第2駆動状態にある操作装置8によれば、プーリ811により入力軸810に入力される回転力がそのまま駆動軸22に伝達され、操作者が第1駆動状態と比較してより小さい牽引距離によりブラインド1の開閉操作を行うことができる。
【0041】
以上に説明した本実施形態に係る操作装置8によれば、プーリ811の回転方向によらず、ブラインド1の開閉操作に係る操作感を操作者が選択することができる。
【0042】
なお、本実施形態において、操作装置8を上下方向に複数のスラット4が配置された横型ブラインドであるブラインド1に本発明を適用すると説明したが、本発明は軸部材の回転により遮蔽材の開閉状態を操作可能な全ての遮蔽装置に適用可能である。また、操作装置8において複数設けられた部材のそれぞれは、その個数が任意に定められたものであり、少なくとも1つ以上設けられていれば良い。
【0043】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0044】
1 遮蔽装置
8 操作装置
82 切替機構
84 遊星歯車機構
821 切替部材
823 切替操作部
833 伝達部材
840 太陽歯車
841 内歯車
842 キャリアプレート
843 遊星歯車
850 出力軸