(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】空気清浄機制御システム及び空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20240919BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240919BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20240919BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F8/80 135
F24F8/80 150
F24F11/70
(21)【出願番号】P 2021040217
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】鬼木 渉
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-304427(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157568(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 8/80
F24F 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に吸込み口が設けられた本体、及び前記本体が置かれる設置面に対して垂直方向を回転軸として前記本体を回転させる回転機構を有する空気清浄機の動作を制御する空気清浄機制御システムであって、
空気の汚れを検知する少なくとも1つの汚れセンサの検知結果をセンサ情報として取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報に基づいて、前記回転軸を中心とした360度の方向のうち、汚れ強度が閾値よりも高い方向を目標方向として判定する方向判定部と、
前記吸込み口が前記目標方向を向くように、前記回転機構を制御する回転制御部と、を備
え、
前記少なくとも1つの汚れセンサは、複数の汚れセンサを含み、
前記方向判定部は、前記複数の汚れセンサそれぞれの検知タイミングを示す複数のタイミング情報の時間差と、前記複数の汚れセンサの配置位置を示す配置情報と、に基づいて、前記目標方向を判定する、
空気清浄機制御システム。
【請求項2】
前記センサ情報は、前記複数の汚れセンサそれぞれが検知した空気の汚れのレベルを示すレベル情報を含み、
前記方向判定部は、前記レベル情報と、前記複数の汚れセンサの配置位置を示す配置情報と、に基づいて、前記目標方向を判定する、
請求項
1に記載の空気清浄機制御システム。
【請求項3】
前記複数の
汚れセンサは、前記本体に設けられており、前記回転軸の周方向に互いに離れて配置されている、
請求項
1または2に記載の空気清浄機制御システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの汚れセンサは、前記本体に設けられており、
パトロール運転モードにおいて、
前記回転制御部は、前記本体を回転させ、
前記方向判定部は、前記本体の回転中における前記センサ情報に基づいて前記目標方向を判定する、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の空気清浄機制御システム。
【請求項5】
前記本体内に設けられ、前記吸込み口を介して空気を吸い込むファンを制御するファン制御部を更に備え、
前記ファン制御部は、前記パトロール運転モードにおいて、前記ファンを停止する、
請求項
4に記載の空気清浄機制御システム。
【請求項6】
前記複数の汚れセンサは、前記本体とは別に設けられており、互いに離れて配置されている、
請求項
1または2に記載の空気清浄機制御システム。
【請求項7】
前記回転制御部は、前記本体の回転角度が最小角度で、前記吸込み口が前記目標方向を向くように、前記回転機構の回転方向を制御する、
請求項1~
6のいずれか1項に記載の空気清浄機制御システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの汚れセンサは、ガスセンサである、
請求項1~
7のいずれか1項に記載の空気清浄機制御システム。
【請求項9】
前記本体には、更に、赤外線センサが設けられており、
前記センサ情報取得部は、前記赤外線センサの検知結果も前記センサ情報として取得する、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の空気清浄機制御システム。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の空気清浄機制御システムと、
側面に設けられた吸込み口、及び前記吸込み口が向いている方向と異なる方向を向いた吹出し口を有する本体と、
垂直方向を回転軸として前記本体を回転させる回転機構と、
前記吸込み口を介して前記本体の内側に空気を吸い込み、前記吹出し口を介して前記本体の外側に空気を吹き出すファンと、を備える、
空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機制御システム及び空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体にガスセンサを設け、タバコ臭などの空気の汚れをガスセンサで検出したとき、下部吹出口の風向変更板を仰角方向に変更し、清浄空気を室内の上方空間にスムーズに循環させるように構成された空気清浄機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された空気清浄機では、空気の汚れを検出することはできるが、空気清浄機本体からみて、どの方向に空気の汚れがあるかが不明であるため、浄化効率を高くすることが困難であった。
【0005】
したがって、本発明の一態様は、浄化効率を向上させた空気清浄機制御システム及び空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る空気清浄機制御システムは、側面に吸込み口が設けられた本体、及び前記本体が置かれる設置面に対して垂直方向を回転軸として前記本体を回転させる回転機構を有する空気清浄機の動作を制御する。前記空気清浄機制御システムは、空気の汚れを検知する少なくとも1つの汚れセンサの検知結果をセンサ情報として取得するセンサ情報取得部と、前記センサ情報に基づいて、前記回転軸を中心とした360度の方向のうち、どの方向を目標方向とするかを判定する方向判定部と、前記吸込み口が前記目標方向を向くように、前記回転機構を制御する回転制御部と、を備えている。
【0007】
本発明の一態様に係る空気清浄機は、前記空気清浄機制御システムと、側面に設けられた吸込み口、及び前記吸込み口が向いている方向と異なる方向を向いた吹出し口を有する本体と、垂直方向を回転軸として前記本体を回転させる回転機構と、前記吸込み口を介して前記本体の内側に空気を吸い込み、前記吹出し口を介して前記本体の外側に空気を吹き出すファンと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る空気清浄機の概略図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す空気清浄機のブロック図である。である。
【
図5】
図5は、
図3に示す空気清浄機制御システムの通常運転モードの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図3に示す空気清浄機制御システムのパトロール運転モードの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例1に係る空気清浄機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(実施形態)
以下、本実施形態の空気清浄機1の構成について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、空気清浄機1は、本体20と、回転機構21と、吸込み口22と、吹出し口23と、汚れセンサ24a、汚れセンサ24b、及び汚れセンサ24cと、空気清浄フィルタ(図示せず)と、を備えている。汚れセンサ24a~24cを区別しない場合、汚れセンサ24とも呼ぶ。空気清浄フィルタは、吸込み口22の内側に設けられ、例えば、集塵フィルタ、脱臭フィルタを含んで構成されている。以下の説明では、
図1及び
図2に示す上下左右前後の方向を示した矢印の向きを基準にして説明する。
図1及び
図2では、吸込み口22が前方を向いている状態を記載している。ただし、これらの方向は、説明のために便宜上設定した方向であって、使用時の方向を限定する趣旨ではない。
【0012】
本体20は、円筒形状の周面20sと、周面20sの上部に設けられた円形状の上面20tと、を有している。
【0013】
回転機構21は、本体20の下部に設けられ、上面20tの中心点CPを通り、本体20が置かれる設置面に対して垂直方向(
図1における上下方向)に延びる線を回転軸ARとして、本体20を回転可能に構成されている。すなわち、回転機構21は、本体20を、回転軸ARを中心として左右に360度回転させることができる。
【0014】
吸込み口22は、矩形状に形成されており、本体20の周面20sの前側上部に設けられている。また、吸込み口22には、メッシュ状のカバー22Mが設けられている。これにより、ユーザが吸込み口22に手等を入れて怪我をしてしまうこと等を防止できる。
【0015】
本実施形態では、本体20には、2つの吹出し口23が設けられている。2つの吹出し口23は、それぞれ矩形状に形成されており、本体20の周面20sの左側下部及び右側下部に設けられている。すなわち、2つの吹出し口23は、吸込み口22が向いている方向(
図1では前方向)と異なる方向(
図1では左右方向)を向いている。また、各吹出し口23には、ルーバー23Lが設けられている。ルーバー23Lは、向きが固定されていてもよいし、向きが上下方向に可変となるように構成されていてもよい。
【0016】
汚れセンサ24a~24cは、
図1及び
図2に示すように、本体20の上面20t上において、回転軸ARの周方向に互いに離れて配置されている。具体的には、汚れセンサ24aは、
図1に示すように、吸込み口22の左右方向における中心線LCに対応する位置に配置されている。また、汚れセンサ24b及び汚れセンサ24cは、
図2に示すように、汚れセンサ24aに対して、中心点CPを中心としてそれぞれ左右方向に120度回転した位置に配置されている。つまり、汚れセンサ24a~24cは、上面20tにおいて、中心点CPを中心とした120度間隔で配置されている。
【0017】
汚れセンサ24は、空気の汚れを検知する。具体的には、汚れセンサ24は、空気の汚れ度合、例えば、空気中に含まれる汚れ物質の濃度を検知する。ここで、空気の汚れとは、空気中のニオイやホコリ等を意味する。本実施形態では、汚れセンサ24として、ニオイを検知するガスセンサを用いる場合を例として説明する。
【0018】
次に、
図3及び
図4を更に参照して、本実施形態の空気清浄機1の詳細な構成について説明する。
【0019】
図3は、特に、空気清浄機1の動作の制御に関わる構成要素を示している。
図3に示すように、空気清浄機1は、空気清浄機制御システム10を更に備えている。また、空気清浄機1は、
図1には示していないが、本体20の内部に、ファン26を備えている。ファン26は、吸込み口22を介して本体20の内側に空気を吸い込み、吹出し口23を介して本体20の外側に空気を吹き出すように構成されている。ファン26としては、例えば、シロッコファンを用いることができる。
【0020】
空気清浄機制御システム10は、センサ情報取得部11と、記憶部12と、方向判定部13と、回転制御部14と、ファン制御部15と、清浄度判定部16と、を備えている。空気清浄機制御システム10は、回転機構21及びファン26を制御するように構成されている。
【0021】
センサ情報取得部11は、汚れセンサ24a~24cからセンサ情報を取得する。センサ情報は、汚れセンサ24a~24cそれぞれが検知した空気の汚れのレベルを示す第1レベル情報、第2レベル情報、及び第3レベル情報を含んでいる。
【0022】
記憶部12のテーブルには、
図4に示すように、汚れセンサ24a~24cの配置位置を示す配置情報が予め記憶されている。具体的には、記憶部12のテーブルには、汚れセンサ24aの配置情報が0度と記憶され、これを基準として、汚れセンサ24b及び汚れセンサ24cの配置情報がそれぞれ120度、及び240度と記憶されている。
【0023】
方向判定部13は、複数の汚れセンサそれぞれの検知タイミングを示すタイミング情報と、記憶部12のテーブルに記憶されている配置情報と、に基づいて、回転軸ARを中心とした360度の方向のうち、汚れ強度が所定の閾値よりも高い方向を目標方向として判定する。方向判定部13は、第1~第3レベル情報に基づいて、タイミング情報を生成する。ここで、タイミング情報とは、センサ情報である第1レベル情報、第2レベル情報、及び第3レベル情報それぞれの汚れレベルが所定の閾値以上となった検知タイミングを意味する。以下、第1レベル情報が所定の閾値以上となった検知タイミングを第1タイミング情報、第2レベル情報が所定の閾値以上となった検知タイミングを第2タイミング情報、第3レベル情報が所定の閾値以上となった検知タイミングを第3タイミング情報と呼ぶ。
【0024】
方向判定部13は、具体的には、第1タイミング情報、第2タイミング情報、及び第3タイミング情報の時間差に基づいて、目標方向を判定する。方向判定部13は、第1~第3タイミング情報のうち、最も早い検知タイミングを起点として時間計測を開始する。そして、方向判定部13は、2番目、3番目の検知タイミングまでの時間差を求める。なお、方向判定部13は、時間計測結果が上限値に達すると時間計測を終了して、計測結果をリセットする。
【0025】
方向判定部13は、求めた時間差が所定の閾値(例えば、0.5秒、1秒等)以上である場合、目標方向を判定する。具体的には、方向判定部13は、汚れレベルが所定の閾値以上となった検知タイミングが最も早いタイミング情報に対応する汚れセンサ24を特定する。そして、方向判定部13は、記憶部12を参照し、特定された汚れセンサ24の配置情報に基づいて目標方向を判定する。例えば、汚れセンサ24bの検知結果が最初に閾値以上となり、所定の閾値時間経過後以降に汚れセンサ24a及び24cの検知結果が閾値以上になったとする。この場合、第2タイミング情報と、第1及び第3タイミング情報との時間差は所定の閾値以上となる。よって、方向判定部13は、汚れセンサ24bの配置情報に基づいて目標方向を判定する。つまり、方向判定部13は、汚れセンサ24bが配置された120度の方向を目標方向として判定する。
【0026】
一方、方向判定部13は、求めた時間差が所定の閾値(例えば、0.5秒、1秒等)未満である場合、当該タイミング情報に基づいた目標方向の判定が不可となる。この場合、方向判定部13は、次回以降のタイミング情報に基づいた目標方向の判定を継続して行う。
【0027】
回転制御部14は、回転機構21を制御して、本体20(
図1参照)を回転させる、又は本体20の回転を停止させる。回転制御部14は、方向判定部13が目標方向を判定した場合、吸込み口22(
図1参照)の左右方向における中心線LCが目標方向を向くように、回転機構21を制御して、本体20を回転させ、目標方向を向いたところで本体20の回転を停止させる。このとき、回転制御部14は、本体20の回転角度が最小角度で、吸込み口22(すなわち中心線LC)が目標方向を向くように、回転機構21の回転方向を制御する。具体的には、例えば、込み口22が、
図1及び
図2に示す方向を向いている状態において、目標方向が240度と判定された場合、回転制御部14は、本体20を、右回りではなく、左回りに120度回転させるよう回転機構21を制御する。これにより、回転制御部14が本体20を右回りに240度回転させて吸込み口22が目標方向に向くよう回転機構21を制御した場合に比べて、半分の時間で吸込み口22を目標方向に向かせることができる。よって、ニオイが発生している方向の空気を素早く清浄化することができる。
【0028】
上述のとおり、本実施形態では、2つの吹出し口23は、吸込み口22が向いている方向と異なる方向を向いている。かかる構成により、ニオイが発生している方向に吹出し口23からの風が送られないため、ニオイが拡散してしまうことを抑えられ、吸込み口22が向いている方向の空気を効率的に清浄化することができる。
【0029】
ファン制御部15は、ファン26を制御する。ファン制御部15は、後述する通常運転モードにおいては、空気清浄機1の動作中、ファン26を常時駆動させる。ファン制御部15は、後述するパトロール運転モードにおいては、方向判定部13の判定結果に基づいて、ファン26を駆動させる。
【0030】
清浄度判定部16は、汚れセンサ24が検知した空気の汚れ度合が所定の閾値以上であるか否かを判定する。清浄度判定部16は、空気の汚れ度合が所定の閾値未満である場合、空気が清浄化されたと判定し、空気の汚れ度合が所定の閾値以上である場合、空気が清浄化されていないと判定する。
【0031】
次に、本実施形態の空気清浄機制御システム10の動作を説明する。
【0032】
空気清浄機制御システム10は、通常運転モードと、パトロール運転モードと、を有している。通常運転モードとは、回転機構21が空気清浄機1の本体20の回転を停止させている状態で、方向判定部13が目標方向を判定する運転モードである。パトロール運転モードとは、回転機構21が空気清浄機1の本体20を回転させている状態で、方向判定部13が目標方向を判定する運転モードである。
【0033】
まず、
図1~
図4とともに
図5を参照して、通常運転モード時の空気清浄機制御システム10の動作を説明する。
【0034】
ステップS11において、ファン制御部15は、ファン26を駆動させる。
【0035】
ステップS12において、回転制御部14は、回転機構21を停止させる。なお、回転機構21がもともと停止状態である場合、回転制御部14は、回転機構21の停止状態を維持させる。
【0036】
ステップS13において、方向判定部13は、目標方向を判定するか否かを判断する。ステップS13において、第1タイミング情報、第2タイミング情報、及び第3タイミング情報間に時間差がある場合、方向判定部13は、汚れレベルが所定の閾値以上となった検知タイミングが最も早いタイミング情報に対応する汚れセンサ24を特定する。方向判定部13は、記憶部12を参照し、特定された汚れセンサの配置情報を目標方向として判定する。ステップS13において、第1タイミング情報、第2タイミング情報、及び第3タイミング情報間に時間差がない場合、方向判定部13は、目標方向を判定できないため(NO)、目標方向の判定処理を継続する。
【0037】
ステップS13において、方向判定部13が目標方向を判定した場合(YES)、ステップS14において、回転制御部14は、回転機構21を駆動し、回転機構21の回転方向を制御して、吸込み口22が目標方向を向くように空気清浄機1の本体20を回転させる。
【0038】
吸込み口22が目標方向を向くと、ステップS15において、回転制御部14は、回転機構21を停止する。これにより、目標方向の空気の清浄化が進められる。
【0039】
ステップS16において、清浄度判定部16は、汚れセンサ24が検知した空気が清浄化されたか否かの判定を行う。
【0040】
ステップS16において、清浄度判定部16が、空気が清浄化されていないと判定した場合(NO)、回転制御部14は、再度、ステップS17において、汚れセンサ24が検知した空気が清浄化されたか否かを判定する。
【0041】
ステップS16において、清浄度判定部16が、空気が清浄化されたと判定した場合(YES)、回転制御部14は、回転機構21の停止を維持した状態で、ステップS13に戻り、方向判定部13は、目標方向の判定処理を行う。
【0042】
次に、
図1~
図4とともに
図6を参照して、パトロール運転モード時の空気清浄機制御システム10の動作を説明する。
【0043】
ステップS21において、ファン制御部15は、ファン26を停止させる。なお、ファン26がもともと停止状態である場合、ファン制御部15は、ファン26の停止状態を維持させる。
【0044】
ステップS22において、回転制御部14は、回転機構21を駆動させ、本体20を所定の方向に回転させる。例えば、回転制御部14は、左回り、右回り、又は左回りと右回りとを繰り返すように本体20を回転させる。
【0045】
ステップS23において、方向判定部13は、目標方向を判定するか否かを判断する。ステップS23において、第1タイミング情報、第2タイミング情報、及び第3タイミング情報間に時間差がある場合、方向判定部13は、汚れレベルが所定の閾値以上となった検知タイミングが最も早い検知タイミングを示すタイミング情報に対応する汚れセンサ24を特定する。方向判定部13は、記憶部12を参照し、特定された汚れセンサの配置情報を目標方向として判定する。ステップS23において、第1タイミング情報、第2タイミング情報、及び第3タイミング情報間に時間差がない場合、方向判定部13は、目標方向を判定できないため(NO)、目標方向の判定処理を継続する。
【0046】
ステップS23において、方向判定部13が目標方向を判定した場合(YES)、ステップS24において、回転制御部14は、回転機構21の回転方向を制御して、吸込み口22が目標方向を向くように空気清浄機1の本体20を回転させる。このとき、回転制御部14は、本体20の回転角度が最小角度で、吸込み口22が目標方向を向くように、回転機構21の回転方向を制御する。したがって、目標方向によっては、回転制御部14は、目標方向が判定された時点での回転方向(ステップS22における回転方向)とは逆方向に回転するよう回転機構21を制御する場合がある。
【0047】
吸込み口22が目標方向を向くと、ステップS25において、回転制御部14は、回転機構21を停止する。
【0048】
ステップS26において、ファン制御部15は、ファン26を駆動する。これにより、目標方向の空気の清浄化が進められる。
【0049】
ステップS27において、清浄度判定部16は、汚れセンサ24が検知した空気が清浄化されたか否かの判定を行う。
【0050】
ステップS27において、清浄度判定部16が、空気が清浄化されていないと判定した場合(NO)、回転制御部14は、再度、ステップS27において、汚れセンサ24が検知した空気が清浄化されたか否かを判定する。
【0051】
ステップS27において、清浄度判定部16が、空気が清浄化されたと判定した場合(YES)、ステップS21に戻り、ファン制御部15は、ファン26を停止させる。
【0052】
本実施形態では、パトロール運転において、吸込み口22が目標方向を向くまでの間、ファン26を停止させている。これにより、空気清浄機1の周囲に循環気流が発生しない状態で汚れセンサ24によるニオイ(汚れ)の検知が行われる。したがって、汚れセンサ24の検知制度を高くすることができる。なお、パトロール運転においても、常時、ファン26を駆動させるようにしても構わない。
【0053】
以上説明したように、空気清浄機1によれば、空気の汚れを検知する汚れセンサ24を用いて、汚れが多く発生している方向(ニオイの強い方向)を特定し、その方向に吸込み口22を向けて空気清浄を行うことができる。これにより、浄化効率を向上させることが可能となる。
【0054】
(変形例)
以下、本実施形態の空気清浄機1の変形例について説明する。以下の説明では、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0055】
(変形例1)
上記実施形態では、空気清浄機1自体が汚れセンサ24a~24cを備えている例を示したが、これに限られない。例えば、
図7に示すように、汚れセンサ41a~41dが空気清浄機1と別体に構成されていてもよい。例えば、汚れセンサ41a、汚れセンサ41b、汚れセンサ41c、及び汚れセンサ41dは、空気清浄機1が設置される部屋に配置するようにしてもよい。具体的には、汚れセンサ41a、汚れセンサ41b、汚れセンサ41c、及び汚れセンサ41dを空気清浄機1が設置される部屋の例えば四隅それぞれに配置する。そして、空気清浄機1は、通信部31を更に備えており、センサ情報取得部11が、汚れセンサ41a~41dから通信部31を介してセンサ情報を取得する構成とする。
【0056】
この場合、記憶部12のテーブル(
図3及び
図4参照)に、汚れセンサ41a~41dそれぞれの配置情報をユーザが事前に登録する(記憶させる)。
【0057】
変形例1の空気清浄機1の場合、空気清浄機1自体は汚れセンサを備えていないことから、空気清浄機制御システム10は、パトロール運転モードは有しなくてよい。
【0058】
(変形例2)
上記実施形態においては、方向判定部13が、第1タイミング情報、第2タイミング情報、及び第3タイミング情報の時間差に基づいて、目標方向を判定する例を示したがこれに限られない。方向判定部13は、レベル情報、すなわち、汚れセンサ24a~24cそれぞれが検知した空気の汚れのレベルを示す第1レベル情報、第2レベル情報、及び第3レベル情報に基づいて、目標方向を判定してもよい。具体的には、方向判定部13は、第1レベル情報、第2レベル情報、及び第3レベル情報のうち、汚れのレベルが最も高いレベル情報に対応する汚れセンサを特定する。そして、方向判定部13(
図3参照)は、記憶部12(
図3及び
図4参照)を参照し、特定された汚れセンサの配置情報を目標方向として判定する。一方、第1レベル情報、第2レベル情報、及び第3レベル情報それぞれが示す汚れのレベルに差がない場合、方向判定部13は、目標方向の判定が不可となる。この場合、方向判定部13は、次回以降のレベル情報に基づいた目標方向の判定を継続して行う。
【0059】
あるいは、上記実施形態において、方向判定部13が求めた時間差が所定の閾値(例えば、0.5秒、1秒等)未満であることにより、当該タイミング情報に基づいた目標方向の判定が不可となった場合に、上述のレベル情報に基づいた目標方向の判定を行うようにしても構わない。
【0060】
(変形例3)
空気清浄機1は、
図1に示すように、赤外線センサ50を更に備えていてもよい。
【0061】
赤外線センサ50は、例えば、
図1に示すように、本体20の周面20sの吸込み口22の上部であって、吸込み口22の左右方向における中心線LCに対応する位置に配置される。この場合、センサ情報は、上記実施形態のタイミング情報又は上記変形例2のレベル情報に加えて、赤外線センサ50からの熱情報を含むことになる。汚れ(特にニオイ)を発生するものとしては、人、ペット、料理等が考えられ、汚れと同時に熱を発生するものが多い。よって、方向判定部13(
図2参照)が汚れセンサ24a~24cからのタイミング情報又はレベル情報と、熱情報と、に基づいて目標方向を判定することにより、回転制御部14は、より高精度に汚れの発生している方向に吸込み口22を向けることが可能となる。ただし、汚れを発生しているものが熱を発生していない場合もあるため、方向判定部13は、熱情報よりも、汚れセンサ24a~24cからのタイミング情報又はレベル情報を優先して判定を行うのが望ましい。
(変形例4)
【0062】
上記実施形態では、
図1に示すように、吹出し口23が、吸込み口22が向いている方向(前方向)と異なる方向(左右方向)を向いている例を示したが、これに限られない。吸込み口22と吹出し口23とは、同じ方向を向いていても構わない。ただし、吸込み口22と吹出し口23とが同じ方向を向くようにした場合、吹出し口23から吹き出した風によって、清浄しようとしている汚れた空気を拡散させてしまい、浄化効率をあまり向上させられなくなる可能性がある。したがって、吸込み口22と吹出し口23とは、異なる方向を向いているのが好ましい。
(変形例5)
【0063】
上記実施形態では、汚れセンサ24として、ニオイを検知するガスセンサを用いる例を示したが、ホコリを検知するホコリセンサを用いてもよいし、あるいは、その他の汚れを検知するセンサを用いてもよい。また、汚れセンサとして、例えば、ガスセンサとホコリセンサの両方を備える構成としてもよい。
【0064】
また、汚れセンサは、3つに限らず、少なくとも1つあればよく、4つ以上でも構わない。
【0065】
汚れセンサが1つの場合、上述の通常運転モードでは、目標方向を判定することが困難であるため、空気清浄機1をパトロール運転モードで動作させるのが有効である。汚れセンサが1つの場合、方向判定部13による目標方向の判定の精度はあまり高くならないが、製造コストを低く抑えることが可能となる。
【0066】
一方、汚れセンサの数を多くするほど、方向判定部13による目標方向の判定の精度が高くなり、浄化効率をより高くすることが可能となる。ただし、製造コストが高くなるおそれがある。
【0067】
したがって、どのような汚れの浄化を目的としているか、浄化効率をどの程度とするか等に基づいて、適宜、汚れセンサの種類や個数を決定するのが望ましい。
【符号の説明】
【0068】
1 空気清浄機
10 空気清浄機制御システム
11 センサ情報取得部
12 記憶部
13 方向判定部
14 回転制御部
15 ファン制御部
16 清浄度判定部
20 本体
21 回転機構
22 口吸込み口
23 吹出し口
24、24a、24b、24c、41a、41b、41c、41d 汚れセンサ
26 ファン
31 通信部
50 赤外線センサ