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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A61M5/145 500
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021051375
(22)【出願日】2021-03-25
(65)【公開番号】P2022149295
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】米田 善紀
(72)【発明者】
【氏名】末原 達
(72)【発明者】
【氏名】有馬 大貴
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/176098(WO,A1)
【文献】特表2013-533759(JP,A)
【文献】国際公開第2021/029169(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0267942(US,A1)
【文献】実開平2-6054(JP,U)
【文献】特開2010-11914(JP,A)
【文献】国際公開第2019/234482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送波面から超音波を送波する超音波探触子で取得した超音波画像に基づいて、生体表面から穿刺して生体内の患部に送達物を送達する送達デバイスであって、
第1操作部と、
内腔を有し、前記第1操作部の先端から長軸方向に沿って延在する外筒と、
前記第1操作部に対して長軸方向に摺動可能に取り付けられる第2操作部と、
先端に開口部を有する針先端部と、前記針先端部の基端から長軸方向に延在して設けられる中空の針本体部と、前記針先端部の少なくとも一部を前記針本体部の先端から前記開口部に向かうに連れて徐々に前記外筒の軸方向から遠ざかるように湾曲する湾曲部と、を有し、前記外筒の内腔に進退可能に収納され、前記第2操作部の先端から長軸方向に沿って延在する注入針と、備え、
前記外筒は、前記注入針の前記針先端部の湾曲方向と対応する外表面に、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための反射部を有する、送達デバイス。
【請求項2】
前記反射部は、前記外筒の長軸方向に沿って延在する凹溝、または凸条部で構成される、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項3】
前記反射部は、前記外筒の外周面から外方に突出する複数の凸部または内方に凹んだ複数の凹部を前記外筒の長軸方向に沿って所定間隔を空けて配置してなる音波反射部で構成される、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項4】
前記反射部は、前記外筒に対して取り付け可能な装着部材に設けられる、請求項1に記載の送達デバイス。
【請求項5】
前記反射部は、前記注入針の前記針先端部の湾曲方向と対応する前記外筒の外表面に対して長軸方向に沿って延在する第1反射部と、前記第1反射部と交差するように前記外筒の全周に亘って設けられる第2反射部と、を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の送達デバイス。
【請求項6】
前記注入針の前記針先端部の外表面は、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための第3反射部を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の送達デバイス。
【請求項7】
前記反射部は、前記外筒の外表面に対し、前記外筒の径方向で対向して2つ配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載の送達デバイス。
【請求項8】
前記注入針は、前記第2操作部に対して複数設けられ、
前記反射部は、前記注入針の前記針先端部の湾曲方向と対応する前記外筒の外表面にそれぞれ配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内の患部に対して薬剤や医療デバイスなどの送達物を送達する送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、薬剤を送達する送達デバイス(穿刺デバイス)を用いて腫瘍などの患部や患部の疑いがある部位など処置するため、超音波探触子(プローブ)から観測対象となる生体組織に対して超音波(光音響波)を送受信して得られた超音波信号に基づく超音波画像(光音響画像)を用いて患部を観察しながら穿刺する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-31262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体内に発生した腫瘍を治療する際、副作用の強い薬剤や選択性が少ない薬剤に対して全身性の副作用を抑えつつ、腫瘍への薬剤集積量を高める投与方法として、腫瘍に直接投与する処置方法がある。しかし、腫瘍組織内に薬剤を浸透・拡散させるには、1箇所から投与しても薬剤量は限られている。また、線維性の隔壁を有する腫瘍は、薬剤が浸透し難いため、1箇所から投与しても期待する効果が得られないこともある。そのため、術者は、穿刺デバイスを穿刺し直して複数箇所から腫瘍にアプローチして薬剤の投与を試みるが、出血リスクや播種リスクが高まるという課題がある。
【0005】
そこで、上記課題に対する対応策として、穿刺デバイスの注入針の先端部を軸方向から外方に向けて湾曲させた構成とし、注入針を回転させて腫瘍への穿刺箇所を変えながら薬剤を投与する処置方法が考えられる。この処置方法によれば、注入針を回転させて注入針の穿刺端を腫瘍の異なる位置に向けることができるため、穿刺デバイスの穿刺箇所を変えず、腫瘍の異なる位置にアプローチすることが可能となる。
【0006】
ところで、腫瘍に注入針を穿刺する際に、腫瘍の周囲にある他組織や血管などの損傷リスクを回避するため、術者は、超音波画像を確認しながら注入針の先端部分と腫瘍との位置関係を把握する必要がある。注入針の先端部分を超音波画像上に映し出すには、超音波探触子から送信される超音波を、注入針の中心軸を通る平面と重なるように照射しなければならない。しかし、上記対応策となる処置方法を行う場合、注入針の先端は湾曲して側方を向いているため、注入針の湾曲方向によっては穿刺端が超音波の照射領域から外れる可能性がある。超音波画像上に注入針の先端部分が映し出されない場合、術者は、注入針の湾曲方向に合わせて超音波探触子を配置させようとするが、生体外から注入針の湾曲方向を確認する術がないため、超音波探触子を正しく配置するのは困難である。
【0007】
このように、超音波探触子を用いて湾曲する注入針の向きや挙動を確認しながら腫瘍へアプローチする処置方法を実施するには、超音波探触子の生体表面に対する正しい配置位置を把握することが重要となる。しかし、特許文献1の技術では、超音波探触子の正しい配置位置を把握することができず改善の余地がある。
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、具体的には、生体内に挿入した注入針の挙動や患部に対する位置を超音波画像で確認する際に、超音波探触子を生体表面に対して正しく配置することができる送達デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態に係る送達デバイスは、送波面から超音波を送波する超音波探触子で取得した超音波画像に基づいて、生体表面から穿刺して生体内の患部に送達物を送達する送達デバイスであって、第1操作部と、内腔を有し、前記第1操作部の先端から長軸方向に沿って延在する外筒と、前記第1操作部に対して長軸方向に摺動可能に取り付けられる第2操作部と、先端に開口部を有する針先端部と、前記針先端部の基端から長軸方向に延在して設けられる中空の針本体部と、前記針先端部の少なくとも一部を前記針本体部の先端から前記開口部に向かうに連れて徐々に前記外筒の軸方向から遠ざかるように湾曲する湾曲部と、を有し、前記外筒の内腔に進退可能に収納され、前記第2操作部の先端から長軸方向に沿って延在する注入針と、備え、前記外筒は、前記注入針の前記針先端部の湾曲方向と対応する外表面に、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための反射部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、生体内に挿入した注入針の挙動や患部に対する位置を超音波画像で確認する際に、超音波探触子を生体表面に対して正しく配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る送達デバイスの概略側面図である。
図2A】本実施形態に係る送達デバイスにおいて注入針の進出前の状態を示す部分縦断面図である。
図2B】本実施形態に係る送達デバイスにおいて注入針の進出後の状態を示す部分縦断面図である。
図2C】本実施形態に係る送達デバイスの先端近傍の部分横断面図である。
図3A】変形例1の送達デバイスにおける第1反射部および第2反射部の形態を示す概略側面図である。
図3B】変形例1の送達デバイスにおける反射部の他の形態を示す概略側面図である。
図4】変形例2の送達デバイスにおける第3反射部の形態を示す概略断面図である。
図5A】変形例3の送達デバイスにおける反射部の形態を示す概略断面図である。
図5B】変形例3の送達デバイスの先端近傍の部分横断面図である。
図6A】変形例4の送達デバイスの構成を示す概略縦断面図である。
図6B図6AのA-A線で切断した概略横断面図である。
図7A】変形例4の送達デバイスにおいて第2操作部を押し操作した状態を示す概略縦断面図である。
図7B】変形例4の送達デバイスにおいて第2操作部を回転した状態を示す概略縦断面図である。
図8A】変形例5の送達デバイスにおいて一の注入針を進出させる前の状態を示す概略側面図である。
図8B】変形例5の送達デバイスにおいて一の注入針を進出させた後の状態を示す概略側面図である。
図9】変形例6の送達デバイスにおいて装着部材を装着した状態示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここで示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するために例示するものであって、本発明を限定するものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者などにより考え得る実施可能な他の形態、実施例および運用技術などは全て本発明の範囲、要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0013】
さらに、本明細書に添付する図面は、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺、縦横の寸法比、形状などについて、実物から変更し模式的に表現される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0014】
また、送達デバイス100が生体内に挿入される側を「先端側」とし、先端側と反対側(術者が把持する側)を「基端側」とする。また、先端(最先端)から長軸方向(送達デバイス100の中心軸Zの延在方向)に沿う一定の範囲を含む部分を「先端部」とし、基端(最基端)から長軸方向における一定の範囲を含む部分を「基端部」とする。
【0015】
なお、以下の説明において、「第1」、「第2」のような序数詞を付して説明する場合は、特に言及しない限り、便宜上用いるものであって何らかの順序を規定するものではない。
【0016】
<構成>
図1図2A図2Bに示すように、送達デバイス100は、概説すると、第1操作部10と、第2操作部20と、外筒30と、注入針40と、を備える。送達デバイス100は、注入針40を介して生体内の患部に所定の送達物(薬剤や医療デバイス)を送達する。また、外筒30の外周面には、注入針40の湾曲方向と対応する位置に周囲との音響インピーダンス差を大きくするための反射部50が設けられる。送達デバイス100は、生体に挿入した状態で注入針40を介して生体内の患部に所定の送達物(薬剤や医療デバイス)を送達するためのものである。
【0017】
第1操作部10、第2操作部20、外筒30の中心軸A、および注入針40の中心軸Bは、いずれも送達デバイス100の中心軸Zと一致する(図2Aを参照)。中心軸Zは、生体表面に対して送達デバイス100を進退させる方向、第2操作部20を押引き操作する方向と一致する。なお、注入針40は、外筒30から進出した際に後述する湾曲部44により湾曲形状に変形するため、中心軸Zも注入針40の湾曲方向に沿って湾曲する(図2Bを参照)。
【0018】
第1操作部10は、図2Aに示すように、内腔11を有する中空の筒状部材で構成され、先端に外筒30が取り付けられる。第1操作部10の内腔11は、外筒30の内腔31と連通する。第1操作部10の内部には、第2操作部20が長軸方向に沿って摺動可能に収納される。
【0019】
第2操作部20は、図2Aに示すように、内腔21を有する中空の筒状部材で構成され、先端に注入針40が取り付けられる。第2操作部20の内腔21は、注入針40の内腔41と連通する。第2操作部20は、第1操作部10の内腔11に、長軸方向に沿って摺動可能に収納される。そのため、注入針40は、第2操作部20の押引き操作により、長軸方向に沿って外筒30から進退することができる。
【0020】
第2操作部20の先端位置と、第1操作部10の内腔11の先端側内壁との距離は、注入針40の進出量に応じて設定される。すなわち、第2操作部20は、図2Aに示すように、摺動前の状態では、第2操作部20の先端位置と第1操作部10の内腔11の先端側内壁とが少なくとも前記進出量の分だけ離隔している。また、第2操作部20は、図2Bに示すように、摺動後の状態では前記進出量の分だけ先端側へ摺動し、第2操作部20の先端が第1操作部10の内腔11の先端側内壁と近接した状態となる。この状態において、注入針40は、外筒30から進出する。
【0021】
また、第2操作部20は、図2Aに示すように、基端側に押引部22と、ハブ部23と、を備える。
【0022】
押引部22は、外筒30から注入針40を進退させる押引き操作を行うときに操作される。術者は、押引部22を押し操作(先端側への摺動)することで、外筒30から注入針40を進出できる。また、術者は、押引部22を引き操作(基端側への摺動)することで、外筒30から進出した注入針40を外筒30内に収納できる。
【0023】
ハブ部23は、基端側に形成された開口部と連通する内腔を有する。ハブ部23の内腔は、第2操作部20の内腔21を介して注入針40の内腔41と連通する。そのため、注入針40の内腔41は、ハブ部23を介して外部と連通可能となる。ハブ部23は、注入針40に送達物を導入するための導入口として機能する。そのため、ハブ部23は、例えば薬剤投与のためのシリンジの筒先やチューブが装着されたり、医療デバイスが挿入されたりする。なお、本実施形態において、ハブ部23は、第2操作部20の基端側の押引部22に設けた構成であるが、第2操作部20の側面側に設けてもよい。
【0024】
第2操作部20の外周面には、注入針40の湾曲方向が視覚または触覚などで確認可能なマーカー部24が設けられる。これにより、術者は、事前に注入針40の湾曲方向を把握した状態で、送達デバイス100を生体内に挿入することができる。また、第2操作部20は、マーカー部24に加えて、外周面に注入針40の外筒30からの進出長さ(穿刺長さ)や湾曲方向への湾曲度合い(針本体部42の中心軸B1から穿刺端43bまでの離隔距離)が視覚または触覚などで確認可能なスケール部を設けるのが好ましい。これにより、術者は、送達デバイス100を生体内に挿入した状態で注入針40の患部に対する穿刺長さや、湾曲方向への湾曲度合いを把握することができる。
【0025】
また、第2操作部20は、注入針40の穿刺長を所定の長さに制限するための穿刺長制限機構(ストッパー)を設けてもよい。これにより、術者は、注入針40を患部に穿刺し過ぎることがなく、患部に対して適切な穿刺長で穿刺することができる。
【0026】
外筒30は、図2Aに示すように、先端から基端にかけて連通する内腔31を有する中空の筒状部材で構成され、第1操作部10の先端から長軸方向に沿って延在する。外筒30の内腔31は、先端側は先端開口部32と連通し、基端側は基端開口部33と連通する。基端開口部33は、第1操作部10の内腔11と連通する。外筒30の内腔31には、注入針40が収納される。
【0027】
外筒30の構成材料は、医療分野で使用可能な生体に非侵襲または低侵襲な材料(樹脂材料や金属材料など)が適用可能であるが、生体に挿入した際の撓みを抑制するため、比較的剛性の高い材料(ステンレス、チタン合金、CoCr合金など)を採用するのが好ましい。
【0028】
外筒30は、先行して生体内に導入されたカニューレなどの導入デバイスに沿って挿入される。また、外筒30は、先端を鋭利な針形状とした場合、導入デバイスを使用せず、生体表面から穿刺して患部まで挿入することができる。
【0029】
なお、外筒30は、手技中に生体表面で位置固定するための固定部材を外周面に設けてもよい。これにより、術者は、手技中に外筒30が位置固定され、患部の目的とする箇所に対して注入針40を正確に穿刺することができる。
【0030】
注入針40は、図2Aに示すように、内腔41を有する中空の筒状部材で構成され、第2操作部20の先端から長軸方向に沿って延在する。注入針40は、針本体部42と、針先端部43と、湾曲部44と、を備える。針本体部42、針先端部43は、内腔41を通じて連通する。
【0031】
針本体部42は、中空の筒状部材で構成され、基端が第2操作部20の先端と連結している。そのため、注入針40の内腔41は、第2操作部20の内腔21と連通する。針本体部42の先端は、針先端部43の基端と連結している。
【0032】
針先端部43は、先端に開口部43aを有する鋭利な穿刺端43bを有する。針先端部43の少なくとも一部は、第2操作部20の摺動に伴い、外筒30から生体内へと進出する。また、針先端部43は、湾曲部44を有し、少なくとも一部が側方に向かって湾曲した形状に変形可能に構成される。
【0033】
湾曲部44は、針先端部43の少なくとも一部または略全体を構成し、針本体部42の先端から針先端部43の開口部43aに向かうに連れて徐々に外筒30の中心軸A(針本体部42の中心軸B1)から遠ざかる方向(外筒30の中心軸Aに対する放射方向)に曲がった形状を有する。湾曲部44は、図2Aに示すように、一例として針先端部43と同領域に設定されてもよい。
【0034】
湾曲部44は、図2Bに示すように、針先端部43が外筒30から進出したときに湾曲形状が維持される。また、湾曲部44は、外筒30よりも剛性が低いため、針先端部43が外筒30に収納された状態では、図2Aに示すように、外筒30の内腔31と当接することにより、湾曲形状が略真直状態に矯正される。
【0035】
湾曲部44は、予め湾曲形状をなす構成の他、外筒30の先端開口部32から進出する針先端部43を斜め方向(針本体部42の中心軸B1から遠ざかる方向)にガイドするガイド部材(図示せず)によって湾曲する構成など、外筒30から進出した際に針先端部43を湾曲する構成であればよい。
【0036】
なお、注入針40は、穿刺端43bに開口部43aを有する構成としたが、穿刺端43bの開口部43aを封止して針先端部43の側面に複数の孔を設けた構成としてもよい。
【0037】
注入針40の構成材料としては、医療分野で使用される公知のシリンジに装着される穿刺針などに適用される材料であれば特に制限はなく、例えばステンレスやニチノールのような形状記憶合金などが適用可能である。
【0038】
反射部50は、外筒30の外周面における注入針40の針先端部43の湾曲方向と対応する位置に設けられる。反射部50は、周囲との音響インピーダンス差を大きくし、超音波画像上での視認性を向上させる効果を奏する。
【0039】
反射部50は、周囲との音響インピーダンス差を大きくすることが可能な形状を有していればよい。反射部50は、長軸方向に沿う凹溝で構成される。凹溝の断面形状は、半円形や矩形(台形)など特に制限されない。しかし、凹溝の断面形状は、略上方から照射される超音波を効率良く送波面210に反射可能とするため、凹溝の開口部を底部と同等若しくは底部よりも狭めた形状(台形形状や馬蹄形状など)とするのが好ましい。また、反射部50は、凹溝の他、外筒30の外周面から外方に突出し、長軸方向に沿って延在する凸条部としてもよい。
【0040】
反射部50は、図2Cに示すように、外筒30の外周面における注入針40の湾曲方向(図2C中の矢印方向)と対応する位置に設けられているため、術者は、超音波探触子200で超音波画像を得た際、反射部50が最も強く映し出される位置を生体表面に対する超音波探触子200の正しい配置位置として把握することができる。これにより、術者は、超音波画像上において、外筒30の位置や向き、注入針40の湾曲方向や挙動などを容易に確認でき、患部の目的とする箇所に送達物を送達することができる。
【0041】
なお、送達デバイス100は、反射部50を外筒30の外周面に設けることにより、挿入時に生体と引っ掛かって損傷させてしまうことを防止するため、超音波を透過し易い材料からなる被覆部を反射部50の形成領域に被覆させてもよい。また、被覆部は、超音波の透過機能を有し、挿入時の摺動抵抗が低減可能な低表面エネルギー材料で構成してもよい。被覆部は、少なくとも反射部50を覆うコーティング加工や筒状のカバー部材などで構成できる。これにより、送達デバイス100は、生体に挿入した際に反射部50による生体の損傷を防止できる。
【0042】
<処置方法>
次に、本実施形態に係る送達デバイス100を用いた処置方法について説明する。以下の説明では、送達物として患部の腫瘍を治療するための薬剤(液剤)を腫瘍に対して3箇所投与する処置の一例を示す。
【0043】
術者は、患部の腫瘍に対して投与する薬剤を用意し、薬剤を注入するシリンジおよび注入針40をプライミングする。術者は、超音波探触子200を操作して超音波診断装置で患者の腫瘍の中心位置を確認して生体表面から腫瘍への穿刺経路を決定する。
【0044】
術者は、穿刺部位の消毒と局部麻酔を行った後、エコーガイド下で送達デバイス100の外筒30を腫瘍に向けて挿入(穿刺)する。このとき、術者は、超音波探触子200に取り付けたニードルガイドに送達デバイス100を装着させ、外筒30の先端が腫瘍の外表面に到達する位置まで外筒30を挿入する。
【0045】
術者は、外筒30の先端が腫瘍の外表面に達したことを確認すると、送達デバイス100を回転させつつ超音波探触子200の配置位置や傾きを変え、外筒30が最もエコーに強く映る位置を探す。外筒30の外表面には、反射部50が設けられているため、最もエコーに強く映る位置を容易に探すことができる。これにより、術者は、超音波探触子200で得た超音波画像上において、外筒30の先端部および外筒30から進出される注入針40の湾曲方向などが確認できる。そして、術者は、腫瘍の界面を確認しながら押引部22を押し操作し、注入針40の針先端部43を外筒30から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針40を穿刺した後、シリンジまたはシリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、1回目の投与が終了し、送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に送達される。
【0046】
術者は、押引部22を引き操作して注入針40を外筒30内に退避させる。この際、注入針40を退避させる前に、投与によって高まった投与経路内の圧力を除くため、投与経路中の三方活栓を開放するなどの操作を行ってもよい。術者は、送達デバイス100を所定方向に回転させ、注入針40の湾曲方向を2箇所目の穿刺箇所へ移動させる。また、術者は、超音波探触子200の配置位置や傾きを変え、外筒30が最もエコーに強く映る位置を探す。術者は、腫瘍の界面を確認しながら押引部22を押し操作し、注入針40の針先端部43を外筒30から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針40を穿刺した後、シリンジ、またはシリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、2回目の投与が終了する。送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に対し1回目と異なる箇所に送達される。
【0047】
術者は、押引部22を引き操作して注入針40を外筒30内に退避させる。術者は、2箇所目の穿刺と同様に、送達デバイス100を所定方向に回転させ、注入針40の湾曲方向を3箇所目の穿刺箇所へ移動させる。また、術者は、超音波探触子200の配置位置や傾きを変え、外筒30が最もエコーに強く映る位置を探す。術者は、腫瘍の界面を確認しながら押引部22を押し操作し、注入針40の針先端部43を外筒30から進出させて腫瘍に穿刺する。術者は、腫瘍に注入針40を穿刺した後、シリンジまたはシリンジポンプを操作して薬剤を投与する。これにより、3回目の投与が終了する。送達物である薬剤は、患部となる腫瘍に対し1回目や2回目と異なる箇所に送達される。
【0048】
その後、術者は、押引部22を引き操作して注入針40を外筒30内に退避させる。送達デバイス100を生体から抜去して手技を終了する。
【0049】
[変形例]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下に示すように使用環境などに応じて適宜変更して実施することもできる。また、以下の変形例を本発明の要旨を逸脱しない範囲の中で任意に組み合わせて実施することもできる。以下に説明する変形例1~変形例6は、前述した実施形態と同一の機能を有する構成要件について同一の符号を付して詳細な説明を省略し、特に言及しない構成、部材、および使用方法などについては、前述した実施形態と同様のものとしてよい。
【0050】
<変形例1>
変形例1は、図3A図3Bに示すように、外筒30に設けた反射部50を一部変形した構成である。
【0051】
変形例1おいて、反射部50は、図3Aに示すように、外筒30の外表面に対して長軸方向に沿って延在する第1反射部51と、第1反射部51と交差するように外筒30の全周に亘って設けられる第2反射部52と、を有する。
【0052】
第1反射部51は、上述した本実施形態で示した反射部50と同様、長軸方向に沿う凹溝、または凸条部であり、外筒30の外周面における注入針40の湾曲方向と対応する位置に設けられる。
【0053】
第2反射部52は、第1反射部51と交差して外筒30の外周方向に沿って設けられる。第2反射部52は、図3Aに示すように、第1反射部51の先端側および基端側と接続した状態で、外筒30の全周に亘って設けられる。第2反射部52は、超音波画像上において第1反射部51との識別を可能とするため、第1反射部51と異なる形状を有していてもよい。第2反射部52は、ブラスト加工などを施した微細な凹凸形状を有している。
【0054】
なお、第2反射部52は、超音波画像上において少なくとも第1反射部51と識別可能な構成を有していれば、その形状(形成幅、凹凸形状など)などは特に限定されない。また、第2反射部52は、図3Aに示すように、第1反射部51と交差して外筒30の全周に亘って2箇所設けているが、外筒30の先端部の位置を超音波画像上で視認可能とするため、少なくとも先端側に設ければよい。
【0055】
変形例1において、反射部50は、図3Bに示すように、長軸方向に沿う凹溝の構成に代えて、外筒30の外周面から外方に突出する複数の凸部または内方に凹んだ凹部を外筒30の長軸方向に沿って並べて配置した音波反射部50aとすることもできる。図3Bに示すように、音波反射部50aは、例えば断面形状が半球形状や多角形形状など凸部で構成され、外筒30の外周面から突出している。音波反射部50aは、凹溝と同様、周囲との音響インピーダンス差を大きくすることができる。
【0056】
変形例1によれば、第1反射部51と第2反射部52を備えているため、超音波画像上で外筒30の先端位置が確認し易く、第1反射部51が超音波探触子200の送波面210側を向いていない場合であっても、患部に対する外筒30の位置決めがより簡易的となる。また、反射部50は、凹溝に代えて音波反射部50aとした構成とすることができる。これにより、術者は、外筒30を生体内に挿入した際、超音波画像上で外筒30の先端位置が視認可能となる。
【0057】
<変形例2>
変形例2は、図4に示すように、注入針40の先端側(主として針先端部43の近傍)の外周面に対し、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための第3反射部53を設けた構成である。
【0058】
第3反射部53は、注入針40の針先端部43の外周面に設けられる。第3反射部53は、超音波の反射効率を向上させ、超音波画像上での視認性を向上させる効果を奏する。第3反射部53は、超音波の反射効率を向上させる形状を有する。第3反射部53は、一例として、凹溝(凹形状)や複数の突起(凸形状)、梨地加工のような凹凸形状で構成される。第3反射部53は、超音波画像上において注入針40の湾曲方向が確認可能なように、湾曲方向に対応する外周面に設けるのが好ましい。第3反射部53は、第1反射部51や第2反射部52と異なる形状とすることで、注入針40の先端部の視認性が向上し、外筒30と注入針40との区別が容易となる。
【0059】
変形例2によれば、第3反射部53により超音波画像上において注入針40の視認性が向上するため、術者は、生体挿入時において患部に対する外筒30の挿入位置および注入針40の穿刺箇所の位置決めが容易となる。
【0060】
<変形例3>
変形例3は、図5A図5Bに示すように、反射部50を、外筒30の外表面に対し、外筒30の径方向で対向して2つ配置した構成である。
【0061】
反射部50は、注入針40の湾曲方向(図5B中の矢印方向)に対応する外筒30の外周面に一つ、注入針40の湾曲方向と反対側となる外筒30の外周面に一つ設けている。2つの反射部50は、外筒30の外周面において径方向で対向する位置に配置される。なお、反射部50は、注入針40の湾曲方向を識別可能にするため、両者を異なる形状にして超音波の反射効率を変えるのが好ましい。
【0062】
変形例3によれば、術者は、送達デバイス100を回転させて注入針40の湾曲方向を変えたとしても、超音波画像上において注入針40の湾曲方向を容易に確認することができる。
【0063】
<変形例4>
変形例4は、図6A図6Bに示すように、外筒30を、第1操作部10の長軸を中心に第2操作部20の回転操作に追従して回転可能に取り付けた構成である。
【0064】
変形例4は、図6A図6Bに示すように、外筒30の基端側から先端側に向かう一部が第1操作部10の内部に貫通して設けられる。外筒30の基端側の外周面には、一対の羽根状の第1係合部34が径方向に対向して設けられる。外筒30における第1操作部10の先端近傍には、環状の第2係合部35が設けられている。
【0065】
第2操作部20の内部には、長軸方向に沿う1対の凹溝からなり、第1係合部34と係合可能な第3係合部25が設けられる。第1操作部10の先端には、第2係合部35を回転可能に保持する環状の第4係合部13が設けられる。
【0066】
変形例4は、図7Aに示すように、第1操作部10に対して第2操作部20が回転可能に取り付けられており、第2操作部20を長軸方向に沿って押引き操作した際は、第1係合部34が第3係合部25に沿って摺動する。この際、外筒30は、第2操作部20の摺動と連動せず、挿入姿勢を維持する。また、変形例4は、図7Bに示すように、第1操作部10に対して第2操作部20を所定方向に回転させた際、第1係合部34と第3係合部25とが係合し、第2操作部20の回転操作に追従して外筒30も回転する。
【0067】
変形例4によれば、外筒30が回転可能に取り付けられているので、第2操作部20を回転させた際、外筒30および外筒30の外周面に設けられた反射部50も連れて回転する。そのため、変形例4は、注入針40を所望の方向へ回転させたとしても、超音波画像上で注入針40の湾曲方向を確認することができる。また、送達デバイス100全体を回すことなく、第1操作部10を保持しながら注入針40の方向を変更可能なのであり回転操作が安定する。さらに、第1操作部10を外部から固定しながら操作を行うことも可能になる。
【0068】
<変形例5>
変形例5は、図8A図8Bに示すように、注入針40を複数設け、注入針40のそれぞれは個々に独立して進退可能に構成される。また、変形例5は、複数の注入針40の湾曲方向に対応する外筒30の外周面に、反射部50を設けている。変形例5は、一例として、3本の注入針40の湾曲方向を第2操作部20の周方向の所定角度(軸方向から見て、例えば時計回りに0°、120°、240°)に位置させ、これら注入針40の基端は3分割された押引部22のそれぞれに連結された構成である。また、ハブ部23は、3分割された押引部22にそれぞれ設けられる。
【0069】
術者は、図8Bに示すように、分割された押引部22のうちの一つを押引き操作すると、操作された押引部22と連結される注入針40は外筒30に対して進出または退避する。また、術者は、分割された押引部22を3つ同時に押引き操作すると、3本の注入針40を同時に進退操作することができる。
【0070】
変形例5によれば、第2操作部20を回転させたり、送達デバイス100自体を回転させたりすることなく、患部に対して注入針40を患部の異なる位置に穿刺することができる。また、変形例5は、注入針40の湾曲方向と対応する外筒30の外周面に反射部50を設けている。そのため、術者は、注入針40を個別に押引き操作する際、対応する反射部50によって超音波画像上での注入針40の湾曲方向を確認することができる。
【0071】
なお、変形例6において、複数の注入針40は、一つの第2操作部20の先端に設け、第2操作部20の押引き操作の際に、同時に進退する構成としてもよい。このような形態として場合、術者は、事前に注入針40と対応する反射部50の超音波画像上の位置や、マーカー部24を確認しながら、超音波探触子200を位置させ、各注入針40が進出する方向を確認し、最も腫瘍の辺縁まで近い針を見ながら同時に穿刺することができる。また、穿刺後は、術者は、超音波画像上の各反射部50の位置を基準に他の注入針40が組織から出ていないことを確認することもできる。
【0072】
<変形例6>
変形例6は、図9に示すように、反射部50を外筒30に対して取り付け可能な装着部材60に設けた構成である。
【0073】
装着部材60は、外筒30に装着可能な中空の筒体で構成され、一部に反射部50が形成される。変形例6では、反射部50は、基端側から先端側に向かって長軸方向に沿うスリットで構成される。装着部材60は、外筒30に対して着脱可能であってもよいし、外筒30に固設してもよい。また、装着部材60は、外周面に親水性コーティングを施すことにより、挿入時の摺動抵抗を低減させることができる。
【0074】
変形例6によれば、外筒30に反射部50を設ける必要がないため、外筒30を加工した際に起こり得る強度低下が生じない。そのため、送達デバイス100は、生体に挿入した際の外筒30の座屈などによる手技中に不具合を回避することができる。
【0075】
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態に係る送達デバイス100は、送波面210から超音波を送波する超音波探触子200で取得した超音波画像に基づいて、生体表面から穿刺して生体内の患部に送達物を送達するデバイスであり、第1操作部10と、内腔31を有し、第1操作部10の先端から長軸方向に沿って延在する外筒30と、第1操作部10に対して長軸方向に摺動可能に取り付けられる第2操作部20と、先端に開口部43aを有する針先端部43と、針先端部43の基端から長軸方向に延在して設けられる中空の針本体部42と、針先端部43の少なくとも一部を針本体部42の先端から開口部43aに向かうに連れて徐々に外筒30の軸方向から遠ざかるように湾曲する湾曲部44と、を有し、外筒30の内腔31に進退可能に収納され、第2操作部20の先端から長軸方向に沿って延在する注入針40と、を備え、外筒30は、注入針40の針先端部43の湾曲方向と対応する外表面に、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための反射部50を有する。
【0076】
また、反射部50は、外筒30の長軸方向に沿って延在する凹溝、または凸条部とした構成、外筒30の外周面から外方に突出する複数の凸部または内方に凹んだ複数の凹部を外筒30の長軸方向に沿って所定間隔を空けて配置してなる音波反射部50aとした構成、外筒30に対して取り付け可能な装着部材60に設けた構成としてもよい。
【0077】
このように構成された送達デバイス100によれば、反射部50は、周囲との音響インピーダンス差を大きくし、超音波画像上での視認性を向上させる効果を奏し、外筒30の外周面における注入針40の湾曲方向と対応する位置に設けられている。これにより、術者は、超音波探触子200で超音波画像を得る際、反射部50が最も強く映し出される位置を生体表面に対する超音波探触子200の正しい配置位置として把握することができる。したがって、術者は、超音波画像上において、外筒30の位置や向き、注入針40の湾曲方向や挙動などを容易に確認することが可能となり、患部の目的とする箇所に送達物を送達することができる。また、反射部50を装着部材60に設けた構成とすれば、外筒30に反射部50を設ける必要がないため、外筒30を加工した際に起こり得る強度低下が生じない。そのため、送達デバイス100は、生体に挿入した際の外筒30の座屈などによる手技中に不具合を回避することができる。
【0078】
また、本実施形態に係る送達デバイス100において、反射部50は、注入針40の針先端部43の湾曲方向と対応する外筒30の外表面に対して長軸方向に沿って延在する第1反射部51と、第1反射部51と交差するように外筒30の全周に亘って設けられる第2反射部52と、を有するように構成してもよい。
【0079】
このように構成された送達デバイス100によれば、第1反射部51と第2反射部52を備えているため、超音波画像上で外筒30の先端位置が確認し易い。したがって、術者は、第1反射部51が超音波探触子200の送波面210側を向いていない場合であっても、患部に対する外筒30の位置決めがより簡易的となる。
【0080】
また、本実施形態に係る送達デバイス100において、注入針40の針先端部43の外表面は、周囲との音響インピーダンス差を大きくするための第3反射部53を有するように構成してもよい。
【0081】
このように構成された送達デバイス100によれば、第3反射部53により超音波画像上において注入針40の視認性が向上するため、術者は、生体挿入時において患部に対する外筒30の挿入位置および注入針40の穿刺箇所の位置決めが容易となる。
【0082】
また、本実施形態に係る送達デバイス100において、反射部50は、外筒30の外表面に対し、外筒30の径方向で対向して2つ配置するように構成してもよい。
【0083】
このように構成された送達デバイス100によれば、術者は、送達デバイス100を回転させて注入針40の湾曲方向を変えたとしても、超音波画像上において注入針40の湾曲方向を容易に確認することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る送達デバイス100において、注入針40は、第2操作部20に対して複数設けられ、反射部50は、注入針40の針先端部43の湾曲方向と対応する外筒30の外表面にそれぞれ配置されるように構成してもよい。
【0085】
このように構成された送達デバイス100によれば、第2操作部20を回転させたり、送達デバイス100自体を回転させたりすることなく、患部に対して注入針40を患部の異なる位置に穿刺することができる。また、送達デバイス100は、注入針40の湾曲方向と対応する外筒30の外周面に反射部50を有するため、術者は、注入針40を個別に押引き操作する際、対応する反射部50によって超音波画像上での注入針40の湾曲方向を確認することができる。
【符号の説明】
【0086】
10 第1操作部、
20 第2操作部、
30 外筒、
31 外筒の内腔、
40 注入針、
42 針本体部、
43 針先端部、
44 湾曲部、
50 反射部(50a 音波反射部)、
51 第1反射部、
52 第2反射部、
53 第3反射部、
60 装着部材、
100 送達デバイス、
200 超音波探触子、
210 送波面、
A 外筒の中心軸、
B 注入針の中心軸(B1 針本体部の中心軸、B2 針先端部の中心軸)、
Z 送達デバイスの中心軸。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9