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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】インターホン機能付きリモコン
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20240919BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H04M9/00 C
H04B1/04 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021080246
(22)【出願日】2021-05-11
(65)【公開番号】P2022174448
(43)【公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】江平 浩太
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-114049(JP,A)
【文献】特開平03-273797(JP,A)
【文献】特開2002-118477(JP,A)
【文献】特開平10-126302(JP,A)
【文献】特開2019-106575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 9/00
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信線を介して接続され、マイク及びスピーカと相互に音声信号通信により通話する機能と通話の開始及び終了の切り替えを行うための通話スイッチとを有した複数のリモコンを備え、前記リモコンには前記音声信号通信を制御する制御部を備えると共に、前記制御部は前記マイクから増幅された音声信号を変調する音声変調回路と、当該音声変調回路の搬送波周波数を切り替える搬送波周波数切換回路と、他のリモコンからの変調された音声信号から特定の周波数のみを通過させるフィルタ特性をもつフィルタと、該フィルタを通過した音声信号を音声として復調させる音声復調回路と、前記音声変調回路の前記搬送波周波数を前記フィルタの前記フィルタ特性に合わせて調整する自動調整手段とを設けたことを特徴とするインターホン機能付きリモコン。
【請求項2】
前記自動調整手段は、前記複数のリモコンのうち一のリモコンから前記他のリモコンへ所定の音声信号を第一の搬送波周波数で送信すると共に、前記搬送波周波数を第一の周波数から変化させ、前記他のリモコンは前記一のリモコンからの変調された音声信号を音声として復調し、復調した信号から、前記所定の音声信号を検知できるかの判断を行い、前記所定の音声信号を検知した最小の搬送波周波数と最大の搬送波周波数の間となるように前記一のリモコンの前記搬送波周波数を設定することを特徴とする請求項1記載のインターホン機能付きリモコン。
【請求項3】
前記自動調整手段は、前記通信線を介して接続される前記複数のリモコンを設置した後に、前記リモコンの所定のスイッチ操作によって開始することを特徴とする請求項1または請求項2記載のインターホン機能付きリモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばガスや石油式の給湯機等に使用されるリモコン装置に係り、当該リモコン装置に音声での情報伝達を可能にしたインターホン機能付き給湯機リモコンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯機システムにおいては、給湯機本体から離れたところより、本体を遠隔操作するリモコンが浴室や台所等に複数接続され、リモコン操作部からの操作によって、給湯機の運転、停止、出湯温度の調節や湯量の運転信号のコントロールを行い、タイマーの時刻設定、運転状況が表示される表示部が設けられているものがある。更に近時において、リモコン間で音声による通話ができるように、リモコン内に、マイクとスピーカを内蔵したインターホン機能付きリモコンが提案されている。これらのインターホン機能付きリモコンは、音声信号と運転信号を同一の通信線を用いて制御するものが採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-114049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものでは、フィルタのバラつきによって、搬送波の周波数とフィルタの周波数特性にズレが生じることで、音声レベルの低下が発生し、それによって通話品質が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、通信線を介して接続され、マイク及びスピーカと相互に音声信号通信により通話する機能と通話の開始及び終了の切り替えを行うための通話スイッチとを有した複数のリモコンを備え、前記リモコンには前記音声信号通信を制御する制御部を備えると共に、前記制御部は前記マイクから増幅された音声信号を変調する音声変調回路と、当該音声変調回路の搬送波周波数を切り替える搬送波周波数切換回路と、他のリモコンからの変調された音声信号から特定の周波数のみを通過させるフィルタ特性をもつフィルタと、該フィルタを通過した音声信号を音声として復調させる音声復調回路と、前記音声変調回路の前記搬送波周波数を前記フィルタのフィルタ特性に合わせて調整する自動調整手段とを設けたものである。
【0006】
また、請求項2では、前記自動調整手段は、前記複数のリモコンのうち一のリモコンから前記他のリモコンへ所定の音声信号を第一の搬送波周波数で送信すると共に、前記搬送波周波数を第一の周波数から変化させ、前記他のリモコンは前記一のリモコンからの変調された音声信号を音声として復調し、復調した信号から、前記所定の音声信号を検知できるかの判断を行い、前記所定の音声信号を検知した最小の搬送波周波数と最大の搬送波周波数の間となるように前記一のリモコンの前記搬送波周波数を設定するものである。
【0007】
また、請求項3では、前記自動調整手段は、通信線を介して接続される前記複数のリモコンを設置した後に、前記リモコンの所定のスイッチ操作によって開始するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、通信線を介して接続され、マイク及びスピーカと相互に音声信号通信により通話する機能と通話の開始及び終了の切り替えを行うための通話スイッチとを有した複数のリモコンを備え、複数のリモコンの内、一のリモコンには音声信号通信を制御する制御部を備えると共に、制御部はマイクから増幅された音声信号を変調する音声変調回路と、音声変調回路の搬送波周波数を切り替える搬送波周波数切換回路と、他のリモコンからの変調された音声信号を音声として復調させることで、いわゆるインターホン機能を実現している。
【0009】
この、インターホン機能では、他のリモコンは一のリモコンからの変調された音声信号を音声として復調し、復調した信号から、音声出力を行う。この時、搬送波周波数に合わせた例えばバンドパスフィルタを用いて、特定の周波数を残して、不要な周波数帯域の信号を減衰させる処理が行われるが、バンドパスフィルタのバラつきなどによって、バンドパスフィルタのフィルタ特性にバラつきが生じることで、必要な周波数帯域の信号が減衰されてしまい、通話品質が低下する場合がある。
【0010】
そこで、請求項1によれば、音声変調回路の搬送波周波数をバンドパスフィルタのフィルタ特性に合わせて調整する自動調整手段を設けたことによって、バンドパスフィルタのフィルタ特性にバラつきが生じた場合であっても、バンドパスフィルタのフィルタ特性に合った搬送波周波数に調整できるため、必要な周波数帯域の信号が減衰されずに、良好な通話品質を実現できる。
【0011】
また、請求項2によれば、複数のリモコンのうち一のリモコンから他のリモコンへ所定の音声信号を第一の搬送波周波数で送信すると共に、搬送波周波数を第一の周波数から変化させ、他のリモコンは一のリモコンからの変調された音声信号を音声として復調し、復調した信号から、所定の音声信号を検知できるかの判断を行い、所定の音声信号を検知した最小の搬送波周波数と最大の搬送波周波数の間となるように一のリモコンの搬送波周波数を設定することで、調整者の技量や、部品のバラつきに関係なく、バンドパスフィルタのフィルタ特性に合わせた搬送波周波数の自動設定が可能となり、必要な周波数帯域の信号が減衰されずに、良好な通話品質を実現できる。
【0012】
また、請求項3によれば、自動調整手段は、通信線を介して接続される複数のリモコンを設置した後に、リモコンの所定のスイッチ操作によって開始することで、複数のリモコンそれぞれの電気的バラつきや、配線部材、配線長、配線方法等の施工によるバラつきの影響で発生する通信回路全体の周波数特性の変化に関係なく、設置環境に合わせた搬送波周波数の自動設定が可能となり、必要な周波数帯域の信号が減衰されずに、良好な通話品質を実現できる。
【0013】
また、リモコンの所定のスイッチ操作によって開始することで、搬送波周波数の設定に専用の工具や器具を必要とすることが無く、設置する器具だけで搬送波周波数の設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の一実施形態の概略構成図
図2】同インターホン機能付きリモコンの正面図
図3】同制概略ブロック図
図4】フィルタ特性にズレが無い搬送波周波数を表す説明図
図5】フィルタ特性にズレが生じた搬送波周波数を表す説明図
図6】同動作フローチャート図
図7】一実施形態のフィルタ特性と音声信号判定値を表す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、この発明の一実施形態におけるインターホン機能付きリモコン装置1を図に基づいて説明する。
本発明の一実施形態に係るインターホン機能付きリモコン装置1は、通常屋外に設置される給湯器2を遠隔操作する第一、第二のリモコン3、4に実装される装置である。
【0016】
リモコン3は台所に、リモコン4は浴室に設置されている。リモコン3、4は、図2に示すように、「ふろ自動」のスイッチ5及びこれを表示するランプ6、給湯温度の調節スイッチ7、8、運転スイッチ9、が設けられている。それと共に、リモコン3、4は、液晶、蛍光表示管、発光ダイオード等を用いて給湯温度、風呂の温度、運転状況等を表示する表示部10を備えている。
浴室側のリモコン4には更に、浴槽内のお湯のレベルを制御するお湯レベル設定のスイッチが設けられている。
【0017】
リモコン3、4には、それぞれ図3に示すようなインターホン装置11が設けられ、それぞれにCPU、RAM、ROM及びI/Oを備えた制御回路12を有している。ここで、リモコン3に設けられた構成要素には、符号の後にaの添字を付し、リモコン4に設けられた構成要素には、符号の後にbの添字を付して、必要な場合は区別する。
【0018】
ここで、図3に示す構成要素の接続構成について説明する。
リモコン3の制御回路12a及びリモコン4の制御回路12bは、給湯器系の通信線13によって電気的に接続されている。また、制御回路12と通信線13との間には変調回路14と復調回路15が並列となるように電気的に接続されている。記憶部121は、制御回路12と電気的に接続されている。
【0019】
リモコン3、4にそれぞれ設けられているインターホン装置11は、音声の入力を行うマイク16、音声を出すスピーカ17が設けられている。
マイク16はアンプ18と音声変調回路19とを介して通信線13に電気的に接続され、音声変調回路19は、搬送波周波数切換回路122を介して制御回路12と電気的に接続されている。
スピーカ17は、アンプ21と音声復調回路20とフィルタ26とを介して通信線13に電気的に接続され、音声復調回路20は制御回路12と電気的に接続されている。アンプ21は制御回路12と電気的に接続され、また、アンプ21は音声ガイダンス部25を介して制御回路12と電気的に接続されている。
通話スイッチ23は制御回路12と電気的に接続されている。通話ランプ24は制御回路12と電気的に接続されている。
【0020】
次に、図3に示す構成要素の個別の役割について説明する。
通信線13は、例えば2芯の信号線で、給湯器2とリモコン3とリモコン4とを電気的に接続し、各モジュール間での信号の伝搬に用いられる。
【0021】
変調回路14は、制御信号の送信時に用いられる変調回路で、制御回路12から変調回路14に入力された制御信号は変調回路14によって制御信号の搬送波に合わせた高周波信号に変調される。更に、変調された高周波信号は変調回路14から高周波信号として通信線13に出力される。
【0022】
復調回路15は、制御信号の受信時に用いられる復調回路で、通信線13から復調回路15に入力された高周波信号は復調回路15によって制御信号の搬送波に応じた復調を行うことで制御信号に復調される。そして、復調された制御信号は復調回路15から制御信号として制御回路12に出力される。
【0023】
記憶部121は、例えば制御回路12に設けられたROMで、制御回路12から記憶部121に入力された指示に従って、制御回路12から記憶部121に入力された所定のデータを保管する。記憶部121には、該所定のデータを複数保管できるように記憶部121の容量が定められている。また、記憶部121に保管された所定のデータは制御回路12から任意のタイミングで参照する事が可能となっている。
【0024】
マイク16は、入力された音声を音声信号に変換するマイクロフォンで、外部からマイク16に入力された音声はマイク16によって音声信号に変換され、変換された音声信号はマイク16から音声信号としてアンプ18に出力される。
【0025】
スピーカ17は、入力された音声信号を音声に変換する装置で、アンプ21からスピーカ17に入力された音声信号はスピーカ17によって音声に変換され、変換された音声はスピーカ17から音声として外部に出力される。
【0026】
アンプ18は、音声信号の入力時に用いられる増幅器で、マイク16からアンプ18に入力された音声信号はアンプ18によって増幅され、増幅された音声信号はアンプ18から音声信号として音声変調回路19に出力される。
【0027】
音声変調回路19は、音声信号の送信時に用いられる変調回路で、アンプ18から音声変調回路19に入力された音声信号は音声変調回路19によって音声信号の搬送波に合わせた高周波信号に変調される。更に、変調された高周波信号は音声変調回路19から高周波信号として通信線13に出力される。
ここで、音声変調回路19は、搬送波周波数切換回路122から音声変調回路19に入力される所定の信号によって音声変調回路19が変調に用いる音声信号の搬送波の周波数が決定される。
つまり、音声変調回路19は搬送波周波数切換回路122から音声変調回路19に入力される所定の信号を切り替えることで、音声変調回路19が変調に用いる搬送波の周波数を切り替え可能となっている。
【0028】
音声復調回路20は、音声信号の受信時に用いられる復調回路で、フィルタ26から音声復調回路20に入力された高周波信号は音声復調回路20によって音声信号の搬送波に応じた復調を行うことで音声信号に復調される。復調された音声信号は音声復調回路20から音声信号としてアンプ21に出力される。
【0029】
アンプ21は、音声信号の出力時に用いられる増幅器で、音声復調回路20からアンプ21に入力された音声信号はアンプ21によって増幅され、増幅された音声信号はアンプ21から音声信号としてスピーカ17に出力される。
【0030】
通話スイッチ23は、インターホン機能を起動するスイッチで、操作された信号は通話スイッチ23から制御回路12に出力される。
【0031】
通話ランプ24は、通話状態を示すランプで、制御回路12から通話ランプ24に入力された通話状態に応じた信号に応じて発光し、通話状態の表示が行われる。
【0032】
音声ガイダンス部25は、1または2以上の特定の音声メッセージを記録した音声ICで、制御回路12から音声ガイダンス部25に所定の信号が入力される。すると、音声ガイダンス部25は記録された音声メッセージの中から入力された所定の信号に応じた音声メッセージが選択され、選択された音声メッセージは音声ガイダンス部25から音声信号としてアンプ21に出力される。
【0033】
フィルタ26は、例えばバンドパスフィルタで、特定の周波数のみを通過させるフィルタ特性をもつ。通信線13からフィルタ26に入力された高周波信号がフィルタ26を通過する際、特定の周波数以外の周波数は不要な周波数成分として減衰される。特定の周波数のみとなった高周波信号が生成され、生成された特定の周波数のみとなった高周波信号は、フィルタ26から高周波信号として音声復調回路20に出力される。
【0034】
搬送波周波数切換回路122は、所定の信号を出力する例えば発振子で、制御回路12から搬送波周波数切換回路122に入力された指示に従って所定の信号が生成され、生成された所定の信号は搬送波周波数切換回路122から音声変調回路19に出力される。
【0035】
次に、図3に示す構成要素の本実施形態について説明する。
リモコン3の制御回路12a及びリモコン4の制御回路12bは、給湯器系の通信線13を伝搬する搬送波によって相互連携されている。
通信線13は、給湯器2とリモコン3とリモコン4とを電気的に接続し、制御信号の搬送波を用いた通信による制御信号の伝搬を行っている。また、通信線13は、音声信号の伝搬を行うインターホン機能に利用する事もでき、音声信号の搬送波を用いた通信による音声信号の伝搬を行っている。
【0036】
変調回路14は、制御回路12からの制御信号を制御信号の搬送波に合わせた高周波信号に変調し、変調された高周波信号は通信線13に送られる。
復調回路15は通信線13から受信した高周波信号を制御信号の搬送波に応じた復調を行うことで制御信号に復調しており、復調された制御信号は制御回路12に入力している。
【0037】
即ち、リモコン3の制御回路12aからリモコン4の制御回路12bへの制御信号の伝搬は、制御回路12aからの制御信号を変調回路14aによって高周波信号に変調して通信線13に送られる。制御回路12aから制御回路12bへの信号の受信は、送られる高周波信号を復調回路15bによって復調し、制御回路12bに入力している。
これによって、制御回路12a、12b内のCPUには同一の情報が入力され、両者が一体となって一つの動作をするようになっている。
【0038】
記憶部121は、制御回路12からの指示に従って、制御回路12の所定のデータを保管する。記憶部121には、制御回路12の所定のデータを複数保管できるように容量が定められている。また、制御回路12は、記憶部121に保管された所定のデータを任意のタイミングで参照する事が可能となっている。
【0039】
次にこのインターホン機能付きリモコン装置1の動作について説明する。
マイク16は音声を音声信号に変換し、変換された音声信号はアンプ18に入力される。
アンプ18はマイク16から入力した音声信号を変調に適したレベルになるように増幅し、増幅された音声信号は音声変調回路19に入力している。
音声変調回路19は、アンプ18からの音声信号を音声信号の搬送波に合わせた高周波信号に変調し、変調された高周波信号は通信線13に送られる。
【0040】
ここで、音声変調回路19は、搬送波周波数切換回路122からの所定の信号によって音声変調回路19が変調に用いる音声信号の搬送波の周波数が決定される。つまり、音声変調回路19は搬送波周波数切換回路122からの所定の信号を切り替えることで、音声変調回路19が変調に用いる搬送波の周波数を切り替えることができる。
搬送波周波数切換回路122は制御回路12からの指示に従って所定の信号を音声変調回路19に入力している。
【0041】
一方、通信線13から受信した高周波信号は、フィルタ26に入力される。フィルタ26に入力された高周波信号は、特定の周波数のみの高周波信号となって音声復調回路20に入力される。
音声復調回路20は、フィルタ26から入力した高周波信号を音声信号の搬送波に応じた復調を行うことで音声信号に復調し、復調された音声信号はアンプ21に入力している。
アンプ21は、音声復調回路20から入力した音声信号を増幅し、増幅された音声信号はスピーカ17によって音声に変換される。
【0042】
制御回路12には、音声変調回路19と音声復調回路20とが同時に作動しないように切換え回路(図示せず)が設けられている。リモコン3からリモコン4に音声を送る場合には、リモコン3の音声変調回路19a及びアンプ18aが作動状態、音声復調回路20a及びアンプ21aが非作動状態となっている。それと共に、リモコン4の音声復調回路20b及びアンプ21bが作動状態、音声変調回路19b及びアンプ18bが非作動状態となる。リモコン4からリモコン3に音声を送る場合には、リモコン4の音声変調回路19b及びアンプ18bが作動状態、音声復調回路20b及びアンプ21bが非作動状態となっている。それと共に、リモコン3の音声復調回路20a及びアンプ21aが作動状態、音声変調回路19a及びアンプ18aが非作動状態となるように制御している。
【0043】
これにより、リモコン3、4は、通信線13によって共同して作動する制御回路12a、12bによって、リモコン3、4間の通話状態を切り換えている。
なお、制御回路12aの制御信号の搬送波と音声信号の搬送波と、制御回路12bの制御信号の搬送波と音声信号の搬送波とはそれぞれ、その周波数を変えている。
【0044】
また、インターホン装置11にはインターホン機能を起動する通話スイッチ23を有し、この通話スイッチ23を操作した信号が制御回路12に入力されることによって、音声信号通信を行うインターホン機能を起動する。
【0045】
このとき、制御回路12は、インターホン機能を起動する場合、制御回路12は、所定の信号によって、インターホン機能の起動要求の制御信号を通信線13を介して給湯器2側の制御回路に送信する。また、給湯器2側の制御回路は制御回路12からインターホン機能の起動要求の制御信号を受信したら、所定の信号によって、インターホン機能の起動指示の制御信号を通信線13を介して制御回路12に送信する。それと共に、給湯器2側の制御回路は制御信号の伝搬を停止する。
【0046】
一方、制御回路12は、インターホン機能を停止する場合、制御回路12は、所定の信号によって、インターホン機能の停止要求の制御信号を通信線13を介して給湯器2側の制御回路に送信する。また、給湯器2側の制御回路は制御回路12からインターホン機能の停止要求の制御信号を受信したら、所定の信号によって、インターホン機能の停止指示の制御信号を通信線13を介して制御回路12に送信する。それと共に、給湯器2側の制御回路は制御信号の伝搬を開始する。
【0047】
そして、インターホン装置11は、通話状態を示す通話ランプ24を備え、制御回路12からの所定の信号によって、連続点灯または断続点灯(点滅点灯)を行うようになっている。
また、リモコン3、4は音声ガイダンス部25が設けられている。制御回路12は給湯器2側の制御回路からのインターホン機能の起動指示により音声ガイダンス部25に所定の信号を送信する。音声ガイダンス部25は制御回路12から所定の信号を受信するとインターホン機能の起動を示す音声信号をアンプ21に出力する。
【0048】
このアンプ21には前述のように、音声復調回路20によって復調された音声信号も入力されるが、音声ガイダンス部25からの信号がある場合、音声復調回路20からの音声信号はその入力信号レベルが下がる。
その結果として、音声ガイダンス部25からの音声はスピーカ17から通常の音声レベルで発声されるが、音声復調回路20を通過する音声信号は少し小さいレベルでスピーカ17から発声されるようになっている。
即ち、インターホン装置11は、通話音と音声ガイダンス部25からの音声をミキシングして発声することになる。
【0049】
次にこのインターホン機能付きリモコン装置1のインターホン機能では、リモコン4はリモコン3からの変調された音声信号を音声として復調し、復調した信号から、音声出力を行う。この時、搬送波周波数に合わせたフィルタ特性をもつ、フィルタ26が設けられ、図4に示すように、特定の周波数を残して、不要な周波数帯域の信号を減衰させる処理が行われる。
【0050】
しかしながら、図5に示すような、フィルタ26のバラつきによって、フィルタ26のフィルタ特性にバラつきが生じることで、必要な周波数帯域の信号が減衰されてしまう場合がある。
【0051】
この時、減衰された信号がアンプ21によって増幅されてスピーカ17によって変換された音声は所望の音量よりも小さく、アンプ21の増幅率を過剰にして音量を補正する必要がある。音量を調節するためにアンプ21の増幅率を過剰にした場合、音割れや、ノイズの増加などが生じ、通話品質が低下することとなる。
【0052】
そこで、この発明の一実施形態では、図6に示すように、音声変調回路19の搬送波周波数を調整する搬送波周波数切換回路122の自動調整を行う自動調整手段27を設けた。このことによって、フィルタ26のフィルタ特性にバラつきが生じた場合であっても、フィルタ26のフィルタ特性に合った搬送波周波数に調整できるため、必要な周波数帯域の信号が減衰されずに、良好な通話品質を実現できる。
【0053】
詳しくは、自動調整手段27は、図6に示すように、リモコン3からリモコン4へ所定の音声信号を第一の搬送波周波数で送信する(ステップS101)。リモコン4はリモコン3からの変調された音声信号を音声として復調し(ステップS102)、復調した信号から、所定の音声信号を検知できるかの判断を行う(ステップS103)。このとき、リモコン4は所定の音声信号を検知できた場合、記憶部121bに受信可能な周波数として記憶し所定の音声信号を検知できなかった場合は周波数の記憶を行わない(ステップS104)判定処理を行う。次に、リモコン3は、ステップS104の判定結果にかかわらず、搬送波周波数を第一の周波数から変化させ(ステップS105)、ステップS101から同様の判定処理を行う。リモコン3は、所定の範囲の搬送波周波数の確認が完了したら(ステップS106)、リモコン4の記憶部121bに記憶した受信可能な周波数を通信線13を介して参照し、最小値Aと最大値Bを確定する(ステップS107)。リモコン3の搬送波周波数は(A―B)/2+A=Cの関係を用いて最小値Aと最大値Bの中心値Cとなるように搬送波周波数切換回路122aを自動設定する(ステップS108)。
【0054】
このことにより、図7に示すように、フィルタ26bのフィルタ特性に合わせた搬送波周波数の自動設定が可能となり、必要な周波数帯域の信号が減衰されずに、調整者の技量や、部品のバラつきに関係なく、良好な通話品質を実現できる。
【0055】
また、自動調整手段27は、通信線13を介して接続されるリモコン3、4を設置した後に、リモコン3、4の所定のスイッチ操作によって開始する。これにより、リモコン3、4それぞれの電気的バラつきや、配線部材、配線長、配線方法等の施工によるバラつきの影響で発生する通信回路全体の周波数特性の変化に関係なく、設置環境に合わせた搬送波周波数の自動設定が可能となる。このことにより、必要な周波数帯域の信号が減衰されずに、良好な通話品質を実現できる。
【0056】
ここまで説明した、この発明の一実施形態では、ステップS104において受信可能な周波数をリモコン4の記憶部121bに記憶したが、受信可能な周波数は記憶部121b以外に記憶しても良い。ここでは、リモコン3はステップS104における記憶値をステップS107で参照できれば良い。例えば、図示は省略するが、リモコン4はステップS104で受信可能な周波数を通信線13を介してリモコン3に送信し、リモコン3はステップS104で受信した受信可能な周波数を同ステップS104でリモコン3の記憶部121aに記憶する。その場合、ステップS107においてリモコン3は、リモコン3の記憶部121aに記憶した受信可能な周波数を参照して最小値Aと最大値Bを確定することにより、同様な効果を得られるものである。
【0057】
また、ここまで説明した、この発明の一実施形態では、主にリモコン3を送信側、リモコン4を受信側のリモコンとして説明したが、リモコン3、4の送受信を逆にした場合であってもどうような効果を得られるものである。リモコン3、4の送受信を逆にした場合の説明は省略する。
【0058】
また、ここまで説明した、この発明の一実施形態では、主にリモコン3、4のリモコン2台のみによる構成で説明したが、3台以上のリモコンが接続された場合であっても良いものである。
【0059】
また、ここまで説明した、この発明の一実施形態では、自動調整手段27は、通信線13を介して接続されるリモコン3、4を設置した後に、行われれば良い。例えば、リモコン3、4の所定のスイッチ操作を必要とせずに自動調整手段27が行われても、同様な効果が得られるものである。
【符号の説明】
【0060】
3 リモコン
4 リモコン
5 スイッチ
12 制御回路(制御部)
122 搬送波周波数切換回路
13 通信線
16 マイク
17 スピーカ
19 音声変調回路
20 音声復調回路
23 通話スイッチ
26 フィルタ(バンドパスフィルタ)
27 自動調整手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7