(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】海外支払業務支援装置、海外支払業務支援方法および海外支払業務支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20240919BHJP
【FI】
G06Q20/38
(21)【出願番号】P 2021113764
(22)【出願日】2021-07-08
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出 玲也
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-92447(JP,A)
【文献】特開2011-95920(JP,A)
【文献】特開2012-27516(JP,A)
【文献】特開2019-204307(JP,A)
【文献】特開2018-41321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部および記憶部を備え、海外の支払先への支払業務を支援する海外支払業務支援装置であって、
前記記憶部には、
前記支払先を識別するための支払先識別データと、支払方法を識別するための支払方法識別データと、前記支払先からの商品または役務の仕入時の計上レートである仕入時計上レートと、前記支払先への外貨による支払金額である外貨金額と、を含む支払予定データと、
予約為替を識別するための予約為替識別データと、為替予約時のレートである予約レートと、を含む為替予約データと、
が格納されており、
前記制御部は、支払データ生成手段、送金データ生成手段および支払データ更新手段を備え、
(1)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、外貨による海外送金時に支払に用いるレートが確定する支払方法を意味する区分であるスポットレート区分である場合、
前記支払データ生成手段は、前記スポットレート区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記送金データ生成手段は、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む、海外送金を国内取引銀行に依頼するためのデータである海外送金依頼用データを生成し、
前記支払データ更新手段は、前記生成された海外送金依頼用データに基づいて前記国内取引銀行が行った海外送金の際に用いたレートを、支払時の計上レートである支払時計上レートとして前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、
(2)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、予約為替を用いる支払方法を意味する区分である予約為替区分である場合、
前記支払データ生成手段は、前記予約為替区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記支払データ更新手段は、前記為替予約データから、指定された予約為替識別データと紐付く予約レートを取得し、当該指定された予約為替識別データおよび前記支払時計上レートとしての当該取得した予約レートを、前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、
前記送金データ生成手段は、前記予約為替識別データを含む前記更新された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、
を特徴とする海外支払業務支援装置。
【請求項2】
(3)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、自社の保有する外貨預金を用いる支払方法を意味する区分である外貨預金区分である場合、
前記支払データ生成手段は、前記外貨預金区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記送金データ生成手段は、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成し、
前記支払データ更新手段は、前記外貨預金区分を有する前記支払予定データ中の前記仕入時計上レートと同じレートを、前記支払時計上レートとして前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、
または、
前記支払データ生成手段は、前記外貨預金区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記支払データ更新手段は、前記外貨預金区分を有する前記支払予定データ中の前記仕入時計上レートと同じレートを、前記支払時計上レートとして前記支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、
前記送金データ生成手段は、前記更新された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の海外支払業務支援装置。
【請求項3】
(4)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、邦貨を用いる支払方法を意味する区分である邦貨区分である場合、
前記支払データ生成手段は、前記邦貨区分と、邦貨金額と、を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記邦貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記送金データ生成手段は、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記邦貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、
を特徴とする請求項1または2に記載の海外支払業務支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記外貨金額に前記仕入時計上レートを乗じることにより、仕入時の邦貨金額である仕入時邦貨金額を算出し、一方で、前記外貨金額に前記支払時計上レートを乗じることにより、支払時の邦貨金額である支払時邦貨金額を算出し、当該算出した仕入時邦貨金額と当該算出した支払時邦貨金額の差額を為替差損益として算出する損益算出手段
を更に備えること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の海外支払業務支援装置。
【請求項5】
制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される、海外の支払先への支払業務を支援する海外支払業務支援方法であって、
前記記憶部には、
前記支払先を識別するための支払先識別データと、支払方法を識別するための支払方法識別データと、前記支払先からの商品または役務の仕入時の計上レートである仕入時計上レートと、前記支払先への外貨による支払金額である外貨金額と、を含む支払予定データと、
予約為替を識別するための予約為替識別データと、為替予約時のレートである予約レートと、を含む為替予約データと、
が格納されており、
前記制御部で実行される、支払データ生成ステップ、送金データ生成ステップおよび支払データ更新ステップを含み、
(1)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、外貨による海外送金時に支払に用いるレートが確定する支払方法を意味する区分であるスポットレート区分である場合、
前記支払データ生成ステップは、前記スポットレート区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記送金データ生成ステップは、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む、海外送金を国内取引銀行に依頼するためのデータである海外送金依頼用データを生成し、
前記支払データ更新ステップは、前記生成された海外送金依頼用データに基づいて前記国内取引銀行が行った海外送金の際に用いたレートを、支払時の計上レートである支払時計上レートとして前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、
(2)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、予約為替を用いる支払方法を意味する区分である予約為替区分である場合、
前記支払データ生成ステップは、前記予約為替区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記支払データ更新ステップは、前記為替予約データから、指定された予約為替識別データと紐付く予約レートを取得し、当該指定された予約為替識別データおよび前記支払時計上レートとしての当該取得した予約レートを、前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、
前記送金データ生成ステップは、前記予約為替識別データを含む前記更新された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、
を特徴とする海外支払業務支援方法。
【請求項6】
制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための、海外の支払先への支払業務を支援する海外支払業務支援プログラムであって、
前記記憶部には、
前記支払先を識別するための支払先識別データと、支払方法を識別するための支払方法識別データと、前記支払先からの商品または役務の仕入時の計上レートである仕入時計上レートと、前記支払先への外貨による支払金額である外貨金額と、を含む支払予定データと、
予約為替を識別するための予約為替識別データと、為替予約時のレートである予約レートと、を含む為替予約データと、
が格納されており、
前記制御部に実行させるための、支払データ生成ステップ、送金データ生成ステップおよび支払データ更新ステップを含み、
(1)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、外貨による海外送金時に支払に用いるレートが確定する支払方法を意味する区分であるスポットレート区分である場合、
前記支払データ生成ステップは、前記スポットレート区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記送金データ生成ステップは、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む、海外送金を国内取引銀行に依頼するためのデータである海外送金依頼用データを生成し、
前記支払データ更新ステップは、前記生成された海外送金依頼用データに基づいて前記国内取引銀行が行った海外送金の際に用いたレートを、支払時の計上レートである支払時計上レートとして前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、
(2)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、予約為替を用いる支払方法を意味する区分である予約為替区分である場合、
前記支払データ生成ステップは、前記予約為替区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、
前記支払データ更新ステップは、前記為替予約データから、指定された予約為替識別データと紐付く予約レートを取得し、当該指定された予約為替識別データおよび前記支払時計上レートとしての当該取得した予約レートを、前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、
前記送金データ生成ステップは、前記予約為替識別データを含む前記更新された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、
を特徴とする海外支払業務支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海外支払業務支援装置、海外支払業務支援方法および海外支払業務支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、国際取引における為替変動リスクを効果的に回避し、手数料を安価にすることができる通貨両替装置及び通貨両替方法が開示されている(特許文献1の0007段落参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように国際取引を行う場合においては、支払方法(スポットレート支払いおよび為替予約による支払い等)毎に異なる順序で業務フローを流すこととなり、また、支払時に用いるレートも異なる。
【0005】
例えば、スポットレート支払の場合、支払決済入力、海外送金データ出力および支払レート確定入力という順序で業務フローが進み、支払レートは、国内取引銀行が海外送金を行った際に用いたレートとなる。これに対して、為替予約による支払いの場合、支払決済入力、支払レート確定入力および海外送金データ出力という順序で業務フローが進み、支払レートは、予約した為替についての予約レートとなる。
【0006】
このように、支払方法毎に異なる手順の業務フローおよび支払方法毎に異なる支払レートを、人的に制御するとミス発生の要因になり、業務効率も悪くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、海外の支払先への支払方法毎に異なる手順の業務フローおよび海外の支払先への支払方法毎に異なる支払レートを制御することにより、海外の支払先への支払業務を支援することができる海外支払業務支援装置、海外支払業務支援方法および海外支払業務支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る海外支払業務支援装置においては、制御部および記憶部を備え、海外の支払先への支払業務を支援する海外支払業務支援装置であって、前記記憶部には、前記支払先を識別するための支払先識別データと、支払方法を識別するための支払方法識別データと、前記支払先からの商品または役務の仕入時の計上レートである仕入時計上レートと、前記支払先への外貨による支払金額である外貨金額と、を含む支払予定データと、予約為替を識別するための予約為替識別データと、為替予約時のレートである予約レートと、を含む為替予約データと、が格納されており、前記制御部は、支払データ生成手段、送金データ生成手段および支払データ更新手段を備え、(1)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、外貨による海外送金時に支払に用いるレートが確定する支払方法を意味する区分であるスポットレート区分である場合、前記支払データ生成手段は、前記スポットレート区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、前記送金データ生成手段は、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む、海外送金を国内取引銀行に依頼するためのデータである海外送金依頼用データを生成し、前記支払データ更新手段は、前記生成された海外送金依頼用データに基づいて前記国内取引銀行が行った海外送金の際に用いたレートを、支払時の計上レートである支払時計上レートとして前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、(2)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、予約為替を用いる支払方法を意味する区分である予約為替区分である場合、前記支払データ生成手段は、前記予約為替区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、前記支払データ更新手段は、前記為替予約データから、指定された予約為替識別データと紐付く予約レートを取得し、当該指定された予約為替識別データおよび前記支払時計上レートとしての当該取得した予約レートを、前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、前記送金データ生成手段は、前記予約為替識別データを含む前記更新された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る海外支払業務支援装置においては、(3)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、自社の保有する外貨預金を用いる支払方法を意味する区分である外貨預金区分である場合、前記支払データ生成手段は、前記外貨預金区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、前記送金データ生成手段は、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成し、前記支払データ更新手段は、前記外貨預金区分を有する前記支払予定データ中の前記仕入時計上レートと同じレートを、前記支払時計上レートとして前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、または、前記支払データ生成手段は、前記外貨預金区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、前記支払データ更新手段は、前記外貨預金区分を有する前記支払予定データ中の前記仕入時計上レートと同じレートを、前記支払時計上レートとして前記支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、前記送金データ生成手段は、前記更新された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る海外支払業務支援装置においては、(4)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、邦貨を用いる支払方法を意味する区分である邦貨区分である場合、前記支払データ生成手段は、前記邦貨区分と、邦貨金額と、を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記邦貨金額と、を含む支払データを生成し、前記送金データ生成手段は、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記邦貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る海外支払業務支援装置においては、前記制御部は、前記外貨金額に前記仕入時計上レートを乗じることにより、仕入時の邦貨金額である仕入時邦貨金額を算出し、一方で、前記外貨金額に前記支払時計上レートを乗じることにより、支払時の邦貨金額である支払時邦貨金額を算出し、当該算出した仕入時邦貨金額と当該算出した支払時邦貨金額の差額を為替差損益として算出する損益算出手段を更に備えること、を特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る海外支払業務支援方法においては、制御部および記憶部を備える情報処理装置で実行される、海外の支払先への支払業務を支援する海外支払業務支援方法であって、前記記憶部には、前記支払先を識別するための支払先識別データと、支払方法を識別するための支払方法識別データと、前記支払先からの商品または役務の仕入時の計上レートである仕入時計上レートと、前記支払先への外貨による支払金額である外貨金額と、を含む支払予定データと、予約為替を識別するための予約為替識別データと、為替予約時のレートである予約レートと、を含む為替予約データと、が格納されており、前記制御部で実行される、支払データ生成ステップ、送金データ生成ステップおよび支払データ更新ステップを含み、(1)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、外貨による海外送金時に支払に用いるレートが確定する支払方法を意味する区分であるスポットレート区分である場合、前記支払データ生成ステップは、前記スポットレート区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、前記送金データ生成ステップは、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む、海外送金を国内取引銀行に依頼するためのデータである海外送金依頼用データを生成し、前記支払データ更新ステップは、前記生成された海外送金依頼用データに基づいて前記国内取引銀行が行った海外送金の際に用いたレートを、支払時の計上レートである支払時計上レートとして前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、(2)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、予約為替を用いる支払方法を意味する区分である予約為替区分である場合、前記支払データ生成ステップは、前記予約為替区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、前記支払データ更新ステップは、前記為替予約データから、指定された予約為替識別データと紐付く予約レートを取得し、当該指定された予約為替識別データおよび前記支払時計上レートとしての当該取得した予約レートを、前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、前記送金データ生成ステップは、前記予約為替識別データを含む前記更新された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る海外支払業務支援ログラムにおいては、制御部および記憶部を備える情報処理装置に実行させるための、海外の支払先への支払業務を支援する海外支払業務支援プログラムであって、前記記憶部には、前記支払先を識別するための支払先識別データと、支払方法を識別するための支払方法識別データと、前記支払先からの商品または役務の仕入時の計上レートである仕入時計上レートと、前記支払先への外貨による支払金額である外貨金額と、を含む支払予定データと、予約為替を識別するための予約為替識別データと、為替予約時のレートである予約レートと、を含む為替予約データと、が格納されており、前記制御部に実行させるための、支払データ生成ステップ、送金データ生成ステップおよび支払データ更新ステップを含み、(1)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、外貨による海外送金時に支払に用いるレートが確定する支払方法を意味する区分であるスポットレート区分である場合、前記支払データ生成ステップは、前記スポットレート区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、前記送金データ生成ステップは、前記生成された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む、海外送金を国内取引銀行に依頼するためのデータである海外送金依頼用データを生成し、前記支払データ更新ステップは、前記生成された海外送金依頼用データに基づいて前記国内取引銀行が行った海外送金の際に用いたレートを、支払時の計上レートである支払時計上レートとして前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、(2)前記支払予定データ中の前記支払方法識別データが、予約為替を用いる支払方法を意味する区分である予約為替区分である場合、前記支払データ生成ステップは、前記予約為替区分を有する前記支払予定データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データを生成し、前記支払データ更新ステップは、前記為替予約データから、指定された予約為替識別データと紐付く予約レートを取得し、当該指定された予約為替識別データおよび前記支払時計上レートとしての当該取得した予約レートを、前記生成された支払データに格納することにより、前記生成された支払データを更新し、前記送金データ生成ステップは、前記予約為替識別データを含む前記更新された支払データに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む前記海外送金依頼用データを生成すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、海外の支払先への支払方法毎に異なる手順の業務フローおよび海外の支払先への支払方法毎に異なる支払レートを制御することにより、海外の支払先への支払業務を支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、海外支払業務支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、外貨預金データの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、為替予約データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、金種別支払予定データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、出金支払先別支払予定表の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、為替予約残高一覧表の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、支払方法および決済口座の変更前における支払方法変更入力一覧画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、支払方法および決済口座の変更後における支払方法変更入力一覧画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、支払方法および決済口座の変更後における金種別支払予定データの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、支払方法が「1:スポット」である場合における支払決済入力の処理の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、支払方法が「1:スポット」である場合における海外送金データ出力の処理の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、支払方法が「1:スポット」である場合における支払レート確定入力の処理の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、支払方法が「2:為替予約」である場合における支払決済入力の処理の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、支払方法が「2:為替予約」である場合における支払レート確定入力の処理の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、支払方法が「2:為替予約」である場合における海外送金データ出力の処理の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、支払方法が「3:外貨預金」である場合における支払決済入力の処理の一例を示す図である。
【
図19】
図19は、支払方法が「3:外貨預金」である場合における海外送金データ出力の処理の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、支払方法が「3:外貨預金」である場合における支払レート確定入力の処理の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、支払方法が「4:邦貨」である場合における支払決済入力の処理の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、支払方法が「4:邦貨」である場合における海外送金データ出力の処理の一例を示す図である。
【
図23】
図23は、支払方法マスタおよび通貨マスタの一例を示す図である。
【
図24】
図24は、決済口座マスタおよび支払先マスタの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る海外支払業務支援装置、海外支払業務支援方法および海外支払業務支援プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
海外取引先に対して支払を行う場合、銀行の仕向送金サービスを利用してシステム支払を行うことが多い。経理業務の中では、仕向送金サービスにデータを登録するまでの間にレート、為替予約および資金繰り等を踏まえた経理的な決済判断を伴う。
【0018】
しかしながら、従来においては、レート判断をシステム外で管理し、支払決済金額をシステム入力するだけに留まっていた。また、従来においては、海外送金の仕組み自体は銀行からサービスが提供されていたが、自社の預金残高および為替の変動状況を踏まえて、最適な決済手段を提案することはできていなかった。
【0019】
そこで、本実施形態においては、決済判断に関わる情報を統合的にシステム管理できるようにした。具体的には、支払予定、為替予約、預金残高およびレート等の送金指示のもととなる情報を保持し、送金判断に資する形式で出力し、支払判断時に活用できるようにした。また、発生し得るレート種類ごとの金種およびレートをシステムで管理し、金種ごとに異なる業務フローを管理できるようにした。そして、海外送金にまつわる一連の情報をマスタ管理およびデータ管理することで、送金指示結果を閲覧および分析できるようにした。要するに、本実施形態においては、海外送金の際に、決済方法に応じたレート決定および決済方法毎の業務の流れに沿った運用フローの決定をできるようにした。以下、具体的な構成および動作について説明する。
【0020】
[2.構成]
本実施形態に係る海外支払業務支援装置100の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、海外支払業務支援装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
海外支払業務支援装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、海外支払業務支援装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0022】
海外支払業務支援装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。海外支払業務支援装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0023】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、海外支払業務支援装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、海外支払業務支援装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する各種マスタ等のデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0024】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0025】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0026】
記憶部106は、例えば、外貨預金データ106aと、為替予約データ106bと、仕入データ106cと、支払予定データとしての金種別支払予定データ106dと、支払データ106eと、海外送金依頼用データとしての海外送金データ106fと、支払方法マスタ106gと、通貨マスタ106hと、決済口座マスタ106iと、支払先マスタ106jと、を備えている。
【0027】
各種データ(外貨預金データ106a~海外送金データ106f)の内容の詳細は、以下の[3-1]~[3-6]で説明する。また、各種マスタ(支払方法マスタ106g~支払先マスタ106j)の内容の詳細は、以下の[3-7]で説明する。
【0028】
制御部102は、海外支払業務支援装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0029】
制御部102は、機能概念的に、例えば、支払データ生成手段としての支払データ生成部102aと、送金データ生成手段としての送金データ生成部102bと、損益算出手段としての損益算出部102cと、支払データ更新手段としての支払データ更新部102dと、を備えている。
【0030】
以下、前記支払方法識別データ(支払方法)の種類毎に(1)~(4)に場合分けして、処理を説明する。
【0031】
(1)支払方法が、スポットレートを用いた支払いである場合
金種別支払予定データ106d(
図11参照)中の前記支払方法識別データが、外貨による海外送金時に支払に用いるレートが確定する支払方法を意味する区分であるスポットレート区分(「1:スポット」の区分)である場合、支払データ生成部102a、送金データ生成部102bおよび支払データ更新部102dは、以下の処理を実行する。
【0032】
(支払決済入力)
支払データ生成部102aは、前記スポットレート区分を有する金種別支払予定データ106d(
図12参照)に基づいて、支払先識別データと、外貨金額と、を含む支払データ106e(
図12参照)を生成する。
【0033】
(海外送金データ出力)
送金データ生成部102bは、前記生成された支払データ106e(
図12参照)に基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む海外送金データ106f(
図13参照)を生成する。
【0034】
(支払レート確定入力)
支払データ更新部102dは、前記生成された海外送金データ106f(
図13参照)に基づいて前記国内取引銀行が行った海外送金の際に用いたレートを、支払時の計上レートである支払時計上レートとして前記生成された支払データ106e(
図12参照)に格納することにより、前記生成された支払データ106eを更新する(
図14参照)。
【0035】
このように、本実施形態に係る海外支払業務支援装置100によれば、スポットレート支払の場合、支払決済入力、海外送金データ出力および支払レート確定入力という順序で業務フローが進み、かつ、前記支払時計上レートが、国内取引銀行が海外送金を行った際に用いたレートとなるように制御することができる。
【0036】
(2)支払方法が、予約為替を用いた支払いである場合
金種別支払予定データ106d(
図11参照)中の前記支払方法識別データが、予約為替を用いる支払方法を意味する区分である予約為替区分(「2:為替予約」の区分)である場合、支払データ生成部102a、送金データ生成部102bおよび支払データ更新部102dは、以下の処理を実行する。
【0037】
(支払決済入力)
支払データ生成部102aは、前記予約為替区分を有する金種別支払予定データ106d(
図15参照)に基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データ106e(
図15参照)を生成する。
【0038】
(支払レート確定入力)
支払データ更新部102dは、為替予約データ106b(
図3参照)から、指定された予約為替識別データ(予約番号)と紐付く予約レートを取得し、当該指定された予約為替識別データおよび前記支払時計上レートとしての当該取得した予約レートを、前記生成された支払データ106e(
図15参照)に格納することにより、前記生成された支払データ106eを更新する(
図16参照)。
【0039】
(海外送金データ出力)
送金データ生成部102bは、前記予約為替識別データ(予約番号)を含む前記更新された支払データ106e(
図16参照)に基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む海外送金データ106f(
図17参照)を生成する。
【0040】
このように、本実施形態に係る海外支払業務支援装置100によれば、為替予約による支払いの場合、支払決済入力、支払レート確定入力および海外送金データ出力という順序で業務フローが進み、かつ、前記支払時計上レートが、予約した為替についての予約レートとなるように制御することができる。
【0041】
(3)支払方法が、外貨預金を用いた支払いである場合
金種別支払予定データ106d(
図11参照)中の前記支払方法識別データが、自社の保有する外貨預金を用いる支払方法を意味する区分である外貨預金区分(「3:外貨預金」の区分)である場合、支払データ生成部102a、送金データ生成部102bおよび支払データ更新部102dは、以下の(3-1)または(3-2)の処理を実行する。
【0042】
(3-1)支払決済入力→海外送金データ出力→支払レート確定入力という順序の場合
(支払決済入力)
支払データ生成部102aは、前記外貨預金区分を有する金種別支払予定データ106d(
図18参照)に基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データ106e(
図18参照)を生成する。
【0043】
(海外送金データ出力)
送金データ生成部102bは、前記生成された支払データ106e(
図18参照)に基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む海外送金データ106f(
図19参照)を生成する。
【0044】
(支払レート確定入力)
支払データ更新部102dは、前記外貨預金区分を有する金種別支払予定データ106d(
図18参照)中の仕入時計上レートと同じレートを、前記支払時計上レートとして前記生成された支払データ106e(
図18参照)に格納することにより、前記生成された支払データ106eを更新する(
図20参照)。
【0045】
(3-2)支払決済入力→支払レート確定入力→海外送金データ出力という順序の場合
(支払決済入力)
支払データ生成部102aは、前記外貨預金区分を有する金種別支払予定データ106dに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、を含む支払データ106eを生成する。
【0046】
(支払レート確定入力)
支払データ更新部102dは、前記外貨預金区分を有する金種別支払予定データ106d中の前記仕入時計上レートと同じレートを、前記支払時計上レートとして前記支払データ106eに格納することにより、前記生成された支払データ106eを更新する。
【0047】
(海外送金データ出力)
送金データ生成部102bは、前記更新された支払データ106eに基づいて、前記支払先識別データと、前記外貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む海外送金データ106fを生成する。
【0048】
このように、本実施形態に係る海外支払業務支援装置100によれば、外貨預金による支払いの場合、支払決済入力、海外送金データ出力および支払レート確定入力という順序、または、支払決済入力、支払レート確定入力および海外送金データ出力という順序で業務フローが進み、前記支払時計上レートが、前記仕入時計上レートと同じレートとなるように制御することができる。
【0049】
(4)支払方法が、邦貨を用いた支払いである場合
金種別支払予定データ106d(
図11参照)中の前記支払方法識別データが、邦貨を用いる支払方法を意味する区分である邦貨区分(「4:邦貨」の区分)である場合、支払データ生成部102aおよび送金データ生成部102bは、以下の処理を実行する。
【0050】
(支払決済入力)
支払データ生成部102aは、前記邦貨区分を有する金種別支払予定データ106d(
図21参照)に基づいて、前記支払先識別データと、邦貨金額と、を含む支払データ106e(
図21参照)を生成する。
【0051】
(海外送金データ出力)
送金データ生成部102bは、前記生成された支払データ106e(
図21参照)に基づいて、前記支払先識別データと、前記邦貨金額と、入力された海外の送金先情報と、を含む海外送金データ106f(
図22参照)を生成する。
【0052】
このように、本実施形態に係る海外支払業務支援装置100によれば、邦貨による支払いの場合、支払決済入力および海外送金データ出力という順序で業務フローが進むように制御することができる。なお、邦貨による支払の場合、当然のことながら、前記仕入時計上レートおよび前記支払時計上レートについての考慮は不要である。
【0053】
[3.処理の具体例]
本項目では、本実施形態に係る処理の具体例を説明する。
【0054】
[3-1.残高データの発生]
日常業務の中では、各種残高が発生する。海外送金の対象となる残高としては、以下で説明するように、自社の外貨預金残高を管理する外貨預金データ106aおよび自社の為替予約残高を管理する為替予約データ106bが存在する。
【0055】
外貨預金データ106aは、
図2に示すように、例えば、自社の外貨預金残高を管理する口座を識別するための口座識別データ(決済口座)と、前記口座の種類を識別するための口座種類識別データ(科目)と、通貨の種類を識別するための通貨種類識別データ(通貨)と、前月における前記外貨預金残高(前月残高)と、当月における前記外貨預金残高(当月残高)と、等を含む。
【0056】
為替予約データ106bは、
図3に示すように、例えば、予約伝票番号と、予約為替を識別するための予約為替識別データ(予約番号)と、為替予約時のレートである予約レート(予約レート)と、予約金額と、予約残高と、等を含む。
【0057】
[3-2.海外送金の対象となる支払予定の発生]
仕入入力により、仕入に伴う債務情報、つまり支払予定額が登録されることで、仕入データ106cが生成される。
【0058】
仕入データ106cは、
図4に示すように、例えば、各仕入を識別するための仕入識別データ(仕入No)と、海外の支払先を識別するための支払先識別データ(支払先)と、支払方法を識別するための支払方法識別データ(支払方法)と、支払予定日と、前記通貨種類識別データ(通貨)と、前記支払先からの商品または役務の仕入時の計上レートである仕入時計上レート(計上レート)と、自社の決済口座(決済口座)と、前記支払先への外貨による支払金額である外貨金額(外貨金額)と、仕入時の邦貨金額である仕入時邦貨金額(邦貨金額)と、等を含む。前記支払方法識別データ(支払方法)の種類は、以下の[3-5]で詳細に説明するが、仕入計上時点においては支払金種は未定のため、
図4に示すように、便宜上の仮の区分である「9:海外送金」が設定される。なお、本実施形態において、「金種」と「支払方法」は同義である。
【0059】
[3-3.外貨金額の集計]
続いて、支払方法確定処理により、支払先および支払予定日別の支払予定金額が算出されることで、金種別支払予定データ106dが生成される。具体的には、
図4の仕入データ106c中の仕入No:SI0001およびSI0002の2明細は、ともに、支払先「SIH001:○○Co.,Ltd」および支払予定日「2021/4/30」であるため、
図5の金種別支払予定データ106d中の金種別支払予定No:KI0001の明細へと集約される。当該集約先の明細中の外貨金額である160.21は、集約元の前記2明細中の外貨金額である55.20および105.01が集計された値である。
【0060】
金種別支払予定データ106dは、
図5に示すように、例えば、各支払予定を識別するための支払予定識別データ(金種別支払予定No)と、前記支払先識別データ(支払先)と、前記通貨種類識別データ(通貨)と、前記支払予定日と、前記支払方法識別データ(支払方法)と、前記自社の決済口座(決済口座)と、前記仕入時計上レート(計上レート)と、仕入データ106c中の前記外貨金額を支払先および支払予定日別に集計した後の外貨金額(外貨金額)と、仕入データ106c中の前記邦貨金額を支払先および支払予定日別に集計した後の邦貨金額(
図5の最下行の明細における「14,000」)と、等を含む。
【0061】
[3-4.金種判断情報の出力]
続いて、以下の[3-5]において支払方法を判断する際に参照可能な以下の3つの帳票が出力される。
【0062】
一つ目は、
図6に示す出金支払先別支払予定表である。この表は、支払先および支払予定日の組合せ毎に、支払予定金額をまとめた表である。振込手数料金額は海外送金の場合は発生しないため、
図6においては、振込手数料金額はすべて0円となっている。なお、国内送金の場合には、振込元銀行と振込先銀行の関係性(同行か他行か等)から振込手数料金額が自動算出される。
【0063】
二つ目は、
図7に示す為替予約残高一覧表である。この表は、[3-1]で説明した
図3の為替予約データ106bを帳票として出力したものである。為替予約残高一覧表により、為替予約の残高を一覧で確認することが可能である。
【0064】
三つ目は、
図8に示す外貨残高表である。この表は、[3-1]で説明した
図3の外貨預金データ106aを、帳票として口座別に出力したものである。外貨残高表により、口座別の外貨残高を一覧で確認することが可能である。
【0065】
[3-5.支払金種の指定]
続いて、支払方法変更入力により、海外送金方法別の支払金額が指定される。
【0066】
具体的には、まず、
図9の<支払方法変更入力一覧画面 変更前>に示すように、当該画面のヘッダ部において抽出条件として指定された出金支払先、支払予定日および支払方法を満たす明細が、
図5の金種別支払予定データ106dから抽出されて、当該画面の明細部に表示される。
【0067】
次に、当該明細部に表示された明細中の支払方法および決済口座が、
図10の<支払方法変更入力一覧画面 変更後>に示すように、オペレータにより変更される。オペレータは、[3-4]において出力された3つの帳票を参照することで、当該変更の作業を正確かつ効率的に行うことができる。当該変更が完了すると、金種別支払予定データ106dは、
図11に示すように、変更後の支払方法および決済口座を反映したものへと更新される。
【0068】
ここで、前記支払方法識別データ(支払方法)としては、5つの区分が存在するため、詳細に説明する。
【0069】
「1:スポット」の区分は、スポットレートを用いて支払を行う場合に指定される区分である。スポットレートを用いる場合、銀行システムにて外貨送金を行うタイミングで換算レートが確定する。つまり、外貨送金を行った後に換算レートが確定する。
【0070】
「2:為替予約」の区分は、予約為替(為替予約データ106b)を用いて支払を行う場合に指定される区分である。予約為替(為替予約データ106b)を用いる場合、為替予約の振り当てを行ったタイミングで換算レートが確定する。つまり、外貨送金を行う前に換算レートが確定する。
【0071】
「3:外貨預金」の区分は、自社の保有する外貨預金(外貨預金データ106a)を用いて支払を行う場合に指定される区分である。外貨預金(外貨預金データ106a)を用いる場合、外貨建債務に対して外貨預金で支払を行うため、支払時の換算レートは存在しない。また、実績管理のため便宜的に、仕入時の邦貨金額と同額となるよう換算レートが指定される。
【0072】
「4:邦貨」の区分は、海外の取引先に対して邦貨(円)を用いて支払を行う場合に指定される区分である。邦貨(円)を用いる場合、当然のことながら、換算レートは存在しない。
【0073】
「9:海外送金」の区分は、[3-2]で説明したように、上記4つの区分が指定されるまでの間に便宜上用いる仮の区分である。
【0074】
[3-6.支払処理]
続けて、支払処理が、[3-5]で指定された変更後の金種(支払方法)に応じた処理フローで実行される。以下、金種(支払方法)別に場合分けして支払処理の具体例を説明する。
【0075】
[3-6-1.支払方法が「1:スポット」の場合]
支払方法が「1:スポット」の場合、すなわち、スポットレート支払の場合、支払後にレートが確定する。このため、支払決済入力後に海外送金データ出力を行い、取引銀行にて支払処理を行った結果のレートを支払レート確定入力にて登録する。以下、具体的に説明する。
【0076】
(1)支払決済入力
図11の金種別支払予定データ106dのうち、支払方法が「1:スポット」である明細を抜き出したデータを、
図12の金種別支払予定データ106dとして示す。支払データ生成部102aは、
図12の金種別支払予定データ106dに基づいて、
図12の支払データ106eを生成する。
【0077】
支払データ106eは、
図12に示すように、例えば、各支払を識別するための支払識別データ(支払No)と、前記支払予定識別データ(金種別支払予定No)と、前記支払先識別データ(支払先)と、前記通貨種類識別データ(通貨)と、支払日と、前記支払方法識別データ(支払方法)と、前記自社の決済口座(決済口座)と、支払レートと、外貨金額と、為替予約番号と、等を含む。ただし、
図12の支払データ106eに示すように、支払レートはこの時点では未指定のため「NULL」となっており、また、為替予約番号はスポットレート支払の場合は指定されないため「NULL」となっている。
【0078】
(2)海外送金データ出力
次に、
図13の海外送金データ出力画面において、抽出条件として、支払日「2021/4/30」および決済口座「200」が指定され、処理選択として、「送金データ作成」が選択される。
【0079】
送金データ生成部102bは、(1)で生成された
図12の支払データ106eから、当該指定された抽出条件を満たす明細として、支払No:SH0001の明細を抽出する。そして、当該抽出した支払No:SH0001の明細に基づいて、
図13の海外送金データ106fを生成する。
【0080】
海外送金データ106fは、海外送金を国内取引銀行に依頼するためのデータである。海外送金データ106fは、
図13に示すように、例えば、前記支払日と、整理番号と、前記支払先識別データ(支払先)と、海外の送金先銀行を識別するための海外送金先銀行識別データ(送金先銀行名)と、前記海外の送金先銀行の口座を識別するための海外送金先口座識別データ(送金先口座番号)と、前記海外の送金先銀行の住所(送金先住所)と、前記通貨種類識別データ(通貨)と、前記支払方法識別データ(支払方法)と、前記為替予約番号と、送金する前記外貨金額(出金金額)と、等を含む。ただし、
図13の海外送金データ106fに示すように、為替予約番号はスポットレート支払の場合は指定されないため「NULL」となっている。
【0081】
(3)支払レート確定入力
最後に、
図14の支払レート確定入力画面のヘッダ部において、処理区分「確定」および通貨「USD」がオペレータによって指定されると、(1)で生成された
図12の支払データ106eから、通貨「2:USD」を有する支払No:SH0001の明細が抽出され、
図14の明細部に表示される。
【0082】
損益算出部102cは、外貨金額160.21に仕入時計上レート100.00を乗じることにより、仕入邦貨額16,021を算出して、
図14の明細部に表示する。当該仕入邦貨額16,021は、仕入時の邦貨額であるため、いわば仕入時邦貨額である。なお、この段階では、支払レート、支払金額、邦貨金額および為替差損益は空白の状態で表示される。
【0083】
続けて、国内の取引銀行から、海外送金による支払に用いたレート(102.20)の情報が知らされると、当該レートは、
図14の明細部の「支払レート」としてオペレータによって入力される。損益算出部102cは、外貨金額160.21に支払時計上レート(支払レート)102.20を乗じることにより、邦貨金額16,373を算出して、
図14の明細部に表示する。当該邦貨金額16,373は、支払時の邦貨額であるため、いわば支払時邦貨額である。
【0084】
そして、損益算出部102cは、前記算出した仕入時邦貨額16,021と前記算出した支払時邦貨額16,373の差を、為替差損益-352として算出し、
図14の明細部に表示する。
【0085】
最後に、支払データ更新部102dは、(1)で生成された
図12の支払データ106e中の支払No:SH0001の明細に、前記入力された支払レート102.20を格納することで、支払データ106eを更新する。更新後の支払データ106eを
図14に示す。なお、スポットレート支払の場合、為替予約の引当は行われないため、為替予約番号の更新は行われず、「NULL」のままである。
【0086】
(4)まとめ
以上説明したように、スポットレート支払の場合、海外送金後に国内の取引銀行から支払に用いたレート(支払レート)が知らされるため、支払処理の順序を、海外送金データ出力および支払レート確定入力という順序にする必要がある。そこで、本実施形態に係る海外支払業務支援装置100によれば、金種別支払予定データ106d中の支払方法を「1:スポット」に設定することで、支払決済入力、海外送金データ出力および支払レート確定入力という順序で支払処理が進むように制御することができるようにした。
【0087】
スポットレート支払の場合に用いるレートをまとめると、以下のとおりとなる。
●仕入時計上レート=
図11の金種別支払予定データ106d中の計上レート
●支払時計上レート=海外送金後に国内の取引銀行から知らされるレート
【0088】
[3-6-2.支払方法が「2:為替予約」の場合]
支払方法が「2:為替予約」の場合、為替予約番号の入力が必要となる。このため、支払決済入力後に支払レート確定入力にて為替予約の振り当てを行い、海外送金データの出力を行う。以下、具体的に説明する。
【0089】
(1)支払決済入力
図11の金種別支払予定データ106dのうち、支払方法が「2:為替予約」である明細を抜き出したデータを、
図15の金種別支払予定データ106dとして示す。支払データ生成部102aは、
図15の金種別支払予定データ106dに基づいて、
図15の支払データ106eを生成する。
図15の支払データ106eに示すように、支払レートおよび為替予約番号は、この時点では未指定のため「NULL」となっている。
【0090】
(2)支払レート確定処理
次に、
図16の支払レート確定入力画面のヘッダ部において、処理区分「確定」および通貨「USD」がオペレータによって指定されると、(1)で生成された
図15の支払データ106eから、通貨「2:USD」を有する支払No:SH0003の明細が抽出され、
図16の明細部に表示される。
【0091】
損益算出部102cは、外貨金額160.55に仕入時計上レート100.00を乗じることにより、仕入邦貨額16,055を算出して、
図16の明細部に表示する。当該仕入邦貨額16,055は、仕入時の邦貨額であるため、いわば仕入時邦貨額である。なお、この段階では、為替予約番号、支払レート、支払金額、邦貨金額および為替差損益は空白の状態で表示される。
【0092】
続けて、
図16の明細部に、為替予約番号「KA00002」がオペレータによって指定されると、支払データ更新部102dは、
図3の為替予約データ106bから、前記指定された為替予約番号「KA00002」を有する明細を抽出し、当該明細中の予約レート100.25を取得する。そして、支払データ更新部102dは、当該取得した予約レート100.25を、
図16の明細部の支払レートとして設定する。
【0093】
損益算出部102cは、外貨金額160.55に支払レート100.25を乗じることにより、邦貨金額16,095を算出して、
図16の明細部に表示する。当該邦貨金額16,095は、支払時の邦貨額であるため、いわば支払時邦貨額である。
【0094】
そして、損益算出部102cは、前記算出した仕入時邦貨額16,055と前記算出した支払時邦貨額16,095の差を、為替差損益-40として算出し、
図16の明細部に表示する。
【0095】
最後に、支払データ更新部102dは、(1)で生成された
図15の支払データ106e中の支払No:SH0003の明細に、前記指定された為替予約番号「KA00002」および支払レートとしての前記取得した予約レート100.25を格納することで、支払データ106eを更新する。更新後の支払データ106eを
図16に示す。
【0096】
(3)海外送金データ出力
最後に、
図17の海外送金データ出力画面において、抽出条件として、支払日「2021/4/30」および決済口座「200」が指定され、処理選択として、「送金データ作成」が選択される。
【0097】
送金データ生成部102bは、(2)で生成された
図16の支払データ106eから、当該指定された抽出条件を満たし、かつ、為替予約番号が設定済の明細として、支払No:SH0003の明細を抽出する。そして、当該抽出した支払No:SH0003の明細に基づいて、
図17の海外送金データ106fを生成する。このように、支払データ106eにおいて為替予約番号が設定済の明細のみを送金データ生成の対象として抽出することで、支払レート確定入力が完了している明細のみ海外送金データ出力の処理対象として取り扱うことが可能となる。
【0098】
(4)まとめ
以上説明したように、為替予約による支払の場合、事前に予約した為替により支払をすることとなるため、海外送金の前に、予約為替を呼び出して、当該予約為替における予約レートを支払に用いるレート(支払レート)として確定する必要がある。そこで、本実施形態に係る海外支払業務支援装置100によれば、金種別支払予定データ106d中の支払方法を「2:為替予約」に設定することで、支払決済入力、海外送金データ出力および支払レート確定入力という順序で支払処理が進むように制御することができるようにした。
【0099】
為替予約による支払の場合に用いるレートをまとめると、以下のとおりとなる。
●仕入時計上レート=
図11の金種別支払予定データ106d中の計上レート
●支払時支払レート=
図3の為替予約データ106b中の予約レート
【0100】
[3-6-3.支払方法が「3:外貨預金」の場合]
支払方法が「3:外貨預金」の場合、為替差損益を発生させないように仕入時計上レートで支払を行う。支払決済時にレートが判明しているため、以下1および2のいずれかの運用が可能である。
1.支払決済入力→海外送金データ出力→支払レート確定入力
2.支払決済入力→支払レート確定入力→海外送金データ出力
支払レート確定入力にて外貨支払金額と仕入時の邦貨金額を確認し、そこから支払レートを算出する想定である。本項目では、「1.」の運用を採用する場合の例を説明する。
【0101】
(1)支払決済入力
図11の金種別支払予定データ106dのうち、支払方法が「3:外貨預金」である明細を抜き出したデータを、
図18の金種別支払予定データ106dとして示す。支払データ生成部102aは、
図18の金種別支払予定データ106dに基づいて、
図18の支払データ106eを生成する。
図18の支払データ106eに示すように、支払レートはこの時点では未指定のため「NULL」となっており、また、為替予約番号は外貨預金による支払の場合は指定されないため「NULL」となっている。
【0102】
(2)海外送金データ出力
次に、
図19の海外送金データ出力画面において、抽出条件として、支払日「2021/4/30」および決済口座「200」が指定され、処理選択として、「送金データ作成」が選択される。
【0103】
送金データ生成部102bは、(1)で生成された
図18の支払データ106eから、当該指定された抽出条件を満たす明細として、支払No:SH0004の明細を抽出する。そして、当該抽出した支払No:SH0004の明細に基づいて、
図19の海外送金データ106fを生成する。
図19の海外送金データ106fに示すように、為替予約番号は外貨預金による支払の場合は指定されないため「NULL」となっている。
【0104】
(3)支払レート確定入力
最後に、
図20の支払レート確定入力画面のヘッダ部において、処理区分「確定」および通貨「USD」がオペレータによって指定されると、(1)で生成された
図18の支払データ106eから、通貨「2:USD」を有する支払No:SH0004の明細が抽出され、
図20の明細部に表示される。
【0105】
損益算出部102cは、外貨金額301.53に仕入時計上レート100.00を乗じることにより仕入邦貨額30,153を算出して、
図20の明細部に表示する。当該仕入邦貨額30,153は、仕入時の邦貨額であるため、いわば仕入時邦貨額である。なお、この段階では、支払レート、支払金額、邦貨金額および為替差損益は空白の状態で表示される。
【0106】
続けて、支払方法が「3:外貨預金」の場合、自社が既に保有している外貨残高により支払を行うため、為替差損益を発生させないようにする必要がある。このため、オペレータは、前記仕入時計上レート100.00を支払レートとして
図14の明細部に入力する。損益算出部102cは、外貨金額301.53に支払時計上レート(支払レート)100.00を乗じることにより、邦貨金額30,153を算出して、
図20の明細部に表示する。当該邦貨金額30,153は、支払時の邦貨額であるため、いわば支払時邦貨額である。
【0107】
そして、損益算出部102cは、前記算出した仕入時邦貨額30,153と前記算出した支払時邦貨額30,153の差を、為替差損益0として算出し、
図20の明細部に表示する。
【0108】
最後に、支払データ更新部102dは、(1)で生成された
図18の支払データ106e中の支払No:SH0004の明細に、前記入力された支払レート100.00を格納することで、支払データ106eを更新する。更新後の支払データ106eを
図20に示す。なお、外貨預金による支払の場合、為替予約の引当は行われないため、為替予約番号の更新は行われず、「NULL」のままである。
【0109】
(4)まとめ
以上説明したように、外貨預金による支払の場合、自社が既に保有する外貨預金により支払をすることとなるため、当然のことながら、為替差損益は発生しない。このため、海外送金データ出力と支払レート確定入力はどちらが先でもよい。海外送金データ出力および支払レート確定入力という本例で説明した処理順序の場合には、支払レート確定入力の段階において、仕入時計上レートと同じレートを支払時計上レートとしてオペレータが入力することとなる。この点が、海外送金後に国内の取引銀行から知らされるレートをオペレータが入力するスポットレート支払の場合と異なる点である。
【0110】
外貨預金による支払の場合に用いるレートをまとめると、以下のとおりとなる。
●仕入時計上レート=
図11の金種別支払予定データ106d中の仕入時の計上レート
●支払時計上レート=仕入時計上レートと同じレート
【0111】
[3-6-4.支払方法が「4:邦貨」の場合]
支払方法が「4:邦貨」の場合、国内取引先に対する邦貨支払とは異なり、海外送金取引先に対する邦貨支払の運用を実現可能とする。この場合、レート換算は必要ないため、支払レート確定入力の処理は不要となる。このため、支払決済後、海外送金データ出力を行うのみとなる。以下、具体的に説明する。
【0112】
(1)支払決済入力
図11の金種別支払予定データ106dのうち、支払方法が「4:邦貨」である明細を抜き出したデータを、
図21の金種別支払予定データ106dとして示す。支払データ生成部102aは、
図21の金種別支払予定データ106dに基づいて、
図21の支払データ106eを生成する。なお、
図21の金種別支払予定データ106dおよび払データ106eにおける「14,000」は、図面では便宜上「外貨金額」の項目により示しているが、実際は邦貨金額である。
【0113】
「4:邦貨」による支払の場合、レート換算は必要ないため、
図21の支払データ106eに示すように、支払レートは1となっている。また、
図21の支払データ106eに示すように、為替予約番号は邦貨による支払の場合は指定されないため「NULL」となっている。
【0114】
(2)海外送金データ出力
次に、
図22の海外送金データ出力画面において、抽出条件として、支払日「2021/4/30」および決済口座「100」が指定され、処理選択として、「送金データ作成」が選択される。
【0115】
送金データ生成部102bは、(1)で生成された
図21の支払データ106eから、当該指定された抽出条件を満たす明細として、支払No:SH0005の明細を抽出する。そして、当該抽出した支払No:SH0005の明細に基づいて、
図22の海外送金データ106fを生成する。
図22の海外送金データ106fに示すように、為替予約番号は邦貨による支払の場合は指定されないため「NULL」となっている。
【0116】
(3)まとめ
以上説明したように、邦貨による支払の場合、海外の取引先に対して邦貨(円)で支払うこととなるため、支払レート確定入力の処理は必要ない。つまり、邦貨による支払の場合には、スポットレート支払の場合、為替予約による支払の場合および外貨預金による支払の場合とは異なり、仕入時計上レートおよび支払時計上レートについて考慮する必要がない。
【0117】
[3-7.各種マスタ]
最後に、補足として、各種マスタの内容について説明する。
【0118】
支払方法マスタ106gは、
図23に示すように、例えば、前記支払方法識別データ(支払方法CDおよび支払方法名)等を含む。
【0119】
通貨マスタ106hは、
図23に示すように、例えば、前記通貨種類識別データ(通貨CD、通貨名および通貨記号)等を含む。
【0120】
決済口座マスタ106iは、
図24に示すように、例えば、前記自社の決済口座(決済口座CDおよび決済口座名)等を含む。
【0121】
支払先マスタ106jは、
図24に示すように、例えば、前記支払先識別データ(支払先コードおよび店舗名)と、支払月と、支払日と、国内外区分と、前記海外送金先口座識別データ(海外送金先口座No)と、前記海外送金先銀行識別データ(海外送金先銀行名)と、前記海外の送金先銀行の住所(海外送金先銀行住所)と、前記支払先の住所(海外受取人住所)と、等を含む。
【0122】
[4.本実施形態のまとめ]
このように、本実施形態に係る海外支払業務支援装置100によれば、海外の支払先への支払方法毎に異なる手順の業務フローおよび海外の支払先への支払方法毎に異なる支払レートを制御することにより、海外の支払先への支払業務を支援することができる。
【0123】
[5.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0124】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0125】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0126】
[6.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0127】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0128】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0129】
また、海外支払業務支援装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0130】
例えば、海外支払業務支援装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて海外支払業務支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0131】
また、このコンピュータプログラムは、海外支払業務支援装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0132】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0133】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0134】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0135】
また、海外支払業務支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、海外支払業務支援装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0136】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、例えば、海外取引や輸入取引を行う業界において有用であり、特に、商社およびメーカーにおいては極めて有用である。
【符号の説明】
【0138】
100 海外支払業務支援装置
102 制御部
102a 支払データ生成部
102b 送金データ生成部
102c 損益算出部
102d 支払データ更新部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 外貨預金データ
106b 為替予約データ
106c 仕入データ
106d 金種別支払予定データ
106e 支払データ
106f 海外送金データ
106g 支払方法マスタ
106h 通貨マスタ
106i 決済口座マスタ
106j 支払先マスタ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク