(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】冷媒回路ユニット、及び、空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/32 20110101AFI20240919BHJP
F25B 29/00 20060101ALI20240919BHJP
F25B 41/26 20210101ALI20240919BHJP
F25B 41/40 20210101ALI20240919BHJP
【FI】
F24F1/32
F25B29/00 361B
F25B41/26 Z
F25B41/40 D
(21)【出願番号】P 2021135547
(22)【出願日】2021-08-23
【審査請求日】2022-06-14
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安野 将史
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】楮畑 和哉
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】水野 治彦
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-63564(JP,A)
【文献】特開2014-25668(JP,A)
【文献】実開昭59-185490(JP,U)
【文献】特開平10-160089(JP,A)
【文献】特開2006-300380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F1/32
F25B29/00,41/26,41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機(100)における冷媒回路の一部を構成する冷媒回路ユニットであって、
弁(EV1~EV6)と、
前記弁(EV1~EV6)に接続される冷媒管(P1~P12)と、
前記弁(EV1~EV6)及び前記冷媒管(P1~P12)を収容するケーシング(20,30,40)と、を備え、
前記ケーシング(20,30,40)の外装が
、前記ケーシングに収容された前記弁及び前記冷媒管によって支持され、
前記ケーシング(20,30,40)の下側部材(21A)と上側部材(21B)とは、端面が互いに突き合わされ、
前記冷媒管(P1~P12)は弾性部材(29)を介して、前記ケーシング(20,30,40)の前記下側部材(21A)と前記上側部材(21B)に挟まれ、
前記ケーシング(20,30,40)が発泡樹脂により形成されている、
冷媒回路ユニット。
【請求項2】
前記冷媒管(P1,P4,P5,P9~P12)が、前記ケーシング(20,30,40)の側板(24,25,34,35,44,45)を貫通して当該ケーシング(20,30,40)の内部から外部へ突出し、
前記ケーシング(20,30,40)が、前記冷媒管(P1,P4,P5,P9~P12)が貫通する部分を境界として上下に分割される前記上側部材(21B,31B,41B)と前記下側部材(21A,31A,41A)とを有する、請求項1に記載の冷媒回路ユニット。
【請求項3】
前記ケーシング(20,30,40)が、前記下側部材(21A,31A,41A)に含まれる底板(22,32,42)を有し、前記底板(22,32,42)上に前記冷媒管(P1~P12)を下方から支持する突部(22a)が形成されている、請求項2に記載の冷媒回路ユニット。
【請求項4】
前記弁(EV1~EV6)を制御するための制御部品を収容した電装品箱(80)をさらに備え、
前記電装品箱(80)が、前記下側部材(21A,31A)に取り付けられている、請求項2又は3に記載の冷媒回路ユニット。
【請求項5】
前記弁(EV1~EV6)を制御するための制御部品を収容した電装品箱(80)をさらに備え、
前記電装品箱(80)が、前記上側部材(21B,31B)と前記下側部材(21A,31A)とに取り付けられている、請求項2又は3に記載の冷媒回路ユニット。
【請求項6】
前記弁(EV1~EV6)を制御するための制御部品を収容した電装品箱(80)をさらに備え、
前記ケーシング(20,30)は、前記電装品箱(80)を支持する金属製の支持部材(83~85)を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷媒回路ユニット。
【請求項7】
前記ケーシング(20,30,40)の全体が
発泡樹脂製である、請求項1~5のいずれか1項に記載の冷媒回路ユニット。
【請求項8】
前記弾性部材(29)は、前記冷媒管(P1,P4,P5,P9~P12)の前記ケーシング(20,30,40)を貫通する部分に取り付けられ、前記上側部材(21B,31B,41B)と前記下側部材(21A,31A,41A)とによって圧縮される、請求項2~5のいずれか1項に記載の冷媒回路ユニット。
【請求項9】
室外機(110)と、
室内機(120)と、
前記室外機(110)と前記室内機(120)とを接続し、前記室外機(110)と前記室内機(120)との間で冷媒の流路を形成する管(11~14,LP,GP)と、
前記管(11~14,LP,GP)に設けられる請求項1~8のいずれか1項に記載の冷媒回路ユニット(70,71)と、を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷媒回路ユニット、及び、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の室内機毎に冷房と暖房とを選択して運転可能な空気調和機に用いられる切換ユニット(冷媒回路ユニット)が開示されている。この切換ユニットは、本体ケースと、本体ケースに収容された複数の開閉弁及び複数のガス接続管と、本体ケースに充填された発泡断熱材とを備えている。切換ユニットは、複数の開閉弁を開閉させることで室内機と室外機との間の冷媒の流路を切り替え、複数の室内機で冷房と暖房との同時運転を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の切換ユニットは、開閉弁及びガス接続管が板金製の本体ケース内に収容され、さらに本体ケースの内部には発泡断熱材が充填されているので、全体として重量が大きくなっていた。そのため、屋内の天井裏等の設置場所に対して切換ユニットを強固に支持する必要があり、切換ユニットの設置の自由度が低くなっていた。
【0005】
本開示は、上記の実情に鑑み、冷媒回路ユニットの軽量化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の冷媒回路ユニットは、
空気調和機における冷媒回路の一部を構成する冷媒回路ユニットであって、
弁と、
前記弁に接続される冷媒管と、
前記弁及び前記冷媒管を収容するケーシングと、を備え、
前記ケーシングの外装が合成樹脂製である。
【0007】
上記構成によれば、従来のようにケーシングの外装を板金製とする場合に比べてケーシングを軽量化することができる。そのため、冷媒回路ユニットの支持構造を簡素化でき、設置の自由度を高めることができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記冷媒管が、前記ケーシングの側板を貫通して当該ケーシングの内部から外部へ突出し、
前記ケーシングが、前記冷媒管が貫通する部分を境界として上下に分割される上側部材と下側部材とを有する。
上記構成によれば、下側部材から上側部材を取り外すことで、冷媒回路ユニットの内部を露出でき、弁のメンテナンス等を行うことができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記ケーシングが、前記下側部材に含まれる底板を有し、前記底板上に前記冷媒管を下方から支持する突部が形成されている。
この構成によれば、突部で冷媒管を支持することで、下側部材の冷媒管が貫通する部分に荷重が集中するのを抑制することができる。
【0010】
(4)好ましくは、冷媒回路ユニットは、前記弁を制御するための制御部品を収容した電装品箱をさらに備え、
前記電装品箱が、前記下側部材に取り付けられている。
上記構成によれば、下側部材における冷媒管の貫通部分に電装品箱の重量が付与されないようにすることができる。また、電装品箱を取り付けたまま下側部材から上側部材を取り外し、弁のメンテナンス等を行うことができる。
【0011】
(5)好ましくは、冷媒回路ユニットは、前記弁を制御するための制御部品を収容した電装品箱をさらに備え、
前記電装品箱が、前記上側部材と前記下側部材とに取り付けられている。
この構成によれば、電装品箱の重量を上側部材と下側部材とによって分散して負担することができ、上側部材及び下側部材の変形を抑制することができる。電装品箱の重量を上側部材に負担させることで、下側部材に対して上側部材を閉まる方向に押さえることができ、下側部材と上側部材との間のシール性を高めることができる。
【0012】
(6)好ましくは、冷媒回路ユニットは、前記弁を制御するための制御部品を収容した電装品箱をさらに備え、
前記ケーシングは、前記電装品箱を支持する金属製の支持部材を備えている。
この構成によれば、ケーシングによって電装品箱を安定して支持することができる。ケーシングのうち支持部材のみを金属製とした場合、重量増加を抑制することができる。
【0013】
(7)好ましくは、前記ケーシングの全体が合成樹脂製である。
この構成によれば、ケーシングをより軽量化することができる。
【0014】
(8)好ましくは、冷媒回路ユニットは、前記冷媒管の前記ケーシングを貫通する部分に取り付けられ、前記上側部材と前記下側部材とによって圧縮される弾性部材をさらに備えている。
この構成によれば、冷媒管が貫通する部分において下側部材と上側部材とにかかる負荷を軽減し、ケーシングの変形を抑制することができる。
【0015】
(9)本開示の空気調和機は、室外機と、
室内機と、
前記室外機と前記室内機とを接続し、前記室外機と前記室内機との間で冷媒の流路を形成する連絡管と、
前記連絡管に設けられる上記(1)~(8)のいずれか1つに記載の冷媒回路ユニットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る空気調和機の冷媒回路図である。
【
図3】切換ユニットのケーシングを開いた状態の斜視図である。
【
図4】切換ユニットのケーシングを開いた状態の平面図である。
【
図5】切換ユニットの弁及び冷媒管を示す斜視図である。
【
図6】切換ユニットを
図4のA-A部分で切断した断面図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態に係る空気調和機の冷媒回路図である。
【
図9】遮断弁装置のケーシングを開いた状態を示す斜視図である。
【
図10】遮断弁装置の弁及び冷媒管を示す斜視図である。
【
図11】(a)は切換ユニットの設置状態を示す概略的な側面図、(b)は遮断弁装置の設置状態を示す概略的な側面図である。
【
図12】ケーシングに対する電装品箱の取付例を示す断面図である。
【
図13】ケーシングに対する電装品箱の取付例を示す断面図である。
【
図14】ケーシングに対する電装品箱の取付例を示す断面図である。
【
図15】ケーシングに対する電装品箱の取付例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の冷媒回路ユニット及び空気調和機を詳細に説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0018】
[空気調和機の全体構成]
図1は、本開示の第1の実施形態に係る空気調和機の冷媒回路図である。
空気調和機100は、ビルや工場等に設置されて空調対象空間の空気調和を実現する。空気調和機100は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで空調対象空間を冷暖房する。
【0019】
空気調和機100は、熱源ユニットとしての室外機110と、利用ユニットとしての室内機120と、冷媒流路を切り換える切換ユニット(冷媒回路ユニット)70とを備える。本実施形態の空気調和機100においては、1つの室外機110に複数の室内機120がそれぞれ切換ユニット70を介して接続されている。室外機110と各切換ユニット70とは液連絡管11、吸入ガス連絡管12、及び高低圧ガス連絡管13で接続されている。各切換ユニット70と各室内機120とは、液管LP及びガス管GPで接続されている。空気調和機100は、切換ユニット70によって室内機120毎に冷房運転及び暖房運転を自由に選択して行うことができる。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態の空気調和機100では、冷媒としてR32が用いられている。
【0020】
室外機110には、冷媒回路を構成する圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、四路切換弁等が設けられている。室外機110内の冷媒回路は、液連絡管11、吸入ガス連絡管12、及び高低圧ガス連絡管13を介して切換ユニット70に接続されている。液連絡管11、吸入ガス連絡管12、及び高低圧ガス連絡管13は、複数の切換ユニット70に対応して複数に分岐されている。
【0021】
空気調和機100が冷房運転を行うとき、液連絡管11には室外機110から切換ユニット70へ向けて高圧の液冷媒が流れ、吸入ガス連絡管12及び高低圧ガス連絡管13には切換ユニット70から室外機110へ向けて低圧のガス冷媒が流れる。空気調和機100が暖房運転を行うとき、高低圧ガス連絡管13には室外機110から切換ユニット70へ向けて高圧のガス冷媒が流れ、液連絡管11には切換ユニット70から室外機110に向けて高圧の液冷媒が流れる。冷暖房同時運転を行うとき、液連絡管11には、室外機110から切換ユニット70に向けて高圧の液冷媒が流れ、高低圧ガス連絡管13には、室外機110から切換ユニット70へ向けて高圧のガス冷媒が流れ、吸入ガス連絡管12には切換ユニット70から室外機110へ向けて低圧のガス冷媒が流れる。
【0022】
室内機120内には、室内熱交換器52を有する冷媒回路RC2と、室内ファン53とが設けられている。室内熱交換器52の液側端は、液管LPに接続されている。室内熱交換器52のガス側端はガス管GPに接続されている。室内熱交換器52に流入した冷媒は、室内ファン53が生成する空気流と熱交換し、室内熱交換器52から排出される。室内ファン53は、室内空間から室内機120内部に流入し、室内熱交換器52を通過してから室内空間へ流出する空気流を生成する。
【0023】
複数の切換ユニット70は、それぞれ室外機110と各室内機120との間に設けられ、冷媒回路の一部を構成している。各切換ユニット70は、室外機110及び各室内機120へ流入する冷媒の流れを切り換える。複数の切換ユニット70は、全て同一の構造である。各切換ユニット70には、それぞれ1台の室内機120が接続される。ただし、1台の切換ユニット70には、複数台の室内機120が接続されていてもよい。
【0024】
図5は、切換ユニットの弁及び冷媒管を示す斜視図である。
図1及び
図5に示すように、各切換ユニット70には、第1~第4弁EV1~EV4と、第1~第10冷媒管P1~P10とを有する冷媒回路RC3が設けられている。第1~第4弁EV1~EV4は、開度を調整可能な電動弁により構成されている。
【0025】
高低圧ガス連絡管13には、各切換ユニット70の第1冷媒管P1の一端が接続されている。第1冷媒管P1の他端は、第1弁EV1に接続されている。吸入ガス連絡管12には、第4冷媒管P4の一端が接続されている。第4冷媒管P4の他端は、第2弁EV2に接続されている。液連絡管11には、第5冷媒管P5の一端が接続されている。第5冷媒管P5の他端は、過冷却熱交換器59内の第1伝熱管59aに接続されている。過冷却熱交換器59は、第1伝熱管59aと第2伝熱管59bとを有する。
【0026】
第2弁EV2には、第9冷媒管P9の一端が接続されている。第9冷媒管P9の他端は、ガス管GPに接続されている。第1弁EV1には、第3冷媒管P3の一端が接続されている。第3冷媒管P3の他端は、第9冷媒管P9の途中に接続されている。過冷却熱交換器59の第1伝熱管59aには、第2冷媒管P2の一端が接続されている。第2冷媒管P2の他端は、第4弁EV4に接続されている。
【0027】
第4弁EV4には、第10冷媒管P10の一端が接続されている。第10冷媒管P10の他端は、液管LPに接続されている。
【0028】
第5冷媒管P5の途中には、第6冷媒管P6の一端が接続されている。第6冷媒管P6の他端は、第3弁EV3に接続されている。第3弁EV3と過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bの一端とは、第7冷媒管P7で接続されている。第2伝熱管59bの他端には、第8冷媒管P8の一端が接続されている。第8冷媒管P8の他端は、吸入ガス連絡管12に接続されている。
【0029】
第1、第4、第6冷媒管、及び第9冷媒管P1,P4,P6,P9には、フィルタFが設けられている。
【0030】
[空気調和機の運転]
以下、空気調和機100によって、稼働している室内機120の全てが冷房を行う場合(以下、「全冷房運転」ともいう)、稼働している室内機120の全てが暖房を行う場合(以下、「全暖房運転」ともいう)、及び、稼働している室内機120の一部が冷房、他が暖房を行う場合(以下、「冷暖房同時運転」ともいう)について、
図2を参照して説明する。
【0031】
(全冷房運転)
全冷房運転では、切換ユニット70の第1弁EV1は、全開とされる。第2弁EV2は、全開とされる。第3弁EV3は、開度調整される。第4弁EV4は、開度調整される。停止中の室内機120に対応する切換ユニット70おいては、全冷房運転、全暖房運転、及び冷暖房混合運転のいずれを行う場合においても、第4弁EV4が全閉とされ、この室内機120に対応する第1弁EV1は最小開度とされ、第2弁EV2及び第3弁EV3は全閉とされる。
【0032】
全冷房運転の際、室外機110から高圧の液冷媒が液連絡管11に流入し、切換ユニット70の第5冷媒管P5、過冷却熱交換器59の第1伝熱管59a、第2冷媒管P2,第4弁EV4,第10冷媒管P10を流れ、室内機120に流入する。室内機120に流入する冷媒は、第4弁EV4により減圧される。
【0033】
第5冷媒管P5へ流入した冷媒は、第6冷媒管P6にも分岐して流れ、第3弁EV3の開度に応じて減圧され、過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bに流入する。この過冷却熱交換器59において、第1伝熱管59aを流れる冷媒と第2伝熱管59bを流れる冷媒との間で熱交換され、第1伝熱管59aを流れる冷媒が過冷却される。過冷却熱交換器59の第2伝熱管59bを流れる冷媒は、第8冷媒管P8から吸入ガス連絡管12に流入する。第4弁EV4で減圧され、室内機120に流入する冷媒は、室内熱交換器52において蒸発し、室内を冷房する。
【0034】
室内機120において、室内熱交換器52で蒸発した低圧ガス冷媒は、ガス管GPから第9冷媒管P9に流入し、第2弁EV2及び第4冷媒管P4を通って吸入ガス連絡管12に流入し、室外機110に戻る。第9冷媒管P9に流入した低圧ガス冷媒は、第3冷媒管P3、第1弁EV1、及び第1冷媒管P1も通って高低圧ガス連絡管13に流入し、室外機110に戻る。
【0035】
(全暖房運転について)
全暖房運転では、切換ユニット70の第1弁EV1は、全開とされる。第2弁EV2は、全閉とされる。第3弁EV3は、全閉とされる。第4弁EV4は、全開とされる。
【0036】
全暖房運転の際、室外機110から高圧のガス冷媒が高低圧ガス連絡管13に流入し、切換ユニット70の第1冷媒管P1、第1弁EV1、第3冷媒管P3、及び第9冷媒管P9を流れ、室内機120のガス管GPに流入する。
【0037】
ガス管GPに流入した冷媒は、室内機120の室内熱交換器52に流入して凝縮し、室内を暖房する。凝縮した液冷媒は、液管LPから切換ユニット70の第10冷媒管P10に流入し、第4弁EV4、第2冷媒管P2、過冷却熱交換器59、及び第5冷媒管P5を通過して液連絡管11に流入し、室外機110に戻る。
【0038】
(冷暖房同時運転について)
稼働している室内機120うち、冷房運転を行う室内機120(以下、「冷房側室内機120」ともいう)に対応する切換ユニット70(以下、「冷房側切換ユニット70」ともいう)において、第1弁EV1は、最小開度とされる。第2弁EV2は、全開とされる。第3弁EV3は、開度調整される。第4弁EV4は、開度調整される。
【0039】
稼働している室内機120うち、暖房運転を行う室内機120(以下、「暖房側室内機120」ともいう)に対応する切換ユニット70(以下、「暖房側切換ユニット70」ともいう)において、第1弁EV1は、全開とされる。第2弁EV2は、全閉とされる。第3弁EV3は、全閉とされる。第4弁EV4は、全開とされる。
【0040】
室外機110からは、高圧のガス冷媒が高低圧ガス連絡管13に流入し、高圧の液冷媒が液連絡管11に流入する。高低圧ガス連絡管13に流入した冷媒は、暖房側切換ユニット70の第1冷媒管P1、第1弁EV1、第3冷媒管P3、及び第9冷媒管P9を流れて、ガス管GPに流入する。ガス管GPに流入した冷媒は、暖房側室内機120の室内熱交換器52において凝縮し、室内を暖房する。凝縮した冷媒は、液管LPから暖房側切換ユニット70の第10冷媒管P10に流入し、第4弁EV4、第2冷媒管P2、過冷却熱交換器59、第5冷媒管P5を流れ、室外機110から液連絡管11を流れる冷媒に合流する。
【0041】
さらに冷媒は、液連絡管11から冷房側切換ユニット70の第5冷媒管P5、過冷却熱交換器59、第2冷媒管P2、第4弁EV4、第10冷媒管P10、液管LPを経て冷房側室内機120に流入する。このとき過冷却熱交換器59を通過した冷媒は、第5冷媒管P5から分岐して第6冷媒管P6を流れ第3弁EV3で減圧された冷媒によって過冷却される。また、過冷却された冷媒は、第4弁EV4で減圧される。
【0042】
冷房側室内機120に流入した冷媒は、室内熱交換器52において蒸発し、室内を冷房する。蒸発した冷媒は、ガス管GPを流れて、冷房側切換ユニット70の第9冷媒管P9に流入し、第2弁EV2及び第4冷媒管P4を経て吸入ガス連絡管12を流入し、室外機110に戻る。
【0043】
[切換ユニットの第1、第2、第4弁の機能]
上記の空気調和機100において、室内機120又は室内には、冷媒センサ(図示省略)が設けられている。冷媒センサは、室内機120からの冷媒の漏れを検知する。この冷媒センサが室内機120からの冷媒の漏洩を検知すると、切換ユニット70の第1、第2、及び第4弁EV1,EV2,EV4が閉鎖され、室内機120への冷媒の流れが遮断され、室内への冷媒の漏洩が抑制される。したがって、これらの第1、第2弁EV1,EV2及び第4弁EV4は、それぞれ室外機110と室内機120との間で冷媒の流れを切り換えたり、冷媒を減圧したりする機能に加え、冷媒漏洩時の遮断弁としても機能する。
【0044】
[切換ユニットの具体的構成]
図2は、切換ユニットの斜視図である。
図3は、切換ユニットのケーシングを開いた状態の斜視図である。
図4は、切換ユニットのケーシングを開いた状態の平面図である。なお、以下の説明において、上、下、前、後、左、及び右という記載は、
図2及び
図3に示された矢印に従っている。例えば
図2において、互いに直交する矢印X,Y,Zのうち、矢印Xが示す方向(第1方向)を左右方向、矢印Yが示す方向(第2方向)を前後方向、矢印Zが示す方向(第3方向)を上下方向としている。ただし、これらの記載は一例にすぎず、例えば、方向Xを前後方向又は上下方向、方向Yを左右方向又は上下方向、方向Zを前後方向又は左右方向と読み替えてもよい。
【0045】
切換ユニット70は、上述したように、第1~第4弁EV1~EV4と、第1~第10冷媒管P1~P10と、これらを収容するケーシング20と、電装品箱80と、を備えている。
【0046】
ケーシング20は、ケーシング本体21を有する。ケーシング本体21は、内部に空間を有する直方体の箱形状に形成されている。第1~第4弁EV1~EV4及び第1~第10冷媒管P1~P10は、ケーシング本体21に収容されている。ケーシング本体21は、底板22と、上板23と、側板24~27とを有している。底板22及び上板23は、平面視において四角形に形成されている。側板24~27は、底板22の4辺と上板23の4辺とを接続している。側板24~27は、左右方向(第1方向)Xの両側に配置された第1側板24及び第2側板25と、前後方向Yの前側に配置された第3側板26と、後側に配置された第4側板27とを有する。
【0047】
切換ユニット70の第9冷媒管P9と第10冷媒管P10とは、左右方向Xに延び、ケーシング本体21の第1側板24を貫通して外部に突出している。切換ユニット70の第1、第4、第5冷媒管P1,P4,P5は、左右方向Xに延び、ケーシング本体21の第2側板25を貫通して外部に突出している。
【0048】
ケーシング本体21は、合成樹脂製であり、ケーシング20の外装を構成する。したがって、ケーシング20は、板金製の外装を有する従来のケーシングに比べて軽量である。具体的に、ケーシング本体21は、発泡ポリスチレン等の発泡樹脂により形成されている。
【0049】
ケーシング本体21は、下側部材21Aと、上側部材21Bとによって構成され、上下に分割されている。下側部材21Aは、底板22と、第1~第4側板24~27の下側部分24A~27Aとによって構成されている。上側部材21Bは、上板23と、第1~第4側板24~27の上側部分24B~27Bによって構成されている。
【0050】
第1側板24は、第9冷媒管P9と第10冷媒管P10とが貫通する部分で下側部分24Aと上側部分24Bとに分割されている。第2側板25は、第1、第4、第5冷媒管P1,P4,P5が貫通する部分で下側部分25Aと上側部分24Bとに分割されている。
【0051】
第9冷媒管P9及び第10冷媒管P10の第1側板24を貫通する部分には、弾性部材29が巻き付けられている。この弾性部材29は、断熱材が用いられ、ケーシング本体21内を外部から断熱する機能を有する。弾性部材29は、第1側板24の下側部分24Aと上側部分24Bとに挟まれることによって圧縮されている。したがって、弾性部材29は、発泡樹脂材により形成された第1側板24の下側部分24Aと上側部分24Bとで第9冷媒管P9及び第10冷媒管P10を挟み込んだときの下側部分24Aと上側部分24Bとの変形を抑制する機能を有している。
【0052】
第1、第4、第5冷媒管P1,P4,P5の第2側板25を貫通する部分にも、弾性部材29が巻き付けられている。この弾性部材29は、ケーシング本体21内を外部から断熱する機能を有する。弾性部材29は、第2側板25の下側部分25Aと上側部分25Bとに挟まれることによって圧縮されている。したがって、弾性部材29は、発泡樹脂材により形成された第2側板25の下側部分25Aと上側部分25Bとで第1、第4、第5冷媒管P1,P4,P5を挟み込んだときの下側部分25Aと上側部分25Bとの変形を抑制する機能を有している。
【0053】
第3側板26は、下側部分26Aの面積が上側部分26Bの面積よりも広くなるように形成されている。下側部分26Aと上側部分26Bとの境界は、左右方向Xの両側で低く、左右方向Xの中央で高く形成されている。第4側板27も、下側部分27Aの面積が上側部分27Bの面積よりも広くなるように形成されている。下側部分27Aと上側部分27Bとの境界は、左右方向Xの両側で低く、左右方向Xの中央で高く形成されている。
【0054】
下側部材21Aと上側部材21Bとは、互いに突き合わされる部分を嵌め合せることで連結した状態が保持される。例えば、下側部材21Aの上縁を凸形状に形成し、上側部材21Bの下縁を凹形状に形成し、下側部材21Aの上縁と上側部材21Bの下縁とを凹凸の嵌め合せによって連結することができる。ただし、下側部材21Aと上側部材21Bとは、接着テープや糊、結束具等によって連結された状態が保持されていてもよい。
【0055】
本実施形態の切換ユニット70では、ケーシング本体21が下側部材21Aと上側部材21Bとに分割されているので、下側部材21Aから上側部材21Bを取り外すことによって第1~第4弁EV1~EV4と第1~第10冷媒管P1~P10を露出することができ、これらのメンテナンス等を行うことができる。
【0056】
図6は、切換ユニットを
図4のA-A部分で切断した断面図である。
図4及び
図6に示すように、ケーシング本体21の底板22の上面には、上方へ突出する突部22aが設けられている。この突部22aは略直方体のブロック状に形成されている。突部22aの上面にはいずれかの冷媒管が載せられている。突部22aは冷媒管を下側から支持している。このように突部22aが冷媒管を下側から支持することで、第1、第2側板24,25の下側部分24A,25Aにかかる冷媒管P1~P10及び弁EV1~EV4の荷重を緩和することができ、発泡樹脂材により形成された第1、第2側板24,25の損傷を抑制することができる。
【0057】
図2に示すように、電装品箱80は、ケーシング20に取り付けられている。具体的に、本実施形態では、電装品箱80が、ケーシング本体21の第3側板26に取り付けられている。電装品箱80は、第1~第4弁EV1~EV4を制御するための制御基板が収容されている。この制御基板と第1~第4弁EV1~EV4とはハーネス(電気配線)によって接続されている。ケーシング20に対する電装品箱80に取付構造については、次の第2の実施形態に係る冷媒回路ユニット(遮断弁装置)を説明した後にまとめて説明する。
【0058】
[第2の実施形態]
図7は、本開示の第2の実施形態に係る空気調和機の冷媒回路図である。
本実施形態の空気調和機100は、第1の実施形態と同様に室外機110と室内機120とを備えているが、切換ユニット70を備えていない。本実施形態の空気調和機100は、切換ユニット70に代えて遮断弁装置(冷媒回路ユニット)71を備えている。
【0059】
空気調和機100は、第1実施形態の空気調和機と同様に、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことで空調対象空間を冷暖房する。空気調和機100は、熱源ユニットとしての室外機110と、利用ユニットとしての室内機120と、室外機110と室内機120との間に設けられた遮断弁装置71とを備える。本実施形態の空気調和機100においては、1つの室外機110に複数の室内機120が液連絡管11及びガス連絡管14で接続されている。液連絡管11及びガス連絡管14は、複数の室内機120に対応して複数に分岐されている。
【0060】
本実施形態の空気調和機100は、第1の実施形態の空気調和機100とは異なり、複数の室内機120で同時に冷房運転のみ又は同時に暖房運転のみを行うことができる。空気調和機100が冷房運転を行うとき、液連絡管11には室外機110から室内機120に向けて高圧の液冷媒が流れ、ガス連絡管14には室内機120から室外機110へ向けて低圧のガス冷媒が流れる。空気調和機100が暖房運転を行うとき、ガス連絡管14には室外機110から室内機120へ向けて高圧のガス冷媒が流れ、液連絡管11には室内機120から室外機110に向けて高圧の液冷媒が流れる。
【0061】
室外機110には、冷媒回路を構成する圧縮機、室外熱交換器、膨張弁、四路切換弁等が設けられている。室外機110内の冷媒回路は、液連絡管11及びガス連絡管14で室内機120の冷媒回路に接続されている。
【0062】
室内機120内には、室内熱交換器52を有する冷媒回路と、室内ファン53とが設けられている。室内熱交換器52の液側端は、液管54の一端に接続されている。室内熱交換器52のガス側端はガス管55の一端に接続されている。液管54及びガス管55の他端は、他の管を接続するための継手部(接続口)T3(
図11(b)参照)を構成する。室内熱交換器52に流入した冷媒は、室内ファン53が生成する空気流と熱交換し、室内熱交換器52から排出される。室内ファン53は、室内空間から室内機120内部に流入し、室内熱交換器52を通過してから室内空間へ流出する空気流を生成する。
【0063】
遮断弁装置71は、液連絡管11及びガス連絡管14に設けられ、空気調和機100の冷媒回路の一部を構成している。遮断弁装置71は、室内機120において冷房の漏洩が発生したときに、室内機120への冷媒の流れを遮断することによって更なる冷媒の漏洩を抑制するために設けられている。なお、室内機120又は室内には、冷媒の漏洩を検知する冷媒センサ(図示省略)が設けられ、この冷媒センサが冷媒の漏洩を検知すると、遮断弁装置71の遮断弁EV5,EV6が閉じるように構成されている。
【0064】
遮断弁装置71は、第1ユニット72と、第2ユニット73とを有する。第1ユニット72と、第2ユニット73とは別体で構成されている。
【0065】
図10は、遮断弁装置の弁及び冷媒管を示す斜視図である。
図7及び
図10に示すように、第1ユニット72は、第1遮断弁EV5と、冷媒管P11とを有する。冷媒管P11は、液連絡管11に接続されている。冷媒管P11は、液連絡管11に接続されることによって液連絡管11の一部を構成している。
【0066】
第1遮断弁EV5は、冷媒管P11に設けられている。第1遮断弁EV5は、電動弁又は電磁弁により構成され、開度を調整可能である。ただし、第1遮断弁EV5は、開状態と閉状態とに切り替え可能な開閉弁であってもよい。本実施形態の第1遮断弁EV5は、冷房運転の際に室内熱交換器52に流れる冷媒を減圧する膨張弁としても用いられるため、開度を調整可能な電動弁が採用される。
【0067】
第2ユニット73は、第2遮断弁EV6と、冷媒管P12とを有する。冷媒管P12は、ガス連絡管14に接続されている。冷媒管P12は、ガス連絡管14に接続されることによってガス連絡管14の一部を構成している。
【0068】
第2遮断弁EV6は、冷媒管P12に設けられている。第2遮断弁EV6は、電動弁又は電磁弁により構成され、開度を調整可能である。ただし、第2遮断弁EV6は、開状態と閉状態とに切り替え可能な開閉弁であってもよい。冷媒管P12は、両端部が左右方向Xに延び、両端部の間が略Z字状に折り曲げられている。これにより、冷媒管P12は、長さが十分に確保された状態で小型化されている。
【0069】
[空気調和機の運転]
以下、空気調和機100によって、1又は複数の室内機120が冷房を行う場合、1又は複数の室内機120が暖房を行う場合について、
図7を参照して説明する。
【0070】
(冷房運転)
冷房運転では、第1遮断弁EV5は、開度が調整され、第2遮断弁EV6は全開とされる。冷房運転では、室外機110から高圧の液冷媒が液連絡管11に流入し、第1ユニット72の冷媒管P11及び第1遮断弁EV5を経て室内機120に流入する。室内機120に流入する冷媒は、第1遮断弁EV5で減圧される。
【0071】
室内機120に流入する冷媒は、室内熱交換器52において蒸発し、室内を冷房する。蒸発した低圧ガス冷媒は、ガス管55から第2ユニット73の冷媒管P12及び第2遮断弁EV6を流れ、ガス連絡管14に流入し、室外機110に戻る。
【0072】
(暖房運転について)
暖房運転では、第1遮断弁EV5及び第2遮断弁EV6は全開とされる。暖房運転では、室外機110から高圧のガス冷媒がガス連絡管14に流入し、第2ユニット73の冷媒管P12及び第2遮断弁EV6を流れ、室内機120のガス管55に流入する。
【0073】
ガス管55に流入した冷媒は、室内機120の室内熱交換器52に流入して凝縮し、室内を暖房する。凝縮した液冷媒は、液管54、第1ユニット72の冷媒管P11、第1遮断弁EV5を流れ、液連絡管11に流入し、室外機110に戻る。
【0074】
[遮断弁装置の具体的構成]
図8は、遮断弁装置の斜視図である。
図9は、遮断弁装置のケーシングを開いた状態を示す斜視図である。
遮断弁装置71は、第1ユニット72と、第2ユニット73と、電装品箱80とを有する。第1ユニット72は、第1遮断弁EV5と、冷媒管P11と、これらを収容する第1ケーシング30とを備えている。第2ユニット73は、第2遮断弁EV6と、冷媒管P12と、これらを収容する第2ケーシング40とを備えている。
【0075】
第1ケーシング30は、ケーシング本体31を有する。ケーシング本体31は、内部に空間を有する直方体の箱形状に形成されている。第1遮断弁EV5及び冷媒管P11は、ケーシング本体31に収容されている。
【0076】
ケーシング本体31は、底板32と、上板33と、側板34~37とを有している。底板32及び上板33は、平面視において四角形に形成されている。側板34~37は、底板32の4辺と上板33の4辺とを接続している。側板34~37は、左右方向(第1方向)Xの両側に配置された第1側板34及び第2側板35と、前後方向Yの前側に配置された第3側板36と、後側に配置された第4側板37とを有する。
【0077】
第2ケーシング40は、ケーシング本体41を有する。ケーシング本体41は、内部に空間を有する直方体の箱形状に形成されている。第2遮断弁EV6及び冷媒管P12は、ケーシング本体41に収容されている。
【0078】
ケーシング本体41は、底板42と、上板43と、側板44~47とを有している。底板42及び上板43は、平面視において四角形に形成されている。側板44~47は、底板42の4辺と上板43の4辺とを接続している。側板44~47は、左右方向(第1方向)Xの両側に配置された第1側板44及び第2側板45と、前後方向Yの前側に配置された第3側板46と、後側に配置された第4側板47とを有する。
【0079】
第1ユニット72の冷媒管P11は、左右方向Xに延び、ケーシング本体31の第1、第2側板34,35を貫通して外部に突出している。第2ユニット73の冷媒管P12は、その両端部が左右方向Xに延び、ケーシング本体41の第1、第2側板44,45を貫通して外部に突出している。
【0080】
なお、図示はしていないが、第1、第2ユニット72,73のケーシング本体31,41の底板32,42には、第1の実施形態(
図6参照)と同様に、冷媒管P11,P12を下側から支持する突部が形成されている。
【0081】
第1、第2ケーシング30,40のケーシング本体31,41は、合成樹脂製であり、ケーシング30,40の外装を構成する。したがって、第1、第2ケーシング30,40は、板金製の外装を有する従来のケーシングに比べて軽量である。具体的に、ケーシング本体31,41は、発泡ポリスチレン等の発泡樹脂により形成されている。
【0082】
第1ケーシング30のケーシング本体31は、下側部材31Aと、上側部材31Bとによって構成され、上下に分割されている。下側部材31Aは、底板32と、第1,第2側板34,35の一部(第1部分)34A,35Aと、第3、第4側板36,37とによって構成されている。上側部材21Bは、上板33と、第1、第2側板34,35の他の一部(第2部分)34B,35Bとによって構成されている。第1、第2側板34,35は、冷媒管P11が貫通する部分を境に第1部分34A,35Aと第2部分34B,35Bとに分割されている。
【0083】
第2ケーシング40のケーシング本体41は、下側部材41Aと、上側部材41Bとによって構成され、上下に分割されている。下側部材41Aは、底板42と、第1,第2側板44,45の一部(第1部分)44A,45Aと、第3、第4側板46,47とによって構成されている。上側部材41Bは、上板43と、第1、第2側板44,45の他の一部(第2部分)44B,45Bとによって構成されている。第1、第2側板44,45は、冷媒管P12が貫通する部分を境に第1部分44A,45Aと第2部分44B,45Bとに分割されている。
【0084】
第1ユニット72において、冷媒管P11の第1、第2側板34,35を貫通する部分には、弾性部材29が巻き付けられている。この弾性部材29は、断熱材が用いられ、ケーシング本体31内を外部から断熱する機能を有する。弾性部材29は、第1、第2側板34,35の第1部分34A,35Aと第2部分34B,35Bとに挟まれることによって圧縮されている。したがって、弾性部材29は、発泡樹脂材により形成された第1、第2側板34,35の第1部分34A,35Aと第2部分34B,35Bとで冷媒管P11を挟み込んだときの第1部分34A,35Aと第2部分34B,35Bとの変形を抑制する機能を有している。
【0085】
第2ユニット73において、冷媒管P12の第1、第2側板44,45を貫通する部分には、弾性部材29が巻き付けられている。この弾性部材29は、ケーシング本体41内を外部から断熱する機能を有する。弾性部材29は、第1、第2側板44,45の第1部分44A,45Aと第2部分44B,45Bとに挟まれることによって圧縮されている。したがって、弾性部材29は、発泡樹脂材により形成された第1、第2側板44,45の第1部分44A,45Aと第2部分44B,45Bとで冷媒管P12を挟み込んだときの第1部分44A,45Aと第2部分44B,45Bとの変形を抑制する機能を有している。
【0086】
本実施形態の遮断弁装置71は、第1ユニット72と、第1ユニット72とは別体の第2ユニット73とを有している。第1ユニット72は、液連絡管11に接続される冷媒管P11と、冷媒管P11に設けられる第1遮断弁EV5と、冷媒管P11及び第1遮断弁EV5を収容する第1ケーシング30とを備える。第2ユニット73は、ガス連絡管14に接続される冷媒管P12と、冷媒管P12に設けられる第2遮断弁EV6と、冷媒管P12及び第2遮断弁EV6とを収容する第2ケーシング40とを備える。このように、遮断弁装置71が第1ユニット72と第2ユニット73とに分けて構成されることで、各ユニット72,73を小型化することができる。そのため、遮断弁装置71の設置の自由度を高めることができ、従来よりも狭い場所に遮断弁装置71を設置することができる。
【0087】
図8に示すように、電装品箱80は、第1ユニット72の第1ケーシング30に取り付けられている。具体的に、本実施形態では、電装品箱80が、ケーシング本体31の第3側板36に取り付けられている。電装品箱80は、第1、第2遮断弁EV5,EV6を制御するための制御基板が収容されている。この制御基板と第1、第2遮断弁EV5,EV6とはハーネス(電気配線)によって接続されている。
【0088】
電装品箱80は、第2ユニット73のケーシング40に取り付けられていてもよい。ただし、第1ユニット72は、冷媒管P11の太さや長さが、第2ユニット73の冷媒管P12の太さや長さよりも小さく、より軽量であるため、電装品箱80を取り付けたとしても全体の重量はそれほど大きくならない。そのため、第1ユニット72と第2ユニット73との重量のバランスを図るうえで、第1ユニット72に電装品箱80を取り付けることがより好ましい。
【0089】
[冷媒回路ユニットの据付]
図11は、(a)は切換ユニットの設置状態を示す概略的な側面図、(b)は遮断弁装置の設置状態を示す概略的な側面図である。
図11(a)に示すように、第1実施形態で説明した切換ユニット70は、部屋の天井裏(天井140の上側)のスペースSに収容されている。切換ユニット70は、第1、第4、及び第5冷媒管P1,P4,P5の一端T2が、それぞれ液連絡管11、吸入ガス連絡管12、及び高低圧ガス連絡管13の一端T4に接続され、第10冷媒管P10及び第9冷媒管P9の一端T1が、それぞれ液管LP及びガス管GPの一端T3に接続されている。各管の端部T1~T4は、他の管を接続する継手部を構成している。
【0090】
液連絡管11、吸入ガス連絡管12、高低圧ガス連絡管13、液管LP、及びガス管GPは、建物の躯体141等から吊り下げられた吊りボルト(吊り具)131に取り付けられている。切換ユニット70は、ケーシング20(ケーシング本体21)が合成樹脂製であり、従来よりも軽量に形成されているので、直接的に吊りボルト131で支持しなくても吊りボルト131に取り付けられた他の管11,12,13,LP,GPによって支持することができる。そのため、切換ユニット70の支持部品を少なくすることができ、設置の自由度も高めることができる。
【0091】
図11(b)に示すように、第2実施形態で説明した遮断弁装置71は、部屋の天井裏(天井140の上側)のスペースSに収容されている。遮断弁装置71は、冷媒管P11,P12の一端T2が、それぞれ液連絡管11及びガス連絡管14の一端T4に接続され、冷媒管P11,P12の他端T1が、室内機120の液管54及びガス管55の一端(液側及びガス側の接続口)T3に接続されている。各管の端部T1~T4は、他の管を接続する継手部を構成している。
【0092】
液連絡管11、ガス連絡管14、及び室内機120は、建物の躯体141等から吊り下げられた吊りボルト131に取り付けられている。遮断弁装置71は、第1、第2ケーシング30,40(ケーシング本体31,41)が合成樹脂製であり、従来よりも軽量に形成されているので、直接的に吊りボルト131で支持しなくても吊りボルト131に取り付けられた他の管11,14や室内機120によって支持することができる。そのため、遮断弁装置71の支持部品を少なくすることができ、設置の自由度も高めることができる。
【0093】
なお、切換ユニット70及び遮断弁装置71は、吊りボルト131によって直接的に支持されていてもよい。
【0094】
遮断弁装置71を室内機120の液側及びガス側の接続口T3に直接的に接続した場合、遮断弁装置71と室内機120との距離が最短となるため、室内機120から冷媒が漏洩したときに第1、第2遮断弁EV5,EV6を閉じることによって、漏洩する冷媒量を好適に抑制することができる。また、第1ユニット72と第2ユニット73とが別体であり、分離して配置することができるので、例えば室内機120の液側の接続口T3とガス側の接続口T3とが離れて配置されているような場合であっても、それぞれを液側の接続口T3及びガス側の接続口T3に接続することができる。ただし、遮断弁装置71は、他の管を介して室内機120の接続口T3に接続されていてもよい。
【0095】
[電装品箱の取付例]
図12~
図15は、ケーシングに対する電装品箱の取付例を示す断面図である。
図12に示す例では、電装品箱80の上部にフック81が設けられ、このフック81が、ケーシング20,30におけるケーシング本体21,31の第3側板26A,36の上端に形成された溝86に挿入され、電装品箱80が第3側板26A,36に引っ掛けられている。また、第3側板26A,36の下部には電装品箱80側に突出する凸部82が形成され、この凸部82が電装品箱80の下部側面に当接することで電装品箱80の姿勢が保持されている。フック81は、電装品箱80と同様に金属製である。
【0096】
溝86及び凸部82は、第4側板27A,37にも形成され、この第4側板27A,37にも電装品箱80を取り付けることができる。また、
図9に示すように、第2ケーシング40のケーシング本体41の側板46,47にも溝86及び凸部82が形成されているので、このケーシング40にも電装品箱80を取り付けることができる。
【0097】
図13に示す例では、電装品箱80の上部にフック81が設けられ、このフック81が、ケーシング本体21,31の第3側板26A,36に上端に形成された溝86に挿入され、電装品箱80が第3側板26A,36に引っ掛けられている。また、第3側板26A,36の下部には電装品箱80側に突出する金属製の支持板83が設けられている。電装品箱80は支持板(支持部材)83上に載せられている。ケーシング本体21,31は、支持板83を埋め込んだ状態で成形される。
【0098】
図14に示す例では、電装品箱80の上部にフック81が設けられ、このフック81が、ケーシング本体21,31の上側部材21B,31Bの上端に形成された溝86に挿入され、電装品箱80が上側部材21B,31Bに引っ掛けられている。第3側板26,36の下部には電装品箱80側に突出する支持板83が設けられている。電装品箱80は支持板83上に載せられている。
図14に示す例において、支持板83を省略し、
図12に示す例と同様に、第3側板26,36の下部に、電装品箱80の姿勢を保持する凸部82を形成してもよい。
【0099】
図15に示す例では、第3側板26,36の内面には金属製の裏板(支持部材)84が設けられ、この裏板84に挿入された金属製のねじ(支持部材)85が電装品箱80にねじ止めされている。また、第3側板26,36の下部には電装品箱80側に突出する支持板83が設けられている。電装品箱80は支持板83上に載せられている。
図15に示す例では、支持板83を省略してもよい。
【0100】
図12、13、及び15に示す例では、電装品箱80がケーシング本体21,31の下側部材21A,31Aに取り付けられているので、下側部材21A,31Aに電装品箱80を取り付けたまま上側部材21B,31Bを取り外すことができ、メンテナンス性を高めることができる。また、電装品箱80の荷重が、下側部材21A,31Aにおける冷媒管の貫通部分に付与されないので、下側部材21A,31Aの変形を抑制することができる。
【0101】
図14に示す例では、電装品箱80の重量を下側部材21A,31Aと上側部材21B,31Bとの双方で負担することができる。そのため、それぞれの変形を抑制することができる。また、電装品箱80の重量を上側部材21B,31Bに負担させることで、下側部材21A,31Aに対して上側部材21B,31Bを閉じる方向に押さえることができ、下側部材21A,31Aと上側部材21B,31Bとの間のシール性を高めることができる。
【0102】
図13~
図15に示す例では、ケーシング20,30が、合成樹脂製のケーシング本体21,31と、金属製の支持部材(支持板83、裏板84、ねじ85)とを備えているが、ケーシング20,30の主要部は軽量なケーシング本体21,31で構成されているので、全体としてケーシング20,30を従来よりも軽量化することができる。
図12に示す例では、ケーシング20,30がケーシング本体21,31のみで構成され、全体が合成樹脂製であるので、ケーシング20,30をより軽量化することができる。
【0103】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態では、冷媒回路ユニットである切換ユニット70及び遮断弁装置71は、弁EV1~EV6と、弁EV1~EV6に接続される冷媒管P1~P12と、弁EV1~EV6及び冷媒管P1~P12を収容するケーシング20,30,40と、を備え、ケーシング20,30の外装が合成樹脂製である。そのため、従来のようにケーシングの外装を板金製とする場合に比べてケーシングを軽量化することができ、切換ユニット70、遮断弁装置71の支持構造を簡素化、設置の自由度の向上等を図ることができる。
【0104】
(2)上記実施形態では、冷媒管P1~P12が、ケーシング20,30,40の側板24,25,34,35,44,45を貫通して当該ケーシング20,30,40の内部から外部へ突出し、ケーシング20,30,40が、冷媒管P1~P12が貫通する部分を境界として上下に分割される上側部材21B,31B,41Bと下側部材21A,31A,41Aとを有している。そのため、下側部材21A,31A,41Aから上側部材21B,31B,41Bを取り外して切換ユニット70及び遮断弁装置71の内部を露出でき、弁EV1~EV6や冷媒管のメンテナンス等を行うことができる。なお、従来技術(例えば、特許文献1)では、板金製のケーシングの内部に弁及び冷媒管を収容し、さらにケーシングの内部に発泡樹脂を充填していたため、ケーシング内の弁及び冷媒管をメンテナンスすることができず、冷媒回路ユニットごと交換する必要があったが、本実施形態では、ケーシング20,30,40を開いて弁及び冷媒管をメンテナンスすることができる。
【0105】
(3)上記実施形態では、ケーシング20,30,40が、下側部材21A,31A,41Aに含まれる底板22,32を有し、底板22,32,42上に冷媒管P1~P12を下方から支持する突部22aが形成されている。そのため、突部22aで冷媒管P1~P12を支持することで、下側部材21A,31Aの冷媒管P1~P12が貫通する部分に荷重が集中するのを抑制することができる。
【0106】
(4)上記実施形態では、弁EV1~EV6を制御するための制御部品を収容した電装品箱80をさらに備え、電装品箱80が、下側部材21A,31Aに取り付けられている。そのため、下側部材21A,31Aにおける冷媒管P1~P12の貫通部分に電装品箱80の重量が付与されないようにすることができる。また、電装品箱80を取り付けたまま下側部材21A,31Aから上側部材21B,31Bを取り外し、弁EV1~EV6のメンテナンス等を行うことができる。
【0107】
(5)上記実施形態では、弁EV1~EV6を制御するための制御部品を収容した電装品箱80をさらに備え、電装品箱80が、上側部材21B,31Bと下側部材21A,31Aとに取り付けられている。そのため、電装品箱80の重量を上側部材21B,31Bと下側部材21A,31Aとによって分散して負担することができ、上側部材21B,31B及び下側部材21A,31Aの変形を抑制することができる。電装品箱80の重量を上側部材21B,31Bに負担させることで、下側部材21A,31Aに対して上側部材21B,31Bを閉じる方向に押さえることができ、下側部材21A,31Aと上側部材21B,31Bとの間のシール性を高めることができる。
【0108】
(6)上記実施形態では、弁EV1~EV6を制御するための制御部品を収容した電装品箱80をさらに備え、ケーシング20,30には、電装品箱80を支持する金属製の支持部材83~85が設けられている。そのため、ケーシング20,30によって電装品箱80を安定して支持することができる。ケーシング20,30のうち支持部材83~85のみを金属製とした場合、重量増加を抑制することができる。
【0109】
(7)上記実施形態では、ケーシング20,30の全体が合成樹脂製である。そのため、ケーシングをより軽量化することができる。
【0110】
(8)上記実施形態の切換ユニット70及び遮断弁装置71は、冷媒管P1~P12のケーシング20,30を貫通する部分に取り付けられ、上側部材21B,31Bと下側部材21A,31Aとによって圧縮される弾性部材29をさらに備えている。そのため、冷媒管P1~P12が貫通する部分において下側部材21A,31Aと上側部材21B,31Bとにかかる負荷を軽減し、ケーシング20,30の変形を抑制することができる。
【0111】
[その他の変形例]
本開示は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、冷媒回路ユニットである切換ユニット70には、複数台の室内機120が接続されていてもよい。
【0112】
遮断弁装置71は、例えば
図1に示されるような冷暖房同時運転が可能な空気調和機100に設けられていてもよい。この場合、遮断弁装置71は、切換ユニット70と室内機120との間に設けられていてもよいし、切換ユニット70と室外機110との間に設けられていてもよい。
【0113】
冷媒回路ユニットのケーシング20,30,40を構成するケーシング本体21,31,41は、発泡樹脂以外の材料、好ましくは断熱性を有し金属よりも軽量な材料(例えば、グラスウール等を利用した素材)で形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0114】
11 :液連絡管
12 :吸入ガス連絡管
13 :高低圧ガス連絡管
14 :ガス連絡管
20 :ケーシング
21 :ケーシング本体
21A :下側部材
21B :上側部材
24 :第1側板
24A :下側部分
24B :上側部分
25 :第2側板
25A :下側部分
25B :上側部分
29 :弾性部材
30 :第1ケーシング
31 :ケーシング本体
31A :下側部材
31B :上側部材
34 :第1側板
34A :第1部分
34B :第2部分
35 :第2側板
35A :第1部分
35B :第2部分
40 :第2ケーシング
41A :下側部材
41B :上側部材
44 :第1側板
45 :第2側板
70 :切換ユニット
71 :遮断弁装置
72 :第1ユニット
73 :第2ユニット
80 :電装品箱
83 :支持板(支持部材)
84 :裏板(支持部材)
85 :ねじ(支持部材)
100 :空気調和機
110 :室外機
120 :室内機
EV1 :第1弁
EV2 :第2弁
EV3 :第3弁
EV4 :第4弁
EV5 :第1遮断弁
EV6 :第2遮断弁
P1 :第1冷媒管
P2 :第2冷媒管
P3 :第3冷媒管
P4 :第4冷媒管
P5 :第5冷媒管
P6 :第6冷媒管
P7 :第7冷媒管
P8 :第8冷媒管
P9 :第9冷媒管
P10 :第10冷媒管
P11 :冷媒管
P12 :冷媒管