(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20240919BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240919BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20240919BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20240919BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H01L29/78 655F
H01L29/78 653A
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652K
H01L29/06 301R
H01L29/78 652M
H01L29/91 L
H01L29/91 D
H01L29/78 657D
H01L29/78 652N
H01L29/78 655D
(21)【出願番号】P 2021153420
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】松下 憲一
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0198605(US,A1)
【文献】特開2017-147431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/739
H01L 29/78
H01L 29/06
H01L 29/861
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第2導電形の第3半導体層と、を含む半導体部と、
前記半導体部の裏面上に設けられる第1電極と、
前記半導体部の表面上に設けられる第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に電気的に接続され、前記半導体部の前記表面側から前記半導体部中に延在した第3電極と、
前記第3電極と前記半導体部との間に設けられ、前記第3電極を前記半導体部から電気的に絶縁する第1絶縁膜と、
前記半導体部の前記表面上に設けられ、前記第2電極から離間した第4電極と、
を備え、
前記半導体部は、活性領域と、前記裏面に平行な平面内において前記活性領域を囲む終端領域と、を含み、前記第2電極は、前記活性領域上に設けられ、
前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に電気的に接続され、前記第3半導体層は、前記半導体部の前記表面側に設けられ、前記活性領域と前記終端領域との境界に沿って前記第2半導体層を囲み、前記第2半導体層から離間するように設けられ、
前記第3電極は、前記半導体部の前記表面側から前記第1半導体層中に延在し、前記第1絶縁膜を介して、前記第2半導体層に向き合い、前記半導体部の表面に沿って、前記第3半導体層中に延在するように設けられ、
前記第4電極は、前記第3半導体層上に設けられ、前記第3半導体層に電気的に接続され、前記第3電極の前記第3半導体
層中に延在した部分に電気的に接続され、
前記第3半導体層は、前記第3電極および前記第4電極を介して、前記第2電極に電気的に接続された半導体装置。
【請求項2】
前記第2電極と前記第3電極との間に設けられた第2絶縁膜をさらに備え、
前記第3電極は、前記第2絶縁膜に設けられたコンタクトホールを介して、前記第2電極に電気的に絶縁される請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2絶縁膜は、前記半導体部と前記第4電極との間に延在し、
前記第3半導体層および前記第3電極は、前記第2絶縁膜に設けられた別のコンタクトホールを介して、それぞれ、前記第4電極に電気的に絶縁される請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記半導体部の前記表面側の別のトレンチの内部に配置された制御電極と、
前記制御電極と前記半導体部との間に設けられる第3絶縁膜と、
をさらに備え、
前記第2半導体層は、前記第3絶縁膜を介して、前記制御電極と向き合い、
前記第2絶縁膜は、前記第2電極と前記制御電極との間に延在し、前記制御電極を前記第2電極から電気的に絶縁し、
前記半導体部は、前記第1導電形の第4半導体層をさらに含み、
前記第4半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に部分的に設けられ、前記第3絶縁膜に接し、前記第2電極に電気的に接続される請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体部の
トレンチの内部に設けられ、前記第3電極と前記第2電極との間に配置された制御電極と、
前記制御電極と前記半導体部との間に設けられる第3絶縁膜と、
前記制御電極と前記第3電極との間に設けられる第4絶縁膜と、
をさらに備え、
前記第2半導体層は、前記第3絶縁膜を介して、前記制御電極と向き合い、
前記第2絶縁膜は、前記第2電極と前記制御電極との間に延在し、前記制御電極を前記第2電極から電気的に絶縁し、
前記半導体部は、前記第1導電形の第4半導体層をさらに含み、
前記第4半導体層は、前記第2半導体層と前記第2電極との間に部分的に設けられ、前記第3絶縁膜に接し、前記第2電極に電気的に接続される請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体部は、前記第1半導体層と前記第1電極との間に設けられる前記第2導電形の第5半導体層をさらに含む、請求項2乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3半導体層は、前記活性領域と前記終端領域との前記境界に沿って並ぶ複数の第1部分と、隣り合う2つの第1部分との間に設けられた第2部分とを有し、
前記第2部分は、前記第1部分における第2導電形不純物の濃度よりも低濃度の第2導電形不純物を含む請求項1乃至6のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2半導体層は、前記半導体部の前記表面に平行な平面視において、四角形の外縁を有し、
前記第2半導体層の前記外縁の角から前記第3半導体層に至る第1距離は、前記
第2半導体層の前記外縁の辺から前記第3半導体層に至る第2距離よりも
短い請求項1乃至7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換器等に用いられる半導体装置には、高い信頼性が要求される。例えば、高電圧、高電流に対する破壊耐量が大きいことが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、信頼性を向上させた半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、半導体部と、第1電極と、第2電極と、第3電極と、第1絶縁膜と、第4電極と、を備える。前記半導体部は、第1導電形の第1半導体層と、第2導電形の第2半導体層と、前記第2導電形の第3半導体層と、を含む。前記第1電極は、前記半導体部の裏面上に設けられ、前記第2電極は、前記半導体部の表面上に設けられる。前記第3電極は、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に電気的に接続され、前記半導体部の前記表面側から前記半導体部中に延在する。前記第1絶縁膜は、前記第3電極と前記半導体部との間に設けられ、前記第3電極を前記半導体部から電気的に絶縁する。前記第4電極は、前記半導体部の前記表面上に設けられ、前記第2電極から離間する。前記半導体部は、活性領域と、前記裏面に平行な平面内において前記活性領域を囲む終端領域と、を含み、前記第2電極は、前記活性領域上に設けられる。前記第1半導体層は、前記第1電極と前記第2電極との間に延在し、前記第2半導体層は、前記第1半導体層と前記第2電極との間に設けられ、前記第2電極に電気的に接続される。前記第3半導体層は、前記半導体部の前記表面側に設けられ、前記活性領域と前記終端領域との境界に沿って前記第2半導体層を囲み、前記第2半導体層から離間するように設けられる。前記第3電極は、前記半導体部の前記表面側から前記第1半導体層中に延在し、前記第1絶縁膜を介して、前記第2半導体層に向き合い、前記半導体部の表面に沿って、前記第3半導体層中に延在するように設けられる。前記第4電極は、前記第3半導体層上に設けられ、前記第3半導体層に電気的に接続され、前記第3電極の前記第3半導体中に延在した部分に電気的に接続される。前記第3半導体層は、前記第3電極および前記第4電極を介して、前記第2電極に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図2】実施形態に係る半導体装置を示す別の模式断面図である。
【
図3】実施形態に係る半導体装置を示す模式平面図である。
【
図4】実施形態に係る半導体装置の第1の特性を示す模式図である。
【
図5】実施形態に係る半導体装置の第2の特性を示すグラフである。
【
図6】実施形態に係る半導体装置の第3の特性を示す模式図である。
【
図7】実施形態に係る半導体装置の第4の特性を示す模式図である。
【
図8】実施形態に係る半導体装置の第5の特性を示す模式図である。
【
図9】実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す模式図である。
【
図10】実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す模式平面図である。
【
図11】実施形態の第3変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図12】実施形態の第4変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図13】実施形態の第5変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【
図14】実施形態の第6変形例に係る半導体装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式断面図である。
図2(a)~(c)は、実施形態に係る半導体装置1を示す別の模式断面図である。
図2(a)は、
図1中に示すA-A線に沿った断面図である。
図2(b)は、
図1中に示すB-B線に沿った断面図である。
図2(c)は、
図1中に示すC-C線に沿った断面図である。
【0010】
半導体装置1は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。半導体装置1は、活性領域ARと、終端領域TRと、を含む。
図1は、活性領域ARを示す断面図である。
図2(a)~(c)は、終端領域TRを示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、半導体装置1は、半導体部10と、第1電極20と、第2電極30と、第3電極40、制御電極50と、を含む。半導体部10は、表面10Fと、その反対側の裏面10Bを有する。半導体部10は、例えば、シリコンである。第1電極20は、半導体部10の裏面上に設けられる。第2電極30は、半導体部10の表面上に設けられる。第1電極20は、例えば、コレクタ電極である。第2電極30は、例えば、エミッタ電極である。
【0012】
第3電極40は、第1電極20と第2電極30との間に設けられる。第3電極40は、半導体部10の表面側に設けられたトレンチTG1の内部に配置される。第3電極40は、第1絶縁膜43により半導体部10から電気的に絶縁される。また、第2電極30と第3電極40との間には、第2絶縁膜45が設けられる。第2絶縁膜45は、例えば、層間絶縁膜である。第1絶縁膜43および第2絶縁膜45は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0013】
制御電極50は、第1電極20と第2電極30との間に設けられる。制御電極50は、半導体部10の表面側に設けられたトレンチTG2の内部に配置される。制御電極50は、第3絶縁膜53により半導体部10から電気的に絶縁される。また、制御電極50は、第2絶縁膜45により第2電極30から電気的に絶縁される。第3絶縁膜53は、例えば、ゲート絶縁膜である。第3絶縁膜53は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0014】
図1および
図2(a)~(c)に示すように、半導体部10は、例えば、第1導電形の第1半導体層11と、第2導電形の第2半導体層13と、第2導電形の第3半導体層15と、第1導電形の第4半導体層17と、第2導電形の第5半導体層19と、第1導電形の第6半導体層21と、を含む。以下、第1導電形をn形、第2導電形をp形として説明する。
【0015】
第1半導体層11は、第1電極20と第2電極30との間に延在する。第1半導体層11は、例えば、n形ベース層である。第3電極40および制御電極50は、半導体部10の表面側から第1半導体層11中に延在する。
【0016】
第2半導体層13は、第1半導体層11と第2電極30との間に設けられる。第2半導体層13は、例えば、p形ベース層である。第2半導体層13は、第1絶縁膜43を介して、第3電極40に向き合うように設けられる。また、第2半導体層13は、第3絶縁膜53を介して、制御電極50に向き合うように設けられる。
【0017】
第3半導体層15は、半導体部10の表面側において、活性領域ARと終端領域TRとの境界に設けられる。第3半導体層15は、例えば、p形ガードリングである。第3半導体層15は、第2半導体層13から離間するように設けられる。
【0018】
第4半導体層17は、第2半導体層13と第2電極30との間に部分的に設けられる。第4半導体層17は、例えば、n形エミッタ層である。第4半導体層17は、第3絶縁膜53に接するように設けられる。第2電極30は、第2半導体層13および第4半導体層17に電気的に接続される。
【0019】
第5半導体層19は、第1半導体層11と第1電極20との間に設けられる。第5半導体層19は、例えば、p形コレクタ層である。第1電極20は、第5半導体層19に電気的に接続される。
【0020】
第6半導体層21は、第1半導体層11と第5半導体層19との間に設けられる。第6半導体層21は、第1半導体層11の第1導電形不純物の濃度よりも高濃度の第1導電形不純物を含む。第6半導体層21は、例えば、n形バッファ層である。
【0021】
図2(a)~(c)に示すように、半導体部10は、終端領域TRにおいて、第1導電形の第7半導体層23と、第2導電形の第8半導体層25と、をさらに含む。
【0022】
第7半導体層23は、半導体部10の表面側において、第3半導体層15から離間した位置に設けられる。第7半導体層23は、第1半導体層11の第1導電形不純物の濃度よりも高濃度の第1導電形不純物を含む。第7半導体層23は、例えば、n形EQPR(Equivalent Potential Ring)である。
【0023】
第8半導体層25は、半導体部10の表面側において、第3半導体層15と第7半導体層23との間に設けられる。第8半導体層25は、第3半導体層15および第7半導体層23から離間した位置に設けられる。第8半導体層25は、例えば、p形ガードリングである。例えば、複数の第8半導体層25を第3半導体層15と第7半導体層23との間に設けても良い。
【0024】
半導体装置1は、第4電極60と、第5電極65と、制御配線70と、をさらに備える。第4電極60および第5電極65は、半導体部10の終端領域TR上に設けられる。制御配線70は、例えば、活性領域AR上に設けられる。
【0025】
第2絶縁膜45は、活性領域ARから終端領域TRに延在し、半導体部10の終端領域TRの表面を覆う。第4電極60および第5電極65は、第2絶縁膜45上に設けられる。制御配線70は、第2絶縁膜45により半導体部10および第3電極40から電気的に絶縁される。
【0026】
第4電極60は、第3半導体層15の上方に設けられる。すなわち、第3半導体層15は、例えば、Z方向において、第1半導体層11と第4電極60との間に設けられる。第4電極60は、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して、第3半導体層15に電気的に接続される。第4電極60は、例えば、フィールドプレート電極である。
【0027】
図2(a)に示すように、第4電極60は、第3電極40の端部の上方にも設けられる。第4電極60は、第2絶縁膜45に設けられた別のコンタクトホールを介して、第3電極40に電気的に接続される。また、第3半導体層15は、活性領域ARにおいて、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して、第2電極30に電気的に接続される。すなわち、第3半導体層15は、第4電極60および第3電極40を介して、第2電極30に電気的に接続される。
【0028】
第5電極65は、第2絶縁膜45を介して、第8半導体層25の上に設けられる。第5電極65は、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して、第8半導体層25に電気的に接続される。第5電極65は、複数の第8半導体層25の上にそれぞれ設けられる。第5電極65は、例えば、フィールドプレート電極である。
【0029】
図2(b)に示すように、第3半導体層15は、第2半導体層13から離間して設けられる。第2半導体層13は、第2電極30に電気的に接続され、第2電極30と同電位になる。一方、第3半導体層15は、第4電極60および第3電極40を介して、第2電極30に電気的に接続される。第3電極40は、例えば、導電性のポリシリコンを用いて形成される。例えば、ポリシリコン中の不純物のドーピングレベルにより、第3電極40の電気抵抗を制御することができる。第3半導体層15は、所定の電気抵抗を介して、第2電極30に電気的に接続される。
【0030】
図2(c)に示すように、制御配線70は、例えば、半導体部10の表面側において、第2電極30と第4電極60との間に設けられる。制御配線70は、第2電極30および第4電極60から離間して設けられる。制御配線70は、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して、制御電極50に電気的に接続される。
【0031】
なお、上記の例において、第5半導体層19(p形コレクタ層)は、活性領域ARから終端領域TRに延在するように設けられるが、実施形態はこれに限定される訳ではない。例えば、第5半導体層19が終端領域TR中に延在しない構造であっても良い。その場合、第6半導体層21は、終端領域TRにおいて第1電極20に接続される。
【0032】
図3は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式平面図である。
図3は、半導体部10の表面10Fを表す平面図である。なお、
図3では、第4半導体層17、第1絶縁膜43および第3絶縁膜53を省略している。
【0033】
図3に示すように、第3半導体層15は、第2半導体層13を囲むように設けられる。また、第3半導体層15と同じように、第8半導体層25(図示しない)も第2半導体層13を囲む。
【0034】
第3電極40および制御電極50は、例えば、Y方向に延在する。第3電極40および制御電極50は、第2半導体層13および第3半導体層15に跨って延在する。第3電極40および制御電極50の両端は、それぞれ、第3半導体層15中に位置する。
【0035】
第3半導体層15は、第2半導体層13から離間して設けられる。第2半導体層13と第3半導体層15との間には、第1半導体層11の一部が露出される。第2半導体層13から第3半導体層15までの第1距離Lcは、好適に設定される。
【0036】
図4(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1の第1の特性を示す模式図である。
図4(a)は、半導体装置1の部分断面図である。
図4(b)は、半導体装置1のオフ時における電圧電流特性を示す。横軸は、第1電極20と第2電極30との間に印加される電圧Vceである。縦軸は、第1電極20と第2電極30との間に流れる電流Icである。
【0037】
図4(a)に示すように、第4電極60は、電気抵抗Rpを介して、第2電極30に電気的に接続される。第4電極60は、第3電極40を介して、第2電極30に電気的に接続される(
図2(a)参照)。すなわち、電気抵抗Rpは、第3電極40の電気抵抗である。また、第3半導体層15は、第4電極60に電気的に接続されている。言い換えれば、第3半導体層15は、電気抵抗Rpを介して、第2電極30に電気的に接続されている。
【0038】
第2半導体層13と第3半導体層15との間には、第1半導体層11の一部が延在する。第1半導体層11は、例えば、第2半導体層13と第3半導体層15との間において、第2絶縁膜45に接するように設けられる。このため、第2半導体層13と第3半導体層15は、半導体装置1のオフ時において、第1半導体層11と第2絶縁膜45との間に誘起されるp形反転層を介して電気的に接続される。ここでは、p形反転層のチャネル抵抗をRcとする。
【0039】
半導体装置1のオフ時における電圧電流特性は、電気抵抗Rpとチャネル抵抗Rcのバランスで決まる。電気抵抗Rpは、例えば、第3電極40に用いられるポリシリコンの不純物濃度により制御される。また、チャネル抵抗Rcは、第2半導体層13から第3半導体層15までの第1距離Lc(
図3参照)により決まる。第1距離Lcが長くなれば、チャネル抵抗Rcは大きくなる。
【0040】
図4(b)は、第1距離Lc1~Lc4をパラメータとして、半導体装置1の電流電圧特性を示している。ここで、電気抵抗Rpは、1×10
12Ωμmである。Lc1~Lc4は、Lc1<Lc2<Lc3<Lc4の関係にある。
【0041】
図4(b)に示すように、第1距離LcをLc1からLc2に長くすると、降伏電圧VBは、VB1からVB2へ上昇する。さらに、第1距離LcをLc3、Lc4と長くすると、降伏線圧VBは、VB1よりも低いVB3、VB4と低下する。すなわち、第1距離Lcを変化させると、終端領域TRにおける電界分布が変化し、アバランシェ降伏が生じるポイントが、第3半導体層15の外縁15eから第2半導体層13の外縁13eに移ることを反映している。
【0042】
また、第1距離LcをLc2、Lc3およびLc4とした場合、電圧Vceが降伏電圧VB2、VB3およびVB3に達した後、電流Icが増えると共に、電圧Vceが低下する、所謂、スナップバックが生じている。このようなスナップバックが生じると、電流Icが加速的に増加し、過電流による素子破壊に至る場合がある。
【0043】
図5は、実施形態に係る半導体装置1の第2の特性を示すグラフである。
図5の横軸は、第1距離Lcである。縦軸は、降伏電圧VBである。
【0044】
図5に示すように、電気抵抗Rpが1×10
12Ωμmの場合、降伏電圧VBは、第1距離Lcが10μmまで一定である。一方、Lc=10μm~15μmの間では、降伏電圧VBは上昇する。さらに、第1距離Lcが15μmを超えて長くなると、降伏電圧VBは低下する。
【0045】
第1距離Lcが10μm以下では、チャネル抵抗Rcが小さく、第2半導体層13と第3半導体層15との間の電位差が小さい。このため、第3半導体層15の外縁15e(
図4(a)参照)の電界が高くなり、外縁15eにおいてアバランシェ降伏が生じる。第1距離Lcが15μmを超えると、チャネル抵抗Rcが大きくなり、第2半導体層13と第3半導体層15との間の電位差が大きくなる。このため、第2半導体層13の外縁13eにおいてアバランシェ降伏が生じるようになる。
【0046】
このように、Rp=1×1012Ωμmとすると、アバランシェ降伏の降伏点が第3半導体層15の外縁15eから第2半導体層13の外縁13eに移る間の中間状態において、降伏電圧VBが上昇する。
【0047】
一方、Rp=1×10
6Ωμmの場合、降伏電圧VBは、第1距離Lcが20μmになるまで一定であり、第1距離Lcが20μmを超えると、降伏線圧VBは低下する。電気抵抗Rpが小さくなると、第3半導体層15と第2電極30との間の電圧降下が小さくなる。このため、第1距離Lcを長くしても、第3半導体層15の外縁15e(
図4(a)参照)の電界が高く維持される。すなわち、第3半導体層15の外縁15eにおけるアバランシェ降伏が支配的に維持される。第1距離Lcが20μmを超えると、第2半導体層13の外縁13e(
図4(a)参照)において、アバランシェ降伏が生じるようになり、降伏線圧VBが低下する。
【0048】
図6は、実施形態に係る半導体装置1の第3の特性を示す模式図である。
図6は、Rp=1×10
9Ωμm、1×10
6Ωμm、Lc=20μmとした時の電圧電流特性を表している。横軸は、電圧Vceであり、縦軸は、電流Icである。
【0049】
電気抵抗Rpを1×109Ωμmとした場合、降伏電圧VB1においてアバランシェ降伏した後、電流Icの上昇と共に電圧Vceが上昇する特性を示す。最終的に、降伏電圧VBは、VB1よりも高い耐圧VBfに至る。すなわち、電気抵抗Rpを1×106Ωμmと1×1012Ωμmとの間の中間の値に設定することにより、Rp=1×106Ωμmとした時の降伏電圧VB1よりも高い降伏電圧VBfを得ることが可能となる。
【0050】
さらに、最初のアバランシェ降伏の後において、電流Icの増加と共に、電圧Vceが上昇する特性を得ることができる。これにより、所謂、ブレイクオーバー耐量を向上させることが可能となり、例えば、スナップバックによる素子破壊を防ぐことができる。
【0051】
図7(a)~(e)は、実施形態に係る半導体装置1の第4の特性を示す模式断面図である。
図7(a)~(e)は、Rpを1×10
9Ωμmとして、第1距離Lcを変化させた場合の電圧電流特性を表している。横軸は、電圧Vceであり、縦軸は、電流Icである。
【0052】
図7(a)は、Lc=10μmとした場合の電圧電流特性を表している。
図7(a)に示すように、Vce=VB1において、アバランシェ降伏する。
【0053】
図7(b)に示すように、Lc=12.5μmの場合、Vce=VB1にてアバランシェ降伏した後、電流Icの増加と共に電圧Vceが高くなる。降伏電圧VBは、最終的にVBfに至る。
【0054】
図7(c)および(d)に示すように、Lc=15μmおよびLc=17.5μmの場合、Vce=VBfに達した後、スナップバックが生じている。この場合、スナップバックが生じる電流Isnpは、
図4(b)に示す例よりも大きくなり、ブレイクオーバー耐量が改善される。
【0055】
図7(e)に示すように、Lc=20μmでも、Vce=VB1にてアバランシェ降伏した後、電流Icの増加と共に電圧Vceが高くなる特性を示す。降伏電圧VBは、最終的にVBfに至る。
【0056】
このように、第1距離Lcは、例えば、10μmよりも長く、20μm以下(
図5参照)であることが好ましい。また、第1距離Lcは、12.5μm以上、20μm以下であることがより好ましい。
【0057】
図8は、実施形態に係る半導体装置1の第5の特性を示す模式図である。
図8は、第1距離Lcを15μmとし、電気抵抗Rpを変化させた場合の電圧電流特性を表している。横軸は、電圧Vceであり、縦軸は、電流Icである。
【0058】
図8に示すように、Rp=7×10
6Ωμm~1×10
10Ωμmの範囲において、Vce=VB1でアバランシェ降伏した後、電流Icの上昇と共に電圧Vceが上昇する特性が得られる。すなわち、電気抵抗Rpは、7×10
6Ωμm以上、1×10
10Ωμm以下であることが好ましい。
【0059】
図9(a)および(b)は、実施形態の第1変形例に係る半導体装置2を示す模式図である。
図9(a)は、半導体部10の表面10Fを表す平面図である。
図9(b)は、半導体装置2のオフ時における電圧電流特性を示している。なお、
図9(a)では、第3電極40、制御電極50、第4半導体層17、第1絶縁膜43および第3絶縁膜53を省略している。
【0060】
図9(a)に示すように、半導体装置2は、第2半導体層13と第3半導体層15との間において、第1距離Lcsおよび第2距離Lccを有する。第2半導体層13は、例えば、半導体部10の表面10F(
図1参照)に平行な平面視において、四角形の形状に設けられる。第2半導体層13を囲む第3半導体層15も、四角形の外縁を有する。
【0061】
第1距離Lcsは、第2半導体層13の辺から第3半導体層15の内縁に至る距離である。第2距離Lccは、第2半導体層13のコーナー部から第3半導体層15のコーナー部の内縁に至る距離である。
【0062】
第3半導体層15のコーナー部の外縁では、例えば、オフ時に電界が集中し、終端領域TRの降伏電圧VBを低下させる。このため、第2距離Lccを第1距離Lcsよりも長くすることにより、第3半導体層15のコーナー部における降伏電圧VBを大きくすることが好ましい。これにより、第3半導体層15の外側の辺に沿って、アバランシェ降伏を生じさせることができる。
【0063】
図9(b)に示す電圧電流特性では、横軸を電圧Vce、縦軸を電流Icとしている。
図9(b)に示すように、アバランシェ降伏が生じる前の電流Icは、電界集中が生じ易い第3半導体層15のコーナー部において大きくなる。
【0064】
第3半導体層15において、第2距離Lccを第1距離Lcsよりも長くしたことにより、アバランシェ降伏は、第2半導体層13がら第3半導体層15に至る距離が第1距離Lcsとなる領域の外縁に沿って生じる。これにより、第3半導体層15のコーナー部における電流集中を緩和し、ブレイクオーバー耐量を向上させることができる。
【0065】
図10は、実施形態の第2変形例に係る半導体装置3を示す模式平面図である。
図10は、半導体部10の表面10Fを表す平面図である。なお、
図10では、第3電極40、制御電極50、第4半導体層17、第1絶縁膜43および第3絶縁膜53を省略している。
【0066】
この例でも、第2半導体層13と第3半導体層15との間に、第1距離Lcsおよび第2距離Lccが設けられる。また、第2半導体層13は、半導体部10の表面10F(
図1参照)に平行な平面視において、四角形の形状に設けられる。第2半導体層13を囲む第3半導体層15も、四角形の外縁を有する。
【0067】
図10に示すように、第3半導体層15は、複数の部分15aに分割される。第3半導体層13の隣合う2つの部分15aの間には、接続部15bが設けられる。接続部15bは、複数の部分15aにおける第2導電形不純物の濃度よりも低濃度の第2導電形不純物を含む。
【0068】
第1距離Lcsは、第2距離Lccよりも短い。また、第1距離Lcsは、第2半導体層13の辺と、第3半導体層15の複数の部分15aのうちの第2半導体層13の辺に向き合う部分15aの内縁と、の間に設けられる。第2距離Lccは、第2半導体層13のコーナー部と、第3半導体層15のコーナー部に位置する部分15aの内縁との間に設けられる。また、第2距離Lccは、第2半導体層13と、第3半導体層15の接続部15bと、の間にも設けられる。
【0069】
このように、第3半導体層15を接続部15bを介して分割することにより、オフ時における各部分15aの電位が相互に異なるように構成することができる。また、アバランシェ降伏は、例えば、第3半導体層15の第1距離Lcsを有する部分15aの外縁において生じる。この例でも、アバランシェ降伏の降伏点を分散させることにより、電流集中を緩和し、ブレイクオーバー耐量を向上させることができる。
【0070】
図11(a)~(c)は、実施形態の第3変形例に係る半導体装置4を示す模式断面図である。
図11(a)は、
図1中に示すA-A線に沿った活性領域ARの断面図である。
図11(b)は、
図1中に示すB-B線に沿った活性領域ARの断面図である。
図11(c)は、
図1中に示すC-C線に沿った活性領域ARの断面図である。
【0071】
図11(a)に示すように、半導体装置4は、例えば、Y方向に並ぶ2つの第3電極40を含む。第3電極40は、それぞれ、半導体部10と第2電極30との間に設けられる。第2電極30と第3電極40との間には、第2絶縁膜45が設けられる。第3電極40は、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して、第2電極30に電気的に接続される。また、第3電極40は、第2絶縁膜45に設けられた別のコンタクトホールを介して、第4電極60に電気的に接続される。
【0072】
半導体装置4は、例えば、制御配線70aと、制御配線70bと、制御配線70cと、を含む。制御配線70a、70bおよび70cは、例えば、半導体部10の表面側に設けられる制御パッド(図示しない)に電気的に接続される。制御配線70a、70bおよび70cは、半導体部10の表面側に設けられ、第2絶縁膜45により半導体部10から電気的に絶縁される。制御配線70aおよび70bは、例えば、活性領域AR(
図2(a)参照)におけるY方向の両端に設けられる。制御配線70cは、制御配線70aと制御配線70bとの間に設けられる。
【0073】
半導体装置4は、所謂、フィンガー部FPを有する。フィンガー部FPは、第2導電形の第9半導体層27と、制御配線70cと、を含む。第9半導体層27は、2つの第3電極40の間に設けられる。制御配線70cは、第2絶縁膜45を介して、第9半導体層27の上に設けられる。
【0074】
2つの第3電極40は、それぞれ、第9半導体層27中に位置する端部を含む。第3電極40は、例えば、第2半導体層13の第9半導体層27中に位置する端部に接続される。また、第3電極40は、第9半導体層27中に位置する端部とは反対側の端部において、第4電極60に接続される。
【0075】
図11(b)に示すように、第9半導体層27は、第2半導体層13から離間して設けられる。第2半導体層13と第9半導体層27との間には、第1半導体層11の一部が延在し、第2絶縁膜45に接する。この場合、第9半導体層27は、例えば、X方向の端(図示しない)において、第3半導体層15につながるように設けられる。
【0076】
図11(c)に示すように、制御電極50は、Y方向に延在し、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して制御配線70a、70bおよび70cに接続される。制御電極50は、例えば、Y方向の両端において、制御配線70aおよび70bにそれぞれ接続される。制御電極50は、フィンガー部FPにおいて、第9半導体層27の一部と、制御配線70cと、の間に位置する部分を有する。制御電極50は、フィンガー部FPにおいて、制御配線70cに接続される。
【0077】
図12(a)~(c)は、実施形態の第4変形例に係る半導体装置5を示す模式断面図である。
図12(a)は、
図1中に示すA-A線に沿った活性領域ARの断面図である。
図12(b)は、
図1中に示すB-B線に沿った活性領域ARの断面図である。
図12(c)は、
図1中に示すC-C線に沿った活性領域ARの断面図である。半導体装置5は、第2半導体層13と、第3半導体層15と、第9半導体層27と、の関係において、半導体装置4と相違する。
【0078】
図12(a)に示すように、半導体装置4は、例えば、Y方向に並ぶ2つの第3電極40を含む。第3電極40は、第2電極30に電気的に接続される。また、第3電極40は、第4電極60に電気的に接続される。
【0079】
フィンガー部FPは、第9半導体層27と、制御配線70cと、を含む。第9半導体層27は、2つの第3電極40の間に設けられる。制御配線70cは、第2絶縁膜45を介して、第9半導体層27の上に設けられる。
【0080】
図12(b)に示すように、第9半導体層27は、第2半導体層13につながるように設けられる。この場合、第9半導体層27は、例えば、X方向の端(図示しない)において、第3半導体層15から離間するように設けられる。
【0081】
図12(c)に示すように、制御電極50は、Y方向に延在し、制御配線70a、70bおよび70cに接続される。制御電極50は、例えば、Y方向の両端において、制御配線70aおよび70bにそれぞれ接続される。また、制御電極50は、フィンガー部FPにおいて、制御配線70cに接続される。
【0082】
図13(a)および(b)は、実施形態の第5変形例に係る半導体装置6を示す模式断面図である。
図13(b)は、
図13(a)中に示すD-D線に沿った断面図である。半導体装置6は、例えば、MOSFETである。
【0083】
図13(a)に示すように、第3電極40および制御電極50は、1つのトレンチTG1の内部に設けられる。第3電極40は、第1電極20と制御電極50との間に設けられる。制御電極50は、第2電極30と第3電極40との間に設けられる。
【0084】
第3電極40は、トレンチTG1の底面側に設けられ、第1絶縁膜43を介して、第1半導体層11に向き合う。また、制御電極50は、第3絶縁膜53を介して、第2半導体層13に向き合う。第3電極40と制御電極50との間には、第4絶縁膜55が設けられる。第4絶縁膜55は、第3電極40を制御電極50から電気的に絶縁する。第4絶縁膜55は、例えば、シリコン酸化膜である。
【0085】
図13(b)に示すように、第3電極40および制御電極50は、例えば、Y方向に延在する。また、2つの制御電極50がY方向に並ぶ。第3電極40は、トレンチTG1のY方向の両端において、上方に延びるコンタクト部40aおよび40bを有する。また、第3電極40は、2つの制御電極50の間において、上方に延びるコンタクト部40cを有する。
【0086】
第2電極30は、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して、第3電極40のコンタクト部40cに接続される。第4電極60は、第2絶縁膜45に設けられた別のコンタクトホールを介して、第3電極40のコンタクト部40aおよび40cに接続される。
【0087】
図13(b)に示すように、第2電極30と第4電極60との間に、制御配線70が設けられる。制御配線70は、第2絶縁膜45により半導体部10から電気的に絶縁される。制御配線70は、例えば、制御電極50の端部の上に設けられ、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して、制御電極50に接続される。
【0088】
この例でも、第2電極30は、第3電極40を介して、第4電極60に電気的に接続される。第4電極60は、第2絶縁膜45に設けられたコンタクトホールを介して、第3半導体層15に電気的に接続される。すなわち、第3半導体層15は、第3電極40を介して、第2電極30に電気的に接続される。また、第3半導体層15は、第2半導体層13から離間して設けられる(
図2(b)参照)。したがって、この例でも、第3電極30の電気抵抗Rpと、第2半導体層13と第3半導体層15との間の第1距離Lcとを好適に設けることにより、ブレイクオーバー耐量を向上させることができる。
【0089】
図14は、実施形態の第6変形例に係る半導体装置7を示す模式断面図である。半導体装置7は、例えば、ダイオードである。半導体装置7は、例えば、IGBTと共に集積化される還流ダイオードとして用いることができる。
【0090】
図14に示すように、半導体装置7は、トレンチTG1の内部に設けられる複数の第3電極40を備える。第3電極40は、半導体部10の表面側から第1半導体層11中に延在する。隣り合う第3電極40の間には、第2半導体層13および第2導電形の第9半導体層27が設けられる。
【0091】
第2半導体層13は、第1半導体層11と第2電極30との間に設けられる。第9半導体層27は、第2半導体層13と第2電極30との間に設けられる。第9半導体層27は、第2半導体層13の第2導電形不純物の濃度よりも高濃度の第2導電形不純物を含み、第2電極30に電気的に接続される。第9半導体層27は、例えば、p形コンタクト層である。
【0092】
この例でも、第2電極30は、第3電極40を介して第4電極60に電気的に接続される(
図2(a)参照)。すなわち、第2電極30は、第3電極40を介して、第3半導体層15(図示しない)に電気的に接続される。また、第2半導体層13は、第3半導体層15から離間するように設けられる(
図2(b)参照)。したがって、第3電極30の電気抵抗Rpと、第2半導体層13と第3半導体層15との間の第1距離Lcとを好適に設けることにより、ブレイクオーバー耐量を向上させることができる。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1、2、3、4、5、6、7…半導体装置、 10…半導体部、 10B…裏面、 10F…表面、 11…第1半導体層、 13…第2半導体層、 13e、15e…外縁、 15…第3半導体層、 15b…接続部、 17…第4半導体層、 19…第5半導体層、 20…第1電極、 21…第6半導体層、 23…第7半導体層、 25…第8半導体層、 27…第9半導体層、 30…第2電極、 40…第3電極、 40a、40b、40c…コンタクト部、 43…第1絶縁膜、 45…第2絶縁膜、 50…制御電極、 53…第3絶縁膜、 55…第4絶縁膜、 60…第4電極、 65…第5電極、 70、70a、70b、70c…制御配線、 AR…活性領域、 FP…フィンガー部、 Lc、Lc1~Lc4、Lcs…第1距離、 Lcc…第2距離、 TG1、TG2…トレンチ、 TR…終端領域