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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】形状データ取得方法および形成方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/20 20060101AFI20240919BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20240919BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20240919BHJP
   G01B 5/24 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G01B5/20 C
G06T19/00 A
G01B5/00 A
G01B5/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021154604
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045969
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岡村 敬
(72)【発明者】
【氏名】松下 裕明
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-249958(JP,A)
【文献】特開2015-206644(JP,A)
【文献】特開2018-036128(JP,A)
【文献】特開平10-160432(JP,A)
【文献】特開2019-113916(JP,A)
【文献】特開2018-185568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
21/00-21/32
G06T 1/00
11/60-13/80
17/05
19/00-19/20
G06F 30/00-30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間内の構造物の形状をVR空間に取り込むために、当該構造物の形状を示す形状データを取得する取得方法であって、
構造物に接触する接触面を有し、当該接触面における所定位置の三次元位置座標および前記接触面の方向を取得可能なセンサを構造物に接触させる接触工程と、
前記構造物に接触した前記センサから前記三次元位置座標および前記接触面の方向を示す方向情報を取得する形状データ取得工程と、を含み、
前記構造物の形状として直方体構造物の形状を取得する場合において、
前記直方体構造物は、第1面と、前記第1面に対して垂直な面である第2面と、前記第1面および前記第2面に対して垂直な面である第3面を有しており、
前記形状データ取得工程は、
前記第1面、前記第2面および前記第3面のそれぞれについて、各面に接触した前記センサから前記三次元位置座標および前記方向情報を取得する工程と、
前記第1面、前記第2面および前記第3面が交差する頂点の対角頂点に接触した前記センサから前記三次元位置座標を取得する工程と、を含む、形状データ取得方法。
【請求項2】
実空間内の構造物の形状をVR空間に取り込むために、当該構造物の形状を示す形状データを取得する取得方法であって、
構造物に接触する接触面を有し、当該接触面における所定位置の三次元位置座標および前記接触面の方向を取得可能なセンサを構造物に接触させる接触工程と、
前記構造物に接触した前記センサから前記三次元位置座標および前記接触面の方向を示す方向情報を取得する形状データ取得工程と、を含み、
前記構造物の形状として多面体構造物の形状を取得する場合において、
前記多面体構造物の各面に対して、前記接触工程および前記形状データ取得工程を行う、形状データ取得方法。
【請求項3】
実空間内の構造物の形状をVR空間に取り込むために、当該構造物の形状を示す形状データを取得する取得方法であって、
構造物に接触する接触面を有し、当該接触面における所定位置の三次元位置座標および前記接触面の方向を取得可能なセンサを構造物に接触させる接触工程と、
前記構造物に接触した前記センサから前記三次元位置座標および前記接触面の方向を示す方向情報を取得する形状データ取得工程と、を含み、
前記構造物の形状として円柱形構造物の形状を取得する場合において、
前記形状データ取得工程は、
前記円柱形構造物の第1底面の中心位置に前記所定位置が接触するように前記第1底面に接触した前記センサから前記三次元位置座標および前記方向情報を取得する工程と、
前記円柱形構造物における前記第1底面に対向する第2底面に接触した前記センサから前記三次元位置座標を取得する工程と、
前記円柱形構造物の側面に前記所定位置が位置するように前記側面に接触した前記センサから前記三次元位置座標を取得する工程と、を含む、形状データ取得方法。
【請求項4】
VR空間に仮想構造物を形成する形成方法であって、
請求項1~のいずれか1項に記載の形状データ取得方法により実空間内の構造物の形状を示す形状データを取得する取得工程と、
前記取得工程において取得した形状データを用いてVR空間内に仮想構造物を形成する形成工程と、を含む、形成方法。
【請求項5】
前記取得工程において、第1構造物の形状データおよび第2構造物の形状データを取得し、
前記形成工程において、前記第1構造物の形状データおよび前記第2構造物の形状データを用いてVR空間内に第1仮想構造物および第2仮想構造物をそれぞれ形成し、
前記第1仮想構造物と前記第2仮想構造物とを組み合わせて第3仮想構造物を形成する工程をさらに含む、請求項に記載の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実空間内の構造物の形状をVR空間に取り込むために、当該構造物の形状を示す形状データを取得する取得方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模鉄鋼構造物を設計および製造する場合に、製造段階での作業性を確認するために、原寸大のモデルを発泡スチロールなどの模擬構造物を作製して再現することが行われている。しかし、このような再現方法では、製作コストが高くなってしまう。
【0003】
そこで、VR(Virtual Reality)を利用して作業性を確認することが提案されている。VRを利用する場合、作業対象物や使用工具などの構造物の形状データをVR空間内に取り込む必要があるが、構造物の形状データが無い場合には、実空間内の構造物の形状データを取得する必要がある。例えば、特許文献1には、レーザー光を用いて実空間内の構造物の形状データを取得し、VR空間に仮想構造物を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-186981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、レーザー光を使用するため、形状データを取得するのにコストおよび手間がかかってしまうという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、安価で簡便に構造物の形状データを取得することができる形状データ取得方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る取得方法は、実空間内の構造物の形状をVR空間に取り込むために、当該構造物の形状を示す形状データを取得する取得方法であって、構造物に接触する接触面を有し、当該接触面における所定位置の三次元位置座標および前記接触面の方向を取得可能なセンサを構造物に接触させる接触工程と、前記構造物に接触した前記センサから前記三次元位置座標および前記接触面の方向を示す方向情報を取得する形状データ取得工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、安価で簡便に構造物の形状データを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係るシミュレーションシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】上記シミュレーションシステムが備えるトラッカーの構造を示す斜視図である。
図3】上記シミュレーションシステムにおいて形状データの取得対象となる直方体構造物の構成を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態1に係る仮想構造物の形成方法の処理の一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係る仮想構造物の形成方法の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態3に係る仮想構造物の形成方法において形状データの取得対象となる円柱形構造物の構成を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態3に係る仮想構造物の形成方法の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態4に係る仮想構造物の形成方法の処理の一例を示すフローチャートである。
図9】上記仮想構造物の形成方法における、VR空間の様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態に係るシミュレーションシステム100について、詳細に説明する。シミュレーションシステム100は、実空間上の構造物の形状をVR(Virtual Reality)空間に取りこみ、VR空間に仮想構造物を形成し、当該仮想構造物を用いて種々のシミュレーションを行うシステムである。本実施形態では、工具を用いた作業の対象物としての構造物をVR空間に取りこむ場合について説明する。
【0011】
図1は、シミュレーションシステム100の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、シミュレーションシステム100は、トラッカー11と、VRコントローラ14と、ベースステーション16と、情報処理装置20とを備えている。
【0012】
トラッカー11、VRコントローラ14およびベースステーション16は、実空間上の構造物の形状データを取得するための部材である。
【0013】
図2は、トラッカー11の構造を示す斜視図である。図2に示すように、トラッカー11は、例えば、直方体形状をしており、構造物に接触させる面である接触面12を備えている。トラッカー11の形状は特に限定されず、接触面12を含む形状であれば、どのような形状であってもよい。トラッカー11は、ジャイロセンサ、加速度計、レーザーポジションセンサなどの種々のセンサを有しており、ベースステーション16に対するトラッカー11の三次元位置座標、および、ベースステーション16に対する接触面12の方向を取得できるようになっている。以下の説明では、「ベースステーション16に対するトラッカー11の三次元位置座標」を「トラッカー11の三次元位置座標」、「ベースステーション16に対する接触面12の方向」を「接触面12の方向」と称して説明する。
【0014】
図1に示すVRコントローラ14は、ベースステーション16に対して指示を送るコントローラである。また、VRコントローラ14は、VR空間でシミュレーションを行う際にも用いられる。VRコントローラ14は、ジャイロセンサ、加速度計、レーザーポジションセンサなどの種々のセンサを有しており、ベースステーション16に対するVRコントローラ14の三次元位置座標、および、ベースステーション16に対するVRコントローラ14の方向を取得できるようになっている。VRコントローラ14は、ユーザの指示を受け付ける複数のボタンを有している。以下の説明では、「ベースステーション16に対するVRコントローラ14の三次元位置座標」を「VRコントローラ14の三次元位置座標」、「ベースステーション16に対するVRコントローラ14の方向」を「VRコントローラ14の方向」と称して説明する。
【0015】
ベースステーション16は、トラッカー11と無線通信を行い、トラッカー11の三次元位置座標(より詳細には、所定位置としてのトラッカー11の接触面12の中心点12Aの三次元位置座標)およびトラッカー11の接触面12の方向を示す方向情報を取得する。ベースステーション16は、取得したトラッカー11の三次元位置座標およびトラッカー11の方向を示す方向情報を後述する情報処理装置20に送信する。
【0016】
また、ベースステーション16は、VRコントローラ14の三次元位置座標およびVRコントローラ14の方向を示す方向を取得する。ベースステーション16は、取得したVRコントローラ14の三次元位置座標およびVRコントローラ14の方向を示す方向情報を後述する情報処理装置20に送信する。
【0017】
情報処理装置20は、図1に示すように、制御部30と、通信部40と、記憶部50と、表示部60とを備えている。制御部30は、シミュレーションシステム100の各部を制御する。制御部30は、形状データ取得部31と、仮想構造物形成部32と、シミュレーション部33とを備えている。
【0018】
形状データ取得部31は、ベースステーション16がVRコントローラ14からの指示に基づいて取得した、トラッカー11の接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報の少なくとも一方を、通信部40を介してベースステーション16から取得する。形状データ取得部31は、ベースステーション16から受け取った形状データを仮想構造物形成部32へ出力する。
【0019】
仮想構造物形成部32は、形状データ取得部31から受け取った形状データ情報を用いてVR空間に仮想構造物を形成する。仮想構造物形成部32による仮想構造物の形成方法の詳細については後述する。
【0020】
シミュレーション部33は、仮想構造物形成部32によってVR空間に形成された仮想構造物を用いて各種のシミュレーションを行う。具体的には、シミュレーション部33は、記憶部50に記憶されている手持ち工具の形状データを読み込み、VR空間に手持ち工具を形成する。また、シミュレーション部33は、ユーザが上記手持ち工具と対応するように設定されたVRコントローラ14に対して行った動作の情報を、ベースステーション16を介して受信し、当該動作をVR空間に反映させる。動作としては、例えば、溶接、ボルト締結などが挙げられる。このとき、ユーザは、表示部60に表示された、仮想構造物形成部32によってVR空間に形成された仮想構造物に対して動作を行う。これにより、ユーザは、製造段階での作業性を確認することができる。
【0021】
表示部60は、仮想構造物形成部32によって形成された仮想構造物などを表示する。表示部60は、例えば、ヘッドマウントディスプレイであってよい。
【0022】
<仮想構造物の形成方法>
次に、シミュレーションシステム100における仮想構造物の形成方法について説明する。本実施形態では、直方体形状を有する直方体構造物200の形状をVR空間に形成する場合について説明する。後述するように、本発明は、直方体以外の多角形にも適用可能であり、直方体構造物200は、シミュレーションシステム100の対象の一例に過ぎない。図3は、直方体構造物200の構成を示す斜視図である。図3に示すように、直方体構造物200は、互いに垂直な平面である第1面201、第2面202および第3面203、ならびに、第1面201、第2面202および第3面203のそれぞれに対向する面である第4面204、第5面205および第6面206を有している。また、直方体構造物200は、第1面201、第2面202および第3面203が交差する頂点である第1頂点207と、直方体構造物200において第1頂点207と対角に位置する対角頂点である第2頂点208とを有している。第2頂点208は、第4面204、第5面205および第6面206が交差する頂点である。
【0023】
図4は、本実施形態における仮想構造物の形成方法の処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態における仮想構造物の形成方法では、図4に示すように、まず、ユーザが、直方体構造物200の第1面201にトラッカー11の接触面12を接触させる(ステップS1)。ステップS1は、トラッカー11の接触面12を直方体構造物200に接触させる接触工程である。後述するステップS4、S7およびS11についても同様である。
【0024】
次に、形状データ取得部31が第1面201に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する(ステップS2)。以降では、第1面201に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を第1形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第1形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第1形状データを取得し、取得した第1形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。ステップS2は、直方体構造物200に接触したトラッカー11から、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報の少なくとも一方を取得する形状データ取得工程である。後述するステップS5、S8およびS12についても同様である。上記接触工程および上記形状データ取得工程は、直方体構造物200の形状を示す形状データを取得する取得工程(取得方法)である。
【0025】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第1形状データを用いて、情報処理装置20によって形成されるVR空間70において直方体構造物200の第1面201に対応する面が位置する平面を特定する(ステップS3)。以降では、当該平面を第1平面と称する。ステップS3は、上記取得工程において取得した形状データを用いてVR空間内に仮想構造物を形成する形成工程である。後述するステップS6、S9、S10およびS13についても同様である。
【0026】
次に、ユーザが、直方体構造物200の第2面202にトラッカー11の接触面12を接触させる(ステップS4)。
【0027】
次に、形状データ取得部31が第2面202に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する(ステップS5)。以降では、第2面202に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を第2形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第2形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第2形状データを取得し、取得した第2形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0028】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第2形状データを用いて、VR空間70において直方体構造物200の第2面202に対応する面が位置する平面を特定する(ステップS6)。以降では、当該平面を第2平面と称する。
【0029】
次に、ユーザが、直方体構造物200の第3面203にトラッカー11の接触面12を接触させる(ステップS7)。
【0030】
次に、形状データ取得部31が第3面203に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する(ステップS8)。以降では、第3面203に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を第3形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第3形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第3形状データを取得し、取得した第3形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0031】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第3形状データを用いて、VR空間70において直方体構造物200の第3面203に対応する面が位置する平面を特定する(ステップS9)。以降では、当該平面を第3平面と称する。
【0032】
次に、仮想構造物形成部32が、VR空間70において、上記第1平面、上記第2平面および上記第3平面が交差する点を特定する(ステップS10)。当該点は、直方体構造物200の第1頂点207に対応する点である。
【0033】
次に、ユーザが、直方体構造物200における、第1頂点207と対角に位置する対角頂点である第2頂点208に接触面12の中心点12Aが接触するように、トラッカー11を直方体構造物200に接触させる(ステップS11)。
【0034】
次に、形状データ取得部31が第2頂点208に接触面12の中心点12Aが接触するように直方体構造物200に接触したトラッカー11から、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標を取得する(ステップS12)。以降では、第2頂点208に接触面12の中心点12Aが接触するように直方体構造物200に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標を第4形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第4形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第4形状データを取得し、取得した第4形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0035】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第4形状データを用いて、VR空間70において直方体構造物200の第2頂点208に対応する点を特定し、VR空間70における仮想構造物の形状を特定する(ステップS13)。具体的には、第2頂点208に対応する点が特定されることにより、VR空間70において、仮想構造物の大きさ、換言すれば、仮想構造物の各面の大きさが決定される。
【0036】
本実施形態における仮想構造物の形成方法における、ステップS1、S4、S7およびS11は、トラッカー11の接触面12を直方体構造物200に接触させる接触工程である。本実施形態における仮想構造物の形成方法における、S2、S5、S8およびS12は、直方体構造物200に接触したトラッカー11から、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報の少なくとも一方を取得する形状データ取得工程である。上記接触工程および上記形状データ取得工程は、直方体構造物200の形状を示す形状データを取得する取得工程(取得方法)である。本実施形態における仮想構造物の形成方法における、ステップS3、S6、S9、S10およびS13は、上記取得工程において取得した形状データを用いてVR空間70内に仮想構造物を形成する形成工程である。
【0037】
以上のように、本実施形態では接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を取得可能なトラッカー11を直方体構造物200に接触させる接触工程(具体的には、ステップS1、S4、S7およびS11)と、直方体構造物200に接触したトラッカー11から上記三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する形状データ取得工程(具体的には、S2、S5、S8およびS12)とを行う。これにより、直方体構造物200の形状を示す形状データを取得し、VR空間70に仮想構造物を形成する。簡潔に述べれば、トラッカー11を直方体構造物200に接触させてトラッカー11から形状データを取得する。当該構成によれば、レーザー光を用いた形状データの取得方法、3Dソフトを使用した手作業による仮想構造物の形成方法などの従来の方法に比べて、安価で簡便に構造物の形状データを取得することができる。また、後述する実施形態2における形状データ取得方法に比べて、作業工程が少なくなる。
【0038】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。本実施形態では、実施形態1とは異なった方法で、直方体構造物200の形状をVR空間に形成する方法について説明する。
【0039】
図5は、本実施形態における仮想構造物の形成方法の処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態における仮想構造物の形成方法では、図5に示すように、まず、実施形態1において説明したステップS1~S9を行う。
【0040】
次に、ユーザが、直方体構造物200の第4面204にトラッカー11の接触面12を接触させる(ステップS20)。
【0041】
次に、形状データ取得部31が第4面204に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する(ステップS21)。以降では、第4面204に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を第4形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第4形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第4形状データを取得し、取得した第4形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0042】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第4形状データを用いて、VR空間70において直方体構造物200の第4面204に対応する面が位置する平面を特定する(ステップS22)。以降では、当該平面を第4平面と称する。
【0043】
次に、ユーザが、直方体構造物200の第5面205にトラッカー11の接触面12を接触させる(ステップS23)。
【0044】
次に、形状データ取得部31が第5面205に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する(ステップS24)。以降では、第5面202に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を第5形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第5形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第5形状データを取得し、取得した第5形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0045】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第5形状データを用いて、VR空間70において直方体構造物200の第5面205に対応する面が位置する平面を特定する(ステップS25)。以降では、当該平面を第5平面と称する。
【0046】
次に、ユーザが、直方体構造物200の第6面206にトラッカー11の接触面12を接触させる(ステップS26)。
【0047】
次に、形状データ取得部31が第6面206に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する(ステップS27)。以降では、第6面206に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を第6形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第6形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第6形状データを取得し、取得した第3形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0048】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第6形状データを用いて、VR空間70において直方体構造物200の第6面206に対応する面が位置する平面を特定する(ステップS28)。以降では、当該平面を第6平面と称する。
【0049】
最後に、仮想構造物形成部32が、特定した上記第1平面~第6平面によって囲まれる領域を仮想構造物としてVR空間70に形成する(ステップS29)。
【0050】
本実施形態における仮想構造物の形成方法における、ステップS1、S4、S7、S10、S13およびS16は、トラッカー11の接触面12を直方体構造物200に接触させる接触工程である。本実施形態における仮想構造物の形成方法における、ステップS2、S5、S8、S11、S14およびS17は、直方体構造物200に接触したトラッカー11から、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報の少なくとも一方を取得する形状データ取得工程である。上記接触工程および上記形状データ取得工程は、直方体構造物200の形状を示す形状データを取得する取得工程(取得方法)である。本実施形態における仮想構造物の形成方法における、ステップS3、S6、S9、S12、S15、S18およびS19は、上記取得工程において取得した形状データを用いてVR空間70内に仮想構造物を形成する形成工程である。
【0051】
以上のように、本実施形態では、直方体構造物200を構成する面にトラッカー11を接触させた状態で、トラッカー11から三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する処理を、第1面201~第6面206のすべての面に対して行う。これにより、直方体構造物200の形状を示す形状データを取得し、VR空間70に仮想構造物を形成する。簡潔に述べれば、トラッカー11を直方体構造物200に接触させてトラッカー11から形状データを取得する。当該構成によれば、従来の方法に比べて、安価で簡便に構造物の形状データを取得することができる。また、本実施形態における方法は、直方体形状を有する構造部以外の多面体構造物(例えば、四面体、五面体など)にも適用することができる。この場合、多面体構造物を構成する各面に対して、トラッカー11を接触させた状態で、トラッカー11から三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する処理を行えばよい。
【0052】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、円柱形状を有する円柱形構造物300の形状をVR空間に形成する方法について説明する。図6は、円柱形構造物300の構成を示す斜視図である。図6に示すように、円柱形構造物300は、互いに対向する第1底面301および第2底面302と、第1底面301および第2底面302を接続する側面303とを有している。
【0053】
図7は、本実施形態における仮想構造物の形成方法の処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態における仮想構造物の形成方法では、図7に示すように、まず、ユーザが、円柱形構造物300の第1底面301の中心位置301Aに接触面12の中心点12Aを接触するように、第1底面301にトラッカー11を接触させる(ステップS41)。
【0054】
次に、形状データ取得部31が第1底面301に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を取得する(ステップS42)。以降では、第1底面301に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報を第1形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第1形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第1形状データを取得し、取得した第1形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0055】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第1形状データを用いて、VR空間70において円柱形構造物300の第1底面301に対応する面が位置する平面および当該平面において仮想構造物の軸と交差する点を特定する(ステップS43)。以降では、上記平面を第1平面と称する。
【0056】
次に、ユーザが、円柱形構造物300の第2底面302にトラッカー11の接触面12を接触させる(ステップS44)。
【0057】
次に、形状データ取得部31が第2底面302に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標を取得する(ステップS45)。以降では、第2底面302に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標を第2形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第2形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第2形状データを取得し、取得した第2形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0058】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第2形状データを用いて、VR空間70において円柱形構造物300の第2底面302に対応する面が位置する平面を特定する(ステップS46)。以降では、当該平面を第2平面と称する。なお、この段階では、VR空間70において、円柱形構造物300の、第1底面301および第2底面302にそれぞれ対応する底面が位置する平面(すなわち、上記第1平面および第2平面)が特定されるとともに、仮想構造物の軸の長さおよび配置位置が特定される。
【0059】
次に、ユーザが、円柱形構造物300の側面303に接触面12の中心点12Aが位置するように側面303にトラッカー11を接触させる(ステップS47)。
【0060】
次に、形状データ取得部31が側面303に接触したトラッカー11から接触面12の中心点12Aの三次元位置座標を取得する(ステップS48)。以降では、側面303に接触したトラッカー11から取得する、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標を第3形状データと称する。具体的には、ユーザが、トラッカー11から第3形状データを取得するように、VRコントローラ14を操作する。これにより、ベースステーション16は、トラッカー11から第3形状データを取得し、取得した第3形状データを制御部30の形状データ取得部31に送信する。
【0061】
次に、仮想構造物形成部32が、形状データ取得部31が取得した第3形状データを用いて、VR空間70に形成する仮想構造物の半径を算出し、VR空間70に仮想構造物の形状を特定する(ステップS49)。具体的には、第3形状データにより特定されるVR空間70における点と、ステップS47において特定した仮想構造物の軸との距離を求めることにより、仮想構造物の半径を算出する。そして、算出した半径と、ステップS47において特定した、第1底面301および第2底面302にそれぞれ対応する底面が位置する平面(すなわち、上記第1平面および第2平面)および仮想構造物の軸の長さおよび配置位置とに基づいて、仮想構造物形成部32が、VR空間70に仮想構造物を形成する。
【0062】
本実施形態における仮想構造物の形成方法における、ステップS41、S44およびS47は、トラッカー11の接触面12を円柱形構造物300に接触させる接触工程である。本実施形態における仮想構造物の形成方法における、S42、S45およびS48は、円柱形構造物300に接触したトラッカー11から、接触面12の中心点12Aの三次元位置座標および接触面12の方向を示す方向情報の少なくとも一方を取得する形状データ取得工程である。上記接触工程および上記形状データ取得工程は、円柱形構造物300の形状を示す形状データを取得する取得工程(取得方法)である。本実施形態における仮想構造物の形成方法における、ステップS43、S46およびS49は、上記取得工程において取得した形状データを用いてVR空間70内に仮想構造物を形成する形成工程である。
【0063】
以上のように、本実施形態における形状データ取得方法では、(1)円柱形構造物300の第1底面301の中心位置301Aに接触面12の中心点12Aが接触するように第1底面301に接触したトラッカー11から三次元位置座標および方向情報を取得する工程と、(2)円柱形構造物300の第2底面302に接触したトラッカー11から三次元位置座標を取得する工程と、円柱形構造物300の側面303に接触面12の中心点12Aが位置するように側面303に接触したトラッカー11から三次元位置座標を取得する工程と、を含む。これにより、円柱形構造物300の形状を示す形状データを取得し、VR空間70に仮想構造物を形成する。簡潔に述べれば、トラッカー11を円柱形構造物300に接触させてトラッカー11から形状データを取得する。当該構成によれば、従来の方法に比べて、安価で簡便に円柱形構造物の形状データを取得することができる。
【0064】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、VR空間に仮想構造物を形成する他の方法について説明する。
【0065】
実施形態1~3では、直方体または円柱といった簡単な構造を有する構造物の形状をVR空間に形成する方法について説明した。しかしながら、より複雑な構造を有する仮想構造物をVR空間に形成したい場合がある。そこで、本実施形態では、より複雑な構造を有する仮想構造物をVR空間に形成する方法について説明する。
【0066】
図8は、本実施形態における仮想構造物の形成方法の処理の一例を示すフローチャートである。図8に示すように、本実施形態のおける仮想構造物の形成方法は、第1仮想構造物形成工程S51と、第2仮想構造物形成工程S52と、第3仮想構造物形成工程S53とを含む。図9は、本実施形態における仮想構造物の形成方法における、VR空間の様子を示す概念図である。
【0067】
第1仮想構造物形成工程S51は、直方体形状を有する仮想構造物をVR空間70内に形成する工程である。第1仮想構造物形成工程S51では、実施形態1または実施形態2で説明した仮想構造物の形成方法によって、図9に示すように、直方体構造物200(第1構造物)の形状を有する第1仮想構造物91を形成する。
【0068】
第2仮想構造物形成工程S52は、円柱形状を有する仮想構造物をVR空間70内に形成する工程である。第2仮想構造物形成工程S52では、実施形態3で説明した仮想構造物の形成方法によって、図9に示すように、円柱形構造物300(第2構造物)の形状を有する第2仮想構造物92を形成する。
【0069】
第3仮想構造物形成工程S53は、第1仮想構造物91と第2仮想構造物92とを組み合わせて第3仮想構造物93を形成する工程である。本実施形態では、図9に示すように、第2仮想構造物92の一方の底面を第1仮想構造物91の1つの面に接触させた形状の第3仮想構造物93を形成する。
【0070】
第3仮想構造物形成工程S53では、例えば、ユーザが表示部60を確認しながらVRコントローラ14を用いて、VR空間70上で第2仮想構造物92を第1仮想構造物91における所望の面に移動させてもよい。また、トラッカー11を2つ用意し、2つのトラッカー11を第1仮想構造物91および第2仮想構造物92にそれぞれ対応させて、VR空間70内における第1仮想構造物91と第2仮想構造物92との位置関係を、実空間上で2つのトラッカー11の位置関係と対応させることにより、第1仮想構造物91と第2仮想構造物92とを組み合わせて第3仮想構造物93を形成してもよい。
【0071】
上記のように、本実施形態の仮想構造物の形成方法では、第1仮想構造物91と第2仮想構造物92とを組み合わせることにより、より複雑な形状を有する仮想構造物を形成することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、2つの仮想構造物(すなわち、第1仮想構造物91および第2仮想構造物)を組み合わせて第3仮想構造物93を形成する方法ついて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明の一態様では、3つ以上の仮想構造物を組み合わせてより複雑な形状を有する仮想構造物を形成してもよい。また、形状が同じ2つの仮想構造物を組み合わせて仮想構造物を形成してもよい。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
11 トラッカー(センサ)
12 接触面
12A 中心点(所定位置)
91 第1仮想構造物
92 第2仮想構造物
93 第3仮想構造物
200 直方体構造物
300 円柱形構造物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9