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特許7557450多層骨インタフェース格子を備えるインプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】多層骨インタフェース格子を備えるインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A61F2/28
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021166902
(22)【出願日】2021-10-11
(62)【分割の表示】P 2019543184の分割
【原出願日】2017-10-24
(65)【公開番号】P2022000292
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】62/412,657
(32)【優先日】2016-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/791,232
(32)【優先日】2017-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517373240
【氏名又は名称】インスティテュート フォー マスキュロスケレタル サイエンス アンド エジュケイション,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハムゼイ,ラミ
(72)【発明者】
【氏名】モリス,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ダッフィールド,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マクシェイン,エドワード,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナイアハイ,ジョセフ,エム.
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-151805(JP,A)
【文献】特開2011-015959(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02345390(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0218288(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0256766(US,A1)
【文献】米国特許第04955911(US,A)
【文献】国際公開第2012/036129(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、前記基体上に配置された骨インタフェース格子とを含む本体部を備えるインプラントであって、
前記骨インタフェース格子は、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層を含み、
前記細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層は、前記基体に隣接する第1の骨接触層(以下「第1層」という)と、前記第1層に隣接する第2の骨接触層(以下「第2層」という)とを含み、
前記第1層は第1の変形性を有し、前記第2層は第2の変形性を有し、
前記第2の変形性は前記第1の変形性よりも大きく、
前記細長い湾曲構造部材のうちの1つまたは複数の湾曲構造部材は、弓状の形状を有し、
前記第1層の前記細長い湾曲構造部材は第1の断面積を有し、前記第2層の前記細長い湾曲構造部材は第2の断面積を有し、前記第2の断面積は前記第1の断面積よりも小さい、インプラント。
【請求項2】
前記第1層は、前記第1層の外形が前記基体の外形と実質的に同じであるように実質的に一定の第1の厚さを有する、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記第2層は、前記第2層の外形が前記第1層の前記外形と実質的に同じであるように実質的に一定の第2の厚さを有する、請求項2に記載のインプラント。
【請求項4】
前記第1層と前記第2層との間のインタフェースは、前記第1層の前記細長い湾曲構造部材が前記第2層の前記細長い湾曲構造部材と混在している、ある厚さを有する遷移領域を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記第1の変形性は弾性変形性であり、前記第2の変形性は弾性変形性である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項6】
前記第1の変形性は塑性変形性であり、前記第2の変形性は塑性変形性である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項7】
前記骨インタフェース格子は、前記第2層に隣接する細長い湾曲構造部材の第3の骨接触層(以下「第3層」という)を含み、
前記第3層は、前記第2層の第2の変形性よりも大きい第3の変形性を有している、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項8】
前記本体部は、骨の凹部に挿入されるように構成された実質的に細長い形状を有する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項9】
基体と、前記基体上に配置された骨インタフェース格子とを備える本体部を含むインプラントであって、
前記骨インタフェース格子は、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層を含み、
前記細長い湾曲構造部材の前記少なくとも2つの層は、前記基体に隣接する第1の骨接触層(以下「第1層」という)と、前記第1層に隣接する第2の骨接触層(以下「第2層」という)とを含み、
前記第1層は第1の圧縮性を有し、前記第2層は第2の圧縮性を有し、
前記第2の圧縮性は前記第1の圧縮性よりも大きく、
前記細長い湾曲構造部材のうちの1つまたは複数の湾曲構造部材は、弓状の形状を有し、前記第1層の前記細長い湾曲構造部材は第1の断面積を有し、前記第2層の前記細長い湾曲構造部材は第2の断面積を有し、
前記第2の断面積は前記第1の断面積よりも小さい、インプラント。
【請求項10】
前記第1層は、前記第1層の外形が前記基体の外形と実質的に同じであるように実質的に一定の第1の厚さを有する、請求項9に記載のインプラント。
【請求項11】
前記第2層は、前記第2層の外形が前記第1層の前記外形と実質的に同じであるように実質的に一定の第2の厚さを有する、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記第1層と前記第2層との間のインタフェースは、前記第1層の前記細長い湾曲構造部材が前記第2層の前記細長い湾曲構造部材と混在している、ある厚さを有する遷移領域を含む、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項13】
前記骨インタフェース格子は、前記第2層に隣接する細長い湾曲構造部材の第3の骨接触層(以下「第3層」という)を含み、
前記第3層は、前記第2層の前記第2の圧縮性よりも大きい第3の圧縮性を有している、請求項9請求項12のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項14】
前記本体部は、骨の凹部に挿入されるように構成された実質的に細長い形状を有する、請求項9請求項13のいずれか1項に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、患者における骨の成長を支持するインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の異なるインプラントが体内で使用される。あるエリアを安定させ、骨の内部成長を促すように体内で使用されるインプラントは、安定性(すなわち、圧力下での経時的な最小限の変形)および骨の内部成長のためのスペースの双方を提供する。
【0003】
いくつかのインプラントは、骨の凹部内に挿入される部分を含む。いくつかの場合では、インプラント受容凹部の少なくとも一部は、一般に骨に予め形成されていてもよい。たとえば、インプラント受容凹部の少なくとも一部は、髄腔によって形成されてもよい。このような場合、ツールが、空洞をさらにドリル穴開けするかまたはリーマ仕上げするために使用されてもよい。他の場合には、ツールにより、骨に凹部が完全に形成される。
【0004】
骨の凹部内に挿入されるインプラントの部分は多くの場合、骨の内部成長および骨内でのインプラントの固定を容易にする構造的特徴を含む。たとえば、いくつかのインプラントは、骨に接触する表面上にテクスチャを有する。いくつかのインプラントは、骨の内部成長を可能とする構造部材間に多孔質の表面またはギャップを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの場合には、骨内の凹部の内面は、骨の自然形状および/またはツールによって作成された表面の欠陥に起因する凹凸を有するかもしれない。そのような凹凸は、骨とインプラントとの間の面接触の量を低減する可能性があり、これは、骨内のインプラントの機械的固定の有効性を制限する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、層が骨内の凹部の凹凸に適合するように変動する圧縮性を有する、基体と多層骨インタフェース格子とを有するインプラントを対象とする。たとえば、層は、細長い湾曲構造部材の格子によって形成されてもよい。基体に最も近い層がより小さな圧縮性を有し、基体からより離れた層がより大きな圧縮性を有していてもよい。
【0007】
1つの態様では、インプラントは、基体と、基体上に配置された骨インタフェース格子とを含む本体部を含む。骨インタフェース格子は、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層を含む。また、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層は、基体に隣接する第1層と、第1層に隣接する第2層とを含む。また、第1層は第1の変形性を有し、第2層は第2の変形性を有し、第2の変形性は第1の変形性よりも大きい。
【0008】
別の態様では、インプラントは、基体と、基体上に配置された骨インタフェース格子とを含む本体部を含む。骨インタフェース格子は、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層を含む。また、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層は、基体に隣接する第1層と、第1層に隣接する第2層とを含む。また、第1層は第1の圧縮性を有し、第2層は第2の圧縮性を有し、第2の圧縮性は第1の圧縮性よりも大きい。
【0009】
別の態様では、インプラントは、基体と、基体上に配置された骨インタフェース格子とを含む本体部を含む。骨インタフェース格子は、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層を含む。また、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層は、基体に隣接する第1層と、第1層に隣接する第2層とを含む。また、第1層の細長い湾曲構造部材は第1ゲージを有し、第2層の細長い湾曲構造部材は第2ゲージを有し、第2ゲージは第1ゲージよりも小さい。
【0010】
実施形態の他のシステム、方法、特徴および利点は、当業者には、以下の図面および詳細な説明を考察すれば、明らかであろう、または明らかになるであろう。このようなすべての追加のシステム、方法、特徴および利点は、本明細書および本概要に含まれること、実施形態の範囲に含まれること、ならびに以下の特許請求の範囲により保護されることが意図される。
【0011】
実施形態は、以下の図面および説明を参照するとよりよく理解することができる。図面内の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ実施形態の原理を説明するにあたり強調を施している。また、図面において、同様な符号は、種々の図を通して、対応する部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】凹部を有する骨の模式的な切り欠き断面図、および骨の凹部に挿入されるように構成されたインプラントの一部を示す長手方向断面図である。
図2図1に示すインプラントの模式的な横断面図である。
図3】凹部に挿入されたインプラントを伴う、図1の骨の模式的な断面図である。
図4】骨と、図3に示すように挿入されたインプラントとの模式的な横断面図である。
図5図4に示す骨とインプラントとの断面図の模式的な拡大図である。
図6】細長い湾曲構造部材の3つの層の模式的な拡大図である。
図7】層がそれぞれの境界で互いに混在する、細長い湾曲構造部材の3つの層の模式的な拡大図である。
図8図7に示す細長い湾曲構造部材の3つの層の、模式的なさらなる拡大図である。
図9】膝関節置換インプラントシステムの模式的な分解図である。
図10】骨幹端スリーブを含む膝関節置換システムの一部の模式的な分解図である。
図11】股関節置換インプラントシステムの模式図である。
図12A】肩関節置換インプラントシステムの模式的な組立図である。
図12B図12Aに示す肩関節置換インプラントシステムの関節窩側の模式的な分解図である。
図13】足関節置換インプラントシステムの模式的な組立図である。
図14】足関節固定インプラントシステムの模式的な組立図である。
図15】足関節固定インプラントシステムのための代替的髄内ロッドの実施形態の模式的な斜視図である。
図16】槌趾補正インプラントの模式図である。
図17】髄内移植のために構成された、別の実質的に円筒形のインプラントの模式的な斜視図である。
図18図17に示すインプラントの別の模式的な斜視図である。
図19図17に示すインプラントの模式的な側面図である。
図20図17に示すインプラントの模式的な端面図である。
図21】別の実施形態による、実質的に円筒形の髄内インプラントの模式的な斜視図である。
図22図21に示すインプラントの模式的な側面図である。
図23】別の実施形態による、実質的に円筒形の髄内インプラントの模式的な斜視図である。
図24図23に示すインプラントの別の模式的な斜視図である。
図25図23に示すインプラントの模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に記載の実施形態は、骨の凹部内に挿入するための部分を含むインプラントに向けられている。凹部内への挿入のために構成された部分はそれぞれ、基板または中央部分と多層骨インタフェース格子(multi-layer bone interfacing lattice)とを有する本体部を含む。骨インタフェース格子の層は、細長い(elongate)湾曲構造部材を含んでもよい。そのような構造部材は、さまざまな湾曲構成のうちの任意のものを有してもよい。たとえば、構造部材は、らせん状、渦巻状、コイル状、正弦波状、弓状または別様に湾曲している部分を含んでもよい。そのような湾曲構成の実施例は、以下の記述において提供されている。
【0014】
以下に説明するさまざまな手段に加えて、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、McShane III等の「Implant with Protected Fusion Zones(被保護癒合ゾーンを備えるインプラント)」と題された、2018年4月26日公開の米国公開第2018/0110626号に開示された本体部/支持構造、フレーム、プレート、コイルまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。便宜上、この出願は、本願全体を通して「被保護癒合ゾーン出願」として参照される。
【0015】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、McShane III等の「Implant with Arched Bone Contacting Elements(弓状骨接触要素を備えるインプラント)」と題された、2017年2月16日公開の米国公開第2017/0042697号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0016】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用されて「リング出願」として参照される、McShane III等の「Implant with Structural Members Arranged Around a Ring(リング周囲に配置された構造部材を備え
るインプラント)」と題された、2017年9月13日公開の米国公開第2018/0256351号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0017】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用されて「コイル状インプラント出願」として参照される、Morris等の「Coiled Implants and Systems and Methods of Use Thereof(コイル状インプラントおよびシステムならびにその使用方法)」と題された、2016年11月10日公開の米国公開第2016/0324656号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0018】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、Nyahay等の「Implant with Bone Contacting Elements Having Helical and Undulating Planar Geometries(らせん状起伏平面幾何学形状を有する骨接触
要素を備えるインプラント)」と題された、2018年9月13日公開の米国公開第2018/0256352号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0019】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、Nyahay等の「Corpectomy Implant(椎体部分切除術インプラント)
」と題された、2018年9月13日公開の米国公開第2018/0256353号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0020】
また、本明細書に開示された実施形態のうちの任意のものは、その全体が参照により本明細書に援用される、Bishop等の「Implant with Supported Helical Members(支持らせん部材を備えるインプラント)」と題された、2018年9月13日公開の米国公開第2018/0256361号に開示された本体部/支持構造、要素、フレーム、プレートまたは他の構造のうちの任意のものを利用してもよい。
【0021】
本明細書において用いられる場合、「固定的に取り付けられた」という用語は、(たとえば、一方または両方の構成要素を破壊することなく)容易に分離されないであろう方法で構成要素が接合された、2つの構成要素を指すものとする。
【0022】
明確にするために、詳細な説明および特許請求の範囲において方向を示す種々の形容詞に言及する。本明細書において用いられる場合、「前方」という用語は、インプラントを体内に置いたときに人体の前面の方に向けられることが意図される、インプラントの側部または部分を指す。同様に、「後方」という用語は、埋め込み後に人体の背面の方に向けられることが意図される、インプラントの側部または部分を指す。また、「上側」という用語は、体の上部(例、頭)の方に向けられることが意図されるインプラントの側部または部分を指すのに対し、「下側」は、体の底部の方に向けられることが意図されるインプラントの側部または部分を指す。本明細書において、インプラントの「外側」側部または部分にも言及し、これは、体の外側方向に面する(および患者の左右の側部に対応する)側部または部分である。
【0023】
インプラントは、種々の基準面または基準表面にも関連付けられていてもよい。本明細書において用いられる場合、「正中面」という用語は、インプラントを右側半体および左側半体に分ける、または2つの外側半体に分ける、インプラントの前方側部から後方側部に通る垂直面を指す。本明細書において用いられる場合、「横断面」という用語は、インプラントを上側部分と下側部分とに分ける水平面を指す。本明細書において用いられる場合、「冠状面」という用語は、インプラントを前方半体および後方半体に分ける、インプラントの中心に位置付けられる垂直面を指す。いくつかの実施形態では、インプラントは、これらの面のうちの1つ以上を中心に対称である。
【0024】
図1は、凹部を有する骨の模式的な切り欠き断面図、および骨の凹部に挿入されるように構成されたインプラントの一部の長手方向断面図である。図1に示すように、インプラント100の部分は、本体部105を含んでもよい。本体部105は、基体110と、基体110上に配置された骨インタフェース格子115とを含んでいる。
【0025】
骨インタフェース格子115は、任意の適切な方法で基体110に固定的に取り付けられてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、本体部105は、基体110と骨インタフェース格子115とが連続一体構造となるように3D印刷されてもよい。他の実施形態では、骨インタフェース格子115を、基体110に焼結、溶接、熱接着、または別様に接合してもよい。
【0026】
図1は、切り欠き断面図で示されている、骨200の一部も示す。図1に示すように、骨200は凹部205を含む。いくつかの場合では、凹部205は、骨において実質的に天然に発生してもよい。たとえば、いくつかの場合において、凹部205は、髄腔であってもよい。インプラントを挿入するための髄腔を作成するために、骨髄を髄腔から除去してもよい。また、髄腔をライニングする海綿骨の部分を除去して、主に皮質骨である骨内
面を提供してもよい。他の場合には、凹部205の全体を手術ツールにより形成してもよい。たとえば、いくつかの場合では、皮質骨または小柱骨に、凹部を、穿設するか、リーマ仕上げするか、または別様に外科的に形成してもよい。
【0027】
骨の凹部に挿入されるように構成されたインプラントの部分は、骨内部成長を促進する手段を含んでもよい。たとえば、インプラントの骨インタフェース面は、細長い湾曲構造部材の格子などの多孔質構造を含んでもよい。いくつかの実施形態では、多孔質構造は、インプラントの多孔質骨インタフェース格子と骨との間の面接触量を最大にする手段を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、骨インタフェース格子は、骨の凹部の内壁に適合されている部分を含んでもよい。
【0028】
図1に示すように、いくつかの実施形態では、インプラント100の本体部105は、骨200の凹部205に挿入されるように構成された実質的に細長い形状を有していてもよい。たとえば、本体部105は、中央長手方向軸135に沿って細長くてもよい。インプラント100の本体部105は、実質的に円錐形状であるとして図示されている。実質的に円筒形のロッドまたはポストを含む、他の細長い形状も想定される。さらに、円形、楕円形、正方形、長方形、三角形、および任意の他の適切な形状を含む任意の適切な断面形状が使用されてもよい。
【0029】
骨インタフェース格子は、異なる変形性を有する少なくとも2つの層を含んでもよい。たとえば、(基体の近くに配置された)内層は、低い変形性を有していても(または実用において実質的に変形性がなくても)よい。(基体から遠くに配置された)外層は、より大きな変形性を有していてもよい。したがって、これらの外層は、骨の凹部の内壁に適合するために変形してもよい。骨インタフェース格子は、細長い湾曲構造部材の少なくとも2つの層を含む。いくつかの実施形態では、骨インタフェース格子は細長い湾曲構造部材の3つ以上の層を有していてもよく、3つ以上の層が異なる変形性を有している。
【0030】
図1に示すように、骨インタフェース格子115は、3つの層を含んでもよい。たとえ
ば、第1層120は、基体110に隣接して配置されてもよい。さらに、格子115は、中央長手方向軸135に対して第1層120の外方に第1層120に隣接して配置された第2層125を含んでもよい。また、格子115は、第2層125の外方に第2層125に隣接する第3層130を含んでもよい。
【0031】
骨インタフェース格子115の層は、任意の適切な方法で互いに固定的に取り付けられてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、本体部105は、層が連続一体構造を形成するように3D印刷されてもよい。他の実施形態では、層を互いに焼結、溶接、熱接合、または別様に接合してもよい。さらに、第1層120を、基体110に固定的に取り付けてもよい。
【0032】
第1層120は第1の変形性を有していてもよく、第2層125は第2の変形性を有していてもよく、第3層130は第3の変形性を有していてもよい。いくつかの実施形態では、第2層125の第2の変形性は、第1層120の第1の変形性よりも大きくてもよい。さらに、第3層130の第3の変形性は、第2層125の第2の変形性よりも大きくてもよい。
【0033】
格子構造の各層は、複数の細長い湾曲構造部材を含んでもよい。細長い湾曲構造部材の構成は、異なる量の変形性を伴うそれぞれの層を提供するために、層ごとに変えてもよい。層は、以下でより詳細に説明する任意のさまざまな方法(たとえば弾性変形対塑性変形)で変形可能であることができる。さらに、細長い湾曲構造部材の構成は、変形性の相違を提供するためにさまざまな方法で異なることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、各層が、異なる量の弾性変形性を備えてもよい。いくつかの実施形態では、各層は、異なる量の塑性変形性を備えてもよい。いくつかの実施形態では、所与の層は、その厚さを維持するが、全体としては曲げによって変形するように構成されていてもよい。他の場合には、層は、たとえば圧縮することによって、崩壊するように構成されていてもよい。このように、いくつかの実施形態では、格子の層は、異なる圧縮性を有してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、外層は、内層よりも圧縮性が大きくてよい。すなわち、外層が、崩壊する層の厚さについて、より大きなキャパシティを有してもよい。いくつかの実施形態では、層がインプラントの基体から遠くなるほど圧縮性が大きくなり、最外方の(すなわち骨接触)層が最も大きな圧縮性となる。
【0035】
いくつかの実施形態では、変動する圧縮性と変動する変形性との組み合わせを利用してもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、最内層は実質的に非変形性であってもよく、最外層が曲げによって変形性であってもよいが、変形にもかかわらずその厚さを維持してもよい。すなわち、最外層は、骨の凹部の内面に適合するために内方に撓んでもよい。最外層の内方方向への撓みを可能にするために、最内層と最外層との間の中間層が、比較的圧縮性であってもよい。このように、圧縮性の中間層が、最外層の内方方向への撓みに対処するためにさまざまな場所にて崩壊してもよい。しかし、最外層はその厚さを減少させるように崩壊しないので、最外層の多孔度は撓みエリアにて保存され、これにより、骨内部成長を可能にするために最外方の骨接触層のキャパシティを最大にしてもよい。異なる変形性を有する層の他の構成も可能である。他の選択肢の中でも、3つを超える層を、格子を形成するために使用してもよい。いくつかの実施形態では、同じ格子層の異なる部分が異なる変形性を有してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材の密度が変化してもよい。たとえば、外層は内層よりも低い密度を有してもよい。本開示の目的のために、密度という用語は、細長い湾曲構造部材が占める容量に対する開放スペースの割合を指す。構造部材のより低い密度は、より大きな多孔度を有する層を提供する。このように、外層内のより低い密度は、より多孔質の骨接触面を提供する。より大きな多孔度は、骨内部成長を促進してもよい。さらに、より大きな多孔度は、層が埋め込み時に部分的に圧縮される場合であっても、外層が所望のレベルの多孔度を維持することを可能にしてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、外層は、内層とは異なる材料で形成されてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、外層は、内層よりもより柔軟なまたはより変形性の高い材料から形成されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材のゲージは、層ごとに異なっていてもよい。すなわち、細長い湾曲構造部材の断面サイズは、いくつかの層でより大きく、他の層でより小さくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、層が基体から遠くに配置されるほど、層内の細長い湾曲構造部材のゲージは小さくなる。より小さなゲージは、構造部材を(塑性的にまたは弾性的に)より高い変形性のものにする。
【0039】
図1に示すように、第1層120、第2層125および第3層130のそれぞれは、細長い湾曲構造部材で形成されている。そのような構造部材は、さまざまな湾曲構成のうちの任意のものを有してもよい。たとえば、構造部材は、らせん状、渦巻状、コイル状、正弦波状、弓状、または別様に湾曲している部分を含んでもよい。
【0040】
湾曲構造部材の構成は、規則的または不規則であってもよい。すなわち、部材は、規則的なパターンで、またはランダム配置で配置されてもよい。各層内の構造部材の一部は、互いに重なりあってもまたは交差してもよい。いくつかの場合では、構造部材の断面サイ
ズおよび/または形状は、その長さに沿って変化することができるであろう(たとえば、直径が構造部材の長さに沿って変化することができるであろう)。
【0041】
実施形態は、インプラントの細長い湾曲構造部材に沿っておよび該細長い湾曲構造部材に隣接して骨の成長を保護するための手段を含むことができる。いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材を、選択領域、または「被保護癒合ゾーン」において新しい骨の成長を保護するのに役立つ幾何学形状で構成することができる。いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材は、増強された骨成長のために一連のそのような被保護癒合ゾーンを提供する、渦巻状、らせん状またはねじれ状の幾何学形状を有することができる。
【0042】
いくつかの細長い湾曲構造部材は、一般的ならせん形幾何学形状を有していてもよい。本明細書で用いられる場合、「一般的ならせん形幾何学形状」または「渦巻き幾何学形状」とは、ある部品(部分、部材、等)が固定経路の周りに巻かれるか、その周りで向きを変えるか、捻れるか、回転するか、またはその他の形で湾曲されている幾何学形状をいう。ある場合には、固定経路は、直線とすることができるであろう。他の場合には、固定経路は、湾曲することができる。本実施形態では、たとえば、固定経路は、大略的に直線セグメントと湾曲セグメントとの組み合わせである。
【0043】
一般的ならせん形幾何学形状を有する湾曲部(一般的ならせん形湾曲部ともいう)は、固定経路を中心とした「コイル」、「巻き」または「巻回」によって特徴付けてもよい。一般的ならせん形湾曲部の特定の幾何学形状を特徴付けてもよい例示的なパラメータは、コイルの直径(長径および短径の両方を含む)およびピッチ(すなわち、隣接するコイル間の間隔)を含むことができる。ある場合には、コイルまたはループの「振幅」も、コイルまたはループの直径または幅方向の寸法を記述するために使用してもよい。これらのパラメータのそれぞれは、定数とすること、または一般的ならせん形湾曲部の長さにわたって変えることができるであろう。
【0044】
一般的ならせん形湾曲部は、円形である必要も、または丸みを帯びている必要さえもない。いくつかの実施形態では、たとえば、一般的ならせん形湾曲部は、各「コイル」または「巻き」が、円弧または他の湾曲セグメントではなく直線セグメントから構成されるように、直線状に分割された形状(または局所的に多角形形状)を有することができるであろう。一般的ならせん形湾曲部は、湾曲セグメントと直線セグメントとの組み合わせも含んでもよい。
【0045】
細長い湾曲構造部材の配置は、所望の総開放容量を達成するように設計されてもよい。本明細書で用いられる場合、総開放容量とは、構造部材間の任意の開口、または構造部材と基体との間の任意の開口を合わせた容量である。この開放構成は、インプラント内およびインプラントを通じた骨成長を促進してもよい。開放スペースの部分または実質的にすべてに、骨成長を促進するために、インプラントの挿入前に骨移植片または骨成長促進材料を充填してもよい。
【0046】
埋め込みプロセスは、BGPMとも称される骨成長促進材料のインプラントへの塗布で開始されてもよい。本明細書で用いられる場合、「骨成長促進材料」とは、骨の成長を助ける任意の材料である。骨成長促進材料は、リンカー分子またはバインダの使用により表面に凍結乾燥されるかまたは金属に付着される手段を含んでもよい。骨成長促進材料の例は、BMP-1、BMP-2、BMP-4、BMP-6およびBMP-7等の骨形成タンパク質(BMP)を含む、任意の材料である。これらは、幹細胞を骨形成細胞に変換するホルモンである。別の例には、rhBMP-2、rhBMP-4およびrhBMP-7等のリコンビナントヒトBMP(rhBMP)が挙げられる。さらに別の例には、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、コラーゲン、BMP模倣ペプ
チド、およびRGDペプチドが挙げられる。一般に、これらの化学物質の組み合わせも使用してもよい。これらの化学物質は、スポンジ、基質またはゲルを使用して塗布することができる。
【0047】
また、いくつかの骨成長促進材料は、プラズマスプレーまたは電気化学的手法を使用して埋め込み型プロテーゼに塗布してもよい。これらの材料の例には、限定ではないが、ヒドロキシアパタイト、βリン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、および他の化学物質が挙げられる。
【0048】
骨成長促進材料は、骨移植片または骨移植片代用品を含むことができるか、またはこれらと組み合わせて使用してもよい。種々の材料が、(患者の体の腸骨稜から摘出された)自家移植片、同種移植片、脱灰骨基質、および種々の合成材料を含む骨移植片または骨移植片代用品として働いてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態は、自家移植片を使用してもよい。自家移植片は、埋め込み部位に、新たな骨が成長するためのカルシウムコラーゲン足場を提供する(骨伝導能)。さらに、自家移植片は、骨成長細胞、間葉系幹細胞および骨を再生する骨芽細胞を含む。最後に、自家移植片は、患者における新たな骨成長を促進させるために、骨形態形成タンパク質(BMP)を含む骨成長タンパク質を含む。
【0050】
骨移植片代用品は、リン酸カルシウムまたはヒドロキシアパタイト、幹細胞と他の種類の骨移植片代用品のうちの1つとを組み合わせる幹細胞含有生成物、および、Medtronic, Inc.のINFUSE(登録商標)(rhBMP-2含有骨移植片)等の成長因子含有基質を含む合成材料を含んでもよい。
【0051】
ここに挙げる手段は、考えられる骨成長促進材料、骨移植片または骨移植片代用品の網羅的なリストであることを意図しているわけではないことは理解されるべきである。
【0052】
いくつかの実施形態では、BGPMは、インプラントの1つまたは複数の外面に塗布してもよい。他の実施形態では、BGPMは、インプラント内の内部容量に塗布してもよい。さらに他の実施形態では、BGPMは、外面と、インプラント内の内側と、の両方に塗布してもよい。
【0053】
図1に示すように、第1層120の細長い湾曲構造部材は第1ゲージを有していてもよく、第2層125の細長い湾曲構造部材は第2ゲージを有していてもよく、第3層130の細長い湾曲構造部材は第3ゲージを有していてもよい。さらに図1に示すように、第2ゲージは第1ゲージより小さくてもよく、第3ゲージは第2ゲージより小さくてもよい。ゲージにおけるこの差は、層のそれぞれに、異なる変形性を提供してもよい。
【0054】
したがって、細長い湾曲構造部材の寸法を変えることができる。いくつかの実施形態では、細長い湾曲構造部材は、0.2~3mmの範囲の断面直径を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、第1層120の細長い湾曲構造部材は、直径が略1.0mmであってもよく、第2層125の細長い湾曲構造部材は、直径が略0.6mmであってもよく、第3層130の細長い湾曲構造部材は、直径が略0.3mmであってもよい。
【0055】
図2は、図1に示すインプラントの模式的な横断面図である。図2に示すように、第1層120は、第1層120の外形が基体110の外形と実質的に同じであるように実質的に一定の第1の厚さを有していてもよい。また、第2層125は、第2層125の外形が第1層120の外形と実質的に同じであるように実質的に一定の第2の厚さを有していてもよい。さらに、第3層130は、第3層130の外形が第2層125の外形と実質的に同じであるように実質的に一定の第3の厚さを有していてもよい。換言すれば、いくつかの実施形態では、層間のインタフェースは、同心円状であってもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、層間のインタフェースは、実質的に無視できる厚さを有してもよい。他の実施形態では、第1層と第2層との間のインタフェースは、第1層の細長い湾曲構造部材が第2層の細長い湾曲構造部材と混在している、厚さを有する遷移領域である。同様に、第2層と第3層との間のインタフェースも、第2層の細長い湾曲構造部材が第3層の細長い湾曲構造部材と混在している、厚さを有する遷移領域であってもよい。
【0057】
インプラント100は、人間または動物の体内のさまざまな骨のうちの任意のものの内部に埋め込まれるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100の本体部105は、大腿骨または上腕骨などの長骨の髄腔への埋め込みのために構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、インプラント100の本体部105は、皮質または小柱骨にドリル穴開けまたはリーマ仕上げされた凹部への埋め込みのために構成されていてもよい。
【0058】
図3は、凹部205内に挿入されたインプラント100の本体部105を伴う、図1の骨200の模式的な断面図である。また、図4は、骨200と、図3に示すように挿入されたインプラント100との模式的な横断面図である。図3および図4に示すように、第3層130の部分と第2層125の部分とが、凹部205の内面の凹凸に合うように変形してもよい。図5の突出部210などの骨200が凹部205内に突出したエリアにおいて、インプラント100の1つ以上の層が、図5にて変形エリア140によって示されるように変形してもよい。
【0059】
図5は、骨200およびインプラント100の模式的な拡大断面図である。図5は一般に、第1層120、第2層125および第3層130内の細長構造部材の異なるゲージを示す。これらの層のサイズ、形状および大略構成の描写は模式的であることを意図していることに留意されたい。細長い湾曲構造部材は、任意の適切な形状および配置を有することができる。本開示は、層の相対的変形性の点で多層格子の特性に向けられている。
【0060】
図5に示すように、インプラント100の格子の1つ以上の層が変形性である。骨200の突出部210は、骨の凹部における凹凸を表す。手術ツールは一般に、最小の凹凸しか伴わない骨の凹部を作成することができるが、突出部210の相対的サイズは、図5において例示目的のために誇張されている。図5に示すように、格子の2つの層が突出部210によって変形され、突出部210の位置における2つの変形層の厚さの減少をもたらす。特に、第1層120は第1の非変形厚さ145を有し、第2層125は第2の非変形厚さ150を有し、第3層130は第3の非変形厚さ155を有する。変形エリアでは、第3層130は、第3の非変形厚さ155よりも小さい変形厚さ160を有する。また、第2層125は、第2の非変形厚さ150よりも小さい変形厚さ165を有する。いくつかの実施形態では、層の変形性が異なっていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、第3層130は、第2層125よりもより多く変形してもよい。
【0061】
図6は、細長い湾曲構造部材の3つの層の模式的な拡大図である。いくつかの実施形態では、層は、たとえば3D印刷によって単一の一体構造として形成されてもよい。図6に示すように、いくつかの実施形態では、1つの層と次の層との間の遷移部は、二次元で発生してもよい。つまり、遷移部は、隣接層が完全に別個であるように、いかなる厚さも有していなくてもよい。たとえば、図6に示すように、第1層120と第2層125との間の第1遷移部170は、いかなる厚さも有していなくてもよい。同様に、第2層125と第3層130との間の第2遷移部175は、いかなる厚さも有していなくてもよい。この
構成は、各層の変形性が層間遷移部によって変更されないままであることを保証してもよい。
【0062】
図7は、層がそれぞれの境界で互いに混在する、細長い湾曲構造部材の3つの層の模式的な拡大図である。図8は、図7に示す細長い湾曲構造部材の3つの層の、模式的なさらなる拡大図である。図8に示すように、いくつかの実施形態では、層間遷移部は厚さを有してもよい。すなわち、1つの層からの細長い湾曲構造部材が隣接層の細長い湾曲構造部材と混在する、格子の部分が存在する。
【0063】
図8は、第1層120が第1の厚さ180を有するように、第2層125が第2の厚さ185を有するように、第3層130が第3の厚さ190を有するように、示している。さらに図8に示すように、第1層120と第2層125とは、遷移領域195を形成するように混在してもよく、遷移領域195は、厚さ、ひいては容量を有する。同様に、第2層125は、第2遷移領域198を形成するように第3層130と混在してもよく、第2遷移領域198は、厚さ、ひいては容量を有する。この構成は、格子にさらなる強度を提供し、かつ、層の剥離を防止してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、いくつかの層遷移部が厚さを有していてもよく、他の層遷移部が厚さを有していなくてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、第1(最内)層と第2層との間の遷移部が厚さを有していてもよい一方、第2(中間)層と第3(最外)層との間の遷移部は厚さを有していなくてもよい。そのような実施形態では、仮にあったとしても、第1層はあまり変形しないので、第2層への厚さの遷移部を有することは、第1層の変形性を過度に変化させないであろう。一方、第2層と第3層との間の遷移部については、全体として各層および格子の相対的変形性特性を維持するために、厚さなしの遷移部が好ましい場合もある。
【0065】
図3図5は、骨の部分に挿入された多層骨インタフェース格子を有するインプラントの一部を大略的に説明することを意図した模式図である。図3図5は、インプラントの特定のタイプまたは骨の特定のタイプに固有であることを意図していない。図9図16は、このような多層骨インタフェース格子を実装してもよい実施形態を示す。
【0066】
図9は、実施形態による膝関節置換インプラントシステムの模式的な分解図である。多層骨インタフェース格子を実装することができる膝関節置換システムの複数の構成要素が存在する。図9に示すように、膝関節置換インプラントシステム900は、大腿骨構成要素905および脛骨構成要素910を含んでもよい。大腿骨構成要素905は、大腿骨915の遠位端に搭載するために構成されていてもよい。大腿骨構成要素905は、外科医によってドリル穴開けされた大腿骨915の穴925に挿入されるように構成された1つ以上のポスト920を含んでもよい。ポスト920は、穴925内での最大骨接触面を容易にするために、多層骨インタフェース格子を含んでもよい。ポスト920の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。脛骨構成要素910は、脛骨940の近位端の凹部935への挿入のために構成されたポスト930も含んでもよい。凹部935は、脛骨内の髄腔の部分を含んでもよく、また、切断、ドリル穴開け、リーマ仕上げまたは他の骨成形プロセスを介して、外科医によって少なくとも部分的に形成されてもよい。ポスト930は、凹部935内での最大骨接触面を容易にするために、多層骨インタフェース格子も含んでもよい。ポスト930の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0067】
いくつかの実施形態では、多層骨インタフェース格子を骨幹端スリーブに実装してもよい。このようなスリーブは、たとえば、かなりの量の骨吸収が起きた場合の再置換手術の際に利用される。スリーブは、インプラントポストと骨凹部の内面との間のスペースを塞
ぎ、これは、骨吸収、および/または新しいインプラントのために凹部を作成するために行われるさらなるリーマ仕上げに起因して大きくなる。
【0068】
図10は、骨幹端スリーブ1000および脛骨プラトーインプラント1005の模式的な分解図である。図10に示すように、骨幹端スリーブ1000は、脛骨プラトーインプラント1005のポスト1008を受容するように構成された中央穴1007を含んでもよい。また、スリーブ1000は、脛骨1015の近位端に埋め込むために構成された骨インタフェース格子を含んでもよい。格子は、細長い湾曲構造部材から形成された複数の同心円状の層を含んでもよい。図10に示すように、格子は、第1層1020、第2層1025および第3層1030を含んでもよい。
【0069】
さらに図10に示すように、第1層1020は、第1ゲージを有する細長い湾曲構造部材を含んでもよい。第2層1025は、第2ゲージを有する細長い湾曲構造部材を含んでもよい。第3層1030は、第3ゲージを有する細長い湾曲構造部材を含んでもよい。図10に示すように、第2ゲージは第1ゲージより小さくてもよく、第3ゲージは第2ゲージより小さくてもよい。
【0070】
図10に示すように、いくつかの実施形態では、インプラント1000は、内方スリーブ1050を含んでもよい。内方スリーブ1050は、細長い湾曲構造部材の第1層1020がその上に形成されてもよい基体層を提供してもよい。さらに、内方スリーブ1050の内面は、脛骨プラトーインプラント1005のポスト1008の表面と嵌合するように構成されていてもよい。たとえば、2つの表面は、ポスト1008が中央穴1007から抜けることを防止するための、またはその可能性を別様に最小化するためのテクスチャまたは他の特徴を有していてもよい。
【0071】
図11は、実施形態による股関節置換インプラントシステムの模式図である。図11に示すように、股関節置換インプラントシステム1100は、大腿骨構成要素1105および骨盤構成要素1106を含んでもよい。大腿骨構成要素1105は、大腿骨1110の近位端に搭載するために構成されていてもよい。大腿骨構成要素1105は、大腿骨1110の凹部に挿入されるように構成されたポスト1115を含んでもよい。凹部は、大腿骨1110内の髄腔の部分を含んでいてもよく、また、切断、ドリル穴開け、リーマ仕上げまたは他の骨成形プロセスを介して、外科医によって少なくとも部分的に形成されてもよい。ポスト1115は、大腿骨1110の凹部内での最大骨接触面を容易にするために、多層骨インタフェース格子を含んでもよい。ポスト1115の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0072】
図11に示すように、骨盤構成要素1106は、患者の骨盤1125の寛骨臼1120への移植のために構成された寛骨臼カップであってもよい。骨盤構成要素1106は、実質的に球形の外面1107を含んでもよい。外面1107は、寛骨臼1120と相互作用するように構成されていてもよい。骨盤構成要素1106は、いくつかの機構で寛骨臼1120に固定されてもよい。たとえば、骨盤構成要素1106は、1つ以上のねじで寛骨臼1120に固定されてもよい。
【0073】
また、骨盤構成要素1106のねじ固定は、骨盤構成要素1106の外面への骨内部成長で補充されてもよい。たとえば、図11に示すように、いくつかの実施形態では、骨盤構成要素1106の外面1107は、本明細書で説明される他の実施形態で説明したものと同様の多層骨インタフェース格子を含んでもよい。外面1107の多層骨インタフェース格子は、外面1107への骨成長を促進してもよい。外面1107の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0074】
さらに、いくつかの実施形態では、骨盤構成要素1106は、第1ポスト1108および第2ポスト1109などの1つ以上のポストを含んでもよい。骨盤構成要素1106の埋め込みの際に、第1ポスト1108は、寛骨臼1120にドリル穴開けされてもよい第1穴1130に挿入されてもよい。同様に、骨盤構成要素1106の埋め込みの際に、第2ポスト1109は、寛骨臼1120にドリル穴開けされてもよい第2穴1135に挿入されてもよい。一部の実施形態では、第1ポスト1108および第2ポスト1109は、本明細書で説明される他の実施形態で説明したものと同様の多層骨インタフェース格子を含む外面を有していていもよい。第1ポスト1108および第2ポスト1109の多層骨インタフェース格子は、これらのポストの表面への骨内部成長を促進し、したがって、骨盤1125への、骨盤構成要素1106のさらなる固定を提供してもよい。第1ポスト1108および第2ポスト1109の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0075】
図12Aは、実施形態による肩関節置換インプラントシステムの模式図である。図12Aに示すように、肩関節置換インプラントシステム1200は、上腕骨構成要素1205および関節窩構成要素1220を含んでもよい。上腕骨構成要素1205は、上腕骨1210の近位端に搭載するために構成されていてもよい。上腕骨構成要素1205は、上腕骨1210の凹部に挿入されるように構成されたポスト1215を含んでもよい。凹部は、上腕骨1210内に髄腔の部分を含んでもよく、また、切断、ドリル穴開け、リーマ仕上げまたは他の骨成形プロセスを介して、外科医によって少なくとも部分的に形成されてもよい。ポスト1215は、上腕骨1210の凹部内での最大骨接触面を容易にするために、多層骨インタフェース格子を含んでもよい。ポスト1215の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0076】
図12Bは、図12Aに示す肩関節置換インプラントシステムの関節窩側の模式的な分解図である。関節窩構成要素1220は、患者の肩1230の関節窩1225に埋め込まれるように構成されていてもよい。関節窩構成要素1220は、ベース構成要素1235とライナー1240とを含んでもよい。ライナー1240は、上腕骨構成要素1205に対する動きを容易にするであろう、プラスチックなどの低摩擦材料であってもよい(図12Aを参照)。ライナー1240は、たとえばスナップイン構成を使用して、ベース構成要素1235に取り付けられてもよい。
【0077】
ベース構成要素1235は、いくつかの機構で関節窩1225内に固定されてもよい。たとえば、ベース構成要素1235は、ベース構成要素1235の外面への骨内部成長によって関節窩1225内に固定されてもよい。たとえば、図12Bに示すように、いくつかの実施形態では、ベース構成要素1235の骨接触面1242は、本明細書で説明される他の実施形態で説明したものと同様の多層骨インタフェース格子を含んでもよい。骨接触面1242の多層骨インタフェース格子は、外面1242への骨内部成長を促進してもよい。骨接触面1242の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0078】
さらに、いくつかの実施形態では、ベース構成要素1235は、第1ポスト1245および第2ポスト1250などの1つ以上のポストを含んでもよい。ベース構成要素1235の埋め込みの際に、第1ポスト1245は、関節窩1225にドリル穴開けされてもよい第1穴1255に挿入されてもよい。同様に、ベース構成要素1235の埋め込みの際に、第2ポスト1250は、関節窩1225にドリル穴開けされてもよい第2穴1260に挿入されてもよい。いくつかの実施形態において、第1ポスト1245および第2ポスト1250は、本明細書で説明される他の実施形態で説明したものと同様の多層骨インタフェース格子を含む外面を有してもよい。第1ポスト1245および第2ポスト1250の多層骨インタフェース格子は、これらのポストの表面への骨内部成長を促進し、したが
って、関節窩1225への、ベース構成要素1235のさらなる固定を提供してもよい。第1ポスト1245および第2ポスト1250の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0079】
図13は、実施形態による足関節置換インプラントシステムの模式的な組立図である。多層骨インタフェース格子を実装することができる足関節置換システムの複数の構成要素が存在する。図13に示すように、足関節置換インプラントシステム1300は、脛骨構成要素1305および距骨構成要素1310を含んでもよい。脛骨構成要素1305は、脛骨1315の遠位端に搭載するために構成されていてもよい。脛骨構成要素1305は、ベースプレート1318と、ベースプレート1318から延びて脛骨1315の1つ以上の凹部に挿入されるように構成された1つ以上のポスト1320とを含んでもよい。脛骨1315の凹部は、脛骨内の髄腔の部分を含んでもよく、また、切断、ドリル穴開け、リーマ仕上げまたは他の骨成形プロセスを介して、外科医によって少なくとも部分的に形成されてもよい。ポスト1320は、凹部内での最大骨接触面を容易にするために、多層骨インタフェース格子を含んでもよい。ポスト1320の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0080】
ベースプレート1318は、1つ以上の凹部1340を有する骨接触面を含んでもよい。凹部1340は、骨内部成長を促進するための多層骨インタフェース格子で少なくとも部分的に充填されてもよい。
【0081】
距骨構成要素1310は、距骨1335の近位端における1つ以上の凹部に挿入するために構成された1つ以上のポスト1330も含んでもよい。1つ以上の凹部は、切断、ドリル穴開け、リーマ仕上げまたは他の骨成形プロセスを介して、外科医によって少なくとも部分的に形成されてもよい。ポスト1330は、凹部内での最大骨接触面を容易にするために、多層骨インタフェース格子も含んでもよい。ポスト1330の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0082】
図14は、実施形態による足関節固定インプラントシステムの模式的な組立図である。図14に示すように、足関節固定インプラントシステム1400は、髄内ロッド1405を含んでもよい。髄内ロッド1405は、脛骨1410の遠位端に搭載するために構成されていてもよい。図14に示すように、髄内ロッド1405はまた、距骨1415および踵骨1420を通って挿入されてもよい。髄内ロッド1405は、脛骨1410内に髄腔の部分を含んでもよい脛骨1410の凹部内に挿入されてもよい。また、髄内ロッド1405は、切断、ドリル穴開け、リーマ仕上げまたは他の骨成形プロセスを介して、外科医によって少なくとも部分的に形成されてもよい、距骨1415および踵骨1420の凹部に挿入されてもよい。髄内ロッド1405は、脛骨および距骨内の凹部内での最大骨接触面を容易にするために、多層骨インタフェース格子を含んでもよい。髄内ロッド1405の、多層骨インタフェース格子を含んでもよい大略的エリアを点描で示す。
【0083】
図15は、足関節固定インプラントシステムのための代替的髄内ロッドの実施形態の模式的な斜視図である。図15は、髄内ロッド1500を示す。髄内ロッド1500は、複数の細長い湾曲構造部材1505を含んでもよい。図15に示すように、構造部材1505は、髄内ロッド1500の最外エンベロープから後退している接合部1510で交差してもよい。したがって、支持部材の接合部は一般に、ロッド1500が埋め込まれる際に骨-インプラントインタフェースに位置付けられない。
【0084】
図16は、実施形態による槌趾補正インプラントの模式図である。図16に示すように、槌趾補正インプラント1600は、指節間関節を癒合するために、隣接する指骨に埋め込まれてもよい。インプラント1600の外面は、骨内部成長を促進するために細長い湾
曲構造部材の多層骨インタフェース格子を含んでもよい。たとえば、図16に示すように、インプラント1600は、第1層1620、第2層1625および第3層1630を含んでもよい。いくつかの実施形態では、インプラント1600は、中心穴1607を有してもよい。骨移植片材料は、固定および骨内部成長を促進するために、中央穴1607に配置されてもよい。
【0085】
図16は、3つの層の格子を有する実質的に円筒形の実施形態を示す。この構成は、複数の異なる髄内ロッドのうちの任意のもののために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、このような円筒形のインプラントは、(図16に示すような)足または手の指骨などの隣接する骨を接合するために使用されてもよい。他の場合には、そのようなインプラントは、上腕骨、大腿骨、脛骨および他のそのような骨などの長骨を修復するために使用されてもよい。深刻な骨折の場合、長骨は、実質的に中空の骨の内部にロッドを置くことによって修復されるであろう。本明細書で説明した3つの層の格子は、このような髄内ロッドのための固定および骨内部成長を促進してもよい。
【0086】
また、他の髄内インプラントも可能である。たとえば、いくつかの実施形態では、二重の同心らせん状部材を有するインプラントを利用してもよい。
【0087】
図17は、髄内移植のために構成された、別の実質的に円筒形のインプラントの模式的な斜視図である。図17に示すように、インプラント1700は、第1外方渦巻1705および第1内方渦巻1710を含んでもよい。また、インプラント1700は、第2外方渦巻1715および第2内方渦巻1720を含んでもよい。この二重同心渦巻構成は、実質的に中空の内部容量が骨移植片材料および/または骨内部成長を受容することを維持しながら、構造的支持を提供してもよい。
【0088】
内方および外方渦巻は、二条ねじに類似の別個の開始点を有していてもよい。また、内方および外方渦巻は、端部で互いに接合されてもよい。たとえば、図17に示すように、第1外方渦巻1705および第1内方渦巻1710は、第1連結部1725によって接合されてもよい。同じく図17に示すように、第2外方渦巻1715および第2内方渦巻1720は、第2接続部1730によって接合されてもよい。
【0089】
図18図20は、インプラント1700の他の図を示す。図19に示すように、長手方向間隔1750を渦巻の間に設けてもよい。さらに、図20に示すように、外方渦巻と内方渦巻とが同心円状であってもよい。さらに、第1内方渦巻1710と第2内方渦巻1720とが円筒形中央開口1735を画定してもよい。また、内方渦巻および外方渦巻が、内方渦巻と外方渦巻との間の環状スペース1740を画定してもよい。中央開口1735、環状スペース1740および長手方向間隔1750は、骨移植片材料および/または骨内部成長を受容するように構成されていてもよい。
【0090】
図21は、別の実施形態による、実質的に円筒形の髄内インプラントの模式的な斜視図である。図21は、長手方向軸2108を有する実質的に円筒形のグリッドまたはケージを形成する複数の十字交差支持部材2105で形成されたインプラント2100を示している。図21に示すように、インプラント2100は、長手方向軸2108が湾曲部を有するように、その中に屈曲部を有していてもよい。この屈曲部は、互いに対してある角度に維持されることが意図される、骨の別個の部分への埋め込みを容易にしてもよい。
【0091】
インプラント2100は、手または足の指骨などの細長い骨内に配置されるように構成されていてもよい。いくつかの場合では、インプラント2100は、大腿骨または上腕骨などのより大きな骨の髄内スペースに埋め込まれるように構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、インプラント2100の第1端部2110は、第1骨または第1
骨片に挿入されてもよく、インプラント2100の第2端部2115は、別個の骨または骨片に挿入されてもよい。別個の骨(たとえば指骨)または骨片(たとえば骨折した長骨)にインプラント2100の対向端部を挿入することによって、インプラント2100は、別個の骨の癒合または別個の骨折した骨片の治癒を促進するようにこれらの骨を安定化させてもよい。
【0092】
埋め込み後のインプラント2100が外れることを防止するために、インプラント2100は、1つ以上のスパイク2120を含んでもよい。スパイク2120は、インプラント2100の挿入を容易にするが、インプラント2100の除去を防止して、インプラント2100の長手方向軸2108周りの回転を防止するように構成されていてもよい。たとえば、インプラントは、インプラント2100の第1端部2110に近接して位置付けられた第1スパイク2125を含んでもよい。第1スパイク2125は、第1端部2110から離れて対向し、長手方向軸2108に対して実質的に垂直に延びている第1表面2130を含んでもよい。第1スパイク2125は、インプラント2100の第1端部2110に向かって対向し、長手方向軸2108に対して非ゼロ角度で延びている第2表面2135も含んでもよい。すなわち、第2表面2135が支持部材2105の表面から離れて延びると、第2表面2135はインプラント2100の第1端部2110から離れて傾斜する。第2表面2135の傾斜は、インプラント2100の挿入を容易にし、第1表面2130の垂直構成は、インプラント2100が埋め込まれている骨内からインプラント2100が除去されることを防止してもよい。
【0093】
図21に示すように、インプラント2100の両端のスパイク2120は、反対方向に面する傾斜面を有していてもよい。すなわち、第1端部2110に最も近いスパイクは、第1スパイク2125と同様に第1端部2110に向かって対向する傾斜面を有していてもよい。そして、第2端部2115に最も近いスパイクは、第2端部2115に向かって対向する傾斜面を有していてもよい。たとえば、インプラントは、インプラント2100の第2端部2115に近接して第2スパイク2140を含んでもよい。第2スパイク2140は、第2端部2115から離れて対向し、長手方向軸2108から実質的に垂直に延びている第1表面2145を含んでもよい。また、第2スパイク2140は、第2端部2115に向かって対向し、長手方向軸2108に対して非ゼロ角度で延びている第2表面2150を含んでもよい。
【0094】
図22は、図21に示すインプラントの模式的な側面図である。図22に示すように、いくつかの実施形態において、スパイク2120は、インプラント2100の両側に配置されてもよい。たとえば、インプラント2100は、第1スパイク2125に対向して配置された第3スパイク2155を含んでもよい。同様に、インプラント2100は、第2スパイク2140に対向して配置された第4スパイク2160を含んでもよい。したがって、少なくとも1つの平面内に、インプラント2100は、長手方向軸2108について実質的に対称であってもよい。
【0095】
図23は、別の実施形態による、実質的に円筒形の髄内インプラントの模式的な斜視図である。図23に示すように、インプラント2300は、長手方向軸2310の周りに延びている複数の渦巻部材2305で形成されてもよい。渦巻部材2305を支持するために、インプラント2300は、フレームワークを含んでもよい。フレームワークは、第1の実質的に円形の端部部材2315と、第2の実質的に円形の端部部材2320とから形成されてもよい。複数の長手方向部材2325は、第1の実質的に円形の端部部材2315と、第2の実質的に円形の端部部材2320との間に延びていてもよい。渦巻部材2305は、長手方向部材2325により支持されてもよい。インプラント2300は、長手方向軸2310に対して任意の適切な長手方向長さと径方向直径とを有していてもよい。たとえば、インプラント2300は、指骨のような小さな骨または上腕骨もしくは大腿骨
などの大きな骨内に埋め込むのに適したサイズを有していてもよい。
【0096】
図23に示すように、渦巻部材2305は、長手方向軸2310に対して半径方向内外にずれた、実質的に正弦波状の構成を有していてもよい。また、渦巻部材2305は、集合的にインプラント2300の外面の少なくとも一部を形成する、複数の平坦表面2335を含んでもよい。インプラント2300の構造部材は、インプラント2300の内部に中央中空空洞を画定する。中央中空空洞は、骨移植片材料を受容するように構成されていてもよい。
【0097】
図24は、図23に示すインプラントの別の模式的な斜視図である。図24は、インプラント2300の内部から見た、中央中空空洞、および渦巻部材2305の正弦波状構成をより良く示している。
【0098】
図25は、図23に示すインプラントの模式的な側面図である。図25は、渦巻部材2305の角度またはピッチを示す。図25は、渦巻部材2305の平坦表面2335が、それらが配置されている長手方向部材2325のどちら側へ互い違いになっているかも示す。これは、インプラント2300の外方(骨接触)面についての表面積の均一分布を提供してもよい。
【0099】
インプラントの種々の構成要素は、特定の用途および/または医師による選択に応じて、金属(たとえば、チタンまたは他の金属)、セラミック、および/またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、人体に埋め込むのに好適な生体適合性材料から製造されてもよい。
【0100】
一般に、インプラントは、十分な強度を有する、任意の好適な生体適合性の、非分解性の材料から形成することができる。典型的な材料としては、限定はされないが、チタン、生体適合性チタン合金(たとえば、γチタンアルミナイド、Ti-Al-V ELI(ASTM F 136およびASTM F 3001)、またはTi-Al-V(ASTM F 2989、ASTM F 1108、およびASTM F 1472)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の不活性の生体適合性ポリマー(たとえば、PEEK-OPTIMA(登録商標)、Invibio Inc、およびZeniva、Solvay Inc.)が挙げられる。任意選択的に、インプラントは、画像化中の可視化を容易にするためにX線不透過性マーカーを含む。
【0101】
異なる実施形態では、インプラントを作製するプロセスは変えることができる。いくつかの実施形態では、インプラント全体は、リアディショナル(readditional)/CNCマシニング、射出成形、鋳造、インサート成形、共押出、引き抜き成型、トランスファー成形、オーバーモールド、圧縮成形、三次元(3D)プリンティング(直接金属レーザー焼結および電子ビーム溶解を含む)、浸漬被覆、スプレー被覆、粉末被覆、多孔性被覆、中実の原材料からの粉砕、およびそれらの組み合わせによって製造して組み立ててもよい。また、実施形態は、「コイル状インプラント出願」に開示された特徴、部品、アセンブリ、プロセスおよび/または方法のうちの任意のものを利用することができる。
【0102】
種々の実施形態を説明してきたが、この説明は、制限的ではなく例示的なものであり、当業者には、実施形態の範囲内にあるさらに多くの実施形態および実施態様が可能であることは明らかであろう。考えられる多くの特徴の組み合わせを添付の図面に示し、本詳細な説明で述べているが、開示された特徴の、他の多くの組み合わせが可能である。任意の実施形態の任意の特徴は、特に制限されていない限り、任意の他の実施形態の任意の他の特徴もしくは要素と組み合わせて、またはその代わりに使用してもよい。そのため、本開示において図示および/または説明される特徴のいずれも、任意の適切な組み合わせで一
緒に実施してもよいことは理解されるであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に鑑みる以外で制限されてはならない。また、添付の特許請求の範囲内で、種々の修正および変更を行ってもよい。
【0103】
関連出願
本願は、2016年10月25日に出願された米国仮出願第62/412,657号に対する優先権を主張し、同出願は、参照により本明細書に援用される。
図1
図2
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