(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】ベローズの取付構造
(51)【国際特許分類】
F16J 3/04 20060101AFI20240919BHJP
F16J 15/52 20060101ALI20240919BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F16J3/04 C
F16J15/52 Z
F16F15/08 E
(21)【出願番号】P 2021208517
(22)【出願日】2021-12-22
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新堀 武儀
(72)【発明者】
【氏名】中山 壮一
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-179578(JP,A)
【文献】実開昭48-41949(JP,U)
【文献】特開2010-281443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 3/04
F16J 15/52
F16F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のベローズを固定部材に取り付けたベローズの取付構造であって、
前記ベローズは、
両端部に設けられる直管部と、
前記直管部の間に設けられ、凹凸形状を繰り返してなる蛇腹部と、
前記直管部および前記蛇腹部に連なる連結部と、
を備え、
前記蛇腹部は、
屈曲してなる谷部と、
前記谷部とは逆の態様で屈曲してなる山部と、
前記山部から該山部と同じ態様でそれぞれ屈曲して延びる腹部と、
からなる一組の突起形状を繰り返してなり、
複数の前記腹部のうち、前記連結部に連なる腹部は、前記固定部材に当接し、
前記固定部材と前記連結部との間には、空間が形成され、
前記谷部には、粘弾性リングが設けられる、
ことを特徴とするベローズの取付構造。
【請求項2】
前記固定部材と前記連結部との間には、粘弾性リングが設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のベローズの取付構造。
【請求項3】
筒状のベローズを固定部材に取り付けたベローズの取付構造であって、
前記ベローズは、
両端部に設けられる直管部と、
前記直管部の間に設けられ、凹凸形状を繰り返してなる蛇腹部と、
前記直管部および前記蛇腹部に連なる連結部と、
を備え、
前記蛇腹部は、
屈曲してなる谷部と、
前記谷部とは逆の態様で屈曲してなる山部と、
前記谷部および前記山部の間に設けられる腹部と、
からなる一組の突起形状を繰り返してなり、
前記谷部には、第1粘弾性リングが設けられ、
前記固定部材と前記連結部との間には、第2粘弾性リングが設けられる、
ことを特徴とするベローズの取付構造。
【請求項4】
前記腹部は、前記山部と同じ態様で屈曲して延びる、
ことを特徴とする請求項3に記載のベローズの取付構造。
【請求項5】
同一の前記谷部から延びる一対の前記腹部同士が接触する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のベローズの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気ばねや、防振装置、車両用懸袈装置、アキュムレータ、高圧ポンプ等において、気密性および伸縮性を有する流体分離膜または流体密封膜としてベローズが用いられている(例えば、特許文献1、2を参照)。ベローズは、中央部が蛇腹状をなし、加わる荷重に応じて伸縮する。また、ベローズは、端部が筒状をなして固定板に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-148258号公報
【文献】特許第4140872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ベローズの中央部の最も端部(最端部)側を固定板に接触させることによって固定板に対してベローズを位置決めする構成では、圧縮時に中央部の端部側に圧縮応力が加わり、ベローズが破損するおそれがあった。一方、この圧縮応力を低減するために、固定板とベローズの中央部の最端部とを接触させない構成が挙げられる。しかしながら、この構成にすると、固定板に対するベローズの位置決め精度が低下するため、位置決めするための手段が必要となり、構成が複雑化してしまう場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成でベローズに加わる応力を低減することができるベローズの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るベローズの取付構造は、筒状のベローズを固定部材に取り付けたベローズの取付構造であって、前記ベローズは、両端部に設けられる直管部と、前記直管部の間に設けられ、凹凸形状を繰り返してなる蛇腹部と、前記直管部および前記蛇腹部に連なる連結部と、を備え、前記蛇腹部は、屈曲してなる谷部と、前記谷部とは逆の態様で屈曲してなる山部と、前記山部から該山部と同じ態様でそれぞれ屈曲して延びる腹部と、からなる一組の突起形状を繰り返してなり、複数の前記腹部のうち、前記連結部に連なる腹部は、前記固定部材に当接し、前記固定部材と前記連結部との間には、空間が形成され、前記谷部には、粘弾性リングが設けられる、ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るベローズの取付構造は、上記発明において、前記固定部材と前記連結部との間には、粘弾性リングが設けられることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るベローズの取付構造は、筒状のベローズを固定部材に取り付けたベローズの取付構造であって、前記ベローズは、両端部に設けられる直管部と、前記直管部の間に設けられ、凹凸形状を繰り返してなる蛇腹部と、前記直管部および前記蛇腹部に連なる連結部と、を備え、前記蛇腹部は、屈曲してなる谷部と、前記谷部とは逆の態様で屈曲してなる山部と、前記谷部および前記山部の間に設けられる腹部と、からなる一組の突起形状を繰り返してなり、前記谷部には、第1粘弾性リングが設けられ、前記固定部材と前記連結部との間には、第2粘弾性リングが設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るベローズの取付構造は、上記発明において、前記腹部は、前記山部と同じ態様で屈曲して延びることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るベローズの取付構造は、上記発明において、同一の前記谷部から延びる一対の前記腹部同士が接触することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成でベローズに加わる応力を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1にかかる圧力調整装置の構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す領域Rの構成を拡大したベローズ取付構造を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態2にかかるベローズ取付構造を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態3にかかるベローズ取付構造を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態4にかかるベローズ取付構造を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態4にかかるベローズ取付構造における荷重-撓みの計測結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる圧力調整装置の構成を示す断面図である。
図2は、
図1に示す領域Rの構成を拡大したベローズ取付構造を示す図である。
図1に示すベローズ取付構造1は、下側固定板11と、上側固定板12と、下側固定板11および上側固定板12の間に設けられるベローズ13と、第1フランジ14と、第2フランジ15と、第1Oリング16と、第2Oリング17と、内筒ガイド18と、ボルト19と、平座金20と、ばね座金21と、ガイドベローズ22と、空圧継手23と、粘弾性リング24とを備える。本実施の形態1においては、下側固定板11および第1フランジ14、または上側固定板12および第2フランジ15によって固定部材が構成される。
【0015】
ベローズ取付構造1では、下側固定板11と上側固定板12との間にベローズ13が介在し、内部空間S1を形成する。この内部空間S1は、空圧継手23の孔23aを経て外部と連通する。
【0016】
ベローズ13は、両端部に設けられる筒状の直管部13aと、直管部13a間に設けられ、凹凸形状を繰り返してなる蛇腹状の蛇腹部13bと、直管部13aおよび蛇腹部13bを連結する連結部13cとを有する。蛇腹部13bは、湾曲してなる谷部13dと、谷部13dとは湾曲態様が逆の湾曲態様で湾曲してなる山部13eと、山部13eから谷部13d側にそれぞれ延び、山部13eと同じ湾曲態様で湾曲してなる腹部13fとを有し、谷部13d、山部13e、および、山部13eを経て対向する二つの腹部13fを一組の突起形状とし、該突起形状を繰り返してなる(
図2参照)。突起形状は、直管部13aに対して、外部側に突出する。山部13eを経て対向する腹部13f同士は、蛇腹部13bが直管部13aに対して突出する突出方向(ここでは
図2の左右方向)における蛇腹部13bの中央部において互いに離れるように湾曲してなる。蛇腹部13bは、筒の中心軸と平行かつこの中心軸を通過する平面を切断面とする断面において、中央部が凸状に膨らんだΩ状をなす突起形状を繰り返してなる。なお、ベローズ13の貫通方向を長手方向とする。
【0017】
また、ベローズ13は、内筒ガイド18との間に設けられ、当該内筒ガイド18とベローズ13との間の間隔を維持するガイドベローズ22を設けることによって、円滑に伸縮動作を行うことができる。
【0018】
内筒ガイド18は、内部空間S1に設けられ、内筒ガイド18は、平座金20およびばね座金21を介してボルト19によって下側固定板11に固定される。
【0019】
続いて、ベローズ13の固定板(下側固定板11および上側固定板12)への取り付け態様について
図2を参照して説明する。
図2では、上側固定板12とベローズ13との取り付け部分の一部を示している。以下、上側固定板12とベローズ13との取り付け態様について説明するが、下側固定板11とベローズ13との取り付け態様も同様である。
【0020】
ベローズ13の直管部13aは、上側固定板12および第2フランジ15の内壁に沿って延びる。
図2において、直管部13aは、第2フランジ15の角部の一部と接触している。また、上側固定板12、ベローズ13および第2フランジ15によって形成される空間には、第2Oリング17が設けられ、上側固定板12およびベローズ13における気密状態が確保される。
第1Oリング16および第2Oリング17は、弾性体を用いて形成される。
【0021】
また、ベローズ13の蛇腹部13bにおいて、連結部13cに連なる腹部13fは、第2フランジ15の壁面15aに当接している。この際、第2フランジ15の連結部13cと対向する角部は面取りされており、連結部13cは、第2フランジ15には接触しておらず、連結部13cと第2フランジ15との間には空間S2が形成される。
【0022】
蛇腹部13bの谷部13dの外部側には、粘弾性リング24が設けられる。この粘弾性リング24の弾性力によって、谷部13dの屈曲(潰れ)や、対向する腹部13f間の距離が制御される。粘弾性リング24は、ベローズ13の谷部13dを長手方向と直交する方向には荷重を加えないようにしてもよいし、長手方向の距離が小さくなるように締め付ける荷重を加えるようにしてもよい。
【0023】
ベローズ取付構造1では、空圧継手23を介して内部空間S1の圧力を高めると、ベローズ13の蛇腹部13bが広がって長手方向に延び、下側固定板11と上側固定板12とが離れる方向に移動する。ベローズ取付構造1は、この固定板の移動によって、例えば下側固定板11と接触する対象に対して加える荷重を調整する空気ばねとして機能する。
【0024】
本実施の形態1では、ベローズ取付構造1では、腹部13fがフランジ(第1フランジ14および第2フランジ15)に接触し、連結部13cとフランジとの間に空間(例えば空間S2)が形成され、谷部13dに粘弾性リング24が設けられることによって、蛇腹部13bの伸長等によって作用する応力が腹部13fに分散し、ベローズ13の損傷が抑制される。また、ベローズ取付構造1は、谷部13dに粘弾性リング24を配設し、蛇腹部13bの腹部13fをフランジに当接させ、連結部13cとフランジの角部とが接触しないように空間(空間S2)を形成させるのみで上述した効果を得ることができる。本実施の形態1によれば、簡易な構成でベローズに加わる応力を低減することができる。
【0025】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、
図3を参照して説明する。
図3は、実施の形態2にかかるベローズ取付構造を示す図である。なお、実施の形態1にかかるベローズ取付構造1と同じ部分には同じ符号が付してある。実施の形態2にかかるベローズ取付構造は、第2フランジ15に代えて第2フランジ15Aを備え、第2粘弾性リング25をさらに備える。なお、実施の形態2では、粘弾性リング24は、第1粘弾性リングに相当する。
【0026】
第2フランジ15Aは、蛇腹部13bに対向する壁面15bのうち、連結部13cと対向する部分に傾斜面15cを有する。ベローズ13と傾斜面15cとによって形成される空間S3には、第2粘弾性リング25が設けられる。
なお、第1フランジ側も同様に粘弾性リングが設けられる。
【0027】
実施の形態2にかかるベローズ取付構造では、ベローズ取付構造1と同様に、空圧継手23を介して内部空間S1の圧力を高めると、ベローズ13の蛇腹部13bが広がって下側固定板11と上側固定板12とが離れる方向に移動する。この際、谷部13dに粘弾性リング24が設けられ、連結部13cとフランジとの間に第2粘弾性リング25が介在することによって、蛇腹部13bの伸長等によって作用する応力が分散し、ベローズ13の損傷が抑制される。また、実施の形態2にかかるベローズ取付構造は、谷部13dに粘弾性リング24を配設し、連結部13cとフランジの間に粘弾性リングを介在させるのみで上述した効果を得ることができる。本実施の形態2によれば、簡易な構成でベローズに加わる応力を低減することができる。
【0028】
なお、実施の形態2において、ベローズ13の腹部13fは、
図3に示すように、山部13eと同じ態様で湾曲している例について説明したが、これに限らず、例えば直線状に延びるものであってもよいし、谷部13dと同じ湾曲態様で湾曲してなるものであってもよい。この際、腹部13fが、山部13eと同じ湾曲態様で湾曲していれば、腹部13f間で粘弾性リング24を挟み込むことによって、該粘弾性リング24の抜け止め効果が得られるため好ましい。
【0029】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について、
図4を参照して説明する。
図4は、実施の形態3にかかるベローズ取付構造を示す図である。なお、実施の形態1にかかるベローズ取付構造1と同じ部分には同じ符号が付してある。実施の形態3にかかるベローズ取付構造は、第2フランジ15に代えて第2フランジ15Bを備え、第2粘弾性リング26をさらに備える。
【0030】
第2フランジ15Aは、蛇腹部13bに対向する壁面15dのうち、連結部13cと対向する部分に傾斜面15eを有する。ベローズ13と傾斜面15eとによって形成される空間S4には、第2粘弾性リング26が設けられる。
また、連結部13cに連なる腹部13fは、第2フランジ15の壁面15dに当接している。
なお、第1フランジ側も同様に粘弾性リングが設けられる。
【0031】
実施の形態3にかかるベローズ取付構造では、ベローズ取付構造1と同様に、空圧継手23を介して内部空間S1の圧力を高めると、ベローズ13の蛇腹部13bが広がって下側固定板11と上側固定板12とが離れる方向に移動する。この際、谷部13dに粘弾性リング24が設けられ、腹部13fがフランジに接触し、かつ連結部13cとフランジとの間に第2粘弾性リング26が介在することによって、蛇腹部13bの伸長等によって作用する応力が分散し、ベローズ13の損傷が抑制される。また、実施の形態3にかかるベローズ取付構造は、蛇腹部13bの腹部13fをフランジに当接させ、谷部13dに粘弾性リング24(第1粘弾性リング)を配設するとともに、連結部13cとフランジの間に第2粘弾性リングを介在させるのみで上述した効果を得ることができる。本実施の形態3によれば、簡易な構成でベローズに加わる応力を低減することができる。
【0032】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、実施の形態4にかかるベローズ取付構造を示す図である。なお、実施の形態1にかかるベローズ取付構造1と同じ部分には同じ符号が付してある。実施の形態4にかかるベローズ取付構造は、実施の形態1と同じ構成要素を備え、実施の形態1にかかる蛇腹部13bとはその当接態様が異なる。
【0033】
実施の形態4において、内部空間S1の圧力に応じて、同一の谷部13dからそれぞれ延びる腹部13f同士が互いに当接するとともに、連結部13cに連なる腹部13fが第2フランジ15の壁面15aに当接する。なお、内部空間S1の圧力が減圧されると、腹部13f同士が離間した状態となり得る。また、連結部13cは、第2フランジ15には接触しておらず、連結部13cと第2フランジ15との間には空間S2が形成される。
【0034】
蛇腹部13bの谷部13dの外部側には、粘弾性リング24が設けられる。この粘弾性リング24の弾性力によって、谷部13dの屈曲(潰れ)等が制御される。
【0035】
実施の形態4にかかるベローズ取付構造では、ベローズ取付構造1と同様に、空圧継手23を介して内部空間S1の圧力を高めると、ベローズ13の蛇腹部13bが広がって下側固定板11と上側固定板12とが離れる方向に移動する。この際、谷部13dに粘弾性リング24が設けられ、最も直管部13a側に位置する腹部13fがフランジに接触するとともに、他の隣り合う腹部13f同士が接触することによって、蛇腹部13bの伸長等によって作用する応力が分散し、ベローズ13の損傷が抑制される。また、実施の形態4にかかるベローズ取付構造は、谷部13dに粘弾性リング24を配設し、蛇腹部13bの腹部13fをフランジに当接させ、他の腹部13f同士を接触のみで上述した効果を得ることができる。本実施の形態4によれば、簡易な構成でベローズに加わる応力を低減することができる。
【0036】
また、実施の形態4では、腹部13f同士を接触させることによって圧縮方向の許容ストロークが増大するため、ベローズ13の取付長(筒の中心軸方向の長さ)を短くすることができる。
【0037】
図6は、実施の形態4にかかるベローズ取付構造における荷重-撓みの計測結果の一例を示す図である。
図6では、ベローズ13の撓みが0.5mmとなった状態において腹部13f同士が接触し始め、撓みの増加とともに荷重が非線形的に増加することが示されている。これは、ベローズ13の圧縮方向の撓みの増加とともに、腹部13f同士の接触面積が増加し、発生荷重が非線形的に増加することによる。この荷重曲線の非線形性は、ベローズ13における応力の分散を示し、ベローズ13に加わる応力が低減されているといえる。この非線形性によって、耐久性を一層向上することができるとともに、上述した取付長の短小化と合わせて小型軽量化を実現することができる。
【0038】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。また、ベローズ13は、摩擦の軽減等のために、コーティング処理や研磨処理等の表面加工を施してもよい。また、粘弾性リングやOリングは、図示した断面形状に限らず、設計を変更することが可能である。
【0039】
なお、実施の形態2、3の構成において、実施の形態4のように、腹部13f同士を接触させた構成とすることが可能である。
【0040】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0041】
以上説明したように、本発明に係るベローズの取付構造は、簡易な構成でベローズに加わる応力を低減するのに好適である。
【符号の説明】
【0042】
1 ベローズ取付構造
11 下側固定板
12 上側固定板
13 ベローズ
13a 直管部
13b 蛇腹部
13c 連結部
13d 谷部
13e 山部
13f 腹部
14 第1フランジ
15、15A、15B 第2フランジ
16 第1Oリング
17 第2Oリング
18 内筒ガイド
19 ボルト
20 平座金
21 ばね座金
22 ガイドベローズ
23 空圧継手
24 粘弾性リング
25、26 第2粘弾性リング