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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/11 20060101AFI20240919BHJP
   B01D 29/07 20060101ALI20240919BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B01D29/10 510F
B01D29/06 510A
B01D29/38 520A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021558725
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2020057406
(87)【国際公開番号】W WO2020244823
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】102019003932.7
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500563201
【氏名又は名称】ハイダック プロセス テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト シュリヒター
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ヘルマン ゲルストナー
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ ブークロフ
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102017002646(DE,A1)
【文献】特表2013-522004(JP,A)
【文献】特表2003-502139(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017001970(DE,A1)
【文献】米国特許第5587074(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/00-37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタハウジング(1)を備えたフィルタ装置であって、前記フィルタハウジングが、未濾過液のための流体入口(11)と、濾過液のための流体出口(19)と、前記フィルタハウジング(1)内に収容された1つの部分又は複数の部分から成るフィルタ挿入体(7,9)とを有しており、前記フィルタ挿入体が、少なくとも1つの逆洗部材(10)によって濾過方向に対して対向流で清浄化可能であり、前記逆洗部材が、回転駆動装置の流体案内駆動軸(20)によって、それぞれの前記フィルタ挿入体(7,9)の内側(17)に沿って移動可能であり、そして前記逆洗部材の、前記内側(17)に隣接する端部に、規定可能なギャップ幅(x)を備えたギャップ状の貫通開口(22)を有しており、前記貫通開口が、前記流体案内駆動軸(20)の回転軸線に対して平行に延びており、そして前記貫通開口が、前記流体案内駆動軸(20)と流体案内接続された流れ空間(14)内へ開口している、フィルタ装置において、
それぞれの前記逆洗部材(10)の前記貫通開口(22)と、前記隣接して対応配置されたフィルタ挿入体(7,9)との間に規定可能な間隔(a)が存在しており、前記間隔が、前記逆洗部材(10)の前記貫通開口(22)のギャップ幅(x)の8分の1~半分であり、
前記フィルタ挿入体(7,9)の少なくとも一部が、2つの支持体及び/又は保護体(39;45,47)の間に、未濾過液を濾過する多層織布(41;43)を有しており、前記2つの支持体及び/又は保護体(39;45,47)の厚さ(d1,d2)がそれぞれ、対応配置可能な前記逆洗部材(10)の前記貫通開口(22)の前記ギャップ幅(x)の1.5倍以下であることを特徴とする、フィルタ装置。
【請求項2】
それぞれの逆洗部材(10)と、前記隣接して対応配置可能なフィルタ挿入体(7,9)との間の間隔(a)を、調整装置(27)によって規定することができることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
それぞれの前記逆洗部材(10)が、回転する前記流体案内駆動軸(20)によって0.1m/s~0.5m/sの周方向速度を被ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
対応配置可能な前記逆洗部材(10)が、前記フィルタ挿入体(7,9)の少なくとも一部の完全又はほぼ完全な逆洗状態が存在するように、前記流体案内駆動軸(20)の長手方向軸線を中心として360°だけ全回転されうることを特徴とする、請求項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記多層織布(41,43)が、少なくとも1つの支持層及び/又はドレナージ層並びに1つのフィルタ層から成っていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記多層織布(41,43)が平滑又はプリーツ状に延びるように形成されており、そして平滑な前記多層織布(43)の厚さ(d3)、もしくはプリーツ状織布(41)の襞高さ(h)が、前記ギャップ幅(x)の1.9倍以下であることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
プリーツ状織布(41)を使用するときには、襞広さ(b)が、前記ギャップ幅(x)の±35%に相当することを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
それぞれの前記フィルタ層が貫通部(40)を有しており、前記貫通部の貫通幅がそれぞれ0.1~1000μmであることを特徴とする、請求項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
内側及び/又は外側の、前記逆洗部材(10)に向いた、もしくは前記逆洗部材(10)とは反対側にある、支持体及び/又は保護体(39;45,47)が、有孔薄板又は線材織布、又はスロットスクリーン又はエキスパンドメタルから、あるいは格子構造又は線材を有する螺旋状巻き体から形成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記多層織布(41;43)の支持層及び/又はドレナージ層が、線材織布、エキスパンドメタル格子、及び/又はマイクロシーブなどの有孔篩から成っており、そしてそれぞれの前記フィルタ層が、線材織布などの織布、及び/又は金属繊維不織布などの不織布から成っていることを特徴とする、請求項5又は8に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタハウジングを備えたフィルタ装置であって、前記フィルタハウジングが、未濾過液のための流体入口と、濾過液のための流体出口と、前記フィルタハウジング内に収容された1つの部分又は複数の部分から成るフィルタ挿入体とを有しており、前記フィルタ挿入体が、少なくとも1つの逆洗部材によって濾過方向に対して対向流で清浄化可能であり、前記逆洗部材が、回転駆動装置の流体案内駆動軸によって、前記それぞれのフィルタ挿入体の内側に沿って移動可能であり、前記逆洗部材の、前記内側に隣接する端部に、規定可能なギャップ幅を備えたギャップ状の貫通開口を有しており、前記貫通開口が、前記駆動軸の回転軸線に対して平行に延びており、そして前記貫通開口が、前記駆動軸と流体案内接続された流れ空間内へ開口している、フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような形態のフィルタ装置は特許文献1(独国特許出願公開第102017001970号明細書)によって公知である。燃焼機関の運転確実性及び耐用寿命のために、潤滑油が申し分のない状態であることが極めて重要である。具体的には、例えば海洋用途において重油で運転されるディーゼルエンジンの長時間運転は、潤滑油の状態に対して特に高い要件を課すので、このような用途では、上記形態のフィルタ装置の使用は、潤滑油清浄化のために不可欠である。これに関して、従来技術(特許文献2(独国特許出願公開第3443752号明細書))では、フィルタ挿入体の交換の間のより長い運転時間を可能にし、これによりメンテナンスコストを低く保つために、フィルタ挿入体を逆洗し得るフィルタ装置を利用する。
【0003】
逆洗時の清浄化効率は、上記形態の装置の場合、大部分が逆洗体積流の進行に依存する。逆洗体積流は、ギャップ状の貫通開口で圧力差が提供されると、流れ空間を通って、流体案内する駆動軸、すなわち中空の駆動軸へ達する。逆洗動作時に貫通開口のギャップに作用する圧力差、すなわち駆動軸が周囲圧を案内し、システム圧によって逆洗圧が形成される場合には例えば0.15MPa(1.5bar)である圧力差によって、ギャップのできる限り高い進入速度と、できる限り高い逆洗体積流量とを可能にしようとしている。
【0004】
このような目的を達成するために、上記形態の公知の解決手段(特許文献1)の場合、当該それぞれの逆洗部材の一方の端面がギャップ状の貫通開口を有し、貫通開口が、対応配置可能なフィルタ挿入体の内壁に向いている、前記逆洗部材の一方の端面を、このような内壁の傍らを間隔なしに擦過するように回転可能な駆動軸によって案内するようになっている。このような公知の解決手段の場合、貫通開口が位置する1平面に対して横方向のさらなる平面内に、流れ空間が、このような貫通開口から出発して駆動軸へ向かって連続的に拡大されているので、流れ空間は一種のディフューザを形成する。このことは、圧力損失を低減し、ひいては逆洗体積流量、並びに貫通開口のギャップにおける進入速度を最大化するので有利である。
【0005】
特許文献3(独国特許出願公開第102017002646号明細書)に記載された、上記形態のさらなる公知の解決手段の場合、それぞれの逆洗部材の貫通開口はやはり、対応配置可能なフィルタ挿入体の内側に沿って間隔なしに案内される。このように間隔なしの配置は調整装置によって規定することができ、これには許容差の補償を提供できるという可能性を伴うので、通常の許容差範囲内でも、それぞれの逆洗部材のギャップ状の貫通開口はフィルタ材料の壁に最適に間隔なしに当接することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102017001970号明細書
【文献】独国特許出願公開第3443752号明細書
【文献】独国特許出願公開第102017002646号明細書
【文献】独国実用新案第202016003089号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来技術から出発して、本発明の根底を成す課題は、公知の解決手段の利点を維持しつつ、良好な濾過・逆洗性能を提供し、低廉に且つメンテナンス・組み付けがしやすい形でこのようなフィルタ装置を実現し得るようにさらに改善することである。このような課題は、請求項1の特徴を全体として有するフィルタ装置が解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の特徴部によれば、前記それぞれの逆洗部材の前記貫通開口と、前記隣接して対応配置されたフィルタ挿入体との間に規定可能な間隔が存在しており、前記間隔が有利には、前記逆洗部材の前記貫通開口のギャップ幅の8分の1~半分であることによって、複雑に構成されたディフューザエレメント(特許文献1)に頼る必要なしに、圧力損失を低減し、ひいては逆洗体積流量、並びに貫通開口のギャップにおける進入速度を最大化することができる。このことは具体的にはギャップ状の貫通開口のすぐ近くで、逆洗動作中の特に効果的な清浄化を可能にする。さらに、公知の解決手段に対して、本発明によるフィルタ装置は、僅かな構成部分によって構造的に単純に実現することができる。このことは、メンテナンス・組み付けがしやすい構造全体をもたらす。
【0009】
本発明の解決手段は先ず第一に、水性流体、すなわち海水を、バラスト水、スクラバー(湿式洗浄装置)のために、又は飲用水、雑用水、及びプロセス水を船上で獲得する目的で濾過するために意図されている。さらに、本発明による解決手段は、工業用プロセス水並びに表面水の濾過にも役立つ。
【0010】
本発明によるフィルタ装置の有利な実施形態では、例えば特許文献3に示されているように、それぞれの逆洗部材と、前記隣接して対応配置可能なフィルタ挿入体との間の間隔を、調整装置によって規定することができる。しかしながら、例えば特許文献1に示されているように、逆洗部材は構造的に規定された間隔を置いて、流れ空間を有する駆動軸に定置に配置することもできる。
【0011】
有利には前記それぞれの逆洗部材が、回転する駆動軸によって0.1~0.5m/sの周方向速度を被る場合、前記フィルタ挿入体の少なくとも一部の完全又はほぼ完全な逆洗状態が存在するには、前記駆動軸の長手方向軸線を中心として360°だけただ1回、全回転すれば既に十分であることが判っている。さらに、支持体及び/又は保護体の他にフィルタ材料のための所定の層構造に頼り、そして幾何学的な構成から規定可能な大きさの程度を守る限り、本発明によるフィルタ装置をその濾過・逆洗運転によってさらに最適化し得ることが判っている。このような構成は、さらなる従属請求項の対象となる。
【0012】
図面に示された実施例に基づき、本発明を以下に詳述する。
【0013】
図面は原理的に示されており、また原寸に比例しては示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明によるフィルタ装置の一部を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたフィルタ装置の一部を、プリーツ状に形成されたフィルタ材料を有する状態で部分的に示す水平方向断面図である。
図3図3は、図1に示されたフィルタ装置の一部を、平滑に形成されたフィルタ材料を有する状態で部分的に示す水平方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はフィルタ装置の主要部分を示している。フィルタ装置は全体として符号1で示されたフィルタハウジングを有している。フィルタハウジングはその構造から、当該従来技術(特許文献4の図1参照)に相当する。従って、図1に示された短縮された図では、フィルタハウジング1のうち、ハウジング主要部分3、及びこれに続いて下側に設けられたハウジング底部又は入口部分5の一部だけが示されている。主要部分3内には第1フィルタ挿入体7と、これに対向する第2フィルタ挿入体9とが配置されている。これらのフィルタ挿入体のうち、下側だけを全体的に見ることができる。底部5には、リング管片の形態を成す側方の入口11が位置している。側方流入部は部分的にのみ示されており、そしてこの側方流入部を介して未濾過液が濾過運転時に底部5内へ流入する。さらに、未濾過液は、海洋用途の場合にはいわゆるフィッシュ篩(Fischsieb)として設けられた入口フィルタ13を貫流した後に、貫流部15を介してフィルタ挿入体7及び9の内側中空空間内へ達する。これらのフィルタ挿入体はそれぞれ1つの内側17を有している。フィルタ挿入体7,9を内側から外側へ向かって貫流する濾過動作時に、流体は続いてフィルタ挿入体7,9を取り囲む空間18内へ達する。この空間は主要部分3内に濾過液側を形成する。この濾過液側から濾過液は、やはり部分的にのみ示されたリング管片の形態を成す側方濾過液流出部19を介して流出する。
【0016】
四角管によって形成された駆動軸20には、各フィルタ挿入体7,9のために1つの逆洗部材10が設けられている。逆洗部材は収容ハウジング21内に、互いに上下に配置された2つの逆洗部分部材(図示せず)を有している。このような構造については、特許文献3に詳述されているので、ここでは、本発明による解決手段の機能にとって重要である場合に限り触れる。逆洗部材10として役立つ収容ハウジング21はギャップ状の貫通開口22を有している。貫通開口は、それぞれのフィルタ挿入体7,9の内側17に向いた収容ハウジング21の前側で、駆動軸20の回転軸線に対して平行に測定してその閉鎖仕切りまでほぼ全高にわたって、延びている。駆動軸20の回転軸線に対して平行に延びる貫通開口22は、駆動軸20の回転運動時には、360°の全周にわたって規定可能な間隔a(図2及び3参照)を置いて、それぞれ対応配置可能なフィルタ装置7,9の内側17に沿って案内される。収容ハウジング21の自由端面の真ん中に配置された貫通開口22は、複数のギャップ開口(図示せず)に分割されていてもよい。また、詳細には示されていない実施形態では、複数のギャップ開口がある場合、これらを、規定可能な間隔を置いて半径方向にずらして収容ハウジング21に配置することも可能である。各フィルタ挿入体7,9に対してそれぞれ1つの逆洗部材10が設けられており、これらの逆洗部材は軸線方向に互いに上下に重なった配置を成して対を成して、互いに対向して少なくとも90°だけ、有利には180°だけ互いにずらされて、中空の駆動軸20に作用すると有利である。この形態の洗浄ヘッドにおいては、3つ以上且つ12個までの逆洗部材10を使用するように構想することができる。また1つのフィルタ挿入体7,9のために2つ以上の逆洗部材10を使用することもできる。3つの逆洗部材10を使用する場合には、これらは半径方向に120°だけ、4つの逆洗部材10の場合には90°だけ互いにずらされて配置されている。
【0017】
それぞれの貫通開口22は、詳細には示されていない部分部材の内側で流れ空間14に続いている。流れ空間はそれぞれ1つの流体ガイド23を介して、空間14の一部としての駆動軸20の内部と接続されている。このような流体ガイド23は、駆動軸20に位置する接続部分24内でテレスコープ状に、そしてその限りにおいて長手方向移動可能に案内されている。駆動軸20は従来技術によれば、電動モータを介して相応に駆動可能且つ回転可能に軸支されている。軸受のうち下側の回転軸受25だけを見ることができる。軸受において、駆動軸20の下端部は流体を案内する形で汚泥排出管26に移行している。
【0018】
収容ハウジング21を送達するため、すなわちギャップ状の貫通開口22の、駆動軸20の回転軸線からの間隔aを調整するために、スピンドル伝動装置を備えた調整装置が設けられている。スピンドル伝動装置は図1に示された実施例の場合、ねじ山付きスピンドル27を有している。ねじ山付きスピンドルは回転軸線に対して直角の方向に、駆動軸20を貫通案内されている。ねじ山付きスピンドル27は送達手段を形成している。送達手段の、収容ハウジング21に向いた端部は収容ハウジングの真ん中に結合されている。収容ハウジング21は、長い側28及び29を備えたレール状体の形態を有している。これらの長い側は駆動軸20に対して平行に延びている。収容ハウジング21の内部には上記両部分部材が鉛直方向軸線と整合した状態で、長い側28,29の間に互いに上下に配置されている。
【0019】
両部分部材の流体ガイド23はそれぞれ1つの出口管30を有している。出口管は、駆動軸の所属する接続部分24内でテレスコープ状に案内されている。ねじ山付きスピンドル27の、収容ハウジング21に向いた端部は、収容ハウジング21とプレート31で結合されている。プレートは、収容ハウジング21の、駆動軸20に向いた端壁を形成している。スピンドル伝動装置27との結合個所37は、流体ガイド23の間の真ん中に位置している。ねじ山付きスピンドル27の位置調整のために、駆動軸20の、収容ハウジング21に向いた外側にナット32が固定されている。ナットはねじ山付きスピンドル27の雄ねじ山と螺合している。駆動軸20の反対側の外側33にはナット32が固定されている。このナット32はねじ山付きスピンドル27の雄ねじ山とねじ山挿入状態にある。駆動軸20の反対側の外側33では、刻み付きナット34がねじ山付きスピンドル27の雄ねじ山と螺合している。刻み付きナット34を超えて突出する、ねじ山付きスピンドル27の自由端には、手動操作可能な回転レバー35が位置している。
【0020】
収容ハウジング21のプレート31におけるねじ山付きスピンドル27の端部の結合部37は、スピンドル27が収容ハウジング21に対して回転可能ではあるが、しかしスピンドル27によって、半径方向外側へ向かって走出する収容ハウジング21の位置が制限されるように、構成されている。このような位置は、刻み付きナット34が緊定されていないときにレバー35によってねじ山付きスピンドル27を回転させると、ナット32との螺合によってスピンドル27の軸線方向位置、ひいては収容ハウジング21の完全に走出した終端位置が規定されることにより、調節することができる。刻み付きナット34を緊定することによって、スピンドル27の回転位置は固定され、ひいては規定された間隔aへの調節がロックされる。さらに、流体ガイド23にはばねエレメント36が嵌め込まれていてよい。ばねエレメントは、収容ハウジング21を送達のために半径方向外側へ向かって負荷するので、スピンドル27とプレート31との結合部37は、フローティングベアリングの形態で構成することができるため有利である。フローティングベアリングは、収容ハウジング21が規定可能な間隔aを超えて半径方向外側へ向かって運動するのを形状結合的に制限するがしかし、収容ハウジング21が許容差補償のために主軸線に対して横方向に延びる軸線を中心として傾倒運動するのを許し、そして場合によっては、半径方向内側へ向かうばね行程のための軸線方向遊びを提供する。スピンドル伝動装置による間隔調整の代わりに、逆洗部材10はそれぞれの貫通開口22と一緒に、規定可能な間隔aを置いて駆動軸20に固定的に配置することもできる(図示せず)。
【0021】
図1に示されているように直接に互いに当接するフィルタ挿入体7,9は、円筒形の断面を有する中空円筒として構想されている。このようなフィルタ挿入体は、フィルタ装置のフィルタバスケット内に互いに間隔を置いて挿入することもできる。それぞれのフィルタ挿入体7,9を完全に清浄化するために、それぞれ対応配置可能な逆洗部材10が、回転する駆動軸20によって0.1~0.5m/sの周方向速度を被るので、対応配置可能な逆洗部材10が駆動軸20の長手方向軸線を中心として360°だけ全回転するやいなや、それぞれのフィルタ挿入体7,9の完全又はほぼ完全な逆洗状態が存在していることが、特に有利であると実証されている。
【0022】
それぞれのフィルタ挿入体7,9の中空円筒からの一部に該当する、特に図2における断面が示しているように、2つの中空円筒状の支持体39の間には、未濾過液を濾過する多層の織布41が配置されている。さらに、著しく単純化された図面において、逆洗部材10の前側部分が、中央のギャップ状の貫通開口22と一緒に示されている。貫通開口22は少なくとも逆洗部材10の前端面からの出口の領域内に、例えば15mmのギャップ幅xを有している。さらに図2から判るように、逆洗部材10は規定可能な間隔aを置いて、挿入体7,9の内側17に沿って案内されている。逆洗結果を改善するためには、間隔aは、ゼロよりも明らかに大きいように選択されており、有利には逆洗部材10のための貫通開口22のギャップ幅xの8分の1~半分である。さらに、外側の支持体39の厚さd1及び/又は内側の支持体39の厚さd2が、対応配置可能な逆洗部材10の貫通開口22のギャップ幅xの1.5倍以下であると、逆洗にとって有利であることが実証されている。厚さd1が厚さd2と等しいと特に有利である。織布41のための保護体の機能をも満たす上記支持体39は、この事例では、有孔薄板から形成されており、両支持体39は織布41と一緒に、それぞれのフィルタ挿入体7,9を形成している。有孔薄板の代わりに支持体及び/又は保護体39はそれぞれ個別に、線材織布、スロットスクリーン、エキスパンドメタルから成っていてもよく、あるいは格子構造又は線材を有する螺旋状巻き体から形成されていてもよい。
【0023】
濾過織布41自体は、少なくとも1つの支持層及び/又はドレナージ層から成り、有利には2つのこのような層から成り、そしてさらにこれらの間にフィルタ層を有している。特に有利には、織布41は3~5層状に構成されている。逆洗のためには、襞高さhを、ギャップ幅xの1.9倍以下となるように選択することが特に有利であると実証されている。さらに、プリーツ状織布41を使用するときには、襞広さbを、ギャップ幅xに対して±35%大きく又は小さくなるように選択することが有利である。
【0024】
図2に示された多層織布41は、支持層及び/又はドレナージ層として、線材織布、エキスパンドメタル格子、及び/又はマイクロシーブなどの有孔篩から成る織布を使用する。前記層の間のそれぞれのフィルタ層は、線材織布などの織布、及び/又は金属繊維不織布などの不織布から成っている。それぞれのフィルタ層は有利には貫通部40を有するべきであり、貫通部の貫通幅はそれぞれ0.1~1000μm、有利には1~100μmである。
【0025】
図3については、図2に示された実施形態とは著しく異なる場合に限りさらに説明する。従ってこの点において図2に関する実施形態は、明らかに図3に示された実施形態にも当てはまり、図3の実施態様の場合、プリーツ状織布41の代わりに、今や多層状の平滑織布43が使用される。このような平滑織布43を使用する場合には、逆洗部材10のためのギャップ幅xはほぼ15mmである。それぞれの逆洗部材10の貫通開口22とそれぞれの挿入体7,9の内側17との間の間隔aは有利には、一定に選択された貫通開口22の8分の1~半分である。内側の中空円筒状の支持体45は線材織布から形成されており、そして平滑織布43を外方へ向かって支持する外側の支持体47は、スロットスクリーンから成っている。スロットスクリーンの場合、その巻き体が所定のスロットの大きさに間隔を保たれた状態にある支持線材が、支持体及び保護体47として役立つ。
【0026】
多層状の平滑織布43を使用する場合、その厚さd3は、やはりギャップ幅xの1.9倍以下の、プリーツ状織布41の襞高さと同等である。この場合にも、それぞれのフィルタ層の貫通部40の貫通幅は、プリーツ状織布41のものと同じである。両支持体45,47のためには、例えば図2の解決手段に示されているように、他の形態の支持体を使用することもできる。同様に、平滑織布43のためのそれぞれのフィルタ層を相応に構成することもできる。図3に示された実施形態にとっても、それぞれの逆洗部材10が、回転する駆動軸20によって0.1~0.5m/sの周方向速度を被ると有利である。
【0027】
本発明によるフィルタ装置解決手段に基づく自動的な逆洗フィルタにおいて所期精密濾過を達成するためには、有利には高級鋼織布41,43を基材とするフィルタ材料を使用するべきである。コンベンショナルなスロットスクリーン、マイクロシーブ、又はこれに類するものと比較すると、製織フィルタ材料は、提示されているように、5~100μmの所期濾過範囲内で、基本的に特に高度な開放フィルタ面(offene Filterflaeche)をもたらし、ひいては結果として、逆洗にとって好都合であることも判っている最小限の圧力損失において、高い汚染物取り込み容量をもたらす。ここでは有利に使用されるフィルタ層のための高級鋼線材織布は、開放フィルタ面において、その機械的及び熱的な安定性が高いという利点をさらに有する。
【0028】
駆動軸20の内側流れ空間14を、詳細には図示されていない弁装置、又は吸引ポンプに接続することにより、流れ空間14内、及びそれぞれの貫通開口22の自由端に負圧を形成することができる。この負圧は、フィルタ挿入体7,9の逆洗時の清浄化を容易にする。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
フィルタハウジング(1)を備えたフィルタ装置であって、前記フィルタハウジングが、未濾過液のための流体入口(11)と、濾過液のための流体出口(19)と、前記フィルタハウジング(1)内に収容された1つの部分又は複数の部分から成るフィルタ挿入体(7,9)とを有しており、前記フィルタ挿入体が、少なくとも1つの逆洗部材(10)によって濾過方向に対して対向流で清浄化可能であり、前記逆洗部材が、回転駆動装置の流体案内駆動軸(20)によって、それぞれの前記フィルタ挿入体(7,9)の内側(17)に沿って移動可能であり、そして前記逆洗部材の、前記内側(17)に隣接する端部に、規定可能なギャップ幅(x)を備えたギャップ状の貫通開口(22)を有しており、前記貫通開口が、前記流体案内駆動軸(20)の回転軸線に対して平行に延びており、そして前記貫通開口が、前記流体案内駆動軸(20)と流体案内接続された流れ空間(14)内へ開口している、フィルタ装置において、
それぞれの前記逆洗部材(10)の前記貫通開口(22)と、前記隣接して対応配置されたフィルタ挿入体(7,9)との間に規定可能な間隔(a)が存在しており、前記間隔が有利には、前記逆洗部材(10)の前記貫通開口(22)のギャップ幅(x)の8分の1~半分であることを特徴とする、フィルタ装置である。
第2の態様は、
それぞれの逆洗部材(10)と、前記隣接して対応配置可能なフィルタ挿入体(7,9)との間の間隔(a)を、調整装置(27)によって規定することができることを特徴とする、第1の態様におけるフィルタ装置である。
第3の態様は、
それぞれの前記逆洗部材(10)が、回転する前記流体案内駆動軸(20)によって0.1m/s~0.5m/sの周方向速度を被ることを特徴とする、第1の態様又は第2の態様におけるフィルタ装置である。
第4の態様は、
対応配置可能な前記逆洗部材(10)が前記流体案内駆動軸(20)の長手方向軸線を中心として360°だけ全回転するやいなや、前記フィルタ挿入体(7,9)の少なくとも一部の完全又はほぼ完全な逆洗状態が存在していることを特徴とする、第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第5の態様は、
前記フィルタ挿入体(7,9)の少なくとも一部が、2つの支持体(39;45,47)の間に、未濾過液を濾過する多層織布(41;43)を有しており、そして前記2つの支持体(39;45,47)のうちの少なくとも一方の支持体、有利には両方の支持体の厚さ(d1,d2)がそれぞれ、対応配置可能な前記逆洗部材(10)の前記貫通開口(22)の前記ギャップ幅(x)の1.5倍以下であることを特徴とする、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第6の態様は、
前記多層織布(41,43)が、少なくとも1つの支持層及び/又はドレナージ層から成り、有利には、少なくとも1つの支持層及び/又はドレナージ層並びに1つのフィルタ層から成っていることを特徴とする、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第7の態様は、
前記多層織布(41,43)が平滑又はプリーツ状に延びるように形成されており、そして平滑な前記多層織布(43)の厚さ(d3)、もしくはプリーツ状織布(41)の襞高さ(h)が、前記ギャップ幅(x)の1.9倍以下であることを特徴とする、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第8の態様は、
プリーツ状織布(41)を使用するときには、襞広さ(b)が、前記ギャップ幅(x)の±35%に相当することを特徴とする、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第9の態様は、
それぞれの前記フィルタ層が貫通部(40)を有しており、前記貫通部の貫通幅がそれぞれ0.1~1000μm、有利には1~100μmであることを特徴とする、第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第10の態様は、
内側及び/又は外側の、前記逆洗部材(10)に向いた、もしくは前記逆洗部材(10)とは反対側にある、支持体及び/又は保護体(39;45,47)が、有孔薄板又は線材織布、又はスロットスクリーン又はエキスパンドメタルから、あるいは格子構造又は線材を有する螺旋状巻き体から形成されていることを特徴とする、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第11の態様は、
前記多層織布(41;43)の支持層及び/又はドレナージ層が、線材織布、エキスパンドメタル格子、及び/又はマイクロシーブなどの有孔篩から成っており、そしてそれぞれの前記フィルタ層が、線材織布などの織布、及び/又は金属繊維不織布などの不織布から成っていることを特徴とする、第1の態様~第10の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
図1
図2
図3