(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】ブーツ
(51)【国際特許分類】
F16J 15/52 20060101AFI20240919BHJP
F16J 3/04 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F16J15/52 Z
F16J3/04 C
(21)【出願番号】P 2022016520
(22)【出願日】2022-02-04
【審査請求日】2024-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉村 公哉
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-7769(JP,A)
【文献】特開2009-68510(JP,A)
【文献】特開2013-36579(JP,A)
【文献】特開昭62-188855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/52
F16J 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って延び、前記軸方向に伸縮可能な筒状に形成され、流体注入手段により流体が内部に注入されることで、取付対象物の取付部に取り付けられ得るブーツであって、
前記ブーツが、
前記軸方向の一端側に設けられ、前記取付部に取り付けられる環状の被取付部と、
前記軸方向の他端側に設けられ、前記流体注入手段の先端が前記軸方向に沿って前記軸方向の一端側に向かって当接可能な当接部と、
前記被取付部と前記当接部との間で前記軸方向に沿って延びる伸縮部と
を備え、
前記当接部が、前記ブーツの軸方向の他端側において径方向に沿って延び、前記ブーツの軸まわり方向に沿って環状に形成され、前記当接部の径方向内側に、前記ブーツの内部と外部とを流体連通する開口部が設けられている、
ブーツ。
【請求項2】
前記当接部が、前記ブーツの径方向内側および外側に延びる、
請求項1に記載のブーツ。
【請求項3】
前記取付対象物は、前記ブーツが取り付けられたときに、前記ブーツの内部の少なくとも一部で前記軸方向に沿って延びる延伸部を有し、
前記ブーツが、前記延伸部に対して前記軸方向に沿って伸縮するように、前記延伸部を案内する案内部を備え、
前記案内部は、前記ブーツの内周から径方向内側に延び、前記ブーツの軸まわり方向に沿って環状に形成され、前記案内部の径方向内側に、前記延伸部が挿通可能な挿通孔が設けられている、
請求項1または2に記載のブーツ。
【請求項4】
前記当接部の少なくとも一部が、前記案内部の前記軸方向の他端側の面に設けられている、
請求項3に記載のブーツ。
【請求項5】
前記当接部が、前記軸方向に変形可能な板状に形成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載のブーツ。
【請求項6】
前記ブーツは、前記当接部の径方向の外周に、前記流体注入手段の先端が前記当接部に当接している際に、前記流体注入手段の先端の、前記開口部に対する軸ずれを抑制する軸ずれ抑制部を備える、
請求項1~5のいずれか1項に記載のブーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
進退部材が対象部材に対して進退移動する際に、進退部材と対象部材との間の接続部分において、進退部材や対象部材を水や埃から保護するために、進退方向に伸縮可能なブーツが用いられる。ブーツの進退部材や対象部材(以下、まとめて「取付対象物」という)への取り付けは、ブーツの端部を取付対象物の取付部に嵌合することによって行われる。取付対象物の取付部にブーツの端部を容易に嵌合するために、たとえば、取付部にグリスが塗布され、あるいは取付部がテーパ状に形成される。しかし、ブーツが外観部品として用いられる場合には、グリスが垂れたり、空気中のダストがグリスに付着し留まりやすくなることで、取付対象物の外観を損ねるため、グリスレスが望まれる。また、取付対象物の取付部をテーパ状に形成すると、取付部のサイズが大きくなってしまうので、取付対象物周辺の取付スペースが小さい場合には、取付部をテーパ状に形成することができない。
【0003】
取付対象物の取付部にブーツの端部を嵌合するために、取付部にグリスを塗布する方法や取付部をテーパ状に形成する方法以外に、特許文献1に開示されたブーツの自動組付け方法が用いられる。特許文献1の方法では、ブーツの一端の小径環状シール部の内部にインサータが挿入・嵌合され、インサータを介してエア供給手段によりブーツ内部にエアを注入することで、ブーツの他端の大径環状シール部が拡径し、取付対象物であるシリンダボディの突出端部を乗り越え、シリンダボディの取付部であるシール溝に嵌合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のブーツでは、ブーツの一端の小径環状シール部は、その内部にインサータが嵌合されているとはいえ、インサータに対して軸方向で移動可能であるため、軸方向に強い力を受けると、インサータの外周面を摺動する。したがって、インサータを介してブーツ内部にエアが注入されると、ブーツの他端の大径環状シール部が拡径するとともに、ブーツの一端の小径環状シール部に力が作用して、小径環状シール部がインサータに沿ってブーツが伸長する方向に移動する可能性がある。ブーツが伸長することで内部空間が広がると、ブーツの他端の大径環状シール部は、十分に拡径することができないので、シリンダボディの突出端部を乗り越えることができずに、シリンダボディのシール溝に嵌合することができない可能性がある。
【0006】
本発明は、取付対象物の取付部に容易に取り付けることができるブーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のブーツは、軸方向に沿って延び、前記軸方向に伸縮可能な筒状に形成され、流体注入手段により流体が内部に注入されることで、取付対象物の取付部に取り付けられ得るブーツであって、前記ブーツが、前記軸方向の一端側に設けられ、前記取付部に取り付けられる環状の被取付部と、前記軸方向の他端側に設けられ、前記流体注入手段の先端が前記軸方向に沿って前記軸方向の一端側に向かって当接可能な当接部と、前記被取付部と前記当接部との間で前記軸方向に沿って延びる伸縮部とを備え、前記当接部が、前記ブーツの軸方向の他端側において径方向に沿って延び、前記ブーツの軸まわり方向に沿って環状に形成され、前記当接部の径方向内側に、前記ブーツの内部と外部とを流体連通する開口部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取付対象物の取付部に容易に取り付けることができるブーツを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るブーツが取り付けられたリッド開閉装置を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るブーツの断面図である。
【
図3A】
図1のリッド開閉装置においてリッドが開放位置にある状態におけるリッド開閉装置の部分断面図である。
【
図3B】リッドが
図3Aの状態から車両本体に接近した状態におけるリッド開閉装置の部分断面図である。
【
図3C】リッドが
図3Bの状態から車両本体にさらに接近して閉鎖位置にある状態におけるリッド開閉装置の部分断面図である。
【
図3D】リッドが
図3Cの状態から車両本体にさらに接近して前進位置にある状態におけるリッド開閉装置の部分断面図である。
【
図4】ブーツ長さとブーツの復元力との関係を模式的に示すグラフである。
【
図6B】
図5のブーツの軸方向に沿った断面図である。
【
図8】
図7のブーツが取り付けられたリッド開閉装置においてリッドが閉鎖位置にある状態におけるリッド開閉装置の部分断面図である。
【
図10A】
図2のブーツが取付対象物の取付部に取り付けられる際に、ブーツの被取付部が取付部に当接し、流体注入手段の先端がブーツの当接部に当接した状態を示す断面図である。
【
図10B】
図10Aの状態から、流体注入手段の先端によって押圧されることで、ブーツが軸方向に沿って収縮した状態を示す断面図である。
【
図10C】
図10Bの状態から、ブーツの内部から外部に流体が流出することで、被取付部が縮径して取付部に取り付けられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るブーツを説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のブーツは、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0012】
本実施形態のブーツ1は、
図1および
図2に示されるように、ブーツ1の中心軸となる軸X方向の一端1aから他端1bまで軸X方向に沿って延び、軸X方向に伸縮可能な筒状のブーツである。ブーツ1は、軸X方向で伸長した伸長状態(
図1中、二点鎖線の状態)と、軸X方向で圧縮された圧縮状態(
図1中、実線の状態)との間で移行可能に構成される。ブーツ1は、伸長状態および圧縮状態において、ブーツ1の径方向内側の内部空間と、任意でその内部空間と連通する他の空間(たとえば、ブーツ1とは異なる筒状部材に接続されている場合の、その異なる筒状部材の内部空間)とを外部環境から保護する(たとえば、水や塵埃などが侵入することを抑制する)。ブーツ1は、たとえば、ブーツ1が取り付けられる取付対象物を有する取付対象に適用されて、内部空間および任意で他の空間に配置された取付対象の所定の部位を外部環境から保護する。ブーツ1は、適用される取付対象の特定の部位を保護することができれば、特に限定されることはなく、保護が必要な任意の取付対象に適用可能である。また、ブーツ1が取り付けられる取付対象物もまた、特に限定されることはなく、適用される取付対象に応じて適宜変更が可能である。
【0013】
ブーツ1は、たとえば、
図1に示されるように、基部Bと、基部Bに対して遠位位置(
図1中、二点鎖線の位置)と近位位置(
図1中、実線の位置)との間で移動可能な可動部Lを有する取付対象Mに適用される。ブーツ1は、ブーツ1の軸X方向の一端1aが、可動部Lに取り付けられ、ブーツ1の軸X方向の他端1bが、可動部Lが遠位位置にあるときに解放された自由端を構成するように、取付対象Mに取り付けられる。ブーツ1は、可動部Lが遠位位置から近位位置に向かって基部Bに接近したときに、ブーツ1の他端1bが基部Bに当接するように配置される。ブーツ1は、ブーツ1の他端1bが基部Bに当接することで、基部Bに設けられた開口部B1を覆う。ブーツ1は、可動部Lが基部Bに接近することで基部Bに当接する位置までは自然長の伸長状態であり、可動部Lがその位置からさらに近位位置に向かって移動することで、可動部Lと基部Bとの間で軸X方向に圧縮された圧縮状態(
図1中、実線の状態)に移行する。ブーツ1は、基部Bに当接した状態で、伸長状態と圧縮状態との間で移行する間は、基部Bの開口部B1を覆って、開口部B1内を外部環境から保護する(たとえば、水や塵埃などが侵入することを抑制する)。ブーツ1は、逆に可動部Lが近位位置から遠位位置へと移動すると、ブーツ1自体の復元力によって伸長状態まで復元する。なお、ブーツ1は、図示された例では可動部Lに取り付けられるが、基部Bに取り付けられてもよい。また、ブーツ1は、ブーツ1の一端1aが可動部Lに取り付けられ、ブーツ1の他端1bが基部Bに取り付けられて、可動部Lと基部Bとの間の相対移動によって伸縮するように、取付対象Mに取り付けられてもよい。
【0014】
取付対象Mとしては、特に限定されることはないが、たとえば
図1に示されるような、車両の燃料補給用または給電用の、リッドLを開閉するリッド開閉装置Mが例示される。取付対象であるリッド開閉装置Mは、
図1に示されるように、基部である車両本体の一部(以下、車両本体Bという)と、車両本体に設けられた燃料補給または給電口に隣接する燃料補給または給電空間(
図1中、実線で示されたリッドLと車両本体Bとの間の空間)を開閉する可動部であるリッドLとを備えている。リッドLは、燃料補給または給電空間を開放する開放位置(遠位位置、
図1中、二点鎖線の位置)と、燃料補給または給電空間を閉鎖する閉鎖位置(近位位置、
図1中、実線の位置)との間で移動可能に構成されている。リッドLはさらに、閉鎖位置にあるときに車両本体Bに向かってさらに押圧されることによって、閉鎖位置よりもさらに車両本体B側の前進位置(
図1中、実線の位置からさらに下側の位置)に移動することができるように構成されている。
【0015】
リッドLには、
図1に示されるように、ブーツ1の一端1a側に設けられた、後述する被取付部11が取り付けられる取付部O1を有する取付対象物Oが設けられている。取付部O1は、ブーツ1が取り付けられたときのブーツ1の軸X方向に沿って並んで設けられた第1大径部O11、小径部O12および第2大径部O13を有している。第1大径部O11、小径部O12および第2大径部O13は、ブーツ1が取り付けられたときのブーツ1の軸X方向に対して垂直方向に延在するように形成されている。第1および第2大径部O11、O13は、ブーツ1が取り付けられたときのブーツ1の軸X方向に対して垂直方向に小径部O12の外周から突出する大きさに形成されている。それによって、小径部O12の外周に沿って第1大径部O11と第2大径部O13との間に凹部Rが形成されている。ブーツ1は、ブーツ1の被取付部11がこの凹部Rに嵌合することで、取付部O1に取り付けられる。被取付部11は、取付部O1に取り付けられたときに、第1および第2大径部O11、O13と軸X方向で係合することで軸X方向の移動が規制され、小径部O12と軸X方向に対して垂直方向で係合することで軸X方向に対して垂直方向への移動が規制される。なお、取付部O1は、被取付部11が取り付けられるように形成されていればよく、上述した構造に限定されることはない。たとえば、第1大径部O11、小径部O12および第2大径部O13はそれぞれ、図示された例では連続した板状に形成されているが、取付対象物Oが他の取付対象に設けられる場合は、中心側に貫通孔を有するなど、他の形状を有していてもよい。また、第1大径部O11は、図示された例ではリッドLの一部により構成されているが、リッドLとは別に設けられていてもよい。
【0016】
リッド開閉装置Mはさらに、リッドLを車両本体Bに対してロック/アンロックするロック部材(図示せず)と、ロック部材をロック位置およびアンロック位置に移動させるロック部材駆動部(図示せず)と、ロック部材駆動部を駆動するために操作される操作部OP(
図1参照)とを有している。リッド開閉装置Mでは、
図1に示されるように、リッドLに設けられた取付対象物Oが、ブーツ1が取り付けられたときに、ブーツ1の内部の少なくとも一部で軸X方向に沿って延びる延伸部O2を有している。延伸部O2は、操作部OPを操作するために操作部OPを押圧する機能を有している。リッドLは、閉鎖位置にあるときに車両本体Bに向かってさらに押圧されて前進位置へと移動することで、延伸部O2を介して操作部OPを押圧する(
図1において下方に押圧する)。操作部OPが押圧されることで、操作部OPが操作されて、モータなどを有するロック部材駆動部が駆動される。ロック部材駆動部が駆動されることで操作されるロック部材は、リッドLと係合してリッドLを閉鎖位置でロック可能なロック位置と、リッドLとの係合が解除され、リッドLの開放位置への移動を可能とするアンロック位置との間で移動する。なお、取付対象物Oの延伸部O2は、リッド開閉装置Mでは操作部OPを押圧する機能を有しているが、取付対象物Oが他の取付対象に設けられる場合は、他の機能を有していてもよいし、必ずしも取付対象物Oに設けられていなくてもよい。
【0017】
リッド開閉装置Mでは、リッドLの移動に伴って、リッドLに取りけられたブーツ1も移動する。ブーツ1は、リッドLが開放位置から閉鎖位置へ移動する途中で、ブーツ1の他端1bが車両本体Bと当接して、車両本体Bの開口部B1を覆う。ブーツ1の他端1bが車両本体Bに当接するときの位置と、閉鎖位置(および前進位置)との間にリッドLが位置する際に、ブーツ1は、軸X方向で圧縮された圧縮状態で、車両本体Bの開口部B1を覆って、車両本体B内に設けられたロック部材駆動部などに開口部B1を介して水や塵埃などが浸入することを抑制する。ブーツ1は、逆にリッドLが閉鎖位置(および前進位置)から開放位置へと移動することで、車両本体Bから離間するとともに、ブーツ1自体の復元力によって伸長状態に復元する。なお、ブーツ1が当接する基部Bは、車両本体に取り付けられ、ロック部材とロック部材駆動部と操作部OPとが収容されたハウジングであってもよい。
【0018】
ブーツ1は、本実施形態では、
図1に示されるように、ブーツ1の後述する被取付部11が取付対象物Oの取付部O1に取り付けられることで、リッドLに取り付けられる。ブーツ1は、
図10A~
図10Cに示されるように、流体注入手段FIにより流体が内部に注入されることで、取付対象物Oの取付部O1に取り付けられ得るように構成されている。その取付方法については、以下で詳しく述べるので、ここでは概略を説明する。ブーツ1が取付部O1に取り付けられる際に、まず、ブーツ1は、ブーツ1の被取付部11が軸X方向に沿って取付部O1に当接するように、流体注入手段FIによりブーツ1の他端1b側から軸X方向に沿って押圧される(
図10Aおよび
図10B参照)。ブーツ1は、ブーツ1の被取付部11が取付部O1に当接することで、内部に密封された空間が形成される。この状態で流体注入手段FIによりブーツ1の内部に流体が注入されると、流体の圧力によりブーツ1の被取付部11が拡径する(
図10Bの二点鎖線の状態)。拡径したブーツ1の被取付部11は、軸X方向に沿って取付部O1に押圧されることで、取付部O1に取り付けられ得る取付可能位置(
図10Cの二点鎖線の位置)に移動する。取付可能位置に移動したブーツ1の被取付部11は、ブーツ1の内部から外部に流体が流出することにより縮径して、取付部O1に取り付けられる(
図10Cの実線の状態)。
【0019】
このようにして取付対象物Oの取付部O1に取り付けられ得るブーツ1は、
図10Aに示されるように、軸X方向の一端1a側に設けられ、取付部O1に取り付けられる環状の被取付部11と、軸X方向の他端1b側に設けられ、流体注入手段FIの先端FIaが当接可能な当接部12と、被取付部11と当接部12との間で軸X方向に沿って延び、軸X方向で伸縮可能な伸縮部ECとを備えている。ブーツ1は、伸縮部ECが軸X方向で伸縮することで、軸X方向で伸縮可能に構成される。本実施形態では、ブーツ1には、ブーツ1の他端1bに、取付対象Mの基部Bに当接可能な当接端部APが設けられている。
【0020】
被取付部11は、
図1、
図10A~
図10Cに示されるように、取付対象物Oの取付部O1に取り付けられる部位である。被取付部11は、被取付部11と取付部O1との間が封止されるように、取付部O1に取り付けられる。ここでいう封止とは、少なくとも水や塵埃などが通過することが抑制されることを意味する。本実施形態では、被取付部11は、取付部O1に嵌合されることで、取付部O1に取り付けられる。被取付部11は、ブーツ1の軸X方向の一端1a側に設けられ、伸縮部ECに軸X方向で接続される。被取付部11は、環状に形成され、ブーツ1の一端1a側において、ブーツ1の径方向内側の内部空間に外部から連通する開口を構成している。本実施形態では、被取付部11が取付対象物Oの取付部O1に取り付けられることで、ブーツ1の一端1aの開口が外部環境から閉鎖される。
【0021】
被取付部11は、
図10Bおよび
図10Cに示されるように、ブーツ1の内部への流体の流入により内径が拡大し(
図10Bおよび
図10Cの二点鎖線の状態)、ブーツ1の内部から外部への流体の流出により内径が縮小する(
図10Cの実線の状態)ように構成されている。被取付部11の拡径時の内径は、被取付部11が取付部O1に取り付けられ得る取付可能位置(
図10Cの二点鎖線の位置)に被取付部11が移動可能な大きさに設計される。流体注入手段FIが用いられてブーツ1が取付部O1に取り付けられる際には、被取付部11は、流体注入手段FIによりブーツ1の内部に流体が注入されることで、内径が拡大して、取付可能位置に移動することが可能となる。また、被取付部11の縮径時の内径は、被取付部11が取付部O1に取り付けられた状態で、被取付部11と取付部O1との間が封止される大きさに設計される。流体注入手段FIが用いられてブーツ1が取付部O1に取り付けられる際には、取付可能位置にある被取付部11は、ブーツ1の内部に流入した流体が外部に流出されることで、拡大した内径が縮小して(
図10Cにおいて二点鎖線の状態から実線の状態に変化して)、被取付部11と取付部O1との間が封止されるように取付部O1に取り付けられる。なお、上述した被取付部11の拡径時の内径は、必ずしもブーツ1の内部に流入する流体の圧力のみで実現される必要はなく、流体の圧力に人の力の補助も加わって実現されてもよい。
【0022】
被取付部11の縮径時の内径は、本実施形態では、被取付部11が取付部O1に嵌合可能な大きさに設計される。より具体的には、
図1および
図10Cに示されるように、被取付部11の縮径時の内径は、取付部O1の小径部O12の外周に沿って第1大径部O11と第2大径部O13との間に形成された凹部Rに被取付部11が嵌合可能な大きさに設計される。その目的のために、被取付部11の縮径時の内径は、取付部O1の第1および第2大径部O11、O13の外径よりも小さく、小径部O12の外径と略等しいか、小径部O12の外径よりわずかに小さいか、大きい。被取付部11は、取付部O1に取り付けられた状態では、第1および第2大径部O11、O13と軸X方向で係合して、軸X方向の移動が規制されるとともに、小径部O12と軸X方向に対して垂直方向で係合して、軸X方向に対して垂直方向の移動が規制される。被取付部11と、取付部O1の第1大径部O11、小径部O12、第2大径部O13のうちの少なくとも1つとが接触することで、被取付部11と取付部O1との間が封止される。
【0023】
被取付部11の拡径時の内径は、本実施形態では、被取付部11が取付部O1から嵌合解除可能な大きさに設計される。より具体的には、
図10Bおよび
図10Cの二点鎖線で示されるように、被取付部11の拡径時の内径は、凹部Rから被取付部11が抜出可能な大きさに設計される。その目的のために、被取付部11の拡径時の内径は、取付部O1の第1大径部O11および第2大径部O13のいずれか一方(本実施形態では第2大径部O13)の外径よりも大きい。流体注入手段FIが用いられてブーツ1が取付部O1に取り付けられる際には、被取付部11は、
図10Cの二点鎖線で示されるように、内径が拡大した状態で軸X方向に沿って取付部O1に向かって押圧されることで、軸X方向に沿って第2大径部O13を越えて小径部O12の軸X方向の位置(取付可能位置)まで移動することができる。
【0024】
被取付部11は、内径が拡縮可能で、取付対象物Oの取付部O1に取り付けられた状態で、ブーツ1が伸縮動作をしても取付部O1から離脱することが抑制されるように形成されていれば、特に限定されることはなく、弾性変形可能なゴムや合成樹脂などによって形成可能である。被取付部11は、本実施形態では伸縮部ECに接続されているが、伸縮部ECの一部として形成されてもよい。
【0025】
当接端部APは、
図1に示されるように、取付対象であるリッド開閉装置Mにブーツ1が取り付けられて使用される際に、基部である車両本体Bに対してリッドLが接近することで、車両本体Bに当接する部位である。当接端部APは、
図2に示されるように、ブーツ1の軸X方向の他端1bに設けられ、当接部12に軸X方向で接続される。当接端部APは、環状に形成され、ブーツ1の他端1bにおいて、ブーツ1の径方向内側の内部空間に外部から連通する開口を構成している。当接端部APが車両本体Bに当接することで、ブーツ1の他端1bの開口が外部環境から閉鎖される。
【0026】
当接端部APは、車両本体Bに当接可能で、ブーツ1が伸縮動作をしても車両本体Bとの当接状態が解除されることが抑制されるように形成されていれば、特に限定されることはなく、弾性変形可能なゴムや合成樹脂などによって形成可能である。なお、当接端部APは、本実施形態では、後述する軸ずれ抑制部13(
図2、
図10A参照)としても機能するように形成されている。しかし、当接端部APは、軸ずれ抑制部13とは別に設けられていてもよい。また、ブーツ1は、必ずしも当接端部APを備えていなくてもよく、当接部12が、ブーツ1の他端1bを構成し、車両本体Bに当接するように構成されていてもよい。
【0027】
伸縮部ECは、
図2および
図10Aに示されるように、被取付部11と当接部12との間で軸X方向に沿って延び、軸X方向で伸縮可能な部位である。伸縮部ECは、軸X方向に沿って延びる中空の筒状に形成され、筒状の壁部を通して、径方向内側に形成された内部空間に水や塵埃などが侵入することが抑制されるように構成されている。伸縮部ECは、軸X方向のブーツ1の一端1a側において、被取付部11に接続され、軸X方向のブーツ1の他端1b側において、当接部12を含んで形成されている。ただし、伸縮部ECは、軸X方向のブーツ1の一端1a側において、被取付部11を含んで形成されてもよいし、また、軸X方向のブーツ1の他端1b側において、当接部12に接続されてもよい。伸縮部ECは、内部空間への水や塵埃などの侵入を抑制可能であり、軸X方向に伸縮可能であれば、特に限定されることはなく、弾性変形可能なゴムや合成樹脂などによって形成可能である。伸縮部ECの構造の詳細については、後述する。
【0028】
当接部12は、
図10Aに示されるように、軸X方向の他端1b側に設けられ、流体注入手段FIの先端FIaが軸X方向に沿って軸X方向の一端1a側に向かって当接可能な部位である。ここで、当接部12に当接される流体注入手段FIは、筒状の壁部FI1と、壁部FI1により囲繞された流出孔FI2とを備えている。流体注入手段FIは、流出孔FI2を介して空気や液体などの流体を先端FIaから流出するように構成されている。当接部12は、流体注入手段FIの先端FIaに位置する壁部FI1の先端部分が当接されるように構成されている。
【0029】
当接部12は、
図10Aに示されるように、ブーツ1の軸X方向の他端1b側において径方向に沿って延び、ブーツ1の軸Xまわり方向に沿って環状に形成され、当接部12の径方向内側に、ブーツ1の内部と外部とを流体連通する開口部12aが設けられている。当接部12は、流体注入手段FIの先端FIaが当接された状態で、当接部12の径方向内側に形成された開口部12aを介して流体注入手段FIからブーツ1の内部に流体が流入することを可能にする。当接部12は、流体注入手段FIの先端FIaが当接することで、当接部12と流体注入手段FIの先端FIaとの間が実質的に封止されるように構成されている。ここで、実質的に封止されるとは、内部への流体の流入によってブーツ1が膨張する程度に封止されることを意味する。当接部12は、環状に形成されるとともに径方向に沿って延びることで、流体注入手段FIの先端FIaがより確実に当接することができ、流体注入手段FIの先端FIaと当接部12との間から流体が外部に漏出することをより確実に抑制することができる。特に、ブーツ1は、内部に流入された流体の圧力によって膨張する力を受けても、軸X方向に沿ってブーツ1の一端1a側に向かって当接する流体注入手段FIの先端FIaから反力を受けることで、軸X方向に伸張することが抑制される。ブーツ1の軸X方向の伸張が抑制されることで、ブーツ1の径方向への膨張が促進される。これにより、ブーツ1の被取付部11の内径がより確実に拡大し、被取付部11を取付可能位置に容易に移動させることができる。したがって、ブーツ1を取付対象物Oの取付部O1に容易に取り付けることができる。
【0030】
なお、当接部12は、本実施形態では、
図2に示されるように、ブーツ1の他端1b側の伸縮部ECの端部(後述する延長部3の他端3b)において、伸縮部ECの一部として設けられている。しかし、当接部12は、ブーツ1の他端1b側に設けられていればよく、伸縮部ECの端部よりもブーツ1の他端1b側において、伸縮部ECとは別に、伸縮部ECの端部に接続されてもよい。
【0031】
当接部12は、ブーツ1の軸X方向の他端1b側に設けられていればよく、ブーツ1に設けられる当接部12の径方向の位置は特に限定されない。本実施形態では、当接部12は、
図10A~
図10Cに示されるように、ブーツ1の径方向内側および外側に延びるように配置される。より具体的には、当接部12は、ブーツ1の軸X方向の他端1b側における伸縮部ECの端部から、径方向内側および外側の両方に延びるように配置される。たとえば、当接部12は、伸縮部ECの一部として設けられる場合には、流体注入手段FIの先端FIaが当接する側とは反対側の当接部12の端部に位置する伸縮部ECの部分(たとえば、ブーツ1の他端1b側における、後述する延長部3の連結部33(
図2参照)の端部)から、径方向内側および外側の両方に延びるように配置される。また、当接部12は、伸縮部ECの端部に接続されて設けられる場合には、軸X方向における当接部12の端部と伸縮部ECの端部との接続部分から、径方向内側および外側の両方に延びるように配置される。当接部12がブーツ1の径方向内側および外側に延びるように配置されることで、流体注入手段FIの壁部FI1の先端部分の径と、当接部12の端部に位置する伸縮部ECの部分の径、または当接部12の端部と伸縮部ECの端部との接続部分の径とが多少異なっていても、また、流体注入手段FIの軸がブーツ1の軸Xから多少ずれても、より確実に、流体注入手段FIの先端FIaを当接部12に当接させることができる。
【0032】
当接部12は、ブーツ1の径方向に沿って延び、ブーツ1の軸Xまわり方向に沿って環状に形成され、その径方向内側に開口部12aが設けられていればよく、それ以外の構造は特に限定されない。本実施形態では、当接部12は、
図10A~
図10Cに示されるように、軸X方向に変形可能な板状に形成されている。当接部12が軸X方向に変形可能な板状に形成されることで、流体注入手段FIの先端FIaからブーツ1の内部に流体が注入される際に、流体の注入圧力によって当接部12がブーツ1の軸X方向の内側に撓むので(
図10Bの二点鎖線の状態)、流体がブーツ1の内部に案内され易くなる。これにより、ブーツ1の内部に流体を容易に注入することができるので、ブーツ1の被取付部11の内径をより容易に拡大して、被取付部11を取付可能位置により容易に移動させることができる。したがって、ブーツ1を取付対象物Oの取付部O1により容易に取り付けることができる。
【0033】
ブーツ1は、
図10A~
図10Cに示されるように、当接部12の径方向の外周に、流体注入手段FIの先端FIaが当接部12に当接している際に、流体注入手段FIの先端FIaの、開口部12aに対する軸ずれを抑制する軸ずれ抑制部13を備えていてもよい。ここで、軸ずれとは、流体注入手段FIの先端FIaが、軸X方向に対して垂直方向に、当接部12の径方向の外周を越えて当接部12対して相対移動することを意味する。ブーツ1が軸ずれ抑制部13を備えることで、流体注入手段FIの先端FIaの軸ずれが抑制されるので、より確実にブーツ1の内部に流体を注入することができる。さらに、流体注入手段FIの先端FIaの軸ずれが抑制されることで、流体注入手段FIの先端FIaにより当接部12が押圧される際に、ブーツ1に対して軸X方向に沿った力が加わるので、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対してブーツ1が傾斜することが抑制される。流体注入手段FIの先端FIaが軸ずれして、ブーツ1が傾斜した状態で流体注入手段FIに押圧されると、ブーツ1の被取付部11の周方向の一部のみが取付可能位置に移動し、ブーツ1の被取付部11の周方向の他の部分が取付可能位置に移動することができないという状況が生じる可能性がある。ブーツ1が傾斜することを抑制することで、ブーツ1の被取付部11がその全周に亘ってほぼ均一に取付可能位置に移動できるので、より確実にブーツ1を取付対象物Oの取付部O1に取り付けることができる。
【0034】
軸ずれ抑制部13は、流体注入手段FIの先端FIaの軸ずれを抑制することができればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、軸ずれ抑制部13は、
図10A~
図10Cに示されるように、当接部12の径方向の外周からブーツ1の他端1bに向かって軸X方向に沿って延び、当接部12の径方向の外周の全体に亘って環状に形成されている。これにより、流体注入手段FIの先端FIaの、軸X方向に対して垂直方向のすべての方向への軸ずれが抑制される。ただし、軸ずれ抑制部13は、当接部12の径方向の外周の全部ではなく、当接部12の径方向の外周の一部に設けられていてもよい。軸ずれ抑制部13は、本実施形態では当接端部APとしても機能するように設けられているが、当接端部APとは別に設けられていてもよい。
【0035】
ここで、本実施形態では、上述したように、取付対象物Oは、
図10A~
図10Cに示されるように、ブーツ1が取り付けられたときに、ブーツ1の内部の少なくとも一部で軸X方向に沿って延びる延伸部O2を有している。延伸部O2は、本実施形態では、
図1に示されるように、操作部OPを操作するために操作部OPを押圧する機能を有する部材である。ただし、延伸部は、そのような部材に限定されることはなく、ブーツの取付対象がコントールケーブルの接続機構などの場合に、軸方向に延びるケーブルであるなど、他の部材であってもよい。また、延伸部O2は、本実施形態では、ブーツ1の自然長の伸長状態(
図10Aの状態)において、ブーツ1の軸X方向の一部に亘って延びているが、ブーツ1の軸X方向の全部に亘って延びていてもよく、ブーツ1の外部にまで延びていてもよい。
【0036】
ブーツ1は、
図10A~
図10Cに示されるように、上述した取付対象物Oの延伸部O2に対して軸X方向に沿って伸縮するように、延伸部O2を案内する案内部14を備えていてもよい。案内部14は、ブーツ1の内周から径方向内側に延び、ブーツ1の軸Xまわり方向に沿って環状に形成され、案内部14の径方向内側に、延伸部O2が挿通可能な挿通孔14aが設けられている。ブーツ1は、軸X方向に沿って伸縮する際に、案内部14が挿通孔14aを通して延伸部O2を軸X方向に沿って案内することで、延伸部O2の延びる方向(軸X方向)に対して垂直方向へ変位することが抑制される。これにより、流体注入手段FIの先端FIaにより押圧されてブーツ1が収縮する際に、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対して垂直方向にブーツ1がずれることや、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対してブーツ1が傾斜することが抑制される。したがって、ブーツ1の被取付部11をその全周に亘ってほぼ均一に取付可能位置に移動させることができるので、より確実にブーツ1を取付対象物Oの取付部O1に取り付けることができる。
【0037】
案内部14は、ブーツ1の内周から径方向内側に延び、ブーツ1の軸Xまわり方向に沿って環状に形成され、その径方向内側に挿通孔14aが設けられていればよく、それ以外の構造は特に限定されない。本実施形態では、案内部14は、
図10A~
図10Cに示されるように、軸X方向に変形可能な板状に形成されている。案内部14が軸X方向に変形可能な板状に形成されることで、流体注入手段FIの先端FIaからブーツ1の内部に流体が注入される際に、流体の注入圧力によって案内部14がブーツ1の軸X方向の内側に撓むので(
図10Bの二点鎖線の状態)、流体がブーツ1の内部に案内され易くなる。これにより、ブーツ1の内部に流体を容易に注入することができるので、ブーツ1の被取付部11の内径をより容易に拡大して、被取付部11を取付可能位置により容易に移動させることができる。したがって、ブーツ1を取付対象物Oの取付部O1により容易に取り付けることができる。
【0038】
案内部14は、ブーツ1の内周から径方向内側に延びるように設けられていればよく、配置される軸X方向の位置は特に限定されない。本実施形態では、案内部14は、
図10A~
図10Cに示されるように、ブーツ1の他端1b側において、当接部12の一部として設けられている。案内部14の径方向内側に設けられた挿通孔14aは、当接部12の径方向内側に設けられた開口部12aを構成している。当接部12の少なくとも一部は、案内部14の軸X方向の他端1b側の面に設けられている。案内部14は、流体注入手段FIの先端FIaが当接する部位に設けられることで、流体注入手段FIの先端FIaから受ける可能性のある軸X方向に対して垂直方向への力に直接抵抗して、ブーツ1の他端1bが、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対して垂直方向に変位することを抑制することができる。これにより、より確実に、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対して垂直方向にブーツ1がずれることや、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対してブーツ1が傾斜することが抑制される。
【0039】
また、流体注入手段FIによって押圧されてブーツ1が収縮する際に、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対して垂直方向にブーツ1がずれようとすると、案内部14が延伸部O2に摺接するので、案内部14には、流体注入手段FIの押圧方向とは反対側(
図10A~
図10C中、右側)に撓ませられる力が加わる。しかし、当接部12の一部として形成される案内部14は、流体注入手段FIにより流体注入手段FIの押圧方向に押圧力を受けるので、流体注入手段FIの押圧方向とは反対側に撓むことが抑制される。これにより、より確実に、案内部14が延伸部O2を案内することができ、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対して垂直方向にブーツ1がずれることや、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対してブーツ1が傾斜することが抑制される。逆に、流体注入手段FIの先端FIaからブーツ1の内部に流体が注入される際には、上述したように、流体の注入圧力によって案内部14がブーツ1の軸X方向の内側に撓むので、流体がブーツ1の内部に案内され易くなる。なお、案内部14は、当接部12とは別に、当接部12よりも軸X方向のブーツ1の内側に設けられてもよい。
【0040】
つぎに、
図10A~
図10Cを参照しながら、流体注入手段FIを用いて、取付対象物Oの取付部O1にブーツ1を取り付ける方法を説明する。ただし、以下の取り付け方法は一例であり、ブーツ1の取付部O1への取り付け方法は、以下の例に限定されない。また、以下ではいくつかの手順を説明するが、その順序は、以下の説明の順序に限定されることはない。
【0041】
まず、ブーツ1は、
図10Aに示されるように、ブーツ1の一端1aが軸X方向に沿って取付部O1に当接するように配置される。このとき、ブーツ1の一端1a側に設けられた被取付部11が、取付部O1の第2大径部O13の軸X方向の一方の面(
図10A中、右側の面)に当接する。また、流体注入手段FIは、流体注入手段FIの先端FIaが軸X方向に沿ってブーツ1の一端1a側に向かって当接部12に当接するように配置される。ブーツ1の一端1a側の被取付部11が取付部O1に当接することで、被取付部11と取付部O1との間が実質的に封止され、ブーツ1の他端1b側の当接部12に流体注入手段FIの先端FIaが当接することで、当接部12と流体注入手段FIの先端FIaとの間が実質的に封止される。これにより、ブーツ1の内部に実質的に密封された空間が形成される。
【0042】
つぎに、ブーツ1は、
図10Bに示されるように、流体注入手段FIの先端FIaによって、ブーツ1の他端1b側から一端1a側に向かって軸X方向に沿って押圧されることで、軸X方向に沿って収縮する。このとき、ブーツ1が案内部14を備えることで、ブーツ1の取付部O1への当接方向に対して垂直方向にブーツ1がずれることや、ブーツ1の取付部O1への当接方向からブーツ1が傾斜することが抑制される。続いて、流体注入手段FIの先端FIaによりブーツ1が押圧された状態で、流体注入手段FIの先端FIaからブーツ1の内部に流体が注入されることで、ブーツ1の一端1a側に設けられた被取付部11の内径が拡大する(
図10Bの二点鎖線の状態)。内径が拡大した被取付部11は、流体注入手段FIの先端FIaによる押圧力、および/または、ブーツ1内部の流体の圧力によって、軸X方向に沿ってブーツ1の他端1bから離れる方向に移動し、取付部O1に取付可能な取付可能位置(
図10Cの二点鎖線の位置)へと移動する。このとき、拡径した被取付部11は、軸X方向に沿って、取付部O1の第2大径部O13の位置を越えて、取付部O1の小径部O12の位置まで移動し、取付部O1の第1大径部O11に当接して停止する。
【0043】
最後に、
図10Cに示されるように、ブーツ1の内部から外部に流体が流出されることによって、拡大していた被取付部11の内径が縮小して(
図10Cの二点鎖線の状態から実線の状態に変化して)、被取付部11が取付部O1に取り付けられる。このとき、被取付部11は、小径部O12の外周に沿って第1大径部O11と第2大径部O13との間に形成された凹部Rに嵌合することで、取付部O1に取り付けられる。ブーツ1は、流体注入手段FIの先端FIaによる押圧が解除されることで、軸X方向に伸張して、取付部O1への取り付けが完了する(
図1の二点鎖線の状態)。
【0044】
つぎに、伸縮部ECの構造の詳細を説明する。ただし、伸縮部ECは、
図2に示されるように、被取付部11と当接部12との間で軸X方向に沿って延び、軸X方向で伸縮可能に構成されていればよく、以下で説明する構造に限定されることはない。
【0045】
伸縮部ECは、本実施形態では、
図2に示されるように、軸X方向に沿って蛇腹部側山部21および蛇腹部側谷部22を交互に有する蛇腹部2と、蛇腹部2に軸X方向で隣接して接続され、ブーツ1の軸X方向の他端1bに隣接して設けられた延長部3とを備えている。
【0046】
蛇腹部2は、
図2に示されるように、一端2aと他端2bとの間で軸X方向に沿って延びる中空の筒状に形成され、軸X方向に伸縮可能に構成される部位である。蛇腹部2の一端2aは、被取付部11に直接または間接的に(本実施形態では直接)接続され、蛇腹部2の他端2bは、延長部3の一端3aに直接または間接的に(本実施形態では直接)接続される。蛇腹部2は、本実施形態では被取付部11および延長部3と一体に形成されるが、被取付部11および延長部3とは別に形成されてもよい。蛇腹部2は、取付対象であるリッド開閉装置Mにブーツ1が取り付けられて使用される際には、リッドLと車両本体Bとの間でブーツ1が圧縮されることに伴って圧縮され、リッドLが車両本体Bから離間することによりブーツ1が伸長することに伴って伸長する。蛇腹部2は、本実施形態では軸X方向に垂直な断面が円形の筒状に形成されているが、断面が四角形などの他の形状の筒状に形成されてもよい。また、蛇腹部2は、軸X方向に伸縮可能であれば、特に限定されることはなく、弾性変形可能なゴムや合成樹脂などによって形成可能である。
【0047】
蛇腹部2は、
図2に示されるように、径方向の外側に向かって突出する環状の蛇腹部側山部21と、径方向の内側に向かって窪む環状の蛇腹部側谷部22とがブーツ1の軸X方向に沿って交互に形成された蛇腹状の形状を有している。蛇腹部側山部21および蛇腹部側谷部22は、軸X方向で交互に連続して配置されることで、蛇腹部2の壁部を構成している。蛇腹部2では、蛇腹部側山部21および蛇腹部側谷部22により構成される壁部を通して、径方向内側に形成された内部空間に水や塵埃などが侵入することが抑制される。取付対象であるリッド開閉装置Mにブーツ1が取り付けられて使用される際には、
図1に示されるように、ブーツ1がリッドLの取付対象物Oに取り付けられると、蛇腹部2の径方向内側の内部空間に取付対象物Oの延伸部O2が配置される。なお、蛇腹部2は、本実施形態では蛇腹部側山部21および蛇腹部側谷部22を2つずつ備えているが、軸X方向で伸縮可能なように少なくとも1つの蛇腹部側山部21および少なくとも1つの蛇腹部側谷部22を備えていれば、それぞれの数は特に限定されることはなく、3つ以上の蛇腹部側山部21および3つ以上の蛇腹部側谷部22を備えていてもよい。また、蛇腹部2は、少なくとも1つの蛇腹部側山部21および少なくとも1つの蛇腹部側谷部22を備えていればよく、蛇腹部側山部21と蛇腹部側谷部22とを連結する連結部など、蛇腹部側山部21および蛇腹部側谷部22以外の構成を備えていてもよい。
【0048】
延長部3は、
図2に示されるように、一端3aと他端3bとの間で軸X方向に沿って延びる中空の筒状に形成され、軸X方向に伸縮可能に構成される部位である。延長部3の一端3aは、蛇腹部2の他端2bに直接または間接的に(本実施形態では直接)接続され、延長部3の他端3bは、当接部12を含んで形成されるか、または、当接部12に直接もしくは間接的に接続される(本実施形態では、当接部12を含んで形成される)。延長部3は、本実施形態では蛇腹部2および当接部12と一体に形成されるが、蛇腹部2および当接部12とは別に形成されてもよい。また、延長部3は、本実施形態では蛇腹部2の他端2bに接続されてブーツ1の他端1bに隣接して設けられるが、蛇腹部2の一端2aに接続されてブーツ1の一端1aに隣接して設けられてもよいし、軸X方向で蛇腹部2を挟んで両側で蛇腹部2の一端2aおよび他端2bに接続されてブーツ1の一端1aおよび他端1bに隣接して設けられてもよい。延長部3は、取付対象であるリッド開閉装置Mにブーツ1が取り付けられて使用される際には、リッドLと車両本体Bとの間でブーツ1が圧縮されることに伴って圧縮され、リッドLが車両本体Bから離間することによりブーツ1が伸長することに伴って伸長する。延長部3は、本実施形態では軸X方向に垂直な断面が円形の筒状に形成されているが、断面が四角形などの他の形状の筒状に形成されてもよい。また、延長部3は、軸X方向に伸縮可能であれば、その構成材料は特に限定されることはなく、弾性変形可能なゴムや合成樹脂などによって形成可能である。
【0049】
本実施形態では、延長部3は、ブーツ1が圧縮状態にあるときに、蛇腹部2の軸X方向の復元力よりも、延長部3の軸X方向の復元力が小さくなるように構成されている。この場合、ブーツ1全体を蛇腹部2のみで形成する場合と比べて、ブーツ1が圧縮されることで生じる、ブーツ1全体の軸X方向の復元力の増加を抑制することができる。ブーツ1をリッド開閉装置Mに適用した場合には、ブーツ1が圧縮されることで生じる軸X方向の復元力の増加が抑制されることで、リッドLが、閉鎖位置にあるときに、ブーツ1の復元力により押圧されて車体表面から浮き上がることが抑制される。
【0050】
延長部3は、ブーツ1が圧縮状態にあるときに、蛇腹部2の軸X方向の復元力よりも、延長部3の軸X方向の復元力が小さくなるように構成されていればよく、その形状は特に限定されない。本実施形態では、延長部3は、
図2に示されるように、延長部3の、軸X方向の蛇腹部2と接続された側(本実施形態では一端3a側)と反対側の端部(本実施形態では他端3b)の外径OD1が、蛇腹部2の蛇腹部側谷部22の内径IDより小さくなるように形成されている。延長部3は、
図3C~
図3Dに示されるように、ブーツ1が軸X方向で圧縮されたときに、延長部3の少なくとも一部が蛇腹部2の内部(径方向内側の位置)まで変位するように構成されている。延長部3をこのように構成することで、蛇腹部2および延長部3のそれぞれを構成する部材の肉厚をほぼ同じにしても、蛇腹部2よりも延長部3の軸X方向の復元力を小さくすることができる。これは、以下で詳しく述べるように、延長部3が、軸X方向で圧縮されて、その少なくとも一部が蛇腹部2の内部まで変位する際に、径方向で重なるように湾曲することで、径方向の復元力が増加するが、軸X方向の復元力が径方向の復元力ほど増加しないからである。
【0051】
たとえば、ブーツは、薄肉化することによって、復元力を小さくすることができるが、薄肉化によって耐久性が劣化し、また搬送時や使用時の取り扱いによっては破損してしまう可能性がある。また、逆にブーツを厚肉化とすると、圧縮時のブーツ長さが長くなってしまい、また、ブーツ長さを短くするために圧縮すると復元力が大きくなってしまう。そのため、リッド開閉装置Mの燃料補給または給電空間のようにブーツの配置スペースが小さい場所に適用するのが難しく、また、リッド開閉装置Mに適用できたとしても、リッドLへ作用する反力(復元力)が大きくなり、リッドLの表面がリッドL周辺の車体表面に対して浮き上がり、リッドLの表面とリッドL周辺の車体表面との間に段差が生じ、意匠性が損なわれる可能性がある。
【0052】
本実施形態では、延長部3を、ブーツ1が軸X方向で圧縮されたときに、延長部3の少なくとも一部が蛇腹部2の内部まで変位するように構成することで、延長部3を薄肉化することなく復元力を小さくできるので、薄肉化することによる耐久性の劣化や強度の低下を抑制することができる。さらに、蛇腹部2よりも延長部3の軸X方向の復元力を小さくすることで、ブーツ1全体の軸X方向の復元力を小さくすることができ、それによって、上述したように、リッドLが、閉鎖位置にあるときに、ブーツ1の反力(復元力)により押圧されて車体表面から浮き上がることが抑制される。また、ブーツ1の圧縮時に、延長部3の少なくとも一部が蛇腹部2の内部にまで変位することで、ブーツ1全体を蛇腹部2のみで形成する場合と比べて、圧縮することで生じる復元力の増加を抑えながら、ブーツ1の圧縮時のブーツ長さを短くすることができる。したがって、ブーツ1をリッド開閉装置Mに適用した場合には、ブーツ1の圧縮時のブーツ長さを短くすることができるので、ブーツ1をリッドLと車両本体Bとの間の狭い燃料補給または給電空間にも収容することができる。
【0053】
延長部3は、ブーツ1が軸X方向で圧縮されたときに、延長部3の少なくとも一部が蛇腹部2の内部まで変位するように構成されていればよく、その構造は特に限定されない。本実施形態では、延長部3は、
図2に示されるように、蛇腹部2に隣接して設けられた延長部側山部31と、ブーツ1の軸X方向の一端1aおよび/または他端1b(本実施形態では他端1b)に隣接して設けられた延長部側谷部32と、延長部側山部31と延長部側谷部32とを連結する連結部33とを備えている。延長部側山部31は、径方向外側に突出して環状に形成され、延長部側谷部32は、径方向内側に窪んで環状に形成されている。また、連結部33は、延長部側山部31から延長部側谷部32に向かって縮径しながら軸X方向に沿って延びる筒状に形成されている。本実施形態では、延長部3には、延長部側山部31、延長部側谷部32および連結部33がそれぞれ1つずつ設けられている。連結部33は、
図3C~
図3Dに示されるように、ブーツ1が軸X方向で圧縮されるときに、連結部33の少なくとも一部が蛇腹部2の内部(径方向内側の位置)まで変位するように構成されている。蛇腹部2に隣接して延長部側山部31が設けられ、ブーツ1の一端1aおよび/または他端1b(本実施形態では他端1b)に隣接して延長部側谷部32が設けられることで、ブーツ1の圧縮時に連結部33が径方向内側に湾曲し易くなる。これにより、ブーツ1の径方向外側に延長部3が湾曲するための余分なスペースを確保する必要がなくなる。
【0054】
延長部3は、ブーツ1が軸X方向で圧縮されたときに、延長部3の少なくとも一部が蛇腹部2の内部まで変位するように構成されていればよく、その大きさは特に限定されない。本実施形態では、延長部3は、
図2に示されるように、延長部側山部31と延長部側谷部32との間の軸X方向の長さD1が、蛇腹部側山部21と蛇腹部側谷部22との間の軸X方向の長さD2よりも長くなるように形成されている。これにより、ブーツ1の圧縮時に、蛇腹部2が径方向外側へ変形することを抑制しながら、連結部33が容易に変形することができるので、連結部33の少なくとも一部が蛇腹部2の内部へ容易に変位することができる。連結部33の少なくとも一部が蛇腹部2の内部へ容易に変位することができることにより、延長部3の軸X方向の復元力の増加を抑えることができる。
【0055】
また、本実施形態では、延長部3は、
図2に示されるように、延長部側山部31の外径OD2が蛇腹部側山部21の外径OD3よりも小さくなるように形成されている。これにより、たとえば取付対象であるリッド開閉装置Mにブーツ1を適用した場合に、
図3Cに示されるように、ブーツ1が圧縮された際に、基部である車両本体Bに延長部側山部31が当接することを抑制することができるので、ブーツ1の圧縮時のブーツ長さをより短くすることができる。
【0056】
延長部3は、延長部側谷部32において、延長部3の他の部分と比べて剛性が高くなるように形成されていてもよい。延長部側谷部32の剛性を高くすることによって、ブーツ1の圧縮時に延長部側谷部32の変形が抑制され、それに伴って連結部33の湾曲が促進されて、連結部33が蛇腹部2の内部に進入し易くなる。また、延長部側谷部32の変形が抑制されることに伴って、延長部側谷部32に隣接する、ブーツ1の軸X方向の一端1aおよび/または他端1b(本実施形態では他端1b)の変形も抑制されるので、ブーツ1の一端1aおよび/または他端1bの開口の軸が傾斜することが抑制される。これにより、たとえば取付対象Mにブーツ1が取り付けられて使用される場合に、ブーツ1の一端1aおよび/または他端1bの基部Bとの当接面が浮き上がることが抑制されて、ブーツ1の一端1aおよび/または他端1bの開口から水や塵埃などが侵入することが抑制される。
【0057】
延長部側谷部32の剛性を高めるという目的のために、たとえば、
図2に示されるように、延長部側谷部32に、延長部側谷部32から径方向内側に延び、延長部側谷部32の軸X周り方向に沿って環状に形成された舌片部34が設けられてもよい。ブーツ1の一端1aおよび/または他端1b(本実施形態では他端1b)に隣接する延長部側谷部32に、径方向内側に延びる舌片部34が設けられることで、ブーツ1の一端1aおよび/または他端1bの開口の大きさを小さくすることができるので、ブーツ1の一端1aおよび/または他端1bの開口から水や塵埃などが侵入することをさらに抑制することができる。なお、舌片部34は、本実施形態では、当接部12の一部として形成され、また、案内部14としても機能するように形成されている。しかし、舌片部34は、当接部12や案内部14とは別に設けられていてもよい。
【0058】
つぎに、
図3A~
図3Dおよび
図4を参照して、ブーツ1の伸縮動作を説明する。以下では、取付対象であるリッド開閉装置Mにブーツ1が適用される場合を例に挙げて、ブーツ1の伸縮動作を説明するが、本発明のブーツは、以下の例に限定されることはなく、他の用途にも適用可能である。また、以下で説明するブーツ1の伸縮動作は一例であり、本発明のブーツの伸縮動作は以下の例に限定されない。
【0059】
図3A~
図3Dは、車両本体Bに対してリッドLが開放位置(
図3A参照)から閉鎖位置(
図3C参照)を経て前進位置(
図3D参照)へと、または逆に移動した際のブーツ1の伸縮状態の変化を示している。また、
図4は、ブーツ1の軸X方向のブーツ長さ(横軸)とブーツ1の軸X方向の復元力(縦軸)との関係を模式的に示している。
図4中に示した符号IIIA~IIIDはそれぞれ、
図3A~
図3Dに対応するブーツ長さを示している。なお、
図3A~
図3Dでは、理解を容易にするために、ブーツ1の上側半分の断面のみが示されているが、下側半分の断面も上側半分の断面と同様の挙動を示す。
【0060】
ブーツ1は、リッドLが開放位置にある際に(
図3A参照)、ブーツ1の他端1bが車両本体Bに当接しておらず、自然長の伸長状態であり、軸X方向の復元力を有していない(
図4参照)。ブーツ1は、リッドLが開放位置から車両本体Bに接近すると、ブーツ1の他端1bが車両本体Bに当接するが、この時点では自然長の伸長状態である。リッドLがこの位置からさらに軸X方向で車両本体Bに接近すると、ブーツ1は、
図4に示される段階I、段階II、段階IIIのように復元力が変化しながら、
図3B~
図3Dに示されるように、車両本体Bに対してリッドLにより押圧されることにより軸X方向で圧縮されて圧縮状態となる。逆に、リッドLが前進位置(
図3D参照)から軸X方向で車両本体Bから離間する方向に移動すると、
図4に示される段階III、段階II、段階Iのように復元力が変化しながら、ブーツ1自体の復元力により軸X方向で伸長して、自然長の伸長状態に復元する。
【0061】
つぎに、ブーツ1の伸長状態から圧縮状態への移行と、圧縮状態から伸長状態への移行について詳しく説明する。
【0062】
リッドLが、ブーツ1の他端1bが車両本体Bに当接したときの位置からさらに車両本体Bに接近すると、
図3Bに示されるように、蛇腹部2よりも相対的に軸X方向の復元力の小さい延長部3が先に圧縮される。延長部3の圧縮に伴って、延長部3の延長部側谷部32が軸X方向に沿って蛇腹部2側に変位するとともに、延長部3の連結部33が湾曲して、延長部側山部31に隣接する山部側湾曲部33aおよび延長部側谷部32に隣接する谷部側湾曲部33bを形成しながら、蛇腹部2の内部(径方向内側の位置)に向かって変位する。このとき、延長部3は、延長部側山部31、山部側湾曲部33a、谷部側湾曲部33bおよび延長部側谷部32で湾曲した断面S字形状を呈する。連結部33は、ブーツ1が伸長状態にあるときから、蛇腹部2の内部に向かって移動するに従って、軸Xに対する傾斜角度が大きくなる。連結部33は、
図3Bに示されるように、谷部側湾曲部33bが延長部側山部31の径方向内側の位置の周辺まで移動すると、軸Xに対して垂直方向に近い角度で延びる。軸X方向で圧縮された延長部3は、山部側湾曲部33aおよび谷部側湾曲部33bのそれぞれにおいて径方向で重なるように湾曲して、径方向に復元力が作用するように構成される。延長部3は、この径方向の復元力により、延長部側山部31を径方向外側に押し出す。ブーツ1が伸長状態からこの圧縮状態に至るまでは、連結部33の軸X方向の復元力が徐々に増加するとともに、連結部33の増加した復元力により蛇腹部2もわずかに軸X方向で圧縮されて蛇腹部2の軸X方向の復元力が徐々に増加する。したがって、
図4に段階Iとして示されるように、ブーツ長さが短くなるに従ってブーツ1の復元力が増加する。
【0063】
リッドLが、
図3Bに示された位置からさらに車両本体Bに接近すると、
図3Cに示されるように、連結部33の谷部側湾曲部33bが、蛇腹部2の蛇腹部側谷部22の径方向内側の位置まで変位して、連結部33は、軸Xに対して伸長時とは反対側に傾斜する。連結部33が、軸Xに対して伸長時とは反対側に傾斜することで、径方向外側に押し出されていた延長部側山部31が径方向内側に変位するとともに、延長部3の軸X方向の復元力が低下する。それに伴って、延長部3の復元力によりわずかに圧縮されていた蛇腹部2が軸X方向に沿ってわずかに伸長して、蛇腹部2の軸X方向の復元力も低下する。したがって、
図4に段階IIとして示されるように、ブーツ長さが短くなるに従ってブーツ1の復元力が低下する。ここでも、延長部3は、
図3Cに示されるように、軸X方向で圧縮されたときに、山部側湾曲部33aおよび谷部側湾曲部33bのそれぞれにおいて径方向で重なるように湾曲して、径方向に復元力が作用するように構成される。これにより、延長部3の軸X方向の復元力が小さくなり、ブーツ1の軸X方向の復元力も小さくなる。
【0064】
リッドLが、
図3Cに示された閉鎖位置からさらに車両本体Bに接近すると、
図3Dに示されるように、延長部3がほぼ変形することなく軸X方向の蛇腹部2側に変位するとともに、蛇腹部2が軸X方向に沿って圧縮されて、連結部33の谷部側湾曲部33bが、蛇腹部2の蛇腹部側山部21の径方向内側の位置まで変位する。蛇腹部2の軸X方向の長さが短くなることによって、蛇腹部2の軸X方向の復元力が増加する。これにより、
図4に段階IIIとして示されるように、ブーツ長さが短くなるに従ってブーツ1の復元力が増加する。この段階IIIにおいても、延長部3は、山部側湾曲部33aおよび谷部側湾曲部33bにおいて径方向で重なるように湾曲して、主に径方向に復元力が作用するように構成される。また、蛇腹部2は、軸X方向で重なるように湾曲して、主に軸X方向に復元力が作用するように構成される。これにより、延長部3の軸X方向の復元力が小さくなり、蛇腹部2の軸X方向の復元力が大きくなるので、ブーツ1の軸X方向の復元力は、主に蛇腹部2の増加した復元力によって達成される。
【0065】
リッドLが、逆に、
図3Dに示された前進位置から、軸X方向で車両本体Bから離間する方向に移動すると、
図3Cに示されるように、延長部3よりも軸X方向の復元力の大きい蛇腹部2が先に伸張する。蛇腹部2は、自然長に近い状態まで伸長して復元力が低下し、延長部3は、蛇腹部2の内部から蛇腹部2の軸X方向の外側に向かって変位する。蛇腹部2の伸長に伴って蛇腹部2の軸X方向の復元力が低下するので、
図4の段階IIIとして示されるように、蛇腹部2の伸長とともにブーツ長さが長くなるに従ってブーツ1の復元力が低下する。
【0066】
リッドLが、
図3Cに示された閉鎖位置から、軸X方向で車両本体Bから離間する方向に移動すると、
図3Bに示されるように、復元力が低下した蛇腹部2に替わって、延長部3の軸X方向の復元力により延長部3が伸長する。このとき、延長部3の谷部側湾曲部33bが、蛇腹部2の内部から蛇腹部2の軸X方向の外部に変位して、連結部33の軸Xに対する角度が徐々に大きくなる。そして、連結部33は、軸Xに対して垂直方向に近い角度で延びるとともに、径方向外側への復元力が作用して延長部側山部31を径方向外側に押し出す。この時点まで、連結部33の軸X方向の復元力が徐々に増加するとともに、連結部33の増加した復元力により蛇腹部2もわずかに軸X方向で圧縮されて蛇腹部2の軸X方向の復元力が徐々に増加する。したがって、
図4に段階IIとして示されるように、ブーツ長さが長くなるに従ってブーツ1の復元力が増加する。
【0067】
リッドLが、
図3Bに示された位置から、軸X方向で車両本体Bから離間する方向に移動すると、
図3Aに示されるように、連結部33は、蛇腹部2の内部から軸X方向の外側の位置まで変位して、軸Xに対して最大圧縮時とは反対側に傾斜する。これにより、連結部33から、山部側湾曲部33aおよび谷部側湾曲部33bが消失して、湾曲していた連結部33が元の状態に復元するとともに、径方向外側に押し出されていた延長部側山部31が元の位置に復元する。この段階では、
図4に段階Iとして示されるように、ブーツ長さが長くなるに従ってブーツ1の復元力が低下する。
【0068】
以上の説明から分かるように、ブーツ1は、自然長の伸長状態と最も圧縮された圧縮状態との間に、圧縮率の増加(または低下)に伴って軸X方向の復元力が低下(または増加)した後に増加(または低下)に転じる極小復元力状態(
図4中、段階IIと段階IIIとの間の状態)を有するように構成される。ブーツ1は、全圧縮過程の中の極小復元力状態において、圧縮状態を準安定的に維持することができる。取付対象であるリッド開閉装置Mにブーツ1が適用される場合に、リッドLの閉鎖位置をこの極小復元力状態に対応する位置に設定することで、閉鎖位置にあるリッドLが車体表面から浮き上がることをさらに抑制することができる。
【0069】
ブーツ1は、上述のように、軸X方向の端部(本実施形態では他端1b)が自由端となるように使用されると、圧縮状態から伸長状態に復元する際に、外部から力の援助を受けることなくブーツ1自体の復元力のみによって伸長状態に復元する必要がある。ブーツ1は、ブーツ自体の復元力のみによって容易に伸長状態に復元するという目的のために、
図5~
図10に示されたブーツ1では、延長部3の周方向の一部に、延長部3の周方向の他の部分と比べて剛性の高い高剛性部35が設けられている。延長部3は、ブーツ1が圧縮状態にあるときに、蛇腹部2の軸X方向の復元力よりも、延長部3の軸X方向の復元力が小さくなるように構成されているが、延長部3の周方向の一部に高剛性部35が設けられることで、伸長状態に容易に復元することができる。具体的に説明すると、延長部3の周方向の一部の剛性を、同じ周方向の他の部分と比べて高くすることで、延長部3が伸長状態に復元する際の復元動作のタイミングを周方向でずらすことができ、復元動作を容易にすることができる。たとえば、本実施形態では、
図3Cに示された状態から
図3Bに示された状態への移行に関して上述したように、延長部3の周方向のすべての部位で同時に軸X方向に伸張しようとすると、延長部側山部31の周方向全体を同時に径方向外側に押し出す必要がある。そうするためには、延長部側山部31の外径を広げる必要があり、大きな復元力が必要となる。それに対して、延長部3の周方向の一部に高剛性部35を設けることで、高剛性部35が設けられた周方向位置の軸X方向の延長線上にある延長部側山部31が先に、延長部側山部31の直径を広げることなく径方向外側に変位して、その変位した部分に追従して延長部側山部31の周方向の他の部位が変位するので、それほど大きな力を要することなく復元動作を行なうことができる。
【0070】
高剛性部35は、延長部3の周方向の一部に設けられて、延長部3の復元動作のタイミングを周方向でずらすことができればよく、高剛性部35の周方向における位置は特に限定されない。高剛性部35は、
図5~
図9に示された例では、延長部3の周方向の1箇所にのみ設けられているが、延長部3の周方向の複数個所に設けられてもよい。高剛性部35は、延長部3の周方向の複数個所に設けられる場合は、軸Xに対して非対称な位置(軸Xに対して点対称な位置から周方向にずれた位置)に設けられることが好ましい。高剛性部35が軸Xに対して非対称な位置に設けられることで、高剛性部35が設けられた複数の周方向位置で復元動作が行なわれる際に、延長部側山部31の複数の部位を正反対の方向に押し出すことによって延長部側山部31の外径が広がることが抑制されるので、延長部側山部31を部分的に容易に径方向外側に押し出すことができ、延長部3の復元動作を容易にすることができる。
【0071】
高剛性部35は、延長部3の周方向の一部に設けられて、延長部3の復元動作のタイミングを周方向でずらすことができればよく、高剛性部35の軸X方向における位置は特に限定されない。たとえば、
図5および
図6A~6Bに示された実施形態では、高剛性部35は、延長部側山部31の周方向の一部に設けられ、延長部側山部31の径方向内側および/または外側(図示された例では径方向内側)に向かって延びる延出部35aを有し、延長部3の他の部分と比べて厚い肉厚に形成されている。延長部側山部31に高剛性部35が設けられることで、延長部3の復元時に延長部側山部31が径方向外側に変位して、その後元の位置に戻ろうとする復元力が高まり、全体として復元し易くなる。また、肉厚を厚くすることで剛性を高めることで、他の部材を用いて剛性を高めるのと比べて、高剛性部35を容易に形成することができる。さらに、金型を用いてブーツ1を製造する場合には、金型の成型が容易であり、ブーツ1を容易に製造することができる。
【0072】
延長部側山部31に設けられる高剛性部35は、延長部3の他の部分よりも厚い肉厚に形成されていればよく、その肉厚は特に限定されない。ただし、高剛性部35が設けられた延長部側山部31の部位の復元力を高めるという観点から、延長部側山部31の高剛性部35における最大厚さが、延長部3の他の部分の厚さの1.2倍以上であることが好ましく、1.25倍以上であることがさらに好ましい。また、高剛性部35が設けられた延長部側山部31の部位の圧縮時の変形を容易にするという観点から、延長部側山部31の高剛性部35における最大厚さが、延長部3の他の部分の厚さの1.5倍以下であることが好ましく、1.4倍以下であることがさらに好ましく、1.3倍以下であることがよりさらに好ましい。また、延長部側山部31の高剛性部35は、
図6Bに示されるように、軸X方向において延長部側山部31の中で最も外径の大きい部位である、延長部側山部31の頂部31aにおいて最大厚さとなるように形成されていることが好ましい。延長部側山部31の頂部31aにおいて最大厚さとなるように高剛性部35を形成することで、高剛性部35が設けられた延長部側山部31の部位の圧縮時の変形を容易にすることができる。
【0073】
延長部側山部31に設けられる高剛性部35は、延長部側山部31の周方向の一部に設けられていればよく、その周方向の長さは特に限定されない。ただし、高剛性部35は、高剛性部35が設けられた延長部側山部31の部位の復元力を高めるという観点から、高剛性部35の周方向の長さは、延長部側山部31の周方向の長さの1/20以上であることが好ましく、1/15以上であることがさらに好ましく、1/10以上であることがよりさらに好ましい。また、延長部側山部31の径方向外側への押し出しの非対称性を高めるという観点から、高剛性部35の周方向の長さは、延長部側山部31の周方向の長さの1/4以下であることが好ましく、1/6以下であることがさらに好ましく、1/8以下であることがよりさらに好ましい。また、高剛性部35は、
図6Aに示されるように、延長部側山部31の周方向において、最大厚さ部位から周方向の両側に向かって厚さが連続的に小さくなるように形成されていることが好ましい。これにより、延長部3が、圧縮状態から伸長状態に復元する際に、延長部側山部31の周方向で最大厚さ部位から周方向の両側に徐々に復元するので、より容易に伸長状態に復元することができる。
【0074】
高剛性部35は、たとえば、
図7および
図8に示される変形例のように、連結部33において、延長部側谷部32に隣接する位置であって、ブーツ1の圧縮時に湾曲する位置(谷部側湾曲部33b)に設けられ、連結部33から径方向内側および/または外側(図示された例では径方向外側)に突出する突起35bを有してもよい。高剛性部35は、突起35bを有することで、延長部3の他の部分と比べて厚い肉厚に形成されている。延長部側谷部32に隣接する谷部側湾曲部33bに高剛性部35が設けられることで、高剛性部35が設けられた谷部側湾曲部33bの部位の復元力が高まり、それにより延長部側山部31を径方向外側に押し出す力が増加して、延長部3がより容易に伸長状態に復元することができる。ここでも、肉厚を厚くすることで剛性を高めることで、他の部材を用いて剛性を高めるのと比べて、高剛性部35を容易に形成することができる。さらに、金型を用いてブーツ1を製造する場合には、金型の成型が容易であり、ブーツ1を容易に製造することができる。
【0075】
延長部側谷部32に隣接して設けられる高剛性部35は、延長部3の他の部分と比べて厚い肉厚に形成されていればよく、その肉厚は特に限定されない。ただし、高剛性部35が設けられた延長部3の周方向の部位の復元力を高めるという観点から、高剛性部35の肉厚は、延長部3の他の部分の肉厚の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましく、1.5倍以上であることがよりさらに好ましい。また、高剛性部35が設けられた延長部3の周方向の部位の圧縮時の変形を容易にするという観点から、高剛性部35の肉厚は、延長部3の他の部分の肉厚の2倍以下であることが好ましく、1.8倍以下であることがさらに好ましく、1.6倍以下であることがよりさらに好ましい。
【0076】
高剛性部35は、谷部側湾曲部33bにおいて連結部33の周方向の一部に設けられていればよく、その周方向の長さは特に限定されない。ただし、高剛性部35は、高剛性部35が設けられた連結部33の部位の復元力を高めるという観点から、高剛性部35の周方向の長さは、連結部33の周方向の長さの1/20以上であることが好ましく、1/15以上であることがさらに好ましく、1/10以上であることがよりさらに好ましい。また、延長部側山部31の径方向外側への押し出しの非対称性を高めるという観点から、高剛性部35の周方向の長さは、連結部33の周方向の長さの1/4以下であることが好ましく、1/6以下であることがさらに好ましく、1/8以下であることがよりさらに好ましい。
【0077】
高剛性部35は、たとえば、
図9に示される変形例のように、延長部側山部31から連結部33を経て延長部側谷部32までに亘って、軸Xを含む平面に沿って延びるように連続的に設けられてもよい。高剛性部35は、延長部3から径方向内側および/または外側(図示された例では径方向外側)に突出する突出部35cを有し、突出部35cは、延長部側山部31から連結部33を経て延長部側谷部32までに亘って、軸Xを含む平面に沿って延びるように連続的に設けられている。高剛性部35は、突出部35cを有することで、延長部3の他の部分と比べて厚い肉厚に形成されている。延長部3の軸X方向の略全長に亘って高剛性部35が設けられることで、高剛性部35が設けられる延長部3の周方向の部位の復元力が高まり、それにより延長部側山部31を径方向外側に押し出す力が増加して、延長部3がより容易に伸長状態に復元することができる。なお、本実施形態では、高剛性部35は、蛇腹部2に設けられることなく、延長部3のみに設けられている。
【0078】
延長部側山部31から連結部33を経て延長部側谷部32までに亘って設けられる高剛性部35は、延長部3の他の部分と比べて厚い肉厚に形成されていればよく、その肉厚は特に限定されない。ただし、高剛性部35が設けられた延長部3の周方向の部位の復元力を高めるという観点から、高剛性部35の肉厚は、延長部3の他の部分の肉厚の1.1倍以上であることが好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましく、1.5倍以上であることがよりさらに好ましい。また、高剛性部35が設けられた延長部3の周方向の部位の圧縮時の変形を容易にするという観点から、高剛性部35の肉厚は、延長部3の他の部分の肉厚の2倍以下であることが好ましく、1.8倍以下であることがさらに好ましく、1.6倍以下であることがよりさらに好ましい。
【0079】
高剛性部35は、連結部33の周方向の一部に設けられていればよく、その周方向の長さは特に限定されない。ただし、高剛性部35は、高剛性部35が設けられた連結部33の部位の復元力を高めるという観点から、高剛性部35の周方向の長さは、連結部33の周方向の長さの1/20以上であることが好ましく、1/15以上であることがさらに好ましく、1/10以上であることがよりさらに好ましい。また、延長部側山部31の径方向外側への押し出しの非対称性を高めるという観点から、高剛性部35の周方向の長さは、連結部33の周方向の長さの1/4以下であることが好ましく、1/6以下であることがさらに好ましく、1/8以下であることがよりさらに好ましい。
【符号の説明】
【0080】
1 ブーツ
1a ブーツの軸方向の一端
1b ブーツの軸方向の他端
11 被取付部
12 当接部
12a 開口部
13 軸ずれ抑制部
14 案内部
14a 挿通孔
2 蛇腹部
2a 蛇腹部の軸方向の一端
2b 蛇腹部の軸方向の他端
21 蛇腹部側山部
22 蛇腹部側谷部
3 延長部
3a 延長部の軸方向の一端
3b 延長部の軸方向の他端
31 延長部側山部
31a 頂部
32 延長部側谷部
33 連結部
33a 山部側湾曲部
33b 谷部側湾曲部
34 舌片部
35 高剛性部
35a 延出部
35b 突起
35c 突出部
AP 当接端部
B 基部(車両本体)
B1 開口部
D1 延長部側山部と延長部側谷部との間の軸方向の長さ
D2 蛇腹部側山部と蛇腹部側谷部との間の軸方向の長さ
ID 蛇腹部側谷部の内径
EC 伸縮部
FI 流体注入手段
FIa 流体注入手段の先端
FI1 壁部
FI2 流出孔
L 可動部(リッド)
M 取付対象(リッド開閉装置)
O 取付対象物
O1 取付部
O11 第1大径部
O12 小径部
O13 第2大径部
O2 延伸部
OD1 延長部の他端の外径
OD2 延長部側谷部の外径
OD3 蛇腹部側山部の外径
OP 操作部
R 凹部
X 軸