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特許7557513通信装置、通信装置の制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】通信装置、通信装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240919BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G06K7/10 288
G06K7/10 144
H04B1/59
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022193606
(22)【出願日】2022-12-02
(65)【公開番号】P2024080425
(43)【公開日】2024-06-13
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄子 一毅
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0252426(US,A1)
【文献】特開2020-149445(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0235062(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
H04B 1/59
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFIDタグの読み取りを実行可能な通信装置であって、
前記通信装置と、RFIDタグの読み取りを実行可能な他の通信装置との接近を所定の通信方式を用いて検知する接近検知手段と、
前記接近検知手段により前記接近が検知された場合、前記通信装置と前記他の通信装置とのどちらが読み取りを実行するかを決定する調停手段と、
前記他の通信装置により読み取りを実行されたRFIDタグの情報を前記所定の通信方式を用いて前記他の通信装置から受信する受信手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記所定の通信方式を用いて、前記他の通信装置に対してRFIDタグの読み取り実行の有無を問い合わせる問い合わせ手段と、
前記問い合わせ手段による問い合わせの結果、前記他の通信装置が前記読み取りを実行中である場合、前記所定の通信方式を用いて、前記他の通信装置に対して読み取り結果であるRFIDタグの情報の送信要求を行う要求手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
位置を特定する基準となるRFIDタグである基準タグの読み取りを実行するタグ検知手段と、
前記基準タグの読み取り結果に基づいて前記基準タグに対する前記通信装置の位置を算出する算出手段と、
をさらに備え、
前記問い合わせ手段による問い合わせの結果、前記他の通信装置が前記読み取りを実行中である場合、前記タグ検知手段は、読み取りを実行しないことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記受信手段は、前記要求手段による前記送信要求に応じて前記他の通信装置から送信されたRFIDタグの情報を受信することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記接近検知手段は、前記所定の通信方式を用いて前記通信装置と前記他の通信装置との距離を測定し、当該距離が閾値以下である場合に、前記接近を検知することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
位置を特定する基準となる基準タグの読み取りを実行するタグ検知手段と、
前記基準タグの読み取り結果に基づいて前記基準タグに対する前記通信装置の位置を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された位置の情報を、読み取り結果として前記他の通信装置へ送信する送信手段と、
をさらに備え、
前記調停手段により前記通信装置が読み取りを実行すると決定された場合、前記タグ検知手段が読み取りを実行し、前記算出手段が前記基準タグに対する前記通信装置の位置を算出し、前記送信手段が前記位置の情報を前記読み取り結果として前記他の通信装置へ送信することを特徴とする請求項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記所定の通信方式を用いて、前記他の通信装置に対して読み取り結果であるRFIDタグの情報の送信要求を行う要求手段をさらに備え、
前記調停手段により前記他の通信装置が読み取りを実行すると決定された場合、前記要求手段は、前記送信要求を行うことを特徴とする請求項に記載の通信装置。
【請求項8】
第1の乱数を生成する乱数生成手段と、
前記他の通信装置で生成された第2の乱数を前記所定の通信方式を用いて受理する乱数受理手段と、をさらに備え、
前記調停手段は、前記第1の乱数と前記第2の乱数との比較結果に基づいて、前記通信装置と前記他の通信装置とのどちらが読み取りを実行するかを決定することを特徴とする請求項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記調停手段は、前記第1の乱数が前記第2の乱数よりも大きい場合に、前記通信装置が読み取りを実行すると決定することを特徴とする請求項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記所定の通信方式は、RFIDとは異なる通信方式であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
前記所定の通信方式は、UWB(Ultra Wide Band)通信であることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
RFIDタグの読み取りを実行可能な通信装置の制御方法であって、
前記通信装置と、RFIDタグの読み取りを実行可能な他の通信装置との接近を所定の通信方式を用いて検知する接近検知工程と、
前記接近検知工程により前記接近が検知された場合、前記通信装置と前記他の通信装置とのどちらが読み取りを実行するかを決定する調停工程と、
前記他の通信装置により読み取りを実行されたRFIDタグの情報を前記所定の通信方式を用いて前記他の通信装置から受信する受信工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の通信装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物流、棚卸の管理において、UHF(Ultra High Frequency)帯RFID(Radio Frequency IDentification)リーダ装置とRFIDパッシブタグとを利用して、管理対象の物品を管理するシステムが広く用いられている。
【0003】
このような管理システムでは、ユーザがRFIDリーダ装置を持ち運び、移動先において基準位置を示すRFIDパッシブタグを読み取ることでRFIDリーダ装置の位置情報を取得することが行われる。さらに、周辺に物品管理用のRFIDパッシブタグがあれば、それを同時に読み取ることで物品の位置情報を取得して管理することが行われている。
【0004】
RFIDリーダ装置およびRFIDパッシブタグを含むRFID制御システムでは、RFIDパッシブタグとの通信に用いる周波数帯を他のRFIDリーダ装置または他の通信装置と共用するため、通信の衝突が発生する可能性がある。
【0005】
そのような衝突を避けるため、RFIDリーダ装置は、送信前に他の装置が自身の使用予定周波数を使用していないことを確認する必要がある。この衝突回避方法はLBT(Listen Before Talk)と呼ばれ、多くの場合キャリアセンス機能を使用する。キャリアセンス機能とは、送信準備中のリーダ装置が送信に先立って、既にRFIDタグと通信中である他のリーダ装置の存否を、リーダ装置とRFIDタグとの間で送受信しているキャリア信号の有無を検知することによって判定する機能である。
【0006】
特許文献1は、RFIDリーダ装置が全チャネルに対して簡易的な予備キャリアセンスを行い、空きチャネルを把握することでキャリアセンス機能の実行に要する総時間を短縮することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-219458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、空きチャネルが少なく、他のRFIDリーダと同一のチャネルを使用しなければならない場合、他のRFIDリーダと接近するとキャリアセンス機能が動作し、どちらかのRFIDリーダがLBT待ち状態となる。
【0009】
そのため、ユーザがRFIDリーダ装置を持ち運び、基準位置を示すRFIDタグを読み取り位置情報を取得するシステムに特許文献1の技術を使用した場合、移動先に他のRFIDリーダが存在するとLBT待ち状態となりタグの情報を取得できなくなる。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、RFIDリーダ装置同士が接近して待機状態になった場合でも、RFIDタグの情報を取得可能とするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成する本発明に係る通信装置は、
RFIDタグの読み取りを実行可能な通信装置であって、
前記通信装置と、RFIDタグの読み取りを実行可能な他の通信装置との接近を所定の通信方式を用いて検知する接近検知手段と、
前記接近検知手段により前記接近が検知された場合、前記通信装置と前記他の通信装置とのどちらが読み取りを実行するかを決定する調停手段と、
前記他の通信装置により読み取りを実行されたRFIDタグの情報を前記所定の通信方式を用いて前記他の通信装置から受信する受信手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、RFIDリーダ装置同士が接近して待機状態になった場合でも、RFIDタグの情報を取得可能とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係るRFIDリーダ及び情報処理装置を含むシステム構成を示す図。
図2】(a)実施形態1に係るRFIDリーダが実施する全体処理の手順を示すフローチャート、(b)実施形態1に係るRFID接近時処理の手順を示すフローチャート、(c)実施形態1に係るタグ情報取得処理の手順を示すフローチャート。
図3】実施形態1に係るRFIDリーダの動作例を示す図。
図4】(a)実施形態2に係るRFIDリーダが実施する全体処理の手順を示すフローチャート、(b)実施形態2に係る調停処理の手順を示すフローチャート、(c)実施形態2にRFIDリーダ接近時処理の手順を示すフローチャート、(d)実施形態2に係るタグ情報取得処理の手順を示すフローチャート。
図5】実施形態2に係るRFIDリーダの動作例を示す図。
図6】実施形態2に係るRFIDリーダの動作例を示す図。
図7】一実施形態に係るRFIDリーダのハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
(実施形態1)
本実施形態では、可搬型のリーダ装置(以下、RFIDリーダと称す)と、基準となる位置を示す基準RFIDタグ(以下、基準タグと称す)、物品に装着された物品RFIDタグ(以下、物品タグと称す)とを用いた物品位置管理システムを例に説明を行う。RFIDリーダ間の接近を検知した場合に、RFIDリーダがRFID以外の通信方法で他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信する。
【0016】
<システム構成>
図1は、実施形態1に係るRFIDタグの読み取りを実行可能なRFIDリーダ100(通信装置)及び情報処理装置200を含む物品位置管理システムの構成例を示すブロック図である。
【0017】
RFIDリーダ100は、外部の通信物体であるRFIDタグから、無線で情報を読み出す。例えば、RFIDリーダ100は、RFIDタグに対してUHF帯の電磁波を供給することで、RFIDタグの内部にあるICチップを動作させ、RFIDタグの記憶部に保存された基準位置情報または物品管理情報を読み出す。
【0018】
RFIDリーダ100は、移動体により運搬されることにより、広範囲に存在する基準タグまたは物品タグを読み取り可能であり、その読み取り結果を情報処理装置200に通知する通信装置である。情報処理装置200は、RFIDリーダ100から通知された情報に基づいて、RFIDタグの読み取り結果の基準位置情報と物品管理情報とを紐づけて、各物品の位置を管理する。
【0019】
RFIDリーダ100は、基準タグと、その周囲に物品タグが取り付けられた物品があれば当該物品管理タグとを同時に読み取ることで、物品の位置を管理することができる。RFIDリーダ100は移動体であり、同一空間内に複数台存在することができる(図1の例では1台のみ示している)。各RFIDリーダはスタンドアロンでRFIDタグの読み取りを行い、読み取り結果をサーバとして機能する情報処理装置200経由でクラウドにアップロードする。RFIDリーダ100は、基準タグを読み取ることによって自身の位置情報を取得できる。
【0020】
<RFIDリーダのハードウェア構成>
図7は、本実施形態に係るRFIDリーダ100のハードウェア構成例を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)1010は、RAM(Random Access Memory)1020やROM(Read Only Memory)1030に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いてコンピュータ全体の制御を行う。CPU101は、本実施形態に係るRFIDリーダ100が行う各処理を実行する。即ち、CPU101は、図1に示した各処理部として機能することになる。
【0021】
RAM1020は、補助記憶装置1040又はROM1030からロードされたコンピュータプログラムやデータ、I/F(インタフェース)1070を介して外部から取得したデータなどを一時的に記憶するためのエリアを有する。更に、RAM1020は、CPU1010が各種の処理を実行する際に用いるワークエリアを有する。ROM1030には、コンピュータの設定データや、ブートプログラムなどが格納されている。
【0022】
補助記憶装置1040は、ハードディスクドライブ装置に代表される、大容量データ記憶装置である。補助記憶装置1040には、OS(オペレーティングシステム)や、図1に示した各処理部の機能をCPU1010に実現させるためのコンピュータプログラムが保存されている。出力部1050は、CPU1010による処理結果を出力する。出力とは、例えば表示や報知、外部へのデータ送信を含みうる。また出力部1050は、例えば液晶ディスプレイやスピーカで構成される。操作部1060は、物理ボタン、キーボード、マウスなどにより構成することができ、ユーザが操作することで、各種の指示をCPU1010に対して入力することができる。I/F1070には、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワーク、他の機器を接続することができ、コンピュータはI/F1070を介して様々な情報を取得したり、送出したりすることができる。バス1080は、上述の各部を繋ぐバスである。
【0023】
<RFIDリーダの機能構成>
図1に示すように、RFIDリーダ100は、演算部101、記憶部102、RFIDタグ読み取り回路部103、RFIDリーダ通信回路部105、調停処理部111を備える。RFIDタグ読み取り回路部103は、RFIDを用いた通信を行う送受信回路部104を備える。
【0024】
演算部101は、CPU1010に対応しており、RFIDリーダ100の各種制御を実現する。記憶部102は、RAM1020、ROM1030、外部記憶装置1040等に対応し、各種データを記憶する。
【0025】
RFIDリーダ通信回路部105は、演算部101の制御下で、RFIDとは異なる通信方式によって他のRFIDリーダと通信し、RFIDリーダ101と他のRFIDリーダとの距離測定を行う。例えば、RFIDリーダ通信回路部105は、UWB(Ultra Wide Band)通信方式やBluetooth(登録商標)通信方式を用いて通信可能に構成されうる。
【0026】
演算部101は、RFIDリーダ通信回路部105から、RFIDリーダ101と他のRFIDリーダとの距離の測定結果を取得し、接近検知処理部110を制御してRFIDリーダ101と他のRFIDリーダとの接近検知を行う。例えば、RFIDリーダ101と他のRFIDリーダとの距離が閾値以下である場合に両者が接近していると判定することができる。他のRFIDリーダとの接近を検知した場合には、接近検知処理部110は、演算部101の制御下で、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて当該他のRFIDリーダと通信を行い、RFIDタグの読み取り実行の有無を問い合わせる。
【0027】
この問合せの結果、他のRFIDリーダがRFIDタグの読み取りを実行している場合、接近検知処理部110は、当該他のRFIDリーダに対して、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて、RFIDタグの読み取り結果の送信要求を行う。そして、当該他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信する。
【0028】
RFIDタグ読み取り回路部103は、位置を特定する基準となるRFIDタグである基準タグ、または、管理対象となる物品に取り付けられた物品タグの読み取りを実行するタグ検知部として機能する。また、RFIDタグ読み取り回路部103は、基準タグの読み取り結果に基づいて基準タグに対するRFIDリーダ101の位置を算出する算出部としても機能する。また、RFIDタグ読み取り回路部103は、物品タグを読み取り、基準タグの位置情報と合わせて、物品タグが取り付けられた管理対象の位置を算出することができる。
【0029】
RFIDリーダ通信回路部105は、送受信回路部106、信号強度計測部107、信号到着時間計測部108、信号到来角度計測部109、接近検知処理部110を備える。送受信回路部106は、他のRFIDリーダとの間で信号を送受信する。信号強度計測部107は、送受信回路部106により受信された信号の強度を計測する。信号到着時間計測部108は、送受信回路部106により受信された信号の到着時間を計測する。信号到来角度計測部109は、送受信回路部106により受信された信号の到来角度を計測する。
【0030】
接近検知処理部110は、信号到着時間計測部108及び信号到来角度計測部109の各計測結果から、RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの接近を検知する。また、接近検知処理部110は、信号強度計測部107の計測結果からRFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの接近を検知することもできる。
【0031】
調停処理部111は、乱数生成部112、乱数受理部113、乱数比較部114を備える。調停処理部111は、各RFIDリーダで生成された乱数同士を比較して、RFIDリーダ間でのRFIDタグの読み取り実行可否の調停を行う。すなわち、RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの何れが読み取りを実行するかを決定(調停)する。
【0032】
乱数生成部112は、調停用の乱数発生を実行する。乱数受理部113は、RFIDとは異なる通信方式(例えばUWB、Bluetooth(登録商標))によって他のRFIDリーダと通信し、他のRFIDリーダから、当該他のRFIDリーダで生成された調停用乱数を受信する。乱数比較部114は、RFIDリーダ100が生成した調停用乱数と、他のRFIDリーダから受信した調停用乱数との比較を行う。例えば、乱数が最も大きいRFIDリーダが読み取りを実行するように決定してもよい。
【0033】
なお、調停処理部111の機能は主に実施形態2で説明する。そのため、実施形態1では調停処理部111は備えていなくてもよい。
【0034】
<処理>
続いて、図2(a)-図2(c)のフローチャートを参照して、実施形態1に係るRFIDリーダが実施する処理の手順を説明する。図2(a)は、実施形態1に係るRFIDリーダが実施する全体処理の手順を示すフローチャートである。図2(b)は、実施形態1に係るRFID接近時処理(S200の詳細)の手順を示すフローチャートである。図3(c)は、実施形態1に係るタグ情報取得処理(S300の詳細)の手順を示すフローチャートである。
【0035】
図2(a)の処理は、例えば、RFIDリーダ100の電源がON状態になったことに応じて、RFIDリーダ100の演算部101が、記憶部102に記憶されたプログラムを実行することによって実現されうる。
【0036】
S101において、RFIDリーダ100は、ユーザからのRFIDタグの読み取り開始指示の有無を判定する。ユーザからのRFIDタグ読み取り指示は、操作部1060の操作入力を介して受付可能である。この操作部1060は、例えばタッチパネルで実現するようにしてもよい。RFIDリーダ100は、読み取り開始指示が入力された場合、RFIDタグと通信を行うために、定期的にRFIDタグ読み取り回路部103を動作させ、送受信回路部104を介してRFIDタグとの通信を行うための制御を開始する。その後、S102へ進む。一方、読み取り開始指示が入力されていない場合、待機する。
【0037】
S102において、RFIDリーダ100は、RFIDリーダ通信回路部105の測距機能を用いて、RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの距離測定を行い、RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの接近検知判定を行う。例えば、RFIDリーダ101と他のRFIDリーダとの距離が閾値以下である場合に両者が接近していると判定する。RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの接近を検知した場合には、S200へ進む。一方、RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの接近を検知しなかった場合には、S103へ進む。
【0038】
ここで、図2(b)を参照しながら、S200のRFIDリーダ接近時処理の詳細について説明する。
【0039】
S201において、RFIDリーダ100は、接近状態となっている他のRFIDリーダが、RFIDタグの読み取りを実行しているか否かを判定する。より具体的には、RFIDリーダ100は、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて、他のRFIDリーダに対してRFIDタグの読み取り実行の有無を問い合わせ、その問い合わせ結果に基づいて判定を行う。他のRFIDリーダがRFIDタグの読み取りを実行している場合、S202へ進む。一方、他のRFIDリーダがRFIDタグの読み取りを実行していない場合、S203へ進む。
【0040】
S202において、RFIDリーダ100は、接近状態となっている他のRFIDリーダに対して、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて、RFIDタグの読み取り結果の送信を要求する。送信要求を受けた他のRFIDリーダは、記憶部102にRFIDタグの読み取り結果が記憶されている場合には、RFIDリーダ100へ送信する。一方、RFIDタグの読み取り結果が記憶されていない場合には、RFIDリーダ100への送信を行わない。
【0041】
S203において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果の送信要求を受信したか否かを判定する。RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダからRFIDタグ読み取り結果の送信要求を受信している場合、S205へ進む。一方、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果の送信要求を受信していない場合、処理を終了し、S103へ進む。
【0042】
S204において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信したか否かを判定する。他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信している場合、S206へ進む。一方、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信していない場合、処理を終了し、S103へ進む。
【0043】
S205において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果の送信要求を受信したことを表すフラグ処理を行い(フラグ=1に設定し)、処理を終了し、S103へ進む。
【0044】
S206において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダから受信したRFIDタグの読み取り結果から位置情報を取得し、その位置情報を、位置情報を管理する情報処理装置200に通知して処理を終了し、S103へ進む。
【0045】
図2(a)に戻り、S103において、RFIDリーダ100は、RFIDタグを検知しているかを判定する。RFIDタグを検知している場合、S300へ進む。一方、RFIDタグを検知していない場合、S104へ進む。
【0046】
ここで、図2(c)を参照しながら、S300のタグ情報取得処理の詳細について説明する。
【0047】
S301において、RFIDリーダ100は、検知したRFIDタグが基準タグであるか否かを判定する。検知したRFIDタグが基準タグである場合、S302へ進む。一方、検知したRFIDタグが基準タグではない場合、S303へ進む。S302において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ(基準タグ)の読み取りを実行する。S303において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ(基準タグではないタグ、例えば物品タグ)の読み取りを実行する。S304において、RFIDリーダ100は、位置情報を取得する。その後、S306へ進む。S305において、RFIDリーダ100は、管理情報(例えば物品タグから読み取った情報)を取得する。その後、処理を終了し、S102へ進む。
【0048】
S306において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果の送信要求を受信したか否かを判定する。RFIDリーダ100は、フラグ=1であれば、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果の送信要求を受信したと判定し、S307へ進む。一方、RFIDリーダ100は、フラグ=1でなければ、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果の送信要求を受信していないと判定し、処理を終了してS102へ進む。
【0049】
S307において、RFIDリーダ100は、当該他のRFIDリーダに対してRFIDタグの読み取り結果を、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて送信し、処理を終了してS102へ進む。
【0050】
図2(a)に戻り、S104において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果の送信要求を受信したか否かを表すフラグの初期化(フラグ=0に設定)を行い、S105へ進む。
【0051】
S105において、RFIDリーダ100は、ユーザからRFIDタグの読み取り終了指示を受け付けたか否かを判定する。ユーザからRFIDタグの読み取り終了指示を受け付けた場合、RFIDリーダ100は、RFIDタグの読み取り回路部103の動作を停止させ、RFIDタグとの通信を停止する。一方、ユーザからRFIDタグの読み取り終了指示を受け付けていない場合、S102に戻る。以上が一連の処理である。
【0052】
<RFIDリーダの動作例>
図3は、実施形態1に係るRFIDリーダ100の動作例(RFIDリーダの接近検知状況の例)を示す図である。図示の例では、RFIDリーダは、RFIDリーダ100a~RFIDリーダ100bを含む。また、RFIDタグは、基準タグである位置タグA201a~位置タグF201fと、物品タグ202とを含む。なお、RFIDリーダは3台以上存在してもよいし、位置タグは図示の例よりも多くても少なくてもよい。
【0053】
以下、RFIDリーダ100a~100bを総称する場合は、RFIDリーダ100と記載し、位置タグA201a~位置タグF201fを総称する場合は、位置タグ201と記載する。位置タグ201は、基準位置を検知するために配置されたRFIDタグであり、例えば床などに貼り付けられ、その配置位置が固定されている。物品タグ202は、管理対象となる物品に取り付けられたRFIDタグである。
【0054】
図3に示されるように、RFIDリーダ100aが位置A(時刻=t0)から位置B(時刻=t1)に移動し、位置タグE201eを読み取り中のRFIDリーダ100bに対して接近する状況を想定する。
【0055】
図3の例では、RFIDリーダ100aは、時刻=t0でRFIDタグの検知を行いながら位置Aから移動を開始し、UWB(Ultra Wide Band)通信により、RFIDリーダ100bとのデータ通信及び距離測定を行っている。
【0056】
RFIDリーダ100aは、時刻=t1で位置Bに到着したときに、RFIDリーダ100bとの接近を検知し、UWB通信によりRFIDリーダ100bに対してRFIDタグの読み取り実行の有無を問い合わせる。問い合わせの結果、RFIDリーダ100aは、RFIDリーダ100bがRFIDタグの読み取りを実行中であると判定し、RFIDリーダ100bに対して、UWB通信を用いて、RFIDタグの読み取り結果の送信要求を行う。このときRFIDリーダ100aは読み取りを実行しないように構成してもよい。送信要求の結果、RFIDリーダ100aは、RFIDリーダ100bから位置タグE201eの読み取り結果を受信し、位置情報を取得する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、可搬型のRFIDリーダと、基準となる位置を示す基準タグと、物品に装着された物品タグとを用いた物品位置管理システムにおいて、RFIDリーダ間の接近が発生し、読み取りを行わない待機状態となったような場合でも、そのRFIDリーダがタグの情報を取得することが可能となる。よって、時間経過による物品の位置変化に対処するリアルタイムな情報更新を行うことが可能となり、物品のトレーサビリティを高めることができる。
【0058】
このように、本実施形態では、RFID以外の通信方式で他のRFIDリーダとの接近を検知し、接近を検知した場合には他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信する。これにより、位置情報を取得することが可能となる。従って、同一チャネルを使用するRFIDリーダ同士の接近状態下においても、RFIDタグからの情報取得が可能となる。
【0059】
(実施形態2)
実施形態2では、RFIDリーダ間でRFIDタグ読み取り実行可否の調停を行う例を説明する。本実施形態では、RFIDリーダ100が他のRFIDリーダの接近を検知した際に、RFIDタグの読み取りを実行するRFIDリーダを決定するための調停を行う点が、実施形態1と異なっている。システム構成及び装置構成については実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0060】
<処理>
図4(a)-図4(d)のフローチャートを参照して、実施形態2に係るRFIDリーダが実施する処理の手順を説明する。図4(a)は、実施形態2に係るRFIDリーダが実施する全体処理の手順を示すフローチャートである。図4(b)は、実施形態2に係る調停処理の手順を示すフローチャートである。図4(c)は、実施形態2にRFIDリーダ接近時処理の手順を示すフローチャートである。図4(d)は、実施形態2に係るタグ情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
【0061】
S1010の処理は、図2(a)のS101の処理と同様である。S1020において、RFIDリーダ100は、RFIDリーダ通信回路部105の測距機能を用いて、RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの距離測定を行い、RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの接近検知判定を行う。RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの接近を検知した場合には、図4(b)に示すフロー(2)の調停処理へ進む。一方、RFIDリーダ100と他のRFIDリーダとの接近を検知しなかった場合には、S1030へ進む。
【0062】
ここで、図4(b)を参照しながら、フロー(2)の調停処理の詳細について説明する。S2010において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダとの接近状態が一定時間以上継続しているか否かを判定する。他のRFIDリーダとの接近状態が一定時間以上継続している場合、S2020へ進む。一方、他のRFIDリーダとの接近状態が一定時間以上継続していない場合、S1030へ進む。
【0063】
S2020において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ読み取り回路部103の動作を停止した後、接近状態が一定時間以上継続している他のRFIDリーダに対して、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて接近検知したことの通知を行う。接近検知の通知を受けた他のRFIDリーダは、自身のRFIDタグ読み取り回路部103の動作を停止し、調停処理が終了するまでRFIDタグ読み取りを行わない。
【0064】
S2030において、RFIDリーダ100は、乱数生成部112を用いて調停用の乱数を生成する。S2040において、RFIDリーダ100は、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて、他のRFIDリーダに調停用乱数を送信する。S2050において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダに対して、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて、調停用乱数の生成要求を行う。調停用乱数の生成要求を受けた他のRFIDリーダは、自身の乱数生成部112を用いて調停用乱数の生成を行う。
【0065】
S2060において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダに対して、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて、調停用乱数の送信要求を行う。調停用乱数の送信要求を受けた他のRFIDリーダは、自身のRFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて調停用乱数の送信を行う。
【0066】
S2070において、RFIDリーダ100は、乱数比較部114を用いて、S2030でRFIDリーダ100が生成した調停用乱数と、S2060で他のRFIDリーダから受信した調停用乱数との比較を行う。
【0067】
S2080において、RFIDリーダ100は、調停用乱数の比較を行った結果、RFIDリーダ100が生成した調停用乱数の方が、他のRFIDリーダが生成した調停用乱数よりも大きな値であるか否かを判定する。RFIDリーダ100が生成した調停用乱数の方が、他のRFIDリーダが生成した調停用乱数よりも大きな値である場合、S2090へ進む。一方、RFIDリーダ100が生成した調停用乱数が、他のRFIDリーダが生成した調停用乱数以下である場合、フロー(3)のRFIDリーダ接近時処理に進む。
【0068】
ここで、図4(c)を参照しながら、フロー(3)のRFIDリーダ接近時処理の詳細について説明する。S3010において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信したか否かを判定する。他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信している場合、S3020へ進む。一方、他のRFIDリーダからRFIDタグの読み取り結果を受信していない場合、S3030へ進む。
【0069】
S3020において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダから受信したRFIDタグの読み取り結果から位置情報を取得する。S3030において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダとの接近状態に変化がないかどうかを確認するため、RFIDリーダ通信回路部105の測距機能を用いて他のRFIDリーダとの距離測定を行い、他のRFIDリーダとの接近検知判定を行う。他のRFIDリーダとの接近を検知した場合、S3050へ進む。一方、他のRFIDリーダとの接近を検知していない場合、S3040へ進む。
【0070】
S3040において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ読み取り回路部103の動作を再開し、RFIDタグの読み取りを実行する。その後、S1030へ進む。
【0071】
S3050において、RFIDリーダ100は、S1020で接近検知した他のRFIDリーダと、S3030で接近検知した他のRFIDリーダとが同一であるか否かを判定し、他のRFIDリーダとの接近状態に変化がないかどうかを確認する。同一であると判定された場合、S3010に戻る。一方、同一ではないと判定された場合、S2030に進む。
【0072】
図4(b)の説明に戻る。S2090において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ読み取り回路部103の動作を再開し、RFIDタグの読み取りを実行する。S2100において、RFIDリーダ100は、RFIDタグを検知しているか否かを判定する。RFIDタグを検知している場合、フロー(4)のタグ情報取得処理へ進む。一方、RFIDタグを検知していない場合、S2110へ進む。
【0073】
ここで、図4(d)を参照しながら、フロー(4)のタグ情報取得処理の詳細について説明する。S4010において、RFIDリーダ100は、検知したRFIDタグが基準タグであるか否かを判定する。検知したRFIDタグが基準タグである場合、S4020へ進む。一方、検知したRFIDタグが基準タグでない場合、S4030へ進む。
【0074】
S4020において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ(基準タグ)の読み取りを実行する。S4030において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ(物品タグ)の読み取りを実行する。S4040において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ(基準タグ)の読み取りに基づいて位置情報を取得する。S4050において、RFIDリーダ100は、RFIDタグ(物品タグ)の読み取りに基づいて管理情報を取得し、その後、S1020へ進む。S4060において、RFIDリーダ100は、接近状態にある他のRFIDリーダに対して、RFIDリーダ通信回路部105の通信機能を用いて、RFIDタグの読み取り結果を送信し、その後、S1020へ進む。
【0075】
図4(b)の説明に戻る。S2110において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダとの接近状態に変化がないかどうかを確認するため、RFIDリーダ通信回路部105の測距機能を用いて他のRFIDリーダとの距離測定を行い、他のRFIDリーダとの接近検知判定を行う。他のRFIDリーダとの接近を検知した場合、S2120へ進む。一方、他のRFIDリーダとの接近を検知していない場合、S1030へ進む。
【0076】
S2120において、RFIDリーダ100は、他のRFIDリーダとの接近状態が一定時間以上継続しているか否かを判定する。他のRFIDリーダとの接近状態が一定時間以上継続している場合、S2130へ進む。一方、他のRFIDリーダとの接近状態が一定時間以上継続していない場合、S1030へ進む。
【0077】
S2130において、RFIDリーダ100は、S2010で接近継続時間が閾値以上となった他のRFIDリーダと、S2120で接近継続時間が閾値以上となった他のRFIDリーダとが同一であるか否かを判定する。そして、他のRFIDリーダとの接近状態に変化がないかどうかを確認する。同一であると判定された場合、S2100に戻る。一方、同一ではないと判定された場合、S2030に戻る。
【0078】
続いて図(4)(a)のS1030において、RFIDリーダ100は、RFIDタグを検知しているかを判定する。RFIDタグを検知している場合、フロー(4)のタグ情報取得処理へ進む。一方、RFIDタグを検知していない場合、S1040へ進む。
【0079】
S1040において、RFIDリーダ100は、ユーザからRFIDタグの読み取り終了指示を受け付けたか否かを判定する。ユーザからRFIDタグの読み取り終了指示を受け付けた場合、RFIDリーダ100は、RFIDタグの読み取り回路部103の動作を停止させ、RFIDタグとの通信を停止する。一方、ユーザからRFIDタグの読み取り終了指示を受け付けていない場合、S1020に戻る。
【0080】
<RFIDリーダの動作例>
続いて、図5及び図6を参照して、本実施形態に係るRFIDリーダ100の動作例(RFIDリーダの接近検知状況の例)を説明する。なお、RFIDリーダとRFIDタグの構成は実施形態1と同様である。RFIDリーダ100aは、時刻t1で位置Bに到着済であり、RFIDリーダ100bとの接近を検知済であるものとして、以降の説明を行う。
【0081】
図5において、RFIDリーダ100aは、RFIDリーダ100bとの接近を検知した後、その接近状態が所定の閾値以上の時間、継続しているかどうかの判定を行う。判定の結果、RFIDリーダ100aとRFIDリーダ100bとが接近した状態での継続時間となる時刻t1から時刻t2までの経過時間が閾値以上である場合、RFIDリーダ100aは、RFIDリーダ100bとの接近状態が継続していると判定する。
【0082】
図6の時刻t3で、RFIDリーダ100aは、自身のRFIDタグ読み取り回路部103の動作を停止し、RFIDのタグ読み取りを停止し、RFIDリーダ100bに対してUWB通信を用いて接近を検知したことの通知を行う。通知を受けたRFIDリーダ100bは、自身のRFIDタグ読み取り回路部103の動作を停止し、RFIDタグ読み取りを停止する。
【0083】
また、図6の時刻t4で、RFIDリーダ100aは、自身の乱数生成部112を用いて調停用の乱数発生を実行し、この例では92という値を生成している。その後、RFIDリーダ100aは、RFIDリーダ100bに対してUWB通信を用いて調停用乱数の発生要求と送信要求を行う。これらの要求に応じて、RFIDリーダ100bは、自身の乱数生成部112を用いて調停用の乱数発生を実行する。図6の例では58という値を生成している。その後、RFIDリーダ100bは、UWB通信を用いてRFIDリーダ100aに対して生成した乱数値を送信する。
【0084】
RFIDリーダ100aは、UWB通信を用いてRFIDリーダ100bが生成した調停用乱数値を受信した後、自身の乱数比較部114を用いてRFIDリーダ100a、RFIDリーダ100bのそれぞれが生成した調停用乱数値の比較を行う。この例では、比較した結果、RFIDリーダ100aが生成した調停用乱数値の方が、RFIDリーダ100bが生成した調停用乱数値よりも大きいため、RFIDリーダ100aを、RFIDタグ読み取りを実行するRFIDリーダとして決定する。
【0085】
そして、図6の時刻t5で、RFIDリーダ100aは、RFIDタグの読み取りを再開する。RFIDリーダ100aは、RFIDタグの読み取りを再開すると、位置タグ201eを読み取りした後、RFIDリーダ100bに対してUWB通信を用いて、読み取り結果の送信を行う。
【0086】
以上説明したように、本実施形態では、RFIDリーダ制御システムにおいて、RFIDリーダ間でのRFIDタグの読み取りの実行可否の調停を行う。これにより、LBT待ち状態の発生を防ぎ、実施形態1よりもリアルタイムにRFIDリーダの位置情報の取得が可能となり、ユーザの利便性を高めることができる。
【0087】
なお、上述の実施形態では乱数同士の数値を比較し、その比較結果に基づいて読み取りを実行するRFIDリーダを決定した。ここで、乱数同士が同じ値である場合の処理の一例について説明する。乱数同士が同じ値である場合、何れか1つRFIDリーダを選択する必要があるが、例えば乱数の比較を行ったRFIDリーダが読み取りを実行するように構成してもよい。
【0088】
本明細書の開示は、以下通信装置、通信装置の制御方法及びプログラムを含む。
【0089】
(項目1)
RFIDタグの読み取りを実行可能な通信装置であって、
前記通信装置と、RFIDタグの読み取りを実行可能な他の通信装置との接近を所定の通信方式を用いて検知する接近検知手段と、
前記他の通信装置により読み取りを実行されたRFIDタグの情報を前記所定の通信方式を用いて前記他の通信装置から受信する受信手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【0090】
(項目2)
前記所定の通信方式を用いて、前記他の通信装置に対してRFIDタグの読み取り実行の有無を問い合わせる問い合わせ手段と、
前記問い合わせ手段による問い合わせの結果、前記他の通信装置が前記読み取りを実行中である場合、前記所定の通信方式を用いて、前記他の通信装置に対して読み取り結果であるRFIDタグの情報の送信要求を行う要求手段と、
をさらに備えることを特徴とする項目1に記載の通信装置。
【0091】
(項目3)
位置を特定する基準となるRFIDタグである基準タグの読み取りを実行するタグ検知手段と、
前記基準タグの読み取り結果に基づいて前記基準タグに対する前記通信装置の位置を算出する算出手段と、
をさらに備え、
前記問い合わせ手段による問い合わせの結果、前記他の通信装置が前記読み取りを実行中である場合、前記タグ検知手段は、読み取りを実行しないことを特徴とする項目2に記載の通信装置。
【0092】
(項目4)
前記受信手段は、前記要求手段による前記送信要求に応じて前記他の通信装置から送信されたRFIDタグの情報を受信することを特徴とする項目2又は3に記載の通信装置。
【0093】
(項目5)
前記接近検知手段は、前記所定の通信方式を用いて前記通信装置と前記他の通信装置との距離を測定し、当該距離が閾値以下である場合に、前記接近を検知することを特徴とする項目1乃至4の何れか1項目に記載の通信装置。
【0094】
(項目6)
前記接近検知手段により前記接近が検知された場合、前記通信装置と前記他の通信装置とのどちらが読み取りを実行するかを決定する調停手段をさらに備えることを特徴とする項目1に記載の通信装置。
【0095】
(項目7)
位置を特定する基準となる基準タグの読み取りを実行するタグ検知手段と、
前記基準タグの読み取り結果に基づいて前記基準タグに対する前記通信装置の位置を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された位置の情報を、読み取り結果として前記他の通信装置へ送信する送信手段と、
をさらに備え、
前記調停手段により前記通信装置が読み取りを実行すると決定された場合、前記タグ検知手段が読み取りを実行し、前記算出手段が前記基準タグに対する前記通信装置の位置を算出し、前記送信手段が前記位置の情報を前記読み取り結果として前記他の通信装置へ送信することを特徴とする項目6に記載の通信装置。
【0096】
(項目8)
前記所定の通信方式を用いて、前記他の通信装置に対して読み取り結果であるRFIDタグの情報の送信要求を行う要求手段をさらに備え、
前記調停手段により前記他の通信装置が読み取りを実行すると決定された場合、前記要求手段は、前記送信要求を行うことを特徴とする項目6又は7に記載の通信装置。
【0097】
(項目9)
第1の乱数を生成する乱数生成手段と、
前記他の通信装置で生成された第2の乱数を前記所定の通信方式を用いて受理する乱数受理手段と、をさらに備え、
前記調停手段は、前記第1の乱数と前記第2の乱数との比較結果に基づいて、前記通信装置と前記他の通信装置とのどちらが読み取りを実行するかを決定することを特徴とする項目6乃至8の何れか1項目に記載の通信装置。
【0098】
(項目10)
前記調停手段は、前記第1の乱数が前記第2の乱数よりも大きい場合に、前記通信装置が読み取りを実行すると決定することを特徴とする項目9に記載の通信装置。
【0099】
(項目11)
前記所定の通信方式は、RFIDとは異なる通信方式であることを特徴とする項目1乃至10の何れか1項目に記載の通信装置。
【0100】
(項目12)
前記所定の通信方式は、UWB(Ultra Wide Band)通信であることを特徴とする項目1乃至11の何れか1項目に記載の通信装置。
【0101】
(項目13)
RFIDタグの読み取りを実行可能な通信装置の制御方法であって、
前記通信装置と、RFIDタグの読み取りを実行可能な他の通信装置との接近を所定の通信方式を用いて検知する接近検知工程と、
前記他の通信装置により読み取りを実行されたRFIDタグの情報を前記所定の通信方式を用いて前記他の通信装置から受信する受信工程と、
を有することを特徴とする通信装置の制御方法。
【0102】
(項目14)
項目13に記載の通信装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0103】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0104】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0105】
100:RFIDリーダ(情報処理装置)、101:演算部、102:記憶部、103:RFIDタグ読み取り回路部、105:RFIDリーダ通信回路部、111:調停処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7