(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20240919BHJP
A61B 5/02 20060101ALI20240919BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
A61B5/022 C
A61B5/02 310C
A61B5/1455
A61B5/02 310J
(21)【出願番号】P 2022504155
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(86)【国際出願番号】 US2020044085
(87)【国際公開番号】W WO2021021941
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-12
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520470523
【氏名又は名称】カーディオ リング テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】チャン,クアン-フ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユ-チ
(72)【発明者】
【氏名】シー,ウェン-ピン
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0032711(US,A1)
【文献】米国特許第05413099(US,A)
【文献】米国特許第04685464(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0055854(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03、5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内面を有する第1の装置本体と、
第2の内面を有する第2の装置本体であって、前記第1の内面が前記第2の内面に対向して指を位置決めするように構成された収容空間を形成する、第2の装置本体と、
接触面およびセンサー要素を含むセンサー・アセンブリであって、同センサー・アセンブリは、前記第2の装置本体内に配置され、前記収容空間内に延びる
前記接触面を有する接触部材を有し、前記接触部材は、同接触部材よりも大きく弾性的に変形する接続領域によって
前記第2の装置本体に結合され、前記指が係合したときに前記接触面が前記第2の装置本体内に第1の方向に移動し、前記収容空間から出ることを可能にする、センサー・アセンブリと、
前記収容空間とは反対側の、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体の端部に、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体に結合されたバネ要素であって、ピンが前記第1の装置本体の第1のスロットおよび前記第2の装置本体の第2のスロットを通って延び、これにより、前記バネ要素が前記第1の装置本体を閉じた位置から開いた位置に付勢する、バネ要素と、
を備え
、
前記ピンは、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記閉じた位置に付勢されたときに反対方向に変位できるように、前記第1のスロットまたは前記第2のスロットに対して減寸されている、指の血管からの生体情報を監視する生体情報測定装置。
【請求項2】
前記接触部材の底面は、前記接触
部材の残りの部分が前記収容空間内に延びるように前記接続領域に結合されている、請求項1に記載の
生体情報測定装置。
【請求項3】
前記接触部材は弾性を備え、前記第1の方向に沿って変形可能である、請求項2に記載の
生体情報測定装置。
【請求項4】
前記第2の内面には、開口部が設けられ、ここで前記接続領域は、前記第2の内面に接続されるとともに前記接触部材を包囲して、前記接触部材を前記開口部内に懸架する、請求項1に記載の
生体情報測定装置。
【請求項5】
前記接触部材は前記接続領域よりも硬質である、請求項1に記載の
生体情報測定装置。
【請求項6】
前記第1の装置本体には、前記第1の装置本体を介して前記収容空間および前記接触面を可視化できる観察部が設けられている、請求項1に記載の
生体情報測定装置。
【請求項7】
前記観察部が透明または半透明の材料からなる、請求項6に記載の
生体情報測定装置。
【請求項8】
前記第1の装置本体に結合された第1の制限面であって、前記第1の制限面が前記閉じた位置において前記第2の装置本体に係合して、前記閉じた位置において前記第2の装置本体に対する前記第1の装置本体のさらなる閉鎖を防止する、第1の制限面と、前記第1の装置本体に結合された第2の制限面であって、前記第2の制限面が前記開いた位置において前記第2の装置本体に係合して、前記開いた位置において前記第2の装置本体に対する前記第1の装置本体のさらなる開放を防止する、第2の制限面と、をさらに備える、請求項
1に記載の
生体情報測定装置。
【請求項9】
前記第1の制限面および前記第2の制限面は、前記第1の装置本体と前記第2の装置本体との間に配置された制限リム上に位置する、請求項
8に記載の
生体情報測定装置。
【請求項10】
前記センサー要素が電気機械式トランスデューサーからなり、前記接触部材が前記トランスデューサーに移動可能に結合されており、これにより、前記指が前記接触面に配置されたときに、前記血管内の圧力変化による前記接触部材の移動により、前記接触部材が前記トランスデューサーに対して移動し、生体情報を決定するための信号を生成する、請求項1に記載の
生体情報測定装置。
【請求項11】
前記センサー・アセンブリは、前記収容空間に照明を伝送するように構成された照明源をさらに備え、前記センサー要素は光センサーを備え、前記接触部材は、前記収容空間内の前記指によって反射された照明を前記光センサーに伝送して、生体情報を決定するための信号を生成するように構成されている、請求項1に記載の
生体情報測定装置。
【請求項12】
第1の内面を有する第1の装置本体と、
前記第1の内面に対向する第2の内面を有する第2の装置本体であって、指の
ための収容空間が前記第1の内面および前記第2の内面に包囲される、第2の装置本体と、
前記第1の内面に対向する指接触面を含む前記第2の内面に配置された
センサー・アセンブリであって、前記指接触面が同指接触面に直交する第1の方向に前後に移動可能である、
センサー・アセンブリと、
を備え
、
前記センサー・アセンブリは、弾性接触部材およびセンサーを含み、前記弾性接触部材は、前記センサーと前記指のための前記収容空間との間に配置され、前記第1の方向に変形することができ、
前記第2の内面には開口部が設けられ、
前記弾性接触部材は、前記開口部の中心に重なる中央領域、および前記中央領域を前記開口部の縁部に接続する少なくとも1つの接続領域を有しており、
前記中央領域は、前記中央領域が前記接続領域よりも前記第1の装置本体に近くなるように、前記第2の内面に対して前記収容空間内に突出しており、前記センサーは前記第2の内面に対して前記収容空間から離れている、指の血管内の生体情報を監視する生体情報測定装置。
【請求項13】
前記
センサー・アセンブリは、トランスデューサー・アセンブリ
を含む、請求項
12に記載の
生体情報測定装置。
【請求項14】
前記中央領域は、前記中央領域が前記接続領域よりも前記収容空間の中心に近くなるように、前記第2の内面に対して前記収容空間内に突出している、請求項
12に記載の
生体情報測定装置。
【請求項15】
前記中央領域が前記接続領域よりも硬質である、請求項
14に記載の
生体情報測定装置。
【請求項16】
前記弾性接触部材が撓んだ状態のときに、前記弾性接触部材の中央領域が撓んでいない状態のときよりも多く前記開口部内に位置する、請求項12に記載の生体情報測定装置。
【請求項17】
前記弾性接触部材が前記第1の方向に沿って前記開口部を出入りするように前後に移動可能である、請求項12に記載の生体情報測定装置。
【請求項18】
前記生体情報測定装置が閉鎖位置にあるときに、前記接触面および前記弾性接触部材が前記収容空間内に延びる、請求項12に記載の生体情報測定装置。
【請求項19】
前記中央領域の頂点が前記接続領域よりも前記第1の装置本体に近い、請求項12に記載の生体情報測定装置。
【請求項20】
前記中央領域が前記センサーと前記収容空間との間に位置し、前記中央領域が前記接続領域よりも厚い、請求項12に記載の生体情報測定装置。
【請求項21】
前記指が前記中央領域に接触しているときに、前記弾性接触部材の前記第1の方向に沿った前後の動きが前記センサー・アセンブリに生体情報を含む信号を送信させる、請求項12に記載の生体情報測定装置。
【請求項22】
ドライバーをさらに備え、前記弾性接触部材の変位が前記ドライバーを前記センサーに向かって移動させ、前記センサーの変位を引き起こす、請求項12に記載の生体情報測定装置。
【請求項23】
前記センサー・アセンブリが前記センサーの前記変位を信号に変換して生体情報を決定する、請求項22に記載の生体情報測定装置。
【請求項24】
前記センサー・アセンブリが前記指の動きによる力と前記指の血液の脈動による力とを区別する、請求項22に記載の生体情報測定装置。
【請求項25】
前記指の動きがランダムな動きであり、前記指の血液の脈動に関連付けられる動きが周期的な動きである、請求項24に記載の生体情報測定装置。
【請求項26】
前記指の動きによる力がランダムな力であり、前記指の血液の脈動による力が周期的な力である、請求項24に記載の生体情報測定装置。
【請求項27】
前記第1の装置本体は、前記第2の内面上の前記トランスデューサー・アセンブリと少なくとも部分的に重なる投影領域を有するとともに前記第1の装置本体を貫通する透明アセンブリを含み、前記透明アセンブリにより、前記第1の装置本体の前記第1の内面と第1の外面との間で、少なくとも光が前記第1の装置本体を通って伝搬可能である、請求項
13に記載の
生体情報測定装置。
【請求項28】
第1の内面を有する第1の装置本体と、
前記第1の内面に対向する第2の内面を有する第2の装置本体であって、指のための収容空間が前記第1の内面および前記第2の内面に包囲される、第2の装置本体と、
前記第1の内面に対向する指接触面を含む前記第2の内面に配置されたセンサー・アセンブリであって、前記指接触面が同指接触面に直交する第1の方向に前後に移動可能である、センサー・アセンブリと、
バネおよび位置決め要素
と、
を備え、
前記バネは、前記第1の装置本体に接続される第1のバネ端部、および前記第2の装置本体に接続される第2のバネ端部を有し、前記第1の装置本体の一部および前記第2の装置本体の一部が一体的に制限スロットを形成し、前記位置決め要素は、少なくとも部分的に前記制限スロットの内側に配置されるとともに前記制限スロットの内側で前記第1の方向に前後に移動可能であり、前記バネおよび前記位置決め要素は一体的に移動する、
指の血管内の生体情報を監視する生体情報測定装置。
【請求項29】
前記指の
ための前記収容空間は、指挿入方向、および前記第1の方向および前記指挿入方向に直交する第2の方向を有し、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体のいずれかが、前記第2の方向に沿った少なくとも1つの側面スロットを有し、前記側面スロットを有さない前記第1の装置本体または前記第2の装置本体のいずれかが、前記第2の方向に沿って少なくとも1つの貫通孔を有し、前記少なくとも1つの
前記側面スロットおよび前記少なくとも1つの
前記貫通孔が
前記制限スロットを形成し、前記位置決め要素の少なくとも一部が、前記第2の方向に沿って前記少なくとも1つの
前記側面スロットおよび前記少なくとも1つの
前記貫通孔の内側に延びている、請求項
28に記載の
生体情報測定装置。
【請求項30】
第1の内面を有する第1の装置本体と、
前記第1の内面に対向する第2の内面を有する第2の装置本体であって、指のための収容空間が前記第1の内面および前記第2の内面に包囲される、第2の装置本体と、
前記第1の内面に対向する指接触面を含む前記第2の内面に配置されたセンサー・アセンブリであって、前記指接触面が同指接触面に直交する第1の方向に前後に移動可能である、センサー・アセンブリと、
前記第1の装置本体と前記第2の装置本体との間に配置された制限リム
と、
を備え、
前記第1の装置本体および前記第2の装置本体は枢動アセンブリによって接続されるとともに最大開放位置と最小閉鎖位置との間で前記枢動アセンブリに対して相対回転可能であり、前記制限リムは、被検指の
ための前記収容空間から相対的に遠い前記枢動アセンブリの側に第1のリム端部を有し、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記最大開放位置まで相対回転したときに、前記第1のリム端部が前記第2の装置本体に向かって移動し、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記最大開放位置に達したときに、前記第1のリム端部が前記第2の装置本体の前記第2の内面に接触する、
指の血管内の生体情報を監視する生体情報測定装置。
【請求項31】
前記制限リムが、
前記被検指の
ための前記収容空間に近い前記枢動アセンブリの側に配置された第2のリム端部をさらに備え、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記最小閉鎖位置まで相対回転したときに、前記第2のリム端部が前記第2の装置本体に向かって移動し、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記最小閉鎖位置に到達したときに、前記第2のリム端部が前記第2の装置本体の前記第2の内面に接触する、請求項
30に記載の
生体情報測定装置。
【請求項32】
前記センサーは、前記トランスデューサー・アセンブリが前記
指接触面から生体情報を受け取るための圧力センサー
を含み、前記生体情報は血圧情報を含む、請求項
13に記載の
生体情報測定装置。
【請求項33】
第1の内面を有する第1の装置本体と、
前記第1の内面に対向する第2の内面を有する第2の装置本体であって、指の
ための収容空間が前記第1の内面および前記第2の内面に包囲される、第2の装置本体と、
前記第1の内面に対向する指接触面を含む前記第2の内面に配置されるトランスデューサー・アセンブリと、
前記第1の装置本体と前記第2の装置本体との間に配置された制限リムと、
を備え、
前記第1の装置本体は、前記第2の内面上に前記トランスデューサー・アセンブリと少なくとも部分的に重なる投影領域を有する透明アセンブリを有し、前記透明アセンブリは、前記第1の装置本体を貫通して、これにより、前記第1の装置本体の前記第1の内面と第1の外面との間で少なくとも光が前記第1の装置本体を伝搬可能であ
り、
前記第1の装置本体および前記第2の装置本体は、枢動アセンブリによって接続されており、最大開放位置と最小閉鎖位置との間で、前記枢動アセンブリに対して相対回転可能であり、
前記制限リムは、被検指のための前記収容空間から相対的に離れた、前記枢動アセンブリの側に第1のリム端部を有しており、
前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記最大開放位置まで相対回転したときに、前記第1のリム端部が前記第2の装置本体に向かって移動し、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記最大開放位置に到達したときに、前記第1のリム端部が前記第2の装置本体の前記第2の内面に接触する、指の血管内の生体情報を監視する生体情報測定装置。
【請求項34】
前記指接触面は、前記指接触面に直交する第1の方向に前後に移動可能である、請求項
33に記載の
生体情報測定装置。
【請求項35】
前記トランスデューサー・アセンブリは、弾性接触部材およびセンサーを備え、前記弾性接触部材は、前記センサーと
前記被検指の
ための前記収容空間との間に配置され、前記弾性接触部材は、前記第1の方向に変形可能である、請求項
34に記載の
生体情報測定装置。
【請求項36】
前記第2の内面には開口部が設けられており、
前記弾性接触部材は、前記開口部の中心に重なる中央領域と、前記中央領域と前記開口部の縁部とを接続する少なくとも1つの接続領域とを有しており、
前記中央領域が前記第2の内面に対して前記収容空間内に突出し、前記センサーが前記第2の内面に対して前記収容空間から離れている、請求項
35に記載の
生体情報測定装置。
【請求項37】
前記中央領域が前記接続領域よりも硬質である、請求項
36に記載の
生体情報測定装置。
【請求項38】
バネおよび位置決め要素をさらに備え、
前記バネは、前記第1の装置本体に接続する第1のバネ端部と、前記第2の装置本体に接続する第2のバネ端部とを有し、
前記第1の装置本体の一部および前記第2の装置本体の一部が一体的に制限スロットを形成し、
前記位置決め要素は、少なくとも部分的に前記制限スロット内に配置されるとともに前記制限スロット内で前記第1の方向に前後に移動可能であり、
前記バネおよび前記位置決め要素が一体的に移動する、請求項
34に記載の
生体情報測定装置。
【請求項39】
前記指の
ための前記収容空間は、指挿入方向と、前記第1の方向および前記指挿入方向に直交する第2の方向とを有し、
前記第1の装置本体または前記第2の装置本体のいずれかが、前記第2の方向に沿って少なくとも1つの側面スロットを有し、
前記側面スロットを有さない前記第1の装置本体または前記第2の装置本体のいずれかには、前記第2の方向に沿った少なくとも1つの貫通孔が設けられており、
前記少なくとも1つの
前記側面スロットおよび前記少なくとも1つの
前記貫通孔が
前記制限スロットを形成し、前記位置決め要素の少なくとも一部が前記第2の方向に沿って前記少なくとも1つの
前記側面スロットおよび前記少なくとも1つの
前記貫通孔の内側に延びている、請求項
38に記載の
生体情報測定装置。
【請求項40】
前記制限リムが、前記被検指の
ための前記収容空間に
より近い、前記枢動アセンブリの側に配置された第2のリム端部をさらに備え、
前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記最小閉鎖位置まで相対回転したときに、前記第2のリム端部が前記第2の装置本体に向かって移動し、前記第1の装置本体および前記第2の装置本体が前記最小閉鎖位置に
到達したときに、前記第2のリム端部が前記第2の装置本体の前記第2の内面に接触する、請求項
33に記載の
生体情報測定装置。
【請求項41】
前記センサーは、前記トランスデューサー・アセンブリが前記
指接触面から生体情報を受け取るための圧力センサー
を含み、前記生体情報は血圧情報を含む、請求項
35に記載の
生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
医療装置の技術開発および現代社会のヘルスケアへの関心の高まりを背景に、様々な非侵襲的バイタルサインモニター装置が市販されている。ヒトの重要な健康指標であるバイタルサインには、グルコース濃度、血圧、脈拍、心拍数、酸素飽和度などが挙げられる。バイタルサインモニター装置を携帯し、必要に応じてユーザーが健康チェックできるようにするために、既存の装置はフィンガークリップタイプのものが形成されている。
【背景技術】
【0002】
一般的に、フィンガークリップ式のバイタルサインモニター装置は、ユーザーの指腹に接触するセンサーを有する。このようなセンサーは、赤外線のエミッターおよびレシーバーで構成可能である。センサーは、血液中の異なる組成の異なる吸収係数に基づいて、酸素飽和度を算出することに使用することができる。また、センサーは、光電式容積脈波記録法を利用して脈拍数を算出することもできる。また、Hon(特許文献1)が明らかにした別のフィンガークリップ装置は、圧力センサーをユーザーの指腹に接触させ、拡張期および収縮期の血管の変形および変形率を測定する。これにより、脈拍や血圧を算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のフィンガークリップ装置は、より太い指に装着すると、上側のクリップを完全に閉じることができず、被検指への接触が不完全になっていた。そのため、指を装置に安定して固定することができず、検知ノイズの増加および検知精度の低下を招いていた。さらに、上側のクリップの閉鎖が不完全であると、クリップ装置の枢動を司るバネの変形がより大きくなる。その結果、指に作用するバネの復元力がより大きくなり、不快感を生じてしまう。
【0005】
現在の指クリップ式バイタルサインモニターは、指腹およびセンサーを指クリップ装置に安定して堅固に接触させるために、ユーザーに不快感を与えるという課題がある。さらに、現在のクリップ機構の構造では、センサーに対する指腹の配置および接触状態を目視で確認することは困難である。そのため、指腹の位置がセンサーに対してずれてしまい、信号が弱くなったり、バイタルサインが正確に測定できないことがある。これらの点から、現在のバイタルサインモニターは満足できるものではなく、改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、指からの生体情報の測定を改善するための方法および装置を含む。生体情報とは、ヒトの指から生体情報を測定する情報であればいずれでもよい。このような生体情報には、血圧、脈拍、グルコース値、酸素飽和度、体温などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0007】
本開示の態様の多くは、生体情報の測定値を得るためにヒトの指を収容するように構成された測定装置を含む。しかしながら、追加の態様では、本明細書で述べるような1つ以上のセンサー・アセンブリを採用することができ、センサー・アセンブリは、別の身体部位からの生体情報の測定に適した構造体に組み込むことができる。
【0008】
一態様による指の血管からの生体情報を監視する生体情報測定装置は、第1の内面を有する第1の装置本体と、第2の内面を有する第2の装置本体であって、第1の内面が第2の内面に面して指を位置決めするように構成された収容空間を形成する、第2の装置本体と、接触面およびセンサー要素を含むセンサー・アセンブリであって、同センサー・アセンブリは、第2の装置本体内に配置され、収容空間内に延びる接触面を有する接触部材を有し、接触部材は、同接触部材よりも大きく弾性的に変形する接続領域によって下部本体に結合され、指が係合したときに接触面が第2の装置本体内に第1の方向に移動し、収容空間から出ることを可能にする、センサー・アセンブリと、を備える。
【0009】
一態様による装置は、接触部材を含むことができ、接触部材の底面は、接触領域の残りの部分が収容空間内に延びるように接続領域に結合されており、センサーは、接触部材をさらに含み、接触面は接触部材の端部を構成する。追加の態様では、接触部材(またはその一部)は弾性を備え、第1の方向に沿って変形することができる。しかしながら、別の態様による本装置は、接続領域よりも硬質な接触部材を備える。
【0010】
別の態様による装置は、開口部が設けられる第2の内面を含むことができ、接続領域が第2の内面に接続され、開口部内で接触部材を懸架するために接触部材を包囲する。
【0011】
追加の態様による本装置では、装置本体の一方または両者が、第1の装置本体を介して収容空間および接触面を可視化できる観察部を備える。この機能により、ユーザーは指をセンサー・アセンブリに合わせることができる。観察部は、透明または半透明の素材で構成することができる。さらなる一態様において、観察部は、センサー・アセンブリを可視化するのに十分な開口部を備えるが、これは収容空間に指を置くのに邪魔にならないように十分に小さい。
【0012】
変形例による本装置は、収容空間とは反対側の第1の装置本体および第2の装置本体の端部で第1の装置本体および第2の装置本体に結合された1つ以上のバネ要素をさらに含むことができ、ピンが第1の装置本体の第1のスロットおよび第2の装置本体の第2のスロットを通って延び、これにより、バネ要素が第1の装置本体を閉鎖位置から開放位置に付勢する。
【0013】
所定の場合において、ピンを第1のスロットまたは第2のスロットに対して小さくすることで、第1の装置本体および第2の装置本体は、閉じた位置に付勢されたときに逆方向に変位することができる。
【0014】
さらなる態様による装置は、第1の装置本体に結合された第1の制限面であって、第1の制限面が閉じた位置において第2の装置本体に係合して、閉じた位置において第2の装置本体に対する第1の装置本体のさらなる閉鎖を防止する、第1の制限面と、第1の装置本体に結合された第2の制限面であって、第2の制限面が開いた位置において第2の装置本体に係合して、開いた位置において第2の装置本体に対する第1の装置本体のさらなる開放を防止する、第2の制限面と、をさらに備える。一例では、第1の制限面および第2の制限面は、第1の装置本体と第2の装置本体との間に配置された制限リム上に位置している。
【0015】
本明細書に記載されている装置の態様のいずれも、電気機械式センサー・アセンブリ、光学センサー・アセンブリ、または生体情報の測定を可能にする任意のセンサー・アセンブリを含むことができる。
【0016】
例えば、センサー要素は電気機械式トランスデューサーからなり、接触部材はトランスデューサーに移動可能に結合されており、これにより、指が接触面に配置されたときに、血管内の圧力変化による接触部材の移動により、接触部材がトランスデューサーに対して移動し、生体情報を決定するための信号を生成する。
【0017】
別例では、センサー・アセンブリは、収容空間に照明を伝送するように構成された照明源をさらに備え、センサー要素は光センサーを備え、接触部材は、収容空間内の指によって反射された照明を光センサーに伝送して、生体情報を決定するための信号を生成するように構成されている。
【0018】
別例による装置は、第1の装置本体、第2の装置本体、およびトランスデューサー・アセンブリを有する生体情報測定装置を備えることができる。第1の装置本体は、第1の内面を有し、第2の装置本体は、第1の内面に対向する第2の内面を有している。指の収容空間は、第1の内面および第2の内面で包囲されている。トランスデューサー・アセンブリは、第2の内面に配置され、第1の内面に対向する指接触面を含む。指接触面は、指接触面に直交する第1の方向に移動可能である。
【0019】
第1の装置本体、第2の装置本体、およびトランスデューサー・アセンブリを含む一態様による装置において、第1の装置本体は、第1の内面を有し、第2の装置本体は、第1の内面に対向する第2の内面を有する。指の収容空間は、第1の内面および第2の内面で包囲されている。トランスデューサー・アセンブリは、第2の内面に配置され、第1の内面に対向する指接触面を含む。第1の装置本体は、透明アセンブリをさらに含む。第2の内面上の透明アセンブリの投影領域は、トランスデューサー・アセンブリの指の接触面と少なくとも部分的に重なっている。透明アセンブリは、少なくとも光が第1の装置本体の第1の外面および第1の内面を伝搬できるように、第1の装置本体を貫通している。
【0020】
従来の指クリップ装置と比較して、本発明に係る生体情報測定装置は、より太い指に適用した場合に、第1の装置本体と指との接触面積を十分に確保することができる。本装置では、指を収容空間内に安定的に固定することで、検知ノイズを低減し、測定精度を向上させるとともに、指の快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1Aは、本発明の第1の実施形態による生体情報測定装置を示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1Aの装置の斜視図を示しているが、開いた形態にある。
【
図3A】
図3Aおよび
図3Bは、それぞれ
図1の生体情報測定装置の電気機械式トランスデューサー・アセンブリおよび光学式トランスデューサー・アセンブリのA-A線に沿った断面図である。
【
図3B】
図3Aおよび
図3Bは、それぞれ
図1の生体情報測定装置の電気機械式トランスデューサー・アセンブリおよび光学式トランスデューサー・アセンブリのA-A線に沿った断面図である。
【
図4A】
図4Aおよび
図4Bは、
図3Aおよび
図3Bのそれぞれのアセンブリについて、外力を受けたトランスデューサー・アセンブリの指の接触面を示す図である。
【
図4B】
図4Aおよび
図4Bは、
図3Aおよび
図3Bのそれぞれのアセンブリについて、外力を受けたトランスデューサー・アセンブリの指の接触面を示す図である。
【
図6】
図6は、
図1の生体情報測定装置の一態様を示す図である。
【
図9】
図9は、別例による
図1の生体情報測定装置を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施形態による生体情報測定装置を示す三次元図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1Aは、第1の装置本体1と、第2の装置本体2と、接触面3を有するセンサー・アセンブリとを備える第1の態様による生体情報測定装置100を示す側面図である。第1の装置本体1は、第1の内面を有し、第2の装置本体2は、第1の内面に対向する第2の内面210を有している。
図2は、アセンブリ100の被験指Fを受承する収容空間130をよりよく示すために、装置100を開いた状態で示している。
図1Bに示すように、指Fが収容空間130に入り、第1の内面110および第2の内面210と係合する。センサー・アセンブリ3の接触面は、第2の装置本体2の第2の内面210に配置され、第1の内面110に対向する指接触面310を有している。具体的には、収容空間130は、被検指を収容するものであり、トランスデューサー・アセンブリ3の指接触面310は、生体情報を受け取るために指の測定面に接触するものである。典型的には、測定面は指腹上であるが、これに限定されるものではない。指接触面310は、第1の内面に対して概ね直交するかまたは離間する第1の方向D1に移動可能である。
【0023】
図1Bは、
図1の生体情報測定装置の応用例を示す図である。指Fが上側装置本体と下側装置本体との間の空間によって形成される収容空間に挿入され、指Fがセンサー・アセンブリ3の接触面310に係合すると、指が及ぼす力によって接触面310が(概ね方向D1に)移動する。その結果、第2の内面210に対する指接触面310の高さは、
図1Aの高さH1から
図1Bの高さH2へと減少する。センサー・アセンブリの接触面310が方向D1に沿って前後に移動できることで、トランスデューサー・アセンブリ(後述)は、相対的に短い距離で指Fの血管からより正確な生体情報を受け取ることができる。
【0024】
図2は、上側装置本体1が下側装置本体2に対して開いた位置にある一例による装置100を示している。
図1Aおよび
図1Bは、閉じた形態の装置100を示している。
図2に示すように、接触部材(図示しない)の一部であるかこれに隣接する接触面310は、第2の内面210を超えて延びており、これにより、閉じた位置にあるときに、接触面310および接触部材は、(面110と面210との間の領域である)収容空間内に延びる。図示のように、上側装置本体1は、ピンまたはシャフト6の使用を含む、任意の従来の手段によって下側装置本体2に回転可能に結合することができ、上側装置本体1は開いた形態から閉じた形態に移動するためにピンまたはシャフト6を中心として回転する。
【0025】
本明細書で説明する装置100は、任意の数のセンサー・アセンブリを含むことができる。例えば、センサー・アセンブリが電気機械式アセンブリである場合、センサー・アセンブリは圧力センサー(ピエゾ電気トランスデューサーなど)を含み、生体情報は血圧情報または脈拍情報を含む。ただし、本発明における生体情報は、血圧情報および脈拍情報に限定されるものではない。本発明の他の実施形態では、トランスデューサー・アセンブリ3は、血圧、脈拍、グルコース濃度、心拍数、および酸素飽和度などに関連する情報を同時に受信するために、圧力センサーおよび光学センサーを含むことができる。
【0026】
従来の機器では、上側のキャップおよび下側のキャップで指を拘束したり、センサーが指の髄まで突出していたりして、指に違和感を与えていた。本明細書に開示されている装置では、接触部材/接触面が第1の方向D1sに沿って移動可能であるため、指にかかる圧力が低減される。
【0027】
図3Aおよび
図3Bは、電気機械式センサー・アセンブリ3(
図3A)および光学センサー(
図3B)において、
図1Aからの生体情報測定装置の線A-Aに沿った断面図である。本開示の概念を示す目的で、当業者には容易に分かるであろう電極や他の回路を備えたセンサーは図示していない。図示のように、変形例によるセンサー・アセンブリ3は、接触部材31と、少なくとも1つのセンサー32とを含むことができる。電気機械式センサー(圧電アセンブリなど)の場合、センサー・アセンブリ32は、装置内に固定され(アンカー37で表される)、接触部材31の動きをセンサー32に伝達するドライバーなどの機械的部材39に隣接する。
図3Bに示す態様において、光学アセンブリ3は、接触部材31および第2の本体装置2のうちの少なくともいずれか一方の上に任意に配置された任意の数の照明源35を含むことができる。照明源35は、LED、光ファイバ、または、接触部材31を介してセンサー32に伝達される指からの反射エネルギーを生成する他の照明源とすることができる。
図3Bに示す態様において、センサー32は、接触部材31に固定されている(第2の装置本体2に対して自由に浮遊している)か、または第2の装置本体2に固定されている。
【0028】
接触部材31は、センサー32と収容空間130との間に配置されている。上述したように、接触部材31は、センサー・アセンブリ3が方向D1に沿って前後に移動可能なように、方向D1に移動可能である。接触部材31は、接触部材31が移動できるように撓む接続領域によって、第2の装置本体2に接続されている。
図4Aおよび
図4Bは、外力E1を受けた
図3Aおよび
図3Bのセンサー・アセンブリの接触面310を描いている。
図4Aに示すように、接触部材31が変位すると、ドライバーまたは機械的部材39がセンサー32に向かって移動し、これにより、図示のようにセンサー32が変位する。アセンブリ3は、この変位を信号に変換して、生体情報を決定することができる。実際には、センサー32に対する接触部材31の動きでは、指の動きによる力と、指の血液の脈動による力とを区別することができない。しかしながら、このような動きは、信号処理を用いて区別することができる。例えば、拍動による流れは通常周期的であるが、指の動きはランダムである。さらに、指が接触部材31を押圧することによって生じる初期変位は、指の脈動血流によって接触部材31の動きがセンサーの変形を引き起こすときに、小さな変位に対して大きな変位を生じさせることができる。これに対し、
図4Bの光学アセンブリでは、センサー32が接触部材31の動きを妨げない限り、センサー32は接触部材31に機械的に結合されてもよいし、接触部材31とは独立して固定されてもよい。光学センサー・アセンブリの代替的変形例では、センサー32は、接触部材31の動きを制限するために使用することができる。
【0029】
第2の内面210は、接触部材31が懸架される開口部Pを有することができる。また、センサー32は、開口部Pにおいて、収容空間130から第2の内面210よりも遠い位置に配置することもできる。また、接触部材31は、接続領域312が接触部材31を開口部Pの縁部に接続する、センサー・アセンブリ3の中央領域311を形成することができる。加えて、接続領域312は、第1の方向D1に弾性変形可能である。本装置の変形例では、接触部材31の存在により、中央領域311の硬度が接続領域312の硬度よりも高くなっているため、中央領域311にかかる外力E1を接続領域312に部分的に伝達することができる。したがって、収容空間130内の外力E1が第1の方向D1に沿って中央領域311に及ぼされると、外力E1の一部が中央領域311から接続領域312に伝達され、接続領域312が第1の方向D1に沿って変形することになる。その結果、中央領域311は、開口部Rに向かって移動するので、外力E1の圧力情報がセンサー32に伝達されることになる。
【0030】
なお、本発明は、
図3および
図4で示される態様に限定されるものではない。本装置の追加の変形例は、弾性を備えた接触部材31の内部に配置され、開口部Pに向かって第1の方向D1に沿って弾性接触部材31と一体的に移動可能なセンサー32を含む。
図5は、指接触面310に触れる指の快適性を向上させるために、組織接触面310を形成し、接触部材31を覆い、収容空間130の界面となる弾性を備えた膜33を有するセンサー・アセンブリ3を有する一態様を示す。
【0031】
図6は、本発明の一態様における生体情報測定装置100を示す図である。この態様では、生体情報測定装置100の第1の装置本体1と第2の装置本体2とが、バネ4と、位置決め要素として機能するシャフトまたはピン5とで接合されている。そのため、第1の装置本体1および第2の装置本体2は、バネ4の中心に対する相対回転により、指を中心に開閉することができる。具体的には、バネ4は、相対的に延伸可能な第1のバネ端部401と、第2のバネ端部402とを有している。第1のバネ端部401は、第1の装置本体1に接続し、第2のバネ端部402は、第2の装置本体2に接続する。第1の装置本体1の一部および第2の装置本体2の一部が一体的に制限スロットGを形成する。位置決め要素5は制限スロットGに配置されている。制限スロットGは第1の装置本体1の一部および装置本体2の一部により一体的に形成されているため、位置決め要素5は第1の装置本体1と第2の装置本体2との間の相対的な位置を制限する効果を有する。
【0032】
さらに、
図7の分解図によって本発明の制限スロットGを例示することができる。なお、
図7では、制限スロットGの構造を示す都合上、第1の装置本体1、第2の装置本体2、および制限スロットGのみを表示している。収容空間130は、指挿入方向Dinと、第1の方向D1および指挿入方向Dinに直交する第2の方向とを有する。第1の装置本体には、第2の方向D2で互いに向き合う2つの側面スロットG1が設けられている。第2の装置本体2には、第2の方向D2に貫通孔G2が設けられている。第1の装置本体1と第2の装置本体2とを、側面スロットG1と貫通孔G2とを合わせて組み立てると、側面スロットG1と貫通孔G2とが一体となって制限スロットGを形成する。第1の装置本体1と第2の装置本体2との間の相対的な位置が拘束されるように、位置決め要素5は側面スロットG1と貫通孔G2との内側を第2の方向D2に延びる。なお、本発明の制限スロットGの組み立ては、
図7の図示に限定されるものではない。他の変形例では、貫通孔G2が第1の装置本体1に設けられ、側面スロットG1が第2の装置本体2に設けられてもよい。この場合、位置決め要素5は、第1の装置本体1の貫通孔G2および第2の装置本体2の側面スロットG1の内側に延びている。
【0033】
図6は、一態様における
図1の生体情報測定装置を示す図であり、
図8Aは、そのような生体情報測定装置の応用例を示す図である。生体情報測定装置100の収容空間130を拡大するために、バネ4および位置決め要素5の設定のもと、ユーザーは装置100の外側に力を加えることができる。例えば、第1の装置本体101の遠位端の第1の外面120に第1の方向D1に沿った力を加え、第2の装置本体201の遠位端の第2の外面220に第1の方向D1とは反対方向の別の力を加える。
図8Aに示すように、収容空間130が拡大されると、収容空間130に方向Dinに沿って指Fを挿入することができる。指Fがトランスデューサー・アセンブリ3の上に配置されると、ユーザーは加えられた力を取り除くことができる。その結果、バネ4の復元により、バネ4の第1のバネ端部401と第2のバネ端部402とが互いに接近し、生体情報測定装置100が閉じられる。そのため、指Fは第1の装置本体1と第2の装置本体2との間に固定されている。
【0034】
さらに、
図6に示すように、位置決め要素5は、バネ4の中心を通って延びている。したがって、バネ4と位置決め要素5とは一体的に変位することができ、位置決め要素5は制限スロットGの内部で第1の方向D1に往復移動することができる。
図8Bは、収容空間130の内部に第1の方向D1に厚みのある指Fがある状態を示している。指Fは、第1の装置本体1を第1の方向D1の反対側に向かって押圧する。バネ4の第1のバネ端部401が第1の装置本体1に接続しているため、バネ4の中心は第1の方向D1の反対側に向かって移動する。位置決め要素5とバネ4とが一体的に動くので、制限スロットG内の位置決め要素5は、バネ4によって第1の方向D1の反対側に向かって運ばれる。
図8Bに示すように、位置決め要素5が制限スロットGの上縁に達すると、その動きが制限される。この状態では、バネ4は、第1の方向D1の反対側に向かってそれ以上移動できない。したがって、制限スロットGが位置決め要素5の変位を制限すると、バネ4および第1の装置本体1も制限される。
【0035】
以上のような本発明の特徴により、生体情報測定装置100は、より広い被検指の厚みの範囲に対応することができる。従来の指クリップ装置と比較して、本発明に係る装置における生体情報測定装置100は、より太い指Fに適用した場合に、第1の装置本体1と指Fとの接触面積を十分に確保することができる。本発明により、指Fを収容空間130内に安定的に固定して、検知ノイズを低減し、測定精度を向上させ、指Fの快適性を向上させることができる。
【0036】
図9は、別例による生体情報測定装置を示す図である。このような生体情報測定装置は、第1の装置本体1と第2の装置本体2との間に配置された制限リム6をさらに備えている。第1の装置本体1および第2の装置本体2は、最大開放位置と最小閉鎖位置との間で相対的な回転を行うために、枢動アセンブリによって接続されている。
図6に示すように、一実施形態による枢動アセンブリは、バネ4、位置決め要素5、および制限スロットGから構成される。しかしながら、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、枢動アセンブリの一変形例としては、一端が第1の装置本体101の遠位端に向かっており、他端が第2の装置本体201の遠位端に向かっている
図6のバネ4を挙げることができる。
【0037】
図9は、別例による生体情報測定装置を示す図であり、
図10Aは、その応用例を示す図である。
図10Aは、第1の装置本体1および第2の装置本体2が最大開放位置にある状態を示している。制限リム6は、収容空間130とは反対側の枢動アセンブリ側に第1のリム端部601を有する。第1の装置本体101の遠位端が外力E2を受けると、第1の装置本体1および第2の装置本体2は最大開放位置に向かって回転する。一方、第1のリム端部601は、第2の装置本体2に向かって移動する。
図10Aに示すように、第1の装置本体1および第2の装置本体2が最大開放位置に達したとき、第1のリム端部601は、第2の装置本体2上の第2の内面210に当接する。そのため、制限リム6は、大きな変形によりバネ4がさらに開いて恒久的な変形を誘発することを防止することができる。
【0038】
図9は、別例による生体情報測定装置を示す図であり、
図10Bは、そのような装置の別の応用例を示す図である。
図10Bは、第1の装置本体1および第2の装置本体2が最小閉鎖位置にある状態を示している。制限リム6は、収容空間130に近い枢動アセンブリの側に、第2のリム端部602を有する。第1の装置本体102の近位端に外力E3が加わると、第1の装置本体1および第2の装置本体2は最小閉鎖位置に向かって回転する。一方、第2のリム端部602は、第2の装置本体2に向かって移動する。
図10Bに示すように、第1の装置本体1および第2の装置本体2が最小閉鎖位置に到達すると、第2のリム端部602は第2の装置本体2上の第2の内面210に当接する。そのため、制限リム6は、バネ4がさらに圧縮されるのを防ぐことができる。リム端部601、602は、第2の装置本体に対する第1の装置本体1の運動を制限する制限面として機能することができる。
【0039】
本発明におけるリム6は、バネ4が過度に伸縮することを防止するので、バネ4の復元能力、ひいては生体情報測定装置100の信頼性を向上させることができる。
【0040】
以上のように、本発明の第1の実施形態による生体情報測定装置100は、指接触面310が第1の方向D1に往復移動できるという特徴を利用して、指にかかる圧力を低減することができる。これにより、測定時の指への負担を軽減することができる。
【0041】
加えて、バネ4、位置決め要素5、および制限スロットG間の相互作用により、生体情報測定装置100は、より広い範囲の指の太さを受承することができる。指が太い場合でも、第1の装置本体は被検指との接触面積をなお十分に確保することができる。そのため、測定時の指の快適さをさらに向上させることができる。さらに、生体情報測定装置100内の指の安定性が向上するため、より正確な測定が可能となる。バネ4が過度に変形することを防止するリム6は、生体情報測定装置100の信頼性をさらに向上させる。
【0042】
本発明の第2の実施形態による生体情報測定装置
【0043】
図11は、本発明の第2の実施形態による生体情報測定装置を示す斜視図である。この第2の実施形態では、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の表記をしている。
図12は、
図11の生体情報測定装置の応用例を示す図である。第2の実施形態の第1の実施形態との主な相違点は、第2の実施形態による生体情報測定装置100の第1の装置本体1が、透明アセンブリ11を有することにある。特に、第2の内面210上の透明アセンブリ11の投影領域は、トランスデューサー・アセンブリ3と少なくとも部分的に重なっている。加えて、透明アセンブリ11は、第1の装置本体1を貫通し、これにより、第1の内面110と第1の外面120との間で、光が第1の装置本体1を伝搬する。
図12に示すように、具体的には、本実施形態の透明アセンブリ11により、指Fが収容空間130に入れられたときに、ユーザーは、第1の装置本体1の第1の外面120から指Fを観察することができる。本実施形態では、トランスデューサー・アセンブリ3に対する指Fの正確な位置合わせが可能となり、測定効率および精度がさらに向上する。透明アセンブリ11は、光学的に透明または光学的に不透明な材料で構成され、それを通して観察することができる。これに代えて、透明アセンブリ11は、1つ以上の開口部で構成され、その開口部が指を収納する装置の能力を妨げない範囲で、視覚化を可能にすることができる。
【0044】
図13は、
図11の一態様における生体情報測定装置を示す図である。本態様では、透明アセンブリ11は、第1の装置本体1を貫通する透明カバー111と、透明カバー111に直接接続して収容空間130の界面となる透明ソフトパッド112とを含む。透明ソフトパッド112は、シリコンゴム、エマルジョン、ポリウレタンなどの軟質素材で形成可能である。透明ソフトパッド112は、第1の装置本体1の締め付け圧力を、透明ソフトパッド112と指Fとの界面上に均一に分散させるので、指Fの快適性がさらに向上する。本実施形態では、透明ソフトパッド112は、収容空間130の界面となる凹面1120を有しているため、指Fとの適合性が高く、その結果、生体情報測定装置100における指の固定の安定性がさらに向上する。これにより、検知ノイズを低減するとともに測定精度を向上させることができる。
【0045】
本発明をその好ましい実施形態を参照して説明してきたが、本発明はその詳細に限定されるものではないことが理解されるであろう。本発明の適切な技術的解決策および技術的概念に従った様々な変更および修正は、特許請求の範囲に記載の発明に属するはずです。したがって、このような代替および修正はすべて、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲に包含されることが意図されている。
【0046】
周知の構造体、材料、または操作は、記載の装置の態様を不明瞭にしないように、詳細に示されたり説明されたりしていない。当業者であれば、本発明の趣旨や範囲から逸脱することなく、説明した実施形態を様々な異なる方法で変更することができる。矛盾することなく、本発明の実施の形態において、要素の例は互いに組み合わせることができることに留意すべきである。したがって、本明細書に記載されている実施形態は、本開示に従って可能なすべての実施形態を網羅することを意図したものではなく、本明細書に開示されている主題に基づいて追加の実施形態が考えられることを理解すべきである。