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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240919BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240919BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240919BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20240919BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
H01L23/12 F
H01L23/12 Q
H01L25/04 C
H01L23/36 C
H01L23/36 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022505857
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2021005346
(87)【国際公開番号】W WO2021182016
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2020040872
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼ 憲治
(72)【発明者】
【氏名】石松 祐司
(72)【発明者】
【氏名】原 英夫
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/244372(WO,A1)
【文献】特開2001-352031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 25/07
H01L 23/36
H01L 23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する基板と、
前記基板主面上に形成された導電性材料からなる導電部と、
前記基板主面上に一部が配置される第1リード上に配置されたスイッチング素子と、
前記導電部と電気的に接続されて前記スイッチング素子の駆動を制御する制御チップ、および、前記制御チップを覆う樹脂を有し、かつ、前記基板主面上に配置される制御装置と、
前記導電部と電気的に接続される電子素子を有し、かつ、前記基板主面上に配置された電子部品と、
前記基板および前記第1リードの少なくとも一部、前記制御装置の前記樹脂および前記電子部品を覆う封止樹脂と、
を備え、
前記導電部は、前記厚さ方向視において、前記制御装置の前記樹脂または前記電子部品に重なる重なり配線であって、前記制御装置の前記樹脂または前記電子部品に重なる範囲において前記制御装置または前記電子部品に導通接合しない重なり配線を含んでいる、半導体装置。
【請求項2】
前記電子部品は、前記基板主面に対向し、かつ、絶縁性材料からなり前記電子素子の少なくとも一部を覆う絶縁部を有する対向面をさらに備え、
前記重なり配線は、前記厚さ方向視において、前記対向面のうち前記絶縁部にのみ重なる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記対向面は、全面が前記絶縁部である、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電子部品は、前記電子素子を覆う第2樹脂を備え、
前記第2樹脂の一部が、前記絶縁部である、請求項2または3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記電子素子は、受動素子である、請求項1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記封止樹脂は、前記制御装置の前記樹脂と前記導電部との間にも介在する、請求項1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記制御チップは、前記スイッチング素子に駆動信号を出力する、請求項1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1リードは、前記基板よりも熱伝導率い、請求項1ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記基板主面上に形成され、前記導電部を構成する導電性材料を含む接合部をさらに備え、
前記第1リードは、接合材を介して、前記接合部に接合されている、請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1リードは、一部が前記封止樹脂に覆われており、他の一部が前記封止樹脂から露出している、請求項1ないし9のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1リードから離間し、かつ、導電性接合材を介して前記導電部に接合されて配置された第2リードをさらに備え、
前記第2リードは、一部が前記封止樹脂に覆われており、他の一部が前記封止樹脂から 露出している、請求項ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記導電部は、
前記制御装置に導通接合された第1パッドと、
前記第2リードに導通接合された第2パッドと、
をさらに含み、
前記重なり配線は、前記第1パッドおよび前記第2パッドに接続している、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記導電部は、
前記制御装置に導通接合された第1パッドと、
前記スイッチング素子に導通接続された第2パッドと、
をさらに含み、
前記重なり配線は、前記第1パッドおよび前記第2パッドに接続している、請求項ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項14】
前記導電部と電気的に接続され、かつ、前記基板主面上に配置された第2の電子部品をさらに備え、
前記導電部は、
前記制御装置に導通接合された第1パッドと、
前記第2の電子部品に導通接合された第2パッドと、
をさらに含み、
前記重なり配線は、前記第1パッドおよび前記第2パッドに接続している、請求項ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項15】
前記重なり配線は、前記制御装置に導通しない、請求項ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項16】
前記スイッチング素子は、前記第1リードに接合される裏面電極を備えて電力のスイッチングを制御するパワートランジスタである、請求項ないし15のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記スイッチング素子は、SiC基板からなる、請求項ないし16のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項18】
前記基板裏面は、前記封止樹脂から露出している、請求項1ないし17のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項19】
前記基板は、セラミックからなる、請求項1ないし18のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の半導体装置の一つとして、IPM(Intelligent Power Module)と称されるものがある。このような半導体装置は、半導体チップと、半導体チップを制御する制御チップと、半導体チップおよび制御チップを覆う封止樹脂とを備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-4893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御チップには、複数種類の制御信号の入出力がある。制御信号の数が増えるほど、制御チップへの導通経路の数を増やす必要があるが、これらの導通経路を従来のように金属製の複数のリードによって構成しようとすると、半導体装置のさらなる高集積化が困難となりうる。
【0005】
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より高集積化を可能とする半導体装置を提供することをその一の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の側面によって提供される半導体装置は、厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する基板と、前記基板主面上に形成された導電性材料からなる導電部と、前記導電部と電気的に接続され、かつ、前記基板主面上に配置された電子部品と、前記基板の少なくとも一部、および、前記電子部品を覆う封止樹脂とを備える。前記導電部は、前記厚さ方向視において、前記電子部品に重なる重なり配線であって、前記電子部品に重なる範囲において前記電子部品に導通接合しない重なり配線を含んでいる。
【0007】
上述の半導体装置によると、電子部品への導通経路を、基板主面上に形成された導電部によって構成できる。したがって、たとえば金属製のリードによって導通経路を構成する場合と比べて、導通経路の細線化や高密度化を図ることが可能である。また、重なり配線は、厚さ方向視において、電子部品に重なって配置されている。したがって、導通経路を電子部品に重ならないように迂回させて配置する場合と比べて、導通経路の短縮化が可能であり、また、導通経路の設計の自由度が大きくなる。したがって、半導体装置A1の高集積化を促進できる。
【0008】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図2図1の半導体装置を示す平面図である。
図3図1の半導体装置を示す平面図であり、封止樹脂を透過した図である。
図4図1の半導体装置を示す底面図である。
図5図3のV-V線に沿う断面図である。
図6図3の部分拡大図である。
図7図6のVII-VII線に沿う断面図である。
図8図1の半導体装置の基板を示す平面図である。
図9図1の半導体装置の製造方法の一例の一工程を示すフローチャートである。
図10】本開示の第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図11図10の一部を拡大した部分拡大断面図である。
図12】本開示の第3実施形態に係る半導体装置を示す平面図であり、封止樹脂を透過した図である。
図13】本開示の第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図14図13の一部を拡大した部分拡大断面図である。
図15図13の一部を拡大した部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
本開示において、「ある物Aがある物Bに形成されている」および「ある物Aがある物B上に形成されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接形成されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに形成されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物Bに配置されている」および「ある物Aがある物B上に配置されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接配置されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに配置されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物B上に位置している」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに接して、ある物Aがある物B上に位置していること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物が介在しつつ、ある物Aがある物B上に位置していること」を含む。また、「ある物Aがある物Bにある方向に見て重なる」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bのすべてに重なること」、および、「ある物Aがある物Bの一部に重なること」を含む。
【0012】
<第1実施形態>
図1図8は、本開示に係る半導体装置の一例を示している。本実施形態の半導体装置A1は、複数のリード1、基板2、複数の接合部25、導電部3、2個の半導体チップ4、2個の制御装置5、複数の受動素子6、複数のワイヤ71、複数のワイヤ72、および封止樹脂8を備えている。本実施形態において、半導体装置A1は、IPM(Intelligent Power Module)である。半導体装置A1は、たとえば、エアーコンディショナーやモータ制御機器などの用途に用いられる。
【0013】
図1は、半導体装置A1を示す斜視図である。図2は、半導体装置A1を示す平面図である。図3は、半導体装置A1を示す平面図であり、封止樹脂8を透過した図である。なお、図3においては、封止樹脂8の外形を想像線(二点鎖線)で示している。図4は、半導体装置A1を示す底面図である。図5は、図3のV-V線に沿う断面図である。図6は、図3の部分拡大図である。図7は、図6のVII-VII線に沿う断面図である。なお、図7においては、封止樹脂8を省略している。図8は、基板2を示す平面図である。
【0014】
説明の便宜上、基板2の厚さ方向(平面視方向)をz方向とし、z方向に直交する基板2の一方の辺に沿う方向(図2図4における左右方向)をx方向、z方向およびx方向に直交する方向(図2図4における上下方向)をy方向とする。z方向は「厚さ方向」の一例である。
【0015】
基板2は、板状であり、z方向視の形状がx方向に長い矩形状である。基板2の厚さ(z方向の寸法)は、たとえば0.1mm~1.0mm程度である。なお、基板2の各寸法は限定されない。基板2は、絶縁性の材料からなる。基板2の材料は、特に限定されない。基板2の材料としては、たとえば、封止樹脂8の材料よりも熱伝導率が高い材料が好ましい。基板2の材料としては、たとえばアルミナ(Al23)、窒化珪素(SiN)、窒化アルミ(AlN)、ジルコニア入りアルミナ等のセラミックが挙げられる。
【0016】
基板2は、基板主面21および基板裏面22を有する。基板主面21および基板裏面22は、z方向において互いに反対側を向く面であり、ともにz方向に対して直交する平坦面である。基板主面21は、図5の上方を向く面である。基板主面21には、導電部3および複数の接合部25が形成されており、複数のリード1および複数の電子部品が搭載されている。複数の電子部品には、2個の半導体チップ4、2個の制御装置5、および複数の受動素子6が含まれている。基板裏面22は、図5の下方を向く面である。図4に示すように、基板裏面22は、封止樹脂8から露出している。基板主面21および基板裏面22の形状は、ともに矩形状である。なお、基板2の形状は限定されない。
【0017】
導電部3は、基板2上に形成されている。本実施形態においては、導電部3は、基板2の基板主面21上に形成されている。導電部3は、導電性材料からなる。導電部3を構成する導電性材料は特に限定されない。導電部3の導電性材料としては、たとえば銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)等を含むものが挙げられる。以降の説明においては、導電部3が銀を含む場合を例に説明する。なお、導電部3は、銀に代えて銅を含んでいてもよいし、銀または銅に代えて金を含んでいてもよい。あるいは、導電部3は、Ag-PtやAg-Pdを含んでいてもよい。導電部3の形成手法は限定されず、たとえばこれらの金属を含むペーストを焼成することによって形成される。導電部3の厚さは特に限定されず、たとえば5μm~30μm程度である。
【0018】
導電部3の形状は特に限定されない。本実施形態では、導電部3は、たとえば図8に示すように、複数の第1パッド31、複数の第2パッド32、および複数の接続配線33を含んでいる。各第1パッド31は、たとえば長矩形状であり、制御装置5が導通接合されている。なお、第1パッド31の形状は限定されない。各第1パッド31は、互いに離間して配置されている。各第2パッド32は、たとえば矩形状であり、リード15(後述)、半導体チップ4、および受動素子6のいずれかが導通接続されている。なお、第2パッド32の形状は限定されない。各第2パッド32は、互いに離間して配置されている。各接続配線33は、第1パッド31のいずれかと第2パッド32のいずれかとに接続している。また、接続配線33には、2個の第1パッド31に接続しているものもある。また、第1パッド31および第2パッド32には、接続配線33に接続されていないものもある。接続配線33は、制御装置5が導通接合される第1パッド31に接続しているので制御装置5に導通するが、制御装置5に導通接合していない。
【0019】
本実施形態では、一部の接続配線33は、z方向視において、制御装置5に重なっている。つまり、当該接続配線33は、基板2の基板主面21と制御装置5との間に配置されている。接続配線33のうち制御装置5に重なっている部分を含むものが、「重なり配線」の一例である。
【0020】
本実施形態では、図3および図8に示すように、接続配線33には、接続配線33a,33b,33c,33d,33e,33f,33g,33hが含まれている。接続配線33aは、制御装置5a(後述)に重なっており、制御装置5aに導通接合された第1パッド31と、ワイヤ72を介して半導体チップ4a(後述)に導通接続された第2パッド32とに接続している。接続配線33bは、制御装置5aに重なっており、制御装置5aに 導通接合された第1パッド31と、リード15に導通接合された第2パッド32とに接続している。接続配線33cは、制御装置5b(後述)に重なっており、制御装置5bに導通接合された第1パッド31と、リード15に導通接合された第2パッド32とに接続している。接続配線33dは、制御装置5aに重なっており、制御装置5aに導通接合された第1パッド31と、制御装置5bに導通接合された第1パッド31と、リード15に導通接合された第2パッド32とに接続している。
【0021】
接続配線33eは、制御装置5bに重なっており、制御装置5bに導通接合された第1パッド31と、ワイヤ72を介して半導体チップ4b(後述)に導通接続された第2パッド32とに接続している。接続配線33fは、制御装置5bに重なっており、制御装置5bに導通接合された第1パッド31と、ワイヤ72を介して半導体チップ4bに導通接続され、かつ、受動素子6に導通接合された第2パッド32とに接続している。接続配線33gは、制御装置5bに重なっており、制御装置5bに導通接合された第1パッド31と、受動素子6に導通接合された第2パッド32とに接続している。接続配線33hは、制御装置5bに重なっており、制御装置5bに導通接合された第1パッド31と、リード15に導通接合された第2パッド32とに接続している。各接続配線33の配置および形状は限定されず、上記したものは一例に過ぎない。
【0022】
複数の接合部25は、図8に示すように、基板2上に形成されている。本実施形態においては、複数の接合部25は、基板2の基板主面21上のy方向の一方側(図8において下側)寄りに形成されている。接合部25の材料は特に限定されず、たとえば、基板2とリード1とを接合可能な材料で構成されている。接合部25は、たとえば導電性材料からなる。接合部25を構成する導電性材料は特に限定されない。接合部25の導電性材料としては、たとえば銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)等を含むものが挙げられる。以降の説明においては、接合部25が銀を含む場合を例に説明する。この例における接合部25は、導電部3を構成する導電性材料と同じものを含む。なお、接合部25は、銀に代えて銅を含んでいてもよいし、銀または銅に代えて金を含んでいてもよい。あるいは、接合部25は、Ag-PtやAg-Pdを含んでいてもよい。接合部25の形成手法は限定されず、たとえば導電部3と同様に、これらの金属を含むペーストを焼成することによって形成される。接合部25の厚さは特に限定されず、たとえば5μm~30μm程度である。
【0023】
本実施形態においては、複数の接合部25は、図8に示すように、接合部251,252,253を含んでいる。接合部251,252,253は、互いに離間している。接合部251は、基板2のz方向視におけるx方向の一方側(図8において右側)寄りに形成されている。接合部251には、リード11(後述)が接合されている。接合部253は、基板2のz方向視におけるx方向の中央付近に形成されている。接合部253には、リード13(後述)が接合されている。接合部252は、接合部251を囲むように形成されている。接合部252には、リード12(後述)が接合されている。なお、接合部251,252,253の形状および配置は限定されない。
【0024】
複数のリード1は、金属を含んで構成されており、たとえば基板2よりも熱伝導率が高い。リード1を構成する金属は特に限定されず、たとえば銅(Cu)、アルミニウム、鉄(Fe)、無酸素銅、またはこれらの合金(たとえば、Cu-Sn合金、Cu-Zr合金、Cu-Fe合金等)である。また、複数のリード1には、ニッケル(Ni)めっきが施されていてもよい。複数のリード1は、たとえば、金型を金属板に押し付けるプレス加工により形成されてもよいし、金属板をエッチングでパターニングすることにより形成されてもよい。なお、複数のリード1の形成方法は限定されない。各リード1の厚さは特に限定されず、たとえば0.4mm~0.8mm程度である。各リード1は、互いに離間している。
【0025】
本実施形態においては、複数のリード1は、リード11、リード12、リード13、リード14、および複数のリード15を含んでいる。リード11、リード12、リード13、およびリード14は、半導体チップ4への導通経路を構成している。複数のリード15は、制御装置5または受動素子6への導通経路を構成している。
【0026】
リード11は、基板2上に配置されており、本実施形態においては、基板主面21上に配置されている。リード11は、リード11は、接合材75を介して接合部25に接合されている。接合材75は、リード11を接合部25に接合しうるものであればよい。リード11からの熱を基板2により効率よく伝達する観点から、接合材75は、熱伝導率がより高いものが好ましく、たとえば、銀ペースト、銅ペーストやはんだ等が用いられる。ただし、接合材75は、エポキシ系樹脂やシリコーン系樹脂等の絶縁性材料であってもよい。また、基板2に接合部25が形成されていない場合、リード11は、基板2に接合されていてもよい。
【0027】
リード11の構成は特に限定されない。本実施形態においては、図5に示すように、リード11を、第1部111、第2部112、第3部113および第4部114に区分けして説明する。
【0028】
第1部111は、主面111aおよび裏面111bを有する。主面111aおよび裏面111bは、z方向において互いに反対側を向く面であり、ともにz方向に対して直交する平坦面である。主面111aは、図5の上方を向く面である。主面111aには、半導体チップ4aが接合されている。裏面111bは、図5の下方を向く面である。裏面111bは、接合材75によって接合部25に接合されている。第3部113および第4部114は、封止樹脂8によって覆われている。第3部113は、第1部111および第4部114に繋がっている。第4部114は、第3部113および第2部112に繋がっている。第2部112は、第4部114の端部に繋がり、リード11のうち封止樹脂8から突出する部分である。第2部112は、y方向において第1部111とは反対側に突出している。第2部112は、たとえば半導体装置A1を外部の回路に電気的に接続するために用いられる。図示された例においては、第2部112は、z方向において第1部111の主面111aが向く側に折り曲げられている。
【0029】
リード12は、基板2上に配置されており、本実施形態においては、基板主面21上に配置されている。リード12は、接合材75を介して接合部25に接合されている。リード12の構成は特に限定されない。本実施形態においては、リード12の構成は、リード11の構成と同様である。リード12には、半導体チップ4bが接合されている。
【0030】
リード13は、基板2上に配置されており、本実施形態においては、基板主面21上に配置されている。リード13は、接合材75を介して接合部25に接合されている。リード13の構成は特に限定されない。本実施形態においては、リード13の構成は、リード11の構成と同様である。リード13には、半導体チップ4が接合されていない。
【0031】
リード14は、本実施形態では、基板2上に配置されておらず、リード11の第1部111および第3部113に相当する部位を含んでいない。なお、リード14の構成はこれに限定されない。
【0032】
複数のリード15は、それぞれ、基板2上に配置されており、本実施形態においては、基板主面21上に配置されている。各リード15は、それぞれ、導電性接合材76を介して導電部3の第2パッド32に接合 されている。導電性接合材76は、リード15を第2パッド32に接合し、かつ、リード15と第2パッド32とを電気的に接続しうるものであればよい。導電性接合材76は、たとえば、銀ペースト、銅ペーストやはんだ等が用いられる。
【0033】
リード15の構成は特に限定されない。本実施形態においては、図5に示すように、リード15を、第1部151、第2部152、第3部153および第4部154に区分けして説明する。
【0034】
第1部151は、主面151aおよび裏面151bを有する。主面151aおよび裏面151bは、z方向において互いに反対側を向く面であり、ともにz方向に対して直交する平坦面である。主面151aは、図5の上方を向く面である。裏面151bは、図5の下方を向く面である。裏面151bは、導電性接合材76によって第2パッド32に接合されている。第3部153および第4部154は、封止樹脂8によって覆われている。第3部153は、第1部151および第4部154に繋がっている。第4部154は、第3部153および第2部152に繋がっている。第2部152は、第4部154の端部に繋がり、リード15のうち封止樹脂8から突出する部分である。第2部152は、y方向において第1部151とは反対側に突出している。第2部152は、たとえば半導体装置A1を外部の回路に電気的に接続するために用いられる。図示された例においては、第2部152は、z方向において第1部151の主面151aが向く側に折り曲げられている。
【0035】
2個の半導体チップ4は、それぞれ、いずれかのリード1上に配置されている。2個の半導体チップ4を区別して記載する場合、一方を半導体チップ4aとし、他方を半導体チップ4bとする。両者を区別しない場合は、単に半導体チップ4とする。半導体チップ4の種類や機能は特に限定されず、本実施形態においては、半導体チップ4が、電力を制御するパワートランジスタである場合を例に説明する。半導体チップ4は、たとえばSiC(炭化シリコン)基板からなるMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。なお、半導体チップ4は、SiC基板に変えてSi(シリコン)基板からなるMOSFETであってもよく、たとえばIGBT素子を含んでいてもよい。また、GaN(窒化ガリウム)を含むMOSFETであってもよい。なお、本実施形態では、半導体装置A1が2個の半導体チップ4を備えている場合を示しているが、これは一例であり、半導体チップ4の個数は、限定されない。
【0036】
半導体チップ4は、z方向視矩形状の板状であり、素子主面41、素子裏面42、ソース電極43、ゲート電極44、およびドレイン電極45を備えている。素子主面41および素子裏面42は、z方向において互いに反対側を向いている。素子主面41は、図5の上方を向く面である。素子裏面42は、図5の下方を向く面である。素子主面41には、図3に示すように、ソース電極43およびゲート電極44が配置されている。また、素子裏面42には、ドレイン電極45が配置されている。なお、ソース電極43、ゲート電極44、およびドレイン電極45の形状および配置は限定されない。
【0037】
半導体チップ4aは、図3および図5に示すように、リード11上に配置されている。半導体チップ4aは、図5に示すように、素子裏面42をリード11に向けて、導電性接合材(図示略)によってリード11に接合されている。これにより、半導体チップ4aのドレイン電極45は、導電性接合材によって、リード11に導通接続される。導電性接合材は、たとえば、銀ペースト、銅ペーストやはんだ等が用いられる。また、図3に示すように、半導体チップ4aのソース電極43は、ワイヤ71によって、リード12に導通接続される。ワイヤ71は、たとえば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)からなる。なお、ワイヤ71の材料、線径、および本数は限定されない。半導体チップ4bは、図3に示すように、リード12上に配置されている。半導体チップ4bは、素子裏面42をリード12に向けて、導電性接合材(図示略)によってリード12に接合されている。これにより、半導体チップ4bのドレイン電極45は、導電性接合材によって、リード12に導通接続される。図3に示すように、半導体チップ4bのソース電極43は、ワイヤ71によって、リード14に導通接続される。これにより、半導体チップ4aのドレイン電極45と半導体チップ4bのソース電極43とが接続されたブリッジ回路が形成されている。
【0038】
図3に示すように、半導体チップ4aのソース電極43およびゲート電極44は、それぞれ、ワイヤ72および導電部3を介して、制御装置5aに導通接続される。ワイヤ72は、たとえば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミ(Al)等からなる。なお、ワイヤ72の材料、線径、および本数は限定されない。制御装置5aは、駆動信号を半導体チップ4aのゲート電極44に入力する。半導体チップ4bのソース電極43およびゲート電極44は、それぞれ、ワイヤ72および導電部3を介して、制御装置5bに導通接続される。制御装置5bは、駆動信号を半導体チップ4bのゲート電極44に入力する。リード11とリード14との間に直流電圧が印加され、半導体チップ4a,4bのゲート電極44に駆動信号が入力されることで、駆動信号に応じて電圧が切り替るスイッチング信号が、リード12から出力される。
【0039】
2個の制御装置5は、それぞれ、半導体チップ4の駆動を制御するものであり、基板2の基板主面21上に配置されている。2個の制御装置5を区別して記載する場合、一方を制御装置5aとし、他方を制御装置5bとする。両者を区別しない場合は、単に制御装置5とする。制御装置5aは、半導体チップ4aの駆動を制御する。制御装置5bは、半導体チップ4bの駆動を制御する。図5に示すように、制御装置5は、x方向視において、半導体チップ4とリード15との間に位置している。また、図3に示すように、y方向視において、制御装置5aは半導体チップ4aに重なり、制御装置5bは半導体チップ4bに重なっている。制御装置5aおよび制御装置5bの配置は限定されない。
【0040】
制御装置5は、図7に示すように、対向面50、制御チップ51、ダイパッド52、複数のリード53、樹脂54、および複数のワイヤ55を備えている。制御チップ51は、半導体チップ4の駆動を制御する集積回路であり、半導体チップ4を駆動させる駆動信号を出力する。ダイパッド52および複数のリード53は、たとえば銅(Cu)からなる板状部材である。ダイパッド52は、制御チップ51が搭載されている。各リード53は、ワイヤ55によって制御チップ51に導通している。樹脂54は、制御チップ51およびワイヤ55の全体と、各リード53の一部とを覆っており、たとえばエポキシ樹脂、シリコーンゲル等の絶縁性材料からなる。
【0041】
各リード53は、樹脂54のx方向の両端部に、y方向に間隔をあけて配列されている。各リード53は、x方向に沿って延び、各々の一部が樹脂54のx方向の両側面から突出している。各リード53の樹脂54から突出した部分が、導電部3の第1パッド31に導通接合されている。本実施形態では、制御装置5は、SOP(Small Outline Package)タイプのパッケージである。制御装置5のパッケージタイプは、SOPタイプに限定されず、例えばQFP(Quad Flat Package)タイプ、SOJ(Small Outline J-lead Package)タイプ等の他のタイプのパッケージであってもよい。各リード53は、それぞれ、導電性接合材76を介して導電部3の第1パッド31に接合されている。
【0042】
対向面50は、制御装置5を基板2に配置した状態で、基板主面21に対向する面であり、全面が樹脂54からなる。本実施形態では、一部の接続配線33(重なり配線)は、z方向視において、制御装置5に重なっており、基板2の基板主面21と制御装置5の対向面50との間に配置されている。制御装置5は、制御チップ51が樹脂54によって覆われており、対向面50に樹脂54が配置されているので、制御チップ51が重なり配線に接触することが防止される。制御装置5に代えて、制御チップ51が基板2に直接配置 されている場合、制御チップ51が重なり配線に接触するので、重なり配線を用いることができず、接続配線33を迂回させて配置する必要がある。
【0043】
本実施形態においては、制御装置5が「電子部品」の一例であり、制御チップ51が「電子素子」の一例であり、樹脂54が「絶縁部」の一例である。制御装置5のサイズ、形状、リードの数などは限定されない。制御装置5は、複数の制御チップ51を備えていてもよいし、制御チップ51以外の回路チップを備えていてもよい。
【0044】
複数の受動素子6は、基板2の基板主面21上に配置されており、導電部3またはリード1に導通接合されている。受動素子6は、たとえば、抵抗、コンデンサ、コイル、ダイオードなどである。受動素子6には、シャント抵抗6aおよびサーミスタ6bが含まれている。
【0045】
シャント抵抗6aは、リード12とリード13とに跨って配置されており、リード12およびリード13に導通接合されている。シャント抵抗6aは、リード12に流れる電流から分流した電流をリード13から出力させる。サーミスタ6bは、導電部3の2個の第2パッド32に導通接合されている。当該2個の第2パッド32は、それぞれがワイヤ72および導電部3を介して、互いに異なるリード15に導通接続されている。サーミスタ6bは、当該2個のリード15の間に電圧が印加されることで、周囲の温度に応じた電流を出力する。
【0046】
その他の受動素子6は、導電部3の第2パッド32に導通接合されており、接続配線33および第1パッド31を介して、制御装置5に導通している。なお、各受動素子6の種類、配置位置、数は限定されない。本実施形態においては、受動素子6が、「第2の電子部品」の一例である。
【0047】
封止樹脂8は、半導体チップ4a,4b、制御装置5a,5b、複数の受動素子6、およびワイヤ71,72と、複数のリード1の一部ずつと、基板2の一部とを少なくとも覆っている。封止樹脂8の材料は特に限定されず、たとえばエポキシ樹脂、シリコーンゲル等の絶縁材料が適宜用いられる。
【0048】
封止樹脂8は、樹脂主面81、樹脂裏面82、および4個の樹脂側面83を有する。樹脂主面81および樹脂裏面82は、z方向において互いに反対側を向く面であり、ともにz方向に対して直交する平坦面である。樹脂主面81は、図5の上方を向く面である。樹脂裏面82は、図5の下方を向く面である。各樹脂側面83は、それぞれ、樹脂主面81および樹脂裏面82に繋がり、x方向またはy方向を向いている。図4に示すように、基板2の基板裏面22は、封止樹脂8の樹脂裏面82から露出している。図5に示すように、基板裏面22と樹脂裏面82とは、互いに面一である。
【0049】
半導体装置A1の製造方法の一例について、図9を参照して以下に説明する。なお、以下に説明する製造方法は、半導体装置A1を実現するための一手段であり、これに限定されない。
【0050】
図9に示すように、本例の製造方法は、導電部形成工程(ステップS1)、リードフレーム接合工程(ステップS2)、半導体チップ実装工程(ステップS3)、制御装置実装工程(ステップS4)、ワイヤ接続工程(ステップS5)、樹脂形成工程(ステップS6)、およびフレーム切断工程(ステップS7)を有する。
【0051】
導電部形成工程(ステップS1)では、まず、基板2が準備される。基板2は、たとえばセラミックからなる。次いで、基板2の基板主面21上に導電部3および複数の接合部25を形成する。本例においては、導電部3および複数の接合部25を一括して形成する。たとえば、金属ペーストを印刷した後に、これを焼成することにより、導電性材料としてのたとえば銀(Ag)等の金属を含む導電部3および複数の接合部25が得られる。
【0052】
リードフレーム接合工程(ステップS2)では、まず、複数の接合部25に接合ペーストを印刷し、導電部3の一部の第2パッド32に導電性接合ペーストを印刷する。接合ペーストおよび導電性接合ペーストは、たとえばAgペーストやはんだペーストである。次いで、リードフレームを用意する。リードフレームは、複数のリード1を含んでおり、さらに複数のリード1がつながるフレームを有する。なお、リードフレームの形状等は、限定されない。次いで、複数のリード1のうちリード11,12,13を接合ペーストを介して複数の接合部25に対面させる。また、複数のリード1のうち複数のリード15を導電性接合ペーストを介して導電部3(第2パッド32)に対面させる。たとえば、接合ペーストおよび導電性接合ペーストを加熱した後に冷却することにより、接合ペーストによって接合材75が形成され、導電性接合ペーストによって導電性接合材76が形成される。これにより、リード11,12,13が接合材75を介して複数の接合部25に接合され、複数のリード15が導電性接合材76を介して導電部3に接合される。
【0053】
半導体チップ実装工程(ステップS3)では、まず、リード11およびリード12の所定の位置に、導電性接合ペーストを印刷する。導電性接合ペーストは、たとえばAgペーストやはんだペーストである。次いで、リード11に印刷された導電性接合ペーストに、半導体チップ4aを付着させ、リード12に印刷された導電性接合ペーストに、半導体チップ4bを付着させる。そして、たとえば導電性接合ペーストを加熱した後に冷却することにより、導電性接合ペーストによって導電性接合材が形成される。これにより、半導体チップ4aが導電性接合材を介してリード11に接合され、半導体チップ4bが導電性接合材を介してリード12に接合される。また、同様の工程により、シャント抵抗6aを、導電性接合材を介してリード11およびリード12に接合させる。
【0054】
制御装置実装工程(ステップS4)では、導電部3の第1パッド31に、導電性接合ペーストを印刷する。導電性接合ペーストは、たとえばAgペーストやはんだペーストである。次いで、導電性接合ペーストに制御装置5aおよび制御装置5bの各リード53をそれぞれ付着させる。次いで、たとえば導電性接合ペーストを加熱した後に冷却することにより、制御装置5aおよび制御装置5bの各リード53を、導電性接合材を介して第1パッド31に接合させる。また、同様の工程により、サーミスタ6bおよびその他の受動素子6を、導電性接合材を介して導電部3の第2パッド32に接合させる。
【0055】
ワイヤ接続工程(ステップS5)では、まず、複数のワイヤ71を接続する。本例においては、たとえばウエッジボンディングの手法により、アルミニウム(Al)からなるワイヤ材を順次接続する。これにより、複数のワイヤ71が得られる。次いで、複数のワイヤ72を接続する。本例においては、たとえばキャピラリボンディングの手法により、金(Au)からなるワイヤ材を順次接続する。これにより、複数のワイヤ72が得られる。
【0056】
樹脂形成工程(ステップS6)では、たとえばリードフレームの一部、基板2の一部、半導体チップ4a,4b、制御装置5a,5b、複数の受動素子6、および複数のワイヤ71,72を金型によって囲む。次いで、金型によって規定された空間に液状の樹脂材料を注入する。ついで、この樹脂材料を硬化させることにより、封止樹脂8が得られる。
【0057】
フレーム切断工程(ステップS7)では、リードフレームのうち封止樹脂8から露出した部位の適所を切断する。これにより、複数のリード1が互いに分割される。この後は、必要に応じて、複数のリード1を折り曲げる等の処理を経ることにより、上述した半導体 装置A1が得られる。
【0058】
次に、半導体装置A1の作用効果について説明する。
【0059】
本実施形態によると、基板2の基板主面21には、導電部3が形成されている。導電部3は、第1パッド31に制御装置5が導通接合されている。これにより、制御装置5への導通経路を、基板主面21上に形成された導電部3によって構成できる。したがって、たとえば金属製のリードによって導通経路を構成する場合と比べて、導通経路の細線化や高密度化を図ることが可能である。また、導電部3の接続配線33の一部である重なり配線は、z方向視において、制御装置5に重なって配置されている。したがって、導通経路を制御装置5に重ならないように迂回させて配置する場合と比べて、導通経路の短縮化が可能であり、また、導通経路の設計の自由度が大きくなる。したがって、半導体装置A1の高集積化を促進できる。
【0060】
また、本実施形態によると、制御装置5は、制御チップ51が樹脂54によって覆われており、対向面50に樹脂54が配置されている。接続配線33が、z方向視において制御装置5に重なって配置されていても、制御チップ51が接続配線33に接触することが防止される。したがって、接続配線33は、制御装置5に重ならないように迂回させる必要がない。よって、導通経路の短縮化が可能であり、また、導通経路の設計の自由度が大きくなる。
【0061】
また、本実施形態によると、制御チップ51が樹脂54によって覆われた制御装置5を用いている。制御装置5に代えて制御チップ51を用いる場合、制御チップ51のままでは出荷検査に必要な高電圧高電流を流すことができないので、封止樹脂8によって覆われた完成品になるまで出荷検査を行うことができない。この場合、出荷検査で不良品と判定されると、制御チップ51以外の部品が正常であっても、完成品全体を廃棄することになる。一方、制御装置5は、制御チップ51が樹脂54によって覆われているので、出荷検査に必要な高電圧高電流を流すことができる。したがって、実装する前に、制御装置5の検査を行って、不良品を廃棄できる。半導体装置A1は、良品の制御装置5だけを用いて製造できるので、正常な部品が無駄になることを抑制できる。
【0062】
また、本実施形態によると、複数のリード1は、基板2よりも熱伝導率が高いので、基板2の採用によって低下しうる半導体チップ4からの放熱の低下を抑制できる。また、半導体チップ4aは導電性接合材によってリード11に直接接合されており、半導体チップ4bは導電性接合材によってリード12に直接接合されている。よって、半導体チップ4a(4b)とリード11(12)とを導通させるとともに、半導体チップ4a(4b)からの熱をリード11(12)へとより効率よく伝達できる。また、複数のリード1が封止樹脂8から露出していることにより、外部から半導体チップ4への導通経路を構成するとともに、半導体チップ4の放熱特性をより確保できる。また、基板2には接合部25が形成されており、リード11,12,13が接合部25を介して基板2に接合されている。たとえばセラミックからなる基板2の基板主面21の表面粗さに対して、接合部25の表面は、より滑らに仕上げることが可能である。これにより、リード11,12,13から基板2へと至る伝熱経路に意図しない微小な空隙部等が生じることを抑制可能であり、半導体チップ4等の放熱をより促進できる。また、基板2の基板裏面22は、封止樹脂8から露出している。これにより、半導体チップ4等から基板2に伝わった熱を、より効率よく外部に放熱できる。
【0063】
また、本実施形態によると、導電部3と接合部25とが、同じ導電性材料を含むことにより、導電部3と接合部25とを基板2に一括して形成することが可能である。これは、半導体装置A1の製造効率の向上に好ましい。また、複数のリード15は、導電性接合材 76を介して導電部3の第2パッド32に接合されている。これにより、基板2に対して複数のリード15をより強固に固定できる。また、複数のリード15と導電部3との間の低抵抗化を図ることができる。
【0064】
図10図15は、本開示の他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0065】
<第2実施形態>
図10および図11は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置A2を説明するための図である。図10は、半導体装置A2を示す断面図であり、図5に対応する図である。図11は、図10の一部を拡大した部分拡大断面図である。本実施形態の半導体装置A2は、制御装置5のパッケージタイプがSON(Small Outline Non-leaded package)タイプである点で、第1実施形態と異なっている。
【0066】
本実施形態に係る制御装置5は、SONタイプのパッケージであり、図11に示すように、各リード53が樹脂54から突出しておらず、樹脂54の底面(図11においては下側を向く面)および側面(底面に直交する面)から露出している。制御装置5は、各リード53の樹脂54から露出している部分が、導電性接合材77を介して導電部3の第1パッド31に導通接合されている。導電性接合材77は、リード53を第1パッド31に接合し、かつ、リード53と第1パッド31とを電気的に接続しうるものであればよい。導電性接合材77は、たとえば、はんだや、銀ペースト、銅ペースト等が用いられる。制御装置5の対向面50は、樹脂54からなる部分と、リード53からなる部分とを含んでいる。本実施形態では、z方向視において制御装置5に重なる接続配線33(重なり配線)は、対向面50のうち樹脂54からなる部分に対向する領域にのみ配置され、リード53からなる部分に接触しないように配置されている。本実施形態においては、対向面50のうち樹脂54からなる部分が、「絶縁部」の一例である。
【0067】
本実施形態においても、導電部3の接続配線33の一部を、制御装置5に重なる重なり配線として配置できる。したがって、接続配線33を制御装置5に重ならないように迂回させて配置する場合と比べて、導通経路の短縮化が可能であり、また、導通経路の設計の自由度が大きくなる。したがって、半導体装置A2の高集積化を促進できる。
【0068】
なお、制御装置5のパッケージタイプはSONタイプに限定されず、例えばQFN(Quad Flat Non-leaded package)タイプ等の他のタイプのパッケージであってもよい。制御装置5は、対向面50の少なくとも一部に、樹脂54からなる部分が含まれていればよい。
【0069】
<第3実施形態>
図12は、本開示の第3実施形態に係る半導体装置A3を説明するための図である。図12は、半導体装置A3を示す平面図であり、封止樹脂8を透過した図であって、図3に対応する図である。本実施形態の半導体装置A3は、サーミスタ6bとリード15との導通経路が、第1実施形態と異なっている。
【0070】
本実施形態に係るサーミスタ6bは、導電部3の第2パッド32aおよび第2パッド32bに導通接合されている。第2パッド32aは、接続配線33iおよび第2パッド32cを介してリード15iに導通接続されている。第2パッド32bは、接続配線33jおよび第2パッド32dを介してリード15jに導通接続されている。接続配線33iおよび接続配線33jは、z方向視において、制御装置5aに重なっている。接続配線33iおよび接続配線33jは、制御装置5aに導通していない。つまり、本実施形態では、重なり配線に、制御装置5aに導通しない接続配線33iおよび接続配線33jも含まれて いる。
【0071】
本実施形態においても、導電部3の接続配線33の一部を、制御装置5に重なる重なり配線として配置できる。したがって、接続配線33を制御装置5に重ならないように迂回させて配置する場合と比べて、導通経路の短縮化が可能であり、また、導通経路の設計の自由度が大きくなる。したがって、半導体装置A3の高集積化を促進できる。
【0072】
<第4実施形態>
図13図14、および図15は、本開示の第4実施形態に係る半導体装置A4を説明するための図である。図13は、半導体装置A4を示す断面図であり、図5に対応する図である。図14および図15は、図13の一部を拡大した部分拡大断面図である。本実施形態の半導体装置A4は、半導体チップ4に代えて半導体パッケージ400を備えている点で、第1実施形態と異なっている。
【0073】
本実施形態に係る半導体装置A4は、図13に示すように、半導体チップ4に代えて半導体パッケージ400を備えている。また、リード11,12,13は、接合部25に代えて形成された導電部3の第2パッド32に導通接合されている。そして、半導体パッケージ400は、リード11(12)に導通する第2パッド32に導通接合されている。
【0074】
半導体パッケージ400は、半導体チップ4を樹脂で覆ってパッケージ化したものである。半導体パッケージ400は、図14に示すように、主面401、裏面402、半導体チップ4、ソース端子403、ゲート端子404、ドレイン端子405、および樹脂406を有する。主面401および裏面402は、z方向において互いに反対側を向いている。主面401は、図13および図14の下方を向く面である。裏面402は、図13および図14の上方を向く面である。樹脂406は、半導体チップ4の全体と、ソース端子403、ゲート端子404、およびドレイン端子405の一部ずつとを覆っており、たとえばエポキシ樹脂、シリコーンゲル等の絶縁性材料からなる。ソース端子403、ゲート端子404、およびドレイン端子405は、主面401において、樹脂406から露出している。つまり、半導体パッケージ400の主面401は、樹脂406からなる部分と、ソース端子403、ゲート端子404、およびドレイン端子405からなる部分とを含んでいる。図13および図14においては、半導体パッケージ400の内部の導通経路の記載を省略している。また、ソース端子403は、図13および図14には表れていない。半導体パッケージ400の内部において、ソース端子403は半導体チップ4のソース電極43に導通し、ゲート端子404は半導体チップ4のゲート電極44に導通し、ドレイン端子405は半導体チップ4のドレイン電極45に導通している。なお、半導体パッケージ400の内部構造は限定されない。半導体パッケージ400は、複数の半導体チップ4を備えていてもよい。また、他の電子部品を備えていてもよい。
【0075】
半導体パッケージ400は、主面401を基板2に向けて、基板主面21に配置されている。ソース端子403、ゲート端子404、およびドレイン端子405は、それぞれ、導電性接合材77を介して導電部3の第2パッド32に導通接合されている。本実施形態では、図14に示すように、一部の接続配線33(重なり配線)が、z方向視において、半導体パッケージ400に重なっており、基板2の基板主面21と半導体パッケージ400の主面401との間に配置されている。当該重なり配線は、主面401のうち樹脂406からなる部分に対向する領域にのみ配置され、ソース端子403、ゲート端子404、およびドレイン端子405に接触しないように配置されている。本実施形態においては、半導体パッケージ400が「電子部品」の一例であり、半導体チップが「電子素子」の一例である。また、主面401のうち樹脂406からなる部分が、「絶縁部」の一例である。なお、半導体装置A4は、半導体パッケージ400だけを備えてもよいし、半導体チップ4および半導体パッケージ400の両方を備えてもよい。
【0076】
また、半導体装置A4は、一部の受動素子6に代えて、受動素子パッケージ600を備えている。受動素子パッケージ600は、受動素子6を樹脂で覆ってパッケージ化したものである。受動素子パッケージ600は、図15に示すように、主面601、裏面602、受動素子6、端子603,604、および樹脂606を有する。主面601および裏面602は、z方向において互いに反対側を向いている。主面601は、図13および図15の下方を向く面である。裏面602は、図13および図15の上方を向く面である。樹脂606は、受動素子6の全体と、端子603,604の一部ずつとを覆っており、たとえばエポキシ樹脂、シリコーンゲル等の絶縁性材料からなる。端子603,604は、主面601において、樹脂606から露出している。つまり、受動素子パッケージ600の主面601は、樹脂606からなる部分と、端子603,604からなる部分とを含んでいる。受動素子パッケージ600の内部において、端子603,604は、受動素子6の各電極に導通している。なお、受動素子パッケージ600の内部構造は限定されない。受動素子パッケージ600は、複数の受動素子6を備えてもよい。
【0077】
受動素子パッケージ600は、主面601を基板2に向けて、基板主面21に配置されている。端子603,604は、それぞれ、導電性接合材77を介して導電部3の第2パッド32に導通接合されている。本実施形態では、図15に示すように、一部の接続配線33(重なり配線)が、z方向視において、受動素子パッケージ600に重なっており、基板2の基板主面21と受動素子パッケージ600の主面601との間に配置されている。当該重なり配線は、主面601のうち樹脂606からなる部分に対向する領域にのみ配置され、端子603,604に接触しないように配置されている。本実施形態においては、受動素子パッケージ600が「電子部品」の一例であり、受動素子が「電子素子」の一例である。また、主面601のうち樹脂606からなる部分が、「絶縁部」の一例である。なお、半導体装置A4は、受動素子パッケージ600だけを備えてもよいし、受動素子6および受動素子パッケージ600の両方を備えてもよい。
【0078】
本実施形態によると、導電部3の接続配線33の一部を、半導体パッケージ400または受動素子パッケージ600に重なる重なり配線として配置できる。したがって、接続配線33を半導体パッケージ400および受動素子パッケージ600に重ならないように迂回させて配置する場合と比べて、導通経路の短縮化が可能であり、また、導通経路の設計の自由度が大きくなる。したがって、半導体装置A4の高集積化を促進できる。
【0079】
半導体装置A4は、半導体パッケージ400および受動素子パッケージ600のいずれか一方を備えなくてもよい。また、制御装置5に代えて制御チップ51が配置されてもよい。
【0080】
本開示に係る半導体装置は、先述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係る半導体装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。基板2の基板主面21上に導電部3が形成されて電子部品が配置され、導電部3の接続配線33に、z方向視において当該電子部品に重なる重なり配線が含まれる半導体装置はすべて、本開示の半導体装置に含まれる。
【0081】
〔付記1〕
厚さ方向において互いに反対側を向く基板主面および基板裏面を有する基板と、
前記基板主面上に形成された導電性材料からなる導電部と、
前記導電部と電気的に接続され、かつ、前記基板主面上に配置された電子部品と、
前記基板の少なくとも一部、および、前記電子部品を覆う封止樹脂と、
を備え、
前記導電部は、前記厚さ方向視において、前記電子部品に重なり、かつ、前記電子部品に重なる範囲において前記電子部品に導通接合しない重なり配線を含んでいる、半導体装置。
〔付記2〕
前記電子部品は、前記基板主面に対向し、かつ、絶縁性材料からなる絶縁部を有する対向面を備え、
前記重なり配線は、前記厚さ方向視において、前記対向面のうち前記絶縁部にのみ重なる、付記1に記載の半導体装置。
〔付記3〕
前記対向面は、全面が前記絶縁部である、付記項2に記載の半導体装置。
〔付記4〕
前記電子部品は、電子素子と、前記電子素子を覆う樹脂とを備え、
前記樹脂の一部が、前記絶縁部である、付記2または3に記載の半導体装置。
〔付記5〕
前記電子素子は、受動素子である、付記4に記載の半導体装置。
〔付記6〕
前記電子素子は、スイッチング素子である、付記4に記載の半導体装置。
〔付記7〕
前記電子素子は、駆動信号を出力する制御チップである、付記4に記載の半導体装置。
〔付記8〕
前記基板主面上に配置された、前記基板よりも熱伝導率の高い第1リードと、
前記第1リード上に配置された半導体チップと、
をさらに備える、付記1ないし7のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記9〕
前記基板主面上に形成され、前記導電部を構成する導電性材料を含む接合部をさらに備え、
前記第1リードは、接合材を介して、前記接合部に接合されている、付記8に記載の半導体装置。
〔付記10〕
前記第1リードは、一部が前記封止樹脂に覆われており、他の一部が前記封止樹脂から露出している、付記8または9に記載の半導体装置。
〔付記11〕
前記第1リードから離間し、かつ、導電性接合材を介して前記導電部に接合されて配置された第2リードをさらに備え、
前記第2リードは、一部が前記封止樹脂に覆われており、他の一部が前記封止樹脂から露出している、付記8ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記12〕
前記導電部は、
前記電子部品に導通接合された第1パッドと、
前記第2リードに導通接合された第2パッドと、
をさらに含み、
前記重なり配線は、前記第1パッドおよび前記第2パッドに接続している、付記11に記載の半導体装置。
〔付記13〕
前記導電部は、
前記電子部品に導通接合された第1パッドと、
前記半導体チップに導通接続された第2パッドと、
をさらに含み、
前記重なり配線は、前記第1パッドおよび前記第2パッドに接続している、付記8ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記14〕
前記導電部と電気的に接続され、かつ、前記基板主面上に配置された第2の電子部品をさらに備え、
前記導電部は、
前記電子部品に導通接合された第1パッドと、
前記第2の電子部品に導通接合された第2パッドと、
をさらに含み、
前記重なり配線は、前記第1パッドおよび前記第2パッドに接続している、付記8ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記15〕
前記重なり配線は、前記電子部品に導通しない、付記8ないし11のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記16〕
前記半導体チップは、電力を制御するパワートランジスタである、付記8ないし15のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記17〕
前記半導体チップは、前記第1リードに接合される裏面電極を備えている、付記8ないし16のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記18〕
前記基板裏面は、前記封止樹脂から露出している、付記1ないし17のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記19〕
前記基板は、セラミックからなる、付記1ないし18のいずれかに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0082】
A1,A2,A3,A4:半導体装置
1,11~15,15i,15j:リード
111 :第1部
111a :主面
111b :裏面
112 :第2部
113 :第3部
114 :第4部
151 :第1部
151a :主面
151b :裏面
152 :第2部
153 :第3部
154 :第4部
2 :基板
21 :基板主面
22 :基板裏面
25,251~253:接合部
3 :導電部
31 :第1パッド
32,32a~32d:第2パッド
33,33a~33j:接続配線
4,4a,4b:半導体チップ
41 :素子主面
42 :素子裏面
43 :ソース電極
44 :ゲート電極
45 :ドレイン電極
5,5a,5b:制御装置
50 :対向面
51 :制御チップ
52 :ダイパッド
53 :リード
55 :ワイヤ
6 :受動素子
6a :シャント抵抗
6b :サーミスタ
71 :ワイヤ
72 :ワイヤ
75 :接合材
76,77 :導電性接合材
8 :封止樹脂
81 :樹脂主面
82 :樹脂裏面
83 :樹脂側面
400 :半導体パッケージ
401 :主面
402 :裏面
403 :ソース端子
404 :ゲート端子
405 :ドレイン端子
600 :受動素子パッケージ
601 :主面
602 :裏面
603,604:端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15