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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】情報検出装置、および路面描画装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20240919BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20240919BHJP
   F21S 45/40 20180101ALI20240919BHJP
   B60Q 1/24 20060101ALI20240919BHJP
   F21W 103/60 20180101ALN20240919BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240919BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240919BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
B60Q1/00 C
F21S45/40
B60Q1/24 E
F21W103:60
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022537978
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2021026803
(87)【国際公開番号】W WO2022019233
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2024-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2020125574
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 修己
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晃典
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0057501(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0278520(US,A1)
【文献】特開平08-016531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
B60Q 1/00
F21S 45/40
B60Q 1/24
F21W 103/60
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視装置に搭載される情報検出装置であって、
前記監視装置の外部に位置する検出領域へ検出光を出射する少なくとも一つの発光部と、
前記検出領域に位置する物体が前記検出光を反射することにより生じる反射光を検出する少なくとも一つの受光部と、
前記反射光に基づいて前記物体の情報を検出する情報検出処理の一部である第一検出処理を実行可能な第一処理部と、
前記情報検出処理の一部でありかつ前記第一検出処理と少なくとも一部が異なる第二検出処理を実行可能な第二処理部と、
前記第一検出処理と前記第二検出処理の各々が前記情報検出処理に占める比率を変更する制御部と、
を備えており
前記少なくとも一つの発光部は、前記検出領域に向けて第一検出光を出射する第一発光部、および前記検出領域に向けて第二検出光を出射する第二発光部を含んでおり、
前記少なくとも一つの受光部は、前記物体が前記第一検出光を反射することにより生じる第一反射光を検出する第一受光部、および当該物体が前記第二検出光を反射することにより生じる第二反射光を検出する第二受光部を含んでおり、
前記第一検出処理は、前記第一反射光に基づき前記物体の情報を検出する処理であり、
前記第二検出処理は、前記第二反射光に基づき前記物体の情報を検出する処理である、
情報検出装置。
【請求項2】
前記第一処理部の第一動作温度と前記第二処理部の第二動作温度を検出する温度検出部を備えており、
前記制御部は、前記第一動作温度と前記第二動作温度に基づいて前記比率を変更する、
請求項1に記載の情報検出装置。
【請求項3】
前記監視装置は、移動体である、
請求項1または2に記載の情報検出装置。
【請求項4】
監視装置に搭載される路面描画装置であって、
可視光を出射する少なくとも一つの光源と、
前記監視装置の外部に位置する路面へ前記可視光を投射する投射部と、
前記光源の点消灯および前記投射部による前記可視光の投射方向を制御する路面描画処理の一部である第一描画処理を実行可能な第一処理部と、
前記路面描画処理の一部でありかつ前記第一描画処理と少なくとも一部が異なる第二描画処理を実行可能な第二処理部と、
前記第一描画処理と前記第二描画処理の各々が前記路面描画処理に占める比率を変更する制御部と、
を備えている、
路面描画装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの光源は、第一可視光を出射する第一光源、および第二可視光を出射する第二光源を含んでおり、
前記第一描画処理は、前記第一光源の点消灯および前記第一可視光の投射方向を制御する処理であり、
前記第二描画処理は、前記第二光源の点消灯および前記第二可視光の投射方向を制御する処理である、
請求項に記載の路面描画装置。
【請求項6】
前記第一処理部の第一動作温度と前記第二処理部の第二動作温度を検出する温度検出部を備えており、
前記制御部は、前記第一動作温度と前記第二動作温度に基づいて前記比率を変更する、
請求項またはに記載の路面描画装置。
【請求項7】
前記監視装置は、移動体である、
請求項からのいずれか一項に記載の路面描画装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視装置に搭載されて当該監視装置の外部の情報を検出する情報検出装置に関連する。本開示は、監視装置に搭載されて当該監視装置の外部に位置する路面に所定の画像を形成する路面描画装置にも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、監視装置の一例としての移動体の外部に位置する物体を検出する情報検出装置の一例として、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサを開示している。
【0003】
特許文献2は、監視装置の一例としての移動体に搭載された光源の点消灯および当該光源から出射された光の投射方向を制御することにより路面に標識画像を形成する路面描画装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特許出願公開2019-164916号公報
【文献】日本国特許出願公開2020-075708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
監視装置の外部の情報を検出する処理の実行に伴う熱の発生を抑制することが求められている(第一の要求)。また、監視装置の外部に位置する路面に画像を形成する処理の実行に伴う熱の発生を抑制することが求められている(第二の要求)。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の第一の要求に応えるために提供されうる本開示の一態様は、監視装置に搭載される情報検出装置であって、
前記監視装置の外部に位置する検出領域へ検出光を出射する少なくとも一つの発光部と、
前記検出領域に位置する物体が前記検出光を反射することにより生じる反射光を検出する少なくとも一つの受光部と、
前記反射光に基づいて前記物体の情報を検出する情報検出処理の一部である第一検出処理を実行可能な第一処理部と、
前記情報検出処理の一部でありかつ前記第一検出処理と少なくとも一部が異なる第二検出処理を実行可能な第二処理部と、
前記第一検出処理と前記第二検出処理の各々が前記情報検出処理に占める比率を変更する制御部と、
を備えている。
【0007】
第一検出処理の実行に伴い、第一処理部は発熱する。同様に、第二検出処理の実行に伴い、第二処理部が発熱する。しかしながら、情報検出処理が第一処理部と第二処理部とで分担されることにより各処理部における処理負荷を抑制できるので、単一の処理部が非断続的に駆動される場合と比較して、発熱の総量が抑制される。加えて、第一検出処理と第二検出処理の各々が物体検出処理に占める比率が、第一処理部と第二処理部の各々が置かれている熱的環境に応じて制御部により適宜に変更されうる。したがって、物体検出処理の実行に伴う熱の発生をより適切に抑制できる。
【0008】
上記の第二の要求に応えるために提供されうる本開示の一態様は、監視装置に搭載される路面描画装置であって、
可視光を出射する少なくとも一つの光源と、
前記監視装置の外部に位置する路面へ前記可視光を投射する投射部と、
前記光源の点消灯および前記投射部による前記可視光の投射方向を制御する路面描画処理の一部である第一描画処理を実行可能な第一処理部と、
前記路面描画処理の一部でありかつ前記第一描画処理と少なくとも一部が異なる第二描画処理を実行可能な第二処理部と、
前記第一描画処理と前記第二描画処理の各々が前記路面描画処理に占める比率を変更する制御部と、
を備えている。
【0009】
第一描画処理の実行に伴い、第一処理部は発熱する。同様に、第二描画処理の実行に伴い、第二処理部が発熱する。しかしながら、路面描画処理が第一処理部と第二処理部とで分担されることにより各処理部における処理負荷を抑制できるので、単一の処理部が非断続的に駆動される場合と比較して、発熱の総量が抑制される。加えて、第一描画処理と第二描画処理の各々が路面描画処理に占める比率が、第一処理部と第二処理部の各々が置かれている熱的環境に応じて制御部により適宜に変更されうる。したがって、路面描画処理の実行に伴う熱の発生をより適切に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係る情報検出装置の機能構成を例示している。
図2図1の情報検出装置が搭載される車両を例示している。
図3図1の情報検出装置の動作の一例を示している。
図4図1の情報検出装置の動作の別例を示している。
図5図1の情報検出装置の動作の別例を示している。
図6】第二実施形態に係る情報検出装置の機能構成を例示している。
図7】第三実施形態に係る路面描画装置の機能構成を例示している。
図8図7の路面描画装置が搭載される車両を例示している。
図9図7の路面描画装置の動作の一例を示している。
図10図7の路面描画装置の動作の別例を示している。
図11図7の路面描画装置の動作の別例を示している。
図12】第四実施形態に係る路面描画装置の機能構成を例示している。
図13】上記の情報検出装置と路面描画装置が交通インフラ設備に搭載される例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0012】
添付の図面において、矢印Fは、図示された構成の前方向を示している。矢印Bは、図示された構成の後方向を示している。矢印Uは、図示された構成の上方向を示している。矢印Dは、図示された構成の下方向を示している。矢印Lは、図示された構成の左方向を示している。矢印Rは、図示された構成の右方向を示している。
【0013】
図1は、第一実施形態に係る情報検出装置101の機能構成を例示している。情報検出装置101は、図2に例示される車両200における適宜の位置に搭載されるように構成されている。当該位置は、車両200の外部に設定された検出領域DA内に位置する物体OBの情報を検出可能な位置として定められる。車両200は、移動体の一例である。車両200は、監視装置の一例でもある。
【0014】
図1に例示されるように、情報検出装置101は、発光部110を備えている。発光部110は、検出領域DAに向けて検出光DLを出射する光源を備えている。当該光源は、例えば、赤外光を出射する半導体発光素子でありうる。半導体発光素子の例としては、発光ダイオード、レーザダイオードなどが挙げられる。
【0015】
図3に例示されるように、検出領域DAは、上下方向と左右方向に二次元的な広がりを有している。発光部110は、検出領域DAが検出光DLによって二次元的に走査されるように、検出光DLの進行方向を上下方向と左右方向について変更する反射光学系を含みうる。
【0016】
光源と反射光学系の組合せは適宜に変更されうる。一例として、上下方向に配列された複数の光源の各々から出射される検出光DLの進行方向が反射光学系によって左右方向に変更されることにより、検出領域DAの二次元的な走査が実現される構成が採用されうる。別例として、左右方向に配列された複数の光源の各々から出射される検出光DLの進行方向が反射光学系によって上下方向に変更されることにより、検出領域DAの二次元的な走査が実現される構成が採用されうる。
【0017】
上記のような二次元的走査を実現するための構成自体は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0018】
別例として、発光部110は、上下方向と左右方向に配列された複数の光源を備えうる。光源の数は、検出領域DAについて定められる解像度に対応する。この場合、走査のための反射光学系を省略できる。
【0019】
図1に例示されるように、情報検出装置101は、受光部120を備えている。検出領域DA内に位置する物体OBにより検出光DLが反射されると、反射光RLが生じる。受光部120は、反射光RLを検出する受光素子を備えている。受光素子の例としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタなどが挙げられる。受光部120は、反射光RLの受光強度に対応する検出信号S0を出力するように構成されている。検出信号S0は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0020】
発光部110が複数の光源を備える場合、受光部120もまた複数の受光素子を備えうる。複数の受光素子の配列方向は、複数の光源の配列方向に対応しうる。しかしながら、受光部120が適宜の反射光学系を備える場合、光源の数と受光素子の数は必ずしも一致していることを要しない。例えば、複数の光源の各々から出射された検出光DLより生じた反射光RLを単一の受光素子へ向けて順次反射するように構成された反射光学系が採用されうる。そのような反射光学系もまた周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0021】
情報検出装置101は、第一処理部131と第二処理部132を備えている。第一処理部131と第二処理部132は、受光部120から出力された検出信号S0に基づいて検出領域DA内に位置する物体OBを検出する物体検出処理を行なうように構成されている。検出領域DA内の特定の方向へ向けて発光部110からパルス状の検出光DLが出射された場合、検出信号S0の強度がパルス状の変化を呈する事実に基づいて、当該方向に物体OBの存在を検出できる。また、発光部110より検出光DLが出射されてから反射光RLが受光部120により検出されるまでの時間長さに基づいて、当該方向における物体OBまでの距離を検出できる。検出光DLの進行方向を変えながら検出信号S0に基づく距離情報を集積することにより、物体OBの表面形状を検出することもできる。物体検出処理は、情報検出処理の一例である。
【0022】
具体的には、図3に例示されるように、検出領域DAは、第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2を含んでいる。第一サブ領域SA1は、第一処理部131による物体検出処理に供される領域である。第二サブ領域SA2は、第二処理部132による物体検出処理に供される領域である。以降の説明においては、第一処理部131により実行される物体検出処理を「第一検出処理」と称する。同様に、第二処理部132により実行される物体検出処理を、「第二検出処理」と称する。すなわち、第一検出処理と第二検出処理の各々は、物体検出処理の一部である。
【0023】
発光部110から出射された検出光DLが検出領域DAの走査を開始してから検出領域DAの全体について走査を完了するまでの期間が、物体検出処理の1サイクルに対応している。
【0024】
図3に例示される第一サイクルCY1においては、検出光DLが最上部に位置する第一サブ領域SA1を走査している間、反射光RLの有無と反射光RLが検出されるまでの時間長さは、第一処理部131によって検出される。検出光DLがその第一サブ領域SA1の下方に位置する第二サブ領域SA2を走査している間、反射光RLの有無と反射光RLが検出されるまでの時間長さは、第二処理部132によって検出される。同様に、検出光DLがその第二サブ領域SA2の下方に位置する第一サブ領域SA1を走査している間、反射光RLの有無と反射光RLが検出されるまでの時間長さは、第一処理部131によって検出される。検出光DLが最下部に位置する第二サブ領域SA2を走査している間、反射光RLの有無と反射光RLが検出されるまでの時間長さは、第二処理部132によって検出される。第一サイクルCY1に後続する第二サイクルCY2においても、同様の処理が繰り返される。
【0025】
図1に例示されるように、情報検出装置101は、制御部140を備えている。制御部140は、発光部110の動作を制御する発光制御信号CL0を出力する出力インターフェースを備えている。発光制御信号CL0は、検出領域DAにおける検出光DLの走査位置情報を含みうる。発光部110は、発光制御信号CL0に基づいて検出光DLを出射するように構成されている。発光制御信号CL0は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。発光制御信号CL0がアナログ信号である場合、制御部140の出力インターフェースは、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0026】
制御部140の出力インターフェースは、第一処理部131の動作を制御する第一処理制御信号CP1と第二処理部132の動作を制御する第二処理制御信号CP2も出力できるように構成されている。第一処理部131は、第一処理制御信号CP1を受信すると第一検出処理を実行するように構成されている。第二処理部132は、第二処理制御信号CP2を受信すると第二検出処理を実行するように構成されている。制御部140は、走査位置情報を、第一処理制御信号CP1と第二処理制御信号CP2の各々に含めて提供するように構成されている。前述した検出領域DAにおける物体OBの位置と物体OBまでの距離の特定は、第一処理部131と第二処理部132の各々により走査位置情報に基づいて行なわれる。
【0027】
すなわち、制御部140は、検出光DLが第一サブ領域SA1を走査している間、第一処理制御信号CP1を出力する。同様に、制御部140は、検出光DLが第二サブ領域SA2を走査している間、第二処理制御信号CP2を出力する。
【0028】
制御部140は、第一検出処理と第二検出処理の各々が物体検出処理に占める比率を変更できるように構成されている。具体的には、制御部140は、第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の各々が検出領域DAに占める比率を変更する。
【0029】
図3に例示される第一サイクルCY1と第二サイクルCY2においては、第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の各々が検出領域DAに占める比率は等しい。第mサイクルCYmにおいては、制御部140は、第一サブ領域SA1が検出領域DAに占める比率が高くなるように変更を行なっている。したがって、第二サブ領域SA2が検出領域DAに占める比率は低くなる。結果として、第一処理部131により実行される第一検出処理が物体検出処理に占める比率が、第二処理部132により実行される第二検出処理が物体検出処理に占める比率よりも高くなる。
【0030】
図3に例示される第nサイクルCYnにおいては、制御部140は、第二サブ領域SA2が検出領域DAに占める比率が高くなるように変更を行なっている。したがって、第一サブ領域SA1が検出領域DAに占める比率は低くなる。結果として、第二処理部132により実行される第二検出処理が物体検出処理に占める比率が、第一処理部131により実行される第一検出処理が物体検出処理に占める比率よりも高くなる。
【0031】
1サイクルの物体検出処理に供される検出領域DAが必ずしも第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の双方を含むことを要しない。図4は、制御部140により実行されうる比率変更処理の別例を示している。
【0032】
第一サイクルCY1においては、検出領域DAは第一サブ領域SA1のみを含んでいる。したがって、第一サイクルCY1の間、制御部140は第一処理制御信号CP1のみを出力し、第一処理部131による第一検出処理のみが実行される。
【0033】
第二サイクルCY2においては、検出領域DAは第二サブ領域SA2のみを含んでいる。したがって、第二サイクルCY2の間、制御部140は第二処理制御信号CP2のみを出力し、第二処理部132による第二検出処理のみが実行される。
【0034】
第三サイクルCY3および第四サイクルCY4において第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の各々が検出領域DAに占める比率は、それぞれ第一サイクルCY1および第二サイクルCY2と同じである。したがって、本例においては、第一処理部131による第一検出処理と第二処理部132による第二検出処理が、物体検出処理のサイクルごとに交互に実行される。
【0035】
図5は、制御部140により実行されうる比率変更処理の別例を示している。本例においては、基本動作として、物体検出処理のサイクルごとに第一処理部131により第一検出処理のみが実行される。すなわち、特定の物体検出処理のサイクルにおいて、第二処理部132による第二検出処理のみが補助的に実行される。本例の場合、第三サイクルCY3において、第二処理部132による第二検出処理のみが実施されている。制御部140が第二検出処理を実行するタイミングは、適宜に定められうる。
【0036】
第一処理部131、第二処理部132、および制御部140の各々は、上記の各処理を実行可能なプロセッサを含む専用集積回路により実現されうる。専用集積回路の例としては、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどが挙げられる。制御部140は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサを備えるように構成されてもよい。汎用マイクロプロセッサの例としては、CPU、MPU、GPUが挙げられる。汎用メモリの例としては、ROMやRAMが挙げられる。第一処理部131と第二処理部132は、独立した素子パッケージとして提供される。制御部140は、第一処理部131と第二処理部132のいずれか一方と素子パッケージを共有してもよい。
【0037】
第一検出処理の実行に伴い、第一処理部131は発熱する。同様に、第二検出処理の実行に伴い、第二処理部132が発熱する。しかしながら、物体検出処理が第一処理部131と第二処理部132とで分担されることにより各処理部における処理負荷を抑制できるので、単一の処理部が非断続的に駆動される場合と比較して、発熱の総量が抑制される。加えて、第一検出処理と第二検出処理の各々が物体検出処理に占める比率が、第一処理部131と第二処理部132の各々が置かれている熱的環境に応じて制御部140により適宜に変更されうる。したがって、物体検出処理の実行に伴う熱の発生をより適切に抑制できる。
【0038】
図3から図5を参照して説明した第一検出処理と第二検出処理の各々が物体検出処理に占める比率が変更されるタイミングは、第一処理部131と第二処理部132の各々が置かれている熱的環境に応じて予めスケジュールされてもよいし、所定の条件が満足されたタイミングで変更がなされてもよい。
【0039】
例えば、図1に例示されるように、情報検出装置101は、温度検出部150を備えうる。温度検出部150は、第一処理部131の第一動作温度T1と第二処理部132の第二動作温度T2を取得するように構成される。第一動作温度T1は、第一処理部131の素子パッケージ自体の温度であってもよいし、第一処理部131が設置されている場所の温度であってもよい。第二動作温度T2は、第二処理部132の素子パッケージ自体の温度であってもよいし、第二処理部132が設置されている場所の温度であってもよい。
【0040】
温度検出部150により取得された第一動作温度T1と第二動作温度T2は、制御部140に入力される。すなわち、制御部140は、第一動作温度T1と第二動作温度T2を受け付ける入力インターフェースを備えうる。第一動作温度T1と第二動作温度T2は、デジタルデータの形態であってもよいし、アナログデータの形態であってもよい。第一動作温度T1と第二動作温度T2がアナログデータの形態である場合、入力インターフェースは、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0041】
この場合、制御部140は、第一動作温度T1と第二動作温度T2に基づいて、第一検出処理と第二検出処理の各々が動作検出処理に占める比率を変更しうる。
【0042】
一例として、第一処理部131の動作制限温度と第二処理部132の動作制限温度が同じである場合、制御部140は、第一動作温度T1と第二動作温度T2に基づいて第一処理部131と第二処理部132のいずれがより高い温度で動作しているかを特定し、特定された処理部に物体検出処理を実行させうる。
【0043】
別例として、第一処理部131の動作制限温度と第二処理部132の動作制限温度が相違する場合、制御部140は、第一動作温度T1と第二動作温度T2に基づいて第一処理部131と第二処理部132のいずれが動作制限温度に対してより余裕があるかを特定し、特定された処理部に物体検出処理を実行させうる。
【0044】
このような構成によれば、第一処理部131と第二処理部132が実際に置かれている熱環境に応じて、第一検出処理と第二検出処理の各々が動作検出処理に占める比率を、柔軟かつ即時的に変更できる。したがって、前述の発熱抑制効果をさらに高めることができる。
【0045】
図6は、第二実施形態に係る情報検出装置102の機能構成を例示している。情報検出装置102もまた、図2に例示される車両200における適宜の位置に搭載されるように構成されている。第一実施形態に係る情報検出装置101と共通の説明を適用可能である要素については、同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明を省略する。
【0046】
図6に例示されるように、情報検出装置102は、第一発光部111と第二発光部112を備えている。第一発光部111は、検出領域DAに向けて第一検出光DL1を出射する光源を備えている。第二発光部112は、検出領域DAに向けて第二検出光DL2を出射する光源を備えている。当該光源は、例えば、赤外光を出射する半導体発光素子でありうる。半導体発光素子の例としては、発光ダイオード、レーザダイオードなどが挙げられる。第一検出光DL1と第二検出光DL2は、図3から図5に例示される第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2に向けてそれぞれ照射される。
【0047】
第一実施形態に係る情報検出装置101の発光部110について図3を参照しつつ説明したように、第一発光部111と第二発光部112の各々もまた、第一検出光DL1と第二検出光DL2の各々の進行方向を適宜に変更する反射光学系を含みうる。反射光学系の仕様に応じて、第一発光部111と第二発光部112の各々は、複数の光源を備えうる。
【0048】
図6に例示されるように、情報検出装置102は、第一受光部121を備えている。検出領域DA内に位置する物体OBにより第一検出光DL1が反射されると、第一反射光RL1が生じる。第一受光部121は、第一反射光RL1を検出する受光素子を備えている。受光素子の例としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタなどが挙げられる。第一受光部121は、第一反射光RL1の受光強度に対応する第一検出信号S1を出力するように構成されている。第一検出信号S1は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0049】
情報検出装置102は、第二受光部122を備えている。検出領域DA内に位置する物体OBにより第二検出光DL2が反射されると、第二反射光RL2が生じる。第二受光部122は、第二反射光RL2を検出する受光素子を備えている。受光素子の例としては、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタなどが挙げられる。第二受光部122は、第二反射光RL2の受光強度に対応する第二検出信号S2を出力するように構成されている。第二検出信号S2は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0050】
第一実施形態に係る情報検出装置101の受光部120と同様に、第一受光部121と第二受光部122の各々もまた、複数の受光素子を備えうる。
【0051】
本実施形態に係る第一処理部131は、第一受光部121から出力された第一検出信号S1に基づいて前述した第一検出処理を実行するように構成されている。
【0052】
本実施形態に係る第二処理部132は、第二受光部122から出力された第二検出信号S2に基づいて前述した第二検出処理を実行するように構成されている。
【0053】
すなわち、図3に例示される第一サイクルCY1においては、第一検出光DL1が最上部に位置する第一サブ領域SA1を走査している間、反射光RLの有無と反射光RLが検出されるまでの時間長さは、第一処理部131によって検出される。第二検出光DL2がその第一サブ領域SA1の下方に位置する第二サブ領域SA2を走査している間、反射光RLの有無と反射光RLが検出されるまでの時間長さは、第二処理部132によって検出される。同様に、第一検出光DL1がその第二サブ領域SA2の下方に位置する第一サブ領域SA1を走査している間、反射光RLの有無と反射光RLが検出されるまでの時間長さは、第一処理部131によって検出される。第二検出光DL2が最下部に位置する第二サブ領域SA2を走査している間、反射光RLの有無と反射光RLが検出されるまでの時間長さは、第二処理部132によって検出される。第一サイクルCY1に後続する第二サイクルCY2においても、同様の処理が繰り返される。
【0054】
本実施形態に係る制御部140は、第一発光部111の動作を制御する第一発光制御信号CL1と第二発光部112の動作を制御する第二発光制御信号CL2とを出力する出力インターフェースを備えている。第一発光制御信号CL1は、検出領域DAにおける第一検出光DL1の走査位置情報を含みうる。第一発光部111は、第一発光制御信号CL1に基づいて第一検出光DL1を出射するように構成されている。第二発光制御信号CL2は、検出領域DAにおける第二検出光DL2の走査位置情報を含みうる。第二発光部112は、第二発光制御信号CL2に基づいて第二検出光DL2を出射するように構成されている。
【0055】
第一発光制御信号CL1と第二発光制御信号CL2の各々は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。第一発光制御信号CL1と第二発光制御信号CL2の各々がアナログ信号である場合、制御部140の出力インターフェースは、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0056】
本実施形態に係る制御部140もまた、第一検出処理と第二検出処理の各々が物体検出処理に占める比率を変更できるように構成されている。具体的には、制御部140は、第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の各々が検出領域DAに占める比率を変更する。
【0057】
第一検出処理に用いられる第一検出光DL1を出射することにより、第一発光部111は発熱する。同様に、第二検出処理に用いられる第二検出光DL2を出射することにより、第二発光部112が発熱する。しかしながら、検出光の供給が第一発光部111と第二発光部112とで分担されることにより各発光部における動作負荷を抑制できるので、単一の発光部が非断続的に駆動される場合と比較して、発熱の総量が抑制される。したがって、物体検出処理の実行に伴う熱の発生をさらに抑制できる。
【0058】
発熱抑制効果をさらに高めるために、第一処理部131と第二処理部132の各々の近傍に、ペルチェ素子、ヒートパイプ、空冷ファンなどの冷却装置が配置されてもよい。
【0059】
図7は、第三実施形態に係る路面描画装置103の機能構成を例示している。路面描画装置103は、図8に例示される車両200における適宜の位置に搭載されるように構成されている。当該位置は、車両200の外部に位置する路面RSに所定の画像IMを描画可能な位置として定められる。
【0060】
図7に例示されるように、路面描画装置103は、光源160を備えている。光源160は、可視光VLを出射するように構成されている。可視光VLの波長は、描画される画像IMに応じて適宜に定められうる。当該光源は、発光ダイオード、レーザダイオード、EL素子などの半導体発光素子でありうる。
【0061】
路面描画装置103は、投射部170を備えている。投射部170は、光源160から出射された可視光VLを路面RSへ投射する光学系を備えている。図8に例示されるように、路面RSは、前後方向と左右方向に二次元的な広がりを有している。投射部170は、路面RSが可視光VLによって二次元的に走査されるように、可視光VLの進行方向を前後方向と左右方向について変更する反射光学系を含みうる。
【0062】
光源160と投射部170の組合せに係る構成は、適宜に変更されうる。一例として、上下方向に配列された複数の光源の各々から出射される可視光VLの進行方向が反射光学系によって左右方向に変更されることにより、路面RSの二次元的な走査が実現される構成が採用されうる。別例として、左右方向に配列された複数の光源の各々から出射される可視光VLの進行方向が反射光学系によって上下方向に変更されることにより、路面RSの二次元的な走査が実現される構成が採用されうる。
【0063】
上記のような二次元的走査を実現するための構成自体は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
別例として、光源160は、上下方向と左右方向に配列された複数の光源を備えうる。光源の数は、描画される画像IMの解像度に対応する。この場合、走査のための反射光学系を省略できる。
【0065】
図7に例示されるように、路面描画装置103は、第一処理部181と第二処理部182を備えている。第一処理部181と第二処理部182の各々は、路面RSに所定の画像IMを描画する路面描画処理を行なうように構成されている。画像IMの描画は、光源160の点消灯の制御と投射部170による可視光VLの投射方向の制御を組み合わせることによりなされうる。光源160が点灯されると、可視光VLは、路面RS上に点像PIを形成する。投射部170によって可視光VLの投射方向が高速で変更されることにより、歩行者や他車両の乗員は、点像PIの残像としての画像IMを路面RS上に視認する。適宜の箇所で光源160が消灯されることにより、画像IMの形状を任意に設定できる。図8に示される例においては、車両200の前方に歩行者Wによる視認が可能な「STOP」の文字が画像IMとして描画されている。
【0066】
したがって、図7に例示されるように、第一処理部181と第二処理部182の各々は、光源160の点消灯を制御する発光制御信号CL0と、投射部170による可視光VLの投射方向を制御する投射制御信号CR0とを出力可能な出力インターフェースを備えている。発光制御信号CL0と投射制御信号CR0の各々は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。発光制御信号CL0と投射制御信号CR0の各々がアナログ信号である場合、出力インターフェースは、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0067】
図9に例示されるように、路面RSは、第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2を含んでいる。第一サブ領域SA1は、第一処理部181による路面描画処理に供される領域である。第二サブ領域SA2は、第二処理部182による路面描画処理に供される領域である。以降の説明においては、第一処理部181により実行される路面描画処理を「第一描画処理」と称する。同様に、第二処理部182により実行される路面描画処理を、「第二描画処理」と称する。すなわち、第一描画処理と第二描画処理の各々は、路面描画処理の一部である。
【0068】
光源160から出射された可視光VLにより画像IMの描画が開始されてから完了するまでの期間が、路面描画処理の1サイクルに対応している。同じ画像IMを描画する複数サイクルの路面描画処理が高速で繰り返されることにより、歩行者や他車両の乗員に静止画像が視認されうる。サイクルごとに異なる画像IMを描画する複数の路面描画処理が高速で実行されることにより、歩行者や他車両の乗員に動画像が視認されうる。
【0069】
図9に例示される第一サイクルCY1においては、最前部に位置する第一サブ領域SA1への可視光VLの投射と光源160の点消灯は、第一処理部181により制御される。その第一サブ領域SA1の後方に位置する第二サブ領域SA2への可視光VLの投射と光源160の点消灯は、第二処理部182により制御される。同様に、その第二サブ領域SA2の後方に位置する第一サブ領域SA1への可視光VLの投射と光源160の点消灯は、第一処理部181により制御される。最後部に位置する第二サブ領域SA2への可視光VLの投射と光源160の点消灯は、第二処理部182により制御される。第一サイクルCY1に後続する第二サイクルCY2においても、同様の処理が繰り返される。
【0070】
図7に例示されるように、路面描画装置103は、制御部190を備えている。制御部190は、第一処理部181の動作を制御する第一処理制御信号CP1と第二処理部182の動作を制御する第二処理制御信号CP2とを出力する出力インターフェースを備えている。第一処理部181は、第一処理制御信号CP1を受信すると第一描画処理を実行するように構成されている。第二処理部182は、第二処理制御信号CP2を受信すると第二描画処理を実行するように構成されている。
【0071】
すなわち、制御部190は、第一サブ領域SA1に画像IMの少なくとも一部が描画される間、第一処理制御信号CP1を出力する。同様に、制御部190は、第二サブ領域SA2に画像IMの少なくとも一部が描画される間、第二処理制御信号CP2を出力する。
【0072】
制御部190は、第一描画処理と第二描画処理の各々が路面描画処理に占める比率を変更できるように構成されている。具体的には、制御部190は、第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の各々が路面RSに占める比率を変更する。
【0073】
図9に例示される第一サイクルCY1と第二サイクルCY2においては、第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の各々が路面RSに占める比率は等しい。第mサイクルCYmにおいては、制御部190は、第一サブ領域SA1が路面RSに占める比率が高くなるように変更を行なっている。したがって、第二サブ領域SA2が路面RSに占める比率は低くなる。結果として、第一処理部181により実行される第一描画処理が路面描画処理に占める比率が、第二処理部182により実行される第二描画処理が路面描画処理に占める比率よりも高くなる。
【0074】
図9に例示される第nサイクルCYnにおいては、制御部190は、第二サブ領域SA2が路面RSに占める比率が高くなるように変更を行なっている。したがって、第一サブ領域SA1が路面RSに占める比率は低くなる。結果として、第二処理部182により実行される第二描画処理が路面描画処理に占める比率が、第一処理部181により実行される第一描画処理が路面描画処理に占める比率よりも高くなる。
【0075】
1サイクルの路面描画処理に供される路面RSが必ずしも第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の双方を含むことを要しない。図10は、制御部190により実行されうる比率変更処理の別例を示している。
【0076】
第一サイクルCY1においては、路面RSは第一サブ領域SA1のみを含んでいる。したがって、第一サイクルCY1の間、制御部190は第一処理制御信号CP1のみを出力し、第一処理部181による第一描画処理のみが実行される。
【0077】
第二サイクルCY2においては、路面RSは第二サブ領域SA2のみを含んでいる。したがって、第二サイクルCY2の間、制御部190は第二処理制御信号CP2のみを出力し、第二処理部182による第二描画処理のみが実行される。
【0078】
第三サイクルCY3および第四サイクルCY4において第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の各々が路面RSに占める比率は、それぞれ第一サイクルCY1および第二サイクルCY2と同じである。したがって、本例においては、第一処理部181による第一描画処理と第二処理部182による第二描画処理が、路面描画処理のサイクルごとに交互に実行される。
【0079】
図11は、制御部190により実行されうる比率変更処理の別例を示している。本例においては、基本動作として、路面描画処理のサイクルごとに第一処理部181により第一描画処理のみが実行される。すなわち、特定の路面描画処理のサイクルにおいて、第二処理部182による第二描画処理のみが補助的に実行される。本例の場合、第三サイクルCY3において、第二処理部182による第二描画処理のみが実施されている。制御部190が第二描画処理を実行するタイミングは、適宜に定められうる。
【0080】
第一処理部181、第二処理部182、および制御部190の各々は、上記の各処理を実行可能なプロセッサを含む専用集積回路により実現されうる。専用集積回路の例としては、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどが挙げられる。制御部190は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサを備えるように構成されてもよい。汎用マイクロプロセッサの例としては、CPU、MPU、GPUが挙げられる。汎用メモリの例としては、ROMやRAMが挙げられる。第一処理部181と第二処理部182は、独立した素子パッケージとして提供される。制御部190は、第一処理部181と第二処理部182のいずれか一方と素子パッケージを共有してもよい。
【0081】
第一描画処理の実行に伴い、第一処理部181は発熱する。同様に、第二描画処理の実行に伴い、第二処理部182が発熱する。しかしながら、路面描画処理が第一処理部181と第二処理部182とで分担されることにより各処理部における処理負荷を抑制できるので、単一の処理部が非断続的に駆動される場合と比較して、発熱の総量が抑制される。加えて、第一描画処理と第二描画処理の各々が路面描画処理に占める比率が、第一処理部181と第二処理部182の各々が置かれている熱的環境に応じて制御部190により適宜に変更されうる。したがって、路面描画処理の実行に伴う熱の発生をより適切に抑制できる。
【0082】
図9から図11を参照して説明した第一描画処理と第二描画処理の各々が路面描画処理に占める比率が変更されるタイミングは、第一処理部181と第二処理部182の各々が置かれている熱的環境に応じて予めスケジュールされてもよいし、所定の条件が満足されたタイミングで変更がなされてもよい。
【0083】
例えば、図7に例示されるように、路面描画装置103は、温度検出部150を備えうる。温度検出部150は、第一処理部181の第一動作温度T1と第二処理部182の第二動作温度T2を取得するように構成される。第一動作温度T1は、第一処理部181の素子パッケージ自体の温度であってもよいし、第一処理部181が設置されている場所の温度であってもよい。第二動作温度T2は、第二処理部182の素子パッケージ自体の温度であってもよいし、第二処理部182が設置されている場所の温度であってもよい。
【0084】
温度検出部150により取得された第一動作温度T1と第二動作温度T2は、制御部190に入力される。すなわち、制御部190は、第一動作温度T1と第二動作温度T2を受け付ける入力インターフェースを備えうる。第一動作温度T1と第二動作温度T2は、デジタルデータの形態であってもよいし、アナログデータの形態であってもよい。第一動作温度T1と第二動作温度T2がアナログデータの形態である場合、入力インターフェースは、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0085】
この場合、制御部190は、第一動作温度T1と第二動作温度T2に基づいて、第一描画処理と第二描画処理の各々が動作描画処理に占める比率を変更しうる。
【0086】
一例として、第一処理部181の動作制限温度と第二処理部182の動作制限温度が同じである場合、制御部190は、第一動作温度T1と第二動作温度T2に基づいて第一処理部181と第二処理部182のいずれがより高い温度で動作しているかを特定し、特定された処理部に路面描画処理を実行させうる。
【0087】
別例として、第一処理部181の動作制限温度と第二処理部182の動作制限温度が相違する場合、制御部190は、第一動作温度T1と第二動作温度T2に基づいて第一処理部181と第二処理部182のいずれが動作制限温度に対してより余裕があるかを特定し、特定された処理部に路面描画処理を実行させうる。
【0088】
このような構成によれば、第一処理部181と第二処理部182が実際に置かれている熱環境に応じて、第一描画処理と第二描画処理の各々が動作描画処理に占める比率を、柔軟かつ即時的に変更できる。したがって、前述の発熱抑制効果をさらに高めることができる。
【0089】
図12は、第四実施形態に係る路面描画装置104の機能構成を例示している。路面描画装置104もまた、図8に例示される車両200における適宜の位置に搭載されるように構成されている。第三実施形態に係る路面描画装置103と共通の説明を適用可能である要素については、同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明を省略する。
【0090】
図12に例示されるように、路面描画装置104は、第一光源161と第二光源162を備えている。第一光源161と第二光源162は、第一可視光VL1と第二可視光VL2をそれぞれ出射するように構成されている。第一可視光VL1と第二可視光VL2の各々の波長は、描画される画像IMに応じて適宜に定められうる。第一光源161と第二光源162の各々は、発光ダイオード、レーザダイオード、EL素子などの半導体発光素子でありうる。
【0091】
路面描画装置104は、第一投射部171と第二投射部172を備えている。第一投射部171は、第一光源161から出射された第一可視光VL1を、図9から図11に例示される路面RSにおける第一サブ領域SA1へ投射するように構成されている。第二投射部172は、第二光源162から出射された第二可視光VL2を、路面RSにおける第二サブ領域SA2へ投射するように構成されている。
【0092】
第三実施形態に係る路面描画装置103の光源160と投射部170について図9を参照しつつ説明したように、第一光源161と第一投射部171の組合せに係る構成、および第二光源162と第二投射部172の組合せに係る構成もまた、適宜に変更されうる。
【0093】
本実施形態に係る第一処理部181は、第一光源161の点消灯と第一投射部171による第一可視光VL1の投射方向を制御することにより、前述した第一描画処理を実行するように構成されている。第一光源161が点灯されると、第一可視光VL1は、路面RS上に第一点像PI1を形成する。第一投射部171によって第一可視光VL1の投射方向が高速で変更されることにより、歩行者や他車両の乗員は、第一点像PI1の残像としての画像IMの少なくとも一部を路面RS上に視認する。
【0094】
本実施形態に係る第二処理部182は、第二光源162の点消灯と第二投射部172による第二可視光VL2の投射方向を制御することにより、前述した第二描画処理を実行するように構成されている。第二光源162が点灯されると、第二可視光VL2は、路面RS上に第二点像PI2を形成する。第二投射部172によって第二可視光VL2の投射方向が高速で変更されることにより、歩行者や他車両の乗員は、第二点像PI2の残像としての画像IMの少なくとも一部を路面RS上に視認する。
【0095】
すなわち、図9に例示される第一サイクルCY1においては、最前部に位置する第一サブ領域SA1への第一可視光VL1の投射と第一光源161の点消灯は、第一処理部181により制御される。その第一サブ領域SA1の後方に位置する第二サブ領域SA2への第二可視光VL2の投射と第二光源162の点消灯は、第二処理部182により制御される。同様に、その第二サブ領域SA2の後方に位置する第一サブ領域SA1への第一可視光VL1の投射と第一光源161の点消灯は、第一処理部181により制御される。最後部に位置する第二サブ領域SA2への第二可視光VL2の投射と第二光源162の点消灯は、第二処理部182により制御される。第一サイクルCY1に後続する第二サイクルCY2においても、同様の処理が繰り返される。
【0096】
本実施形態に係る制御部190は、第一光源161の動作を制御する第一発光制御信号CL1と第二光源162の動作を制御する第二発光制御信号CL2とを出力する出力インターフェースを備えている。第一発光制御信号CL1は、路面RSにおける第一可視光VL1の走査位置情報を含みうる。第一光源161は、第一発光制御信号CL1に基づいて第一可視光VL1を出射するように構成されている。第二発光制御信号CL2は、路面RSにおける第二可視光VL2の走査位置情報を含みうる。第二光源162は、第二発光制御信号CL2に基づいて第二可視光VL2を出射するように構成されている。
【0097】
第一発光制御信号CL1と第二発光制御信号CL2の各々は、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。第一発光制御信号CL1と第二発光制御信号CL2の各々がアナログ信号である場合、制御部190の出力インターフェースは、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0098】
本実施形態に係る制御部190もまた、第一描画処理と第二描画処理の各々が路面描画処理に占める比率を変更できるように構成されている。具体的には、制御部190は、第一サブ領域SA1と第二サブ領域SA2の各々が路面RSに占める比率を変更する。
【0099】
第一描画処理に用いられる第一可視光VL1を出射することにより、第一光源161は発熱する。同様に、第二描画処理に用いられる第二可視光VL2を出射することにより、第二光源162が発熱する。しかしながら、検出光の供給が第一光源161と第二光源162とで分担されることにより各発光部における動作負荷を抑制できるので、単一の発光部が非断続的に駆動される場合と比較して、発熱の総量が抑制される。したがって、路面描画処理の実行に伴う熱の発生をさらに抑制できる。
【0100】
発熱抑制効果をさらに高めるために、第一処理部181と第二処理部182の各々の近傍に、ペルチェ素子、ヒートパイプ、空冷ファンなどの冷却装置が配置されてもよい。
【0101】
上記の各実施形態は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本開示の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更や改良がなされうる。
【0102】
第一実施形態に係る情報検出装置101と第二実施形態に係る情報検出装置102において、第一処理部131による第一検出処理に供される検出領域DAにおける第一サブ領域SA1と、第二処理部132による第二検出処理に供される検出領域DAにおける第二サブ領域SA2とは、一部が重複していてもよい。
【0103】
第三実施形態に係る路面描画装置103と第四実施形態に係る路面描画装置104において、第一処理部181による第一描画処理に供される路面RSにおける第一サブ領域SA1と、第二処理部182による第二描画処理に供される路面RSにおける第二サブ領域SA2とは、一部が重複していてもよい。
【0104】
上記のような情報検出装置や路面描画装置が搭載される移動体は、車両200に限られない。その他の移動体の例としては、鉄道、飛行体、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0105】
上記のような情報検出装置および路面描画装置は、移動体に搭載されることを要しない。情報検出装置と路面描画装置の各々は、図13に例示されるように、街路灯300や交通信号機400などの交通インフラ設備にも搭載されうる。この場合、当該交通インフラ設備は、監視装置の一例になりうる。
【0106】
情報検出装置が街路灯300に搭載される場合、領域A1内に位置する歩行者500や車両などが検出されうる。すなわち、図1図6に例示された検出領域DAが、領域A1内に設定される。例えば、歩行者500や車両が交差点に進入しようとしていることが検出されると、当該情報が通信を介して別方向から当該交差点に進入しようとしている車両200へ通知されうる。
【0107】
例えば、交通信号機400に搭載された路面描画装置により通知がなされうる。すなわち、領域A2が、図7図12に例示された路面RS上に設定される。
【0108】
情報検出装置と路面描画装置の双方が街路灯300と交通信号機400のいずれか一方に搭載されてもよいし、交通信号機400に搭載された情報検出装置による検出結果に基づいて、街路灯300に搭載された路面描画装置による情報の通知がなされてもよい。
【0109】
本出願の記載の一部を構成するものとして、2020年7月22日に提出された日本国特許出願2020-125574号の内容が援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13