(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】高血圧監視のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20240919BHJP
G16H 20/00 20180101ALI20240919BHJP
【FI】
G16H50/30
G16H20/00
(21)【出願番号】P 2022574280
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(86)【国際出願番号】 US2021035304
(87)【国際公開番号】W WO2021247613
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-12-01
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギャッティズ, レオン, アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】キチャエヴ, グレブ
(72)【発明者】
【氏名】グリーンバーグ, チャールズ, エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クリスマン, チャールズ, グラハム, ヘイヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウス, クリストファー, ジェイ.
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0104951(US,A1)
【文献】特開2009-110282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0181649(US,A1)
【文献】特開2004-265307(JP,A)
【文献】特開2007-047979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
光学センサと、
動きセンサと、
前記光学センサおよび前記動きセンサに接続された処理回路と、を有し、
前記処理回路は、
高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成し、ここで高血圧スコアまたはパラメータの前記複数の推定値の各個別の推定値は、前記光学センサおよび前記動きセンサからのデータの
第1の期間の持続時間に対応する個別のセグメントを使用し
て生成され、
前記複数の推定値を使用して
前記第1の期間より長い第2の期間の持続時間に対応する集約高血圧スコアを生成する、
ように構成される、電子デバイス。
【請求項2】
前記処理回路は、さらに、
閾値を超える前記集約高血圧スコアに従って、高血圧の可能性に関する通知を生成するように構成されるとともに、
前記集約高血圧スコアが前記閾値を超えないことに従って、前記通知を生成することを取り止めるように構成される、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記処理回路は、高血圧スコアまたはパラメータの前記複数の推定値を生成するように構成された第1の機械学習モデルを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第1の機械学習モデルは、収縮期高血圧スコアまたはパラメータを生成するように構成された第1の予測ヘッドと、拡張期高血圧スコアまたはパラメータを生成するように構成された第2の予測ヘッドと、を含む、請求項
3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記処理回路は、前記集約高血圧スコアを生成するように構成された第2の機械学習モデルを含む、請求項
3に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記第2の機械学習モデルは、1つ以上の勾配ブーストされた決定木、または正規化線形回帰モデルを含む、請求項
5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記集約高血圧スコアを生成することは、前記複数の推定値を使用して統計パラメータを計算することと、前記統計パラメータを使用して前記集約高血圧スコアを生成することとを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記処理回路は、
前記光学センサおよび前記動きセンサからのデータの
前記第1の期間の持続時間に対応する前記個別のセグメントを1つ以上のパルス窓に分割
し、
予め定められた数の前記パルス窓のデータを用いて前記推定値を生成する
、ようにさらに構成される、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記処理回路は、前記1つ以上のパルス窓をスケーリングするようにさらに構成される、請求項
8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記処理回路は、高血圧スコアまたはパラメータの前記複数の推定値を生成するように構成された機械学習モデルを含む、請求項
8に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記光学センサおよび前記動きセンサからのデータの前記個別のセグメントを使用して、高血圧スコアまたはパラメータの前記複数の推定値の前記個別の推定値を生成することは、
前記1つ以上のパルス窓の複数を前記機械学習モデルに入力して、前記1つ以上のパルス窓の前記複数の各々について高血圧パラメータの特徴ベクトルを生成することと、
前記1つ以上のパルス窓の前記複数についての前記特徴ベクトルを平均化して、前記個別のセグメントについての集約特徴ベクトルを生成することと、を含む、請求項
10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記光学センサおよび前記動きセンサからのデータの前記個別のセグメントを使用して、高血圧スコアまたはパラメータの前記複数の推定値の前記個別の推定値を生成することは、
前記個別のセグメントに関する前記集約特徴ベクトルを変換して、スカラー値を有する前記個別の推定値を生成することを含む、請求項
11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記集約特徴ベクトルを変換することは、1つ以上の線形変換を適用することを含む、請求項
12に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記1つ以上の線形変換は、前記個別のセグメントについての前記集約特徴ベクトルの基底を新しい基底に変更するための変換を含む、請求項
13に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記1つ以上の線形変換は、前記新しい基底における前記個別のセグメントについての前記集約特徴ベクトルから、収縮期高血圧スコアまたはパラメータおよび拡張期高血圧スコアまたはパラメータを予測するための変換を含む、請求項
14に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記1つ以上の線形変換は、前記収縮期高血圧スコアまたはパラメータおよび前記拡張期高血圧スコアまたはパラメータから、前記高血圧スコアの前記個別の推定値を予測するための変換を含む、請求項
15に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記集約高血圧スコアを生成することは、前記集約高血圧スコアを生成するために、前記複数の推定値を平均化することを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項18】
電子デバイスが有する処理回路が実行する方法であって、
高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成することと、ここで高血圧スコアまたはパラメータの前記複数の推定値の各個別の推定値は、光学センサおよび動きセンサからのデータの
第1の期間の持続時間に対応する個別のセグメントを使用し
て生成され、
前記複数の推定値を使用して
前記第1の期間より長い第2の期間の持続時間に対応する集約高血圧スコアを生成することと、を含む、方法。
【請求項19】
命令を有するコンピュータプログラムであって、前記命令は、処理回路を含むデバイスによって実行されると、前記処理回路に、
高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成し、ここで高血圧スコアまたはパラメータの前記複数の推定値の各個別の推定値は、光学センサおよび動きセンサからのデータの
第1の期間の持続時間に対応する個別のセグメントを使用し
て生成され、
前記複数の推定値を使用して
前記第1の期間より長い第2の期間の持続時間に対応する集約高血圧スコアを生成する、ようにさせる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年6月2日に出願された米国仮特許出願第63/033,802号、2021年2月5日に出願された米国仮特許出願第63/146,536号に対する利益を主張し、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、高血圧監視のためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、ウェアラブルデバイスを使用する高血圧監視に関する。
【背景技術】
【0003】
適切な診断および処置がなければ、高血圧症(高血圧)は、脳卒中および心臓発作などの健康問題のリスクを増加させ得る。症状が数ヶ月または数年にわたって現れないことがあるため、高血圧は検出されないことが多い。しかしながら、症状がなくても、高血圧は心臓および血管を損傷する可能性がある。従って、高血圧のインジケーションをユーザに提供することは、健康を改善するのに有用であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ウェアラブルデバイスを使用して高血圧を監視するためのシステムおよび方法に関する。ウェアラブルデバイスは、動きおよび/または向きセンサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)等)および光学センサを含むことができる。センサからのデータは、ウェアラブルデバイス内で、および/またはウェアラブルデバイスと通信する別のデバイスによって処理されて、未診断高血圧の早期スクリーニングを提供することができる。スクリーニングがユーザについて未診断高血圧を推定する場合、ユーザは適切な高血圧診断を求めるように通知され得る。高血圧監視は、1つ以上の短期高血圧スコアまたはパラメータを推定するための第1段階を含むことができる。短期高血圧スコア/パラメータは、血圧と相関させることができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア/パラメータは、収縮期血圧スコア(またはパラメータ)および拡張期血圧スコア(またはパラメータ)を含むことができる。高血圧監視はまた、高血圧を推定するために、蓄積された短期スコア/パラメータ(例えば、閾値期間または閾値数の短期高血圧スコア/パラメータ)を使用して長期高血圧スコアを推定する第2段階を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本開示の例による、高血圧監視に使用することができる例示的なシステムを示す。
【
図1B】本開示の例による、高血圧監視に使用することができる例示的なシステムを示す。
【0006】
【
図2】本開示の例による、高血圧監視の例示的なブロック図を示す。
【0007】
【
図3】本開示の例による、高血圧監視のための例示的なプロセスを示す。
【0008】
【
図4A】本開示の例による、短期高血圧スコア生成器の例示的なブロック図を示す。
【
図4B】本開示の例による、短期高血圧スコア生成器の例示的なブロック図を示す。
【0009】
【
図5A】本開示の例による、長期高血圧スコア生成器の例示的なブロック図を示す。
【
図5B】本開示の例による、長期高血圧スコア生成器の例示的なブロック図を示す。
【
図5C】本開示の例による、長期高血圧スコア生成器の例示的なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施例の説明では、実践することが可能な特定の実施例が例示として示される、実施例の一部分を構成する添付図面を参照する。開示された実施例の範囲から逸脱することなく、他の実施例を使用することができ、構造上の変更を実施することができる点を理解されたい。
【0011】
本発明は、ウェアラブルデバイスを使用して高血圧を監視するためのシステムおよび方法に関する。ウェアラブルデバイスは、動きおよび/または向きセンサ(例えば、加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)等)および光学センサを含むことができる。センサからのデータは、ウェアラブルデバイス内で、および/またはウェアラブルデバイスと通信する別のデバイスによって処理されて、未診断高血圧の早期スクリーニングを提供することができる。スクリーニングがユーザについて未診断高血圧を推定する場合、ユーザは適切な高血圧診断を求めるように通知され得る。
【0012】
高血圧監視は、1つ以上の短期高血圧スコアまたはパラメータを推定するための第1段階を含むことができる。短期高血圧スコア/パラメータは、血圧と相関させることができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア/パラメータは、収縮期血圧スコア(またはパラメータ)および拡張期血圧スコア(またはパラメータ)を含むことができる。高血圧監視はまた、高血圧を推定するために、蓄積された短期スコア/パラメータ(例えば、閾値期間または閾値数の短期高血圧スコア/パラメータ)を使用して長期高血圧スコアを推定する第2段階を含むことができる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「短期」高血圧スコア/パラメータは、1つ以上のセンサからの入力データのセグメントから計算された高血圧スコア/パラメータを表すことができ、各セグメントは、第1の期間(例えば、30秒、1分、2分、5分など)に対応する。短期高血圧スコア/パラメータは、(例えば、第1の期間に取得されたデータを含む)セグメントの血圧と相関することができる。本明細書で使用される場合、「長期」高血圧スコアは、第2の期間(例えば、数日、1週間、数週間、1ヶ月など)の経過にわたって取得された入力データから計算された高血圧スコアを表すことができ、これは、第2の期間の血圧と相関することができる。従って、「短期」および「長期」は、第1の期間と第2の期間との間の相対的な差を反映する。「長期」高血圧スコアのために使用される第2の期間は、「短期」高血圧スコア/パラメータのために使用される第1の期間よりも何桁も長くなり得る。
【0014】
図1A~
図1Bは、本開示の例による、高血圧監視に使用することができる例示的なシステムを示す。システムは、1つ以上のセンサと、1つ以上のセンサからのデータを使用して、ある期間にわたって高血圧を推定するための処理回路とを含むことができる。いくつかの例では、システムは、ウェアラブルデバイス(例えば、ウェアラブルデバイス100)において実装され得る。いくつかの例では、システムは、2つ以上のデバイス(例えば、ウェアラブルデバイス100およびウェアラブルデバイス100と通信する第2のデバイス)において実装され得る。
【0015】
図1Aは、ストラップ146または他の留め具を使用してユーザに取り付けることができる例示的なウェアラブルデバイス100を示す。ウェアラブルデバイス100は、1つ以上のセンサからのデータを使用して、ある期間にわたって高血圧を推定するために使用される1つ以上のセンサを含むことができ、任意選択的に、本明細書に説明されるように、高血圧監視の結果を表示するためのタッチスクリーン128を含むことができる。
【0016】
図1Bは、本開示の例による、高血圧を監視するために使用されるウェアラブルデバイス100のアーキテクチャの例示的なブロック図を示す。
図1Bに示すように、ウェアラブルデバイス100は、1つ以上のセンサを含むことができる。例えば、ウェアラブルデバイス100は、1つ以上の発光体102(例えば、1つ以上の発光ダイオード(LED))および1つ以上の光センサ104(例えば、1つ以上の受光素子/フォトダイオード)を含む光学センサを任意選択的に含むことができる。1つ以上の発光体は、とりわけ、赤外線(IR)、緑色、琥珀色、青色および/または赤色光に対応する範囲の光を生成することができる。光学センサは、ユーザの皮膚114に光を放出し、皮膚からの光の反射を検出するために使用することができる。光センサによる光学センサ測定値は、時間領域フォトプレチスモグラフィ(PPG)信号を表すことができる。光センサによる光学センサ測定値は、アナログ-デジタル変換器(ADC)105bを介して処理のためにデジタル信号に変換することができる。光学センサおよび1つ以上のプロセッサ108による光信号の処理は、いくつかの例では、生理学的特性(例えば、心拍数、動脈血酸素飽和度など)の推定、生理学的状態(例えば、高血圧)の監視、および/またはユーザとの接触(例えば、手首上/手首外検出)の検出を含む様々な機能に使用することができる。
【0017】
一部の実施例では、1つ以上のプロセッサ108による光信号の処理は、光学センサからの光信号内の心周期(パルス)を識別することを含むことができる。例えば、光信号の処理は、PPG信号(例えば、収縮期ピーク、拡張期ノッチ、拡張期ピークなど)における心周期の1つ以上の特徴を識別することを含むことができる。1つ以上の特徴は、各心周期(例えば、モーションアーチファクトによって壊れないもの)と、心周期の時間的位置(例えば、特徴のうちの1つの特徴のタイミングに対応する)を識別するために使用することができる。さらに、1つ以上のプロセッサ108による光信号の処理は、各心周期に関連する信頼度パラメータを計算することを含むことができる(例えば、PPGシグナルの形態に基づいて)。一部の実施例では、1つ以上のプロセッサ108による光信号の処理は、心周期のための1つ以上の特徴を使用して、1つ以上の適格基準を満たす信頼度パラメータで光信号内の適格な心周期(適格パルス)を識別することを含むことができる。一部の実施例では、心周期は、信頼度パラメータが閾値を上回る場合に適格であり、信頼度パラメータが閾値を下回る場合に非適格であり得る。
【0018】
1つ以上のセンサは、加速度計、ジャイロスコープ、慣性測定ユニット(IMU)などの動きおよび/または向きセンサを含むことができる。例えば、ウェアラブルデバイス100は、マルチチャネル加速度計(例えば、3軸加速度計)とすることができる加速度計106を含むことができる。本明細書でより詳細に説明するように、動きおよび/または向きセンサは、高血圧監視に使用することができる。いくつかの例では、動きおよび/または向き情報は、PPG信号のいくつかのサンプルに影響を与える(例えば、破損)可能性があるモーションアーチファクトおよび/またはユーザ姿勢のインジケーションを提供するのに有用であり得る。追加的または代替的に、動きおよび/または向きデータはまた、心拍に関する情報を搬送してもよく、この情報(およびPPG信号における心拍に対するそのタイミング)は、本明細書に記載の高血圧スコア/パラメータを推定するのに有用であり得る。加速度計106による測定値は、ADC 105aを介して処理のためにデジタル信号に変換することができる。
【0019】
ウェアラブルデバイス100はまた、任意選択的に、光熱センサ、磁力計、気圧計、コンパス、近接センサ、カメラ、周囲光センサ、温度計、全地球測位システムセンサ、およびバッテリ残量、消費電力、プロセッサ速度、CPU負荷などを検知することができる様々なシステムセンサを含むがこれらに限定されない他のセンサを含むことができる。様々なセンサが記載されているが、より少ない、より多い、または異なるセンサが使用されてもよいことが理解される。
【0020】
1つ以上のセンサ(例えば、動きデータ、光学データなど)から取得されたデータは、ウェアラブルデバイス100内のメモリに記憶することができる。例えば、ウェアラブルデバイス100は、処理回路による処理のためにセンサからのデータを一時的に(または恒久的に)記憶するためのデータバッファ(または他の揮発性若しくは不揮発性のメモリ若しくは記憶装置)を含むことができる。いくつかの例では、揮発性または不揮発性のメモリまたは記憶装置を使用して、更なる処理のために、または高血圧監視結果の記憶および/または表示のために、処理されたデータ(例えば、フィルタリングされたデータ、短期高血圧スコアまたはパラメータ、長期高血圧スコアなど)を記憶することができる。いくつかの例では、揮発性または不揮発性のメモリまたは記憶装置を使用して、適格なパルスの位置を示す、またはパルスの位置およびパルスの位置に関連する信頼度パラメータを示す、パルスデータと本明細書で呼ばれる処理データを記憶することができる。追加的または代替的に、揮発性または不揮発性のメモリまたは記憶装置を使用して、入力セグメント内のいくつかまたは全てのパルスを形成することにより、パルスごとに光学データから抽出された特徴を含む抽出された特徴データと本明細書で呼ばれる処理されたデータを記憶することができる(任意選択的に、入力セグメント内のいくつかまたは全てのパルスにわたってパルスごとに抽出された特徴を平均化または他の方法で集約する)。
【0021】
ウェアラブルデバイス100はまた、高血圧スコア/パラメータの生成および高血圧の推定を含む、本明細書に記載の様々な処理を実施するための処理回路を含むことができる。処理回路は、1つ以上のプロセッサ108を含むことができる。プロセッサのうちの1つ以上は、デジタル信号プロセッサ(DSP)109、マイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)などを含むことができる。
【0022】
いくつかの例では、処理の一部は、ウェアラブルデバイスと通信する周辺デバイス118によって実行することができる。周辺デバイス118は、スマートフォン、メディアプレーヤ、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、データサーバ、クラウドストレージサービス、または任意の他の携帯または非携帯電子コンピューティングデバイス(第2のウェアラブルデバイスを含む)とすることができる。ウェアラブルデバイス100はまた、有線または無線通信リンク124を介して周辺デバイス118に通信可能に接続するための通信回路110を含むことができる。例えば、通信回路110は、セルラ、Bluetooth、Wi-Fiなどを含む1つ以上の無線通信プロトコルのための回路を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施例では、ウェアラブルデバイス100は、高血圧監視結果を表示するため(例えば、医療診断を求める通知を表示する)、および/またはユーザからの入力を受信するためのタッチスクリーン128を含むことができる。いくつかの例では、タッチスクリーン128は、非タッチセンシティブディスプレイに置き換えられてもよく、またはタッチおよび/またはディスプレイ機能は、別のデバイスに実装されてもよい。いくつかの例では、ウェアラブルデバイス100は、オーディオ入出力機能のためのマイクロフォン/スピーカ122、ユーザに触覚フィードバックを提供する触覚回路、および/または他のセンサおよび入出力デバイスを含むことができる。ウェアラブルデバイス100はまた、ウェアラブルデバイス100の構成要素に電源を供給するためのエネルギー貯蔵デバイス(例えば、バッテリ)を含むことができる。
【0024】
1つ以上のプロセッサ108(本明細書では処理回路とも呼ばれる)は、プログラム記憶装置111に接続することができ、プログラム記憶装置111(例えば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体)に記憶された命令を実行するように構成(プログラム)することができる。処理回路は、例えば、場合により高血圧監視の結果を含むユーザインターフェース(UI)の表示画像などの、タッチスクリーン128上の表示画像を生成するための制御信号およびデータ信号を提供することができる。処理回路はまた、タッチスクリーン128からタッチ入力を受信することができる。タッチ入力は、限定はしないが、カーソルまたはポインタなどの物体の移動、スクロールまたはパニング、制御設定の調整、ファイルまたは文書を開くこと、メニューの閲覧、選択の実行、命令の実行、ホストデバイスに接続された周辺デバイスの操作、電話の応答、電話の発信、電話の着信、音量またはオーディオ設定の変更、アドレス、頻繁に発信される番号、着信、不在着信などの電話通信に関する情報の保存、コンピュータまたはコンピュータネットワークへのログイン、許可された個人にコンピュータまたはコンピュータネットワークの制限された領域へのアクセスを許可すること、コンピュータデスクトップのユーザの好ましい配置に関連付けられたユーザプロファイルのロード、ウェブコンテンツへのアクセスの許可、特定のプログラムの起動、メッセージの暗号化または復号などを含むことができるアクションを実行するために、プログラム記憶装置111に記憶されたコンピュータプログラムによって使用することができる。処理回路はまた、タッチ処理および表示に関連しない可能性がある追加の機能を実行することができる。いくつかの例では、処理回路は、本明細書に記載の信号処理機能のいくつか(例えば、高血圧監視/スコアリング)を実行することができる。
【0025】
高血圧監視を含む本明細書に記載の機能のうちの1つ以上は、メモリに記憶されたファームウェアまたはプログラム記憶装置111に記憶され、処理回路によって実行される命令によって実行することができることに留意されたい。ファームウェアは、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステムなどの命令を実行するシステム、装置、若しくはデバイス、または、命令を実行するシステム、装置、若しくはデバイスから命令をフェッチし、命令を実行することができる他のシステム、によって使用されるか、またはこれらに接続した任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にもまた、記憶され、および/または送信されることができる。本文書のコンテキストでは、「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」は、命令実行システム、装置、若しくはデバイスによって、またはそれらに関連して使用するためのプログラムを含むことができ、または記憶することができるいずれかの媒体(信号を除く)とすることができる。コンピュータ可読記憶媒体としては、電子、磁気、光学、電磁、赤外線、または半導体システム、装置またはデバイス、携帯コンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(磁気)、読み出し専用メモリ(ROM)、EPROM(erasable programmable read-only memory)(磁気)、またはコンパクトフラッシュ(登録商標)カードなどのフラッシュメモリ、セキュアデジタルカード、USBメモリデバイス、メモリースティック等を挙げることができるが、これらに限定はされない。
【0026】
このファームウェアは、コンピュータベースのシステム、プロセッサを含むシステムなどの命令を実行するシステム、装置、若しくはデバイス、または、命令を実行するシステム、装置、若しくはデバイスから命令をフェッチし、命令を実行することができる他のシステム、によって使用されるか、またはこれらに接続した任意の送信媒体内でもまた、伝搬することができる。本明細書の文脈では、「伝送媒体」は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用されるかまたはこれらに接続したプログラムを通信し、伝搬し、または伝送することができる任意の媒体とすることができる。伝送媒体としては、限定はされないが、電子、磁気、光学、電磁または赤外線の有線または無線の伝播媒体を挙げることができるが、これらに限定はされない。
【0027】
図1Bに示すアーキテクチャは、1つの例示的なアーキテクチャに過ぎず、ウェアラブルデバイスは、示されるものよりも多い構成要素、若しくは少ない構成要素、または異なる構成の構成要素を有することが可能である点を理解されたい。
図1Bに示す様々な構成要素は、1つ以上の信号処理回路および/または特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装することができる。さらには、
図1Bに示す構成要素は、単一のデバイス内部に含めることができ、または、複数のデバイス間で分散させることもできる。
【0028】
図2は、本開示の例による、高血圧監視の例示的なブロック図を示す。ブロック
図200は、高血圧スコアおよび/またはパラメータを計算するための処理回路(例えば、
図1Bの1つ以上のプロセッサ108および/またはDSP109に対応する)を含むことができる。いくつかの例では、処理回路は、短期高血圧スコア生成器205(第1段階)および長期高血圧スコア生成器215(第2段階)を含むことができる。ブロック図はまた、短期高血圧スコア生成器205によって生成された短期高血圧スコア/パラメータを記憶することができ、長期高血圧スコア生成器215によってアクセスすることができるメモリ210を含むことができる。
【0029】
短期高血圧スコア生成器205は、入力として、1つ以上のセンサからデータを受信することができる。データは、光学センサからの光学データ(例えば、PPG信号)と、動きセンサ(例えば、3軸加速度計)からの動きデータとを含むことができる。光学データおよび動きデータの両方は、第1の期間(例えば、30秒、1分、2分、5分等)の持続時間のセグメントの間、並行して取り込まれ得る。いくつかの例では、短期高血圧スコア生成器205への入力はまた、適格なパルスの位置(または適格なパルスの位置に関連するパルスの位置および信頼度パラメータ)を示すパルスデータを含むことができる。光学データおよび動きデータの取得(および/またはパルスデータを生成するための光学データおよび/または動きデータの処理)は、データを取得するための近接ユーザ要求なしに実行されるバックグラウンドプロセスの一部とすることができる。加えて、または代替として、いくつかの例では、光学データおよび動きデータ(および/またはパルスデータを生成するための光学および/若しくは動きデータの処理)は、ユーザ要求(例えば、光学および動きセンサを使用して心拍を測定するためのユーザ要求)に応答して取得されることができる。いくつかの実施例では、光学データおよび動きデータを取得するためのバックグラウンドプロセス(および/またはパルスデータを生成するための光学および/または動きデータの処理)は、連続的に、周期的に(例えば、1時間あたりまたは1日あたり整数回)、光学/動きデータの最後の測定後の閾値期間、または様々なトリガに応答して、行われることができる。光学データおよび動きデータを取得するためのバックグラウンドプロセスの周波数(および/またはパルスデータを生成するための光学および/または動きデータの処理)は、いくつかの例では、バックグラウンドプロセスに割り当てられた総電力の関数として制限することができる。
【0030】
短期高血圧スコア生成器205は、光学データおよび加速度計データ(および任意選択でパルスデータ)のセグメントを処理して、血圧と相関し得る短期高血圧スコア/パラメータを生成することができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア/パラメータは、各セグメントに対する推定収縮期および拡張期血圧(または収縮期および拡張期血圧と相関する収縮期スコアおよび拡張期スコア)を含むことができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア/パラメータは、各セグメントに対する単一のスコアではなく、入力データから抽出された複数のパラメータ(例えば、特徴に対応する)を含むことができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア/パラメータは、(収縮期スコアと拡張期スコアを分けることなく)各セグメントの推定された全体的な高血圧スコアを含むことができる。いくつかの例では、セグメント内のサブセグメント(例えば、パルスごとに)について短期高血圧スコア/パラメータを推定することができる。いくつかの例では、各セグメントの短期高血圧スコア/パラメータは、メモリ210に記憶され得る。
【0031】
いくつかの例では、(例えば、短期高血圧スコアリングを行うのに十分な第1の期間の光学および動きデータの取得に応答して)セグメント(例えば、第1の期間)のデータが取得されると、光学および動きデータ(および任意選択でパルスデータ)を短期高血圧スコア生成器205によって処理することができる。いくつかの例では、光学データおよび動きデータのセグメント(および任意選択的にパルスデータ)を記憶(例えば、メモリ210内またはデータバッファ(図示せず)内)し、後で処理することができる。
【0032】
長期高血圧スコア生成器215は、(例えば、メモリ210からの)短期高血圧スコア/パラメータを処理することができ、血圧および/または高血圧推定値と相関することができる長期高血圧スコアを生成することができる。長期高血圧スコアは、第2の期間の経過にわたる短期高血圧スコア/パラメータの集約を使用して推定することができる。
【0033】
図3は、本開示の例による、高血圧監視のための例示的なプロセスを示す。プロセス300は、プロセッサ108および/またはDSP109を含む処理回路によって実行することができる。305において、光学データおよび動きデータを、第1の期間(例えば、30秒、1分、2分、5分など)の持続時間にわたって取得することができる。いくつかの例では、光学データおよび動きデータを取得することに加えて、308において、セグメントの適格なパルスを示すパルスデータをセグメントについて取得(または光学データおよび/または動きデータを使用して生成)することができる。光学データおよび動きデータ(および任意選択でパルスデータ)のセグメントの取得は、バックグラウンドプロセスの一部であり得る。310において、短期高血圧スコア/パラメータは、光学および動きデータ(および任意選択でパルスデータ)のセグメントを使用して、短期高血圧スコア生成器205によって生成され得る。不十分な短期高血圧スコア/パラメータが取得されたという判定(315)に従って、305における光学データおよび動きデータの取得(および任意選択で308におけるパルスデータの取得)並びに310における短期高血圧スコアリングを繰り返すことができる。十分な短期高血圧スコア/パラメータが取得されたという判定(315)に従って、320において、長期高血圧スコア生成器215によって長期高血圧スコアを生成することができる。
【0034】
いくつかの例では、短期高血圧スコア/パラメータの十分性または不十分性の判定は、動きおよび光学データのセグメントの閾値数に対応する短期高血圧スコア/パラメータの閾値数(例えば、50、100、120、250など)に基づくことができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア/パラメータの十分性または不十分性は、ある期間に基づくことができる。例えば、短期高血圧スコア/パラメータの十分性は、第2の期間(例えば、数日、1週間、数週間、1ヶ月など)などの閾値期間後に判定することができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア/パラメータの十分性は、期間の各サブ期間(例えば、第2の期間の各日の短期高血圧スコア/パラメータを生成するために使用される少なくとも1つのセグメント)に対する短期高血圧スコア/パラメータの閾値数を有することによって判定することができる。
【0035】
325において、長期高血圧スコア/パラメータを閾値処理することができる。長期高血圧スコア/パラメータが閾値を超える場合、330において、高血圧推定結果をユーザに報告することができる。例えば、未診断高血圧状態の可能性を示す、および/または高血圧を診断するためにユーザが医療を求めることを推奨する通知を表示することができる。加えて、または代替として、いくつかの実施例では、ユーザは、高血圧監視に関する音声フィードバックおよび/または触覚フィードバックを含むフィードバックを受信することができる。いくつかの例では、結果を健康アプリケーションに報告することができる。いくつかの例では、ユーザによって許可された場合、通知をユーザの医師/医療チームに提供することができる。長期高血圧スコア/パラメータが閾値を超えない場合、ユーザは結果を通知されなくてもよい。いくつかの例では、プロセス300による高血圧監視プロセスは、高血圧を監視し続けるために再び実行され得る(例えば、第2の期間にわたって)。
【0036】
325で使用される閾値は、偽陽性結果(例えば、高血圧の偽インジケーション)の数を減少させ、真陽性結果(例えば、高血圧の真インジケーション)の数を増加させるように、経験的データに基づいて調整することができる。いくつかの例では、閾値は、ステージII高血圧に対する真陽性通知の数を最大にし、非高血圧個体に対する通知の数を最小にするように調整することができる。プロセス300は、長期高血圧スコアを生成し、高血圧(および報告)推定値と非高血圧(および報告なし)推定値とを区別するために単一の閾値を使用するものとして説明されているが、いくつかの例では、血圧に関する複数のレベルを区別するために複数の閾値が使用され得ることを理解されたい。例えば、閾値化は、非高血圧性、高血圧性、ステージI高血圧性またはステージII高血圧性を区別することができる。いくつかの例では、結果は、レベルのうちのいくつか(例えば、ステージIおよびII高血圧)についてユーザに報告され、他のレベル(例えば、非高血圧、上昇)については報告されない可能性がある。いくつかの例では、特定のレベルは、高血圧推定値のユーザへの報告の一部として報告することができ、および/またはユーザの医師に報告することができる(特定のレベルをユーザに報告するか否かに関わらず)。
【0037】
図4A~
図4Bは、本開示の例による、短期高血圧スコア生成器の例示的なブロック図を示す。
図4Aは、本開示の例による、短期高血圧スコア生成器の例示的なブロック図を示す。短期高血圧スコア生成器400は、
図2の短期高血圧スコア生成器205に対応することができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア生成器400は、光学データフィルタ405と、動きデータフィルタ410と、機械学習処理回路415とを含むことができる。光学データフィルタ405は、光学センサからの光学データ(例えば、1つ以上の発光体102および1つ以上の光センサ104を含む光学センサからのPPG信号)を帯域通過フィルタリングすることができる(例えば、0.1~8Hzまたは0.5Hz~20Hz等の周波数範囲を通過させる)。動きデータフィルタ410は、動きセンサ(例えば、多軸加速度計106)からの動きデータを帯域通過フィルタリングすることができる。
【0038】
機械学習処理回路415は、自己注意を伴う2ヘッド畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であり得る。CNNのステムは、いくつかの例では、残差ブロックに編成され得る複数の畳み込み層を含むことができる。CNNは、フィルタリングされた光学データおよび動きデータ(例えば、光学/動きデータのセグメント)の入力時系列テンソルを変換して、予測ヘッドの特徴(短期高血圧パラメータ)のセットを抽出することができる。次いで、予測ヘッドは、収縮期および拡張期高血圧スコアを生成するために、これらの特徴に対して計算を実行することができる。例えば、第1の予測ヘッド出力は拡張期高血圧スコア420であってもよく、第2の予測ヘッド出力は収縮期高血圧スコア425であってもよい。これらの収縮期および拡張期高血圧スコアは、サンプルの血圧と相関し得る。いくつかの例では、各予測ヘッドは、個別の予測ヘッドがそのターゲット(例えば、収縮期または拡張期血圧)に最も顕著な特徴空間の部分に注意を向けることを可能にすることができる自己注意機構を埋め込まれることができる。特徴表現(例えば、特徴のセット)と自己注意の両方は、エンドツーエンド方式でラベル付けされた訓練データから自動的に学習され得る。例えば、訓練データは、ウェアラブルデバイスを介してPPGおよび加速度計データを測定することと並行して(またはそれに近接して)、ラベル付けされた収縮期および拡張期血圧を提供するために、デバイス(例えば、血圧カフ)を用いて血圧を測定することによって取得することができる。CNNの係数は、いくつかの例では、出力短期高血圧スコアと、訓練データからの短期収縮期および拡張期血圧ラベルとの間の平均絶対誤差(MAE)を最小化するように調整され得る。いくつかの例では、短期高血圧スコアを計算するのではなく、特徴を短期高血圧パラメータとして記憶することができる。短期高血圧スコアおよび/またはパラメータは、メモリに記憶され得る。
【0039】
図4Bは、本開示の例による短期高血圧スコア生成器の別の例示的なブロック図を示す。短期高血圧スコア生成器450は、
図2の短期高血圧スコア生成器205に対応することができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア生成器450は、フィルタリングされた光学データ、フィルタリングされた動きデータ、およびパルスデータを受信することができる。いくつかの例では、パルスデータは、パルスまたは複数のパルスの時間的な相対位置に関する情報、および/またはパルスに対応する光学データの品質に関する情報を含むことができる。いくつかの例では、パルスデータは、適格なパルス(例えば、1つ以上の適格基準を満たす信頼度パラメータを有するパルス)の位置を含むことができる。いくつかの例では、パルスの相対的な時間的位置は、光信号において表される心周期の特徴など、光信号の形態における特定の特徴の時間的位置によって定義することができる。いくつかの例では、特徴は、収縮期ピーク、拡張期ノッチ、または拡張期ピークであり得る。いくつかの例では、短期高血圧スコア生成器450は、光学データフィルタ(例えば、
図4Aを参照して説明した光学データフィルタ405と同様であるが、
図4Bには示されていない)および/または動きデータフィルタ(例えば、
図4Aを参照して説明した動きデータフィルタ410と同様であるが、
図4Bには示されていない)を含むことができる。いくつかの例では、短期高血圧スコア生成器450はまた、光学データから抽出された抽出特徴データ(例えば、PPG信号の特徴の周波数、振幅、位相および/または他のタイミング特性)を受信することができる。いくつかの例では、抽出された特徴データは、同じまたは同様の適格基準を満たす1つ以上のパルス(例えば、閾値信頼度を満たすかまたは超えるパルス)について光学データから抽出され得る。
【0040】
短期高血圧スコア生成器450は、前処理回路455、機械学習処理回路460、および変換回路465を含むことができる。前処理回路455(本明細書ではプリプロセッサとも呼ばれる)は、フィルタリングされた光学および動きデータの入力時系列テンソル(例えば、光学/動きデータのセグメント)およびパルスデータを受信して、フィルタリングされた光学および動きデータの入力時系列テンソルを離散サブセグメント(本明細書ではパルス窓とも呼ばれる)に分割することができる。いくつかの例では、各サブセグメント/パルス窓は、同じ持続時間(例えば、0.5秒、0.75秒、1秒など)のものであり得、サブセグメント/パルス窓は、パルスデータによって示される適格パルスの時間的位置に対して定義され得る。いくつかの例では、パルス窓は、パルスデータによって示されるパルスの時間的位置を中心とすることができる。いくつかの例では、パルス窓は、パルスデータによって示されるパルスの時間的位置で開始することができる。
【0041】
いくつかの例では、入力時系列テンソルのためのパルス窓の数は、上限を定められ得る(例えば、50個のパルス窓、60個のパルス窓、70個のパルス窓など)。いくつかの例では、パルス窓の数は、適格パルスの数にパルス窓の持続時間を掛けたものが入力時系列テンソルの持続時間以下であるように上限を定められ得る。いくつかの例では、最も高い信頼度を有するパルスに対応するパルス窓が使用され、最も低い信頼度を有するパルス窓の最大数を超えるパルス窓は廃棄され得る(短期高血圧スコアリングには使用されない)。いくつかの例では、入力時系列テンソルは、パルス窓に順次分割され、パルス窓の最大数が達成されると、入力時系列テンソルの分割は終了することができる。
【0042】
いくつかの例では、短期高血圧スコアリングは、最小数のパルス窓を必要とし得る。パルス窓の数がパルス窓の最小数よりも少ないとき(例えば、前処理の一部として判定されるとき)、短期高血圧スコア生成器は、パルス窓の最小数よりも少ない入力時系列テンソルについての短期高血圧スコアリングをバイパスすることができる。パルス窓の数がパルス窓の最小数以上であるとき(例えば、前処理の一部として判定されるとき)、短期高血圧スコア生成器は、少なくとも最小数のパルス窓を用いて入力時系列テンソルについて短期高血圧スコアリングを実行することができる。いくつかの例では、パルス窓の最小数は、1つのパルス窓であり得る。いくつかの例では、パルス窓の最小数は、1つのパルス窓よりも大きくなり得る(例えば、2、5、10など)。
【0043】
いくつかの例では、前処理回路455は、パルス窓をスケーリングすることができる。いくつかの例では、パルスを適格化するためのパルス窓の各々についての光学データおよび/または動きデータは、チャネル固有の標準偏差によってスケーリングされ得る(例えば、光学データの第1のチャネルは、第1のチャネルの時系列入力テンソルについての標準偏差によってスケーリングされ得る)。いくつかの例では、パルス窓の各々についての光学データおよび/または動きデータは、最大値で上限を定められ得る(例えば、1よりも大きい絶対値を有する値をクリッピングする)。
【0044】
前処理回路455の出力(例えば、1つ以上のフィルタ処理およびスケーリングされたパルス窓)は、機械学習処理回路460への入力として機能することができる。機械学習処理回路460は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であってもよい。いくつかの例では、CNNのステムは、短期高血圧スコア生成器の「特徴抽出器」を形成する残差ブロックに編成された畳み込み層から構成され得る。CNNは、本明細書では特徴ベクトルと呼ばれることがある、パルス窓ごとの特徴(短期高血圧パラメータ)のセットを抽出することができる。いくつかの例では、CNNは、それぞれ収縮期特徴ベクトルおよび拡張期特徴ベクトルと呼ばれることもある収縮期および拡張期高血圧パラメータの特徴表現を生成するために、予測ヘッドに分岐することができる。いくつかの例では、収縮期および拡張期高血圧パラメータ/特徴ベクトルは、1セットの特徴に組み合わせることができる(例えば、収縮期および拡張期高血圧パラメータを単一のベクトルに連結する)。
【0045】
いくつかの例では、特徴のセットは、(例えば、入力セグメント中の各パルス窓の特徴のセットを生成した後に)入力中のパルス窓にわたって集約され得る。いくつかの例では、集約は、各パルス窓についての特徴のセット中の各特徴の平均であり得る。いくつかの例では、集約は、入力セグメント内のパルス窓にわたる収縮期特徴ベクトル内の各特徴の平均、および入力セグメント内のパルス窓にわたる拡張期特徴ベクトル内の各特徴の平均とすることができる。
【0046】
いくつかの例では、特徴のセットは、入力セグメントについて血圧と相関することができる収縮期および拡張期高血圧スコアを生成するために、特徴のセット(例えば、集約された収縮期および拡張期特徴ベクトル)に対して計算を実行する予測ヘッドに分岐することができる。収縮期および拡張期高血圧スコアを使用して、入力セグメントに対する短期高血圧スコアを生成することができる。いくつかの例では、収縮期および拡張期高血圧スコア並びに短期高血圧を生成するための計算は、1つ以上の変換を使用して達成することができる。
【0047】
例えば、
図4Bに示されるように、CNN460の特徴表現出力は、変換回路465を使用して変換され、1つ以上の変換を特徴表現に適用して、短期高血圧スコア470を生成することができる。短期高血圧スコア470は、メモリに記憶することができる。いくつかの例では、変換回路465は、CNN460によって出力された高次元特徴ベクトルをスカラー値短期高血圧スコアに変換するために、1つ以上の線形変換を適用することができる。例えば、線形変換は、特徴表現ベクトルを新しい基底に回転させることができる。例えば、1つの線形変換を使用して、特徴表現を、互いに独立であり、有意性(例えば、特徴が原因となる高血圧の変動がどの程度であるか)に従ってソートされた正規直交表現に変換することができる。例えば、主成分分析(PCA)を訓練データに適用して、特徴ベクトルを正規直交表現に回転させる基底変換行列W
PCAを学習することができる。長期収縮期および拡張期血圧スコアおよび/または長期高血圧スコアを予測するために、1つ以上の追加の線形変換を適用することができる。例えば、第1のマルチ出力リッジ回帰(例えば、L2正則化を使用する)を訓練データに適用して、新しい基底の長期収縮期および拡張期血圧スコアを予測することができる。第2のリッジ回帰(例えば、L2正則化を使用する)を訓練データに適用して、予測された収縮期および拡張期血圧スコアから長期高血圧状態/スコアを予測することができる。第1のリッジ回帰および第2のリッジ回帰から結果として得られる回帰重みは、行列W
BP(収縮期/拡張期血圧重み)および行列W
HT(高血圧重み)を学習することができる。
【0048】
いくつかの例では、上記で説明した線形変換は、複数の演算において適用され得る。例えば、第1の変換は、基底を変更するために行列WPCAを使用して短期特徴ベクトルに適用することができ、次いで、第2の変換は、収縮期および拡張期血圧スコアを予測するためにWBPを使用して新しい基底における特徴ベクトルに適用することができ、次いで、第3の変換は、短期高血圧スコア(例えば、スカラー値)を予測するためにWHTを使用して予測された収縮期および拡張期血圧スコアに適用することができる。いくつかの例では、変換の一部または全部を組み合わせて、より少ないステップまたは単一のステップで適用することができる。例えば、単一のオムニバス重み行列WOは、1つの変換演算においてCNN460によって出力された特徴ベクトルに適用することができ、式中、WO=WPCA*WBP*WHTである。単一のオムニバス重みは、記憶要件を低減し(3つではなく1つの行列)、処理時間/演算を低減する(3つではなく1つの変換)ことができる。
【0049】
いくつかの例では、抽出された特徴データは、収縮期および拡張期高血圧パラメータ/特徴ベクトルと組み合わせることができ、組み合わせた特徴セットにすることができる(例えば、抽出された特徴データを収縮期および拡張期高血圧パラメータ/ベクトルと連結して単一のベクトルにする)。いくつかの例では、組み合わせは、変換のいずれかを実行する前に行うことができる。いくつかの例では、組み合わせは、第1の変換(例えば、基底を変更するための第1の線形変換)を適用した後に行うことができ、後続の変換(例えば、第2および第3の線形変換)を組み合わせた特徴セットに適用することができる。抽出された特徴データは、短期高血圧スコアリングを精緻化し、高血圧推定の精度を改善することができる。
【0050】
上述したパルスにわたる特徴のセットの集約は収縮期および拡張期特徴ベクトルに適用されるが、集約は処理の異なる段階で適用され得ることを理解されたい。いくつかの例では、集約は、別個の収縮期ヘッドおよび拡張期ヘッドに分岐する前に、処理の初期に特徴の完全なセットに適用することができる。いくつかの例では、上述の収縮期特徴ベクトルおよび拡張期特徴ベクトルを使用して、各パルスについて収縮期ヘッドおよび拡張期ヘッドにおける収縮期高血圧スコアおよび拡張期高血圧スコアを計算することができ、次いで、収縮期高血圧スコアおよび拡張期高血圧スコアを、入力セグメント内の各パルス窓にわたって集約することができる。
【0051】
図5A~
図5Cは、本開示の例による、長期高血圧スコア生成器の例示的なブロック図を示す。長期高血圧スコア生成器500、長期高血圧スコア生成器530、または長期高血圧スコア生成器550は、
図2の長期高血圧スコア生成器215に対応することができる。長期高血圧スコア生成器500、530および550は例示的な実装形態であり、他の実装形態も可能であることを理解されたい。より一般的には、長期高血圧スコア生成器は、短期高血圧スコア/パラメータを受信し、長期高血圧スコアを出力することができる(例えば、短期高血圧スコア/パラメータの集約を使用して、および/または機械学習モデルを使用して)。
【0052】
図5Aを参照すると、長期高血圧スコア生成器500は、特徴抽出ブロック505、拡張期決定木510、および収縮期決定木515を含むことができる。長期高血圧スコア生成器500は、短期高血圧スコア生成器400によって出力される集約された短期高血圧スコア(例えば、短期高血圧スコアの可変長時系列)を使用して、単一の長期高血圧スコアを生成するために使用され得る。
【0053】
特徴抽出ブロック505は、(例えば、メモリ210に記憶された)短期高血圧スコアを入力として受信することができる。いくつかの例では、特徴抽出ブロック505は、集約された短期高血圧スコアから統計的特徴を抽出することができる。例えば、高血圧スコアの分布は、他の可能な集約統計尺度の中でもとりわけ、平均値、中央値、最頻値、分散、および/またはパーセンタイルの一部または全部によって要約することができる。
【0054】
拡張期決定木510および収縮期決定木515は各々、勾配ブーストされた決定木機械学習モデルであり得る。拡張期決定木510および収縮期決定木515は各々、特徴抽出ブロック505の出力を入力として受信することができ、長期収縮期高血圧スコア(集約収縮期血圧と相関する)および長期拡張期高血圧スコア(集約拡張期血圧と相関する)を出力することができる。決定木は、短期高血圧スコアおよび長期ユーザレベル血圧ラベルを使用して訓練されることができる。訓練は、長期ユーザレベル血圧ラベルと決定木の出力との間のMAEを最小化するように機能することができる。いくつかの例では、過剰適合を防止するために、勾配ブーストされた決定木が学習し得る木の数は、(例えば、訓練データと同様であるが別個の検証データセットに対する誤差尺度に基づいて)制限され得る。勾配ブーストされた決定木は、決定木の全体が非線形予測関数を提供するように、入力特徴のための異なる重み付けパラメータを学習することができる(シーケンス内の各連続木は、異なる重みを適用することによって、先行木による誤りを訂正する)。
【0055】
いくつかの例では、
図5Aに示すように、長期高血圧スコア生成器500は、収縮期または拡張期血圧に固有であり得る特徴の組み合わせを利用するために、別個の勾配ブースト決定木を含むことができる。次いで、結果は、(例えば、加重平均を使用して)単一の長期高血圧スコア520に集約することができ、長期高血圧スコアは、(例えば、プロセス300に関して説明したように)高血圧を推定し、および/または長期高血圧スコアが閾値を上回るときに高血圧を報告するために使用することができる。いくつかの例では、別個の収縮期および拡張期勾配ブースト決定木510および515を使用するのではなく、1セットの勾配ブースト決定木を使用して、長期高血圧スコア520を生成することができる(収縮期および拡張期スコアを介在させずに)。
【0056】
図5Bを参照すると、長期高血圧スコア生成器530は、特徴抽出ブロック535および機械学習モデル540(例えば、正則化モデルを用いた線形回帰)を含むことができる。長期高血圧スコア生成器530は、短期高血圧スコア生成器400によって出力された短期高血圧パラメータを集約することから単一の長期高血圧スコアを生成するために使用され得る。特徴抽出ブロック535は、(例えば、メモリ210に記憶された)短期高血圧パラメータを入力として受信することができる。
【0057】
いくつかの例では、特徴抽出ブロック535は、短期高血圧パラメータを集約することができる。例えば、集約統計は、短期高血圧パラメータについて計算することができる。いくつかの例では、集約統計は、短期高血圧パラメータのセット(セグメントごとに1セット)を平均化するために計算される平均ベクトルを含むことができる。例えば、短期高血圧スコア生成器からの短期高血圧パラメータの各推定値は、ベクトルで表すことができるN個のパラメータ(特徴)を含むことができる。(M個のセグメントについての)M個の短期推定値の各々からのN個のパラメータを平均して、N個のパラメータを有する平均ベクトルを得ることができる(例えば、M個の短期推定値の各々からの平均パラメータ1、M個の短期推定値の各々からの平均パラメータ2など、N個のパラメータについて)。いくつかの例では、集約統計はまた、M個の短期推定値にわたるN個のパラメータの各々についての分散または標準偏差を含むことができる。いくつかの例では、他の集約統計を計算することができる。
【0058】
いくつかの例では、特徴抽出ブロック535はまた、短期高血圧パラメータ例えば、M個の短期推定値の各々からのN個のパラメータの共分散(行列)を計算することができる。共分散行列は、その固有ベクトルによって表すことができ、機械学習モデル540への入力のための追加パラメータとして使用することができる。いくつかの例では、入力パラメータの数を低減するために、共分散は、より小さい次元を使用して推定されることができ、および/または特徴は、共分散行列のより少ない固有ベクトルによって表されることができる。例えば、いくつかの例では、短期高血圧パラメータは、最初に、N個のパラメータの各々の分散に基づいて(例えば、主成分分析を使用して)ソートすることができ、共分散は、短期高血圧パラメータの次元のサブセットについて計算することができる(最も高い分散を有する、または分散の範囲内にあるパラメータについてN次元より小さい)。いくつかの例では、共分散行列の近似は、共分散行列の固有ベクトルのサブセット(例えば、1つ以上の固有ベクトル)を使用することができる。固有ベクトルのこのサブセットは、機械学習モデル540への入力として平均ベクトルと共に使用することができる。
【0059】
機械学習モデル540は、線形回帰機械学習モデル(例えば、リッジ回帰)とすることができる。機械学習モデル540は各々、特徴抽出ブロック535の出力を入力として受信することができ、長期高血圧スコアを出力することができる。機械学習モデルは、短期高血圧パラメータ(および関連する抽出された特徴)および長期のユーザレベル高血圧ラベルを使用して訓練され得る。訓練は、長期ユーザレベル高血圧ラベルと機械学習モデル540の出力との間のMAEを最小化するように機能することができる。
【0060】
図5Cを参照して、長期高血圧スコア生成器550は、短期高血圧スコア生成器450によって出力される集約された短期高血圧スコア(例えば、短期高血圧スコアの可変長時系列)を使用して、単一の長期高血圧スコアを生成するために使用され得る。長期高血圧スコア生成器550は、短期高血圧スコア(例えば、短期高血圧スコア生成器450によって出力される)の算術平均を計算するための平均ブロック555を含むことができる。
【0061】
図4A~
図5Cに示されるブロック図の構成要素は、ハードウェアまたはソフトウェアまたはそれらの組み合わせで実装され得ることを理解されたい。さらに、ブロック図は例であり、実装形態は、より少ない、より多い、または異なるブロックを含み得ることを理解されたい。例えば、短期高血圧スコア生成器400のフィルタは、システムの別個の部分において実装され得る(例えば、フィルタリングされたデータストリームは、高血圧監視のために排他的に使用されなくてもよい)。加えて、長期高血圧スコアを生成するために、
図5A~
図5Cに示されるものとは異なる集約技法および/または特徴抽出技法および/または機械学習技法が使用され得ることを理解されたい。例えば、
図5Aの勾配ブーストされた決定木および
図5Bの正規化線形回帰モデルとは異なる他の機械学習モデルが使用され得る。
【0062】
前述のように、この技術の一態様は、位置情報の収集および使用を含む。本技術は、ユーザの健康に関する個人データを収集すること、および/または特定の人物を一意に識別するか、若しくは特定の人物に連絡するか、若しくは特定の人物の位置を特定するために使用され得る個人データを収集することを伴う技術と共に実装され得る。そのような個人データは、人口統計データ、生年月日、位置ベースのデータ、電話番号、電子メールアドレス、自宅住所、並びにユーザの健康若しくはフィットネスのレベル(例えば、バイタルサイン測定値、投薬情報、運動情報など)に関するデータまたは記録を含むことができる。
【0063】
本開示は、本技術によって生成および使用されるデータ等の生理学的情報を含む、ユーザの個人データが、ユーザの利益のために使用され得ることを認識する。例えば、ユーザの睡眠状態、心拍数、および/または血圧を評価することは、ユーザが、彼らの健康についての洞察を追跡または他の方法で得ることを可能にし得る。
【0064】
本開示は、そのような個人データの収集、分析、開示、伝送、記憶、または他の使用に関与するエンティティが、確固たるプライバシーポリシーおよび/またはプライバシー慣行を遵守するものとなることを想到する。具体的には、そのようなエンティティは、個人情報データを秘密として厳重に保守するための、業界または政府の要件を満たしているかまたは上回るものとして一般に認識されている、プライバシーのポリシーおよび慣行を実施し、一貫して使用するべきである。そのようなポリシーは、ユーザによって容易にアクセス可能とするべきであり、データの収集および/または使用が変化するにつれて更新されるべきである。ユーザからの個人情報は、そのエンティティの合法的かつ正当な使用のために収集されるべきであり、それらの合法的使用を除いては、共有または販売されるべきではない。さらには、そのような収集/共有は、ユーザに告知して同意を得た後に実施されるべきである。その上、そのようなエンティティは、そのような個人情報データへのアクセスを保護および安全化し、個人情報データへのアクセス権を有する他者が、それらのプライバシーポリシーおよび手順を忠実に守ることを保証するための、あらゆる必要な措置を講じることを考慮するべきである。さらに、そのようなエンティティは、広く受け入れられているプライバシーポリシーおよび慣行に対する自身の遵守を証明するために、サードパーティによる評価を自らが受けることができる。ポリシーおよび慣行は、地理的領域および/または収集および使用される個人データの特定のタイプおよび性質に応じて適合され得る。
【0065】
上記にもかかわらず、本開示は、生理学的情報を含む個人データの収集、使用、またはアクセスをユーザが選択的にブロックする実施形態も想到する。例えば、ユーザは、生理学的情報を収集するハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を無効にすることが可能であり得る。さらに、本開示は、既に収集された個人データへのアクセスを防止またはブロックするために、ハードウェアおよび/またはソフトウェア要素を提供することができることを意図している。特に、ユーザは、ユーザの個人的健康または体力データを収集する特定の健康関連アプリケーションへのアクセスを除去、無効化、または制限するように選択することができる。
【0066】
従って、上記によれば、本開示のいくつかの例は、電子デバイスに関する。電子デバイスは、光学センサと、動きセンサと、光学センサおよび動きセンサに接続された処理回路とを含み得る。処理回路は、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成し、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値の各個別の推定値は、光学センサおよび動きセンサからのデータの個別のセグメントを使用し、複数の推定値を使用して集約高血圧スコアを生成するように構成され得る。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、処理回路は、集約高血圧スコアが閾値を超えることに従って、可能性のある高血圧についての通知を生成し、集約高血圧スコアが閾値を超えないことに従って、通知の生成を取り止めるようにさらに構成され得る。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、個別のセグメントは、第1の期間の持続時間に対応することができ、集約高血圧スコアは、第1の期間よりも長い第2の期間に対応することができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、またはその代わりに、いくつかの例では、処理回路は、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成するように構成された第1の機械学習モデルを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、第1の機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワークを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、第1の機械学習モデルは、収縮期高血圧スコアまたはパラメータを生成するように構成された第1の予測ヘッドと、拡張期高血圧スコアまたはパラメータを生成するように構成された第2の予測ヘッドと、を含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、処理回路は、集約高血圧スコアを生成するように構成された第2の機械学習モデルを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、第2の機械学習モデルは、1つ以上の勾配ブーストされた決定木または正規化線形回帰モデルを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、集約高血圧スコアを生成することは、複数の推定値を使用して統計パラメータを計算することと、統計パラメータを使用して集約高血圧スコアを生成することとを含むことができる。
【0067】
上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、処理回路は、光学センサおよび動きセンサからのデータの個別のセグメントを1つ以上のパルス窓に分割するようにさらに構成され得る。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、処理回路は、1つ以上のパルス窓をスケーリングするようにさらに構成される。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、またはその代わりに、いくつかの例では、処理回路は、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成するように構成された機械学習モデルを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、光学センサおよび動きセンサからのデータの個別のセグメントを使用して、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値の個別の推定値を生成することは、複数のパルス窓を機械学習モデルに入力して、複数のパルス窓の各々について高血圧パラメータの特徴ベクトルを生成することと、複数のパルス窓についての特徴ベクトルを平均化して、個別のセグメントについての集約特徴ベクトルを生成することと、を含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、光学センサおよび動きセンサからのデータの個別のセグメントを使用して、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値のうちの個別の推定値を生成することは、個別のセグメントに関する集約特徴ベクトルを変換して、スカラー値を有する個別の推定値を生成することを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、集約特徴ベクトルを変換することは、1つ以上の線形変換を適用することを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、1つ以上の線形変換は、個別のセグメントについての集約特徴ベクトルの基底を新しい基底に変更するための変換を含むことができる。上記で開示された実施例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの実施例では、1つ以上の線形変換は、新しい基底における個別のセグメントについての集約特徴ベクトルから、収縮期高血圧スコアまたはパラメータおよび拡張期高血圧スコアまたはパラメータを予測するための変換を含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、1つ以上の線形変換は、収縮期高血圧スコアまたはパラメータおよび拡張期高血圧スコアまたはパラメータから、高血圧スコアの個別の推定値を予測するための変換を含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、またはその代わりに、いくつかの例では、集約高血圧スコアを生成することは、集約高血圧スコアを生成するために、複数の推定値を平均化することを含む。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、光学データから抽出された特徴は、1つ以上の線形変換の前または間に、集約特徴ベクトルに追加され得る。
【0068】
本開示のいくつかの例は、方法に関する。方法は、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成し、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値の各個別の推定値は、光学センサおよび動きセンサからのデータの個別のセグメントを使用することと、複数の推定値を使用して集約高血圧スコアを生成することとを含み得る。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、方法は、集約高血圧スコアが閾値を超えることに従って、可能性のある高血圧についての通知を生成することと、集約高血圧スコアが閾値を超えないことに従って、通知の生成を取り止めることをさらに含み得る。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、個別のセグメントは、第1の期間の持続時間に対応することができ、集約高血圧スコアは、第1の期間よりも長い第2の期間に対応することができる。上記で開示された実施例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの実施例では、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成することは、第1の機械学習モデルを光学センサおよび動きセンサからのデータの複数のセグメントに適用することを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、第1の機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワークを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、第1の機械学習モデルは、収縮期高血圧スコアまたはパラメータを生成するように構成された第1の予測ヘッドと、拡張期高血圧スコアまたはパラメータを生成するように構成された第2の予測ヘッドと、を含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、集約高血圧スコアを生成することは、第2の機械学習モデルを複数の推定値に適用することを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、第2の機械学習モデルは、1つ以上の勾配ブーストされた決定木または正規化線形回帰モデルを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、集約高血圧スコアを生成することは、複数の推定値を使用して統計パラメータを計算することと、統計パラメータを使用して集約高血圧スコアを生成することとを含むことができる。
【0069】
上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、方法は、光学センサおよび動きセンサからのデータの個別のセグメントを1つ以上のパルス窓に分割することをさらに含み得る。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、方法は、1つ以上のパルス窓をスケーリングすることをさらに含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成することは、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値を生成するように構成された機械学習モデルを適用することを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、光学センサおよび動きセンサからのデータの個別のセグメントを使用して、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値の個別の推定値を生成することは、複数のパルス窓を機械学習モデルに入力して、複数のパルス窓の各々について高血圧パラメータの特徴ベクトルを生成することと、複数のパルス窓についての特徴ベクトルを平均化して、個別のセグメントについての集約特徴ベクトルを生成することと、を含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、光学センサおよび動きセンサからのデータの個別のセグメントを使用して、高血圧スコアまたはパラメータの複数の推定値のうちの個別の推定値を生成することは、個別のセグメントに関する集約特徴ベクトルを変換して、スカラー値を有する個別の推定値を生成することを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、集約特徴ベクトルを変換することは、1つ以上の線形変換を適用することを含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、1つ以上の線形変換は、個別のセグメントについての集約特徴ベクトルの基底を新しい基底に変更するための変換を含むことができる。上記で開示された実施例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの実施例では、1つ以上の線形変換は、新しい基底における個別のセグメントについての集約特徴ベクトルから、収縮期高血圧スコアまたはパラメータおよび拡張期高血圧スコアまたはパラメータを予測するための変換を含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、1つ以上の線形変換は、収縮期高血圧スコアまたはパラメータおよび拡張期高血圧スコアまたはパラメータから、高血圧スコアの個別の推定値を予測するための変換を含むことができる。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、またはその代わりに、いくつかの例では、集約高血圧スコアを生成することは、集約高血圧スコアを生成するために、複数の推定値を平均化することを含む。上記で開示された例のうちの1つ以上に加えて、または代替として、いくつかの例では、光学データから抽出された特徴は、1つ以上の線形変換の前または間に、集約特徴ベクトルに追加され得る。
【0070】
本開示のいくつかの例は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を対象とする。命令を記憶することができる非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令は、処理回路を含むデバイスによって実行されると、処理回路に前述の方法のいずれかを実行させることができる。
【0071】
本開示の例を添付の図面を参照して十分に説明したが、様々な変更および修正が当業者には明らかとなることに留意されたい。そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の例の範囲内に含まれると理解されるべきである。