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特許7557556スプリッタ、光分配ネットワーク、および光フィルタ構造に対応する波長を決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】スプリッタ、光分配ネットワーク、および光フィルタ構造に対応する波長を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20240919BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20240919BHJP
   G02B 6/30 20060101ALI20240919BHJP
   G02B 6/293 20060101ALI20240919BHJP
   H04B 10/071 20130101ALI20240919BHJP
【FI】
G02B6/12 331
H04B10/272
G02B6/30
G02B6/293 311
H04B10/071
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022581325
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 CN2021082841
(87)【国際公開番号】W WO2022001229
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】202010621400.X
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100132481
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 克豪
(74)【代理人】
【識別番号】100115635
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 郁大
(72)【発明者】
【氏名】祁 彪
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】董 振▲華▼
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0348466(US,A1)
【文献】米国特許第06396575(US,B1)
【文献】国際公開第2008/116309(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/017302(WO,A1)
【文献】特表2014-504480(JP,A)
【文献】特表2016-516218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12- 6/14
G02B 6/26-2/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
H04B 10/00-10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入力部分、N個の光分岐部分、および少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造を備えるスプリッタであって、各光フィルタ構造は、1つの波長の光信号を反射し、Nは4以上の整数であり、前記少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造は、専用光フィルタ構造および少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造を含み、前記少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分に一対一の対応関係で配置され、前記少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造のそれぞれによって反射される光信号の波長は、共通波長であり、
前記専用光フィルタ構造は、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の少なくとも一方を含み、前記第1の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第1の専用波長であり、前記第2の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第2の専用波長であり、前記第1の専用波長は最大共通波長より大きく、前記第2の専用波長は最小共通波長より小さく、少なくとも(N-3)個の共通波長は等差数列をなし、前記第1の専用波長と前記最大共通波長との差は前記等差数列の許容差よりも大きく、前記第2の専用波長と前記最小共通波長との差は前記等差数列の前記許容差よりも大きい、スプリッタ。
【請求項2】
前記スプリッタが前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造を含む場合、前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造の両方が前記光入力部分に配置され、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-1)個またはN個であり、
前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造は2個の光分岐部分に配置され、前記2個の光分岐部分は、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-3)個または(N-2)個であり、または
前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造の一方は前記光入力部分に配置され、前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造の他方は1つの光分岐部分に配置され、前記1つの光分岐部分は、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-2)個または(N-1)個である、請求項1に記載のスプリッタ。
【請求項3】
前記スプリッタが前記第1の専用光フィルタ構造だけを、もしくは前記第2の専用光フィルタ構造だけを含む場合に、
前記第1の専用光フィルタ構造もしくは前記第2の専用光フィルタ構造は前記光入力部分に配置され、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-1)個またはN個であり、または
前記第1の専用光フィルタ構造もしくは前記第2の専用光フィルタ構造は1つの光分岐部分に配置され、前記1つの光分岐部分は、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-2)個または(N-1)個である、請求項1に記載のスプリッタ。
【請求項4】
前記スプリッタは、偶数スプリッタまたは奇数スプリッタである、請求項1から3のいずれか一項に記載のスプリッタ。
【請求項5】
前記スプリッタが奇数スプリッタである場合には、前記奇数スプリッタは、1つのバイパス光出力部分をさらに備え、前記バイパス光出力部分に配置された光フィルタ構造は、特定の反射率で1つのバイパス波長の光信号を反射し、前記バイパス波長は、前記共通波長、前記第1の専用波長、および前記第2の専用波長のうちのいずれか1つとは異なっている、請求項4に記載のスプリッタ。
【請求項6】
前記スプリッタは平面光波回路PLCスプリッタであり、前記PLCスプリッタは、光入力ファイバ、N本の光出力ファイバ、および平面光波回路を含み、
前記平面光波回路は、光入力導波路、N本の光出力導波路、および前記光入力導波路と前記N本の光出力導波路との間に接続された中間分岐導波路を含み、
前記光入力ファイバは、前記光入力導波路に接続されており、前記光入力部分は、前記光入力ファイバおよび前記光入力導波路を含み、
前記N本の光出力ファイバは、前記N本の光出力導波路と一対一の対応関係で接続され、
前記光分岐部分のそれぞれは、前記中間分岐導波路と、互いに接続されている1本の光出力導波路および1本の光出力ファイバを含む対とを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のスプリッタ。
【請求項7】
前記光フィルタ構造は、前記中間分岐導波路、前記光出力導波路、および前記光出力ファイバのうちの少なくとも1つに配置される、請求項6に記載のスプリッタ。
【請求項8】
前記光出力ファイバはリボンファイバを含み、前記光フィルタ構造は前記リボンファイバに配置される、請求項7に記載のスプリッタ。
【請求項9】
前記スプリッタは融合バイコニカルテーパスプリッタであり、前記融合バイコニカルテーパスプリッタは、光入力ファイバ、結合領域ファイバおよびN本の光出力ファイバを含み、前記光フィルタ構造は前記光出力ファイバに配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のスプリッタ。
【請求項10】
温度ドリフト均一パッケージをさらに含み、前記温度ドリフト均一パッケージは、周囲温度が変化するときに、前記温度ドリフト均一パッケージ内部の温度が均等に分布するように構成され、前記少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造は前記温度ドリフト均一パッケージの内部にパッケージ化されて締結され、または前記少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造は前記温度ドリフト均一パッケージの内部にパッケージ化されて締結される、請求項1から9のいずれか一項に記載のスプリッタ。
【請求項11】
前記光フィルタ構造は、ブラッググレーティング、長周期ファイバグレーティング、またはフィルタコーティングである、請求項1から9のいずれか一項に記載のスプリッタ。
【請求項12】
光入力部分、N個の光分岐部分、および少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造を備えるスプリッタであって、各光フィルタ構造は、1つの波長の光信号を反射し、前記光フィルタ構造は、専用光フィルタ構造および少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造を含み、前記少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造では、少なくとも2個の共通光フィルタ構造が同じ波長の光信号を反射するが、異なる反射率を有し、
前記少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分に一対一の対応関係で配置され、前記少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造のそれぞれによって反射される光信号の波長は、共通波長であり、前記専用光フィルタ構造は、第1の専用光フィルタ構造および第2の専用光フィルタ構造の少なくとも一方を含み、前記第1の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第1の専用波長であり、前記第2の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第2の専用波長であり、前記第1の専用波長は最大共通波長より大きく、前記第2の専用波長は最小共通波長より小さく、少なくとも(N-3)個の共通波長の異なる波長値は等差数列をなし、前記第1の専用波長と前記最大共通波長との差は前記等差数列の許容差よりも大きく、前記第2の専用波長と前記最小共通波長との差は前記等差数列の前記許容差よりも大きい、スプリッタ。
【請求項13】
前記スプリッタが前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造を含む場合に、前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造の両方が前記光入力部分に配置され、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-1)個またはN個であり、
前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造は2個の光分岐部分に配置され、前記2個の光分岐部分は、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-3)個または(N-2)個であり、または
前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造の一方は前記光入力部分に配置され、前記第1の専用光フィルタ構造および前記第2の専用光フィルタ構造の他方は1つの光分岐部分に配置され、前記1つの光分岐部分は、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-2)個または(N-1)個である、請求項12に記載のスプリッタ。
【請求項14】
前記スプリッタが前記第1の専用光フィルタ構造だけを、もしくは前記第2の専用光フィルタ構造だけを含む場合に、
前記第1の専用光フィルタ構造もしくは前記第2の専用光フィルタ構造は前記光入力部分に配置され、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-1)個またはN個であり、または
前記第1の専用光フィルタ構造もしくは前記第2の専用光フィルタ構造は1つの光分岐部分に配置され、前記1つの光分岐部分は、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、前記少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量は(N-2)個または(N-1)個である、請求項12に記載のスプリッタ。
【請求項15】
前記スプリッタは、偶数スプリッタまたは奇数スプリッタである、請求項12から14のいずれか一項に記載のスプリッタ。
【請求項16】
前記スプリッタが奇数スプリッタである場合には、前記奇数スプリッタは、1つのバイパス光出力部分をさらに備え、前記バイパス光出力部分に配置された光フィルタ構造は、特定の反射率で1つのバイパス波長の光信号を反射し、前記バイパス波長は、前記共通波長、前記第1の専用波長、および前記第2の専用波長のうちのいずれか1つとは異なっている、請求項15に記載のスプリッタ。
【請求項17】
温度ドリフト均一パッケージをさらに備え、前記温度ドリフト均一パッケージは、周囲温度が変化するときに、前記温度ドリフト均一パッケージ内部の温度が均等に分布するように構成され、前記少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造は前記温度ドリフト均一パッケージの内部にパッケージ化されて締結され、または前記少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造は前記温度ドリフト均一パッケージの内部にパッケージ化されて締結される、請求項12から16のいずれか一項に記載のスプリッタ。
【請求項18】
第1段スプリッタおよび第2段スプリッタを備える光分配ネットワークODNであって、
前記第1段スプリッタは請求項1から17のいずれか一項に記載のスプリッタであり、前記第2段スプリッタは、請求項1から17のいずれか一項に記載のスプリッタであり、前記第1段スプリッタの光フィルタ構造によって反射される光信号の波長中の最大値と、前記第2段スプリッタの光フィルタ構造によって反射される光信号の波長中の最小値との差は、等差数列の許容差よりも大きい、光分配ネットワークODN。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか一項に記載のスプリッタにおいて前記光フィルタ構造に対応する波長を決定する方法であって、
M個の試験光信号を、デフォルト温度および最大ドリフト値においての記憶された共通波長および専用波長に基づいて順次送信し、およびX個の反射光信号を受信するステップであって、前記専用波長は前記第1の専用波長および前記第2の専用波長を含み、XはMよりも小さく、XおよびMは自然数であり、前記反射光信号は、前記試験光信号がスプリッタの光フィルタ構造に行き当たると反射され、前記試験光信号の波長はドリフト差とドリフト和との間の範囲に入り、前記ドリフト差は、前記デフォルト温度における前記共通波長および前記専用波長中の最小値から前記最大ドリフト値を引いたものであり、前記ドリフト和は、前記デフォルト温度における前記共通波長および前記専用波長中の最大値に前記最大ドリフト値を足したものであり、前記共通波長は、共通光フィルタ構造によって反射される光信号の波長であり、前記専用波長は、専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長である、ステップと、
前記受信されたX個の反射光信号に対応する試験光信号の波長と、前記専用波長と光分岐部分との間の記憶されたマッピング関係、および前記デフォルト温度における前記専用波長と光入力部分との間の記憶されたマッピング関係、および前記デフォルト温度における前記共通波長と前記光分岐部分との間のマッピング関係のうちの少なくとも1つとに基づいて、現在の温度における各光分岐部分に対応する波長を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項20】
M個の試験光信号を順次送信する前記ステップは、前記ドリフト差と前記ドリフト和との間の範囲内で、固定されたステップの間隔で1つの試験光信号を送信するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
M個の試験光信号を順次送信する前記ステップは、前記ドリフト差と前記ドリフト和との間の範囲内で、固定されたステップの間隔で1つの試験光信号を送信するステップと、第1の反射光信号が受信された後に、前記第1の反射光信号に対応する試験光信号の波長を基準として使用することによって、1つの試験光信号を許容差の間隔で送信するステップとを含み、前記固定されたステップは前記許容差よりも小さく、前記許容差は、前記デフォルト温度ですべての前記共通波長によって形成される等差数列の許容差である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
現在の温度において各光分岐部分に対応する波長を決定するステップの後に、前記方法は、
光分岐部分の共通光フィルタ構造の記憶された反射率に基づいて、前記光分岐部分の前記共通光フィルタ構造によって反射された反射光信号の理論パワーを計算するステップと、
前記光分岐部分によって反射された前記反射光信号を受信する実際のパワーおよび前記理論パワーに基づいて、前記光分岐部分とネットワークデバイスとの間の光リンクが異常であるかどうかを決定するステップと
をさらに含む、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
命令を含むコンピュータ可読媒体であって、前記命令がコンピュータ上で実行されるとき、前記コンピュータは、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法を実施することが可能になる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年6月30日に中国国家知的財産局に出願された「SPLITTER,OPTICAL DISTRIBUTION NETWORK,AND METHOD FOR DETERMINING WAVELENGTH CORRESPONDING TO OPTICAL FILTER STRUCTURE」という名称の中国特許出願第202010621400.X号の優先権を主張し、同出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は光通信技術の分野に関し、詳細には、スプリッタ、光分配ネットワーク、および光フィルタ構造に対応する波長を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ファイバネットワークの規模が急速に拡大するにつれて、パッシブ光ネットワーク技術が次第に光アクセスネットワーク技術のホットスポットになってきている。通信を確保し、ファイバネットワークの可用性を改善するためには、ファイバリンクの運用状態が適時に知られる必要があり、また、劣化傾向が適時に見つけられて故障を防止する必要がある。加えて、ブレークポイントがファイバリンクに発生した場合には、迅速な対応がなされることが可能であり、位置特定が正確に実施されて障害探索時間を短縮することが可能である。
【0004】
従来技術では、異なる固有波長のグレーティングがスプリッタの異なるポートに別個に配置されている。波長可変の光時間領域反射計(Optical Time Domain Reflectometer,OTDR)がある波長のプローブ光を放出すると、その波長のプローブ光は、対応する波長のポートのグレーティングによって反射または投影され、戻された光がOTDRによって検出および識別され、それにより、スプリッタのポートが遠隔で識別される。一般に、スプリッタが動作できる温度は、-40℃から85℃の範囲である。しかし、グレーティングは温度変化の影響を受けやすいので、スプリッタのグレーティングに対応する中心波長が±1nmだけドリフトすることがある。したがって、異なる波長に対応する異なるポートを区別するためには、スプリッタの異なるポートに対して設定された異なる中心波長間で少なくとも2nmの差が保持される必要がある。しかし、OTDRによって使用されることが可能である利用可能な波長範囲は限られている。たとえば、利用可能な波長範囲は1600nmから1620nmである。ゆえに、最大10個の異なる波長のFBGがスプリッタに設定されることが可能である。その結果、10個よりも多いポートを備えたスプリッタは使用されることが不可能になり、この技術の普及の障壁になっている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、グレーティングをスプリッタのポートに配置するために占有される波長が多すぎるという問題を解決するための、スプリッタ、光分配ネットワーク、および光フィルタ構造に対応する波長を決定する方法を提供する。
【0006】
第1の態様によれば、スプリッタが提供される。スプリッタは、光入力部分、N個の光分岐部分、および少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造を含む。各光フィルタ構造は、1つの波長の光信号を反射し、Nは4以上の整数であり、少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造は、専用光フィルタ構造および少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造を含み、少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分に一対一の対応関係で配置され、少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造のそれぞれによって反射される光信号の波長は、共通波長である。専用光フィルタ構造は、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の少なくとも一方を含み、第1の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第1の専用波長であり、第2の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第2の専用波長である。少なくとも(N-3)個の共通波長が等差数列をなし、第1の専用波長と最大共通波長との差は等差数列の許容差よりも大きく、第2の専用波長と最小共通波長との差は等差数列の許容差よりも大きい。2種類の波長、すなわち、公差波長および専用波長が設定されるので、端末が設置されている光リンクを検出するために試験光がネットワーク側に送信される場合に、試験光の種類が大幅に低減されることが可能であり、波長資源が低減されることが可能であり、ネットワーク側の試験光の波長走査範囲が低減されることが可能であり、試験光をネットワーク側に送信するための構成要素の製造困難度およびコストが低減されることが可能であり、実装が容易である。
【0007】
第1の態様および第1の可能な実装に関連して、第2の可能な実装では、スプリッタが第1の専用光フィルタ構造および第2の専用光フィルタ構造を含む場合に、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が光入力部分に配置され、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-1)個またはN個であり、または、第1の専用光フィルタ構造および第2の専用光フィルタ構造は2個の光分岐部分に配置され、2個の光分岐部分は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-3)個または(N-2)個であり、または、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の一方が光入力部分に配置され、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の他方が1つの光分岐部分に配置され、1つの光分岐部分は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-2)個または(N-1)個である。
【0008】
第1の態様および第1の可能な実装に関連して、第3の可能な実装では、スプリッタが第1の専用光フィルタ構造だけを、もしくは第2の専用光フィルタ構造だけを含む場合に、第1の専用光フィルタ構造もしくは第2の専用光フィルタ構造が光入力部分に配置され、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-1)個またはN個であり、または、第1の専用光フィルタ構造もしくは第2の専用光フィルタ構造が1つの光分岐部分に配置され、1つの光分岐部分は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-2)個または(N-1)個である。
【0009】
第1の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第4の可能な実装では、スプリッタは、偶数スプリッタまたは奇数スプリッタである。スプリッタが奇数スプリッタである場合には、奇数スプリッタは、1つのバイパス光出力部分をさらに含み、バイパス光出力部分に配置された光フィルタ構造は、特定の反射率で1つのバイパス波長の光信号を反射し、バイパス波長は、共通波長、第1の専用波長、および第2の専用波長のうちのいずれか1つとは異なっている。
【0010】
第1の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第5の可能な実装では、スプリッタは平面光波回路PLCスプリッタであり、PLCスプリッタは、光入力ファイバ、N本の光出力ファイバ、および平面光波回路を含む。平面光波回路は、光入力導波路、N本の光出力導波路、および光入力導波路とN本の光出力導波路との間に接続された中間分岐導波路を含む。光入力ファイバは、光入力導波路に接続されており、光入力部分は、光入力ファイバおよび光入力導波路を含む。N本の光出力ファイバは、N本の光出力導波路と一対一の対応関係で接続されている。光分岐部分のそれぞれは、中間分岐導波路と、互いに接続されている1本の光出力導波路および1本の光出力ファイバを含む対とを含む。
【0011】
第1の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第6の可能な実装では、光フィルタ構造は、中間分岐導波路、光出力導波路、および光出力ファイバのうちの少なくとも1つに配置される。光出力ファイバはリボンファイバを含み、光フィルタ構造はリボンファイバに配置される。
【0012】
第1の態様の前述の可能な実装に関連して、第7の可能な実装では、スプリッタは融合バイコニカルテーパスプリッタであり、融合バイコニカルテーパスプリッタは、光入力ファイバ、結合領域ファイバおよびN本の光出力ファイバを含み、光フィルタ構造は光出力ファイバに配置されている。光フィルタ構造を製造するのは容易であり、その製造は簡単であり、たとえば、グレーティングが一緒にエッチングされてよく、それによりコストが低減される。
【0013】
第1の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第8の可能な実装では、スプリッタは、温度ドリフト均一パッケージをさらに含む。温度ドリフト均一パッケージは、周囲温度が変化するときに、温度ドリフト均一パッケージ内部の温度が均等に分布するように構成される。少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造が温度ドリフト均一パッケージの内部にパッケージ化されて締結され、または少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造が温度ドリフト均一パッケージの内部にパッケージ化されて締結される。
【0014】
第1の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第9の可能な実装では、光フィルタ構造は、具体的にはブラッググレーティング、長周期ファイバグレーティング、またはフィルタコーティングである。
【0015】
第2の態様によれば、スプリッタが提供される。スプリッタは、光入力部分、N個の光分岐部分、および少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造を含む。各光フィルタ構造は、1つの波長の光信号を反射する。光フィルタ構造は、専用光フィルタ構造および少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造を含み、少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造では、少なくとも2個の共通光フィルタ構造が同じ波長の光信号を反射するが、異なる反射率を有している。少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分に一対一の対応関係で配置され、少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造のそれぞれによって反射される光信号の波長は、共通波長であり、専用光フィルタ構造は、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の少なくとも一方を含み、第1の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第1の専用波長であり、第2の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第2の専用波長である。少なくとも(N-3)個の共通波長の異なる波長値が等差数列をなし、第1の専用波長と最大共通波長との差は等差数列の許容差よりも大きく、第2の専用波長と最小共通波長との差は等差数列の許容差よりも大きい。2種類の波長が設定され、同じ波長の場合には異なる反射率がさらに設定されるので、端末が設置されている光リンクを検出するために試験光がネットワーク側に送信される場合に、試験光の種類が大幅に低減されることが可能であり、波長資源が低減されることが可能であり、ネットワーク側の試験光の波長走査範囲が低減されることが可能であり、試験光をネットワーク側に送信するための構成要素の製造困難度およびコストが低減されることが可能であり、実装が容易である。
【0016】
第2の態様に関連して、第の可能な実装では、スプリッタが第1の専用光フィルタ構造および第2の専用光フィルタ構造を含む場合に、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が光入力部分に配置され、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-1)個またはN個であり、または、第1の専用光フィルタ構造および第2の専用光フィルタ構造は2個の光分岐部分に配置され、2個の光分岐部分は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-3)個または(N-2)個であり、または、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の一方が光入力部分に配置され、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の他方が1つの光分岐部分に配置され、1つの光分岐部分は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-2)個または(N-1)個である。
【0017】
第2の態様に関連して、第の可能な実装では、スプリッタが第1の専用光フィルタ構造だけを、もしくは第2の専用光フィルタ構造だけを含む場合に、第1の専用光フィルタ構造もしくは第2の専用光フィルタ構造が光入力部分に配置され、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-1)個またはN個であり、または、第1の専用光フィルタ構造もしくは第2の専用光フィルタ構造が1つの光分岐部分に配置され、1つの光分岐部分は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分には属さず、少なくとも(N-3)個の光分岐部分の数量が(N-2)個または(N-1)個である。
【0018】
第2の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第の可能な実装では、スプリッタは、偶数スプリッタまたは奇数スプリッタである。スプリッタが奇数スプリッタである場合には、奇数スプリッタは、1つのバイパス光出力部分をさらに含み、バイパス光出力部分に配置された光フィルタ構造は、特定の反射率で1つのバイパス波長の光信号を反射し、バイパス波長は、共通波長、第1の専用波長、および第2の専用波長のうちのいずれか1つとは異なっている。
【0019】
第2の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第の可能な実装では、スプリッタは、温度ドリフト均一パッケージをさらに含む。温度ドリフト均一パッケージは:周囲温度が変化するときに、温度ドリフト均一パッケージ内部の温度が均等に分布するように構成される。少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造は、温度ドリフト均一パッケージの内部にパッケージ化されて締結され、または少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造は、温度ドリフト均一パッケージの内部にパッケージ化されて締結される。温度ドリフト均一性が分散共通グレーティングのそれよりもはるかに優れているので、狭帯域幅、小間隔、および高密度のスペクトル資源の利用が、高価な温度補償手段を用いなくても低コストで効率的に実装される。
【0020】
第3の態様によれば、光分配ネットワークが提供される。光分配ネットワークは、第1段スプリッタおよび第2段スプリッタを含む。第1段スプリッタおよび第2段スプリッタのそれぞれは、第1の態様および第1の態様の実装のいずれか1つによるスプリッタでよく、または、第2の態様および第2の態様の実装のいずれか1つによるスプリッタでよい。第1段スプリッタの光フィルタ構造によって反射される光信号の波長中の最大値と、第2段スプリッタの光フィルタ構造によって反射される光信号の波長中の最小値との差は、等差数列の許容差よりも大きい。2種類の波長、すなわち、公差波長および専用波長が設定されるので、端末が設置されている光リンクを検出するために試験光がネットワーク側に送信される場合に、試験光の種類が大幅に低減されることが可能であり、波長資源が低減されることが可能であり、ネットワーク側の試験光の波長走査範囲が低減されることが可能であり、試験光をネットワーク側に送信するための構成要素の製造困難度およびコストが低減されることが可能であり、実装が容易である。
【0021】
第4の態様によれば、スプリッタに含まれる光フィルタ構造に対応する波長を決定する方法が提供される。この方法は、ネットワークデバイスに適用され、M個の試験光信号を、デフォルト温度と最大ドリフト値においての記憶された共通波長および専用波長に基づいて順次送信することと、X個の反射光信号を受信することとを含み、ここで、XはMよりも小さく、XおよびMは自然数であり、反射光信号は、試験光信号がスプリッタの光フィルタ構造に行き当たると反射され、試験光信号の波長はドリフト差とドリフト和の間の範囲に入り、ドリフト差は、デフォルト温度における共通波長と専用波長中の最小値から最大ドリフト値を引いたものであり、ドリフト和は、デフォルト温度における共通波長と専用波長中の最大値に最大ドリフト値を足したものであり、共通波長は、共通光フィルタ構造によって反射される光信号の波長であり、専用波長は、専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長であり、この方法はまた、受信されたX個の反射光信号に対応する試験光信号の波長と、専用波長と光分岐部分との間の記憶されたマッピング関係、およびデフォルト温度における専用波長と光入力部分との間の記憶されたマッピング関係、およびデフォルト温度における共通波長と光分岐部分との間のマッピング関係のうちの少なくとも1つとに基づいて、現在の温度における各光分岐部分に対応する波長を決定することを含む。2種類の波長、すなわち、公差波長および専用波長が設定されるので、端末が設置されている光リンクを検出するために試験光がネットワーク側に送信される場合に、試験光の種類が大幅に低減されることが可能であり、波長資源が低減されることが可能であり、ネットワーク側の試験光の波長走査範囲が低減されることが可能であり、試験光をネットワーク側に送信するための構成要素の製造困難度およびコストが低減されることが可能であり、実装が容易である。
【0022】
第4の態様に関連して、第1の可能な実装では、M個の試験光信号を順次送信することは、具体的には、ドリフト差とドリフト和の間の範囲内で、固定されたステップの間隔で1つの試験光信号を送信することを含む。
【0023】
第4の態様に関連して、第2の可能な実装では、M個の試験光信号を順次送信することは、具体的には、ドリフト差とドリフト和の間の範囲内で、固定されたステップの間隔で1つの試験光信号を送信することと、第1の反射光信号が受信された後に、第1の反射信号に対応する試験光信号の波長を基準として使用することによって、1つの試験光信号を許容差の間隔で送信することとを含む。固定されたステップは許容差よりも小さく、許容差は、デフォルト温度ですべての共通波長によって形成される等差数列の許容差である。
【0024】
第4の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第3の可能な実装では、現在の温度において各光分岐部分に対応する波長を決定することの後に、本方法は、
光分岐部分の共通光フィルタ構造の記憶された反射率に基づいて、光分岐部分の共通光フィルタ構造によって反射された反射光信号の理論パワーを計算することと、光分岐部分によって反射された反射光信号を受信する実際のパワーおよび理論パワーに基づいて、光分岐部分とネットワークデバイスとの間の光リンクが異常であるかどうかを決定することとをさらに含む。
【0025】
第5の態様によれば、ネットワークデバイスが提供される。ネットワークデバイスは、トランシーバおよびプロセッサを含む。トランシーバは、M個の試験光信号を、デフォルト温度と最大ドリフト値においての記憶された共通波長および専用波長に基づいて順次送信し、X個の反射光信号を受信するように構成される。反射光信号は、試験光信号がスプリッタの光フィルタ構造に行き当たると反射される。試験光信号の波長はドリフト差とドリフト和の間の範囲に入る。ドリフト差は、デフォルト温度における共通波長と専用波長中の最小値から最大ドリフト値を引いたものであり、ドリフト和は、デフォルト温度における共通波長と専用波長中の最大値に最大ドリフト値を足したものである。共通波長は、共通光フィルタ構造によって反射される光信号の波長であり、専用波長は、専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長である。プロセッサは、受信されたX個の反射光信号に対応する試験光信号の波長と、専用波長と光分岐部分との間の記憶されたマッピング関係、およびデフォルト温度における専用波長と光入力部分との間の記憶されたマッピング関係、およびデフォルト温度における共通波長と光分岐部分との間のマッピング関係のうちの少なくとも1つとに基づいて、現在の温度における各光分岐部分に対応する波長を決定するように構成される。2種類の波長、すなわち、公差波長および専用波長が設定されるので、端末が設置されている光リンクを検出するために試験光がネットワーク側に送信される場合に、試験光の種類が大幅に低減されることが可能であり、波長資源が低減されることが可能であり、ネットワーク側の試験光の波長走査範囲が低減されることが可能であり、試験光をネットワーク側に送信するための構成要素の製造困難度およびコストが低減されることが可能であり、実装が容易である。
【0026】
第5の態様に関連して、第5の態様の第1の実装では、トランシーバは、ドリフト差とドリフト和の間の範囲内で、固定されたステップの間隔で1つの試験光信号を送信するように構成される。
【0027】
第5の態様に関連して、第5の態様の第2の可能な実装では、トランシーバは、ドリフト差とドリフト和の間の範囲内で、固定されたステップの間隔で1つの試験光信号を送信し、第1の反射光信号が受信された後に、第1の反射信号に対応する試験光信号の波長を基準として使用することによって、1つの試験光信号を許容差の間隔で送信するように構成される。固定されたステップは許容差よりも小さく、この許容差は、デフォルト温度においてすべての共通波長によって形成される等差数列の許容差である。
【0028】
第5の態様および前述の可能な実装のいずれか1つに関連して、第3の可能な実装では、プロセッサは、光分岐部分の共通光フィルタ構造の記憶された反射率に基づいて、光分岐部分の共通光フィルタ構造によって反射された反射光信号の理論パワーを計算するように、また、光分岐部分によって反射された反射光信号を受信する実際のパワーおよび理論パワーに基づいて、光分岐部分とネットワークデバイスとの間の光リンクが異常であるかどうかを決定するように、さらに構成される。
【0029】
ネットワークデバイスが、光分岐部分に配置された共通光フィルタ構造の反射率、たとえば50%を記憶している場合、光分岐部分の共通光フィルタ構造によって反射された反射光信号の理論パワーが計算され得、すなわち、理論パワーは、試験された光信号のパワーの50%になる。実際に受信された反射光信号の実際のパワーが測定される。理論パワーと実際のパワーとの差が特定の閾値以下である場合には、それは光分岐部分とネットワークデバイスとの間の光リンクが正常であることを示し、または、理論パワーと実際のパワーとの差が閾値を超える場合には、それは光分岐部分とネットワークデバイスとの間の光リンクが異常であることを示している。
【0030】
第6の態様によれば、パッシブ光ネットワークPONシステムが提供される。PONシステムは、前述のデバイスと、前述の光分配ネットワークODNとを含む。
【0031】
本出願のさらに別の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可読記憶媒体は、第4の態様および第4の態様の実装のいずれか1つのネットワークデバイスによって使用される、対応するコンピュータソフトウェア命令を記憶し、コンピュータソフトウェア命令がコンピュータ上で実行されると、コンピュータは、前述の態様での対応する方法ステップを実施する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の実施形態における技法的解決策をより明確に説明するために、以下では、実施形態を説明するための添付図面について簡単に説明する。なお、以下の説明に関する添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を示しており、当業者であればこれらの添付図面から、創造的な努力がなくても他の図面をなお導出し得ることは明らかである。
【0033】
図1】本発明の実施形態によるPLCスプリッタの構造の概略図である。
図2】本発明の別の実施形態によるPLCスプリッタの構造の概略図である。
図3】本発明のさらに別の実施形態によるPLCスプリッタの構造の概略図である。
図4】本発明のさらに別の実施形態によるPLCスプリッタの構造の概略図である。
図5】本発明の実施形態によるFBTスプリッタの構造の概略図である。
図6】本発明の別の実施形態によるFBTスプリッタの構造の概略図である。
図7】本発明の実施形態によるシナリオ1における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図8】本発明の実施形態によるシナリオ2における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図9】本発明の実施形態によるシナリオ3における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図10】本発明の実施形態によるシナリオ4における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図11】本発明の実施形態によるシナリオ5における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図12】本発明の実施形態によるシナリオ6における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図13】本発明の実施形態によるシナリオ7における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図14】本発明の実施形態によるシナリオ8における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図15】本発明の実施形態によるシナリオ9における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図16】本発明の実施形態によるシナリオ10における偶数スプリッタの構造の概略図である。
図17】本発明の実施形態による奇数スプリッタの構造の概略図である。
図18】本発明の実施形態による別のスプリッタの構造の概略図である。
図19】本発明の実施形態による光分配ネットワークの構造の概略図である。
図20】本発明の実施形態によるスプリッタに含まれる光フィルタ構造に対応する波長を決定する方法の概略フローチャートである。
図21】本発明の実施形態によるネットワークデバイスの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態の目的、技法的解決策および利点をより明確にするために、以下では本発明の実施形態における技法的解決策について、本発明の実施形態の添付図面を参照して明確かつ完全に説明する。説明される実施形態が本発明の実施形態の一部ではあるが全部ではないことは明確である。本発明の実施形態に基づいて、創造的な努力がなくても当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範疇に入るものとする。
【0035】
本発明の実施形態は、パッシブ光ネットワーク(passive optical network,PON)システムに適用される。パッシブ光ネットワークシステムは通常、光回線端末(optical Line Termina,OLT)、光分配ネットワーク(optical distribution network,ODN)、および光ネットワークユニット(optical network unit,ONU)を含む。ODNは、OLTとONUとの間の光伝送物理チャネルを提供する。本出願の実施形態におけるPONシステムは、次世代PON(next-generation PON,NG-PON)、NG-PON1、NG-PON2、ギガビット対応PON(gigabit-capable PON,GPON)、10ギガビット/秒PON(10 gigabit per second PON,XG-PON)、10ギガビット対応対称パッシブ光ネットワーク(10-gigabit-capable symmetric passive optical network,XGS-PON)、イーサネットPON(Ethernet PON,EPON)、10ギガビット/秒EPON(10 gigabit per second EPON,10G-EPON)、次世代EPON(next-generation EPON,NG-EPON)、波長分割多重(wavelength-division multiplexing,WDM)PON、時間波長分割多重(time-and wavelength-division multiplexing,TWDM)PON、ポイントツーポイント(point-to-point,P2P)WDM PON(P2P-WDM PON)、非同期転送モードPON(asynchronous transfer mode PON,APON)、広帯域PON(broadband PON,BPON)、25ギガビット/秒PON(25 gigabit per second PON,25G-PON)、50ギガビット/秒PON(50 gigabit per second PON,50G-PON)、100ギガビット/秒PON(100 gigabit per second PON,100G-PON)、25ギガビット/秒EPON(25 gigabit per second EPON,25G-EPON)、50ギガビット/秒EPON(50 gigabit per second EPON,50G-EPON)、100ギガビット/秒EPON(100 gigabit per second EPON,100G-EPON)、ITUによって規定された他の様々なPONシステム、IEEEによって規定された他の様々なPONシステム、などであってよい。
【0036】
PONシステムでは、OLTからONUへの方向がダウンリンク方向と定義され、ONUからOLTへの方向がアップリンク方向と定義されている。OLTは、光アクセスネットワークのコアコンポーネントであり、通常では中央局(Central Office,CO)に設置され、少なくとも1つのONUを一緒に管理することがある。OLTは、アクセスされた各ONUに対してデータを提供し、管理などを行うように構成される。OLTは、各ONUへ光信号を送信する、各ONUからフィードバックされた情報を受信する、また、ONUからフィードバックされた情報、他のデータなどを処理する、などのように構成されてよい。ONUは、OLTから送信されたデータを受信する、OLTの管理コマンドに応答する、ユーザのイーサネットデータをバッファする、データをアップリンク方向にOLTによって割り当てられた送信ウィンドウで送信する、などのように構成される。
【0037】
ODNは通常、光分配フレーム(Optical Distribution Frame,ODF)、分割・接続クロージャ(splitting and splicing closure,SSC)、ファイバ分配端末(fiber distribution terminal,FDT)、ファイバアクセス端末(fiber access terminal,FAT)、アクセス端末ボックス(access terminal box,ATB)などを含む。FDTはスプリッタ1を含むことがあり、FATはスプリッタ2を含むことがある。OLTから来る光信号は、ODF、SSC、光分割用のFDT内スプリッタ1、光分割用のFAT内スプリッタ2、およびATBを順次に通過してからONUに到着する。言い換えると、OLTから来た光信号は、OLTとONUとの間の光リンクを経由してONUへ伝送される。スプリッタ1は、受信光信号のパワーを等しく分ける。一方の分岐したものがスプリッタ2へ伝送される。次に、スプリッタ2は受信光信号のパワーを等しく分ける。分岐したものすべてが、接続されたONUへ別個に伝送される。ODNの最終段スプリッタの出力端はODNの出力ポートとして使用され、ONUはODNの出力ポートに接続される。
【0038】
本出願の実施形態では、スプリッタを提供する。スプリッタは、スプリッタモジュール、光スプリッタなどと呼ばれることもある。スプリッタは、1つの光信号を複数の光信号に分割するように構成される。スプリッタは、光分割がたとえば光分配ネットワーク(optical distribution network,ODN)において要求されるシナリオで使用されることがある。スプリッタがODNに使用される例では、スプリッタは、光分割装置に配置されることがある。この光分割装置は、たとえば、ODF、SSC、FDT、FAT、もしくはATBなどのデバイスでよく、またはODN内の別のデバイスでもよい。
【0039】
本発明の実施形態において、図1図2図3図4図5、および図6を参照すると、図1から図4は、本発明の実施形態による平面光波回路(planar lightwave circuit,PLC)スプリッタの構造の概略図であり、図5および図6は、本発明の実施形態による融合バイコニカルテーパ(Fused biconical taper,FBT)スプリッタの構造の概略図である。スプリッタは、光入力部分100、およびN個の光分岐部分200を含む。Nは2以上の整数である。光信号が光入力部分100から入り、N個の光分岐部分200から出力される。光フィルタ構造210が光入力部分100、および少なくとも(N-3)個の光分岐部分200のそれぞれに配置され得る。各光フィルタ構造は、1つの波長の光信号を特定の反射率で反射するか、1つの波長の光信号を特定の透過率で透過させるが、これはまた、光フィルタ構造210が、1つの中心波長の光信号を特定の反射率で反射するか、1つの中心波長の光信号を特定の透過率で透過させることを意味し得る。光フィルタ構造210がある波長範囲の光信号を反射すると理解されてよい。その波長範囲の光信号は、中心波長を有し、その中心波長で反射率が最大値に達し、または透過率が最小値に達する。光分岐部分200に配置される光フィルタ構造210は、温度ドリフト均一パッケージ260内に一緒に設置されてよい。温度ドリフト均一パッケージ260は、スプリッタの周囲温度が変化したときに温度ドリフト均一パッケージ内部の温度が均等に分布するように構成され得る。温度ドリフト均一パッケージの内部の温度が一様に分布しているので、周囲温度が変化したときに、光フィルタ構造210によって反射されることが可能である光波に対応する波長の温度ドリフト方向および値は同じであり、光フィルタ構造210によって反射される光波の波長と温度との間の正相関のドリフト関係が、実験および計算によって得られ得ることに留意されたい。たとえば、各光フィルタ構造210がファイバブラッググレーティング(fiber bragg grating,FBG)である場合、FBGによって反射される光波の波長と温度との間の正相関のドリフト関係は0.01nm/℃であり、すなわち、現在の周囲温度が基準温度より10℃高いときには、FBGによって現在反射されている光波の波長は、FBGの基準反射波長よりも0.1nm長くなる。したがって、温度ドリフト均一パッケージ260は、周囲温度が変化したときに、隣り合うグレーティングによって反射される光波の波長が重ならないことを保証することができると知られることが可能である。前述の基準温度は通常、標準温度であり、異なる地域の標準温度は異なることに留意されたい。中国大陸の標準温度は、通常では20℃である。温度ドリフト均一パッケージ260は、たとえば、金属パッケージを使用することによって実装され得る。実施形態において、温度ドリフト均一パッケージ260は、リボンファイバ223の一部である、かつグレーティングが可能な限り密に配置されている一部をさらに引っ張り、その一部を締結し、その一部を吊り下げることができるので、外部環境因子によって引き起こされるグレーティングへの影響、たとえば、手で引っ張ること、風が吹くことなどによって生成される応力に起因するグレーティング周期への影響が最大限低減され、それによってグレーティングを保護する。加えて、光入力部分100が共通ポートを含んでよく、光分岐出力部分200が分岐ポートと一対一の対応関係にあってよく、また、光分岐出力部分200に配置されている、かつ、異なる波長の光信号を反射するために使用されている光フィルタ構造に基づいて、光分岐出力部分200に対応する分岐ポートが識別されてよいことに留意されたい。構造的に、光分岐出力部分200は、分岐ポートを含み得る。
【0040】
以下では、異なるタイプのスプリッタについてさらに説明する。
【0041】
いくつかの実施形態において、光入力部分100は、1つの光信号をスプリッタ内で伝送するために使用される光路である。スプリッタ内部では、1つの光信号がN個の光信号に分割され、光分岐部分200は、光入力部分100の後の光路である。いくつかの実施形態では、スプリッタの1個または2個の光入力部分100があり得る。2個の光入力部分100を例にとると、光分岐を行うためにスプリッタがODNによって使用される場合、光入力部分100のうちの1つは一次ファイバに接続されてよく、他の光入力部分100は二次ファイバに接続されてよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、図1図4に示されるスプリッタはPLCスプリッタであり、このPLCスプリッタは、光入力ファイバ110、N本の光出力ファイバ221、および平面光波回路230を含む。PLCスプリッタは、基板240をさらに含んでもよく、平面光波回路230は基板240に配置される。平面光波回路230は、光入力導波路120、N本の光出力導波路231、および光入力導波路とN本の光出力導波路231との間に接続された中間分岐導波路232を含む。光入力ファイバ110は、光入力導波路に接続される。N本の光出力ファイバ221は、N本の光出力導波路231に一対一の対応関係で接続される。PLCスプリッタは、光入力ファイバ110を光入力導波路に接続するように、かつ光出力ファイバ221を光出力導波路231に接続するように構成された接合剤250をさらに含み得る。光入力部分100は、光入力ファイバ110および光入力導波路を含む。各光分岐部分200は、中間分岐導波路232と、互いに接続されている1本の光出力導波路231および1本の光出力ファイバ221を含む対とを含む。各光分岐部分200が中間分岐導波路232の一部を含むと理解されてよい。たとえば、図1に示される第1の光分岐部分200の中間分岐導波路232は、M21およびM31を含み、第2の光分岐部分200の中間分岐導波路232は、M21およびM32を含む。実施形態において、N本の光出力ファイバ221の端部はファイバアレイ220を形成し、基板240と平面光波回路はスプリッタチップを形成し、スプリッタチップとファイバアレイ220は接合剤250を使用して接合され、N本の光出力導波路231は、N本の光出力ファイバ221に一対一の対応関係で接続されている。
【0043】
他のいくつかの実施形態では、図5および図6に示されるスプリッタはFBTスプリッタであり、このFBTスプリッタは、光入力ファイバ110、結合領域ファイバ270、およびN本の光出力ファイバ221を含む。FBTスプリッタは、2本以上のファイバを結びつけ、テーパで融着延伸を行い、リアルタイムで分割比の変化を監視する。分割比が要件を満たした後、融着延伸が終了する。1本のファイバが入力端に保持され、他のファイバは切断され、保持されたファイバは光入力ファイバ110として使用され、出力端のファイバはN本の光出力ファイバ221として使用される。光入力部分100は光入力ファイバ110を含んでよく、光分岐部分200はN本の光出力ファイバ221を含んでよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、PLCスプリッタに関して、光フィルタ構造210は、光出力導波路231(図2に示される)または光出力ファイバ221(図1図3、および図4に示される)に配置されてよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、図3および図4に示されるように、光出力ファイバ221は、ファイバアレイ220のファイバ222、リボンファイバ223、テールファイバ224などを含む。図4に示されるように、スプリッタは分岐コンポーネント225をさらに含む。分岐コンポーネント225の一端はリボンファイバ223に接続され、分岐コンポーネント225の他端はテールファイバ224に接続されている。リボンファイバ223は、分岐コンポーネント225とファイバアレイ220のファイバ222との間に設置されている。光フィルタ構造210が光出力ファイバ221に配置されることは、光フィルタ構造210が、ファイバアレイ220のファイバ222に(図1に示される)、リボンファイバ223に(図3に示される)、またはテールファイバに配置されることを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、1つの光分岐部分200のM個の光フィルタ構造210のすべてが、光出力導波路231に配置されており、または光出力ファイバ221に配置されることがある。図1に示されるように、1つの光分岐部分200のM個の光フィルタ構造210のすべてがファイバアレイ220のファイバ222に配置され、または図3に示されるように、1つの光分岐部分200のM個の光フィルタ構造210のすべてがリボンファイバ223に配置され、または図4に示されるように、1つの光分岐部分200のM個の光フィルタ構造210のすべてがテールファイバ224に配置される。代替として、1つの光分岐部分200のM個の光フィルタ構造210は、光出力導波路231、光出力ファイバ221(ファイバアレイ220のファイバ222、リボンファイバ223、およびテールファイバ224を含む)、および中間分岐導波路232のうちの少なくとも2つに散らばっていてもよい。実施形態では、図5および図6に示されるように、FBTスプリッタに関して、光フィルタ構造210は、光入力ファイバ110または光出力ファイバ221に配置されてよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、1つの光フィルタ構造210は1つのグレーティングでよく、このグレーティングは1つの波長の光信号を特定の反射率で反射する。グレーティングは、特定の方法を用いて光分岐部分200の屈折率または反射率を軸方向に周期的に調節することによって形成された回折グレーティングである。グレーティングは、ファイバグレーティングでよく(すなわち、グレーティングはファイバ上に形成されている)、または導波路グレーティングでよい(すなわち、グレーティングは導波路上に形成されている)。ファイバグレーティングは、FBGでも長周期ファイバグレーティング(long-period fiber grating,LPFG)でもよい。
【0048】
ファイバグレーティングは例として使用されている。一般には、ファイバ材料の感光性が利用されて、入射光のコヒーレントフィールドパターンをコアに紫外線露光によって書き込み、コア軸に沿った周期的屈折率変化がコア内部に生成され、それにより恒久的な空間位相グレーティングが形成される。加えて、ファイバグレーティングは、代替として、フェムト秒レーザ、炭酸ガスレーザなどを使用して製造されてもよい。導波路のグレーティングに関しては、前述のファイバグレーティング製造方法を用いてもまたよい。グレーティングは、特定の中心波長の帯域消去フィルタと考えられてよい。広スペクトルの光信号がグレーティングを通過するとき、特定の中心波長のすべての光信号は反射され、他の波長の光信号はグレーティングを通過して引き続き伝送される。代替として、グレーティングは、特定の中心波長の光信号を特定の反射率で反射する。具体的には、特定の中心波長の光信号の一部が反射され、特定の中心波長の光信号の一部がグレーティングを通過して引き続き伝送され、また、他の波長の光信号がグレーティングを通過して引き続き伝送される。グレーティングはある波長範囲の光信号をフィルタリング除去し、その波長範囲の光信号は中心波長を有すると理解されてよい。中心波長および反射率(または透過率)は、グレーティング周期、グレーティングピッチ、および露光時間をグレーティング製造処理で調整することによって制御され得る。
【0049】
別の実施形態では、光フィルタ構造210は、代替としてフィルタコーティングでよい。フィルタコーティングは、導波路またはファイバにメッキされたコーティングでよい。たとえば、コーティングは、導波路の端面にメッキされてよく、導波路に開口部が設けられた後にメッキされてよく、ファイバの端面にメッキされてよく、またはファイバに開口部が設けられた後にメッキされてよい。各光分岐部分200のフィルタコーティングの量およびフィルタコーティングの位置の設定法については、前述のグレーティングの対応する説明を参照されたい。詳細については、本明細書では再度説明されない。フィルタコーティングは、ある波長範囲の光信号をフィルタリング除去し、その波長範囲の光信号が中心波長を有すると理解されてよい。光フィルタ構造210がフィルタコーティングである場合、前述の有益な効果はまた、図1図4に示されたようにして達成されることも可能であると理解されてよい。詳細については、本明細書では再度説明されない。
【0050】
光入力ファイバ110は、スプリッタの分岐が少ない方の端部のファイバであると理解されてよい。光出力ファイバ221は、スプリッタの分岐が多い方の端部のファイバである。光信号が、光入力ファイバ110から入ってよく、また、スプリッタを使用して複数の光信号に分割されてよく、その複数の光信号は光出力ファイバ221を通過して出力される。光信号は、代替として光出力ファイバ221から入り、光入力ファイバ110を通過して出力されてもよい。
【0051】
実施形態において、スプリッタは偶数スプリッタである。偶数スプリッタのN個の光分岐部分200から出力される光信号のパワーは、同一であるか実質的に同一である。偶数スプリッタは、図1図4に示されたPLCスプリッタでよく、または偶数スプリッタは、図5および図6に示されたFBTスプリッタでよい。
【0052】
前述の内容を参照して、本発明の実施形態の偶数スプリッタおよび奇数スプリッタについてさらに説明される。
【0053】
本発明の実施形態において、1つの偶数スプリッタには、共通光フィルタ構造および専用光フィルタ構造である、2種類の光フィルタ構造がある。すべての共通光フィルタ構造が光分岐部分に配置される。共通光フィルタ構造および専用光フィルタ構造の材料または構造は、同じものでよいことに留意されたい。専用光フィルタ構造は、光入力部分に配置されても光分岐部分に配置されてもよい。共通光フィルタ構造は、共通波長の光信号をフィルタリング除去することができる。特定の共通波長は、スプリッタの光分岐部分に対応する。1つの光分岐部分は、スプリッタの1つのポートと考えられてよい。これらの共通光フィルタ構造に対応する異なる共通波長を使用して、スプリッタの異なるポートが識別されてよく、また、スプリッタ内部のすべての共通波長が等差数列をなしてよい。専用光フィルタ構造は、専用波長の光信号をフィルタリング除去することができる。専用波長とすべての共通波長中の最大波長または最小波長との差は、許容差よりもはるかに大きい。専用光フィルタ構造は、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造に分類され得る。第1の専用光フィルタ構造に対応する波長と最大共通波長との差は、等差数列の許容差よりも大きく、第2の専用光フィルタ構造に対応する波長と最小共通波長との差は、等差数列の許容差よりも大きい。第1の専用光フィルタ構造に対応する波長は、第1の専用光フィルタ構造によってフィルタリング除去されることが可能な光信号に対応する波長であり、第2の専用光フィルタ構造に対応する波長は、第2の専用光フィルタ構造によってフィルタリング除去されることが可能な光信号に対応する波長である。説明しやすいように、第1の専用光フィルタ構造に対応する波長が第1の専用波長と呼ばれ、第2の専用光フィルタ構造に対応する波長が第2の専用波長と呼ばれることがある。たとえば、第1の専用波長と最大共通波長との差は2nmであり、許容差は0.5nmである。本発明の実施形態のスプリッタは、第1の専用光フィルタ構造もしくは第2の専用光フィルタ構造だけを含むことがあり、またはこのスプリッタは、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方を含むことがある。スプリッタは、専用光フィルタ構造の数量と、専用光フィルタ構造が配置されている位置とに基づいて、設計が異なっていてよい。さらなる説明が、以下の具体的な実施形態において行われる。第1の専用波長、第2の専用波長、および共通波長の前述の設計では、専用波長が、光信号を反射できる光フィルタ構造に対応する波長間の差を決定することによって決定されてよく、この専用波長が決定されると、共通波長に対応するスプリッタのポートが、共通波長と専用波長との差を用いて決定され得る。加えて、本発明の実施形態では、温度ドリフト均一パッケージが、すべての共通光フィルタ構造をパッケージ化するために使用され、すべての共通光フィルタ構造に対応する波長が、等しい比率で温度と共に変化する。したがって、温度と共に変化した後に得られる共通波長は、依然として等差数列をなしている。前述の構造設計では、1つのスプリッタの光フィルタ構造に対応する波長範囲の占有を最小限に抑えられることが可能であり、それにより、貴重な波長資源の占有が低減されることが可能である。加えて、すべての波長のドリフトが、温度ドリフト均一パッケージを使用することによって同一になることが可能であり、それにより、共通波長は異なる温度において等差数列をなすようになる。
【0054】
前述の設計については、以下でいくつかの例を用いて具体的に説明される。説明しやすいように、以下の実施形態の共通光フィルタ構造および専用光フィルタ構造は、FBGである。別の種類の光フィルタ構造を使用して本発明を実装する処理および原理も同じである。スプリッタは、1:8スプリッタを使用して説明されており、すなわち、1個の光入力部分100および8個の光分岐部分200を含む。1:12スプリッタまたは1:16スプリッタなどの別のタイプのスプリッタの構造設計も、1:8スプリッタのそれと同じである。
【0055】
シナリオ1:図7に示されるように、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が存在し、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が光入力部分100に配置され、共通光フィルタ構造が、8個の光分岐部分200に配置される。このシナリオでは、合計でN個(N=8)の共通波長が必要とされる。
【0056】
標準温度(摂氏20度)において、第1の専用波長λ9が1630.5nm、第2の専用波長λ0が1623nm、8個の光分岐部分に配置された共通光フィルタ構造の8個の共通波長が、λ1=1625nm、λ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、λ7=1628nm、およびλ8=1628.5nmであると仮定される。前述の具体例から、8個の共通波長は、初項が1625であり許容差が0.5である等差数列をなすことができること、第1の専用波長は最大共通波長1628.5nmより2nm大きく、第2の専用波長は最共通波長1625nmより2nm小さく、言い換えると、その差は許容差0.5よりはるかに大きいことが知られることが可能である。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1630.5nm-1623nm=7.5nmの波長範囲しか必要とされない。1:8のスプリッタには少なくとも20nmの波長範囲が必要とされる従来技術の設計と比較して、波長の占有が大幅に低減されることが可能である。OTDRは、広スペクトル走査プローブ光を出力する。広スペクトル走査プローブ光は、分岐線の端面で反射され、特定の波長近くの分岐上でブラッググレーティングによって阻止される。上記で決定されたマッピング関係に基づいて、各分岐線が識別されることが可能であり、また、分岐線の開放/閉鎖が検出されることが可能である。対応する分岐の伝送損失が、分岐の端面で反射された光信号の過去の記録と検出された光パワーとを比較することによって、推定されることが可能である。
【0057】
シナリオ2:図8に示されるように、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が存在し、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が光入力部分に配置され、8個の光分岐部分のうちの1つには光フィルタ構造が配置されず、共通光フィルタ構造が他の7個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計で(N-1)個(N-1=7)の共通波長が必要とされる。
【0058】
シナリオ1と比較すると、1個の共通波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ9=1630nmに設定されてよい。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1630nm-1623nm=7nmの波長範囲しか必要とされない。
【0059】
シナリオ3:図9に示されるように、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が存在し、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の一方が光入力部分に配置され、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の他方が8個の光分岐部分のうちの1つに配置され(第1の専用光フィルタ構造が光入力部分に配置され、第2の専用光フィルタ構造が8個の光分岐部分のうちの1つに配置される、または、第1の専用光フィルタ構造が8個の光分岐部分のうちの1つに配置され、第2の専用光フィルタ構造が光入力部分に配置される)、共通光フィルタ構造が8個の光分岐部分中の他の7個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計で(N-1)個(N-1=7)の共通波長が必要とされる。
【0060】
シナリオ1と比較すると、1個の共通波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ9=1630nmに設定されてよい。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1630nm-1623nm=7nmの波長範囲しか必要とされない。
【0061】
シナリオ4:図10に示されるように、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が存在し、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の一方が光入力部分に配置され、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の他方が8個の光分岐部分のうちの1つに配置され、8個の光分岐部分のうちの1つには光フィルタ構造が配置されず、共通光フィルタ構造が他の6個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計で(N-2)個(N-2=6)の共通波長が必要とされる。
【0062】
シナリオ1と比較すると、2個の共通波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ0=1623.5nmに設定されてよく、第2の専用波長はλ9=1630nmに設定されてよく、他の個の共通波長はλ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、およびλ7=1628nmである。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1630nm-1623.5nm=6.5nmの波長範囲しか必要とされない。
【0063】
シナリオ5:図11に示されるように、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が存在し、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が、8個の光分岐部分のうちの2つに配置され、共通光フィルタ構造が、8個の光分岐部分中の他の6個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計で(N-2)個(N-2=6)の共通波長が必要とされる。
【0064】
シナリオ1と比較すると、2個の共通波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ0=1623.5nmに設定されてよく、第2の専用波長はλ9=1630nmに設定されてよく、他の個の共通波長はλ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、およびλ7=1628nmである。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1630nm-1623.5nm=6.5nmの波長範囲しか必要とされない。
【0065】
シナリオ6:図12に示されるように、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が存在し、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の両方が、8個の光分岐部分のうちの2つに配置され、8個の光分岐部分のうちの1つには光フィルタ構造が配置されず、共通光フィルタ構造が、他の5個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計で(N-3)個(N-3=5)の共通波長が必要とされる。
【0066】
シナリオ1と比較すると、3個の共通波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ0=1623.5nmに設定されてよく、第2の専用波長はλ9=1629.5nmに設定されてよく、他の個の共通波長はλ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、およびλ6=1627.5nmである。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1629.5nm-1623.5nm=6nmの波長範囲しか必要とされない。
【0067】
シナリオ7:図13に示されるように、専用光フィルタ構造が1つだけ存在し、言い換えると、スプリッタは第1の専用光フィルタ構造または第2の専用光フィルタ構造だけを含み、第1の専用光フィルタ構造または第2の専用光フィルタ構造は光入力部分に配置され、共通光フィルタ構造は8個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計でN個(N=8)の共通波長が必要とされる。
【0068】
シナリオ1と比較すると、1個の専用波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ0=1623nmに設定されてよく、他の8個の共通波長はλ1=1625nm、λ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、λ7=1628nmおよびλ8=1628.5nmである。代替として、第2の専用波長はλ9=1630.5nmに設定され、他の8個の共通波長はλ1=1625nm、λ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、λ7=1628nmおよびλ8=1628.5nmである。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1628.5nm-162nm=5.5nmまたは1630.5nm-1625nm=5.5nmの波長範囲しか必要とされない。
【0069】
シナリオ8:図14に示されるように、専用光フィルタ構造が1つだけ存在し、言い換えると、スプリッタは第1の専用光フィルタ構造または第2の専用光フィルタ構造だけを含み、第1の専用光フィルタ構造または第2の専用光フィルタ構造は光入力部分に配置され、8個の光分岐部分のうちの1つには光フィルタ構造が配置されず、共通光フィルタ構造は他の7個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計で(N-1)個(N-1=7)の共通波長が必要とされる。
【0070】
シナリオ1と比較すると、1個の専用波長および1個の共通波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ0=1623nmに設定されてよく、他の個の共通波長はλ1=1625nm、λ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、およびλ7=1628nmである。代替として、第2の専用波長はλ9=1630nmに設定され、他の個の共通波長はλ1=1625nm、λ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、およびλ7=1628nmである。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1628nm-1623nm=5nm、または1630nm-1625nm=5nmの波長範囲しか必要とされない。
【0071】
シナリオ9:図15に示されるように、専用光フィルタ構造が1つだけ存在し、言い換えると、スプリッタは第1の専用光フィルタ構造または第2の専用光フィルタ構造だけを含み、第1の専用光フィルタ構造または第2の専用光フィルタ構造は8個の光分岐部分のうちの1つに配置され、共通光フィルタ構造は8個の光分岐部分中の他の7個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計で(N-1)個(N-1=7)の共通波長が必要とされる。
【0072】
シナリオ1と比較すると、1個の専用波長および1個の共通波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ0=1623.5nmに設定されてよく、他の個の共通波長はλ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、λ7=1628nm、およびλ8=1628.5nmである。代替として、第2の専用波長はλ9=1630nmに設定され、他の個の共通波長はλ1=1625nm、λ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、およびλ7=1628nmである。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1628.5nm-1623.5nm=5nm、または1630nm-1625nm=5nmの波長範囲しか必要とされない。
【0073】
シナリオ10:図16に示されるように、専用光フィルタ構造が1つだけ存在し、言い換えると、スプリッタは第1の専用光フィルタ構造または第2の専用光フィルタ構造だけを含み、第1の専用光フィルタ構造または第2の専用光フィルタ構造は8個の光分岐部分のうちの1つに配置され、8個の光分岐部分のうちの1つには光フィルタ構造が配置されず、共通光フィルタ構造は他の6個の光分岐部分に配置される。このシナリオでは、合計で(N-2)個(N-2=6)の共通波長が必要とされる。
【0074】
シナリオ1と比較すると、1個の専用波長および2個の共通波長が削減される。したがって、第1の専用波長はλ0=1623.5nmに設定されてよく、他の個の共通波長はλ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、およびλ7=1628nmである。代替として、第2の専用波長はλ9=1630nmに設定され、他の個の共通波長はλ2=1625.5nm、λ3=1626nm、λ4=1626.5nm、λ5=1627nm、λ6=1627.5nm、およびλ7=1628nmである。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタを設計するのに1628nm-1623.5nm=4.5nm、または1630nm-1625.5nm=4.5nmの波長範囲しか必要とされない。
【0075】
スプリッタの周囲温度が変化したときに、温度ドリフト均一パッケージ内に配置された複数の共通光フィルタ構造のFBGの反射波長の温度ドリフト方向および値は同じである。反射ピークアレイに対応する検出反射波長がλ0=1622.6nm、λ1=1625.1nm、λ2=1625.6nm、λ3=1626.1nm、λ4=1626.6nm、λ5=1627.1nm、λ6=1627.6nm、λ7=1628.1nm、λ8=1628.6nm、およびλ9=1630.6nmである場合共通波長間の差は変化しないままであることが知られることが可能である。したがって、波長と光分岐部分との関係が、反射ピークに対応する波長間の差を観察することによって決定されてよい。
【0076】
別の実施形態では、図17に示されるように、スプリッタは奇数スプリッタ300である。奇数スプリッタは、1個の光入力部分301、N個の光分岐部分302、および1個のバイパス光部分303を含む。光分岐部分302から出力される光信号のパワーは、同一であるか実質的に同一である。通常、バイパス光部分303はまた、大分岐比の光分岐部分とも呼ばれる。バイパス光部分303から出力される光信号のパワーは、各光分岐部分302から出力される光信号のパワーとは異なるか、または差が比較的大きい。一般に、バイパス光部分303から出力される光信号のパワーは、各光分岐部分302から出力される光信号のパワーよりも大きい。それに対応して、奇数スプリッタは、1本の奇数光出力ファイバ321、および(N-1)本の偶数光出力ファイバ321を含む。奇数スプリッタは、PLCスプリッタでもFBTスプリッタでもよい。代替として、奇数スプリッタは、PLCとFBTを組み合わせたものを備えたスプリッタでもよい。たとえば、FBTを使用して1:2光部分が実装され、PLCを使用して1:8光部分が実装されてよい。1:2光部分の2個の分岐端部の出力光パワーの比は30%:70%であり、1:2光部分の30%分岐端部は1:8光部分に接続される。専用光フィルタ構造および共通光フィルタ構造を光入力部分301およびN個の光分岐部分302に配置する手法は、シナリオ1からシナリオ11における専用光フィルタ構造および共通光フィルタ構造を配置する手法と同じでよい。加えて、バイパス光フィルタ構造がバイパス光部分303にさらに配置されてもよい。バイパス光フィルタ構造の波長は、シナリオ1からシナリオ11における偶数スプリッタによって使用される波長範囲を超えてもよい。バイパス光部分は、バイパス光フィルタ構造の波長を使用して識別され、さらに、奇数スプリッタがODNネットワークにおいて属する段が、バイパス光部分に対応する波長を使用して識別されてもよい。
【0077】
別の実施形態では、図18に示されるように、スプリッタがさらに開示される。スプリッタは、光入力部分、N個の光分岐部分、および少なくとも(N-1)個の光フィルタ構造を含む。各光フィルタ構造は、1つの波長の光信号を反射する。光フィルタ構造は、専用光フィルタ構造および少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造を含み、少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造では、少なくとも2個の共通光フィルタ構造は、同じ波長の光信号を反射するが、異なる反射率を有している。少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造は、少なくとも(N-3)個の光分岐部分に一対一の対応関係で配置され、少なくとも(N-3)個の共通光フィルタ構造のそれぞれによって反射される光信号の波長は、共通波長であり、専用光フィルタ構造は、第1の専用光フィルタ構造と第2の専用光フィルタ構造の少なくとも一方を含み、第1の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第1の専用波長であり、第2の専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長は第2の専用波長である。少なくとも(N-3)個の共通波長の異なる波長値が等差数列をなし、第1の専用波長と最大共通波長との差は等差数列の許容差よりも大きく、第2の専用波長と最小共通波長との差は等差数列の許容差よりも大きい。たとえば、第1の専用波長がλ0=1623.5nmに設定されている光フィルタ構造1がスプリッタの光分岐部分1に配置され、波長がλ2=1625.5nmであり反射率が100%である光フィルタ構造2がスプリッタの光分岐部分2に配置され、波長がλ2=1625.5nmであり反射率が50%である光フィルタ構造3がスプリッタの光分岐部分3に配置され、波長がλ3=1626nmであり反射率が100%である光フィルタ構造4がスプリッタの光分岐部分4に配置され、波長がλ3=1626nmであり反射率が50%である光フィルタ構造5がスプリッタの光分岐部分5に配置され、波長がλ4=1626.5nmであり反射率が100%である光フィルタ構造6がスプリッタの光分岐部分6に配置され、波長がλ4=1626.5nmであり反射率が50%である光フィルタ構造7がスプリッタの光分岐部分7に配置され、スプリッタの光分岐部分8には光フィルタ構造が配置されない。このようにして、8個の分岐ポートを備えたスプリッタのために1625.5nm-1623.5nm=2nmの波長範囲しか必要とされないので、波長資源の占有がさらに低減されることが可能である。
【0078】
別の実施形態では、図19に示されるように、ODNネットワークがさらに開示される。ODNネットワークは、1個の第1段スプリッタ、および複数の第2段スプリッタを含む。第1段スプリッタおよび第2段スプリッタはそれぞれ、前述の実施形態のいずれか1つで開示されたスプリッタでよい。第1段スプリッタの光フィルタ構造によって反射される光信号の波長中の最大値と、第2段スプリッタの光フィルタ構造によって反射される光信号の波長中の最小値との差は、等差数列の許容差よりも大きい。
【0079】
前述の実施形態におけるスプリッタに基づいて、本発明の実施形態では、スプリッタに含まれる光フィルタ構造に対応する波長を決定する方法を提供することに留意されたい。図20に示されるように、この方法は、具体的に以下のステップを含む。
【0080】
2001:ネットワークデバイスは、すべての共通波長および専用波長と、専用波長と光分岐部分との間のマッピング関係、および専用波長と光入力部分との間のマッピング関係、およびデフォルト温度における共通波長と光分岐部分との間のマッピング関係のうちの少なくとも1つとを別個に得る。共通波長は、共通光フィルタ構造によって反射される光信号の波長であり、専用波長は、専用光フィルタ構造によって反射される光信号の波長である。ネットワークデバイスは、具体的にはOLT、OTDR、またはOTDRとOLTとが一体化されたネットワークデバイスであり得る。
【0081】
スプリッタが設計されるとき、スプリッタの専用波長および共通波長、ならびに共通波長と光分岐部分との間のマッピング関係が記憶される。場合によっては、専用波長と光分岐部分との間のマッピング関係がさらに記録される。共通波長および専用波長は、温度変化につれてドリフトすることがある。たとえば、デフォルト温度(たとえば、摂氏20度)では、光分岐部分1に配置された共通光フィルタ構造の波長がλ1=1625nmである。すなわち、光分岐部分1が、中央局デバイスから送信されている波長1625nmの光信号を受信したとき、光分岐部分1の共通光フィルタ構造は、その波長の光信号を反射する。しかし、周囲温度が摂氏80度に変化し、光分岐部分1の共通光フィルタ構造が、中央局デバイスから波長1625nmの光信号を受信したときは、共通光フィルタ構造は、その波長の光信号を反射しない。光分岐部分1の共通光フィルタ構造が、中央局デバイスから送信されている波長1625.4nmの光信号を受信したときは、共通光フィルタ構造は、その波長の光信号を反射する。すなわち、周囲温度が摂氏80度あるとき、光分岐部分1に配置された共通光フィルタ構造の波長は、λ1=1625.4nmに変化する。
【0082】
2002:ネットワークデバイスは、デフォルト温度および最大ドリフト値において、記憶された共通波長および専用波長に基づいてM個の試験光信号を順次送信し、X個の反射光信号を受信する。XはMよりも小さく、XおよびMは自然数であり、試験光信号の波長はドリフト差とドリフト和の間の範囲に入り、ドリフト差は、デフォルト温度における共通波長と専用波長中の最小値から最大ドリフト値を引いたものであり、ドリフト和は、デフォルト温度における共通波長と専用波長中の最大値に最大ドリフト値を足したものであり、反射光信号は、試験光信号がスプリッタの光フィルタ構造に行き当たると反射される。
【0083】
第1の専用波長が存在する場合、共通波長と専用波長中の最大値は第1の専用波長であり、または、第1の専用波長が存在しない場合は、共通波長と専用波長中の最大値は共通波長中の最大値である。第2の専用波長が存在する場合、共通波長と専用波長中の最小値は第2の専用波長であり、または、第2の専用波長が存在しない場合は、共通波長と専用波長中の最小値は、共通波長中の最小値である。最大ドリフト値は事前設定されてよい。一般に、波長は±1nmだけドリフトすることがあり、したがって最大ドリフト値は1nmとしてよい。このようにして、試験光信号の波長範囲が決定されることが可能である。具体的には、試験光信号の最小波長は、デフォルト温度における共通波長と専用波長中の最小値から最大ドリフト値を引いたものであり、試験光信号の最大波長は、デフォルト温度における共通波長と専用波長中の最大値から最大ドリフト値を引いたものである。M個の試験光信号は、2個の手法で送信されてよい。
【0084】
手法1:試験光信号の最小波長から最大波長の間の範囲において、ネットワークデバイスは、特定のステップ(たとえば0.01nm)の間隔の、言い換えると、連続して送信される隣り合う試験光信号間の波長差が0.01nmの、試験光信号を使用して走査を実施する。以下では、第1の専用波長と第2の専用波長の両方が存在する例を用いて、処理について詳細に説明する。デフォルト温度における第1の専用波長λ9=1630.5nm、およびデフォルト温度における第2の専用波長λ0=1623nmが得られ、最大ドリフト値が1nmであるときに、走査が波長1622nmから波長1631.5nmまで0.01nmのステップで実施される。すなわち、ネットワークデバイスは、複数の波長の試験光信号をスプリッタへ順次に送信する。試験光信号は、波長1622nmから波長1631.5nmまで許容差0.01nmで増加させることによって送信される。言い換えると、ネットワークデバイスは、試験光信号を波長1622nmから波長1631.5nmまで0.01nmの間隔で送信する。別の例で、ネットワークデバイスが反射光信号を、波長1622.5nmの試験光信号を送信しているときに受信した場合には、その反射光信号に対応する試験光信号の波長は1622.5nmである。
【0085】
ネットワークデバイスは、最小波長の試験光信号から開始して、最大波長の試験光信号が送信されるまで、試験光信号を送信してもよいことに留意されたい。代替として、ネットワークデバイスは、最大波長の試験光信号から開始して、最小波長の試験光信号が送信されるまで試験光信号を送信してもよい。
【0086】
手法2:試験光信号の最小波長から最大波長の間の範囲において、ネットワークデバイスは、複数の試験光信号を最小波長の試験光信号から開始して特定のステップ(たとえば、0.01nm)の間隔で送信してよい。反射信号を初回に受信した後、ネットワークデバイスは、反射信号に対応する試験光信号の波長が共通波長と専用波長中の最小波長であると決定し、次に、デフォルト温度における記憶された共通波長および専用波長の値から、共通波長を含む等差数列の許容差を得て、許容差と、初回に受信された反射光信号に対応する試験光信号の波長とを加算することによって得られた波長に基づいて、試験光信号を送信する。類推によって、ネットワークデバイスは、1つの試験光信号を許容差の間隔で順次に送信し、言い換えると、隣り合う試験光信号間の波長差が許容差になる。このようにして、送信される試験光信号の数量が低減されることが可能である。
【0087】
2003:ネットワークデバイスは、受信されたX個の反射光信号に対応する試験光信号の波長と、専用波長と光分岐部分との間の記憶されたマッピング関係、およびデフォルト温度における専用波長と光入力部分との間の記憶されたマッピング関係、およびデフォルト温度における共通波長と光分岐部分との間のマッピング関係のうちの少なくとも1つとに基づいて、現在の温度における各光分岐部分に対応する波長を決定する。
【0088】
現在の周囲温度における共通波長および専用波長の値は、受信された反射光信号に対応する試験光信号の波長の値の並びと、共通波長および専用波長の値の並びとに基づいて決定されてよく、現在の周囲温度における各光分岐部分に対応する波長は、専用波長と光分岐部分との間の記憶されたマッピング関係、およびデフォルト温度における専用波長と光入力部分との間の記憶されたマッピング関係、およびデフォルト温度における共通波長と光分岐部分との間のマッピング関係のうちの少なくとも1つに基づいて決定されてよい。
【0089】
たとえば、ネットワークデバイスで初回に受信された反射光信号に対応する試験光信号の波長が、現在の温度における共通波長と専用波長中の最小値であり、ネットワークデバイスで最後に受信された反射光信号に対応する試験光信号の波長が、現在の温度における共通波長と専用波長中の最大値であり、かつ、第1の専用波長と第2の専用波長の両方が存在する場合には、初回に受信された反射光信号に対応する試験光信号の波長が第2の専用波長であり、2回目に受信された反射光信号に対応する試験光信号の波長が第1の共通波長であり、類推によって、最後に受信された反射光信号に対応する試験光信号の波長が第1の専用波長である。この場合、ネットワークデバイスは、専用波長と光分岐部分との間のマッピング関係、およびデフォルト温度における専用波長と光入力部分との間のマッピング関係、およびデフォルト温度における共通波長と光分岐部分との間のマッピング関係のうちの少なくとも1つとに基づいて、現在の周囲温度における各光分岐部分に対応する波長を決定する。たとえば、第2の専用波長が光分岐部分1に対して設定されている場合、現在の温度における、光分岐部分1に対応する波長は、初回に受信された反射光信号に対応する試験光信号の波長である。光分岐部分に対応する波長は、光分岐部分に配置された光フィルタ構造によってフィルタリング除去された(または反射された)光信号の波長である。この光フィルタ構造は、専用光フィルタ構造でも共通光フィルタ構造でもよい。このようにして、現在の温度における、各光分岐部分に対応する波長が得られることが可能である。
【0090】
2004:ネットワークデバイスは、光分岐部分の共通光フィルタ構造の記憶された反射率に基づいて、光分岐部分の共通光フィルタ構造によって反射された反射光信号の理論パワーを計算し、光分岐部分によって反射された反射光信号を受信する実際のパワーおよび理論パワーに基づいて、光分岐部分とネットワークデバイスとの間の光リンクが異常であるかどうかを決定する。
【0091】
ネットワークデバイスが、光分岐部分に配置された共通光フィルタ構造の反射率、たとえば50%を記憶している場合、光分岐部分の共通光フィルタ構造によって反射された反射光信号の理論パワーが計算され得、すなわち、理論パワーは、試験された光信号のパワーの50%になる。実際に受信された反射光信号の実際のパワーが測定される。理論パワーと実際のパワーとの差が特定の閾値以下の場合には、それは光分岐部分とネットワークデバイスとの間の光リンクが正常であることを示し、または、理論パワーと実際のパワーとの差が閾値を超える場合には、それは光分岐部分とネットワークデバイスとの間の光リンクが異常であることを示している。
【0092】
すべての共通光フィルタ構造が、またはすべての共通光フィルタ構造および専用光フィルタ構造が、温度ドリフト均一パッケージ内に設置されているので、共通波長または専用波長は、周囲温度が変化しても同期して変化し、したがって、共通波長と専用波長との値関係は、デフォルト温度および変化した周囲温度において変化しないことに留意されたい。
【0093】
図21に示されるように、本発明では、前述の実施形態で説明されたネットワークデバイス2100をさらに提供する。ネットワークデバイス2100は、具体的にはOLT、OTDR、またはOTDRとOLTとが一体化されたネットワークデバイスであり得る。ネットワークデバイス2100は、トランシーバ2101およびプロセッサ2102を含む。
【0094】
トランシーバ2101は、光送信機および光受信機を含む。光送信機は、電気信号を光信号に変換し、光信号をODNへ送信する。光受信機は、光信号をODNネットワークから受信し、その光信号を電気信号に変換する。光送信機は、発光構成要素を使用して、たとえば、ガスレーザ、固体レーザ、液体レーザ、半導体レーザ、または直接変調レーザを使用して実装されてよい。光受信機は、光学検出器、たとえば、光検出器またはフォトダイオード(たとえば、アバランシェフォトダイオード)を使用して実装されてよい。
【0095】
トランシーバ2101は、光モジュールであってよい。光モジュールは、制御回路をさらに含み得る。光送信機は、波長調節可能機能を有し、分布ブラッグ反射器(Distributed Bragg Reflector,DBR)レーザとしてもよく、分布帰還ブラッグ(Distributed Feedback Bragg,DFB)レーザのグループを組み合わせることによって得られてもよく、または他の形態でもよい。光モジュールは、1個の光送信機を含んでもよく、この光送信機は、サービス波長と試験波長の両方を送信し得る。
【0096】
代替として、光モジュールは、2個の光送信機を含んでもよく、一方の光送信機は、サービス光を送信するように構成され、他方の光送信機は、試験光を送信するように構成される。
【0097】
プロセッサ2102は、ONU管理、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation,動的帯域幅割り当て)、ONU登録、およびデータ受信/伝送などの機能を実装するように構成される。プロセッサ2102は、ハードウェア回路、ソフトウェアプログラム、またはハードウェアとソフトウェアを組み合わせたもの、たとえば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array,FPGA)、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit,ASIC)、システムオンチップ(System on Chip,SoC)、メディアアクセス制御(Media access control,MAC)チップ、中央処理装置(Central Processing Unit,CPU)、ネットワークプロセッサ(Network Processor,NP)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor,DSP)、マイクロコントローラ装置(Micro Controller Unit,MCU)、もしくはプログラム可能論理デバイス(Programmable Logic Device,PLD)、または他の集積チップを使用して、実装されてよい。プロセッサ2102は、たとえば、前述の透過率の決定、前述の参照受信パワー値P0の決定、および前述の光リンクの決定を実施し得る。
【0098】
ネットワークデバイス2100は、メモリ2103をさらに含み、メモリ2103は、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、スタティック記憶デバイス、動的記憶デバイス、もしくはランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)でよく、これはレジスタでも、フラッシュなどの不揮発性メモリ(non-volatile memory)でもよく、または少なくとも1枚のディスクメモリでもよい。本発明の実施形態で提供される技法的解決策が、ソフトウェアまたはファームウェアを使用して実装されるとき、本発明の実施形態で提供される技法的解決策を実装するために使用されるプログラムコードは、メモリ2103に記憶され、プロセッサ2102によって実行される。
【0099】
メモリ2103およびプロセッサ2102は、異なる物理的エンティティに別個に設置されても、1個の物理的エンティティに部分的または完全に統合されてもよい。物理的エンティティは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array,FPGA)、特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit,ASIC)、システムオンチップ(System on Chip,SoC)、中央処理装置(Central Processing Unit,CPU)、ネットワークプロセッサ(Network Processor,NP)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor,DSP)、マイクロコントローラ装置(Micro Controller Unit,MCU)、プログラム可能論理デバイス(Programmable Logic Device,PLD)、または別の集積チップでよい。
【0100】
ネットワークデバイス2100は、波長分割マルチプレクサ2104をさらに含む。波長分割マルチプレクサは、トランシーバ2101に接続される。ネットワークデバイス2100が光信号を送信するとき、波長分割マルチプレクサはマルチプレクサとして機能する。ネットワークデバイス2100が光信号を受信すると、波長分割マルチプレクサは、デマルチプレクサとして機能する。波長分割マルチプレクサはまた、光カプラと呼ばれることもある。
【0101】
代替として、波長分割マルチプレクサ2104は、ネットワークデバイス2100から独立して存在し得ると理解されてよい。
【0102】
前述の実施形態に基づいて、図21に示されたネットワークデバイス2100は、図20に示された実施形態のステップ2001から2004を実施する。具体的には、トランシーバ2101は、ステップ2002を実施する。プロセッサ2102は、ステップ2001、2003、および2004を実施する。プロセッサ2102およびトランシーバ2101によって前述のステップを実施するさらなる詳細に関しては、前述の方法の実施形態と、添付図面についての関連する説明とを参照されたい。詳細については、本明細書では再度説明されない。同様に、ネットワークデバイス2100は、対応する有益な効果を前述の方法の実施形態において有し、詳細については、本明細書では再度説明されない。
【0103】
上述のネットワークデバイス2100は、別の構成要素をさらに含んでもよいことが理解されてよく、詳細については、本明細書では説明されない。
【0104】
本発明では、PONシステムをさらに提供する。PONシステムは、前述の実施形態で説明されたネットワークデバイス2100、およびODNを含む。詳細については、前述の実施形態を参照されたく、詳細については、本明細書では再度説明されない。同様に、PONシステムは、対応する有益な効果を前述の実施形態において有し、詳細については、本明細書では再度説明されない。
【0105】
前述の実施形態の全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせを使用して実装され得る。実施形態を実装するためにソフトウェアが使用される場合、実施形態の全部または一部は、コンピュータプログラム製品の形で実装されてよい。コンピュータプログラム製品は、1つまたは複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータプログラム命令がコンピュータにロードされ実行されると、本発明の実施形態による手順または機能が全部または部分的に生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラム可能な装置でよい。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されても、コンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体へ伝送されてもよい。たとえば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバまたはデータセンタから、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタへ、有線(たとえば、同軸ケーブル、光ファイバ、もしくはデジタル加入者線(DSL))または無線(たとえば、赤外線、無線、もしくはマイクロ波)の手法で伝送されてよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体でよく、またはデータ記憶デバイス、たとえば、1つもしくは複数の使用可能な媒体を統合するサーバもしくはデータセンタでよい。使用可能な媒体は、磁気媒体(たとえば、フロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープ)、光学媒体(たとえば、DVD)、半導体媒体(たとえば、ソリッドステートディスク Solid State Disk(SSD))などであり得る。
【0106】
要約すると、前述の説明は、本発明の単なる実施形態であり、本発明の保護範疇を限定するものではない。本発明の趣旨および原理から逸脱することなく行われるいかなる修正、等価の置換え、または改善も、本発明の保護範疇内に入るものとする。
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