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  • 特許-光学積層体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】光学積層体
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240919BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240919BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALN20240919BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
G02F1/13363
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023025744
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2021124675の分割
【原出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2023067895
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(72)【発明者】
【氏名】望月 政和
(72)【発明者】
【氏名】池田 一稀
(72)【発明者】
【氏名】新地 真規子
【審査官】吉川 陽吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-046147(JP,A)
【文献】特開2020-134678(JP,A)
【文献】特開2019-086605(JP,A)
【文献】国際公開第2018/159377(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B32B 7/023
G02F 1/13363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板と、
該偏光板の視認側に第1の粘着剤層を介して貼り合わされた第1の光学機能体と、
該第1の光学機能体の視認側に第2の粘着剤層を介して貼り合わされた補強層と、
該補強層の視認側に第3の粘着剤層を介して貼り合わされた第2の光学機能体と、を備える光学積層体であって、
該第1の粘着剤層、該第2の粘着剤層および該第3の粘着剤層のそれぞれの厚みは、17μm以下であり、
該第1の光学機能体の厚みと該補強層の厚みと該第2の光学機能体の厚みとの総和は、200μm以下であり、
該補強層の厚みが50μm以下であり、
該第1の光学機能体の厚みが20μm~60μmであり、
該第2の光学機能体の厚みが40μm~100μmであり、
該光学積層体の厚みが310μm以下であり、
該偏光板は、
偏光子と、
該偏光子の視認側に貼り合わされ、該第1の粘着剤層と接触する保護層と、を含み、
該保護層の厚みが60μm以下であり、
該第1の光学機能体は、該第1の粘着剤層を介して該保護層に貼り合わされており、
該第2の光学機能体は、該光学積層体の最表面に位置する最表面層を有し、
該最表面層の透湿度は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準拠して、温度40℃、湿度92%RHの雰囲気中、面積1mの試料を24時間で通過する水蒸気量(g)として測定され、0.1g/mm以下であり、
該最表面層は、反射防止層または防汚層である、光学積層体。
【請求項2】
前記第1の光学機能体は、映り込み防止積層体であって、
前記映り込み防止積層体は、
前記第1の粘着剤層と接触する映り込み防止層と、
前記映り込み防止層の視認側に配置され、前記第2の粘着剤層と接触する第1基材と、を含む、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記第2の光学機能体は、反射防止積層体であって、
前記反射防止積層体は、
前記第3の粘着剤層と接触する第2基材と、
前記第2基材の視認側に配置されるハードコート層と、
前記ハードコート層の視認側に配置される反射防止層と、を含む、請求項1または2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記反射防止層は、前記最表面層である、請求項3に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記偏光子の厚みは、10μm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項6】
前記偏光板の視認側の反対側に、該偏光板側から順に配置される第1の位相差層および第2の位相差層をさらに備え、
前記第1の位相差層が、nx>ny>nzの屈折率特性を示し、
前記第2の位相差層が、nz>nx>nyの屈折率特性を示す、請求項1~のいずれかに記載の光学積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置およびエレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)に代表される画像表示装置が急速に普及している。画像表示装置には、代表的には偏光板および光学機能層(例えば、映り込み防止層、反射防止層)を備える光学積層体が用いられている。そのような光学積層体として、例えば、反射防止層および映り込み防止層付偏光板が知られている(例えば、特許文献1)。反射防止層および映り込み防止層付偏光板では、映り込み防止層を含む映り込み防止積層体が偏光板の視認側に粘着剤層を介して貼り合わされ、かつ、反射防止層を含む反射防止積層体が映り込み防止積層体の視認側に粘着剤層を介して貼り合わされている。しかし、反射防止層および映り込み防止層付偏光板では、視認側の表面にオレンジピールと呼ばれる微小な凹凸が生じて、画像表示装置の表示性能に悪影響を及ぼす場合がある。
【0003】
また、画像表示装置に用いられた光学積層体には、局所的な荷重が加えられる場合がある。光学積層体の構成によっては、このような局所的な荷重により偏光板が傷つき、結果として画像表示装置に光抜けまたは輝点(いわゆるホワイトドット)が発生する場合がある。さらに、複数の光学機能層を備える光学積層体は、高湿環境下において反りが生じやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018―155998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、オレンジピールの抑制、局所的な荷重に対する耐性、および、高湿環境下における反りの抑制を、バランスよく満足できる光学積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態による光学積層体は、偏光板と、該偏光板の視認側に第1の粘着剤層を介して貼り合わされた第1の光学機能体と、該第1の光学機能体の視認側に第2の粘着剤層を介して貼り合わされた補強層と、該補強層の視認側に第3の粘着剤層を介して貼り合わされた第2の光学機能体と、を備え、該第1の粘着剤層、該第2の粘着剤層および該第3の粘着剤層のそれぞれの厚みは、17μm以下であり、該第1の光学機能体の厚みと該補強層の厚みと該第2の光学機能体の厚みとの総和は、200μm以下である。
1つの実施形態においては、上記第1の光学機能体は、映り込み防止積層体であって、該映り込み防止積層体は、上記第1の粘着剤層と接触する映り込み防止層と、該映り込み防止層の視認側に配置され、上記第2の粘着剤層と接触する第1基材とを含む。
1つの実施形態においては、上記第2の光学機能体は、反射防止積層体であって、該反射防止積層体は、上記第3の粘着剤層と接触する第2基材と、該第2基材の視認側に配置されるハードコート層と、該ハードコート層の視認側に配置される反射防止層と、を含む。
1つの実施形態においては、上記反射防止層は、光学積層体の最表面に位置し、該反射防止層の透湿度は、0.1g/mm以下である。
1つの実施形態においては、上記偏光板は、偏光子と、該偏光子の視認側に配置され、上記第1の粘着剤層と接触する保護層と、を含む。
1つの実施形態においては、上記偏光子の厚みは、10μm以下である。
1つの実施形態においては、上記光学積層体は、前記偏光板の視認側の反対側に、該偏光板側から順に配置される第1の位相差層および第2の位相差層をさらに備え、第1の位相差層が、nx>ny>nzの屈折率特性を示し、第2の位相差層が、nz>nx>nyの屈折率特性を示す。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、各粘着剤層の厚みを上記上限以下とし、第1の光学機能体と第2の光学機能体との間に補強層を設け、かつ、第1の光学機能体、補強層および第2の光学機能体の厚みの総和を上記上限以下とすることにより、オレンジピールの抑制、局所的な荷重に対する耐性および高湿環境下における反りの抑制をバランスよく満足した光学積層体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の代表的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0010】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの面内位相差である。例えば、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Rth=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回りおよび反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
【0011】
A.光学積層体の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。図示例の光学積層体1は、偏光板2と、偏光板2の視認側に第1の粘着剤層61を介して貼り合わされた第1の光学機能体3と、第1の光学機能体3の視認側に第2の粘着剤層62を介して貼り合わされる補強層5と、補強層5の視認側に第3の粘着剤層63を介して貼り合わされた第2の光学機能体4と、を備える。すなわち、第2の光学機能体4と、第3の粘着剤層63と、補強層5と、第2の粘着剤層62と、第1の光学機能体3と、第1の粘着剤層61と、偏光板2とは、光学積層体1の視認側からこの順に積層される。
第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63のそれぞれの厚みは、17μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、代表的には5μm以上である。第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63は、互いに同じ厚みを有してもよく、互いに異なる厚みを有してもよい。本発明の1つの実施形態において、第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63は、互いに同じ厚みを有する。
第1の光学機能体3の厚みと補強層5の厚みと第2の光学機能体4の厚みとの総和は、200μm以下であり、好ましくは180μm以下であり、より好ましくは170μm以下であり、代表的には140μm以上である。
光学積層体の視認側の表面に生じるオレンジピールは、粘着剤層の凹凸に起因する場合がある。これに対して、上記のような構成であれば、各粘着剤層の厚みが上記上限以下であるので、粘着剤層の凹凸が光学積層体の視認側の表面に影響することを抑制でき、光学積層体の視認側の表面にオレンジピールが生じることを抑制できる。しかし、各粘着剤層の厚みを上記上限以下とすると、局所的な荷重に対する光学積層体の耐性が低下するおそれがある。この点、上記のような構成であれば、第1の光学機能体と第2の光学機能体との間に補強層が設けられているので、光学積層体に対して所定値以上の荷重が局所的に加えられた場合であっても亀裂が発生せず、結果として光抜けおよび輝点(ホワイトドット)が抑制された画像表示装置を実現し得る。さらに、第1の光学機能体の厚みと補強層の厚みと第2の光学機能体の厚みとの総和が上記上限以下であるので、第1の光学機能体と第2の光学機能体との間に補強層を設けても、高湿環境下における光学積層体の反りを抑制し得る。そのため、オレンジピールの抑制、局所的な荷重に対する耐性および高湿環境下における反りの抑制をバランスよく満足した光学積層体を実現し得る。
【0012】
本発明の1つの実施形態においては、光学積層体1は、偏光板2の視認側の反対側に、偏光板2側から順に配置される第1の位相差層7および第2の位相差層8をさらに備える。第1の位相差層7は、好ましくは、nx>ny>nzの屈折率特性を示す。第2の位相差層8は、好ましくは、nz>nx>nyの屈折率特性を示す。このような構成によれば、光学積層体1に所望の光学補償機能を付与することができ得る。
【0013】
また、本発明の1つの実施形態においては、光学積層体1は、パネル側粘着剤層9をさらに備える。パネル側粘着剤層9は、第2の位相差層8に対して第1の位相差層7の反対側に配置される。光学積層体1がパネル側粘着剤層9を備えると、パネル側粘着剤層9により、光学積層体1は、画像表示セルに貼り付け可能とされる。
【0014】
また、本発明の1つの実施形態において、光学積層体1の厚みは、代表的には330μm以下、好ましくは310μm以下、より好ましくは300μm以下であり、代表的には250μm以上、好ましくは270μm以上である。
このような構成によれば、光学積層体1の厚みが上記上限以下であるので、高湿環境下における光学積層体の反りを安定して抑制し得る。また、光学積層体1の厚みが上記下限以上であるので、光学積層体に対して所定値以上の荷重が局所的に加えられた場合であっても亀裂が発生することを安定して抑制し得る。
【0015】
以下、光学積層体の構成要素について説明する。
【0016】
B.偏光板
本発明の1つの実施形態においては、偏光板2は、偏光子21と、偏光子21の視認側に配置される保護層22とを備える。保護層22は、代表的には、任意の適切な接着層(接着剤層、粘着剤層:図示せず)を介して偏光子21の視認側に貼り合わされている。すなわち、偏光板2は、偏光子21と、接着層と、保護層22とからなってもよい。保護層22は、偏光子21と第1の粘着剤層61との間に位置し、第1の粘着剤層61と接触している。保護層22は、第1の粘着剤層61に感圧接着されている。また、偏光板2は、偏光子21の視認側と反対側に第2の保護層をさらに備えてもよい。
【0017】
B-1.偏光子
偏光子21としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光板2を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0018】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、PVA系樹脂フィルムにヨウ素による染色処理および延伸処理(代表的には、一軸延伸)が施されたものが挙げられる。上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系樹脂フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系樹脂フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系樹脂フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
【0019】
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本発明の1つの実施形態においては、好ましくは、樹脂基材の片側に、ハロゲン化物とポリビニルアルコール系樹脂とを含むポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。加えて、本発明の1つの実施形態においては、好ましくは、積層体は、長手方向に搬送しながら加熱することにより幅方向に2%以上収縮させる乾燥収縮処理に供される。代表的には、本実施形態の製造方法は、積層体に、空中補助延伸処理と染色処理と水中延伸処理と乾燥収縮処理とをこの順に施すことを含む。補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂上にPVAを塗布する場合でも、PVAの結晶性を高めることが可能となり、高い光学特性を達成することが可能となる。また、同時にPVAの配向性を事前に高めることで、後の染色工程や延伸工程で水に浸漬された時に、PVAの配向性の低下や溶解などの問題を防止することができ、高い光学特性を達成することが可能になる。さらに、PVA系樹脂層を液体に浸漬した場合において、PVA系樹脂層がハロゲン化物を含まない場合に比べて、ポリビニルアルコール分子の配向の乱れ、および配向性の低下が抑制され得る。これにより、染色処理および水中延伸処理など、積層体を液体に浸漬して行う処理工程を経て得られる偏光子の光学特性を向上し得る。さらに、乾燥収縮処理により積層体を幅方向に収縮させることにより、光学特性を向上させることができる。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0020】
偏光子21は、好ましくは二層以上の積層体から構成され、より好ましくは樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体から構成され得る。
【0021】
偏光子21の厚みは、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは8μm以下であり、代表的には1μm以上、好ましくは3μm以上である。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、高湿環境下における光学積層体の反りの発生をより安定して抑制できる。
【0022】
偏光子21は、好ましくは、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子21の単体透過率は、例えば41.5%~46.0%であり、好ましくは43.0%~46.0%であり、より好ましくは44.5%~46.0%である。偏光子21の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0023】
B-2.保護層
保護層22は、偏光子21の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
【0024】
本発明の1つの実施形態においては、保護層22は(メタ)アクリル系樹脂を含む。(メタ)アクリル系樹脂として、例えば、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が用いられる。グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、特開2006-309033号公報、特開2006-317560号公報、特開2006-328329号公報、特開2006-328334号公報、特開2006-337491号公報、特開2006-337492号公報、特開2006-337493号公報、特開2006-337569号公報、特開2007-009182号公報、特開2009-161744号公報、特開2010-284840号公報に記載されている。これらの記載は、本明細書に参考として援用される。
【0025】
保護層22の厚みは、代表的には300μm以下であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは5μm~80μm、さらに好ましくは10μm~60μmである。なお、表面処理が施されている場合、保護層22の厚みは、表面処理層の厚みを含めた厚みである。
【0026】
C.第1の光学機能体
第1の光学機能体3は、光学積層体1に所望の光学的機能を付与し得る。第1の光学機能体3として、例えば、映り込み防止積層体、サングラス対策積層体等が挙げられる。
第1の光学機能体3の厚みは、代表的には20μm~60μmであり、好ましくは30μm~50μmである。
【0027】
本発明の1つの実施形態において、第1の光学機能体3は、映り込み防止積層体3aである。映り込み防止積層体3aは、映り込み防止層32と、映り込み防止層32の視認側に配置される第1の基材31とを含む。映り込み防止層32は、第1の基材31に支持されている。映り込み防止層32は、保護層22に対して視認側に配置されており、第1の粘着剤層61を介して保護層22に貼り合わされている。映り込み防止層32は、第1の粘着剤層61と接触しており、第1の粘着剤層61に感圧接着されている。第1の基材31は、映り込み防止層32に対して第1の粘着剤層61の反対側に位置する。第1の基材31は、第2の粘着剤層62と接触しており、第2の粘着剤層62に感圧接着されている。
【0028】
C-1.映り込み防止層
映り込み防止層32は、画像表示装置の使用者の顔、画像表示装置のキーボード、外光(例えば、蛍光灯)等の映り込みを防止するために設けられる。本発明の1つの実施形態において、映り込み防止層32は、液晶化合物の配向固化層である。本明細書において「配向固化層」とは、液晶化合物が層内で所定の方向に配向し、その配向状態が固定されている層をいう。なお、「配向固化層」は、液晶モノマーを硬化させて得られる配向硬化層を包含する概念である。液晶化合物は、棒状液晶化合物であってもよく、ディスコティック(円盤状)液晶化合物であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。
【0029】
本発明の1つの実施形態において、映り込み防止層32は、ディスコティック液晶化合物を含む。より詳細には、映り込み防止層32は、ディスコティック液晶化合物を所定の方向に配向させた状態で固定化した層である。ディスコティック液晶化合物とは、一般的には、ベンゼン、1,3,5-トリアジン、カリックスアレーンなどのような環状母核を分子の中心に配し、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等がその側鎖として放射状に置換された円盤状の分子構造を有する液晶化合物をいう。ディスコティック液晶の代表例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.Liq.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されている、ベンゼン誘導体、トリフェニレン誘導体、トルキセン誘導体、フタロシアニン誘導体や、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されているシクロヘキサン誘導体、および、J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Soc.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系のマクロサイクルが挙げられる。ディスコティック液晶化合物のさらなる具体例として、例えば特開2006-133652号公報、特開2007-108732号公報、特開2010-244038号公報、特開2014-214177号公報に記載の化合物が挙げられる。上記文献および公報の記載は、本明細書に参考として援用される。ディスコティック液晶化合物を含む映り込み防止層は、代表的には、nx=nz>nyの屈折率特性を有するいわゆるネガティブAプレートであり得る。
【0030】
別の実施形態においては、映り込み防止層32は、棒状液晶化合物を含む。より詳細には、映り込み防止層は、棒状液晶化合物が所定の方向(代表的には、遅相軸方向)に並んだ状態で配向している(ホモジニアス配向)。棒状液晶化合物としては、例えば、液晶相がネマチック相である液晶化合物(ネマチック液晶)が挙げられる。このような液晶化合物として、例えば、液晶ポリマーや液晶モノマーが使用可能である。液晶化合物の液晶性の発現機構は、リオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでもよい。液晶ポリマーおよび液晶モノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、組み合わせてもよい。液晶モノマーとしては、任意の適切な液晶モノマーが採用され得る。例えば、特表2002-533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の重合性メソゲン化合物等が使用できる。このような重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社の商品名LC242、Merck社の商品名E7、Wacker-Chem社の商品名LC-Sillicon-CC3767が挙げられる。液晶モノマーとしては、例えばネマチック性液晶モノマーが好ましい。液晶化合物の具体例は、例えば特開2006-163343号公報に記載されている。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。棒状液晶化合物を含む映り込み防止層は、代表的には、nx>ny=nzの屈折率特性を有するいわゆるポジティブAプレートであり得る。
【0031】
映り込み防止層32は、代表的にはλ/2板として機能し得る。映り込み防止層32がλ/2板として機能する場合、その配向角(または遅相軸方向)を制御することにより、映り込みを良好に防止することができる。このような映り込み防止層32の面内位相差Re(550)は220nm~320nmであり、より好ましくは240nm~300nmであり、さらに好ましくは250nm~280nmである。
【0032】
映り込み防止層32の遅相軸と偏光子21の吸収軸とがなす角度は、好ましくは35°~55°であり、より好ましくは40°~50°であり、さらに好ましくは約45°である。λ/2板として機能する映り込み防止層32をこのような軸角度で配置することにより、映り込みを良好に防止することができる。
【0033】
映り込み防止層32の厚みは、好ましくは1μm~5μmであり、より好ましくは1μm~3μmである。
【0034】
液晶化合物の配向に配向膜を用いる場合には、映り込み防止積層体3aは、映り込み防止層32と第1の基材31との間に配向膜をさらに備える。すなわち、映り込み防止積層体3aは、映り込み防止層32と、配向膜と、第1の基材31とからなってもよい。配向膜は、一般的には、ポリマー材料を主成分として含む。ポリマー材料の代表例としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、および、それらの誘導体が挙げられる。本発明の1つの実施形態においては、変性または未変性のポリビニルアルコールが好ましい。配向膜として、例えば、WO01/88574A1、特許第3907735号に記載の変性ポリビニルアルコールを用いることができる。配向膜には、代表的には配向処理が施される。配向処理の代表例としては、ラビング処理、光配向処理が挙げられる。ラビング処理は業界で周知であるので、詳細な説明は省略する。光配向処理された配向膜(光配向膜)としては、例えば、WO2005/096041に記載のもの、Rolic echnologies社製の商品名LPP-JP265CPなどを用いることができる。配向膜の厚みは、例えば0.01μm~10μmであり、好ましくは0.01μm~1μmであり、より好ましくは0.01μm~0.5μmである。
【0035】
映り込み防止層32は、例えば以下の手順で形成され得る。まず、第1の基材31上に配向膜形成用塗布液を塗布し、乾燥させて塗布膜を形成する。当該塗布膜に所定の方向にラビング処理を施し、第1の基材31上に配向膜を形成する。当該所定の方向は、得られる映り込み防止層32の遅相軸方向に対応し得る。次に、形成された配向膜上に映り込み防止層形成用塗布液(例えば、液晶化合物と必要に応じて架橋性モノマーとを含む溶液)を塗布し加熱する。加熱により、塗布液の溶媒を除去するとともに液晶化合物の配向を進める。加熱は1段階で行ってもよく、温度を変えて多段階で行ってもよい。次いで、紫外線照射により架橋性(または重合性)モノマーを架橋(または重合)させて、液晶化合物の配向を固定化する。このようにして、第1の基材31上(実質的には、配向膜上)に映り込み防止層32が形成される。なお、ディスコティック液晶化合物を配向させる方法は、例えば特開2014-214177号公報に記載され、棒状液晶化合物を配向させる方法は、例えば特開2006-163343号公報に記載されている。これらの公報の記載は、本明細書に参考として援用される。なお、配向膜は、所望の配向状態および液晶化合物の種類等によっては省略され得る。
【0036】
C-2.第1の基材
第1の基材31は、映り込み防止層32を形成するために用いられる。
【0037】
第1の基材31としては、任意の適切な樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムの形成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、シクロオレフィン(例えば、ノルボルネン)とα-オレフィン(例えば、エチレン)との付加重合により得られる樹脂(COC)、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂が挙げられる。本発明の1つの実施形態において、第1の基材31は、TAC系樹脂を含む。
【0038】
第1の基材31の厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。第1の基材31の厚みは、代表的には20μm~200μmであり、好ましくは25μm~100μmであり、より好ましくは30μm~50μmである。
【0039】
D.補強層
補強層5は、局所的な荷重に対する優れた耐性を光学積層体1に付与する。本発明の1つの実施形態において、補強層5は、第1の基材31に第2の粘着剤層62を介して貼り合わされる。補強層5は、第2の粘着剤層62と第3の粘着剤層63との間に配置される。補強層5は、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63と接触しており、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63に感圧接着されている。
【0040】
補強層5は、任意の適切なフィルムで形成される。補強層5の主成分となる材料の具体例として、例えば、上記B-2項で説明した保護層22の主成分となる材料と同様のもの(上記した透明樹脂、上記した熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂、上記したガラス質系ポリマー、および、上記した樹脂組成物)が挙げられる。本発明の1つの実施形態においては、補強層5は、(メタ)アクリル系樹脂を含み、好ましくは、グルタルイミド構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む。すなわち、保護層22および補強層5のそれぞれは、(メタ)アクリル系樹脂を含む。保護層22および補強層5として(メタ)アクリル系樹脂を用いることにより、光学積層体1に対して所定値以上の荷重が局所的に加えられた場合における光抜けを安定して抑制し得る。
【0041】
なお、補強層5には、保護層22と同様に、必要に応じて、上記した表面処理、および/または、上記した視認性を改善する処理が施されていてもよい。
【0042】
補強層5の厚みは、代表的には20μm~70μmであり、好ましくは30μm~50μmである。補強層5の厚みがこのような範囲であれば、局所的な荷重に対する優れた耐性を光学積層体1に付与できるとともに、高湿環境下における光学積層体1の反りを十分に抑制でき得る。
【0043】
E.第2の光学機能体
第2の光学機能体4は、光学積層体1に、第1の光学機能体3とは異なる光学的機能を付与し得る。第2の光学機能体4として、例えば、反射防止積層体、サングラス対策積層体等が挙げられる。
第2の光学機能体4の厚みは、代表的には40μm~120μmであり、好ましくは70μm~100μm以下である。
【0044】
本発明の1つの実施形態において、第2の光学機能体4は、反射防止積層体4aである。反射防止積層体4aは、第2の基材41と、第2の基材41の視認側に配置されるハードコート層42と、ハードコート層42の視認側に配置される反射防止層43とを含む。すなわち、反射防止積層体4aは、第2の基材41と、ハードコート層42と、反射防止層43とからなってもよい。第2の基材41は、補強層5に対して視認側に配置されており、第3の粘着剤層63を介して補強層5に貼り合わされている。第2の基材41は、第3の粘着剤層63と接触しており、第3の粘着剤層63に感圧接着されている。本発明の1つの実施形態において、ハードコート層42は、第2の基材41の視認側の面に直接形成されている。本明細書において「直接」とは接着層または粘着剤層が介在しないことを意味する。また、反射防止層43は、ハードコート層42の視認側の面に直接形成されている。
【0045】
E-1.第2の基材
第2の基材41は、ハードコート層42および反射防止層43を形成するために用いられる。第2の基材41としては、任意の適切な樹脂フィルムが用いられる。第2の基材41の形成材料としては、例えば、上記C-2項で説明した第1の基材31の形成材料と同様のもの(上記したポリエステル系樹脂、上記したシクロオレフィン系樹脂、上記したシクロオレフィンとα-オレフィンとの付加重合により得られる樹脂、および、上記したセルロース系樹脂)が挙げられる。本発明の1つの実施形態において、第2の基材41は、TAC系樹脂を含む。
【0046】
第2の基材41の厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。第2の基材41の厚みは、代表的には20μm~200μmであり、好ましくは50μm~150μmであり、より好ましくは70μm~90μmである。
【0047】
E-2.ハードコート層
ハードコート層42は、光学積層体1に優れた鉛筆硬度を付与し得る。さらに、ハードコート層42と反射防止層43との屈折率差を適切に調整することにより、光学積層体1の反射率をさらに低下させることができる。
【0048】
ハードコート層42は、好ましくは、十分な表面硬度、優れた機械的強度、および優れた光透過性を有する。ハードコート層42は、このような所望の特性を有する限り、任意の適切な樹脂から形成され得る。樹脂の具体例としては、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂が挙げられる。ハードコート層42を形成する樹脂のなかでは、紫外線硬化型樹脂が好ましい。樹脂が紫外線硬化型樹脂であると、簡便な操作および高効率でハードコート層42を形成でき得る。
【0049】
紫外線硬化型樹脂の具体例としては、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系の紫外線硬化型樹脂が挙げられる。紫外線硬化型樹脂には、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマーが含まれる。好ましい紫外線硬化型樹脂としては、紫外線重合性の官能基を好ましくは2個以上、より好ましくは3~6個有するアクリル系のモノマー成分またはオリゴマー成分を含む樹脂組成物が挙げられる。代表的には、紫外線硬化型樹脂には、光重合開始剤が配合されている。
【0050】
ハードコート層42は、任意の適切な方法により形成され得る。例えば、ハードコート層42は、第2の基材41上にハードコート層形成用樹脂組成物を塗工し、乾燥させ、乾燥した塗工膜に紫外線を照射して硬化させることにより形成され得る。
【0051】
ハードコート層42の厚みは、例えば0.5μm~20μm、好ましくは1μm~15μmである。
【0052】
ハードコート層、ならびに、ハードコート層と反射防止層との密着構造についての詳細は、例えば特開2016-224443号公報に記載されている。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
【0053】
E-3.反射防止層
反射防止層43は、外光(例えば、蛍光灯)等の反射を防止するために設けられる。反射防止層43の構成としては、任意の適切な構成が採用され得る。反射防止層43の代表的な構成としては、(1)光学膜厚が120nm~140nmである、屈折率1.35~1.55程度の低屈折率層の単一層;(2)第2の基材41から順に中屈折率層と高屈折率層と低屈折率層とを有する積層体;(3)高屈折率層と低屈折率層との交互多層積層体;が挙げられる。
【0054】
低屈折率層を形成し得る材料としては、例えば、酸化ケイ素(SiO)、フッ化マグネシウム(MgF)が挙げられる。低屈折率層の屈折率は、代表的には1.35~1.55程度である。高屈折率層を形成し得る材料としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化ニオブ(NbまたはNb)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、ZrO-TiOが挙げられる。高屈折率層の屈折率は、代表的には1.60~2.20程度である。中屈折率層を形成し得る材料としては、例えば、酸化チタン(TiO)、低屈折率層を形成し得る材料と高屈折率層を形成し得る材料との混合物(例えば、酸化チタンと酸化ケイ素との混合物)が挙げられる。中屈折率層の屈折率は、代表的には1.50~1.85程度である。低屈折率層、中屈折率層および高屈折率層の厚みは、反射防止層の層構造、所望の反射防止性能等に応じた適切な光学膜厚が実現されるように設定され得る。
【0055】
反射防止層43は、代表的にはドライプロセスにより形成される。ドライプロセスの具体例としては、PVD(Physical Vapor Deposition)法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。PVD法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト法、スパッタリング法、イオンプレーティング法が挙げられる。CVD法としては、プラズマCVD法が挙げられる。反射防止層43を形成するドライプロセスは、好ましくは、スパッタリング法である。
【0056】
反射防止層43の厚みは、例えば20nm~300nm程度である。
【0057】
反射防止層43は、波長400nm~700nmの範囲における最大反射率と最小反射率の差が、好ましくは2.0%以下であり、より好ましくは1.9%以下であり、さらに好ましくは1.8%以下である。最大反射率と最小反射率の差がこのような範囲であれば、反射光の色づきが良好に防止され得る。
【0058】
本発明の1つの実施形態において、反射防止層43は、光学積層体1の視認側の最表面に位置する。反射防止層43の透湿度は、代表的には1.0g/mm以下、好ましくは、0.1g/mm以下であり、代表的には0.01g/mm以上である。なお、透湿度は、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準拠して、温度40℃、湿度92%RHの雰囲気中、面積1mの試料を24時間で通過する水蒸気量(g)として測定され得る。最表面に位置する反射防止層43の透湿度が上記上限以下であれば、高湿環境下における光学積層体1の反りをより一層安定して抑制できる。
【0059】
なお、反射防止層43は、光学積層体1の最表面に位置しなくてもよい。反射防止積層体4aは、必要に応じて、反射防止層43の視認側に、最表面層を設け得る。すなわち、反射防止積層体4aは、第2の基材41と、ハードコート層42と、反射防止層43と、最表面層とからなってもよい。最表面層の透湿度の範囲は、上記した反射防止層43の透湿度の範囲と同様である。最表面層として、例えば、防汚層が挙げられる。防汚層は、例えば、フッ素基含有のシラン系化合物(例えば、パーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物)またはフッ素基含有の有機化合物を含む。防汚層は、好ましくは、水接触角が110度以上の撥水性を示す。
【0060】
F.第1の粘着剤層、第2の粘着剤層および第3の粘着剤層
第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63のそれぞれは、粘着剤(感圧接着剤)から形成される。より詳細には、第1の粘着剤層61は、偏光板2の保護層22上に粘着剤を上記した厚みとなるように塗工して形成される。第2の粘着剤層62は、第1の光学機能体3の第1の基材31上に粘着剤を上記した厚みとなるように塗工して形成される。第3の粘着剤層63は、補強層5上に粘着剤を上記した厚みとなるように塗工して形成される。第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63は、互いに同じ粘着剤から形成されもよく、互いに異なる粘着剤から形成されてもよい。本発明の1つの実施形態において、第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63は、互いに同じ粘着剤から形成される。第1の粘着剤層61、第2の粘着剤層62および第3の粘着剤層63が互いに同じ粘着剤から形成されると、光学積層体1の製造コストの低減を図り得る。
【0061】
粘着剤は、代表的には、ベースポリマーとして、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、シリコーン系ポリマーまたはゴム系ポリマーを含有する。ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーが用いられる場合、粘着剤層は、例えば(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤から形成される。
【0062】
F-1.(メタ)アクリル系ポリマー
(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とするモノマー成分(原料モノマー)の重合体を含有する。言い換えれば、(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位を含む。アルキル(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル系ポリマーの原料となる全モノマー成分において、50重量%以上であることが好ましく、当該アルキル(メタ)アクリレート以外のモノマーの残部として任意に設定できる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0063】
(メタ)アクリル系ポリマーの主骨格を構成するアルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1~18のものが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、イソミリスチル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは単独でまたは組み合わせて使用できる。アルキル基の平均炭素数は3~10であることが好ましい。
【0064】
(メタ)アクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構造単位以外にも、アルキル(メタ)アクリレートと重合可能な共重合モノマー由来の構造単位を含有していてもよい。すなわち、(メタ)アクリル系ポリマーの原料となるモノマー成分は、アルキル(メタ)アクリレートに加えて、共重合モノマーをさらに含むこともできる。
【0065】
共重合モノマーとして、例えば、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、環化重合性モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、多官能アクリレート、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物、ジエン類、ビニルエーテル類、塩化ビニル等が挙げられる。共重合モノマーは単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0066】
このような共重合モノマーの中では、好ましくは、後述する架橋剤と反応可能な反応性基を含有する反応性基含有モノマーが挙げられ、より好ましくは、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマーが挙げられる。反応性基含有モノマーは、粘着剤が後述する架橋剤を含有する場合に、架橋剤との反応点になる。カルボキシル基含有モノマーおよびヒドロキシル基含有モノマーは、分子間架橋剤との反応性に富むため、得られる粘着剤層の凝集性や耐熱性の向上のために好ましく用いられる。また、カルボキシル基含有モノマーは、耐久性とリワーク性を両立させる点で好ましく、ヒドロキシル基含有モノマーは、リワーク性を向上させる点で好ましい。共重合モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーの原料モノマーにおいて、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0067】
カルボキシル基含有モノマーは、その構造中にカルボキシル基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの重合性不飽和二重結合を含む化合物である。カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸が好ましい。(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくはカルボキシル基含有モノマー由来の構造単位、より好ましくは(メタ)アクリル酸由来の構造単位を含み得る。(メタ)アクリル系ポリマーがカルボキシル基含有モノマー由来の構造単位を含むと、粘着剤層の粘着特性の向上を図り得る。
【0068】
原料モノマーとしてカルボキシル基含有モノマーを使用する場合、カルボキシル基含有モノマーの含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーの原料となる全モノマー成分において、通常0.01重量%以上10重量%以下である。
【0069】
ヒドロキシル基含有モノマーは、その構造中にヒドロキシル基を含み、かつ(メタ)アクリロイル基、ビニル基などの重合性不飽和二重結合を含む化合物である。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくはヒドロキシル基含有モノマー由来の構造単位、より好ましくは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび/または4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート由来の構造単位を含み得る。(メタ)アクリル系ポリマーがヒドロキシル基含有モノマー由来の構造単位を含むと、粘着剤層の耐久性の向上を図り得る。
【0070】
原料モノマーとしてヒドロキシル基含有モノマーを使用する場合、ヒドロキシル基含有モノマーの含有量は、(メタ)アクリル系ポリマーの原料となる全モノマー成分において、通常0.01重量%以上10重量%以下である。
【0071】
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量Mwは、例えば20万~300万であり、好ましくは100万~250万であり、より好ましくは120万~250万である。重量平均分子量Mwがこのような範囲であれば、耐久性(特に、耐熱性)に優れた粘着剤層が得られ得る。重量平均分子量Mwが300万を超えると、粘度の上昇および/またはポリマー重合中におけるゲル化が生じる場合がある。
【0072】
F-2.架橋剤
粘着剤は、架橋剤を含有することができる。架橋剤としては、有機系架橋剤、多官能性金属キレートなどを用いることができる。有機系架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤が挙げられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。粘着剤が放射線硬化型である場合、架橋剤として多官能性モノマーを用いることができる。架橋剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。架橋剤は、好ましくは、イソシアネート系架橋剤および過酸化物系架橋剤を含む。
【0073】
粘着剤に架橋剤を配合する場合、架橋剤の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー(ベースポリマー)100重量部に対して、通常0.01重量部~15重量部である。粘着剤にイソシアネート系架橋剤を配合する場合、イソシアネート系架橋剤の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常0.01重量部~15重量部であり、好ましくは1.0重量部~10重量部であり、より好ましくは2.5重量部~5重量部である。粘着剤に過酸化物系架橋剤を配合する場合、過酸化物系架橋剤の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常0.01重量部~2重量部であり、好ましくは、0.1重量部~0.5重量部である。架橋剤(イソシアネート系架橋剤および過酸化物系架橋剤)の配合割合が上記の範囲であると、(メタ)アクリル系ポリマーの原料モノマー成分に反応性基含有モノマーが含まれる場合に、後述する粘着剤層の弾性率を所望の範囲に円滑に調整できる。
【0074】
F-3.反応性官能基含有シランカップリング剤
粘着剤は、反応性官能基含有シランカップリング剤を含有することができる。反応性官能基含有シランカップリング剤は、反応性官能基が代表的には酸無水物基以外の官能基である。酸無水物基以外の官能基としては、例えば、エポキシ基、メルカプト基、アミノ基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、スチリル基、アセトアセチル基、ウレイド基、チオウレア基、(メタ)アクリル基、複素環基、およびこれらの組み合わせが挙げられる。反応性官能基含有シランカップリング剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0075】
粘着剤に反応性官能基含有シランカップリング剤を配合する場合、反応性官能基含有シランカップリング剤の配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常0.001重量部以上5重量部以下である。
【0076】
F-4.添加剤
粘着剤は、(メタ)アクリル系オリゴマーおよび/またはイオン性化合物を含有していてもよい。また、粘着剤は、添加剤を含有していてもよい。添加剤の具体例としては、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物が挙げられる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。また、粘着剤は、反応性基(例えば、反応性シリル基)を有するポリエーテル化合物を含んでいてもよい。添加剤の種類、数、組み合わせ、含有量等は、目的に応じて適切に設定され得る。添加剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは3重量部以下であり、さらに好ましくは1重量部以下である。
【0077】
F-5.粘着剤の特性
粘着剤の23℃55%RHにおける貯蔵弾性率は、代表的には0.05GPa以上、好ましく0.11GPa以上であり、代表的には0.2GPa以下、好ましくは0.15GPa以下である。なお、貯蔵弾性率は、レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置「ARES」を用いてJIS K 7244に準じて測定され得る。粘着剤の弾性率がこのような範囲であれば、局所的な荷重に対する光学積層体1の耐性の向上をより一層図ることができる。
【0078】
G.第1の位相差層
第1の位相差層7は、目的に応じて任意の適切な光学的特性および/または機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。第1の位相差層7は、偏光板2の視認側と反対側に位置する。第1の位相差層7は、代表的には、任意の適切な接着剤層を介して偏光子21の視認側と反対側に貼り合わせられている。第1の位相差層7は、偏光子21の視認側と反対側の保護層を兼ねてもよい。
【0079】
第1の位相差層7の厚みは、好ましくは10μm~60μmであり、より好ましくは30μm~50μmである。
【0080】
第1の位相差層7の面内位相差Re(550)は、好ましくは80nm~150nmであり、より好ましくは90nm~140nmであり、さらに好ましくは100nm~130nmである。
【0081】
第1の位相差層7は、上記したように、好ましくは屈折率特性がnx>ny>nzの関係を示す。第1の位相差層7のNz係数は、好ましくは1.1~3.0であり、より好ましくは1.3~2.7である。
【0082】
第1の位相差層7は、好ましくは、その遅相軸が偏光子21の吸収軸と実質的に平行となるよう配置され得る。本明細書において「実質的に平行」および「略平行」という表現は、2つの方向のなす角度が0°±7°である場合を包含し、好ましくは0°±5°であり、さらに好ましくは0°±3°である。「実質的に直交」および「略直交」という表現は、2つの方向のなす角度が90°±7°である場合を包含し、好ましくは90°±5°であり、さらに好ましくは90°±3°である。さらに、本明細書において単に「直交」または「平行」というときは、実質的に直交または実質的に平行な状態を含み得るものとする。
【0083】
第1の位相差層7は、光弾性係数の絶対値が好ましくは2×10-11/N以下、より好ましくは2.0×10-13/N~1.5×10-11/N、さらに好ましくは1.0×10-12/N~1.2×10-11/Nの樹脂を含む。光弾性係数の絶対値がこのような範囲であれば、加熱時の収縮応力が発生した場合に位相差変化が生じにくい。したがって、このような光弾性係数の絶対値を有する樹脂を用いて第1の位相差層7を形成することにより、光学積層体1を画像表示装置に適用した場合に熱ムラが良好に防止され得る。
【0084】
第1の位相差層7は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。第1の位相差層7は、フラットな波長分散特性を示すことが好ましい。具体的には、第1の位相差層7のRe(450)/Re(550)は好ましくは0.99~1.03であり、Re(650)/Re(550)は好ましくは0.98~1.02である。フラットな波長分散特性を有するλ/2板(第1の位相差層)とλ/4板(第2の位相差層)とを所定の軸角度で配置することにより、理想的な逆波長分散特性に近い特性を得ることが可能であり、結果として、非常に優れた反射防止特性を実現することができる。
【0085】
第1の位相差層7は、上記のような特性を満足し得る任意の適切な樹脂フィルムで構成され得る。そのような樹脂の代表例としては、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。中でも、環状オレフィン系樹脂が好適に用いられ得る。第1の位相差層7は、例えば、上記樹脂から形成されたフィルムを延伸することにより得られる。環状オレフィン系樹脂および樹脂フィルムの延伸方法(位相差フィルムの形成方法)の詳細については、例えば、特開2015-210459号公報、特開2016-105166号公報に記載されている。この公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
【0086】
H.第2の位相差層
第2の位相差層8は、目的に応じて任意の適切な光学的特性および/または機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。第2の位相差層8は、第1の位相差層7の視認側と反対側に位置する。第2の位相差層8は、代表的には、任意の適切な接着剤層を介して第1の位相差層7の視認側と反対側に貼り合わせられている。
【0087】
第2の位相差層8の厚みは、好ましくは10μm~50μmであり、最も好ましくは20μm~40μmである。
【0088】
第2の位相差層8の面内位相差Re(550)は、好ましくは10nm~60nmであり、より好ましくは20nm~50nmであり、さらに好ましくは30nm~40nmである。
【0089】
第2の位相差層8は、上記したように、好ましくは屈折率特性がnz>nx>nyの関係を示す。第2の位相差層8のNz係数は、好ましくは-10~-0.1であり、より好ましくは-5~-1である。
【0090】
第2の位相差層8は、好ましくは、その遅相軸が偏光子21の吸収軸と実質的に直交するようにして配置され得る。
【0091】
第2の位相差層8は、上記のような特性を満足し得る任意の適切な樹脂フィルムで構成され得る。そのような樹脂は、代表的には、負の固有複屈折を有するポリマーであり得る。負の固有複屈折を有するポリマーとは、ポリマーを延伸等により配向させた場合に、その配向方向の屈折率が相対的に小さくなるものを指す。負の固有複屈折を有するポリマーとしては、例えば、芳香族やカルボニル基などの分極異方性の大きい化学結合や官能基がポリマーの側鎖に導入されているものが挙げられる。具体例としては、変性ポリオレフィン系樹脂(例えば、変性ポリエチレン系樹脂)、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、フマル酸エステル系樹脂等が挙げられる。第2の位相差層8は、例えば、上記樹脂から形成されたフィルムを適切に延伸することにより得られ得る。
【0092】
なお、本発明の1つの実施形態では、光学積層体1は第1の位相差層7および第2の位相差層8を備えるが、光学積層体は第1の位相差層および/または第2の位相差層を備えなくてもよい。
【0093】
I.パネル側粘着剤層
パネル側粘着剤層9は、第2の位相差層8の視認側と反対側に位置する。パネル側粘着剤層9は、代表的には、任意の適切な粘着剤を第2の位相差層8上に塗工して形成される。パネル側粘着剤層9の厚みは、好ましくは1μm~60μmであり、より好ましくは5μm~30μmである。なお、本発明の1つの実施形態では、光学積層体1はパネル側粘着剤層9を備えるが、光学積層体はパネル側粘着剤層を備えなくてもよい。
【0094】
J.画像表示装置
上記A項~I項に記載の光学積層体は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明の1つの実施形態は、そのような光学積層体を用いた画像表示装置も包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機EL表示装置が挙げられる。本発明の実施形態による画像表示装置は、代表的には、その視認側に上記A項~I項に記載の光学積層体を備える。画像表示装置は、画像表示パネルを含む。画像表示パネルは、画像表示セルを含む。なお、画像表示装置を光学表示装置と称する場合があり、画像表示パネルを光学表示パネルと称する場合があり、画像表示セルを光学表示セルと称する場合がある。
【実施例
【0095】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
【0096】
(1)オレンジピール
実施例および比較例で得られた光学積層体を、200mm×300mmサイズに切り出し、試験サンプルとした。試験サンプルにおいて、偏光子の吸収軸方向(MD方向)は、試験サンプルの幅方向(長手方向と直交する方向)に平行であった。次いで、パネル側粘着剤層によって、当該試験サンプルを黒色のアクリル板に貼り合わせた。アクリル板に貼り合わせた試験サンプルの視認側の表面に対して、反射角が45°~70°となるように蛍光灯を用いて光を入射して、試験サンプルの外観(視認側の表面)を目視により観察した。その結果を下記の基準で評価した。
A:目立たない凹凸感
B:目立つ凹凸感
C:著しく目立つ凹凸感
【0097】
(2)突き刺し試験
実施例および比較例で得られた光学積層体を、5cm×5cmサイズに切り出し、試験サンプルとした。次いで、パネル側粘着剤層によって、当該試験サンプルを、厚み1.2mmのガラス板に貼り合わせた。ガラス板に貼り合わせた試験サンプルを、突き刺し治具を装着したインデンターCMS試験機(インストロン社製、製品名:5581)のステージ上に載置した。突き刺し治具の先端部の曲率半径Rは、500μmであった。室温(23℃±3℃)環境下、ステージ上の試験サンプルに、突き刺し治具を荷重9kgで突き刺した。突き刺し試験後の光学積層体と標準偏光板とを、光学積層体の偏光子と標準偏光板の偏光子とがクロスニコル状態となるように配置したときの光抜けを目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:光抜けは認められない。
B:光抜けが実用上影響を与え得る程度に認められる。
C:光抜けが実用上許容不可能なほど顕著である。
【0098】
(3)高湿環境下における反り
実施例および比較例で得られた光学積層体を、200mm×300mmのサイズに切り出して、視認側サンプルとした。視認側サンプルにおいて、偏光子の吸収軸方向(MD方向)は、視認側サンプルの幅方向(長手方向と直交する方向)に平行であった。次いで、当該視認側サンプルを、パネル側粘着剤層によって、ガラス板の表面に貼り合わせた。ガラス板は、210mm×310mmのサイズを有し、ガラス板の厚みは、550μmであった。また、製造例で得られた積層体を、200mm×300mmのサイズに切り出し、光源側サンプルとした。光源側サンプルにおいて、偏光子の吸収軸方向(MD方向)は、光源側サンプルの長手方向に平行であった。次いで、当該光源側サンプルを、粘着剤層によって、ガラス板の裏面に貼り合わせた。これによって、視認側サンプルと、ガラス板と、光源側サンプルとが積層された試験サンプルを得た。
次いで、試験サンプルを、通常条件(50℃、5atm)で15分間、オートクレーブ処理した後、23℃55%RHの条件下で48時間静置し、続いて、65℃90%RHの条件下で48時間静置した。その後、試験サンプルの形状を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:バックライト側偏光板(光源側サンプル)を下側にして形状観察した場合に凹形状である。
B:バックライト側偏光板(光源側サンプル)を下側にして形状観察した場合に凸形状である。
なお、高湿試験後の試験サンプルが凸形状である場合、上側の視認側サンプル(実施例および比較例の光学積層体)が、下側の光源側サンプル(製造例の積層体)よりも膨張しており、視認側サンプルに反りが生じていると解される。
一方、高湿試験後の試験サンプルが凹形状である場合、高湿環境下において、下側の光源側サンプル(製造例の積層体)が、上側の視認側サンプル(実施例および比較例の光学積層体)よりも膨張しており、視認側サンプルの反りが抑制されていると解される。
【0099】
[製造例1]
後述する「1.偏光板(偏光子積層体)の作製」と同様にして、偏光板を得た。また、偏光子における保護層と反対側の面に、アクリル系粘着剤(後述する粘着剤PSA2)を塗工して、粘着剤層を形成した。当該粘着剤層の厚みは、20μmであった。
また、保護層(アクリル系樹脂フィルム)における偏光子と反対側の面に、3M社製の反射型偏光子フィルム(製品名:APF-T35、厚み:38μm)を、アクリル系粘着剤(後述する粘着剤PSA3)を介して貼り合せた。これによって、アクリル系樹脂フィルムと反射型偏光子フィルムとの間に、粘着剤層が形成された。当該粘着剤層の厚みは、12μmであった。
以上によって、粘着剤層/偏光板/粘着剤層/反射型偏光子フィルムの構成を有する積層体を得た。
<粘着剤PSA2の調製>
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル99部、アクリル酸4-ヒドロキシブチル1.0部および2,2´-アゾビスイソブチロニトリル0.3部を酢酸エチルと共に加えて窒素ガス気流下、60℃で4時間反応させた後、その反応液に酢酸エチルを加えて、重量平均分子量165万のアクリル系ポリマーA2を含有する溶液(固形分濃度30重量%)を得た。
得られたアクリル系ポリマーA2溶液の固形分100部に対して、0.3部のジベンゾイルパーオキシド(日本油脂製(株):ナイパーBMT)と、0.1部のトリメチロールプロパンキシレンジイソシアネート(三井武田ケミカル(株):タケネートD110N)と、0.2部のシランカップリング剤(綜研化学株式会社製:A-100,アセトアセチル基含有シランカップリング剤)とを配合して、アクリル系粘着剤PSA2を得た。
<粘着剤PSA3の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート100部、アクリル酸5部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.1部、重合開始剤として2,2´-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100gと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行い、重量平均分子量220万のアクリル系ポリマーA3を含有する溶液を得た。
得られたアクリル系ポリマーA3溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(東ソー(株)製、コロネートL)0.60部およびシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM403)0.20部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液(固形分11重量%)であるアクリル系粘着剤PSA3を得た。
【0100】
[実施例1~3]
1.偏光板(偏光子積層体)の作製
熱可塑性樹脂基材として、長尺状で、Tg約75℃である、非晶質のイソフタル共重合ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:100μm)を用い、樹脂基材の片面に、コロナ処理を施した。
ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマー」)を9:1で混合したPVA系樹脂100重量部に、ヨウ化カリウム13重量部を添加したものを水に溶かし、PVA水溶液(塗布液)を調製した。
樹脂基材のコロナ処理面に、上記PVA水溶液を塗布して60℃で乾燥することにより、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、130℃のオーブン内で縦方向(長手方向)に2.4倍に一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の重量比で配合して得られたヨウ素水溶液)に、最終的に得られる偏光子の単体透過率(Ts)が所望の値となるように濃度を調整しながら60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(ホウ酸濃度4重量%、ヨウ化カリウム濃度5重量%)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温20℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
その後、約90℃に保たれたオーブン中で乾燥しながら、表面温度が約75℃に保たれたSUS製の加熱ロールに接触させた(乾燥収縮処理)。
このようにして、樹脂基材上に厚み約5μmの偏光子を形成した。
得られた偏光子の表面(樹脂基材とは反対側の面)に、保護層としてのグルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(厚み:40μm)を、紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。具体的には、硬化型接着剤の総厚みが約2.0μmになるように塗工し、ロール機を使用して貼り合わせた。その後、UV光線をアクリル系樹脂フィルム側から照射して接着剤を硬化させた。次いで、樹脂基材を剥離して、アクリル系樹脂フィルム(保護層)/偏光子の構成を有する偏光板を得た。
【0101】
2.映り込み防止積層体
映り込み防止積層体として、富士フイルム株式会社製の位相差層付きTACフィルム(製品名:HL214、厚み:42μm)を使用した。
【0102】
3.反射防止積層体の作製
反射防止積層体として、デクセリアルズ株式会社製のARフィルム(AR+HC厚み4μm、基材厚み:80μm)を使用した。
【0103】
4.粘着剤の調製
4-1.第1の粘着剤層~第3の粘着剤層およびパネル側粘着剤層に用いられる粘着剤PSA1の調製
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート94.9部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.1部およびアクリル酸5.0部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、このモノマー混合物100部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)220万、Mw/Mn=3.0のアクリル系ポリマーA1の溶液を調製した。
アクリル系ポリマーA1溶液の固形分100部に対して、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー社製、商品名「コロネートL」)3部、過酸化物架橋剤(ベンゾイルパーオキサイド)0.2部、エポキシ基含有シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名「KBM-403」)0.075部、および、反応性シリル基を有するポリエーテル化合物(カネカ社製、商品名「サイリルSAT10」)0.5部を配合して、粘着剤PSA1を得た。粘着剤層を構成する粘着剤について、レオメトリック社製の動的粘弾性測定装置「ARES」を用いてJIS K 7244に基づき貯蔵弾性率を測定した。粘着剤PSA1の23℃55%RHにおける貯蔵弾性率は、0.11GPaであった。
【0104】
5.光学積層体の作製
偏光板の保護層上に、粘着剤PSA1を介して映り込み防止積層体を貼り合わせた。具体的には、保護層の視認側の表面に粘着剤PSA1を塗工して、表1に示す厚みを有する第1の粘着剤層を形成し、次いで、映り込み防止積層体の映り込み防止層を第1の粘着剤層に接触させて、映り込み防止積層体を第1の粘着剤層を介して偏光板に貼り合わせた。このとき、映り込み防止層(液晶化合物の配向固化層)の遅相軸が、偏光子の吸収軸に対して45°の角度をなすように調整した。
次いで、映り込み防止積層体の第1の基材上に、粘着剤PSA1を介して、補強層としてのグルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(厚み:40μm)を貼り合わせた。具体的には、第1の基材の視認側の表面に粘着剤PSA1を塗工して、表1に示す厚みを有する第2の粘着剤層を形成し、補強層を第2の粘着剤層に接触させて映り込み防止積層体に貼り合わせた。
次いで、補強層上に、粘着剤PSA1を介して反射防止積層体を貼り合わせた。具体的には、補強層の視認側の表面に粘着剤PSA1を塗工して、表1に示す厚みを有する第3の粘着剤層を形成し、次いで、反射防止積層体の第2の基材を第2の粘着剤層に接触させて、反射防止積層体を第3の粘着剤層を介して補強層に貼り合わせた。
また、偏光子における保護層と反対側の面に、第1の位相差層としての環状オレフィン系フィルム(屈折率特性:nx>ny>nz、面内位相差:116nm)を紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。このとき、第1の位相差層の遅相軸が、偏光子の吸収軸に対して0°の角度をなすように調整した。その後、第1の位相差層における偏光子と反対側の面に、第2の位相差層として変性ポリエチレンフィルム(屈折率特性:nz>nx>ny、面内位相差:35nm)を紫外線硬化型接着剤を介して貼り合せた。このとき、第2の位相差層の遅相軸が、偏光子の吸収軸に対して90°の角度をなすように調整した。
次いで、第2の位相差層における第1の位相差層と反対側の面に、粘着剤PSA1を塗工して、表1に示す厚みを有するパネル側粘着剤層を形成した。
以上によって、反射防止積層体/第3の粘着剤層/補強層/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。光学積層体が備える各層の厚み、光学積層体の総厚、および、映り込み防止積層体と補強層と反射防止積層体との総厚を、表1に示す。また、光学積層体を上記オレンジピール、突き刺し試験(光抜け)および高湿環境下における反りの評価に供した。結果を、映り込み防止積層体と補強層と反射防止積層体との総厚、および、各粘着剤層の厚みと併せて、表2に示す。
【0105】
[比較例1]
偏光板よりも視認側に第1の粘着剤層のみを形成したこと、および、パネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
【0106】
[比較例2]
偏光板よりも視認側に第1の粘着剤層および映り込み防止積層体のみを形成したこと以外は、比較例1と同様にして、映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
【0107】
[比較例3]
映り込み防止積層体と反射防止積層体との間に補強層を設けずに、反射防止積層体を第2粘着剤層を介して映り込み防止積層体に貼り合わせたこと以外は、比較例1と同様にして、反射防止積層体/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
【0108】
[比較例4]
第1の粘着剤層、第2の粘着剤層、第3の粘着剤層およびパネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、比較例3と同様にして、反射防止積層体/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
【0109】
[比較例5]
第3の粘着剤層と反射防止積層体との間に、第2の補強層および第4の粘着剤層を設けたこと、および、パネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、反射防止積層体/第4の粘着剤層/第2の補強層/第3の粘着剤層/補強層/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。なお、第2の補強層は、グルタルイミド構造を有するアクリル系樹脂フィルム(厚み:40μm)であった。また、第4の粘着剤層は、第2の補強層の視認側の表面に粘着剤PSA1を、表1に示す厚みとなるように塗工して形成された。
【0110】
[比較例6]
補強層の厚みを80μmに変更したこと、および、パネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、反射防止積層体/第3の粘着剤層/補強層/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
【0111】
[比較例7]
映り込み防止積層体を、富士フイルム株式会社製の位相差層付きTACフィルム(製品名:HL214、厚み:42μm)から日東電工株式会社製のポリカーボネート系映り込み防止フィルム(厚み82μm)に変更したこと、および、パネル側粘着剤層の厚みを表1に示す値に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、反射防止積層体/第3の粘着剤層/補強層/第2の粘着剤層/映り込み防止積層体/第1の粘着剤層/偏光板/第1の位相差層/第2の位相差層/パネル側粘着剤層の構成を有する光学積層体を得た。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】
[評価]
表2から明らかなように、各粘着剤層の厚みを17μm以下とし、映り込み防止積層体と反射防止積層体との間に補強層が設け、かつ、映り込み防止積層体と補強層と反射防止積層体との総厚を200μm以下とすることにより、オレンジピールの抑制、局所的な荷重に対する耐性および高湿環境下における反りの抑制をバランスよく満足した光学積層体が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の光学積層体は、画像表示装置(代表的には、液晶表示装置、有機EL表示装置)に好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0116】
1 光学積層体
2 偏光板
21 偏光子
22 保護層
3 映り込み防止積層体
31 第1の基材
32 映り込み防止層
4 反射防止積層体
41 第2の基材
42 ハードコート層
43 反射防止層
5 補強層
61 第1の粘着剤層
62 第2の粘着剤層
63 第3の粘着剤層
7 第1の位相差層
8 第2の位相差層

図1