(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】錫-銀めっき液及びそれを用いた錫-銀はんだバンプの形成方法
(51)【国際特許分類】
C25D 3/60 20060101AFI20240919BHJP
C25D 3/56 20060101ALI20240919BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
C25D3/60
C25D3/56 E
C25D7/00 J
(21)【出願番号】P 2023530693
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 KR2021016859
(87)【国際公開番号】W WO2022108325
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0157071
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0138109
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514100360
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ インダストリアル テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】KOREA INSTITUTE OF INDUSTRIAL TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】89, Yangdaegiro-gil, Ipjang-myeon,Seobuk-gu, Cheonan-si Chungcheongnam-do 331-822,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ウン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジン、サン フン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ユ グン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ドン リョル
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222894(JP,A)
【文献】特開2017-179515(JP,A)
【文献】特開2019-137896(JP,A)
【文献】特開2017-031447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0368063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/00- 3/66
C25D 7/00- 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錫イオン供給源と、銀イオン(Ag
+)供給源と、有機添加剤と、を含み、
前記有機添加剤が、下記化学式1で表される銀(Ag)錯化剤、下記化学式2で表される錫担体、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤を含
み、
【化1】
(ここで、前記A
1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、前記R
1及びR
2は、それぞれ独立して、炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である)
【化2】
(ここで、
前記A
2は、置換または非置換のC
6~C
30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、
前記R
3は、水素、置換または非置換のC
1~C
30アルキル基、置換または非置換のC
3~C
30シクロアルキル基、置換または非置換のC
2~C
30アルケニル基、置換または非置換のC
2~C
30アルキニル基、置換または非置換のC
1~C
30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、
前記n
1~n
4は、それぞれ独立して、0~26の整数であるが、n
1~n
4の合計は10~26である)
【化3】
(ここで、
前記R
4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、
前記R
5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、
前記R
6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、
前記R
7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、
前記Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO
3)、硫酸塩(SO
4)、炭酸塩(CO
3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである)
前記銀イオン(Ag
+
)供給源に対する銀(Ag)錯化剤が、1:1~1:10のモル比で提供される
ことを特徴とする錫-銀めっき液。
【請求項2】
前記錫イオン供給源が、硫酸錫、塩酸錫、スルファミン酸錫、酢酸錫、リン酸錫、メタンスルホン酸錫、グルコン酸錫、及びカルボン酸錫からなる群から選択される少なくとも1つの水溶性錫化合物を含む
請求項1に記載の錫-銀めっき液。
【請求項3】
前記銀イオン(Ag
+)供給源が、硫酸銀、塩酸銀、スルファミン酸銀、酢酸酸、リン酸銀、メタンスルホン酸銀、グルコン酸銀、及びカルボン酸銀からなる群から選択される少なくとも1つの水溶性銀(Ag)化合物を含む
請求項1に記載の錫-銀めっき液。
【請求項4】
前記錫-銀めっき液のうち、錫イオン及び銀イオン(Ag
+)が、75:25~99.9:0.1の重量比で提供される
請求項1に記載の錫-銀めっき液。
【請求項5】
錫イオン供給源と、銀イオン(Ag
+)供給源と、有機添加剤と、を含み、
前記有機添加剤が、下記化学式1で表される銀(Ag)錯化剤、下記化学式2で表される錫担体、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤を含
み、
【化1】
(ここで、前記A
1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、前記R
1及びR
2は、それぞれ独立して、炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である)
【化2】
(ここで、
前記A
2は、置換または非置換のC
6~C
30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、
前記R
3は、水素、置換または非置換のC
1~C
30アルキル基、置換または非置換のC
3~C
30シクロアルキル基、置換または非置換のC
2~C
30アルケニル基、置換または非置換のC
2~C
30アルキニル基、置換または非置換のC
1~C
30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、
前記n
1~n
4は、それぞれ独立して、0~26の整数であるが、n
1~n
4の合計は10~26である)
【化3】
(ここで、
前記R
4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、
前記R
5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、
前記R
6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、
前記R
7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、
前記Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO
3)、硫酸塩(SO
4)、炭酸塩(CO
3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである)
更に、伝導塩と酸化防止剤をさらに含み、
前記伝導塩が、ヒドロキシカルボン酸またはアルカンスルホン酸のいずれか1つであり、
前記酸化防止剤が、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、クレゾール、フロログルシノール、オキシヒドロキノン及びピロガロールからなる群から選択される少なくとも1つである
ことを特徴とする錫-銀めっき液。
【請求項6】
平滑剤
をさらに含む
請求項5に記載の錫-銀めっき液。
【請求項7】
前記平滑剤が、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び合成ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つである
請求項6に記載の錫-銀めっき液。
【請求項8】
錫イオン供給源と、銀イオン(Ag
+)供給源と、有機添加剤と、を含み、前記有機添加剤が、下記化学式1で表される銀(Ag)錯化剤、下記化学式2で表される錫担体、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤を含
み、
【化4】
(ここで、前記A
1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、前記R
1及びR
2は、それぞれ炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である)
【化5】
(ここで、
前記A
2は、置換または非置換のC
6~C
30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、
前記R
3は、水素、置換または非置換のC
1~C
30アルキル基、置換または非置換のC
3~C
30シクロアルキル基、置換または非置換のC
2~C
30アルケニル基、置換または非置換のC
2~C
30アルキニル基、置換または非置換のC
1~C
30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、
前記n
1~n
4は、それぞれ独立して、0~26の整数であるが、n
1~n
4の合計は10~26である)
【化6】
(ここで、
前記R
4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、
前記R
5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、
前記R
6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、
前記R
7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、
前記Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO
3)、硫酸塩(SO
4)、炭酸塩(CO
3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである)
前記銀イオン(Ag
+
)供給源に対する銀(Ag)錯化剤が、1:1~1:10のモル比で提供される
ことを特徴とする錫-銀めっき液を含むめっき浴に、
下部バンプ金属構造を露出させるステップと、
電流を印加して、前記下部バンプ金属構造上に錫-銀合金をめっきするステップと、
を含む
ことを特徴とする錫-銀はんだバンプの形成方法。
【請求項9】
錫イオン供給源と、銀イオン(Ag
+)供給源と、有機添加剤と、を含み、前記有機添加剤が、下記化学式1で表される銀(Ag)錯化剤、下記化学式2で表される錫担体、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤を含
み、
【化4】
(ここで、前記A
1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、前記R
1及びR
2は、それぞれ炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である)
【化5】
(ここで、
前記A
2は、置換または非置換のC
6~C
30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、
前記R
3は、水素、置換または非置換のC
1~C
30アルキル基、置換または非置換のC
3~C
30シクロアルキル基、置換または非置換のC
2~C
30アルケニル基、置換または非置換のC
2~C
30アルキニル基、置換または非置換のC
1~C
30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、
前記n
1~n
4は、それぞれ独立して、0~26の整数であるが、n
1~n
4の合計は10~26である)
【化6】
(ここで、
前記R
4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、
前記R
5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、
前記R
6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、
前記R
7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、
前記Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO
3)、硫酸塩(SO
4)、炭酸塩(CO
3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである)
更に、伝導塩と酸化防止剤をさらに含み、
前記伝導塩が、ヒドロキシカルボン酸またはアルカンスルホン酸のいずれか1つであり、
前記酸化防止剤が、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、クレゾール、フロログルシノール、オキシヒドロキノン及びピロガロールからなる群から選択される少なくとも1つである
ことを特徴とする錫-銀めっき液を含むめっき浴に、
下部バンプ金属構造を露出させるステップと、
電流を印加して、前記下部バンプ金属構造上に錫-銀合金をめっきするステップと、
を含む
ことを特徴とする錫-銀はんだバンプの形成方法。
【請求項10】
前記錫-銀めっき液が、平滑剤
をさらに含む
請求項9に記載の錫-銀めっき液
はんだバンプの形成方法。
【請求項11】
前記平滑剤が、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び合成ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つである
請求項10に記載の錫-銀めっき液
はんだバンプの形成方法。
【請求項12】
前記錫-銀合金をめっきするステップにおいて、印加される電流が1~10ASDの電流密度を有する
請求項8ないし11のいずれかに記載の錫-銀はんだバンプの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錫-銀めっき液に関し、さらに詳しくは、半導体装置を含む電子部品の基板上にめっきされる錫-銀めっき液に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の小型化、薄型化、大容量化、高機能化などの流れに従い、前記電子製品の核心部品である回路基板などの面積縮小や、半導体装置の実装面積の向上などが、前記電子製品の競争力と直結しており、前記回路基板上に実装される半導体装置の実装部分、すなわち半導体装置の実装面積を向上させるための研究開発が進められている。
【0003】
よって、実装面積を縮小するために、近年では半導体装置をベアチップ(bare chip)形態で直接実装する方法が用いられており、そのようなベアチップ実装の一つとして、フリップチップ(flip chip)実装が主に用いられている。
【0004】
フリップチップパッケージには様々な形態があるが、はんだバンプを用いたフリップチップパッケージ技術は、回路基板の間のはんだバンプを直接接合し、チップの全面積を活用する面配列(area array)方式によって単位面積当たりの入出力端子数を大幅に増加させることで、微細ピッチ適用、高速化、軽薄化、高機能、高性能の製品実装が可能であるという利点を有している。
【0005】
従来、一般的に用いられていた錫-鉛はんだバンプは、はんだ付け特性に優れ、融点が低く、めっき液の管理が容易であるといった利点を有していたが、鉛を始めとする有害物質に対する使用を規制するRoHS法が施行されることで、錫-鉛はんだバンプの使用に規制がかかってきた。また、錫めっき液ではんだバンプをめっきした後、はんだボールを作製するためのリフロー作業においてウィスカー(whisker)が多発することから、それを改善するための研究の必要性が継続的に求められてきた。よって、錫-銀、錫-ビスマス、錫-銅、錫-亜鉛などの錫系合金が錫-鉛合金の代替として検討されている。
【0006】
それらの中で、錫-銀合金は、低い抵抗性、安定性、幅広い溶融点を達成する能力、及び純粋なSn供給源によるアルファ粒子放出の除去などの利点によって注目を集めている。しかしながら、錫-銀はんだバンプ製造において、めっき液中の銀イオン(Ag+)が特定のUBM(under bump metal)層または錫陽極板に置換析出しようとする傾向があり、めっき液中の銀イオン(Ag+)の濃度制御が困難になる。さらに、錫-銀はんだバンプの合金組成比が適切でないと、ウィスカーまたはノジュール(nodule)が発生し、フリップチップ内のインターコネクション信頼性に問題を引き起こす可能性がある。
【0007】
前記錫-銀はんだバンプの製造における別の問題は、めっき可能な電流密度が制限されることである。めっき時の電流密度が高いと、バンプめっき速度が速くなり、高スループットに好影響を与えるが、めっき表面制御が難しく、めっき電極で過剰な水素ガスが生じることから、緻密でないめっきによるバンプ中空隙(void)の生成などの悪影響を与える可能性がある。
【0008】
よって、高速めっき条件下で安定しためっき速度及び安定した銀含有量を有し、滑らかなめっき表面を有する錫-銀めっき液の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、高速めっき下でウィスカーの発生を低減し、はんだ中の銀組成の不均一性を改善するための錫-銀めっき液を提供することを課題とする。
【0011】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために、本発明の一実施例は、錫イオン供給源と、銀イオン(Ag+)供給源と、有機添加剤と、を含み、有機添加剤が、下記化学式1で表される銀(Ag)錯化剤、下記化学式2で表される錫担体、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤を含むことを特徴とする錫-銀めっき液を提供する:
【0013】
【0014】
ここで、前記A1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、前記R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である。
【0015】
【0016】
ここで、前記A2は、置換または非置換のC6~C30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、
前記R3は、水素、置換または非置換のC1~C30アルキル基、置換または非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換または非置換のC2~C30アルケニル基、置換または非置換のC2~C30アルキニル基、置換または非置換のC1~C30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、
前記n1~n4は、それぞれ独立して、0~26の整数であるが、n1~n4の合計は10~26である。
【0017】
【0018】
ここで、前記R4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、前記R7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO3)、硫酸塩(SO4)、炭酸塩(CO3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである。
【0019】
本発明の一実施例において、前記錫イオン供給源は、硫酸錫、塩酸錫、スルファミン酸錫、酢酸錫、リン酸錫、メタンスルホン酸錫、グルコン酸錫、及びカルボン酸錫からなる群から選択される少なくとも1つの水溶性錫化合物を含むことを特徴とする錫-銀めっき液であってもよい。
【0020】
また、本発明の一実施例において、前記銀イオン(Ag+)供給源は、硫酸銀、塩酸銀、スルファミン酸銀、酢酸酸、リン酸銀、メタンスルホン酸銀、グルコン酸銀、及びカルボン酸銀からなる群から選択される少なくとも1つの水溶性銀(Ag)化合物を含むことを特徴とする錫-銀めっき液であってもよい。
【0021】
さらに、本発明の一実施例において、前記錫-銀めっき液のうち、錫イオン及び銀イオン(Ag+)が、75:25~99.9:0.1の重量比で提供されることを特徴とする錫-銀めっき液であってもよい。
【0022】
また、本発明の一実施例において、前記銀イオン(Ag+)供給源に対する銀(Ag)錯化剤は、1:1~1:10のモル比で提供されることを特徴とする錫-銀めっき液であってもよい。
【0023】
さらに、本発明の一実施例において、伝導塩、酸化防止剤及び平滑剤のうちの少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする錫-銀めっき液であってもよい。
【0024】
ここで、前記伝導塩は、ヒドロキシカルボン酸またはアルカンスルホン酸のいずれか1つであることを特徴とする錫-銀めっき液であってもよい。
【0025】
また、そのとき、前記酸化防止剤は、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、クレゾール、フロログルシノール、オキシヒドロキノン及びピロガロールからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする錫-銀メッキ液であってもよい。
【0026】
さらに、そのとき、前記平滑剤は、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び合成ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする錫-銀めっき液であってもよい。
【0027】
前記課題を解決するために、本発明の他の一実施例は、錫イオン供給源と、銀イオン(Ag+)供給源と、有機添加剤と、を含み、前記有機添加剤が、下記化学式1で表される銀(Ag)錯化剤、下記化学式2で表される錫担体、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤を含むことを特徴とする錫-銀めっき液を含むめっき浴に、下部バンプ金属構造を露出させるステップと、電流を印加して、前記下部バンプ金属構造上に錫-銀合金をめっきするステップと、を含む、錫-銀はんだバンプの形成方法を提供する:
【0028】
【0029】
ここで、前記A1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、前記R1及びR2は、それぞれ炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である。
【0030】
【0031】
ここで、前記A2は、置換または非置換のC6~C30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、前記R3は、水素、置換または非置換のC1~C30アルキル基、置換または非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換または非置換のC2~C30アルケニル基、置換または非置換のC2~C30アルキニル基、置換または非置換のC1~C30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、前記n1~n4は、それぞれ独立して、0~26の整数であるが、n1~n4の合計は10~26である。
【0032】
【0033】
ここで、前記R4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、R5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、R6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、R7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO3)、硫酸塩(SO4)、炭酸塩(CO3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである。
【0034】
本発明の一実施例では、前記錫-銀合金をめっきするステップにおいて、印加される電流は1~10ASDの電流密度を有することを特徴とする錫-銀はんだバンプの形成方法であってもよい。
【0035】
前記課題を解決するために、本発明の他の実施例は、前記方法によって形成された錫-銀はんだバンプを提供する。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一実施例に係る錫-銀めっき液を用いて高速めっきする場合でも、ウィスカーの発生が低減され、錫-銀めっき液中の銀イオン(Ag+)の組成を均一に維持することにより、形成された錫-銀はんだバンプ中の銀組成を均一に形成することができる。
【0037】
また、本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法は、高電流密度且つ高速でめっきを行うことができ、それにより、高スループットを達成することができる。
【0038】
また、本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法を用いて形成された錫-銀はんだバンプは、均一なバンプ高さ、改善された表面粗さ及びはんだ付け性、並びにバンプ中に均一な銀(Ag)含有量及び分布を有し、ウィスカーの発生が低減され、良好なリフロー特性を保持することができる。さらに、超微細バンプの優れた工程性及び信頼性を保つことができるといった効果がある。
【0039】
本発明の効果は、これらに限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載されている発明の構成から推論できるあらゆる効果が含まれるものと理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施例及び比較例の錫-銀はんだバンプの表面走査電子顕微鏡画像である。
【
図3】本発明の一実施例及び比較例のはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡画像である。
【
図4】本発明の実施例2aの錫-銀はんだバンプの表面及びはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡画像である。
【
図5】本発明の実施例2bの錫-銀はんだバンプの表面及びはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡画像である。
【
図6】本発明の実施例3aの錫-銀はんだバンプの表面及びはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡画像である。
【
図7】本発明の実施例3bの錫-銀はんだバンプの表面及びはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡画像である。
【
図8】本発明の実施例4aの錫-銀はんだバンプの表面及びはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡画像である。
【
図9】本発明の実施例4bの錫-銀はんだバンプの表面及びはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡画像である。
【
図10】本発明の実施例4cの錫-銀はんだバンプの表面及びはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡画像である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付図面を参照して、本発明について説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現されるので、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0042】
本明細書に用いる用語は、単に特定の実施例について説明するために用いるものであり、本発明を限定するものではない。単数の表現には、特に断らない限り、複数の表現が含まれる。本明細書における「含む」や「有する」などの用語は、特に反対の記載がない限り、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせが存在することを示すものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除するものではない。
【0043】
本発明の一態様は、錫イオン供給源と、銀イオン(Ag+)供給源と、有機添加剤と、を含み、前記有機添加剤が、下記化学式1で表される銀(Ag)錯化剤、下記化学式2で表される錫担体、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤を含むことを特徴とする錫-銀めっき液を提供する:
【0044】
【0045】
ここで、前記A1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、R1及びR2は、それぞれ炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である。
【0046】
【0047】
ここで、前記A2は、置換または非置換のC6~C30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、前記R3は、水素、置換または非置換のC1~C30アルキル基、置換または非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換または非置換のC2~C30アルケニル基、置換または非置換のC2~C30アルキニル基、置換または非置換のC1~C30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、前記n1~n4は、それぞれ独立して、0~26の整数であるが、n1~n4の合計は10~26である。
【0048】
【0049】
ここで、前記R4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、前記R7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO3)、硫酸塩(SO4)、炭酸塩(CO3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである。
【0050】
近年、鉛による環境問題に関する規制強化に伴い、鉛フリーはんだへの関心が高まっており、従来用いられていた錫-鉛合金の潜在的な代替として、純粋な錫、錫-銅、錫-銀、及び三元錫合金が検討されてきた。
【0051】
その中でも特に、錫-銀合金は、低い抵抗性、安定性、幅広い溶融点などの利点を有し、錫-鉛合金と比較して、引張強度、熱疲労、クリープなどの機械的特性に優れており、特に接合部強度に優れているといった利点がある。
【0052】
本発明の錫-銀めっき液は、前述した錫-銀合金を含むはんだバンプを製造するためのものであり、錫イオン供給源及び銀イオン(Ag+)供給源を含む。
【0053】
本発明の一実施例において、前記錫イオン供給源は、本発明の錫-銀めっき液に錫イオン(Sn2+)を供給する物質であり、水溶性錫化合物であってもよく、前記水溶性錫化合物は、例えば、硫酸錫、塩酸錫、スルファミン酸錫、酢酸錫、リン酸錫、メタンスルホン酸錫、グルコン酸錫、及びカルボン酸錫からなる群から選択される少なくとも1つ、例えば、高い溶解度を有するメタンスルホン酸錫であってもよい。
【0054】
本発明の一実施例において、前記銀イオン(Ag+)供給源は、本発明の錫-銀めっき液に銀イオン(Ag+)を供給する物質であって、水溶性銀化合物であってもよく、前記水溶性銀化合物は、例えば、硫酸銀、塩酸銀、スルファミン酸銀、酢酸酸、リン酸銀、メタンスルホン酸銀、グルコン酸銀、及びカルボン酸銀からなる群から選択される少なくとも1つ、例えば、メタンスルホン酸銀を含んでもよい。
【0055】
本発明の一実施例において、前記錫-銀めっき液中の錫イオン及び銀イオン(Ag+)は、75:25~99.9:0.1の重量比で提供されてもよく、前記錫イオン供給源及び銀イオン(Ag+)供給源は、前記錫イオン及び銀イオン(Ag+)を前記重量比で提供してもよい。
【0056】
前述した範囲の錫イオン及び銀イオン(Ag+)の重量比を有する錫-銀めっき液を用いて錫-銀はんだバンプを形成する場合、はんだ付け性(solderability)が良好である。一方、錫イオン及び銀イオン(Ag+)の重量比が前記範囲を外れると、錫-銀はんだバンプを形成する際に、例えば、めっき工程におけるウィスカー発生確率や、リフロー過程における溶融温度が高くなる問題が発生する可能性がある。
【0057】
次に、本発明の錫-銀めっき液は有機添加剤を含む。
【0058】
前記有機添加剤は、本発明の錫-銀めっき液を用いて製造される錫-銀はんだバンプのウィスカー発生を低減し、銀(Ag)組成のムラを改善するために添加されるものであり、銀(Ag)錯化剤、錫担体及び結晶粒微細化剤を含む。
【0059】
本発明の一実施例において、前記有機添加剤に含まれる銀(Ag)錯化剤は、下記化学式1で表される化合物であってもよい。
【0060】
【0061】
ここで、A1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、R1及びR2は、それぞれ炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である。
【0062】
錫-銀めっき液は、銀(Ag)の組成変化によって、はんだバンプの特性を阻害し兼ねないウィスカー(whisker)構造または融点の高いAg3Sn相を形成する可能性があり、銀(Ag)組成を精密に制御する必要がある。
【0063】
前記銀(Ag)組成の制御は、錫イオンと銀イオン(Ag+)との還元電位差が非常に大きく、長時間使用すると銀が析出し、めっき液の寿命が短くなることから、困難が生じる。
【0064】
銀イオン(Ag+)及び錫イオン(Sn2+)の還元電位は、下記反応式1に示されるとおりである。
【0065】
[反応式1]
Ag++e→Ag E0=+0.8V
Sn2++2e→Sn E0=-0.14V
【0066】
本発明の一実施例において、錫-銀めっき液を用いためっき時に、銀イオン(Ag+)が錫イオンまたは下部バンプ金属(Under-Bump-Metallurgy;UBM)に露出されると、自発的に錫イオンまたは前記下部バンプ金属を酸化しながら、それと同時に銀(Ag)に還元され、析出する。
【0067】
前記析出した銀(Ag)は、めっき液中で浮遊する微細に分離された銀(Ag)金属になるか、あるいは基板、めっき浴の壁面、及び電極に自発的に沈着する場合があり、それはめっき液中の銀イオン(Ag+)の濃度制御を困難にすることがある。
【0068】
よって、錫-銀めっき液を用いためっきの際に、銀(Ag)の析出を防止することで安定性を向上し、錫イオン及び銀イオン(Ag+)の還元電位差を減少させることで、錫-銀はんだの銀組成の誤差範囲を最低限にする必要がある。そこで、前記銀(Ag)錯化剤は、銀の析出を防止して安定性を向上し、錫イオンと銀イオン(Ag+)の還元電位差を減少させることで、錫-銀はんだの銀組成誤差範囲を最低限にする役割を果たすことができる。
【0069】
本発明の一実施例において、前記銀イオン(Ag+)供給源に対する前記銀(Ag)錯化剤は、1:1~1:10のモル比で提供されてもよい。
【0070】
本発明の一実施例において、前記R1は、アルデヒド基、ヒドロキシル基、メチル基、カルボキシル基、メルカプト基、アミン基、チオール基、ニトリル基、及びピリジンのいずれか1つであり、例えば、ピリジン(pyridyl)であってもよく、前記及びR2は、アルデヒド基、ヒドロキシル基、メチル基、カルボキシル基、メルカプト基、アミン基、チオール基、ニトリル基、及びピリジンのいずれか1つ、例えば、ピリジン(pyridyl)であってもよく、前記化学式1の化合物は、3,6-Dithia-1,8-octanediolであってもよい。
【0071】
本発明の一実施例において、前記有機添加剤に含まれる錫担体は、下記化学式2で表される化合物であってもよい。
【0072】
【0073】
ここで、A2は、置換または非置換のC6~C30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、前記R3は、水素、置換または非置換のC1~C30アルキル基、置換または非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換または非置換のC2~C30アルケニル基、置換または非置換のC2~C30アルキニル基、置換または非置換のC1~C30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、n1~n4は、それぞれ0~26の整数であるが、n1~n4の合計は10~26である。
【0074】
本発明の一実施例において、前記有機添加剤に含まれる結晶粒微細化剤は、下記化学式3で表される化合物であってもよい。
【0075】
【0076】
ここで、前記R4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、前記R7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO3)、硫酸塩(SO4)、炭酸塩(CO3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである。
【0077】
本発明の一実施例において、下部バンプ金属、例えば、銅上に錫-銀めっきを行う場合、錫めっき後の加熱過程で金属間化合物(intermetallic compound;IMC)が生成され、熱膨張によるストレスによってウィスカーが発生する可能性がある。具体的には、金属間化合物の形成、引張、圧縮などの直接的な機械的応力、熱膨張係数差による熱機械的応力、表面酸化などにより応力が発生する場合があり、それにより、ウィスカーが成長する可能性がある。
【0078】
本発明の一実施例において、有機添加剤に含まれる結晶粒微細化剤は、前記銅及び錫の金属間化合物の成長を抑制することで、錫めっき層の内部応力を減少させ、ウィスカー成長を抑制することができる。
【0079】
本発明の一実施例において、前記R4は、ヒドロキシ基を含む2つの炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R5は、ヒドロキシ基を含む2つの炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R6は、12個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R7は、単独で水素を含んでいてもよく、Xは、ハロゲンイオンであってもよく、結晶粒微細化剤は、例えば、Bis(2-hydroxyethyl)-methyl-tridecylazaniumであってもよい。
【0080】
本発明の錫-銀めっき液は、伝導塩、酸化防止剤及び平滑剤のうち少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0081】
本発明の一実施例において、前記伝導塩は、錫-銀めっき液のpHを維持し、及び電気伝導性を付与する役割を果たすものであり、前記伝導塩は、ヒドロキシカルボン酸及びアルカンスルホン酸からなる群から選択される少なくとも1つを選択して使用することができるが、それに限定されるものではなく、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸及びプロパンスルホン酸からなる群から選択される少なくとも1つ、例えば、メタンスルホン酸であってもよい。
【0082】
前記伝導塩は、錫-銀めっき液100wt%に対して5~30wt%で含まれてもよい。前記伝導塩の含有量が5wt%未満であると、めっき液の電気伝導性が十分に付与されず、めっき速度が低下する場合があり、30wt%を超えると、めっき形状の制御が困難になる可能性がある。
【0083】
本発明の一実施例において、前記酸化防止剤は、2価錫イオン(Sn2+)が4価錫イオン(Sn4+)に酸化されるのを最低限に抑えるか、あるいは防ぎ、2価錫イオン(Sn2+)の維持を助けるためのものであって、前記酸化防止剤は、ポリヒドロキシ(polyhydroxy)芳香族化合物の中から選択される1種または2種以上を選択して使用することができるが、それに限定されるものではなく、例えば、カテコール(catecol)、ヒドロキノン(hydroquinone)、レゾルシノール(resorcinol)、クレゾール(cresol)、フロログルシノール(phloroglucinol)、オキシヒドロキノン(oxy hydroquinone)、及びピロガロール(pyrogallol)からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
【0084】
前記酸化防止剤の含有量は0.01~20g/Lであり、前記酸化防止剤含有量が0.01g/L未満であると、めっき液中に4価錫イオン(Sn4+)が増加し、めっき液の寿命が短くなり、20g/Lを超えると、はんだの均一性及び平滑性が悪くなる。
【0085】
本発明の一実施例において、前記平滑剤は、めっき時の溶液の濡れ性を向上させ、微細パターンや狭い空間まで液で濡らせる能力を向上し、作業範囲を広げる役割を果たすものであって、前記平滑剤は、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及び合成ポリマーからなる群から選択される少なくとも1つを選択して使用することができるが、それに限定されるものではなく、例えば、ノニオン界面活性剤、例えば、2-ナフチルエチルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテルのいずれか1つでもよい。
【0086】
本発明の一態様は、錫-銀はんだバンプの形成方法を提供する。
【0087】
図1は、本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法を示すフローチャートである。
【0088】
図1を参照すると、本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法は、錫イオン供給源と、銀イオン(Ag
+)供給源と、有機添加剤と、を含み、前記有機添加剤が、下記化学式1で表される銀(Ag)錯化剤、下記化学式2で表される錫担体、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤を含むことを特徴とする錫-銀めっき液を含むめっき浴に、下部バンプ金属構造を露出させるステップ(S10)と、電流を印加して、前記下部バンプ金属構造上に錫-銀合金をめっきするステップ(S20)と、を含む、錫-銀はんだバンプの形成方法を提供する。
【0089】
【0090】
ここで、前記A1は、1~10個の炭素を有する線状構造のアルキレンであり、前記R1及びR2は、それぞれ炭素、酸素、窒素、硫黄、及びケイ素のうちの少なくとも1つを含む官能基である。
【0091】
【0092】
ここで、前記A2は、置換または非置換のC6~C30アリール基または少なくとも1つの環炭素がそれぞれ窒素、酸素及び硫黄のうち少なくとも1つからなるヘテロ原子を含む6~30個の環原子を有するヘテロアリールであり、
前記R3は、水素、置換または非置換のC1~C30アルキル基、置換または非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換または非置換のC2~C30アルケニル基、置換または非置換のC2~C30アルキニル基、置換または非置換のC1~C30アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したスルホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したホスホネート基、アルカリ金属カチオンとイオン結合したニトロネート基、及びアルカリ金属カチオンとイオン結合したカルボキシレート基のいずれか1つであり、
前記n1~n4は、それぞれ0~26の整数であるが、n1~n4の合計は10~26である。
【0093】
【0094】
ここで、前記R4は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R5は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキル、またはヒドロキシ基を含む1~7個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R6は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、前記R7は、水素、1~20個の炭素を有する線状構造のアルキル、または5~20個の炭素を有する分岐状構造のアルキルであり、Xは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、硝酸塩(NO3)、硫酸塩(SO4)、炭酸塩(CO3)及び水酸基(OH)からなるイオン群から選択されたいずれか1つである。
【0095】
本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法は、錫-銀めっき液を含むめっき浴に下部バンプ金属構造を露出させるステップ(S10)を含む。
【0096】
本発明の一実施例において、前記錫-銀めっき液は、前記態様の錫-銀めっき液であってよく、前記錫イオン供給源、銀イオン(Ag+)供給源及び有機添加剤は、前記態様の錫イオン供給源、銀イオン(Ag+)供給源及び有機添加剤であってもよい。
【0097】
前記錫イオン供給源、銀イオン(Ag+)供給源及び有機添加剤の説明は、前記態様の説明に替える。
【0098】
本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法は、電流を印加して、下部バンプ金属構造上に錫-銀合金をめっきするステップ(S20)を含む。
【0099】
本発明の一実施例において、前記錫-銀合金をめっきするステップ(S20)は、電気めっき方法を用いて、例えば、前記錫-銀めっき液を含む電気めっき浴で行ってもよい。
【0100】
本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法は、本発明の技術分野の電気めっき方法を用いたはんだ形成方法であれば制限なくそれを用いることができ、それを用いてマイクロ電子装置を製造してもよい。
【0101】
例えば、マイクロ電子装置を製造できるパターンが形成されたシリコンウエハ基板上に下部バンプ金属構造を形成し、前記下部バンプ金属構造が形成されたシリコンウエハ基板を、前記錫-銀めっき液を含む電気めっき浴に浸漬して下部バンプ金属構造を露出させることによって、開始する。
【0102】
そのとき、前記下部バンプ金属構造は、チタン(Ti)及び銅(Cu)、チタン及びニッケル(Ni)、クロム(Cr)及び銅、クロム及びニッケル、タングステン化チタン(TiW)及び銅またはタングステン化チタン及びニッケルなどをシリコンウエハ基板上に所定の厚さに順次形成したものであってもよいが、それに限定されるものではなく、例えば、銅を前記シリコンウエハ基板上に形成したものでもよい。
【0103】
本発明の一実施例において、前記錫-銀合金をめっきするステップで印加される電流は、1~20ASD(Amp/dm2)、例えば、1~10ASDであってもよい。
【0104】
本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法は、高電流密度且つ高速でめっきを行うことができ、それにより、高スループットを達成することができる。
【0105】
また、本発明の錫-銀はんだバンプの形成方法を用いて形成された錫-銀はんだバンプは、均一なバンプ高さ、改善された表面粗さ及びはんだ付け性、並びにバンプ中に均一な銀(Ag)含有量及び分布を有し、ウィスカーの発生が低減され、良好なリフロー特性を保持することができる。さらに、超微細バンプの優れた工程性及び信頼性を保つことができるといった効果がある。
【0106】
以下、製造例、比較例及び実験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。しかしながら、本発明が以下の製造例、比較例、及び実験例に限定されるものではない。
【0107】
[製造例1]
本製造例1では、下部バンプ金属構造を形成し、パターンを有するシリコンウエハ上に、銅めっき液を用いて厚さ10μmの電解めっきを行った。
【0108】
そのとき、前記銅めっき液は、めっき液1L当たり50gの銅イオン、150gの硫酸イオン、50mgの塩素イオン、抑制剤として、芳香族炭化水素を含むポリエチレンオキシド誘導体、加速剤として、メルカプト基を含む有機化合物、及び平坦剤として、窒素を含む飽和ヘテロ環化合物を添加して銅めっき液を調製し、前記電解めっきは、5ASDの電流密度で10分間電流を印加して行った。
[実施例1]
【0109】
本実施例1では、結晶粒微細化剤を含む錫-銀めっき液を調製した。
【0110】
具体的には、メタルスルホン酸錫(Tin methanesulfonate)及びメタンスルホン酸銀(Silver methanesulfonate)を混合し、50.0g/Lの錫イオン(Sn2+)、0.5g/Lの銀イオン(Ag+)、120g/Lのメタンスルホン酸イオンを含むめっき液を調製し、そこに有機添加剤として、下記化学式1で表される銀着化剤2g/L、下記化学式2で表される錫担体20g/L、酸化防止剤として、カテコール1g/L、及び下記化学式3で表される結晶粒微細化剤10g/Lを添加して錫-銀めっき液を調製した。
【0111】
【0112】
ここで、A1はエチレンであり、R1及びR2はそれぞれピリジン(pyridyl)である。
【0113】
【0114】
ここで、A2はフェニル基であり、R3はヒドロキシ基であり、n1~n3はそれぞれ0であり、n4は12であり、前記合計は12である。
【0115】
【0116】
ここで、前記R4は、末端基にヒドロキシ基を含む2個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R5は、末端基にヒドロキシ基を含む2個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R6は、12個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、前記R7は、1個の炭素を有する線状構造のアルキルであり、Xは、塩素(Cl)である。
【0117】
[比較例1]
本比較例1では、結晶粒微細化剤を含まない錫-銀めっき液を調製した。
【0118】
具体的な調製方法としては、実施例1において結晶粒微細化剤を添加しないことを除いては、実施例1と同様の方法で行い、錫-銀めっき液を調製した。
【0119】
[実験例1]
本実験例1では、実施例1及び比較例1で調製された錫-銀めっき液を用いて錫-銀めっきを行い、めっき液のめっき時の性能について実験した。
【0120】
製造例1の下部バンプ金属構造が形成されたシリコンウエハを実施例1及び比較例1で調製した錫-銀めっき液にそれぞれ浸漬し、1~10ASDの電流密度範囲で電流を印加し、錫-銀めっきを行った。
【0121】
比較例1及び実施例1の錫-銀めっき液で形成した錫-銀はんだバンプの表面走査電子顕微鏡(SEM)像を
図2に示す。
【0122】
比較例1及び実施例1の錫-銀めっき液で形成した錫-銀はんだバンプをリフロー工程にかけ、形成されたはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡(SEM)像を
図3に示した。また、表面粗さ及び銀含有量を以下の表1に示す。
【0123】
【0124】
図2、
図3及び表1を参照すると、実施例1の場合、比較例1と比較してパターン表面の粗さやはんだ付け性が改善されたことを確認することができた。
[実施例2]
【0125】
本実施例2では、様々な銀錯化剤を用いて錫-銀めっき液を調製した。
【0126】
本実施例2では、実施例1から銀錯化剤のみを異ならせて調製を行った。そのとき、前記銀錯化剤は、後述のように、化学式1のA1、R1、及び、R2のみを異ならせたものである。
【0127】
前記A1、R1、及びR2は、下記表2のとおりである。
【0128】
【0129】
【0130】
本実施例3では、様々な錫担体を用いて錫-銀めっき液を調製した。
【0131】
本実施例3では、実施例1にから錫担体のみを異ならせて調製を行った。そのとき、前記錫担体は、後述のように、化学式2のA2、R3、及び、n1~n4のみを異ならせたものである。
【0132】
前記A2、R3、及びn1~n4は下記表3のとおりである。
【0133】
【0134】
【0135】
本実施例4では、様々な結晶粒微細化剤を用いて錫-銀めっき液を調製した。
【0136】
本実施例4では、実施例1から結晶粒微細化剤のみを異ならせて調製を行った。そのとき、前記結晶粒微細化剤は、後述のように、化学式3のR4、R5、R6、R7及びXのみを異ならせたものであり、R4、R5、R6、R7及びXは、下記表4のとおりである。
【0137】
【0138】
【0139】
[実験例2]
本実験例2では、実施例2~4によって調製した様々な錫-銀めっき液を用いて、そのめっきをする実験を行った。
【0140】
本実験例2の具体的な実験方法は、実験例1で実験した方法と同様の方法で行い、用いられる錫-銀めっき液のみを実施例2~4において異ならせて行った。
【0141】
製造例1の下部バンプ金属構造が形成されたシリコンウエハを実施例2~4で調製した錫-銀めっき液にそれぞれ浸漬し、1~10ASDの電流密度範囲で電流を印加し、錫-銀めっきを行った。
【0142】
実施例2~4の錫-銀めっき液で形成した錫-銀はんだバンプをリフロー工程にかけ、形成されたはんだ付け結果物の走査電子顕微鏡(SEM)像をそれぞれ図示した。また、表面粗さ及び銀含有量を以下の表5に示す。
【0143】
【0144】
前記実験を行った結果、様々な銀着化剤、錫担体、結晶粒微細化剤の制御によりパターン表面粗さやはんだ付け性に優れていることが分かった。
【0145】
[実験例3]
本実験例3では、前記錫-銀めっき液中、錫イオン及び銀イオンの重量比を異ならせ、その重量比による効果を確認する実験を行った。
【0146】
その具体的な錫イオンと銀イオンとの重量比条件による銀含有量、溶液状態は、下記表6に示す。
【0147】
重量比が99.9:0.1より高いと、銀イオンが少なすぎてめっき膜中に取り込まれる量がわずかであり、銀含有量が0に収束した。また、重量比が75:25より低いと、過剰な銀イオンにより錫イオンと反応して析出物を発生させる。
【0148】
【0149】
[実験例4]
本実験例4では、銀イオンに対する銀(Ag)錯化剤のモル比を異ならせ、モル比の変化による効果を確認する実験を行った。
【0150】
銀イオンと銀錯化剤とのモル比を異ならせて、そのモル比による銀含有量及び溶液状態を下記表7に示す。
【0151】
重量比が1:1より低いと、銀イオンが十分な錯化物を形成することができず、析出物を発生させる。
【0152】
一方、重量比が1:1より高いと、銀イオンが十分に錯化するため、溶液が安定した状態であり、均一な銀含有量を保持することができる。
【0153】
【0154】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形できる。よって、前述した実施形態はあくまで例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、単一のものが説明されている各構成要素が分散した形態で実施されてもよく、同様に分散したものが説明されている各構成要素も結合した形態で実施されてもよい。
【0155】
本発明の範囲は特許請求の範囲に示されており、特許請求の範囲の意味及び範囲、さらにその均等概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本発明に含まれる。