(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】車両用動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16H 47/04 20060101AFI20240919BHJP
F16H 61/4043 20100101ALI20240919BHJP
【FI】
F16H47/04
F16H61/4043
(21)【出願番号】P 2023541766
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2022012643
(87)【国際公開番号】W WO2023175914
(87)【国際公開日】2023-09-21
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中垣 信
(72)【発明者】
【氏名】鯉沼 琢麻
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-200676(JP,A)
【文献】特開2005-090573(JP,A)
【文献】特開2009-079704(JP,A)
【文献】特開2008-039013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 47/04
F16H 61/4043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された原動機によって回転する入力軸と、
前記車両の走行装置に回転を出力する出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記入力軸側の回転を変速して前記出力軸側に伝達する無段変速機構とを備え、
前記無段変速機構は、
前記入力軸側に設けられた第1油圧ポンプモータと、
前記第1油圧ポンプモータと一対の主管路である第1主管路および第2主管路を介して接続された第2油圧ポンプモータと、
前記第1主管路から前記第2主管路への作動油の流れを、前記第1主管路の圧力が第1設定圧力以下の場合に遮断状態とし、前記第1設定圧力を超えた場合に連通状態とする第1リリーフ弁と、
前記第2主管路から前記第1主管路への作動油の流れを、前記第2主管路の圧力が第2設定圧力以下の場合に遮断状態とし、前記第2設定圧力を超えた場合に連通状態とする第2リリーフ弁とを備え、
前記第2リリーフ弁は、コントローラにより前記第2設定圧力の変更が可能な可変リリーフ弁であって、
前記コントローラは、前記第
2リリーフ弁の
設定圧力を前記第1設定圧力
未満である前記第2設定圧力
に設定することにより、前記第1油圧ポンプモータから前記第2油圧ポンプモータへ伝達される動力と前記第2油圧ポンプモータから前記第1油圧ポンプモータへ伝達される動力とを互いに異なる大きさとし
、
前記コントローラは、
前記車両を加速する操作部材の操作量が加速と減速とが切換わる第1操作量以下に低下した場合に、前記第2リリーフ弁のリリーフ開始圧を前記第2設定圧力から前記第2設定圧力よりも高い第3設定圧力に変化させることにより、前記第2油圧ポンプモータから前記第1油圧ポンプモータへの動力伝達能力を上昇させることを特徴とする車両用動力伝達装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の車両用動力伝達装置において、
前記第2設定圧力は、前記第2リリーフ弁で変更可能な最少のリリーフ圧であることを特徴とする車両用動力伝達装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の車両用動力伝達装置において、
前記操作部材の前記第1操作量は、前記車両の速度が高くなる程大きくなる関係に設定されていることを特徴とする車両用動力伝達装置。
【請求項4】
車両に搭載された原動機によって回転する入力軸と、
前記車両の走行装置に回転を出力する出力軸と、
前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記入力軸側の回転を変速して前記出力軸側に伝達する無段変速機構とを備え、
前記無段変速機構は、
前記入力軸側に設けられた第1油圧ポンプモータと、
前記第1油圧ポンプモータと一対の主管路である第1主管路および第2主管路を介して接続された第2油圧ポンプモータと、
前記第2主管路から前記第1主管路への作動油の流れを連通状態にするとともに前記第1主管路から前記第2主管路への作動油の流れを遮断する逆止弁
と、
前記第2主管路から前記第1主管路への作動油の流れを、前記第2主管路の圧力が第2設定圧力以下の場合に遮断状態とし、前記第2設定圧力を超えた場合に連通状態とするリリーフ弁とを備えることを特徴とする車両用動力伝達装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用動力伝達装置において、
前記第1リリーフ弁は、
前記コントローラにより前記第1設定圧力の変更が可能な可変リリーフ弁であって、
前記コントローラは、前記車両の状態量に応じて前記第1リリーフ弁の前記第1設定圧力を変更することにより、前記第1油圧ポンプモータから前記第2油圧ポンプモータへの動力伝達能力と前記第2油圧ポンプモータから前記第1油圧ポンプモータへの動力伝達能力との比率を変化させることを特徴とする車両用動力伝達装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用動力伝達装置において、
前記無段変速機構は、前記入力軸側に接続された遊星歯車機構をさらに備え、
前記第1油圧ポンプモータは、前記遊星歯車機構の出力側に設けられていることを特徴とする車両用動力伝達装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、ホイールローダ等の車両(作業車両)に搭載される車両用動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダ等の作業車両は、通常、緩衝用サスペンションシステムを備えておらず、走行時に車両前進方向の回転に伴う大きな揺れ(ピッチング)等が作用する。このため、例えば、ドージング時(排土時)に、一定車速で走行中のオペレータは、アクセルペダルの操作量を一定に保ちづらく、操作がしにくい。また、乗り心地が悪く、オペレータが疲労しやすくなる可能性がある。
【0003】
ここで、走行中の作業車両に作用するピッチングやバウンジングは、「作業車両に備えられたバケット、アームおよびリフトシリンダ等からなるフロント作業機」と「当該フロント作業機が支承する土砂等の積み荷」との合計質量が大きいほど大きくなる。このため、バケットに土砂等を満載して走行する場合等において、特に乗り心地が悪くなる傾向がある。このような問題を解決するために、例えば、特許文献1には、ライドコントロール装置と呼ばれる走行振動抑制装置を備えた作業車両が記載されている。
【0004】
このライドコントロール装置は、リフトシリンダに作動油を供給するリフトシリンダ油圧回路に制御弁を介して液圧アキュームレータを接続することにより構成されている。ライドコントロール装置は、制御弁を開くことにより、リフトシリンダと液圧アキュームレータとの間の作動油の流通を可能とし、作業車両の上下動に伴うリフトシリンダのボトム圧変動を液圧アキュームレータに吸収させて、車体全体のショックを軽減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術によれば、ライドコントロール装置の振動抑制の効果は、アキュームレータの容量に制約されてしまう。このため、振動が大きいと、アキュームレータの容量が足りず、十分に振動を抑制することができない可能性がある。また、ライドコントロール装置が機能している状態で、フロント作業機を操作すると、フロント作業機にアキュームレータのダンパ効果が作用し、フロント作業機の動作が不安定になる可能性もある。さらに、アキュームレータのダンパ効果によりフロント作業機を停止操作した場合にも、フロント作業機がわずかに動いてしまうことになるため、フロント作業機の位置決め精度が悪化、または、フロント作業機の操作性が低下する可能性がある。このため、アキュームレータを用いずに、走行中の振動を抑制できることが好ましい。
【0007】
本発明の目的は、アキュームレータを用いないで走行中の振動を抑制する効果を向上できる車両用動力伝達装置を提供することにある。
【0008】
本発明の一実施形態は、車両用動力伝達装置であって、車両に搭載された原動機によって回転する入力軸と、前記車両の走行装置に回転を出力する出力軸と、前記入力軸と前記出力軸との間に設けられ、前記入力軸側の回転を変速して前記出力軸側に伝達する無段変速機構とを備え、前記無段変速機構は、前記入力軸側に設けられた第1油圧ポンプモータと、前記第1油圧ポンプモータと一対の主管路である第1主管路および第2主管路を介して接続された第2油圧ポンプモータと、前記第1主管路から前記第2主管路への作動油の流れを、前記第1主管路の圧力が第1設定圧力以下の場合に遮断状態とし、前記第1設定圧力を超えた場合に連通状態とする第1リリーフ弁と、前記第2主管路から前記第1主管路への作動油の流れを、前記第2主管路の圧力が第2設定圧力以下の場合に遮断状態とし、前記第2設定圧力を超えた場合に連通状態とする第2リリーフ弁とを備え、前記第2リリーフ弁は、コントローラにより前記第2設定圧力の変更が可能な可変リリーフ弁であって、前記コントローラは、前記第2リリーフ弁の設定圧力を前記第1設定圧力未満である前記第2設定圧力に設定することにより、前記第1油圧ポンプモータから前記第2油圧ポンプモータへ伝達される動力と前記第2油圧ポンプモータから前記第1油圧ポンプモータへ伝達される動力とを互いに異なる大きさとし、前記コントローラは、前記車両を加速する操作部材の操作量が加速と減速とが切換わる第1操作量以下に低下した場合に、前記第2リリーフ弁のリリーフ開始圧を前記第2設定圧力から前記第2設定圧力よりも高い第3設定圧力に変化させることにより、前記第2油圧ポンプモータから前記第1油圧ポンプモータへの動力伝達能力を上昇させる。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、アキュームレータを用いなくとも走行中の振動を抑制する効果を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態による車両用動力伝達装置が搭載されたホイールローダを示す左側面図である。
【
図2】
図1中の変速装置(車両用動力伝達装置)を示す一部破断の側面図である。
【
図3】ホイールローダの動力伝達経路をコントローラと共に示す構成図である。
【
図4】車速と出力トルクの時間変化の一例を示す特性線図である。
【
図5】リリーフ開始圧力の時間変化の一例を示す特性線図である。
【
図6】アクセルペダル操作量の時間変化の一例を示す特性線図である。
【
図7】油圧ポンプモータの傾転量の時間変化の一例を示す特性線図である。
【
図8】
図4中の(VIII)部に相当する出力トルクの特性線図である。
【
図9】第1の変形例による動力伝達経路をコントローラと共に示す構成図である。
【
図10】第2の変形例による動力伝達経路をコントローラと共に示す構成図である。
【
図11】第3の変形例による動力伝達経路をコントローラと共に示す構成図である。
【
図12】第4の変形例による動力伝達経路をコントローラと共に示す構成図である。
【
図13】第5の変形例による動力伝達経路をコントローラと共に示す構成図である。
【
図14】第6の変形例による動力伝達経路をコントローラと共に示す構成図である。
【
図15】第7の変形例による動力伝達経路を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態による車両用動力伝達装置を、車両となるホイールローダに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1ないし
図8は、実施の形態を示している。
図1において、ホイールローダ1は、車両(作業車両)の代表例である。ホイールローダ1は、左,右の前車輪2が設けられた前部車体3と左,右の後車輪4が設けられた後部車体5とが左,右方向に屈曲可能に連結されたアーティキュレート式の作業車両として構成されている。即ち、前部車体3および後部車体5は、ホイールローダ1の車体を構成している。前部車体3と後部車体5との間には、センタヒンジ6、ステアリングシリンダ(図示せず)が設けられている。前部車体3と後部車体5は、ステアリングシリンダを伸長・縮小させることにより、センタヒンジ6を中心に左,右方向に屈曲する。これにより、ホイールローダ1は、走行時の操舵を行うことができる。
【0014】
ホイールローダ1の前部車体3には、荷役作業機またはフロント作業機とも呼ばれる作業装置7が俯仰の動作を可能に設けられている。作業装置7は、ローダバケット7Aを備えている。一方、ホイールローダ1の後部車体5には、内部が運転室となったキャブ8、エンジン9、油圧ポンプ10、トランスミッションである変速装置21等が設けられている。キャブ8内には、車両を加速する操作部材としてのアクセルペダル8A、車両の前進、後退、変速段を切換える前後進切換レバー8B(以下、FNRレバー8Bという)が設けられている。また、図示は省略するが、キャブ8内には、運転席、ステアリングホイール、ブレーキペダル、駐車ブレーキ用スイッチ等が設けられている。
【0015】
アクセルペダル8Aには、アクセルペダル8Aの操作量θを検出する操作量検出器8Cが設けられている。FNRレバー8Bは、オペレータによって操作されることにより、ホイールローダ1の前進、後退を切換えると共に、変速段を切換える。オペレータは、ホイールローダ1を前進させるときにFNRレバー8Bを前進位置(F)に切換える。オペレータは、ホイールローダ1を後退させるときにFNRレバー8Bを後退位置(R)に切換える。オペレータは、ホイールローダ1を走行させずに停止を継続するとき、または走行中に停止させたいときにFNRレバー8Bをニュートラル位置(N)に切換える。オペレータは、変速段を切換えるときにFNRレバー8Bをレバー軸周りに回転させる。
【0016】
エンジン9は、ホイールローダ1の動力源(原動機)である。動力源(原動機)は、内燃機関となるエンジン9単体で構成できる他、例えば、エンジンと電動モータ、または、電動モータ単体により構成してもよい。油圧ポンプ10は、エンジン9と接続されている。油圧ポンプ10は、作業装置7を動作させるための油圧源である。
【0017】
前部車体3の下側には、左,右方向に延びるフロントアクスル12が設けられている。フロントアクスル12の両端側には、左,右の前車輪2が取付けられている。一方、後部車体5の下側には、左,右方向に延びるリヤアクスル13が設けられている。リヤアクスル13の両端側には、左,右の後車輪4が取付けられている。
【0018】
フロントアクスル12は、前プロペラシャフト14を介して変速装置21に接続されている。リヤアクスル13は、後プロペラシャフト15を介して変速装置21に接続されている。変速装置21は、エンジン9の回転を変速(減速)して前プロペラシャフト14および後プロペラシャフト15に伝達する。即ち、エンジン9からの動力は、エンジン9に結合された変速装置21に伝達される。
【0019】
エンジン9からの動力は、変速装置21で回転数と回転方向を調整された後、変速装置21の前,後の出力軸23A,23Bから前プロペラシャフト14および後プロペラシャフト15を介してフロントアクスル12およびリヤアクスル13に伝達される。即ち、
図2に示すように、変速装置21は、エンジン9と接続される入力軸22と、前プロペラシャフト14に接続される前側の出力軸23Aと、後プロペラシャフト15に接続される後側の出力軸23Bとを備えている。変速装置21は、変速装置21内の動力伝達経路を切換えることにより、入力軸22と出力軸23A,23Bとの間で変速および正転・逆転の切換えを行う。
【0020】
次に、実施の形態による変速装置21について、
図1および
図2に加え、
図3ないし
図8も参照しつつ説明する。なお、
図3では、図面が複雑になることを避けるために、変速装置21の出力軸23を、フロントアクスル12およびリヤアクスル13との両方に動力を伝達する共通の出力軸23(=出力軸23A,23B)として簡略的に表している。即ち、
図3では、例えばセンタディファレンシャル機構等を介して前側の出力軸23Aと後側の出力軸23Bとに動力を分割する構成に関しては省略している。
【0021】
車両用動力伝達装置としての変速装置21は、入力軸22と、出力軸23と、無段変速機構としての遊星式無段変速機構31とを備えている。また、変速装置21は、アイドラ要素としてのアイドラギヤ29と、有段変速機構(多段式変速機構)としての変速機構25と、直結機構27と、伝達軸28とを備えている。さらに、変速装置21は、コントローラ43と、第1圧力検出器46と、第2圧力検出器47と、第3圧力検出器48と、第1速度検出器44と、第2速度検出器45とを備えている。
【0022】
入力軸22は、車両(ホイールローダ1)に搭載された原動機(エンジン9)によって回転する。即ち、入力軸22には、エンジン9(の駆動軸)が接続されている。これに対して、出力軸23は、車両の走行装置(フロントアクスル12および/またはリヤアクスル13)に回転を出力する。即ち、エンジン9の動力は、トランスミッションである変速装置21を介して出力軸23から出力される。出力軸23は、ホイールローダ1のフロントアクスル12および/またはリヤアクスル13を介して前車輪2および/または後車輪4に回転を出力する。
【0023】
入力軸22から変速装置21に入力された動力は、遊星式無段変速機構31または直結機構27を経由して、アイドラギヤ29に伝達される。アイドラギヤ29に伝達された動力は変速機構25を通じて出力軸23から出力される。遊星式無段変速機構31は、入力軸22と出力軸23との間に設けられている。遊星式無段変速機構31は、入力軸22側の回転を変速して出力軸23側に伝達する。遊星式無段変速機構31の入力側は、直結機構27の入力側ギヤ27Aが設けられた入力軸22に接続されている。遊星式無段変速機構31の出力側は、アイドラギヤ29が設けられた伝達軸28に接続されている。
【0024】
変速機構25は、入力軸22と出力軸23との間に遊星式無段変速機構31および直結機構27と直列に設けられている。変速機構25も、入力軸22側の回転を変速して出力軸23側に伝達する。この場合、変速機構25は、アイドラギヤ29と噛合した中間ギヤ26と出力軸23との間に設けられている。即ち、変速機構25の入力側は、中間ギヤ26に接続されている。変速機構25の出力側は、出力軸23に接続されている。変速機構25は、例えば、複数段の有段変速機構として構成されている。
【0025】
変速機構25は、例えば、複数の伝達軸と、複数の歯車と、複数のクラッチとを含んで構成されている。この場合、変速機構25は、例えば、ホイールローダ1を前進させるときに接続される前進クラッチ25Aと、ホイールローダ1を後退させるときに接続される後退クラッチ25Bとを備えた変速機構(DCT:Dual Clutch Transmission)として構成することができる。なお、変速機構25は省略してもよい。即ち、中間ギヤ26と出力軸23とを変速機構25を介することなく直接的に接続してもよい。
【0026】
直結機構27は、入力軸22側の回転を出力軸23側に遊星式無段変速機構31をバイパスして伝達する。即ち、直結機構27は、入力軸22の回転を、遊星式無段変速機構31を介さずに変速機構25に直接的に伝達する。直結機構27は、入力軸22に接続された入力側ギヤ27Aと、この入力側ギヤ27Aと噛合する出力側ギヤ27Bと、伝達軸28と同軸に配置された回転軸27B1と、直結クラッチ30とを備えている。出力側ギヤ27Bの回転は、直結クラッチ30を介して伝達軸28に伝達される。実施の形態では、入力側ギヤ27Aは、入力軸22に設けられている。出力側ギヤ27Bは、伝達軸28と同軸に配置された回転軸27B1に設けられている。直結クラッチ30は、回転軸27B1と伝達軸28との間に設けられている。
【0027】
伝達軸28は、直結機構27の出力軸であって、かつ、遊星式無段変速機構31の出力軸でもある。この場合、伝達軸28は、直結機構27の回転軸27B1と同軸に、かつ、遊星式無段変速機構31の第2回転軸39と同軸に配置されている。伝達軸28は、直結機構27の回転軸27B1と直結クラッチ30を介して接続される。直結クラッチ30が接続されているときは、直結機構27の出力側ギヤ27Bの回転が伝達軸28に伝達される。伝達軸28は、遊星式無段変速機構31の第2油圧ポンプモータ38と第2クラッチ40を介して接続される。第2クラッチ40が接続されているときは、遊星式無段変速機構31の第2油圧ポンプモータ38の回転が伝達軸28に伝達される。また、伝達軸28は、遊星式無段変速機構31の遊星出力ギヤ32Bと、アイドラギヤ29を介して接続されている。
【0028】
アイドラ要素としてのアイドラギヤ29は、伝達軸28に設けられている。アイドラギヤ29は、遊星式無段変速機構31の出力側および直結機構27の出力側を機械的に結合する。アイドラギヤ29は、遊星式無段変速機構31を構成する遊星歯車機構32の遊星出力ギヤ32Bと噛合している。アイドラギヤ29は、中間ギヤ26と噛合している。アイドラギヤ29の回転は、中間ギヤ26を介して変速機構25に伝達される。即ち、変速装置21の入力軸22から入力された動力は、遊星式無段変速機構31または直結機構27を経由して、アイドラギヤ29に伝達される。アイドラギヤ29に伝達された動力は、変速機構25を通じて出力軸23から出力される。
【0029】
入力軸22とアイドラギヤ29との間に設けられた直結機構27内には、直結クラッチ30が設けられている。即ち、直結クラッチ30は、直結機構27内の出力側ギヤ27Bの回転軸27B1とアイドラギヤ29が設けられた伝達軸28との間に設けられている。直結クラッチ30は、直結機構27(回転軸27B1)とアイドラギヤ29(伝達軸28)との間で回転(トルク、回転力、動力)の伝達を行う「接続状態(締結状態)」と、回転の伝達が断たれる「遮断状態(解放状態)」とに切換えが可能となっている。直結クラッチ30が接続状態のときは、例えば、直結機構27の出力側ギヤ27B(回転軸27B1)の回転が伝達軸28を介してアイドラギヤ29に伝達される。直結クラッチ30が解放状態のときは、例えば、出力側ギヤ27B(回転軸27B1)の回転は伝達軸28に伝達されない。直結クラッチ30の接続・解放は、コントローラ43からの指令(指令信号C3)に基づいて制御される。
【0030】
次に、遊星式無段変速機構31について説明する。
【0031】
遊星式無段変速機構31は、遊星歯車機構32と、第1クラッチ33と、静油圧式無段変速機構34と、第2クラッチ40とを備えている。静油圧式無段変速機構34は、第1回転軸35と、第1油圧ポンプモータ36と、一対の主管路37A,37B(第1主管路37A,第2主管路37B)と、第2油圧ポンプモータ38と、第2回転軸39と、可変リリーフ弁51A,51B(第1リリーフ弁としての第1可変リリーフ弁51A,第2リリーフ弁としての第2可変リリーフ弁51B)と、接続管路42とを備えている。
【0032】
遊星歯車機構32は、入力軸22(エンジン9の駆動軸)側に接続されている。具体的には、遊星歯車機構32は、入力軸22と接続されている。遊星歯車機構32は、1または複数段の遊星歯車装置(図示せず)と、遊星出力軸32Aと、遊星出力ギヤ32Bとにより構成されている。遊星歯車装置は、例えば、サンギヤと、リングギヤと、これらサンギヤとリングギヤとに噛合するプラネタリギヤを支持するキャリアとを備えている。例えば、入力軸22は、サンギヤとリングギヤとキャリアとのうちのいずれかの部材に接続されている。遊星出力軸32Aは、サンギヤとリングギヤとキャリアとのうちの入力軸22が接続された部材以外の部材に接続されている。遊星出力ギヤ32Bは、サンギヤとリングギヤとキャリアとのうちの残りの部材に接続されている。遊星出力軸32Aは、第1クラッチ33を介して静油圧式無段変速機構34の第1回転軸35(第1油圧ポンプモータ36)と接続される。遊星出力軸32Aの回転は、第1クラッチ33を介して静油圧式無段変速機構34の第1回転軸35(第1油圧ポンプモータ36)に伝達される。遊星出力ギヤ32Bは、アイドラギヤ29に噛合している。遊星出力ギヤ32Bの回転は、アイドラギヤ29に伝達される。
【0033】
第1クラッチ33は、遊星歯車機構32の出力側に設けられている。即ち、第1クラッチ33は、遊星歯車機構32の遊星出力軸32Aと静油圧式無段変速機構34の第1回転軸35(第1油圧ポンプモータ36)との間に設けられている。第1クラッチ33は、遊星歯車機構32(遊星出力軸32A)と静油圧式無段変速機構34の第1油圧ポンプモータ36(第1回転軸35)との間で回転の伝達を行う「接続状態(締結状態)」と、回転の伝達が断たれる「遮断状態(解放状態)」とに切換えが可能となっている。第1クラッチ33が接続状態のときは、例えば、遊星歯車機構32の遊星出力軸32Aの回転が静油圧式無段変速機構34の第1回転軸35を介して第1油圧ポンプモータ36に伝達される。第1クラッチ33が解放状態のときは、例えば、遊星出力軸32Aの回転は第1回転軸35に伝達されない。第1クラッチ33の接続・解放は、コントローラ43からの指令(指令信号C1)に基づいて制御される。
【0034】
静油圧式無段変速機構34の第1回転軸35は、静油圧式無段変速機構34の入力軸に相当する。第1回転軸35は、第1油圧ポンプモータ36の回転軸に接続され、第1油圧ポンプモータ36の回転軸にも相当する。第1油圧ポンプモータ36は、第1クラッチ33を介して遊星歯車機構32の出力側、即ち、遊星歯車機構32の遊星出力軸32Aと接続される。
【0035】
第1油圧ポンプモータ36は、遊星歯車機構32の出力側、即ち、入力軸22側に設けられている。第1油圧ポンプモータ36は、第1回転軸35が回転駆動されることにより、一対の主管路37A,37B内に圧油を流通させる。第1油圧ポンプモータ36は、例えば、可変容量型で斜板式の油圧ポンプモータにより構成されている。第1油圧ポンプモータ36は、第1回転軸35から動力が入力されるときは油圧ポンプとして機能し、第1回転軸35に動力を出力しているときは油圧モータとして機能する油圧機器(油圧ポンプまたは油圧モータ)である。第1油圧ポンプモータ36は、ポンプ容量(モータ容量)を調整するためのレギュレータ36Aを有している。第1油圧ポンプモータ36のレギュレータ36Aは、コントローラ43からの指令(指令信号WP)に基づいて可変に制御される。一対の主管路37A,37Bは、第1油圧ポンプモータ36の一対の給排ポートと第2油圧ポンプモータ38の一対の給排ポートとを接続している。
【0036】
第2油圧ポンプモータ38は、第1油圧ポンプモータ36と一対の主管路37A,37Bである第1主管路37Aおよび第2主管路37Bを介して接続されている。第2油圧ポンプモータ38は、第1油圧ポンプモータ36から供給される圧油により回転する。第2油圧ポンプモータ38は、例えば、可変容量型で斜板式の油圧ポンプモータにより構成されている。第2油圧ポンプモータ38は、第2回転軸39に動力を出力しているときは油圧モータとして機能し、第2回転軸39から動力が入力されるときは油圧ポンプとして機能する油圧機器(油圧モータまたは油圧ポンプ)である。第2油圧ポンプモータ38は、モータ容量(ポンプ容量)を調整するためのレギュレータ38Aを有している。第2油圧ポンプモータ38のレギュレータ38Aは、コントローラ43からの指令(指令信号WM)に基づいて可変に制御される。静油圧式無段変速機構34の第2回転軸39は、静油圧式無段変速機構34の出力軸に対応する。第2回転軸39は、第2油圧ポンプモータ38の回転軸に接続されている。または、第2回転軸39は、第2油圧ポンプモータ38の回転軸に相当する。
【0037】
第2クラッチ40は、第2油圧ポンプモータ38とアイドラギヤ29との間に設けられている。これにより、第2油圧ポンプモータ38は、第2クラッチ40を介してアイドラギヤ29と接続される。第2クラッチ40は、静油圧式無段変速機構34の第2回転軸39とアイドラギヤ29が設けられた伝達軸28との間に設けられている。第2クラッチ40は、アイドラギヤ29(伝達軸28)と静油圧式無段変速機構34の第2油圧ポンプモータ38(第2回転軸39)との間で回転の伝達を行う「接続状態(締結状態)」と、回転の伝達が断たれる「遮断状態(解放状態)」とに切換えが可能となっている。第2クラッチ40が接続状態のときは、例えば、静油圧式無段変速機構34の第2回転軸39の回転(=第2油圧ポンプモータ38の回転)が伝達軸28を介してアイドラギヤ29に伝達される。第2クラッチ40が解放状態のときは、例えば、第2回転軸39の回転は伝達軸28に伝達されない。第2クラッチ40の接続・解放は、コントローラ43からの指令(指令信号C2)に基づいて制御される。
【0038】
実施の形態では、変速装置21の入力軸22から入力された動力は、遊星式無段変速機構31を経由し変速機構25に動力伝達するか、または、直結機構27を経由し変速機構25に動力伝達するかを、任意に選ぶことができる。これにより、遊星式無段変速機構31の動作が適している条件、例えば、高いトルクが要求される掘削時等の高負荷の条件では、遊星式無段変速機構31を利用することができる。一方、直結機構27による変速が適している場合、例えば、作業現場内の長距離を一定の速度で走行する低負荷の時には、直結機構27を経由して動力伝達することができる。
【0039】
遊星式無段変速機構31を経由して変速機構25に動力伝達する場合は、直結クラッチ30を解放し、第1クラッチ33および第2クラッチ40を接続する。この場合は、動力の流れとして、遊星歯車機構32および静油圧式無段変速機構34を介して変速機構25側に動力を分配する場合と、第1油圧ポンプモータ36の回転数を0にすることで静油圧式無段変速機構34に動力を伝達せずに変速機構25側に動力を伝達する場合がある。
【0040】
直結クラッチ30を解放し、第1クラッチ33および第2クラッチ40を接続し、静油圧式無段変速機構34に動力が伝達され、変速機構25側に動力伝達する状態を無段変速状態という。直結クラッチ30を解放し、第1クラッチ33および第2クラッチ40を接続し、静油圧式無段変速機構34に動力を伝達せずに、変速機構25側に動力伝達する状態を内部直結という。この内部直結時には、第1油圧ポンプモータ36の傾転(吐出容量)を所定以上に上昇させ、第2油圧ポンプモータ38の傾転を中立にすることで、静油圧式無段変速機構34内にブレーキ作用を働かせ、第1油圧ポンプモータ36の回転数を0にする。
【0041】
これにより、内部直結された状態でエンジン9からの動力を変速機構25に伝達させる。実際には、第1油圧ポンプモータ36および第2油圧ポンプモータ38は油漏れがあるため、第1油圧ポンプモータ36の回転数は0にはならないが、エンジン9からの動力の多くを変速機構25に分配できる。内部直結状態の場合、第2クラッチ40は接続していなくてもよい。一方、直結機構27を経由し変速機構25に動力伝達する場合は、直結クラッチ30を接続し、第1クラッチ33および第2クラッチ40を解放する。直結クラッチ30、第1クラッチ33および第2クラッチ40は、湿式多板クラッチまたはシンクロメッシュ機構クラッチを採用できる。
【0042】
実施の形態では、静油圧式無段変速機構34は、設定圧(リリーフ設定圧、リリーフ開始圧力)の変更が可能な可変リリーフ弁51A,51Bと、一方向の圧油の流通を許容し逆方向の圧油の流通を阻止する逆止弁52,53とを備えている。即ち、静油圧式無段変速機構34の第1主管路37Aと第2主管路37Bの間は、接続管路42によって接続されている。ここで、第1油圧ポンプモータ36と第2油圧ポンプモータ38は、これらの間で一対の主管路37A,37Bを介して作動油が流通することにより動力を伝達する。入力軸22側の回転を変速して出力軸23側に伝達するときに、第1主管路37Aの圧力は、第2主管路37Bよりも高くなる。また、出力軸23側の回転を変速して入力軸22側に伝達するときに、第2主管路37Bの圧力は、第1主管路37Aよりも高くなる。第1主管路37Aと第2主管路37Bの間を接続する接続管路42には、一対の逆止弁52,53が設けられている。
【0043】
一方の逆止弁52(以下、第1逆止弁52ともいう)は、第2主管路37B側から第1主管路37A側に向けて圧油が流通するのを許容し、逆向きに圧油が流通するのを阻止する。即ち、第1逆止弁52は、第2主管路37Bから第1主管路37Aへの作動油の流れを連通状態にするとともに、第1主管路37Aから第2主管路37Bへの作動油の流れを遮断する。他方の逆止弁53(以下、第2逆止弁53ともいう)は、第1主管路37A側から第2主管路37B側に向けて圧油が流通するのを許容し、逆向きに圧油が流通するのを阻止する。即ち、第2逆止弁53は、第1主管路37Aから第2主管路37Bへの作動油の流れを連通状態にするとともに、第2主管路37Bから第1主管路37Aへの作動油の流れを遮断する。
【0044】
接続管路42には、それぞれの逆止弁52,53をバイパスするバイパス管路54,55が接続されている。第1バイパス管路54は、接続管路42から分岐すると共に第1逆止弁52をバイパスして接続管路42に接続されている。第2バイパス管路55は、接続管路42から分岐すると共に第2逆止弁53をバイパスして接続管路42に接続されている。可変リリーフ弁51A,51Bは、バイパス管路54,55の途中に設けられている。
【0045】
即ち、第1可変リリーフ弁51Aは、第1バイパス管路54の途中に設けられている。第1可変リリーフ弁51Aは、第1主管路37Aから第2主管路37Bへの作動油の流れを、第1主管路37Aの圧力が所定の圧力(第1圧力、第4圧力)以下の場合に遮断状態とし、所定の圧力(第1圧力、第4圧力)を超えた場合に連通状態とする。第2可変リリーフ弁51Bは、第2バイパス管路55の途中に設けられている。第2可変リリーフ弁51Bは、第2主管路37Bから第1主管路37Aへの作動油の流れを、第2主管路37Bの圧力が所定の圧力(第1圧力、第2圧力、第3圧力)以下の場合に遮断状態とし、所定の圧力(第1圧力、第2圧力、第3圧力)を超えた場合に連通状態とする。可変リリーフ弁51A,51Bは、コントローラ43からの指令信号(指令信号WA,WB)に基づいて開弁圧(リリーフ圧)が変化する電動式のリリーフ弁(例えば、電磁リリーフ弁)により構成されている。即ち、可変リリーフ弁51A,51Bの設定圧の変更は、コントローラ43からの指令信号(指令信号WA,WB)に基づいて行われる。
【0046】
第1速度検出器44は、変速装置21の入力軸22に設けられている。第1速度検出器44は、入力軸22の回転速度および回転方向を検出する回転検出センサである。入力軸22の回転速度は、エンジン9の回転速度(以下、エンジン回転速度Vinという)に対応する。第1速度検出器44は、エンジン回転速度Vinに対応する検出信号をコントローラ43へ出力する。第2速度検出器45は、変速装置21の出力軸23に設けられている。第2速度検出器45は、出力軸23の回転速度(以下、出力回転速度Voutという)および回転方向を検出する回転検出センサである。出力回転速度Voutは、車速に対応している。第2速度検出器45は、出力回転速度Voutおよび回転方向に対応する検出信号をコントローラ43へ出力する。
【0047】
第1圧力検出器46は、第1主管路37Aに設けられている。第1圧力検出器46は、第1主管路37Aの液圧(圧力)を検出する圧力センサである。第1圧力検出器46は、第1主管路37Aの液圧PAに対応する検出信号をコントローラ43へ出力する。第2圧力検出器47は、第2主管路37Bに設けられている。第2圧力検出器47は、第2主管路37Bの液圧(圧力)を検出する圧力センサである。第2圧力検出器47は、第2主管路37Bの液圧PBに対応する検出信号をコントローラ43へ出力する。
【0048】
第3圧力検出器48は、直結クラッチ30に設けられている。第3圧力検出器48は、直結クラッチ30のクラッチ圧(圧力)を検出する圧力センサである。第3圧力検出器48は、直結クラッチ30のクラッチ圧P
Cに対応する検出信号をコントローラ43へ出力する。操作量検出器8C(
図1参照)は、アクセルペダル8Aに設けられている。操作量検出器8Cは、アクセルペダル8Aの操作量θを検出する操作量検出センサである。操作量検出器8Cは、アクセルペダル8Aの操作量θに対応する検出信号をコントローラ43へ出力する。
【0049】
次に、変速装置21の動力伝達経路の切換え制御、および、可変リリーフ弁51A,51Bの設定圧力の変更の制御を行うコントローラ43について説明する。
【0050】
コントローラ43の入力側は、第1速度検出器44と、第2速度検出器45と、第1圧力検出器46と、第2圧力検出器47と、第3圧力検出器48と、操作量検出器8Cに接続されている。一方、コントローラ43の出力側は、直結クラッチ30と、第1クラッチ33と、第2クラッチ40と、遊星式無段変速機構31の第1油圧ポンプモータ36のレギュレータ36Aと、遊星式無段変速機構31の第2油圧ポンプモータ38のレギュレータ38Aと、可変リリーフ弁51A,51Bに接続されている。
【0051】
コントローラ43は、例えば、演算回路(CPU)、メモリ等を備えたマイクロコンピュータを含んで構成されている。メモリには、変速装置21の動力伝達経路の切換え制御処理に用いる処理プログラム、可変リリーフ弁51A,51Bの設定圧力の変更の制御処理に用いる処理プログラム等が格納されている。即ち、コントローラ43は、ポンプ容量、モータ容量の調整と、直結クラッチ30、第1クラッチ33および第2クラッチ40の接続、解放と、可変リリーフ弁51A,51Bの設定圧力を制御する。
【0052】
コントローラ43は、第1速度検出器44からエンジン回転速度Vinが入力され、第2速度検出器45から出力回転速度Voutが入力され、第1圧力検出器46、第2圧力検出器47および第3圧力検出器48から液圧PA,PBおよびクラッチ圧PCが入力され、操作量検出器8Cから操作量θが入力される。コントローラ43は、これらの入力に基づいて、クラッチ30,33,40に対する指令(クラッチ指令)、可変リリーフ弁51A,51Bに対する指令(リリーフ圧指令)、第1油圧ポンプモータ36のレギュレータ36Aに対する指令(ポンプ指令、モータ指令)、第2油圧ポンプモータ38のレギュレータ38Aに対する指令(モータ指令、ポンプ指令)を演算する。
【0053】
コントローラ43は、演算結果に基づいて、可変リリーフ弁51A,51Bに対してリリーフ圧指令信号WA,WBを出力する。この場合、第1可変リリーフ弁51Aには信号WAを出力し、第2可変リリーフ弁51Bには信号WBを出力する。また、コントローラ43は、演算結果に基づいて、クラッチ30,33,40に対してON(接続)/OFF(解放)信号C1,C2,C3を出力する。この場合、第1クラッチ33には信号C1を出力し、第2クラッチ40には信号C2を出力し、直結クラッチ30には信号C3を出力する。
【0054】
さらに、コントローラ43は、演算結果に基づいて、第1油圧ポンプモータ36のレギュレータ36Aおよび第2油圧ポンプモータ38のレギュレータ38Aに対して斜板又は斜軸の傾転指令信号WP,WMを出力する。この場合、第1油圧ポンプモータ36のレギュレータ36Aには傾転指令信号WPを出力し、第2油圧ポンプモータ38のレギュレータ38Aには傾転指令信号WMを出力する。静油圧式無段変速機構34内の油圧ポンプモータ36,38は、可変容量型である。油圧ポンプモータ36,38は、斜板又は斜軸の傾転角が変更されることにより吐出容量が変更される。油圧ポンプモータ36,38は、片傾転でも両傾転でもよい。
【0055】
いずれにしても、コントローラ43は、入力部(受信部)、演算部、記憶部および出力部を有している。コントローラ43は、「第1クラッチ33の接続、解放」、「第1油圧ポンプモータ36のレギュレータ36Aの作動(傾転調整)」、「第2油圧ポンプモータ38のレギュレータ38Aの作動(傾転調整)」、「第2クラッチ40の接続、解放」、「直結クラッチ30の接続、解放」、および、「可変リリーフ弁51A,51Bの設定圧の変更」を行う。これらの制御は、コントローラ43の記憶部(例えば、不揮発性メモリ)に保存されたプログラムに基づいてコントローラ43のプロセッサ(演算部)が演算処理をすることにより実現される。
【0056】
ところで、前述の従来技術によれば、ライドコントロール装置の振動抑制の効果がアキュームレータの容量に制約されるため、作業車両の振動を十分に抑制することができない可能性がある。また、アキュームレータのダンパ効果によってフロント作業機の動作が不安定になり、フロント作業機の位置決め精度が悪化、または、フロント作業機の操作性が低下する可能性がある。これに対して、実施の形態では、アキュームレータを用いずに、走行中の振動を抑制する。この場合、実施の形態では、変速装置21によって走行中の振動の抑制を行う。以下、走行中の振動の抑制が可能な変速装置21の動作および作用について、
図3ないし
図8を参照しつつ説明する。
【0057】
コントローラ43は、車載のセンサによって検出されるホイールローダ1の状態に対応する情報に基づき、ホイールローダ1が走行中であるか否かを判定する。一例として、コントローラ43は、FNRレバー8BがF位置またはR位置であるか否かを判定する。FNRレバー8BがF位置またはR位置であるときは、コントローラ43は、ホイールローダ1が走行中であると判定する。なお、走行中であるか否かの判定に、その他の条件を用いてもよい。
【0058】
コントローラ43は、ホイールローダ1が停止中であると判定した場合は、変速装置21による振動抑制制御をオフ状態とする。これに対して、コントローラ43は、ホイールローダ1が走行中であると判定した場合は、変速装置21による振動抑制制御をオン状態とする。このように、変速装置21は、コントローラ43の制御により、ホイールローダ1の走行に応じて振動抑制制御オフ状態(以下、制振制御オフ状態ともいう)と振動抑制制御オン状態(以下、制振制御オン状態ともいう)との切換えが可能に構成されている。
【0059】
「制振制御オフ状態」では、可変リリーフ弁51A,51Bのリリーフ開始圧力は高い状態(例えば、第1設定圧力P1)となっている。即ち、「制振制御オフ状態」では、可変リリーフ弁51A,51Bのリリーフ開始圧力が高いため、バイパス管路54、55は連通状態を成さない。このため、第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達および、第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達が可能な状態を成す。なお、第1設定圧力P1は、例えば、可変リリーフ弁51A,51Bで変更可能な最大のリリーフ圧として設定することができる。
【0060】
無段変速状態で前進方向に走行する場合(即ち、FNRレバー8BをFに切換えたとき)、「制振制御オフ状態」から「制振制御オン状態」へと切換わる(
図4ないし
図7の時刻t0)。コントローラ43は、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力を低い状態(例えば、第2設定圧力P2)にする。このとき、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力は、第1設定圧力P1である。時刻t0からアクセルペダル8Aを操作し、走行を開始する。なお、第2設定圧力P2は、例えば、第2可変リリーフ弁51Bで変更可能な最小のリリーフ圧として設定することができる。
【0061】
オペレータは、目標車速になるまでアクセルペダル8Aを踏み込むことにより操作量(指令信号θ)を上昇させる。このとき、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力は、第1設定圧力P1のままである。これにより、第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38へ動力が伝達される。
図4および
図6に示すように、アクセルペダル8Aの操作量に対応して車速は上昇する。車速がオペレータの目標車速に到達すると(
図4ないし
図7の時刻t1)、アクセルペダル8Aの操作量を減少し、車速を維持するように、アクセルペダル8Aの操作量を一定に保つ。アクセルペダル8Aの操作量は、ホイールローダ1の車速が高くなるにつれて、高くなる。
【0062】
一定速度で走行中の時刻t1から時刻t2の区間において、「制振制御オフ状態」の場合を説明する。この場合は、
図8に破線で示すように、変速装置21の出力トルク(以下、「トランスミッションの出力トルク」ともいう)が変動する。即ち、無段変速状態の場合、車輪2,4から入力される「車速を減少させる方向に働く動力」は、アイドラギヤ29を経て、第2油圧ポンプモータ38に伝達される。このとき、第2油圧ポンプモータ38の回転軸(=第2回転軸39)の回転は、第2クラッチ40側から見て反時計回りであり、「車速を減少させる方向に働く動力」が第2油圧ポンプモータ38の回転軸(=第2回転軸39)に加わる。第2油圧ポンプモータ38から吐出された作動油(作動液)は、第2主管路37Bを通じて、第1油圧ポンプモータ36に流れる。動力は、第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ伝達され、遊星歯車機構32を経て、エンジン9に吸収される。これにより、意図しない方向(車速を減少させる方向)のトランスミッションの出力トルクが発生する(
図8でマイナスの出力トルクが発生する)。
【0063】
これに対して、「制振制御オン状態」の場合は、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力は、第1設定圧力P1より低い第2設定圧力P2に設定される。これにより、第2油圧ポンプモータ38から高圧の作動油が吐出されても、第2主管路37Bの圧力は第2設定圧力P2となる。このため、「制振制御オン状態」では、「制振制御オフ状態」よりも、「車速を減少させる方向に働く動力」がエンジン9に伝達される割合を低減することができる。この結果、ブレーキトルクを低減でき、意図しない方向(車速を減少させる方向)のトランスミッションの出力トルクを低減できる。即ち、
図8で実線または二点鎖線で示すように、破線と比較すると、意図しない方向(車速を減少させる方向)のトランスミッションの出力トルク(マイナス側の出力トルク)を低減できる(マイナス側の斜線部をなくすことができる)。
【0064】
また、時刻t1のときに、一定に保たれたアクセルペダル8Aの操作量から、コントローラ43は、車速を読み取り、その車速に必要なトランスミッションの出力トルクを演算処理する。トランスミッションの出力トルクは、第1油圧ポンプモータ36の傾転角、第2油圧ポンプモータ38の傾転角が一定の場合、第1主管路37Aと第2主管路37Bの差圧で決まる。コントローラ43は、トランスミッションの出力トルクが演算処理した結果になるように、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力を低下させ(例えば、第4設定圧力P4)、第1主管路37Aの値(圧力)を調整する。これにより、第1主管路37Aは、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力(第4設定圧力P4)に保持され、トランスミッションの出力トルクが必要以上に上昇しないようになる。
【0065】
車輪2,4から入力される「車速を増加させる方向に働く動力」は、アイドラギヤ29に伝達される。このとき、第2油圧ポンプモータ38の回転軸(=第2回転軸39)の回転は、第2クラッチ40側から見て反時計回りであり、「車速を増加させる方向に働く動力」が第2油圧ポンプモータ38の回転軸(=第2回転軸39)に加わる。即ち、第2油圧ポンプモータ38の回転軸(=第2回転軸39)は、アイドラギヤ29に引きずられて、第2油圧ポンプモータ38の回転軸(=第2回転軸39)に「車速を増加させる方向に働く動力」が、第2油圧ポンプモータ38の出力トルクを増加するように働く。しかし、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力を第4設定圧力P4にしているため、第1主管路37Aと第2主管路37Bの差圧は上昇しない。このため、トランスミッションの出力トルクは増加せず、意図する方向(車速を増加させる方向)のトランスミッションの出力トルクを制限できる。即ち、
図8で実線または二点鎖線で示すように、破線と比較すると、意図する方向(車速を増加させる方向)のトランスミッションの出力トルク(プラス側の出力トルク)を制限できる(プラス側の斜線部をなくすことができる)。
【0066】
ここで、第1油圧ポンプモータ36の傾転角または第2油圧ポンプモータ38の傾転角を制御することでも、トランスミッションの出力トルクを制御することは可能である。しかし、一般に、油圧ポンプモータ36,38の応答性よりも、可変リリーフ弁51A,51Bの応答性の方が優れている。このため、実施の形態では、可変リリーフ弁51A,51Bでの制御を優先している。
【0067】
ここで、トランスミッションの出力トルクは、その平均値が演算処理した出力トルクになっていればよい。トランスミッションの出力トルクの算出は、例えば、第1主管路37Aと第2主管路37Bにそれぞれ取り付けられた圧力計(第1圧力検出器46、第2圧力検出器47)の計測値を基に行うことができる。また、トランスミッションの出力トルクの算出は、ホイールローダ1の進行方向に直行する水平軸(例えば、ピッチ軸)を回転中心とするホイールローダ1の回転角度(ピッチ角度)、回転速度、回転加速度、または、回転加加速度の計測値を基に行ってもよい。換言すれば、ホイールローダ1の減速時における車体が前のめりになる姿勢、加速時における車体が後傾した姿勢に基づいてトランスミッションの出力トルクの算出を行ってもよい。また、トランスミッションの出力トルクの算出は、荷役装置である作業装置7を動かす油圧の圧力を基に行ってもよい。
【0068】
制振効果を最大にするには、第2設定圧力P2を最小リリーフ圧(例えば、0)にすればよい。この場合は、第2主管路37Bと第1主管路37Aとが連通状態になる。即ち、第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達は遮断される。このため、「車速を減少させる方向に働く動力」は、エンジン9に伝わらず、エンジンブレーキは発生しない。これにより、意図しない方向のトランスミッションの出力トルクを0にすることができる。この場合には、意図しない方向のトランスミッションの出力トルクが0になったことにより、第4設定圧力P4をより低い値に設定できる。これにより、意図する方向のトランスミッションの出力トルクの斜線部の割合を増やすことができる。
【0069】
いずれにしても、「制振制御オン状態」で走行した場合、
図8に示すように、トランスミッションの出力トルクの斜線部を削減することができ、出力トルクの変動を低減できる。これにより、出力トルクの振幅が小さくなり、走行中の振動を抑制できる。
【0070】
また、
図8に示すように、コントローラ43は、トランスミッションの出力トルクが「制振制御オフ状態」と「制振制御オン状態(制振効果最大)」の間の任意の値をとるように、可変リリーフ弁51A,51Bのリリーフ開始圧力を設定できる。「制振制御オフ状態」から「制振制御オン状態(制振効果最大)」に切換えた場合、ホイールローダ1にショックが生じる可能性がある。そこで、上記のように任意の値の状態も設けることで、このようなショックを抑制できる。これにより、乗り心地を向上できる。
【0071】
次に、ホイールローダ1を減速させて停止する場合、即ち、
図4ないし
図7の時刻t2以降について説明する。オペレータは、時刻t2で、アクセルペダル8Aの操作量を減少させる。アクセルペダル8Aの操作量が第1操作量(例えば、0)以下に低下してから一定時間(例えば、0.1ないし1秒)経過した場合において、コントローラ43は、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力を第2設定圧力P2から第2設定圧力P2より高い第3設定圧力P3へと徐々に上昇させる(P2<P3)。これにより、第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ動力が徐々に伝達される。この動力は、第1油圧ポンプモータ36から遊星歯車機構32を経て、エンジン9に吸収される(エンジンブレーキ)。
【0072】
これにより、エンジンブレーキがかかり、車両を減速させることができる。このように、オペレータが意図した場合には、エンジンブレーキを動作させることができる。なお、第1操作量は、例えば、ホイールローダ1の加速と減速とが切換わる操作量として設定することができる。第1操作量は、例えば車両の速度が高くなる程大きくなる関係に設定することができる。一方、第3設定圧力P3は、例えば、所望のエンジンブレーキが得られるリリーフ圧として設定することができる。この場合、第3設定圧力P3は、例えば、第2設定圧力P2よりも高く、第1設定圧力P1よりも低い圧力として設定することができる(P2<P3<P1)。
【0073】
また、第2油圧ポンプモータ38の傾転角を大きくし、第2主管路37Bの圧力を第3設定圧力P3以上にすることで、第2可変リリーフ弁51Bを動作させる。即ち、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力を上昇させる(例えば、第3設定圧力P3とする)と共に、第2油圧ポンプモータ38の傾転角を第1油圧ポンプモータ36の傾転角より大きくするように制御する。これにより、第2主管路37Bの圧力を高圧にする。そして、第2主管路37Bの圧力を、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力(例えば、第3設定圧力P3)より高圧にすることで、第2可変リリーフ弁51Bが応答し、第2主管路37Bは、リリーフ開始圧力を高く保ちながら第2主管路37Bの作動油を逃がす。これにより、エネルギー損失(圧力損失)を生じさせ、車速を減速させる。この一連の作用をCVTブレーキと呼ぶ。
【0074】
このように、第2可変リリーフ弁51Bを意図的に動作させることで、損失を発生させ、車速を減速させることができる(CVTブレーキ)。時刻t2以降は、第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ作動油が流れるため、第1油圧ポンプモータ36の傾転角を小さくし、第2油圧ポンプモータ38の傾転角を大きくすることで、第2主管路37Bの圧力を上昇させる。これにより、エンジンブレーキだけでなくCVTブレーキもかかり、車両の減速をより大きくすることができる。エンジンブレーキとCVTブレーキを活用させることで、サービスブレーキの負荷を低減できる。
図4では、時刻t3の時点でサービスブレーキを利用して、車速を0km/hにして停止している。
【0075】
「制振制御オン状態」になると、トランスミッションの出力トルク変動が静油圧式無段変速機構34内で吸収される。それにより、走行中に路面や車両振動等に基づいて作業車両であるホイールローダ1に外力が付与されても、出力トルクの変動を低減し、走行中の振動を抑制できる。静油圧式無段変速機構34内で吸収されることにより、遊星歯車機構32に動力が伝達されないので、歯車損失を低減できる。また、アキュームレータのように容量に制限されることなく、大きな振動が生じた場合にも、トルク変動を低減できる。よって、走行中の乗り心地を向上できる。また、作業装置7ではなく車両本体の振動を抑制しているため、走行中に作業装置7を操作した場合でも、作業装置7の動作が不安定になることを抑制できる。
【0076】
オペレータがアクセルペダル8Aの操作量を低減した場合には、「制振制御オフ状態」にすることにより、エンジンブレーキをかけて減速できる。この場合、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力を徐々に上昇させることで、ブレーキトルクが急激に上昇することを抑制し、オペレータへの負荷が少ない減速ができる。これにより、この面からも、走行中の乗り心地を向上できる。また、エンジンブレーキとCVTブレーキを併用することで、サービスブレーキの負荷を低減できる。
【0077】
変速装置21の動力の流れが内部直結状態の場合でも、無段変速状態と同様の制御をする。内部直結状態の場合の制御について、無段変速状態との相違を中心に説明する。内部直結状態は、第1油圧ポンプモータ36の傾転(吐出容量)を所定以上に上昇させ、第2油圧ポンプモータ38の傾転を中立にすることで、静油圧式無段変速機構34内にブレーキ作用を働かせ、第1油圧ポンプモータ36の回転数を0にする。以下に説明する内部直結状態は、第2クラッチ40を解放状態としている。
【0078】
一定速度で走行中の時刻t1から時刻t2の区間において、車輪2,4から入力される「車速を減少させる方向に働く動力」は、アイドラギヤ29、遊星歯車機構32を経て、第1油圧ポンプモータ36に伝達される。このときは、遊星歯車機構32の出力軸である遊星出力軸32Aが反時計回りに回転し、第1油圧ポンプモータ36から吐出された作動油は、第2主管路37B、接続管路42、第2可変リリーフ弁51Bを経て、第1主管路37Aに流れる。即ち、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力が低く(例えば、第2設定圧力P2)、第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達は遮断されている。これにより、車輪2,4から入力される「車速を減少させる方向に働く動力」は、静油圧式無段変速機構34内で一部または全部吸収される。この結果、「車速を減少させる方向に働く動力」がエンジン9に伝わることを抑制でき、エンジンブレーキの発生を低減できる。このような制御を行うときに、一時的に第1油圧ポンプモータ36の回転数は0ではなくなり、意図しない方向のトランスミッションの出力トルクを低減することができる(マイナス側の斜線部をなくすことができる)。
【0079】
また、車輪2,4から入力される「車速を増加させる方向に働く動力」も、アイドラギヤ29、遊星歯車機構32を経て、第1油圧ポンプモータ36に伝達される。このとき、遊星歯車機構32の出力軸である遊星出力軸32Aが時計回りに回転し、第1油圧ポンプモータ36から吐出された作動油は、第1主管路37Aを経由して第2油圧ポンプモータ38に流れる。コントローラ43は、トランスミッションの出力トルクが演算処理した結果になるように、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力を低下させ(第4設定圧力P4)、第1主管路37Aの値(圧力)を調整する。第1油圧ポンプモータ36には、エンジン9から出力された動力と車輪2,4から入力される「車速を増加させる方向に働く動力」が入力されるが、第1主管路37Aは、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力(第4設定圧力P4)以上になることはなく、トランスミッションの出力トルクが必要以上に増加しない。これにより、意図する方向のトランスミッションの出力トルクを制限できる(プラス側の斜線部をなくすことができる)。
【0080】
このように、実施の形態では、第1可変リリーフ弁51Aの第1圧力(第1設定圧力P1)は、第2可変リリーフ弁51Bの第2圧力(第2設定圧力P2)に対して高く(P1>P2)設定している。これにより、実施の形態では、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力」とを異ならせている。この場合、実施の形態によれば、第2可変リリーフ弁51Bは、コントローラ43により設定圧力の変更が可能な可変リリーフ弁としている。そして、コントローラ43は、車両の走行中に、第2可変リリーフ弁51Bの設定圧を第1圧力(第1設定圧力P1)未満である第2圧力(第2設定圧力P2)に設定することにより、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力」とで互いに動力伝達能力を異ならせている。言い換えると、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38へ伝達される動力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ伝達される動力」とを互いに異なる大きさにしている。
【0081】
このため、第2主管路37Bの圧力が第2圧力(第2設定圧力P2)を超えると、第2可変リリーフ弁51Bがリリーフ状態(連通状態)となることにより、第2主管路37Bから第1主管路37Aへ作動油が流れる。これにより、第1油圧ポンプモータ36と第2油圧ポンプモータ38との間で第2主管路37Bを通じた動力の伝達を低減することができ、遊星式無段変速機構31(より具体的には、静油圧式無段変速機構34)内でトルクの変動(トランスミッションの出力トルクの変動)を吸収することができる。
【0082】
このため、走行中の路面の凹凸を発生要因とする車両振動等に基づいてホイールローダ1に外力が付与されても、これらに伴うトランスミッションの出力トルクの変動を低減することができる。この結果、走行中の振動を抑制することができ、走行中の乗り心地を向上できる。また、遊星式無段変速機構31(より具体的には、静油圧式無段変速機構34)内でトルク変動を吸収するため、アキュームレータのように容量が制限されない。このため、大きな振動が生じた場合にも、トルク変動を低減できる。また、遊星式無段変速機構31(より具体的には、静油圧式無段変速機構34)内で振動を抑制するため、走行中に作業装置7を操作した場合でも、作業装置7の動作が不安定になることを抑制できる。
【0083】
実施の形態では、第2圧力(第2設定圧力P2)は、第2可変リリーフ弁51Bで変更可能な最少のリリーフ圧としている。このため、第1油圧ポンプモータ36と第2油圧ポンプモータ38との間で第2主管路37Bを通じた動力伝達能力を最も低減できる。即ち、第2主管路37Bから第1主管路37Aへ作動油が流れることに基づくトルク変動の吸収(低減)の効果を最大にできる。
【0084】
実施の形態では、コントローラ43は、車両を加速する操作部材であるアクセルペダル8Aの操作量θが加速と減速とが切換わる第1操作量以下に低下したときに、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力を第2圧力(第2設定圧力P2)から第2圧力よりも高い第3圧力(第3設定圧力P3)に変化させることにより、第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力を上昇させる。このため、オペレータがアクセルペダル8Aの操作量を低減した場合には、エンジンブレーキをかけ減速できる。
【0085】
しかも、第2可変リリーフ弁51Bのリリーフ開始圧力を第3圧力(第3設定圧力P3)に徐々に上昇させることで、ブレーキトルクが急激に上昇することを抑制できる。これにより、オペレータへの負荷が少ない減速をすることができ、走行中の乗り心地を向上できる。また、必要に応じて、第2油圧ポンプモータ38の傾転角を大きくすることにより、第2主管路37Bの圧力を高くして、第2可変リリーフ弁51Bで積極的にリリーフさせることにより、エンジンブレーキとCVTブレーキを併用することができる。これにより、サービスブレーキの負荷を低減できる。
【0086】
また、アクセルペダル8Aの操作量θの閾値である第1操作量は、車両の速度が高くなる程大きくなる関係に設定することができる。この場合には、アクセルペダル8Aのみ(一つの操作部材)で、牽引力と車速を制御することができる。即ち、アクセルペダル8Aのみで加速および減速を行うことができる。これにより、操作性を向上できる。
【0087】
実施の形態では、第1可変リリーフ弁51Aは、コントローラ43により設定圧力の変更が可能な可変リリーフ弁である。そして、コントローラ43は、車両の走行中に、車両の状態量に応じて第1可変リリーフ弁51Aの設定圧力を変更することにより、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力」との比率を変化させる。この場合、コントローラ43は、例えば、アクセルペダル8Aの操作量が一定のときに、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力を第1圧力(第1設定圧力P1)から第1圧力および第3圧力(第3設定圧力P3)より低く第2圧力(第2設定圧力P2)よりも高い第4圧力(第4設定圧力P4)に変化させる(P1,P3>P4>P2)。これにより、トランスミッションの出力トルクが必要以上に上昇することを抑制できる。
【0088】
ここで、コントローラ43は、一定に保たれたアクセルペダル8Aの操作量θから、車速を読み取り、その車速に必要なトランスミッションの出力トルクを演算処理すると共に、この出力トルクが演算処理した結果になるように第4圧力(第4設定圧力P4)を演算する。この場合、コントローラ43は、車両の走行に供するための回転力と、第1油圧ポンプモータ36の理論吐出容積と、第2油圧ポンプモータ38の理論吐出容積を基に、第4圧力(第4設定圧力P4)を演算することができる。また、コントローラ43は、車両の進行方向に直行する軸を回転中心とする車両の回転角度、回転速度、回転加速度、回転加加速度の計測値、および/または、第1主管路37Aに取り付けられた圧力計測装置(第1圧力検出器46)の計測値を基に、第4圧力(第4設定圧力P4)を演算することができる。また、コントローラ43は、作業装置7を動かす油圧の圧力を基に、第4圧力(第4設定圧力P4)を演算することができる。いずれの場合も、コントローラ43は、第1可変リリーフ弁51Aのリリーフ開始圧力を車両の状態量に応じた第4圧力(第4設定圧力P4)になるように信号を送ることで、「車両の走行中に第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力」との比率を変化させる。これにより、トランスミッションの出力トルクが必要以上に上昇することを抑制できる。
【0089】
なお、実施の形態では、第1リリーフ弁である第1可変リリーフ弁51Aと第2リリーフ弁である第2可変リリーフ弁51Bとを、それぞれコントローラ43により設定圧力の変更が可能な電動式のリリーフ弁とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限られず、例えば、設定圧力が固定の設定圧固定リリーフ弁を用いてもよい。即ち、
図9は、第1の変形例を示している。第1の変形例では、第1リリーフ弁を設定圧力が第1圧力(例えば、第1設定圧力P1)に固定された第1固定リリーフ弁61Aとし、第2リリーフ弁を設定圧力が第2圧力(例えば、第2設定圧力P2)に固定された第2固定リリーフ弁61Bとしている。この場合、第1固定リリーフ弁61Aの第1圧力は、第2固定リリーフ弁61Bの第2圧力に対して高く設定することにより、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力」とを異ならせている。言い換えると、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38へ伝達される動力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ伝達される動力」とを互いに異なる大きさにしている。これにより、第1油圧ポンプモータ36と第2油圧ポンプモータ38との間で第2主管路37Bを通じた動力の伝達を低減(吸収)することができ、走行中の振動を抑制することができる。
【0090】
また、例えば、
図10に示す第2の変形例のように、第1リリーフ弁を設定圧力が第1圧力(例えば、第1設定圧力P1)に固定された第1固定リリーフ弁61Aとし、第2リリーフ弁をコントローラ43により設定圧力の変更が可能な第2可変リリーフ弁51Bとしてもよい。この場合、コントローラ43は、車両の走行中に、第2可変リリーフ弁51Bの設定圧を第2圧力(第2設定圧力P2)に設定することにより、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力」とで互いに動力伝達能力を異ならせている。言い換えると、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38へ伝達される動力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ伝達される動力」とを互いに異なる大きさにしている。
【0091】
また、例えば、
図11に示す第3の変形例のように、第1リリーフ弁を省略してもよい。この第3の変形例では、静油圧式無段変速機構34は、設定圧力が第2圧力(例えば、第2設定圧力P2)に固定された第2固定リリーフ弁61Bと、一対の逆止弁52,53とを備えている。即ち、第3の変形例では、第1リリーフ弁を省略し、第2主管路37Bから第1主管路37Aへの作動油の流れを連通状態にするとともに、第1主管路37Aから第2主管路37Bへの作動油の流れを遮断する第1逆止弁52を備える。この場合は、第1主管路37Aから第2主管路37Bへの作動油の流れが遮断状態のままとなる(換言すれば、リリーフ開始圧力が無限大の第1リリーフ弁が設けられた構成に相当する)のに対して、第2固定リリーフ弁61Bが第2圧力(例えば、第2設定圧力P2)に設定される。これにより、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力」とで互いに動力伝達能力を異ならせている。言い換えると、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38へ伝達される動力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ伝達される動力」とを互いに異なる大きさにしている。
【0092】
また、例えば、
図12に示す第4の変形例のように、
図11に示す第3の変形例の第2固定リリーフ弁61Bを第2可変リリーフ弁51Bに変更した構成としてもよい。この場合、コントローラ43は、車両の走行中に、第2可変リリーフ弁51Bの設定圧を第2圧力(第2設定圧力P2)に設定することにより、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36への動力伝達能力」とを互いに動力伝達能力を異ならせている。言い換えると、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38へ伝達される動力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ伝達される動力」とを互いに異なる大きさにしている。
【0093】
また、例えば、
図13に示す第5の変形例のように、第1リリーフ弁を第1可変リリーフ弁51Aとし、第2リリーフ弁を第2固定リリーフ弁61Bとしてもよい。この場合、コントローラ43は、車両の走行中に、(車両の状態量に応じて)第1可変リリーフ弁51Aの設定圧力を変更することにより、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38への動力伝達能力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36の動力伝達能力」とを異ならせる(動力伝達能力の比率を変化させる)。言い換えると、「第1油圧ポンプモータ36から第2油圧ポンプモータ38へ伝達される動力」と「第2油圧ポンプモータ38から第1油圧ポンプモータ36へ伝達される動力」とを互いに異なる大きさにしている。
【0094】
また、実施の形態および第1ないし第5の変形例では、第2油圧ポンプモータ38が第2クラッチ40を介してアイドラギヤ29に接続される構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限られず、例えば、
図14に示す第6の変形例のように、第2油圧ポンプモータ38が第2クラッチ40を介して「直結機構27の入力側ギヤ27Aと噛合する伝達ギヤ71」に接続される構成としてもよい。
【0095】
また、実施の形態では、第1クラッチ33と第2クラッチ40との間に、「第1油圧ポンプモータ36と第2油圧ポンプモータ38とを一対の主管路37A,37Bで接続することにより構成された静油圧式無段変速機構34」を設けた構成を例に挙げて説明した。しかし、これに限られず、例えば、
図15に示す第7の変形例のように、第1クラッチ33と第2クラッチ40との間に電動無段変速機構81を設ける構成としてもよい。即ち、無段変速機構のバリエータは、油圧ポンプモータでもよいし、電動モータジェネレータでもよい。
【0096】
図15に示す第7の変形例では、電動無段変速機構81は、入力軸22側に設けられた第1電動モータジェネレータ82と、第1電動モータジェネレータ82と第1電線83を介して接続されるコントローラ84と、コントローラ84と第2電線85を介して接続される第2電動モータジェネレータ86とを備えている。第1電線83は、第1電動モータジェネレータ82とコントローラ84との間で電力を伝達する。第2電線85は、第2電動モータジェネレータ86とコントローラ84との間で電力を伝達する。コントローラ84は、ホイールローダ1の走行中に、「第1電動モータジェネレータ82から第2電動モータジェネレータ86へ伝達される電力」と「第2電動モータジェネレータ86から第1電動モータジェネレータ82へ伝達される電力」とを互いに異なった大きさに制御する。
【0097】
コントローラ84は、例えば、蓄電池(電力貯蔵源)を含んで構成することができる。コントローラ84は、例えば、蓄電池で受電、放電を行うことにより、「第1電動モータジェネレータ82から第2電動モータジェネレータ86へ伝達される電力」と「第2電動モータジェネレータ86から第1電動モータジェネレータ82へ伝達される電力」とを互いに異なった大きさに制御する。この場合、コントローラ84は、ホイールローダ1の走行中に、例えば、「第1電動モータジェネレータ82から第2電動モータジェネレータ86へ伝達される電力」は、「第2電動モータジェネレータ86から第1電動モータジェネレータ82へ伝達される電力」に対して高く設定する。このような第7変形例は、第1電動モータジェネレータ82と第2電動モータジェネレータ86との間でトルクの変動に基づく電力を吸収することにより、走行中の振動を抑制することができる。
【0098】
また、上記構成は、本発明の範囲内で適宜変更、削除または追加可能である。例えば、実施の形態では、変速装置21は、有段変速機構(多段式変速機構)としての変速機構25と直結機構27とを備える構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、直結機構27および/または変速機構25を削除(省略)してもよい。
【0099】
また、実施の形態では、変速装置21は、遊星歯車機構32を備える構成とした場合を例に挙げて説明した。即ち、実施の形態では、無段変速機構として遊星式無段変速機構31を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、遊星歯車機構32を削除(省略)してもよい。換言すれば、無段変速機構は、遊星歯車機構32と静油圧式無段変速機構34(または電動無段変速機構81)とを備えた構成としてもよいし、遊星歯車機構32を省略し静油圧式無段変速機構34(または電動無段変速機構81)により構成してもよい。
【0100】
実施の形態では、車両用動力伝達装置としての変速装置21を、車両(作業車両)としてのホイールローダ1に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、ホイール式ショベル等の建設車両、リフトトラック等の運搬車両、トラクタ等の農業車両といった各種の車両の動力伝達装置として広く適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 ホイールローダ(車両)
8A アクセルペダル(操作部材)
9 エンジン(原動機)
12 フロントアクスル(走行装置)
13 リヤアクスル(走行装置)
21 変速装置(車両用動力伝達装置)
22 入力軸
23 出力軸
31 遊星式無段変速機構(無段変速機構)
36 第1油圧ポンプモータ
37A,37B 主管路
38 第2油圧ポンプモータ
43 コントローラ
51A 第1可変リリーフ弁(第1リリーフ弁)
51B 第2可変リリーフ弁(第2リリーフ弁)
52 第1逆止弁(逆止弁)
61A 第1固定リリーフ弁(第1リリーフ弁)
61B 第2固定リリーフ弁(第2リリーフ弁)
82 第1電動モータジェネレータ
83 第1電線
84 コントローラ
85 第2電線
86 第2電動モータジェネレータ