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特許7557656プローブユニット、検査装置、検査システム、検査方法、及び半導体レーザ装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-18
(45)【発行日】2024-09-27
(54)【発明の名称】プローブユニット、検査装置、検査システム、検査方法、及び半導体レーザ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240919BHJP
   G01R 1/067 20060101ALI20240919BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20240919BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R31/26 F
G01R1/067 C
G01R1/073 A
G01R31/28 K
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2024501419
(86)(22)【出願日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 JP2023005373
(87)【国際公開番号】W WO2023157900
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-05-23
(31)【優先権主張番号】63/311,547
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】田村 佳和
(72)【発明者】
【氏名】山下 幸典
(72)【発明者】
【氏名】駿河 忍
(72)【発明者】
【氏名】林 茂生
【審査官】田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0225277(US,A1)
【文献】特開2015-190942(JP,A)
【文献】特開2019-179875(JP,A)
【文献】特開2011-069829(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0138154(KR,A)
【文献】特開2016-130714(JP,A)
【文献】特開昭63-184076(JP,A)
【文献】特開平07-083797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC G01R 31/26-31/27、
31/28-31/3193、
1/06-1/073、
H01L 21/64-21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材と
前記プローブ固定部材に固定される第一弾性部材及び第二弾性部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記第一プローブは、前記第一弾性部材を介して前記プローブ固定部材に固定され、
前記第二プローブは、前記第二弾性部材を介して前記プローブ固定部材に固定され、
前記第一弾性部材及び前記第二弾性部材は、上下方向の成分を含む方向において伸縮自在であり、
上面視における、前記第一プローブの上端の位置と下端との位置と間の距離、及び、前記第二プローブの上端の位置と下端との位置との間の距離の少なくとも一方は、0より大きく、
上面視における、前記第一プローブの上端と、前記第二プローブの上端との間の距離は、前記第一プローブの下端と前記第二プローブの下端との間の距離より大きい
プローブユニット。
【請求項2】
前記第一弾性部材及び前記第二弾性部材の少なくとも一方は、上下方向に対して傾いた方向に伸縮する
請求項に記載のプローブユニット。
【請求項3】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブの少なくとも一方は、座屈現象を示し、
前記第一プローブは、上面視において、前記第一プローブの下端から第一偏位向きに偏位している第一偏位部を有し、
前記第二プローブは、上面視において、前記第二プローブの下端から第二偏位向きに偏位している第二偏位部を有し、
前記第一偏位部は、前記第一プローブの上端を含み、上下方向に対して傾いており、
前記第二偏位部は、前記第二プローブの上端を含み、上下方向に対して傾いており、
前記プローブユニットは、互いに電気的に並列接続され前記第一偏位向きに傾いている複数の前記第一プローブ、及び、互いに電気的に並列接続され前記第二偏位向きに傾いている複数の前記第二プローブの少なくとも一方を備える
プローブユニット。
【請求項4】
前記第一偏位向き及び前記第二偏位向きは、前記第一プローブ及び前記第二プローブの配列方向とは、非平行であり、
前記第一偏位向きは、前記第二偏位向きに対して逆向きである
請求項に記載のプローブユニット。
【請求項5】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記第二プローブのばね定数は、前記第一プローブのばね定数より小さい
プローブユニット。
【請求項6】
前記第一プローブ及び前記第二プローブの弾性係数が同一であり、
前記第二プローブは前記第一プローブより細い、又は、前記第二プローブの前記プローブ固定部材から前記プローブ貫通部材までの長さは、前記第一プローブの前記プローブ固定部材から前記プローブ貫通部材までの長さより長い
請求項に記載のプローブユニット。
【請求項7】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記第二プローブの下端の曲率半径は、前記第一プローブの下端の曲率半径より大きい
プローブユニット。
【請求項8】
複数の前記第一プローブ、及び複数の前記第二プローブの少なくとも一方を備える
請求項1又は4に記載のプローブユニット。
【請求項9】
前記プローブ貫通部材は、互いに上下方向に離間して配置される複数のガイド部材を有し、
前記複数のガイド部材の各々には、前記第一プローブが貫通する第一ガイド孔が形成されている
請求項1又は4に記載のプローブユニット。
【請求項10】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記プローブ貫通部材は、互いに上下方向に離間して配置される複数のガイド部材を有し、
前記複数のガイド部材の各々には、前記第一プローブが貫通する第一ガイド孔が形成されており、
前記複数のガイド部材のうち前記プローブ固定部材に最も近いガイド部材の前記第一ガイド孔と前記第一プローブとの隙間は、前記複数のガイド部材のうち前記プローブ固定部材から最も遠いガイド部材の前記第一ガイド孔と前記第一プローブとの隙間より大きい
プローブユニット。
【請求項11】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記プローブ貫通部材は、互いに上下方向に離間して配置される複数のガイド部材を有し、
前記複数のガイド部材の各々には、前記第一プローブが貫通する第一ガイド孔が形成されており、
前記複数のガイド部材のうち前記プローブ固定部材に最も近いガイド部材の厚さは、前記複数のガイド部材のうち前記プローブ固定部材から最も遠いガイド部材の厚さより大きい
プローブユニット。
【請求項12】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記プローブ貫通部材は、前記第一貫通孔を囲む第一内壁を有し、前記プローブ貫通部材の上面視において、前記第一内壁は、前記第一貫通孔に向かって滑らかに突出する1以上の第一凸部を有する
プローブユニット。
【請求項13】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記プローブ貫通部材の前記対向面は、上下方向に対して傾いている貫通部材傾斜面を有し、
前記貫通部材傾斜面は、前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔から遠ざかるにしたがって上昇する
プローブユニット。
【請求項14】
前記貫通部材傾斜面は、光反射抑制面である
請求項13に記載のプローブユニット。
【請求項15】
前記プローブ固定部材に固定される第一弾性部材及び第二弾性部材を備え、
前記第一プローブは、前記第一弾性部材を介して前記プローブ固定部材に固定され、
前記第二プローブは、前記第二弾性部材を介して前記プローブ固定部材に固定される
請求項5~14のいずれか1項に記載のプローブユニット。
【請求項16】
前記第一プローブ及び前記第二プローブの少なくとも一方は、座屈現象を示す
請求項5~14のいずれか1項に記載のプローブユニット。
【請求項17】
前記第一プローブは、上面視において、前記第一プローブの下端から第一偏位向きに偏位している第一偏位部を有し、
前記第二プローブは、上面視において、前記第二プローブの下端から第二偏位向きに偏位している第二偏位部を有し、
前記第一偏位部は、前記第一プローブの上端を含み、上下方向に対して傾いており、
前記第二偏位部は、前記第二プローブの上端を含み、上下方向に対して傾いている
請求項16に記載のプローブユニット。
【請求項18】
前記第一プローブは、上面視において、前記第一プローブの下端から第一偏位向きに偏位している第一偏位部を有し、
前記第二プローブは、上面視において、前記第二プローブの下端から第二偏位向きに偏位している第二偏位部を有し、
上面視における、前記第一プローブの上端の位置と下端との位置と間の距離、及び、前記第二プローブの上端の位置と下端との位置との間の距離の少なくとも一方は、0である
請求項5~14のいずれか1項に記載のプローブユニット。
【請求項19】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットと、
前記検査対象が載置される載置面を有するステージと、
前記プローブユニットと前記ステージとの間に配置される高さ調整部材とを備え、
前記プローブユニットは、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記高さ調整部材は、前記プローブユニットの前記対向面に配置され
前記高さ調整部材の、前記ステージと接するステージ接触面は、粗面である
検査装置。
【請求項20】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットと、
前記検査対象が配置されるステージと、
前記プローブユニットと前記ステージとの間に配置される高さ調整部材とを備え、
前記プローブユニットは、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記高さ調整部材は、前記ステージの載置面に配置され
前記高さ調整部材の、前記プローブユニットと接するユニット接触面、及び前記プローブユニットの、前記調整部材と対向する前記対向面の少なくとも一方は、粗面である
検査装置。
【請求項21】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットと、
前記検査対象が載置される載置面を有するステージと、
前記プローブユニットと前記ステージとの間に配置される高さ調整部材と
前記プローブユニットを支持するユニット支持部材と、
前記ユニット支持部材を移動するユニット移動部材と、
前記ユニット支持部材を、前記ユニット移動部材に対して上下方向にスライド自在に接
続するスライドレールと、
前記プローブユニットと前記ユニット移動部材とを接続する接続ばねとを備え、
前記プローブユニットは、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記高さ調整部材は、前記プローブユニットの前記対向面に配置される
検査装置。
【請求項22】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットと、
前記検査対象が載置される載置面を有するステージと、
前記プローブユニットと前記ステージとの間に配置される高さ調整部材とを備え、
前記プローブユニットは、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記高さ調整部材は、前記プローブユニットの前記対向面に配置され
前記載置面は、上下方向に対して傾いているステージ傾斜面を有し、
前記ステージ傾斜面は、前記載置面の端に近づくにしたがって降下する
検査装置。
【請求項23】
前記ステージ傾斜面は、光反射抑制面である
請求項22に記載の検査装置。
【請求項24】
検査装置と、
前記検査装置を搬送する搬送装置とを備え、
前記検査装置は、
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットと、
前記検査対象が載置される載置面を有するステージと、
前記プローブユニットと前記ステージとの間に配置される高さ調整部材とを備え、
前記プローブユニットは、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記高さ調整部材は、前記プローブユニットの前記対向面に配置され、
前記第一プローブ及び前記第二プローブを前記検査対象に接触させた状態で、前記検査装置を搬送する
検査システム。
【請求項25】
前記第一プローブは、上面視において、前記第一プローブの下端から第一偏位向きに偏位している第一偏位部を有し、
前記第二プローブは、上面視において、前記第二プローブの下端から第二偏位向きに偏位している第二偏位部を有し、
前記第一偏位向き及び前記第二偏位向きは、前記検査装置の搬送方向に平行である
請求項24に記載の検査システム。
【請求項26】
前記第一プローブは、上面視において、前記第一プローブの下端から第一偏位向きに偏位している第一偏位部を有し、
前記第二プローブは、上面視において、前記第二プローブの下端から第二偏位向きに偏位している第二偏位部を有し、
前記第一偏位向き及び前記第二偏位向きは、前記検査装置の搬送時における最大加速度方向に平行である
請求項24に記載の検査システム。
【請求項27】
前記検査装置は、前記検査装置の搬送方向に垂直な方向に、前記プローブユニットを移動する移動機構を備える
請求項24に記載の検査システム。
【請求項28】
前記第一プローブは、上面視において、前記第一プローブの下端から第一偏位向きに偏位している第一偏位部を有し、
前記第二プローブは、上面視において、前記第二プローブの下端から第二偏位向きに偏位している第二偏位部を有し、
前記第一偏位向き及び前記第二偏位向きは、前記プローブユニットの移動方向に平行である
請求項24に記載の検査システム。
【請求項29】
前記ステージは、前記検査対象を吸着する吸着孔を有し、
前記検査装置は、前記ステージに吸着された前記検査対象を囲む枠体を備え、
前記検査装置は、前記枠体を移動させることで前記検査対象の位置を調整する
請求項24に記載の検査システム。
【請求項30】
前記検査対象は、前記第一プローブの下端が接する第一電極と、前記第二プローブの下
端が接する第二電極とを有し、
前記第一電極は、前記第二電極より下方に位置し、
前記第一プローブの下端と前記第二プローブの下端との上下方向の位置の差は、前記第一電極と前記第二電極との上下方向の位置の差より大きい
請求項24に記載の検査システム。
【請求項31】
前記検査対象は、端面発光型の半導体レーザ素子を含み、
前記プローブ貫通部材の前記対向面は、上下方向に対して傾いている貫通部材傾斜面を有し、
前記貫通部材傾斜面は、前記第一貫通孔及び前記第二貫通孔から遠ざかるにしたがって上昇する
請求項24に記載の検査システム。
【請求項32】
前記貫通部材傾斜面は、光反射抑制面である
請求項31に記載の検査システム。
【請求項33】
前記検査対象は、端面発光型の半導体レーザ素子を含み、
前記載置面は、上下方向に対して傾いているステージ傾斜面を有し、
前記ステージ傾斜面は、前記載置面の端に近づくにしたがって降下する
請求項24に記載の検査システム。
【請求項34】
前記ステージ傾斜面は、光反射抑制面である
請求項33に記載の検査システム。
【請求項35】
検査対象に電流を供給することで、前記検査対象の特性を検査する検査方法であって、
前記検査対象は、
上面を有するサブマウントと、
素子上面を有し、前記サブマウントの前記上面に配置され、前記電流が供給される素子とを有し、
前記サブマウントは、前記上面に配置される第一電極を有し、
前記素子は、前記素子上面に配置される第二電極を有し、
前記検査方法は、
第一プローブを前記第一電極に接触させる第一接触工程と、
前記第一接触工程の後に、前記第一プローブを前記第一電極に接触させた状態で、第二プローブを前記第二電極に接触させる第二接触工程とを含み、
前記第一プローブ及び前記第二プローブは、前記検査対象に前記電流を供給する電流回路に含まれ、弾性復元力を有する
検査方法。
【請求項36】
検査対象に電流を供給することで、前記検査対象の特性を検査する検査方法であって、
前記検査対象は、
上面を有するサブマウントと、
素子上面を有し、前記サブマウントの前記上面に配置され、前記電流が供給される素子とを有し、
前記サブマウントは、前記上面に配置される第一電極を有し、
前記素子は、前記素子上面に配置される第二電極を有し、
前記検査方法は、
第一プローブを前記第一電極に接触させ、かつ、第二プローブを前記第二電極に接触させた状態で、前記検査対象に前記電流を供給する供給工程と、
前記供給工程の後に、前記第二プローブを前記第二電極から離す第二脱離工程と、
前記第二脱離工程の後に、前記第一プローブを前記第一電極から離す第一脱離工程とを含み、
前記第一プローブ及び前記第二プローブは、前記検査対象に前記電流を供給する電流回路に含まれ、弾性復元力を有する
検査方法。
【請求項37】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットと、前記検査対象が配置されるステージと、前記プローブユニットと前記ステージとの間に配置される高さ調整部材とを備える検査装置を用いて、前記検査対象に前記電流を供給することで、前記検査対象の特性を検査する検査方法であって、
前記プローブユニットは、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記高さ調整部材は、前記ステージの載置面に配置され、
前記検査対象は、
上面を有するサブマウントと、
素子上面を有し、前記サブマウントの前記上面に配置され、前記電流が供給される素子とを有し、
前記サブマウントは、前記上面に配置される第一電極を有し、
前記素子は、前記素子上面に配置される第二電極を有し、
前記検査方法は、
前記第一プローブを前記第一電極に接触させる第一接触工程と、
前記第一接触工程の後に、前記第一プローブを前記第一電極に接触させた状態で、前記第二プローブを前記第二電極に接触させる第二接触工程とを含む
検査方法。
【請求項38】
検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットと、前記検査対象が配置されるステージと、前記プローブユニットと前記ステージとの間に配置される高さ調整部材とを備える検査装置を用いて、前記検査対象に前記電流を供給することで、前記検査対象の特性を検査する検査方法であって、
前記プローブユニットは、
前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、
前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、
前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、
前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、前記プローブ固定部材に対して上下方向に移動自在であり、
前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置し、
前記高さ調整部材は、前記ステージの載置面に配置され、
前記検査対象は、
上面を有するサブマウントと、
素子上面を有し、前記サブマウントの前記上面に配置され、前記電流が供給される素子とを有し、
前記サブマウントは、前記上面に配置される第一電極を有し、
前記素子は、前記素子上面に配置される第二電極を有し、
前記検査方法は、
前記第一プローブを前記第一電極に接触させ、かつ、前記第二プローブを前記第二電極に接触させた状態で、前記検査対象に前記電流を供給する供給工程と、
前記供給工程の後に、前記第二プローブを前記第二電極から離す第二脱離工程と、
前記第二脱離工程の後に、前記第一プローブを前記第一電極から離す第一脱離工程とを含む
検査方法。
【請求項39】
半導体レーザ装置の製造方法であって、
前記半導体レーザ装置を組み立てる組立工程と、
請求項35又は36に記載の検査方法を用いて、前記検査対象として前記半導体レーザ装置を検査する検査工程とを含み、
前記素子は、半導体レーザ素子である
半導体レーザ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プローブユニット、検査装置、検査システム、検査方法、及び半導体レーザ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプローブを用いて、検査対象に電流を供給することで、検査対象の特性を検査する検査装置がある(例えば、特許文献1など参照)。特許文献1に記載された検査装置では、支持体によって支持されたプローブが弾性復元力を有するため、支持体を検査対象に向かって移動させた場合に、検査対象に接触したプローブが変形することで、プローブから検査対象に過大な力が加わることを抑制できる。したがって、検査時に検査対象が破損することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-4518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような検査装置においても、検査対象が損傷する場合があり得る。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するものであり、検査対象の検査時における損傷を低減できるプローブユニットなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るプローブユニットの一態様は、検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むプローブユニットであって、前記電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ及び第二プローブと、前記第一プローブ及び前記第二プローブが固定されるプローブ固定部材と、前記プローブ固定部材の下方に、前記プローブ固定部材から離間して配置され、前記第一プローブ及び前記第二プローブがそれぞれ貫通する第一貫通孔及び第二貫通孔が形成されているプローブ貫通部材とを備え、前記プローブ貫通部材は、前記第一プローブ及び前記第二プローブが貫通し、前記検査対象と対向する対向面を有し、前記第一プローブ及び前記第二プローブのうち、前記対向面から下方に突出する部分は、上下方向に移動自在であり、前記第一プローブ及び前記第二プローブが前記検査対象に接触していない状態において、前記第一プローブの下端は、前記第二プローブの下端より下方に位置する。
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る検査装置の一態様は、前記プローブユニットと、前記検査対象が載置される載置面を有するステージと、前記プローブユニットと前記ステージとの間に配置される高さ調整部材とを備え、前記高さ調整部材は、前記プローブユニットの前記対向面に配置される。
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る検査システムの一態様は、前記検査装置と、前記検査装置を搬送する搬送装置とを備え、前記第一プローブ及び前記第二プローブを前記検査対象に接触させた状態で、前記検査装置を搬送する。
【0009】
上記課題を解決するために、本開示に係る検査方法の一態様は、検査対象に電流を供給することで、前記検査対象の特性を検査する検査方法であって、前記検査対象は、上面を有するサブマウントと、素子上面を有し、前記サブマウントの前記上面に配置され、前記電流が供給される素子とを有し、前記サブマウントは、前記上面に配置される第一電極を有し、前記素子は、前記素子上面に配置される第二電極を有し、前記検査方法は、第一プローブを前記第一電極に接触させる第一接触工程と、前記第一接触工程の後に、前記第一プローブを前記第一電極に接触させた状態で、第二プローブを前記第二電極に接触させる第二接触工程とを含み、前記第一プローブ及び前記第二プローブは、前記検査対象に前記電流を供給する電流回路に含まれ、弾性復元力を有する。
【0010】
上記課題を解決するために、本開示に係る検査方法の他の一態様は、検査対象に電流を供給することで、前記検査対象の特性を検査する検査方法であって、前記検査対象は、上面を有するサブマウントと、素子上面を有し、前記サブマウントの前記上面に配置され、前記電流が供給される素子とを有し、前記サブマウントは、前記上面に配置される第一電極を有し、前記素子は、前記素子上面に配置される第二電極を有し、前記検査方法は、第一プローブを前記第一電極に接触させ、かつ、第二プローブを前記第二電極に接触させた状態で、前記検査対象に前記電流を供給する供給工程と、前記供給工程の後に、前記第二プローブを前記第二電極から離す第二脱離工程と、前記第二脱離工程の後に、前記第一プローブを前記第一電極から離す第一脱離工程とを含み、前記第一プローブ及び前記第二プローブは、前記検査対象に前記電流を供給する電流回路に含まれ、弾性復元力を有する。
【0011】
上記課題を解決するために、本開示に係る半導体レーザ装置の製造方法の一態様は、半導体レーザ装置の製造方法であって、前記半導体レーザ装置を組み立てる組立工程と、前記検査方法を用いて、前記検査対象として前記半導体レーザ装置を検査する検査工程とを含み、前記素子は、半導体レーザ素子である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、検査対象の損傷を低減できるプローブユニットなどを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る検査装置の全体構成を示す模式的な側面図である。
図2】実施の形態1に係るプローブユニットの構成を示す模式的な上面図である。
図3】実施の形態1に係るプローブユニットの構成を示す模式的な第一の断面図である。
図4】実施の形態1に係るプローブユニットの構成を示す模式的な第二の断面図である。
図5】実施の形態1に係る第一プローブの下端が上向きに力を受けていない状態における第一プローブの形状を示す模式的な断面図である。
図6】実施の形態1に係る第一プローブの下端が上向きに力を受けている状態における第一プローブの形状を示す模式的な断面図である。
図7】実施の形態1に係る検査方法の各工程を説明する模式的な側面図である。
図8】実施の形態1に係る検査方法の各工程を説明する模式的な側面図である。
図9】実施の形態1に係る検査方法における検査対象の第一の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
図10】実施の形態1に係る検査方法における検査対象の第一の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
図11】実施の形態1に係る検査方法における検査対象の第一の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
図12】実施の形態1に係る検査方法における検査対象の第一の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
図13】実施の形態1に係る検査方法における検査対象の第二の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
図14】実施の形態1に係る検査方法における検査対象の第二の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
図15】実施の形態1に係る検査方法における検査対象の第二の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
図16】実施の形態1に係る検査方法における検査対象の第二の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
図17】実施の形態1に係る検査方法の各工程を説明する模式的な側面図である。
図18】実施の形態1に係る検査方法の各工程を説明する模式的な側面図である。
図19】実施の形態1に係る検査方法の各工程を説明する模式的な側面図である。
図20】実施の形態1に係る検査方法の各工程を説明する模式的な側面図である。
図21】実施の形態1に係る検査方法の各工程を説明する模式的な側面図である。
図22】実施の形態1に係るプローブユニットの動作を説明するための模式的な断面図である。
図23】実施の形態1に係るプローブユニットの動作を説明するための模式的な断面図である。
図24】実施の形態1に係るプローブユニットの動作を説明するための模式的な断面図である。
図25】実施の形態1に係るプローブユニットの動作を説明するための模式的な断面図である。
図26】実施の形態1に係るプローブユニットの動作を説明するための模式的な断面図である。
図27】実施の形態1に係るプローブユニットの動作を説明するための模式的な断面図である。
図28】実施の形態1に係るプローブユニットの動作を説明するための模式的な断面図である。
図29】実施の形態1に係る第一プローブが座屈現象を示していない場合の第一プローブと第一貫通孔との位置関係を示す模式図である。
図30】実施の形態1に係る第一プローブが座屈現象を示している場合の第一プローブと第一貫通孔との位置関係を示す模式図である。
図31】実施の形態1に係る検査システムの全体構成を示す模式的な上面図である。
図32】実施の形態1の変形例に係る検査システムの全体構成を示す模式的な上面図である。
図33】実施の形態1に係る半導体レーザ装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図34】変形例1に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
図35】変形例2に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
図36】変形例3に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
図37】変形例4に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
図38】変形例5に係るプローブユニットのプローブ貫通部材の一部を示す模式的な上面図である。
図39】変形例6に係るプローブユニットのプローブ貫通部材の一部を示す模式的な上面図である。
図40】変形例7に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
図41】変形例8に係るプローブユニットの各プローブの構成を示す模式的な側面図である。
図42】変形例8に係るプローブユニットの各プローブの構成を示す模式的な側面図である。
図43】変形例8に係るプローブユニットの各プローブの構成を示す模式的な側面図である。
図44】変形例9に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
図45】変形例10に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
図46】実施の形態1に係る貫通部材傾斜面、及びステージ傾斜面の第一の実施例を示す模式的な斜視図である。
図47】実施の形態1に係る貫通部材傾斜面、及びステージ傾斜面の第一の実施例を示す模式的な断面図である。
図48】実施の形態1に係る貫通部材傾斜面、及びステージ傾斜面の第二の実施例を示す模式的な断面図である。
図49】実施の形態1に係る貫通部材傾斜面、及びステージ傾斜面の第三の実施例を示す模式的な斜視図である。
図50】実施の形態1に係る貫通部材傾斜面の第四の実施例を示す模式的な断面図である。
図51】実施の形態2に係るプローブユニットの構成を示す模式的な上面図である。
図52】実施の形態2に係るプローブユニットの構成を示す模式的な断面図である。
図53】実施の形態2に係るプローブユニットに配置された高さ調整部材をステージに接触させた状態を示す模式的な断面図である。
図54】実施の形態3に係るプローブユニットの構成を示す模式的な断面図である。
図55】実施の形態3に係るステージに配置された高さ調整部材のユニット接触面をプローブユニットに接触させた状態を示す模式的な断面図である。
図56】実施の形態4に係るプローブユニットの構成を示す模式的な断面図である。
図57】実施の形態4に係るプローブユニットに配置された高さ調整部材をステージに接触させた状態を示す模式的な断面図である。
図58】実施の形態5に係るプローブユニットの構成を示す模式的な上面図である。
図59】実施の形態5に係るプローブユニットの構成を示す模式的な第一の断面図である。
図60】実施の形態5に係るプローブユニットの構成を示す模式的な第二の断面図である。
図61】実施の形態6に係るプローブユニットの構成を示す模式的な上面図である。
図62】実施の形態6に係るプローブユニットの構成を示す模式的な第一の断面図である。
図63】実施の形態6に係るプローブユニットの構成を示す模式的な第二の断面図である。
図64】実施の形態7に係るプローブユニットの構成を示す模式的な上面図である。
図65】実施の形態7に係るプローブユニットの構成を示す模式的な断面図である。
図66】実施の形態7に係るプローブユニットに配置された高さ調整部材をステージに接触させた状態を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。
【0015】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0016】
また、本明細書において、等しいなどの要素間の関係性を示す用語、及び、平坦、平行、垂直、逆向きなどの要素の形状などを示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0017】
また、本明細書において、「上」及び「下」という用語は、必ずしも絶対的な空間認識における鉛直上方及び鉛直下方を指すものではなく、構成要素の相対的な位置関係を規定するための用語として用いられる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0018】
(実施の形態1)
実施の形態1に係るプローブユニット、検査装置、検査システム、検査方法、及び半導体レーザ装置の製造方法について説明する。
【0019】
[1-1.検査装置の全体構成]
まず、本実施の形態に係る検査装置の全体構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る検査装置10の全体構成を示す模式的な側面図である。なお、各図には、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は、右手系の直交座標系である。なお、図1には、検査装置10の検査対象の一例である半導体レーザ装置80も併せて示されている。また、各図において、Z軸方向の相対位置を説明するために、Z軸方向のある位置より、Z軸方向正側のことを示す用語として「上」を用い、Z軸方向負側のことを示す用語として「下」を用いる。
【0020】
検査装置10は、検査対象に電流を供給することで、検査対象の特性を検査する装置である。図1に示されるように、本実施の形態に係る検査装置10は、プローブユニット20と、ステージ70と、高さ調整部材50と、基台11と、支柱12と、スライドレール13、15、17と、上下移動部材14と、ユニット移動部材16と、接続ばね18と、ユニット支持部材19とを備える。
【0021】
基台11は、検査装置10の他の構成要素が配置される台である。基台11には、ステージ70及び支柱12が配置される。
【0022】
ステージ70は、検査対象が載置される載置面70aを有する部材である。本実施の形態では、載置面70aは、上下方向(図1のZ軸方向)に対して垂直な平坦面を含み、当該平坦面に検査対象が配置される。載置面70aの検査対象が配置される位置には、吸着孔72が形成されている。吸着孔72を用いて、載置面70aに配置される検査対象を吸着することで、検査対象を破損することなく、一時的に載置面70aに固定できる。
【0023】
プローブユニット20は、検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むユニットであり、第一プローブ30などを備える。プローブユニット20の詳細構成については後述する。プローブユニット20は、ユニット支持部材19に固定される。
【0024】
高さ調整部材50は、プローブユニット20とステージ70との間に配置される部材である。高さ調整部材50は、実質的に剛体として扱うことができる部材であり、プローブユニット20とステージ70との最小間隔を規定するスペーサとして機能する。本実施の形態では、高さ調整部材50は、プローブユニット20とステージ70との間の最小間隔に対応する厚さを有する板状部材であり、プローブユニット20に固定されている。高さ調整部材50は、プローブユニット20と接するユニット接触面50bと、ステージ70と接するステージ接触面50aとを有する。ステージ接触面50aは、粗面である。本実施の形態では、ステージ接触面50aが粗面である。これにより、ステージ接触面50aとステージ70との間の摩擦力を高めることができるため、高さ調整部材50をステージ70(の載置面70a)に押しつけることで、高さ調整部材50及びプローブユニット20の、ステージ70に対する位置ずれを抑制できる。粗面とは、例えば、算術平均粗さRaが0.2μm以上の面で定義されてもよい。ステージ接触面50a及びユニット接触面50bの算術平均粗さRaは、例えば、0.8μm以上、1.6μm以下であってもよい。本実施の形態では、高さ調整部材50は、SUS440Cで形成され、ステージ接触面50aの算術平均粗さRaは、1.2μmである。なお、高さ調整部材50を形成する材料は、実質的に剛体として扱うことができる材料であれば特に限定されない。なお、ステージ70の載置面70aの算術平均粗さRaは、例えば、0.1μm以上、2.0μm以下であってもよい。本実施の形態では、ステージ70を形成する材料は、WC-Co合金(炭化タングステンとコバルトとの焼結体)であり、載置面70aの算術平均粗さRaは、0.15μmである。このような構成により、ステージ接触面50aと載置面70aとの間において、高さ調整部材50のステージ70に対する位置ずれを抑制するために十分な摩擦力を得ることができる。
【0025】
支柱12は、基台11に立設される柱状部材である。支柱12は、上下方向に延在する。
【0026】
スライドレール13は、支柱12に固定されるレール状部材である。スライドレール13は、固定部とスライド部とを有し、固定部に対してスライド部が上下方向にスライド自在に支持されている。スライドレール13の固定部は、支柱12に固定され、スライドレール13のスライド部は、上下移動部材14に固定されている。
【0027】
上下移動部材14は、支柱12に対して上下方向に移動する部材である。本実施の形態では、上下移動部材14は、スライドレール13に固定され、上下方向に移動する。より詳しくは、上下移動部材14は、スライドレール13のスライド部に固定され、スライド部とともに、スライドレール13の固定部に対して上下方向に移動する。上下移動部材14は、上下方向に延在する部分と、水平方向に延在する部分とを有する。上下移動部材14の上下方向に延在する部分がスライドレール13のスライド部に固定される。上下移動部材14の水平方向に延在する部分は、図1に示される例では、Y軸方向に延在する。上下移動部材14の水平方向に延在する部分には、スライドレール15が固定される。
【0028】
スライドレール15は、上下移動部材14に固定されるレール状部材である。スライドレール15は、固定部とスライド部とを有し、固定部に対してスライド部が水平方向にスライド自在に支持されている。本実施の形態では、スライドレール15の固定部に対してスライド部がY軸方向にスライド自在に支持されている。スライドレール15の固定部は、上下移動部材14の水平方向に延在する部分に固定され、スライドレール15のスライド部は、ユニット移動部材16に固定されている。
【0029】
ユニット移動部材16は、ユニット支持部材19を移動する部材である。本実施の形態では、ユニット移動部材16は、上下移動部材14に対して水平方向に移動する。ユニット移動部材16は、スライドレール15に固定され、Y軸方向に移動する。より詳しくは、ユニット移動部材16は、スライドレール15のスライド部に固定され、スライド部とともに、スライドレール15の固定部に対してY軸方向に移動する。ユニット移動部材16は、水平方向に延在する部分と、上下方向に延在する部分とを有する。ユニット移動部材16の水平方向に延在する部分がスライドレール15のスライド部に固定される。ユニット移動部材16の上下方向に延在する部分には、スライドレール17及び接続ばね18の一端が固定される。
【0030】
スライドレール17は、ユニット移動部材16に固定されるレール状部材である。スライドレール17は、固定部とスライド部とを有し、固定部に対してスライド部が上下方向にスライド自在に支持されている。スライドレール17の固定部は、ユニット移動部材16の上下方向に延在する部分に固定され、スライドレール17のスライド部は、ユニット支持部材19に固定されている。つまり、スライドレール17は、ユニット支持部材19を、ユニット移動部材16に対して上下方向にスライド自在に接続する。
【0031】
接続ばね18は、ユニット移動部材16とユニット支持部材19とを接続する弾性部材である。本実施の形態では、接続ばね18の一端がユニット移動部材16に接続され、他端がユニット支持部材19に固定される。
【0032】
ユニット支持部材19は、プローブユニット20を支持する部材である。ユニット支持部材19は、スライドレール17に固定されている。本実施の形態では、ユニット支持部材19は、スライドレール17のスライド部に固定されている。また、ユニット支持部材19には、接続ばね18の他端が固定される。このように、ユニット支持部材19とユニット移動部材16とが接続ばね18及びスライドレール17を用いて接続されることで、ユニット支持部材19とユニット移動部材16との上下方向における相対位置が規制される。
【0033】
本実施の形態では、ユニット支持部材19は、高さ調整部材50が固定されたプローブユニット20を支持する。つまり、ユニット支持部材19は、プローブユニット20及び高さ調整部材50と一体化されている。
【0034】
ここで、高さ調整部材50をステージ70に接触させた状態で、ユニット移動部材16をさらに下方に移動させる向きに、ユニット移動部材16に力が加わる場合について説明する。この場合、ユニット支持部材19と一体化された高さ調整部材50がステージ70に接触しているため、ユニット支持部材19は、下方への移動ができない。ユニット移動部材16を下方に移動させる力が、接続ばね18の弾性力より大きくなると接続ばね18が延伸し、ユニット支持部材19に対して、ユニット移動部材16が下方に移動する。このように、ユニット支持部材19が、接続ばね18及びスライドレール17を介してユニット移動部材16に接続されていることで、ユニット支持部材19が支持するプローブユニット20及び高さ調整部材50に過大な力が加わることを抑制しながら、高さ調整部材50を接続ばね18のばね定数に対応する力で、ステージ70に押し当てることができる。言い換えると、上記構成により、プローブユニット20とステージ70との位置関係を維持しながら、ステージ70へのプローブユニット20を固定するための力を容易に維持することができる。
【0035】
本実施の形態では、基台11に接続されることで、基台11に対して実質的に振動しない支柱12の下端から、高さ調整部材50までの間の距離が長い。また、支柱12から高さ調整部材50までの間に複数の部材が介在する。このため、高さ調整部材50において振動が発生しやすい。特に、図1に示される例のように、支柱12から高さ調整部材50までに介在する複数の部材によって形成される形状が、直線状でなく、C字状であるため、さらに振動が発生しやすい。しかしながら、本実施の形態では、接続ばね18のばね定数を適切に設定し、高さ調整部材50をステージ70に押し付けることで振動を抑制できるため、高さ調整部材50のステージ70に対する相対位置がずれることを抑制できる。例えば、高さ調整部材50をステージ70に押し当てた状態で検査装置10全体を移動させる場合でも、高さ調整部材50のステージ70に対する相対位置がずれることを抑制できる。すなわちプローブユニット20が有する第一プローブ30などの、半導体レーザ装置80に対する相対位置がずれることを抑制でき、半導体レーザ装置80の検査時における損傷を低減できる。
【0036】
[1-2.プローブユニット及びステージの構成]
本実施の形態に係るプローブユニット20及びステージ70の構成について、図2図4を用いて説明する。図2図3、及び図4は、それぞれ、本実施の形態に係るプローブユニット20の構成を示す模式的な上面図、第一の断面図、及び第二の断面図である。図3には、図2に示されるIII-III線における断面が示されている。図3には、図2に示されるIV-IV線における断面が示されている。なお、図3及び図4には、高さ調整部材50、ステージ70、及び検査対象である半導体レーザ装置80も併せて示されている。また、図2及び図4には、半導体レーザ装置80の発光点82eからの光を測定する測定装置90も併せて示されている。測定装置90は、光を受光する受光部92を有し、例えば、受光した光のパワーなどを測定する。
【0037】
プローブユニット20は、図2及び図3に示されるように、第一プローブ30と、第二プローブ40と、ユニット本体21とを備える。
【0038】
ユニット本体21は、プローブユニット20の本体部であり、第一プローブ30及び第二プローブ40が固定される。ユニット本体21は、断面視で内部に空洞21vを有する。ユニット本体21は、プローブ固定部材24と、プローブ貫通部材23とを有する。
【0039】
プローブ固定部材24は、第一プローブ30及び第二プローブ40が固定される部材である。本実施の形態では、プローブ固定部材24は、第一固定用孔27a及び第二固定用孔27bが形成された板状部材である。第一プローブ30は、第一固定用孔27aに挿入された状態で、接着剤28によってプローブ固定部材24に固定される。第二プローブ40は、第二固定用孔27bに挿入された状態で、接着剤28によってプローブ固定部材24に固定される。
【0040】
プローブ貫通部材23は、プローブ固定部材24の下方に、プローブ固定部材24から離間して配置され、第一プローブ30及び第二プローブ40がそれぞれ貫通する第一貫通孔26a及び第二貫通孔26bが形成されている部材である。本実施の形態では、プローブ貫通部材23は、第一貫通孔26a及び第二貫通孔26bが形成されている板状部材である。プローブ固定部材24とプローブ貫通部材23との間に空洞21vがある。第一プローブ30及び第二プローブ40は、それぞれ、第一貫通孔26a及び第二貫通孔26bに挿入され、プローブ貫通部材23には固定されない。プローブ貫通部材23は、第一プローブ30及び第二プローブ40が貫通し、検査対象と対向する対向面21uを有する。本実施の形態では、対向面21uは、上下方向に対して垂直な平坦な平坦部を含む。第一プローブ30及び第二プローブ40は、対向面21uより下方に突出する部分を有する。第一プローブ30及び第二プローブ40のうち、対向面21uから下方に突出する部分は、上下方向に移動自在であり、かつ、半導体レーザ装置80において第二プローブ40が接触する面に対して垂直になるように配置されている。
【0041】
プローブ貫通部材23は、対向面21uは、上下方向に対して傾いている貫通部材傾斜面21sを有する。貫通部材傾斜面21sは、第一貫通孔26a及び第二貫通孔26bから遠ざかるにしたがって上昇する。貫通部材傾斜面21sは、対向面21uの検査対象の上方の位置と対向面21uの外縁との間に位置する。このような対向面21uが貫通部材傾斜面21sを有することで、測定装置90をプローブユニット20に接近させる場合に、測定装置90とプローブユニット20とが物理的に干渉することを低減できる。また、検査対象として、半導体レーザ素子などの発光素子を用いる場合に、対向面21uの光の伝搬経路と対向する部分に貫通部材傾斜面21sを配置することで、検査対象から発せられた光が対向面21uによって遮られることを低減できる。
【0042】
本実施の形態では、貫通部材傾斜面21sは、光反射抑制面である。光反射抑制面とは、検査対象から出射される光の波長において、正面反射率が3%以下のものを指す。これにより、貫通部材傾斜面21sにおいて、検査対象からの光が乱反射し、光測定におけるノイズとなることを抑制できる。光反射抑制面として、例えば、艶消し黒色塗装面、粗面処理面などを用いることができる。
【0043】
第一プローブ30及び第二プローブ40は、検査対象に電流を供給するための電流回路に含まれ、弾性復元力を有する導電部材である。本実施の形態では、第一プローブ30及び第二プローブ40の各々は、弾性復元力を有する金属ワイヤを含む。第一プローブ30は、上下方向に延在し、下端31と上端32とを有する。第二プローブ40は、上下方向に延在し、下端41と上端42とを有する。本実施の形態では、第一プローブの上端32及び第二プローブ40の上端42は、プローブ固定部材24より上方に位置する。また、第一プローブの下端31及び第二プローブ40の下端41は、プローブ貫通部材23より下方に位置する。第一プローブ30及び第二プローブ40が検査対象に接触していない状態において、第一プローブ30の下端31は、第二プローブ40の下端41より下方に位置する。言い換えると、図3に示されるように、対向面21uから第一プローブ30の下端31までの長さL1(つまり、第一プローブ30のうち対向面21uから突出する部分の長さ)は、対向面21uから第二プローブ40の下端41までの長さL2(つまり、第二プローブ40のうち対向面21uから突出する部分の長さ)より長い。
【0044】
第一プローブ30の下端31及び第二プローブ40の下端41は、検査対象に押し当てられる。本実施の形態に係る検査対象の半導体レーザ装置80は、図3に示されるように、上面(図示せず)を有するサブマウント84と、サブマウント84の上面に配置される素子82とを有する。素子82は、電流が供給される端面発光型の半導体レーザ素子である。図3には示されないが、サブマウント84は、サブマウント84の上面に配置される第一電極を有し、素子82は、素子上面を有し、素子上面に配置される第二電極を有する。半導体レーザ装置80を検査するために電流を供給する際には、第一プローブ30の下端31を、サブマウント84の第一電極に接触させ、第二プローブ40の下端41を素子82の第二電極に接触させる。サブマウント84の下面から第一電極までの高さd1(つまり、ステージ70の載置面70aから第一電極までの上下方向の寸法)、及び、サブマウント84の下面から素子82の第二電極までの高さd2(つまり、ステージ70の載置面70aから第二電極までの上下方向の寸法)と、上述した長さL1、及び長さL2とについて、以下の不等式が成り立つ。
【0045】
L1-L2>d2-d1 (1)
【0046】
また、高さd1、高さd2、長さL1、及び長さL2と、高さ調整部材50の高さH(上下方向の寸法)とについて、以下の不等式が成り立つ。
【0047】
L1+d1>H (2)
L2+d2>H (3)
【0048】
以上の関係の効果については後述する。
【0049】
第一プローブ30及び第二プローブ40の弾性復元力について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る第一プローブ30の下端31が上向きに力を受けていない状態における第一プローブ30の形状を示す模式的な断面図である。図6は、本実施の形態に係る第一プローブ30の下端31が上向きに力を受けている状態における第一プローブ30の形状を示す模式的な断面図である。
【0050】
図5に示されるように、本実施の形態に係る第一プローブ30は、下端31が上向きの力を受けていない状態では、上下方向に直線状に延在する。
【0051】
一方、下端31が上向きの力を受ける場合、第一プローブ30の下端31を含む部分が上向きに移動し、第一プローブ30の空洞21vに位置する部分が曲がる。このように、第一プローブ30は、座屈現象を示す。つまり、第一プローブ30の下端31及び第二プローブ40の下端41が上向きの力を受ける場合、第一プローブ30が、上下方向と交差する方向に変形する。
【0052】
また、下端31に加わる上向きの力が解除されると、図5に示されるように、第一プローブ30は元の形状に戻る。このように、第一プローブ30は、弾性復元力を有する。ここで、第一プローブ30の弾性復元力をF1で表し、第一プローブ30のばね定数をk1で表し、第一プローブ30の下端31の変位量をLx1で表すと、以下の式が成り立つ。
【0053】
F1=k1・Lx1 (4)
【0054】
本実施の形態では、第二プローブ40も、第一プローブ30と同様に座屈現象を示す。また、第二プローブ40の弾性復元力をF2で表し、第二プローブ40のばね定数をk2で表し、第二プローブ40の下端41の変位量をLx2で表すと、以下の式が成り立つ。
【0055】
F2=k2・Lx2 (5)
【0056】
以上のように、第一プローブ30及び第二プローブ40が弾性復元力を有する。また、上記不等式(2)、(3)が成り立つことから、高さ調整部材50のステージ接触面50aがステージ70の載置面70aに接するまで、高さ調整部材50及びプローブユニット20を降下させる場合、第一プローブ30の下端31の変位量Lx1、及び第二プローブ40の下端41の変位量Lx2は、以下の式で表される。
【0057】
Lx1=L1+d1-H>0 (6)
Lx2=L2+d2-H>0 (7)
【0058】
このように、第一プローブ30の下端31、及び第二プローブ40の下端41が変位するため、上記式(4)、(5)で表される弾性復元力を半導体レーザ装置80に加えることができる。つまり、上記式(4)、(5)で表される弾性復元力で各プローブを半導体レーザ装置80における各プローブの接触面に対して垂直方向に押しつけることができる。これにより、接触面に対して水平な方向の力が加わらないので、各プローブの半導体レーザ装置表面における水平方向の位置ずれが発生することを抑制できる。
【0059】
ステージ70は、上述したとおり、検査対象が載置される載置面70aを有する部材である。本実施の形態では、載置面70aは、図4に示されるように、上下方向に対して傾いているステージ傾斜面70sを有する。ステージ傾斜面70sは、載置面70aの端に近づくにしたがって降下する。このように載置面70aがステージ傾斜面70sを有することで、測定装置90をプローブユニット20に接近させる場合に、測定装置90とステージ70とが物理的に干渉することを低減できる。また、検査対象として、半導体レーザ素子などの発光素子を用いる場合に、載置面70aの光の伝搬経路と対向する部分にステージ傾斜面70sを配置することで、光が載置面70aによって遮られることを低減できる。本実施の形態では、ステージ傾斜面70sは、光反射抑制面であってもよい。光反射抑制面として、例えば、貫通部材傾斜面21sと同様に、黒色面、粗面などを用いることができる。
【0060】
[1-3.検査方法]
本実施の形態に係る検査方法について、図7図21を用いて説明する。図7図8図17図21は、本実施の形態に係る検査方法の各工程を説明する模式的な側面図である。図9図12は、本実施の形態に係る検査方法における検査対象の第一の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。図13図16は、本実施の形態に係る検査方法における検査対象の第二の位置調整方法の各工程を示す模式的な上面図である。
【0061】
本実施の形態に係る検査方法は、検査対象に電流を供給することで、検査対象の特性を検査する方法である。本実施の形態では、検査装置10を用いて検査を行う。検査対象の一例として、半導体レーザ装置80の検査を行う例について、以下で説明する。
【0062】
まず、図7に示されるように、検査装置10に検査対象を投入する。具体的には、図8に示されるように、検査装置10が備えるステージ70の載置面70aに検査対象である半導体レーザ装置80を載置する。半導体レーザ装置80の移動には、例えば、コレットなどを用いることができる。半導体レーザ装置80は、載置面70aの吸着孔72上に配置される。なお、検査装置10に半導体レーザ装置80を投入する際には、投入の妨げにならないように、プローブユニット20などは、ステージ70の上方以外の退避位置に退避されている。
【0063】
続いて、図8に示されるように載置面70aに配置された半導体レーザ装置80の位置調整を行うことで、半導体レーザ装置80を所定の位置に配置する。位置調整方法は、特に限定されないが、以下では、位置調整方法の例として、第一の位置調整方法と、第二の位置調整方法とを説明する。
【0064】
第一の位置調整方法について、図9図12を用いて説明する。第一の位置調整方法では、まず、半導体レーザ装置80を吸着孔72を用いて吸着させた状態で、図9に示されるように、枠体Fmをステージ70の載置面70aに配置する。枠体Fmは、半導体レーザ装置80の所定の位置(つまり、位置調整の目標位置)に対応する位置に配置される。本実施の形態では、矩形環状の枠体Fmの内部に、半導体レーザ装置80が位置するように、枠体Fmをステージ70の載置面70aに配置する。
【0065】
枠体Fmには、貫通孔が形成されており、当該貫通孔を貫通する押し棒Pmを用いて、半導体レーザ装置80をX軸方向負向きに押す。この際、枠体Fmが載置面70aに対して移動しないように枠体Fmの位置を固定しておく。これにより、図10に示されるように、半導体レーザ装置80が、枠体FmのX軸方向負側の内壁に押し当てられるため、半導体レーザ装置80のX軸方向における位置が、枠体Fmの内壁によって規定された位置に調整される。なお、図10には、移動前の半導体レーザ装置80の位置が点線で示されている。
【0066】
続いて、図11に示されるように、枠体Fmに形成された他の貫通孔を貫通する押し棒Pmを用いて、半導体レーザ装置80をY軸方向正向きに押す。この際、枠体Fmが載置面70aに対して移動しないように枠体Fmの位置を固定しておく。これにより、図12に示されるように、半導体レーザ装置80が、枠体FmのY軸方向正側の内壁に押し当てられるため、半導体レーザ装置80のY軸方向における位置が、枠体Fmの内壁によって規定された位置に調整される。なお、図12には、移動前の半導体レーザ装置80の位置が点線で示されている。
【0067】
以上のように、枠体Fmの内壁の位置を半導体レーザ装置80の所定の位置に合わせた状態で、半導体レーザ装置80を枠体Fmの内壁に押し当てることで、半導体レーザ装置80の位置調整を行うことができる。これらの位置調整をスムーズに行うためには、載置面70aは滑らかな面である方が良い。
【0068】
次に、第二の位置調整方法について、図13図16を用いて説明する。第二の位置調整方法では、まず、半導体レーザ装置80を吸着孔72を用いて吸着させた状態で、図13に示されるように、枠体Fmをステージ70の載置面70aに配置する。矩形環状の枠体Fmの内部に、半導体レーザ装置80が位置するように、枠体Fmをステージ70の載置面70aに配置する。なお、図13には、半導体レーザ装置80の所定の位置(つまり、位置調整の目標位置)が点線で示されている。続いて、図13に矢印で示されるように、枠体FmをX軸方向正向きに移動する。この際、枠体Fmの内壁で半導体レーザ装置80をX軸方向正向きに押すことで、図14に示されるように、半導体レーザ装置80をX軸方向正向きに移動する。なお、図14には、移動前の枠体Fm及び半導体レーザ装置80の位置が点線で示されている。
【0069】
続いて、図15に矢印で示されるように、枠体FmをY軸方向正向きに移動する。この際、枠体Fmの内壁で半導体レーザ装置80をY軸方向正向きに押すことで、図16に示されるように、半導体レーザ装置80をY軸方向正向きに移動する。なお、図16には、移動前の枠体Fm及び半導体レーザ装置80の位置が点線で示されている。
【0070】
以上のように、枠体Fmの内壁で半導体レーザ装置80を押すことで、半導体レーザ装置80の位置調整を行うことができる。また、第二の位置調整方法によれば、半導体レーザ装置80の位置調整を行う際に、枠体Fmという一つの治具だけで、X軸方向及びY軸方向に、連続的に位置調整を行うことができる。したがって、位置調整に要する時間を低減できる。
【0071】
このような第一の位置調整方法を用いる場合、検査装置10のステージ70は、検査対象を吸着する吸着孔72を有する。検査装置10は、ステージ70に吸着された検査対象を囲む枠体Fmを備える。検査装置10は、枠体Fmを移動させることで検査対象の位置を調整する。
【0072】
半導体レーザ装置80の位置調整が完了した後、図17に示されるように、プローブユニット20を退避位置から、ステージ70の上方へ移動する。本実施の形態では、ユニット移動部材16をY軸方向負向きに移動させることで、プローブユニット20をステージ70の上方へ移動する。
【0073】
続いて、図18に示されるように、プローブユニット20を降下させることで、プローブユニット20の第一プローブ30及び第二プローブ40(図18では不図示)を半導体レーザ装置80に接触させる。本実施の形態では、上下移動部材14を降下させることで、高さ調整部材50のステージ接触面50aをステージ70の載置面70aに押し当てる。これに伴い、プローブユニット20の第一プローブ30及び第二プローブ40がそれぞれ半導体レーザ装置80の第一電極及び第二電極に押し当てられる。検査装置10のユニット支持部材19が、スライドレール17及び接続ばね18によって、ユニット移動部材16に接続されていることで、上述したように、プローブユニット20とステージ70との位置関係を維持しながら、ステージ70へのプローブユニット20を固定するための力を容易に維持することができる。この工程におけるプローブユニット20の動作の詳細については、後述する。
【0074】
図18に示された状態で、半導体レーザ装置80に第一プローブ30及び第二プローブ40を介して電流を供給することで、半導体レーザ装置80の特性を検査する。検査においては、例えば、半導体レーザ装置80から出射される光のパワーを測定する測定装置などが用いられる。
【0075】
続いて、図19に示されるように、プローブユニット20を上昇させることで、第一プローブ30及び第二プローブ40(図19では不図示)を半導体レーザ装置80から離す。本実施の形態では、上下移動部材14を上昇させることで、プローブユニット20及び高さ調整部材50を上昇させる。これに伴い、プローブユニット20の第一プローブ30及び第二プローブ40がそれぞれ半導体レーザ装置80の第一電極及び第二電極から離れる。
【0076】
続いて、図20に示されるように、プローブユニット20をステージ70の上方から退避位置へ移動する。本実施の形態では、ユニット移動部材16をY軸方向正向きに移動させることで、プローブユニット20を退避させる。
【0077】
続いて、図21に示されるように、半導体レーザ装置80を検査装置10から排出する。つまり、検査装置10のステージ70の載置面70aから、検査装置10の外部へ、半導体レーザ装置80を移動する。半導体レーザ装置80の排出には、例えば、吸着孔による吸着を停止した状態で、真空コレットなどを用いることができる。
【0078】
以上のように、検査対象である半導体レーザ装置80の検査を行うことができる。
【0079】
[1-4.プローブユニットの動作]
本実施の形態に係る検査方法におけるプローブユニット20の動作について、図22図28を用いて説明する。図22図28は、本実施の形態に係るプローブユニット20の動作を説明するための模式的な断面図である。上述した検査方法の図17図18、及び図19で示される工程におけるプローブユニット20の状態が、それぞれ、図22図25、及び図28に示されている。図17で示される工程から図18に示される工程に至るまでのプローブユニット20の状態が、図22図25に示されている。図18で示される工程から図19に示される工程に至るまでのプローブユニット20の状態が、図25図28に示されている。
【0080】
図17で示される工程においては、図22に示されるように、プローブユニット20は、ステージ70の上方に位置し、第一プローブ30及び第二プローブ40は、半導体レーザ装置80と接触していない。また、高さ調整部材50は、ステージ70と接触していない。
【0081】
続いて、プローブユニット20を徐々に降下させることで、図23に示されるように、第一プローブ30を半導体レーザ装置80のサブマウント84の上面に配置される第一電極(図23には不図示)に接触させる(第一接触工程)。この状態では、第二プローブ40は、半導体レーザ装置80の素子82の上面に配置される第二電極とは接触していない。また、高さ調整部材50は、ステージ70の載置面70aに接触していない。
【0082】
第一接触工程の後に、第一プローブ30を第一電極に接触させた状態で、さらにプローブユニット20を徐々に降下させることで、図24に示されるように、第二プローブ40を半導体レーザ装置80の素子82の上面に配置される第二電極(図24には不図示)に接触させる(第二接触工程)。このとき、第一プローブ30の下端31は、プローブ貫通部材23に対して上向きに変位する。これに伴い、図24に示されるように、第一プローブ30は、空洞21vにおいて曲がる。つまり、第一プローブ30は、座屈現象を示す。第一プローブ30の下端31は、式(4)で表される弾性復元力で第一電極をステージ70に向かって押しつける。第一プローブ30は座屈現象を起こすが、第一プローブ30の、対向面21uから下方に突出する部分は、半導体レーザの接触面に対して垂直な状態を保ち続ける。
【0083】
続いて、第一プローブ30及び第二プローブ40をそれぞれ第一電極及び第二電極に接触させた状態で、さらにプローブユニット20を徐々に降下させて、高さ調整部材50のステージ接触面50aをステージ70の載置面70aに押し当てる。このとき、第一プローブ30の下端31は、プローブ貫通部材23に対してさらに上向きに変位するため、下端31の変位に対応する弾性復元力はさらに大きくなる。つまり、第一プローブ30の下端31が第一電極をステージ70に向かって押しつける力はさらに強くなる。また、第二プローブ40の下端41は、プローブ貫通部材23に対して上向きに変位する。これに伴い、図25に示されるように、第二プローブ40は、空洞21vにおいて曲がる。つまり、第二プローブ40は、座屈現象を示す。第二プローブ40の下端41は、式(5)で表される弾性復元力で第二電極をステージ70に向かって押しつける。第二プローブ40は座屈現象を起こすが、第二プローブ40の、対向面21uから下方に突出する部分は、半導体レーザの接触面に対して垂直な状態を保ち続ける。
【0084】
図25に示されるように、第一プローブ30を第一電極に接触させ、かつ、第二プローブ40を第二電極に接触させた状態で、検査対象である半導体レーザ装置80に電流を供給する(供給工程)。半導体レーザ装置80に第一プローブ30及び第二プローブ40を介して電流を供給することで、半導体レーザ装置80の特性を検査する。
【0085】
供給工程の後に、プローブユニット20を徐々に上昇させることで、図26に示されるように、高さ調整部材50のステージ接触面50aをステージ70の載置面70aから離す。
【0086】
続いて、さらに、プローブユニット20を徐々に上昇させることで、図27に示されるように、第二プローブ40を第二電極から離す(第二脱離工程)。ここで、第二プローブ40は、弾性復元力により、座屈現象を示す前の状態に戻っている。
【0087】
続いて、さらに、プローブユニット20を徐々に上昇させることで、図28に示されるように、第一プローブ30を第一電極から離す(第一脱離工程)。ここで、第一プローブ30は、弾性復元力により、座屈現象を示す前の状態に戻っている。
【0088】
以上のように、プローブユニット20を用いて、検査対象を検査できる。
【0089】
[1-5.効果など]
本実施の形態に係るプローブユニット20、検査装置10、及び検査方法の効果について説明する。
【0090】
本実施の形態に係るプローブユニット20は、検査対象に電流を供給するための電流回路の一部を含むユニットである。プローブユニット20は、当該電流回路に含まれ、弾性復元力を有する、第一プローブ30及び第二プローブ40と、第一プローブ30及び第二プローブ40が固定されるプローブ固定部材24と、プローブ固定部材24の下方に、プローブ固定部材24から離間して配置され、第一プローブ30及び第二プローブ40がそれぞれ貫通する第一貫通孔26a及び第二貫通孔26bが形成されているプローブ貫通部材23とを備える。プローブ貫通部材23は、第一プローブ30及び第二プローブ40が貫通し、検査対象と対向する対向面21uを有する。第一プローブ30及び第二プローブ40のうち、対向面から下方に突出する部分は、上下方向に移動自在である。第一プローブ30及び第二プローブ40が検査対象に接触していない状態において、第一プローブ30の下端31は、第二プローブ40の下端41より下方に位置する。
【0091】
これにより、検査対象として、例えば半導体レーザ装置80を用いて、プローブユニット20を半導体レーザ装置80に接近させる場合に、第二電極より高さが低い第一電極に、第一プローブ30の下端31を先に接触させて、載置面70aに押しつけることが可能となる。
【0092】
本実施の形態では、式(1)が成り立つ。つまり、半導体レーザ装置80は、第一プローブ30の下端31が接する第一電極と、第二プローブ40の下端41が接する第二電極とを有する。第一電極は、第二電極より下方に位置し、第一プローブ30の下端31と第二プローブ40の下端41との上下方向の位置の差は、第一電極と第二電極との上下方向の位置の差より大きい。このため、プローブユニット20を半導体レーザ装置80に接近させる場合に、第二プローブ40が第二電極に接触する前に、第一プローブ30を第一電極に確実に接触させることができる。ここで、半導体レーザ装置80における高さが低い部分(第一電極)を、高さが高い部分(第二電極)よりも先に載置面70aに押しつける場合の方が、高さが高い部分を先に載置面70aに押しつける場合より、半導体レーザ装置80が倒れる(つまり、転がる)可能性を低減できる。したがって、半導体レーザ装置80が検査時に倒れることで損傷を受けることを低減できる。
【0093】
また、式(1)が成り立つ場合には、供給工程において、第二プローブ40の下端41のプローブ貫通部材23に対する変位を、第一プローブ30の下端31のプローブ貫通部材23に対する変位より小さくすることができる。このため、第二電極を第二プローブ40の下端41によって押しつける力を、第一電極を第一プローブ30の下端31によって押しつける力より低減しやすくなる。したがって、第二電極にプローブ痕(つまり、凹み)が形成されることを抑制できる。特に、半導体レーザ装置80の素子82が有する第二電極として比較的軟らかいAuが用いられることがある。この場合、第二電極には、プローブ痕ができやすいため、本実施の形態に係るプローブユニット20が特に有効である。
【0094】
また、式(1)が成り立つ場合には、上述したように、供給工程の後に、第二プローブ40を第二電極から離した後で、第一プローブ30を第一電極から離すことができる。これにより、第二プローブ40を第二電極から離す際に、第一プローブ30が第一電極を押しつけているため、第二プローブ40とともに、半導体レーザ装置80が持ち上がることを低減できる。したがって、半導体レーザ装置80が、持ち上がった後に落下することで、損傷を受けることを低減できる。特に、上述したとおり、第二電極として比較的軟らかいAuが用いられることがあり、この場合には、第二プローブ40の下端41が第二電極にめり込んで、第二プローブ40と第二電極とがくっつきやすい。このため、第二プローブ40を第二電極から離す際に、半導体レーザ装置80が持ち上がりやすい。したがって、本実施の形態に係るプローブユニット20が特に有効である。
【0095】
本実施の形態に係るプローブユニット20の第一プローブ30及び第二プローブ40は、座屈現象を示してもよい。
【0096】
このような第一プローブ30及び第二プローブ40の効果について、図29及び図30を用いて説明する。図29は、本実施の形態に係る第一プローブ30が座屈現象を示していない場合の第一プローブ30と第一貫通孔26aとの位置関係を示す模式図である。図30は、本実施の形態に係る第一プローブ30が座屈現象を示している場合の第一プローブ30と第一貫通孔26aとの位置関係を示す模式図である。図29及び図30には、第一貫通孔26a及び第一プローブ30の断面図(a)と、第一貫通孔26aの上面図(b)及び底面図(c)とが示されている。
【0097】
図29に示されるように、第一プローブ30が座屈現象を示していない場合には、第一プローブ30は、第一貫通孔26aを囲む内壁に押し付けられないため、第一貫通孔26a内で自由に移動できる。すなわち、プローブユニット20の振動に伴って、貫通孔付近の第一プローブ30も振動する。一方、図30に示されるように、第一プローブ30が座屈現象を示している場合、上下方向に対して垂直な方向に偏位するため、プローブ貫通部材23の上面と下面の位置において、第一プローブ30が第一貫通孔26aを囲む内壁に押しつけられる。この場合、第一プローブ30の移動が、第一プローブ30と、第一貫通孔26aを囲む内壁との間の摩擦力によって規制される。したがって、第一プローブ30の振動を抑制できる。例えば、第一プローブ30及び第二プローブ40を、検査対象に押し付けたまま、プローブユニット20及び検査対象が載置されたステージ70を移動させる場合について説明する。この場合、第一プローブ30及び第二プローブ40が座屈現象を示していれば、プローブユニット20及び検査対象が載置されたステージ70を移動させることで、第一プローブ30及び第二プローブ40に振動の力が加わっても、上記摩擦力によって第一プローブ30及び第二プローブ40の貫通孔付近での振動を抑制できる。したがって、各プローブが振動することによって、検査対象が損傷することを抑制できる。
【0098】
本実施の形態に係るプローブユニット20の対向面21uは、上下方向に対して傾いている貫通部材傾斜面21sを有してもよい。貫通部材傾斜面21sは、第一貫通孔26a及び第二貫通孔26bから遠ざかるにしたがって上昇する。
【0099】
このように対向面21uが貫通部材傾斜面21sを有することで、測定装置90をプローブユニット20に接近させる場合に、測定装置90とプローブユニット20とが物理的に干渉することを低減できる。また、検査対象として、半導体レーザ素子などの発光素子を用いる場合に、対向面21uの光の伝搬経路と対向する部分に貫通部材傾斜面21sを配置することで、光が対向面21uによって遮られることを低減できる。
【0100】
本実施の形態に係る貫通部材傾斜面21sは、光反射抑制面であってもよい。
【0101】
これにより、貫通部材傾斜面21sにおいて、検査対象からの光が乱反射し、光測定におけるノイズとなることを抑制できる。
【0102】
本実施の形態に係る検査装置10は、プローブユニット20と、検査対象が載置される載置面70aを有するステージ70と、プローブユニット20とステージ70との間に配置される高さ調整部材50とを備える。
【0103】
このような検査装置10において、高さ調整部材50は、プローブユニット20とステージ70との最小間隔を規定するスペーサとして機能することができる。したがって、検査装置10のプローブユニット20を駆動する機構の位置制御精度が低い場合にも、プローブユニット20とステージ70との間隔を、高さ調整部材50によって精密に制御できる。したがって、プローブユニット20とステージ70とを近づけ過ぎて、検査対象に過大な応力がかかり、検査対象が損傷することを抑制できる。
【0104】
また、高さ調整部材50をステージ70の載置面70aに押し付けることで、プローブユニット20の振動を抑制できる。したがって、各プローブが振動することに伴って、検査対象が各プローブによって損傷することを抑制できる。
【0105】
本実施の形態に係る高さ調整部材50は、プローブユニット20の対向面21uに配置されてもよい。これにより、プローブユニット20とともに高さ調整部材50を退避させることができる。したがって、検査対象をステージ70の載置面70aに載置する際に、高さ調整部材50が検査対象を移動させるためのコレットなどと物理的に干渉することを低減できる。
【0106】
本実施の形態に係るステージ70の載置面70aは、上下方向に対して傾いているステージ傾斜面70sを有してもよい。ステージ傾斜面70sは、載置面70aの端に近づくにしたがって降下する。
【0107】
このように載置面70aがステージ傾斜面70sを有することで、測定装置90をプローブユニット20に接近させる場合に、測定装置90とステージ70とが物理的に干渉することを低減できる。また、検査対象として、半導体レーザ素子などの発光素子を用いる場合に、載置面70aの光の伝搬経路と対向する部分にステージ傾斜面70sを配置することで、光が載置面70aによって遮られることを低減できる。
【0108】
本実施の形態に係るステージ傾斜面70sは、光反射抑制面であってもよい。
【0109】
これにより、ステージ傾斜面70sにおいて、検査対象からの光が乱反射し、光測定におけるノイズとなることを抑制できる。
【0110】
本実施の形態に係る検査装置10において、ステージ70は、検査対象を吸着する吸着孔72を有してもよい。また、検査装置10は、ステージ70に吸着された検査対象を囲む枠体Fmを備えてもよい。検査装置10は、枠体Fmを移動させることで検査対象の位置を調整する。
【0111】
これにより、検査対象の位置調整を行う際に、枠体Fmという一つの治具だけで、X軸方向及びY軸方向に、連続的に位置調整を行うことができる。したがって、位置調整に要する時間を低減できる。
【0112】
本実施の形態に係る検査方法は、検査対象に電流を供給することで、検査対象の特性を検査する検査方法である。検査対象の一例である半導体レーザ装置80は、上面を有するサブマウント84と、素子上面を有し、サブマウント84の上面に配置され、電流が供給される素子82とを有する。サブマウント84は、上面に配置される第一電極を有し、素子82は、素子上面に配置される第二電極を有する。検査方法は、第一プローブ30を第一電極に接触させる第一接触工程と、第一接触工程の後に、第一プローブ30を第一電極に接触させた状態で、第二プローブ40を第二電極に接触させる第二接触工程とを含む。第一プローブ30及び第二プローブ40は、検査対象に電流を供給する電流回路に含まれ、弾性復元力を有する。
【0113】
このような検査方法により、第二プローブ40が第二電極に接触する前に、第一プローブ30を第一電極に確実に接触させることができる。ここで、検査対象における高さが低い部分(第一電極)を、高さが高い部分(第二電極)よりも先に載置面70aに押しつける場合の方が、高さが高い部分を先に載置面70aに押しつける場合より、検査対象が倒れる可能性を低減できる。したがって、検査対象が検査時に倒れることで損傷を受けることを低減できる。本実施の形態に係る検査方法は、例えば、上述した検査装置10を用いて実現できる。
【0114】
本実施の形態に係る他の検査方法は、検査対象に電流を供給することで、検査対象の特性を検査する検査方法である。検査対象の一例である半導体レーザ装置80は、上面を有するサブマウント84と、素子上面を有し、サブマウント84の上面に配置され、電流が供給される素子82とを有する。サブマウント84は、上面に配置される第一電極を有し、素子82は、素子上面に配置される第二電極を有する。検査方法は、第一プローブ30を第一電極に接触させ、かつ、第二プローブ40を第二電極に接触させた状態で、検査対象に電流を供給する供給工程と、供給工程の後に、第二プローブ40を第二電極から離す第二脱離工程と、第二脱離工程の後に、第一プローブ30を第一電極から離す第一脱離工程とを含む。第一プローブ30及び第二プローブ40は、検査対象に電流を供給する電流回路に含まれ、弾性復元力を有する。
【0115】
このような検査方法により、第二プローブ40を第二電極から離す際に、第一プローブ30が第一電極を押しつけているため、第二プローブ40とともに、検査対象が持ち上がることを低減できる。したがって、検査対象が、持ち上がった後に落下することで、損傷を受けることを低減できる。特に、上述したとおり、第二電極として比較的軟らかいAuが用いられることがあり、この場合には、第二プローブ40が第二電極にめり込んで、第二プローブ40と第二電極とがくっつきやすい。このため、第二プローブ40を第二電極から離す際に、検査対象が持ち上がりやすい。したがって、本実施の形態に係る検査方法が特に有効である。本実施の形態に係る検査方法は、例えば、上述した検査装置10を用いて実現できる。
【0116】
[1-6.検査システム]
本実施の形態に係る検査装置10を備える検査システムについて図31及び図32を用いて説明する。図31は、本実施の形態に係る検査システム1の全体構成を示す模式的な上面図である。図32は、本実施の形態の変形例に係る検査システム1aの全体構成を示す模式的な上面図である。図31及び図32には、検査において用いる測定装置90及び検査対象の一例である半導体レーザ装置80も併せて示されている。
【0117】
図31に示されるように、本実施の形態に係る検査システム1は、検査装置10と、検査装置10を搬送する搬送装置5とを備える。
【0118】
図31に示される例では、搬送装置5は、円形状の形状を有し、中心を回転軸として回転するターンテーブルであり、搬送装置5に配置された検査装置10を周方向に搬送する。
【0119】
検査システム1は、複数の検査装置10を備える。図31に示される例では、検査システム1では、12個の検査装置10が搬送装置5の円形状の端縁に沿って円状に配置されている。本実施の形態では、検査装置10は、半径300mm程度の円周上に、中心角30度ごとに配置される。検査装置10の平均移動速度は、例えば、200mm/秒程度であり、中心角30度分の移動に要する時間は、例えば、0.8秒程度である。
【0120】
検査装置10は、搬送装置5によって搬送された搬送先の位置に応じて、上述した検査方法の各工程を実行する。つまり、検査装置10は、まず、図31に示される搬送装置5の5時の位置まで搬送された後に停止され、検査対象が投入される。続いて、検査装置10は、搬送装置5の4時の位置まで反時計回りに搬送された後に停止され、検査対象の位置調整を行う。続いて、検査装置10は、搬送装置5の3時の位置まで反時計回りに搬送された後に停止され、プローブユニット20を移動する。ここで、第一プローブ30及び第二プローブ40を検査対象に接触させる。続いて、検査装置10は、第一プローブ30及び第二プローブ40を検査対象に接触させた状態で、搬送装置5の2時の位置まで反時計回りに搬送された後に停止され、検査対象に所定の電流を供給し、特性を測定し(つまり検査を行い)、電流の供給を停止する。続いて、検査装置10は、第一プローブ30及び第二プローブ40を検査対象に接触させた状態で、搬送装置5の1時の位置から8時の位置まで反時計回りに搬送及び停止が繰り返され、停止するたびに検査対象の検査を行う。図31に示される例では、七回の検査を行う。各検査は、それぞれ異なる検査であってもよいし、同一の検査が複数回行われてもよい。例えば、各検査において、検査対象に供給する電流及び電圧の大きさを変えたり、電流の波形を変えたりしてもよい。図31には、図示を省略しているが、複数の検査位置の各々には、測定装置が配置されて、検査対象の測定を行う。
【0121】
続いて、検査装置10は、第一プローブ30及び第二プローブ40を検査対象に接触させた状態で、搬送装置5の7時の位置まで反時計回りに搬送された後に停止され、プローブユニット20を退避させる。続いて、検査装置10は、搬送装置5の6時の位置まで反時計回りに搬送された後に停止され、検査対象を排出する。
【0122】
このような検査を12個の検査装置10の各々において行うことで、同時に7個の検査対象の検査を行うことができるため、多数の検査対象の検査に要する時間を短縮できる。
【0123】
また、本実施の形態に係る検査装置10は、第一プローブ30及び第二プローブ40を検査対象に接触させた状態で、検査装置10を搬送する。このため、複数の検査を別の位置で行う際に、移動の度にプローブユニット20の移動及び退避を行う必要がなくなる。検査の各工程のうち、プローブユニット20の移動及び退避は、特に時間を要する工程である。例えば、プローブユニット20が水平方向に移動する距離100mm程度であり、移動には0.8秒程度を要する。つまり、平均移動速度は、125mm/秒程度である。また、プローブユニット20の水平方向の移動後、プローブユニット20の振動が止まるまで待機してもよい。振動が止まった後に上下方向に移動することで、第一プローブ30及び第二プローブ40により検査対象に形成されるプローブ痕を低減できる。さらに、プローブユニット20の上下方向の移動に0.8秒程度要する。このように比較的長い時間を要するプローブユニット20の移動及び退避工程の回数を削減することで、大幅な検査時間短縮を実現できる。
【0124】
また、本実施の形態では、第一プローブ30及び第二プローブ40を検査対象に対して接触及び脱離させる回数を削減できるため、検査対象に形成されるプローブ痕を低減できる。
【0125】
本実施の形態に係る検査装置10は、プローブユニット20とステージ70との間に配置される高さ調整部材50を備える。これにより、第一プローブ30及び第二プローブ40を検査対象に接触させる際に、高さ調整部材50をステージ70の載置面70aに押しつけることができる。したがって、検査装置10を搬送する際に、高さ調整部材50と載置面70aとの間の摩擦力によって、プローブユニット20、第一プローブ30及び第二プローブ40が振動することを抑制できる。これにより、第一プローブ30及び第二プローブ40の振動によって検査対象が損傷することを抑制できる。
【0126】
また、本実施の形態では、上述したとおり高さ調整部材50のステージ接触面50aが粗面であるため、ステージ接触面50aとステージ70の載置面70aとの間の摩擦力を増大させることができる。したがって、検査装置10を搬送する際にプローブユニット20がステージ70に対して振動することをより一層抑制でき、第一プローブ30及び第二プローブ40が検査対象に対して振動することをより一層抑制できる。
【0127】
また、本実施の形態に係る複数の検査装置10は、図31に示されるように、搬送装置5の半径方向にプローブユニット20を移動させることができる。言い換えると、検査装置10は、検査装置10の搬送方向に垂直な方向に、プローブユニット20を移動する移動機構を備える。なお、移動機構は、上述した、ユニット移動部材16などによって実現される。このような移動機構により、検査対象を搬送装置5の外部から検査装置10に投入する際に、検査対象の移動に用いるコレットなどとプローブユニット20などとの物理的干渉が発生することを低減できる。
【0128】
次に、本実施の形態の変形例に係る検査システム1aについて、図32を用いて説明する。図32に示されるように、本変形例に係る検査システム1aは、検査装置10と、検査装置10を搬送する搬送装置5aとを備える。本変形例に係る検査システム1aも、上述した検査システム1と同様に複数の検査装置10を備える。
【0129】
本変形例に係る搬送装置5aは、主に、搬送経路の形状において、上述した搬送装置5と相違する。本変形例に係る搬送装置5aは、長円形状を有し、搬送装置5aの周縁にそって長円形状に複数の検査装置10が配置される。複数の検査装置10は、長円形状の搬送経路に沿って搬送される。このため、搬送装置5aは、検査装置10を直線状に搬送する搬送経路と、円弧状に搬送する搬送経路とを併せ持つ。検査装置10の平均移動速度は、例えば、190mm/秒程度であり、一回の搬送当たりの搬送距離は、例えば、150mmである。一回の搬送に要する時間は、例えば、0.8秒程度である。
【0130】
本変形例に係る検査システム1aにおいても、検査装置10の第一プローブ30及び第二プローブ40を検査対象に接触させた状態で、検査装置10を搬送する。これにより、本変形例に係る検査システム1aにおいても、上述した検査システム1と同様の効果が奏される。
【0131】
[1-7.半導体レーザ装置の製造方法]
本実施の形態に係る半導体レーザ装置80の製造方法について、図33を用いて説明する。図33は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置80の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【0132】
図33に示されるように、まず、半導体レーザ装置80を組み立てる(S10)。本実施の形態では、半導体レーザ装置80は、サブマウント84と、素子82とを備える。素子82は、半導体レーザ素子である。半導体レーザ装置80は、例えば、サブマウント84を準備し、サブマウント84の上面に素子82を配置することで組み立てられる。
【0133】
続いて、半導体レーザ装置80を検査する(S20)。本実施の形態に係る半導体レーザ装置80の製造方法では、本実施の形態に係る検査方法を用いて、検査対象として半導体レーザ装置80を検査する。
【0134】
以上のように、本実施の形態に係る半導体レーザ装置80を製造できる。本実施の形態に係る半導体レーザ装置80の製造方法によれば、本実施の形態に係る検査方法を用いることで、上述した検査方法と同様の効果が奏され、検査における半導体レーザ装置80の損傷を低減できる。
【0135】
[1-8.プローブユニットの変形例]
本実施の形態の変形例に係るプローブユニットについて説明する。
【0136】
[1-8-1.変形例1]
本実施の形態の変形例1に係るプローブユニットについて、図34を用いて説明する。図34は、本変形例に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。図34には、プローブ貫通部材23の第一貫通孔26a及びその周辺の構成が示されている。
【0137】
図34に示されるように、本変形例のプローブユニットは、第一プローブ130の構成において、上述したプローブユニット20と相違する。本変形例に係る第一プローブ130は、導電体36と、絶縁膜38とを有する。
【0138】
導電体36は、弾性復元力を有する導電部材である。導電体36は、例えば、金属ワイヤである。導電体36は、上述した第一プローブ30と同様に、プローブ固定部材24で固定され、プローブ貫通部材23を貫通する。
【0139】
絶縁膜38は、導電体36の一部を覆う電気絶縁性の膜である。本変形例では、第一プローブ130の下端131が検査対象に接触していない状態において、絶縁膜38は、導電体36のうち、プローブ貫通部材23より上方に位置する部分を覆う。第一プローブ130の下端131が検査対象に接触していない状態において、導電体36のうち、空洞21vに位置する部分を覆ってもよい。図34に示されるように、絶縁膜38が導電体36を覆う部分における第一プローブ130の太さは、第一貫通孔26aの径より大きくてもよい。これにより、絶縁膜38が、第一プローブ130が第一貫通孔26aから下方に落下することを抑制できる。
【0140】
なお、第二プローブも、第一プローブ130と同様に、導電体と絶縁膜とを有していてもよい。
【0141】
[1-8-2.変形例2]
本実施の形態の変形例2に係るプローブユニットについて、図35を用いて説明する。図35は、本変形例に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
【0142】
本変形例に係るプローブユニットは、プローブ貫通部材123の構成において、変形例1に係るプローブユニットと相違する。
【0143】
本変形例に係るプローブ貫通部材123には、第一貫通孔126aが形成されている。プローブ貫通部材123は、互いに上下方向に離間して配置される複数のガイド部材123a、123c、123eを有する。複数のガイド部材123a、123c、123eの各々には、第一プローブ130が貫通する第一ガイド孔が形成されている。図35に示されるように、ガイド部材123aには、第一ガイド孔126aaが形成されている。また、ガイド部材123aの下方に配置されるガイド部材123cには、第一ガイド孔126caが形成されている。また、ガイド部材123cの下方に配置されるガイド部材123eには、第一ガイド孔126eaが形成されている。本変形例では、各ガイド部材は、電気絶縁性の材料で形成される。各ガイド部材は、例えば、芳香族ポリエステル、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、又は、セラミックスなどを用いることができる。第一プローブ130のうち各ガイド部材と接触する部分に絶縁膜が形成されている場合には、各ガイド部材として金属などの導電部材を用いることができる。
【0144】
本変形例では、隣り合う二つのガイド部材の間にスペーサが配置されている。ガイド部材123aとガイド部材123cとの間には、スペーサ123bが配置されている。ガイド部材123cとガイド部材123eとの間には、スペーサ123dが配置されている。
【0145】
スペーサ123bには、第一スペーサ孔126baが形成されており、スペーサ123dには、第一スペーサ孔126daが形成されている。
【0146】
プローブ貫通部材123の第一貫通孔126aは、第一ガイド孔126aa、126ca、126eaと、第一スペーサ孔126ba、126daとを含む。つまり、第一プローブ130は、第一ガイド孔126aa、126ca、126eaと、第一スペーサ孔126ba、126daとを貫通する。第一ガイド孔126aa、126ca、126eaの各中心は水平方向で同じ位置(つまり、XY平面において同じ位置)にあり、貫通する第一プローブ130は、プローブ貫通部材123の底面に対して垂直となっている。
【0147】
第一スペーサ孔126ba、126daの径は、第一ガイド孔126aa、126ca、126eaの径より大きい。これにより、第一プローブ130は、第一ガイド孔126aa、126ca、126eaにガイドされる。ここで、各ガイド部材の厚さを各スペーサの厚さより小さくすることで、第一プローブ130が第一貫通孔126a内でプローブ貫通部材123と接触する面積を低減できるため、プローブ貫通部材123との摩擦を低減できる。さらに摩擦を低減するためには、各ガイド部材の各第一貫通孔の周縁における角部(エッジ部)を無くしてもよい。
【0148】
また、上下方向に配置された各ガイド部材に形成された各第一ガイド孔における第一プローブ130との隙間を十分に小さくすることで、第一プローブ130の傾きを低減できる。
【0149】
また、各スペーサの厚さを第一プローブ130のばね定数に基づいて決定された所定の厚さ以下にすることで、第一プローブ130が各第一スペーサ孔で座屈することを抑制できる。
【0150】
なお、図示しないが、プローブ貫通部材123の第二貫通孔も第一貫通孔126aと同様の構成とすることができる。
【0151】
[1-8-3.変形例3]
本実施の形態の変形例3に係るプローブユニットについて、図36を用いて説明する。図36は、本変形例に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
【0152】
本変形例に係るプローブユニットは、プローブ貫通部材223の構成において、変形例2に係るプローブユニットと相違する。
【0153】
プローブ貫通部材223は、互いに上下方向に離間して配置される複数のガイド部材223a、223cを有する。複数のガイド部材223a、223cの各々には、第一プローブ130が貫通する第一ガイド孔が形成されている。図36に示されるように、ガイド部材223aには、第一ガイド孔226aaが形成されている。また、ガイド部材223aの下方に配置されるガイド部材223cには、第一ガイド孔226caが形成されている。
【0154】
本変形例では、隣り合う二つのガイド部材223aとガイド部材223cとの間にスペーサ223bが配置されている。スペーサ223bには、第一スペーサ孔226baが形成されている。
【0155】
プローブ貫通部材223の第一貫通孔226aは、第一ガイド孔226aa、226caと、第一スペーサ孔226baとを含む。つまり、第一プローブ130は、第一ガイド孔226aa、226caと、第一スペーサ孔226baとを貫通する。
【0156】
第一スペーサ孔226baの径は、第一ガイド孔226aa、226caの径より大きい。これにより、第一プローブ130は、第一ガイド孔226aa、226caにガイドされる。また、変形例2に係るプローブ貫通部材123と同様に、各ガイド部材の厚さをスペーサ223bの厚さより小さくすることで、第一プローブ130が第一貫通孔226a内でプローブ貫通部材223と接触する面積を低減できるため、プローブ貫通部材223との摩擦を低減できる。
【0157】
本変形例では、複数のガイド部材のうちプローブ固定部材に最も近い(つまり、最も上に配置される)ガイド部材223aの第一ガイド孔226aaと第一プローブ130との隙間は、複数のガイド部材のうちプローブ固定部材から最も遠い(つまり、最も下に配置される)ガイド部材223cの第一ガイド孔226caと第一プローブ130との隙間より大きい。これにより、ガイド部材223cの第一ガイド孔226caによって、第一プローブ130の位置を精密に規制しつつ、ガイド部材223aと第一プローブ130との摩擦を低減できる。
【0158】
また、本変形例では、複数のガイド部材のうちプローブ固定部材に最も近いガイド部材223aの厚さは、複数のガイド部材のうちプローブ固定部材から最も遠いガイド部材223cの厚さより大きい。ここで、上述したように、各プローブは、検査対象に押し付けられた場合に、空洞21vにおいて座屈する。このため、第一貫通孔226aに位置する第一プローブ130のうち、空洞21vに近い、つまり最も上に位置する部分において、第一プローブ130の座屈に伴う応力が大きくなる。本変形例のように、複数のガイド部材のうち最も上に配置されるガイド部材223aの厚さを大きくすることで、第一プローブ130の第一貫通孔226a内における上下方向に対する傾きを低減できる。
【0159】
なお、図示しないが、プローブ貫通部材223の第二貫通孔も第一貫通孔226aと同様の構成とすることができる。
【0160】
[1-8-4.変形例4]
本実施の形態の変形例4に係るプローブユニットについて、図37を用いて説明する。図37は、本変形例に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。
【0161】
本変形例に係るプローブユニットは、第一プローブ130aの構成において、変形例3に係るプローブユニットと相違する。
【0162】
第一プローブ130aは、導電体36と絶縁膜338とを有する。本変形例に係る絶縁膜338は、第一プローブ130aのうち各プローブ貫通部材223と接触する部分に絶縁膜338が形成されている。これにより、プローブ貫通部材223を介して、第一プローブ130aと他の導電部材との間で短絡が発生することを抑制できる。また、プローブ貫通部材223において導電部材を用いることができるため、プローブ貫通部材223において用いる材料の自由度を高めることができる。
【0163】
なお、第二プローブも第一プローブ130aと同様の構成とすることができる。
【0164】
[1-8-5.変形例5]
本実施の形態の変形例5に係るプローブユニットについて、図38を用いて説明する。図38は、本変形例に係るプローブユニットのプローブ貫通部材423の一部を示す模式的な上面図である。
【0165】
本変形例に係るプローブユニットは、プローブ貫通部材423の第一貫通孔426aの構成において、上述したプローブユニット20と相違する。
【0166】
本変形例に係るプローブ貫通部材423は、第一貫通孔426aを囲む第一内壁426wを有する。プローブ貫通部材423の上面視において、第一内壁426wは、第一貫通孔に向かって滑らかに突出する1以上の第一凸部426Pを有する。これにより、第一内壁426wと、第一プローブ30との接触面積を低減できる。したがって、プローブ貫通部材423と第一プローブ30との間の摩擦を低減できる。また、第一凸部426Pが滑らかに突出し、角部を有さないため、第一プローブ30と第一内壁426wとの間の摩耗を低減できる。また、第一プローブ30が第一凸部426Pによって削られることでダストが発生して、検査対象に付着し、検査後の特性変化を引き起こすことを低減できる。
【0167】
[1-8-6.変形例6]
本実施の形態の変形例6に係るプローブユニットについて、図39を用いて説明する。図39は、本変形例に係るプローブユニットのプローブ貫通部材23の一部を示す模式的な上面図である。
【0168】
本変形例に係るプローブユニットは、第一プローブ430の構成において、上述したプローブユニット20と相違する。
【0169】
本変形例に係る第一プローブ430は、矩形状の断面形状を有する。これにより、第一貫通孔26aにおけるプローブ貫通部材23と第一プローブ430との接触面積を低減できる。したがって、プローブ貫通部材23と第一プローブ430との間の摩擦を低減できる。第一プローブ430の断面の角部は、滑らかな曲線状となるように形成されていてもよい。これにより、第一プローブ430及びプローブ貫通部材23の摩耗を低減できる。この第一プローブ430は、矩形状の断面形状を有しているため、平板からのエッチング加工あるいは切断加工により容易に作成しうる。これは、特に後述の実施の形態4のようなプローブユニットにおいても用いることができる。
【0170】
[1-8-7.変形例7]
本実施の形態の変形例7に係るプローブユニットについて、図40を用いて説明する。図40は、本変形例に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。図40には、検査対象の一例として半導体レーザ装置80も併せて示されている。
【0171】
本変形例に係るプローブユニットは、ユニット本体521及び第二プローブ140の構成において、変形例1に係るプローブユニットと相違する。
【0172】
本変形例に係る第二プローブ140は、導電体46と、絶縁膜48とを有する。導電体46は、第一プローブ130の導電体36と同一の構成を有し、絶縁膜48は、第一プローブ130の絶縁膜38と同一の構成を有する。つまり、第一プローブ130と第二プローブ140とは、同一の構成を有する。
【0173】
ユニット本体521は、プローブ貫通部材523と、プローブ固定部材524とを有する。
【0174】
プローブ貫通部材523は、検査対象と対向する対向面521uと、対向面521uの裏側の第一上面523a及び第二上面523bとを有する。プローブ貫通部材523には、第一貫通孔526aと、第二貫通孔526bとが形成されている。第一貫通孔526aは、第一上面523aから対向面521uまでを上下方向に貫通する。第二貫通孔526bは、第二上面523bから対向面521uまでを上下方向に貫通する。第一貫通孔526aの径は、第一プローブ130の導電体36の径より大きく、第一プローブ130のうち絶縁膜38が形成された部分の径よりも小さい。第二貫通孔526bの径は、第二プローブ140の導電体46の径より大きく、第二プローブ140のうち絶縁膜48が形成された部分の径よりも小さい。第一プローブ130のうち絶縁膜38が形成された部分の下端は、第一貫通孔526aの上面(第一上面523a)に接している。また、第二プローブ140のうち絶縁膜48が形成された部分の下端は、第二貫通孔526bの上面(第二上面523b)に接している。図40に示されるように、第一上面523aと第二上面523bとは上下方向位置が異なり、第二上面523bの方が、第一上面523aより上方に位置する。
【0175】
プローブ固定部材524は、プローブ貫通部材523と対向する第一下面524a及び第二下面524bと、それらの裏側の上面521tとを有する。プローブ固定部材524には、第一固定用孔527aと、第二固定用孔527bとが形成されている。第一固定用孔527aは、上面521tから第一下面524aまでを上下方向に貫通する。第二固定用孔527bは、上面521tから第二下面524bまでを上下方向に貫通する。第一固定用孔527aの径は、第一プローブ130の導電体36の径より大きく、第一プローブ130のうち絶縁膜38が形成された部分の径よりも小さい。第二固定用孔527bの径は、第二プローブ140の導電体46の径より大きく、第二プローブ140のうち絶縁膜48が形成された部分の径よりも小さい。第一プローブ130のうち絶縁膜38が形成された部分の上端は、第一固定用孔527aの下面(第一下面524a)に接している。第二プローブ140のうち絶縁膜48が形成された部分の上端は、第二固定用孔527bの下面(第二下面524b)に接している。図40に示されるように、第一下面524aと第二下面524bとは上下方向位置が異なり、第二下面524bの方が、第一下面524aより上方に位置する。
【0176】
本変形例では、第一プローブ130と第二プローブ140とが同一の構成を有するため、第一プローブ130の下端131側の絶縁膜38が形成されていない部分の長さと、第二プローブ140の下端141側の絶縁膜48が形成されていない部分の長さも等しい。したがって、プローブ貫通部材523の第一上面523aと第二上面523bとの高さの差によって、第一プローブ130の下端131の上下方向位置及び第二プローブ140の下端141の上下方向位置の差が決定される。これにより、第一上面523aと第二上面523bとの高さの差を調整することによって、第一プローブ130の下端131の上下方向位置及び第二プローブ140の下端141の上下方向位置の差を調整できる。
【0177】
プローブ貫通部材523の第一上面523aと第二上面523bとの高さの差は、プローブ固定部材524の第一下面524aと第二下面524bとの高さの差と等しくてもよい。また、プローブ貫通部材523の第一上面523aからプローブ固定部材524の第一下面524aまでの長さ、及び、プローブ貫通部材523の第二上面523bからプローブ固定部材524の第二下面524bまでの長さは、第一プローブ130の絶縁膜38で覆われている部分の長さ(つまり、第二プローブ140の絶縁膜48で覆われている部分の長さ)と等しくてもよい。これにより、プローブ固定部材524に対する各プローブの相対位置を各絶縁膜によって調整(つまり位置決め)できる。
【0178】
[1-8-8.変形例8]
本実施の形態の変形例8に係るプローブユニットについて、図41図43を用いて説明する。図41図43は、本変形例に係るプローブユニットの各プローブの構成を示す模式的な側面図である。図41図43には、高さ調整部材50と、検査対象の一例である半導体レーザ装置80とが併せて示されている。
【0179】
第一プローブ30の対向面21uから突出する部分の長さL1、及び、第二プローブ40の対向面21uから突出する部分の長さL2と、高さ調整部材50の高さHと、半導体レーザ装置80のサブマウント84の下面から第一電極までの高さd1、及び、サブマウント84の下面から素子82の第二電極までの高さd2との関係として、種々の例が想定される。
【0180】
例えば、図41に示されるように、以下の式(8)が成立する場合があり得る。
【0181】
L1>L2>H (8)
【0182】
また、図42に示されるように、以下の式(9)が成立する場合があり得る。
【0183】
L1>H>L2 (9)
【0184】
また、図43に示されるように、以下の式(10)が成立する場合があり得る。
【0185】
H>L1>L2 (10)
【0186】
上記いずれの場合にも以下の式(11)が成り立てば、半導体レーザ装置80と対向面21uとが物理的に干渉することなく、高さ調整部材50をステージ70に接触させることができる。
【0187】
H>d2>d1 (11)
【0188】
なお、図41図43には、高さ調整部材50をステージ70に接触させた状態における半導体レーザ装置80の高さ調整部材50に対する相対位置が破線で示されている。図41図43に示されるように、半導体レーザ装置80と対向面21uとが物理的に干渉することなく、高さ調整部材50をステージ70に接触させることができる。
【0189】
[1-8-9.変形例9]
本実施の形態の変形例9に係るプローブユニットについて、図44を用いて説明する。図44は、本変形例に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。図44には、検査対象の一例として半導体レーザ装置80の詳細構成も併せて示されている。
【0190】
本変形例に係るプローブユニットは、第一プローブ230、第二プローブ240、及びユニット本体621の構成において、上記プローブユニット20と相違する。
【0191】
半導体レーザ装置80は、図44に示されるように、サブマウント84と、素子82とを有する。サブマウント84は、下面84bと、下面84bの裏側の上面84aとを有する。サブマウント84の上面84aには、第一電極85が配置されている。
【0192】
素子82は、素子下面82bと、素子下面82bの裏側の素子上面82aとを有する。素子82は、サブマウント84の上面84aに配置される。素子82は、素子上面82aに第二電極83が配置されている。
【0193】
なお、上述の各半導体レーザ装置80も図44に示されるような詳細構成を有する。
【0194】
本変形例では、第一プローブ230及び第二プローブ240の弾性係数が同一である。例えば、第一プローブ230及び第二プローブ240は、同一の材料で形成されていてもよい。また、第二プローブ240は第一プローブ230より細くてもよい。これにより、第二プローブ240のばね定数は、第一プローブ230のばね定数より小さくなるため、第二プローブ240が接触する第二電極83の損傷を低減できる。
【0195】
ユニット本体621は、プローブ貫通部材623と、プローブ固定部材624とを有する。
【0196】
プローブ貫通部材623は、検査対象と対向する対向面621uと、対向面621uの裏側の第一上面623a及び第二上面623bとを有する。プローブ貫通部材623には、第一貫通孔626aと、第二貫通孔626bとが形成されている。第一貫通孔626aは、第一上面623aから対向面621uまでを上下方向に貫通する。第二貫通孔626bは、第二上面623bから対向面621uまでを上下方向に貫通する。本変形例では、図44に示されるように、第一上面623aと第二上面623bとは上下方向位置が同一である。
【0197】
プローブ固定部材624は、プローブ貫通部材623と対向する第一下面624a及び第二下面624bと、それらの裏側の上面621tとを有する。プローブ固定部材624には、第一固定用孔627aと、第二固定用孔627bとが形成されている。第一固定用孔627aは、上面621tから第一下面624aまでを上下方向に貫通する。第二固定用孔627bは、上面621tから第二下面624bまでを上下方向に貫通する。図44に示されるように、第一下面624aと第二下面624bとは上下方向位置が異なり、第二下面624bの方が、第一下面624aより上方に位置する。
【0198】
ユニット本体621が以上のような構成を有することにより、第二プローブ240のプローブ固定部材624からプローブ貫通部材623までの長さは、第一プローブ230のプローブ固定部材624からプローブ貫通部材623までの長さより長くてもよい。これにより、第一プローブ230より、第二プローブ240の方が座屈しやすくなる。言い換えると、第二プローブ240のばね定数は、第一プローブ230のばね定数より小さくなる。これにより、第二プローブ240の座屈を伴う弾性復元力を低減できるため、第二プローブ240が接触する第二電極83の損傷を低減できる。
【0199】
なお、図44に示される例では、第一上面623aと第二上面623bとは上下方向位置が同一であったが、第二上面623bを第一上面623aより下方に配置してもよい。これにより、第二プローブ240のプローブ固定部材624からプローブ貫通部材623までの長さをより一層長くできる。したがって、第二プローブ240の座屈を伴う弾性復元力をより一層低減できる。
【0200】
[1-8-10.変形例10]
本実施の形態の変形例10に係るプローブユニットについて、図45を用いて説明する。図45は、本変形例に係るプローブユニットの一部を示す模式的な断面図である。図45には、検査対象の一例として半導体レーザ装置80の詳細構成も併せて示されている。
【0201】
本変形例に係るプローブユニットは、第一プローブ330、及び第二プローブ340の構成において、変形例9に係るプローブユニットと相違する。
【0202】
本変形例に係る第二プローブ340の下端341の曲率半径は、第一プローブ330の下端331の曲率半径より大きい。
【0203】
これにより、第二プローブ340の下端341が半導体レーザ装置80の第二電極83を押す圧力を低減できる。したがって、第二電極83の損傷を低減できる。
【0204】
さらに、第二プローブ340は第一プローブ330より細くてもよい。これにより、第二プローブ340のばね定数は、第一プローブ330のばね定数より小さくなるため、第二プローブ340が接触する第二電極83の損傷をより一層低減できる。
【0205】
[1-8-11.実施例]
本実施の形態のプローブユニット20の貫通部材傾斜面21s、及びステージ70のステージ傾斜面70sの実施例について、図46図50を用いて説明する。図46及び図47は、それぞれ本実施の形態に係る貫通部材傾斜面21s、及びステージ傾斜面70sの第一の実施例を示す模式的な斜視図及び断面図である。図47は、図46に一点鎖線で示された断面を表す。図48は、本実施の形態に係る貫通部材傾斜面21s、及びステージ傾斜面70sの第二の実施例を示す模式的な断面図である。図49は、本実施の形態に係る貫通部材傾斜面21s、及びステージ傾斜面70sの第三の実施例を示す模式的な斜視図である。図50は、本実施の形態に係る貫通部材傾斜面21sの第四の実施例を示す模式的な断面図である。
【0206】
図46及び図47に示されるように、第一の実施例においては、対向面21uのうち半導体レーザ装置80からのレーザ光LBと対向する部分に平面状(つまり平坦な)の貫通部材傾斜面21sが形成されている。また、載置面70aのうち半導体レーザ装置80からのレーザ光LBと対向する部分に平面状のステージ傾斜面70sが形成されている。
【0207】
また、図47に示されるように、レーザ光LBの上下方向における発散角αに応じて、貫通部材傾斜面21sの及びステージ傾斜面70sの(上下方向に対して垂直な水平面に対する)傾斜角度β2を決定してもよい。例えば、半導体レーザ装置80の素子82としてGaN系、又はAlGaInAsP系で、発散角αが46度程度の半導体レーザ素子を用いる場合、傾斜角度β2を23度程度に設定してもよい。
【0208】
なお、図48に示される第二の実施例のように、傾斜角度β2を大きくしてもよい。これにより、測定装置90などが、ステージ70及びプローブユニット20と物理的に干渉することを低減できる。例えば、傾斜角度β2は、45度以上であってもよい。
【0209】
一方で、傾斜角度β2は、45度以下であってもよい。これにより、半導体レーザ装置80からステージ70に拡散する熱の経路を最大限に確保できる。したがって、ステージ70の放熱特性を高めることができる。
【0210】
また、図49に示される第三の実施例のように、貫通部材傾斜面21s及びステージ傾斜面70sは、レーザ光LBの上下方向の発散角α1及び水平方向の発散角α2に合わせて曲面状の形状を有してもよい。図49に示される例では、貫通部材傾斜面21s及びステージ傾斜面70sは、半導体レーザ装置80の発光点を頂点とする楕円錐の側面状の形状を有する。
【0211】
また、図50に示される第四の実施例のように、対向面21uが貫通部材傾斜面21sを有する場合、第一プローブ30が貫通する第一貫通孔26aが貫通部材傾斜面21sを貫通してもよい。同様に、第二プローブ40が貫通する第二貫通孔26bが貫通部材傾斜面21sを貫通してもよい。
【0212】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るプローブユニットについて説明する。本実施の形態に係るプローブユニットは、各プローブの形状において、実施の形態1に係るプローブユニット20と相違する。以下、本実施の形態に係るプローブユニットについて、実施の形態1に係るプローブユニット20との相違点を中心に図51図53を用いて説明する。
【0213】
図51及び図52は、それぞれ、本実施の形態に係るプローブユニット720の構成を示す模式的な上面図、及び断面図である。図52には、図51に示されるXXXXXII-XXXXXII線における断面が示されている。図53は、本実施の形態に係るプローブユニット720に配置された高さ調整部材50をステージ70に接触させた状態を示す模式的な断面図である。
【0214】
図51及び図52に示されるように、本実施の形態に係るプローブユニット720は、第一プローブ30及び第二プローブ40の形状において、実施の形態1に係るプローブユニット20と相違する。
【0215】
本実施の形態に係る第一プローブ30は、上面視において、第一プローブ30の下端31から第一偏位向きに偏位している第一偏位部34を有する。本実施の形態では、第一偏位向きは、Y軸方向正向きである。第一偏位部34は、第一プローブ30の上端32を含み、上下方向に対してY軸方向正向きに傾いている。
【0216】
本実施の形態に係る第二プローブ40は、上面視において、第二プローブ40の下端41から第二偏位向きに偏位している第二偏位部44を有する。本実施の形態では、第二偏位向きは、Y軸方向負向きである。第二偏位部44は、第二プローブ40の上端42を含み、上下方向に対してY軸方向負向きに傾いている。
【0217】
このような構成を実現するために、プローブユニット720のプローブ固定部材24に形成された第一固定用孔27aは、第一貫通孔26aの直上からずれた位置に配置されてもよいし、上下方向に対して傾いた方向に延在してもよい。同様に、第二固定用孔27bは、第二貫通孔26bの直上からずれた位置に配置されてもよいし、上下方向に対して傾いた方向に延在してもよい。
【0218】
以上のように、第一プローブ30及び第二プローブ40が、検査対象と接触することなしに、予め曲げられている。これにより、各プローブを座屈しやすくすることができるため、各プローブの下端の変位量に対する弾性復元力の線形性を高めることができる。つまり、各プローブのばね定数の変位量依存性を低減できる。したがって、弾性復元力の大きさを制御しやすくなる。また、各プローブが予め曲げられているため、各プローブの座屈の方向を制御できる。
【0219】
また、本実施の形態では、第一偏位向き及び第二偏位向きは、第一プローブ30及び第二プローブ40の配列方向とは、非平行である。図53に示されるように、第一プローブ30の座屈の方向は、第一偏位向きに平行となり、第二プローブ40の座屈の方向は、第二偏位向きに平行となるため、座屈によって、第一プローブ30及び第二プローブ40がそれらの配列方向に偏位することを抑制できる。したがって、第一プローブ30と第二プローブ40とが接触することを抑制できる。また、本実施の形態では、第一偏位向きは、第二偏位向きに対して逆向きである。これにより、図53に示されるように、座屈によって第一プローブ30が変位する向き(Y軸方向負向き)と、座屈によって第二プローブ40が変位する向き(Y軸方向正向き)が逆向きになるため、第一プローブ30と第二プローブ40とが座屈したときに、接触することを抑制できる。
【0220】
また、第一プローブ30は、第一偏位向きに平行な方向における振動を抑制することができ、第二プローブ40は、第二偏位向きに平行な方向における振動を抑制することができるため、プローブユニット720を搬送する場合には、第一偏位向き及び第二偏位向きは、搬送方向に平行であってもよい。これにより、プローブユニット720の搬送に伴う各プローブの振動を抑制できる。
【0221】
第一偏位向き及び第二偏位向きは、プローブユニット720を備える検査装置の搬送時における最大加速度方向に平行であってもよい。例えば、上術した検査システム1のように円周に沿って検査装置が搬送される場合には、各偏位向きは、円周の接線方向に平行であってもよい。これにより、プローブユニット720の搬送に伴う各プローブの振動を抑制できる。
【0222】
以上のような構成を有するプローブユニット720によっても、実施の形態1に係るプローブユニット20と同様に検査対象の損傷を抑制できる。
【0223】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るプローブユニットについて説明する。本実施の形態に係るプローブユニットは、主に各プローブの偏位向きにおいて、実施の形態2に係るプローブユニット720と相違する。以下、本実施の形態に係るプローブユニットについて、実施の形態2に係るプローブユニット720との相違点を中心に図54及び図55を用いて説明する。
【0224】
図54は、本実施の形態に係るプローブユニット720aの構成を示す模式的な断面図である。図55は、本実施の形態に係るステージ70に配置された高さ調整部材150のユニット接触面150bをプローブユニット720aに接触させた状態を示す模式的な断面図である。
【0225】
本実施の形態に係るプローブユニット720aにおいては、第一プローブ30の第一偏位向き(X軸方向負向き)及び第二プローブ40の第二偏位向き(X軸方向負向き)は、同じ向きであり、第一プローブ30及び第二プローブ40の配列方向(X軸方向)に平行である。この場合、図55に示されるように、第一プローブ30及び第二プローブ40の座屈の向きも同じ向きである。このためこのような構成においても第一プローブ30と第二プローブ40との接触を抑制できる。また、この構成においては、第一プローブ30と第二プローブ40との上下方向における間隔Δzを大きくしてもよい。この構成は、第二プローブ40の予め曲げている角度を、第一プローブ30の予め曲げている角度より大きくすることなどによって実現できる。これにより、第一プローブ30と第二プローブ40との接触をより一層抑制できる。
【0226】
また、本実施の形態では、高さ調整部材150は、ステージ70の載置面70aに配置される。ユニット本体21は高さ調整部材150対向する対向面21uを有する。ユニット接触面150b及び対向面21uの少なくとも一方は、粗面である。本実施の形態では、ユニット接触面150bが粗面である。このような構成によっても、高さ調整部材150にプローブユニット720aを押しつけることで、プローブユニット720aの対向面21uとステージ70の載置面70aとの間隔を精密に制御でき、かつ、プローブユニット720aの振動を抑制できる。
【0227】
また、本実施の形態に係る高さ調整部材150は、位置決め部156を有する。位置決め部156は、検査対象の位置決めのために用いられる部材であり、例えば、位置決め部156に検査対象を押し当てることで、検査対象を所定の位置に配置できる。
【0228】
以上のような構成を有するプローブユニット720aによっても、実施の形態1に係るプローブユニット20と同様に検査対象の損傷を抑制できる。
【0229】
(実施の形態4)
実施の形態4に係るプローブユニットについて説明する。本実施の形態に係るプローブユニットは、主に各プローブの形状において、実施の形態2に係るプローブユニット720と相違する。以下、本実施の形態に係るプローブユニットについて、実施の形態2に係るプローブユニット720との相違点を中心に図56及び図57を用いて説明する。
【0230】
図56は、本実施の形態に係るプローブユニット820の構成を示す模式的な断面図である。図57は、本実施の形態に係るプローブユニット820に配置された高さ調整部材50をステージ70に接触させた状態を示す模式的な断面図である。
【0231】
本実施の形態に係るプローブユニット820は、第一プローブ830及び第二プローブ840の形状において、実施の形態2に係るプローブユニット720と相違する。
【0232】
第一プローブ830は、上面視において、第一プローブ830の下端831から第一偏位向きに偏位している第一偏位部834を有する。上面視における第一プローブ830の上端832の位置と下端831との位置と間の距離は0である。つまり、上面視における第一プローブ830の上端832の位置と下端831との位置とは一致する。さらに言い換えると、上下方向に平行な軸830Aが第一プローブ830の下端831と上端832とを通る。本実施の形態では、第一プローブ830の第一偏位部834は、U字状の形状を有する。第一偏位向きは、X軸方向正向きである。
【0233】
第二プローブ840は、上面視において、第二プローブ840の下端841から第二偏位向きに偏位している第二偏位部844を有する。上面視における第二プローブ840の上端842の位置と下端841との位置と間の距離は0である。つまり、上面視における第二プローブ840の上端842の位置と下端841との位置とは一致する。さらに言い換えると、上下方向に平行な軸840Aが第二プローブ840の下端841と上端842とを通る。本実施の形態では、第二プローブ840の第二偏位部844は、U字状の形状を有する。第二偏位向きは、X軸方向負向きである。
【0234】
このような構成を有する各プローブでは、各プローブの下端が検査対象に接触して上向きに力を受けた場合、変形は各偏位部付近に集中する。このため、各プローブの各貫通孔に対応する部分における、上下方向に対して垂直な方向の変位を低減できる。したがって、各プローブとプローブ貫通部材23との摩擦を低減できる。
【0235】
また、本実施の形態では、第一偏位向きと第二偏位向きとが、第一プローブ830及び第二プローブ840の配列方向に平行である。しかしながら、第一偏位向きが第二プローブ840から遠ざかる向きであり、第二偏位向きが第一プローブ830から遠ざかる向きであるため、第一プローブ830と第二プローブ840との接触を抑制できる。
【0236】
(実施の形態5)
実施の形態5に係るプローブユニットについて説明する。本実施の形態に係るプローブユニットは、主に各プローブの偏位向きにおいて、実施の形態4に係るプローブユニット820と相違する。以下、本実施の形態に係るプローブユニットについて、実施の形態4に係るプローブユニット820との相違点を中心に図58図60を用いて説明する。
【0237】
図58図59、及び図60は、それぞれ、本実施の形態に係るプローブユニット820aの構成を示す模式的な上面図、第一の断面図、及び第二の断面図である。図59には、図58のXXXXXIX-XXXXXIX線における断面が示されている。図60には、図58のXXXXXX-XXXXXX線における断面が示されている。
【0238】
本実施の形態に係るプローブユニット820aは、第一プローブ830及び第二プローブ840の偏位向きにおいて、実施の形態4に係るプローブユニット820と相違する。
【0239】
第一プローブ830は、上面視において、第一プローブ830の下端831から第一偏位向きに偏位している第一偏位部834を有する。本実施の形態では、第一偏位向きは、Y軸方向正向きである。
【0240】
第二プローブ840は、上面視において、第二プローブ840の下端841から第二偏位向きに偏位している第二偏位部844を有する。本実施の形態では、第二偏位向きは、Y軸方向正向きである。
【0241】
本実施の形態では、第一偏位向きと第二偏位向きとが、同じ向きである。しかしながら、本実施の形態では、第一偏位向きと第二偏位向きとが、第一プローブ830及び第二プローブ840の配列方向に垂直である。このため、第一プローブ830と第二プローブ840との接触を抑制できる。
【0242】
(実施の形態6)
実施の形態6に係るプローブユニットについて説明する。本実施の形態に係るプローブユニットは、主に各プローブの本数において、実施の形態2に係るプローブユニット720と相違する。以下、本実施の形態に係るプローブユニットについて、実施の形態2に係るプローブユニット720との相違点を中心に図61図63を用いて説明する。
【0243】
図61図62、及び図63は、それぞれ、本実施の形態に係るプローブユニット920の構成を示す模式的な上面図、第一の断面図、及び第二の断面図である。図62には、図61のXXXXXXII-XXXXXXII線における断面が示されている。図63には、図61のXXXXXXIII-XXXXXXIII線における断面が示されている。
【0244】
本実施の形態に係るプローブユニット920は、第一プローブ30及び第二プローブ40の本数において、実施の形態2に係るプローブユニット720と相違する。
【0245】
プローブユニット920は、互いに電気的に並列接続された複数の第一プローブ30と、互いに電気的に並列接続された複数の第二プローブ40とを備える。図61図63に示される例では、プローブユニット920は、6本の第一プローブ30と3本の第二プローブ40とを備える。また、本実施の形態では、検査対象である半導体レーザ装置80は、サブマウント84の上面の素子82に対して一方側と他方側の両側に第一電極が配置されており、一方の第一電極に3本の第一プローブ30が接触され、他方の第一電極にも3本の第一プローブ30が接触される。また素子82の第二電極には、3本の第二プローブ40が接触される。
【0246】
これにより、半導体レーザ装置80を押さえつけるために必要な力を、複数の第一プローブ30及び複数の第二プローブ40で分担することができるため、各プローブが半導体レーザ装置80に加える力を低減できる。したがって、半導体レーザ装置80の損傷を低減できる。
【0247】
また、複数の第一プローブ30及び複数の第二プローブ40を用いて半導体レーザ装置80に電流を供給するため、より多くの電流を供給しやすくなる。
【0248】
また、本実施の形態では、実施の形態2に係るプローブユニット720と同様に、複数の第一プローブ30の各々は、第一偏位向き(Y軸方向正向き)に傾いており、複数の第二プローブ40の各々は、第二偏位向き(Y軸方向負向き)に傾いている。これにより、複数の第一プローブ30が互いに接触することを抑制でき、かつ、複数の第二プローブ40が互いに接触することを抑制できる。
【0249】
(実施の形態7)
実施の形態7に係るプローブユニットについて説明する。本実施の形態に係るプローブユニットは、プローブ以外に弾性部材を備える点において、実施の形態1に係るプローブユニット20と相違する。以下、本実施の形態に係るプローブユニットについて、実施の形態1に係るプローブユニット20との相違点を中心に図64図66を用いて説明する。
【0250】
図64及び図65は、それぞれ、本実施の形態に係るプローブユニット1020の構成を示す模式的な上面図、及び断面図である。図65には、図64のXXXXXXV-XXXXXXV線における断面が示されている。図66は、本実施の形態に係るプローブユニット1020に配置された高さ調整部材50をステージ70に接触させた状態を示す模式的な断面図である。
【0251】
本実施の形態に係るプローブユニット1020は、プローブ固定部材24に固定される第一弾性機構1035及び第二弾性機構1045を備える。
【0252】
第一弾性機構1035は、プローブ固定部材24に固定される第一弾性部材1037と、第一弾性部材1037を収容し、プローブ固定部材24に固定される第一筺体1036とを有する。本実施の形態では、第一弾性部材1037は、第一筺体1036を介してプローブ固定部材24に固定される。第一弾性部材1037は、上下方向の成分を含む方向において伸縮自在である。第一弾性部材1037は、例えば、つるまきばねであってもよい。
【0253】
本実施の形態では、第一プローブ30は、第一弾性部材1037を介してプローブ固定部材24に固定される。
【0254】
第二弾性機構1045は、プローブ固定部材24に固定される第二弾性部材1047と、第二弾性部材1047を収容し、プローブ固定部材24に固定される第二筺体1046とを有する。本実施の形態では、第二弾性部材1047は、第二筺体1046を介してプローブ固定部材24に固定される。第二弾性部材1047は、上下方向の成分を含む方向において伸縮自在である。第二弾性部材1047は、例えば、つるまきばねであってもよい。
【0255】
本実施の形態では、第二プローブ40は、第二弾性部材1047を介してプローブ固定部材24に固定される。
【0256】
このような構成において、第一弾性部材1037のばね定数を第一プローブ30のばね定数より小さくすることで、図66に示されるように、主として第一弾性部材1037の弾性復元力によって、検査対象である半導体レーザ装置80を押さえつけることができる。また、第二弾性部材1047のばね定数を第二プローブ40のばね定数より小さくすることで、図66に示されるように、主として第二弾性部材1047の弾性復元力によって、検査対象である半導体レーザ装置80を押さえつけることができる。
【0257】
したがって、必ずしも各プローブを座屈させる必要がないため、各プローブの下端の変位量に対する弾性復元力の線形性を高めることができる。つまり、弾性復元力の大きさを制御しやすくなる。
【0258】
本実施の形態では、第一弾性部材1037及び第二弾性部材1047は、上下方向の成分を含む方向において伸縮自在であり、上面視における、第一プローブ30の上端32の位置と下端31との位置と間の距離、及び、第二プローブ40の上端42の位置と下端41との位置との間の距離(図65に示される距離Dp)は、0より大きい。これにより、例えば、検査対象が微小であり、第一プローブ30の下端31と、第二プローブ40の下端41とを接近させる必要がある場合においても、第一プローブ30の上端32と、第二プローブ40の上端42との間の距離を、第一プローブ30の下端31と第二プローブ40の下端41との間の距離より大きくすることが可能となる。したがって、各プローブの先端の間隔より大きい弾性機構を各プローブの上端に取り付けることが可能となる。
【0259】
本実施の形態では、図65に示されるように、各プローブの上端付近が上下方向に対して角度θsだけ傾いている。これにより、第一プローブ30の上端32と、第二プローブ40の上端42との間の距離を増大させている。また、これに合わせて、第一弾性部材1037及び第二弾性部材1047は、上下方向に対して傾いた方向に伸縮してもよい。これにより、第一弾性部材1037と第二弾性部材1047との間の距離を増大することが可能となるため、各プローブの先端の間隔より大きい弾性機構を各プローブの上端に取り付けることが可能となる。
【0260】
(変形例など)
以上、本開示に係るプローブユニットなどについて、各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0261】
例えば、上記実施の形態1などにおいては、第一プローブ及び第二プローブが座屈現象を示したが、第一プローブ及び第二プローブの一方だけが座屈現象を示してもよい。
【0262】
また、上記各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0263】
本開示のプローブユニットなどは、特に、わずかな損傷が問題となる半導体レーザ装置などの検査において特に有効である。
【符号の説明】
【0264】
1、1a 検査システム
5、5a 搬送装置
10 検査装置
11 基台
12 支柱
13、15、17 スライドレール
14 上下移動部材
16 ユニット移動部材
18 接続ばね
19 ユニット支持部材
20、720、720a、820、820a、920、1020 プローブユニット
21、521、621 ユニット本体
21s 貫通部材傾斜面
21u、521u、621u 対向面
21v 空洞
23、123、223、423、523、623 プローブ貫通部材
24、524、624 プローブ固定部材
26a、126a、226a、426a、526a、626a 第一貫通孔
26b、526b、626b 第二貫通孔
27a、527a、627a 第一固定用孔
27b、527b、627b 第二固定用孔
28 接着剤
30、130、130a、230、330、430、830 第一プローブ
31、41、131、141、331、341、831、841 下端
32、42、832、842 上端
34、834 第一偏位部
36、46 導電体
38、48、338 絶縁膜
40、140、240、340、840 第二プローブ
50、150 高さ調整部材
50a ステージ接触面
50b、150b ユニット接触面
70 ステージ
70a 載置面
70s ステージ傾斜面
72 吸着孔
80 半導体レーザ装置
82 素子
82a 素子上面
82b 素子下面
82e 発光点
83 第二電極
84 サブマウント
84a 上面
84b 下面
85 第一電極
90 測定装置
92 受光部
123a、123c、123e、223a、223c ガイド部材
123b、123d、223b スペーサ
126aa、126ca、126ea、226aa、226ca 第一ガイド孔
126ba、126da、226ba 第一スペーサ孔
156 位置決め部
426P 第一凸部
426w 第一内壁
521t、621t 上面
523a、623a 第一上面
523b、623b 第二上面
524a、624a 第一下面
524b、624b 第二下面
830A、840A 軸
1035 第一弾性機構
1036 第一筺体
1037 第一弾性部材
1045 第二弾性機構
1046 第二筺体
1047 第二弾性部材
Fm 枠体
LB レーザ光
Pm 押し棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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