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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】遮光部材及び投写型映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/00 20060101AFI20240920BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20240920BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G03B21/00 F
G03B21/16
H04N5/74 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021537271
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2020029264
(87)【国際公開番号】W WO2021024908
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2019142976
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】大北 哲也
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-158862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0071405(US,A1)
【文献】特開2018-156874(JP,A)
【文献】特表2013-525861(JP,A)
【文献】特開2006-308992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0123163(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像光を投射する光学系と、
前記映像光を入射される投射レンズと、
遮光部材と、
前記遮光部材の反射光を吸収する第2の遮光部と、
前記第2の遮光部の熱を外気に放熱する放熱部とを有する放熱部材と、を備え、
前記遮光部材は、前記光学系と前記投射レンズとの間に配置され、
前記遮光部材は、
前記映像光のうち、前記投射レンズに不要な不要光の一部を吸収して熱に変換する第1の遮光部と、
前記第1の遮光部に入射した前記不要光とは異なる前記不要光を反射光として反射する反射部とを有し
前記遮光部材と前記第2の遮光部とは熱的に非接触である、
投写型映像表示装置
【請求項2】
前記反射部は、前記遮光部材に対して所定の傾斜角だけ傾斜されて配置される、
請求項1に記載の投写型映像表示装置
【請求項3】
前記反射部は、所定の曲率を有する曲面を有する、
請求項1に記載の投写型映像表示装置
【請求項4】
前記反射部を複数備える、
請求項1に記載の投写型映像表示装置
【請求項5】
前記複数の反射部は、前記遮光部材に対してそれぞれ異なる所定の傾斜角を有し、前記第1の遮光部に入射した前記不要光とは異なる前記不要光を、それぞれ異なる方向に向けて反射する、
請求項4に記載の投写型映像表示装置
【請求項6】
前記投射レンズと前記遮光部材とは一体形成される、
請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項7】
前記放熱部材と、前記投射レンズとは、一体形成される、
請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、投影型映像表示装置のための遮光部材、及び投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
投写型映像表示装置は、光源装置の光を照明光に変換する照明光学系と、照明光を映像光に変換して投射する投射光学系とで構成される。
【0003】
投写型映像表示装置において、光源装置からの光及び投射光学系を通過する光の一部は、映像投射に用いられない不要光となる。不要光が投写型映像表示装置の筐体又は他の装置部材等に照射されると、光又は熱による劣化を引き起こし得る。また、不要光が反射又は散乱されて迷光が発生し、映像光とともに投射されてしまうことがあり、これは映像の質を悪化させる原因となる。
【0004】
例えば特許文献1は、光束による劣化を抑制した光源装置を提供する。特許文献1に係る光源装置は、不要光を遮光する遮光膜を備える。遮光膜は反射率の低い黒色の部材で構成され、不要光を遮光及び吸収して熱に変換することで、装置劣化及び迷光の発生を抑制する。しかしながら、遮光膜により吸収された不要光は熱となり、遮光膜の温度を局所的に上昇させるため、過熱された遮光膜又は周辺部材が劣化する可能性がある。
【0005】
特許文献2の照明装置は、照明光路に配置された遮光手段の昇温を軽減し、画像情報を良好に投射することができる照明装置を開示する。特許文献2の照明装置は、光源手段と、光源手段から出射した光束を被照射面側に導光する照明光学系と、照明光学系を収納する光学ボックスと、光学ボックス内の照明光路に挿脱可能な遮光手段と、遮光手段を保持する保持部材とを有する。遮光手段は入射光束を反射する遮光部を有し、遮光部は波長550nmの光束に対する反射率が80%以上の金属材料より成り、保持部材は該光学ボックス外に延出する放熱部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-248174号公報
【文献】特開2011-221277号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示は、放熱性を従来技術と比較して高くしつつ迷光を減らすことが可能な、遮光部材及び投影型映像表示装置を提供する。
【0008】
本開示に係る遮光部材は、映像光を投射する光学系と、映像光を入射される投射レンズとを備える投写型映像表示装置のための遮光部材である。光学系と投射レンズとの間に配置される遮光部材は、映像光のうち、投射レンズに不要な不要光の一部を吸収して熱に変換する第1の遮光部と、不要光のうち、第1の遮光部により吸収されなかった光を反射光として反射する反射部とを備える。
【0009】
本開示に係る遮光部材等によれば、放熱性を従来技術と比較して高くしつつ迷光を減らすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る投写型映像表示装置の外観例を示す斜視図である。
図2図2は、図1の投写型映像表示装置の詳細構成例を示すブロック図である。
図3図3は、図2のデジタルミラーデバイス(DMD)における入射光と反射光との関係を示す斜視図である。
図4図4は、図2のDMDにおける入射光と反射光との関係を示す詳細断面図である。
図5図5は、図2の投射光学系の詳細構成例を示す断面図である。
図6図6は、図5の遮光板の拡大図である。
図7図7は、実施の形態2に係る投射光学系の詳細構成例を示す断面図である。
図8図8は、実施の形態3に係る投射光学系の詳細構成例を示す断面図である。
図9図9は、実施の形態4に係る投射光学系の詳細構成例を示す断面図である。
図10図10は、実施の形態5に係る投射光学系の詳細構成例を示す断面図である。
図11図11は、実施の形態6に係る投射光学系の詳細構成例を示す断面図である。
図12図12は、実施の形態7に係る投射光学系の詳細構成例を示す断面図である。
図13A図13Aは、実施の形態8に係る投射光学系の遮光板の詳細構成例を示す断面図である。
図13B図13Bは、実施の形態8に係る投射光学系の遮光板の詳細構成例を示す断面図である。
図13C図13Cは、実施の形態8に係る投射光学系の遮光板の詳細構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
(実施の形態1)
以下、図1図6を用いて、実施の形態1を説明する。図1は、実施の形態1に係る投写型映像表示装置101の外観例を示す斜視図である。図1に示すように、投写型映像表示装置101は、入力された映像信号に従って生成した映像光をスクリーンに投射して、映像102を投影する。
【0015】
図2は、図1の投写型映像表示装置101の詳細構成例を示すブロック図である。図1において、投写型映像表示装置101は、照明光学系200及び投射光学系300を有する。照明光学系200は、複数の青色レーザ光源211,221と、複数のコリメータレンズ212,222と、凸レンズ213,223,243,244,251,271,272と、拡散板214,224と、凹レンズ215,225と、ダイクロイックミラー231と、ロッドインテグレータ252と、蛍光体ホイール241と、カラーホイール261とを備える。
【0016】
図2において、複数の青色レーザ光源211,221は青色レーザ光を発生する。複数の青色レーザ光源211からの青色レーザ光はコリメータレンズ212によりコリメートされた後、凸レンズ213により集光され、拡散板214に青色光として入射する。拡散板214は入力された青色光を均一化する。均一化された青色光は凹レンズ215により平行化された後、ダイクロイックミラー231に入射される。
【0017】
ダイクロイックミラー231は、青色レーザ光の波長を有する光を透過し、他の波長を有する光を反射する。ダイクロイックミラー231は、青色レーザ光源211からの青色レーザ光の光軸に対して45度傾けて配置される。従って、凹レンズ215で平行化された青色光はダイクロイックミラー231を透過して凸レンズ244,243により集光される。集光された青色光は、蛍光体ホイール241の波長変換素子242に入射する。
【0018】
波長変換素子242は、蛍光体ホイール241と中心を共有する円周上に、所定の幅を有して配置され、異なる所定の励起特性をそれぞれ有する複数の蛍光体領域に分割されている。蛍光体ホイール241はモータ等により回転するため、複数の蛍光体領域のうち青色光が入射する領域は、時分割で選択的に切り替えられる。複数の蛍光体領域は、青色光が入射されて励起し、各蛍光体領域の励起特性に応じて例えば赤色及び緑色の蛍光を発生し、凸レンズ243の方向に投射する。
【0019】
蛍光体ホイール241からの蛍光は、凸レンズ243,244により平行化された後、再度ダイクロイックミラー231に入射される。上述の通り、ダイクロイックミラー231は赤色及び緑色の波長を有する光を反射する分光特性を持ち、かつ蛍光の光軸に対して45度傾いて配置されている。そのため、ダイクロイックミラー231は、蛍光の向きを凸レンズ251の方向に90度曲げて反射する。
【0020】
一方、複数の青色レーザ光源221からの青色レーザ光は、コリメータレンズ222によりコリメートされ、凸レンズ223により集光される。集光された青色レーザ光は、凹レンズ225により平行化された後、ダイクロイックミラー231を通過して、蛍光と同じ向きで凸レンズ251に入射する。凸レンズ251は、青色レーザ光源221からの青色光と、蛍光体ホイール241からの蛍光とを集光し、ロッドインテグレータ252に投射する。
【0021】
ロッドインテグレータ252は、入射された光を繰り返し全反射させて均一化して、カラーホイール261のカラーフィルタ(図示なし)に投射する。カラーフィルタは、カラーホイール261と中心を共有する円周上に所定の幅を有して配置され、複数のカラーフィルタ領域に分割されている。各カラーフィルタ領域は、入射された光のうち所定の波長を有する光のみを透過する。カラーホイール261はモータ等により回転するため、複数のカラーフィルタ領域のうち、ロッドインテグレータ252からの光が入射する領域は、時分割で選択的に切り替えられる。複数のカラーフィルタ領域は例えば、赤色光のみを透過する領域と、緑色光のみを透過する領域と、青色光のみを透過する領域と、入射光をそのまま透過する領域とを含む。
【0022】
ロッドインテグレータ252からの光はカラーホイール261のカラーフィルタを通過して、凸レンズ271,272により集光され、照明光として投射光学系300に投射される。この照明光は、青色レーザ光源221からの青色光と、蛍光体ホイール241からの蛍光とを含む。蛍光体ホイール241及びカラーホイール261は同一の周期で回転する。また、複数の蛍光体領域及び複数のカラーフィルタ領域は、1周期の時間で平均すると照明光が白色光となるような面積比率で構成される。
【0023】
投射光学系300は、デジタルミラーデバイス(DMD)310と、内部全反射プリズム321と、投射レンズ331と、遮光板400(遮光部材)とを備える。内部全反射プリズム321は、微小ギャップ322を挟んで組み合わせられた2つのプリズムから構成され、照明光学系200からの照明光をDMD310に向けて反射する。
【0024】
DMD310は、入射された照明光の一部を投射レンズ331の方向に向けて反射し、その反射光の一部は遮光板400に入射する。投射レンズ331は、DMD310からの反射光の光量を絞りによって調節し、映像光としてスクリーンに向けて投射する。投射レンズ331のうち、入射光が絞りによって遮られずに映像光として投射される領域を、投射レンズ331の入射瞳と呼ぶ。換言すると、投射レンズ331は、DMD310からの反射光のうち、投射レンズ331の入射瞳に入射した光を映像光としてスクリーンに投射して、映像102を表示する。
【0025】
ここで、DMD310からの反射光は、投射レンズ331の入射瞳以外の領域に入射すると、上述の絞り等による反射及び散乱を繰り返し、意図しない方向に進む迷光となる。投射レンズ331からの迷光が他の装置部材又は筐体(図示なし)に照射されると、装置部材又は筐体の光劣化、熱劣化及び変形等を引き起こし得る。また、迷光が投射レンズ331の入射瞳に入射して映像光とともに投射されるおそれがある。これは映像の質の悪化を招き、投写型映像表示装置101の良好な映像の表示を妨げる。この迷光の発生を防ぐために、遮光板400は、DMD310から投射レンズ331に向けて反射された光のうち、投射レンズ331の入射瞳以外の領域に向けて反射された光を遮り、その一部を放熱板500に向けて反射するともに、反射されなかった光を吸収して熱に変換する。
【0026】
図3は、図2のDMD310における入射光と反射光との関係を示す斜視図である。図3に示すように、DMD310のある1点に入射した入射光は、その点におけるDMD310の状態に応じて、オン光Lon、オフ光Loff、又は平面反射光Lfl等の反射光として互いに異なる方向に反射される(詳細後述)。
【0027】
図4は、図2のDMD310における入射光と反射光との関係を示す詳細断面図である。図4において、DMD310は、基板311と、複数のマイクロミラー312と、カバーガラス313とを備える。基板311及びカバーガラス313は、入射光Linの一部を平面反射光Lflとして反射する。
【0028】
マイクロミラー312は、入力された映像信号に従ってオン(図4では左に傾いた状態)とオフ(図4では右に傾いた状態)とを選択的に切り替えて、カバーガラス313を透過した入射光Linを反射する。マイクロミラー312がオンの場合、入射光Linはオン光Lonとして投射レンズ331の入射瞳の方向に反射され、映像光として投射レンズ331から投射される。マイクロミラー312がオフの場合、入射光Linはオフ光Loffとして、投射レンズ331のうちの入射瞳以外の領域に向けて反射された後、上述のように遮光板400により吸収されるか、又は遮光板400により反射されて放熱板500により吸収される。なお、DMD310から投射レンズ331の入射瞳に向けて反射されるオン光Lonは、本開示の「映像光」の一例である。
【0029】
図5は、図2の投射光学系300の詳細構成例を示す断面図である。図5において、遮光板400は、遮光部411(第1の遮光部材)と反射部412とを有する。遮光部411は、塗装またはめっき等による黒化処理が施され、入射された不要光の一部を吸収して熱に変換することで、光エネルギーを熱エネルギーに変換する。遮光部411は、例えば20%以下の、反射された光が無視できる程度に低い反射率を有する。反射部412は、例えば80%以上の、吸収された光が無視できる程度に高い反射率を有する。また、反射部412は、遮光板400に対して放熱板500の方向に傾斜角θaだけ傾斜されて配置されている。
【0030】
図5において、放熱板500(放熱部材)は、遮光部511(第2の遮光部)と、放熱フィン512(放熱部)とを備える。遮光部511は遮光部411と同様に黒化処理を施され、反射光を無視できる程度に低い反射率を有する。放熱フィン512は、熱伝導率が高い材料で構成され、隣接する遮光部511の熱を外気に放散する。
【0031】
以上のように構成された投写型映像表示装置101について、その動作を図5及び図6を用いて説明する。図5において、オン光L100は、DMD310(図示なし)からのオン光Lonである。オン光L100は内部全反射プリズム321に垂直に入射し、内部全反射プリズム321を透過して、向きを変えずに投射レンズ331に入射する。これによりオン光L100はスクリーンに投射され、映像102を映し出す。
【0032】
DMD310からのオフ光Loff及び平面反射光Lflを含む投射レンズ331に不要な光を、まとめて不要光L200と表す。不要光L200は内部全反射プリズム321を透過して、遮光板400に入射する。図5及びそれ以降において、不要光L200のうち、遮光板400の遮光部411に入射する部分を不要光L210で示し、反射部412に入射する部分を不要光L220で示す。
【0033】
不要光L210は、内部全反射プリズム321を通過して、遮光板400の遮光部411に入射する。遮光部411は低い反射率を有するため、不要光L210は遮光部411に吸収されて熱に変換される。不要光L210による熱は遮光部411を伝わり、遮光部411の表面から外気に放散される。
【0034】
不要光L220は、内部全反射プリズム321を通過して、遮光板400の反射部412に入射する。反射部412は高い反射率を有するため、不要光L220は反射部412に反射され、反射光L320として放熱板500の遮光部511に入射する。遮光部511は低い反射率を有するため、反射光L320は遮光部511に吸収されて熱となる。反射光L320(不要光L220)による熱は遮光部511及び放熱フィン512を伝わり、それらの表面から外気に放散される。
【0035】
図6は、図5の遮光板400の拡大図である。図6において、遮光板400の反射部412に入射する不要光L220は、角度θbの広がり角を有し、不要光L220の中心の光束L222は、遮光板400に対して入射角θcで遮光板400に入射しているとする。このとき、反射部412は遮光板400に対して傾斜角θaだけ傾斜されて配置されているため、光束L222は反射部412に対して角度(θa+θc)の入射角を有して入射する。従って、光束L222に対する反射光L322は、角度(θa+θc)の反射角で反射される。
【0036】
図6において、不要光L220のうち、最も大きい入射角を有する光束L221は、角度(θa+θc+θb)の入射角を有し、反射部412で反射されて反射光L321となる。また、不要光L220のうち、最も小さい入射角を有する光束L223は、角度(θa+θc-θb)の入射角を有し、反射部412で反射されて反射光L323となる。図6に示すように、反射光L321は遮光板400の遮光部411に吸収されて熱に変換される。
【0037】
以上のように、実施の形態1に係る投写型映像表示装置101は、デジタルミラーデバイス(DMD)310からのオフ光Loff及び平面反射光Lfl(不要光)の一部を遮光板400の遮光部411で吸収するとともに、一部を遮光板400の反射部412で反射してから放熱板500で吸収する。これにより、DMD310からの不要光L200は複数の地点に分散して吸収されるため、遮光板400の局所的な昇温を防ぎ、過熱による遮光板400又は周辺の装置部材の劣化を防ぐことができる。
【0038】
また、不要光L200は遮光板400及び放熱板500により吸収され、上述の通り、それらからの反射光は無視できる。従って、投射レンズ331に入射する迷光を従来技術に比較して低減し、良好な映像表示を行うことができる。さらに、不要光L200が有するエネルギーのうちの一部は、遮光板400の反射部412により反射された反射光の形で、光エネルギーとして放熱板500に伝搬する。光エネルギーの形で行われるエネルギー伝搬は、熱エネルギーの形で行われるエネルギー伝搬(例えば金属板による熱伝導、又はファンによる空気の強制対流等)と比較して、エネルギーの伝搬効率がよく、他の装置部材への影響も小さい。
【0039】
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2に係る投射光学系300Aの詳細構成例を示す断面図である。図7において、遮光板400Aは、遮光板400と比較して以下の点で異なる。
(1)反射部412Aは複数の領域に分割されている。
(2)複数の反射部412Aは、遮光板400Aに対してそれぞれ異なる角度を有して配置される。
【0040】
図7において、不要光L220は、複数の反射部412Aのいずれかに入射して反射され、反射光L320Aとして放熱板500の遮光部511に吸収される。このとき、複数の反射部412Aの角度をそれぞれ異なる値に設定することで、反射光L320Aを遮光部511(又は遮光板400Aの遮光部411A)のどの点に入射させるかを任意に設定することができる。従って、放熱板500の離れた複数の点において反射光L320Aを吸収させることにより、放熱板500の局所的な発熱を抑え、効率的な放熱を行うことができる。また、反射光L320Aが入射する領域を狭く設定することにより、省スペース化を図ることができる。
【0041】
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に係る投射光学系300Bの詳細構成例を示す断面図である。図8において、投射光学系300Bは、投射光学系300Aと比較して以下の点で異なる。
(1)複数の放熱板500Bを備える。
【0042】
放熱板500Bは、遮光部511Bと、放熱フィン512Bとを有する。放熱板500Bは同一形状であるが、互いに異なる形状であってもよい。
【0043】
図8において、遮光板400Bは、遮光部411Bと複数の反射部412Bとを有する。複数の反射部412Bは、図7の反射部412Aと同様に、それぞれ異なる角度を設定される。従って、不要光L220が反射された反射光L320Bは、異なる放熱板500Bの遮光部511Bに入射して吸収される。従って、反射光L320Bが入射する領域を複数分割し、かつ複数の箇所から放熱を行うことにより、放熱板500Bの局所的な発熱を抑えることができる。また、複数の放熱板500Bの配置は、実施の形態1及び2の場合と比較して自由度が高く、他の装置部材との位置関係を調整することにより、投写型映像表示装置101全体を小型化することができる。
【0044】
(実施の形態4)
図9は、実施の形態4に係る投射光学系300Cの詳細構成例を示す断面図である。図9において、投射光学系300Cは、図5の投射光学系300と比較して、以下の点で異なる。
(1)遮光板400Cと放熱板500Cが一体化している。
【0045】
遮光板400Cは、遮光部411Cと、反射部412Cとを有する。放熱板500Cは、遮光部511Cと、放熱フィン512とを有する。
【0046】
図9において、不要光L210は遮光板400Cの遮光部411Cに入射して吸収され、熱となる。この熱は遮光部411Cを介して放熱板500Cの遮光部511Cに伝わり、放熱フィン512を用いて効率的に放熱される。また、不要光L220が反射された反射光L320Cは、遮光部511Cに入射して吸収され、放熱フィン512を用いて効率的に放熱される。これにより、投射光学系300よりも少ない部品点数で、投射光学系300よりも高い放熱効果を得ることができる。
【0047】
(実施の形態5)
図10は、実施の形態5に係る投射光学系300Dの詳細構成例を示す断面図である。
【0048】
図10において、投射光学系300Dは、図5の投射光学系300と比較して、遮光板400Dと投射レンズ331Dが一体化しているという点で異なる。遮光板400Dは、遮光部411Dと反射部412Dとを有する。
【0049】
不要光L220は、反射部412Dに入射して反射され、反射光L320Dとして遮光部511に吸収される。
【0050】
これにより、投射光学系300よりも少ない部品点数で、投射光学系300と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(実施の形態6)
図11は、実施の形態6に係る投射光学系300Eの詳細構成例を示す断面図である。図11の投射光学系300Eは、図5の投射光学系300と比較して、放熱板500Eと投射レンズ331Eとが一体化しているという点で異なる。放熱板500Eは、遮光部511Eと、放熱フィン512とを有する。
【0052】
不要光L220は、反射部412に入射して反射され、反射光L320Eとして遮光部511Eに吸収される。
【0053】
これにより、図5の投射光学系300よりも少ない部品点数で、投射光学系300と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(実施の形態7)
図12は、実施の形態7に係る投射光学系300Fの詳細構成例を示す断面図である。図12の投射光学系300Fは、図9の投射光学系300Cと比較して、放熱板500Fと遮光板400Fと投射レンズ331Fとがすべて一体化している。
【0055】
遮光板400Fは、遮光部411Fと、反射部412Fとを有する。放熱板500Fは、遮光部511Fと、放熱フィン512とを有する。
【0056】
不要光L210は、遮光部411Fに入射して吸収され、熱となる。この熱は遮光部411Fを介して遮光部511Fに伝わり、放熱フィン512を用いて効率的に放熱される。また、不要光L220が反射された反射光L320Fは、遮光部511Fに入射して吸収され、放熱フィン512を用いて効率的に放熱される。
【0057】
これにより、図5図7図10の投射光学系300,300A~300Eと比較して、さらに少ない部品点数で、それらと同様の効果を得ることができる。
【0058】
(実施の形態8)
図13A図13Cは、実施の形態8に係る投射光学系300Gの遮光板400Gの詳細構成例を示す断面図である。図13Aにおいて、投射光学系300Gの図示されてない部分は、実施の形態1~7における投射光学系300同様である。図13Aの遮光板400Gは、遮光部411Gと、反射部412Gとを有する。遮光板400Gは、図5の遮光板400と比較して、反射部412Gが凹曲面を有するという点で異なる。図13Aでは、遮光板400Gの反射部412Gの下部に入射した不要光L220と、不要光L220が反射された反射光L320Gの光路を示す。
【0059】
図13Aにおいて、不要光L220は図6と同様に、遮光板400Gに対して角度θcの入射角を有して入射し、角度θbの広がり角を有するとする。図13Aでは、不要光L220のうち、中心の光を光束L222で示し、入射角が最も大きい光を光束L221で示し、入射角が最も小さい光を光束L223で示す。また、反射部412Gの曲面は、不要光L220が入射する点において、遮光板400Gに対して角度θa1だけ傾いているとする。
【0060】
この場合、入射角が最も大きいである光束L221は、反射部412Gに対して角度(θa1+θc+θb)の入射角を有して入射し、同じ角度の反射角を有して反射される(反射光L321)。同様に、中心の光である光束L222は角度(θa1+θc)の入射角及び反射角を有して反射部412Gに入射及び反射される(反射光L322)。また、入射角が最も小さい光である光束L223は角度(θa1+θc-θb)の入射角及び反射角を有して反射部412Gに入射及び反射される(反射光L323)。
【0061】
図13Bは、不要光L200が図13Aの反射部412Gの中央付近に入射した場合の光路を示す断面図である。図13Bは、反射部412Gの曲面が、不要光L220が入射する点において、遮光板400Gに対して角度θa2だけ傾いていることを除き、図13Aと同様の図である。また、図13Cは不要光L200が図13Aの反射部412Gの上部に入射した場合の光路を示す断面図である。図13Cは、反射部412Gの曲面が、不要光L220が入射する点において、遮光板400Gに対して角度θa3だけ傾いていることを除き、図13Aと同様の図である。ただし、角度θa1,θa2,θa3の間には、次式が成り立っている。
θa1>θa2>θa3
従って、反射部412Gの下部に入射した入射角の小さい光束L223と、反射部412Gの上部に入射した入射角の大きい光束L221との間の角度は、反射部412Gで反射すると、反射部412に入射した入射角の小さい光束L223と、反射部412に入射した入射角の大きい光束L221との間の角度より(θa1-θa3)だけ小さくなる。このように、反射部412Gを凹曲面とすることにより、不要光L220の広がり角を小さくすることができる。また、逆に反射部412Gを凸曲面とすれば、不要光L220の広がり角を大きくすることができる。このように、反射部412Gに所定の曲率を有する曲面を用いることで、例えば放熱板500の中央に近いほど高い放熱効率を有する等の、放熱板500の放熱特性に応じて、放熱板500に入射する反射光L320Gの分布を調整することができる。
【0062】
(他の実施の形態)
なお、実施の形態1~7では、反射部412,412A~412Fを傾斜角θaだけ傾斜させた実施例を説明した。しかしながら、傾斜角θaを0として傾斜させない場合でも、不要光の一部を反射して放熱板で吸収することで発熱点を分散するという効果を得ることができる。また、遮光板400,400A~400Gは、本開示の「遮光部材」の一例であり、放熱板500,500C,500E,500Fは、本開示の「放熱部材」の一例である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示は、プロジェクタ等の投写型映像表示装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
101 投写型映像表示装置
102 映像
200 照明光学系
300,300A,300B,300C,300D,300E,300F,300G 投射光学系
310 デジタルミラーデバイス(DMD)
311 基板
312 マイクロミラー
313 カバーガラス
400,400A,400B,400C,400D,400F,400G 遮光板
411,411A,411B,411C,411D,411F,411G 遮光部
412,412A,412B,412C,412D,412F,412G 反射部
500,500B,500C,500E,500F 放熱板
511,511B,511C,511E,511F 遮光部
512,512B 放熱フィン
Lin 入射光
Lon,L100 オン光
Loff オフ光
Lfl 平面反射光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C