(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】針供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20240920BHJP
B65G 47/24 20060101ALI20240920BHJP
B65B 35/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65G47/14 D
B65G47/24 Z
B65B35/06
(21)【出願番号】P 2022007813
(22)【出願日】2022-01-21
【審査請求日】2023-10-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591237559
【氏名又は名称】株式会社オーテックメカニカル
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100197996
【氏名又は名称】中村 武彦
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 邦秀
(72)【発明者】
【氏名】若杉 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 照美
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-022119(JP,U)
【文献】特開昭61-178317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
B65G 47/24
B65B 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された針を多数収容する針収容部、前記収容された針を下方に導く針排出ガイド部および前記針収容部の下端に設けられ前記針排出ガイド部で導かれた針を排出する針排出口を有する針集積部と、針集積部から供給される針を収容する凹部が設けられる針搬送機構と、前記針集積部
の針排出口と前記針搬送機構の凹部との間に配置される針供給路と、を備え、
前記針排出口は、前記針排出ガイド部で導かれた針の長さ方向に沿う開口長さと前記針の幅方向に沿う開口幅とを有し、
前記針供給路は、上端に前記針排出口に近接して配置される針の入口を有し、且つ前記針の入口が
前記針排出口に対して
前記開口幅方向に揺動する針供給装置。
【請求項2】
投入された針を多数収容する針収容部、前記収容された針を下方に導く針排出ガイド部および前記針収容部の下端に設けられ前記針排出ガイド部で導かれた針を排出する針排出口を有する針集積部と、針集積部から供給される針を収容する凹部が設けられる針搬送機構と、前記針集積部の針排出口と前記針搬送機構の凹部との間に配置される針供給部材と、を備え、
前記針供給部材は、上端から下端まで延びる一筋の溝条によって形成される針供給路を有し、
前記針排出口は、前記針排出ガイド部で導かれた針の長さ方向に沿う開口長さと前記針の幅方向に沿う開口幅とを有し、
前記針供給路の上端に設けられた針の入口が前記針排出口に近接して配置されると共に、前記針の入口が前記針排出口に対して前記開口幅方向に、前記針供給部材が揺動する針供給装置。
【請求項3】
前記
針排出ガイド部は、前記針排出口に向かう傾斜面を有し、針集積部に供給された針が前記傾斜面によって針排出口に導かれる請求項1又は2に記載の針供給装置。
【請求項4】
前記針供給路は、前記針集積部の針排出口から前記針搬送機構の凹部まで鉛直方向に延び、前記針集積部の針排出口から供給された針をその自重によって前記針搬送機構の凹部まで導く請求項1又は2に記載の針供給装置。
【請求項5】
前記針供給部材は、前記針供給路の下端付近を回転中心として揺動する請求項
2に記載の針供給装置。
【請求項6】
前記針供給部材は、その上面部が針供給部材の上端に設けられた針の入口を含んで円弧状に形成されている請求項
2に記載の針供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造工程において多数の針を整列させると共に、途切れることなく1本ずつ連続して次工程に供給する針供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
棒状部材を扱う製造工程においては、多数の棒状部材の中から1本ずつ取り出して、連続して次工程に供給する必要がある。このような作業を自動的に効率よく行うために各種の搬送装置が用いられている。
【0003】
従来、多数の棒状部材の搬送装置としては、ホッパー等に集積された棒状部材を重力により下方に移動させ、凹部に収めることにより整列させて次工程に供給する構成を備えたものが多い。
【0004】
例えば、特許文献1には、集積された多数の棒状部材を斜面上で移動させて、斜面の下方に配置された凹部に収め、凹部が移動することにより次工程に供給する装置が開示されている。前記棒状部材は斜面上を転がり落ち、棒状部材が一つだけ収まる凹部に収容されることにより、多数の棒状部材の中から1本のみが選り分けられると共に整列され次工程に供給されるようになっている。
【0005】
また、特許文献2には、供給シュート内に整列された棒状部材が下方に移動して、供給シュートの下部に配置された凹部に収められ、凹部が移動することにより次工程に供給される装置が開示されている。前記棒状部材は、供給シュート内で1列に整列されているので、多数の棒状部材の中から確実に1本ずつ取り出して次工程に供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-187948号公報
【文献】特開2015-724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された搬送装置にあっては、棒状部材が針の様に細長い場合には、粘着性の付着物や磁化などの影響により、一つの凹部で複数の針が搬送されてしまう恐れがある。また、斜面上を移動する針の個数が減ってきた場合は、凹部付近に集まる針を凹部に対して平行に維持することが難しくなり、凹部への収容が困難となる。さらに、斜面上を転がり落ちた針が凹部に収まるか否かは確率の問題でもあり、凹部に針が収容されていない状態でも供給装置が稼働を続けるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に記載された搬送装置にあっては、棒状部材の姿勢を水平に維持したまま供給シュート内を移動させることが難しく、棒状部材の姿勢が縦方向に変動することにより、供給シュートの下部で目詰まり起こす恐れがある。
【0009】
そこで本発明の目的は、多数の針を、収容する側の配列形態に応じた姿勢に保ちながら移動させ、途切れることなく1本ずつ連続して供給する針の供給装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る針供給装置は、投入された針を多数収容する針収容部、前記収容された針を下方に導く針排出ガイド部および前記針収容部の下端に設けられ前記針排出ガイド部で導かれた針を排出する針排出口を有する針集積部と、針集積部から供給される針を収容する凹部が設けられる針搬送機構と、前記針集積部の針排出口と前記針搬送機構の凹部との間に配置される針供給路と、を備え、前記針排出口は、前記針排出ガイド部で導かれた針の長さ方向に沿う開口長さと前記針の幅方向に沿う開口幅とを有し、前記針供給路は、上端に前記針排出口に近接して配置される針の入口を有し、且つ前記針の入口が前記針排出口に対して前記開口幅方向に揺動する。
【0011】
また、本発明に係る針供給装置は、投入された針を多数収容する針収容部、前記収容された針を下方に導く針排出ガイド部および前記針収容部の下端に設けられ前記針排出ガイド部で導かれた針を排出する針排出口を有する針集積部と、針集積部から供給される針を収容する凹部が設けられる針搬送機構と、前記針集積部の針排出口と前記針搬送機構の凹部との間に配置される針供給部材と、を備え、前記針供給部材は、上端から下端まで延びる一筋の溝条によって形成される針供給路を有し、前記針排出口は、前記針排出ガイド部で導かれた針の長さ方向に沿う開口長さと前記針の幅方向に沿う開口幅とを有し、
前記針供給路の上端に設けられた針の入口が前記針排出口に近接して配置されると共に、前記針の入口が前記針排出口に対して前記開口幅方向に、前記針供給部材が揺動する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の針供給装置によれば、針集積部から針供給路内に供給された針が、針の全長よりも短い直進経路の中を移動するので、針の姿勢を略水平に保ちながら移動させることができる。
【0013】
また、本発明の針供給装置によれば、針供給路の針の入口が針排出口に近接して配置され、且つ、針の入口が針排出口に対して揺動するので、針集積部内に集積されている針の全てをスムーズに針供給路に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態における針供給装置の概略図である。
【
図3】前記針供給装置における針搬送機構の拡大図である。
【
図4】前記針供給装置における溝形成部材の拡大図である。
【
図5】前記針供給装置における針供給部材の揺動機構を説明するための図である。
【
図6】前記針供給装置における曲進経路の作用を示す図である。
【
図7】本発明の第2実施形態における針供給装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の針供給装置について、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、針供給装置および針供給装置の周辺部材を模式的に表したものであり、これらの実物の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1には本発明の第1実施形態に係る針供給装置1と、針供給装置1の下方に配置されたベルトコンベヤ27が示されている。針供給装置1には、注射器本体(図示せず)に装着するため針を上方から投入することができる。投入された針は、針供給装置1の内部において、次工程のベルトコンベア27の配列形態に合った姿勢に補正され、下方のベルトコンベア27に1本ずつ連続して供給され、ベルトコンベア27によって次工程に搬送される。なお、前記針供給装置1は背面に配置されたベース板2に固定されている。
【0017】
前記針供給装置1は、針4が投入される針集積部3と、針集積部3から供給される針4を次工程に搬送する針搬送機構5と、針集積部3と針搬送機構5との間に配置された針供給部材6と、を備えている。
【0018】
針集積部3には、上方から針4が投入される針投入口7と、針4を多数収容する針収容部8と、針4を下方に案内する針排出ガイド部9と、針集積部3の下方に開口し針を排出する針排出口10とが設けられている。
【0019】
針投入口7は、針集積部3の上方に略コ字形状に開口している。針投入口7の短辺7aは、針4の長さと同等か、または針4の長さよりも短く設定することができる。針投入口7に投入される針4は、針投入口7の短辺7aの方向に沿って針収容部8の内部に収容される。針4は、針投入口7の長辺7bに対しては略直角に収容されており、この実施形態では針の一端が針収容部8から外方へ突出している。
【0020】
針収容部8は、ベース板2に固定される背面板11と、背面板11から直角に立上げられ針収容部8の内部空間を形成する右側面板12と左側面板13とを備えている。右側面板12と左側面板13とは、針収容部8に収容される針4の幅方向への落下を防止している。
【0021】
図2に示されるように、針収容部8の下方には、針排出ガイド部9が設けられている。針排出ガイド部9は、針収容部8の横幅方向の内側に近づくにつれて、下方に傾斜する一対の傾斜面14を備えている。傾斜面14は、針収容部8の下方に位置する針排出口10に向かって傾斜しているため、針投入口7から投入された針4が、傾斜面14によって針排出口10に導かれる。正面視において略V字形状をなす一対の傾斜面14の内角は鈍角に設定されている。針収容部8に集積された針4の圧縮された重みを一対の傾斜面14に伝わりにくくし、複数の針4が互いに噛み合うことを防ぐためである。針4同士の噛み合いを防止することにより、針排出口10から途切れることなく連続して針4を排出することができる。
【0022】
針排出ガイド部9には、水平に形成された一対の底面15が設けられている。一対の底面15が同一の高さに形成されることにより、針排出口10を水平に開口することができる。
【0023】
図3(a)に示されるように、針搬送機構5は、中心部に回転駆動部16が接続された円形の回転ドラム17を備えている。回転ドラム17には、外周部18に針4を収容する複数の凹部20が設けられている。凹部20は、回転ドラム17の外周部18に沿って等間隔に複数配置されている。
図3(b)に示されるように、凹部20は、正面視においてU字形に形成されている。U字形状の入り口部分は、平行なストレート壁20aにより形成されており、後述する針供給路22と略同一の幅を有している。凹部20の溝底部分には、針の外形よりも大きな円弧状の保持部20bが形成されている。このため、凹部20に収容された針4は、円弧形状の保持部20bの底に接触することができ、安定して保持される。なお、凹20の保持部20bの底には、針を吸引するための吸引孔(図示せず)を設けることもできる。外部の吸引装置と吸引孔を連結することにより吸引孔に吸引力を発生させて針4を吸引保持することができる。
【0024】
さらに、回転式ドラム17には、外周部18の一部を覆う針落下防止カバー19を備えることもできる。針落下防止カバー19には、回転ドラム17の外周部18に沿った形状の円弧部19aが形成されている。円弧部19aは、回転ドラム17の頂点近傍から最下点近傍までを覆っている。このため針落下防止カバー19を用いた場合は、前述の吸引孔による針4の吸引保持と併せて凹部20に収納された針4の落下を防止しながら、針4を回転ドラム17の頂点から最下点まで移動させることができる。
図1に示されるように、回転ドラム17の最下点まで搬送された針4は、回転ドラム17の下方を通過するベルトコンベヤ27上に移送される。
【0025】
図4に示されるように、針集積部3に設けられる針排出口10と針搬送機構5の凹部20との間に配置される針供給部材6は、長く延びる一筋の溝条23からなる針供給路22を形成する一対の溝形成部材21a、21bを備えている。
【0026】
溝形成部材21a、21bは、それぞれ上下方向に細長い直方体形状をしており、針集積部3と針搬送機構5との間に左右一対設けられている。溝形成部材21a、21bは、それぞれの背面がベース板2に固定され、ベース板2からの突出高さは傾斜面14および回転ドラム17とほぼ同一に設定されており、針4の長さよりも短い奥行寸法を有している。また溝形成部材21a、21bは、各々が針4の長さの数倍の高さを有している。また
図4(b)および
図4(c)に示されるように、溝形成部材21a、21bには、互いに対向する内面側に凹凸側面部21c、21dがそれぞれ設けられている。凹凸側面部21c、21dは、それぞれに形成される凹部と凸部が互いに対応しており、また全体に亘って平滑な面を形成している。そのため、溝形成部材21a、21bを近接配置して針供給部材6を構成したときに、凹凸側面部21c、21dが互いに平行となって一定の溝幅からなる針供給路22を形成する。
【0027】
溝形成部材21a、21bにて構成される針供給部材6の上面部21eは、単一の円弧を形成している。形成される円弧の半径は、直方体形状をしている溝形成部材21a、21bの、上下方向の長さとほぼ同一に設定されている。溝形成部材21a、21bにて構成される針供給部材6の下面部21fは、三角形の頂点を下向きにした突起状に形成されている。下向きの三角頂点部21gは、回転ドラム17の頂点の近傍に配置されている。したがって、溝形成部材21a、21bにて構成される針供給部材6の下面部21fは、幅方向の外側に行くほど回転ドラム17の外周部18との距離が広がっている。なお、針供給部材6の下面部21fは、下面の中心を頂点とする円弧状に形成されていても良い。
【0028】
針供給路22は、針集積部3の下部に設けられる針排出口10と針搬送機構5の凹部20との間に配置されている。針供給路22は、針供給部材6の上端から下端まで延びる一筋の溝条23によって形成されている。溝条23の上端には、針排出口10に近接して配置された針の入口である針進入口23aが設けられている。溝条23の下端には、針搬送機構5の凹部20に近接して配置された針の出口である針進出口23bが設けられている。
【0029】
前記溝条23は、互いに対向する凹凸面を有する凹凸側面部21cおよび21dを、一定の間隔を空けて配置することにより、上端の針進入口23aから下端の針進出口23bまで同一の溝幅によって形成される。溝条23は、針集積部3の針排出口10の近傍から針搬送機構5の凹部20の近傍まで、後述する直進経路と曲進経路とによって鉛直方向に延びている。このため針集積部3の針排出口10から供給された針4は、その自重によって針搬送機構5の凹部20まで導かれる。
【0030】
針4を鉛直方向に移動させる溝条23は、溝幅が針4の直径よりも若干広めに設定されている。前述のように針供給部材6は、針4の長さよりも短い奥行寸法W1を有している。従って、針排出口10から溝条23へ移動した針は、溝条23から突出した状態で鉛直方向に下方に向けて移動する。
【0031】
前記針進入口23aは、円弧形状からなる針供給部材6の上面部21eに開口している。上面部21eの円弧形状の頂点は、針排出口10と同じ高さに、且つ、針排出口10の中央に配置されている。このように、針供給路22の上端に設けられた針の入口である針進入口23aは、針排出10に近接して配置されており、針4を針排出口10からスムーズに取り込むことができる。また、針進入口23aは、背面板11に対して直角に開口している。このため針進入口23aは、傾斜面14において背面板11に対して直角に整列された針4を、そのままの姿勢で取り込むことができる。
【0032】
前記針供給路22の下端に設けられる針進出口23bは、回転ドラム17の凹部20の上方に近接して配置されている。また、
図3(b)に示されるように、針進出口23bの水平方向の幅の中心26は、回転ドラム17の凹部20の水平方向の中心と一致している。このため溝条23を鉛直方向に下方に向けて移動してきた針4は、針進出口23bから回転ドラム17の凹部20へと他の部材に衝突することなく滑らかに移動していく。
【0033】
この実施形態において、前記一筋の溝条23には、直線状に形成された直進経路24と、直進経路24に対してくの字状に折れ曲がった曲進経路25とが設けられている。直進経路24は、少なくとも溝条23の上部および下部にそれぞれ設けられている。針供給部材6の上部に位置する直進経路24aは、針進入口23aから下方へ直線状に延び、直進経路24の下方へ連続して設けられる曲進経路25へと接続されている。また、曲進経路25は直進経路24の途中に複数設けられ、折れ曲がる方向が互い違いになっている。
【0034】
針供給部材6の下部に位置する直進経路24bは、円形状の回転ドラム17の頂点上に位置している。針供給部材6の上部および下部には直進経路24a、24bが形成されていることにより、針供給路22への針4の進入および進出を容易にしている。また、鉛直方向に延びる直進経路24bには、複数の針4が自重により隙間なく整列されている。このため針搬送機構5の凹部20には、途切れることなく連続して針4が供給される。
【0035】
前記曲進経路25は、溝条23の上部と下部に設けられる直進経路24a,24bの間に三ヶ所設けられている。曲進経路25は、直進経路24の進行方向から逸れる方向に設けられている。逸れる方向とは、曲進経路25が直進経路24と異なる進行方向を有していることを指す。本実施形態では、直進経路24に対してくの字状に折れ曲がっている。折れ曲がる角度は、鉛直方向下方に延びる直進経路24の進行方向に対して約30~60度が望ましい。針供給路22を一列ごとに移動する針の進行を滑らかにするためである。なお、針供給路22には少なくとも一つの曲進経路25が形成されていればよい。
【0036】
このように曲進経路25は、直進経路24と同一の溝幅を保ったまま直進経路24に対して進路を変えている。このため
図4に示されるように、直進経路24と曲進経路25との境界部分において、凸状の壁部28bが形成されている。
図7に示されるように、針収容部8の針排出口10から供給された針4は、溝条23の直進経路24の内部の平面状の壁部28aに沿って自重により移動して、曲進経路25の内部の凸状の壁部28bと接触することにより水平な姿勢に整列されて針搬送機構5の凹部20まで導かれる。
【0037】
また、この実施形態においては、直進経路24および曲進経路25の奥行寸法W1は、針4の長さより短いので、針4が溝条23から先端部分を手前に突出した状態で移動していく。このように針4の先端部分が溝条23から突出することにより、溝条23と針4の針先との接触を防ぎ、鋭利な針先を保護する他、針4の移動状況を目視で確認し易くなる。
【0038】
なお、曲進経路25は、直進経路24に対して湾曲状(図示せず)に形成されていてもよい。湾曲状に形成された曲進経路は、直進経路と交互に配置されていても良い。また、直進経路を設けずに湾曲状の曲進経路のみが連続して配置されていても良い(図示せず)。さらに、溝条23に複数の直進経路24と複数の曲進経路25が設けられている場合、曲進経路25の間に設けられる直進経路24の距離は、針4の全長より短く設定されている。溝条23を移動する針4は、凸状の壁部28bとの接触により水平姿勢に整列される。針4は、その後凸状の壁部28bの下方に連なる直進経路24内を移動していく。直進経路24の距離を針4の全長より短くすることにより、針4は、直進経路24内で縦方向に姿勢が変化する前に、再度凸状の壁部28bに到達することができるため、姿勢を水平に戻すことができる。
【0039】
図2に示されるように、針供給部材6には、針供給部材6を揺動運動させるための揺動用回転駆動部32を設けることもできる。揺動用回転駆動部32は、ベース板2を挟んで針供給部材6の裏側に設けられている。
図5に示されるように、揺動用回転駆動部32は、針供給部材6を左右方向に回転させることにより、針の入口である針進入口23aを針排出口10に対して揺動させることができる。
図5に示されるように、針進入口23aの左右方向の揺動幅W2は、針排出口10の幅寸法W3に対して同等以上に設定することもできる。前記揺動幅W2を前記幅寸法W3以上とした場合は、針の入口である針進入口23aを、針排出口10の幅寸法W3の全幅に亘って往復運動させることができる。集積した針4は、傾斜面14によって全数が針排出口10に導かれる。このため針投入口7から投入された針4は、針収容部8に残ることなく全数が針進入口23aにスムーズに取り込まれる。
【0040】
また、
図5に示されるように、針供給部材6は、針供給部材6の下端付近を回転中心26として揺動させてもよい。この回転中心26は、
図3(b)で示した針進出口23bの水平方向の幅の中心26と同じ位置であってもよい。また、回転中心26は、針進出口23bの最下端に設けることもできる。回転中心26を上記の位置に設けることにより、針進出口23bにおける揺動運動に伴う振れを最小限に抑えることができ、回転ドラム17に設けられた凹部20への針4の移送が確実なものとなる。
【0041】
一方、針供給部材6の上面部21eは、単一の円弧を形成しており、前記回転中心26を設けることにより、前記円弧の揺動運動が可能になる。さらに針供給部材6の上面部21eの円弧方向の中心部分には、針進入口23aが設けられている。前記円弧の頂点は、針排出口10の底面15と同一の高さに配置されている。このため、針進入口23aは針排出口10と同一の高さにおいて、前記円弧に沿った揺動運動をする。針は、針供給装置1の上方より投入され針収容部8に集積される。針収容部8に集積された針のうち、下方の針排出口10付近に集積された針は、複数の針の集積による鉛直荷重が作用し互いに噛み合う場合がある。このとき互いに噛み合った針には、針排出口10に向かう一対の傾斜面14の間で水平方向に沿って内向きの圧縮が生じている。圧縮された複数の針を支える前記一対の傾斜面14には、十分な剛性を持たせてあるので互いに噛み合った針を支持し続けることができる。これにより、針排出口10付近で互いに噛み合った針は、下方に落下してくることはない。一方、針進入口23aは、針排出口10と同一の高さに配置されているので、針排出口10付近で互いに噛み合った針の底部に接している。互いに噛み合った針は、底部に接触している針進入口23aの揺動により噛み合い状態が崩され針進入口23aへと進入していく。なお、前記円弧の頂点は、針排出口10の底面15よりも高い位置に配置されていてもよい。また、揺動運動により、曲進経路25を鉛直方向に向けることが可能となり、曲進経路25を通過する針4の移動を促進させることもできる。
【0042】
(第2実施形態)
図7には本発明の第2実施形態に係る針供給装置1bが示されている。この針供給装置1bは、以下に説明する点で第1実施形態に係る針供給装置1と相違し、その他の点では、第1実施形態に係る針供給装置1と同一の構成からなる。したがって、同一の構成には同一の符号を用いることで詳細な説明を省略する。
【0043】
図7に示されるように、針供給部材30には、針供給部材30の上端から下端まで延びる一筋の直線状の直進経路31が形成されている。また針供給部材30の高さは、針4の長さよりも低く設定されている。
【0044】
針供給部材30に形成される直進経路31は、針4の全長よりも短い。このため針4は、直進経路31内で縦方向に姿勢が変化する前に、針搬送機構5の凹部20に到達することができる。針4よりも短い経路である直進経路31を設けることにより、針4は、直進経路31の下部で目詰まり起こす恐れがなく、回転ドラム17の凹部20へと滑らかに移動していく。
【0045】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図1は、針4が針収容部8に収容された状態であって、収容された針4は、針排出ガイド部9に案内され下方に向かって順次移動していく。ここで、収容された多数の針4は、それぞれの自重により圧縮されて、互いに噛み合い、針排出口10にて堰き止められ下方へ移動しない場合がある。この場合は、
図5に示されるように、針供給部材6が回転中心26を中心に左右に揺動することにより、堰き止められていた複数の針4が下方へ崩され、針供給部材6の針進入口21aへと進入する。揺動は左右方向での繰り返されるため、複数の針4が連続して針進入口23aへと取り込まれる。針排出口10と針供給部材6の上面部21eとの距離は、針供給部材6の上面部21fが円弧状をしていることにより一定に保たれるため、針4がこぼれ落ちることはない。
【0046】
針進入口23aへと進入した針4は、まず針直進経路24aを移動していく。針直進経路24aは直線状に形成されているため針4が円滑に移動することができる。第1実施形態における針供給装置1にあっては、直進経路24aを移動した針は、直進経路24aから連続して設けられている曲進経路25へと移動していく。曲進経路25は、直進経路24に対して進路を変えている。このため直進経路24と曲進経路25との境界部分において、直進経路24の内部の平面状の壁部28aに対して、凸状の壁部28bが曲進経路25の内部に形成されている。
図6に示されるように、直進経路24を自重によって移動した針4は、曲進経路25の凸状の壁部28bと接触することにより水平な姿勢に整列されて回転ドラム17の凹部20まで導かれる。その後、
図1に示されるように、回転ドラム17の凹部20に収納された針4は、回転ドラム17の回転に伴い最下点まで搬送され、回転ドラム17の下方を通過し、回転ドラム17の回転方向とは反対方向に移動するベルトコンベヤ27上に移送される。第2実施形態における針供給装置1bにあっては、直進経路31が針4の長さより短い。このため針4は、直進経路31内で姿勢が変更されることなく針搬送機構5の凹部20まで水平姿勢が保たれる。
【符号の説明】
【0047】
1 針供給装置
1b 針供給装置
2 ベース板
3 針集積部
4 針
5 針搬送機構
6 針供給部材
7 針投入口
8 針収容部
9 針排出ガイド部
10 針排出口
11 背面板
12 右側面板
13 左側面板
14 傾斜面
15 底面
16 回転駆動部
17 回転ドラム
18 外周部
19 針落下防止カバー
19a 円弧部
20 凹部
20a ストレート壁
20b 保持部
21a 溝形成部材
21b 溝形成部材
21c 凹凸側面部
21d 凹凸側面部
21e 上面部
21f 下面部
21g 三角頂点部
22 針供給路
23 溝条
23a 針進入口
23b 針進出口
24 直進経路
24a 直進経路
24b 直進経路
25 曲進経路
25a 曲進経路
25b 曲進経路
25c 曲進経路
26 回転中心
27 ベルトコンベヤ
28a 平面状の壁部
28b 凸状の壁部
30 針供給部材
31 直進経路
32 揺動用回転駆動部
W1 針供給路の奥行寸法
W2 回転駆動部の揺動幅
W3 針排出口の幅寸法