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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240920BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20240920BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20240920BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20240920BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240920BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240920BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20240920BHJP
   H01M 10/652 20140101ALI20240920BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240920BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240920BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K11/06
B62D21/00 A
B62D25/20 G
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/651
H01M10/652
H01M10/6556
H01M10/6563
H01M50/249
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020218221
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022103528
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 将希
(72)【発明者】
【氏名】渡部 綱一郎
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-134615(JP,A)
【文献】特開2018-107087(JP,A)
【文献】特開2013-103599(JP,A)
【文献】特開2011-060733(JP,A)
【文献】特開2014-093208(JP,A)
【文献】特開2014-022092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0298586(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012018907(DE,A1)
【文献】特開2010-198971(JP,A)
【文献】特開2012-243684(JP,A)
【文献】特開2009-277647(JP,A)
【文献】特開2015-085859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60K 11/06
B62D 21/00
B62D 25/20
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/651
H01M 10/652
H01M 10/6556
H01M 10/6563
H01M 50/249
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用バッテリパックであって、
複数のバッテリモジュールと、
前記複数のバッテリモジュールを冷却するように構成される冷却装置と、
前記複数のバッテリモジュール及び前記冷却装置を収容するバッテリケースと
を備え、
前記冷却装置が、前記複数のバッテリモジュールを冷却するように送られる空気の供給源となるブロワと、前記ブロワからの空気を通過可能とするように形成される内部空間を有するダクト組立体とを有し、
前記ダクト組立体が、前記ブロワに接続される第1ダクトと、前記第1ダクトに接続される交差接続ダクトと、前記交差接続ダクトに接続される第2ダクトとを含み、
前記第1ダクト及び前記交差接続ダクトは、前記車両の前後方向及び幅方向に沿った方向である水平方向に沿って配置され、
前記第2ダクトが、前記第1ダクトから前記交差接続ダクトを通った空気を分流するように、前記交差接続ダクトから延びる複数の第2ダクト本体を有し、
前記複数のバッテリモジュールが、前記第1ダクトと上下方向に対向するように前記第1ダクトの下方に位置する領域に配置される複数の第1バッテリモジュールと、前記複数の第1バッテリモジュールに対して前記水平方向のうち少なくとも1つの方向にてシフトするように配置される複数の第2バッテリモジュールとを含み、
前記第1ダクトは、少なくとも1組の隣り合う前記第1バッテリモジュール間の空隙に前記第1ダクトから空気を供給すべく前記第1ダクトと連通させるように前記第1ダクトの底壁を貫通する貫通孔を有しており、
前記複数の第2ダクト本体は、前記複数の第2バッテリモジュールに向けて前記複数の第2ダクト本体を通して空気を送るように構成され、
前記第2ダクト本体の内部空間の横断面が、前記第1ダクトの内部空間の横断面よりも小さくなっている、車両用バッテリパック。
【請求項2】
前記第1ダクトの内部空間の横断面は、前記ブロワから前記交差接続ダクトに向かう方向にて前記交差接続ダクトに接近するに従って小さくなっている、請求項に記載の車両用バッテリパック。
【請求項3】
前記第1ダクトが、それを通過する空気の流れ方向の下流端部を有し、
前記第1ダクトの下流端部が、平面視にて、前記ブロワから前記交差接続ダクトに向かう方向にて前記交差接続ダクトに接近するに従って前記下流端部の幅を広げるように形成されている、請求項に記載の車両用バッテリパック。
【請求項4】
前記ブロワ、前記第1ダクト、前記交差接続ダクト、及び前記第2ダクトが、前記複数の第1バッテリモジュールと上下方向に対向するように前記複数の第1バッテリモジュールの上方に位置し、
前記ブロワが、前記第1ダクトの流れ方向の上流端部と接続される接続部を有し、
前記ブロワの接続部が、前記第1ダクトの内部空間に空気を送るように前記水平方向のうち1つの方向に開口する送風口を有し、
前記第2ダクトが、前記ブロワよりも前記車両の前方寄りに位置し、
前記第1ダクトの下流端部が、前記車両の前後方向に延びており、
前記複数の第2ダクト本体が、前記交差接続ダクトから前記車両の幅方向の一方及び他方にそれぞれ延びる2つの前記第2ダクト本体から成る、請求項1~のいずれか一項に記載の車両用バッテリパック。
【請求項5】
前記ブロワの接続部が、前記車両の幅方向にて、前記第1ダクトの下流端部に対してシフトするように配置されており、
前記第1ダクトが、その流れ方向の上流及び下流端部間に位置し、かつ前記車両の後方から同前方に向かうに従って前記車両の幅方向にて前記ブロワから離れるように傾斜する傾斜部を有している、請求項に記載の車両用バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリモジュールと、これら複数のバッテリモジュールを冷却するように構成される冷却装置と、複数のバッテリモジュール及び冷却装置を収容するバッテリケースとを有する車両用バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の車両においては、この車両の電動駆動等のために車両用バッテリパックが搭載されることがある。典型的に、車両用バッテリパックは、その内部に配置される複数のバッテリモジュールと、これら複数のバッテリモジュールを冷却可能とするバッテリ冷却装置と、複数のバッテリモジュール及び冷却装置を収容するバッテリケースとを有する。さらに、冷却装置は、ブロワから送られる空気を用いて複数のバッテリモジュールを冷却するように構成されることがある。冷却装置においては、複数のバッテリモジュールを効率的に冷却するためにブロワからの空気を効率的に送ることが要求される。
【0003】
このような車両用バッテリパックの一例としては、バッテリ(バッテリモジュール)と、このバッテリを収容するバッテリケースと、このバッテリケースの長手方向の一端側に設けられ、かつバッテリケース内に冷却風を供給する冷却ユニット(冷却装置)と、冷却風を通過させるように形成される送風路とを有するバッテリパックであって、送風路が、バッテリケースの短手方向の中央部にバッテリケースの長手方向に沿って設けられるメイン送風路と、バッテリケースの長手方向の他端側に位置するメイン送風路の他端部に接続され、かつメイン送風路とは交差する方向に冷却風を分配する複数の分配路とを有し、冷却ユニットから供給された冷却風が、送風路を介してバッテリケース内を上下方向に循環して冷却ユニットに戻るようになっている、バッテリパックが挙げられる。(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-116321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような車両用バッテリパックの一例においては、冷却風の空気を、メイン送風路を通ってバッテリケースの長手方向の一端側から同他端側に送り、その後、複数の分配路上に位置する複数のバッテリモジュールを冷やすようにバッテリケースの長手方向の他端側から同一端側に戻すこととなる。
【0006】
このような車両用バッテリパックにおいては、空気が、複数の分配路を通ってバッテリケースの長手方向の他端側から同一端側に戻るまでの間に複数のバッテリモジュールによって暖められる。そのため、バッテリケースの長手方向の一端側に位置するバッテリモジュールが、バッテリケースの長手方向の他端側に位置するバッテリモジュールよりも冷却され難くなる。すなわち、複数のバッテリモジュールを効率的に冷却できない。
【0007】
このような実情を鑑みると、車両用バッテリパックにおいては、複数のバッテリモジュールを効率的に冷却することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するために、一態様に係る車両用バッテリパックは、車両に搭載される車両用バッテリパックであって、複数のバッテリモジュールと、前記複数のバッテリモジュールを冷却するように構成される冷却装置と、前記複数のバッテリモジュール及び前記冷却装置を収容するバッテリケースとを備え、前記冷却装置が、前記複数のバッテリモジュールを冷却するように送られる空気の供給源となるブロワと、前記ブロワからの空気を通過可能とするように形成される内部空間を有するダクト組立体とを有し、前記ダクト組立体が、前記ブロワに接続される第1ダクトと、前記第1ダクトに接続される交差接続ダクトと、前記交差接続ダクトに接続される第2ダクトとを含み、前記第1ダクト及び前記交差接続ダクトは、前記車両の前後方向及び幅方向に沿った方向である水平方向に沿って配置され、前記第2ダクトが、前記第1ダクトから前記交差接続ダクトを通った空気を分流するように、前記交差接続ダクトから延びる複数の第2ダクト本体を有し、前記複数のバッテリモジュールが、前記第1ダクトと上下方向に対向するように前記第1ダクトの下方に位置する領域に配置される複数の第1バッテリモジュールと、前記複数の第1バッテリモジュールに対して前記水平方向のうち少なくとも1つの方向にてシフトするように配置される複数の第2バッテリモジュールとを含み、前記第1ダクトは、少なくとも1組の隣り合う前記第1バッテリモジュール間の空隙に前記第1ダクトから空気を供給すべく前記第1ダクトと連通させるように前記第1ダクトの底壁を貫通する貫通孔を有しており、前記複数の第2ダクト本体は、前記複数の第2バッテリモジュールに向けて前記複数の第2ダクト本体を通して空気を送るように構成される。
【発明の効果】
【0009】
一態様に係る車両用バッテリパックにおいては、複数のバッテリモジュールを効率的に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る冷却装置を有するバッテリパックを含む車体の底部を概略的に示す平面図である。
図2図2は、一実施形態に係る車体の底部を、フロアパネルを透明視した状態で概略的に示す平面図である。
図3図3は、一実施形態に係るバッテリパックを、そのアッパーケースを取り外した状態で概略的に示す平面図である。
図4図4は、図3のW部拡大図である。
図5図5は、図4のX-X線断面図である。
図6図6は、図2のY-Y線断面図である。
図7図7は、図2のZ-Z線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態に係る車両用バッテリパックについて、それを搭載した車両と共に説明する。本実施形態に係る車両用バッテリパック(以下、必要に応じて、単に「バッテリパック」という)を搭載した車両は、電気自動車となっている。しかしながら、車両は、バッテリパックを搭載可能とする電気自動車以外の電動車両とすることもできる。
【0012】
本明細書中の説明に用いられる図面においては、車両を基準とした方向を次のように示す。図1図6においては、車両前方及び車両後方を、それぞれ片側矢印F及び片側矢印Bによって示す。図1図4及び図7においては、車両前方を向いた場合の左方及び右方を、それぞれ片側矢印L及び片側矢印Rによって示す。車両幅方向は、片側矢印L及び片側矢印Rによって示される。さらに、図5図7においては、車両上方及び車両下方を、それぞれ片側矢印U及び片側矢印Dによって示す。
【0013】
なお、左方及び右方は、それぞれ車両前方を向いた場合の左方及び右方を指すものとする。水平方向は、車両の前後方向及び幅方向に沿った方向を指すものとする。車両上方及び車両下方を、場合によっては、それぞれ単に上方及び下方と呼ぶ。
【0014】
「バッテリパック及び車両の概略」
図1図7を参照して、本実施形態に係るバッテリパック10及び車両の概略について説明する。すなわち、本実施形態に係るバッテリパック10及び車両は、概略的には次のように構成される。図1及び図2に示すように、バッテリパック10は、車両に搭載される。
【0015】
図3図7に示すように、バッテリパック10は、複数のバッテリモジュール20,21から成るバッテリモジュール群11を有する。バッテリパック10は、複数のバッテリモジュール20,21を冷却するように構成される冷却装置12を有する。
【0016】
図3図7を参照すると、冷却装置12は、複数のバッテリモジュール20,21を冷却するように送られる空気の供給源となるブロワ30を有する。冷却装置12は、ブロワ30からの空気を通過可能とするように形成される内部空間を有するダクト組立体12aを有する。図1図7を参照すると、バッテリパック10は、バッテリモジュール群11及び冷却装置12を収容するバッテリケース13を有する。
【0017】
ダクト組立体12aは、ブロワ30に接続される第1ダクト40を有する。ダクト組立体12aは、第1ダクト40に接続される交差接続ダクト50を有する。ダクト組立体12aは、交差接続ダクト50に接続される第2ダクト60を有する。第1ダクト40及び交差接続ダクト50は、水平方向に沿って配置される。第2ダクト60は、第1ダクト40から交差接続ダクト50を通った空気を分流するように、交差接続50ダクトから延びる複数の第2ダクト本体61を有する。
【0018】
図5図7に示すように、バッテリモジュール群11は、第1ダクト40と上下方向に対向するように第1ダクト40の下方に位置する領域(以下、必要に応じて「第1バッテリ領域」という)10aに配置される複数の第1バッテリモジュール20を有する。図3及び図4に示すように、バッテリモジュール群11は、複数の第1バッテリモジュール20に対して水平方向のうち少なくとも1つの方向にシフトするように配置される複数の第2バッテリモジュール21を有する。
【0019】
図5に示すように、第1ダクト40は、少なくとも1組の隣り合う第1バッテリモジュール20間の空隙20a,20bに第1ダクト40から空気を供給すべく第1ダクト40と連通させるように第1ダクト40の底壁40aを貫通する貫通孔40bを有する。図3に示すように、複数の第2ダクト本体61は、複数の第2バッテリモジュール21に向けて複数の第2ダクト本体61を通して空気を送るように構成される。
【0020】
さらに、本実施形態に係るバッテリパック10及び車両は、概略的には次のように構成することができる。図5図7を参照すると、第2ダクト本体61の内部空間の横断面が、第1ダクト40の内部空間の横断面よりも小さくなっている。図4及び図5を参照すると、第1ダクト40の内部空間の横断面は、ブロワ30から交差接続ダクト50に向かう方向にて交差接続ダクト50に接近するに従って小さくなっている。
【0021】
図3及び図4に示すように、第1ダクト40は、それを通過する空気の流れ方向の下流端部41を有する。第1ダクト40の下流端部41は、交差接続ダクト50に接続される。第1ダクト40の下流端部41は、平面視にて、ブロワ30から交差接続ダクト50に向かう方向にて交差接続ダクト50に接近するに従って下流端部41の幅を広げるように形成されている。
【0022】
図3図7を参照すると、ブロワ30、第1ダクト40、交差接続ダクト50、及び第2ダクト60は、複数の第1バッテリモジュール20と上下方向に対向するように複数の第1バッテリモジュール20の上方に位置する。図3図5に示すように、ブロワ30は、第1ダクト40の流れ方向の上流端部42と接続される接続部31を有する。ブロワ30の接続部31は、第1ダクト40の内部空間に空気を送るように水平方向のうち1つの方向に開口する送風口31aを有する。
【0023】
図3図7を参照すると、複数の第2ダクト本体61は、交差接続ダクト50から、水平方向のうち特定方向の一方及び他方にそれぞれ延びる2つの第2ダクト本体61から成る。第2ダクト60は、ブロワ30よりも、特定方向に略直交する方向の一方寄りに位置する。第1ダクト40の下流端部41は、特定方向に略直交する方向に延びる。
【0024】
ここで、特定方向は、幅方向となっている。特定方向に略直交する方向は、前後方向となっている。特定方向に略直交する方向の一方は、前方となっている。しかしながら、特定方向は、幅方向以外の水平方向のうち1つの方向とすることもできる。例えば、特定方向は、前後方向とすることもできる。特定方向に略直交する方向の一方は、後方とすることもできる。
【0025】
図3及び図4に示すように、ブロワ30の接続部31は、特定方向(特に、幅方向)にて、第1ダクト40の下流端部41に対してシフトするように配置されている。第1ダクト40、その流れ方向の上流及び下流端部42,41間に位置する傾斜部43を有する。この傾斜部43は、特定方向に略直交する方向の他方から同一方に向かうに従って、特に、後方から前方に向かうに従って特定方向にてブロワ30から離れるように傾斜する。
【0026】
「車両の詳細」
図1及び図2を参照すると、車両は、詳細には次のように構成することができる。車両の車体1は、車両の室内のフロア(図示せず)を構成するフロアパネル2を有する。バッテリパック10は、フロアパネル2の下方に配置される。
【0027】
車体1はまた、幅方向に互いに間隔を空けて配置される2つのサイドメンバ3を有する。各サイドメンバ3は細長形状に形成されている。各サイドメンバ3は、前後方向に沿って配置されている。バッテリパック10は、平面視にて、2つのサイドメンバ3の間に位置する。2つのサイドメンバ3は、フロアパネル2の下方に位置する。各サイドメンバ3の上面はフロアパネル2の下面に接合される。
【0028】
図2に示すように、車体1は、2つのサイドメンバ3を連結するように幅方向に延びるクロスメンバ4を有する。クロスメンバ4は、バッテリパック10の上方に位置する。クロスメンバ4はまた、平面視にて、バッテリパック10を横切るように延びる。図2においては、車体1は、2つのクロスメンバ4を有する。しかしながら、車体は、1つ又は3つ以上のクロスメンバを有することもできる。
【0029】
「バッテリパックの詳細」
図1図7を参照すると、バッテリパック10は、詳細には次のように構成することができる。図3図7を参照すると、バッテリパック10は、冷却装置12を下方から支持するように構成される支持台14を有する。
【0030】
支持台14は、冷却装置12を載置する載置部80を有する。特に、載置部80には、冷却装置12のブロア30、第1ダクト40、交差接続ダクト50、及び第2ダクト60が載置される。第1バッテリ領域10aは、載置部80に上方から覆われる領域10aとなっている。具体的には、第1バッテリ領域10aの上端面は、載置部80によって画定することができる。支持台14はまた、載置部80を支持する脚部81を有する。図5に示すように、載置部80には、上下方向に貫通する貫通孔80aが形成されている。
【0031】
図3図6を参照すると、バッテリパック10は、載置部80上に載置される電気機器15をさらに有する。電気機器15は、第1ダクト40近傍に位置する。図3及び図4に示すように、電気機器15は、載置部80上で、ブロワ30に対して特定方向(特に、幅方向)に間隔を空けている。この電気機器15は、複数のバッテリモジュール20,21の充電、放電等を制御可能とするバッテリ制御装置15とすることができる。しかしながら、電気機器は、バッテリ制御装置に限定されない。例えば、電気機器は、インバータ等とすることもできる。
【0032】
図3図7を参照すると、バッテリケース13は、バッテリモジュール群11及び冷却装置12に加えて、支持台14及び電気機器15を収容する。図1図7を参照すると、バッテリケース13は、その上部を形成するアッパーケース13aを有する。バッテリケース13はまた、その下部を形成するロアケース13bを有する。
【0033】
バッテリケース13は、金属を用いて構成することができる。この場合、バッテリケース13のアッパー及びロアケース13a,13bは、金属製の板材料から成るプレス成型品とすることができる。しかしながら、バッテリケースは、樹脂を用いて構成することもできる。この場合、バッテリケースのアッパー及びロアケースの少なくとも一方は、樹脂成型品とすることができる。
【0034】
図1及び図2に示すように、バッテリパック10は、2つのサイドメンバ3に取り付けられるように構成される。バッテリパック10は、それを各サイドメンバ3に取り付けるように構成される複数の取付機構16を有する。言い換えれば、バッテリパック10は、バッテリケース13を車体1に取り付けるように構成される複数の取付機構16を有する。しかしながら、バッテリパックは、それを各サイドメンバに取り付けるように構成される1つの取付機構を有することもできる。
【0035】
「バッテリモジュールの詳細」
図3図7を参照すると、バッテリモジュール群11は、詳細には次のように構成することができる。バッテリモジュール群11の各バッテリモジュール20,21は、車両の駆動電力に用いる電力を充電及び放電可能とするように構成される。複数のバッテリモジュール20,21は、水平方向にて互いに間隔を空けて配置されている。
【0036】
図5図7を参照すると、複数の第1バッテリモジュール20は、第1バッテリ領域10aにて、複数の行及び複数の列から成る行列状に並んでいる。複数の行は、特定方向(特に、幅方向)に沿っている。複数の列は、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)に沿っている。一例として、図5図7に示すように、4つの第1バッテリモジュール20が2行かつ2列の行列状に並ぶことができる。しかしながら、複数の第1バッテリモジュールの配置は、これらに限定されない。例えば、複数の第1バッテリモジュールは、一列に並ぶこともできる。
【0037】
複数の第1バッテリモジュール20が行列状に並ぶ場合、第1バッテリ領域10aにおいては、少なくとも2組の特定方向(特に、幅方向)に隣り合う第1バッテリモジュール20間に形成される空隙20aと、少なくとも2組の特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)に隣り合う第1バッテリモジュール20間に形成される空隙20bとが形成される。複数の第1バッテリモジュール20は、第1バッテリ領域10aにおけるすべての空隙20a,20bを互いに連通させるように配置される。
【0038】
図3に示すように、上下方向にてアッパーケース13aと複数の第2バッテリモジュール21との間に空間が形成される。複数の第2バッテリモジュール21は、第1バッテリ領域10aに対して水平方向のうち1つの方向にシフトするように位置する領域(以下、必要に応じて、「第2バッテリ領域」という)10bにて、複数の行及び複数の列から成る行列状に並んでいる。
【0039】
特に、第2バッテリ領域10bは、第1バッテリ領域10aに対して特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)にシフトするように配置される。さらに、第2バッテリ領域10bは、第1バッテリ領域10aに対して特定方向に略直交する方向の一方(特に、前方)にシフトするように配置することができる。しかしながら、第1及び第2バッテリ領域の配置関係は、これに限定されない。例えば、第2バッテリ領域は、第1バッテリ領域に対して特定方向(特に、幅方向)にシフトするように配置することもできる。
【0040】
複数の第2バッテリモジュール21は、第2バッテリ領域10bにて、複数の行及び複数の列から成る行列状に並んでいる。複数の行は、特定方向(特に、幅方向)に沿っている。複数の列は、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)に沿っている。一例として、図3に示すように、8つの第2バッテリモジュール21が2行かつ4列の行列状に並ぶことができる。しかしながら、複数の第2バッテリモジュールの配置は、これらに限定されない。例えば、複数の第2バッテリモジュールは、一列に並ぶこともできる。
【0041】
複数の第2バッテリモジュール21が行列状に並ぶ場合、第2バッテリ領域10bにおいては、少なくとも2組の特定方向(特に、幅方向)に隣り合う第2バッテリモジュール21間に形成される空隙21aと、少なくとも2組の特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)に隣り合う第2バッテリモジュール21間に形成される空隙21bとが形成される。複数の第2バッテリモジュール21は、第2バッテリ領域10bにおけるすべての空隙21a,21bを互いに連通させるように配置される。
【0042】
「冷却装置のブロワの詳細」
図3図6を参照すると、冷却装置12のブロワ30は、詳細には次のように構成することができる。特に図5に示すように、冷却装置12のブロワ30は、その底面30aを載置部80に直接的に当接させた状態で載置部80に固定される。しかしながら、ブロワは、その底面を載置部上の台と当接させた状態でこの台に固定することができる。
【0043】
図3図6に示すように、ブロワ30の接続部31は、第1ダクト40の上流端部42に接続される。ブロワ30はまた、ブロワ本体32を有する。ブロワ本体32は、ブロワ30の駆動源33を有する。駆動源33は、ブロワ本体32から接続部31に向かって風を送ることができるように旋回可能に構成されるファン33とすることができる。
【0044】
特に図3に示すように、駆動源33の旋回中心は、ブロワ本体32の水平方向の中心32aと略一致させることができる。駆動源33の旋回によって、ブロワ本体32内にて旋回中心周りに渦巻状の空気の流れを発生させることができる。このような渦巻状の空気が、ブロワ30の接続部31の送風口31aから排出される。
【0045】
駆動源33の旋回方向は、平面視における時計回りの方向となっており、この場合、渦巻状の空気の流れは、平面視における時計回りとなる。しかしながら、駆動源の旋回方向は、平面視における反時計回りの方向とすることもでき、この場合、渦巻状の空気の流れは、平面視における反時計回りとなり、かつブロワに対する電気機器の特定方向(特に、幅方向)の位置は、時計回りの場合とは反対側になる。
【0046】
ブロワ30の接続部31は、ブロワ本体32内にて発生する渦巻状の空気の流れ方向に対応する方向に延びる。接続部31の延伸方向に延びる延伸軸線30bは、ブロワ本体32の中心32aを通ると共に特定方向(特に、幅方向)に延びる基準軸線30cに対して、時計回りに所定の傾斜角度θ傾いている。この傾斜角度θは鋭角とすることができる。しかしながら、傾斜角度は、これに限定されない。
【0047】
ブロワ30の接続部31は、ブロワ本体32の中心32aに対して電気機器15寄りに配置される。さらに、接続部31は、ブロワ30及び電気機器15間の空間に配置することができる。接続部31は、ブロワ本体32から第1ダクト40の上流端部42に向かうに従って電気機器15に接近するように傾斜しながら延びている。
【0048】
「冷却装置のダクト組立体の詳細」
図3図7を参照すると、冷却装置12のダクト組立体12aは、詳細には次のように構成することができる。図3及び図4に示すように、冷却装置12のダクト組立体12aにおいて、第1ダクト40の上流端部42の全体は、平面視にて、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)にてブロワ30及び電気機器15とオーバーラップするように配置される。第1ダクト40の上流端部42は、ブロワ30の接続部31と実質的に同方向に延びる。
【0049】
特に図5に示すように、第1ダクト40の上流端部42及び傾斜部43の頂上壁42a,43a及び底壁42b,43bは、後述する仮想平面P(図5にて仮想線により示す)に対して略平行にすることができる。第1ダクト40の下流端部41の頂上壁41a及び底壁41bの両方が、仮想平面Pに対して傾斜する。具体的には、頂上壁41a及び底壁41bのそれぞれが、下方から上方に向かうに従って傾斜部43に接近するように傾斜する。しかしながら、下流端部の頂上壁及び底壁の一方のみを、仮想平面に対して傾斜させることもできる。さらに、下流端部の頂上壁及び底壁の両方を、仮想平面に対して略平行にすることもできる。
【0050】
第1ダクト40の傾斜部43は、ブロワ30及び電気機器15間の空間を通過する。第1ダクト40の傾斜部43の底壁43bには、上述した貫通孔40bが形成されている。第1ダクト40の貫通孔40bは、載置部80の貫通孔80aと対応するように形成されている。第1ダクト40及び載置部80の貫通孔40b,80aは、平面視で、特定方向(特に、幅方向)に隣り合う第1バッテリモジュール20間に形成される空隙20aと、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)に隣り合う第1バッテリモジュール20間に形成される空隙20bとの交差部分に対応するように配置される。
【0051】
図5図7に示すように、ダクト組立体12aは、第1ダクト40から貫通孔40bに入った空気を空隙20a,20bに導くように構成されるガイドダクト70を有する。ガイドダクト70は、上下方向に沿って延びるように形成される。
【0052】
特に図5に示すように、ガイドダクト70は、その上端に位置する流入口70aを有する。第1ダクト40から貫通孔40bに入った空気は、流入口70aからガイドタクト70の内部空間に流れる。ガイドダクト70の流入口70aは、平面視で、第1ダクト40及び載置部80の貫通孔40b,80aに対応するように配置される。第1ダクト40の貫通孔40bと、載置部80の貫通孔80aと、ガイドダクト70の流入口70aとは上下方向にて連続するように互いに接続される。
【0053】
ガイドダクト70は、その流入口70aからガイドタクト70の内部空間に流れた空気を空隙20a,20bに流出させる2つの流出口70bを有する。2つの流出口70bは、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)に隣り合う第1バッテリモジュール20間に形成される空隙20bにて、特定方向(特に、幅方向)の両側に向かってそれぞれ開口する。しかしながら、ガイドダクトは、この空隙の代わりに又はこの空隙に加えて、特定方向(特に、幅方向)に隣り合う第1バッテリモジュール間に形成される空隙にて、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)の両側に向かってそれぞれ開口する2つの流入口を有することができる。
【0054】
交差接続ダクト50は、第1ダクト40の下流端部41から流入する空気を受けると共にこの空気の流れを水平方向のうち1つの方向に向けて屈曲させるように下流端部41と間隔を空けて配置される突き当り壁51を有する。交差接続ダクト50は、突き当り壁51に対して上方に隣接する上側傾斜壁52を有する。上側傾斜壁52は、下方から上方に向かうに従って第1ダクト40の下流端部41に接近するように傾斜する。
【0055】
交差接続ダクト50の底壁53は、上下方向にて載置部80に当接している。しかしながら、交差接続ダクトの底壁は、上下方向にて載置部と間隔を空けることもできる。
図3図5に示すように、交差接続ダクト50は、載置部80に接合される接合部54を有する。この接合部54は、平面視にて、第1ダクト40の下流端部41から交差接続ダクト50に流入する空気の流れ方向にて突き当り壁51に対して下流端部41とは反対側に位置する。
【0056】
特に図4に示すように、突き当り壁51及び上側傾斜壁52は、平面視にて上記特定方向(特に、幅方向)に延びる。特に図5に示すように、交差接続ダクト50の突き当り壁51は、上下方向に沿って立ち上がっている。交差接続ダクト50の底壁53は、載置部80に沿って形成される。底壁53は、上下方向にて、ブロワ30の底面30aと略一致するように配置される。しかしながら、交差接続ダクトの底壁は、ブロワの底面よりも下方に配置することもできる。交差接続ダクトの底壁は、ブロワの底面よりも上方に配置することもできる。
【0057】
仮想平面Pに対する上側傾斜壁52の傾斜角度αは、仮想平面Pに対する第1ダクト40の下流端部41の頂上壁41a及び底壁41bの両方における傾斜角度β,γよりも大きい。しかしながら、仮想平面に対する上側傾斜壁の傾斜角度は、仮想平面に対する第1ダクトの下流端部の頂上壁及び底壁の一方のみにおける傾斜角度よりも大きくすることもできる。仮想平面に対する上側傾斜壁の傾斜角度は、仮想平面に対する第1ダクトの下流端部の頂上壁及び底壁の両方における傾斜角度よりも小さくすることもできる。
【0058】
図3図5に示すように、接合部54は、交差接続ダクト50の底壁53から突出するように形成される。接合部54は、平面視にて第1ダクト40の下流端部41の延伸方向と実質的に同方向に突出する。この接合部54は、交差接続ダクト50と一体になっている。接合部54は、載置部80に沿って形成される。
【0059】
接合部54は、ボルト及びナット等の締結手段を用いた締結によって載置部80に接合されている。しかしながら、接合部と載置部との接合は、締結に限定されない。例えば、接合部と載置部との接合は、溶接等とすることもできる。
【0060】
図3図7を参照すると、第2ダクト本体61は、交差接続ダクト50にて屈曲した空気を第2ダクト本体61に流入させるように交差接続ダクト50に接続される上流端部61aを有する。第2ダクト本体61の上流端部61aは、上下方向にて載置部80と間隔を空けるように配置される。
【0061】
第2ダクト60は、2つの第2ダクト本体61を有する場合、2つの第2ダクト本体61の一方における上流端部61aは、交差接続ダクト50の特定方向(特に、幅方向)の一方端に接続される。2つの第2ダクト本体61の他方における上流端部61aは、交差接続ダクト50の特定方向(特に、幅方向)の他方端に接続される。
【0062】
しかしながら、第2ダクトは、1つ又は3つ以上の第2ダクト本体を有することもできる。第2ダクトが、1つの第2ダクト本体を有する場合、この第2ダクト本体における上流端部を交差接続ダクトの特定方向(特に、幅方向)の一方端に接続でき、かつ交差接続ダクトの特定方向(特に、幅方向)の他方端を塞ぐことができる。第2ダクトが、3つ以上の第2ダクト本体を有する場合、1つ以上の第2ダクト本体における上流端部を交差接続ダクトの特定方向(特に、幅方向)の一方端に接続でき、かつ2つ以上の第2ダクト本体における上流端部を交差接続ダクトの特定方向(特に、幅方向)の他方端に接続できる。
【0063】
図5に示すように、各第2ダクト本体61は特定方向(特に、幅方向)に延びる。各第2ダクト本体61は、交差接続ダクト50の上側傾斜壁52と実質的に同様に傾斜する上側傾斜壁61bを有する。各第2ダクト本体61の上側傾斜壁61bは、交差接続ダクト50の上側傾斜壁52と実質的に同様に特定方向(特に、幅方向)に延びる。各第2ダクト本体61における底壁61cは、上下方向にて、交差接続ダクト50の突き当り壁51の上端に対応するように配置される。
【0064】
特に図3及び図4に示すように、特定方向(特に、幅方向)における第1ダクト40の傾斜部43及び電気機器15間の距離は、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)における第2ダクト本体61及び電気機器15間の距離よりも小さくなっている。図6に示すように、第1ダクト40の上端及び第2ダクト本体61の上端は、電気機器15の上端よりも上方に位置する。
【0065】
冷却装置12のダクト組立体12aは、それぞれ2つの第2ダクト本体61を通る空気を複数の第2バッテリモジュール21の空隙21a,21bに送ることができるように構成される2つの分配ダクト71を有する。2つの分配ダクト71は、それぞれ2つの第2ダクト本体61に接続される。
【0066】
2つの分流ダクト71は、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)に沿って配置される。2つの分流ダクト71は、第2バッテリ領域10bに対して特定方向(特に、幅方向)の両側方にそれぞれ配置される。2つの分流ダクト71における流れ方向の上流端部71aは、それぞれ2つの第2ダクト本体61における流れ方向の下流端部61dに接続される。
【0067】
各分流ダクト71の流れ方向の下流端部71bは、平面視で、特定方向(特に、幅方向)に隣り合う第2バッテリモジュール21間に形成される空隙21aと、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)に隣り合う第2バッテリモジュール21間に形成される空隙21bとの交差部分に配置される。各分流ダクト71の下流端部71bに、特定方向に略直交する方向(特に、前後方向)の両側に向かってそれぞれ開口する流出口71cが形成される。各分流ダクト71の下流端部71bには、特定方向(特に、幅方向)の少なくとも一方に向かって開口する少なくとも1つの流出口71dを形成することもできる。
【0068】
このような冷却装置12においては、ブロワ30から第1ダクト40に送られる空気は、第1ダクト40の貫通孔40b及び載置台80の貫通孔80aからガイドダクト70を通って第1バッテリモジュール20の空隙20a,20bに送られる部分と、交差接続ダクト50及び第2ダクト60から分配ダクト71を通って第2バッテリモジュール21の空隙21a,21bに送られる部分とに分配される。
【0069】
このような第1ダクト40、交差接続ダクト50、第2ダクト60の第2ダクト本体61、ガイドダクト70、及び分配ダクト71(以下、必要に応じて、これらを「各種ダクト」という)のそれぞれは、樹脂を用いて構成されている。この場合、各種ダクトのそれぞれは、樹脂成型品とすることができる。しかしながら、各種ダクトの少なくとも1つは、金属を用いて構成することもできる。この場合、各種ダクトの少なくとも1つは、金属製の板材料から成るプレス成型品とすることができる。
【0070】
「車両用バッテリパックの冷却方法の一例」
ここで、本実施形態に係る車両用バッテリパック10の冷却方法の一例について説明する。バッテリパック10においては、空気が、冷却装置12のブロワ30及びダクト組立体12aによってバッテリケース13内を循環し、このように循環する空気が、各バッテリモジュール20,21と熱交換を行うことによって各バッテリモジュール20,21を冷却することができる。
【0071】
各バッテリモジュール20,21との熱交換によって温度上昇した空気は、バッテリケース13に沿って流れるときにバッテリケース13と熱交換を行うことによって冷却される。言い換えれば、温度上昇した空気は、バッテリケース13を介したバッテリパック10の外部への放熱によって冷却される。このように冷却された空気が、再び各バッテリモジュール20,21を冷却することができる。この場合、バッテリケース13は、高い熱伝導率を有するように構成されるとよい。例えば、バッテリケース13は、上述のように金属を用いて構成されると好ましい。
【0072】
より具体的には、バッテリパック10においては、空気を次のように循環させることができる。空気は、ブロワ30から第1ダクト40に送られて、その後、第1ダクト40内にて第1及び第2バッテリ領域10a,10bに向かって分かれるように流れる。第1及び第2バッテリ領域10a,10bに各別に流れた空気は、第1及び第2バッテリ領域10a,10bの第1及び第2バッテリモジュール20,21をそれぞれ冷却する。
【0073】
第1及び第2バッテリモジュール20,21を冷却することによって温度上昇した空気は、それぞれ第1及び第2バッテリ領域10a,10bの周囲でバッテリケース13に沿って流れる。このとき、空気は、バッテリケース13と熱交換を行うことによって冷却され、その後、空気は、再びブロア30に戻る。
【0074】
以上、本実施形態に係る車両用バッテリパック10は、車両に搭載される車両用バッテリパック10であって、複数のバッテリモジュール20,21と、前記複数のバッテリモジュール20,21を冷却するように構成される冷却装置12と、前記複数のバッテリモジュール20,21及び前記冷却装置12を収容するバッテリケース13とを備え、前記冷却装置12が、前記複数のバッテリモジュール20,21を冷却するように送られる空気の供給源となるブロワ30と、前記ブロワ30からの空気を通過可能とするように形成される内部空間を有するダクト組立体12aとを有し、前記ダクト組立体12aが、前記ブロワ30に接続される第1ダクト40と、前記第1ダクト40に接続される交差接続ダクト50と、前記交差接続ダクト50に接続される第2ダクト60とを含み、前記第1ダクト40及び前記交差接続ダクト50は、前記車両の前後方向及び幅方向に沿った方向である水平方向に沿って配置され、前記第2ダクト60が、前記第1ダクト40から前記交差接続ダクト50を通った空気を分流するように、前記交差接続ダクト50から延びる複数の第2ダクト本体61を有し、前記複数のバッテリモジュール20,21が、前記第1ダクト40と上下方向に対向するように前記第1ダクト40の下方に位置する領域10aに配置される複数の第1バッテリモジュール20と、前記複数の第1バッテリモジュール20に対して前記水平方向のうち少なくとも1つの方向にてシフトするように配置される複数の第2バッテリモジュール21とを含み、前記第1ダクト40は、少なくとも1組の隣り合う前記第1バッテリモジュール20間の空隙20a,20bに前記第1ダクト40から空気を供給すべく前記第1ダクト40と連通させるように前記第1ダクト40の底壁40aを貫通する貫通孔40bを有しており、前記複数の第2ダクト本体61は、前記複数の第2バッテリモジュール21に向けて前記複数の第2ダクト本体61を通して空気を送るように構成される。
【0075】
このようなバッテリパック10においては、ブロワ30から第1ダクト40の貫通孔40bを通って複数の第1バッテリモジュール20に空気を供給でき、かつブロワ30から第1及び第2ダクト40,60を通って複数の第2バッテリモジュール21に空気を供給できる。そのため、第1ダクト40の下方に位置する複数の第1バッテリモジュール20と、これら複数の第1バッテリモジュール20に対して水平方向のうち少なくとも1つの方向にてシフトするように配置される複数の第2バッテリモジュール21とに、効率的に冷たい空気を送ることができ、その結果、複数のバッテリモジュール20,21を効率的に冷却することができる。
【0076】
本実施形態に係る車両用バッテリパック10においては、前記第2ダクト本体61の内部空間の横断面が、前記第1ダクト40の内部空間の横断面よりも小さくなっている。また、本実施形態に係る車両用バッテリパック10においては、前記第1ダクト40の内部空間の横断面は、前記ブロワ30から前記交差接続ダクト50に向かう方向にて前記交差接続ダクト50に接近するに従って小さくなっている。
【0077】
このようなバッテリパック10においては、上流側の第1ダクト40から中間の交差接続ダクト50を通って下流側の第2ダクト本体61に向かうに従って空気の流速が低下することを防ぐことができる。さらには、第1ダクト40内においても、第1ダクト40の上流から同下流に向かうに従って空気の流速が低下することを防ぐことができる。
【0078】
ここで、空気の流速は高いほど空気の熱伝達係数が高くなることを勘案すると、本実施形態に係るバッテリパック10においては、第1ダクト40から第2ダクト本体61を通って複数の第2バッテリモジュール21に送られる空気は、複数の第2バッテリモジュール21の熱を効率的に奪うことができる。そのため、複数の第2バッテリモジュール21を効率的に冷却することができる。
【0079】
本実施形態に係る車両用バッテリパック10においては、前記第1ダクト40が、それを通過する空気の流れ方向の下流端部41を有し、前記第1ダクト40の下流端部41が、前記交差接続ダクト50と接続され、かつ平面視にて、前記ブロワ30から前記交差接続ダクト50に向かう方向にて前記交差接続ダクト50に接近するに従って前記下流端部41の幅を広げるように形成されている。
【0080】
このようなバッテリパック10においては、空気が第1ダクト40から交差接続ダクト50を通って複数の第2ダクト本体61に分配されるときに、空気をスムーズに流すことができ、かつ摩擦損失を低減することができる。そのため、第1ダクト40から交差接続ダクト50を通って複数の第2ダクト本体61に分配される空気の流速が低下することを防ぐことができる。
【0081】
本実施形態に係る車両用バッテリパック10においては、前記ブロワ30、前記第1ダクト40、前記交差接続ダクト50、及び前記第2ダクト60が、前記複数の第1バッテリモジュール20と上下方向に対向するように前記複数の第1バッテリモジュール20の上方に位置し、前記ブロワ30が、前記第1ダクト40の上流端部42と接続される接続部31を有し、前記ブロワ30の接続部31が、前記第1ダクト40の内部空間に空気を送るように前記水平方向のうち1つの方向に開口する送風口31aを有し、前記第2ダクト60が、前記ブロワ30よりも前記車両の前方寄りに位置し、前記第1ダクト40の下流端部41が、前記車両の前後方向に延びており、前記複数の第2ダクト本体61が、前記交差接続ダクト50から前記車両の幅方向の一方及び他方にそれぞれ延びる2つの前記第2ダクト本体61から成る。
【0082】
このようなバッテリパック10においては、空気の送風口31aを有するブロワ30の接続部31が、第1ダクト40の貫通孔40b近傍に配置されることとなる。第1ダクト40の貫通孔40bを通って第1バッテリモジュール20に供給される空気の流速を、第1バッテリモジュール20を効率的に冷却可能とするように維持することができる。
【0083】
本実施形態に係る車両用バッテリパック10においては、前記ブロワ30の接続部31が、前記車両の幅方向にて、前記第1ダクト40の下流端部41に対してシフトするように配置されており、前記第1ダクト40が、その流れ方向の上流及び下流端部42,41間に位置し、かつ前記車両の後方から同前方に向かうに従って前記車両の幅方向にて前記ブロワ30から離れるように傾斜する傾斜部43を有している。
【0084】
このようなバッテリパック10においては、ブロワ30から第1ダクト40に送られた空気の向きを、第1ダクト40の傾斜部43によってスムーズに変えることができ、かつ第1ダクト40内で空気の向きを変えるときに生じる摩擦損失を低減することができる。付随的には、傾斜部43によって第1ダクト40の占有スペースを削減することができる。そのため、第1ダクト40を通る空気の流速が低下することを防ぐことができ、これに加えた付随的な効果として、冷却装置12の小型化を図ることができ、ひいては、バッテリパック10の小型化を図ることができる。
【0085】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0086】
10…バッテリパック、10a…領域、第1バッテリ領域、12…冷却装置、12a…ダクト組立体、13…バッテリケース
20…バッテリモジュール、第1バッテリモジュール、20a,20b…空隙
21…バッテリモジュール、第2バッテリモジュール
30…ブロワ、31…接続部、31a…送風口
40…第1ダクト、40a…底壁、40b…貫通孔、41…下流端部、42…上流端部、43…傾斜部
50…交差接続ダクト
60…第2ダクト、61…第2ダクト本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7