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特許7557703状態遷移グラフの統計分析と予測モデリングのための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】状態遷移グラフの統計分析と予測モデリングのための方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20240920BHJP
【FI】
G16H50/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2022511382
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2020073311
(87)【国際公開番号】W WO2021037657
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-06-14
(31)【優先権主張番号】62/891,680
(32)【優先日】2019-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】チェウン イー ヒム
(72)【発明者】
【氏名】マンコヴィッチ アレクサンダー ライアン
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049599(JP,A)
【文献】特開2019-109788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0011345(US,A1)
【文献】特開2014-147659(JP,A)
【文献】特開2018-060537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最適な臨床転帰のグラフベースの予測モデリングのための、コンピュータで実施される方法であって、
1つ以上のコンピューティング装置により、複数の整列されマージされた個々の治療経路を表す状態遷移グラフを受信するステップであって、前記個々の治療経路は、
1つ以上の適格イベント、
前記1つ以上の適格イベントに対する1つ以上の応答状態、
1つ以上の可逆的または折り畳み可能イベント、
を有するステップと、
前記1つ以上のコンピューティング装置により、前記状態遷移グラフおよび前記個々の治療経路から得られる臨床データに関する分析を実行するステップと、
前記1つ以上のコンピューティング装置により、前記状態遷移グラフ及び前記臨床データに基づいて臨床転帰を推測するように構成される統計的モデルを自動的に生成するステップと、を有する方法。
【請求項2】
前記1つ以上の適格イベントが1つ以上の治療計画を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の治療計画が、薬物療法、外科的プロトコル、適格な介入の収集またはそれらの組み合わせを含むグループから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の応答状態が、治療後の応答状態、特定の遺伝子特性に基づく患者のサブタイプからなるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の応答状態が、臨床報告、放射線報告、病理報告、ゲノミクス報告またはそれらの組合せからなるグループから選択される1つ以上の報告にリンクされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の応答状態が1つ以上のゲノミクス報告にリンクされる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記状態遷移グラフが、類似する性質の治療に対応する1つ以上のエッジを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記統計的モデルが、カテゴリー的又は量的形質に関する前記1つ以上のエッジの影響の分析に基づいて生成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記カテゴリー的又は量的形質は、静的なカテゴリー的又は量的形質、または、動的なカテゴリー的又は量的形質である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上のエッジの前記影響を評価するための方法が、
相対リスク検定、オッズ比検定、独立カイ二乗検定、独立性についてのフィッシャーの直接確率検定、周辺分布の均質性のマクネマー検定、対になったサンプルについての従属T検定を含むグループから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
最適な臨床転帰の予測のためのシステムであって、
複数の整列されマージされた個々の治療経路を表す状態遷移グラフを受信するステップであって、前記個々の治療経路は、
1つ以上の適格イベント、
前記1つ以上の適格イベントに対する1つ以上の応答状態、
1つ以上の可逆的または折り畳み可能イベント、
を有するステップと、
前記状態遷移グラフおよび前記個々の治療経路から得られる臨床データに関する分析を実行するステップと、
前記状態遷移グラフ及び前記臨床データに基づいて臨床転帰を推測するように構成される統計的モデルを自動的に生成するステップと、
を実行するように構成されたプロセッサを有するシステム。
【請求項12】
前記1つ以上の適格イベントが1つ以上の治療計画を有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上の治療計画が、薬物療法、外科的プロトコル、適格な介入の収集またはそれらの組み合わせを含むグループから選択される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の応答状態が、治療後の応答状態、特定の遺伝子特性に基づく患者のサブタイプからなるグループから選択される、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記1つ以上の応答状態を、臨床報告、放射線報告、病理報告、ゲノミクス報告またはそれらの組合せからなるグループから選択される1つ以上の報告にリンクさせるように構成される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記1つ以上の応答状態を1つ以上のゲノミクス報告にリンクさせるように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、類似する性質の治療に対応するエッジを有する状態遷移グラフを受信するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサが、カテゴリー的または量的形質に関して1つ以上の前記エッジの影響を分析することにより前記統計的モデルを生成するように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記カテゴリー的又は量的形質は、静的なカテゴリー的又は量的形質、または、動的なカテゴリー的又は量的形質である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上のエッジの前記影響を評価するための方法が、相対リスク検定、オッズ比検定、独立カイ二乗検定、独立性についてのフィッシャーの直接確率検定、周辺分布の均質性のマクネマー検定、対になったサンプルについての従属T検定を含むグループから選択される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
1つ以上のコンピューティング装置により、複数の整列されマージされた個々の治療経路を表す状態遷移グラフを受信するステップであって、前記個々の治療経路は、
1つ以上の適格イベント、
前記1つ以上の適格イベントに対する1つ以上の応答状態、
1つ以上の可逆的または折り畳み可能イベント、
を有するステップと、
前記1つ以上のコンピューティング装置により、前記状態遷移グラフおよび前記個々の治療経路から得られる臨床データに関する分析を実行するステップと、
前記1つ以上のコンピューティング装置により、前記状態遷移グラフ及び前記臨床データに基づいて臨床転帰を推測するように構成される統計的モデルを自動的に生成するステップと、を有する動作を実行するようにプロセッサを制御するための命令を記憶する非一時的機械可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示は一般に、臨床表現型または臨床転帰の予測モデリングをサポートするための、個々の臨床経路からのグラフィック構造の構築のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
診断および治療経路のばらつきは、現在の医療エコシステムにおけるよく知られた欠陥であり、同一の患者プロファイルを有する2人の患者を治療する2人の医師が依然として様々な費用または転帰の治療法を処方する可能性がある。現在、履歴経路データを記憶し関連付けるためのグラフィック構造および/またはデータ構造の欠如、ならびにそのような構造を利用するための適切な分析方法の欠如に部分的に起因して、個人化されたケア経路管理に対する既知のデータ駆動アプローチは存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さらに、ゲノム情報科学では、次世代配列決定の重要な段階は、シーケンサからやってくる読み込みの二次解析である。ヒトゲノムについての標準的な操作手順は、サンプリルが逆多重化され、ヒト参照ゲノムにアライメントされ、そして異常についてアルゴリズム的に検査される(例えば、改変体の呼び出し、生殖系列試験、発現分析、融合分析など)ことである。アラインメントに続く全ての所見は、アラインメントの質および参照ゲノム自体の質に依存する。しかし、ヒト参照ゲノムは完全ではなく、少数の個人のコンセンサスに基づく単一の線形配列であり、ヒト集団中の配列の豊富な多様性を具体化しているわけではない。これは、ミスアラインメント(ゲノム上の誤った位置にマッピングされた読み取り)または非アラインメント(全くマッピングされていない読み取り)を含むいくつかの実際的な問題をもたらし、臨床的に関連性があり、非常に可変性のあるゲノムの領域において広範な不正確さ(偽陽性、偽陰性)をもたらす。参照を改善するための、比較的新生ではあるが、最も有望なアプローチは、ゲノムのグラフを構築することであり、ここで、各サンプルはグラフ中の経路によって表される。グラフに基づく構造により、臨床医はヒト集団において、遺伝子型またはハプロタイプの多様性、そして重要なことには、複雑なものを捕捉し、発見することができ、より正確な読み取りアラインメントが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
様々な例示的な実施形態の簡単な概要を以下に提示する。以下の概要では、いくつかの簡略化および省略を行うことがあり、それらは様々な例示的な実施形態のいくつかの態様を強調および導入することを意図しているが、本発明の範囲を限定するものではない。当業者が本発明の概念を作成し、使用することを可能にするのに十分な例示的な実施形態の詳細な説明は、後のセクションで続く。
【0005】
様々な実施形態は、治療、処置および進行ワークフローのための状態遷移グラフを構築するための、コンピュータで実施される方法に関し、この方法は、1つ以上のコンピューティング装置によって、患者のコホートの治療履歴および臨床データを含むデータを取得することと、1つ以上のコンピューティング装置によって、個々の患者のための治療履歴および臨床データを使用して、患者のコホートの個々の患者のための個々の治療経路を生成することとを含み、個々の治療経路は、1つ以上の適格イベント、当該1つ以上の適格イベントに対する1つ以上の応答状態、および1つ以上の可逆もしくは折り畳み可能イベントを含むユーザ定義パラメータを使用して生成される。この方法は、1つ以上のコンピューティング装置によって、1つ以上の適格イベント、当該1つ以上の適格イベントに対する1つ以上の応答状態、および1つ以上の可逆もしくは折り畳み可能イベントを含む、複数の整列されマージされた個々の治療経路を表す状態遷移グラフを構築することをさらに含む。
【0006】
様々な実施形態はさらに、薬物療法、外科的プロトコル、適格な介入の収集またはそれらの組み合わせを含むグループから選択される、1つ以上の治療計画を含む1つ以上の適格イベントに関する。
【0007】
様々な実施形態はさらに、治療後の応答状態および特定の遺伝子特性に基づく患者のサブタイプを含むグループから選択される1つ以上の応答状態に関する。様々な実施形態では、応答状態は、臨床報告、放射線報告、病理報告、ゲノミクス報告またはそれらの組合せからなるグループから選択される1つ以上の報告にリンクされることができる。
【0008】
様々な実施形態は、個々の治療経路を状態遷移グラフに一度に1つずつ追加することを含む構築ステップにさらに関連する。
【0009】
様々な実施形態は類似する性質の治療に対応するエッジを含む状態遷移グラフにさらに関連し、エッジは折り畳み可能である。
【0010】
様々な実施形態はさらに、1つ以上の適格イベントと、当該1つ以上の適格イベントに対する1つ以上の応答状態と、1つ以上の可逆もしくは折り畳み可能イベントとを含む更なるユーザ定義パラメータを使用して生成される1つ以上のサブグラフを構築することに関する。
【0011】
様々な実施形態は、治療および臨床データを処理するためのシステムに関し、当該システムは、アルゴリズムを記憶するための記憶領域とプロセッサとを有し、当該プロセッサは、患者のコホートの治療履歴および臨床データを含むデータを取得し、1つ以上の適格イベント、前記1つ以上の適格イベントに対する1つ以上の応答状態および1つ以上の可逆または折り畳み可能イベントを含むユーザ定義パラメータを使用して前記治療履歴および臨床データを使用して患者のコホートの個々の患者のための個々の治療経路を生成し、前記1つ以上の適格イベント、前記1つ以上の適格イベントに対する前記1つ以上の応答状態および前記1つ以上の可逆もしくは折り畳み可能イベントを含む複数の整列されマージされた個々の治療経路を表す状態遷移グラフを構築するために、前記アルゴリズムを実施するように構成される。
【0012】
様々な実施形態は、治療および臨床データを処理するためのシステムに関し、プロセッサは、状態遷移グラフに一度に1つずつ個々の治療経路を追加するように構成される。
【0013】
様々な実施形態は、治療および臨床データを処理するためのシステムに関し、プロセッサは、1つ以上の応答状態を、臨床報告、放射線報告、病理報告、ゲノミクス報告またはそれらの組合せからなるグループから選択される1つ以上の報告にリンクするように構成される。
【0014】
様々な実施形態は、1つ以上のコンピューティング装置によって、患者のコホートの治療履歴および臨床データを含むデータを取得することと、1つ以上のコンピューティング装置によって、個々の患者の治療履歴および臨床データを使用して、患者のコホートの個々の患者のための個々の治療経路を生成することであって、個々の治療経路は、1つ以上の適格イベント、前記1つ以上の適格イベントに対する1つ以上の応答状態および1つ以上の可逆または折り畳み可能イベントを含むユーザ定義パラメータを使用して生成されることと、1つ以上のコンピューティング装置によって、前記1つ以上の適格イベント、前記1つ以上の適格イベント対する1つ以上の応答状態および前記1つ以上の可逆または折り畳み可能イベントを含む複数の整列されマージされた個々の治療経路を表す状態遷移グラフを構築することとを含む動作を実行するようにプロセッサを制御するための命令を記憶する非一時的な機械可読媒体にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
同様の参照番号が別々の図を通して同一または機能的に同様の要素を指す添付の図面は、以下の詳細な説明と共に、本明細書に組み込まれ、その一部を形成し、特許請求の範囲に見られるコンセプトの例示的な実施形態をさらに例示し、それらの実施形態の様々な原理および利点を説明する役割を果たす。
これらおよび他のより詳細かつ特定の特徴は、添付の図面を参照して、以下の明細書においてより完全に開示される。
図1】可能な治療経路および対応する状態遷移を要約する治療イベント状態遷移グラフの実施形態を示す図。
図2】ゲノム分析のための様々なゲノム座標を要約する状態遷移サブグラフの実施形態を示す図。
図3】3つの経路のアライメント及びマージによる状態遷移グラフの構成例を示す図。
図4】肝移植のためのミラノ基準を満たしたHCC患者の治療グラフの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。また、同じ参照番号が、同じまたは類似の部分を示すために、図面全体にわたって使用されることを理解されたい。
【0017】
説明および図面は、様々な例示的な実施形態の原理を示す。したがって、当業者は、本明細書では明示的には説明または図示されていないが、本発明の原理を具体化し、その範囲内に含まれる様々な構成を考案することができることが理解されよう。さらに、本明細書に列挙された全ての例は、主に、読者が本発明の原理、および当技術分野を促進するために本発明者によって寄与された概念を理解するのを助ける目的のためのものであることが意図されており、そのような具体的に列挙された例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。さらに、本明細書で使用される「または」という用語は、別段の指示がない限り(例えば、「または他の」または「または代替的に」)、非排他的な「または」(すなわち、「および/または」)を指す。また、いくつかの例示的な実施形態は、新しい例示的な実施形態を形成するために1つ以上の他の例示的な実施形態と組み合わせることができるので、本明細書で説明される様々な例示的な実施形態は必ずしも相互に排他的ではない。「第1」、「第2」、「第3」などの記述は、論じられる要素の順序を限定することを意味せず、1つの要素を次の要素から区別するために使用され、一般に交換可能である。最大値または最小値などの値は、予め決定され、アプリケーションに基づいて異なる値に設定されてもよい。
【0018】
状態遷移グラフは、個々の患者のコホートの疾患の状態、治療反応および他のメタデータを含む過去の患者データを効果的に集計および可視化するために利用され、下流のデータ分析を通して、治療と転帰との間の傾向および関連性の探索および発見をサポートすることができる。これにより、例えば、特定の薬剤又は治療コースの有効性に関する集計研究のデータ、又は特定の臨床転帰、費用及び最小の副作用のような変数に対して最適化された個々の患者に対する経路ガイダンスを利用する統計モデルの構築が可能になる。
【0019】
本明細書の例示的な実施形態は、臨床表現型または転帰の予測モデリングにおける使用のために最適化されたグラフィック構造を構築するように構成されたシステムを記載する。例示的な実施形態は、臨床表現型または転帰のグラフベースの予測モデリングを可能にするグラフィック構造を構築するための方法をさらに記載する。様々な実施形態では、グラフィック構造は、治療/手順ワークフロー、疾患進行の事象(例えば、腫瘍における突然変異/クローン進化、症状の行程など)、(グラフベースのゲノムにおける)ゲノムハプロタイプの組み合わせ、または個々のサンプルの他の情報を要約するために使用され得る状態遷移グラフを含むことができる。様々な実施形態において、個々のサンプルの疾患状態や治療反応などの臨床データとともにグラフに関する計算機分析を行うことにより、さらに、疾患状態や進行、臨床転帰を推測するための統計モデルを構築したり、転帰を最適化するための最善の臨床経路を予測して治療計画を誘導することができる場合がある。
【0020】
様々な実施形態では、本開示の方法を使用して構築された状態遷移グラフは、個々の治療経路の適切なアラインメントおよびマージを通して患者のコホートの治療データを要約する臨床状態遷移グラフを含む。様々な実施形態では、状態遷移グラフは、個々の治療経路の適切なアラインメントおよびマージを通して、患者のコホートのタイムスタンプされた治療履歴および臨床データから構築されることができる。他の実施形態では、状態遷移グラフは、ロジスティクスおよび手術などの他の分野で利用されることができる。
【0021】
様々な実施形態では、状態遷移グラフは、時系列の事象をグラフ化することができる。様々な実施形態では、時系列の事象は、適用された治療、ロジスティックプロシージャ、または有害な突然変異の出現を含むことができ、第1の応答状態から第2の応答状態への個々の遷移を引き起こすグラフ内の有向エッジによって表されることができる。コスト、薬物毒性などの追加の事象を各エッジに割り当てて、累積コスト、最大薬物毒性、および当業者に知られている他の関連する尺度に基づいて経路のランク付けを可能にすることができる。様々な実施形態では、応答状態を使用して、過渡状態全体を要約することができる。例示的な応答状態は、個々のサンプルの治療応答ならびに臨床観察および症状を含み、グラフ中の頂点によって表されることができる。
【0022】
そして、様々な実施形態では、システムは、一度に1つの患者経路を追加することによって、全てのサンプリングされた患者についての結合された遷移グラフを生成するように構成されてもよい。患者経路は、異なる方法でアレイメントされてもよい。一実施形態では、ユーザ定義の類似性基準および測度に基づいて、結合されたグラフにマッチングされ得る状態-イベント-状態ユニットの最大の可能なシーケンスが最初に新しい患者サンプルにおいて特定される。様々な実施形態では、ユーザは、同等の応答状態および事象のセット、またはそれらの同等性についての規則および条件を定義することができる。例えば、類似の性質の治療に対応する事象エッジが、グラフを単純化して、集合グループ内のより多くの患者サンプルとの臨床的関連性を検出する能力を改善するために、同等であると設定されることができる。さらに、ユーザは、事象と状態の複数の特定のシーケンスを、新しいサンプルを追加するためのアンカーポイントとしての役割を果たす際のそれらの優先順位と共に、定義することができる。そして、結果として得られるグラフが最小数の追加の応答状態およびエッジを有し、非環状のままである(後方遷移なしである)ように、サンプルの患者経路が追加されることができる。個々の患者について、応答状態は、臨床、放射線学、病理学およびゲノミクス報告ならびにその応答状態における電子健康記録の一つまたは組合せに関連付けられることができる。
【0023】
様々な実施形態では、各応答状態に関連する臨床データがは、より洗練されたダウンストリームクエリまたは分析を可能にすることができる。様々な実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、検討中の形質を統計的テストに一致させるように構成されたアルゴリズムを含むことができる。
【0024】
様々な実施形態では、ユーザは、エッジに関連する全てのサンプルを分析することによって、異なるカテゴリの/量的な形質、治療応答、臨床転帰または他の計算されたメトリックおよびラベルに対する、各エッジ(例えばゲノム変異体)またはエッジのグループ(例えば異なる入力および出力状態を有する治療手順)の潜在的影響を評価することができる。様々な実施形態では、ユーザは、適格イベントの直後に現れる効果(例えば、治療直後の臨床試験で報告される応答状態)、またはある期間の間/後に現れる効果、またはある数の遷移の過程にわたって現れる効果を検討するかどうかを決定することができる。様々な実施形態では、ユーザはまた、エッジのグループ、例えば、一連の薬物投与に統計的評価を適用して、それらの総合効果を検討することを選択してもよい。本開示のシステムの様々な実施形態では、静的/動的、カテゴリ的/定量的などの、検討中の表現型/転帰変数の性質に基づいて、本開示のシステムは本明細書に記載の適切な統計的テストを自動的に提案/適用するようにさらに構成されてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、検討中のエッジのグループは、静的カテゴリ形質を含む。様々な実施形態では、静的カテゴリ形質は遡及的であってもよく、各サンプルに対するその値は、経路、例えば疾患状態に沿って同じままであってもよく、静的カテゴリ形質はk個のカテゴリ値category_iを有することができる。このような静的カテゴリ形質については、エッジ/経路による選択の前後でカテゴリの分布を比較することによって、エッジ/経路の影響を評価することができる。様々な実施形態において、これは、先ず選択の前後の各カテゴリ(m, ni)におけるサンプルの数を要約する分割表(表1)を計算することによって行われることができる。
【表1】
【0026】
回答されるべき質問に応じて、静的カテゴリ形質に対するエッジ/経路の影響の評価のために、分割テーブルに基づいて、異なるメトリックおよび関連テストが計算されることができる。
【0027】
様々な実施形態では、静的カテゴリ形質の評価のための適切なメトリックおよび関連テストは、相対リスク(RR)テスト、オッズ比(OR)、独立性のカイ二乗検定、独立性のフィッシャーの直接確率検定を含む。本開示のシステムの様々な実施形態では、システムは、静的カテゴリ形質の最適な評価のために、適切なメトリックおよび関連テストを自動的に提案または適用するように構成されてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、相対リスク(RR)テストが提案され、適用されることができる。この実施形態では、カテゴリiごとに、全てのサンプルまたはカテゴリの指定されたサブセットのサンプルに基づいて、相対リスクRRiを計算することができる。分割表1を参照すると、全てのサンプルに基づく場合、
【数1】
となる。カテゴリの指定されたサブセットSに基づく場合、
【数2】
となる。
【0029】
いくつかの実施形態では、オッズ比(OR)テストが提案され、適用されることができる。この実施形態では、カテゴリiごとに、全てのサンプルまたはカテゴリの指定されたサブセットのサンプルに基づいて、オッズ比ORiを計算することができる。分割表1を参照すると、全てのサンプルに基づく場合、
【数3】
となる。カテゴリの指定されたサブセットSに基づく場合、
【数4】
となる。
【0030】
いくつかの実施形態では、独立性のカイ二乗検定が提案され、適用されることができる。いくつかの実施形態では、独立性のカイ二乗検定が適用されて、形質がエッジ/経路から完全に独立している可能性がどの程度あるかをテストすることができる。分割表1を参照すると、カイ二乗統計量は次式で与えられる。
【数5】
【0031】
そして、(k-1)自由度を有するカイ二乗分布に基づいてp値を計算することができる。様々な実施形態では、カイ二乗検定は、例えば、各カテゴリの予想される数が>5の大きなサンプルサイズに最もよく適用されることができる。さらに、より小さいサンプルサイズを有する様々な実施形態では、(1自由度のための)YatesまたはWilliamsの補正を、精度を改善するために自動的に適用することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、独立性のフィッシャーの直接確率検定が提案され、適用されることができる。この実施形態では、独立性のフィッシャーの直接確率検定は、より高い計算コストで正確なp値を返し、小さいサンプルサイズに最もよく適用され得る。様々な実施形態では、独立性のフィッシャーの直接確率検定は、例えば、Freeman-Halton拡張を使用して、より高次元のテーブルについて一般化されることができる。他の実施形態では、独立性のフィッシャーの直接確率検定は、一度に2つのカテゴリーを比較する複数の検定として実行されてもよい。目的に応じて、ユーザは、可能なカテゴリペアの全てまたはそのサブセットに検定を適用することができる。様々な実施形態では、一緒にプールされたサンプルの残りに対して1つのカテゴリについて、または、各々が複数のカテゴリのプールからなる任意の2つのグループ間で、比較を行うこともできる。様々な実施形態では、全体的なp値が、次に、個々の比較のp値の最小値によって与えられ、ボンフェロニ(Bonferroni)および偽発見率(FDR)調整などの方法を使用する複数の検定のための補正を伴う。一実施形態では、Category_1の選択されたサンプリングの数が増加した場合の片側フィッシャー直接確率検定(k=2)のp値が次式で与えられる。
【数6】
ここで
は二項係数である。
【0033】
様々な実施形態では、検討中のエッジのグループが動的カテゴリ形質を含むことができる。様々な実施形態では、検討中の動的カテゴリ形質は、長手方向であってもよく、サンプル中のその値は、エッジ、例えば、高い/低血圧を横断した後に変化する場合があり、形質はk個のカテゴリ値category_iを有する。そのような種類の動的カテゴリ形質について、エッジ/経路の影響は、各カテゴリに出入りするサンプルの数を比較することによって評価されることができる。これは、まず、エッジ/経路を横断した後にカテゴリiに残るサンプルの個数(mii)、またはカテゴリiからカテゴリjに変化するサンプルの個数(mij)を要約する分割表(表2)を計算することによって、行うことができる。
【表2】
【0034】
様々な実施形態では、分割表は、エッジ/経路を横断した後に、1つのカテゴリ(主対角線)に残るサンプルの数、または1つのカテゴリ(行)から別のカテゴリ(列)に切り替わるサンプルの数を示すように構成されてもよい。回答されるべき質問に応じて、動的カテゴリ形質に対するエッジ/経路の影響の評価のために、分割表に基づいて、異なるメトリックおよび関連検定を計算することができる。
【0035】
様々な実施形態では、動的カテゴリ形質の評価のための適切なメトリックおよび関連検定は、周辺分布の均質性のマクネマーテストなどを含む。本開示のシステムの様々な実施形態では、システムは、動的カテゴリ形質の最適な評価のための適切なメトリックおよび関連検定を自動的に提案または適用するように構成されてもよい。
【0036】
様々な実施形態では、分割表は、最初に外向きのサンプルの数/割合を測定することによって計算することができる。一実施形態では、Category_iから他のカテゴリに変化するサンプルの数/割合を測定するために、外向きのサンプルの数/割合が計算される: n_outi = ri - mii 及び f_outi = (ri - mii)/ri
【0037】
様々な実施形態では、分割表は、入ってくるサンプルの数/割合を測定することによって計算されることができる。一実施形態では、入ってくるサンプルの数/分数が他の全てのカテゴリからCategory_iに変化するサンプルの数/分数を測定するために計算される: n_ini = ci - mii 及び f_ini = (ci - mii)/(N-ri)
【0038】
様々な実施形態において、分割表は、追加のサンプルの数/割合を測定することによって計算されてもよい。一実施形態では、追加のサンプルの数/割合は、Category_i内のサンプルの数/割合の全体的な増加を測定するために計算される: n_addi = ci - ri 及び f_addi = (ci - ri)/ri
【0039】
一実施形態では、周辺分布の均質性のマクネマーテストが提案され、適用されることができる。周辺均質性は、各行のトータルが対応する列のトータルに等しいとき、すなわち、各カテゴリ内のサンプルの数が遷移の前後で同じままであるときに、生じる。元々は2×2の分割表のために設計されたが、一般化マクネル/スチュアート・マックスウェル・テストまたはハッパー・テストは、より高次元の表を扱うことができる。別の実施形態では、一度に2つのカテゴリを比較する複数のテストを実行することができる。目的に応じて、ユーザは、可能なカテゴリペアの全てまたはサブセットにテストを適用することができる。一緒にプールされたサンプルの残りに対する1つのカテゴリについて、または、各グループが複数のカテゴリのプールからなる任意の2つのグループ間で、比較を行ってもよい。そして、全体的なp値は、個々の比較のp値の最小値によって与えられ、複数のテストのための補正は、Bonferroniおよび偽発見率(FDR)調整などの方法を使用する。様々な実施形態では、McNemarの検定統計量(k=2)が以下によって与えられ得る。
【数7】
【0040】
様々な実施形態において、P値は、1自由度のカイ二乗分布に基づいて計算されてもよい。様々な実施形態では、より小さいサンプルサイズについて、精度を改善するために、連続性補正が自動的に適用されることができる。
【0041】
様々な実施形態では、検討中のエッジのグループは、静的な量的形質を含むことができる。様々な実施形態では、静的な量的形質は遡及的であってもよく、その値は定量的であり、経路、例えば、全生存に沿って各サンプルについて同じままである。このような種類の静的な量的形質について、エッジ/経路による選択の前後でサンプル手段が著しく変化するかどうかをチェックすることによって、エッジ/経路の影響を評価することができる。様々な実施形態では、目標は、サンプルが有限母集団から置換することなくランダムに選択される帰無仮説を検定することであってもよい。
【0042】
様々な実施形態において、量的形質は、選択前のN個のサンプルにおける平均μおよび標準偏差σを有する正規分布に従う。この実施形態では、n < N個のサンプルがエッジ/経路によって選択され、選択されたサンプルのサブセットは
の平均を提供することができる。様々な実施形態において、全体的な影響は、選択の前後のサンプル平均の差
【数8】
によって測定されてもよい。様々な実施形態では、有限母集団補正係数fpc=√((N-n)/(N-1))を適用することができる。このような実施形態では、選択されたサンプルの平均の標準偏差は以下のようになる:
【数9】
【0043】
そして、両側p値は次式で与えられる:
【数10】
【0044】
様々な実施形態では、検討中のエッジのグループは、動的な量的形質を含むことができる。様々な実施形態では、動的な量的形質は経時的であってもよく、その値は定量的であり、エッジを横切った後に各サンプルについて変化することができ、、例えば、血中グルコースレベルである。このような種類の動的な量的形質について、エッジ/経路の影響は、量的形質の値が全てのサンプルにおいて増加または減少する傾向があるかどうかをチェックすることによって評価されることができる。様々な実施形態では、目標は、各サンプルにおけるエッジ/経路の前後の観察される形質値の平均差がゼロであるという帰無仮説をテストすることであってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、対になったサンプルについての従属T検定が提案され、適用されることができる。一実施形態では、量的形質は正規分布に従う。この実施形態では、N個のサンプルがあり、各々はテスト中のエッジ/経路の前後に一対の観察される形質値を有し、ここで、
およびsDはそれぞれ各サンプルの観察される形質値間の一対の差の平均および標準偏差である。様々な実施形態では、t統計量が次式によって与えられ得る。
【数11】
ここで、μ0は形質の期待平均差である。全体的な影響は、
により測定されることができるが、関連付けの強さは、(N-1)自由度を有するt分布に基づいて計算されたp値によってサポートされることができ、両側検定では、
【数12】
上側検定(対立仮説に対する形質値の増加)では、
【数13】
下側検定(対立仮説に対する形質値の減少)では、
【数14】
である。
【0046】
様々な実施形態において、頂点およびエッジの集合によって形成される本開示のグラフィック構造は、1つ以上のコホートおよび集団の個々のゲノムにわたる変異の配列を効果的に表すために使用され得る。様々な実施形態において、ゲノムグラフは、SNV、インデル、ハプロタイプおよび構造変異体を含む多様なタイプのゲノム変異体を考慮に入れるために使用され得る。いくつかの実施形態では、グラフ構築の方法を使用して、CNVグラフを作成し、モデル中の追加要素として疾患に重大な影響を及ぼすCNVを含めることによって、コピー数変動(CNV)を表すことができる。様々な実施形態において、本開示の方法は、主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex:MHC)などの複合領域における中~長距離のゲノム構造の影響を調査するのに役立ち、複合疾患についてゲノム全体に分散した多くの弱~中等度の遺伝因子を明らかにし、疾患リスク評価に対するそれらの影響を集約するのに役立ち、限定された注釈を有するほとんどの遺伝子間領域をカバーする全ゲノム配列決定(WGS)データの分析のための解決策を提供するために使用され得る。
【0047】
使用時に、本開示のシステムは、まず、ユーザ定義パラメータを使用して、患者のコホートのための個々の治療経路を生成するように構成されてもよい。例示的なユーザ定義パラメータは、例えば、患者に投与される薬物、手術、適格な介入の集合の特定のセットなどの、エッジまたは遷移に適格なイベントのタイプおよびカテゴリを含むことができる。例示的なユーザ定義パラメータは、さらに、例えば、完全応答/部分的応答/無応答のような治療後の即時応答状態によって応答状態を分割するための基準、特定の遺伝子特性に基づく患者のサブタイプなどを含む。いくつかの実施形態では、ユーザ定義パラメータは、投与された治療のシーケンスによって純粋に定義された遷移グラフを含むことができ、応答状態を分割するための基準は必要とされない。例示的なユーザ定義パラメータは可逆的または折り畳み可能なイベントのリストをさらに含むことができ、2つ以上の連続するイベントの順序は重要ではなく、経路を単純化するために1つの結合イベントに折り畳むことができる。様々な実施形態では、ユーザ定義パラメータは、経路およびグラフをさらに単純化するために折り畳まれ/マージされ得る追加のイベントのリストをさらに含むことができる。
【0048】
様々な実施形態では、適切な折り畳み可能なイベントは、サンプルの総数を増加させるために利用される類似の重複エッジを含むことができ、したがって、表現型/転帰の関連性を検出するための統計的検出力を改善する。様々な実施形態では、ゲノム変異グラフのハプロタイプ類似性スコア、または状態遷移グラフの治療カテゴリなどの値によって、エッジ類似性が定義されることができる。様々な実施形態では、類似のエッジは、表現型/転帰に対するそれらの影響が同じ方向にあり、結果として生じるp値または効果測定値が個々のエッジよりも強い場合、マージされることができる。適切な折り畳み可能なイベントは、第2のエッジを横切る全てのサンプルが1つ以上の以前のエッジと完全に重なり合い、第2のエッジが任意のサンプルの状態にいかなる変化も引き起こさない連続したエッジを含むこともできる。適切な折り畳み可能なイベントは、同じまたは非常に類似したサンプル状態を有する隣接ノード、および表現型/転帰に有意な影響を及ぼさない他の連結エッジをさらに含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、個々のエッジについて計算された統計的尺度値によって、ゲノムの全体的な疾患リスクまたは好ましい治療結果に向かう治療経路の有効性が、関連するエッジの統計的証拠を集約することによって、評価され得る。一実施形態では、疾患/転帰と有意に関連するゲノム/経路が横切るエッジの数を数えることができる。
【0050】
図1は、可能な治療経路および対応する応答状態遷移を要約する治療グラフ100を示す。治療グラフ100は、最初に、第1の応答状態110にある患者を示すことができ、第1の治療Aまたは第2の治療Bの投与は、第2の応答状態120または第3の応答状態130への遷移をもたらすことを示すことができる。治療グラフ100は、第2の応答状態120で患者に投与されたときに第4の応答状態140への遷移をもたらす第3の治療Cの効果をさらに示すことができる。治療グラフ100はまた、第2の応答状態120または第3の応答状態130で患者に投与された場合に、第5の応答状態150または第6の応答状態160への遷移をもたらす第4の治療Dの効果を示すこともできる。治療グラフ100は、第5の治療Eの効果をさらに示すことができ、第5の治療Eは、第4の応答状態140にいる患者に投与されると、第7の応答状態170への遷移をもたらす。治療グラフ100はまた、第5の応答状態150で患者に投与された場合に第7の応答状態170または第8の応答状態180のいずれかへの遷移をもたらす治療Fの効果、ならびに第6の応答状態160で患者に投与された場合に第8の応答状態180への遷移をもたらす治療Gの効果を示すことができる。
【0051】
様々な実施形態では、治療グラフ100は、一連のサブグラフを含むことができる。様々な実施形態では、サブグラフは、応答状態および遷移基準を使用して選択されることができる。様々な実施形態では、ユーザは、ナビゲーションおよびユーザインタラクションのためのサポートを用いてグラフを視覚化するユーザインターフェースを介して領域を手動で選択することによって、または選択基準を入力することによって、グラフベースの分析をサブグラフに限定することができる。様々な実施形態では、本開示の状態遷移グラフは、経路の始め、中央、または終わりに向かって特定の応答状態/遷移基準を満たすサブグラフをユーザが選択することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、特定のタイプのネオアジュバント化学療法から始まり、手術が続き、次いで、中央に完全寛解状態、最後に再発状態である経路を有するサブグラフを選択することができる。
【0052】
様々な実施形態では、総治療コスト、最大薬物毒性レベル、副作用の全体的重症度、治療過程中の血圧およびグルコースレベルの平均および標準偏差などの様々なメトリックを、ユーザ定義式に基づいて、選択されたサブグラフ内の各サンプルについて計算することができる。様々な実施形態では、ユーザは、メトリックと選択基準との組合せに基づいて、各サンプルについて追加のカテゴリラベルをさらに作成することができる。そして、サンプルメトリックおよびラベルを下流分析に使用することができる。
【0053】
様々な実施形態では、本開示の方法は、一般的な人口統計学的情報(例えば、性別および民族)、臨床データ(例えば、診断年齢、喫煙状態、全生存率など)、計算されたメトリックおよびラベル、またはサンプルIDに基づく定義基準によって、ユーザがサンプルを選択することをさらに可能にする。様々な実施形態において、本方法は、任意の選択された患者サンプルが横切らないエッジを除去することによって、サブグラフの単純化を可能にする。
【0054】
図2は、部分ゲノム変異グラフの一例を示す。前述された、表現型または疾患状態に対するエッジの影響(この場合にはゲノム変異を表す)に関する統計解析の技術が、適用されることができる。
【0055】
図3は、3つのサンプル経路からの状態遷移グラフ300の構築の一例を示す。図3に示すように、グローバル状態A-HおよびA'は円で表され、遷移T1-T6およびT1'は矢印で表される。状態AおよびA'、ならびに遷移T1およびT1'は、ユーザによって等価として定義され得る。様々な実施形態では、グラフは、一度に1つの経路を追加することによって漸進的に構築されることができ、マッチングユニット310, 320が、グラフとアンカーポイントとして識別された新しい患者サンプルとの間にある。結果として得られる状態遷移グラフ300は、各エッジについて、入力応答状態、出力応答状態、遷移イベントおよびのトラバース経路を要約する、以下に示すようなテーブル形式で表されてもよい。
【表3】
【0056】
実施例1:遷移グラフの作成
【0057】
癌センターでは、既存のおよび将来のHCC患者に対する最も効果的で最も低い治療線を評価するための状態遷移グラフが必要である。センターは、全ての患者の包括的なグラフを構築し、疾患の様々な段階に従ってグラフをサブグラフに分割することを望んでいる。
【0058】
グラフを構築する際に、以下のイベントが遷移として臨床医によって指定される:
i)経動脈血化学塞栓療法(TACE);
ii)薬物溶出ビーズを用いたTACE(DEB-TACE);
iii)ターゲット全身化学療法(ソラフェニブ、スニチニブ、リニファニブ、ブリバニブ、チバンチニブ、エベロリムス);
iv)化学療法とTACEの併用(ソラフェニブ+ TACE);
v)放射線塞栓術;
vi)化学療法と放射線塞栓療法の併用(ソラフェニブ+放射線塞栓療法);
vii)経皮的エタノール注入(PEI);
viii)クライオアブレーション;
ix)高周波アブレーション(RFA);
x)外科的切除(肝部分切除);
xi)肝移植。
臨床医は、各遷移間で応答状態を分割するための基準を指定する。一般に、(肝移植のための肝硬変/HCC患者の適合性を評価する)ミラノ基準、薬物反応および転移の発生など、治療ガイダンスの臨床的測定値または中間的転帰を分割状態の基準として用いることができる。
【0059】
遷移及び状態が完全に定義されると、患者の治療及び転帰データがセンターの電子健康記録(EHR)から検索され、グラフがプロセッサによって仕様とおりに構築される。癌センターは治療効果を評価したいと考えているため、以下の分類またはメトリック値の1つ以上を用いて関連解析を行うことができる:
i)完全応答;
ii)客観的応答;
iii)5年無再発生存率;
iv)5年全生存率;
v)平均腫瘍サイズ。
【0060】
実施例2:下流分析のためのサブグラフ選択
【0061】
実施例1において作成した状態推移グラフを用いて、癌センターは肝移植待機患者の転帰を追跡調査で評価したい。肝移植(LT)待機時間は近年増加しており、そのため患者は腫瘍の進行により脱落するため、ダウンステージとそれに続く最小観察期間が、待機リストに患者を残すための(すなわち、ミラノ基準を満たさなければならない)標準的診療である。グラフ全体を分析する代わりに、患者の選択されたサブセットに分析を限定するための基準が適用されるべきである。
【0062】
図4は、肝移植のためのミラノ基準を満たしたHCC患者の治療グラフを示す。患者の3つのサブセットを、最初にPEI、TACEおよびRFAで治療する。TACEおよびRFAで治療された患者はミラノ基準を維持するが、PEIで治療された患者は腫瘍が進行し、もはや適格ではない。LTに適格でなくなった患者のうち、1つのサブセットはエベロリムスで治療されるが奏効しない。このサブセットは、次の介入(図示せず)に続く。別のサブセットはソラフェニブで治療され、これらの患者は病理学的完全奏効(PCR)を体験する。TACE/RFAでミラノ基準を満たした患者のうち、1つのサブセットがドナーを見つけ、LTを受けた結果、このサブセット全体がPCRとなった。TACE/RFAによりミラノ基準を満たした残りの患者は、待機リストにいた時間が十分長く、適格性を維持するために切除術が施行された。これらの患者のうち、全員がLTに進み、PCRとなった。
【0063】
実施例3:ハプロタイプ検出のためのゲノムグラフの使用
【0064】
この例では、臨床医は、患者が1型糖尿病を発症する危険性があるかどうかを評価しようとする。この疾患の正確な原因は不明であるが、いくつかのヒト白血球抗原(HLA)遺伝子のある種の変異が後年の発症リスクを高めることが知られている。特にどれか一つの変異ではなく、ある種の組み合わせ、すなわちハプロタイプが最終的な疾患発症のリスク指標となる。HLA領域は健康な集団でも非常に多様であり、複雑でほとんど知られていないハプロタイプにつながるという点で独特である。
【0065】
あらかじめ構築され、(HLA領域について)サブセット化されたゲノム変異グラフから、臨床医はまず、1型糖尿病と確定診断された患者と診断されていない患者を代表するサンプルのコホートを含むサブグラフを選択し、標的患者と最もよく一致するハプロタイプ(複数)を同定することを目標とする。その後、臨床医は分析を第6染色体のHLA領域に限定することを選択し、ゲノムの他の部分のエッジを除外する。次いで、臨床医は、95%のハプロタイプ類似性閾値を設定し、そして類似のエッジは、エッジあたりのより多数のサンプルとの関連性テストの統計的検出力を改善する目的で、折り畳まれる。次に、システムは、1型糖尿病とのそれらの関連を検出するために、各エッジについて調整されたp値を計算し、分析にとって最も重要なものを見つける。
【0066】
実施例4:治療計画と転帰最適化のための治療グラフの使用
【0067】
この例では、臨床医は、高リスク前立腺癌患者のために今後進める最良のケアプランを同定し、腫瘍サイズ縮小のために最適化されたケアプランを希望する。状態遷移推論のための方法を適用するために、まず、前立腺癌のための状態遷移グラフに統計的枠組みが適用される。最初に、臨床医は、高リスク前立腺癌の状態遷移サブグラフを作成するために患者のコホートを選択する。このコホートは、診断、病期、人口統計など、臨床医自身の認識した重要性および最適化目標に従って、対象患者が共有する一セットの属性に基づいて選択される。コホートには過度の制約はなく、統計的検出力を維持するとともに、最適モデルを作成するために用いられる多様なセットの遡及的臨床経路および転帰を含める。
【0068】
サブグラフが選択されると、治療グラフにおいて、対象患者の現在の状態に一致するいくつかの開始点が特定される。臨床医は、対象患者の現状に一致する1つのそのような開始点(応答状態)を選択し、最初の治療が決定されなければならない。この状態に続いて、複数の転帰状態へと引き出された複数のエッジ(複数の治療を表す)があり、いくつかの治療法がコホート内の他の治療法よりも有効であることが証明されていることを示している。そのようなエッジの1つエッジAは根治的外照射療法の投与に相当し、第2のエッジBはアンドロゲン除去療法(ADT)の投与に相当し、第3のエッジCはADTの投与とその後の外照射療法に相当する。その後、各エッジに沿った患者の転帰を臨床医に知らせるために順位分類法が用いられ、臨床医は、順位分類法に従って選択されたエッジCが最良の転帰を有する可能性が高いと考え、患者にADTおよび外部ビーム放射線療法を投与することを決定する。
【0069】
実施例5:保険会社のリスクアセスメント、治療効果
【0070】
保険会社は、保険契約者の新しい保険料率を計算したい。保険料率を計算し、利益を維持するために、保険引受業者は、新しい保険契約者が保険契約に対する請求を提出するリスクを評価することを望んでいる。生命保険引受人は、新しい顧客の保険証券の保険料率を計算している。引受業者は、他の情報の中でもとりわけ、個人の健康履歴にアクセスすることができ、顧客(または顧客の家族)が次の30年間に保険証券に対する請求を提出する確率を評価したいと思う。引受業者はまた、保険会社の以前の顧客および現在の顧客についての請求履歴および健康履歴データの状態遷移グラフにアクセスすることができる。引受業者は、患者の人口統計に一致する顧客のコホートを選択する。そして、システムは、顧客の経路を、30年以内に請求を提出した顧客と提出しなかった顧客の2つのカテゴリーに分ける。各カテゴリのオッズ比が計算され、新しい顧客が今後30年間に請求を提出しない可能性が高いことが分かると、引受業者は、より安価な保険料率を新しい顧客に提示することを選択する。
【0071】
技術革新
【0072】
現在のところ、過去の経路データを記憶および関連付けるためのデータ構造の欠如、ならびにそれを利用するための適切な分析方法の欠如に一部起因して、個人化された治療経路管理を決定するための既知のデータ駆動型アプローチは存在しない。本明細書に記載されるグラフ構造は、下流分析を通して、治療と転帰との間の傾向および関連性の探索および発見を可能にするために、履歴患者データパラメータを効果的に集約し、視覚化する。本明細書に記載されるグラフ構造はまた、統計モデルの計算を可能にし、この統計モデルは例えば、特定の薬物または治療コースの有効性、または特定の臨床転帰、費用および最小の副作用などの変数について最適化された個々の患者のための経路ガイダンスに関する集約された研究のためのデータを利用する。
【0073】
実施形態の1つ以上の特徴は数式の使用を含む場合があるが、実施形態は決して数式のみに限定されない。また、それらは、人間の活動または精神的プロセスを組織化する方法にも向けられていない。むしろ、実施形態によって取られる複雑かつ特定のアプローチは、実行される情報処理の量と組み合わされて、実施形態が人間の活動または精神的プロセスによって実行される可能性を無効にする。さらに、コンピュータまたは他の形態のプロセッサを使用して、実施形態の1つ以上の特徴を実装することができるが、実施形態は以前に手動で実行されたプロセスを別の方法で実行するためのツールとしてコンピュータを使用することだけを対象とするものではない。
【0074】
また、これらの実施形態は、治療決定を行う一般的な概念に優先するものでもない。むしろ、本明細書で開示される実施形態は、医療資源を割り当てることの一般的な概念を公衆が実践することに優先しない、または制限しない技術的問題を解決するために、(例えば、イベントログ、トレースセット、クラスタリングアルゴリズム、ならびに重み付けおよび距離測定モデルを通した)特定のアプローチをとる。
【0075】
本明細書で説明される方法、プロセスおよび/または演算は、コンピュータ、プロセッサ、コントローラまたは他の信号処理デバイスによって実行されるコードまたは命令によって実行され得る。コードまたは命令は、1つ以上の実施形態に従って、非一時的コンピュータ可読媒体に格納されてもよい。本方法の基礎を形成するアルゴリズム(またはコンピュータ、プロセッサ、コントローラまたは他の信号処理デバイスの動作)が詳細に説明されるので、方法の実施形態の動作を実施するためのコードまたは命令は、コンピュータ、プロセッサ、コントローラまたは他の信号処理デバイスを、本明細書の方法を実行するための専用プロセッサに変換することができる。
【0076】
本明細書で開示される実施形態のモジュール、ステージ、モデル、プロセッサ、および他の情報生成、処理および計算の特徴は、例えば、ハードウェア、ソフトウェアまたはその両方を含み得るロジックで実装され得る。少なくとも部分的にハードウェアで実装される場合、モジュール、モデル、エンジン、プロセッサおよび他の情報生成、処理または計算機能は、たとえば、限定はしないが、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、論理ゲートの組合せ、システムオンチップ、マイクロプロセッサまたは別のタイプの処理または制御回路を含む様々な集積回路のうちの任意の1つとすることができる。
【0077】
少なくとも部分的にソフトウェアで実装される場合、モジュール、モデル、エンジン、プロセッサ、および他の情報生成、処理または計算機能は、たとえば、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、または他の信号処理デバイスによって実行されるコードまたは命令を記憶するための、たとえばメモリまたは他の記憶デバイスを含み得る。本方法の基礎を形成するアルゴリズム(またはコンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラまたは他の信号処理デバイスの動作)が詳細に説明されるので、方法の実施形態の動作を実施するためのコードまたは命令は、コンピュータ、プロセッサ、コントローラまたは他の信号処理デバイスを、本明細書の方法を実行するための専用プロセッサに変換することができる。
【0078】
以上の説明から、本発明の様々な例示的な実施形態をハードウェアで実施できることは明らかであろう。さらに、様々な例示的な実施形態は、本明細書で詳細に説明される動作を実行するために少なくとも1つのプロセッサによって読み出され、実行され得る、揮発性、または不揮発性メモリなどの非一時的な機械可読記憶媒体上に格納された命令として実装され得る。非一時的機械可読記憶媒体は、パソコンまたはラップトップコンピュータ、サーバ、あるいは他のコンピューティング装置のような、機械によって読み取り可能な形式で情報を記憶する任意のメカニズムを含むことができる。したがって、非一時的機械可読記憶媒体は、ROM、RAM、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュ・メモリ装置、および同様の記憶媒体を含むことができ、一時的な信号を除外する。
【0079】
本明細書の任意のブロックおよびブロック図は、本発明の原理を実施する例示的な回路の概念図を表すことを当業者は理解する。特定のブロックの実施は、本発明の範囲を限定することなく、ハードウェアまたはソフトウェア領域で実施される際に、変更することができる。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移ダイアグラム、擬似コードなどは、コンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、コンピュータまたはプロセッサによって実行される、機械可読媒体で実質的に表現され得る様々なプロセスを表すことが理解されるのであろう。
【0080】
したがって、上記の説明は例示を意図したものであり、限定を意図したものではないことを理解されたい。提供された例以外の多くの実施形態および用途は、上記の説明を読むことによって明らかになるのであろう。範囲は、上述の説明または以下の要約を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権原を有する同等の全範囲と共に決定されるべきである。本明細書で説明される技術において将来の開発が行われること、および開示されるシステムおよび方法がそのような将来の実施形態に組み込まれることが予想され、意図される。要するに、本出願は、修正および変形が可能であることを理解されたい。
【0081】
利益、利点、問題に対する解決策、および任意の利益、利点または解決策を生じさせるか、またはより明白にすることができる任意の要素は、任意のまたは全ての特許請求の範囲の重要な、必要なまたは本質的な特徴または要素として解釈されるべきではない。本発明は、本出願の係属中になされた補正及び発行されたクレームの全ての同等物を含む特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0082】
特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書に反対の明示的な指示がなされない限り、本明細書に記載される技術の当業者によって理解されるように、それらの最も広い合理的な構成およびそれらの通常の意味を与えられることが意図される。特に、「a」、「the」、「said」等のような単数形の冠詞の使用は、クレームが別の明示的限定を記載していない限り、示された素子の1以上を列挙すると読まれるべきである。
【0083】
本開示の要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に確認することを可能にするために提供される。要約は、特許請求の範囲または意味を解釈または制限するために使用されないという理解の下に提出される。さらに、前述の詳細な説明では、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が様々な実施形態において一緒にグループ化されることが分かる。この開示方法は、特許請求される実施形態が各特許項に明示的に列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲に示すように、本発明の主題は、単一の開示された実施形態の全ての特徴より少ない特徴にある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自体が別個に特許請求される主題である。
図1
図2
図3
図4