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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】印刷システム及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240920BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240920BHJP
   H04N 1/34 20060101ALI20240920BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240920BHJP
   G06Q 20/14 20120101ALI20240920BHJP
   G07F 17/26 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G06F3/12 373
H04N1/00 C
H04N1/00 127A
H04N1/34 200
B41J29/38 401
G06F3/12 303
G06F3/12 344
G06F3/12 385
G06Q20/14 300
G07F17/26
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020063866
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163186
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 彩加
(72)【発明者】
【氏名】南川 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】疇地 悠
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】出浦 祐視
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-152368(JP,A)
【文献】特開2010-074448(JP,A)
【文献】特開2018-046492(JP,A)
【文献】特開2007-078887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
H04N 1/00
H04N 1/32 - 1/36
1/42 - 1/44
B41J 29/00 -29/70
G06Q 20/00 -20/42
40/00 -40/08
G07F 17/00 -17/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取り対象物に対し読取りを行う読取部と、
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、
第1制御部と、
を有する印刷装置と、
第2制御部と、
を有するデータ処理サーバと、
を備え、
前記第1制御部は、
前記読取部により読取り対象物を読み取って対応するスキャンデータを生成する読取処理と、
前記読取処理で読み取った前記スキャンデータを前記データ処理サーバへ送信するデータ送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、
前記データ送信処理で送信された前記スキャンデータを受信するデータ受信処理と、
前記データ受信処理で受信した前記スキャンデータに基づく、対応する前記画像の前記被印刷媒体への形成に対する課金の料金を計算する料金計算処理と、
前記料金計算処理で計算した前記料金の決済に関する決済関連処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、さらに、
前記決済が完了したと判断すると、前記スキャンデータに対応する印刷データを取得するデータ取得処理と、
前記データ取得処理で取得した前記印刷データに対応する前記画像を、前記印刷部により前記被印刷媒体に形成する印刷処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、さらに、前記データ受信処理で受信した前記スキャンデータに基づき、当該スキャンデータが、写真スキャンデータ又はテキストスキャンデータであるかを判定するスキャンデータ判定処理と、
前記スキャンデータ判定処理で前記写真スキャンデータ又は前記テキストスキャンデータである、と判定された場合に、前記印刷処理における印刷設定を決定する設定決定処理と、
を実行し、
前記料金計算処理において、前記データ受信処理で受信した前記スキャンデータのカバレッジと前記設定決定処理で決定した前記印刷設定とに基づき、前記料金を計算する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
読取り対象物に対し読取りを行う読取部と、
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、
第1制御部と、
を有する印刷装置と、
第2制御部と、
を有するデータ処理サーバと、
を備え、
前記第1制御部は、
前記読取部により読取り対象物を読み取って対応するスキャンデータを生成する読取処理と、
前記読取処理で読み取った前記スキャンデータを前記データ処理サーバへ送信するデータ送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、
前記データ送信処理で送信された前記スキャンデータを受信するデータ受信処理と、
前記データ受信処理で受信した前記スキャンデータに基づく、対応する前記画像の前記被印刷媒体への形成に対する課金の料金を計算する料金計算処理と、
前記料金計算処理で計算した前記料金の決済に関する決済関連処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、さらに、
前記決済が完了したと判断すると、前記スキャンデータに対応する印刷データを取得するデータ取得処理と、
前記データ取得処理で取得した前記印刷データに対応する前記画像を、前記印刷部により前記被印刷媒体に形成する印刷処理と、
を実行し、
前記データ処理サーバは、
それぞれがカバレッジの範囲を規定した複数のカバレッジ範囲区分と各カバレッジ範囲区分の料金とを前記被印刷媒体のサイズごとに対応付けた相関を記憶した、第1記憶部をさらに有し、
前記第2制御部は、前記料金計算処理において、
記第1記憶部に記憶された前記相関を参照して前記データ受信処理で受信した前記スキャンデータ、前記サイズに応じたカバレッジに基づき、前記料金を計算する
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
前記印刷装置は、
操作可能な操作部をさらに有し、
前記第1制御部は、さらに、
前記操作部を介した、前記印刷処理における印刷設定を受け付ける第1設定受付処理と、
前記第1設定受付処理で受け付けた前記印刷設定を前記データ処理サーバへ送信する第1設定送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、さらに、
前記第1設定送信処理で送信された前記印刷設定を受信する第1設定受信処理を実行し、
前記料金計算処理では、
前記カバレッジと前記第1設定受信処理で受信した前記印刷設定とに基づき、前記料金を計算する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷設定は、
前記印刷処理における印刷色彩設定、前記印刷処理において印刷する前記被印刷媒体の媒体数、及び、前記被印刷媒体のサイズ、のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の印刷システム。
【請求項5】
記第2制御部は、
前記料金計算処理で計算した前記料金に係わる料金関連情報を前記印刷装置へ送信する料金関連情報送信処理を実行し、
前記第1制御部は、
前記料金関連情報送信処理で送信された前記料金関連情報を受信する料金関連情報受信処理と、
前記料金関連情報受信処理の後、前記操作部を介して変更された前記印刷設定を受け付ける第2設定受付処理と、
前記第2設定受付処理で受け付けた、変更後の前記印刷設定を送信する第2設定送信処理と、
を実行し、
前記第2制御部は、さらに、
前記第2設定送信処理で送信された前記印刷設定を受信する第2設定受信処理と、
前記カバレッジと前記第2設定受信処理で受信された前記変更後の印刷設定とに基づき、前記料金を再計算する再計算処理と、
を実行することを特徴とする請求項3記載の印刷システム。
【請求項6】
前記第1制御部は、
前記データ送信処理において、データ識別情報と対応付けて前記スキャンデータを送信し、
前記第2制御部は、
前記データ受信処理において、前記データ送信処理で送信された前記スキャンデータに対応付けられた前記データ識別情報を受信し、
前記料金関連情報送信処理において、前記データ受信処理で受信した前記データ識別情報に対応付けられた前記料金関連情報を送信する
ことを特徴とする請求項5記載の印刷システム。
【請求項7】
前記第1制御部は、
前記データ送信処理において、データ識別情報と対応付けて前記スキャンデータを送信し、
前記第1制御部は、さらに、
前記印刷装置を識別する装置識別情報を前記データ処理サーバへ送信する装置識別情報送信処理
を実行し、
前記第2制御部は、さらに、
前記装置識別情報と前記データ識別情報とを対応付けて記憶する識別情報記憶処理
を実行し、
前記第2制御部は、さらに、
前記決済が完了したとき、当該完了した決済に対応する前記スキャンデータに対応付けられた前記データ識別情報に対応付けられた前記装置識別情報に対応する前記印刷装置へ、前記印刷データを送信する、印刷データ送信処理と、
を実行し、
前記第1制御部は、前記データ取得処理において、
前記印刷データ送信処理で送信された前記印刷データを取得する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の印刷システム。
【請求項8】
前記データ処理サーバは、
前記スキャンデータを記憶する第2記憶部をさらに有し、
前記第2制御部は、さらに
前記データ受信処理で受信した前記スキャンデータに、データ識別情報を対応付けて前記第2記憶部に保持するデータ保持処理を実行し、
前記第1制御部は、
前記第1設定送信処理において、前記印刷設定に、対応する前記データ識別情報を対応付けて送信し、
前記第2制御部は、
前記第1設定受信処理において、前記第1設定送信処理で送信された前記印刷設定と当該印刷設定に対応付けられた前記データ識別情報とを受信し、
前記料金計算処理において、前記第1設定受信処理で受信した前記印刷設定を、当該印刷設定に対応付けられた前記データ識別情報に対応する、前記第2記憶部に保持された前記スキャンデータに適用して、前記料金を計算し、
前記料金関連情報送信処理において、前記第2記憶部に前記スキャンデータが保持された状態で、前記料金計算処理で計算した前記料金に係わる前記料金関連情報を、対応する前記データ識別情報と対応づけて前記印刷装置へ送信し、
前記第1制御部は、
前記料金関連情報受信処理において、前記料金関連情報送信処理で送信された前記料金関連情報と当該料金関連情報に対応付けられた前記データ識別情報とを受信し、
前記第2設定送信処理において、前記変更後の印刷設定に、前記料金関連情報受信処理で受信した前記データ識別情報を対応付けて送信し、
前記第2制御部は、
前記第2設定受信処理において、前記第2設定送信処理で送信された前記変更後の印刷設定と当該印刷設定に対応付けられた前記データ識別情報とを受信し、
前記再計算処理において、前記第2設定受信処理で受信した前記変更後の印刷設定を、当該印刷設定に対応付けられた前記データ識別情報に対応する、前記第2記憶部に保持された状態の前記スキャンデータに適用して、当該スキャンデータに係わる前記料金を再計算する
ことを特徴とする請求項5記載の印刷システム。
【請求項9】
前記第2制御部は、さらに、
前記決済関連処理で取得した支払手続情報を前記データ識別情報に対応付けて前記印刷装置へ送信する支払情報送信処理を実行し、
前記第1制御部は、さらに、
前記支払情報送信処理で送信された、前記データ識別情報に対応付けられた前記支払手続情報を受信する支払情報受信処理と、
前記支払情報受信処理で受信した前記支払手続情報を前記印刷装置に備えられた表示部に表示する支払情報表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の印刷システム。
【請求項10】
前記印刷装置及び前記データ処理サーバと通信可能な端末をさらに備え、
前記第2制御部は、さらに、
前記支払手続情報に基づく決済が完了したか否かを判断する完了判断処理と、
前記完了判断処理で前記決済が完了したと判断すると、完了情報を前記端末へ送信する完了情報送信処理と、
を実行し、
前記端末は、
前記完了情報送信処理で送信された前記完了情報を受信したことに応じて、前記決済が完了したと識別する
ことを特徴とする請求項9記載の印刷システム。
【請求項11】
読取り対象物に対し読取りを行う読取部と、
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記読取部により読取り対象物を読み取って対応するスキャンデータを生成する読取処理と、
前記読取処理で読み取った前記スキャンデータをデータ処理サーバへ送信するデータ送信処理と、
前記データ送信処理で送信された前記スキャンデータに基づく、対応する前記画像の前記被印刷媒体への形成に対する課金の料金計算であって、前記スキャンデータのカバレッジと当該スキャンデータが写真画像データ又はテキスト画像データであることに応じて決定された印刷設定とに基づく前記料金計算が前記データ処理サーバによりなされた後、前記料金計算に基づく決済が完了したと判断すると、前記スキャンデータに対応する印刷データを取得するデータ取得処理と、
前記データ取得処理で取得した前記印刷データに対応する前記画像を、前記印刷部により前記被印刷媒体に形成する印刷処理と、
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
読取り対象物に対し読取りを行う読取部と、
画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記読取部により読取り対象物を読み取って対応するスキャンデータを生成する読取処理と、
前記読取処理で読み取った前記スキャンデータをデータ処理サーバへ送信するデータ送信処理と、
前記データ送信処理で送信された前記スキャンデータに基づく、対応する前記画像の前記被印刷媒体への形成に対する課金の料金計算であって、それぞれがカバレッジの範囲を規定した複数のカバレッジ範囲区分と各カバレッジ範囲区分の料金とを前記被印刷媒体のサイズごとに対応付けた相関を参照した、前記スキャンデータの前記サイズに応じたカバレッジに基づく前記料金計算が前記データ処理サーバによりなされた後、前記料金計算に基づく決済が完了したと判断すると、前記スキャンデータに対応する印刷データを取得するデータ取得処理と、
前記データ取得処理で取得した前記印刷データに対応する前記画像を、前記印刷部により前記被印刷媒体に形成する印刷処理と、
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り機能を有する印刷装置とデータ処理サーバとを備えた印刷システム、及び、読み取り機能を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、原稿のコピーサービスを行う際に、コピーのジョブ属性をコンピュータに送信し、コンピュータがその受信したジョブ属性に基づいて料金を計算するジョブ実行システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-46492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のジョブ実行システムでは、印刷するページ数、印刷する部数、両面印刷及び片面印刷のいずれであるか、モノクローコピーかカラーコピーか、等の、概略的なジョブ属性に基づいて料金が計算される。そのため、原稿の読み取り結果に対応したきめ細やかな料金設定とはなっておらず、ユーザフレンドリーの面では不十分であった。
【0005】
本発明の目的は、原稿の読み取り結果に対応した料金設定によりユーザフレンドリーなサービスを実現できる、印刷システム及び印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、読取り対象物に対し読取りを行う読取部と、画像を被印刷媒体に形成する印刷部と、第1制御部と、を有する印刷装置と、第2制御部と、を有するデータ処理サーバと、を備え、前記第1制御部は、前記読取部により読取り対象物を読み取って対応する画像データを生成する読取処理と、前記読取処理で読み取った前記画像データを前記データ処理サーバへ送信するデータ送信処理と、を実行し、前記第2制御部は、前記データ送信処理で送信された前記画像データを受信するデータ受信処理と、前記データ受信処理で受信した前記画像データに基づく、対応する前記画像の前記被印刷媒体への形成に対する課金の料金を計算する料金計算処理と、前記料金計算処理で計算した前記料金の決済に関する決済関連処理と、を実行し、前記第1制御部は、さらに、前記決済が完了したと判断すると、前記画像データに対応する印刷データを取得するデータ取得処理と、 前記データ取得処理で取得した前記印刷データに対応する前記画像を、前記印刷部により前記被印刷媒体に形成する印刷処理と、を実行することを特徴とする印刷システム。
【0007】
本願発明の印刷システムにおいては、印刷装置の第1制御部が読取処理を行うことで、読取部によって読取り対象物が読み取られ、それに対応する画像データが生成される。その後、第1制御部がデータ送信処理を行うことで、画像データがデータ処理サーバへと送信される。
データ処理サーバの第2制御部は、データ受信処理を行うことで、印刷装置から送信された上記画像データを受信した後、さらにその受信した画像データに基づき料金計算処理を行う。これにより、画像データに対応する画像を被印刷媒体に形成するときの課金の料金が計算される。そして、第2制御部により、上記計算された料金の決済に関する決済関連処理が行われる。
その後、印刷装置の第1制御部は、データ取得処理を行い、上記決済が完了したと判断すると上記画像データに対応する印刷データを取得し、その後、印刷処理を行うことでその印刷データに対応する画像を印刷部により被印刷媒体に印刷する。
【0008】
本願発明によれば、印刷装置において被印刷媒体に画像を形成するときの課金の料金が、印刷装置から送信された画像データに基づいてデータ処理サーバによって計算される。これにより、原稿の読み取り結果に対応したきめ細やかな料金設定とすることが可能になり、ユーザフレンドリーなサービスを実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原稿の読み取り結果に対応した料金設定によりユーザフレンドリーなサービスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による印刷システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
図2】端末、複合機、データ処理サーバ、取引サーバにより実行される処理を表すフローチャートである。
図3】端末、複合機、データ処理サーバ、取引サーバにより実行される処理を表すフローチャートである。
図4】端末、複合機、データ処理サーバ、取引サーバにより実行される処理を表すフローチャートである。
図5】データ処理サーバにおいて実行されるS77の詳細手順を表すフローチャートである。
図6】料金計算時に使用される料金テーブルの例を表す説明図である。
図7】端末に表示されるPaymentURL表示画面の例を表す説明図である。
図8】端末、複合機、データ処理サーバ、取引サーバにより実行される処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る印刷システムを図1に示す。本実施形態は、顧客であるユーザが料金を支払って複合機200のコピー機能を使用するコピーサービスが提供される、印刷システム1の実施形態である。
【0012】
<印刷システムの概要>
図1において、この印刷システム1は、データ処理サーバ100と、複合機200と、端末300と、取引サーバ400と、を含んでいる。これらデータ処理サーバ100、複合機200、端末300、及び取引サーバ400は、ネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。
【0013】
<データ処理サーバ>
データ処理サーバ100は、例えば複合機200のメーカーが設置及び管理するサーバであり、プロセッサ110と、記憶装置115と、インタフェース190と、を有している。これらプロセッサ110、記憶装置115、及びインタフェース190は、バス105を介して互いに接続されている。なお、プロセッサ110は第2制御部の一例である。
【0014】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を備えている。
揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、JOBID記憶領域121と、マシンID記憶領域122と、取引ID記憶領域123と、印刷設定記憶領域124と、スキャンデータ記憶領域125と、を有している。スキャンデータ記憶領域125が第2記憶部の一例である。不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131と、料金テーブル記憶領域132と、を有している。料金テーブル記憶領域132が第1記憶部の一例である。なお、それぞれの記憶内容については後に詳述する。
【0015】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ110は、プログラム記憶領域131に格納されたプログラムを実行することによって、ネットワークNTに接続された端末300、複合機200、取引サーバ400に対するデータ通信を含む、後述の図2図3図4図5図8等に示す各種の処理を実行する。
【0016】
インタフェース190は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0017】
<取引サーバ>
取引サーバ400は、例えばネット決済を行うための各種オンラインサービスを行う会社に設置されており、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。
【0018】
<複合機>
複合機200は、例えば、上記印刷サービスを提供する事業者によって保有されている。なお、複合機200が印刷装置の一例である。複合機200は、スキャナ部280と、印刷部290と、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、ユーザが操作可能な操作部250と、通信インタフェース270と、を有している。なお、プロセッサ210は第1制御部の一例である。これらスキャナ部280、印刷部290、プロセッサ210、記憶装置215、表示部240、操作部250、及び通信インタフェース270は、バス205を介して互いに接続されている。
【0019】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230とを、含んでいる。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、スキャンデータを記憶可能なスキャンデータ保存領域222を備えている。不揮発性記憶装置230は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置230は、プログラム記憶領域232を備えている。プログラム記憶領域232に格納されたプログラムは、例えば、ファームウェアとして不揮発性記憶装置230に予め格納されている。
【0020】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ210は、プログラム記憶領域232に格納されたプログラムを実行することによって、スキャナ部280で原稿を読み取ったスキャンデータに従って印刷部290に画像を印刷させる、いわゆるコピー機能を実行する(詳細は、後述)。
【0021】
表示部240は、例えば、液晶ディスプレイである。操作部250は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を複合機200に入力可能である。通信インタフェース270は、他の装置と通信するための有線または無線のネットワークインタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0022】
スキャナ部280は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的に読取り対象物である原稿を読み取ることによって、読み取った画像を表すスキャンデータを生成する。なおスキャナ部280が読取部の一例であり、スキャンデータが画像データの一例である。なお、スキャンデータは、スキャナ部280が読み取った画像データそのままでもよいし、画像処理が施してあるデータや印刷データとして変換してあるデータでもよい。
【0023】
印刷部290は、例えば、レーザ方式やインクジェット方式等の所定の方式で、用紙上に画像を印刷する。なお、用紙が被印刷媒体の一例である。
【0024】
<端末>
端末300は、この例ではユーザの所有するスマートフォンであり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。端末300は、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。なお、端末300として、例えばパソコンやタブレットコンピュータ、等の他の情報端末を用いてもよい。
【0025】
<実施形態の特徴>
上記構成の印刷システム1において、本実施形態の特徴は、複合機200を利用して、ユーザが原稿のコピー操作を行ったときのスキャンデータの処理、及び、そのコピーサービスに対する対価の計算方法にある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0026】
<処理の流れ>
本実施形態の上記手法を実現するための手法の一例として、複合機200のプロセッサ210と、データ処理サーバ100のプロセッサ110と、取引サーバ400のプロセッサと、端末300のプロセッサと、により実行される制御手順を、図2図8により説明する。なお、以下、図2図8に関する説明においては、各プロセッサの記述を省略し、「複合機200のプロセッサにおいて」「複合機200のプロセッサにより」等、を単に「複合機200において」「複合機200により」等で記載する。
【0027】
<印刷設定の受付及び送受信>
図2において、まずユーザが複合機200に原稿をセット後、操作部250を適宜に操作して、印刷設定に関する入力を行う(S11)。この印刷設定には、例えば、スキャナ部280の読取り時のカラー設定又はモノクロ設定の読取り色彩設定、読み取った原稿のスキャン画像を印刷する時の画質に対応する読取り時の解像度又は印刷時の解像度の指示、印刷する用紙のサイズ、同じ画像複数個を1ページの用紙に印刷するか否か等の印刷レイアウト、片面・両面印刷の選択、用紙の印刷ページ数等の少なくとも1つが含まれる。なお、このような印刷設定の各項目をユーザが入力するのに代え、ユーザは、複合機200側により自動的に印刷設定の各項目を設定する「オート画質設定」モードを、操作部250の適宜に操作により選択することもできる。これら印刷設定の入力は複合機200により受け付けられ、受け付けた内容の印刷設定が実行される(S13)。このS13で実行する処理が第1設定受付処理の一例である。その後、ユーザが操作部250の「COPY START」ボタンを押してコピーの開始指示を行うと(S15)、その指示が複合機200において受け付けられる(S17)。
【0028】
上記指示の受け付けに応じて、複合機200からデータ処理サーバ100に対し、JOBID生成依頼が送信される(S19)。JOBIDは、複合機200が実行するこのコピーのジョブを識別するため、言い換えればスキャンデータを識別するための情報であり、JOBID生成依頼は、そのJOBIDを生成して送信するよう、データ処理サーバ100へ要求するものである。なお、そのJOBID生成依頼の送信の際には、当該複合機200を識別するためのマシンIDも併せて送信される。マシンIDは装置識別情報の一例であり、JOBIDはデータ識別情報の一例である。また、S19は装置識別情報送信処理の一例である。
【0029】
上記JOBID生成依頼は、データ処理サーバ100において上記マシンIDとともに受信され(S21)、これに応じてデータ処理サーバ100により新たなJOBIDが生成される(S23)。生成されたJOBIDは、上記S21で受信したマシンIDと対応付けられた態様で、それぞれ、揮発性記憶装置120のJOBID記憶領域121及びマシンID記憶領域122に記憶され登録される(S25)。その後、登録済の当該JOBIDが、データ処理サーバ100から送信され(S27)、複合機200において受信される(S29)。またS25で実行する処理が識別情報記憶処理の一例である。
【0030】
S29でのJOBIDの受信後、複合機200では、このあと後述のS33で読取りを行ったときのスキャンデータを、データ処理サーバ100に送信するか否か、の判断が行われる(S30)。この判断の際には、記憶装置215、詳細には、揮発性記憶装置220のスキャンデータ保存領域222のうちこの時点で提供可能なメモリ空き容量(以下適宜、単に「メモリ空き容量」と称する)に関する情報と、スキャンデータの記憶に必要であると予測される予測メモリ容量(以下適宜、単に「予測メモリ容量」と称する)に関する情報と、のうち少なくとも一方に応じて、判断が行われる。その判断には、例えば以下の種々の手法がある。
【0031】
(A)メモリ空き容量に応じて判断
すなわち、上記メモリ空き容量に基づきスキャン画像の送信可否を判断する場合である。具体的には、予め定めた閾値とこの時点でのメモリ空き容量とを比較し、メモリ空き容量が閾値以上であれば、スキャンデータを記憶保持できるだけの容量がスキャンデータ保存領域222に十分残されているとみなされる。その結果、スキャンデータのデータ処理サーバ100への送信を行わない、と判断される。逆に空き容量が閾値未満であれば、スキャンデータを記憶保持できるだけの容量がスキャンデータ保存領域222に残されていないとみなされ、スキャンデータのデータ処理サーバ100への送信を行う、と判断される。
【0032】
なお、このときの閾値の値を、前述の予測メモリ容量に関連する種々の情報に応じて可変に設定してもよい。具体的には、複合機200で原稿がADF及びフラットベッドのいずれに設置されたかの原稿設置態様、前述のS11で設定された、スキャナ部280の読取り時の読取り色彩設定、ユーザによる指示解像度、用紙のサイズ、等の少なくとも1つの情報が含まれる。
【0033】
なお、上記メモリ空き容量に関する情報の他の例として、他のユーザによる記憶装置215の少なくとも一部の占有があるか否かを表す情報、若しくは、複合機200におけるコピー機能以外の他の機能が実行されているか否かを表す情報、を適宜の手法で取得して用いてもよい。
【0034】
(B)容量関連情報に応じて判断
すなわち、前述の予測メモリ容量に関連する容量関連情報としての、原稿設置態様、読取り色彩設定、指示解像度、用紙サイズ等に基づいて、スキャン画像の送信可否を判断する場合である。具体的には、複合機200で原稿がフラットベッドで設置された場合、読取り色彩設定がモノクロの場合、指示解像度の値が比較的小さい場合、用紙のサイズが比較的小さい場合は、スキャンデータの記憶に必要である上記予測メモリ容量が比較的小さいとみなされる。その結果、スキャンデータのデータ処理サーバ100への送信を行わない、と判断される。逆に、複合機200で原稿がADFに設置された場合、読取り色彩設定がカラーの場合、指示解像度の値が比較的大きい場合、用紙のサイズが比較的大きい場合は、スキャンデータの記憶に必要である上記予測メモリ容量が大きいとみなされる。その結果、スキャンデータのデータ処理サーバ100への送信を行う、と判断される。
上述した、メモリの空き容量に応じた判断と、容量関連情報に応じた判断とのどちらか一方だけで、スキャンデータのデータ処理サーバ100への送信を行うか否かを判断してもよいし、両方の判断を実行してもよい。
【0035】
複合機200では、以上のようにしてスキャンデータをデータ処理サーバ100に送信するか否かの判断がなされた後、スキャンデータの送信決定がなされたか否かが判定される(S31)。Yes判定の場合はデータアップロードフラグFが1とされ(S33)、No判定の場合はデータアップロードフラグFが0とされ(S33)、その後S37へと移行する。
【0036】
なお、複合機200のスキャンデータ保存領域222のメモリ容量がかなり小さい場合、後述する料金改定の便宜等を特に重要視する場合、等においては、上記S31の判断を行わず、常時スキャンデータをデータ処理サーバ100に送信するようにしてもよい。この場合は、上記S30、S31、S33,S35は省略されるとともに、以降に記述する各手順においては、データアップロードフラグF=1である場合に対応する手順のみが実行され、データアップロードフラグF=0である場合に対応する手順及びデータアップロードフラグF=1か否かの判断、データアップロードフラグFの設定、データ処理サーバにデータアップロードフラグFの値を送信する動作等は省略される。
【0037】
S37では、複合機200において、前述した読取り色彩設定、解像度指示、用紙サイズ、印刷レイアウト、片面・両面印刷選択等を含む印刷設定が、S29で受信したJOBIDと対応付けられた後、データ処理サーバ100へと送信される(S39)。なお、このとき送信される印刷設定及びJOBIDには、さらにS35又はS33で設定されたデータアップロードフラグFの値も対応付けられている。このS39で実行する処理が第1設定送信処理の一例である。
【0038】
データ処理サーバ100では、複合機200から送信された上記印刷設定が、上記JOBID及びデータアップロードフラグFの値ともに受信される(S41)。このS41で実行する処理が第1設定受信処理の一例である。その後、データ処理サーバ100では、S41で受信した印刷設定、JOBIDと、及び、S21で受信されたマシンID、が、互いに対応付けられた態様で、それぞれ、揮発性記憶装置120の印刷設定記憶領域124、JOBID記憶領域121、及びマシンID記憶領域122に記憶され、登録される(S43)
【0039】
なお、上記S30でのスキャンデータ送信可否の判断及びその後のS31,S33,S35の各処理をS17とS19との間のタイミングで実行してもよい。この場合、その後に実行されるS19でのJOBID生成依頼及びマシンIDの送信において、S39に相当する内容、すなわち、印刷設定及びデータアップロードフラグFの値の送信を併せて行うことができる。そしてこの場合、S21では、印刷設定及びデータアップロードフラグFの値の受信に加え、S41に相当する内容、すなわち印刷設定及びデータアップロードフラグFの値の受信を併せて行うことができる。その結果、その後のS23でのJOBIDの生成を経て、S25では、S43に相当する内容、すなわち、印刷設定とJOBIDとマシンIDとを対応付けて登録することができる。
【0040】
<原稿読取り及びカバレッジの算出>
図3に移り、複合機200では、前述のS39の後、セットされた原稿の1ページに対して読取りが行われる(S45)。その読み取られたページのスキャンデータが揮発性記憶装置220のスキャンデータ保存領域222に記憶され保存される(S47)。その後、前述のデータアップロードフラグF=1であるか否か、すなわちスキャンデータの送信決定がなされたか否かが判定される(S49)。No判定の場合は後述のS57に移行する一方、Yes判定の場合はS51へ移行する。
【0041】
S51では、複合機200において、S47でスキャンデータ保存領域222に保存したスキャンデータに対しS29で受信したJOBIDが対応付けられた後、それらスキャンデータ及びJOBIDがデータ処理サーバ100への送信される(S53)。S53で実行する処理が、データ送信処理の一例である。そして、スキャンデータ保存領域222から当該スキャンデータが削除される(S55)。その後のS57で、ユーザがコピーしたい原稿の処理がすべて終わらないうちはNo判定されてS45~S55が繰り返され、ユーザがコピーしたい原稿の処理がすべて終わったらS57がYes判定されて、後述のS69へ移行する。
【0042】
なお、上述のように、S45での1ページの読取りが終わるごとにS53でその1ページ分のスキャンデータをデータ処理サーバ100へ送信する手法には限られない。すなわち、スキャンデータ保存領域222に対し読み取った複数ページのスキャンデータを順次格納していき、スキャンデータ保存領域222の残りメモリ容量が所定値以下となったことを契機に、データ処理サーバ100への送信を開始してもよい。
【0043】
あるいはスキャンデータ保存領域222内に、スキャンデータを入力可能な第1領域と第2領域とを設けてもよい。そして、まず第1領域に対し読み取ったページのスキャンデータを入力して順次格納していき、第1領域の残りメモリ容量が所定値以下となったことを契機に、スキャンデータの入力先を第2領域に切替え、1ページの読取りが終わるごとにその1ページ分のスキャンデータを第2領域に入力するとともに、その入力されたスキャンデータをそのままデータ処理サーバ100へ送信するようにしてもよい。
【0044】
一方、データ処理サーバ100では、前述のS43の後、S59に移行し、前述のデータアップロードフラグF=1であるか否か、すなわちスキャンデータの送信決定がなされたか否かが判定される。No判定の場合は後述のS75に移行する一方、Yes判定の場合はS61へ移行する。S61では、前述のS53で複合機200から送信されたスキャンデータ及びJOBIDが受信される。S61で実行する処理が、データ受信処理の一例である。その後、すべてのスキャンデータの受信が完了するまではS63がNo判定となってS61での受信が継続される。すべてのスキャンデータの受信が完了したらS63がYes判定となってS65へ移行し、受信したスキャンデータとS23で生成したJOBIDとが対応付けられてスキャンデータ記憶領域125に記憶される。なお、S65で実行する処理がデータ保持処理の一例である。その後、受信したスキャンデータのカバレッジが計算され(S67)、後述のS77へ移行する。
【0045】
また、複合機200では、S57の後のS69で、データアップロードフラグF=1であるか否か、すなわちスキャンデータの送信決定がなされたか否かが判定される。No判定の場合は後述のS87に移行する一方、Yes判定の場合はS71へ移行する。S71では、複合機200において、S47で保存されていたスキャンデータのカバレッジが計算された後(S71)、その計算したカバレッジの値がデータ処理サーバ100へと送信され(S73)、後述のS87へ移行する。データ処理サーバ100では、その送信されたカバレッジが受信された後(S75)、後述のS77へと移行する。
【0046】
<料金計算及び決済>
次に図4に移り、データ処理サーバ100では、S77で、上記S67で計算したカバレッジの値又はS75で受信したカバレッジの値に基づき、今回のコピーサービス、すなわち上記原稿の読取り及び対応するスキャンデータの印刷に対応してユーザに課金される料金が計算される。S77で実行する処理が料金計算処理の一例である。この計算の際には、揮発性記憶装置120の上記料金テーブル記憶領域132に記憶された、カバレッジに対応する課金料金が対応付けられた料金テーブルに基づき、料金が計算される。またその際には、カバレッジの値がどの程度であるか、に加え、前述の印刷設定にも基づいて計算が行われる。
【0047】
その印刷設定には、前述の、カラー設定又はモノクロ設定の読取り色彩設定、画質に対応する読取り時の解像度又は印刷時の解像度の指示、印刷する用紙のサイズ、印刷レイアウト、片面・両面印刷の選択、用紙の印刷ページ数等の少なくとも1つが含まれる。なお、読取り色彩設定は、言い換えれば印刷時にカラー印刷をするかモノクロ印刷をするかに相当している。この読み取り色彩設定が、印刷色彩設定の一例である。また印刷ページ数が被印刷媒体の媒体数の一例である。
【0048】
なお、前述のS11で「オート画質設定」モードが選択入力されていた場合には、上記S61で受信したスキャンデータに基づき、データ処理サーバ100において印刷設定に係わる少なくとも1つの項目が自動的に設定される。そして、その自動的に設定された内容に基づき、料金の計算が行われる。
【0049】
データ処理サーバ100において実行されるS77の詳細手順を図5により説明する。まずS2において、前述のS41での受信結果に基づき、複合機200における前述のS13にて「オート画質設定」モードが設定されていたか否かが判定される。「オート画質設定」モードが設定されていなければNo判定され、後述のS10へ移行する。「オート画質設定」モードが設定されていたらYes判定され、S4へ移行する。
【0050】
S4では、上記S61で受信したスキャンデータに対し、後述のS6の写真画像データ・テキスト画像データの判別を可能とするための、公知の画像変換が行われる。その後、S6で、S4での画像変換後のスキャンデータに基づき、当該スキャンデータが、写真からなる原稿を読み取った写真画像データ、及び、テキスト文字からなる原稿を読み取ったテキスト画像データのうちいずれか一方であるか否か、が判定される。S6で実行する処理が画像データ判定処理の一例である。写真画像データ及びテキスト画像データのいずれでもなければNo判定され、後述のS10へ移行する。写真画像データ及びテキスト画像データのいずれかであればYes判定され、S8へ移行する。
【0051】
S8では、上記スキャンデータに対し自動的に設定する印刷設定として、この例では、印刷解像度が、S6で写真画像データと判定された場合には高解像度の所定値に、S6でテキスト画像データと判定された場合には低解像度の所定値に、決定される。このS8で実行する処理が、設定決定処理の一例である。その後S10へ移行する。
【0052】
S10では、S41で受信した印刷設定内容及びS8で自動設定した内容のうち少なくとも一方に基づき、料金テーブルを参照して、上記S67で計算したカバレッジの値又はS75で受信したカバレッジの値に対応する料金が決定される。この例では、料金計算のために参酌される上記印刷設定として、カラー設定又はモノクロ設定の読取り色彩設定と、印刷する用紙のサイズと、の2つが用いられる。なお、印刷設定のうちこれら以外の項目について参酌し料金を計算してもよい。
【0053】
使用される料金テーブルの一例を図6(a)に示す。図示のように、この例では、印刷する用紙のサイズがA4サイズである場合が示されている。また、スキャンデータのカバレッジXと、所定の閾値T2,T1(但しT2<T1)とを用いて、T1≦Xとなるカバレッジ範囲、T2<X<T1となるカバレッジ範囲、X≦T2となるカバレッジ範囲、の3区分が設けられている。そして、3つのカバレッジ範囲区分と、各区分に対応する料金とが、相関として対応付けられている。
【0054】
すなわち、モノクロ印刷の場合には、1ページあたりの価格が、カバレッジXがT1≦Xの範囲では15円、カバレッジXがT2<X<T1の範囲では10円、X≦T2の範囲では5円、と設定されている。すなわち、カバレッジXがT2<X<T1の範囲での料金を基本料金として、それよりも大きいカバレッジ範囲では割増料金分5円が加えられる一方、それよりも小さいカバレッジ範囲では割引料金分5円が減じられる。
同様に、カラー印刷の場合には、1ページあたりの価格が、カバレッジXがT1≦Xの範囲では75円、カバレッジXがT2<X<T1の範囲では50円、X≦T2の範囲では25円、と設定されている。この場合は、カバレッジXがT2<X<T1の範囲での料金を基本料金として、それよりも大きいカバレッジ範囲では割増料金分25円が加えられる一方、それよりも小さいカバレッジ範囲では割引料金分25円が減じられる。
【0055】
使用される料金テーブルの他の例を図6(b)に示す。図示のように、この例では、印刷する用紙のサイズがA3サイズである場合が示されている。この場合、モノクロ印刷では、1ページあたりの価格が、カバレッジXがT1≦Xの範囲では30円、カバレッジXがT2<X<T1の範囲では20円、X≦T2の範囲では10円、と設定されている。すなわち、カバレッジXがT2<X<T1の範囲での料金を基本料金として、それよりも大きいカバレッジ範囲では割増料金分10円が加えられる一方、それよりも小さいカバレッジ範囲では割引料金分10円が減じられる。
同様に、カラー印刷の場合には、1ページあたりの価格が、カバレッジXがT1≦Xの範囲では150円、カバレッジXがT2<X<T1の範囲では100円、X≦T2の範囲では50円、と設定されている。この場合は、カバレッジXがT2<X<T1の範囲での料金を基本料金として、それよりも大きいカバレッジ範囲では割増料金分50円が加えられる一方、それよりも小さいカバレッジ範囲では割引料金分50円が減じられる。
【0056】
上記は一例であり、基本料金の設定と、それに対応する割増料金分及び割引料金分の設定とは、適宜に変更してもよい。
【0057】
以上のようにして、カバレッジと印刷設定とに基づきスキャンデータに対応する料金の算出が終了したら、このルーチンを終了し、図4に戻ってS79に移行する。
【0058】
S79では、データ処理サーバ100において、決済準備処理が行われる。具体的には、今回のこのコピーサービスの実行に適宜に付した商品IDと、S77での計算結果である支払金額と、取引サーバ400での認証に用いるための認証情報と、決済完了確認用のURL(本実施形態ではデータ処理サーバ100のURL)であるConfirmURLと、が取引サーバ400へ送信される。また、それらの送信に応じて取引サーバ400から送信された、ユーザがアクセスして料金支払いをするためのPaymentURLと、当該料金支払い手続きに係わる取引IDと、が受信される。
【0059】
その後、データ処理サーバ100においては、S77での計算結果である支払金額と、S79で取得した上記取引ID及びPaymentURLと、が前述のJOBIDと対応付けられる(S81)。そして、公知の適宜の手法により、PaymentURLに対応するバーコード、例えばQRコード(登録商標)が生成され(S83)、そのQRコード(登録商標)を含む、支払いに必要なデータが複合機200へと送信される(S85)。なおこの時点で、前述のように、当該QRコード(登録商標)及びJOBIDに対応するスキャンデータは、スキャンデータ記憶領域125に保持されたままの状態である。なお、上記PaymentURL、QRコード(登録商標)が支払手続情報の一例である。また、上記PaymentURL、QRコード(登録商標)は、料金関連情報の一例でもある。また、S85で実行する処理は支払情報送信処理の一例である。また、S85で実行する処理は、料金関連情報送信処理の一例でもある。
【0060】
支払いに必要なデータには、QRコード(登録商標)のほか、上記PaymentURLと、JOBIDとが含まれ、これらが複合機200において受信される(S87)。S87で実行する処理が支払情報受信処理の一例である。また、S87で実行する処理は、料金関連情報受信処理の一例でもある。それらを受信した複合機200では、図7に示すように、表示部240において、少なくとも上記QRコード(登録商標)を含む上記支払いに必要なデータを表示する所定の支払画面240Pが表示される(S89)。なお、S89で実行する処理が支払情報表示処理の一例である。なお、このように支払いに必要なデータを表示出力するのではなく、印刷部290により用紙に印字形成、すなわち印刷出力するようにしてもよい。この支払画面240Pに表示されたQRコード(登録商標)に対し、端末300に備えられたスキャナもしくはカメラによって読取りを行うことで(S91)、端末300にはPaymentURLの表示画面が表示される。この画面に表示されたPaymentURLにアクセスすることで上記計算された料金等を含む料金表示画面が表示され、ユーザは今回のコピーサービスの利用により自分が支払うべき料金を知ることができる。
【0061】
その後、複合機200においては、ユーザによる印刷設定変更の指示入力があったか否かが判定される(S95)。すなわち、S89で前述したようにして表示部240に表示された料金を見たユーザが、例えば料金の見直し等を目的として、図7に示される支払画面240Pの設定変更キー240s及び操作部250を適宜に操作し、印刷設定変更の指示入力を行うと(S93)、その変更された設定が複合機200において受け付けられる。この処理が第2設定受付処理の一例である。そしてこの結果、複合機200において実行されるS95がYes判定となり、S97に移行する。
【0062】
S97では、ユーザが変更した印刷設定の内容を表す印刷設定変更要求が、複合機200からJOBIDとともに送信される。S97で実行する処理が第2設定送信処理の一例である。そして、それらがデータ処理サーバ100において受信される。この処理が第2設定受信処理の一例である。そしてこの結果、S99がYes判定となり、S101へ移行する。S101では、上記受信した印刷設定変更要求の内容に応じてこの時点での印刷設定が変更され、更新される(S101)。その後、その更新された印刷設定の内容に応じて、スキャンデータ記憶領域125に保持されている、上記受信したJOBIDに対応するスキャンデータについての、料金が再度計算される(S77)。このときS77で実行する処理が、再計算処理の一例である。こうして再計算された料金に対応して上記S79,S81,S83,S85の処理が改めて行われ、送信されたQRコード(登録商標)、PaymentURL、JOBIDが複合機200においてS87にて受信され、S89において再度上記支払画面が表示される。これにより、ユーザは、上記同様にして、再計算された料金を知ることができる。
【0063】
一方、料金を見たユーザが、料金の見直し等の必要を感じず当該料金等の内容を受け入れ、上記印刷設定変更の指示入力を行わない場合は、複合機200における上記S95がNo判定となり、後述のS117へ移行する。またデータ処理サーバ100では、印刷設定変更の指示入力が行われないことで印刷設定変更要求が送信されない場合は、S99がNo判定され、後述のS111へ移行する。そして、上記受け入れたユーザが端末300に表示された上記料金表示画面において適宜の操作をすることで、今回のコピーサービス、すなわち上記原稿の読取り及び対応するスキャンデータの印刷するための料金の決済を承認したこと、言い換えれば前述の料金の支払いを承諾したこと、を表す支払承認通知が取引サーバ400へと通知される(S105)。
【0064】
その後、上記承認の通知を受信した取引サーバ400から決済予約時(S79)でのPaymentURLに対応するConfirmURLが端末300へと送信され(S107)、このConfirmURLに基づき端末300から決済完了要求が送信され、データ処理サーバ100において受信される(S109)。これにより、データ処理サーバ100におけるS111がYes判定されて、決済完了確認処理が行われる(S113)。すなわち、ConfirmURLに対応する前述の認証情報、商品ID、及び取引IDが取引サーバ400へと送信される。またこれとともに、これに対応して取引サーバ400から送信されたreturncodeがデータ処理サーバ100において受信される。またS113で実行する処理が完了判断処理の一例である。
【0065】
<スキャンデータ及び印刷>
次に図8に移り、上記決済完了確認処理の後、データ処理サーバ100では、決済完了通知が送信され(S115)、端末300において受信される(S117)。なお、前述のS77、S79、S81、S83、S85、S111、S113、及びS115で実行する処理が決済関連処理の一例である。また、決済完了通知が完了情報の一例であり、S115で実行する処理が、完了情報送信処理の一例である。
その後、データ処理サーバ100では、前述のデータアップロードフラグF=1であるか否か、すなわちスキャンデータの送信決定がなされたか否かが判定される(S119)。No判定の場合は後述のS133へ移行する一方、Yes判定の場合はS121へ移行する。S121では、スキャンデータ記憶領域125に保持されていたスキャンデータが、印刷データとして、対応する上記JOBIDとともに送信される。なお、S121では、スキャンデータ記憶領域125に保持されていたスキャンデータそのものではなく、スキャンデータに対してデータ処理サーバ100が適宜に加工したデータを印刷データとして複合機200へ送信してもよい。以下、このようにスキャンデータに対し加工が施されたものを含み、単に「スキャンデータ」と称する。またS121で実行する処理が、印刷データ送信処理の一例である。
【0066】
一方このとき複合機200においても、前述のデータアップロードフラグF=1であるか否か、すなわちスキャンデータの送信決定がなされたか否かが判定される(S123)。No判定の場合は後述のS127へ移行する一方、Yes判定の場合はS125へ移行する。S125では、上述のS121で送信されたスキャンデータ及びJOBIDが受信され、複合機200において取得される。このS125で実行する処理が、データ取得処理の一例である。またこのS125で取得された上記スキャンデータが印刷データの一例である。
【0067】
なお、上記S121,S125での処理のように、データ処理サーバ100から複合機200へ直接スキャンデータを送信する手法に限られず、他の手法でもよい。
すなわち例えば、データ処理サーバ100において、取引サーバ400からの決済完了確認通知を受信したことに対応して、スキャンデータ記憶領域125に保持されていたスキャンデータを、ネットワークNTに接続されている適宜の外部機器に格納してもよい。この場合、その後、データ処理サーバ100から複合機200へデータ取得指示が送信される。複合機200では、上記送信されたデータ取得指示が受信される。そしてこのデータ取得指示の受信を契機に、複合機200はネットワークNTを介し上記外部機器にアクセスすることで、外部機器から上記スキャンデータを取得する。この場合、当該取得がデータ取得処理の一例である。
【0068】
その後、複合機200では、印刷部290により、S125で受信したスキャンデータの、この時点で設定されている印刷設定に基づく用紙への印刷が実行される(S127)。このS127で実行する処理が印刷処理の一例である。スキャンデータすべての印刷が完了しS129がYes判定されると、S131へ移行し、複合機200から印刷完了通知がJOBIDとともに送信される。
【0069】
これに対応して、データ処理サーバ100では、上記送信された印刷完了通知が受信された後(S133)、スキャンデータ記憶領域125に保持されていたスキャンデータが削除され(S135)、このフローを終了する。
【0070】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の印刷システム1においては、複合機200によって原稿が読み取られ、それに対応するスキャンデータが生成された後、スキャンデータがデータ処理サーバ100へと送信される。データ処理サーバ100は、複合機200から送信されたスキャンデータを受信した後、その受信したスキャンデータに基づきS77で料金計算を行う。これにより、スキャンデータの画像を用紙に形成するときの課金の料金が計算される。そして、上記計算された料金の決済に関する決済関連処理が行われる(S79)。
その後、複合機200では、上記決済が完了したと判断すると、料金計算後のスキャンデータを取得した後、そのスキャンデータに対応する画像を用紙に印刷する。
以上のように、本実施形態によれば、複合機200が用紙に画像を形成するときの課金の料金が、複合機200から送信されたスキャンデータに基づいてデータ処理サーバ100によって計算される。これにより、原稿の読み取り結果に対応したきめ細やかな料金設定とすることが可能になり、ユーザフレンドリーなサービスを実現することができる。
【0071】
また、本実施形態では特に、料金計算における課金料金の計算が、スキャンデータのカバレッジに応じて行われる。これにより、実際の画像の色彩の濃淡に応じて消費される液体の使用量を反映して、きめ細やかな料金設定を実現可能となる。
【0072】
また、本実施形態では特に、予め、料金テーブル記憶領域132に記憶された相関において、複数のカバレッジ範囲区分と各区分の料金とが対応付けられている。これにより、スキャンデータのカバレッジに基づき料金を計算するとき、その相関を参照して迅速かつ簡単に料金を決定することができる。また、何らかの理由で料金を改める際には、料金テーブル記憶領域132内の当該相関を改定するだけで容易に料金改正を行うことができる。
【0073】
また、本実施形態では特に、データ処理サーバ100の実行する料金計算において、スキャンデータのカバレッジのみならず、印刷設定にも応じて、料金が計算される。これにより、さらにきめ細やかな料金設定を実現することができる。その際、本実施形態においては、データ処理サーバ100において、S6で、複合機200から受信したスキャンデータが写真画像データ若しくはテキスト画像データであるかが判定され、その後、S8で、その判定に応じ印刷設定が決定される。このように、スキャンデータの内容に基づき印刷設定が自動的に決定されることで、サービスを受けるユーザによる印刷設定の入力が不要となり、操作の簡便化によりユーザの利便性を向上することができる。
【0074】
また、本実施形態では特に、データ処理サーバ100の実行するS77での料金計算において、スキャンデータのカバレッジのみならず、印刷設定にも応じて料金が計算される。すなわち、複合機200のユーザが操作部250を介し印刷設定を入力すると、複合機200においてS13にてその印刷設定が受け付けられ、さらにその印刷設定がS39でデータ処理サーバ100へと送信される。データ処理サーバ100において、上記送信された印刷設定が受信され、その受信した印刷設定とスキャンデータのカバレッジと応じて、料金が計算される。これにより、さらにきめ細やかな料金設定を実現することができる。
【0075】
また、本実施形態では特に、印刷設定として、印刷色彩設定、印刷する用紙ページ数、用紙のサイズ等を含むことにより、これらの設定内容を具体的に加味した、さらにきめ細やかな料金設定を実現することができる。
【0076】
また、本実施形態では特に、最初の料金計算結果に基づき、ユーザの意図に応じて料金の再計算を行うことができる。すなわち、データ処理サーバ100で料金が計算されると、対応する料金関連情報が複合機200へと送信され受信される。
この料金関連情報に基づき表示された料金を見たユーザが印刷設定を変更すると、複合機200でその変更された印刷設定が受け付けられた後、その変更後の印刷設定がデータ処理サーバ100へと送信される。これに対応してデータ処理サーバ100においてその送信された変更後の印刷設定が受信され、その受信された変更後の印刷設定に基づいて、料金の再計算が実行される。
これにより、最初の印刷設定に対応した料金を見たユーザが、何らかの意図をもって印刷設定を変更した場合に、その変更後の印刷設定ではどのような料金となるかを再計算して示すことができる。この結果、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【0077】
また、本実施形態では特に、データ処理サーバ100においてS61で受信するスキャンデータに対し、JOBIDが対応付けられている。そして、その後に実行するS77において、その受信したJOBIDを用いて、料金計算が行われる。これにより、スキャンデータに課される料金の計算を、スキャンデータとの結びつきを確保しつつ、円滑に行うことができる。
【0078】
また、本実施形態では特に、データ処理サーバ100においてS61で受信するスキャンデータに対し、JOBIDが対応付けられている。そして、その後に実行するS85において、その受信したJOBIDを用いて、料金関連情報の送信が行われる。これにより、スキャンデータに課される料金に対応した料金関連情報の送信を、スキャンデータとの結びつきを確保しつつ、円滑に行うことができる。
【0079】
また、本実施形態では特に、複合機200を識別するためのマシンIDが、予め複合機200に対し対応付けられている。このマシンIDは、複合機200からデータ処理サーバ100へ送信され(S19)、さらにデータ処理サーバ100において、対応するスキャンデータの上記JOBIDと対応付けられ、記憶される(S25)。
これにより、前述のように当該スキャンデータに関する決済が完了してデータ処理サーバ100から複合機200へとスキャンデータが送信される際(S121)、スキャンデータのJOBIDに対応付けられたマシンIDの複合機200を送信先として特定し、確実に送信することができる。
【0080】
また、本実施形態では特に、上記のような、当初の印刷設定により料金を計算した後に印刷設定の変更により料金を再計算する場合には、以下の流れで処理が行われる。
すなわち、データ処理サーバ100が、受信したスキャンデータに、当該スキャンデータに固有のJOBIDを対応付けた形で、スキャンデータ記憶領域125に保持する。
一方、複合機200では、上記スキャンデータに基づく画像の印刷を行うための印刷設定に対し、上記と同一のJOBIDを対応付けて送信する。データ処理サーバ100は、上記送信された印刷設定とそれに対応付けられたJOBIDとを受信する。これにより、その後の料金計算では、上記保持されたスキャンデータに対し、それと同一のJOBIDを備えた、上記受信された印刷設定を適用して、料金が計算される。そしてその後は、スキャンデータはスキャンデータ記憶領域125に保持した状態のまま、計算結果に対応した料金関連情報が上記JOBIDと対応付けた形で複合機200へと送信される。
複合機200は、上記送信された料金関連情報及びJOBIDを受信した後、対応する料金表示を見たユーザによる変更後の印刷設定を受け付ける。その後、複合機200は、その変更後の印刷設定に、受信済のJOBIDを対応付けて送信する。
データ処理サーバ100は、上記送信された変更後の印刷設定とそれに対応付けられたJOBIDとを受信する。これにより、その後の再計算処理では、前述のように保持状態のスキャンデータに対し、それと同一のJOBIDを備えた、上記受信された変更後の印刷設定を適用して、料金が再計算される。
以上のようにして、本実施形態では、スキャンデータをスキャンデータ記憶領域125に保持した状態のまま、当該スキャンデータに係わる、印刷設定、対応する料金関連情報、及び変更後の印刷設定、が複合機200とデータ処理サーバ100との間で送受される。その際、それら印刷設定、料金関連情報、変更後の印刷設定に対して、対応するスキャンデータと共通のJOBIDが対応付けられていることにより、スキャンデータとの対応付けを確実に維持したまま、各種処理を円滑に実行することができる。
【0081】
また、本実施形態では特に、データ処理サーバ100は、決済関連処理を実行した後、その決済関連処理で取得した支払いに必要なデータを複合機200へ送信する。複合機200は、その送信されたデータを受信した後、複合機200の表示部240に表示する。これにより、複合機200のユーザは、その表示された支払いに必要なデータを目で見て確認して用いることで、容易に自ら支払手続を進めることができる。特に前述のようにバーコードが表示される場合には、複合機200のユーザは、その表示されたバーコードに対し読取りを行うだけで、特別なアプリケーション等を取得しなくても容易に支払手続を進めることができる。
【0082】
また、本実施形態では特に、データ処理サーバ100において、S113で、前述の支払いに必要なデータに基づく決済が完了したか否かが判断され、決済完了と判断されると、その後のS115で、複合機200へ決済完了通知が送信される。これにより、複合機200では、この送信された決済完了通知を受信したことに基づいて、確実に決済が完了したと判断することができる(S125)。
【0083】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、前述の、S67、S75、S77、S79、S81、S83、S85、S111、S113、及びS115の処理のすべてをデータ処理サーバ100で実行するのではなく、少なくとも1つの処理を、データ処理サーバ100以外の複合機200又は取引サーバ400において実行してもよい。
また例えば、S19でJOBIDの生成依頼を複合機200がデータ処理サーバ100に送信し、データ処理サーバ100にてJOBIDを生成及び付与しているが、複合機200がJOBIDを生成及び付与してデータ処理サーバ100に送信するよう構成してもよい。
また、S89で一旦支払画面240Pが表示された後のS95の印刷設定変更は実行できないように構成してもよい。
また、前述のマシンIDは用いず、ジョブIDだけを使用するよう構成してもよい。
また例えば、データ処理サーバ100が、S113にて決済完了を確認したら、端末300に決済完了通知を送信することなくスキャンデータを複合機200へ送信する構成とし、複合機200が、スキャンデータが送信されてきたことで決済が完了したと判断し、送信されてきたスキャンデータを取得する構成としてもよい。
【0084】
なお、以上において、図2図3図4図8に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0085】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0086】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0087】
1 印刷システム
100 データ処理サーバ
110 プロセッサ(第2制御部の一例)
125 スキャンデータ記憶領域(第2記憶部の一例)
132 料金テーブル記憶領域(第1記憶部の一例)
200 複合機(印刷装置の一例)
210 プロセッサ(第1制御部の一例)
280 スキャナ部(読取部の一例)
290 印刷部
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8