IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用照明装置、および車両用灯具 図1
  • 特許-車両用照明装置、および車両用灯具 図2
  • 特許-車両用照明装置、および車両用灯具 図3
  • 特許-車両用照明装置、および車両用灯具 図4
  • 特許-車両用照明装置、および車両用灯具 図5
  • 特許-車両用照明装置、および車両用灯具 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/19 20180101AFI20240920BHJP
   F21S 45/10 20180101ALI20240920BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20240920BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240920BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20240920BHJP
   F21V 29/87 20150101ALI20240920BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20240920BHJP
   F21W 103/40 20180101ALN20240920BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240920BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20240920BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240920BHJP
【FI】
F21S43/19
F21S45/10
F21S45/47
F21V29/503
F21V29/76
F21V29/87
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:00
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:30
F21Y115:10 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020150261
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022044888
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】白石 寛光
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168274(JP,A)
【文献】特開2017-168207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/19
F21S 45/10
F21S 45/47
F21V 29/503
F21V 29/76
F21V 29/87
F21W 103/55
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/00
F21W 103/45
F21W 103/40
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部に開口した第1の凹部と、前記第1の凹部の底面から突出した凸部と、を有するソケットと;
前記凸部の上に設けられた基板と;
前記基板の、前記凸部側とは反対側に設けられた発光素子と;
前記基板の、前記凸部側に設けられ、前記凸部の側方に位置し、前記発光素子よりも高さが高く、前記第1凹部の底面に開口する第2の凹部の内部に収納された第1の素子と;
を具備した車両用照明装置。
【請求項2】
前記発光素子よりも高さが低い第2の素子をさらに具備し、
前記第2の素子は、前記基板の、前記凸部側とは反対側に設けられている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第1の素子の高さは、1mmを超え、
前記第2の素子の高さは、1mm以下である請求項2記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記基板の、前記凸部側とは反対側の面に設けられた第1の金属膜と;
前記基板の、前記凸部側の面に設けられた第2の金属膜と;
前記基板の内部に設けられ、一端が前記第1の金属膜と接続され、他端が前記第2の金属膜と接続されたプラグと;
をさらに具備した請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記第1の素子は、サージアブソーバ、バリスタ、トランジスタ、集積回路、および演算素子のいずれかである請求項1~のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。
ここで、車両用照明装置には、車両において発生した電気的ノイズやサージ電圧が加わるおそれがある。そのため、バリスタなどの比較的大型の素子が必要となる場合がある。また、近年においては、FET(Field Effect Transistor)や集積回路などの素子をさらに設け、低電力な回路が構成されるようにする場合もある。
【0003】
この場合、単に、素子を増やすと発光モジュールが大きくなる。発光モジュールが大きくなると、車両用照明装置が大きくなるので、車両用照明装置が既存の車両用灯具に装着できなくなるおそれがある。
【0004】
また、2枚の基板を重ねて設け、2枚の基板に発光ダイオードと素子を振り分けて実装しても、ほぼ同一平面上に発光ダイオードと素子が設けられることになるため、発光モジュールが大型化することには変わりはない。また、発光ダイオードと大型の素子が同一平面上に設けられていると、発光ダイオードから放射された光が大型の素子に遮られるおそれがある。
そのため、スペース効率と光の取り出し効率を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-220034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、スペース効率と光の取り出し効率を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る車両用照明装置は、一方の端部に開口した第1の凹部と、前記第1の凹部の底面から突出した凸部と、を有するソケットと;前記凸部の上に設けられた基板と;前記基板の、前記凸部側とは反対側に設けられた発光素子と;前記基板の、前記凸部側に設けられ、前記凸部の側方に位置し、前記発光素子よりも高さが高く、前記第1凹部の底面に開口する第2の凹部の内部に収納された第1の素子と;を具備している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、スペース効率と光の取り出し効率を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式分解図である。
図2図1における発光モジュールをA方向から見た模式斜視図である。
図3図1における車両用照明装置のB-B線断面図である。
図4図3における発光モジュールのC部の模式拡大図である。
図5】比較例に係る車両用照明装置を例示するための模式断面図である。
図6】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式分解図である。
図2は、図1における発光モジュール20をA方向から見た模式斜視図である。
なお、図2は、発光モジュール20を裏面側から見た模式斜視図である。
図3は、図1における車両用照明装置1のB-B線断面図である。
図4は、図3における発光モジュール20のC部の模式拡大図である。
【0013】
図1および図3に示すように、車両用照明装置1には、ソケット10、発光モジュール20、および給電部30を設けることができる。
【0014】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けることができる。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有することができる。凹部11aの内径は、例えば、16mm以上、18mm以下とすることができる。
【0015】
また、凹部11aの底面11a1には、凸部11a2が設けられている。すなわち、ソケット10は、一方の端面に開口した凹部11aと、凹部11aの底面11a1から突出した凸部11a2と、を有する。凸部11a2の頂面の形状には特に限定がない。凸部11a2の頂面の形状は、例えば、円、楕円、四角形などとすることができる。凸部11a2の頂面の最大寸法は、例えば、10mm以上、13mm以下とすることができる。
【0016】
バヨネット12は、装着部11の外側面に設けることができる。例えば、バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対峙させることができる。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いることができる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0017】
フランジ13は、板状を呈したものとすることができる。例えば、フランジ13は、円板状を呈したものとすることができる。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置することができる。
【0018】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けることができる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、板状を呈したものとすることができる。
【0019】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けることができる。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、フランジ13の周縁近傍に設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105を挿入することができる。
【0020】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することが好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と無機材料を用いたフィラーを含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものとすることができる。
【0021】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0022】
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、抵抗23、ダイオード24、および素子25を有する。
基板21は、凸部11a2の上に設けることができる。基板21は、板状を呈したものとすることができる。基板21の平面形状は、例えば、四角形とすることができる。基板21の平面寸法は、例えば11mm以上、14mm以下とすることができる。
【0023】
基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものであってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したものなどを例示することができる。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0024】
また、基板21の表面21a(凸部11a2側とは反対側の面)には、金属膜21a1(第1の金属膜の一例に相当する)を設けることができる。金属膜21a1は、基板21の表面21aの、発光素子22、抵抗23、およびダイオード24などが設けられていない領域を覆っている。金属膜21a1は、発光素子22、抵抗23、およびダイオード24などを電気的に接続する配線パターンの機能と、発光素子22、抵抗23、およびダイオード24などにおいて発生した熱を外部に伝える伝熱パターンの機能とを有する。そのため、金属膜21a1は、導電率と熱伝導率が高い材料から形成することが好ましい。例えば、金属膜21a1は、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成することができる。
【0025】
また、図2および図4に示すように、基板21の裏面21b(凸部11a2側の面)には、金属膜21b1(第2の金属膜の一例に相当する)を設けることができる。金属膜21b1は、基板21の裏面21bの、素子25などが設けられていない領域を覆っている。金属膜21b1は、素子25などを電気的に接続する配線パターンの機能と、素子25などにおいて発生した熱を外部に伝える伝熱パターンの機能とを有する。そのため、金属膜21b1は、導電率と熱伝導率が高い材料から形成することが好ましい。例えば、金属膜21b1は、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成することができる。
【0026】
また、図2および図4に示すように、基板21には、厚み方向を貫通する少なくとも1つのプラグ21cを設けることができる。プラグ21cは、例えば、金属を含み、金属膜21a1と金属膜21b1とを電気的、および熱的に接続している。すなわち、プラグ21cは、基板21の内部に設けられ、一端が前記金属膜21a1と接続され、他端が第2の金属膜21b1と接続されている。
【0027】
プラグ21cは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成することができる。この場合、金属膜21a1、金属膜21b1、およびプラグ21cの材料が同じであれば、これらを同じ製造工程において形成することができる。そのため、製造コストの低減や生産性の向上を図ることができる。
【0028】
プラグ21cが設けられていれば、金属膜21a1と金属膜21b1とにより、発光素子22、抵抗23、ダイオード24、素子25、および給電端子31を電気的に接続することができる。
【0029】
また、基板21の裏面21bの、金属膜21b1が設けられた領域は、凹部11aの底面11a1から突出した凸部11a2の頂面に接着することができる。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、熱伝導率が高い材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。熱伝導率が高い材料は、例えば、炭素、酸化アルミニウムなどのセラミックス、金属などとすることができる。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下とすることができる。
【0030】
また、プラグ21cにより、金属膜21a1と金属膜21b1とが熱的に接続されていれば、発光素子22、抵抗23、およびダイオード24などにおいて発生した熱を、金属膜21a1およびプラグ21cを介して、金属膜21b1に伝えることができる。この場合、基板21の表面21a側で発生した熱は、基板21を介しても金属膜21b1に伝わる。しかしながら、金属を含むプラグ21cが設けられていれば、基板21の表面21a側で発生した熱を金属膜21b1に伝えるのがさらに容易となる。
【0031】
また、金属膜21b1は、熱伝導率の高い接着剤が硬化することで形成された層40を介して凸部11a2に接続されている。層40は、前述した熱伝導率が高い材料を用いたフィラーを含んでいる。そのため、層40は、凸部11a2と、基板21との間に設けられ、熱伝導率を、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下とすることができる。
【0032】
本実施の形態によれば、基板21の表面21a側において発生した熱を、金属膜21a1、プラグ21c、金属膜21b1、および層40を介してソケット10に伝えることができる。また、基板21の裏面21b側において発生した熱を、金属膜21b1、および層40を介してソケット10に伝えることができる。そのため、車両用照明装置1の放熱性を向上させることができるので、発光素子22の温度が最大ジャンクション温度を超えるのを抑制することができる。
【0033】
また、金属膜21a1、後述する膜状の抵抗器、および金属膜21b1などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むものとすることができる。この場合、金属膜21b1の、凸部11a2に接着される領域には、被覆部を設けないようにすることができる。金属膜21b1が凸部11a2と直接接着されれば、発光モジュール20において発生した熱をソケット10に伝えるのが容易となる。
【0034】
図1および図3に示すように、発光素子22は、基板21の表面21a側に設けることができる。発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。図1に例示をした車両用照明装置1の場合には、複数の発光素子22が設けられている。なお、複数の発光素子22が設けられる場合には、複数の発光素子22を直列接続することができる。また、発光素子22は、抵抗23と直列接続することができる。
【0035】
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
発光素子22は、例えば、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることができる。なお、発光素子22は、例えば、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。図1に例示をした発光素子22は、表面実装型の発光素子である。
【0036】
また、発光素子22は、COB(Chip On Board)により実装されるものとすることもできる。COBにより実装される発光素子22とする場合には、チップ状の発光素子と、発光素子と金属膜21a1とを電気的に接続する配線と、発光素子と配線を囲む枠状の部材と、枠状の部材の内部に設けられた封止部などを基板21の上に設けることができる。また、封止部には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。なお、枠状の部材を設けずに封止部のみを設けることもできる。封止部のみを設ける場合には、ドーム状の封止部が基板21の上に設けられる。
発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0037】
図1に示すように、抵抗23は、基板21の表面21a側に設けることができる。抵抗23は、金属膜21a1と電気的に接続することができる。抵抗23は、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗23は、表面実装型の抵抗器である。
【0038】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)とすることができる。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成することができる。抵抗23が膜状の抵抗器であれば、抵抗23の高さを低くすることができるので、発光素子22から出射した光が抵抗23に入射し難くなる。そのため、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0039】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、抵抗23により、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにすることができる。この場合、抵抗23の抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにすることができる。
【0040】
抵抗23が表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗23を選択することができる。抵抗23が膜状の抵抗器の場合には、抵抗23の一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。抵抗23の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0041】
図1に示すように、ダイオード24は、基板21の表面21a側に設けることができる。ダイオード24は、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けることができる。
【0042】
また、基板21の表面21a側には、プルダウン抵抗などの高さの低い素子(例えば、高さが1mm以下の素子)を設けることができる。プルダウン抵抗は、発光素子22に関する導通の検出や、誤点灯防止などのために設けることができる。
【0043】
図2および図3に示すように、素子25は、基板21の裏面21b側に設けることができる。素子25は、金属膜21b1と電気的に接続することができる。素子25は、凸部11a2の側方に配置することができる。素子25は、凹部11aの底面11a1に開口する凹部11a1aの内部に収納することができる。なお、凹部11aの深さを深くして、素子25を凹部11aの内部に収納することもできる。ただし、凹部11aの深さを深くし過ぎると、ソケットの強度が低くなるおそれがある。そのため、凹部11aの底面11a1に凹部11a1aを設け、凹部11a1aの内部に素子25を収納することが好ましい。
【0044】
素子25は、例えば、発光素子22よりも高さが高い電子部品などとすることができる。素子25は、例えば、車両において発生した電気的ノイズやサージ電圧から発光素子22を保護したり、低電力な回路を構成したりするために設けられる。素子25は、例えば、サージアブソーバ、バリスタ、FETなどのトランジスタ、集積回路、演算素子などとすることができる。ただし、素子25は、例示をしたものに限定されるわけではない。また、素子25の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の用途や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0045】
図1および図3に示すように、給電部30は、例えば、給電端子31および保持部32を有する。
給電端子31は、棒状体とすることができる。給電端子31は、凹部11aの底面11a1から突出することができる。給電端子31は、複数設けることができる。複数の給電端子31は、所定の方向に並べて設けることができる。複数の給電端子31の、発光モジュール20側の端部は、基板21に設けられた金属膜21a1と半田付けされる。複数の給電端子31の放熱フィン14側の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。
【0046】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、炭素を含むフィラーを用いた高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられる。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを含むフィラーを用いた高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持することができる。
保持部32は、絶縁性を有する樹脂から形成することができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔10aに圧入したり、孔10aの内壁に接着したりすることができる。
【0047】
図5は、比較例に係る車両用照明装置51を例示するための模式断面図である。
図5に示すように、車両用照明装置51には装着部52が設けられている。装着部52には、装着部52の端部に開口する凹部52aが設けられている。装着部52には、凹部52aの底面から突出する凸部が設けられていない。そのため、発光モジュール53は、凹部52aの底面52a1に設けられ、基板21の表面21aに発光素子22と素子25などが設けられている。
【0048】
比較例に係る車両用照明装置51においては、基板21の表面21aに発光素子22と素子25などを設けているので、基板21の外形寸法が大きくなる。そのため、装着部52の外形寸法が大きくなるので、車両用照明装置51が既存の車両用灯具に装着できなくなるおそれがある。
【0049】
また、素子25には大型のものもある。そのため、凹部52aの内部に素子25を収納するためには凹部52aの深さを深くする必要がある。凹部52aの深さが深くなると、図5に示すように、発光素子22から出射した光の一部が、凹部52aの内壁に入射し易くなる。また、発光素子22と、高さの高い素子25が同一平面上に設けられているので、発光素子22から出射した光の一部が、素子25に入射し易くなる。凹部52aの内壁や素子25に入射した光の一部は、凹部52aの内壁や素子25に吸収されるので光の取り出し効率が低下する。
また、凹部52aの深さが深くなると、装着部52の強度が低下する。
【0050】
これに対して、本実施の形態に係る車両用照明装置1においては、図3に示すように、基板21の表面21aに、発光素子22と、比較的高さの低い抵抗23やダイオード24などとを設け、高さの高い素子25は、基板21の裏面21bに設けている。例えば、表面実装型の発光素子よりも高さの低い素子、あるいは、COBにより実装されるチップ状の発光素子を囲む枠状の部材よりも高さの低い素子は、基板21の表面21aに設け、高さの高い素子は、基板21の裏面21bに設けることができる。この場合、素子の高さが1mm以下の素子であれば、基板21の表面21aに設け、素子の高さが1mmを越えれば、基板21の裏面21bに設けることができる。
【0051】
この様にすれば、基板21の外形寸法が大きくなるのを抑制することができるので、装着部11の外形寸法が大きくなるのを抑制することができる。そのため、装着部11の外形寸法が既存の車両用灯具に装着できるようにすることが容易となる。
【0052】
また、凹部11aの底面11a1に凸部11a2を設け、凸部11a2の頂面に発光モジュール20を設けるようにしている。そして、基板21の裏面21bに設けられた素子25が装着部11の内部に収納されるようにしている。そのため、発光素子22の光の出射面と装着部11の端面との間の距離が長くなるのを抑制することができる。その結果、発光素子22から出射された光の一部が凹部11aの内壁に入射するのを抑制することができる。また、高さの高い素子25は、基板21の裏面21bに設けられているので、発光素子22から出射された光が素子25に入射することがない。
【0053】
以上に説明した様に、本実施の形態に係る車両用照明装置1とすれば、スペース効率と光の取り出し効率を向上させることができる。
【0054】
また、前述したように、基板21の表面21aに設けられた金属膜21a1と、基板21の裏面21bに設けられた金属膜21b1は、プラグ21cを介して熱的に接続されているため、基板21の表面21a側において発生した熱をソケット10に伝えるのが容易となる。また、基板21の裏面21b側において発生した熱を、金属膜21b1を介してソケット10に伝えることができる。
そのため、車両用照明装置1の放熱性を向上させることができるので、発光素子22の温度が最大ジャンクション温度を超えるのを抑制することができる。
【0055】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0056】
図6は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図6に示すように、車両用灯具100には、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素部103、シール部材104、およびコネクタ105を設けることができる。
【0057】
筐体101には車両用照明装置1を取り付けることができる。筐体101は、装着部11を保持することができる。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈したものとすることができる。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aを設けることができる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部を設けることができる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0058】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0059】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けることができる。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0060】
光学要素部103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行うことができる。例えば、図6に例示をした光学要素部103はリフレクタである。この場合、光学要素部103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成することができる。
【0061】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けることができる。シール部材104は、環状を呈するものとすることができる。シール部材104は、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0062】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0063】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることができる。コネクタ105には、図示しない電源などを電気的に接続することができる。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0064】
また、コネクタ105には、シール部材105aを設けることができる。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の孔に挿入された際には、コネクタホルダ15の孔が水密となるように密閉される。シール部材105aは、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成することができる。
【0065】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 車両用照明装置、10 ソケット、11 装着部、11a 凹部、11a1 底面、11a2 凸部、20 発光モジュール、21 基板、21a 表面、21a1 金属膜、21b 裏面、21b1 金属膜、21c プラグ、22 発光素子、25 素子、40 層、100 車両用灯具、101 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6