(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】低圧紫外線ランプユニット
(51)【国際特許分類】
H01J 61/52 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H01J61/52 L
(21)【出願番号】P 2021006313
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】峯山 智行
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓馬
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-240172(JP,A)
【文献】特開2014-157685(JP,A)
【文献】特開2012-227040(JP,A)
【文献】特開2011-104527(JP,A)
【文献】特開2011-071020(JP,A)
【文献】特開2001-225067(JP,A)
【文献】特開平09-017377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/52,9/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希ガスと、水銀と、が封入された放電空間を有する発光管と;
前記発光管の両側の端部のそれぞれに設けられた電極と;
前記発光管と接触するブロックと;
前記ブロックを介して、前記発光管の温度を制御する温度制御部と;
を具備し、
前記ブロックは、
前記発光管と接触する第1の部分と、
前記発光管が延びる方向において、前記第1の部分と隣接して設けられた第2の部分と、
を有し、
前記第1の部分の熱伝導率は、前記第2の部分の熱伝導率よりも高
く、
前記発光管の、前記第1の部分と接触する部分が最冷部となる低圧紫外線ランプユニット。
【請求項2】
前記第1の部分は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、および銅合金の少なくともいずれかを含む請求項1記載の低圧紫外線ランプユニット。
【請求項3】
前記第1の部分および前記第2の部分は、一方の面に開口する凹部を有し、
前記発光管の端部の近傍が、前記凹部の内壁に接触している請求項1または2に記載の低圧紫外線ランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、低圧紫外線ランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を照射するランプの一種に低圧紫外線ランプがある。例えば、半導体デバイスの製造に用いられる超純水の生成、有機材料の表面改質や洗浄には、いわゆる低圧水銀ランプが用いられている。
低圧水銀ランプを点灯すると、発光管の内部に封入されている水銀の一部が点灯による熱で蒸気化する。蒸気化した水銀に電子が衝突すると、波長が254nmの紫外線が発生する。この場合、水銀の蒸気圧が低すぎると紫外線の照度が不足し、水銀の蒸気圧が高すぎると発生した紫外線が水銀に吸収されて紫外線の照度が減衰する。
【0003】
水銀の蒸気圧は、発光管の温度の影響を受ける。また、発光管の点灯中に最も温度が低くなる箇所(最冷部)には、水銀が凝集する。そのため、発光管の最冷部の温度を制御すれば、水銀の蒸気圧、ひいては紫外線の照度が適切な範囲となるようにすることができる。
【0004】
例えば、発光管の端部に金属ブロックを取り付けて最冷部を形成し、金属ブロックを冷却することで最冷部の温度を制御することができる。ところが、発光管と金属ブロックの接触位置や、発光管を金属ブロックに固定する固定具の締め付け具合などによって、最冷部が形成される位置が、金属ブロックの取付範囲内でばらつく場合がある。最冷部が形成される位置がばらつくと、最冷部と、熱源である電極や陽光柱との間の距離がばらついて、適切な最冷部の温度、ひいては適切な紫外線の照度が得られなくなるおそれがある。
そこで、最冷部が形成される位置がばらつくのを抑制することができる低圧紫外線ランプユニットの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、最冷部が形成される位置がばらつくのを抑制することができる低圧紫外線ランプユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る低圧紫外線ランプユニットは、希ガスと、水銀と、が封入された放電空間を有する発光管と;前記発光管の両側の端部のそれぞれに設けられた電極と;前記発光管と接触するブロックと;前記ブロックを介して、前記発光管の温度を制御する温度制御部と;を具備している。前記ブロックは、前記発光管と接触する第1の部分と、前記発光管が延びる方向において、前記第1の部分と隣接して設けられた第2の部分と、を有している。前記第1の部分の熱伝導率は、前記第2の部分の熱伝導率よりも高い。前記発光管の、前記第1の部分と接触する部分が最冷部となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、最冷部が形成される位置がばらつくのを抑制することができる低圧紫外線ランプユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係る低圧紫外線ランプユニットを例示するための模式図である。
【
図2】
図1における低圧紫外線ランプユニットのA-A線方向の模式断面拡大図である。
【
図5】ブロックと主電極との位置関係、および、部分31(最冷部)と主電極との位置関係を例示するための模式図である。
【
図6】(a)は、ブロックの模式平面図である。(b)は、
図6(a)におけるブロックのB-B線方向の模式断面図である。
【
図7】金属材料の熱伝導率の一例を例示するためのグラフである。
【
図8】部分31の効果を例示するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る低圧紫外線ランプユニット1を例示するための模式図である。
図2は、
図1における低圧紫外線ランプユニット1のA-A線方向の模式断面拡大図である。
図3は、ランプ2の模式断面図である。
【0011】
図1および
図2に示すように、低圧紫外線ランプユニット1は、例えば、ランプ2、ブロック3、温度制御部4、および固定部5を有する。
図3に示すように、ランプ2は、例えば、発光管20、および電極21を有する。
発光管20は、例えば、略U字状を呈する円筒管とすることができる。発光管20は、紫外線を透過する材料から形成することができる。発光管20は、例えば、石英ガラスから形成することができる。発光管20の大きさは、ランプ2の用途などに応じて適宜変更することができる。例えば、発光管20の外径(管径)は30mm程度、内径は28mm程度、発光長(発光管20の一方の端部から、他方の端部までの距離)は500mm程度とすることができる。
【0012】
発光管20の内部空間は、放電空間となる。放電空間には、ガスと、水銀とを封入することができる。
ガスは、希ガスとすることができる。希ガスは、例えば、アルゴン、クリプトン、キセノンなどとすることができる。この場合、ガスは、1種類の希ガスとすることもできるし、2種類以上の希ガスの混合ガスとすることもできる。放電空間における25℃のガスの圧力(封入圧力)は、例えば、14Pa~1300Pa程度とすることができる。すなわち、ランプ2は、低圧紫外線ランプである。なお、放電空間における25℃のガスの圧力(封入圧力)は、気体の標準状態(SATP(Standard Ambient Temperature and Pressure):温度25℃、1bar)により求めることができる。
【0013】
ランプ2を点灯させると、電極21において熱が発生するので、放電空間に封入された水銀の一部が、水銀蒸気となる。水銀の封入量は、例えば、1mg~1000mg程度とすることができる。
【0014】
電極21は、一対設けることができる。電極21は、発光管20の両側の端部のそれぞれに設けられている。
一対の電極21のそれぞれは、例えば、主電極21a、補助電極21b、ステム21c、3つのアウターリード21dを有する。
【0015】
図4は、主電極21aを例示するための模式図である。
図4に示すように、主電極21aは、例えば、フィラメントコイル21a1、2つのリード21a2、および絶縁部21a3を有する。
【0016】
フィラメントコイル21a1は、発光管20の内部(放電空間)に設けられている。フィラメントコイル21a1は、例えば、線状部材を螺旋状に巻いたものとすることができる。線状部材は、例えば、タングステンや、レニューム・タングステン合金などを含むことができる。なお、フィラメントコイル21a1は、線状部材を巻回したコイルを二重巻にした、いわゆるダブルフィラメントコイルとすることもできるし、三重巻にした、いわゆるトリプルフィラメントコイルとすることもできる。
【0017】
一方のリード21a2は、フィラメントコイル21a1の一方の端部と、1つのアウターリード21dとを電気的に接続する。他方のリード21a2は、フィラメントコイル21a1の他方の端部と、他のアウターリード21dとを電気的に接続する。リード21a2は、例えば、タングステンや、レニューム・タングステン合金などを含む線状部材とすることができる。
【0018】
絶縁部21a3は、筒状を呈し、絶縁性材料から形成されている。絶縁部21a3は、例えば、石英ガラスなどから形成することができる。絶縁部21a3は、フィラメントコイル21a1の内部を挿通している。リード21a2は、絶縁部21a3の内部を挿通している。そのため、フィラメントコイル21a1の内部を挿通するリード21a2と、フィラメントコイル21a1とが短絡するのを抑制することができる。
【0019】
補助電極21bは、発光管20の内部(放電空間)に設けられている。補助電極21bは、フィラメントコイル21a1の、アウターリード21d側とは反対側に設けられている。補助電極21bは、主電極21aと離隔させて設けることができる。補助電極21bには、主電極21aに接続されていないアウターリード21dが電気的に接続されている。補助電極21bは、例えば、タングステンや、レニューム・タングステン合金などを含むことができる。
【0020】
本実施の形態に係るランプ2においては、発光管20の一方の端部側に設けられた補助電極21bと、発光管20の他方の端部側に設けられた主電極21aとの間に放電が発生する。また、発光管20の他方の端部側に設けられた補助電極21bと、発光管20の一方の端部側に設けられた主電極21aとの間に放電が発生する。この場合、ランプ2においては、補助電極21bと主電極21aとの間に、交互に放電が発生する。例えば、ある時点においては、発光管20の一方の端部側に設けられた補助電極21bと、発光管20の他方の端部側に設けられた主電極21aとの間に放電が発生し、他の時点においては、発光管20の他方の端部側に設けられた補助電極21bと、発光管20の一方の端部側に設けられた主電極21aとの間に放電が発生する。
この様な放電により発生した電子が、水銀原子と衝突すると、水銀原子が電子のエネルギーを受けて、ピーク波長が254nm程度の紫外線が発生する。発生した紫外線は、発光管20の外部に照射される。
【0021】
ステム21cは、発光管20の両側の端部のそれぞれに設けられている。ステム21cは、発光管20の内部(放電空間)に設けられ、一方の端部が発光管20に溶着されている。ステム21cの内部には、3つのアウターリード21dが封止されている。ステム21cは、主電極21aおよび補助電極21bを保持するとともに、発光管20の内部(放電空間)を気密となるように封止する。ステム21cは、例えば、石英ガラスを含むことができる。
【0022】
アウターリード21dの、主電極21a側とは反対側の端部、および補助電極21b側とは反対側の端部は、発光管20の外部に露出している。アウターリード21dの、発光管20の外部に露出している端部には、例えば、ランプ2の外部に設けられた電源などが電気的に接続される。また、アウターリード21dの、発光管20の外部に露出している端部には、端子、コネクタ、口金などをさらに設けることもできる。アウターリード21dは、例えば、タングステンや、レニューム・タングステン合金などを含む線状部材とすることができる。
【0023】
図1に示すように、ブロック3は、発光管20の端部の近傍に設けられている。
図2に示すように、ブロック3は、一方の面に開口する凹部3aを有する。凹部3aに内部には、発光管20の端部の近傍が設けられる。ブロック3は、発光管20と接触している。例えば、発光管20の外面の一部は、凹部3aの側面および底面に接触している。ブロック3は、ランプ2(発光管20の端部)を保持するとともに、ランプ2において発生した熱を温度制御部4に伝える。
なお、ブロック3の構成に関する詳細は後述する。
【0024】
温度制御部4は、ブロック3の、ランプ2が設けられる側とは反対側に設けられている。温度制御部4は、ブロック3の温度、ひいては後述する最冷部となる部分31(第1の部分の一例に相当する)の温度を制御する。温度制御部4は、金属などの熱伝導率の高い材料から形成することができる。温度制御部4は、例えば、ステンレス、アルミニウム合金、銅合金などから形成することができる。
【0025】
また、
図2に示すように、温度制御部4の内部には、冷媒を流すための孔4aを設けることができる。温度制御部4の内部に冷媒を流せば、ブロック3の温度、ひいては後述する部分31(最冷部)の温度を制御するのが容易となる。例えば、冷媒の流量、流速、温度などを制御することで、ブロック3の温度、ひいては後述する部分31(最冷部)の温度を制御することができる。冷媒の種類には特に限定がない。例えば、冷媒は、水などとすることができる。
なお、ブロック3と温度制御部4が別々に設けられる場合を例示したが、ブロック3と温度制御部4を一体に設けることもできる。
【0026】
固定部5は、ブロック3と協働して、ランプ2(発光管20の端部)を保持する。例えば、固定部5とブロック3との間に、ランプ2(発光管20の端部)を挟み込むことができる。固定部5は、例えば、金属バンドなどとすることができる。固定部5は、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、ブロック3に固定することができる。
【0027】
ここで、一般的に、低圧紫外線ランプには最冷部が設けられている。最冷部は、ランプ2の点灯中に最も温度が低くなる発光管20の部分である。最冷部が設けられていれば、水銀の蒸気の一部を凝縮して水銀にすることができる。
低圧紫外線ランプユニット1には、ブロック3が設けられているので、発光管20の、ブロック3に設けられる部分に最冷部が形成される。
【0028】
ここで、水銀の蒸気圧が低すぎると紫外線の照度が不足し、水銀の蒸気圧が高すぎると発生した紫外線が水銀に吸収されて紫外線の照度が減衰する。前述したように、温度制御部4により、ブロック3の温度、ひいては最冷部の温度を制御することができる。最冷部の温度を制御することができれば、水銀の蒸気圧、ひいては紫外線の照度が適切な範囲となるようにすることができる。
【0029】
図5は、ブロック3と、主電極21a(フィラメントコイル21a1)との位置関係、および、後述する部分31(最冷部)と、主電極21a(フィラメントコイル21a1)との位置関係を例示するための模式図である。
図5に示すように、発光管20が延びる方向に直交する方向から見て、ブロック3のフィラメントコイル21a1側の辺は、例えば、フィラメントコイル21a1の、発光管20の端部側とは反対側の端面に重なる様にすることができる。
【0030】
前述したように、温度制御部4により、ブロック3の温度、ひいては最冷部の温度を制御することすることができる。
そのため、フィラメントコイル21a1の近傍に、温度制御が可能なブロック3が設けられていれば、フィラメントコイル21a1の近傍において、ブロック3(温度制御部4)による温度制御により、水銀蒸気を凝縮することができる。
【0031】
また、フィラメントコイル21a1の近傍に凝縮された水銀が有れば、フィラメントコイル21a1において発生した熱が水銀に伝わり易くなる。そのため、フィラメントコイル21a1の近傍において、ブロック3(温度制御部4)による温度制御により、水銀を再度水銀蒸気にするのが容易となる。
【0032】
ここで、発光管20とブロック3の接触位置や、発光管20をブロック3に固定する固定部5の締め付け具合などによって、最冷部の位置が、ブロック3の取付範囲内でばらつく場合がある。最冷部の位置がばらつくと、最冷部と、熱源であるフィラメントコイル21a1との間の距離がばらついて、適切な最冷部の温度、ひいては適切な紫外線の照度が得られなくなるおそれがある。
そこで、本実施の形態に係る低圧紫外線ランプユニット1には、最冷部を形成するための部分31を有するブロック3が設けられている。
【0033】
次に、ブロック3の構成についてさらに説明する。
図6(a)は、ブロック3の模式平面図である。
図6(b)は、
図6(a)におけるブロック3のB-B線方向の模式断面図である。
図6(a)に示すように、ブロック3は、例えば、部分31、部分32(第2の部分の一例に相当する)、および部分33(第2の部分の一例に相当する)を有する。
【0034】
部分31、部分32、および部分33は、発光管20が延びる方向に並べて設けられている。例えば、部分32および部分33は、発光管20が延びる方向において、部分31と隣接して設けられている。部分31、部分32、および部分33は、例えば、溶接などにより一体に形成することもできるし、接着剤やネジなどの接合材を用いて接合することもできる。また、部分31、部分32、および部分33のそれぞれを、温度制御部4に接合することもできる。
【0035】
発光管20が延びる方向から見た、部分31、部分32、および部分33の形状と寸法は、同じとすることができる。例えば、部分31、部分32、および部分33のそれぞれには、一方の面に開口する凹部3aが設けられている。発光管20の端部の近傍は、凹部3aの内壁に接触している。
【0036】
前述したように、ブロック3は、ランプ2において発生した熱を温度制御部4に伝える。そのため、部分31、部分32、および部分33は、金属などの熱伝導率の高い材料から形成されている。また、少なくとも部分31が発光管20と接触している。
【0037】
ここで、例えば、部分31、部分32、および部分33を同じ材料から形成すると、前述したように、発光管20とブロック3の接触位置などに応じて、最冷部の位置が、ブロック3の取付範囲内でばらつく場合がある。
【0038】
そこで、部分31の熱伝導率は、部分32および部分33の熱伝導率よりも高くなっている。
図7は、金属材料の熱伝導率の一例を例示するためのグラフである。
例えは、
図7に示すように、銅の熱伝導率は、アルミニウムの熱伝導率よりも高い。アルミニウムの熱伝導率は、ステンレスの熱伝導率よりも高い。
例えば、部分31をアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などから形成し、部分32および部分33をステンレスなどから形成することができる。
【0039】
部分31の熱伝導率が、部分32および部分33の熱伝導率よりも高くなっていれば、発光管20の、部分31と接触する部分が最冷部となる。そのため、部分31を有するブロック3とすれば、最冷部が形成される位置がばらつくのを抑制することができる。その結果、最冷部と、熱源であるフィラメントコイル21a1との間の距離を略一定とすることができるので、適切な最冷部の温度、ひいては適切な紫外線の照度を得るのが容易となる。
【0040】
図8は、部分31の効果を例示するためのグラフである。
なお、
図8中のC1およびC2は、部分31が設けられている場合である。
図8中のD1およびD2は、部分31が設けられていない場合、例えば、アルミニウムから一体に形成されたブロックである。
【0041】
D1およびD2から分かるように、部分31が設けられていなければ、紫外線の照度が最も高くなる位置がばらつく。このことは、最冷部の位置がばらついていることを意味する。
これに対し、C1およびC2から分かるように、部分31が設けられていれば、紫外線の照度が最も高くなる位置が略一定となる。このことは、最冷部の位置が略一定となっていることを意味する。
【0042】
なお、
図8は、以下の条件の下で測定した。
発光管20は、略U字状を呈し、外径を30mm、発光長を500mm、材料を合成石英ガラスとした。また、ランプ電圧は120V、ランプ電流は4.5A、ランプ電力は500Wとした。放電空間には、キセノンなどの希ガスと水銀を封入し、封入圧力は30Paとした。
【0043】
ブロック3の幅(mm)は、50mmとした。部分31の材料はアルミニウム、部分32および部分33の材料は、ステンレスとした。前述したように、D1およびD2の場合は、アルミニウムから一体に形成されたブロックとした。
【0044】
発光管20が延びる方向に直交する方向から見て、ブロック3のフィラメントコイル21a1側の辺は、フィラメントコイル21a1の、発光管20の端部側とは反対側の端面に重なる様にした。
【0045】
温度制御部4の孔4aには、20℃の水を流した。
部分31と、ブロック3の、フィラメントコイル21a1側の辺との間の距離L(
図5を参照)は、30mmとした。部分31の幅W(
図5を参照)は、10mmとした。なお、部分31の幅Wは、発光管20が延びる方向における部分31の長さ(厚み)である。
【0046】
以上においては、部分31、部分32、および部分33が設けられる場合を例示したが、部分32および部分33のいずれか一方が設けられるようにしてもよい。
【0047】
ここで、最冷部となる部分31と、発熱部となる主電極21a(フィラメントコイル21a1)との間の距離が小さすぎると、水銀蒸気が凝縮し難くなる。最冷部となる部分31と、発熱部となる主電極21a(フィラメントコイル21a1)との間の距離が大きすぎると、水銀を再度水銀蒸気し難くなる。
【0048】
本発明者の得た知見によれば、発光管20が延びる方向に直交する方向から見て、ブロック3のフィラメントコイル21a1側の辺を、フィラメントコイル21a1の、発光管20の端部側とは反対側の端面と重なる様にした場合に、部分31と、ブロック3のフィラメントコイル21a1側の辺と、の間の距離Lは、10mm≦L(mm)≦40mmとすることが好ましい。すなわち、放電空間側に最冷部を形成するにあたり熱源である電極21からの距離は10mm以上、且つ、最冷部を形成するために取り付けるブロック3が遮光物とならない40mm以下が好ましい。この様にすれば、水銀蒸気の凝縮と、水銀の蒸気化とを効率的に行うことができる。
【0049】
ここで、最冷部となる部分31の幅Wを大きくし過ぎると、水銀蒸気の凝縮量が多くなり過ぎて水銀の蒸気圧が低くなり、発生する紫外線の照度のばらつきが大きくなる。最冷部となる部分31の幅Wを小さくし過ぎると、水銀の蒸発量が多くなり過ぎて水銀の蒸気圧が高くなり、発生した紫外線が水銀に吸収され易くなる。
【0050】
本発明者の得た知見によれば、部分31の幅Wが、「10mm≦W(mm)≦30mm」となるようにすれば、紫外線の照度のばらつきを抑制することができる。また、「10mm≦W(mm)≦20mm」となるようにすれば、紫外線の照度のばらつきをさらに抑制することができる。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 低圧紫外線ランプユニット、2 ランプ、3 ブロック、3a 凹部、4 温度制御部、5 固定部、20 発光管、21 電極、21a 主電極、21a1 フィラメントコイル、31 部分、32 部分、33 部分