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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B60Q1/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021028200
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129512
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】小杉 大資
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-192625(JP,A)
【文献】特開2015-063252(JP,A)
【文献】特開2004-034741(JP,A)
【文献】特開2006-114279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の第1の発光素子を有する第1の発光回路と;
直列接続された複数の第2の発光素子を有し、前記第1の発光回路に並列接続された第2の発光回路と;
前記第1の発光回路、および前記第2の発光回路に電気的に接続された制御部と;
を具備し、
前記第1の発光素子の数は、前記第2の発光素子の数よりも多く、
車両用照明装置の動作電圧範囲の下限側において、前記第1の発光回路から照射される光の全光束は、前記第1の発光素子の数に起因する電圧降下に応じて漸減し、
前記制御部は、前記動作電圧範囲の、前記第1の発光回路から照射される前記光の全光束が漸減する領域において、前記第2の発光回路に流れる電流を略一定に維持する車両用照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記直列接続された複数の第1の発光素子のアノード側と、前記直列接続された複数の第2の発光素子のアノード側と、に電気的に接続されている請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記制御部は、定電流回路を有する請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記第1の発光素子の数は、3つ以上であり、
前記第2の発光素子の数は、2つ以上である請求項1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記動作電圧範囲は、9V以上16V以下である請求項1~のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを備えた車両用照明装置に代えて発光ダイオードを備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。一般的に、車両用照明装置には、直列接続された複数の発光ダイオードが設けられている。
【0003】
ここで、車両用照明装置に印加される電圧は変動する。そのため、車両用照明装置においては、動作電圧範囲(電圧変動範囲)が定められている。
また、発光ダイオードには順方向の電圧降下がある。そのため、直列接続された複数の発光ダイオードに印加される電圧が低下すると、複数の発光ダイオードから照射される光の量が低下して、車両用照明装置から照射される光の全光束が規定値未満となるおそれがある。
【0004】
そこで、車両用照明装置に印加される電圧(入力電圧)が低下した場合には、直列接続された複数の発光ダイオードのうちの一部の発光ダイオードに電流を流さないようにする技術が提案されている。
この様にすれば、入力電圧が低下して動作電圧範囲の下限近傍になっても、必要となる全光束を確保することができる。
ところが、一部の発光ダイオードに電流を流さないようにすると、残りの発光ダイオードに流れる電流が急激に増加して、車両用照明装置から照射される光の全光束が急激に増加するという新たな問題が生じる。
【0005】
そこで、入力電圧が動作電圧範囲の下限近傍になっても必要となる全光束を確保することができ、且つ、動作電圧範囲の下限近傍において、全光束が急激に変化するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-63252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、入力電圧が動作電圧範囲の下限近傍になっても必要となる全光束を確保することができ、且つ、動作電圧範囲の下限近傍において、全光束が急激に変化するのを抑制することができる車両用照明装置および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る車両用照明装置は、直列接続された複数の第1の発光素子を有する第1の発光回路と;直列接続された複数の第2の発光素子を有し、前記第1の発光回路に並列接続された第2の発光回路と;前記第1の発光回路、および前記第2の発光回路に電気的に接続された制御部と;を具備している。前記第1の発光素子の数は、前記第2の発光素子の数よりも多い。車両用照明装置の動作電圧範囲の下限側において、前記第1の発光回路から照射される光の全光束は、前記第1の発光素子の数に起因する電圧降下に応じて漸減する。前記制御部は、前記動作電圧範囲の、前記第1の発光回路から照射される前記光の全光束が漸減する領域において、前記第2の発光回路に流れる電流を略一定に維持する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、入力電圧が動作電圧範囲の下限近傍になっても必要となる全光束を確保することができ、且つ、動作電圧範囲の下限近傍において、全光束が急激に変化するのを抑制することができる車両用照明装置および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における車両用照明装置のA-A線方向の模式断面図である。
図3】(a)、(b)は、比較例に係る発光モジュールを例示するための回路図である。
図4】比較例に係る発光モジュールにおける入力電圧と全光束との関係を例示するためのグラフ図である。
図5】本実施の形態に係る発光モジュールを例示するための回路図である。
図6】本実施の形態に係る発光モジュールにおける入力電圧と全光束との関係を例示するためのグラフ図である。
図7】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL;Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における車両用照明装置1のA-A線方向の模式断面図である。
図1および図2に示すように、車両用照明装置1は、例えば、ソケット10、発光モジュール20、および給電端子30を有する。
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
【0014】
装着部11は、フランジ13の一方の面(放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面)に設けられている。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、フランジ13側とは反対側の端面に開口する凹部11aを有する。
【0015】
バヨネット12は、装着部11の側面に複数設けられている。複数のバヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。複数のバヨネット12は、フランジ13と対峙している。複数のバヨネット12は、車両用照明装置1を車両用灯具100の筐体101に取り付ける際に用いられる。複数のバヨネット12は、ツイストロックに用いられる。
【0016】
フランジ13は、板状を呈している。例えば、フランジ13は、円板状である。フランジ13の外側面は、バヨネット12の外側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0017】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、図1および図2に例示をしたソケット10には複数の放熱フィン14が設けられている。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状を呈している。
【0018】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11が設けられる側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は筒状を呈している。シール部材105aを有するコネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に挿入される。そのため、コネクタホルダ15の孔の断面形状および断面寸法は、シール部材105aを有するコネクタ105の断面形状および断面寸法に適合したものとなっている。
【0019】
発光モジュール20において発生した熱は、主に、装着部11およびフランジ13を介して放熱フィン14に伝わる。放熱フィン14に伝わった熱は、主に、放熱フィン14から外部に放出される。
そのため、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝えることを考慮して、ソケット10は高い熱伝導率を有する材料から形成することが好ましい。高い熱伝導率を有する材料は、例えば、アルミニウム合金などの金属とすることができる。
【0020】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、高熱伝導性樹脂から形成することがさらに好ましい。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と無機材料を用いたフィラーを含んでいる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン等の樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0021】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法などを用いて、ソケット10と給電部30を一体成形することもできる。
【0022】
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、および回路部品23を有する。
【0023】
基板21は、ソケット10の一方の端部側に設けられている。基板21は、例えば、凹部11aの底面11a1に接着することができる。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。接着剤は、例えば、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。無機材料は、熱伝導率の高い材料(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス)とすることが好ましい。接着剤の熱伝導率は、例えば、0.5W/(m・K)以上、10W/(m・K)以下とすることができる。
【0024】
また、基板21とソケット10との間に、板状の伝熱部を設けることもできる。伝熱部は、アルミニウムなどの金属を含み、凹部11aの底面11a1に接着したり、埋め込んだりすることができる。伝熱部が設けられる場合には、基板21は伝熱部の上に接着される。
【0025】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状は、例えば、四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなど)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0026】
また、基板21の表面には、配線パターンが設けられている。配線パターンは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成することができる。
【0027】
発光素子22は、基板21の上に設けられている。発光素子22は、基板21の、ソケット10側とは反対側に設けられている。発光素子22は、配線パターンと電気的に接続される。発光素子22は、複数設けられている。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0028】
発光素子22の形式には特に限定はない。発光素子22は、例えば、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることができる。なお、図1および図2に例示をした発光素子22は、表面実装型の発光素子である。
発光素子22は、例えば、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。
【0029】
また、発光素子22は、チップ状の発光素子とすることもできる。チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により実装することができる。チップ状の発光素子22の電極は、例えば、ワイヤーボンディング法により配線パターンと電気的に接続される。また、チップ状の発光素子とする場合には、複数の発光素子22を囲む枠部や、枠部の内側に設けられ、複数の発光素子22を覆う封止部を設けることができる。また、封止部には、必要に応じて蛍光体を含めることもできる。
【0030】
回路部品23は、基板21の上に設けられている。回路部品23は、例えば、基板21の、ソケット10側とは反対側に設けられている。回路部品23は、例えば、配線パターンと電気的に接続される。
回路部品23は、例えば、抵抗23a、保護素子23b、および制御部23cとすることができる。
【0031】
抵抗23aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、図1に例示をした抵抗23aは、膜状の抵抗器である。
【0032】
膜状の抵抗器の材料は、例えば、酸化ルテニウム(RuO)である。膜状の抵抗器は、例えば、スクリーン印刷法および焼成法を用いて形成される。抵抗23aが膜状の抵抗器であれば、抵抗23aと基板21との接触面積を大きくすることができるので、放熱性を向上させることができる。また、複数の抵抗23aを一度に形成することができる。そのため、生産性を向上させることができる。また、複数の抵抗23aにおける抵抗値のばらつきを抑制することができる。
【0033】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗23aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗23aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0034】
抵抗23aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗23aを選択する。抵抗23aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗23aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗23aの数、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0035】
保護素子23bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けることができる。保護素子23bは、例えば、表面実装型のダイオードや、リード線を有するダイオードなどである。図1に例示をした保護素子23bは、表面実装型のダイオードである。
【0036】
制御部23cは、複数の発光素子22に電気的に接続されている。制御部23cは、車両用照明装置1の動作電圧範囲(電圧変動範囲)において、車両用照明装置1に印加される電圧(入力電圧)が変動した際に、複数の発光素子22に流れる電流が変動するのを抑制する。
なお、制御部23cと、複数の発光素子22との接続に関する詳細は後述する。
【0037】
また、回路部品23は例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子を、必要に応じて適宜設けることができる。例えば、回路部品23は、前述したものの他に、コンデンサ、プルダウン抵抗、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、バイポーラトランジスタや電界効果トランジスタなどのトランジスタ、ツェナーダイオード、集積回路、演算素子などであってもよい。集積回路は、例えば、点滅回路、定電流回路、および点灯回路(駆動回路)の少なくともいずれかを有することができる。例えば、前述した制御部23cは、定電流回路が設けられた集積回路とすることもできる。
【0038】
また、回路部品23は、例えば、車両用照明装置1の外部に設けられた制御装置や電源などに設けることもできる。
その他、配線パターンや膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0039】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、例えば、棒状体である。複数の給電端子31は、所定の方向に並べて設けることができる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターンと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料、数などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0040】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。保持部32は、絶縁性を有する樹脂から形成することができる。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0041】
次に、制御部23cと、複数の発光素子22との接続についてさらに説明する。
まず、比較例に係る発光モジュール200について説明する。
図3(a)、(b)は、比較例に係る発光モジュール200を例示するための回路図である。なお、図3(a)、(b)においては、煩雑となるのを避けるために、前述した保護素子23bなどは省いて描いている。
図3(a)は、入力電圧が10V以上の場合の電流の流れであり、図3(b)は、入力電圧が10V未満の場合の電流の流れである。
図4は、比較例に係る発光モジュール200における入力電圧と全光束との関係を例示するためのグラフ図である。
【0042】
図3(a)、(b)に示すように、発光モジュール200には、発光回路200a、発光回路200b、抵抗223a1、抵抗223a2、および制御部223cが設けられている。
発光回路200aは、直列接続された2つの発光素子22を有している。
発光回路200bは、1つの発光素子22を有している。
発光回路200aと発光回路200bは直列接続されている。
抵抗223a1は、発光回路200bと直列接続されている。
抵抗223a2は、発光回路200aと直列接続されている。
抵抗223a1、223a2は、発光素子22の順方向電圧特性のばらつきを調整するために設けられている。
【0043】
ここで、車両用照明装置は、バッテリーを電源としているが、車両用照明装置に印加される電圧(入力電圧)は変動する。例えば、一般的な自動車用の車両用照明装置の動作標準電圧(定格電圧)は13.5V程度である。ところが、バッテリーの電圧低下、オルタネーターの動作、回路の影響などにより、入力電圧が変動する。そのため、自動車用の車両用照明装置においては、動作電圧範囲(電圧変動範囲)が定められている。例えば、動作電圧範囲は、9V以上16V以下である。なお、動作電圧範囲は、7V以上16V以下の場合もある。
【0044】
また、発光素子22には順方向の電圧降下がある。そのため、直列接続された複数の発光素子22の数が多くなると、動作電圧範囲の下限近傍において、車両用照明装置1から照射される光の全光束が規定値未満となる場合がある。例えば、発光素子22の順方向の電圧降下が3V程度の場合、3つの発光素子22を直列接続すると、9Vの電圧降下が生じることになる。また、3つの発光素子22には抵抗223a1も直列接続されている。そのため、入力電圧が10V程度となると、3つの発光素子22にはほとんど電流が流れなくなり、車両用照明装置から照射される光の全光束が規定値未満となる。
【0045】
そこで、発光モジュール200には、制御部223cが設けられている。
制御部223cは入力電圧を検出し、検出された入力電圧が所定の値を超えている場合(例えば、10V以上の場合)には、直列接続された発光回路200aと発光回路200b(直列接続された3つの発光素子22)に電流I1を流す。
また、制御部223cは、検出された入力電圧が所定の値未満の場合(例えば、10V未満の場合)には、発光回路200a(直列接続された2つの発光素子22)のみに電流I2を流す。この様にすれば、入力電圧が所定の値未満となったとしても2つの発光素子22に流れる電流を増加させることができる。そのため、動作電圧範囲の下限近傍において、車両用照明装置から照射される光の全光束が規定値未満となるのを抑制することができる。
【0046】
ところが、この様にすると、発光回路200aのみに電流I2を流すようにした際に、2つの発光素子22に流れる電流が急激に増加する。そのため、図4のB部に示すように、動作電圧範囲の下限近傍において、車両用照明装置から照射される光の全光束が急激に増加するという新たな問題が生じる。
【0047】
図5は、本実施の形態に係る発光モジュール20を例示するための回路図である。
なお、図5においては、煩雑となるのを避けるために、前述した抵抗23aや保護素子23bなどを省いて描いている。
図5に示すように、発光モジュール20には、発光回路20a(第1の発光回路の一例に相当する)、発光回路20b(第2の発光回路の一例に相当する)、および制御部23cが設けられている。
【0048】
発光回路20aと発光回路20bは、並列接続されている。
発光回路20aには、直列接続された複数の発光素子22(第1の発光素子の一例に相当する)が設けられている。
発光回路20bには、直列接続された複数の発光素子22(第2の発光素子の一例に相当する)が設けられている。
この場合、発光回路20aに設けられる発光素子22の数は、発光回路20bに設けられる発光素子22の数よりも多くなっている。例えば、発光回路20aに設けられる発光素子22の数は、3つ以上とすることができる。例えば、発光回路20bに設けられる発光素子22の数は、2つ以上とすることができる。例えば、図5に例示をした発光回路20aには、直列接続された3つの発光素子22が設けられ、発光回路20bには、直列接続された2つの発光素子22が設けられている。
【0049】
制御部23cは、発光回路20a、および発光回路20bに電気的に接続されている。例えば、制御部23cは、発光回路20aにおける発光素子22のアノード側と、発光回路20bにおける発光素子22のアノード側とに電気的に接続される。
【0050】
前述したように、制御部23cは、車両用照明装置1の動作電圧範囲(例えば、10V~16V)において、車両用照明装置1に印加される電圧(入力電圧)が変動した際に、複数の発光素子22に流れる電流が変動するのを抑制する。例えば、後述する図6に示すように、制御部23cは、車両用照明装置1の動作電圧範囲において、少なくとも発光回路20bに流れる電流を略一定にする。制御部23cは、車両用照明装置1の動作電圧範囲において、発光回路20aに流れる電流と、発光回路20bに流れる電流とが略同じにするようにしてもよい。例えば、制御部23cは、定電流回路を有することができる。
【0051】
図6は、本実施の形態に係る発光モジュール20における入力電圧と全光束との関係を例示するためのグラフ図である。
なお、図6中のCは、発光回路20aから照射される光の全光束である。
図6中のDは、発光回路20bから照射される光の全光束である。
図6中のEは、発光回路20aから照射される光の全光束と、発光回路20bから照射される光の全光束との和、すなわち、車両用照明装置1から照射される光の全光束である。
【0052】
前述したように、発光回路20aに設けられる発光素子22の数は、発光回路20bに設けられる発光素子22の数よりも多いので、発光回路20aにおける電圧降下は、発光回路20bにおける電圧降下よりも大きくなる。
【0053】
この場合、例えば、発光素子22の順方向の電圧降下が3V程度とすると、発光回路20aにおける電圧降下は9V程度となり、発光回路20bにおける電圧降下は6V程度となる。
そのため、入力電圧が動作電圧範囲の下限近傍(例えば、10V)程度となった際に、発光回路20aにはほとんど電流が流れなくなり、発光回路20aから光が照射されなくなる。一方、入力電圧が動作電圧範囲の下限近傍になっても、発光回路20bには電流が流れるため、発光回路20aからは光が照射される。
【0054】
前述したように、車両用照明装置1から照射される光の全光束は、発光回路20aから照射される光の全光束と、発光回路20bから照射される光の全光束との和である。そのため、図6に示すように、動作電圧範囲の下限(例えば、9V)となっても、車両用照明装置1から照射される光の全光束が規定値以上となる。
【0055】
また、動作電圧範囲の下限近傍においては、入力電圧の低下に略比例して、発光回路20aから照射される光の全光束が漸減する。そのため、図6に示すように、車両用照明装置1から照射される光の全光束は、動作電圧範囲の下限近傍において漸減することになる。
その結果、前述した比較例に係る発光モジュール200のように、動作電圧範囲の下限近傍において、車両用照明装置から照射される光の全光束が急激に増加することがない。
以上に説明した様に、本実施の形態に係る車両用照明装置1とすれば、入力電圧が動作電圧範囲の下限近傍になっても必要となる全光束を確保することができ、且つ、動作電圧範囲の下限近傍において、全光束が急激に変化するのを抑制することができる。
【0056】
(車両用灯具)
次に、車両用灯具100について例示する。
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0057】
図7は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図7に示すように、車両用灯具100には、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、およびコネクタ105が設けられている。
【0058】
筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成することができる。筐体101の底面には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられている。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられている。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0059】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0060】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐようにして設けられている。カバー102は、透光性を有する樹脂などから形成することができる。カバー102は、レンズなどの機能を有するものとすることもできる。
【0061】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、図7に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンが形成されるようにする。
【0062】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、図示しない電源などが電気的に接続されている。そのため、コネクタ105を給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とが電気的に接続される。また、コネクタ105には、シール部材105aが、設けられている。シール部材105aは、コネクタホルダ15の内部に水が侵入するのを防ぐために設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105がコネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように封止される。
【0063】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 車両用照明装置、10 ソケット、20 発光モジュール、20a 発光回路、20b 発光回路、21 基板、22 発光素子、23 回路部品、23a 抵抗、23b 保護素子、23c 制御部
図1
図2
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図6
図7