(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】色識別機能を有するトルク工具及びトルク工具アセンブリ
(51)【国際特許分類】
B25B 23/14 20060101AFI20240920BHJP
B25B 23/143 20060101ALI20240920BHJP
B25B 13/04 20060101ALN20240920BHJP
B25B 13/08 20060101ALN20240920BHJP
B25B 13/14 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
B25B23/14 640R
B25B23/143
B25B13/04
B25B13/08
B25B13/14 C
(21)【出願番号】P 2023005282
(22)【出願日】2023-01-17
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521115498
【氏名又は名称】瞬豐實業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Matatakitoyo Tool Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 28,Ln.67,Hecuo St.,Xitun Dist.,Taichung City 407,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼逸民
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-173679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14-23/143
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部材、指示部、指示リング及び前記指示リングを遮蔽する透明カバーを備えた、色識別機能を有する長尺状のトルク工具と、
前記トルク工具とは別に
、カラー領域と複数のトルク臨界値との対応関係を表示する参考材料とを含み、
前記本体部材は、操作して複数のトルク臨界値を設定し、
前記指示部は、前記本体部材に設けられ、
前記指示リングは、複数のカラー領域を含み、前記カラー領域は、複数のトルク臨界値に対応し、前記指示リングは、前記本体部材に回転可能に設けられ、複数の前記カラー領域のうちの一つが前記指示部に位置合わせされ、前記本体部材は、複数のトルク臨界値よりも小さいトルクが伝達可能であり、
前記トルク工具の長手方向に垂直な方向かつ前記指示部を含む方向から見たときに、前記指示部は前記透明カバーに隣接しているが、前記透明カバー上に重なって配置されておらず、前記指示部と前記カラー領域の最短距離は、前記カラー領域における前記トルク工具の前記長手方向の長さよりも大きく、かつ前記本体部材上で孔に挿入された締結具が見えており、
前記参考材料は、包装材料、ユーザマニュアル、シール、タグ、ウェブサイト又はアプリケーションソフトから選択されることを特徴とする、
色識別機能を有するトルク工具アセンブリ。
【請求項2】
前記トルク臨界値は、ヘッド部材により締め付けられるか緩められる螺着部材の寸法により決定されることを特徴とする請求項1に記載の色識別機能を有するトルク工具アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドツールの分野に関し、特に、画像化されたカラー領域で同じ色又は似た色を利用し、寸法規格とトルクの対応関係を識別する、色識別機能を有するトルク工具及びトルク工具アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、開口スパナ、モンキーレンチ、メガネレンチ、六角レンチ及びその付属部品(例えば、ソケット)などの従来のレンチの一般的な標記方式に関しては、レンチの表面に少なくとも1つの識別性のある文字又は符号が刻印されるか、大面積の識別標記がエンボス加工され、半永久的に標記されて識別可能とされることが一般的であった。
【0003】
前述した方式は、工具の分野で長年使用されてきたが、依然として問題点があった。例えば、正常に使用する状況下で、標記の全て又は一部が油脂により覆われている場合、使用者は作業を中断し、油脂を拭き取って標記を読取り、レンチがワークピースの寸法規格に適合するか否かを確認しなければならないか、一部のスパナには背面に標記がされていない場合は、レンチをひっくり返して正面を向けなければならなかったり、横向きから縦向きに変えたりしなければ、レンチの標記をはっきりと見ることができないことがあった。
【0004】
前述した方式の問題点を改善するために、特許文献1の工具識別方法では、1つのカラーコードにより10個の色及び算用数字0~9の関連性を決めている。工具の表面には、少なくとも1つの凹溝が形成され、凹溝内に収容された着色材料によりカラーリングが形成され、工具の寸法は、カラーリングの幅によりヤード・ポンド法又はメートル法で特定される。
【0005】
しかし、カラーコードは長期間、記憶しておく必要があったため、頻繁に使用しない場合、色と数字との関連性を忘れてしまい、工具を探す時間が無駄に増え、組立て時間が長くなったりメンテナンスの効率が下がったりした。
【0006】
また、1組のカラーコードが単一の工具の寸法規格を表示していたため、その他の螺着部材を回転させる場合、寸法が異なる工具も携帯しなければならなかった。多くの工具は、体積が大きくて運搬に不便である上、間違った寸法の工具を選択してしまいがちなどの欠点があった。
【0007】
また、工具を使用して螺着部材を回す作業は、個人の経験に頼っていたため、過度に締付けてしまった場合、螺着部材構造を破壊させてしまうことがある一方、十分に締付けていない場合、螺着部材が振動により緩んでしまうこともあった。
【0008】
特許文献2のモンキーレンチは、固定顎を有するハンドルに可動顎が設けられている。可動顎の一組の目盛と、ハンドルのもう一組の目盛とを並べて設けたノギスのようなもので、螺着部材の寸法を測定する。
【0009】
ハンドルの1つの換算表をメートル法及びヤード・ポンド法の2つの単位の互換の基礎として用いる。しかし、互換する際には、暗算又は電子計算機による計算が必要であり、計算を間違えた場合、測定結果に大きな影響を与えるため、非常に面倒であった。
【0010】
特許文献3のトルク設定装置は、トルク調整可能な工具の末端に、複数の歯溝及び1つのつまみが設けられ、このつまみの1つの歯が歯溝に係合され、工具が出力する最大トルク値を決めることができる。つまみを引っ張り出すと、歯と歯溝との係合関係が解除される。つまみが力を受けて所定角度で回転され、工具から引っ込めると、歯が他の歯溝に係合されて係合関係が回復され、トルクに臨界点を設定することができる。しかし同様に、このようなトルク設定装置では、使用者は、当該螺着部材に適用されるトルク臨界点を知ることはできなかった。
【0011】
本発明者は、同じ色を組み合わせて識別する概念に基づき、「色識別機能を有するトルク工具」の発明を完成し、それぞれ特許文献4~特許文献11として出願し、それらは記録によって調べることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第4982627号明細書
【文献】中国実用新案公告第2118617号公報
【文献】米国特許第7836781号明細書
【文献】中国特許出願番号第202110506949.9号
【文献】インド特許出願番号第202141021015号
【文献】ベトナム特許出願番号第1-2021-02597号
【文献】日本特許出願番号第2021-079524号
【文献】欧州特許出願番号第21173163.3号
【文献】豪国特許出願番号第2021215114号
【文献】ブラジル特許出願番号第102021017262-2号
【文献】米国特許出願番号第17/315359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
こうした現状に鑑み、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、上述した従来技術の問題点を改善し、画像化されたカラー領域で同じ色又は似た色を利用し、寸法規格とトルクの対応関係を識別する、色識別機能を有するトルク工具及びトルク工具アセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、本体部材(30)、指示部(54)及び指示リング(80)を備えた、色識別機能を有するトルク工具であって、前記本体部材(30)は、操作して複数のトルク臨界値を設定し、前記指示部(54)は、前記本体部材(30)に設けられ、前記指示リング(80)は、複数のカラー領域(82,83,84,85)を含み、前記カラー領域(82,83,84,85)は、複数のトルク臨界値に対応し、前記指示リング(80)は、前記本体部材(30)に回転可能に設けられ、複数の前記カラー領域(82,83,84,85)のうちの一つが前記指示部(54)に位置合わせされ、前記本体部材(30)は、複数のトルク臨界値よりも小さいトルクが伝達可能であることを特徴とする、色識別機能を有するトルク工具が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の色識別機能を有するトルク工具及びトルク工具アセンブリは、画像化されたカラー領域で同じ色又は似た色を利用し、寸法規格とトルクの対応関係を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するトルク工具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するトルク工具を示す分解斜視図である。
【
図3】
図2の各部品を組立てた後の内部構造を示す断面斜視図である。
【
図4】本発明の好適な実施形態に係る色識別トルクの連続動作狀態(1)を示す説明図である。
【
図5】本発明の好適な実施形態に係る色識別トルクの連続動作狀態(2)を示す説明図である。
【
図6】本発明の好適な実施形態に係る色識別トルクの連続動作狀態(3)を示す説明図である。
【
図7】本発明の好適な実施形態に係る色識別トルクの連続動作狀態(4)を示す説明図である。
【
図8】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するヘッド部材(1)を示す斜視図である。
【
図9】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するヘッド部材(2)を示す斜視図である。
【
図10】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するヘッド部材(3)を示す斜視図である。
【
図11】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するヘッド部材(4)を示す斜視図である。
【
図12】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するヘッド部材(5)を示す斜視図である。
【
図13】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するヘッド部材(6)を示す斜視図である。
【
図14】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するヘッド部材(7)を示す斜視図である。
【
図15】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するトルク工具を、適合したヘッド部材に接続した使用状態を示す斜視図である。
【
図16】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するトルク工具を、適合したヘッド部材に接続した連結関係を示す断面図である。
【
図17】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するトルク工具のカラー領域とトルクの対応関係を示す参考材料である。
【
図18】本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するトルク工具のカラー領域とトルクの対応関係を示す参考材料である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照する。
図1に示すように、本発明の好適な実施形態に係る色識別機能を有するトルク工具10は、細長い本体部材30を有する。本体部材30は、1本のパイプ38を有する。パイプ38は、一端に1つのジョイント31が枢着され、他端に1つのグリップ41が結合される。1つのリング51は、パイプ38の外側に取り付けられ、1つの透明カバー70はグリップ41と隣り合う。1つの指示部54は、リング51の外表面に固定される。指示部54の先端は、透明カバー70の方向を向く。
【0018】
本実施形態では、例えば、開口槽のような取付部32が、ジョイント31の一端に凹設される。2つの孔33は、ジョイント31に形成され、取付部32と連通する。一方の押ボタン34は、2つの孔33のうちの一つに取り付けられ、他方の押ボタン34は、もう一方の孔33中に取り付けられる。各押ボタン34は、ジョイント31から外れることもないし取付部32に進入することもない。1本の杆35の根部は、ジョイント31と一体成形される。1つのホイール36は、杆35の自由端に枢着される。ホイール36は、杆35とともにパイプ38の一端に進入される。1本の軸37は、パイプ38及び杆35に挿通されてジョイント31を支え、ジョイント31がパイプ38に対して揺動可能であり、取付部32は常態で外部に開口している。
【0019】
図2を参照する。
図2に示すように、グリップ41をパイプ38から取り外すと、透明カバー70を1つの指示リング80及び1つの圧縮ばね45と同様にパイプ38から外すことができる。
【0020】
グリップ41は、中空状であり、その一端の内側には円周方向で連続した歯42が複数形成され、他端が1つのコントローラ49により閉止される。1つの中空の従動部材44の外表面は、1本の直線溝442に入り込む。従動部材44の内側には、1本のねじ軸43の一端に噛着されるねじ部441が設けられる。ねじ軸43の他端には、直線部431が延伸される。直線部431は、1つの軸受47及び1つの連結部材48を介してコントローラ49と結合され、ねじ軸43が従動部材44とともにグリップ41の内部に取り付けられる。
【0021】
本実施形態において、透明カバー70は、一端に第1の開口71が形成され、他端に第2の開口72が形成される。1本のリブ74は、透明カバー70の内側から突出され、第1の開口71に近づく。指示リング80の外表面には、1つの歯車81及び1組のカラー領域が設けられる。当該組のカラー領域は、指示リング80の1つの槽87中に設けられる。槽87及び歯車81は、指示リング80の両側に設けられる(
図3を参照する)。
【0022】
図3を見ると分かるように、パイプ38の外側には、グリップ41が嵌設される。ねじ軸43は、従動部材44とともにパイプ38の内部に挿入される。軸受47がパイプ38と直線部431との間に組み込まれているため、グリップ41がパイプ38から離れることを防ぎ、グリップ41によりねじ軸43をパイプ38に対して同期で回転させる際に干渉することを防ぐことができる。1本のピン39は、パイプ38の内側に立設され、従動部材44の直線溝442中に挿入されるとともに、従動部材44を案内してパイプ38の内部で直線移動させる。言い換えると、ねじ軸43の回転運動エネルギーは従動部材44の線形位置エネルギーに変換される。圧縮ばね45は、パイプ38の内部に位置し、一端が従動部材44に当接され、他端が1つの圧接ブロック46に押圧されてホイール36に押し当てられ、杆35がパイプ38の内側に揺動接触される(
図1を参照する)。
【0023】
2つの締結具58は、リング51の2つの孔57に挿通され、各締結具58がねじのようにパイプ38に螺入されると、リング51が固定される。透明カバー70及び指示リング80は、リング51の一部に嵌設される。リブ74がリング51の1本の溝52に係合されると、透明カバー70により指示リング80のカラー領域が遮蔽される。指示リング80の歯車81は、歯42に噛合され、指示リング80はグリップ41に伴って同期で回転される。1つの位置決め管443がパイプ38の外側に押付けられると、グリップ41により遮蔽される。位置決め管443は、リング51の端面に当接され、指示リング80が外れることを防ぐことができる。
【0024】
図1~
図3を参照する。
図1~
図3に示すように、グリップ41をパイプ38に対して回転させると、ねじ軸43がパイプ38の内部で同じ方向で回転する。従動部材44をねじ軸43に近づけるか離すと、圧縮ばね45の体積が変化し、圧縮ばね45自身の1つの作用力を調節することができる。その作用力により圧接ブロック46がホイール36に作用させ、杆35をパイプ38の内側に押し当てて揺動させると、トルク工具10の1つのトルクがヒンジ部に伝達される。そのため、グリップ41から圧接ブロック46にかけて、ねじ軸43、従動部材44及び圧縮ばね45が組み合わされて1つの調節機構40が構成される。
【0025】
ここで述べるトルクとは、本体部材30の長さが1つのモーメントアームであることを広く指し、それとグリップ41の力との乗積である。トルクの単位は、ニュートンメートル(国際単位系N・m)であり、1ニュートンメートルは「ある定点から1メートル隔たった点にその定点に向かって直角方向に1ニュートンの力を加えたときのその定点のまわりの力のモーメント」と定義されている。そのため、1名の使用者(図示せず)は、指示部54の先端に沿って、指示リング80が位置合わせされたカラー領域を見る。また、透明カバー70は、拡大鏡の効果を有する。
【0026】
トルクは、例えばナット、ねじなどの螺着部材に適用する。螺着部材の寸法規格は様々であるため、適合するトルク範囲は完全に同じではない。例えば、寸法が17mmの螺着部材のトルク臨界値は、約18N・mである。寸法が22mmの螺着部材のトルク臨界値は、約42N・mである。寸法が26mmの螺着部材のトルク臨界値は、約55N・mである。寸法が29mmの螺着部材のトルク臨界値は、約65N・mである。
【0027】
当該組のカラー領域に画像化を採用し、多種のカラー規範が常用の寸法規格であり、適合するトルク範囲を組み合わせ、記憶、暗記又は演算の過程を省略することにより、思い出せない苦境を避けることができる。
【0028】
例えば、
図4に示すように、第4のカラー領域85を指示部54の先端に位置合わせすると、本体部材30の現在のトルク臨界値は65±5N・mである。或いは、
図5に示すように、第3のカラー領域84を指示部54の先端に位置合わせすると、本体部材30の現在のトルク臨界値は55±5N・mである。或いは、
図6に示すように、第2のカラー領域83を指示部54の先端に位置合わせすると、本体部材30の現在のトルク臨界値は42±5N・mである。或いは、
図7に示すように、第1のカラー領域82を指示部54の先端に位置合わせすると、本体部材30の現在のトルク臨界値は18±5N・mである。
【0029】
そのため指示部54、透明カバー70及び当該組のカラー領域を組み合わせて指示ユニット50を形成し、リング51及び指示リング80上に応用する。様々な色を利用し、指示ユニット50により寸法規格とトルクの対応関係を識別することにより、使用者が一生懸命覚えても忘れてしまう苦境を避けることができる。仮に、本体部材30の現在のトルク臨界値が約65N・mである場合、指示リング80の第4のカラー領域85が先端に対向する(
図4を参照する)。また、使用者は、
図8に示すヘッド部材11を準備し、本体部材30のジョイント31と結合して一緒に使用してもよい。
【0030】
図8を参照する。
図8に示すように、ヘッド部材11は、1つの本体12を有する。本体12は、2つの固定顎13を有する。2つの固定顎13の互いに対向する2面は駆動面14である。2つの駆動面14は、距離15により離間され、ヘッド部材11は、開口スパナの機能輪郭を有する。隆起部16は、本体12の頂面に形成される。隆起部16には、外方に延びた1つの突部17が延設される。突部17には、1つの弾性部材18及び1つの球体19を受ける一つの球槽が形成され、球体19の一部が突部17の底面から突出され、突部17の球槽に位置する弾性部材18は圧縮される(
図16を参照する)。
【0031】
ヘッド部材11の1つの第4の識別色23は、第4のカラー領域85の色系と同じか類似する。第4の識別色23は、隆起部16の頂面から突部17に延び、ヘッド部材11が65±5N・mのトルク範囲に適用することを表す。第4の識別符号27が隆起部16の頂面に刻印され、算用数字「29」は、2つの駆動面14間の距離15が約29mmであることを示す。そのため覚えたり計算したりしなくても、ヘッド部材11が指示リング80の第4のカラー領域85の要求を満たすことを理解でき、寸法規格が29mmのねじ部材を締め付けたり緩めたりする作業を行うことができる。
【0032】
突部17は、
図15に示すようにジョイント31の取付部32に挿入される。
図16に示すように、弾性部材18が球体19の一部を押動して突部17の底面を露出させ、対応した押ボタン34を押動するとジョイント31の外表面を超える。球体19がジョイント31の孔33に係合され、突部17がジョイント31の取付部32から不用意に外れることを防ぐ。押ボタン34が孔33の内部に引き込まれ、突部17の球槽に球体19も引き込まれると、孔33と球体19との係合関係が解除される。突部17がジョイント31の取付部32から抜き取られると、本体部材30を容易に
図14に示すようなヘッド部材11aと交換することができる。
【0033】
図14を参照する。
図14に示すように、ヘッド部材11aの本体12aは、突部17が一端に設けられ、固定された固定顎13aと、1本の開口槽29aが他端に設けられる。球体19は、突部17に取り付けられて弾性を有するため、突部17をジョイントの取り付け部に結合可能である。開口槽29aは、本体12aの側辺に開設されるとともに、固定顎13aの根部を介して開口槽29aが本体12aの1つの操作孔19aに連通する。1本の直杆16aは、一辺に1つの可動顎14aが立設され、他辺に1列の歯17aが形成される。直杆16aが本体12aの開口槽29aに挿入されると、各歯17aは、本体12aの操作孔19aを介して1つのウォーム18aと噛合され、固定顎13aに対向するように可動顎14aを支える。ウォーム18aが本体12aに枢着され、可動顎14aから固定顎13aまでの距離15aを変えることができるため、ヘッド部材11aはモンキーレンチの機能形状を備える。
【0034】
本体12aの側辺には、線のような1組の符号が刻印されているが、それらは第1の識別符号24a、第2の識別符号25a、第3の識別符号26a及び第4の識別符号27aである。第1の識別符号24aは、本体12aの第1の識別色20aに一端が接続され、本体12aの縁部に他端が接続される。第2の識別符号25aは、本体12aの第2の識別色21aに一端が接続され、本体12aの縁部に他端が接続される。第3の識別符号26aは、本体12aの第3の識別色22aに一端が接続され、本体12aの縁部に他端が接続される。第4の識別符号27aは、本体12aの第4の識別色23aに一端が接続され、本体12aの縁部に他端が接続されるとともに、可動顎14aの側辺にはもう一つの指示部28aの先端が対向する。
【0035】
覚えたり計算したりしなくても、ヘッド部材11aは、寸法規格が29mmである螺着部材に適合し、トルク工具が65±5N・mのトルク範囲であることが分かる。
【0036】
図1、
図5及び
図14を参照する。
図1、
図5及び
図14に示すように、グリップ41を一定幅で回転させると、本体部材30のトルクが変化する。指示ユニット50の指示部54の先端が指示リング80の第3のカラー領域84を指している場合、本体部材30の約55N・mのトルク臨界値と識別する。勿論、ウォーム18aを一定幅で回転させると、指示部28aの先端が第3の識別符号26aを指すまで、直杆16aにより可動顎14aの位置を変えると、距離15aが約26mmまで縮小し、ヘッド部材11aを本体部材30のトルク及び寸法規格の対応関係に合致させることができる。或いは、ヘッド部材11aを取り外した後、
図9に示すようなもう一つのヘッド部材11に交換し、本体部材30のジョイント31に接続してもよい。
【0037】
図9を参照する。
図9に示すように、ヘッド部材11の構造は、
図8が示すヘッド部材11の構造に等しい。そのため、ヘッド部材11は、ジョイントの取り付け部に結合可能である。第3の識別色22が本体12の側面に設けられていると、そのヘッド部材11は本体部材30のトルク55±5N・mを、寸法規格26mmの螺着部材に伝達し得ることを表す。そのため、使用者は覚えたり計算したりしなくても、第3の識別符号26から2つの駆動面14の距離15が26mmであることを知ることができる。
【0038】
図1及び
図6を参照する。
図1及び
図6に示すように、グリップ41を再び回転させると、本体部材30のトルクを変えることができる。指示部54の先端が第2のカラー領域83を指し、本体部材30が約42N・mのトルク臨界値を識別し、
図10のヘッド部材11又は
図13のヘッド部材11cに適用し、寸法規格が22mmの螺着部材を締め付けるか緩めることができる。
【0039】
図10を参照する。
図10に示すように、第2の識別色21が隆起部16の周辺及び突部17の周辺に設けられている場合、本体部材30が42±5N・mに適用することを表す。第2の識別符号25の算用数字「22」は、2つの駆動面14が距離15で離間されて本体部材30の要求を満たし、寸法規格が22mmの螺着部材を締め付けるか緩める作業を行うことができることを表す。
【0040】
図13を参照する。
図13に示すように、ヘッド部材11cの本体12bは、O字状に類似し、その内側に1つの連続凹凸状の駆動面14cが設けられているため、ヘッド部材11cは、メガネレンチの機能構造を有する。使用者は覚えたり計算したりしなくても、ヘッド部材11cの側辺の第2の識別色21bから、駆動面14cの噛合寸法規格が22mmの螺着部材であることが分かり、締め付けるか緩める作業を行うことができる。
【0041】
図1及び
図7を参照する。
図1及び
図7に示すように、グリップ41を再び回転させると、本体部材30のトルクを変えることができる。指示部54の先端が第1のカラー領域82を指し示す場合、
図11のヘッド部材11又は
図12のヘッド部材11bを識別し、本体部材30のジョイント31を連結し、約18N・mのトルクを寸法規格が17mmである螺着部材に伝達することができる。
【0042】
図11を参照する。
図11に示すように、本体12の側面には、単層の第1の識別色20が設けられ、もう一つの層の第1の識別色20は、隆起部16の頂面から突部17まで延び、ヘッド部材11が18±5N・mのトルクを出力する。隆起部16の第1の識別符号24は、2つの駆動面14の距離15が、寸法規格が17mmである螺着部材に適合し、締め付けるか緩める作業を行うことができる。
【0043】
図12を参照する。
図12に示すように、本体12bは、C字状に類似し、1つの開口部15bを有し、開口式のメガネレンチの機能構造を有する。突部17は、本体12bの外表面から延び、本体部材30の取付部32に結合可能である。覚えたり計算したりしなくても、本体12bの側辺の第1の識別色20bは、第1のカラー領域82と同じか似て(
図7を参照する)、駆動面14bが螺着部材に噛合する寸法規格が約17mmであり、18±5N・mのトルク範囲で締め付けるか緩める作業を行うことができる。
【0044】
他の実施形態において、参考資料は第1のカラー領域82、第2のカラー領域83、第3のカラー領域84、第4のカラー領域85と対応したトルクの関係を表す。当該参考資料は、包装材料60、ユーザマニュアル、シール、タグ65(
図18を参照する)、ウェブサイト又はアプリケーションソフトでもよい。このように、参考資料とトルク工具10(
図1を参照する)とを組み合わせてトルク工具アセンブリを形成してもよい。
図17に示すように、包装材料60は包装箱でもよい。他の実施形態では、包装材料60は包装紙でもよい。
【0045】
当該分野の技術を熟知する者が理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
10 トルク工具
11 ヘッド部材
11a ヘッド部材
11b ヘッド部材
11c ヘッド部材
12 本体
12a 本体
12b 本体
12c 本体
13 固定顎
13a 固定顎
14 駆動面
14a 可動顎
14b 駆動面
14c 駆動面
15 距離
15a 距離
15b 開口部
16 隆起部
16a 直杆
17 突部
17a 歯
18 弾性部材
18a ウォーム
19 球体
19a 操作孔
20 第1の識別色
20a 第1の識別色
20b 第1の識別色
21 第2の識別色
21a 第2の識別色
21b 第2の識別色
22 第3の識別色
22a 第3の識別色
23 第4の識別色
23a 第4の識別色
24 第1の識別符号
24a 第1の識別符号
25 第2の識別符号
25a 第2の識別符号
26 第3の識別符号
26a 第3の識別符号
27 第4の識別符号
27a 第4の識別符号
28a 指示部
29a 開口槽
30 本体部材
31 ジョイント
32 取付部
33 孔
34 押ボタン
35 杆
36 ホイール
37 軸
38 パイプ
39 ピン
40 調節機構
41 グリップ
42 歯
43 ねじ軸
44 従動部材
45 圧縮ばね
46 圧接ブロック
47 軸受
48 連結部材
49 コントローラ
50 指示ユニット
51 リング
52 溝
54 指示部
57 孔
58 締結具
60 包装材料
65 タグ
70 透明カバー
71 第1の開口
72 第2の開口
74 リブ
80 指示リング
81 歯車
82 第1のカラー領域
83 第2のカラー領域
84 第3のカラー領域
85 第4のカラー領域
87 槽
431 直線部
441 ねじ部
442 直線溝
443 位置決め管