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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240920BHJP
   F25B 43/02 20060101ALI20240920BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20240920BHJP
【FI】
F25B1/00 361D
F25B1/00 361L
F25B1/00 371B
F25B1/00 387B
F25B1/00 387K
F25B43/02 A
F24F11/86
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019199529
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021071266
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 卓
(72)【発明者】
【氏名】重田 明広
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-231542(JP,A)
【文献】特開2015-230115(JP,A)
【文献】特開平09-113041(JP,A)
【文献】特開平04-056674(JP,A)
【文献】特開平08-159576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 43/02
F24F 11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧縮機を備えた室外ユニットと、
室外ユニットから送られる冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器と、を備えた空気調和装置において、
複数の前記圧縮機の駆動制御を行う制御部を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機の高圧側冷媒温度および低圧側冷媒温度を取得し、高圧側冷媒温度と低圧側冷媒温度に基づいて、前記圧縮機の特性線を選定し、
この特性線に基づいて、必要な能力をn台の前記圧縮機で実現するための前記圧縮機の駆動周波数を計算し、計算された前記圧縮機の駆動周波数に基づいてCOPを計算し、
COPの計算が終了したら、前記圧縮機の台数を1台減らしてn=n-1とし、前記圧縮機の台数nが所定台数より小さくなったら、計算したCOPが最大となる圧縮機の台数を決定し、この決定された前記圧縮機の台数による駆動制御を行い、
n台の前記圧縮機の駆動周波数は、それぞれずらして設定されていることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
前記室外ユニットは、前記圧縮機に冷媒を戻す冷媒配管を、複数の前記圧縮機に分岐する分岐配管を備えるとともに、オイルセパレータを備え、
前記オイルセパレータのオイルを戻すオイル配管は、起動優先順位が最も高い前記圧縮機の前記分岐配管に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置に係り、特に、チラーによる冷暖房負荷に応じて、COPが最大となる圧縮機の台数で制御することを可能とした空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、室外ユニットと、室内ユニットとを備え、室外ユニットの圧縮機から送られる冷媒を室内ユニットに送ることにより、空調を行う空気調和装置が知られている。
このような空気調和装置においては、例えば、オイルセパレータ16から導出したオイル戻し管23を、能力可変型圧縮機14の吸込管21aに接続するとともに、能力可変型圧縮機14からの潤滑油のオーバーフロー管28を、能力一定型圧縮機15の吸込管21bに接続することにより、圧縮機14,15に潤滑油を円滑に戻すようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平09-113041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の技術においては、複数の圧縮機に対してオイルセパレータからオイルを戻すようにしており、各圧縮機からオーバーフローしたオイルは、他方の圧縮機に戻すようにしている。
そのため、圧縮機の運転負荷によりオイルバランスがくずれるおそれがある。
また、近年、いわゆるチラーと呼ばれる冷媒と水とを熱交換して、熱交換した水を用いて空調を行う空気調和装置が用いられている。この場合に、複数の圧縮機を用いて空調制御を行う場合に、いかに効率のよい空調制御を行うかが極めて重要となる。
【0005】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、チラーによる空調を行う場合に、冷暖房の高に応じてCOPの高い効率のよい空調を行うことができ、しかも、オイルバランスを良好に保つことのできる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、複数の圧縮機を備えた室外ユニットと、室外ユニットから送られる冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器と、を備えた空気調和装置において、複数の前記圧縮機の駆動制御を行う制御部を備え、前記制御部は、前記圧縮機の高圧側冷媒温度および低圧側冷媒温度を取得し、高圧側冷媒温度と低圧側冷媒温度に基づいて、前記圧縮機の特性線を選定し、この特性線に基づいて、必要な能力をn台の前記圧縮機で実現するための前記圧縮機の駆動周波数を計算し、計算された前記圧縮機の駆動周波数に基づいてCOPを計算し、COPの計算が終了したら、前記圧縮機の台数を1台減らしてn=n-1とし、前記圧縮機の台数nが所定台数より小さくなったら、計算したCOPが最大となる圧縮機の台数を決定し、この決定された前記圧縮機の台数による駆動制御を行い、n台の前記圧縮機の駆動周波数は、それぞれずらして設定されていることを特徴とする。
これにより、冷暖房負荷に応じて、計算された駆動周期数によるCOPを計算し、COPが最大となる圧縮機の台数を決定し、この決定された圧縮機の台数による駆動制御を行うようにしているので、チラーによる冷暖房負荷に応じて、COPが最大となる圧縮機の台数で制御することができ、COPを高めた空調を行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、チラーによる冷暖房負荷に応じて、COPが最大となる圧縮機の台数で制御することができ、COPを高めた効率のよい空調を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る空気調和装置の室外ユニットの実施の形態を示す概略構成図
図2】本実施の形態の圧縮機1のオイル配管の接続構成を示す概略構成図
図3】本実施の形態の制御構成を示すブロック図
図4】高圧側冷媒温度と低圧側冷媒温度に基づく圧縮機の特性線の例を示すグラフ
図5】圧縮機の運転に必要な運転周波数が90Hzとした場合の駆動周波数の割り当て例を示す図
図6】圧縮機の運転に必要な運転周波数が90Hzとした場合のCOPの算出結果を示すグラフ
図7】圧縮機の運転に必要な運転周波数が120Hzとした場合の駆動周波数の割り当て例を示す図
図8】圧縮機の運転に必要な運転周波数が120Hzとした場合のCOPの算出結果を示すグラフ
図9】圧縮機の運転に必要な運転周波数が150Hzとした場合の駆動周波数の割り当て例を示す図
図10】圧縮機の運転に必要な運転周波数が150Hzとした場合のCOPの算出結果を示すグラフ
図11】本実施の形態の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、複数の圧縮機を備えた室外ユニットと、室外ユニットから送られる冷媒と水とを熱交換する冷媒水熱交換器と、を備えた空気調和装置において、複数の前記圧縮機の駆動制御を行う制御部を備え、前記制御部は、冷暖房負荷に応じて、n台の前記圧縮機による駆動周波数を計算し、この計算された駆動周期数によるCOPを計算し、COPが最大となる前記圧縮機の台数を決定し、この決定された前記圧縮機の台数による駆動制御を行う。
これにより、チラーによる冷暖房負荷に応じて、COPが最大となる圧縮機の台数で制御することができ、COPを高めた空調を行うことができる。
【0010】
第2の発明は、前記制御部は、前記圧縮機の高圧側冷媒温度および低圧側冷媒温度を取得し、高圧側冷媒温度と低圧側冷媒温度に基づいて、圧縮機の特性線を選定し、この特性線に基づいて、前記圧縮機の駆動周波数によるCOPを計算する。
これにより、特性線により、圧縮機の特性に応じてCOPを計算することができる。
【0011】
第3の発明は、前記室外ユニットは、前記圧縮機に冷媒を戻す冷媒配管を、複数の前記圧縮機に分岐する分岐配管を備えるとともに、オイルセパレータを備え、前記オイルセパレータのオイルを戻すオイル配管は、起動優先順位が最も高い前記圧縮機の前記分岐配管に接続されている。
これにより、起動優先順位が高い圧縮機に対して効率よくオイルを供給することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置の室外ユニットを示す概略構成図である。
図1に示すように、空気調和装置は、室外ユニット10を備えている。室外ユニット10は、第1圧縮機11a、第2圧縮機11bおよび第3圧縮機11cを備えている。なお、以下の説明において、第1圧縮機11a、第2圧縮機11bおよび第3圧縮機11cを区別する必要がない場合には、圧縮機11として説明する。
これら各圧縮機11は、それぞれ駆動周波数を可変してインバータ駆動される能力可変型の圧縮機11とされている。
【0013】
なお、本実施の形態においては、3台の圧縮機11を備えた場合の例について説明するが、これに限定されるものではなく、2台の圧縮機11あるいは4台以上の圧縮機11を備えるようにしてもよい。
第1圧縮機11a、第2圧縮機11bおよび第3圧縮機11cの吐出側には、それぞれ逆止弁12が配置されており、第1圧縮機11aの吐出側の第1冷媒配管21および第2圧縮機11bの吐出側の第2冷媒配管22は、三方継手13を介して1つの冷媒配管20に合流されている。
また、この冷媒配管20は、三方継手13を介して第3圧縮機11cの吐出側の第3冷媒配管23と合流されている。
【0014】
合流した冷媒配管20には、オイルセパレータ14が接続されており、オイルセパレータ14には、四方弁15を介して室外熱交換器16が接続されている。
室外熱交換器16の近傍には、室外熱交換器16を流れる冷媒と外気とを熱交換させるための室外ファン17が設けられている。
室外熱交換器16には、膨張弁18を介してレシーバタンク19が接続されている。
【0015】
レシーバタンク19には、水冷媒熱交換器40が接続されており、水冷媒熱交換器40の冷媒配管20は、四方弁15に接続されている。
四方弁15に接続された冷媒配管20は、三方継手13を介して分岐され、一方の第1分岐配管25は、第1圧縮機11aの吸込側に接続されている。
他方の第2分岐配管26は、三方継手13を介してさらに分岐され、一方の第3分岐配管27は、第2圧縮機11bの吸込側に接続されている。他方の第4分岐配管28は、第3圧縮機11cの吸込側に接続されている。
【0016】
また、オイルセパレータ14の底部には、オイル配管30が接続されており、オイル配管30は、三方継手13により分岐された第1分岐配管25の中途部に接続されている。
また、第1圧縮機11aの制御ポート31には、第1オイル戻し配管32の一端部が接続されており、第1オイル戻し配管32の他端部は、第2分岐配管26の中途部に接続されている。
さらに、第2圧縮機11bの制御ポート33には、第2オイル戻し配管34の一端部が接続されており、第2オイル戻し配管34の他端部は、第3分岐配管27の中途部に接続されている。
【0017】
水冷媒熱交換器40には、水配管41が接続されており、水冷媒熱交換器40により、冷媒配管20により送られる冷媒と水配管41により送られる水とを熱交換するように構成されている。
水配管41の中途部には、ポンプ42が設けられており、このポンプ42の駆動により、水配管41に水を循環させるように構成されている。
水配管41は、図示しないが、所定の室内ユニットに接続され、室内ユニットにより、室内の空調を行うように構成されている。
【0018】
図2は、圧縮機11のオイル配管30の接続構成を示す概略構成図である。
図2に示すように、四方弁15に接続される冷媒配管20は、三方継手13の下方に接続されており、第1圧縮機11aと第2圧縮機11bに接続される第1分岐配管25と第2分岐配管26とは、三方継手13に対して上方に接続されている。
オイル配管30は、第1分岐配管25の中途部、すなわち、三方継手13より上方に接続さている。これにより、オイルセパレータ14からのオイルは、オイル配管30を介して第1分岐配管25に戻される。
【0019】
本実施の形態においては、何らかの理由により、第1圧縮機11aが停止した場合、第1圧縮機11aの内部のオイルは、重力により、第1分岐配管25を介して三方継手13の下方に落下する。この落下したオイルは、第2圧縮機11bの駆動により、第2圧縮機11bの吸込冷媒とともに、第2圧縮機11bに戻されることになる。
【0020】
また、各圧縮機11の冷媒の吸込側および吐出側には、低圧側冷媒温度センサ50および高圧側冷媒温度センサ51がそれぞれ設けられている。
なお、本実施の形態においては、冷媒の吸込温度および吐出温度をを検出するようにしているが、例えば、冷媒の吸込圧力および吐出圧力を検出するようにしてもよい。
【0021】
次に、本実施の形態の制御構成について説明する。
図3は本実施の形態の制御構成を示すブロック図である。
図3に示すように、空気調和装置は、制御部60を備えている。制御部60は、例えば、CPUからなり、記憶部61を備えている。
制御部60は、第1圧縮機11a、第2圧縮機11bおよび第3圧縮機11cの駆動制御を行う。制御部60は、低圧側冷媒温度センサ50および高圧側冷媒温度センサ51の検出値に基づいて、第1圧縮機11a、第2圧縮機11bおよび第3圧縮機11cの駆動周波数を制御するように構成されている。
本実施の形態においては、第1圧縮機11aは、起動優先順位が最も高い圧縮機11とされている。すなわち、第1圧縮機11aは、他の第2圧縮機11bおよび第3圧縮機11cより、駆動周波数が常に最も高く駆動される圧縮機11として設定されている。
【0022】
次に、圧縮機11の駆動周波数の制御について説明する。
図4は、高圧側の冷媒温度と低圧側の冷媒温度に基づく圧縮機11の特性線の例を示すグラフである。
高圧側の冷媒温度と、低圧側の冷媒温度に基づいて、例えば、図4に示すように、圧縮機11の特性線をあらかじめ作成し、これをデータテーブルとして記憶部61に格納しておく。なお、図4中縦軸はCOP、横軸は圧縮機11の駆動周波数を示している。特性線は、高圧側冷媒温度と低圧側冷媒温度との差に基づいて決定されるものである。
図4においては、高圧側冷媒温度Tc/低圧側冷媒温度Tcが、上から、40/14、40/8、45/11、50/5の場合の特性線を示している。
【0023】
圧縮機11の運転が開始された場合に、制御部60は、低圧側冷媒温度センサ50および高圧側冷媒温度センサ51により、すべての圧縮機11の吐出側の冷媒温度と吸込側の冷媒温度を取得し、これに基づいて、データテーブルに格納された圧縮機11の特性線を選定する。特性線の選定処理は、駆動される圧縮機11のすべてに対して行われる。
【0024】
そして、制御部60は、冷暖房運転に必要な能力を圧縮機11n台で実現するための圧縮機11の駆動周波数を設定し、圧縮機11を設定された駆動周波数で運転した場合のCOPを計算する。
続いて、制御部60は、圧縮機11の数を1台減らして同様の処理を繰り返して行う。
そして、制御部60は、COPが最大となる圧縮機11台数および駆動周波数を決定し、圧縮機11の駆動制御を行う。
【0025】
この圧縮機11の駆動周波数の制御をより具体的に説明する。
図5は、圧縮機11の運転に必要な運転周波数が90Hzとした場合の駆動周波数の割り当て例を示す図である。図6は、圧縮機11の運転に必要な運転周波数が90Hzとした場合のCOPの算出結果を示すグラフである。
図5および図6に示すように、例えば、冷暖房負荷に基づいて圧縮機11の運転に必要な運転周波数が90Hzとした場合の例である。なお、本実施の形態においては、最大運転周波数が120Hz程度の圧縮機11を用いた場合の例で説明する。
制御部60は、圧縮機11の高圧側の冷媒温度と低圧側の冷媒温度に基づいて、データテーブルに格納された圧縮機11の特性線を選定する。
そして、必要な駆動周波数である90Hzを、3台の圧縮機11に割り当てると、例えば、第1圧縮機11aの駆動周波数が35Hz、第2圧縮機11bの駆動周波数が30Hz、第3圧縮機11cの駆動周波数が25Hzに設定される。
【0026】
本実施の形態においては、第1圧縮機11aの駆動周波数を常に最も高い値に設定する条件であるため、第1圧縮機11aの駆動周波数が最も高く、第2圧縮機11bおよび第3圧縮機11cの駆動周波数は、例えば、5Hzずつずらして設定している。なお、各圧縮機11の駆動周波数の差は、5Hzに限定されるものではなく、任意に設定することができるものである。
これは、すべての圧縮機11の駆動周波数を同一にすると、共振が発生するおそれがあるためである。また、オイルバランスを示している。考慮し、駆動周波数に差を設けるようにしている。
【0027】
続いて、制御部60は、設定した駆動周波数に基づいて、3台の圧縮機11によるCOPをそれぞれ計算する。
同様に、制御部60は、圧縮機11の台数を減らして、必要な駆動周波数である90Hzを、2台の圧縮機11に割り当てると、例えば、第1圧縮機11aの駆動周波数が48Hz、第2圧縮機11bの駆動周波数が42Hzに設定される。
そして、制御部60は、2台の圧縮機11によるCOPを計算する。
【0028】
同様に、制御部60は、圧縮機11の台数を減らして、必要な駆動周波数である90Hzを、1台の圧縮機11に割り当てると、第1圧縮機11aの駆動周波数が90Hzに設定される。
そして、制御部60は、1台の圧縮機11によるCOPを計算する。
これら、圧縮機11が3台の場合、2台の場合、1台の場合で計算したCOPの結果を図6に示す。
これによれば、2台の圧縮機11で駆動する際のCOPが最大となることがわかる。
そのため、制御部60は、2台の圧縮機11による駆動制御を選択する。
【0029】
図7は、圧縮機11の運転に必要な運転周波数が120Hzとした場合の駆動周波数の割り当て例を示す図である。図8は、圧縮機11の運転に必要な運転周波数が120Hzとした場合のCOPの算出結果を示すグラフである。
図7および図8に示すように、冷暖房負荷に基づいて圧縮機11の運転に必要な運転周波数が120Hzとした場合は、制御部60は、圧縮機11の高圧側の冷媒温度と低圧側の冷媒温度に基づいて、データテーブルに格納された圧縮機11の特性線を選定する。
そして、必要な駆動周波数である120Hzを、3台の圧縮機11に割り当てると、例えば、第1圧縮機11aの駆動周波数が45Hz、第2圧縮機11bの駆動周波数が40Hz、第3圧縮機11cの駆動周波数が35Hzに設定される。
続いて、制御部60は、設定した駆動周波数に基づいて、3台の圧縮機11によるCOPをそれぞれ計算する。
【0030】
同様に、制御部60は、圧縮機11の台数を減らして、必要な駆動周波数である120Hzを、2台の圧縮機11に割り当てると、例えば、第1圧縮機11aの駆動周波数が63Hz、第2圧縮機11bの駆動周波数が57Hzに設定される。
そして、制御部60は、2台の圧縮機11によるCOPを計算する。
【0031】
同様に、制御部60は、圧縮機11の台数を減らして、必要な駆動周波数である120Hzを、1台の圧縮機11に割り当てると、第1圧縮機11aの駆動周波数が120Hzに設定される。
そして、制御部60は、1台の圧縮機11によるCOPを計算する。
これら、圧縮機11が3台の場合、2台の場合、1台の場合で計算したCOPの結果を図8に示す。
これによれば、3台の圧縮機11で駆動する際のCOPが最大となることがわかる。
そのため、制御部60は、3台の圧縮機11による駆動制御を選択する。
【0032】
図9は、圧縮機11の運転に必要な運転周波数が150Hzとした場合の駆動周波数の割り当て例を示す図である。図10は、圧縮機11の運転に必要な運転周波数が150Hzとした場合のCOPの算出結果を示すグラフである。
図9および図10に示すように、例えば、冷暖房負荷に基づいて圧縮機11の運転に必要な運転周波数が150Hzとした場合は、制御部60は、圧縮機11の高圧側の冷媒温度と低圧側の冷媒温度に基づいて、データテーブルに格納された圧縮機11の特性線を選定する。
【0033】
そして、必要な駆動周波数である150Hzを、3台の圧縮機11に割り当てると、例えば、第1圧縮機11aの駆動周波数が55Hz、第2圧縮機11bの駆動周波数が50Hz、第3圧縮機11cの駆動周波数が45Hzに設定される。
続いて、制御部60は、設定した駆動周波数に基づいて、3台の圧縮機11によるCOPをそれぞれ計算する。
【0034】
同様に、制御部60は、圧縮機11の台数を減らして、必要な駆動周波数である150Hzを、2台の圧縮機11に割り当てると、例えば、第1圧縮機11aの駆動周波数が78Hz、第2圧縮機11bの駆動周波数が72Hzに設定される。
そして、制御部60は、2台の圧縮機11によるCOPを計算する。
【0035】
なお、本実施の形態の圧縮機11は、最大運転周波数が120Hz程度の圧縮機11であるため、必要な駆動周波数である150Hzを、1台の圧縮機11に割り当てることはできない。
図10に示すように、この場合には、3台の圧縮機11で駆動する際のCOPが最大となることがわかる。
そのため、制御部60は、3台の圧縮機11による駆動制御を選択する。
【0036】
次に、本実施の形態の動作について、フローチャートを参照して説明する。
図11は、本実施の形態の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部60は、搭載している圧縮機11の台数を認識し(ST1)、低圧側冷媒温度センサ50および高圧側冷媒温度センサ51により、圧縮機11の低圧側冷媒温度と、高圧側冷媒温度とを取得する(ST2)。
続いて、制御部60は、高圧側の冷媒温度と低圧側の冷媒温度に基づいて、データテーブルに格納された圧縮機11の特性線を選定する(ST3)。
そして、制御部60は、必要な能力を圧縮機11n台で実現するための圧縮機11の駆動周波数を計算し(ST4)、制御部60は、計算された圧縮機11の駆動周波数に基づいて、COPを計算する(ST5)。
【0037】
COPの計算が終了したら、制御部60は、圧縮機11の台数を1台減らしてn=n-1とし(ST6)、圧縮機11の台数nが、所定台数になるか否かを判断する(ST7)。
そして、圧縮機11の台数nが所定台数より大きい場合は(ST7:YES)、必要な能力を圧縮機11n-1台で行う場合の計算を同様に行う。
そして、圧縮機11の台数nが所定台数より小さくなったら(ST7:NO)、制御部60は、計算したCOPが最大となる圧縮機11の台数を選択する(ST8)。
制御部60は、選択された圧縮機11の台数により、運転を行うように制御する。
【0038】
圧縮機11が所定の駆動周波数で駆動されると、冷房運転を行う場合は、圧縮機11により圧縮された冷媒が、オイルセパレータ14、四方弁15を介して室外熱交換器16に送られ、室外熱交換器16で外気と熱交換した後、水冷媒熱交換器40に送られる。
そして、水冷媒熱交換器40に送られた冷媒は、水配管41を流れる水と熱交換した後、再び圧縮機11に戻される。
水冷媒熱交換器40により冷媒と熱交換されて冷却された水は、ポンプ42の駆動により、所定の室内ユニットに送られ、室内の冷房が行われる。
【0039】
一方、暖房運転を行う場合は、圧縮機11により圧縮された冷媒は、オイルセパレータ14、四方弁15を介して水冷媒熱交換器40に送られ、水配管41を流れる水と熱交換した後、室外熱交換器16を介して圧縮機11に戻される。
水冷媒熱交換器40により冷媒と熱交換されて加熱された水は、ポンプ42の駆動により、所定の室内ユニットに送られ、室内の暖房が行われる。
【0040】
このとき、冷暖房運転を行う際に、オイルセパレータ14から分離したオイルは、オイル配管30を介して第1冷媒配管21に流入する。第1冷媒配管21に流入したオイルは、第1圧縮機11aに送られる。
すなわち、本実施の形態においては、第1圧縮機11aの起動優先順位を最も高く設定しているので、第1圧縮機11aの運転負荷が高く、オイル流出量が多くなっている。そのため、第1圧縮機11aに優先的にオイルを戻すことにより、第1圧縮機11aにおけるオイル不足を解消することが可能となる。
そして、第1圧縮機11aの余剰オイルは、オーバーフローして第1冷媒戻し配管を介して第2圧縮機11bに送られる。
同様に、第2圧縮機11bの余剰オイルは、第2冷媒戻し配管を介して第3圧縮機11cに送られる。
【0041】
また、第1圧縮機11aが何らかの理由で停止した場合、オイル戻し配管から送られるオイルは、第1分岐配管25を介して三方継手13に落下する。
そのため、第2圧縮機11bが駆動されている場合、第2圧縮機11bが第2分岐配管26から冷媒を吸い込む際に、三方継手13に溜まったオイルも一緒に吸い込むことになり、第2圧縮機11bにおけるオイル供給を行うことができる。
【0042】
以上述べたように、本実施の形態においては、複数の圧縮機11の駆動制御を行う制御部60を備え、制御部60は、冷暖房負荷に応じて、n台の圧縮機11による駆動周波数を計算し、この計算された駆動周期数によるCOPを計算し、COPが最大となる圧縮機11の台数を決定し、この決定された圧縮機11の台数による駆動制御を行う。
これにより、チラーによる冷暖房負荷に応じて、COPが最大となる圧縮機11の台数で制御することができ、COPを高めた空調を行うことができる。
【0043】
また、本実施の形態においては、制御部60は、圧縮機11の高圧側冷媒温度および低圧側冷媒温度を取得し、高圧側冷媒温度と低圧側冷媒温度に基づいて、圧縮機11の特性線を選定し、この特性線に基づいて、圧縮機11の駆動周波数によるCOPを計算する。
これにより、特性線により、圧縮機11の特性に応じてCOPを計算することができる。
【0044】
また、本実施の形態においては、室外ユニット10は、圧縮機11に冷媒を戻す冷媒配管20を、複数の圧縮機11に分岐する分岐配管を備えるとともに、オイルセパレータ14を備え、オイルセパレータ14のオイルを戻すオイル配管30は、起動優先順位が最も高い圧縮機11の分岐配管に接続されている。
これにより、起動優先順位が高い圧縮機11に対して効率よくオイルを供給することができる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施形態に記載のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更および応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明に係る空気調和装置は、チラーによる冷暖房負荷に応じて、COPが最大となる圧縮機の台数で制御することができ、COPを高めた空調を効率よく行うことができる空気調和装置として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 室外ユニット
11 圧縮機
11a 第1圧縮機
11b 第2圧縮機
11c 第3圧縮機
13 三方継手
14 オイルセパレータ
16 室外熱交換器
20 冷媒配管
21 第1冷媒配管
22 第2冷媒配管
23 第3冷媒配管
25 第1分岐配管
26 第2分岐配管
27 第3分岐配管
28 第4分岐配管
30 オイル配管
32 第1オイル戻し配管
34 第2オイル戻し配管
40 水冷媒熱交換器
41 水配管
42 ポンプ
50 低圧側冷媒温度センサ
51 高圧側冷媒温度センサ
60 制御部
61 記憶部
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