(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】AEセンサ素子構造、AEセンサ用音片アレイ、およびAEセンサ
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20240920BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20240920BHJP
G01H 11/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
G01M99/00 Z
G01H11/08 A
G01H11/08 D
(21)【出願番号】P 2021066350
(22)【出願日】2021-04-09
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】田中 浩
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-046322(JP,A)
【文献】特開2008-096113(JP,A)
【文献】特開2012-215533(JP,A)
【文献】特開2019-146114(JP,A)
【文献】特開平03-123823(JP,A)
【文献】特開平11-226011(JP,A)
【文献】特開2018-023103(JP,A)
【文献】特開2019-174254(JP,A)
【文献】特開2021-124469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00-17/00
G01M13/00-13/045
99/00
G01N29/00-29/52
H04R17/00-17/02
17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカンチレバーが一体となってアレイ状に配列されてなるAEセンサ素子構造であって、カンチレバー間に厚み方向の溝が形成されて
おり、
それにより隣接する該カンチレバー間における振動干渉が抑制され、
該溝は厚み方向には非貫通でかつ厚み方向に直交する表面方向には貫通しており、
該溝の幅は該カンチレバーの幅よりも狭く形成されており、
該カンチレバーの数が偶数であり、
該カンチレバーの配列は、下記<T1>の規定下、
該順配列pRをその中央を基準として分割することによって、より長い方のグループとより短い方のグループの2グループにグループ分けして各グループから順に該カンチレバーを選択して並べた形態となっており、
配列の両端部のカンチレバーは最長・最短以外のカンチレバーである
ことを特徴とする、AEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を規定し、これを「順配列」pRとする。
【請求項2】
複数のカンチレバーが一体となってアレイ状に配列されてなるAEセンサ素子構造であって、カンチレバー間に厚み方向の溝が形成されており、
それにより隣接する該カンチレバー間における振動干渉が抑制され、
該溝は厚み方向には非貫通でかつ厚み方向に直交する表面方向には貫通しており、
該溝の幅は該カンチレバーの幅よりも狭く形成されており、
該カンチレバーの数が5であり、
該カンチレバーの配列は、下記<T1>の規定下、
該順配列pRの中央のカンチレバーを固定し、その前後に隣接してあるカンチレバーと合わせて計3本のカンチレバーからなるグループを特定してこれを中央グループとし、該中央グループより長い方の1本とより短い方の1本を特定してこれらもグループとみなして計3グループとし、
該中央グループ、その他のグループの一方、該中央グループ、その他のグループの他方、該中央グループ、の順に要素すなわちカンチレバーを取り出して並べた形態となっており、
配列の両端部のカンチレバーは最長・最短以外のカンチレバーである
ことを特徴とする、AEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を規定し、これを「順配列」pRとする。
【請求項3】
複数のカンチレバーが一体となってアレイ状に配列されてなるAEセンサ素子構造であって、カンチレバー間に厚み方向の溝が形成されており、
それにより隣接する該カンチレバー間における振動干渉が抑制され、
該溝は厚み方向には非貫通でかつ厚み方向に直交する表面方向には貫通しており、
該溝の幅は該カンチレバーの幅よりも狭く形成されており、
該カンチレバーの数が7以上の奇数であり、
該カンチレバーの配列は、下記<T1>の規定下、
該順配列pRの中央のカンチレバーを固定し、その前後各方向すなわち短長各方向に1つ置きに選択したカンチレバーと合わせて複数本のカンチレバーからなるグループを特定してこれを中央グループとし、
該中央のカンチレバーより長いカンチレバーでありかつ該中央グループに属さないカンチレバーからなる長片グループと、
該中央のカンチレバーより短いカンチレバーでありかつ該中央グループに属さないカンチレバーからなる短片グループを特定して、計3グループとし、
該長片グループから連続して取り出さず、
該短片グループから連続して取り出さず、
かつ配列の両端部のカンチレバーを最長・最短以外の音片アレイとする他は、
各グループから任意の順に要素すなわちカンチレバーを取り出して並べた形態となっている
ことを特徴とする、AEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を規定し、これを「順配列」pRとする。
【請求項4】
下記<T1> ~ <T5>の定義下、
実際最小値MD > 順配列時最小置Md
であることを特徴とする、請求項
1、2、3のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
<T2> 該順配列時における各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を仮想し、これを「順配列時隣接周波数差」da、db、・・・とする。
<T3> 実際の配列Rにおける各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を「実際隣接周波数差」Da、Db、・・・とする。
<T4> 該順配列時隣接周波数差
da、db、・・・の中の最小値を「順配列時最小値」Mdとする。
<T5> 該実際隣接周波数差
Da、Db、・・・の中の最小値を「実際最小値」MDとする。
【請求項5】
下記<T1> ~ <T7>の定義下、
実際総和SD > 順配列時総和Sd
であることを特徴とする、請求項
1、2、3のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
<T2> 該順配列時における各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を仮想し、これを「順配列時隣接周波数差」da、db、・・・とする。
<T3> 実際の配列Rにおける各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を「実際隣接周波数差」Da、Db、・・・とする。
<T4> 該順配列時隣接周波数差
da、db、・・・の中の最小値を「順配列時最小値」Mdとする。
<T5> 該実際隣接周波数差
Da、Db、・・・の中の最小値を「実際最小値」MDとする。
<T6> 前記順配列時隣接周波数差
da、db、・・・の総和を「順配列時総和」Sdとする。
<T7> 前記実際隣接周波数差
Da、Db、・・・の総和を「実際総和」SDとする。
【請求項6】
下記<T8>および<T9>の定義下、
Dn > dn
であることを特徴とする、請求項
4、5のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
<T8> 前記順配列時隣接周波数差da、db、・・・、および前記実際隣接周波数差Da、Db、・・・は、いずれも共振周波数数値の降順であるか、または、いずれも共振周波数数値の昇順である。
<T9> 対応する(同一順位である)該順配列時隣接周波数差、該実際隣接周波数差を、それぞれdn、Dnとする。
【請求項7】
下記<T1>の定義下、
隣接するカンチレバー間において、該順配列pRとは逆順(順配列pRが降順であれば昇順、昇順であれば降順)になる箇所が一箇所以上あることを特徴とする、請求項
1、2、3のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
【請求項8】
請求項
4、5、6のいずれかに記載の特徴を備えることを特徴とする、請求項
7に記載のAEセンサ素子構造。
【請求項9】
ニオブ酸リチウム製であることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5、6、7、8のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9のいずれかに記載のAEセンサ素子構造を備えていることを特徴とする、AEセンサ用音片アレイ。
【請求項11】
請求項10に記載のAEセンサ用音片アレイを備えていることを特徴とする、AEセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はAEセンサ素子構造、AEセンサ用音片アレイ、およびAEセンサに係り、特に、設備の状態監視や非破壊検査のAE法に用いるAEセンサにおいて、隣接するカンチレバーの不要振動の伝播を抑制することのできる、AEセンサ素子構造等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
材料が外力の作用で変形、破壊に至る際に発生する音はアコースティックエミッション(音響放射、Acoustic Emission 以下「AE」)と呼ばれるが、材料の表面に設置したAEセンサでAEを検出することにより、非破壊方式で材料の破壊過程を評価することができ(AE法)、これにより、構造物・設備のリアルタイムでの状態監視や非破壊検査を行うことができる。
【0003】
出願人は先に、複数の共振周波数を一度に出力でき、センサ出力を取り込んだ後の事後的なFFT演算などによる解析が不要で簡易的なリアルタイム解析を行うことのできるAEセンサ用音片アレイ構造として、ベースに複数の音片(カンチレバー)を備えてアレイ状に配置され、かつ一体成形されたAEセンサ用音片アレイ構造において、各音片がそれぞれ異なる共振周波数を持ち、これらの共振周波数が一度に出力され得る構成を開示した(特許文献1)。
【0004】
だが、かかる技術にも改良すべき点があった。それは、AEセンサを複数個、または音片アレイを複数個配列した場合に、隣接するAEセンサ/カンチレバー間ではカンチレバー間の振動が干渉してしまう、ということである。この干渉は、共振周波数が近いほどより顕著に現れる。そこで、カンチレバーを複数個配列したAEセンサであっても、隣接するカンチレバー間における振動干渉を抑制できる方式を検討した。その結果、複数のAEセンサ用カンチレバーの配列を、長さ順にするのではなくて隣接するアレイ間の共振周波数差がより広くなるような順の配列とすることで振動干渉を抑制できることを見出し、以下《q1》~《q11》に示す発明群として構成し、特許出願した(特許文献2)。
【0005】
《q1》 三以上のカンチレバーが並べられて一体となっているAEセンサ用音片アレイ配列の構造であって、下記<T1> ~ <T5>の定義下、
実際最小値MD > 順配列時最小置Md
であることを特徴とする、AEセンサ用音片アレイ配列構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
<T2> 該順配列時における各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を仮想し、これを「順配列時隣接周波数差」da、db、・・・とする。
<T3> 実際の配列Rにおける各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を「実際隣接周波数差」Da、Db、・・・とする。
<T4> 該順配列時隣接周波数差da等の中の最小値を「順配列時最小値」Mdとする。
<T5> 該実際隣接周波数差Da等の中の最小値を「実際最小値」MDとする。
《q2》 三以上のカンチレバーが並べられて一体となっているAEセンサ用音片アレイ配列の構造であって、下記<T1> ~ <T7>の定義下、
実際総和SD > 順配列時総和Sd
であることを特徴とする、AEセンサ用音片アレイ配列構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
<T2> 該順配列時における各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を仮想し、これを「順配列時隣接周波数差」da、db、・・・とする。
<T3> 実際の配列Rにおける各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を「実際隣接周波数差」Da、Db、・・・とする。
<T4> 該順配列時隣接周波数差da等の中の最小値を「順配列時最小値」Mdとする。
<T5> 該実際隣接周波数差Da等の中の最小値を「実際最小値」MDとする。
<T6> 前記順配列時隣接周波数差da等の総和を「順配列時総和」Sdとする。
<T7> 前記実際隣接周波数差Da等の総和を「実際総和」SDとする。
《q3》 下記<T8>および<T9>の定義下、
Dn > dn
であることを特徴とする、《q1》、《q2》のいずれかに記載のAEセンサ用音片アレイ配列構造。
<T8> 前記順配列時隣接周波数差da、db、・・・、および前記実際隣接周波数差Da、Db、・・・は、いずれも共振周波数数値の降順であるか、または、いずれも共振周波数数値の昇順である。
<T9> 対応する(同一順位である)該順配列時隣接周波数差、該実際隣接周波数差を、それぞれdn、Dnとする。
【0006】
《q4》 三以上のカンチレバーが並べられて一体となっているAEセンサ用音片アレイ配列の構造であって、下記<T1>の定義下、隣接するカンチレバー間において、該順配列pRとは逆順(順配列pRが降順であれば昇順、昇順であれば降順)になる箇所が一箇所以上あることを特徴とする、AEセンサ用音片アレイ配列構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
《q5》 請求項1、2、3のいずれかに記載の特徴を備えることを特徴とする、《q4》に記載のAEセンサ用音片アレイ配列構造。
《q6》 前記順配列pRにおける共振周波数高低順と、前記カンチレバーの長短順が逆であることを特徴とする、《q1》~《q5》のいずれかに記載のAEセンサ用音片アレイ配列構造。
【0007】
《q7》 ニオブ酸リチウム製であることを特徴とする、《q1》~《q6》のいずれかに記載のAEセンサ用音片アレイ配列構造。
《q8》 《q1》~《q7》のいずれかに記載のAEセンサ用音片アレイ配列構造を備えていることを特徴とする、AEセンサ用音片アレイ。
《q9》 《q8》に記載のAEセンサ用音片アレイを備えていることを特徴とする、AEセンサ。
《q10》 《q1》~《q7》のいずれかに記載のAEセンサ用音片アレイ配列構造に係る音片アレイ配列を構成する方法であって、下記<T1’>の規定下、該順配列pRを2グループまたは3グループ以上にグループ分けし、各グループから順にカンチレバーを選択して並べることにより行うことを特徴とする、音片アレイ配列構成方法。
<T1’> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を規定し、これを「順配列」pRとする。
《q11》 前記グループ分けは前記順配列pRの降順または昇順に従って行われることを特徴とする、《q10》に記載の音片アレイ配列構成方法。
【0008】
これら特許文献2開示の発明は、特許文献1開示の発明により得られる各効果に加えて、カンチレバーを複数個配列したAEセンサにおける音片アレイの配列を工夫するという簡単な方法によって、隣接するカンチレバー間における振動干渉を抑制できるという効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2020-46322号公報「AEセンサ用音片アレイ構造、AEセンサ、およびそれらの製造方法」
【文献】特願2020-020205「AEセンサ用音片アレイ配列構造、その配列構成方法、AEセンサ用音片アレイ、およびAEセンサ」(本願出願時、未公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の通り、カンチレバーをアレイ状に配列したマルチチャンネル型AEセンサの素子構造において、特許文献1のようにカンチレバーの配列を長さ順とする構成から、特許文献2のように隣接カンチレバーの長さの差を広げる構成として隣接カンチレバー間の周波数差を広げることで、隣接カンチレバー間の振動干渉を抑制できることを、出願人は開示した。しかしながら、さらなる干渉抑制ができれば、なおよい。
【0011】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術を踏まえ、複数のカンチレバーがアレイ状に配置され、かつ一体成形されているAEセンサ素子において、隣接するカンチレバーの振動干渉をさらに高度に抑制することのできる、AEセンサ素子構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者は上記課題について検討した結果、カンチレバー間にAEセンサ素子の厚み方向の溝を形成することによって隣接するカンチレバーの不要振動の伝播を抑制できることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0013】
〔1〕 複数のカンチレバーが一体となってアレイ状に配列されてなるAEセンサ素子構造であって、カンチレバー間に厚み方向の溝が形成されており、
それにより隣接する該カンチレバー間における振動干渉が抑制され、
該溝は厚み方向には非貫通でかつ厚み方向に直交する表面方向には貫通しており、
該溝の幅は該カンチレバーの幅よりも狭く形成されており、
該カンチレバーの数が偶数であり、
該カンチレバーの配列は、下記<T1>の規定下、
該順配列pRをその中央を基準として分割することによって、より長い方のグループとより短い方のグループの2グループにグループ分けして各グループから順に該カンチレバーを選択して並べた形態となっており、
配列の両端部のカンチレバーは最長・最短以外のカンチレバーである
ことを特徴とする、AEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を規定し、これを「順配列」pRとする。
〔2〕 複数のカンチレバーが一体となってアレイ状に配列されてなるAEセンサ素子構造であって、カンチレバー間に厚み方向の溝が形成されており、
それにより隣接する該カンチレバー間における振動干渉が抑制され、
該溝は厚み方向には非貫通でかつ厚み方向に直交する表面方向には貫通しており、
該溝の幅は該カンチレバーの幅よりも狭く形成されており、
該カンチレバーの数が5であり、
該カンチレバーの配列は、下記<T1>の規定下、
該順配列pRの中央のカンチレバーを固定し、その前後に隣接してあるカンチレバーと合わせて計3本のカンチレバーからなるグループを特定してこれを中央グループとし、該中央グループより長い方の1本とより短い方の1本を特定してこれらもグループとみなして計3グループとし、
該中央グループ、その他のグループの一方、該中央グループ、その他のグループの他方、該中央グループ、の順に要素すなわちカンチレバーを取り出して並べた形態となっており、
配列の両端部のカンチレバーは最長・最短以外のカンチレバーである
ことを特徴とする、AEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を規定し、これを「順配列」pRとする。
〔3〕 複数のカンチレバーが一体となってアレイ状に配列されてなるAEセンサ素子構造であって、カンチレバー間に厚み方向の溝が形成されており、
それにより隣接する該カンチレバー間における振動干渉が抑制され、
該溝は厚み方向には非貫通でかつ厚み方向に直交する表面方向には貫通しており、
該溝の幅は該カンチレバーの幅よりも狭く形成されており、
該カンチレバーの数が7以上の奇数であり、
該カンチレバーの配列は、下記<T1>の規定下、
該順配列pRの中央のカンチレバーを固定し、その前後各方向すなわち短長各方向に1つ置きに選択したカンチレバーと合わせて複数本のカンチレバーからなるグループを特定してこれを中央グループとし、
該中央のカンチレバーより長いカンチレバーでありかつ該中央グループに属さないカンチレバーからなる長片グループと、
該中央のカンチレバーより短いカンチレバーでありかつ該中央グループに属さないカンチレバーからなる短片グループを特定して、計3グループとし、
該長片グループから連続して取り出さず、
該短片グループから連続して取り出さず、
かつ配列の両端部のカンチレバーを最長・最短以外の音片アレイとする他は、
各グループから任意の順に要素すなわちカンチレバーを取り出して並べた形態となっている
ことを特徴とする、AEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を規定し、これを「順配列」pRとする。
〔4〕 下記<T1> ~ <T5>の定義下、
実際最小値MD > 順配列時最小置Md
であることを特徴とする、請求項1、2、3のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
<T2> 該順配列時における各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を仮想し、これを「順配列時隣接周波数差」da、db、・・・とする。
<T3> 実際の配列Rにおける各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を「実際隣接周波数差」Da、Db、・・・とする。
<T4> 該順配列時隣接周波数差da、db、・・・の中の最小値を「順配列時最小値」Mdとする。
<T5> 該実際隣接周波数差Da、Db、・・・の中の最小値を「実際最小値」MDとする。
〔5〕 下記<T1> ~ <T7>の定義下、
実際総和SD > 順配列時総和Sd
であることを特徴とする、請求項1、2、3のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
<T2> 該順配列時における各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を仮想し、これを「順配列時隣接周波数差」da、db、・・・とする。
<T3> 実際の配列Rにおける各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を「実際隣接周波数差」Da、Db、・・・とする。
<T4> 該順配列時隣接周波数差da、db、・・・の中の最小値を「順配列時最小値」Mdとする。
<T5> 該実際隣接周波数差Da、Db、・・・の中の最小値を「実際最小値」MDとする。
<T6> 前記順配列時隣接周波数差da、db、・・・の総和を「順配列時総和」Sdとする。
<T7> 前記実際隣接周波数差Da、Db、・・・の総和を「実際総和」SDとする。
【0014】
〔6〕 下記<T8>および<T9>の定義下、
Dn > dn
であることを特徴とする、〔4〕、〔5〕のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
<T8> 前記順配列時隣接周波数差da、db、・・・、および前記実際隣接周波数差Da、Db、・・・は、いずれも共振周波数数値の降順であるか、または、いずれも共振周波数数値の昇順である。
<T9> 対応する(同一順位である)該順配列時隣接周波数差、該実際隣接周波数差を、それぞれdn、Dnとする。
〔7〕 下記<T1>の定義下、
隣接するカンチレバー間において、該順配列pRとは逆順(順配列pRが降順であれば昇順、昇順であれば降順)になる箇所が一箇所以上あることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
【0015】
〔8〕 〔4〕、〔5〕、〔6〕のいずれかに記載の特徴を備えることを特徴とする、〔7〕に記載のAEセンサ素子構造。
〔9〕 ニオブ酸リチウム製であることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕のいずれかに記載のAEセンサ素子構造。
〔10〕 〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、〔9〕のいずれかに記載のAEセンサ素子構造を備えていることを特徴とする、AEセンサ用音片アレイ。
〔11〕 〔10〕に記載のAEセンサ用音片アレイを備えていることを特徴とする、AEセンサ。
【発明の効果】
【0016】
本発明のAEセンサ素子構造、AEセンサ用音片アレイ、およびAEセンサは上述のように構成されるため、これらによれば、複数のカンチレバーがアレイ状に配置され、かつ一体成形されたAEセンサ素子において、カンチレバー間に溝を形成することにより、隣接するカンチレバーの不要振動の伝播を抑制することができる。
【0017】
なお、上記〔1〕、〔2〕発明の従属的発明である上記〔3〕~〔8〕発明は特許文献2開示発明の特徴を引き継ぎ備える構成であり、したがってこれらには、本願発明の基礎であるカンチレバー間溝による不要振動伝播抑制効果に加え、あるいはかかる効果に先立ち、カンチレバーの配列を工夫するという簡単な方法により隣接するカンチレバー間における振動干渉を抑制できるという効果が得られる。上記〔3〕~〔8〕の発明における特徴的構成を、カンチレバー配列が単純な正順や逆順ではないことから、以後「非順配列型」とも言う。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明AEセンサ素子構造の基本構成を2方向から示す説明図である。
【
図2】
図2-2との対比として溝を有さないAEセンサ素子構造における作用を示す説明図である。
【
図2-2】本発明AEセンサ素子構造の作用を示す説明図である。
【
図3】本発明AEセンサ素子構造における溝形成方法を示す説明図である。
【
図4】本発明AEセンサ素子構造の基本構成を示す斜視の説明図である。
【
図5】
図1に示す構成とは別の構成例を示す説明図である。
【
図6】本発明AEセンサ素子構造の実施例を示す写真図である。
【
図6-2】本発明AEセンサ素子構造による不要振動抑制効果を示すグラフである。
【0019】
(以下の各図は、非順配列型の本発明AEセンサ素子構造等に係る図である。)
【
図7】非順配列型の本発明AEセンサ素子構造の基本的構成を特許文献1発明のそれと対比して示す模式的な説明図である。
【
図7-2】
図1に示す基本的構成における配列の特徴を示すための説明図である。
【
図8】本発明AEセンサ素子構造の別の構成(その1)における配列の特徴を特許文献1発明のそれと対比して示す模式的な説明図である。
【
図9】本発明AEセンサ素子構造の別の構成(その2)における配列の特徴を特許文献1発明のそれと対比して示す模式的な説明図である。
【
図10】本発明AEセンサ素子構造の別の構成(その3)における配列の特徴を特許文献1発明のそれと対比して示す模式的な説明図である。
【
図11】本発明に係る音片アレイ配列構成方法例を示すフロー図である。
【
図12】CH数が偶数の場合の本発明音片アレイ配列構成方法例を示す説明図である。
【
図13】CH数が奇数(5以下)の場合の本発明音片アレイ配列構成方法例を示す説明図である。
【
図13-2】CH数が奇数(7以上)の場合の本発明音片アレイ配列構成方法例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。各図では主としてカンチレバー4本による構成例を用いるが、本発明がカンチレバーの本数・長さや厚さ等のサイズ・その他の具体的仕様に限定されるものではない。
図1は、本発明AEセンサ素子構造の基本構成を2方向から示す説明図である。図中(a)は平面視、(b)は厚み方向から視た図である。図示するように本AEセンサ素子構造E010は、複数のカンチレバーC01、C02、・・・が一体となってアレイ状に配列されてなる構造であって、カンチレバー間すなわち、C01-C02間、C02-C03間、・・・のベースB09に、それぞれ厚み方向の溝F01、F02、・・・が形成されていることを、主たる構成とする。
【0021】
図示するように、カンチレバーC01-C02間等のベースB09に設けられる溝F01等は、AEセンサ素子の厚み方向に形成される。溝深さthは、当然ながら、素子厚みtよりも小さい。具体的な溝の深さ・幅・形状等の仕様や、隣接する溝F01-F02同士等の間におけるかかる仕様の共通性の有無は、特に限定されない。しかしながら、図示するような概略直方体の形状で、深さおよび幅も共通する溝F01、F02、F03、・・・等とすることで、本発明所期の作用効果を十分に得ることができる。すなわち、溝F01等によってカンチレバーC01-C02間等における隣接するカンチレバーの振動(不要振動)伝播経路が物理的に遮断され、これにより隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。
【0022】
図2は、
図2-2との対比として溝を有さないAEセンサ素子構造、つまり本発明の構成を有しないAEセンサ素子構造における作用を示す説明図である。また、
図2-2は、本発明AEセンサ素子構造の作用を示す説明図である。溝が設けられていない
図2のAEセンサ素子構造E810では、たとえばカンチレバーC82における振動はこれに隣接するカンチレバーC81、C83へも不要振動として伝播し、逆に隣接するカンチレバーC83、C81の振動はカンチレバーC82への不要振動として伝播する。すなわち、カンチレバーは自身にて発生する振動が隣接するカンチレバーに対して不要振動として伝播することが抑制され得ず、また、隣接するカンチレバーにおける不要振動が自身に対して不要振動として伝播してくることからも防御され得ない。
【0023】
一方、
図2-2に示すように、カンチレバーC21-C22間に溝F21、カンチレバーC22-C23間に溝F22、というようにカンチレバー間に厚み方向の溝を有する本発明AEセンサ素子構造E210では、たとえばカンチレバーC22における振動は、これに隣接するカンチレバーC21との間の溝F21による物理的な伝播経路遮断によってカンチレバーC21に対して不要振動として伝播することが抑制され、同じく、隣接するカンチレバーC23との間の溝F22による物理的な遮断によってカンチレバーC23に対して不要振動として伝播することが抑制される。
【0024】
逆に、隣接するカンチレバーC23における振動は、これに隣接するカンチレバーC22との間の溝F22による物理的な播経路遮断によってカンチレバーC22に対して不要振動として伝播することが抑制され、同じくカンチレバーC21における振動も、隣接するカンチレバーC22との間の溝F21による物理的な遮断によってカンチレバーC22に対して不要振動として伝播することが抑制される。
【0025】
すなわち本発明AEセンサ素子構造E210では、隣接するカンチレバーとの間に溝が存在することにより、カンチレバーは自身にて発生する振動が隣接するカンチレバーに対して不要振動として伝播することが抑制されるとともに、隣接するカンチレバーにおける不要振動が自身に対して不要振動として伝播してくることからも防御される。このようにして、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。
【0026】
図3は、本発明AEセンサ素子構造における溝形成方法を示す説明図である。図示するように本発明の特徴であるカンチレバー間における厚み方向の溝は、本AEセンサ素子の製造過程において、センサ素子材料Aに対してブレード等の所定の加工手段Gを用いて、その厚み方向に所定仕様での切削処理を行うことにより、容易に形成することができる。溝予定箇所F
0に対して、加工手段Gによる処理がなされる。
【0027】
図4は、本発明AEセンサ素子構造の基本構成を示す斜視の説明図である。カンチレバーC41における振動は、隣接するカンチレバーC42との間のベースB49に設けられた厚み方向の溝F41によって伝播経路を遮断され、カンチレバーC42における不要振動が抑制される。同様にカンチレバーC42における振動も、溝F41によって伝播経路を遮断され、カンチレバーC41における不要振動発生が抑制される。このようにして振動干渉が抑制される。本AEセンサ素子構造E410を構成する他のカンチレバーC42、C43等においても同様である。
【0028】
図5は、
図1等に示す構成とは別の構成例を示す説明図である。
図1、
図4で示した構成例は後述する非順配列型のAEセンサ素子構造に係る例であるが、本発明が非順配列型に限定されず、特許文献1発明のような順序だった配列を有するAEセンサ素子構造をも範囲内とすることを示す。AEセンサ素子構造E510はカンチレバーC51、C52、C53、・・・が長さ順に配列しており、各カンチレバー間には溝F51、F52、・・・が設けられている。
【0029】
図6は、本発明AEセンサ素子構造の実施例を示す写真図である。また表1は、本発明AEセンサ素子構造による不要振動抑制効果の評価のため
図6の実施例を用いて行った試験の実測結果であり、
図6-2は、本発明AEセンサ素子構造による不要振動抑制効果を示すグラフである。これらに示す通り、溝は素子厚みに対して20%程度の深さで設けることによっても、不要振動出力を10dB近くまで低下させることができるが、さらにその深さを50%程度とすることによって20dBも低下させることができる。すなわち、センサ素子構造の強度を勘案した上で、ある程度以上の深さの溝を設けることが不要振動出力に有効であることが確認できた。
【0030】
【0031】
以上説明したいずれかの構成のAEセンサ素子構造の材料は特に限定されないが、たとえばニオブ酸リチウムを好適に用いることができる。また、以上説明したいずれかの構成のAEセンサ素子構造を備えているAEセンサ用音片アレイ、また、かかるAEセンサ用音片アレイを備えているAEセンサも本発明の範囲内である。これらのことは、本発明AEセンサ素子構造が後述する非順配列型であるか否かに関わらない。
【0032】
<非順配列型AEセンサ素子構造等について>
以下では、カンチレバー間に厚み方向の溝を有するという本発明の基本構成を備えた、カンチレバーの配列に特徴を有する非順配列型のAEセンサ素子構造等について説明する。なお、説明に用いる図も含めて溝についての説明は省略するが、いずれの発明においても既に説明した溝を基本構成として備えていることは言うまでもない。
【0033】
図7は、非順配列型の本発明AEセンサ素子構造の基本的構成を特許文献1発明のそれと対比して示す模式的な説明図である。図示するように本発明のAEセンサ素子構造10は、三以上のカンチレバー1、2、3、・・・が並べられて一体となっているAEセンサ用音片アレイ配列の構造であって、下記<T1> ~ <T5>の定義下、下式に示す条件を満たすことを主たる構成とする。なお、図ではカンチレバー数は4本であるが、これは例示であり、本発明がこれに限定されるものではない。
図13-2までの各図を用いる説明においても同様である。
【0034】
実際最小値MD > 順配列時最小置Md ・・・(式1)
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
<T2> 該順配列時における各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を仮想し、これを「順配列時隣接周波数差」da、db、・・・とする。
<T3> 実際の配列Rにおける各隣接カンチレバー間の共振周波数の差を「実際隣接周波数差」Da、Db、・・・とする。
<T4> 該順配列時隣接周波数差da等の中の最小値を「順配列時最小値」Mdとする。
<T5> 該実際隣接周波数差Da等の中の最小値を「実際最小値」MDとする。
【0035】
なお、上記特徴を有する以外は、上述した特許文献1発明と基本的に構成を共通とする。すなわち、本発明のAEセンサ用音片アレイ構造10は、ベース9に複数の音片(カンチレバー)1、2、3、・・・を備えてなり、音片1等はそれぞれ異なる共振周波数を持ち、これらの共振周波数が一度に出力され得る。本AEセンサ用音片アレイ構造10は、圧電、静電、歪み抵抗など電気的に出力可能な検出構造である。なお、設けられる音片1等の数は、図示する例には限定されず、用途・用法・所望の精度などによって適宜の数とすることができる。
【0036】
また、本AEセンサ用音片アレイ構造10は、マイクロマシン技術によって圧電材料、静電材料等である単結晶基板上に形成することができる。特に圧電材料を好適に用いることができる。各カンチレバー1等には電極が形成され、電極により共振周波数出力が電気的に検出される。また、電極は対向2面以上に設けられるが各カンチレバー1等の4面に設ける構成とすることがより望ましい。その方が、カンチレバー1等の振動をより高精度に検知でき、本発明の目的により合致し、本発明の効果をより高度に得られるからである。また、それぞれの電極から出力される信号は分離可能であるため、AEセンサとしては、1出力型でありながら複数の共振周波数を一度に出力するという従来にない形態である。
【0037】
かかる構成の本発明AEセンサ用音片アレイ構造10では、単結晶材料である基板上に複数の片もち梁状のカンチレバー1等が、同一ベース9から伸びるように配置され、それぞれのカンチレバー1等が異なる共振周波数を持ち、当該共振周波数は一定規則の間隔を持つように形状が設計されているものとすることができる。つまり、複数の共振周波数が離散的に各カンチレバー1等に配置されている構造である。
【0038】
そして、本発明の特徴的構成である、
実際最小値MD > 順配列時最小置Md
を満たすことにより本発明では、カンチレバーZ1、Z2、・・・を長さ順に配列する上記特許文献1発明のAEセンサ用音片アレイ構造Z10よりも、カンチレバー1、2、・・・等を隣接するカンチレバー間の共振周波数差がより大きくなるような配列順とすることができる。それによって、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。このことについては、追って
図1-2等を用いてもさらに説明する。
【0039】
本図では、特許文献1発明AEセンサ用音片アレイ構造Z10のカンチレバーの長さ順配列Z1-Z2-Z3-Z4 における隣接周波数の最小値(順配列時最小値)よりも、本発明AEセンサ素子構造10のカンチレバー配列の長さ順配列1-2-3-4 における隣接周波数の最小値(実際最小値)の方が大きくなっており、それによって、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。 本図では、本発明AEセンサ素子構造10の配列は、特許文献1発明AEセンサ素子構造Z10のカンチレバー配列がZ3-Z1-Z4-Z2 に変更されて、カンチレバー1-2-3-4 となっている形である。
【0040】
なお、図中において左に示した特許文献1発明の構成は「従来」と表示し、右に示した本発明の構成に係る表示中の「(旧CH-)」は、特許文献1発明構成における配置位置を示す。また、特許文献1発明、本発明のいずれにおいても、音片アレイ配列における各カンチレバーの位置は、左から順にチャンネル1(CH1)、チャンネル2(CH2)、・・・と表示し、隣接周波数差を考える場合の隣接カンチレバー(隣接チャンネル、隣接CH)は、CH1-CH2、・・・のように表示する(以降の各図、各表においても同様である)。
【0041】
カンチレバーの長さと共振周波数の相関について、説明する。下式(2)に示す通り、カンチレバーの断面積、断面形状が同一である限り、カンチレバー間の共振周波数の大きさはカンチレバーの長さLの二乗に反比例する。なお、fn:n次の共振周波数、 E:縦弾性係数、 I:断面二次モーメント、 A:断面積、 L:カンチレバーの長さ、 ρ:密度、 kn:境界条件のλ(境界条件で決まる係数) である。
【0042】
【0043】
各カンチレバーの断面積を変えることに基づいて、本発明所期の課題を解決するための共振周波数の配列を構成することも、本発明からは除外されない。しかしながら、製造工程、使用態様、いずれの観点からも、各カンチレバーの断面積・断面形状は同一として、その長さを変えることに基づいて共振周波数の配列を構成する方が望ましい。したがって以下は、各カンチレバーの長さを変えることによる構成を前提として説明する。すなわち、かかる構成においては、順配列pRにおける共振周波数高低順と、カンチレバーの長短順が逆である。
【0044】
図7-2は、
図7に示す基本的構成における配列の特徴を示すための説明図である。また表2は、当該配列の特徴である周波数差を示す表である。隣接周波数差は、特許文献1発明での相隣接する二つのカンチレバー間(CH間)における共振周波数を用いて、左から順にa、b、c、・・・と定義する(以降の各図による説明においても同様である)。したがって、本図等の中では、
a:特許文献1発明に係るカンチレバーp1-p2間の隣接周波数差、
b:特許文献1発明に係るカンチレバーp2-p3間の隣接周波数差、
c:特許文献1発明に係るカンチレバーp3-p4間の隣接周波数差
である(以降の各図表においても同様とする)。
【0045】
【0046】
図等に示すように、特許文献1発明AEセンサ素子構造p10における隣接周波数差を左から順に、a、b、c とした場合、本AEセンサ素子構造10における隣接周波数差は、左から順に、a+b、a+b+c、b+c となる。そうすると、実際最小値MDがa+b、a+b+c、b+cのいずれの場合であっても、なおかつ順配列時最小置Mdがa、b、cのいずれをとる場合であっても、常に、MD>Md が成立する。
【0047】
つまり、
a<b<c の場合は、Md=a、MD=a+b、
a<c<b の場合は、Md=a、MD=a+c、
b<a<c の場合は、Md=b、MD=a+b、
b<c<a の場合は、Md=b、MD=b+c、
c<a<b の場合は、Md=c、MD=a+c、
c<b<a の場合は、Md=c、MD=b+c、
であり、常に、MD>Md が成立する。
【0048】
このように、実際最小値MD > 順配列時最小置Md の条件を満たす音片アレイ配列を有する本AEセンサ素子構造10は、カンチレバーp1、p2、・・・を長さ順に配列する特許文献1発明のAEセンサ用音片アレイ構造p10よりも、カンチレバー1、2、・・・等を隣接するカンチレバー間の共振周波数差がより大きくなるような配列順とすることができる。それによって、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。
【0049】
図8は、本発明AEセンサ素子構造の別の構成(その1)における配列の特徴を特許文献1発明のそれと対比して示す模式的な説明図である。また表3は、当該配列の特徴である周波数差を示す表である。上述の<T1> ~<T5>に加えて下記<T6>、<T7>の定義下、
実際総和SD > 順配列時総和Sd ・・・(式3)
を満たすことにより、本AEセンサ用音片アレイ構造210では、カンチレバーp1、p2、・・・を長さ順に配列する上記特許文献1発明のAEセンサ用音片アレイ構造p10よりも、カンチレバー21、22、・・・等を隣接するカンチレバー間の共振周波数差がより大きくなるような配列順とすることができる。それによって、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。
<T6> 前記順配列時隣接周波数差da等の総和を「順配列時総和」Sdとする。
<T7> 前記実際隣接周波数差Da等の総和を「実際総和」SDとする。
【0050】
【0051】
表3に示すように本例のAEセンサ素子構造210は、実際総和SD=2a+3b+2c であり、これは、順配列時総和Sd=a+b+c よりも大きい。つまり、隣接周波数差Da、Db、・・・の総和SDが、順配列時の総和Sdよりも大きい配列構成とすることにより、カンチレバー21、22、・・・等を隣接するカンチレバー間の共振周波数差がより大きくなるような配列順とすることができ、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。なお、本AEセンサ素子構造210は、ここに述べた(式3)SD>Sd の条件の他に、上述した(式2)MD>Md の条件をも満たすように構成された配列構造としてもよい。
【0052】
図9は、本発明AEセンサ素子構造の別の構成(その2)における配列の特徴を特許文献1発明のそれと対比して示す模式的な説明図である。また表4は、当該配列の特徴である周波数差を示す表である。上述の<T1> ~<T7>に加えて下記<T8>、<T9>の定義下、
Dn > dn ・・・(式4)
を満たすことにより、本AEセンサ用音片アレイ構造310では、カンチレバーp1、p2、・・・を長さ順に配列する上記特許文献1発明のAEセンサ用音片アレイ構造p10よりも、カンチレバー31、32、・・・等を隣接するカンチレバー間の共振周波数差がより大きくなるような配列順とすることができる。それによって、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。
<T8> 前記順配列時隣接周波数差da、db、・・・、および前記実際隣接周波数差Da、Db、・・・は、いずれも共振周波数数値の降順であるか、または、いずれも共振周波数数値の昇順である。
<T9> 対応する(同一順位である)該順配列時隣接周波数差、該実際隣接周波数差を、それぞれdn、Dnとする。
【0053】
【0054】
表4に示すように、順配列時隣接周波数差dnと実際隣接周波数差Dnを比較すると、CH1-CH2間ではa<a+b、CH2-CH3間ではb<a+b+c、CH3-CH4間ではc<b+c、であって、常にdn<Dnが成り立っている。つまり、任意の実際隣接周波数差Dnが常に、対応する(同一順位である)順配列時隣接周波数差Dnよりも大きい配列構成とすることにより、カンチレバー31、32、・・・等を隣接するカンチレバー間の共振周波数差がより大きくなるような配列順とすることができ、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。
【0055】
なお、本AEセンサ素子構造310は、ここに述べた(式4)Dn>dn の条件を満足することが必要十分な構成の配列構造ではあるが、この条件を満足する場合には必ず、上記(式2)MD>Md、(式3)SD>Sd の各条件をも満足することになる。
【0056】
図10は、本発明AEセンサ素子構造の別の構成(その3)における配列の特徴を特許文献1発明のそれと対比して示す模式的な説明図である。図示するように本発明のAEセンサ素子構造410は、三以上のカンチレバー41、42、43、・・・が並べられて一体となっているAEセンサ用音片アレイ配列の構造であって、下記<T1>の定義下、隣接するカンチレバー41-42間等において、順配列pRとは逆順Rv(順配列pRが降順であれば昇順、昇順であれば降順)になる箇所が一箇所以上あることを、主たる構成とする。
<T1> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を仮想し、これを「順配列」pRとする。
【0057】
図10では、特許文献1発明AEセンサ素子構造p10は当然ながら全般において正順Fw(ここでは降順が正順Fw、昇順が逆順Rv)の構成であるが、一方、本発明AEセンサ素子構造410では、CH1-CH2間において逆順Rv、CH2-CH3間において正順Fw、そしてCH3-CH4間において再び逆順Rvの構成である。カンチレバーp1、p2、・・・等を、それらの長さを変えずに配列が変更される場合、途中に一以上の逆順Rvを設けることによって、上記(式3)に示した実際総和SDは順配列時総和Sdよりも大きくなることは、容易に把握できる。
【0058】
かかる条件を満たすことにより、本AEセンサ用音片アレイ構造410では、カンチレバーp1、p2、・・・を長さ順に配列する上記特許文献1発明のAEセンサ用音片アレイ構造p10よりも、カンチレバー41、42、・・・等を隣接するカンチレバー間の共振周波数差がより大きくなるような配列順とすることができる。それによって、隣接するカンチレバー間における振動干渉が抑制される。
【0059】
なお、本AEセンサ素子構造410は、ここに示した逆順具有という条件を満足することが必要十分な構成の配列構造ではあるが、上記(式1)、(式2)、(式3)の少なくともいずれかの条件をも具備する構成であってもよい。つまり、(式1)~(式3)のいずれか、(式1)+(式2)、(式1)+(式3)、(式2)+(式3)、(式1)~(式3)の全て、のいずれかが上記逆順具有条件に付加された構成も、本発明の範囲内である。
【0060】
上述したいずれかの本発明AEセンサ用音片アレイ構造を構成するための材料としては特に、圧電材料、または圧電材料を含むものを用いることしてもよい。圧電材料としては従来PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)が主として用いられており、本願発明においてもこれを材料とすることが排除はされないが、本願発明は特にニオブ酸リチウム(LN)の使用を主に想定して構成されているため、以下の説明ではLN製である音片アレイ構造を前提とする。
【0061】
なお、以上説明したいずれかのAEセンサ素子構造を備えているAEセンサ用音片アレイ、またかかるAEセンサ用音片アレイを備えているAEセンサ、加えて、擬似的なリアルタイムFFT(高速フーリエ変換)が可能なAEセンサも、本発明の範囲内である。さらに、以上説明したいずれかのAEセンサ用音片アレイ構造製造方法を含むAEセンサ製造方法もまた、本発明の範囲内である。
【0062】
次に、本発明音片アレイ配列構成方法について説明する。
本発明音片アレイ配列構成方法は、上述のいずれかに記載のAEセンサ素子構造に係る音片アレイ配列を構成する方法であって、下記<T1’>の規定下、順配列pRを2グループまたは3グループ以上にグループ分けし、各グループから順に音片アレイを選択して並べることにより行う音片アレイ配列構成方法である。なおかかるフローは、電子計算機により実行されるプログラムの形態をとることによって、簡易、効率的、かつ高速なルーチンとすることができるため、かかる構成が推奨される。
<T1’> 全てのカンチレバーをその共振周波数の高低順に並べてなる配列を規定し、これを「順配列」pRとする。
【0063】
すなわち、順配列pRを任意の方式によって複数のグループに分割し、各グループから順にカンチレバーを取出して、それを並べることにより、順配列pRを崩し、上述した(式1)~(式3)の条件や逆順具有条件の少なくともいずれかに該当する構成を得るのが、本方法の考え方である。なお、かかる本音片アレイ配列構成方法では、グループ分けは、順配列pRの降順または昇順に従って行うものとすることができる。以下、具体的な例をもって説明する。
【0064】
図11は、本発明に係る音片アレイ配列構成方法例を示すフロー図である。図示するように本例フローでは、初期状態=カンチレバーの長さ順配列を前提とし、これに対して配列変更の各手順を施していく。まず、使用カンチレバー総数(CH数)が偶数であるか奇数であるかを判別し、CH数が偶数の場合は、全体を2グループに分ける(グループ化)し、各グループに含まれる要素(個別のカンチレバー)を交互に取り出して順に配列化することで音片アレイ配列構成方法とする。本フローにより処理することで順配列pRが崩され、上述した(式1)~(式3)の条件や逆順具有条件の少なくともいずれかに該当する配列構成とし得る。
【0065】
一方、CH数が奇数の場合は、それが5本以下であるか7本以上であるかによって異なる処理フローとする。CH数が5本以下の場合は、まず中央のCHすなわちCHNを固定し、3グループにグループ化する。そして、各グループに含まれる要素(個別のカンチレバー)を交互に取り出して順に配列化することで音片アレイ配列構成方法とする。中央のCHであるCHNを含むグループは、CHN-1であるCH(順配列pRにおいてCHNに隣接する長い方のカンチレバー)、およびCHN+1であるCH(順配列pRにおいてCHNに隣接する短い方のカンチレバー)から構成されることとし、残る2グループは、CHNを含むグループよりも長いカンチレバーのグループ、および短いカンチレバーのグループとする。
【0066】
本フローにより処理することで順配列pRが崩され、上述した(式1)~(式3)の条件や逆順具有条件の少なくともいずれかに該当する配列構成とし得る。なお、CH数が3である場合、各カンチレバーが即各グループであり、この場合の配列は、CHN(CH2)-CH1-CH3 となる。CH数が5の場合の詳細については、
図7により後述する。
【0067】
CH数が7本以上の場合も同様に、まず中央のCHすなわちCHNを固定し、3グループにグループ化する。そして、各グループに含まれる要素(個別のカンチレバー)を交互に取り出して順に配列化することで音片アレイ配列構成方法とする。しかし、CH数7本以上の場合は5本以下の場合と異なるグループ化方法をとる。
【0068】
すなわち、中央のCHであるCHNを含むグループは、CHN-2、CHN-4、・・・、およびCHN+2、CHN+4、・・・のように、CHNから長短両方向に向かってそれぞれ一つ置きのCH(カンチレバー)を選択してグループの要素とする。そして残る2グループは、CHNよりも長いカンチレバーであって残っているCHのグループ、および短いカンチレバーであって残っているCHのグループとする。本フローにより処理することで順配列pRが崩され、上述した(式1)~(式3)の条件や逆順具有条件の少なくともいずれかに該当する配列構成とし得る。
【0069】
図12は、CH数が偶数の場合の本発明音片アレイ配列構成方法例を示す説明図である。図では、CH数4(カンチレバー数4脚)とCH数6(同6脚)の例を示す。いずれの例でも、順配列pRを中央で分割して2グループ化する。そして、より長い方をグループA(Gr.A)、短い方をグループB(Gr.B)とし、各グループから交互に要素(CH)を取り出して配列を形成する。この場合、Gr.A、Gr.Bのいずれを左端にしてもよい。また、本方法によれば、各グループGr.A、Gr.B間には、図中破線矢印で示すように、グループとしての周波数差が形成されるような配置となる。このように、本方法によって良好な所期の配列構成を得ることができる。
【0070】
図13は、CH数が奇数(5以下)の場合の本発明音片アレイ配列構成方法例を示す説明図である。図では、CH数5(カンチレバー数5脚)の例を示す。図示するように中央のCHであるCHNすなわちCH3を含むグループA(Gr.A)は、CHN-1であるCHつまり旧CH1(順配列pRにおけるカンチレバーCH1)、およびCHN+1であるCHつまり旧CH5(順配列pRにおけるカンチレバーCH5)、合計3本のカンチレバーから構成され、残る2グループは、CHNを含むグループよりも長いカンチレバーである旧CH2(順配列pRにおけるカンチレバーCH2)のみからなるグループB(Gr.B)、および短いカンチレバーである旧CH4(順配列pRにおけるカンチレバーCH4)のみからなるグループ(Gr.C)とする。
【0071】
そして、各グループGr.A、Gr.B、Gr.Cから交互に一つずつ要素(カンチレバー)を取り出して配列するが、左端はGr.Aの要素から始めることが望ましい。各グループGr.A、B、Cの要素数はそれぞれ3、1、1であり、要素数の多いGr.Aから要素選択をしていくことで、グループA-Aが連続して配置されることを防止でき、本発明の目的上好ましいからである。本フローにより処理することで順配列pRが崩され、上述した(式1)~(式3)の条件や逆順具有条件の少なくともいずれかに該当する配列構成とし得る。なおまた、本方法でも、各グループGr.A、Gr.B、Gr.C相互の間には、図中実線矢印で示すように、グループとしての周波数差が形成されるような配置となる。このように、本方法によって良好な所期の配列構成を得ることができる。
【0072】
図13-2は、CH数が奇数(7以上)の場合の本発明音片アレイ配列構成方法例を示す説明図である。図では、CH数7(カンチレバー数7脚)の例を示す。図示するように中央のCHであるCHNすなわちCH4を含むグループA(Gr.A)は、CHN-2であるCHつまり旧CH2(順配列pRにおけるカンチレバーCH2)、およびCHN+2であるCHつまり旧CH6(順配列pRにおけるカンチレバーCH6)、合計3本のカンチレバーから構成され、残る2グループは、CHNを含むグループよりも長いカンチレバーである旧CH1ならびに旧CH3(順配列pRにおけるカンチレバーCH1、CH3)からなるグループB(Gr.B)、および短いカンチレバーである旧CH4ならびに旧CH6(順配列pRにおけるカンチレバーCH4、CH6)からなるグループC(Gr.C)とする。
【0073】
そして、各グループGr.A、Gr.B、Gr.Cから交互に一つずつ要素(カンチレバー)を取り出して配列するが、
図7により説明したCH数が5以下の場合と違い、左端をGr.Aから取り出すことを必ずしも推奨しない。各グループGr.A、B、Cの要素数はそれぞれ3、2、2と複数であり、あえてGr.Aから要素選択をしなくても、同一グループが連続して配置されることを防止できるからである。図では、Gr.Bから左端のカンチレバーを選択している。本フローにより処理することで順配列pRが崩され、上述した(式1)~(式3)の条件や逆順具有条件の少なくともいずれかに該当する配列構成とし得る。なおまた、本方法でも、各グループGr.A、Gr.B、Gr.C相互の間には、図中実線矢印で示すように、グループとしての周波数差が形成されるような配置となる。このように、本方法によって良好な所期の配列構成を得ることができる。
【0074】
なお、
図11~13-2を用いて説明した方法は本音片アレイ配列構成方法の一例であり、本発明がこれらに限定されるものではない。要するに、順配列pRを、任意の方式によって複数のグループに分割し、各グループから順にカンチレバーを取出して、それを並べることにより、順配列pRを崩し、上述した(式1)~(式3)の条件や逆順具有条件の少なくともいずれかに該当する構成を得られる方法である限り、本発明の範囲内である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明のAEセンサ素子構造、AEセンサ用音片アレイ、およびAEセンサによれば、複数のカンチレバーがアレイ状に配置され、かつ一体成形されたAEセンサ素子において、カンチレバー間に溝を形成することにより、隣接するカンチレバーの不要振動の伝播を抑制することができる。したがって、AEセンサ製造・使用分野、および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0076】
A…センサ素子材料
B09、B49、B59…ベース
C01、C02、C03、C04、C21、C22、C23、C24、C41、C42、C43、C44、C51、C52、C53、C54、C61,C62、C63、C64、C81、C82、C83、C84…カンチレバー(音片)
E010、E210、E410、E510、E610、E810…AEセンサ素子構造
F01、F02、F03、F21、F22、F23、F41、F42、F43、F51、F52、F53、F61、F62、F63…溝
F0…溝予定箇所
G…加工手段(ブレード)
【0077】
1、2、3、4、21、22、23、24、31、32、33、34、41、42、43、44…カンチレバー(音片)
9、29、39、49…ベース
10、210、310、410…AEセンサ素子構造
Fw…正順
Rv…逆順
(以下は特許文献1発明に係る符号)
Y1…基板
Y2…複数のカンチレバー(音片)
Y3、Z9、p9…ベース
Y10、Z10、p10…AEセンサ素子構造
Z1、Z2、Z3、Z4、p1、p2、p3、p4…カンチレバー(音片)