(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】レール変位測定装置及びレール変位測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20240920BHJP
E01B 35/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01B11/24 K
E01B35/00
(21)【出願番号】P 2021100317
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000101101
【氏名又は名称】アクト電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】坪川 洋友
(72)【発明者】
【氏名】石川 智行
(72)【発明者】
【氏名】塩野 幸策
(72)【発明者】
【氏名】土屋 博
(72)【発明者】
【氏名】上野 洋
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-136352(JP,A)
【文献】特開2009-198342(JP,A)
【文献】特開平05-045131(JP,A)
【文献】特開2001-227924(JP,A)
【文献】特開2020-172230(JP,A)
【文献】特開平07-208947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00
E01B 27/00-37/00
B61L 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道軌道のレールの断面を含む測定領域内において前記レールの表面形状に関する2次元データを当該レールの長手方向に離散した複数箇所で取得する2次元データ測定器と、
前記測定領域において
取得された2次元データの一部に測定レール判別領域を設定する判別領域設定部と、
前記測定レール判別領域の内部に含まれる前記2次元データに基づいて、前記レールに設定された所定の測定点の位置を検出する測定点位置検出部と
を備えるレール変位測定装置であって、
前記判別領域設定部は、前記
2次元データ内における前記測定レール判別領域の位置を、前記測定点位置検出部が検出した前記測定点の位置に応じて補正する
ものであり、
前記2次元データに基づいて、前記レールの頭部の頭頂面部と側面部との接続部に設けられる斜面部を検出することにより、分岐器のトングレールを判別するトングレール判別部を備えること
を特徴とするレール変位測定装置。
【請求項2】
鉄道軌道のレールの断面を含む測定領域内において前記レールの表面形状に関する2次元データを当該レールの長手方向に離散した複数箇所で取得する2次元データ測定器と、
前記測定領域において
取得された2次元データの一部に測定レール判別領域を設定する判別領域設定部と、
前記測定レール判別領域の内部に含まれる前記2次元データに基づいて、前記レールに設定された所定の測定点の位置を検出する測定点位置検出部と
を備えるレール変位測定装置であって、
前記判別領域設定部は、前記
2次元データ内における前記測定レール判別領域の位置を、前記測定点位置検出部が検出した
、前記レールの長手方向に離散した複数箇所のうちの直前の検出箇所において検出した前記測定点の位置に応じて補正すること
を特徴とするレール変位測定装置。
【請求項3】
前記判別領域設定部は、前記測定点位置検出部が検出した前記測定点の位置の前記測定領域内における変化に追従するよう前記測定レール判別領域の位置を補正すること
を特徴とする請求項1又は2に記載のレール変位測定装置。
【請求項4】
前記レールの前記測定点は、前記レールの頭部の頭頂面と側面との少なくとも一方に設定されること
を特徴とする請求項1
、2又は3に記載のレール変位測定装置。
【請求項5】
前記2次元データ測定器は、前記レールに測定光を照射するとともに前記レールからの反射光を検出する光学式センサを有し、
前記測定点位置検出部は、前記光学式センサが検出した反射光に基づいて生成される2次元データにおける画素値のヒストグラムに基づいて前記測定点の位置を検出すること
を特徴とする請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載のレール変位測定装置。
【請求項6】
鉄道軌道のレールの断面を含む測定領域内において前記レールの表面形状に関する2次元データを当該レールの長手方向に離散した複数箇所で取得し、
前記測定領域
において取得された2次元データの一部に測定レール判別領域を設定し、
前記測定レール判別領域の内部に含まれる前記2次元データに基づいて、前記レールに設定された所定の測定点の位置を検出する
レール変位測定方法であって、
前記
2次元データ内における前記測定レール判別領域の位置を、
前記レールの長手方向に離散した複数箇所のうちの直前の検出箇所において検出された前記測定点の位置に応じて補正すること
を特徴とするレール変位測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道用軌道のレール変位測定装置及びレール変位測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道事業者は、車両が安全に走行できる軌道状態であることを確認するために、軌道検測車等の各種機材を用いて、軌道の形状である軌道変位(軌道狂い)の測定(軌道検測)を行っている。
測定対象となる軌道変位として、例えば、高低変位、通り変位、軌間変位、平面性変位、水準変位などがある。
高低変位とは、レール頭頂面の長さ方向の凹凸をいう。
通り変位とは、レール側面の長さ方向の凹凸をいう。
軌間変位とは、軌間(左右レール間隔)の基本寸法に対する変位をいう。
平面性変位とは、軌道面の平面に対するねじれの状態を示すものである。
水準変位とは、左右レールの高さの差をいい、曲線区間においてカントが設定されている場合には、正規のカント量に対する増減量をいう。
【0003】
軌道検測に関する従来技術として、例えば特許文献1には、測定対象のレールに沿って移動可能な車輪を備えた台車に、レールの所定箇所の形状を測定するための非接触式の測定器と、測定器を制御して測定値を取得するデータ取得手段とを備え、測定対象のレールの頭頂面及びレール内側の車輪による摩耗が生じない2箇所を測定することが記載されている。
特許文献2には、メンテナンス性を向上しかつ測定エラーを抑制するため、レールにスリット状の光を照射してレールの表面を撮像し、画像データからレールの変位を測定する装置において、予め設定した基準位置および基準姿勢に対する装置の相対的な位置、及び、姿勢を検出し、検出された位置、姿勢に基づいてレールの変位データを補正することが記載されている。
特許文献3には、2次元センサを用いて取得した軌道のプロファイルデータの欠落や、擬似データに基づいて、2次元センサの前面に設けられているガラス面の状態を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-101392号公報
【文献】特開2013-136352号公報
【文献】特開2014-199208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軌道変位の測定に関して、近年、測定範囲内にある物体の形状を画像(2次元データ)として取得することができるレーザスキャナや、2次元センサ等を活用することが提案されている。
しかし、このような2次元データに基づいてレール変位を測定しようとした場合、取得した2次元データから、測定すべきレールを判別し、さらにレールに設定される所定の測定点の検出を適切に行うことが困難であった。
例えば、分岐器や曲線区間では、測定対象のレール(車輪が乗るレール)と隣接してガードレールやウイングレールなどの脱線防止用の他のレールが配置される場合があり、このような場合に、測定精度に影響が発生したり、測定対象のレールを判別できず、誤って他のレール等を測定してしまうことが懸念される。
また、測定対象のレールに添付される継目板などの他部品が存在する場合や、測定対象のレールに近接して草などの異物が存在する場合、降雨や日光などの外乱がある場合などにも、レール変位の測定に影響が出ることが懸念される。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、測定対象となるレールの周辺に異物又は外乱が存在する場合であっても適切にレール変位を測定可能なレール変位測定装置及びレール変位測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様に係るレール変位測定装置は、鉄道軌道のレールの断面を含む測定領域内において前記レールの表面形状に関する2次元データを当該レールの長手方向に離散した複数箇所で取得する2次元データ測定器と、前記測定領域の一部に測定レール判別領域を設定する判別領域設定部と、前記測定レール判別領域の内部に含まれる前記2次元データに基づいて、前記レールに設定された所定の測定点の位置を検出する測定点位置検出部とを備えるレール変位測定装置であって、前記判別領域設定部は、前記測定領域内における前記測定レール判別領域の位置を、前記測定点位置検出部が検出した前記測定点の位置に応じて補正することを特徴とする。
これによれば、例えばガードレール等の測定対象物以外の物体が測定レール判別領域に入り込み難いよう、測定レール判別領域を比較的小さく設定した場合であっても、測定レール判別領域が測定点の変位に応じて測定領域内で変位することによって、測定点の判別に支障が生ずることを防止できる。
このため、測定対象となるレールの周辺に異物等が存在する場合であっても適切にレール変位を測定することができる。
【0007】
本発明において、前記判別領域設定部は、前記測定点位置検出部が検出した前記測定点の位置の前記測定領域内における変化に追従するよう前記測定レール判別領域の位置を補正する構成とすることができる。
これによれば、上述した効果を適切に得ることができる。
【0008】
本発明において、前記レールの前記測定点は、前記レールの頭部の頭頂面と側面との少なくとも一方に設定される構成とすることができる。
これによれば、レール頭部の頭頂面の高さ変位と、レール頭部の側面のまくらぎ方向変位との少なくとも一方を適切に測定することができる。
【0009】
本発明において、前記2次元データ測定器は、前記レールに測定光を照射するとともに前記レールからの反射光を検出する光学式センサを有し、前記測定点位置検出部は、前記光学式センサが検出した反射光に基づいて生成される2次元データにおける画素値のヒストグラムに基づいて前記測定点の位置を検出する構成とすることができる。
これによれば、比較的容易な処理により、測定点の位置を正確に検出することができる。
ここで、2次元データの画素値とは、2次元データを構成する各画素固有の輝度値を示すものとする。この輝度値は、例えば所定の閾値を用いて2値化した値や、ノイズ抑制のための例えばメディアンフィルタなどの各種フィルタ処理など、各種加工処理を施した値とする構成とすることができる。
【0010】
本発明において、前記2次元データに基づいて、前記レールの頭部の頭頂面部と側面部との接続部に設けられる斜面部を検出することにより、分岐器のトングレールを判別するトングレール判別部を備える構成とすることができる。
これによれば、レール変位測定に用いる2次元データから、分岐器のトングレールの位置、さらに分岐器自体の位置を正確に把握することが可能となり、分岐器を含む線区の軌道検測時におけるデータ処理を容易化することができる。
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様に係るレール変位測定方法は、鉄道軌道のレールの断面を含む測定領域内において前記レールの表面形状に関する2次元データを当該レールの長手方向に離散した複数箇所で取得し、前記測定領域の一部に測定レール判別領域を設定し、前記測定レール判別領域の内部に含まれる前記2次元データに基づいて、前記レールに設定された所定の測定点の位置を検出するレール変位測定方法であって、前記測定領域内における前記測定レール判別領域の位置を、検出された前記測定点の位置に応じて補正することを特徴とする。
本発明においても、上述したレール変位測定装置の効果と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、測定対象となるレールの周辺に異物又は外乱が存在する場合であっても適切にレール変位を測定可能なレール変位測定装置及びレール変位測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明を適用したレール変位測定装置の実施形態を有する軌道検測車の構成を模式的に示す図である。
【
図2】実施形態の軌道検測車に設けられるレール変位検出器の構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施形態のレール変位測定装置においてレールに設定される測定箇所を示す図である。
【
図4】実施形態のレール変位測定装置においてレール変位検出器が取得する2次元データの一例を模式的に示す図である。
【
図5】実施形態のレール変位測定装置におけるヒストグラムを用いた測定点位置の検出の概念を示す図である。
【
図6】実施形態のレール変位測定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態のレール変位測定装置における2次元データと測定レール判別用枠の設定の例を示す図である。
【
図8】実施形態のレール変位測定装置における測定レール判別用枠の位置補正を示す図である。
【
図9】鉄道軌道に設けられる分岐器の構成の一例を示す図である。
【
図10】実施形態のレール変位測定装置におけるトングレールの検出手法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用したレール変位測定装置及びレール変位測定方法の実施形態について説明する。
図1は、実施形態のレール変位測定装置を有する軌道検測車の構成を模式的に示す図である。
実施形態のレール変位測定装置は、実施形態のレール変位測定方法を実行するものである。
【0015】
軌道検測車1は、例えば、2軸のボギー台車を前後一対有する電車等の鉄道車両として構成されている。
軌道検測車1は、車体10、台車20、まくらばね30、高低用変換器40、通り用変換器50、レーザ基準装置60、レール変位検出器70、データ処理装置80等を備えている。
車体10は、床部を有する台枠の前後左右からそれぞれ妻構、側構を上方側へ立設し、上部に屋根構を設けた六面体状に形成されている。
車体10の内部には、乗員や各種機器類を収容する空間部である車室が設けられる。
【0016】
台車20は、車体10の下部に前後一対設けられた2軸ボギー台車である。
台車20は、台車枠21、輪軸22、軸箱23、釣合梁24等を有して構成されている。
台車枠21は、台車20の本体部を構成する部材であって、側部に設けられ前後方向に延在する左右一対の側梁の中央部を、まくらぎ方向に沿って延在する横梁で連結して構成されている。
台車枠21は、まくらばね30、及び、図示しない牽引装置等を介して車体10に取り付けられている。
台車枠21は、車体10に対して、上下並進方向、ロール方向、ピッチ方向、ボギー角付与方向等に相対変位可能となっている。
【0017】
輪軸22は、車軸の両端部を、左右一対の車輪に圧入固定して構成されている。
輪軸22は、台車枠21の前後に一対設けられる。
軸箱23は、輪軸22の車軸の両端部に形成されたジャーナル部を回転可能に支持する軸受や、潤滑装置、速度発電機などを備えている。
軸箱23は、図示しない軸箱支持装置を介して台車枠21に取り付けられる。
軸箱支持装置は、台車枠21に対して輪軸22が上下並進方向、ロール方向、ヨー方向(操舵方向)等に相対変位可能なよう、軸箱23が台車枠21に対して相対変位可能に支持する。
軸箱23と台車枠21との間には、図示しない軸ばね(1次ばね系)が設けられる。
軸ばねは、台車枠21に対する軸箱23の上下方向相対変位に応じた反力を発生する。
【0018】
釣合梁24は、各軸箱23に吊下げられるよう取り付けられ、前後方向に沿って延在する梁状の部材である。
釣合梁24は、レール変位検出器70が取り付けられる基部として機能する。
【0019】
まくらばね30は、車体10の下部と台車枠21の上部との間に設けられた例えば空気ばねなどのばね要素(2次ばね系)である。
まくらばね30は、車体10に対する台車枠21の上下方向相対変位に応じた反力を発生する。
まくらばね30の内部には、上下方向の伸縮に応じて空気が通過するオリフィスを有する減衰要素が設けられている。
【0020】
高低用変換器40は、車体10に対する軸箱23の上下方向変位を検出するものである。
高低用変換器40は、車体10の下部に取り付けられるとともに、変換器アームを介して軸箱23から突出したレバーに連結されている。
高低用変換器40は、軸箱23の車体10に対する上下方向変位に応じた変換器アームの揺動に応じた信号を出力する。
【0021】
通り用変換器50は、車体10に対する測定用車輪の左右方向(まくらぎ方向)変位を検出するものである。
通り用変換器50は、車体10の下部に取り付けられるとともに、変換器アームを介して測定用車輪の支持部から突出したレバーに連結されている。
通り用変換器50は、測定用車輪の車体10に対する左右方向変位に応じた変換器アームの揺動に応じた信号を出力する。
高低用変換器40、通り用変換器50は、接触式(機械式)の軌道検測装置を構成する。
【0022】
レーザ基準装置60は、レーザ光のビームによって、車体10の車室内に測定の基準線を形成するものである。
レーザ基準装置60は、レーザ出射部61、受光部62,63,64等を有して構成されている。
レーザ出射部61は、例えば、ガスレーザ等のレーザ発振器や、レーザ発振器が発生するレーザ光によってビームを形成する光学系などを備えている。
レーザ出射部61は、例えば、車体10の車室内における一方の端部側へ設けられ、車体10の前後方向に沿ったビーム65を反対側の妻構側へ出射する。
受光部62,63,64は、ビーム65の入射時に、ビーム65の光軸の位置を検出するものである。
受光部62,63,64は、車体10の車室内に、ビーム65の光軸方向に沿って順次配列されている。
【0023】
レール変位検出器70は、レーザ光を用いてレール頭部の断面の輪郭形状を示す線図を含む2次元データを取得する光学式の2次元データ測定器(2次元センサ)である。
レール変位検出器70は、釣合梁24の端部に取り付けられている。
図2は、レール変位検出器の構成を模式的に示す図である。
レール変位検出部70には、出射部71、受光部72が設けられている。
【0024】
出射部71は、測定用のレーザ光を出射する部分であって、光源71a、出射光学系71b等を備えている。
光源71aは、例えば、半導体レーザなどのレーザ発振器を備えている。
出射光学系71bは、光源71aから出たレーザ光を所定の形態のビーム(測定光)として、測定対象のレールRに向けて出射させるものである。
出射光学系71bは、例えば、シリンドリカルレンズ等の光学素子を組み合わせて構成されている。
出射光学系71bから出たレーザビームは、測定対象のレールRの頭頂面及び側面に照射される。
【0025】
受光部72は、出射部71がレールRを照射した反射光を検出し、レールRの変位を検出するものである。
受光部72は、カメラレンズ72a、CCD72b等を有する。
カメラレンズ72aは、レールRから入射されたレーザ光を、CCD72bの受光部へ結像させる光学系である。
CCD72bは、レーザ光の入射位置を検出する固体撮像素子である。CCD72bは、入射光の光量に応じた出力を発生する受光素子を、平面上において直交2軸方向にマトリクス状に配列して構成される。なお、このような固体撮像素子として、CCDに代えて、例えばCMOSなどの他種のものを用いてもよい。
CCD72bは、レールRへの照射光の反射光を検出することにより、レールRの長手方向と直交する断面の輪郭形状を、連続した座標信号を有する2次元の画像データとして取得する機能を有する。
CCD72bの出力はデータ処理装置80に伝達され、記録、処理が行われる。
【0026】
図3は、実施形態のレール変位測定装置においてレールに設定される測定箇所を示す図である。
レールRは、例えば、平底の普通レールであって、左右一対が所定の軌間離間した状態で平行に配置されている。
レールRは、頭部R1、腹部R2、底部R3等を有して構成されている。
頭部R1は、レールRの上部に設けられ、図示しない車輪と接するとともに、車輪の転動を案内する部分である。
腹部R2は、頭部R1の下部における幅方向中央部から、下方へ張り出して形成された平板状の部分である。
腹部R3は、レールRを図示しないまくらぎに取り付けるための基部となる部分である。
底部R3は、腹部R2の下端部から左右へ張り出して形成されている。
【0027】
一般的な軌道検測においては、上下方向変位の測定点Pvは、頭部R1の頭頂面の中央部に設定される。
また、左右方向変位の測定点Phは、頭部R1の側面部であって、上述した測定位置Pvから所定の距離hだけ低い位置に設定される。
hは、例えば、14~16mm程度に設定されることが一般的である。
【0028】
データ処理装置80は、各センサから伝達されるデータを記録し、所定の処理を施して出力する機能を有する。
データ処理装置80は、例えば、CPU等の情報処理装置、RAM、ROM、各種ディスクドライブ装置などの記憶装置、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバス等を有するコンピュータを用いることができる。
なお、レール変位に関するデータの処理を、車上に搭載されたデータ処理装置80によって行う構成に代えて、車上では各センサの出力データ(生データ)の記録のみを行い、その後のデータ処理は別途行うようにしてもよい。
データ処理装置80は、実施形態のレール変位測定方法を実行するとともに、実施形態のレール変位測定装置における判別領域設定部、測定点位置検出部、トングレール判別部としての機能を有する。
これらの機能については、後に詳しく説明する。
【0029】
図4は、実施形態のレール変位測定装置においてレール変位検出器が取得する2次元データの一例を模式的に示す図である。
2次元データは、レール変位検出器70の測定領域を示す測定可能枠F0の内部に、レールRの断面形状の輪郭に沿った線図である測定レール輪郭線
図DRを含んで構成される。
測定可能枠F0は、レール変位検出器70のハードウェア的な仕様等によって規定された測定領域の外縁に相当する。
2次元データは、例えば、水平方向(まくらぎ方向)に沿ったX軸、及び、鉛直方向に沿ったZ軸からなる直交2軸に沿って配列された複数の画素(ピクセル)群によって構成されている。各画素間の距離は、CCD72bの画素ピッチ、カメラレンズ72aの諸元(倍率等)、レール変位検出器70とレールRとの位置関係などから、実際のレール周辺部における距離(mm)に換算することが可能である。
2次元データを構成する各画素がそれぞれ有する輝度値は、CCDが各画素位置で検出した光の強度(例えば8ビット256段階の階調情報を有する)を、所定の閾値を用いて、所定の高輝度値及び低輝度値(例えば1,0)に2値化(1ビット化)したものである。
ここで、高輝度の画素位置(典型的には輝度0ではない画素位置)は、例えばレール(ガードレール、ウイングレール等の車輪が乗らないレールも含む)、継目板、草木類、雨滴などのレーザ光を反射する物体がある位置に相当すると考えられるが、これ以外にも、例えば太陽光の反射などによるノイズが含まれ得る。
【0030】
2次元データから測定点Pv,Phを検出する手法として、X座標毎、Z座標毎に、それぞれ2次元データに含まれる輝度値の分布を示すヒストグラムを生成し、当該X座標又はZ座標に含まれる輝度値の集計値が最大となる座標位置を求めて、レールRの頭部R1の側面のX座標、頭頂面のZ座標を求めることができる。
このような手法を用いる場合、例えばレールRの頭部R1以外の輪郭形状や、レールRの周囲に存在する例えばガードレール等の異物の影響を排除するため、頭部R1を含む一部の領域に、測定レール判別領域を示す測定レール判別用枠F1を設定し、上述したヒストグラムの生成は、測定レール判別用枠F1の内部でのみ行うようにしている。
すなわち、測定レール判別用枠F1の外側は、この処理に関してはマスクされた状態となっている。
【0031】
図5は、実施形態のレール変位測定装置におけるヒストグラムを用いた測定点位置の検出の概念を示す図である。
上述したように、2値化された2次元データにおいて、X軸に沿って測定レール判別用枠F1内の輝度値をX座標毎に集計したヒストグラムの輝度集計値(輝度が存在する画素数)が最大となるX座標から、レール頭部の側面のX座標が検出される。
また、2値化された2次元データにおいて、Z軸に沿って測定レール判別用枠F1内の輝度値をZ座標毎に集計したヒストグラムの輝度集計値が最大となるZ座標から、レール頭部の頭頂面のZ座標が検出される。
測定点PvのX座標は、レール頭部の側面のX座標、及び、既知のレール頭部幅に基づいて検出することができる。例えば、一般的な50kgNレールの場合には、レール側面の位置からX軸方向に32.5mm離れた位置となる。
測定点PhのZ座標は、レール頭頂面のZ座標、及び、上述した距離hに基づいて検出することができる。
【0032】
このようなレール変位の測定において、例えばガードレール等の異物等の影響(誤判別、誤検出)を排除するためには、測定レール判別用枠F1の範囲を、最低限レール頭部の輪郭形状を含む程度に小さく設定することが望ましい。
しかし、測定レール判別用枠F1を小さくした場合、レール変位検出器70に対してレールRが相対変位した場合に、レールRの頭部R1を示す線図が測定レール判別用枠F1から外れてしまい、測定不能となることが懸念される。
【0033】
そこで、本実施形態においては、以下説明するように、従前の測定で検出された測定点Pv,Phの変位に対して、測定レール判別用枠F1が追従(追尾)するように、測定可能枠F0内における測定レール判別用枠F1の位置を逐次補正している。
この点について、以下詳しく説明する。
以下、実施形態のレール変位測定装置の動作(実施形態のレール変位測定方法)について説明する。
図6は、実施形態のレール変位測定装置の動作を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
【0034】
<ステップS01:初期レール形状取得>
レール変位検出器70は、レール変位の測定対象となる区間の始点である測定開始点において、測定対象となるレールRの横断面の輪郭形状(初期レール形状)を含む2次元の画像データを取得する。
その後、ステップS02に進む。
【0035】
<ステップS02:測定レール判別用枠初期設定>
判別枠設定部としてのデータ処理装置80は、上述した測定開始点で取得した画像データに対して、通常レールの周辺に存在し得る物体等(例えば、踏切ガード、脱線防止ガード、分岐器内のリードガード等)との位置関係(フランジウェー幅等)を考慮して、測定レールの測定点Pv,Phが含まれるように、画像処理範囲の制限として測定レール判別用枠F1を初期設定する。
この初期設定は、例えば、オペレータが手動により行ってもよいが、画像処理によって測定点Pv,Phが判別可能である場合には、測定点Pv,Phが、測定レール判別用枠の中央部に設定された所定の範囲内に含まれるよう、自動的に設定してもよい。
測定レール判別用枠の初期設定が終了した後、ステップS03に進む。
【0036】
<ステップS03:測定レール判別用枠内でヒストグラム算出>
測定点位置検出部としてのデータ処理装置80は、ステップS02又はステップS06で設定された測定レール判別用枠F1内において、X軸(まくらぎ方向)、及び、Z軸(鉛直方向)について、それぞれ2値化された輝度値のヒストグラムを算出する。
その後、ステップS04に進む。
【0037】
<ステップS04:レール変位測定点位置検出>
測定点位置検出部としてのデータ処理装置80は、ステップS03において算出したヒストグラムに基づいて、レールの頭頂面のZ座標、及び、側面のX座標を検出する。
レールの頭頂面、側面が認識されると、上述した
図5に示すように、測定点Pv,Phを検出することができる。
測定点Pv,Phの検出後、ステップS05に進む。
【0038】
<ステップS05:レール変位測定終了判断>
データ処理装置80は、予め設定された測定対象区間のレール変位測定が終了したか否かを判別する。
レール変位測定が終了した場合は一連の処理を終了し、その他の場合はステップS06に進む。
【0039】
<ステップS06:測定レール判別用枠位置補正>
判別枠設定部は、ステップS04において直前に検出された測定点Pv,Phが、測定レール判別用枠F1の中央部に設定された所定の範囲内に位置するように、次回の測定点検出時に用いる測定レール判別用枠F1の位置を移動(補正)する。
その後、ステップS06に進む。
【0040】
<ステップS07:新規レール形状取得>
レール変位検出器は、直前に2次元データを取得した箇所から、レール長手方向に所定のサンプリング周期(一例として0.25m、あるいは、0.5mなど)だけ離間した箇所において、レール形状に関する2次元データを取得する。
その後、ステップS03に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0041】
図7は、実施形態のレール変位測定装置における2次元データと測定レール判別用枠の設定の例を示す図である。
図7(a)は、測定対象のレールRに隣接してガードレールが存在する場合を示している。
この場合、2次元データには、測定レール輪郭線
図DRに隣接して、ガードレールの断面の輪郭形状を示すガードレール輪郭線
図DGが含まれる。
図7(b)は、測定対象のレールRの側面に、継目板が存在する場合を示している。
この場合、2次元データ上の測定レール輪郭線
図DRにおけるレール頭部の直下には、継目板の断面の輪郭形状を示す継目板輪郭線
図DSが含まれる。
図7(c)は、測定対象のレールRに隣接して、例えば雑草などの異物などの外乱が存在する場合を示している。
この場合、2次元データには、測定レール輪郭線
図DRに隣接して、外乱により形成される外乱線
図DFが含まれる。
これらの場合に、例えば測定レール判別用枠F1の内側に測定レール輪郭線
図DR以外の各線図が含まれると、測定レールの判別に誤りが発生したり、ヒストグラムによるレール頭頂面、側面の検出が正常に行えなくなってしまう。
そこで、実施形態においては、これらの測定レール輪郭線
図DR以外の各線図が含まれないよう、測定レール判別用枠F1を十分に小さく設定している。
【0042】
図8は、実施形態のレール変位測定装置における測定レール判別用枠の位置補正を示す図である。
図8(a)は、測定開始時の初期状態を示し、
図8(b)、
図8(c)は、それぞれ測定開始時の位置からの軌道検測車1の走行距離が0.25m、1.5mのときの状態を示している。
図8に示す例においては、距離の増加に応じて、測定レール輪郭線
図DRが、測定可能枠F0に対して徐々に右側へ推移している。
また、
図8(b)、
図8(c)においては、測定レール輪郭線
図DRの左側に隣接して、ガードレール輪郭線
図DGが出現している。
【0043】
図8に示すような場合に、仮に測定レール判別用枠F1を大きく設定した場合には、
図8(b)、
図8(c)に示す状態になったときに、ガードレール輪郭線
図DGが測定レール判別用枠F1に含まれ、測定レールの判別ができなくなるなどしてヒストグラム算出時に影響を与えることが懸念される。
一方、測定レール判別用枠F1を小さくした場合であって、測定レール判別用枠F1が測定可能枠F0に対して固定されている場合には、
図8(b)、
図8(c)のように測定レール輪郭線
図DRが変位した場合に、測定レール輪郭線
図DRが測定レール判別用枠F1から外れて、測定点Pv,Phの位置検出が不可能となることが懸念される。
【0044】
この点、本実施形態によれば、測定レール用枠F1の位置を、直前に検出された測定点Pv,Phの位置に応じて補正することにより、測定レール判別用枠F1が測定レール輪郭線
図DRの変位に追従することになる。
これにより、測定レール判別用枠F1を、異物や外乱等の影響を受けない程度まで小さく設定しても、測定レール判別用枠F1から測定レール輪郭線
図DRのレール頭部の部分が外れることを防止し、適切にレール変位を測定することができる。
【0045】
また、実施形態のレール変位検出装置は、測定レール輪郭線
図DR、及び、測定点Pv,Phに基づいて、分岐器に設けられるトングレールを判別する機能を有する。
図9は、鉄道軌道に設けられる分岐器の構成の一例を示す図である。
図9に示す分岐器100は、例えば直進方向に設定された基準線と、基準線から左側に分岐する分岐線とを有する。
図9で左側となる前端(1線側)から順に、分岐器100は、ポイント部101、リード部102、クロッシング部103を有する。
ポイント部101は、左右一対のトングレールによって、車輪の進路を転換する部分である。
リード部102は、ポイント部101とクロッシング部103とを接続する部分である。
クロッシング部103は、基準線と分岐線とが交差する部分である。
【0046】
分岐器100は、右基本レール111、左基本レール112、右トングレール113、左トングレール114、右リードレール115、左リードレール116、ノーズレール117、右ウイングレール118、左ウイングレール119、右ガードレール120、左ガードレール121等を有する。
【0047】
右基本レール111は、分岐器100の前端から、後端における基準線側にかけて、前端側から進入する車両の右側の車輪を案内するものである。
右基本レール111は、例えば直線状に連続して延在している。
【0048】
左基本レール112は、分岐器100の前端から、後端における分岐線側にかけて、前端側から進入する車両の左側の車輪を案内するものである。
左基本レール112は、ポイント部101からリード部102へかけて、基準線側から左側へ分岐するよう曲線状に形成され、その他の領域では実質的に直線状となるよう連続して延在している。
【0049】
右トングレール113,左トングレール114は、前端側が左右に揺動することにより、車両の軌道(進路)を切り換える部分である。
右トングレール113,左トングレール114は、前端側のまくらぎ方向の厚さが薄くなるよう尖らせて形成されるとともに、その上面部には所定のトングレール頭頂面勾配が与えられている。
【0050】
右トングレール113は、列車が基準線側へ進行する際には、右基本レール111から離間するとともに、列車が分岐線側へ進行する際には、先端部が右基本レール111と密着するようになっている。
左トングレール114は、列車が基準線側へ進行する際には、先端部が左基本レール112と密着するとともに、列車が分岐線側へ進行する際には、先端部が左基本レール112から離間するようになっている。
【0051】
分岐器100においては、右トングレール113,左トングレール114の後端部は、それぞれ右リードレール115、左リードレール116と連続して一体に形成されている。
分岐器1は、右トングレール113,左トングレール114が、右リードレール115、左リードレール116との接続部のたわみを利用して先端側が揺動するいわゆる弾性分岐器として構成されている。
【0052】
ノーズレール117は、クロッシング部103に設けられ、基準線側の左側レールと分岐線側の右側レールとが交わる箇所に設けられている。
ノーズレール117は、先端側の端部が鋭角に尖って形成されている。
【0053】
右ウイングレール118は、基準線側に進行する場合に、左側の車輪が左リードレール116からノーズレール117に乗り移る際に、脱線を防止するよう車輪を誘導するものである。
右ウイングレール118は、ノーズレール117における基準線側の部分の軌道内側に、間隔を隔てて対向して配置されている。
右ウイングレール118は、右リードレール115の後端側の端部から連続して一体に形成されている。
【0054】
左ウイングレール119は、分岐線側に進行する場合に、右側の車輪が右リードレール115からノーズレール117に乗り移る際に、脱線を防止するよう車輪を誘導するものである。
左ウイングレール119は、ノーズレール117における分岐線側の部分の軌道内側に、間隔を隔てて対向して配置されている。
左ウイングレール119は、左リードレール116の後端側の端部から連続して一体に形成されている。
【0055】
右ガードレール120は、基準線側に進行する場合に、左側の車輪が分岐線側に進行することを防止するよう車輪を誘導するものである。
右ガードレール120は、クロッシング部103において、右基本レール111の軌道内側に間隔を隔てて対向して配置されている。
【0056】
左ガードレール121は、分岐線側に進行する場合に、右側の車輪が基準線側に進行することを防止するよう車輪を誘導するものである。
左ガードレール121は、リード部102からクロッシング部103にかけて、左基本レール112の軌道内側に間隔を隔てて対向して配置されている。
【0057】
実施形態では、測定レール輪郭線
図DRにおける上述した頭頂面勾配(トングレール傾斜)の検出に基づいて、トングレール(右トングレール113,左トングレール114)の存在を判別する。
図10は、実施形態のレール変位測定装置におけるトングレールの検出手法を示す図である。
直線L1は、レールRの頭部R1の側面部における上端部近傍の斜面に沿った延長線である。
直線L2は、測定点Phを通る鉛直線である。
直線L3は、測定点Pvを通る水平線である。
このとき、直線L1、L3の交点と、直線L2、L3の交点との距離d1が、予め設定された閾値(一例として3mm)よりも大きい場合に、トングレールの頭頂面勾配を検出したものと判別することができる。
このような判別処理は、例えば、車上のデータ処理装置80によって行ってもよく、また、車上で記録された測定データを用いて、別の場所で行ってもよい。
【0058】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)例えばガードレール等の測定対象物以外の物体や外乱が測定レール判別用枠F1に入り込み難いよう、測定レール判別用枠F1を比較的小さく設定した場合であっても、測定レール判別用枠F1が測定点Pv,Phの変位に応じて測定可能枠F0内で変位することによって、測定点Pv,Phの検出に支障が生ずることを防止できる。
このため、測定対象となるレールの周辺に異物等が存在する場合であっても適切に測定レールを判別し、測定レールのレール変位を測定することができる。
(2)測定レール判別用枠F1が測定点Pv,Phの変位に追従するよう測定レール判別用枠F1の位置を補正することにより、上述した効果を適切に得ることができる。
(3)測定点Pv,Phを、レールRの頭部R1の頭頂面と側面にそれぞれ設定することにより、レールRの頭部R1の頭頂面の高さ変位と、頭部R1の側面のまくらぎ方向変位とを適切に測定することができる。
(4)光学式のレール変位検出器70が検出した反射光の輝度値のヒストグラムに基づいて測定点Pv,Phの位置を検出することによって、演算付加が軽い比較的容易な演算処理により、測定点Pv,Phの位置を正確に検出することができる。
(5)2次元データに基づいて、レールRの頭部の頭頂面部と側面部との接続部に設けられる斜面部を検出して分岐器のトングレールを判別することにより、レール変位測定に用いる2次元データから、分岐器のトングレールの位置を正確に把握することが可能となり、分岐器を含む線区の軌道検測時におけるデータ処理を容易化することができる。
【0059】
(他の実施形態)
なお、本発明は上述した各実施形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。
(1)レール変位測定装置及びレール変位測定方法の構成は、上述した実施形態の構成に限定されることなく、適宜変更することができる。
(2)実施形態におけるレール側面部の測定点の頭頂面部からの上下方向位置や、トングレールの検出に用いる閾値の値は一例であって、適宜変更することができる。
(3)実施形態においては、2次元データ測定器としてCCDを用いるレーザ式の変位検出器を用いたが、2次元データ測定器の測定原理、構成はこれに限らず適宜変更することができる。
例えば、レールに測定光を照射した状態をカメラにより撮像した画像に画像処理を施すことにより、2次元データを取得するようにしてもよい。
(4)実施形態においては、取得された2次元データの処理を例えば車載のデータ処理装置80を用いて行っているが、これに代えて、車上で記録した2次元データを用い、他所に設置された処理装置を用いて処理してもよい。
(5)実施形態においては、各画素の輝度値を2値化した2次元データのヒストグラムを用いて測定点を検出しているが、本発明はこれに限定されず、他の手法を用いてもよい。
例えば、2値化は必須ではなく、また、2値化以外の処理を施した2次元データから測定点を検出してもよい。例えば、2値化に代えて、メディアンフィルタなどのフィルタ処理によりノイズを抑制した2次元データからヒストグラムを生成してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 軌道検測車 10 車体
20 台車 21 台車枠
22 輪軸 23 軸箱
24 釣合梁 30 まくらばね
40 高低用変換器 50 通り用変換器
60 レーザ基準装置 61 レーザ出射部
62,63,64 受光部 65 ビーム
70 レール変位検出器 71 出射部
71a 光源 71b 出射光学系
72 受光部 72a カメラレンズ
72b CCD
80 データ処理装置
R レール R1 頭部
R2 腹部 R3 底部
Pv 上下方向変位の測定位置 Ph 左右方向変位の測定位置
100 分岐器 101 ポイント部
102 リード部 103 クロッシング部
111 右基本レール 112 左基本レール
113 右トングレール 114 左トングレール
115 右リードレール 116 左リードレール
117 ノーズレール 118 右ウイングレール
119 左ウイングレール 120 右ガードレール
121 左ガードレール
F0 測定可能枠 F1 測定レール判別用枠
DR 測定レール輪郭線図 DG ガードレール輪郭線図
DF 外乱線図