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特許7557789頭頸部の類表皮癌を検出する唾液バイオマーカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】頭頸部の類表皮癌を検出する唾液バイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/06 20060101AFI20240920BHJP
   C12Q 1/689 20180101ALI20240920BHJP
【FI】
C12Q1/06
C12Q1/689 Z ZNA
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021560447
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2020059761
(87)【国際公開番号】W WO2020201575
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】19382253.3
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521442062
【氏名又は名称】ビオノウ リサーチ エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナヴァーロ ロペス ヴィセンテ マヌエル
【審査官】天野 皓己
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0010171(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0003348(KR,A)
【文献】Int. J. Cancer,1999年,Vol.145,pp.775-784
【文献】Carcinogenesis,2018年,Vol. 39, No. 6,pp.778-787
【文献】Appl. Environ. Microbiol.,2014年,Vol.80, No.23,pp.7356-7363
【文献】Int. J. Syst. Evol. Microbiol.,2013年,Vol.63,pp.1214-1218
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00 - 3/00
C12N 15/00 - 15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔、咽頭、及び喉頭の類表皮癌を有すると疑われる被験体のin vitroでの診断を補助する方法であって、前記被験体から得られた唾液試料において、尺度として、アロプレボテラ・ラバ種及びアロプレボテラ・タンネラエ種からなる群より選択される細菌のそのような試料中の濃度を使用することを含み、ここで、アロプレボテラ・ラバ種及びアロプレボテラ・タンネラエ種からなる群より選択される細菌のそのような唾液試料中の前記濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料中の前記細菌の濃度より、又は参照値に対して有意に低い場合に、これは、そのような被験体が前記口腔、咽頭、及び喉頭の類表皮癌を有することの指標である、方法。
【請求項2】
更なる尺度が使用され、前記尺度は、プレボテラ属に属する細菌の前記試料中の濃度であり、ここで、プレボテラ属に属する細菌のそのような唾液試料中の前記濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料中の前記細菌の濃度より、又は参照値に対して有意に低い場合に、これは、そのような被験体が前記口腔、咽頭、及び喉頭の類表皮癌を有することの指標である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更なる尺度が使用され、前記尺度は、カンピロバクター属に属する細菌の前記試料中のレベル又は濃度であり、ここで、カンピロバクターに属する細菌のそのような唾液試料中の前記レベル又は前記濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料中の前記細菌のレベル又は濃度より、又は参照値に対して有意に低い場合に、これは、そのような被験体が前記口腔、咽頭、及び喉頭の類表皮癌を有することの指標である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
更なる尺度が使用され、前記尺度は、カトネラ属に属する細菌の前記試料中のレベル又は濃度であり、ここで、カトネラに属する細菌のそのような唾液試料中の前記レベル又は前記濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料中の前記細菌のレベル又は濃度より、又は参照値に対して有意に低い場合に、これは、そのような被験体が前記口腔、咽頭、及び喉頭の類表皮癌を有することの指標である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
更なる尺度が使用され、前記尺度は、ポルフィロモナス属に属する細菌の前記試料中の濃度であり、ここで、ポルフィロモナスに属する細菌のそのような唾液試料中の前記濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料中の前記細菌の濃度より、又は参照値に対して有意に低い場合に、これは、そのような被験体が前記口腔、咽頭、及び喉頭の類表皮癌を示すことの指標である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
更なる尺度が使用され、前記尺度は、フレチバクテリウム属に属する細菌のそのような試料中の濃度であり、ここで、フレチバクテリウムに属する細菌のそのような唾液試料中の前記濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料中の前記細菌の濃度より、又は参照値に対して有意に低い場合に、これは、そのような被験体が前記口腔、咽頭、及び喉頭の類表皮癌を有することの指標である、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実施するための、アロプレボテラ・ラバ種及び/又はアロプレボテラ・タンネラエ種、並びに任意にプレボテラ、カンピロバクター、カトネラ、ポルフィロモナス、又はフレチバクテリウムに属する細菌を増幅することができる1つ以上のプライマー対を含むキットのin vitroでの使用。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実施するための、請求項に規定されるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方では頭頸部の類表皮癌の診断を助け、他方ではこの疾患を有する被験体の治療に対する奏効を予測する唾液試料中のバイオマーカー又はバイオマーカーの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
頭頸部の類表皮癌は、気道消化管の粘膜を覆う上皮に発生した悪性の腫瘍性実体である。頭頸部の類表皮癌の年間発生数は患者700000人であり、頻度がより高い癌の観点での世界的順位で6位に位置する。2013年に米国で検出された53640件の頭頸部腫瘍(口腔、咽頭、及び喉頭)の新規症例のうち、その95%は頭頸部の類表皮癌に相当した。2010年のGLOBOCANのレポートによれば、スペインはヨーロッパ大陸全体で頭頸部の類表皮癌の発生率が最も高い国の1つであり、その証拠は2002年に11513例の頭頸部の類表皮癌を有する患者が診断されたことである。
【0003】
近年、或る特定の病状又は疾患の診断ツール又は進展的追跡調査(evolutionary follow-up)としての唾液の使用は、生物医学の分野で大きな関連性を獲得している。診断ツール又は追跡調査ツールとして唾液を使用する主な利点は、非侵襲的な方法で構成され、収集が容易であり、廉価で、非冷蔵条件下で変化しづらく、かつ安定であることである。
【0004】
唾液微生物叢もその一部であるヒト口腔微生物叢は、口腔の構成要素である微生物及び病原体一式を含む。その機能は口腔を保護し、疾患の発生を防ぐことである。最近、大規模シーケンシング技術の使用により、健康な患者及び病気の患者の口腔微生物叢の組成の変化を研究することが可能となった。これまでに実施された幾つかの研究により、腫瘍学的性質を有する部位はより低い種の多様性を有することが示されている。現在、唾液微生物叢組成の結果により、カプノサイトファーガ・ジンジバリス(Capnocytophaga gingivalis)、プレボテラ・メラニノジェニカ(Prevotelle melaninogenica)、及びストレプトコッカス・ミティス(Streptococcus Mitis)等の唾液内の種が頭頸部の類表皮癌と相関することが示唆されている。類表皮頭頸部腫瘍部位と健康な組織との間のディスバイオシスは、健康な組織と比較した場合にアクチノバクテリア(Actinobacteria)門及びフィルミクテス(Firmicutes)門の減少を示す。しかしながら、属レベル又は種レベルで結果を分析すると、同じ傾向は示されない。
【0005】
頭頸部の類表皮癌は、疾患の進行期で高頻度に診断され、厳しい予後予測がもたらされる。現在、利用可能な手段に関して、この種類の腫瘍を早期に検出するのに有効なプログラムが存在しないことは逆説的であるように思える。実際、本発明において予測的及び診断的な性質を有する可能なバイオマーカーとして提案される属(ロシア(Rothia)、プレボテラ(Prevotella)、アロプレボテラ(Alloprevotella)、カンピロバクター(Campylobacter)、カトネラ(Catonella)、ポルフィロモナス(Porphylomona)、及びフレチバクテリウム(Fretibacterium))の中で、ロシアは、これまで口腔及び口腔咽頭腔における癌腫検出に臨床的適応を有する口腔バイオマーカーとして使用されてきた唯一のものである(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Lim Y, Fukuma N, Totsika M, Kenny L, Morrison M, Punyadeera C: The Performance of an Oral Microbiome Biomarker Panel in Predicting Oral Cavity and Oropharyngeal Cancers. Front Cell Infect My 2018, 8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、頭頸部の類表皮癌を早期に検出するのに有用なプログラム及びツールを提供することが依然として求められていることが理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明を通して、咽喉頭類表皮癌用のバイオマーカーとして使用される唾液微生物叢の診断能力及び予後予測能力が分析される。これを目的として、「Bioithas」臨床研究センター(アリカンテ)で試料収集とともに臨床研究を実施した。統計分析は、ソフトウェアSPSS(C)15.0を使用して実施され、一方の記述的部分と、もう一方の推測的部分とからなっていた(定性的変数についての「カイ二乗」検定及び定量的変数についての「スチューデントのT」検定)。スピアマンの「S」相関をノンパラメトリックサンプルに使用した。最後に、診断証拠及び予後予測証拠としての唾液微生物叢値の妥当性を研究するために、ROC曲線を使用して、対応する感度値及び特異度値とともに最も適切なカットオフ点を計算した。
【0009】
20人の患者と20人の健康なコントロールとに対応する合計40件の唾液試料を研究に含めた。患者の中で、平均年齢は61.9歳(最低38歳及び最高86歳)であった。患者のほとんどが男性(98.7%)であり、男性/女性の比率は19対1であり、全ての患者は診断時に疾患の進行期であった(60.0%)。喉頭の位置が最も高頻度で冒されていた(85%)。
【0010】
唾液微生物叢のプロファイル、症例とコントロールとの間の比較、及び関与する主要な微生物についてのROC曲線下面積を本発明の図面に記載する。図6図13及び表3は、本研究における群間で統計的有意差を示した各属についての種々の曲線下面積を示している。この情報から、
唾液試料中のアロプレボテラ属、特にそのアロプレボテラ・ラバ(Alloprevotella rava)種及びアロプレボテラ・タンネラエ(Alloprevotella tannerae)種の絶対値及び存在のパーセンテージの両方の場合に、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関があること、
唾液試料中のプレボテラ属の絶対値及び存在のパーセンテージの両方の場合に、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関があること、
唾液試料中のカンピロバクター属の絶対値及び存在のパーセンテージの両方の場合に、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関があること、
唾液試料中のロシア属の絶対値及び存在のパーセンテージの両方の場合に、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に正の相関があること、
唾液試料中のカトネラ属の絶対値及び存在のパーセンテージの両方の場合に、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関があること、
唾液試料中のポルフィロモナス(Porphyromona)属の絶対値及び存在のパーセンテージの両方の場合に、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関があること、並びに、
唾液試料中のフレチバクテリウム属の絶対値及び存在のパーセンテージの両方の場合に、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関があること、
を結論付けることが可能である。
【0011】
したがって、一方で、唾液微生物叢が、高リスク患者における頭頸部の類表皮癌の早期診断を助けるスクリーニングプログラムの開発のための予後予測マーカー及び診断マーカーとして高い可能性を示し、他方で、それが頭頸部の類表皮癌を有する患者の進展及び追跡調査の両方を診断及び予測する可能性を有し、既知の古典的な診断要因/予後予測要因を補完し得ると結論付けることができる。
【0012】
本発明の文脈において、アロプレボテラ属、特にそのアロプレボテラ・ラバ種及びアロプレボテラ・タンネラエ種は、頭頸部の類表皮癌を有する患者の唾液生体試料において、一般集団よりも低いレベルで存在することに留意する。さらに、以下の配列番号1~配列番号3の配列は、この属の代表的な配列であり、したがって、PCR手順を介した又は任意のシーケンシング技術(マイクロアレイによる分子診断技術に特に関心が持たれる)によるそのような試料中のこの属に属する細菌の特定に有用であることに留意する。
【0013】
配列番号1>d643812b99d154c919c0ce6b382a6d32
AGGAATATTGGTCAATGGACGGAAGTCTGAACCAGCCAAGTAGCGTGCAGGATGACGGCCCTCTGGGTTGTAAACTGCTTTTAGTTGGGAATAAAAAAGAGGACGTGTCCTCTATTGTATGTACCTTCAGAAAAAGGACCGGCTAATTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAAGGTCCAGGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGAGCGTAGGCGGATTATTAAGTCAGTGGTGAAAGACGGTGGCTCAACCATCGTTAGCCATTGAAACTGGTAGTCTTGAGTGCAGACAGGGATGCTGGAACTCGTGGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGATATGACGAAGAACTCCGATTGCGAAGGCAGCTGACGGGAGCGCAACTGACGCTTAAGCTCGAAGGTGCGGGTATCAAAC
【0014】
配列番号2>be884fc0a4b0abb13e06f9da1978b834
AGGAATATTGGTCAATGGACGGAAGTCTGAACCAGCCAAGTAGCGTGCAGGATGACGGCCCTCTGGGTTGTAAACTGCTTTTAGTTGGGAATAAAAAAGAGGACGTGTCCTCTATTGTATGTACCTTCAGAAAAAGGACCGGCTAATTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAAGGTCCAGGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGAGCGTAGGCGGATTATTAAGTCAGTGGTGAAAGACGGTGGCTCAACCATCGTTAGCCATTGAAACTGGTAGTCTTGAGTGCAGACAGGGATGCTGGAACTCGTGGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGATATCACGATGAACTCCAATCGCGAAGGCAGGTGTCCGGGCTGCAACTGACGCTGAGGCTCGAAAGTGTGGGTATCAAAC
【0015】
配列番号3>566e492fc8c692afeb1e84a3baeb42ad
AGGAATATTGGTCAATGGACGGAAGTCTGAACCAGCCAAGTAGCGTGCAGGATGACGGCCCTCTGGGTTGTAAACTGCTTTTAGTTGGGAATAAAAAAGAGGACGTGTCCTCTATTGTATGTACCTTCAGAAAAAGGACCGGCTAATTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAAGGTCCAGGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGAGCGTAGGCGGATTATTAAGTCAGTGGTGAAAGACGGTGGCTCAACCATCGTTAGCCATTGAAACTGGTAGTCTTGAGTGCAGACAGGGATGCTGGAACTCGTGGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGATATCACGATGAACTCCGATCGCGAAGGCAGGTGTCCGGGCTGCAACTGACGCTGAGGCTCGAAAGTGTGGGTATCAAAC
【0016】
この属の他の代表的な配列は当業者によって知られており、これらは唾液試料又は呼気試料中のこの属に属する細菌を特定するのに役立つ。
【0017】
他方で、本発明の文脈において、プレボテラ属は、頭頸部の類表皮癌を有する患者の唾液生体試料において、一般集団よりも低いレベルで存在することに留意する。さらに、以下の配列番号4~配列番号6の配列は、この属の代表的な配列であり、したがって、PCR又はDNAマイクロアレイにより使用される分子診断技術を含む任意の他のシーケンシング技術を介したそのような試料中のこの属に属する細菌の特定に有用であることに留意する。
【0018】
配列番号4>29971068736dbb4328b226203638d02e
GGGAATATTGCACAATGGGGGAAACCCTGATGCAGCAACGCCGCGTGAACGATGAAGGCCTTTGGGTCGTAAAGTTCTGTTCTAGGTGATGAAAACTGACAGTAACCTAGGAGAAAGCCCCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGGGGCAAGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGAGCGTAGGCCGTAGATTAAGCGTGTTGTGAAATGTAGATGCTCAACATCTGACTTGCAGCGCGAACTGGTTTACTTGAGTGTGCGCAACGTAGGCGGAATTCGTCGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGATATGACGAAGAACTCCGATTGCGAAGGCAGCTTACGGGAGCACAACTGACGCTGAAGCTCGAAGGTGCGGGTATCAAAC
【0019】
配列番号5>c6ed086de07dcb19c3164e681606b792
GGGAATATTGCACAATGGAGGAAACTCTGATGCAGTGACACCGCGTATAGGAAGAAGGTCTTAGGATTGTAAGCTATTGTCGTGTGAGAAGAAAATGACCATCACAGGAGGAAGCCCTGGCTAAATATGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAAGGTCCGGGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGAGCGTAGGCCGTGGATTAAGCGTGTTGTGAAATGCAGGTGCTCAACGTCTGCACTGCAGCGCGAACTGGTTCACTTGAGTGTGCACAACGCAGGCGGAATTCGTCGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGATATGACGAAGAACTCCGATTGCGAAGGCAGCTTGCGGGAGCACAACTGACGCTGAAGCTCGAAAGTGCGGGTATCGAAC
【0020】
配列番号6>6a4ca61245b7dfbbc3d341b72b017eca
GGGAATATTGGACAATGGGGGCAACCCTGATCCAGCAATTCTGTGTGCACGATGAAGGTCTTCGGATTGTAAAGTGCTTTCAGCAGGGAAGAAAAAAATGACGGTACCTGCAGAAGAAGCGACGGCTAAATACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAAGGTCCAGGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGAGTGTAGGCGGTTTGTTAAGCGTGTTGTGAAATTTAGATGCTCAACATTTAACTTGCAGCGCGAACTGTCAGACTTGAGTACACGCAACGTATGCGGAATTCATGGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGATATCATGAAGAACTCCGATTGCGAAGGCAGCATACGGGAGTGTAACTGACGCTTAAGCTCGAAGGTGCGGGTATCGAAC
【0021】
この属の他の代表的な配列は当業者によって知られており、これらは唾液試料又は呼気試料中のこの属に属する細菌を特定するのに役立つ。
【0022】
さらに、本発明の文脈において、カンピロバクター属は、頭頸部の類表皮癌を有する患者の唾液生体試料において、一般集団よりも低いレベルで存在することに留意する。さらに、以下の配列番号7~配列番号9の配列は、この属の代表的な配列であり、したがって、PCR又は任意の他のシーケンシング技術を介したそのような試料中のこの属に属する細菌の特定に有用であることに留意する。
【0023】
配列番号7>9eae616717ec194797c56f02fab79102
GGGAATATTGCTCAATGGGGGAAACCCTGAAGCAGCAACGCCGCGTGGAGGATGACACTTTTCGGAGCGTAAACTCCTTTTCTTGGGGAAGAAATTTGACGGTACCCAAGGAATAAGCACCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGGTGCAAGCGTTACTCGGAATCACTGGGCGTAAAGGACGCGTAGGCGGATTATCAAGTCTCTTGTGAAATCCAATGGCTTAACCATTGAACTGCTTGGGAAACTGATAATCTAGAGTGAGGGAGAGGCAGATGGAATTGGTGGTGTAGGGGTAAAATCCGTAGAGATCACCAGGAATACCCATTGCGAAGGCGATCTGCTGGAACTCAACTGACGCTAATGCGTGAAAGCGTGGGGAGCAAAC
【0024】
配列番号8>69552d32bb95376b080521fcc96eca94
GGGAATATTGCTCAATGGGGGAAACCCTGAAGCAGCAACGCCGCGTGGAGGATGACACTTTTCGGAGCGTAAACTCCTTTTCTTGGGGAAGAAATTTGACGGTACCCAAGGAATAAGCACCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGGTGCAAGCGTTACTCGGAATCACTGGGCGTAAAGGACGCGTAGGCGGATTATCAAGTCTCTTGTGAAATCCAATGGCTTAACCATTGAACTGCTTGGGAAACTGATAATCTAGAGTGAGGGAGAGGCAGATGGAATTGGTGGTGTAGGGGTAAAATCCGTAGAGATCACCAGGAATACCCATTGCGAAGGCGATCTGCTGGAACTCAACTGACGCTAATGCGCGAAAGCGTGGGGAGCAAAC
【0025】
配列番号9>3aad30e1911d0042c5a63850975b0af4
GGGAATATTGCTCAATGGGGGAAACCCTGAAGCAGCAACGCCGCGTGGAGGATGACACTTTTCGGAGCGTAAACTCCTTTTCTTAGGAAAGAATTATGACGGTACCTAAGGAATAAGCACCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGGGGGTGCAAGCGTTACTCGGAATCACTGGGCGTAAAGGACGCGTAGGCGGATTATCAAGTCTCTTGTGAAATTTAACGGCTTAACCGTTAAACTGCTTGGGAAACTGATAATCTAGAGTAAGGGAGAGGCAGATGGAATTCTTGGTGTAGGGGTAAAATCCGTAGAGATCAAGAAGAATACTTATTGCGAAGGCGATCTGCTAGAACTTAACTGACGCTAATGCGTGAAAGCGTGGGGAGCAAAC
【0026】
この属の他の代表的な配列は当業者によって知られており、これらは唾液試料又は呼気試料中のこの属に属する細菌を特定するのに役立つ。
【0027】
加えて、本発明の文脈において、ロシア属は、頭頸部の類表皮癌を有する患者の唾液生体試料において、一般集団と比較して増加したレベルで存在することに留意する。さらに、以下の配列番号10~配列番号12の配列は、この属の代表的な配列であり、したがって、PCR又はDNAマイクロアレイにより使用される分子診断技術を含む任意の他のシーケンシング技術を介したそのような試料中のこの属に属する細菌の特定に有用であることに留意する。
【0028】
配列番号10>efea3bb92600988408d794a5d199c1f3
GGGAATCTTCGGCAATGGACGGAAGTCTGACCGAGCAACGCCGCGTGAGTGAAGAAGGTTTTCGGATCGTAAAGCTCTGTTAGCAGGGAAGAAGAGAGATTGACGGTACCTGCAGAGAAAGCGCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGCGCGAGCGTTGTCCGGAATTATTGGGCGTAAAGAGCTTGTAGGCGGTTTGTCGCGTCTGCTGTGAAAGGCCGGAGCTTAACTCCGTGTATTGCAGTGGGTACGGGCAGACTAGAGTGCAGTAGGGGAGACTGGAACTCCTGGTGTAGCGGTGGAATGCGCAGATATCAGGAAGAACACCGATGGCGAAGGCAGGTCTCTGGGCTGTAACTGACGCTGAGAAGCGAAAGCATGGGGAGCGAAC
【0029】
配列番号11>8f1f146c86e844fcfd81a5c504efea83
AGGAATATTGGTCAATGGGCGCGAGCCTGAACCAGCCAAGTAGCGTGCAGGATGACGGCCCTATGGGTTGTAAACCTCTGTTAGCAGGGAAGAAGAGAGATTGACGGTACCTGCAGAGAAAGCGCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGCGCGAGCGTTGTCCGGAATTATTGGGCGTAAAGAGCTTGTAGGCGGTTTGTCGCGTCTGCTGTGAAAGGCCGGAGCTTAACTCCGTGTATTGCAGTGGGTACGGGCAGACTAGAGTGCAGTAGGGGAGACTGGAATTCCTGGTGTAGCGGTGGAATGCGCAGATATCAGGAGGAACACCGATGGCGAAGGCAGGTCTCTGGGCTGTAACTGACGCTGAGAAGCGAAAGCATGGGGAGCGAAC
【0030】
配列番号12>40a5d7d7947a9b9f428d2a4de54030d2
GGGAATATTGCACAATGGGCGCAAGCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGGGATGACGGCCTTCGGGTTGTAAACCTCTGTTAGCAGGGAAGAAGAGAGATTGACGGTACCTGCAGAGAAAGCGCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGCGCGAGCGTTGTCCGGAATTATTGGGCGTAAAGAGCTTGTAGGCGGTTTGTCGCGTCTGCTGTGAAAGGCCGGAGCTTAACTCCGTGTATTGCAGTGGGTACGGGCAGACTAGAGTGCAGTAGGGGAGACTGGAATTCCTGGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTAGGAAGAACACCAGTGGCGAAGGCGACTTTCTGGACGAAAACTGACGCTGAGGCGCGAAAGCCAGGGGAGCGAAC
【0031】
この属の他の代表的な配列は当業者によって知られており、これらは唾液試料又は呼気試料中のこの属に属する細菌を特定するのに役立つ。
【0032】
さらに、本発明の文脈において、カトネラ属は、頭頸部の類表皮癌を有する患者の唾液生体試料において、一般集団と比較して低いレベルで存在することに留意する。さらに、以下の配列番号13~配列番号15の配列は、この属の代表的な配列であり、したがって、PCR又はDNAマイクロアレイにより使用される分子診断技術を含む任意の他のシーケンシング技術を介したそのような試料中のこの属に属する細菌の特定に有用であることに留意する。
【0033】
配列番号13>b91a78471249bb403f13253808314b44
GGGGATATTGCACAATGGAGGAAACTCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGTGAAGAAGTGCTCCGGCATGTAAAGCTCTTTCAGCAGGGAAGATGATGACGGTACCTGAATAAGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCAAGCGTTATCCGGATTTACTGGGTGTAAAGGGAGCGCAGGCGGTCTGGCAAGTTGAGAGTGGAAGCAGGGGGCTCAACCCCCTGACTGCTCCCAAAACTGTTGGACTGGAGTATGGGAGAGGCAGGCGGAATTCCTAGTGTAGCGGTGAAATGCTCAGATATTAGGAAGAACACCGGTGGCGAAGGCGGCCTGCTGGACCAAAACTGACGCTGAGGCTCGAGAGCGTGGGGAGCGAAC
【0034】
配列番号14>60000a298e962dd45ea8f64f83d13296
GGGGATATTGCACAATGGAGGAAACTCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGTGAAGAAGTATTTCGGTATGTAAAGCTCTATCAGCAGGGAAGATGATGACGGTACCTGACTAAGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCAAGCGTTATCCGGATTTACTGGGTGTAAAGGGAGCGCAGGCGGTTTTGCAAGTTGAGAGTGGAAGCAGGGGGCTCAACCCCTTGACTGCTCCCAAAACTGTAAAACTTGAGTGTAGATGAGGTAGGCGGAATGCGTGGTGTAGCGGTGGAATGCATAGATATCACGCAGAACTCCGATTGCGAAGGCAGCTTACTAAGGTACAACTGACGCTGAAGCACGAAAGCGTGGGTATCAAAC
【0035】
配列番号15>8a4f390e5a28fa4b319a417165699560
GGGGATATTGCACAATGGAGGAAACTCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGTGAAGAAGTATTTCGGTATGTAAAGCTCTATCAGCAGGGAAGATGATGACGGTACCTGACTAAGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCAAGCGTTATCCGGATTTACTGGGTGTAAAGGGAGCGCAGGCGGTTTTGCAAGTTGAGAGTGGAAGCAGGGGGCTCAACCCCCTGACTGCTCCCAAAACTGTAAAACTTGAGTATGGGAGAGGCAGGCGGAATTCCTAGTGTAGCGGTGAAATGCTTAGATATTAGGAAGAACACCGGTGGCGAAGGCGGCCTGCTGGACCAAAACTGACGCTGAGGCTCGAAAGCGTGGGTAGCAAAC
【0036】
さらに、本発明の文脈において、ポルフィロモナス属は、頭頸部の類表皮癌を有する患者の唾液生体試料において、一般集団と比較して低いレベルで存在することに留意する。さらに、以下の配列番号16~配列番号18の配列は、この属の代表的な配列であり、したがって、PCR又はDNAマイクロアレイにより使用される分子診断技術を含む任意の他のシーケンシング技術を介したそのような試料中のこの属に属する細菌の特定に有用であることに留意する。
【0037】
配列番号16>70a4cb1a6aa33f9abfdf84f2c9707e1b
AGGAATATTGGTCAATGGGCGAGAGCCTGAACCAGCCAAGTCGCGTGAAGGATGACTGTCTTATGGATTGTAAACTTCTTTTATACGGGAATAACAAGAGCCACGTGTGGCTCCCTGCATGTACCGTATGAATAAGCATCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGATGCGAGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGTGCGTAGGCGGCCTGTTAAGTAAGTGGTTAAATTGTTGGGCTCAACCCAATCCAGCCACTTAAACTGGCAGGCTAGAGTATTGGAGAGGCAAGTGGAATTCCATGTGTAGCGGTAAAATGCGTAGATATATGGAGGAATACCGATGGCGAAGGCAGCCTCCTGGGATAACACTGACGTTCATGCTCGAAAGCGTGGGTAGCAAAC
【0038】
配列番号17>a37c30c91c4a20d9074d2eb6757a8ef8
AGGAATCTTCCACAATGGGCGAAAGCCTGATGGAGCAACGCCGCGTGAAGGATGAAGGCCTTCGGGTTGTAAACTTCTTTTGTAGGGGAATAAAGAATGGTACGTGTACCATAGTGAATGTACCCTACGAATAAGCATCGGCTAACTCCGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGATGCGAGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGTGCGTAGGCGGCCTGTTAAGTCAGCGGTGAAATCTAGGGGCTTAACTCCTAAATTGCCATTGATACTGGTGGGCTTGAGTGTAGATGAGGTAGGCGGAATGCGTGGTGTAGCGGTGGAATGCATAGATATCACGCAGAACTCCAATTGCGAAGGCAGCTTACTAAGGTACAACTGACGCTGAAGCACGAAAGCGTGGGTATCAAAC
【0039】
配列番号18>b79c9d865f361911a29c5ccda8af5804
GGGAATATTGCACAATGGGGGAAACCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGTGAAGAAGTATTTCGGTATGTAAAGCTCTATCAGCAGGGAAGATAATGACAGTACCTGACTAAGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGGAGGATGCGAGCGTTATCCGGATTTATTGGGTTTAAAGGGTGCGTAGGCGGCCTGTTAAGTCAGCGGTGAAATCTAGGAGCTTAACTCCTAAATTGCCATTGATACTGGCGGGCTTGAGTGTAGATGAGGTAGGCGGAATGCGTGGTGTAGCGGTGGAATGCATAGATATCACGCAGAACTCCGATTGCGAAGGCAGCTTACTAAGGTACAACTGACGCTGAAGCACGAAAGCGTGGGTATCAAAC
【0040】
さらに、本発明の文脈において、フレチバクテリウム属は、頭頸部の類表皮癌を有する患者の唾液生体試料において、一般集団よりも低いレベルで存在することに留意する。さらに、以下の配列番号19~配列番号21の配列は、この属の代表的な配列であり、したがって、PCR又はDNAマイクロアレイにより使用される分子診断技術を含む任意の他のシーケンシング技術を介したそのような試料中のこの属に属する細菌の特定に有用であることに留意する。
【0041】
配列番号19>d97b5732e62c39dd8bebf5a5ad9652f0
GGGAATATTGGGCAATGGGAGGAATCCTGACCCAGCGACGCCGCGTGAACGAAGACGGCCTTCGGGTTGTAAAGTTCTTTTATGTGGGAAGAATGAAGTGACGGTACCACATGAATAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCGAGCGTTGTCCGGAATTACTGGGCGTAAAGGGCACGCAGGCTGTGCTTCAAGTCAGCTGTAAAAGGATGCGGCTTAACCGTGTTATGCGGCTGAGACTGAGGTGCTGGAGTACCGGAGAGGCAAGTGGAATTCCCAGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTGGGAAGAACATCGGTGGCGAAGGCGACTTGCTGGACGGTAACTGACGCTGAGGTGCGAAAGCCAGGGTAGCGAAC
【0042】
配列番号20>efbe0d96382930addc15fd966fce61e4
GGGAATATTGGGCAATGGGAGGAATCCTGACCCAGCGACGCCGCGTGAACGAAGACGGCCTTCGGGTTGTAAAGTTCTTTTATGTGGGAAGAAGGAAGTGACGGTACCACATGAATAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCGAGCGTTGTCCGGAATTACTGGGCGTAAAGGGCACGCAGGCTGTGCTTCAAGTCAGCTGTAAAAGGATGCGGCTTAACCGTGTTATGCGGCTGAGACTGAGGTGCTGGAGTACCGGAGAGGCAAGTGGAATTCCCAGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTGGGAAGAACATCGGTGGCGAAGGCGACTTGCTGGACGGTAACTGACGCTGAGGTGCGAAAGCCAGGGTAGCGAAC
【0043】
配列番号21>f69168cdcc49ef7e9886e21a801d14bd
GGGAATATTGGGCAATGGGAGGAATCCTGACCCAGCGACGCCGCGTGAACGAAGACGGCCTTCGGGTTGTAAAGTTCTTTTATGTGGGAAGAATAAAGTGACGGTACCACATGAATAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCGAGCGTTGTCCGGAATTACTGGGCGTAAAGGGCACGCAGGCTGTGCTTCAAGTCAGCTGTAAAAGGATGCGGCTTAACCGTGTTATGCAGTTGAGACTGAGGTGCTGGAGTACCGGAGAGGCAAGTGGAATTCCCAGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATTGGGAAGAACATCGGTGGCGAAGGCGACTTGCTGGACGGTAACTGACGCTGAGGTGCGAAAGCCAGGGTAGCGAAC
【0044】
したがって、本発明の第1の態様は、患者における、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃の癌若しくは癌腫、若しくは食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌腫、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌の診断のための、又はそのような診断を可能にする有用なデータを取得するための、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する唾液試料又は呼気試料中の細菌のレベル又は濃度のin vitroでの使用に関する。好ましくは、アロプレボテラ属に属する細菌は、アロプレボテラ・ラバ種及び/又はアロプレボテラ・タンネラエ種である。本発明の第1の態様の代替的な実施の形態は、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃癌、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌腫、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌に類似していると疑われる被験体のin vitroでの診断方法、又はそのような診断における裏付けに有用なデータを収集する方法であって、そのような被験体から得られた唾液試料又は呼気試料において、尺度として、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属するそのような試料中の細菌レベル又は細菌濃度を使用することを含み、ここで、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のそのような唾液試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料又は参照値と比較して異なる又は差を生ずる場合に、これは、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃の癌若しくは癌腫、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を有する被験体であることの指標である、方法に関する。
【0045】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施の形態において、この方法は、そのような被験体から得られた唾液試料又は呼気試料において、尺度として、少なくともアロプレボテラ属に属する細菌のそのような試料中のレベル又は濃度を使用することを含み、ここで、そのような属に属する細菌の唾液試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料中より、又は参照値と比較して減少する又は有意に低い場合に、これは、そのような被験体が、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃の癌若しくは癌腫、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を示すことの指標である。
【0046】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施の形態において、この方法は、そのような被験体から得られた唾液試料又は呼気試料において、尺度として、少なくともプレボテラ属に属する細菌のそのような試料中のレベル又は濃度を使用することを含み、ここで、そのような属に属する細菌のそのような唾液試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値と比較して減少する又は有意に低い場合に、これは、そのような被験体が、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃の癌若しくは癌腫、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を示すことの指標である。
【0047】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施の形態において、この方法は、そのような被験体から得られた唾液試料又は呼気試料において、尺度として、少なくともカンピロバクター属に属する細菌のそのような試料中のレベル又は濃度を使用することを含み、ここで、そのような属に属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値と比較して減少する又は有意に低い場合に、これは、そのような被験体が、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃の癌若しくは癌腫、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を示すことの指標である。
【0048】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施の形態において、この方法は、そのような被験体から得られた唾液試料又は呼気試料において、尺度として、少なくともカトネラ属に属する細菌のそのような試料中のレベル又は濃度を使用することを含み、ここで、そのような属に属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値と比較して減少する又は有意に低い場合に、これは、そのような被験体が、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃の癌若しくは癌腫、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を示すことの指標である。
【0049】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施の形態において、この方法は、そのような被験体から得られた唾液試料又は呼気試料において、尺度として、少なくともポルフィロモナス属に属する細菌のそのような試料中のレベル又は濃度を使用することを含み、ここで、そのような属に属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値と比較して減少する又は有意に低い場合に、これは、そのような被験体が、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃の癌若しくは癌腫、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を示すことの指標である。
【0050】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施の形態において、この方法は、そのような被験体から得られた唾液試料又は呼気試料において、尺度として、少なくともフレチバクテリウム属に属する細菌のそのような試料中のレベル又は濃度を使用することを含み、ここで、そのような属に属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値と比較して減少する又は有意に低い場合に、これは、そのような被験体が、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃の癌若しくは癌腫、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を示すことの指標である。
【0051】
本発明の第1の態様の別の好ましい実施の形態において、この方法は、そのような被験体から得られた唾液試料又は呼気試料において、尺度として、少なくともロシア属に属する細菌のそのような試料中のレベル又は濃度を使用することを含み、ここで、そのような属に属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値と比較して減少する又は有意に低い場合に、これは、そのような被験体が、頭頸部癌、食道癌、肺癌、若しくは胃の癌若しくは癌腫、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を示すことの指標である。
【0052】
本発明の文脈において、頭頸部の類表皮癌は、気道消化管の粘膜上皮に生じた一連の悪性腫瘍とみなされる。この種類の癌は、頭頸部癌の90%に相当し、その特性に応じて3つの群:
口腔、咽頭、及び喉頭の群(主に喫煙及び飲酒に関連し、多かれ少なかれ分化度を有する類表皮癌腫を含む)
鼻孔-鼻洞の群(鼻洞及び副鼻腔の蓋上皮に生じた類表皮癌を含む)
鼻咽頭の群(主にエプスタイン-バーウイルス(EBV)に関連する類表皮癌を含む)
に分類される。
【0053】
本発明の文脈において、癌腫又は類表皮癌の用語は、頭頸部の類表皮癌だけでなく、食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、及び/又は胃の類表皮癌にも関連している。類表皮食道癌腫は食道の内部組織に発生する。類表皮食道癌腫は通常、食道の上部及び中央部に生ずる。類表皮食道癌腫は、世界で最も一般的な食道癌である。肺の類表皮癌は、肺組織、通常は気管と肺とをつなぐ気道(気管支)を覆う細胞に生ずる。この種類の癌は、肺癌の25%から30%の間に相当する。胃の類表皮癌は、胃に発生する胃部類表皮癌である。胃の類表皮癌は、非常に稀な腫瘍であるが、胃部新生物の可能性があるとみなされるべきである。胃の類表皮癌は通常、進行期に診断されることから、予後不良がもたらされる。
【0054】
本発明は、唾液試料又は呼気試料における本明細書に挙げられる各属の存在及び濃度を特定することを可能にする代表的なヌクレオチド配列(すなわち、配列番号1~配列番号21)を十分に記載することに留意する。
【0055】
本発明の第2の態様は、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃部癌、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を有する被験体の進展を監視するin vitroでの方法であって、以下の工程:
そのような被験体から単離された唾液試料又は呼気試料において、以下の細菌属:アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のレベル又は濃度を定量する工程と、
そのような唾液試料又は呼気試料中のそのような細菌のレベル又は濃度を、健康な被験体の試料中で得られた値又は参照値と比較する工程と、
を含み、ここで、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料と、又は参照値に対して異なる又は差を生ずる場合に、これは、被験体の好ましい又は好ましくない進展の指標である、方法に関する。
【0056】
本発明の第3の態様は、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃癌、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌を有する被験体の進展を監視するin vitroでの方法であって、以下の工程:
そのような被験体から単離された唾液試料又は呼気試料において、以下の細菌属:アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のレベル又は濃度を定量する工程と、
そのような唾液試料又は呼気試料中のそのような細菌のレベル又は濃度を、以前に得られたそのような被験体の試料中で得られた値と比較する工程と、
を含み、ここで、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、そのような以前に得られた試料と異なる又は差を生ずる場合に、これは、被験体の好ましい又は好ましくない進展の指標である、方法に関する。
【0057】
本発明の第4の態様は、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃癌、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌と診断された患者の治療奏効を予測するin vitroでの方法であって、以下の工程:
そのような被験体から単離された唾液試料又は呼気試料において、以下の細菌属:アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のレベル又は濃度を定量する工程と、
そのような唾液試料又は呼気試料中のそのような細菌のレベル又は濃度を、そのような被験体の試料において以前に得られた値と比較する工程と、
を含み、ここで、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、そのような試料において以前に得られた値と異なる又は差を生ずる場合に、これは、被験体の好ましい又は好ましくない進展の指標である、方法に関する。
【0058】
本発明の第5の態様は、頭頸部癌、食道癌、肺癌、胃癌、又は食道の類表皮癌、肺の類表皮癌、胃の類表皮癌、若しくは頭頸部の類表皮癌からなる群より選択される類表皮癌と診断された患者の治療奏効を予測するin vitroでの方法であって、以下の工程:
そのような被験体から単離された唾液試料又は呼気試料において、以下の細菌属:アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの少なくとも1つ、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のレベル又は濃度を定量する工程と、
そのような唾液試料又は呼気試料中のそのような細菌のレベル又は濃度を、健康な被験体の試料中で得られた値又は参照値と比較する工程と、
を含み、ここで、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、ロシア、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料と、又は参照値に対して異なる又は差を生ずる場合に、これは、治療に対する好ましい又は好ましくない奏効の指標である、方法に関する。
【0059】
癌の種類ごとの具体的な治療は、疾患が発見された時点の病期に依存することに留意する。しかしながら、この種類の病状に最も多い一般的な治療法は通常、
部分手術又は根治手術、
放射線療法、
ネオアジュバント化学療法又は導入化学療法、
併用化学放射線療法、
分子療法(モノクローナル抗体)、例えば、頭頸部の類表皮癌におけるEGFR抗原(上皮成長因子受容体)に結合するモノクローナル抗体であるセツキシマブによる分子療法、及び、
免疫療法、
である。
【0060】
さらに、本発明の文脈において、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値に対して、又は同じ被験体の唾液試料若しくは呼気試料において以前に得られた値に対して減少する又は有意に低い場合に、被験体の不良な進展又は好ましくない進展が見られると理解される。
【0061】
特に、本発明の文脈において、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値に対して、又は同じ被験体の唾液試料若しくは呼気試料において以前に得られた値に対して減少する又は有意に低い場合に、治療に対する好ましくない奏効が見られると理解される。
【0062】
代替的に又は追加的に、本発明の文脈において、ロシア属に属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値に対して、又は同じ被験体の唾液試料若しくは呼気試料において以前に得られた値に対して増加する又は有意に高い場合に、被験体の不良な進展又は好ましくない進展が見られると理解される。
【0063】
代替的に又は追加的に、本発明の文脈において、ロシア属に属する細菌のそのような唾液試料又は呼気試料中のレベル又は濃度が、健康な被験体から得られた唾液試料若しくは呼気試料中より、又は参照値に対して、又は同じ被験体の唾液試料若しくは呼気試料において以前に得られた値に対して増加する又は有意に高い場合に、被験体の治療に対する好ましくない奏効が見られると理解される。
【0064】
さらに、本発明の文脈において、参照値は、好ましくは、一般集団又は健康な被験体についての本発明において提案された属の1つ以上に属する各細菌の濃度及び/又は総量を使用する数学的アルゴリズムのデータの結果として理解される。感度及び特異度についての最良の値は、アルゴリズムを使用して自動的に提案される。このアルゴリズムは、提案された値と一緒に値を提供するだけでなく、感度及び特異度の値を変更して、より多くの情報を医師に与え、医師は各患者又は特定の状況についての最良の試験及びカットオフ値を判断することが可能となる。
【0065】
本発明の文脈において、限定されるものではないが、唾液内ゲノム又は呼気内ゲノムの大規模シーケンシングによって、そのような被験体からの唾液試料又は呼気試料の任意の提案された属に属する細菌を定量することが可能であり、このようにして唾液中の細菌配列の総数と一緒に、その唾液試料中の他の細菌の総数が取得される。好ましくは、そのような定量は、PCR法又はリアルタイムPCR法によって実施される。
【0066】
本発明の第1の態様~第5の態様の別の好ましい実施の形態において、又は本発明の好ましい実施の形態のいずれかにおいて、そのような細菌のレベル又は濃度は、そのような試料中の細菌全体のうちの属カテゴリーに属する細菌の総量を指す。
【0067】
本発明の第1の態様~第5の態様の別の好ましい実施の形態において、又は本発明の好ましい実施の形態のいずれかにおいて、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のレベル又は濃度は、そのような属の細菌の1つ以上の代表的な領域を増幅することができるプライマー対を使用して、そのような試料に由来する核酸調製物の増幅反応を介して定量される。
【0068】
さらに、本発明の第1の態様~第5の態様の別の好ましい実施の形態において、又は本発明の好ましい実施の形態のいずれかにおいて、増幅反応は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応によって行われる。好ましくは、増幅産物の検出は、蛍光挿入剤を介して達成される。より好ましくは、増幅産物(複数の場合もある)の検出は、標識されたプローブによって行われ、ここで、好ましくは、プローブは、その5’末端にレポーター色素を含み、かつその3’末端に「クエンチャー」色素又はサイレンサー又はバッファーを含む。
【0069】
本発明の第6の態様において、本発明の第1の態様~第5の態様又はその実施の形態のいずれかについての方法は、データ記憶媒体上に方法の結果を格納することを更に含み、好ましくは、そのようなデータ記憶媒体はコンピューターによって読み取り可能である。
【0070】
本発明の第7の態様において、本発明の第1の態様~第5の態様又はその実施の形態のいずれかの方法は、比較工程を実施することと、任意にコンピュータープログラムによるそのような比較の帰結としての結果を提供することとを少なくとも含む。
【0071】
本発明の第8の態様は、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌を増幅することができる1つ以上のプライマー対を含むキットに関する。好ましくは、そのようなキットを使用して、ヒト被験体から単離された唾液又は呼気の試料からの細菌の検出方法であって、以下の工程:
i)分析される試料を、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌を増幅することができる、好ましくはマルチプレックスPCRの産物生成(production)のための特異的なプライマーを含む反応混合物と接触させる工程と、
ii)ポリメラーゼ連鎖反応によって増幅する工程と、
iii)前の工程で形成された産物を特定する工程と、
を含み、ここで、そのような情報は、アロプレボテラ、プレボテラ、カンピロバクター、カトネラ、ポルフィロモナス、フレチバクテリウムの1つ以上の属、又はそれらの任意の組合せに属する細菌のレベル又は濃度の指標である、方法が実施される。
【0072】
本発明により、上述の方法自体だけでなく、本発明の第1の態様~第7の態様に記載された方法のいずれかの実施のためのその使用も保護されることに留意する。また、本発明により、本発明の第1の態様~第5の態様のいずれかによる方法の実施のための、本発明の第8の態様のキットの使用が保護される。
【0073】
本発明のこの第8の態様に関連して、好ましくは、本発明は、アロプレボテラ・ラバ及び/又はアロプレボテラ・タンネラエに属する細菌を検出する方法を提供する。本発明のこの第8の態様の特定の実施の形態において、配列1~配列21に包含される又は含まれるDNAの断片が増幅される。本発明のこの第8の態様の別の実施の形態において、異なる種及び細菌群を特定することを可能にする増幅産物がプローブを使用して検出される。より好ましい実施の形態において、これらのプローブは、15ヌクレオチド~25ヌクレオチドの長さを有する。プライマーを、CLUSTAL X等のプログラムを用いたマルチプルアラインメントによって設計することができ、それによりテンプレートとしての機能を果たす高度に保存された領域の特定が可能となる。
【0074】
フミン酸及びフルボ酸、重金属、ヘパリン等のような偽陰性を引き起こすPCR阻害剤が非常に豊富であることを考慮すると、これらの種類の分子の濃度を下げる方法があるものの、内部増幅標準(IAC)を含むPCR試験が推奨され得る(J. Hoorfar et al., "Making Internal Amprolization Control Mandatory for Diagnostic PCR" J. of Clinical Microbiology, Dec 2003, pp.5835を参照)。このIACは、標的試料と一緒に同時に増幅されるDNAの断片のみからなるため、試験の終わりにそれが存在しないことが、PCRの不所望な発生を引き起こす要因が存在したことの指標である。
【0075】
明細書全体を通して、「特異的」という用語は、プライマーが、本発明によって使用される遺伝子又は遺伝子断片に完全に相補的なヌクレオチド配列を含むことを意味する。
【0076】
要するに、この唾液微生物叢に基づく診断キット又は予後予測キットの開発に沿って、治療を受けている患者における唾液微生物叢の組成について得られた知識は極めて重要である。それというのも、それにより、これらの患者を治療する腫瘍学の専門家が、治療に対する奏効の確率及び患者の進展についてのデータに加えて、患者が初診で頭頸部の類表皮癌を示すか否かの確率についてのデータを有することを可能にすることとなるからである。
【0077】
以下の実施例は本発明を単に例示するものであって、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】症例及びコントロールにおける希薄化曲線を示す図である。
図2】症例及びコントロールの主成分分析を示す図である。
図3】属レベルでの種々の微生物間のクラスター化を示す図である。
図4】ベータ多様性:属を示す図である。
図5】アルファ多様性:属を示す図である。
図6】表2に記載される属の群間の違いを示す図である。
図7】アロプレボテラ属についてのROC曲線(曲線下面積は表2に示されている)を示す図である。
図8】プレボテラ属についてのROC曲線(曲線下面積は表2に示されている)を示す図である。
図9】カンピロバクター属についてのROC曲線(曲線下面積は表2に示されている)を示す図である。
図10】ロシア属についてのROC曲線(曲線下面積は表2に示されている)を示す図である。
図11】カトネラ属についてのROC曲線(曲線下面積は表2に示されている)を示す図である。
図12】ポルフィロモナス属についてのROC曲線(曲線下面積は表2に示されている)を示す図である。
図13】フレチバクテリウム属についてのROC曲線(曲線下面積は表2に示されている)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0079】
材料及び方法
研究集団
咽喉頭に限局する類表皮癌腫の解剖病理学的診断を受けた18歳を超える全ての患者を研究した。
【0080】
試料
唾液試料及び組織試料は、2008年1月から2012年12月の両方を含む間の期間中に良性及び悪性の頭頸部腫瘍の治療を受けた全ての患者によるインフォームドコンセントの署名の前に、耳鼻咽喉科学及び分子生物学サービス(Otorhinolaryngology and Molecular Biology service)によって収集された。これにより、179人の患者の初期の全体試料が取得される。
【0081】
引き続き、これらの試料の中から合計20人の患者を選択し、20人の健康なボランティアからの唾液試料と一緒に、唾液試料においてrS16遺伝子の超可変領域の分析を行った。シーケンシングの結果は、アリカンテのサイエンティフィック・パーク(scientific park)に位置するBioithasの生物医学研究センターで分析された。社会人口統計学的特性における均一性を維持するために、両方の群の患者を選択した。
【0082】
データの最終分析に含まれる集団は、次の基準に従って規定された:
【0083】
選択基準:
18歳~90歳の群、
咽頭、喉頭、又は頸神経節における当初の原発腫瘍の位置、
類表皮癌腫の解剖病理学的診断、
治癒的外科治療又は姑息的外科治療、
手術室での生体試料の収集:血液、唾液、腫瘍組織、及び健康な組織。
【0084】
除外基準:
18歳未満又は90歳を超える年齢、
喉頭、咽頭、及び/又はリンパ節以外に限局する原発腫瘍、
非類表皮の別形の良性腫瘍及び悪性腫瘍:腺癌、乳頭状癌腫、粘表皮癌腫、退形成性癌腫、黒色腫、リンパ上皮腫、及び傍神経節腫の解剖病理学的診断、
非外科的臓器保存を伴う治療、
原発腫瘍に付随するリンパ節外転移性疾患、
腫瘍試料が不十分で、解剖病理学的研究が不可能であること、
唾液試料の数が少ないこと。
【0085】
生体試料の調製及び収集
生体試料を、耳鼻咽喉科の手術室において外科的介入の前の時点で、かつ患者の絶食状態で収集した。
【0086】
唾液試料は、舌下領域に10分間配置されたレンチン(lentins)を使用して収集され、研究者によって調製された。唾液産生を刺激する方法は使用しなかった。
【0087】
全ての試料を特定し、臨床分析サービスの研究ユニット(Research Unit of the Clinical Analysis Service)(分子療法及び癌バイオマーカーの研究所(Laboratory of Molecular Therapy and Cancer Biomarkers ))に送り、そこで処理した。唾液を2500rpmで5分間遠心分離し、上清をアリコートに分け、後続使用まで-80℃で凍結させた。
【0088】
統計分析
分割表及び「カイ二乗(χ)」統計検定を使用した。一方の変数が量的変数であり、かつ他方がカテゴリー変数である限り、「スチューデントのt」統計検定を使用して、平均と二分変数との比較を評価した。質的変数が3つ以上のカテゴリーを有する場合には、一元配置分散分析(ANOVA)を使用した。
【0089】
種々の分析曲線を作成した:感度対1-特異度のグラフ表現のためのROC曲線(受信者動作特性の頭字語)。ヨーデン指数(Yoiden index)(IY)又は最大の感度及び特異度点を探すことにより、各唾液微生物叢パターンに最適なカットオフ点を決定した。ROC曲線の数値積分によって曲線下面積(AUC)を計算した。最高のAUCでの濃度を、頭頸部の類表皮癌を検出するのに最も強力な予測子として特定した。SPSS(C)(バージョン15.0)ソフトウェアを使用してデータを分析した。
【0090】
結果
研究期間中に、腫瘍病理を有する合計20人の患者及びコントロール群に相当する20人の健康な患者を分析した。これらの患者の臨床病理学的特性を以下の表1にまとめる。
【0091】
【表1】
【0092】
患者は38歳~86歳の範囲であり、平均61.9歳で、かつ男性が優勢である(98.7%)。患者の92%は喫煙習慣があり、72.4%はエノール(enolic)の習慣があった。大多数は喉頭位置の腫瘍を有し(90.8%)、ここで、最も頻度が高い群は声門腫瘍に対応する群であった(60.0%)。
【0093】
得られた唾液試料から、群間で有意差を有する属を分析した。これらの結果を以下の表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
さらに、表2及び図6図13に基づいて、表3は、本研究における群間で統計的有意差を示す各属についての種々の曲線下面積を示している。
【0096】
【表3】
【0097】
表3、図6、及び図7に示されるように、唾液試料中のアロプレボテラ属、特にアロプレボテラ・ラバ種及びアロプレボテラ・タンネラエ(tannera)種の絶対値及び存在パーセンテージの両方において、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関がある。
【0098】
表3、図6、及び図8に示されるように、唾液試料中のプレボテラ属の絶対値及び存在パーセンテージの両方において、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関がある。
【0099】
表3、図6、及び図9に示されるように、唾液試料中のカンピロバクター属の絶対値及び存在パーセンテージの両方において、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関がある。
【0100】
表3、図6、及び図10に示されるように、唾液試料中のロシア属の絶対値及び存在パーセンテージの両方において、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に正の相関がある。
【0101】
表3、図6、及び図11に示されるように、唾液試料中のカトネラ属の絶対値及び存在パーセンテージの両方において、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関がある。
【0102】
表3、図6、及び図12に示されるように、唾液試料中のポルフィロモナス属の絶対値及び存在パーセンテージの両方において、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関がある。
【0103】
表3、図6、及び図13に示されるように、唾液試料中のフレチバクテリウム属の絶対値及び存在パーセンテージの両方において、口腔咽頭の類表皮癌を有する被験体と健康な被験体との間に負の相関がある。
【0104】
メタゲノミクス、大規模シーケンシング、qPCR、DNAマイクロアレイ、及びこれらの値と超可変領域Rs16のシーケンシングによって見出された値との相関を含む既知の方法のいずれかによるRNA定量化試験(qPCR)の設計は、診断、好ましくは口腔咽頭の類表皮癌の疾患及び再発の早期診断のために有用となり得る。
【0105】
さらに、これらの患者の唾液微生物叢を調節するプロバイオティクスの使用は、喉頭及び口腔咽頭の類表皮癌を有する患者についての予防的治療又は介入治療となり得る。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
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