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特許7557808二酸化炭素ガス回収システム及び化学反応システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】二酸化炭素ガス回収システム及び化学反応システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20240920BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20240920BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B01D53/14 200
B01D53/62 ZAB
B60P3/00 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2024017909
(22)【出願日】2024-02-08
【審査請求日】2024-02-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591031566
【氏名又は名称】株式会社中園工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】倉持 華子
(72)【発明者】
【氏名】中園 安志
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-514045(JP,A)
【文献】特開2023-042789(JP,A)
【文献】特開2022-099372(JP,A)
【文献】特開2023-147631(JP,A)
【文献】特開2024-011922(JP,A)
【文献】特表2023-519592(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0182634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14 - 53/18
B01D 53/62
C01B 32/50
B60P 3/00 - 3/42
B60P 1/00 - 1/64
B63J 2/00 - 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、
移動体に対して積み卸し可能に構成されたフレーム体とを備え、
前記吸収部は、
前記フレーム体に搭載されており、
前記フレーム体に対して、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されている、二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項2】
原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、
移動体に対して積み卸し可能に構成されたフレーム体とを備え、
前記吸収部は、
前記フレーム体に搭載されており、
複数の吸収塔を含み、
前記複数の吸収塔の内部にはそれぞれ、前記原料ガスと前記吸収液との接触を促進する充填物が配置されている、二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項3】
前記複数の吸収塔のうち前記原料ガスを流通させる吸収塔を選択するように構成された選択部をさらに備える、請求項に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項4】
前記選択部は、前記複数の吸収塔のうち選択された吸収塔同士を接続する配管における前記原料ガスの流通を許容し、且つ、前記複数の吸収塔のうち選択されなかった吸収塔への前記原料ガスの流通を遮断するように構成されている、請求項に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項5】
前記選択部は、前記複数の吸収塔のうち選択された吸収塔について、前記原料ガスを流通させる順番を設定するように構成されている、請求項に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項6】
前記原料ガスの状態を取得するように構成された取得部をさらに備え、
前記選択部は、前記取得部によって取得された前記原料ガスの状態に基づいて、前記複数の吸収塔のうち前記原料ガスを流通させる吸収塔を選択するように構成されている、請求項に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項7】
前記複数の吸収塔における前記二酸化炭素の吸収状況を取得するように構成された別の取得部をさらに備え、
前記選択部は、前記別の取得部によって取得された吸収状況に基づいて、前記複数の吸収塔のうち前記原料ガスを流通させる吸収塔を選択するように構成されている、請求項に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項8】
送液部をさらに備え、
前記複数の吸収塔は、第1の吸収塔及び第2の吸収塔を含み、
前記送液部は、前記第2の吸収塔の下部に貯留されている前記吸収液を前記第1の吸収塔の上部に導入するように構成されている、請求項に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項9】
前記送液部は、前記第2の吸収塔の下部と前記吸収液を前記第1の吸収塔の上部とを接続するように構成された伸縮可能な配管を含む、請求項に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項10】
原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、
移動体に対して積み卸し可能に構成されたフレーム体とを備え、
前記吸収部は、複数の吸収塔を含み、
前記複数の吸収塔は、前記フレーム体に搭載されている、二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項11】
別の移動体に対して積み卸し可能に構成された別のフレーム体をさらに備え、
前記複数の吸収塔は、第1の吸収塔及び第2の吸収塔を含み、
前記第1の吸収塔は、前記フレーム体に搭載されており、
前記第2の吸収塔は、前記別のフレーム体に搭載されている、請求項10に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項12】
前記吸収部は、前記複数の吸収塔が全体的に上下方向に沿って延びる起立状態において、前記原料ガスに含まれる二酸化炭素を前記吸収液に吸収させるように構成されている、請求項10に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項13】
前記吸収部は、前記フレーム体の前記移動体への積載時において、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態とされている、請求項10に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項14】
前記移動体は、陸上を走行可能な車両である、請求項10に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項15】
前記吸収部から送液される前記吸収液を加熱することにより、前記吸収液から二酸化炭素を分離させるように構成された再生部をさらに備え、
前記再生部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されている、請求項10に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項16】
前記再生部は、前記フレーム体の前記移動体への積載時において、前記横倒し状態とされている、請求項15に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項17】
前記原料ガスの冷却及び/又は脱硫を前処理として行い、且つ、前記前処理後の前記原料ガスを前記吸収部に供給するように構成された前処理部をさらに備え、
前記前処理部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されている、請求項10に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項18】
前記前処理部は、前記フレーム体の前記移動体への積載時において、前記横倒し状態とされている、請求項17に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項19】
前記吸収部において二酸化炭素が吸収された後の前記原料ガスを洗浄液によって洗浄するように構成された洗浄部をさらに備え、
前記洗浄部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されている、請求項10に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項20】
前記洗浄部は、前記フレーム体の前記移動体への積載時において、前記横倒し状態とされている、請求項19に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【請求項21】
前記複数の吸収塔の長さは、前記移動体の荷台の長さ以下である、請求項1020のいずれか一項に記載の二酸化炭素ガス回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素ガス回収システム及び化学反応システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、大規模施設(例えば、発電所、セメント工場、製鉄所など)において多量に発生する排ガス中の二酸化炭素の分離回収の要望が拡大している。排ガス中から二酸化炭素を分離回収する手法として、例えば、化学吸収法(特許文献1参照)を含む種々の方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-290151号公報
【文献】特開2023―147631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、大規模施設から排出される排ガスは、二酸化炭素以外の種々の成分を含んでいる。そのため、大規模施設から排出される排ガスから二酸化炭素を分離回収システムによって実際に分離回収する際には、一定の規模の試験設備を当該大規模設備に併設し、大規模施設から排出される実際の排ガスを用いた試験(例えば、評価試験、実証試験など)を試験設備において実施することを要していた。しかも、試験をより適切に実施するために、試験設備における二酸化炭素の吸収塔の高さが、実機である分離回収システムの吸収塔の高さと同程度であることが望ましい。加えて、大規模施設は各所に存在しているので、大規模施設ごとに試験設備を建設し、試験の終了後に試験設備を解体するのでは、多大なコストがかかることとなる。
【0005】
ここで、特許文献2は、移動体(トラック)に搭載された二酸化炭素回収システムを開示している。この二酸化炭素回収システムは、移動体の走行中に走行風を取り入れ、その空気中の二酸化炭素を分離回収するように構成されている。しかしながら、特許文献2のシステムは、走行中でなければ二酸化炭素を分離回収することができないので、大規模施設のための試験設備には適さない。また、特許文献2のシステムは、トラックに搭載されることが想定されているが、実機である分離回収システムの吸収塔と同程度の大きさの吸収塔を一般的なトラックに搭載することは困難である。
【0006】
そこで、本開示は、複数の施設において排出される排ガス中の所定成分を分離回収するために、当該複数の施設への移動体による搬送を実現することが可能な二酸化炭素ガス回収システム及び化学反応システムを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
二酸化炭素ガス回収システムの一例は、原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、移動体に対して積み卸し可能に構成されたフレーム体とを備える。吸収部は、フレーム体に搭載されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る二酸化炭素ガス回収システム及び化学反応システムによれば、複数の施設において排出される排ガス中の所定成分を分離回収するために、当該複数の施設への移動体による搬送を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、二酸化炭素ガス回収システムの一例が移動体に搭載された状態を概略的に示す側面図である。
図2図2は、複数の処理塔のうちの一部が一のフレーム体に起立状態で搭載され、複数の処理塔のうちの残部が別のフレーム体に起立状態で搭載されると共に、一のフレーム体及び別のフレーム体が地面に設置された状態を概略的に示す正面図である。
図3図3は、処理ユニットを模式的に示す図である。
図4図4は、二酸化炭素ガス回収システムの主要部の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0011】
[二酸化炭素ガス回収システム]
図1図4を参照して、二酸化炭素ガス回収システム1について説明する。二酸化炭素ガス回収システム1は、大規模施設(例えば、発電所、セメント工場、製鉄所など)などの施設において発生する排ガスを、例えば当該施設の煙突から抜き出して原料ガスとして導入し、原料ガスに含まれる所定の二酸化炭素ガスを分離回収するように構成されている。
【0012】
二酸化炭素ガス回収システム1は、図1に例示されるように、移動体2に積載可能に構成されている。移動体2は、例えば、陸上を走行可能な車両(図1の例ではトレーラ)であってもよいし、海上を航行可能な船舶であってもよい。
【0013】
二酸化炭素ガス回収システム1は、フレーム体3と、フレーム体3に搭載された処理ユニットUと、コントローラCtr(制御部)とを含む。二酸化炭素ガス回収システム1は、複数のフレーム体3を含んでいてもよい。処理ユニットUは、複数のフレーム体3のそれぞれに搭載される複数の部分を含んでいてもよい。図2の例では、二酸化炭素ガス回収システム1は、2つのフレーム体3A,3Bを含んでおり、処理ユニットUの一部U1がフレーム体3Aに搭載され、処理ユニットUの残部U2がフレーム体3Bに搭載されている。なお、複数のフレーム体3はそれぞれ、異なる移動体2に積載されて搬送されてもよい。
【0014】
[フレーム体]
フレーム体3は、処理ユニットUの少なくとも一部を搭載可能に構成されている。そのため、フレーム体3と、当該フレーム体3に搭載されている処理ユニットUとは、これらが一体として、移動体2に対して積み卸し(積み込み又は荷卸し)される。
【0015】
フレーム体3は、例えば金属製であり、図1及び図2に例示されるように、ベース部3aと、支持プレート3bと、プレート支持部3cと、一対の回転保持部3dとを含む。ベース部3aは、フレーム体3の土台を構成しており、例えば全体として矩形状を呈している。ベース部3aは、移動体2の荷台と略同等の大きさであってもよく、例えば、長辺が10m程度で、短辺が3m程度の長さであってもよい。支持プレート3bは、処理ユニットUを構成する各種の要素(例えば、後述する処理塔Tなど)を、その主面S1上において支持するように構成されている。なお、支持プレート3bの主面S1は、支持プレート3bが横倒し状態(後述する)となったときに、上方を向く側の面である。
【0016】
プレート支持部3cは、ベース部3aの上面から上方に向けて延びている。プレート支持部3cは、支持プレート3bが横倒し状態(後述する)となったときに、支持プレート3bの背面S2を支持するように構成されている。なお、支持プレート3bの背面S2は、支持プレート3bが横倒し状態となったときに、ベース部3aと対面する側の面である。プレート支持部3cは、支持プレート3bの背面S2のうち複数箇所を支持してもよいし、支持プレート3bの背面S2をその幅方向にわたって支持してもよい。
【0017】
一対の回転保持部3dは、ベース部3aの上面から上方に向けて延びている。一対の回転保持部3dは、例えば、四角柱状を呈していてもよい。一対の回転保持部3dは、図1に例示されるように、ベース部3aの長手方向における一端寄りに位置していてもよい。一対の回転保持部3dは、支持プレート3bを間に置くように、支持プレート3bの両側に位置している。
【0018】
一対の回転保持部3dは、回転軸を介して、支持プレート3bを回転可能に保持している。具体的には、支持プレート3b、及び、支持プレート3bに支持されている処理ユニットUの各種の要素(処理塔Tを含む)は、これらが一体として、当該回転軸周りに回転する(図1の矢印Ar参照)。そのため、支持プレート3b、及び、支持プレート3bに支持されている処理ユニットUの各種の要素(処理塔Tを含む)は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態(支持プレート3bの背面S2がプレート支持部3cによって支持された状態)との間で姿勢を変更可能である。処理ユニットUにおける二酸化炭素の分離回収は、支持プレート3b、及び、支持プレート3bに支持されている処理ユニットUの各種の要素(処理塔Tを含む)が起立状態のときに実行される。
【0019】
起立状態と横倒し状態との間での姿勢の変更は、例えば、支持プレート3bをクレーンなどで吊り上げ又は吊り下げることにより、実行されてもよい。支持プレート3bの起立状態を維持するために、支持プレート3bをベース部3aに対して固定するように構成された固定具(図示せず)が用いられてもよい。支持プレート3b、及び、支持プレート3bに支持されている処理ユニットUの各種の要素(処理塔Tを含む)は、フレーム体3が移動体2の荷台への積載時において、横倒し状態とされていてもよい。一方、横倒し状態から起立状態への姿勢の変更は、フレーム体3を移動体2の荷台から降ろして地面に固定した後に実行されてもよい(図2参照)。
【0020】
横倒し状態において、支持プレート3b及び処理塔Tは、処理塔Tの上端が下方に傾かないように、水平方向に沿って延びていてもよい。横倒し状態において、支持プレート3b及び処理塔Tの傾きは、例えば、0°より大きく10°以下であってもよい。横倒し状態において、フレーム体3及び処理ユニットUの全体的な高さは、3m程度であってもよい。起立状態において、フレーム体3及び処理ユニットUの全体的な高さは、10m程度であってもよい。
【0021】
[処理ユニット]
処理ユニットUは、図3に例示されるように、前処理部10と、吸収部20と、洗浄部30と、再生部40とを含む。後述するように、前処理部10、吸収部20、洗浄部30及び再生部40はそれぞれ、前処理塔11、吸収塔21~24、洗浄塔31及び再生塔41をふくんでいる。本明細書において、これらの各塔を、処理塔Tと総称することがある。処理塔Tは、所定方向に直線状に延びる長尺構造物である。処理塔Tの長さは、移動体2の荷台の長さ以下であってもよい。処理塔Tの長さは、例えば、10m以下であってもよい。
【0022】
前処理部10は、前処理塔11と、配管L1a~L1cと、ポンプP11,P12と、センサSE11(取得部)とを含む。前処理塔11は、導入された原料ガスの冷却を前処理として行うように構成されている。前処理塔11において、原料ガスは、30℃~40℃程度まで冷却されてもよい。前処理塔11は、図3に例示されるように、フレーム体3Aに搭載されていてもよい。前処理塔11の内部には、例えば、規則充填物、不規則充填物などの充填物11aが充填されている。規則充填物としては、例えば、スルザーパッキング、メラパック、フレキシパック、ハニカムパック、グッドロールパッキング、ロンボパックなどが挙げられる。不規則充填物としては、例えば、ラシヒリング、カスケードミニリングなどが挙げられる。
【0023】
配管L1aは、前処理塔11のうち充填物11aよりも下部に接続されている。配管L1bは、前処理塔11の下端部から、前処理塔11のうち充填物11aよりも上部に接続されている。配管L1cは、前処理塔11の上端部から吸収部20に向けて延びている。
【0024】
ポンプP11は、配管L1a上に配置されている。ポンプP11は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L1aを通じて原料ガスを前処理塔11に供給するように構成されている。
【0025】
ポンプP12は、配管L1b上に配置されている。ポンプP12は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、前処理塔11の底部に貯留されている冷却水を、配管L1bを通じて前処理塔11の上部に供給するように構成されている。これにより、冷却水が、前処理塔11の上部から下部へと落下して、再び前処理塔11の上部へと循環する。前処理塔11の上部から落下した冷却水は、充填物11aを流下する際に、充填物11aを上昇する原料ガスと気液接触する。この気液接触の際、原料ガスが冷却される。なお、図示はしていないが、原料ガスに含まれるSOx、HCl、煤塵粒子などを除去するように構成された除去部が、前処理塔11内(例えば、前処理塔11のうち充填物11aよりも下部)に設けられていてもよい。
【0026】
センサSE11は、原料ガスの状態を取得するように構成されている。センサSE11は、取得した原料ガスの状態をコントローラCtrに送信するように構成されている。センサSE11によって取得される原料ガスの状態は、例えば、原料ガスの流量であってもよいし、原料ガスに含まれる二酸化炭素の濃度、圧力、温度などであってもよい。
【0027】
吸収部20は、複数の吸収塔21~24と、配管L2a~L2mと、ポンプP21~P24と、冷却部C21~C23と、バルブV21~V28と、センサSE21~SE24(別の取得部)とを含む。複数の吸収塔21~24はそれぞれ、原料ガスに含まれる二酸化炭素を、化学吸収法により吸収液に吸収させるように構成されている。吸収液は、二酸化炭素を吸収する液体であり、例えばアミン水溶液である。アミン水溶液は、例えば、MEA(モノエタノールアミン)、EAE(エチルアミノエタノール)、IPAE(イソプロパアミノエタノール)、およびTMDAH(テトラメチルジアミノヘキサン)などの水溶液であってもよい。
【0028】
吸収塔21,22は、図2に例示されるように、フレーム体3Aに搭載されていてもよい。吸収塔23,24は、図2に例示されるように、フレーム体3Bに搭載されていてもよい。吸収塔21~24の内部にはそれぞれ、例えば、充填物11aと同様の充填物21a~24aが充填されている。充填物21a~24aは、原料ガスと吸収液との接触を促進するように構成されている。
【0029】
図3に例示されるように、吸収塔21の内部には、一つの充填物21aが配置されている。吸収塔21の内部における充填物21aの長さは、例えば、5m程度であってもよい。吸収塔21の内部には、複数の充填物21aが配置されていてもよい。この場合、各充填物21aの長さは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0030】
図3に例示されるように、吸収塔22の内部には、一つの充填物22aが配置されている。吸収塔22の内部における充填物22aの長さは、例えば、5m程度であってもよい。吸収塔22の内部には、複数の充填物22aが配置されていてもよい。この場合、各充填物22aの長さは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0031】
図3に例示されるように、吸収塔23の内部には、一つの充填物23aが配置されている。吸収塔23の内部における充填物23aの長さは、例えば、5m程度であってもよい。吸収塔23の内部には、複数の充填物23aが配置されていてもよい。この場合、各充填物23aの長さは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0032】
図3に例示されるように、吸収塔24の内部には、一つの充填物22aが配置されている。吸収塔24の内部における充填物24aの長さは、例えば、5m程度であってもよい。吸収塔24の内部には、複数の充填物24aが配置されていてもよい。この場合、各充填物24aの長さは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
配管L2aは、配管L1cの下流端から分岐して、吸収塔21のうち充填物21aよりも下部に接続されている。配管L2bは、配管L1cの下流端から分岐して、配管L2dの中途に接続されている。配管L2cは、吸収塔21の下端部から再生部40の再生塔41に向けて延びている。配管L2dは、吸収塔21の上端部から、配管L27の中途に接続されている。
【0034】
配管L2eは、配管L2dの中途で且つ配管L2b,L2dの合流点よりも下流側から分岐して、吸収塔22のうち充填物22aよりも下部に接続されている。配管L2fは、吸収塔22の下端部から、吸収塔21のうち充填物21aよりも上部に接続されている。配管L2gは、吸収塔22の上端部から、配管L2jの中途に接続されている。
【0035】
配管L2hは、配管L2gの中途で且つ配管L2d,L2gの合流点よりも下流側から分岐して、吸収塔23のうち充填物23aよりも下部に接続されている。配管L2iは、吸収塔23の下端部から、吸収塔22のうち充填物22aよりも上部に接続されている。配管L2jは、吸収塔23の上端部から、配管L2mの中途に接続されている。
【0036】
配管L2kは、配管L2jの中途で且つ配管L2g,L2jの合流点よりも下流側から分岐して、吸収塔24のうち2つの充填物24aよりも下部に接続されている。配管L2lは、吸収塔24の下端部から、吸収塔23のうち充填物23aよりも上部に接続されている。配管L2mは、吸収塔24の上端部から、洗浄部30に向けて延びている。
【0037】
ところで、上述のとおり、吸収塔22(第1の吸収塔)はフレーム体3Aに搭載されており、吸収塔23(第2の吸収塔)はフレーム体3Bに搭載されている。そのため、吸収塔22と、吸収塔23とは、異なる移動体2によって搬送されうる。この場合、フレーム体3A,3Bは、それぞれ異なる移動体2の荷台から降ろされて、別々に地面に固定されることとなる。この際に、吸収塔22,23を接続するための配管の長さが固定長であると、フレーム体3A,3Bの地面への設置に制約が生ずる。そこで、吸収塔22,23を接続するための配管は、伸縮可能な配管FPを含んでいてもよい。図2の例では、吸収塔23の下部と吸収塔22の上部とを接続する配管L2i(送液部)が、伸縮可能な配管FP(送液部)を含んでいる。
【0038】
ポンプP21は、配管L2c上に配置されている。ポンプP21は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L2cを通じて、吸収塔21の下端部に貯留されている吸収液を、再生部40に供給するように構成されている。
【0039】
ポンプP22は、配管L2f上に配置されている。ポンプP22は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L2fを通じて、吸収塔22の下端部に貯留されている吸収液を、吸収塔21の上端部に供給するように構成されている。
【0040】
ポンプP23(送液部)は、配管L2i上に配置されている。ポンプP23は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L2iを通じて、吸収塔23の下端部に貯留されている吸収液を、吸収塔22の上端部に供給するように構成されている。
【0041】
ポンプP24は、配管L2l上に配置されている。ポンプP24は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L2lを通じて、吸収塔24の下端部に貯留されている吸収液を、吸収塔23の上端部に供給するように構成されている。
【0042】
冷却部C21は、配管L2fのうちポンプP22の下流側に配置されている。冷却部C21は、配管L2fを流れる吸収液と冷却液との間で熱交換を行い、当該吸収液を冷却するように構成されている。冷却部C21において、当該吸収液は、35℃程度まで冷却されてもよい。
【0043】
冷却部C22は、配管L2iのうちポンプP23の下流側に配置されている。冷却部C22は、配管L2iを流れる吸収液と冷却液との間で熱交換を行い、当該吸収液を冷却するように構成されている。冷却部C22において、当該吸収液は、35℃程度まで冷却されてもよい。
【0044】
冷却部C23は、配管L2lのうちポンプP24の下流側に配置されている。冷却部C23は、配管L2lを流れる吸収液と冷却液との間で熱交換を行い、当該吸収液を冷却するように構成されている。冷却部C23において、当該吸収液は、35℃程度まで冷却されてもよい。
【0045】
バルブV21~V28はそれぞれ、配管L2a,L2b,L2d,L2e,L2g,L2h,L2j,L2k上に配置されている。バルブV21~V28はそれぞれ、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L2a,L2b,L2d,L2e,L2g,L2h,L2j,L2kにおける流体の流通を許容する開状態と、当該流体の流通を阻止する閉状態との間で開閉可能に構成されている。
【0046】
センサSE21~SE24(別の取得部)はそれぞれ、吸収塔21~24における二酸化炭素の吸収状況を取得するように構成されている。センサSE21~SE24はそれぞれ、取得した吸収状況をコントローラCtrに送信するように構成されている。センサSE21~SE24によって取得される吸収状況は、例えば、各吸収塔21~24における二酸化炭素の吸収率などであってもよい。
【0047】
洗浄部30は、洗浄塔31と、配管L3a,L3bと、バルブV31,V32とを含む。洗浄塔31は、吸収部20において二酸化炭素が吸収された後の原料ガス(脱炭酸ガス)を洗浄液によって洗浄するように構成されている。洗浄塔31の内部には、例えば、充填物11aと同様の充填物31aが充填されている。充填物31aは、脱炭酸ガスと洗浄液との接触を促進するように構成されている。なお、吸収塔24の上端部から延びる配管L2mの下流端は、洗浄塔31のうち充填物31aよりも下部に接続されている。
【0048】
図3に例示されるように、洗浄塔31の内部には、一つの充填物31aが配置されている。洗浄塔31の内部における充填物31aの長さは、例えば、5m程度であってもよい。洗浄塔31の内部には、複数の充填物31aが配置されていてもよい。この場合には、各充填物31aの長さは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0049】
洗浄液は、脱炭酸ガスに同伴する吸収液の成分であるアミンを回収する液体であり、例えば洗浄水である。図示していないが、洗浄液は、洗浄塔31の上部から供給され、下部へと落下して、再び洗浄塔31の上部へと循環する。洗浄塔31の上部から落下した洗浄液は、充填物31aを流下する際に、充填物31aを上昇する脱炭酸ガスと気液接触する。この気液接触の際、アミンが洗浄液に溶解して吸収される。
【0050】
配管L3aは、洗浄塔31の上端部から、配管L4g(後述する)の中途に接続されている。配管L3bは、配管L3aの中途から分岐している。配管L3bは、洗浄塔31においてアミンが除去された処理後ガスを系外に排出するように構成されている。配管L3bは、例えば、施設の煙突に接続されており、処理後ガスを当該煙突に戻してもよい。
【0051】
バルブV31,V32はそれぞれ、配管L3a,L3b上に配置されている。バルブV31,V32はそれぞれ、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L3a,L3bにおける流体の流通を許容する開状態と、当該流体の流通を阻止する閉状態との間で開閉可能に構成されている。
【0052】
再生部40は、再生塔41と、加熱部42と、気液分離部43と、配管L4a~L4hと、ポンプP41,P42と、熱交換部HTと、冷却部C41,C42と、バルブV41~V46とを含む。再生塔41は、原料ガスに含まれる二酸化炭素が吸収された吸収液(リッチ液)を加熱することにより、リッチ液から二酸化炭素を分離させるように構成されている。再生塔41の内部には、例えば、充填物11aと同様の充填物41aが充填されている。充填物41aは、リッチ液と蒸気(後述する)との接触を促進するように構成されている。なお、吸収塔21の下端部から延びる配管L2cの下流端は、再生塔41のうち充填物41aよりも上部に接続されている。
【0053】
図3に例示されるように、再生塔41の内部には、複数の充填物41aが配置されている。再生塔41の内部には、少なくとも一つの充填物41aが配置されていてもよい。再生塔41の内部に複数の充填物41aが配置されている場合には、各充填物41aの長さは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0054】
加熱部42は、いわゆるリボイラであり、再生塔41の下部に接続されている。加熱部42は、再生塔41においてリッチ液から二酸化炭素が分離した後のリーン液を加熱して蒸気を生成するように構成されている。生成された蒸気は、再生塔41内を上昇して、充填物41aにおいてリッチ液と気液接触してリッチ液を加熱し、リッチ液から二酸化炭素を分離させる。当該蒸気は、リッチ液から分離した二酸化炭素を含有した二酸化炭素含有ガスとなり、再生塔41の上端部に向けて上昇する。
【0055】
気液分離部43は、凝縮液(後述する)から二酸化炭素を分離するように構成されている。
【0056】
配管L4aは、再生塔41の下端部から、配管L2fの中途で且つ冷却部C21の下流側に接続されている。配管L4bは、配管L4aの中途で分岐して、配管L2iの中途で且つ冷却部C22の下流側に接続されている。配管L4cは、配管L4aの中途で且つ配管L4a,L4bの分岐点の上流側で分岐して、配管L2lの中途で且つ冷却部C23の下流側に接続されている。配管L4dは、配管L4aの中途で且つ配管L4a,L4cの分岐点の上流側で分岐して、吸収塔24の上端部に接続されている。
【0057】
配管L4eは、再生塔41の上端部から、気液分離部43の上端部に接続されている。配管L4fは、気液分離部43の下端部から、再生塔41の上端部に接続されている。配管L4gは、気液分離部43の上端部から、配管L1aの中途で且つポンプP11及びセンサSE11の上流側に接続されている。配管L4hは、配管L4gの中途で分岐している。配管L4hは、気液分離部43において分離された二酸化炭素ガスを、図示しない回収装置に送るように構成されていてもよい。
【0058】
ポンプP41は、配管L4a上に配置されている。ポンプP41は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L4a~L4dを通じて、再生塔41の下端部に貯留されているリーン液を、各吸収塔21~24に供給するように構成されている。
【0059】
ポンプP42は、配管L4f上に配置されている。ポンプP42は、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L4fを通じて、気液分離部43において二酸化炭素が分離された凝縮液を、気液分離部43から再生塔41に戻すように構成されている。
【0060】
熱交換部HTは、配管L2cを流れる吸収液と、配管L4aを流れるリーン液との間で熱交換をするように構成されている。熱交換部HTにおいて、配管L4aを流れるリーン液の熱によって、配管L2cを流れる吸収液が加熱される。熱交換部HTは、図3に例示されるように、配管L2cのうちポンプP21の下流側、及び、配管L4aのうちポンプP41と配管L4a,L4dの分岐点との間に配置されていてもよい。
【0061】
冷却部C41は、配管L4aのうち熱交換部HTと配管L4a,L4dの分岐点との間に配置されている。冷却部C41は、熱交換部HTによる熱交換後のリーン液と冷却液との間で熱交換を行い、当該リーン液を冷却するように構成されている。冷却部C41において、当該リーン液は、30℃~40℃程度まで冷却されてもよい。
【0062】
冷却部C42は、配管L4eに配置されている。冷却部C42は、再生塔41の上端部から配管L4eを通じて流れる二酸化炭素含有ガスと冷却液との間で熱交換を行い、当該二酸化炭素含有ガスを凝縮して凝縮液を生成するように構成されている。
【0063】
バルブV41~V46はそれぞれ、配管L4a~L4d,L4g,L4h上に配置されている。より詳しくは、バルブV41は、配管L4aのうち配管L4a,L4bの分岐点よりも下流側に配置されている。バルブV45は、配管L4gのうち配管L4g,L4hの分岐点と配管L3a,L4gの合流点との間に配置されている。バルブV41~V46はそれぞれ、コントローラCtrからの制御信号に基づいて動作し、配管L4a~L4d,L4g,L4hにおける流体の流通を許容する開状態と、当該流体の流通を阻止する閉状態との間で開閉可能に構成されている。
【0064】
[コントローラ]
コントローラCtr(選択部)は、図4に例示されるように、機能モジュールとして、読取部M1と、記憶部M2と、処理部M3と、指示部M4とを有する。これらの機能モジュールは、コントローラCtrの機能を便宜上複数のモジュールに区切ったものに過ぎず、コントローラCtrを構成するハードウェアがこのようなモジュールに分かれていることを必ずしも意味するものではない。各機能モジュールは、プログラムの実行により実現されるものに限られず、専用の電気回路(例えば論理回路)、又は、これを集積した集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)により実現されるものであってもよい。
【0065】
読取部M1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体RMからプログラムを読み取るように構成されている。記録媒体RMは、処理ユニットUの各部を動作させるためのプログラムを記録している。記録媒体RMとしては、例えば、半導体メモリ、光記録ディスク、磁気記録ディスク、光磁気記録ディスクであってもよい。本明細書において、処理ユニットUの各部は、例えば、ポンプP11,P12,P21~P24,P41,P42、バルブV21~V28,V31,V32,V41~V46などを含んでいてもよい。
【0066】
記憶部M2は、種々のデータを記憶するように構成されている。記憶部M2は、例えば、読取部M1において記録媒体RMから読み出したプログラム、処理ユニットUの各部を動作させる際の設定パラメータ、外部入力装置(図示せず)を介してオペレータから入力された設定データなどを記憶してもよい。記憶部M2は、センサSE11,SE21~SE24において取得されたデータを受信し、当該データを記憶してもよい。
【0067】
処理部M3は、各種データを処理するように構成されている。処理部M3は、例えば、記憶部M2に記憶されている各種データに基づいて、処理ユニットUの各部を動作させるための動作信号を生成するように構成されていてもよい。
【0068】
指示部M4は、処理部M3において生成された動作信号を処理ユニットUの各部に送信するように構成されている。
【0069】
[原料ガス中の二酸化炭素の濃度の調節]
バルブV32が閉状態のときに、コントローラCtrがバルブV31を制御して、バルブV31を開放する場合について説明する。この場合、洗浄塔31においてアミンが洗浄液に吸収された後の脱炭酸ガスは、配管L3a,L4gを通じて、原料ガスを前処理塔11に供給するための配管L1aに導入される。そのため、原料ガス中の二酸化炭素の濃度が低くなる。
【0070】
一方、バルブV46が閉状態のときに、コントローラCtrがバルブV45を制御して、バルブV45を開放する場合について説明する。この場合、気液分離部43において分離された二酸化炭素ガスは、配管L4gを通じて、原料ガスを前処理塔11に供給するための配管L1aに導入される。そのため、原料ガス中の二酸化炭素の濃度が高くなる。
【0071】
このように、バルブV31,V45の開閉に応じて、処理ユニットUにおいて処理される原料ガス中の二酸化炭素の濃度が調節される。したがって、コントローラCtr及びバルブV31,V45は、原料ガス中の二酸化炭素濃度を調節する調節部を構成している。
【0072】
[吸収塔の選択]
コントローラCtrがバルブV21~V28を制御して、バルブV21~V28の開閉状態を次のように設定することで、吸収塔21~24の全てを用いて、原料ガスから二酸化炭素の分離処理が行われる。
開状態:バルブV21,V24,V26,V28
閉状態:バルブV22,V23,V25,V27
【0073】
このとき、配管L1c,L2aを通じて前処理部10から吸収塔21の下端部に供給される原料ガスは、吸収塔21の下端部から上端部へと上昇しながら吸収液と反応する。吸収塔21の上端部に到達した原料ガスは、配管L2d,L2eを通じて吸収塔22の下端部に供給され、吸収塔22の下端部から上端部へと上昇しながら吸収液と反応する。吸収塔22の上端部に到達した原料ガスは、配管L2g,L2hを通じて吸収塔23の下端部に供給され、吸収塔23の下端部から上端部へと上昇しながら吸収液と反応する。吸収塔23の上端部に到達した原料ガスは、配管L2j,L2kを通じて吸収塔24の下端部に供給され、吸収塔24の下端部から上端部へと上昇しながら吸収液と反応する。このように、原料ガスは、吸収塔21~24を順次通過して、吸収液と反応した後、洗浄塔31に供給される。
【0074】
一方、コントローラCtrによるバルブV21~V28の開閉状態の設定に応じて、吸収塔21~24のうちの一部に原料ガスを流通させることが可能である。すなわち、コントローラCtr及びバルブV21~V28は、吸収塔21~24のうち原料ガスを流通させる吸収塔を選択する選択部を構成している。以下に、バルブV21~V28の開閉状態と、吸収塔21~24のうち選択される一部との対応関係を列挙する。
【0075】
・吸収塔21が選択される場合
開状態:バルブV21,V23,V25,V27
閉状態:バルブV22,V24,V26,V28
【0076】
・吸収塔22が選択される場合
開状態:バルブV22,V24,V25,V27
閉状態:バルブV21,V23,V26,V28
【0077】
・吸収塔23が選択される場合
開状態:バルブV22,V23,V26,V27
閉状態:バルブV21,V24,V25,V28
【0078】
・吸収塔24が選択される場合
開状態:バルブV22,V23,V25,V28
閉状態:バルブV21,V24,V26,V27
【0079】
・吸収塔21,22が選択される場合
開状態:バルブV21,V24,V25,V27
閉状態:バルブV22,V23,V26,V28
【0080】
・吸収塔21,23が選択される場合
開状態:バルブV21,V23,V26,V27
閉状態:バルブV22,V24,V25,V28
【0081】
・吸収塔21,24が選択される場合
開状態:バルブV21,V23,V25,V28
閉状態:バルブV22,V24,V26,V27
【0082】
・吸収塔22,23が選択される場合
開状態:バルブV22,V24,V26,V27
閉状態:バルブV21,V23,V25,V28
【0083】
・吸収塔22,24が選択される場合
開状態:バルブV22,V24,V25,V28
閉状態:バルブV21,V23,V26,V27
【0084】
・吸収塔23,24が選択される場合
開状態:バルブV22,V23,V26,V28
閉状態:バルブV21,V24,V25,V27
【0085】
・吸収塔21~23が選択される場合
開状態:バルブV21,V24,V26,V27
閉状態:バルブV22,V23,V25,V28
【0086】
・吸収塔21,22,24が選択される場合
開状態:バルブV21,V24,V25,V28
閉状態:バルブV22,V23,V26,V27
【0087】
・吸収塔21,23,24が選択される場合
開状態:バルブV21,V23,V26,V28
閉状態:バルブV22,V24,V25,V27
【0088】
・吸収塔22~24が選択される場合
開状態:バルブV22,V24,V26,V28
閉状態:バルブV21,V23,V25,V27
【0089】
ところで、コントローラCtrは、センサSE11によって取得された原料ガスの状態に基づいて、吸収塔21~24の全て又は一部を選択してもよい。例えば、センサSE11によって取得された原料ガスの流量が比較的多い場合や、原料ガスに含まれる二酸化炭素の濃度が比較的高い場合には、コントローラCtrは、吸収塔21~24のうちから比較的多い数の吸収塔を選択するようにしてもよい。一方、例えば、センサSE11によって取得された原料ガスの流量が比較的少ない場合や、原料ガスに含まれる二酸化炭素の濃度が比較的低い場合には、コントローラCtrは、吸収塔21~24のうちから比較的少ない数の吸収塔を選択するようにしてもよい。
【0090】
また、コントローラCtrは、センサSE21~SE24において取得された吸収状況に基づいて、吸収塔21~24の全て又は一部を選択してもよい。例えば、センサSE21~SE24によって取得された二酸化炭素の吸収率が比較的高い値を示す場合には、コントローラCtrは、吸収塔21~24のうち当該比較的高い値を示す吸収塔を選択するようにしてもよい。一方、例えば、センサSE21~SE24によって取得された二酸化炭素の吸収率が比較的低い値を示す場合には、コントローラCtrは、吸収塔21~24のうち当該比較的低い値を示す吸収塔を選択しないようにしてもよい。
【0091】
[作用]
以上の例によれば、吸収部20は、フレーム体3と共に、移動体2に対して積み卸しされる。そのため、複数の施設間で移動体2が移動することにより、吸収部20を複数の施設に簡易に移動させることができる。したがって、複数の施設において排出される排ガス中の所定成分を分離回収するために、当該複数の施設への移動体2による搬送を実現することが可能となる。
【0092】
以上の例によれば、例えば、移動体2によってフレーム体3が搬送される際に、前処理部10、吸収部20、洗浄部30及び再生部40が横倒し状態とされる。そのため、移動中の移動体2の周囲の物体にこれらが衝突し難くなるので、処理ユニットUをより安全に搬送することが可能となる。また、例えば、移動体2の施設への到着後に、当該施設から排出される原料ガス中の所定成分を分離回収する際に、前処理部10、吸収部20、洗浄部30及び再生部40が起立状態とされることにより、分離回収の効率を高めることが可能となる。
【0093】
以上の例によれば、吸収部20は、内部に充填物21a~24aがそれぞれ配置されている複数の吸収塔21~24を含むため、吸収部20としての機能が複数の吸収塔21~24に分割される。そのため、一般的には長大な長さとなる傾向にある吸収部20がコンパクト化される。したがって、吸収部20の移動体2への搭載時に、吸収部20が移動体2からはみ出し難くなるので、吸収部20をより安全に搬送することが可能となる。
【0094】
以上の例によれば、コントローラCtrがバルブV21~V28の開閉状態を制御することにより、複数の吸収塔21~24のうち原料ガスを流通させる吸収塔が選択される。そのため、例えば、原料ガスや吸収塔21~24の状況に応じて、吸収塔21~24のうち原料ガスを適切に処理できる吸収塔が選択される。したがって、分離回収の効率をより高めることが可能となる。
【0095】
以上の例によれば、コントローラCtrがバルブV21~V28の開閉状態を制御することにより、複数の吸収塔21~24のうち原料ガスを流通させる吸収塔が選択される。そのため、選択された吸収塔への原料ガスの流通が、バルブV21~V28の開放によって実現されると共に、選択されない吸収塔への原料ガスの流通が、バルブV21~V28の閉鎖によって実現される。そのため、選択された吸収塔に対して原料ガスをより確実に供給することが可能となる。
【0096】
以上の例によれば、コントローラCtrがバルブV21~V28の開閉状態を制御することにより、複数の吸収塔21~24のうち原料ガスを流通させる吸収塔の順番が設定される。そのため、例えば、原料ガスや吸収塔の状況に応じて、原料ガスを適切に処理できる順に、コントローラCtrが吸収塔21~24の順番を設定することにより、分離回収の効率をさらに高めることが可能となる。
【0097】
以上の例によれば、センサSE11によって取得された原料ガスの状態に基づいて、吸収塔21~24の全て又は一部が選択される。そのため、原料ガスの状態(例えば、原料ガスの流量、原料ガス中の二酸化炭素の含有率など)に応じて、複数の吸収塔21~24のうちから選択される吸収塔の数を変更することで、原料ガスの処理に適した数の吸収塔が稼働する。したがって、分離回収の効率をいっそう高めることが可能となる。
【0098】
以上の例によれば、センサSE21~SE24において取得された吸収状況に基づいて、吸収塔21~24の全て又は一部が選択される。そのため、例えば、複数の吸収塔21~24のうち二酸化炭素の吸収状況の良否に応じて、複数の吸収塔21~24のうちから選択される吸収塔を変更することで、原料ガスの処理に適した吸収塔が稼働する。そのため、分離回収の効率をよりいっそう高めることが可能となる。
【0099】
以上の例によれば、吸収塔22の下部と吸収塔21の上部とを接続する配管L2fを通じて、吸収塔22の下端部に貯留されている吸収液が、ポンプP22によって、吸収塔21の上端部に供給される。吸収塔23の下部と吸収塔22の上部とを接続する配管L2iを通じて、吸収塔23の下端部に貯留されている吸収液が、ポンプP23によって、吸収塔22の上端部に供給される。吸収塔24の下部と吸収塔23の上部とを接続する配管L2lを通じて、吸収塔24の下端部に貯留されている吸収液が、ポンプP24によって、吸収塔23の上端部に供給される。この場合、吸収部20が複数の吸収塔21~24に分割された場合でも、実機における1つの長大な吸収塔が模擬される。したがって、二酸化炭素ガス回収システム1において、実機である分離回収システムに近い環境で、二酸化炭素の分離回収処理を実行することが可能となる。
【0100】
以上の例によれば、配管L2iは、伸縮可能な配管FPを含んでいる。そのため、吸収塔23,24を施設に併設する際に、吸収塔22と吸収塔23とを厳密に位置決めすることなく、伸縮可能な配管FPにて両者を接続することができる。したがって、吸収塔22,23を簡易に設置することが可能となる。
【0101】
以上の例によれば、バルブV31,V45の開閉に応じて、処理ユニットUにおいて処理される原料ガス中の二酸化炭素の濃度が調節される。そのため、所定の試験(例えば、評価試験、実証試験など)を二酸化炭素ガス回収システム1において実施する際に、様々な二酸化炭素濃度の条件による試験を実施できるようになる。したがって、試験の短縮が図られるので、試験のコストを低減することが可能となる。
【0102】
以上の例によれば、処理ユニットUの一部U1がフレーム体3Aに搭載され、処理ユニットUの残部U2がフレーム体3Bに搭載される。すなわち、吸収塔22がフレーム体3Aに搭載されており、吸収塔23がフレーム体3Bに搭載されている。そのため、例えば、フレーム体3Aに搭載される吸収塔22と、フレーム体3Bに搭載される吸収塔23とはそれぞれ、別々の移動体2で搬送されうる。したがって、一つのフレーム体3に吸収塔22,23を同時に搭載できないような場合であっても、複数の吸収塔を効率的に搬送することが可能となる。
【0103】
以上の例によれば、移動体2は、陸上を走行可能な車両である。そのため、複数の施設間での処理ユニットUの搬送を、比較的低コストで実現することが可能となる。
【0104】
以上の例によれば、処理塔Tの長さは、移動体2の荷台の長さ以下である。そのため、処理塔Tが移動体2の荷台からはみ出し難いため、移動体2によってフレーム体3が搬送される際に、処理塔Tをより安全に搬送することが可能となる。
【0105】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0106】
(1)処理ユニットUは、原料ガス中の二酸化炭素に加えて又は代えて、硫黄酸化物などの他の成分を原料ガス中から分離回収するように構成されていてもよい。すなわち、二酸化炭素ガス回収システム1に代えて、フレーム体3及び処理ユニットUを備える化学反応システムであってもよい。
【0107】
(2)処理ユニットUは、フレーム体3を介さずに、移動体2に搭載されていてもよい。この場合、処理ユニットUは、移動体2に対して積み卸し可能とされていてもよい。
【0108】
(3)以上の例では、センサSE11,SE21~SE24から送信されたデータに基づいて、コントローラCtrが、バルブV21~V28の開閉状態を制御していた。また、バルブV31,V32,V41~V46の開閉状態も、コントローラCtrが制御していた。しかしながら、各バルブV21~V28,V31,V32,V41~V46について、作業者が人手で開閉してもよい。
【0109】
[他の例]
例1.二酸化炭素ガス回収システムの一例は、原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、移動体に対して積み卸し可能に構成されたフレーム体とを備える。吸収部は、フレーム体に搭載されている。この場合、吸収部は、フレーム体と共に、移動体に対して積み卸しされる。そのため、複数の施設間で移動体が移動することにより、吸収部を複数の施設に簡易に移動させることができる。したがって、複数の施設において排出される排ガス中の所定成分を分離回収するために、当該複数の施設への移動体による搬送を実現することが可能となる。
【0110】
例2.例1の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、吸収部は、フレーム体に対して、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されていてもよい。この場合、例えば、移動体によってフレーム体が搬送される際に、吸収部が横倒し状態とされることにより、移動中の移動体の周囲の物体に吸収部が衝突し難くなるので、吸収部をより安全に搬送することが可能となる。また、例えば、移動体の施設への到着後に、当該施設から排出される原料ガス中の所定成分を分離回収する際に、吸収部が起立状態とされることにより、分離回収の効率を高めることが可能となる。
【0111】
例3.例1又は例2の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、吸収部は、複数の吸収塔を含み、複数の吸収塔の内部にはそれぞれ、原料ガスと吸収液との接触を促進する充填物が配置されていてもよい。この場合、吸収部は、内部に充填物が配置されている複数の吸収塔を含むため、吸収部としての機能が複数の吸収塔に分割される。そのため、一般的には長大な長さとなる傾向にある吸収部がコンパクト化される。したがって、吸収部の移動体への搭載時に、吸収部が移動体からはみ出し難くなるので、吸収部をより安全に搬送することが可能となる。
【0112】
例4.例3の二酸化炭素ガス回収システムは、複数の吸収塔のうち原料ガスを流通させる吸収塔を選択するように構成された選択部をさらに備えていてもよい。この場合、例えば、原料ガスや吸収塔の状況に応じて、原料ガスを適切に処理できる吸収塔が選択部によって選択されることで、分離回収の効率をより高めることが可能となる。
【0113】
例5.例4の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、選択部は、複数の吸収塔のうち選択された吸収塔同士を接続する配管における原料ガスの流通を許容し、且つ、複数の吸収塔のうち選択されなかった吸収塔への原料ガスの流通を遮断するように構成されていてもよい。この場合、選択された吸収塔に対して原料ガスをより確実に供給することが可能となる。
【0114】
例6.例4又は例5の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、選択部は、複数の吸収塔のうち選択された吸収塔について、原料ガスを流通させる順番を設定するように構成されていてもよい。この場合、例えば、原料ガスや吸収塔の状況に応じて、原料ガスを適切に処理できる順に、選択部が吸収塔の順番を設定することにより、分離回収の効率をさらに高めることが可能となる。
【0115】
例7.例4~例6のいずれかの二酸化炭素ガス回収システムは、原料ガスの状態を取得するように構成された取得部をさらに備え、選択部は、取得部によって取得された原料ガスの状態に基づいて、複数の吸収塔のうち原料ガスを流通させる吸収塔を選択するように構成されていてもよい。この場合、原料ガスの状態(例えば、原料ガスの流量、原料ガス中の二酸化炭素の含有率など)に応じて、複数の吸収塔のうちから選択される吸収塔の数を変更することで、原料ガスの処理に適した数の吸収塔が稼働する。そのため、分離回収の効率をいっそう高めることが可能となる。
【0116】
例8.例4~例7のいずれかの二酸化炭素ガス回収システムは、複数の吸収塔における二酸化炭素の吸収状況を取得するように構成された別の取得部をさらに備え、選択部は、別の取得部によって取得された吸収状況に基づいて、複数の吸収塔のうち原料ガスを流通させる吸収塔を選択するように構成されていてもよい。この場合、例えば、複数の吸収塔のうち二酸化炭素の吸収状況の良否に応じて、複数の吸収塔のうちから選択される吸収塔を変更することで、原料ガスの処理に適した吸収塔が稼働する。そのため、分離回収の効率をよりいっそう高めることが可能となる。
【0117】
例9.例3~例8のいずれかの二酸化炭素ガス回収システムは、送液部をさらに備え、複数の吸収塔は、第1の吸収塔及び第2の吸収塔を含み、送液部は、第2の吸収塔の下部に貯留されている吸収液を第1の吸収塔の上部に導入するように構成されていてもよい。ところで、実機である分離回収システムを施設に併設する際には、1つの長大な吸収塔の上端部に供給された吸収液が下方に落下しながら二酸化炭素を吸収していくことになる。例9の場合、第2の吸収塔において二酸化炭素を吸収した後の処理液が、第1の吸収塔における二酸化炭素の吸収のために用いられる。そのため、吸収部が複数の吸収塔に分割された場合でも、実機における1つの長大な吸収塔が模擬される。したがって、二酸化炭素ガス回収システムにおいて、実機である分離回収システムに近い環境で、分離回収処理を実行することが可能となる。
【0118】
例10.例9の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、送液部は、第2の吸収塔の下部と吸収液を第1の吸収塔の上部とを接続するように構成された伸縮可能な配管を含んでいてもよい。この場合、第1及び第2の吸収塔を施設に併設する際に、第1の吸収塔と第2の吸収塔とを厳密に位置決めすることなく、伸縮可能な配管にて両者を接続することができる。そのため、第1及び第2の吸収塔を簡易に設置することが可能となる。
【0119】
例11.二酸化炭素ガス回収システムの他の例は、原料ガスに含まれる二酸化炭素が吸収された吸収液から二酸化炭素を分離させるように構成された再生部と、移動体に対して積み卸し可能に構成されたフレーム体とを備える。再生部は、フレーム体に搭載されている。この場合、再生部は、フレーム体と共に、移動体に対して積み卸しされる。そのため、複数の施設間で移動体が移動することにより、再生部を複数の施設に簡易に移動させることができる。したがって、複数の施設において排出される排ガス中の所定成分を分離回収するために、当該複数の施設への移動体による搬送を実現することが可能となる。
【0120】
例12.二酸化炭素ガス回収システムの他の例は、原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、吸収部から送液される吸収液を加熱することにより、吸収液から二酸化炭素を分離させるように構成された再生部と、再生部において分離された二酸化炭素又は他のガスを原料ガスに供給して、原料ガス中の二酸化炭素濃度を調節するように構成された調節部とを備える。この場合、二酸化炭素ガス回収システムにおいて分離回収される原料ガス中の二酸化炭素濃度が、調節部によって適宜調節される。そのため、所定の試験(例えば、評価試験、実証試験など)を二酸化炭素ガス回収システムにおいて実施する際に、様々な二酸化炭素濃度の条件による試験を実施できるようになる。したがって、試験の短縮が図られるので、試験のコストを低減することが可能となる。
【0121】
例13.二酸化炭素ガス回収システムの他の例は、原料ガスに含まれる二酸化炭素を化学吸収法により吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、吸収部から送液される吸収液を加熱することにより、吸収液から二酸化炭素を分離させるように構成された再生部とを備える。吸収部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されている。この場合、例えば、移動体によって吸収部が搬送される際に、吸収部が横倒し状態とされることにより、移動中の移動体の周囲の物体に吸収部が衝突し難くなるので、吸収部をより安全に搬送することが可能となる。また、例えば、移動体の施設への到着後に、当該施設から排出される原料ガス中の所定成分を分離回収する際に、吸収部が起立状態とされることにより、分離回収の効率を高めることが可能となる。
【0122】
例14.例13の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、再生部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されていてもよい。この場合、例えば、移動体によって再生部が搬送される際に、再生部が横倒し状態とされることにより、移動中の移動体の周囲の物体に再生部が衝突し難くなるので、再生部をより安全に搬送することが可能となる。また、例えば、移動体の施設への到着後に、当該施設から排出される原料ガス中の所定成分を分離回収する際に、再生部が起立状態とされることにより、分離回収の効率を高めることが可能となる。
【0123】
例15.二酸化炭素ガス回収システムの他の例は、原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部を備える。吸収部は、複数の吸収塔を含む。複数の吸収塔はそれぞれ、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されている。この場合、例13と同様の作用効果が得られる。
【0124】
例16.二酸化炭素ガス回収システムの他の例は、原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、移動体に対して積み卸し可能に構成されたフレーム体とを備える。吸収部は、複数の吸収塔を含む。複数の吸収塔は、フレーム体に搭載されている。この場合、例1と同様の作用効果が得られる。
【0125】
例17.例16の二酸化炭素ガス回収システムは、別の移動体に対して積み卸し可能に構成された別のフレーム体をさらに備え、複数の吸収塔は、第1の吸収塔及び第2の吸収塔を含み、第1の吸収塔は、フレーム体に搭載されており、第2の吸収塔は、別のフレーム体に搭載されていてもよい。この場合、例えば、フレーム体に搭載される第1の吸収塔は、一の移動体で搬送され、別のフレーム体に搭載される第2の吸収塔は、別の移動体で搬送されうる。そのため、一つのフレーム体に第1及び第2の吸収塔を同時に搭載できないような場合であっても、複数の吸収塔を効率的に搬送することが可能となる。
【0126】
例18.例16又は例17の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、吸収部は、複数の吸収塔が全体的に上下方向に沿って延びる起立状態において、原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成されていてもよい。この場合、例2と同様の作用効果が得られる。
【0127】
例19.例16~例18のいずれかの二酸化炭素ガス回収システムにおいて、吸収部は、フレーム体の移動体への積載時において、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態とされていてもよい。この場合、例2と同様の作用効果が得られる。
【0128】
例20.例16~例19のいずれかの二酸化炭素ガス回収システムにおいて、移動体は、陸上を走行可能な車両であってもよい。この場合、複数の施設間での吸収部の搬送を、比較的低コストで実現することが可能となる。
【0129】
例21.例16~例20のいずれかの二酸化炭素ガス回収システムは、吸収部から送液される吸収液を加熱することにより、吸収液から二酸化炭素を分離させるように構成された再生部をさらに備え、再生部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されていてもよい。この場合、例14と同様の作用効果が得られる。
【0130】
例22.例21の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、再生部は、フレーム体の移動体への積載時において、横倒し状態とされていてもよい。この場合、例14と同様の作用効果が得られる。
【0131】
例23.例16~例22のいずれか二酸化炭素ガス回収システムは、原料ガスの冷却及び/又は脱硫を前処理として行い、且つ、前処理後の原料ガスを吸収部に供給するように構成された前処理部をさらに備え、前処理部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されていてもよい。この場合、例えば、移動体によって前処理部が搬送される際に、前処理部が横倒し状態とされることにより、移動中の移動体の周囲の物体に前処理部が衝突し難くなるので、前処理部をより安全に搬送することが可能となる。また、例えば、移動体の施設への到着後に、当該施設から排出される原料ガス中の所定成分を分離回収する際に、前処理部が起立状態とされることにより、分離回収の効率を高めることが可能となる。
【0132】
例24.例23の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、前処理部は、フレーム体の移動体への積載時において、横倒し状態とされていてもよい。この場合、例23と同様の作用効果が得られる。
【0133】
例25.例16~例24のいずれかの二酸化炭素ガス回収システムは、吸収部において二酸化炭素が吸収された後の原料ガスを洗浄液によって洗浄するように構成された洗浄部をさらに備え、洗浄部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されていてもよい。この場合、例えば、移動体によって洗浄部が搬送される際に、洗浄部が横倒し状態とされることにより、移動中の移動体の周囲の物体に洗浄部が衝突し難くなるので、洗浄部をより安全に搬送することが可能となる。また、例えば、移動体の施設への到着後に、当該施設から排出される原料ガス中の所定成分を分離回収する際に、洗浄部が起立状態とされることにより、分離回収の効率を高めることが可能となる。
【0134】
例26.例25の二酸化炭素ガス回収システムにおいて、洗浄部は、フレーム体の移動体への積載時において、横倒し状態とされていてもよい。この場合、例25と同様の作用効果が得られる。
【0135】
例27.例16~例26のいずれかの二酸化炭素ガス回収システムにおいて、複数の吸収塔の長さは、移動体の荷台の長さ以下であってもよい。この場合、複数の吸収塔が移動体の荷台からはみ出し難いため、移動体によってフレーム体が搬送される際に、複数の吸収塔をより安全に搬送することが可能となる。
【0136】
例28.化学反応システムの一例は、原料ガスに含まれる所定の成分を吸収液に吸収させるように構成された吸収部を備える。吸収部は、全体的に上下方向に沿って延びる起立状態と、全体的に水平方向に沿って延びる横倒し状態との間で姿勢を変更可能に構成されている。この場合、例13と同様の作用効果が得られる。
【符号の説明】
【0137】
1…二酸化炭素ガス回収システム、2…移動体、3,3A,3B…フレーム体、10…前処理部、11…前処理塔、20…吸収部、21~24…吸収塔、22…吸収塔(第1の吸収塔)、23…吸収塔(第2の吸収塔)、21a~24a…充填物、30…洗浄部、40…再生部、Ctr…コントローラ(調節部、選択部)、FP…配管(送液部)、L2i…配管(送液部)、P23…ポンプ(送液部)、SE11…センサ(取得部)、SE21~SE24…センサ(別の取得部)、U…処理ユニット、V21~V28…バルブ(選択部)、V31,V45…バルブ(調節部)。
【要約】
【課題】本開示は、複数の施設において排出される排ガス中の所定成分を分離回収するために、当該複数の施設への移動体による搬送を実現することが可能な二酸化炭素ガス回収システム及び化学反応システムを説明する。
【解決手段】二酸化炭素ガス回収システムは、原料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させるように構成された吸収部と、移動体に対して積み卸し可能に構成されたフレーム体とを備える。吸収部は、フレーム体に搭載されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4