(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】保管庫システム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240920BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E05B49/00 K
E05B49/00 R
E05B65/00 B
(21)【出願番号】P 2024019026
(22)【出願日】2024-02-09
【審査請求日】2024-03-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519398124
【氏名又は名称】日本連合警備株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596119113
【氏名又は名称】アルファーデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163267
【氏名又は名称】今中 崇之
(72)【発明者】
【氏名】平 晧己
(72)【発明者】
【氏名】土谷 保史
(72)【発明者】
【氏名】樋口 益夫
(72)【発明者】
【氏名】新津 凌太
(72)【発明者】
【氏名】森下 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】宮内 光代
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-301331(JP,A)
【文献】特開2008-057316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ電気錠付きの扉を有する複数の保管庫から少なくとも構成された保管庫ユニットと、
電気錠付きの管理区画入口扉と、を備え、
利用者が認証を受けるための認証区画と、前記管理区画入口扉によって前記認証区画と隔てられ、前記保管庫ユニットが設置された管理区画と、が形成されている保管庫システムであって、
利用者を特定するための情報を取得し、前記管理区画入口扉の電気錠を制御できる管理区画入口扉制御装置と、
利用者を特定するための情報を取得し、前記保管庫の電気錠を制御できる保管庫制御装置と、を備え、
予め決められた条件が成立した後に、前記管理区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報と、前記保管庫制御装置が取得した利用者を特定するための情報と、が一致すると、該利用者を特定するための情報に関連付けられた前記保管庫の電気錠が開けられ
、
前記予め決められた条件が、前記管理区画入口扉制御装置が前記管理区画入口扉の電気
錠を開けた後に、一度開いた該管理区画入口扉が閉じたことである保管庫システム。
【請求項2】
請求項
1記載の保管庫システムにおいて、
外部と前記認証区画とを隔てる電気錠付きの認証区画入口扉と、
利用者を特定するための情報を取得し、前記認証区画入口扉の電気錠を制御できる認証区画入口扉制御装置と、を更に備えた保管庫システム。
【請求項3】
請求項
2記載の保管庫システムにおいて、
前記認証区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報と、前記管理区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報と、が一致すると、前記管理区画入口扉の電気錠が開けられる保管庫システム。
【請求項4】
請求項
2記載の保管庫システムにおいて、
前記管理区画入口扉制御装置が、利用者を特定するための情報を読み取る読み取り部と、
前記認証区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報を記憶する記憶部と、
前記読み取り部が読み取った利用者を特定するための情報と前記記憶部に記憶された利用者を特定するための情報とを照合し、一致した場合に利用者を認証する認証部と、
前記認証部が利用者を認証すると前記管理区画入口扉の電気錠を開ける電気錠制御部と、を有する保管庫システム。
【請求項5】
請求項
2記載の保管庫システムにおいて、
前記認証区画入口扉制御装置が、利用者を特定するための情報を読み取る第1の読み取り部と、
予め登録された利用者の利用者を特定するための情報を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の読み取り部が読み取った利用者を特定するための情報と前記第1の記憶部に記憶された利用者を特定するための情報とを照合し、一致した場合に利用者を認証する第1の認証部と、
前記第1の認証部が利用者を認証すると前記認証区画入口扉の電気錠を開ける第1の電気錠制御部と、を有し、
前記管理区画入口扉制御装置が、利用者を特定するための情報を読み取る第2の読み取り部と、
前記認証区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報を記憶する第2の記憶部と、
前記第2の読み取り部が読み取った利用者を特定するための情報と前記第2の記憶部に記憶された利用者を特定するための情報とを照合し、一致した場合に利用者を認証する第2の認証部と、
前記第2の認証部が利用者を認証すると前記管理区画入口扉の電気錠を開ける第2の電気錠制御部と、を有する保管庫システム。
【請求項6】
請求項
5記載の保管庫システムにおいて、
前記認証区画入口扉が閉じた後に、前記第1の認証部によって認証された利用者以外の利用者を特定するための情報が前記第1の記憶部から消去され
る保管庫システム。
【請求項7】
請求項
3~
6のいずれか一項に記載の保管庫システムにおいて、
利用者を特定するための情報を取得し、利用者が前記管理区画から出るための管理区画出口扉に設けられた電気錠を制御できる管理区画出口扉制御装置を更に備え、
前記管理区画出口扉制御装置が、利用者を特定するための情報を読み取る第3の読み取り部と、
前記管理区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報を記憶する第3の記憶部と、
前記第3の読み取り部が読み取った利用者を特定するための情報と前記第3の記憶部に記憶された利用者を特定するための情報とを照合し、一致した場合に利用者を認証する第3の認証部と、
前記第3の認証部が利用者を認証すると前記管理区画出口扉の電気錠を開ける第3の電気錠制御部と、を有する保管庫システム。
【請求項8】
請求項
7記載の保管庫システムにおいて、
前記保管庫の扉が閉じた後に、利用者を特定するための情報が前記第3の記憶部に記憶される保管庫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管庫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、この発明は、郵便物及び宅配荷物等の宅配物の授受のための一時預かり機能を有するロッカーシステムに係り、特に受取人不在時等の機能向上を図ったロッカーシステムが記載されている。
このロッカーシステムは、配達先が配達物を受領できない時に配達物を預かり、所定操作により配達先が配達物を受け取ることを可能とするためのロッカーシステムであり、開閉及び施錠可能で、配達物を収納するための複数の物品収納部を有するロッカー手段と、配達先に投函された媒体に記憶されている識別情報に対応する識別情報を入力するための入力手段と、配達物を収納した物品収納部に施錠する閉制御手段と、閉制御手段により施錠された物品収納部を示すデータと入力手段から入力された識別情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、配達先で回収された媒体が装着され、媒体が記憶している識別情報を読み出す媒体処理手段と、媒体処理手段が読み出した識別情報に対応する識別情報を記憶手段上で索出し、索出された識別情報に対応付けられている物品収納部を判別し、物品収納部を解錠することにより、配達物の取り出しを可能とする開制御手段と、を具備することを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、セキュリティ性に優れた保管庫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、それぞれ電気錠付きの扉を有する複数の保管庫から少なくとも構成された保管庫ユニットと、電気錠付きの管理区画入口扉と、を備え、利用者が認証を受けるための認証区画と、前記管理区画入口扉によって前記認証区画と隔てられ、前記保管庫ユニットが設置された管理区画と、が形成されている保管庫システムであって、利用者を特定するための情報を取得し、前記管理区画入口扉の電気錠を制御できる管理区画入口扉制御装置と、利用者を特定するための情報を取得し、前記保管庫の電気錠を制御できる保管庫制御装置と、を備え、予め決められた条件が成立した後に、前記管理区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報と、前記保管庫制御装置が取得した利用者を特定するための情報と、が一致すると、該利用者を特定するための情報に関連付けられた前記保管庫の電気錠が開けられ、前記予め決められた条件が、前記管理区画入口扉制御装置が前記管理区画入口扉の電気錠を開けた後に、一度開いた該管理区画入口扉が閉じたことである保管庫システムである。
【0006】
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の保管庫システムにおいて、請求項1記載の保管庫システムにおいて、外部と前記認証区画とを隔てる電気錠付きの認証区画入口扉と、利用者を特定するための情報を取得し、前記認証区画入口扉の電気錠を制御できる認証区画入口扉制御装置と、を更に備える。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の保管庫システムにおいて、前記認証区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報と、前記管理区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報と、が一致すると、前記管理区画入口扉の電気錠が開けられる。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の保管庫システムにおいて、前記管理区画入口扉制御装置が、利用者を特定するための情報を読み取る読み取り部と、前記認証区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報を記憶する記憶部と、前記読み取り部が読み取った利用者を特定するための情報と前記記憶部に記憶された利用者を特定するための情報とを照合し、一致した場合に利用者を認証する認証部と、前記認証部が利用者を認証すると前記管理区画入口扉の電気錠を開ける電気錠制御部と、を有する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2記載の保管庫システムにおいて、前記認証区画入口扉制御装置が、利用者を特定するための情報を読み取る第1の読み取り部と、予め登録された利用者の利用者を特定するための情報を記憶する第1の記憶部と、前記第1の読み取り部が読み取った利用者を特定するための情報と前記第1の記憶部に記憶された利用者を特定するための情報とを照合し、一致した場合に利用者を認証する第1の認証部と、前記第1の認証部が利用者を認証すると前記認証区画入口扉の電気錠を開ける第1の電気錠制御部と、を有し、前記管理区画入口扉制御装置が、利用者を特定するための情報を読み取る第2の読み取り部と、前記認証区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報を記憶する第2の記憶部と、前記第2の読み取り部が読み取った利用者を特定するための情報と前記第2の記憶部に記憶された利用者を特定するための情報とを照合し、一致した場合に利用者を認証する第2の認証部と、前記第2の認証部が利用者を認証すると前記管理区画入口扉の電気錠を開ける第2の電気錠制御部と、を有する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の保管庫システムにおいて、前記認証区画入口扉が閉じた後に、前記第1の認証部によって認証された利用者以外の利用者を特定するための情報が前記第1の記憶部から消去される。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項3~6のいずれか一項に記載の保管庫システムにおいて、利用者を特定するための情報を取得し、利用者が前記管理区画から出るための管理区画出口扉に設けられた電気錠を制御できる管理区画出口扉制御装置を更に備え、前記管理区画出口扉制御装置が、利用者を特定するための情報を読み取る第3の読み取り部と、前記管理区画入口扉制御装置が取得した利用者を特定するための情報を記憶する第3の記憶部と、前記第3の読み取り部が読み取った利用者を特定するための情報と前記第3の記憶部に記憶された利用者を特定するための情報とを照合し、一致した場合に利用者を認証する第3の認証部と、前記第3の認証部が利用者を認証すると前記管理区画出口扉の電気錠を開ける第3の電気錠制御部と、を有する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7記載の保管庫システムにおいて、前記保管庫の扉が閉じた後に、利用者を特定するための情報が前記第3の記憶部に記憶される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、セキュリティ性に優れた保管庫システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る保管庫システムを模式的に示した説明図である。
【
図2】同保管庫システムが備える保管庫ユニットを正面視した説明図である。
【
図3】同保管庫システムの構成を示す説明図である。
【
図4】同保管庫システムが備える管理制御装置のブロック図である。
【
図5】同保管庫システムの動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0017】
本発明の一実施の形態に係る保管庫システム10は、利用者の物品を保管できる。利用者の物品が保管される場所は、建物の内部である。建物には、
図1に示すように、それぞれ独立した室となっている認証区画A1及び管理区画A2が形成されている。
【0018】
認証区画A1は、予め登録された利用者が認証を受けるための区画である。利用者は、利用者本人が所持するICカード(記憶媒体の一例)により認証される。
管理区画A2は、認証区画A1にて認証された利用者のみが入ることができる区画であり、後述する複数の保管庫ユニット20(
図2参照)が設置されている。各保管庫ユニット20は、複数の保管庫202a~202cから少なくとも構成されている。
作業区画A3は、管理区画A2からのみ入ることができ、保管された物品の閲覧等の作業をするための区画である。管理区画A2と作業区画A3とは、それぞれ、扉22により隔たれている。
【0019】
保管庫システム10は、
図1に示すように、カメラ30、認証区画入口扉40、認証区画入口扉開閉装置42(
図3参照)、管理区画入口扉50、管理区画入口扉開閉装置52(
図3参照)、管理区画出口扉60、管理区画出口扉開閉装置62(
図3参照)及び管理制御装置70(
図3参照)を備え、無人で運用可能となるように構成されている。
【0020】
カメラ30は、認証区画A1に入る利用者の顔を撮像できる。カメラ30により撮像された利用者は、顔認証技術により特定される。
【0021】
認証区画入口扉40は、外部と認証区画A1とを隔てる電気錠402(
図3参照)付きの扉である。
認証区画入口扉40は、開閉センサ404によって、開閉状態が検出される。検出された開閉状態は、予め決められた周期にて、認証区画入口扉開閉装置42を介して管理制御装置70に送信される。
【0022】
認証区画入口扉開閉装置(認証区画入口扉制御装置の一例)42は、
図3に示すように、ネットワークを介して管理制御装置70に接続され、利用者が所持するICカードに記憶されたID(利用者を特定するための情報の一例)を取得し、認証区画入口扉40の電気錠402を開閉できる。
認証区画入口扉開閉装置42は、カードリーダー422、記憶部424、認証部426及び電気錠制御部428を有している。
【0023】
カードリーダー(第1の読み取り部の一例)422は、利用者が所持するICカードに記憶されているIDを読み取ることができる。読み取ったIDは、管理制御装置70に送信される。
カードリーダー422は、建物の外(認証区画A1の外)に設置されている。
【0024】
記憶部(第1の記憶部の一例)424は、管理制御装置70から受信した利用者のIDを記憶できる。
認証部(第1の認証部の一例)426は、カードリーダー422が読み取ったIDと記憶部424に記憶されたIDとを照合し、一致した場合に利用者を認証する。
【0025】
電気錠制御部(第1の電気錠制御部の一例)428は、認証区画入口扉40の電気錠402の開閉を制御できる。すなわち、電気錠402は、電気錠制御部428から出力された制御信号に基づいて開閉される。
電気錠制御部428は、認証部426によって利用者が認証されると電気錠402を開ける。
【0026】
なお、カードリーダー422、記憶部424、認証部426及び電気錠制御部428は、必ずしも一体的に設けられていなくてもよく、例えば記憶部424及び認証部426のうち、少なくとも一方が、保管庫ユニット20が設置された建物とは異なる場所に設けられていてもよい。
【0027】
管理区画入口扉50は、
図1に示すように、認証区画A1と管理区画A2とを隔てる電気錠502(
図3参照)付きの扉である。
管理区画入口扉50は、開閉センサ504によって、開閉状態が検出される。検出された開閉状態は、予め決められた周期にて、管理区画入口扉開閉装置52を介して管理制御装置70に送信される。
【0028】
管理区画入口扉開閉装置(管理区画入口扉制御装置の一例)52は、
図3に示すように、ネットワークを介して管理制御装置70に接続され、利用者が所持するICカードに記憶されたIDを取得し、管理区画入口扉50の電気錠502を開閉できる。
管理区画入口扉開閉装置52は、カードリーダー522、記憶部524、認証部526及び電気錠制御部528を有している。
【0029】
カードリーダー(第2の読み取り部の一例)522は、利用者が所持するICカードに記憶されているIDを読み取ることができる。読み取ったIDは、管理制御装置70に送信される。
カードリーダー522は、
図1に示すように、認証区画A1の内部であって、管理区画入口扉50の手前側に設置されている。
【0030】
記憶部(第2の記憶部の一例)524は、管理制御装置70から受信した利用者のIDを記憶できる。
認証部(第2の認証部の一例)526は、カードリーダー522が読み取ったIDと記憶部524に記憶されたIDとを照合し、一致した場合に利用者を認証する。
【0031】
電気錠制御部(第2の電気錠制御部の一例)528は、管理区画入口扉50の電気錠502の開閉を制御できる。すなわち、電気錠502は、電気錠制御部528から出力された制御信号に基づいて開閉される。
電気錠制御部528は、認証部526によって利用者が認証されると電気錠502を開ける。
【0032】
なお、カードリーダー522、記憶部524、認証部526及び電気錠制御部528は、必ずしも一体的に設けられていなくてもよく、例えば記憶部524及び認証部526のうち、少なくとも一方が、保管庫ユニット20が設置された建物とは異なる場所に設けられていてもよい。
【0033】
管理区画出口扉60は、
図1に示すように、管理区画A2と外部とを隔てる電気錠602(
図3参照)付きの扉であり、管理区画A2に立ち入った利用者が退出するための扉である。
管理区画出口扉60は、開閉センサ604によって、開閉状態が検出される。検出された開閉状態は、予め決められた周期にて、管理区画出口扉開閉装置62を介して管理制御装置70に送信される。
【0034】
なお、管理区画出口扉60を設けずに、利用者が、管理区画入口扉50及び認証区画入口扉40を通って外に出るように構成することも可能である。すなわち、管理区画出口扉60に代えて、認証区画入口扉40を管理区画A2から出る扉として機能させることも可能である。
ただし、管理区画A2に出入りするための扉を共通にしない方が、利用者のプライバシーの確保及びセキュリティの向上の観点から好ましい。
【0035】
管理区画出口扉開閉装置(管理区画出口扉制御装置の一例)62は、
図3に示すように、ネットワークを介して管理制御装置70に接続され、利用者が所持するICカードに記憶されたIDを取得し、管理区画出口扉60の電気錠602を開閉できる。
管理区画出口扉開閉装置62は、カードリーダー622、記憶部624、認証部626及び電気錠制御部628を有している。
【0036】
カードリーダー(第3の読み取り部の一例)622は、利用者が所持するICカードに記憶されているIDを読み取ることができる。読み取ったIDは、管理制御装置70に送信される。
カードリーダー622は、
図1に示すように、管理区画A2の内部であって、管理区画出口扉60の手前側に設置されている。
【0037】
記憶部(第3の記憶部の一例)624は、管理制御装置70から受信した利用者のIDを記憶できる。
認証部(第3の認証部の一例)626は、カードリーダー622が読み取ったIDと記憶部624に記憶されたIDとを照合し、一致した場合に利用者を認証する。
【0038】
電気錠制御部(第3の電気錠制御部の一例)628は、管理区画出口扉60の電気錠602の開閉を制御できる。すなわち、電気錠602は、電気錠制御部628から出力された制御信号に基づいて開閉される。
電気錠制御部628は、認証部626によって利用者が認証されると電気錠602を開ける。
【0039】
なお、カードリーダー622、記憶部624、認証部626及び電気錠制御部628は、必ずしも一体的に設けられていなくてもよく、例えば記憶部624及び認証部626のうち、少なくとも一方が、保管庫ユニット20が設置された建物とは異なる場所に設けられていてもよい。
【0040】
管理制御装置70は、
図4に示すように、利用者管理部702、入退履歴管理部704、区画管理部706、保管庫制御部708及び監視部710を有している。
【0041】
利用者管理部702は、ICカードに記録されたIDと利用者が利用できる保管庫とが関連付けられた権限情報を管理できる。
ここで、ICカードは、例えば、FeliCa(登録商標)であり、IDは、例えば、Felica(登録商標)に内蔵されたICチップに書き込まれているIDmである。ただし、ICカードは、利用者を特定するためのIDが記憶された任意の記憶媒体であればよく、他の記憶媒体の例として、IDが記憶されたスマートフォンが挙げられる。
ICカードに記録されたIDは、管理制御装置70に接続されたカードリーダー72(
図3参照)により読み込まれ、事前に利用者が利用できる保管庫と関連付けられることにより、権限情報として登録される。
【0042】
また、記憶媒体に記憶されたIDは、利用者を特定するための情報であれば任意でよい。利用者を特定するための情報として、例えば、生体情報(生体情報から生成された情報を含む)が挙げられる。
【0043】
付言すると、保管庫管理システムの管理者のIDも権限情報として登録されており、各記憶部424、524、624には、管理者のIDが常に記憶されている。
従って、管理者は、常に、認証区画A1及び管理区画A2に入ることができるように認証される。
【0044】
入退履歴管理部704は、利用者が管理区画A2に入った時刻及び管理区画A2から出た時刻を記録する。また、入退履歴管理部704は、利用者の保管庫の解錠時刻及び施錠時刻を記録できる。更に、入退履歴管理部704は、発生した異常を記録できる。この異常は、例えば、認証部426、認証部526又は認証部626にて認証の失敗が発生したことである。
【0045】
区画管理部706は、前述の認証区画入口扉開閉装置42(
図3参照)、管理区画入口扉開閉装置52及び管理区画出口扉開閉装置62に対して、IDを送受信したり制御指令を送信したりして、認証区画A1及び管理区画A2に立ち入る利用者を管理できる。利用者の利用状況は、開閉センサ404、504、604の状態等に基づいて区画管理部706によって把握され、図示しない表示手段に表示される。
【0046】
保管庫制御部708は、保管庫開閉装置80を制御できる。詳細については、後述する。
【0047】
監視部710は、所定の異常が発生した場合に、警報を出力できる。監視部710は、例えば、以下の場合に警報を出力する。
(1)保管庫の扉を解錠したにも関わらず、扉が開かなかった場合
(2)カードリーダー522又はカードリーダー622に異常が生じた場合
(3)予め決められた時間が経過したにも関わらず、利用者が管理区画A2から退出しない場合
【0048】
保管庫システム10は、更に、前述の複数の保管庫ユニット20及び保管庫開閉装置80を備えている。
【0049】
各保管庫ユニット20は、
図1に示すように、例えば8つであり、
図2に示すように、それぞれ例えば29口の保管庫202a~202cから構成されている。各保管庫202a~202cは、電気錠204(
図3参照)付きの扉を有し、サイズが異なっている。
なお、保管庫202a~202cは、例えば、貸金庫やロッカーである。
保管庫202a~202cの扉は、それぞれ対応する開閉センサ206(
図3参照)によって、開閉状態が検出される。検出された開閉状態は、予め決められた周期にて、保管庫開閉装置80を介して管理制御装置70に送信される。一度開いた扉が閉じたことが検出されると、電気錠204は自動的に閉まる。
【0050】
保管庫開閉装置80は、
図3に示すように、ネットワークを介して管理制御装置70に接続され、利用者が所持するICカードに記憶されたIDを取得し、保管庫の電気錠204を開閉できる。
なお、
図3においては、保管庫開閉装置80並びにこれらに接続される開閉センサ206及び電気錠204等は、一部のみが図示されている。
保管庫開閉装置(保管庫制御装置の一例)80は、保管庫ユニット20ごとに設けられ、カードリーダー(第4の読み取り部の一例)802、記憶部804、認証部806及び制御部808を有している。
【0051】
カードリーダー802は、利用者が所持するICカードに記憶されているIDを読み取ることができる。読み取ったIDは、管理制御装置70に送信される。
記憶部804は、管理制御装置70から受信した利用者のIDを記憶できる。
認証部806は、カードリーダー802が読み取ったIDと記憶部804に記憶されたIDとを照合し、一致した場合に利用者を認証する。
制御部808は、管理制御装置70の指令に基づいて、対応する保管庫の電気錠204を開けることができる。詳細には、各電気錠204は、デジタル入出力モジュール810を介して、制御部808から出力された制御信号に基づいて開けられる。
制御部808は、例えば、小型ファンレスPCにより構成できる。
【0052】
なお、保管庫開閉装置80には、各保管庫ユニット20の上部に設けられた表示灯820(
図2参照)が、デジタル入出力モジュール810を介して接続されており、管理制御装置70の制御信号に基づいて点灯が制御される。
【0053】
また、保管庫開閉装置80には、各保管庫ユニット20に設けられた振動センサ(不図示)が、デジタル入出力モジュール810を介して接続されており、振動センサの検出信号は管理制御装置70に送信される。
管理制御装置70と、認証区画入口扉開閉装置42、管理区画入口扉開閉装置52、管理区画出口扉開閉装置62及び保管庫開閉装置80と、は、PoE90を介して接続されている。
【0054】
次に、保管庫システム10の動作について、
図5に基づいて説明する。
なお、
図5において、破線にて示した各矢印は、認証区画入口扉40、管理区画入口扉50、管理区画出口扉60及び保管庫の扉の開閉の状態を示す信号(開閉センサ404、504、604及び各開閉センサ206の検出信号)の送受信を示している。ただし、これらの扉の開閉の状態を示す信号は、予め決められた周期で管理制御装置70によって取得されるものであり、図示した以外のタイミングにおいても送受信されている。
【0055】
(ステップS1)
本ステップS1は、利用者が建物の外部(認証区画A1の外)にて認証されるステップである。
認証区画A1の外にいる利用者が、カードリーダー422(
図1参照)にICカードをかざす。カードリーダー422は、ICカードに記憶されているIDを読み取り、認証部426が、読み取ったIDと記憶部424に記憶されているIDとを照合し、これらが一致すると利用者を認証する(ステップS1-1)。
【0056】
カードリーダー422によって読み取られたIDは、管理制御装置70によって取得される。
認証部426が利用者を認証した後、電気錠制御部428は、電気錠402を開ける(ステップS1-2)。
【0057】
(ステップS2)
本ステップS2は、利用者が認証区画A1にて認証されるステップである。
利用者が、認証区画入口扉40を通って認証区画A1に入り、認証区画入口扉40が閉まると、開閉センサ404が、扉が閉まったことを検出する。管理制御装置70は、開閉センサ404から認証区画入口扉40が閉じたことを示す扉閉信号を取得する。
その後、電気錠制御部428は、電気錠402を閉じる(ステップS2-1)。
【0058】
管理制御装置70は、認証区画入口扉開閉装置42に対し、前ステップS1にて取得した利用者のIDを送信する。認証区画入口扉開閉装置42がこの利用者のIDを受信すると、記憶部424が記憶している情報が更新され、受信した利用者のID以外の利用者のIDが消去される。その結果、認証部426が受信したIDに係る利用者だけしか認証できなくなるので、認証区画A1及び認証区画A1の先にある管理区画A2に立ち入ることができる利用者が、このIDに係る利用者のみに制限され、利用者のプライバシーの確保及びセキュリティの向上が図られる。
また、管理制御装置70は、認証区画入口扉開閉装置42から取得したIDを管理区画入口扉開閉装置52に送信する。送信されたIDは、管理区画入口扉開閉装置52の記憶部524に記憶される。
【0059】
次に、認証区画A1にいる利用者が、カードリーダー522にICカードをかざす。カードリーダー522は、ICカードに記憶されているIDを読み取り、認証部526が、読み取ったIDと記憶部524に記憶されているIDとを照合し、これらが一致すると利用者を認証する(ステップS2-2)。
【0060】
次に、カードリーダー522によって読み取られたIDは、管理制御装置70に送信される。管理制御装置70は、権限情報を参照し、受信したIDに関連付けられた保管庫の情報を取得する(ステップS2-3)。
一方、電気錠制御部528は、電気錠502を開ける(ステップS2-4)。
【0061】
従って、本ステップS2においては、認証区画入口扉開閉装置42が取得したIDと、管理区画入口扉開閉装置52が取得したIDと、が一致すると、管理区画入口扉42の電気錠402が開けられる。
【0062】
(ステップS3)
本ステップS3は、認証区画A1から管理区画A2に入った利用者が保管庫を利用するステップである。
利用者が管理区画A2に入り、管理区画入口扉50が閉まると、開閉センサ504が、扉が閉まったことを検出する。管理制御装置70は、開閉センサ504から管理区画入口扉50が閉じたことを示す扉閉信号を取得し、前ステップS2-3にて取得した保管庫の情報に基づいて、対応する保管庫開閉装置80に対して利用者のID(管理区画入口扉開閉装置52から受信したID)を送信する。
その後、電気錠制御部528は、電気錠502を閉じる(ステップS3-1)。
【0063】
次に、利用者が、利用する保管庫ユニット20のカードリーダー802にICカードをかざす。カードリーダー802は、ICカードに記憶されているIDを読み取り、認証部806が、読み取ったIDと記憶部804に記憶されているIDとを照合し、これらが一致すると利用者を認証する(ステップS3-2)。
【0064】
利用者が認証されると、保管庫開閉装置80は、カードリーダー802が読み取ったIDを管理制御装置70に送信する。
管理制御装置70は、予め決められた条件が成立した後に、保管庫開閉装置80から受信したIDと、保管庫開閉装置80に送信した利用者のIDと、が一致することを確認する(ステップS3-3)。この予め決められた条件は、管理区画入口扉開閉装置52が管理区画入口扉50の電気錠502を開けた後に、一度開いた管理区画入口扉50が閉じたことである。
【0065】
次に、管理制御装置70は、保管庫開閉装置80に対し、保管庫の扉を開くための保管庫開指令を送信する。保管庫開指令には、解錠すべき保管庫を特定する情報が含まれる。
保管庫開指令を受信すると、制御部808が対応する保管庫の電気錠204を開く(ステップS3-4)。
【0066】
解錠後、利用者は、物品を取り出したり、新たに物品を入れたりするなどして、保管庫を利用する。
利用者が保管庫の利用を終え、保管庫の扉が閉じられると、開閉センサ206(不図示)が、扉が閉じられたことを検出し、電気錠204が閉まる。
管理制御装置70は、開閉センサ206から扉が閉じたことを示す保管庫閉信号を取得する。
【0067】
(ステップS4)
本ステップS4は、保管庫の利用を終えた利用者が、管理区画A2から出るステップである。
管理制御装置70は、前ステップS3にて保管庫閉信号を受信すると、管理区画出口扉開閉装置62に対し、利用者のID(管理区画入口扉開閉装置52から受信したID)を送信する。送信されたIDは、管理区画出口扉開閉装置62の記憶部624に記憶される。
次に、利用者が、カードリーダー622にICカードをかざす。カードリーダー622は、ICカードに記憶されているIDを読み取り、認証部626が、読み取ったIDと記憶部624に記憶されているIDとを照合し、これらが一致すると利用者を認証する(ステップS4-1)。
【0068】
認証部626が利用者を認証した後、電気錠制御部628は、電気錠602を開ける(ステップS4-2)。
【0069】
次に、利用者が管理区画A2の外に出た後、管理区画出口扉60が閉まると、開閉センサ604が、扉を閉じたことを検出する。管理制御装置70は、開閉センサ604から扉が閉じたことを示す扉閉信号を取得する。
管理区画出口扉60が閉じられると、電気錠制御部628は、電気錠602を閉じる(ステップS4-3)。
【0070】
最後に、管理制御装置70は、扉閉信号を取得した後、管理区画入口扉開閉装置52に対し、記憶部524に記憶されている利用者のIDを消去する指令を送信する。記憶部524からIDが消去されることにより、認証区画A1における利用者の認証がなされず、利用者が管理区画A2に入ることができなくなる。
【0071】
また、管理制御装置70は、保管庫開閉装置80に対し、記憶部804に記憶されている利用者のIDを消去する指令を送信する。記憶部804からIDが消去されることにより、保管庫ユニット20における利用者の認証がなされず、利用者が保管庫を利用できなくなる。
【0072】
また、管理制御装置70は、認証区画入口扉開閉装置42の記憶部424に対し、利用可能な利用者のID(その時点で利用可能な全利用者のID)を送信する。記憶部424が記憶している情報が更新され、利用可能な全利用者のIDが記憶されることにより、制限されていた他の利用者が認証区画A1に入ることができるようになる。
【0073】
更に、管理制御装置70は、管理区画出口扉開閉装置62に対し、記憶部624に記憶されている利用者のIDを消去する指令を送信する。記憶部624からIDが消去されることにより、管理区画出口扉開閉装置62における利用者の認証がなされないことになる。
【0074】
以降、ステップS1~S4を繰り返すことにより、保管庫システム10は、管理区画A2に立ち入ることができる利用者が一名に制限された状態で利用される。
【0075】
以上説明したように、保管庫システム10によれば、管理区画A2に立ち入ることができる利用者が一名に制限されるので、セキュリティ性に優れる。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
前述のとおり、保管庫は、例えば貸金庫やロッカーであるため、保管庫システムは、貸金庫システム又はロッカーシステムに適用できる。
なお、利用者を特定するための情報が生体情報である場合は、第1~第4の読み取り部によって、生体情報が読み取られ、前述の実施の形態におけるIDに代えて、生体情報(生体情報から生成された情報を含む)を用いて利用者の認証がなされる。
【符号の説明】
【0077】
20 保管庫ユニット
22 扉
30 カメラ
40 認証区画入口扉
42 認証区画入口扉開閉装置
50 管理区画入口扉
52 管理区画入口扉開閉装置
60 管理区画出口扉
62 管理区画出口扉開閉装置
70 管理制御装置
72 カードリーダー
80 保管庫開閉装置
202a~202c 保管庫
204 電気錠
206 開閉センサ
402 電気錠
404 開閉センサ
422 カードリーダー
424 記憶部
426 認証部
428 電気錠制御部
502 電気錠
504 開閉センサ
522 カードリーダー
524 記憶部
526 認証部
528 電気錠制御部
602 電気錠
604 開閉センサ
622 カードリーダー
624 記憶部
626 認証部
628 電気錠制御部
702 利用者管理部
704 入退履歴管理部
706 区画管理部
708 保管庫制御部
710 監視部
802 カードリーダー
804 記憶部
806 認証部
808 制御部
810 デジタル入出力モジュール
820 表示灯
A1 認証区画
A2 管理区画
A3 作業区画
【要約】
【課題】セキュリティ性に優れた保管庫システムを提供する。
【解決手段】保管庫システムは、それぞれ電気錠204付きの扉を有する複数の保管庫202a~202cから少なくとも構成された保管庫ユニット20と、電気錠502付きの管理区画入口扉50と、を備え、利用者が認証を受けるための認証区画A1と、管理区画入口扉50によって認証区画A1と隔てられ、保管庫ユニット20が設置された管理区画A2と、が形成されている保管庫システムであって、利用者を特定するための情報を取得し、前記管理区画入口扉50の電気錠502を制御できる管理区画入口扉制御装置52と、利用者を特定するための情報を取得し、保管庫202a~202cの電気錠204を制御できる保管庫制御装置80と、を備える。
【選択図】
図1