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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】搬送器具
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/42 20060101AFI20240920BHJP
   B62B 5/06 20060101ALI20240920BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B65D19/42
B62B5/06 D
B62B3/02 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024034055
(22)【出願日】2024-03-06
【審査請求日】2024-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593232402
【氏名又は名称】親和パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】西田 明
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111491846(CN,A)
【文献】特開2000-100740(JP,A)
【文献】特開2018-108795(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0179625(US,A1)
【文献】特開2018-079759(JP,A)
【文献】特表2016-527125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/42
B62B 5/06
B62B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で矩形状のパレットと、
下端に少なくとも一つの誘導車輪を備えた操作ハンドルと、
を備え、
前記操作ハンドルは、前記パレットの四つの辺部に設けられた連結部に引っ掛かることが可能な作用部を備え、前記誘導車輪を支点にした回転動作により前記パレットにおいて前記作用部が引っ掛かった辺部を持ち上げるように構成されており、
前記パレットは、前記四つの辺部の中央部に前記連結部をそれぞれ有するとともに、前記連結部の両側にはそれぞれの車輪を備えることで、前記作用部が引っ掛かった辺部が持ち上げられた傾斜状態で、前記作用部が引っ掛かった辺部と対向する辺部に設けられている一対の車輪により移動可能であり、かつ、
前記パレットは、前記パレットの底面からの突出高さが前記車輪の突出高さ以上に形成されることで、前記作用部が引っ掛かる辺部が持ち上げられる前の水平状態において接地して前記パレットの移動を規制する規制部を備える、搬送器具。
【請求項2】
前記車輪は、前記パレットの四つの隅部にそれぞれ設けられる水平旋回自在な自在車輪であり、
前記規制部は、
前記パレットの一組の対向する辺部と直交する方向に転動する少なくとも一つの水平旋回不能な第一固定車輪と、
前記パレットの他の一組の対向する辺部を結ぶ方向に転動する少なくとも一つの水平旋回不能な第二固定車輪と、
を備える、請求項1に記載の搬送器具。
【請求項3】
前記車輪は、水平旋回不能な固定車輪であり、辺部と直交する方向に転動するように設けられ、
前記規制部は、前記パレットの前記水平状態における各車輪である、請求項1に記載の搬送器具。
【請求項4】
前記規制部は、前記パレットの裏面から突き出る少なくとも一つの突起部で構成される、請求項1に記載の搬送器具。
【請求項5】
前記車輪は、水平旋回自在な自在車輪である、請求項に記載の搬送器具。
【請求項6】
記パレットの四つの隅部にそれぞれ前記車輪が設けられる、請求項に記載の搬送器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、パレットを用いて荷物を搬送する搬送器具に関する。
【背景技術】
【0002】
構内物流においては、倉庫と現場との間や工程間で荷物をパレット上に積んで搬送しており、パレットは例えばハンドリフトなどを使用して移動させている。しかし、ハンドリフトは本体重量が重いうえ、レバー操作や運転操作が面倒であるため、特に初心者には取り扱いが難しい。
【0003】
そこで、特許文献1のように、ハンドリフトなどを使用せずに移動可能なパレットが提案されている。特許文献1のパレットは、床に面する側の裏面に複数の車輪を着脱自在に取り付け可能であり、パレットに手押し搬送用の操作ハンドルを取り付けることで、容易にパレットを移動できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-14960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のパレットでは、車輪が取り付けられた状態ではパレットを動かないように静止させることができない。そのため、パレットを静止状態で置いておくためにはわざわざ車輪をパレットから取り外す必要がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決することを目的としており、荷物の搬送時には車輪により容易にパレットを移動でき、荷物の搬送時以外ではパレットを動かないように静止状態にできる搬送器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の搬送器具は、上記課題を解決するため、以下の項1に記載の搬送器具を主題として包含する。
【0008】
項1.平面視で矩形状のパレットと、下端に少なくとも一つの誘導車輪を備えた操作ハンドルと、を備え、
前記操作ハンドルは、前記パレットの四つの辺部の少なくとも一つの辺部に設けられた連結部に引っ掛かる作用部を備え、前記誘導車輪を支点にした回転動作により前記パレットにおいて前記作用部が引っ掛かる辺部を持ち上げるように構成されており、
前記パレットは、前記作用部が引っ掛かる辺部と対向する辺部に少なくとも一つの車輪を備え、前記作用部が引っ掛かる辺部が持ち上げられた傾斜状態で前記車輪により移動可能であり、かつ、
前記パレットは、前記作用部が引っ掛かる辺部が持ち上げられる前の水平状態において接地して前記パレットの移動を規制する規制部を備える、搬送器具。
【0009】
また、本開示の搬送器具は、上記項1に記載の搬送器具の好ましい態様として、以下の項2に記載の搬送器具を包含する。
【0010】
項2.前記車輪は、水平旋回自在な自在車輪であり、
前記規制部は、前記パレットの一組の対向する辺部と直交する方向に転動する少なくとも一つの水平旋回不能な第一固定車輪と、前記パレットの他の一組の対向する辺部を結ぶ方向に転動する少なくとも一つの水平旋回不能な第二固定車輪と、を備える、項1に記載の搬送器具。
【0011】
また、本開示の搬送器具は、上記項2に記載の搬送器具の好ましい態様として、以下の項3に記載の搬送器具を包含する。
【0012】
項3.前記パレットの四つの辺部にそれぞれ前記連結部が設けられ、
前記パレットの四つの隅部にそれぞれ前記車輪が設けられる、項2に記載の搬送器具。
【0013】
また、本開示の搬送器具は、上記項1に記載の搬送器具の好ましい態様として、以下の項4に記載の搬送器具を包含する。
【0014】
項4.前記車輪は、水平旋回不能な固定車輪であり、前記パレットにおいて前記作用部が引っ掛かる辺部と対向する辺部に、該辺部と直交する方向に転動するように設けられ、
前記規制部は、前記車輪の転動方向と直交する方向に転動する少なくとも一つの水平旋回不能な固定車輪を備える、項1に記載の搬送器具。
【0015】
また、本開示の搬送器具は、上記項4に記載の搬送器具の好ましい態様として、以下の項5に記載の搬送器具を包含する。
【0016】
項5.前記パレットの四つの辺部にそれぞれ前記連結部及び該辺部と直交する方向に転動する水平旋回不能な固定車輪が設けられ、
前記パレットにおいて前記作用部が引っ掛かる辺部と対向する辺部に設けられた固定車輪が前記車輪を構成し、前記作用部が引っ掛かる辺部と隣接する二つの辺部に設けられた固定車輪が前記規制部を構成する、請求項4に記載の搬送器具。
【0017】
また、本開示の搬送器具は、上記項1に記載の搬送器具の好ましい態様として、以下の項6に記載の搬送器具を包含する。
【0018】
項6.前記規制部は、前記パレットの裏面から突き出る少なくとも一つの突起部で構成される、項1に記載の搬送器具。
【0019】
また、本開示の搬送器具は、上記項6に記載の搬送器具の好ましい態様として、以下の項7に記載の搬送器具を包含する。
【0020】
項7.前記車輪は水平旋回自在な自在車輪である、項6に記載の搬送器具。
【0021】
また、本開示の搬送器具は、上記項7に記載の搬送器具の好ましい態様として、以下の項8に記載の搬送器具を包含する。
【0022】
項8.前記パレットの四つの辺部にそれぞれ前記連結部が設けられ、
前記パレットの四つの隅部にそれぞれ前記車輪が設けられる、項7に記載の搬送器具。
【発明の効果】
【0023】
本開示の搬送器具によれば、荷物の搬送時には車輪により容易にパレットを移動でき、荷物の搬送時以外ではパレットを動かないように静止状態にできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、搬送器具の斜視図である。
図2図2は、第一実施形態のパレットの斜め上から見た斜視図である。
図3図3は、第一実施形態のパレットの斜め下から見た斜視図である。
図4図4は、第一実施形態のパレットの側面図である。
図5図5は、第一実施形態のパレットの一部分を拡大して示す斜視図である。
図6図6は、第一実施形態のパレットの一部分を拡大して示す側面図である。
図7図7は、第一実施形態のパレットの一部分を拡大して示す底面図である。
図8図8(A)は、図7のA-A線に沿う断面図であり、図8(B)は、図7のB-B線に沿う断面図である。
図9図9は、操作ハンドルの斜視図である。
図10図10は、第一実施形態のパレットを操作ハンドルを用いて移動させる手順を示す断面図である。
図11図11は、図10に引き続き、第一実施形態のパレットを操作ハンドルを用いて移動させる手順を示す断面図である。
図12図12は、第二実施形態のパレットの斜め下から見た斜視図である。
図13図13は、第二実施形態のパレットを操作ハンドルを用いて移動させる手順を示す断面図である。
図14図14は、図13に引き続き、第二実施形態のパレットを操作ハンドルを用いて移動させる手順を示す断面図である。
図15図15は、第三実施形態のパレットの斜め下から見た斜視図である。
図16図16は、第三実施形態のパレットを操作ハンドルを用いて移動させる手順を示す断面図である。
図17図17は、図16に引き続き、第三実施形態のパレットを操作ハンドルを用いて移動させる手順を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の搬送器具に関する実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
<第一実施形態の搬送器具>
図1は、本開示の第一実施形態に係る搬送器具100を示す。搬送器具100は、荷物を載置できるパレット1、及び、パレット1の移動を誘導するためにユーザにより操作される操作ハンドル10を備える。
【0027】
<操作ハンドルの説明>
図9に示すように、操作ハンドル10は、軸部11、把手部12、キャスター13、及び、操作ハンドル10をパレット1に連結するための作用部14を備える。
【0028】
軸部11は、例えば細長い棒状の鋼材で構成される。軸部11の形状は、例えば断面視で円形状であるが、矩形状などであってもよく、特に限定されない。軸部11の素材は、鋼材などの金属製に限られず、樹脂製又は木製などであってもよい。
【0029】
把手部12は、ユーザが操作ハンドル10を操作する際に手で握る部分である。把手部12は、例えば細長い棒状の鋼材で構成される。把手部12は、軸部11と直交するように軸部11の上端に例えば溶接などで固定される。把手部12の形状は、例えば断面視で円形状であるが、矩形状などであってもよく、特に限定されない。また、把手部12の形状は棒状に限定されず、ユーザが手で握って操作ハンドル10を操作できれば、種々の形状を採用できる。
【0030】
キャスター13は、操作ハンドル10を床などの上で容易に移動可能とするものである。キャスター13は、少なくとも一つの車輪(本開示では誘導車輪と称する)15、少なくとも一つのフォーク16、少なくとも一つのシャフト17、及び、取付部18を備える。
【0031】
誘導車輪15は、公知のキャスターに用いられる種々の車輪を採用できる。誘導車輪15は操作ハンドル10の下端に位置し、誘導車輪15が床などの上で転動することで、操作ハンドル10は床などの上を容易に移動してパレット1の移動を誘導できる。フォーク16は、例えば断面視で「コ」の字状の鋼材で構成される。取付部18は、例えば断面視で「L」の字、「コ」の字又は「ロ」の字状の鋼材で構成される。フォーク16及び取付部18の素材は、鋼材などの金属製に限られず、樹脂製又は木製などであってもよい。フォーク16の一対の対向する側板にシャフト17が取り付けられ、シャフト17に誘導車輪15が転動可能に取り付けられる。図示例では、キャスター13は二つの車輪15を備え、二つのフォーク16が取付部18に、取付部18を間に挟むように例えば溶接などで固定される。そして、取付部18が軸部11の下端に例えば溶接などで固定される。なお、図示例では、キャスター13は、誘導車輪15が水平方向に旋回不能な固定キャスターであるが、誘導車輪15が水平方向に旋回自在な自在キャスターであってもよい。
【0032】
作用部14は、図1及び図11に示すように、後述するパレット1の連結部5に引っ掛かることで操作ハンドル10をパレット1に連結する。作用部14は、図9に示すように、例えば細長い棒状の鋼材で構成される。作用部14は、図示例ではキャスター13の取付部18に、軸部11及びシャフト17が延びる方向(軸方向)と直交する方向に突き出るように取り付けられる。
【0033】
詳細は後述するが、パレット1において、連結部5は平面視で矩形状のパレット1の四つの辺部8A-8Dの少なくとも一つの辺部に設けられる。なお、パレット1の辺部とは、平面視で矩形状のパレット1の輪郭をなす辺から内側に向かって所定の幅を有する部分である。
【0034】
操作ハンドル10は、図10及び図11に示すように、パレット1の連結部5に作用部14が引っ掛かる際に、誘導車輪15を支点にした軸部11の回転動作により作用部14が連結部5を介してパレット1に力を下から加えることで、パレット1において作用部14が引っ掛かる辺部(図10及び図11では辺部8A)を持ち上げるように構成される。これにより、パレット1は、作用部14が引っ掛かる辺部(図10及び図11では辺部8A)が対向する辺部(図10及び図11では辺部8C)よりも上方に位置した傾斜状態となる。
【0035】
作用部14の形状は、パレット1の連結部5の形状に応じて適宜変更できる。作用部14が連結部5に引っ掛かることで連結部5に係止し、その際に、誘導車輪15を支点にして操作ハンドル10(軸部11)を傾けることによるテコの原理によって、作用部14により連結部5を介してパレット1に力を下から作用させることができれば、作用部14の形状は特に限定されない。
【0036】
<パレットの説明>
図2から図4に示すように、パレット1は、平面視で矩形状を呈する。パレット1は、例えば、平面視で矩形の枠状を呈するフレーム2、及び、平面視で矩形状を呈するベース板3で構成される。フレーム2及びベース板3は、図示例では平面視で正方形状を呈するが、搬送器具100に搭載する荷物の大きさ及び形状に応じて長方形状を呈していてもよい。
【0037】
フレーム2は、例えば横断面視で「ロ」の字状又は「コ」の字状を呈する細長い四本の鋼材を矩形状に組み合わせたものであり、四本の鋼材は例えば溶接などで固定される。フレーム2の内側には、補強材4が設けられる。補強材4は、例えば横断面視で「ロ」の字状又は「コ」の字状を呈する細長い複数本の鋼材の組み合わせで構成される。図示例では、補強材4は平面視で「十」の字状を呈しており、フレーム2の内側に嵌め込まれたうえで、例えば溶接などでフレーム2に固定される。なお、補強材4は平面視で格子状を呈していてもよい。フレーム2及び補強材4の素材は、鋼製などの金属製に限られず、樹脂製又は木製などであってもよい。
【0038】
ベース板3は、例えば鋼製の平板で構成されるが、必ずしも平板には限定されない。ベース板3は、フレーム2及び補強材4上に載置され、例えば溶接などでフレーム2及び補強材4に固定される。ベース板3の素材は、鋼製などの金属製に限られず、樹脂製又は木製などであってもよい。
【0039】
なお、パレット1は、必ずしもフレーム2及びベース板3で構成される必要はなく、例えば、一枚の板材で構成される、あるいは、天板、底板及び天板と底板の間を連結する複数の柱で構成されるなど、種々の形態にできる。
【0040】
<自在車輪の説明>
パレット1には、図3及び図4に示すように、少なくとも一つのキャスター6が設けられる。キャスター6は、パレット1を床などの上で容易に移動可能とするものである。キャスター6は、図3に示すように、少なくとも一つの車輪60、少なくとも一つのフォーク61、少なくとも一つのシャフト62、及び、取付座63を備える。キャスター6は、本実施形態では、車輪60が水平方向に旋回自在である自在キャスターであり、本開示では水平旋回自在な車輪60を自在車輪と称する。
【0041】
自在車輪60は、公知のキャスターに用いられる種々の車輪を採用できる。自在車輪60は、パレット1が水平状態の際に床などに接地し、自在車輪60が床などの上で水平旋回自在に転動することで、パレット1は床などの上を容易にかつ方向自在に移動できる。フォーク61は、例えば断面視で「コ」の字状の鋼材で構成される。フォーク61の一対の対向する側板にシャフト62が取り付けられ、シャフト62に自在車輪60が転動可能に取り付けられる。取付座63は、フォーク61が水平方向に旋回自在に取り付けられる。キャスター6は、取付座63がフレーム2に例えばネジやボルトなどを用いて固定される、又は、取付座63がフレーム2に例えば溶接などで固定された取付板9に例えばネジやボルトなどを用いて固定される。
【0042】
キャスター6は、後述する連結部5が設けられるパレット1の辺部と対向する辺部に少なくとも一つ設けられる。例えば、パレット1の辺部8Aに連結部5が設けられる場合は、辺部8Aと対向する辺部8Cにキャスター6が少なくとも一つ設けられる。同様に、パレット1の辺部8Bに連結部5が設けられる場合は、辺部8Bと対向する辺部8Dにキャスター6が少なくとも一つ設けられ、パレット1の辺部8Cや辺部8Dに連結部5が設けられる場合は、それぞれ辺部8C、辺部8Dと対向する辺部8Aや辺部8Bにキャスター6が少なくとも一つ設けられる。
【0043】
図示例では、パレット1の四つの辺部8A-8Dにそれぞれ連結部5が設けられるため、少なくとも四つのキャスター6がパレット1に設けられる。四つのキャスター6は、それぞれパレット1の四つの辺部8A-8Dの長さ方向におけるいずれかの位置に設けられ、好ましくは、それぞれの辺部8A-8Dの端部、すなわち、パレット1の四つの隅部に設けられる。
【0044】
<規制部の説明>
パレット1には、図3及び図4に示すように、パレット1が水平状態で床などの上に載置された際に、キャスター6によるパレット1の移動を規制する規制部7が設けられる。パレット1は、規制部7が設けられていない場合は、キャスター6により床などの上を容易に移動でき、荷物を楽に運べる。しかし、キャスター6に自在車輪60の転動を止めるストッパー機構がなければ、荷物を搬送しない場合などにパレット1を動かないように静止した状態では置けない。本開示のパレット1は、荷物の搬送時にはキャスター6により床などの上を容易に移動できるうえで、規制部7が設けられることで、荷物を搬送しない場合などにパレット1を動かないように静止した状態で置くことができるように構成されている。
【0045】
規制部7は、例えば水平旋回不能な車輪(本開示では固定車輪と称する)で構成される。そのため、パレット1には、第一固定車輪700A又は第二固定車輪700Bを備えた複数のキャスター70が設けられる。図示例では第一固定車輪700Aを備えた二つのキャスター70及び第二固定車輪700Bを備えた二つのキャスター70の合計四つのキャスター70がパレット1に設けられる。キャスター70は、従来から公知の固定キャスターであり、図5から図7に示すように、少なくとも一つの第一固定車輪700A又は第二固定車輪700B、少なくとも一つのフォーク701、少なくとも一つのシャフト702、及び、取付部703を備える。
【0046】
第一固定車輪700A及び第二固定車輪700Bは、公知のキャスターに用いられる種々の車輪を採用できる。第一固定車輪700A及び第二固定車輪700Bは、パレット1が水平状態で床などの上に載置された際に床などに接地する。フォーク701は、例えば断面視で「コ」の字状の鋼材で構成される。取付部703は、例えば断面視で「コ」の字又は「ロ」の字状の鋼材で構成される。フォーク701及び取付部703の素材は、鋼材などの金属製に限られず、樹脂製又は木製などであってもよい。フォーク701の一対の対向する側板にシャフト702が取り付けられ、シャフト702に第一固定車輪700A又は第二固定車輪700Bが転動可能に取り付けられる。フォーク701は、取付部703に例えばネジやボルトなどを用いて固定される。取付部703は、図3図5及び図7に示すように、補強材4やフレーム2に例えば溶接などで固定される。
【0047】
図3に示すように、第一固定車輪700Aは、パレット1の四つの辺部8A-8Dのうちの一組の対向する辺部8A,8Cと直交する方向に転動するようにパレット1に設けられる。一方、第二固定車輪700Bは、パレット1の四つの辺部8A-8Dのうちの他の一組の対向する辺部8B,8Dと直交する方向に転動するようにパレット1に設けられる。つまり、第一固定車輪700Aと第二固定車輪700Bとでは転動する方向が90°異なる。そのため、例えば第一固定車輪700Aが転動する方向にパレット1を移動させようとしても、第二固定車輪700Bを備えたキャスター70がパレット1の移動を阻止するように機能する。また、第二固定車輪700Bが転動する方向にパレット1を移動させようとしても、第一固定車輪700Aを備えたキャスター70がパレット1の移動を阻止するように機能する。このように、転動方向が90°異なる二種類の固定車輪700A,700Bがパレット1に設けられることで、パレット1が水平状態の際には、キャスター6によるパレット1の移動が規制部7(第一固定車輪700A及び第二固定車輪700B)により規制される。
【0048】
図示例では、規制部7としてのキャスター70は、それぞれパレット1の四つの辺部8A-8Dの長さ方向中央にある連結部5のすぐ内側に位置するように、補強材4に設けられる。これにより、詳細は後述するが、図1及び図11に示すようにパレット1が傾斜した状態において、傾斜に伴い持ち上げられたパレット1の辺部(図1及び図11では辺部8A)と対向する辺部(図1及び図11では辺部8C)の近傍に設けられた固定車輪(図1及び図11では700A)のみが接地し、この固定車輪が床などの上で転動することで、キャスター6によるパレット1の移動を補助できる。
【0049】
図示例では、キャスター70の固定車輪700A,700Bがパレット1の裏面からキャスター6の自在車輪60と同じ程度に下方に突き出るように形成されることで、パレット1を水平状態で床などの上に載置した際に、固定車輪700A,700B及び自在車輪60の両方が接地しているが、以下の変形例のようにキャスター70の固定車輪700A,700Bを形成してもよい。変形例では、固定車輪700A,700Bのタイヤを例えばゴム製としたうえで、パレット1の裏面から固定車輪700A,700Bが自在車輪60よりも下方に突き出るように形成する。そして、パレット1を水平状態で床などの上に載置した際に、固定車輪700A,700Bが先に接地した後、パレット1の自重やパレット1の上に乗せられた荷物の重みでパレット1が沈み込むことで、固定車輪700A,700B及び自在車輪60の両方が接地する。この変形例では、固定車輪700A,700Bによりパレット1の移動を効果的に規制できる。
【0050】
<連結部の説明>
パレット1には、図1から図4に示すように、操作ハンドル10の作用部14が連結される連結部5が設けられる。連結部5は、平面視で矩形状のパレット1の四つの辺部8A-8Dの少なくとも一つの辺部に設けられる。図示例では、平面視で矩形状のパレット1の四つの辺部8A-8Dの全ての辺部に設けられる。連結部5は、特に限定されないが、各辺部8A-8Dにおいて長さ方向の中央に設けられることが好ましい。
【0051】
連結部5は、図5から図8に示すように、例えば、凹部50を有する受容板51及び一対の側板52で構成される。
【0052】
受容板51は、フレーム2の裏面(床などに面する面であり、ベース板3が載置される表面と反対側の面)に例えば溶接などで固定される。受容板51は、断面視で「て」の字状を呈する。受容板51は、フレーム2から垂下する平面部510、及び、断面視で「ヘ」の字状に折れ曲がる湾曲部511を備える。湾曲部511は長辺部512の端において平面部510の下端と繋がっており、受容板51は、平面部510の上端、及び、湾曲部511の屈曲した頂部において、フレーム2の裏面に固定される。湾曲部511は、長辺部512及び短辺部513の間において、下方に向かって幅が広がる凹部50が開口している。凹部50は、湾曲部511の長辺部512及び短辺部513により、少なくとも、内側に向かって下方に下る傾斜面及び外側に向かって下方に下る傾斜面を備え、両傾斜面が上端において繋がっている。
【0053】
一対の側板52は、湾曲部511の下面(床などに面する面)に例えば溶接などで固定される。一対の側板52は、平板である。一対の側板52は、外側の端同士よりも内側の端同士の方が互いの間隔が広くなるように、言い換えれば、「ハ」の字状に開くように、湾曲部511の下面に固定される。図5及び図6に示すように、一対の側板52は、湾曲部511の短辺部513よりも下方に突き出ており、一対の側板52の外側の端の間には、受容板51の凹部50への挿入口520が形成される。
【0054】
図10に示すように、パレット1の連結部5に対して、図5から図8に示した一対の側板52の間の挿入口520から凹部50に操作ハンドル10の作用部14を挿入する。その後、図11に示すように、操作ハンドル10の把手部12を手前に引いて誘導車輪15を支点にして軸部11を傾ける。これにより、操作ハンドル10の作用部14が回転し、作用部14の先端が図5から図8に示した連結部5の湾曲部511において長辺部511(傾斜面)を摺動しながら屈曲する頂部に到達することで、作用部14は連結部5に引っ掛かり、その際に作用部14は連結部5を介してパレット1を上方に押し上げる。
【0055】
このように、パレット1は、操作ハンドル10を傾けることによるテコの原理によって、作用部14により下から力を受け、その結果、パレット1は、作用部14が引っ掛かる辺部(図10及び図11では辺部8A)が持ち上げられる。これにより、パレット1は傾斜状態となり、パレット1において作用部14が引っ掛かる辺部(図10及び図11では辺部8A)と対向する辺部(図10及び図11では辺部8C)にある自在車輪60及び第一固定車輪700A以外は床などから浮いた状態となる。よって、規制部7によるパレット1の移動規制が解除され、パレット1は操作ハンドル10の操作により容易に床などの上を移動可能となる。
【0056】
また連結部5の一対の側板52が「ハ」の字状に開いており、一対の側板52の間から挿入した操作ハンドル10の作用部14は連結部5に引っ掛かりながら水平方向に旋回可能である。そのため、パレット1は操作ハンドル10の操作により方向自在に床などの上を移動可能である。
【0057】
<第一実施形態の搬送器具の作用・効果>
上述した第一実施形態の搬送器具100は、図10及び図11に示すように、平面視で矩形状のパレット1と、下端に少なくとも一つの誘導車輪15を備えた操作ハンドル10とを備え、操作ハンドル10は、パレット1の四つの辺部8A-8Dの少なくとも一つの辺部(例えば辺部8A)に設けられた連結部5に引っ掛かる作用部14を備え、誘導車輪15を支点にした回転動作によりパレット1において作用部14が引っ掛かる辺部(例えば辺部8A)を持ち上げるように構成されており、パレット1は、作用部14が引っ掛かる辺部(例えば辺部8A)と対向する辺部(例えば辺部8C)に少なくとも一つの自在車輪60を備え、作用部14が引っ掛かる辺部(例えば辺部8A)が持ち上げられた傾斜状態で自在車輪60により移動可能であり、かつ、パレット1は、作用部14が引っ掛かる辺部(例えば辺部8A)が持ち上げられる前の水平状態において接地してパレット1の移動を規制する規制部7を備える、ことを特徴としている。
【0058】
第一実施形態の搬送器具100によれば、操作ハンドル10の操作によりパレット1を傾斜状態にすることで、パレット1を自在車輪60により容易に床などの上を移動させることができる。操作ハンドル10はハンドリフトなどと比べると軽量であるため、荷物を載せたパレット1を楽に運搬できる。また、操作ハンドル10をパレット1から外してパレット1を水平状態で床などの上に載置すると、規制部7としての第一固定車輪700A及び第二固定車輪700Bによりパレット1の移動が規制されるので、パレット1を床などの上に動かないよう静止した状態で置くことができる。
【0059】
また第一実施形態の搬送器具100は、自在車輪60が水平方向に旋回自在であることから、パレット1を方向自在に床などの上を移動させることができる。
【0060】
また第一実施形態の搬送器具100は、パレット1の四つの辺部8A-8Dにそれぞれ連結部5が設けられ、パレット1の四つの隅部に自在車輪60が設けられるので、パレット1に対して四方向のいずれの方向からでも操作ハンドル1をセットしてパレット1を移動させることができる。
【0061】
<第一実施形態の搬送器具の変形例>
上述した第一実施形態の搬送器具100において、連結部5は必ずしもパレット1に四つ設けられている必要はなく、少なくとも一つ設けられていればよい。この場合、自在車輪60は、パレット1において、連結部5が設けられる辺部と対向する辺部に少なくとも一つ設けられていればよいが、パレット1に複数設けられるのが好ましく、パレット4の四つの隅部にそれぞれ設けられるのが最も好ましい。
【0062】
また上述した第一実施形態の搬送器具100において、規制部7を構成する第一固定車輪700A及び第二固定車輪700Bは、必ずしもパレット1のそれぞれの辺部8A-8Dの近傍に設けられている必要はなく、例えばパレット1の中央など、適当な位置に設けることができる。
【0063】
<第二実施形態の搬送器具>
図13及び図14に示す第二実施形態の搬送器具100は、上述した第一実施形態の搬送器具100と比較して、ハンドル10の構成については相違がなく、パレット1についてもフレーム2、ベース板3、補強材4、連結部5、キャスター6及び取付板9の構成においては相違がない。そのため、以下の第二実施形態の搬送器具100に関する説明では、フレーム2、ベース板3、補強材4、連結部5、キャスター6及び取付板9については同一の符号を付することで説明を省略し、第一実施形態の搬送器具100と構成の異なる規制部7について詳細に説明する。
【0064】
第二実施形態の搬送器具100のパレット1において、規制部7は、図12に示すように、パレット1の裏面(床などに面する面)から突き出る少なくとも一つの突起部71で構成される。突起部71は、図示例では棒状の鋼材で構成されており、複数の突起部71がベース板3の裏面に例えば溶接などで固定される。突起部71の形状は、例えば断面視で矩形状であるが、円形状などであってもよく、特に限定されない。突起部71の素材は、鋼材などの金属製に限られず、樹脂製又は木製などであってもよい。
【0065】
突起部71は、図13に示すように、パレット1の裏面から下方に突き出ており、パレット1を水平状態で床などの上に載置した際に床などに接地している。その際、図示例のように、自在車輪60は突起部71とともに接地していてもよいし、自在車輪60は接地せずに床の上などから浮いていて突起部71だけが接地していてもよい。
【0066】
図示例では、突起部71がパレット1の裏面から自在車輪60と同じ程度に下方に突き出るように形成されることで、突起部71及び自在車輪60の両方が接地しているが、以下の変形例のように突起部71を形成してもよい。変形例では、突起部71は、床などに接地する側の先端にゴムやバネなどの弾性部材が取り付けられることでパレット1の裏面から自在車輪60よりも下方に突き出るように形成される。そして、パレット1を水平状態で床などの上に載置した際に、突起部71が先に接地した後、パレット1の自重やパレット1の上に乗せられた荷物の重みでパレット1が沈み込むことで、突起部71及び自在車輪60の両方が接地する。この変形例では、突起部71によりパレット1の移動を効果的に規制できる。なお、突起部71は、パレット1側の基端にゴムやバネなどの弾性部材が取り付けられてもよい。一方で、突起部71だけが接地する場合は、突起部71は、パレット1の裏面から自在車輪60よりも下方に突き出るように形成される。
【0067】
図13及び図14に示すように、第二実施形態の搬送器具100においても、第一実施形態の搬送器具100と同様、パレット1の連結部5に対して操作ハンドル10の作用部14を作用させてパレット1を傾斜状態とすると、パレット1において作用部14が引っ掛かる辺部(図示例では辺部8A)と対向する辺部(図示例では辺部8C)にある自在車輪60以外は床などから浮いた状態となる。よって、規制部7によるパレット1の移動規制が解除され、パレット1は操作ハンドル10の操作により容易に床などの上を移動可能となる。よって、荷物を載せたパレット1を楽に運搬できる。また、操作ハンドル10をパレット1から外してパレット1を水平状態にすると、規制部7の突起部71によりパレット1の移動が規制されるので、パレット1を床などの上に動かないよう静止した状態で置くことができる。
【0068】
また第二実施形態の搬送器具100は、自在車輪60が水平方向に旋回自在であることから、パレット1を方向自在に床などの上を移動させることができる。
【0069】
また第二実施形態の搬送器具100は、パレット1の四つの辺部8A-8Dにそれぞれ連結部5が設けられ、パレット1の四つの隅部にそれぞれ自在車輪60が設けられるので、パレット1に対して四方向のいずれの方向からでも操作ハンドル1をセットしてパレット1を移動させることができる。
【0070】
<第二実施形態の搬送器具の変形例>
上述した第二実施形態の搬送器具100においても、第一実施形態の搬送器具100と同様に、連結部5は必ずしもパレット1に四つ設けられている必要はなく、少なくとも一つ設けられていればよい。この場合、自在車輪60は、パレット1において、連結部5が設けられる辺部と対向する辺部に少なくとも一つ設けられていればよいが、パレット1に複数設けられるのが好ましく、パレット4の四つの隅部にそれぞれ設けられるのが最も好ましい。
【0071】
また上述した第二実施形態の搬送器具100において、規制部7は、必ずしも複数の突起部7で構成されている必要はなく、一つのサイズの大きな突起部71で構成されていてもよい。また、突起部71は、必ずしもパレット1の中央に設けられている必要はなく、例えばパレット1の各辺部8A-8Dの近傍など、適当な位置に設けることができる。
【0072】
また上述した第二実施形態の搬送器具100において、キャスター6は、車輪60が水平方向に旋回自在な自在キャスターであるが、車輪60が水平方向に旋回不能な固定キャスターであってもよい。
【0073】
<第三実施形態の搬送器具>
図16及び図17に示す第三実施形態の搬送器具100は、上述した第一実施形態の搬送器具100と比較して、ハンドル10の構成については相違がなく、パレット1についてもフレーム2、ベース板3、補強材4、連結部5及び規制部7の構成においては相違がない。そのため、以下の第三実施形態の搬送器具100に関する説明では、フレーム2、ベース板3、補強材4、連結部5及び規制部7については同一の符号を付することで説明を省略し、第一実施形態の搬送器具100と異なる点について詳細に説明する。
【0074】
第三実施形態の搬送器具100のパレット1においては、図15に示すように、第一実施形態の搬送器具100のパレット1におけるキャスター6(水平旋回自在な自在車輪60を備えた自在キャスター)が設けられておらず、水平旋回不能な第一固定車輪700A又は第二固定車輪700Bを備えた複数のキャスター70が規制部7として機能するとともに、パレット1を床などの上で容易に移動させるキャスターとしても機能する。
【0075】
図示例では第一固定車輪700Aを備えた四つのキャスター70及び第二固定車輪700Bを備え四つのキャスター70の合計八つのキャスター70がパレット1に設けられる。第一固定車輪700Aは、パレット1の四つの辺部8A-8Dのうちの一組の対向する辺部8A,8Cにそれぞれ二つずつが、該辺部8A,8Cと直交する方向に転動するようにパレット1に設けられる。第二固定車輪700Bは、パレット1の四つの辺部8A-8Dのうちの他の一組の対向する辺部8B,8Dにそれぞれ二つずつが、該辺部8B,8Dと直交する方向に転動するようにパレット1に設けられる。これにより、第一実施形態の搬送器具100と同様に、第一固定車輪700Aと第二固定車輪700Bとでは転動する方向が90°異なる。
【0076】
そのため、図16に示すように、第三実施形態の搬送器具100においても、第一実施形態の搬送器具100と同様、パレット1が水平状態である際には、パレット1の移動が規制部7(第一固定車輪700A及び第二固定車輪700B)により規制されるので、パレット1を床などの上に動かないよう静止した状態で置くことができる。
【0077】
そして、図17に示すように、パレット1の連結部5に対して操作ハンドル10の作用部14を作用させてパレット1を傾斜状態とすると、パレット1において作用部14が引っ掛かる辺部(図17では辺部8A)と対向する辺部(図17では辺部8C)にある固定車輪(図17では第一固定車輪700A)以外は床などから浮いた状態となる。よって、規制部7によるパレット1の移動規制が解除され、パレット1は操作ハンドル10の操作により容易に床などの上を移動可能となる。よって、荷物を載せたパレット1を楽に運搬できる。
【0078】
なお、図示例では、キャスター70は、それぞれパレット1の四つの辺部8A-8Dの長さ方向中央にある連結部5の両側に位置するように、補強材4又はフレーム2に設けられるが、キャスター70の位置や数は特に限定されない。図示例では、八つのキャスター70によりパレット1を水平状態に安定して維持できる。さらに、パレット1が傾斜した状態においては、傾斜に伴い持ち上げられたパレット1の辺部(図16及び図17では辺部8A)と対向する辺部(図16及び図17では辺部8C)に設けられた二つの固定車輪(図16及び図17では700A)によりパレット1を床などの上で安定して移動させることができる。
【0079】
<第三実施形態の搬送器具の変形例>
上述した第三実施形態の搬送器具100においても、第一実施形態の搬送器具100と同様に、連結部5は必ずしもパレット1に四つ設けられている必要はなく、少なくとも一つ設けられていればよい。
【符号の説明】
【0080】
100 搬送器具
1 パレット
5 連結部
7 規制部
8A パレットの一つの辺部
8B パレットの一つの辺部
8C パレットの一つの辺部
8D パレットの一つの辺部
10 操作ハンドル
14 作用部
15 誘導車輪
60 自在車輪
71 突起部
700A 第一固定車輪
700B 第二固定車輪
【要約】
【課題】荷物の搬送時には車輪により容易にパレットを移動でき、荷物の搬送時以外ではパレットを動かないように静止状態にできる搬送器具を提供する。
【解決手段】搬送器具は、パレット1と、下端に少なくとも一つの誘導車輪15を備えた操作ハンドル10とを備え、操作ハンドル10は、パレット1の四つの辺部8A-8Dの少なくとも一つの辺部(例えば辺部8A)に設けられた連結部5に引っ掛かる作用部14を備え、誘導車輪15を支点にした回転動作によりパレット1において作用部14が引っ掛かる辺部8Aを持ち上げるように構成されており、パレット1は、作用部14が引っ掛かる辺部8Aと対向する辺部8Cに少なくとも一つの自在車輪60を備え、作用部14が引っ掛かる辺部8Aが持ち上げられた傾斜状態で自在車輪60により移動可能であり、かつ、パレット1は、水平状態において接地してパレット1の移動を規制する規制部7を備える。
【選択図】図11
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17