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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/08 20060101AFI20240920BHJP
   B41F 15/40 20060101ALI20240920BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B41F15/08 303E
B41F15/40 B
H05K3/34 505D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020175459
(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公開番号】P2022066873
(43)【公開日】2022-05-02
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒田 聖弥
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-137218(JP,A)
【文献】特開平10-193565(JP,A)
【文献】特開2015-066691(JP,A)
【文献】特開昭61-047696(JP,A)
【文献】特開2005-216995(JP,A)
【文献】実開平07-015340(JP,U)
【文献】特開2015-016571(JP,A)
【文献】国際公開第2022/085268(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/08
B41F 15/40
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを用いて基板に半田ペーストを印刷する印刷装置であって、
前記マスク上を摺動すると共に、前記マスクに設けられた開口を介して前記基板に前記半田ペーストを印刷するスキージと、
前記スキージに付着した前記半田ペーストの少なくとも一部を前記マスク側に付着させるために前記スキージを下降させる動作である半田切り動作を制御する制御部と、を備え、
前記スキージは、前記印刷装置のオペレータに近い側の第1のスキージ、及び、前記オペレータから遠い側の第2のスキージを含み、
前記制御部は、前記スキージの印刷終了位置が前記オペレータに近い側の位置である場合、前記印刷終了位置にて前記第1のスキージの前記半田切り動作を行った後、前記第2のスキージを前記印刷終了位置に移動させて前記第2のスキージの前記半田切り動作を行う、
刷装置。
【請求項2】
マスクを用いて基板に半田ペーストを印刷する印刷装置であって、
前記マスク上を摺動すると共に、前記マスクに設けられた開口を介して前記基板に前記半田ペーストを印刷するスキージと、
前記スキージに付着した前記半田ペーストの少なくとも一部を前記マスク側に付着させるために前記スキージを下降させる動作である半田切り動作を制御する制御部と、を備え、
前記スキージは、前記印刷装置のオペレータに近い側の第1のスキージ、及び、前記オペレータから遠い側の第2のスキージを含み、
前記制御部は、前記スキージの印刷終了位置が前記オペレータにから遠い側の位置である場合、前記印刷終了位置にて前記第2のスキージの前記半田切り動作を行った後、前記第1のスキージを前記印刷終了位置に移動させて前記第1のスキージの前記半田切り動作を行う、
刷装置。
【請求項3】
前記スキージに付着した前記半田ペーストの落下を受け止めるカバーをさらに備え、
前記制御部は、
前記スキージの前記半田切り動作を行い、
前記カバーを、前記スキージの前記マスク上の摺動を妨げない位置である退避位置から、前記スキージに付着した前記半田ペーストの落下を受け止める位置である受け止め位置へ移動させる、
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキージに付着した半田がスクリーンマスク上に落下することを防止する機構を備えたスクリーン印刷装置が知られている。特許文献1には、スキージの端面に沿う当接部材を備えた清掃ユニットをスクリーンマスクの下に備え、スクリーンマスクを退避させた後、清掃ユニットの当接部材を用いてスキージの端面に付着した半田を拭き取ることにより、スキージに付着した半田の落下を防止するスクリーン印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-16571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成は、スキージに付着した大量の半田をそのまま拭き取ってしまうので、半田の再利用の効率が低い。
【0005】
本開示の目的は、スキージに付着した半田を再利用する印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る印刷装置は、マスクを用いて基板に半田ペーストを印刷する印刷装置であって、前記マスク上を摺動すると共に、前記マスクに設けられた開口を介して前記基板に前記半田ペーストを印刷するスキージと、前記スキージに付着した前記半田ペーストの少なくとも一部を前記マスク側に付着させるために前記スキージを下降させる動作である半田切り動作を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、スキージに付着した半田を再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態におけるスクリーン印刷装置を示す斜視図
図2】本実施の形態におけるスクリーン印刷装置を示す側面図
図3A】本実施の形態において半田落下防止機構のカバーが退避位置に位置する場合のスキージヘッドを示す側面図
図3B】本実施の形態において半田落下防止機構のカバーが受け止め位置に位置する場合のスキージヘッドを示す側面図
図4A】本実施の形態において半田落下防止機構のカバーが退避位置に位置する場合のスキージ付近を示す斜視図
図4B】本実施の形態において半田落下防止機構のカバーが受け止め位置に位置する場合のスキージ付近を示す斜視図
図5A】本実施の形態においてカバーが退避位置に位置する場合の半田落下防止機構を示す斜視図
図5B】本実施の形態においてカバーが受け止め位置に位置する場合の半田落下防止機構を示す斜視図
図6】本実施の形態においてカバーを構成する平面板の着脱を説明するための図
図7】本実施の形態におけるスクリーン印刷装置の制御系統を示すブロック図
図8】本実施の形態における制御装置が印刷作業終了時に行う処理の一例を示すフローチャート
図9】本実施の形態における制御装置が印刷作業開始時に行う処理の一例を示すフローチャート
図10A】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第1の図
図10B】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第2の図
図10C】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第3の図
図10D】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第4の図
図10E】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第5の図
図10F】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第6の図
図10G】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第7の図
図10H】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第8の図
図10I】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第9の図
図10J】本実施の形態におけるスキージ及びカバーの印刷作業終了時の動作を説明するための第10の図
図11】本実施の形態における変形例としての半田落下防止機構の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(本実施の形態)
<スクリーン印刷装置の構成>
図1及び図2を参照して、スクリーン印刷装置1の構成を説明する。図1は、本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1を示す斜視図である。図2は、本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1を示す側面図である。
【0011】
スクリーン印刷装置1は、上流工程側から投入された基板2を受け取り、その基板2の各電極2dに半田ペースト9をスクリーン印刷し、下流工程側の装置に受け渡すスクリーン印刷動作を、繰り返し実行する。スクリーン印刷装置1は、印刷装置と読み替えられてもよい。基板2は、回路基板と読み替えられてもよい。半田ペースト9は、半田、又は、ペーストと読み替えられてもよい。下流工程側の装置の一例として、部品実装装置(図示しない)が挙げられる。
【0012】
以下、説明の便宜上、オペレータ8から見た左右方向をX軸方向とし、左方を上流工程側、右方を下流工程側とする。また、オペレータ8に近づく方向を前、オペレータ8から離れる方向を後とした前後方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。また、説明の便宜上、X軸の負方向を「左」、X軸の正方向を「右」、Y軸の負方向を「前」、Y軸の正方向を「後」、Z軸の正方向を「上」、Z軸の負方向を「下」と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0013】
スクリーン印刷装置1は、基台11上に基板保持移動機構12を備える。基板保持移動機構12は、印刷対象の基板2を保持及び移動させる機構を備える。基板保持移動機構12は、テーブルと読み替えられてもよい。基板保持移動機構12の上方には、スクリーンマスク13が設けられる。スクリーンマスク13は、マスクと読み替えられてもよい。
【0014】
基板保持移動機構12の左方には、スクリーン印刷装置1の上流工程側から投入された基板2を受け取り、基板保持移動機構12に搬送する搬入コンベア14が設けられる。基板保持移動機構12の右方には、当該基板保持移動機構12から基板2を受け取り、下流工程側に搬送する搬出コンベア(図示しない)が設けられる。
【0015】
スクリーンマスク13の下方領域には、カメラ16が移動自在に設けられる。スクリーンマスク13の上方領域には、スキージヘッド17が移動自在に設けられる。
【0016】
図2に示すように、基板保持移動機構12は、基板保持部21、及び、移動テーブル部22を有する。
【0017】
基板保持部21は、位置決めコンベア31、下受け部32、及び、前後一対のクランパ33を備える。位置決めコンベア31は、搬入コンベア14から受け取った基板2を所定のクランプ位置に位置決めする。下受け部32は、位置決めコンベア31がクランプ位置に位置決めした基板2を下方から支持する。クランパ33は、その基板2を側方(Y軸方向)からクランプして保持する。基板保持部21が有する2つのクランパ33のうち、オペレータ8の側に位置するものを前方クランパ33Fと称し、オペレータ8とは反対の側に位置するものを後方クランパ33Rと称する。なお、オペレータ8は作業者と読み替えらえてもよい。
【0018】
移動テーブル部22は、複数のテーブル機構が多段積みされて成るXYθテーブル機構から成り、基板保持部21を水平面内方向および上下方向に移動させる。
【0019】
スクリーンマスク13は、XY平面に広がった矩形平板形状の金属部材を有して構成される。スクリーンマスク13には、パターン開口(図示しない)が、基板2の電極2dの配置に対応して設けられる。パターン開口は、開口と読み替えられてもよい。スクリーンマスク13は、略四角形の枠部材13Wによって枠取り及び支持される。
【0020】
基板保持移動機構12の上方には、図1に示すように、枠部材13Wの左右をそれぞれ支持するL型レール状のマスク支持部19が対向して設けられる。スクリーンマスク13及び枠部材13Wは、マスク支持部19のレール上に配置され、前後方向に移動可能である。
【0021】
図2に示すように、カメラ16は、撮像視野を上方に向けた上方撮像部16aと、撮像視野を下方に向けた下方撮像部16bとを有する。カメラ16は、ボール螺子機構をアクチュエータとするカメラ移動機構16Kに駆動されて、XY面内を移動可能である。
【0022】
<スキージヘッドの構成>
図1図2図3A及び図3Bを参照して、スキージヘッド17の構成を説明する。図3Aは、本実施の形態において半田落下防止機構200のカバー210が退避位置P1に位置する場合のスキージヘッド17を示す側面図である。図3Bは、本実施の形態において半田落下防止機構200のカバー210が受け止め位置P2に位置する場合のスキージヘッド17を示す側面図である。
【0023】
スキージヘッド17は、移動ベース41、2つのスキージ42、及び、2つのスキージ昇降シリンダ43を含んで構成される。
【0024】
移動ベース41は、左右方向に延びた部材である。移動ベース41は、ボール螺子機構をアクチュエータとする印刷ヘッド移動機構17Kに駆動されて前後方向に移動する。
【0025】
2つのスキージ42は、移動ベース41に前後に並んで対向配設される。2つのスキージ42は、移動ベース41の前後方向の移動によって、2つ一体となって前後方向に往復移動する。前後の2つのスキージ42のうち、前方(図2の紙面右側)に位置するスキージ42を前方スキージ42Fと称し、後方(図2の紙面左側)に位置するスキージ42を後方スキージ42Rと称する。
【0026】
前方スキージ42F、及び、後方スキージ42Rは、それぞれ、左右方向に延びた「へら」状の部材から成り、互いに下方に広がる姿勢で斜め下方に延びている。前方スキージ42Fについては後面がペースト掻寄せ面であり、後方スキージ42Rについては前面がペースト掻寄せ面である。
【0027】
2つのスキージ昇降シリンダ43は、前後方向に並んで移動ベース41に設けられる。前方のスキージ昇降シリンダ43は前方スキージ42Fを昇降させ、後方のスキージ昇降シリンダ43は後方スキージ42Rを昇降させる。
【0028】
スキージ昇降シリンダ43は、スキージ42の下端がスクリーンマスク13の上面から所定距離だけ離間した待機高さ位置(図2に示すスキージ42参照)と、スキージ42の下端がスクリーンマスク13に当接する当接高さ位置との間でスキージ42を昇降させることができる。
【0029】
スキージヘッド17には、マスク自動位置決めユニット91、及び、半田ペースト回収装置71が搭載される。
【0030】
マスク自動位置決めユニット91は、スクリーンマスク13の枠部材13Wを移動させることでスクリーンマスク13を移動させ、スクリーンマスク13の位置決めを行う。この際、マスク自動位置決めユニット91は、枠部材13Wよりもさらに後方に移動してよい。この移動位置が、スキージヘッド17の最後端の移動位置となる。
【0031】
半田ペースト回収装置71は、スクリーンマスク13上に余った半田ペースト9を回収する装置である。半田ペースト回収装置71は、スキージヘッド17とマスク自動位置決めユニット91との間に設けられてよい。これにより、スキージヘッド17が最後端の移動位置に移動したとしても、当該スキージヘッド17は設備の骨組み113と干渉しない。
【0032】
半田ペースト回収装置71は、マスク自動位置決めユニット91が有する半田回収取付ユニット93に、着脱自在に取り付けられる。次に、半田回収取付ユニット93の構成を詳細に説明する。
【0033】
半田回収取付ユニット93は、マスク位置決め用のロッド97と、ロッド97を上下方向に駆動するシリンダ99と、半田ペースト回収装置71を支持する回収ユニット支持杆105とを有する。シリンダ99は、左右方向に沿って複数配置され、半田回収取付ユニット93の筐体に取り付けられる。
【0034】
また、半田回収取付ユニット93において、複数配置されたシリンダ99の間に、回収ユニット支持杆105が設けられる。回収ユニット支持杆105には、半田ペースト回収装置71を昇降させる昇降シリンダおよび昇降ロッドが取り付けられる。当該昇降ロッドには、半田ペースト回収装置71が取り付けられる。
【0035】
半田ペースト回収装置71は、スクリーンマスク13に当接して回収した半田ペースト9を保持する当接部73を有する。
【0036】
当接部73は、スキージ42の長手方向に沿って延在する短冊状の薄板から成る。当接部73は、一方の長辺側が半田ペースト回収装置71の筐体89に固定され、他方の長辺側が下向きに傾斜して取り付けられる。
【0037】
半田ペースト回収装置71は、1つの印刷動作が終了した場合に、当接部73をスクリーンマスク13上に当接させて前方に移動し、スクリーンマスク13上の余った半田ペースト9を回収する。半田ペースト回収装置71は、次の印刷に用いられるスクリーンマスク13に交換された場合に、回収済みの半田ペースト9を交換後のスクリーンマスク13上に供給する。
【0038】
スキージヘッド17には、スキージ42に付着した半田ペースト9のスクリーンマスク13上への落下を防止する機構である半田落下防止機構200が搭載される。半田落下防止機構200は、カバー210及びカバー移動機構220を含んで構成される。カバー210は、上昇状態のスキージ42に付着する半田ペースト9の落下を受け止める。カバー移動機構220は、スキージ42のスクリーンマスク13上の摺動を妨げない位置である退避位置P1と、スキージ42に付着した半田ペースト9の落下を受け止める位置である受け止め位置P2との間においてカバー210を移動させる機構である。次に、半田落下防止機構200について詳細に説明する。
【0039】
<半田落下防止機構の詳細>
図3A図3B図4A図4B図5A図5B及び図6を参照して、半田落下防止機構200の構成を詳細に説明する。図4Aは、本実施の形態において半田落下防止機構200のカバー210が退避位置P1に位置する場合のスキージ42付近を示す斜視図である。図4Bは、本実施の形態において半田落下防止機構200のカバー210が受け止め位置P2に位置する場合のスキージ42付近を示す斜視図である。図5Aは、本実施の形態においてカバー210が退避位置P1に位置する場合の半田落下防止機構200を示す斜視図である。図5Bは、本実施の形態においてカバー210が受け止め位置P2に位置する場合の半田落下防止機構200を示す斜視図である。図6は、本実施の形態においてカバー210を構成する平面板212の着脱を説明するための図である。
【0040】
上述のとおり、半田落下防止機構200は、カバー210及びカバー移動機構220を含んで構成される。
【0041】
カバー210の左右方向の長さは、スキージ42の左右方向の長さよりも長い。加えて、カバー210の前後方向の長さは、前方スキージ42F及び後方スキージ42Rを横から見た場合の前方スキージ42Fの下端と後方スキージ42Rの下端との間の距離よりも長い。これにより、カバー210は、前方スキージ42F及び後方スキージ42Rの下方の受け止め位置P2に位置する場合に、前方スキージ42F及び後方スキージ42Rのいずれから落下した半田ペースト9も受け止めることができる。
【0042】
カバー移動機構220は、カバー210を退避位置P1と受け止め位置P2との間で移動させる機構を有する。例えば、カバー移動機構220は、2つの固定部221、2つの第1アーム222、2つの第2アーム223、及び、2つのエアシリンダ224を含んで構成される。
【0043】
2つの固定部221は、スキージヘッド17の左側及び右側にそれぞれ固定される。
【0044】
2つのエアシリンダ224は、カバー210を駆動させるアクチュエータの一例である。2つのエアシリンダ224は、左側の固定部221及び右側の固定の221にそれぞれ固定される。エアシリンダ224は、吸気及び排気によってロッド225を前後方向に摺動させる。なお、エアシリンダ224に代えて、例えば油圧シリンダといった他の種類のアクチュエータが用いられてもよい。
【0045】
一方の第1アーム222は、一端がカバー210の左側の短手側面に回転軸231によって接続され、他端が左側のエアシリンダ224のロッド225に回転軸232によって接続される。加えて、一方の第1アーム222は、一端から他端の途中において、回転軸233によって左側の固定部221に接続される。他方の第1アーム222は、一端がカバー210の右側の短手側面に回転軸231によって接続され、他端が右側のエアシリンダ224のロッド225に回転軸232によって接続される。加えて、他方の第1アーム222は、一端から他端の途中において、回転軸233によって右側の固定部221に接続される。
【0046】
一方の第2アーム223は、左側の第1アーム222と略平行に配置され、一端がカバー210の左側の短手側面に回転軸234によって接続され、他端が左側の固定部221に回転軸235によって接続される。他方の第2アーム223は、右側の第1アーム222と略平行に配置され、一端がカバー210の右側の短手側面に回転軸234によって接続され、他端が右側の固定部221に回転軸235によって接続される。
【0047】
カバー210を退避位置P1に移動させる場合、エアシリンダ224は次のように動作する。すなわち、エアシリンダ224は、図4A及び図5Aに示すように、ロッド225を後方に摺動させる。これにより、第1アーム222の他端がロッド225によって後方かつ下方に移動し、第1アーム222と固定部221を接続する回転軸233が支点となって、第1アーム222の一端が前方かつ上方に移動する。これに伴い、第1アーム222の一端に接続されるカバー210も前方かつ上方に移動する。これにより、カバー210は退避位置P1に移動する。
【0048】
カバー210を受け止め位置P2に移動させる場合、エアシリンダ224は次のように動作する。すなわち、エアシリンダ224は、図4B及び図5Bに示すように、ロッド225を前方に摺動させる。これにより、第1アーム222の他端がロッド225によって前方かつ上方に移動し、第1アーム222と固定部221を接続する回転軸233が支点となって、第1アーム222の一端が後方かつ下方に移動する。これに伴い、第1アーム222の一端に接続されるカバー210も後方かつ下方に移動する。これにより、カバー210は受け止め位置P2に移動する。ここで、受け止め位置P2は、スキージ42の下方の位置である。すなわち、第1アーム222及び第2アーム223の長さ、及び、エアシリンダ224のロッド225の摺動距離等は、カバー210が受け止め位置P2であるスキージ42の下方に位置するように設計されてよい。
【0049】
カバー移動機構220は、カバー210が退避位置P1と受け止め位置P2との間を移動する間、カバー210の水平姿勢が維持されるように構成される。これにより、カバーが退避位置P1と受け止め位置P2との間を移動する間に、カバー210が受け止めた半田ペースト9が当該カバー210から滑り落ちてしまうことを防止できる。
【0050】
図6に示すように、カバー210は、支持板211及び平面板212を含んで構成される。支持板211は、略長方形の薄板から成る。平面板212は、支持板211の上に重ねて配置可能な略長方形の薄板から成る。
【0051】
平面板212は、支持板211に着脱可能に構成される。例えば、平面板212の一方の短手側には凸部213が形成されており、当該凸部213は支持板211の一方の短手側に形成されている凹部214に係合可能である。加えて、平面板212の他方の短手側及び支持板211の他方の短手側は、ローレットネジ216によって固定可能である。これにより、オペレータ8は、図6に示すように、ローレットネジ216を外して平面板212の他方の短手を持ち上げ、平面板212の一方の短手側の凸部213を支持板211の凹部214から抜くことにより、平面板212を支持板211から簡単に取り外すことができる。
【0052】
よって、オペレータ8は、スキージ42から落下した半田ペースト9によって平面板212が汚れた場合であっても、綺麗な平面板212に交換し、直ちに印刷作業を再開できる。よって、印刷作業を中断して汚れたカバー210を清掃する場合と比較して、印刷作業効率が向上する。なお、汚れた平面板212は、外段取りにおいて清掃し、再利用できる。
【0053】
支持板211の前方の長辺には、当該長辺に沿って上方に延びるリブ215が設けられてよい。これにより、支持板211の撓みが防止される。一方、支持板211の後方の長辺には、リブが設けられなくてよい。支持板211の後方の長辺にリブを設けた場合、カバー210を受け止め位置P2に移動させる際に、スキージ42から垂れ下がった半田ペースト9が当該リブに付着するおそれがあるためである。
【0054】
また、カバー210が受け止め位置P2に位置する状態において、カバー210とスキージ42の下端との間の距離は、カバー210とスクリーンマスク13との間の距離よりも長くてよい。カバー210とスキージ42の下端との間の距離を長くすることにより、カバー210を受け止め位置P2に移動させる際にスキージ42から垂れ下がった半田ペースト9がカバー210の後方の長辺に接触する可能性を低減できる。
【0055】
<制御系統の構成>
図7を参照して、スクリーン印刷装置1の制御系統を説明する。図7は、本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1の制御系統を示すブロック図である。
【0056】
スクリーン印刷装置1は、当該スクリーン印刷装置1が備える各装置の動作を制御する制御装置60を有する。制御装置60は、制御部、コントローラ、プロセッサ、又は、CPU(Central Processing Unit)といった他の用語に読み替えられてもよい。また、制御装置60は、制御に用いられるデータ及びコンピュータプログラムを記憶するメモリ(例えばROM(Read-Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))を含んでよい。
【0057】
制御装置60は、搬入コンベア14による基板2の搬送、基板保持移動機構12による基板2の保持及び移動、及び、搬出コンベア(図示しない)による基板2の搬送に関する動作を制御する。制御装置60は、カメラ移動機構16Kによるカメラ16の移動とカメラ16の撮像、印刷ヘッド移動機構17Kによるスキージヘッド17の移動、及び、スキージ昇降シリンダ43による各スキージ42の昇降に関する動作を制御する。制御装置60は、半田ペースト回収装置71による半田ペースト9の回収及び供給に関する動作を制御する。
【0058】
制御装置60は、カバー移動機構220によるカバー210の移動に関する動作を制御する。なお、カバー210の移動制御の詳細については後述する。制御装置60は、スキージ42の半田切り動作を制御する。なお、スキージ42の半田切り動作の詳細については後述する。
【0059】
カメラ16の撮像によって得られた画像データは、制御装置60に送られ、制御装置60の画像処理部60aにおいて画像認識がなされる。
【0060】
本実施の形態におけるスクリーン印刷装置1では、制御装置60に接続される入力装置61から必要な入力が行われる。これにより、前後一対のスキージ42のそれぞれの当接地点が任意に設定可能となる。
【0061】
また、入力装置61から必要な入力が行われることにより、スキージ42のスクリーンマスク13上での摺動速度と、スキージ42のスクリーンマスク13に対する印圧をそれぞれ任意に設定できるようになっている。
【0062】
また、スクリーン印刷装置1は、入力装置61からの入力に基づき、印刷開始位置、及び、印刷終了位置を任意に設定可能となっている。入力装置61は、印刷開始位置について、前側及び後側のいずれかを任意に選択可能であってよい。入力装置61は、印刷終了位置について、前側及び後側のいずれかを任意に選択可能であってよい。入力装置61は、その選択された印刷開始位置及び/又は印刷終了位置を、制御装置60に通知してよい。入力装置61は、タッチパネル、押しボタン、及び、スイッチといった入力デバイスによって構成されてよい。
【0063】
制御装置60は、印刷終了位置に応じて半田ペースト9の回収位置を設定してよい。制御装置60は、印刷開始位置に応じて半田ペースト9の供給位置を設定してよい。
【0064】
<カバーの移動制御の詳細>
図8及び図9を参照して、制御装置60によるカバー210の移動制御を詳細に説明する。
【0065】
図8は、本実施の形態における制御装置60が印刷作業終了時に行う処理の一例を示すフローチャートである。制御装置60は、印刷作業終了を検知した場合に当該処理を開始してよい。例えば、制御装置60は、オペレータ8によって生産終了のボタンが押下された場合、当該処理を開始する。例えば、制御装置60は、予め設定された分の生産が終了した場合、当該処理を開始する。例えば、制御装置60は、生産機種の切り替えを行う場合、当該処理を開始する。例えば、制御装置60は、半田供給ユニット190(図10A図10J参照)の交換作業を行う場合、当該処理を開始する。半田供給ユニット190は、半田ペースト9をスクリーンマスク13上に自動的に供給するユニット(装置)である。例えば、制御装置60は、スキージ42の上昇制御が発生した場合、当該処理を開始する。例えば、制御装置60は、スキージ42のスクリーンマスク13上の摺動を停止した後、当該処理を開始する。
【0066】
S101として、制御装置60は、スキージ42の半田切り動作を行う。半田切り動作の詳細については後述するが、半田切り動作によって、スキージ42から垂れ下がった半田ペースト9の少なくとも一部がスクリーンマスク13側に付着(移行)する。なお、スキージ42の半田切り動作は、直前まで印刷が行われていた場合に実行され、直前に印刷が行われていない場合には実行されなくてもよい。直前に印刷が行われていない場合、スキージ42に半田ペースト9が垂れ下っていないためである。
【0067】
S102として、制御装置60は、スキージ42を上昇させる。
【0068】
S103として、制御装置60は、カバー210の移動ロックを解除する。これにより、カバー210の移動が可能となる。
【0069】
S104として、制御装置60は、カバー移動機構220を駆動させて、カバー210を退避位置P1から受け止め位置P2に移動させる。
【0070】
S105として、制御装置60は、カバー210の移動ロックを設定する。これにより、カバー210が受け止め位置P2に固定される。
【0071】
図9は、本実施の形態における制御装置60が印刷作業開始時に行う処理の一例を示すフローチャートである。制御装置60は、印刷作業開始を検知した場合に当該処理を開始してよい。例えば、制御装置60は、オペレータ8によって生産開始(又は再開)のボタンが押下された場合、当該処理を開始する。例えば、制御装置60は、スキージ42の交換が完了した場合、当該処理を開始する。例えば、制御装置60は、スキージ42の下降制御が発生した場合、当該処理を開始する。例えば、制御装置60は、スキージ42のスクリーンマスク13上の摺動を開始する前、当該処理を開始する。
【0072】
S201として、制御装置60は、カバー210の移動ロックを解除する。これにより、カバー210の移動が可能となる。
【0073】
S202として、制御装置60は、カバー移動機構220を駆動させて、カバー210を受け止め位置P2から退避位置P1に移動させる。
【0074】
S203として、制御装置60は、カバー210の移動ロックを設定する。これにより、カバー210が退避位置P1に固定される。
【0075】
S204として、制御装置60は、スキージ42を下降させ、印刷を開始する。なお、当該スキージ42の下降は、印刷を開始する場合に実行され、印刷を開始しない場合には実行されなくてもよい。
【0076】
<印刷作業終了時におけるスキージ及びカバーの動作の詳細>
図10A図10Jを参照して、印刷作業終了時におけるスキージ42及びカバー210の動作の一例を詳細に説明する。図10A図10Jは、本実施の形態におけるスキージ42及びカバー210の印刷作業終了時における動作を説明するための図である。なお、図10A図10Jにて説明する動作は、制御装置60によって制御されてよい。また、図10A図10Jでは、スキージヘッド17に半田供給ユニット190が接続されている例を示すが、半田供給ユニット190は接続されなくてもよい。
【0077】
まず、図10Aに示すように、前方スキージ42Fは、下降した状態で、スクリーンマスク13上の半田ペースト9を掻き寄せながら、前方から後方に移動する。なお、このとき、後方スキージ42Rは上昇した状態である。これにより、スクリーンマスク13に設けられたパターン開口を介して、基板2に半田ペースト9が印刷される。そして、前方スキージ42Fは、印刷終了位置にて停止する。
【0078】
次に、図10Bに示すように、基板保持移動機構12は、半田ペースト9が印刷された基板2を下降させる。これにより、基板2がスクリーンマスク13から引き剥がされる。
【0079】
次に、図10Cに示すように、基板保持移動機構12は、基板2を搬出コンベア(図示しない)に搬出する。ここで、制御装置60が印刷作業終了を検知した場合、図10Dに示すように、前方スキージ42Fは上昇する。
【0080】
次に、図10E及び図10Fに示すように、後方スキージ42Rは、所定の半田切り位置Qにて、半田切り動作を行う。すなわち、後方スキージ42Rは、半田切り動作として、半田切り位置Qにて、いったん下降した後、上昇する。下降した後方スキージ42Rは、スクリーンマスク13に接触してもよいし、接触しなくてもよい。また、半田切り動作による後方スキージ42Rの下降及び上昇の動作は、1回であってもよいし、複数回であってもよい。これにより、後方スキージ42Rから垂れ下がっていた半田ペースト9の少なくとも一部がスクリーンマスク13側に付着(移行)し、後方スキージ42Rからの半田ペースト9の垂れ下がりが短くなる。なお、半田切り位置Qは、スキージ42の印刷終了位置と同じ又は近傍の位置であってよい。
【0081】
次に、図10Gに示すように、前方スキージ42Fは、半田切り位置Qに移動する。そして、図10G及び図10Hに示すように、前方スキージ42Fは、半田切り位置Qにて、半田切り動作を行う。すなわち、前方スキージ42Fは、半田切り動作として、半田切り位置Qにて、いったん下降した後、上昇する。下降した前方スキージ42Fは、スクリーンマスク13に接触してもよいし、接触しなくてもよい。また、半田切り動作による前方スキージ42Fの下降及び上昇の動作は、1回であってもよいし、複数回であってもよい。これにより、前方スキージ42Fから垂れ下がっていた半田ペースト9の少なくとも一部がスクリーンマスク13側に付着(移行)し、前方スキージ42Fからの半田ペースト9の垂れ下がりが短くなる。
【0082】
なお、図10E図10F図10G及び図10Hにて説明した半田切り動作によってスクリーンマスク13側に付着した半田ペースト9は、半田ペースト回収装置71によって回収されて再利用されてよい。これにより、半田ペースト9の廃棄量が削減され、資源の利用効率が向上する。
【0083】
また、図10E図10F図10G及び図10Hにて説明した半田切り動作では、印刷終了位置が後方(オペレータ8から遠い側)であるため、後方スキージ42Rが半田切り位置Qにて半田切り動作を行った後、前方スキージ42Fが半田切り位置Qに移動して半田切り動作を行っている。これにより、後方に移動中のスキージヘッド17を途中で前方に移動させたりすることなく、後方スキージ42R及び前方スキージ42Fの半田切り動作を効率的に行うことができる。ただし、印刷終了位置が前方(オペレータ8に近い側)である場合、前方スキージ42Fが半田切り位置Qにて半田切り動作を行った後、後方スキージ42Rが半田切り位置Qに移動して半田切り動作を行ってよい。これにより、前方に移動中のスキージヘッド17を途中で後方に移動させたりすることなく、前方スキージ42F及び後方スキージ42Rの半田切り動作を効率的に行うことができる。また、印刷終了位置にて前方スキージ42F及び後方スキージ42Rの両方が同時に半田切り動作を行ってもよい。この場合、半田切り位置Qが2か所になるものの、半田切り動作に要する時間を短縮できる。
【0084】
次に、図10Iに示すように、カバー210は、水平姿勢を維持したまま、退避位置P1から受け止め位置P2に移動する。ここで、上述したように、スキージ42は予め半田切り動作を行っているので、退避位置P1から受け止め位置P2に移動するカバー210がスキージ42から垂れ下がった半田ペースト9に接触してしまうことが回避される。仮に、半田切り動作を行わず、スキージ42から半田ペースト9が長く垂れ下がった状態で、図10Iに示すように、カバー210が退避位置P1から受け止め位置P2に移動した場合、次のような状況が発生し得る。すなわち、カバー210が、スキージ42から長く垂れ下がった半田ペースト9を切断し、切断された半田ペースト9がスクリーンマスク13上又は装置の内部に落下してしまう。
【0085】
次に、図10Jに示すように、受け止め位置P2にカバー210が位置する状態を維持したまま、スキージヘッド17は、前方(オペレータ8に近づく方)に移動する。この移動中にスキージ42から落下した半田ペースト9は、カバー210によって受け止められるので、スクリーンマスク13に到達しない。
【0086】
スキージヘッド17の前方への移動が完了した後、オペレータ8は所定の作業を行う。例えば、オペレータ8は、半田供給ユニット190に半田ペースト9を供給する作業を行う。例えば、オペレータ8は、スクリーンマスク13の交換作業を行う。例えば、オペレータ8は、下受け部32のセット作業を行う。例えば、オペレータ8は、カバー210の平面板212の交換作業を行う。なお、オペレータ8は、カバー210の平面板212の交換作業を行う際、カバー210を退避位置P1に移動させてもよい。これにより、カバー210の位置がオペレータ8に近くなり、平面板212の交換作業が容易になる。
【0087】
<変形例>
図11は、本実施の形態における変形例としての半田落下防止機構300の構成を示す図である。図11に示すように、半田落下防止機構300は、カバー310及びポール320を含む構成である。
【0088】
カバー310は、ポール320の一端に固定される。ポール320の他端は、スキージヘッド17に回転軸311によって接続される。これにより、カバー310及びポール320は、スキージヘッド17に接続される回転軸321を中心として揺動可能となる。
【0089】
半田落下防止機構300は、ポール320を下向きにした場合にカバー310が受け止め位置P2(実線の位置)に位置し、ポール320を斜め下向きにした場合にカバー310が退避位置P1(破線の位置)に位置するように構成されてよい。これにより、ポール320を回転駆動させることで、カバー310を受け止め位置P2と退避位置P1との間で移動させることができる。
【0090】
ただし、図11の構成の場合、カバー310を退避位置P1に移動させる際にカバー310が傾いてしまうため、カバー310上に落下した半田ペースト9がカバー310から滑り落ちてしまうおそれがある。
【0091】
これに対して、図3A図3B等で示した半田落下防止機構200は、カバー210が退避位置P1に移動する間も当該カバー210の水平姿勢が維持されるので、カバー210上に落下した半田ペースト9が当該カバー210から滑り落ちないという利点がある。
【0092】
また、スキージヘッド17の前方に半田供給ユニット190が接続される場合、図11に示す構成は、カバー310の退避位置P1を前方(オペレータ8に近い方)に設けることができず、カバー310の退避位置P1を後方(オペレータ8から遠い方)に設けざるを得ない。この場合、オペレータ8にとって、退避位置P1に位置するカバー310の清掃が困難となる。
【0093】
これに対して、図3A図3B等で示した半田落下防止機構200は、スキージヘッド17の前方に半田供給ユニット190が接続される場合であっても、カバー210の退避位置P1を前方(オペレータ8に近い方)に設けることができる。よって、オペレータ8は、印刷作業終了時、カバー210を前方の退避位置P1に移動させて、容易にカバー210を清掃できる。
【0094】
(本開示のまとめA)
上述した本開示に係る印刷装置1は、以下のように表現できる。
【0095】
(表現A1)
本開示に係る、マスク13を用いて基板2に半田ペースト9を印刷する印刷装置1は、マスク13上を摺動すると共に、マスク13に設けられた開口を介して基板2に半田ペースト9を印刷するスキージ42と、スキージ42に付着した半田ペースト9の落下を受け止めるカバー210と、スキージ42のマスク13上の摺動を妨げない位置である退避位置P1と、スキージ42に付着した半田ペースト9の落下を受け止める位置である受け止め位置P2との間のカバー210の移動を制御する制御部60と、を備える。
【0096】
これにより、スキージ42に付着した半田ペースト9の落下は退避位置P1に位置するカバー210によって受け止められるので、スキージ42に付着した半田ペースト9がマスク13又は装置1の内部に落下すること防止できる。
【0097】
(表現A2)
上記表現A1において、カバー210は、スキージ42から落下した半田ペースト9を受け止める水平な平面板212を含んで構成され、平面板212の水平姿勢を維持したまま退避位置P1と受け止め位置P2との間を移動してよい。
【0098】
これにより、カバー210が退避位置P1と受け止め位置P2との間を移動する間、カバー210の水平姿勢が維持されるので、カバー210上の半田ペースト9がカバー210から滑り落ちることを回避できる。
【0099】
(表現A3)
上記表現A2において、カバー210の平面板212は着脱可能であってよい。
【0100】
これにより、半田ペースト9を受け止めた平面板212を交換して、直ちに生産を再開できる。
【0101】
(表現A4)
上記表現A1からA3の何れか1つにおいて、制御部60は、スキージ42のマスク13上の摺動を停止した後、スキージ42を上昇させ、カバー210を退避位置P1から受け止め位置P2に移動させてよい。
【0102】
これにより、印刷作業終了(又は中断)時に、カバー210が自動的に受け止め位置P2に移動する。
【0103】
(表現A5)
上記表現A1からA4のいずれか1つにおいて、制御部60は、スキージ42のマスク13上の摺動を開始する前、カバー210を受け止め位置P2から退避位置P1に移動させ、スキージ42を下降させてよい。
【0104】
これにより、印刷作業開始(又は再開)時に、カバー210が自動的に退避位置P1に移動する。
【0105】
(表現A6)
上記表現A1からA5のいずれか1つにおいて、退避位置P1は、受け止め位置P2よりも、印刷装置1のオペレータ8に近くてよい。
【0106】
これにより、オペレータ8は、退避位置P1に位置するカバー210を容易に清掃できる。
【0107】
(本開示のまとめB)
また、上述した本開示に係る印刷装置は、以下のように表現できる。
【0108】
(表現B1)
本開示に係る、マスク13を用いて基板に半田ペースト9を印刷する印刷装置1は、マスク13上を摺動すると共に、マスク13に設けられた開口を介して基板2に半田ペースト9を印刷するスキージ42と、スキージ42に付着した半田ペースト9の少なくとも一部をマスク13側に付着させるためにスキージ42を下降させる動作である半田切り動作を制御する制御部60と、を備える。
【0109】
これにより、半田切り動作によってスキージ42に付着した半田ペースト9がマスク13側に付着(移行)するので、マスク13側に付着した半田ペースト9を回収して再利用できる。
【0110】
(表現B2)
上記表現B1において、印刷装置1は、スキージ42に付着した半田ペースト9の落下を受け止めるカバー210をさらに備え、制御部60は、スキージ42の半田切り動作を行い、カバー210を、スキージ42のマスク13上の摺動を妨げない位置である退避位置P1から、スキージ42に付着した半田ペースト9の落下を受け止める位置である受け止め位置P2へ移動させてよい。
【0111】
これにより、半田切り動作によってスキージ42に付着した半田ペースト9がマスク13側に付着(移行)し、スキージ42から垂れ下がる半田ペースト9が短くなるので、退避位置P1から受け止め位置P2に移動するカバー210がスキージ42から垂れ下がった半田ペースト9に接触することを、回避できる。
【0112】
(表現B3)
上記表現B1又はB2において、制御部60は、スキージ42の印刷終了位置にて、スキージ42の半田切り動作を行ってよい。
【0113】
これにより、印刷時に余った半田ペースト9と半田切り動作によってマスク13側に付着した半田ペースト9とが、印刷終了位置にまとまって堆積する。よって、余った半田ペースト9の回収が容易になる。
【0114】
(表現B4)
上記表現B3において、スキージ42は、印刷装置1のオペレータ8に近い側の第1のスキージ42F、及び、オペレータ8から遠い側の第2のスキージ42Rを含み、印刷終了位置がオペレータ8に近い側の位置である場合、印刷終了位置にて第1のスキージ42Fの半田切り動作を行った後、第2のスキージ42Rを印刷終了位置に移動させて第2のスキージ42Rの半田切り動作を行ってよい。
【0115】
これにより、スキージ42をオペレータ8に近づく方向に移動させながら、第1のスキージ42F及び第2のスキージ42Rの半田切り動作を効率的に行うことができる。
【0116】
(表現B5)
上記表現B3において、スキージ42は、印刷装置1のオペレータ8に近い側の第1のスキージ42F、及び、オペレータ8から遠い側の第2のスキージ42Rを含み、印刷終了位置がオペレータ8から遠い側の位置である場合、印刷終了位置にて第2のスキージ42Rの半田切り動作を行った後、第1のスキージ42Fを印刷終了位置に移動させて第1のスキージ42Fの半田切り動作を行ってよい。
【0117】
これにより、スキージ42を、オペレータ8から遠ざかる方向に移動させながら、第2のスキージ42R及び第1のスキージ42Fの半田切り動作を効率的に行うことができる。
【0118】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示の技術は、半田を用いる印刷装置に有用である。
【符号の説明】
【0120】
1 スクリーン印刷装置
2 基板
2d 電極
8 オペレータ
9 半田ペースト
11 基台
12 基板保持移動機構
13 スクリーンマスク
13W 枠部材
14 搬入コンベア
16 カメラ
16K カメラ移動機構
16a 上方撮像部
16b 下方撮像部
17 スキージヘッド
17K 印刷ヘッド移動機構
19 マスク支持部
21 基板保持部
22 移動テーブル部
31 コンベア
32 下受け部
33 クランパ
33F 前方クランパ
33R 後方クランパ
41 移動ベース
42 スキージ
42F 前方スキージ
42R 後方スキージ
43 スキージ昇降シリンダ
60 制御装置
60a 画像処理部
61 入力装置
71 半田ペースト回収装置
73 当接部
89 筐体
91 マスク自動位置決めユニット
93 半田回収取付ユニット
97 ロッド
99 シリンダ
105 回収ユニット支持杆
113 骨組み
190 半田供給ユニット
200 半田落下防止機構
210 カバー
211 支持板
212 平面板
213 凸部
214 凹部
215 リブ
216 ローレットネジ
220 カバー移動機構
221 固定部
222 第1アーム
223 第2アーム
224 エアシリンダ
225 ロッド
231、232、233、234、235 回転軸
300 半田落下防止機構
310 カバー
311 回転軸
320 ポール
P1 退避位置
P2 受け止め位置
Q 半田切り位置
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図10J
図11