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特許7557821部品装着システム、検査装置、基板製造方法および検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】部品装着システム、検査装置、基板製造方法および検査方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H05K13/04 M
H05K13/04 B
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020190693
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022079854
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】木原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】横井 敬明
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-058603(JP,A)
【文献】特開2017-139364(JP,A)
【文献】国際公開第2020/178990(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着ヘッドにより部品をピックアップして基板上に設定された目標装着位置に装着する部品装着装置と、前記部品装着装置により前記基板に装着された前記部品を検査する検査装置とを備えた部品装着システムであって、
前記検査装置は、
前記基板に対して前記目標装着位置と異なる検査基準位置を設定する検査基準位置変更部と、
前記基板に装着された部品の位置と前記検査基準位置変更部によって設定された前記検査基準位置とを比較することによって、前記検査基準位置からの前記部品の位置ずれ量である第1位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出部と、
前記目標装着位置からの前記部品の位置ずれ量である第2位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出部と、
前記第2位置ずれ量算出部により算出された前記第2位置ずれ量を出力する出力部と、を備え、
前記部品装着装置は、前記出力部から出力された前記第2位置ずれ量に基づいて補正値を算出し、その算出した補正値を用いて前記装着ヘッドの動作パラメータを補正する、部品装着システム。
【請求項2】
前記検査基準位置は変更可能である、請求項1に記載の部品装着システム。
【請求項3】
前記目標装着位置と前記検査基準位置との間の差分を算出する差分算出部を備え、前記第2位置ずれ量算出部は、前記差分算出部により算出された前記差分を前記第1位置ずれ量算出部により算出された前記第1位置ずれ量に加算することによって前記第2位置ずれ量を算出する、請求項1または2に記載の部品装着システム。
【請求項4】
前記差分算出部は、前記目標装着位置と前記検査基準位置とを比較して前記差分を算出する、請求項3に記載の部品装着システム。
【請求項5】
前記差分算出部は、変更前の前記検査基準位置と変更後の前記検査基準位置との間のオフセット量を順次累積して得られるオフセット量累積値から前記差分を算出する、請求項2を引用する請求項3に記載の部品装着システム。
【請求項6】
前記部品の位置は、前記部品が有するリードの測定に関するリード計測基準に基づいて検出される、請求項1~5のいずれかに記載の部品装着システム。
【請求項7】
前記リード計測基準は、前記リードの座標に関する情報を含む、請求項6に記載の部品装着システム。
【請求項8】
基板上に設定された目標装着位置に装着された部品を検査する検査装置であって、
前記基板に対して前記目標装着位置と異なる検査基準位置を設定する検査基準位置変更部と、
前記基板に装着された部品の位置と前記検査基準位置変更部によって設定された前記検査基準位置とを比較することによって、前記検査基準位置からの前記部品の位置ずれ量である第1位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出部と、
前記目標装着位置からの前記部品の位置ずれ量である第2位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出部と、
前記第2位置ずれ量算出部により算出された前記第2位置ずれ量を出力する出力部と、を備えた検査装置。
【請求項9】
前記検査基準位置は変更可能である、請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記目標装着位置と前記検査基準位置との間の差分を算出する差分算出部を備え、前記第2位置ずれ量算出部は、前記差分算出部により算出された前記差分を前記第1位置ずれ量算出部により算出された前記第1位置ずれ量に加算することによって前記第2位置ずれ量を算出する、請求項8または9に記載の検査装置。
【請求項11】
前記差分算出部は、前記目標装着位置と前記検査基準位置とを比較して前記差分を算出する、請求項10に記載の検査装置。
【請求項12】
前記差分算出部は、変更前の前記検査基準位置と変更後の前記検査基準位置との間のオフセット量を順次累積して得られるオフセット量累積値から前記差分を算出する、請求項9を引用する請求項10に記載の検査装置。
【請求項13】
基板に部品が装着された実装基板を製造する基板製造方法であって、
装着ヘッドにより部品をピックアップして基板上に設定された目標装着位置に装着する部品装着工程と、
前記基板に対して前記目標装着位置と異なる検査基準位置を設定する検査基準位置変更工程と、
前記基板に装着された部品の位置と前記検査基準位置変更工程で設定された前記検査基準位置とを比較することによって、前記検査基準位置からの前記部品の位置ずれ量である第1位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出工程と、
前記目標装着位置からの前記部品の位置ずれ量である第2位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程と、
前記第2位置ずれ量算出工程で算出された前記第2位置ずれ量を出力する出力工程と、
前記出力工程で出力された前記第2位置ずれ量に基づいて補正値を算出し、その算出した補正値を用いて前記部品装着工程での前記装着ヘッドの動作パラメータを補正する補正工程と、を含む基板製造方法。
【請求項14】
前記検査基準位置は変更可能である、請求項13に記載の基板製造方法。
【請求項15】
前記目標装着位置と前記検査基準位置との間の差分を算出する差分算出工程を含み、前記第2位置ずれ量算出工程は、前記差分算出工程で算出された前記差分を前記第1位置ずれ量算出部により算出された前記第1位置ずれ量に加算することによって前記第2位置ずれ量を算出する、請求項13または14に記載の基板製造方法。
【請求項16】
前記差分算出工程は、前記目標装着位置と前記検査基準位置とを比較して前記差分を算出する、請求項15に記載の基板製造方法。
【請求項17】
前記差分算出工程は、変更前の前記検査基準位置と変更後の前記検査基準位置との間のオフセット量を順次累積して得られるオフセット量累積値から前記差分を算出する、請求項14を引用する請求項15に記載の基板製造方法。
【請求項18】
基板上に設定された目標装着位置に装着された部品を検査する検査方法であって、
前記基板に対して前記目標装着位置と異なる検査基準位置を設定する検査基準位置変更工程と、
前記基板に装着された部品の位置と前記検査基準位置変更工程で設定された前記検査基準位置とを比較することによって、前記検査基準位置からの前記部品の位置ずれ量である第1位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出工程と、
前記目標装着位置からの前記部品の位置ずれ量である第2位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程と、
前記第2位置ずれ量算出工程で算出された前記第2位置ずれ量を出力する出力工程と、を含む検査方法。
【請求項19】
前記検査基準位置は変更可能である、請求項18に記載の検査方法。
【請求項20】
前記目標装着位置と前記検査基準位置との間の差分を算出する差分算出工程を含み、前記第2位置ずれ量算出工程は、前記差分算出工程で算出された前記差分を前記第1位置ずれ量算出部により算出された前記第1位置ずれ量に加算することによって前記第2位置ずれ量を算出する、請求項18または19に記載の検査方法。
【請求項21】
前記差分算出工程は、前記目標装着位置と前記検査基準位置とを比較して前記差分を算出する、請求項20に記載の検査方法。
【請求項22】
前記差分算出工程は、変更前の前記検査基準位置と変更後の前記検査基準位置との間のオフセット量を順次累積して得られるオフセット量累積値から前記差分を算出する、請求項19を引用する請求項20に記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着ヘッドにより部品をピックアップして基板に装着する部品装着装置および部品装着装置により基板に装着された部品を検査する検査装置を備えた部品装着システム、検査装置、基板製造方法および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装着ヘッドにより部品をピックアップして基板に装着する部品装着装置と、部品装着装置により基板に装着された部品を検査する検査装置を備えた部品装着システムが知られている。部品装着システムにおいて部品装着装置は、基板上に設定された目標装着位置に部品を装着し、検査装置は、基板に装着された部品の位置と基板に対して設定された検査基準位置と比較することによって、検査基準位置からの部品の位置ずれ量を求め、その求めた検査基準位置からの部品の位置ずれ量に基づいて装着状態の良否を判定する。検査基準位置は通常、基板上に設定された目標装着位置と一致するように設定されるため、検査装置で算出された位置ずれ量(検査基準位置からの部品の位置ずれ量)を部品装着装置にフィードバックして装着ヘッドの動作パラメータの補正に利用することで、精度のよい部品装着作業を行うことが可能である(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
ところで、上記のような部品装着システムでは、部品装着装置によって基板に装着される部品の位置が経時的に(基板生産を繰り返している間に)特定の方向にずれていくようになる等の事態が起こり得る。このような場合には検査装置において装着不良の判定が多発することとなり、生産性が低下してしまう。このため従来、検査装置には、当初目標装着位置と一致するように設定された検査基準位置を、基板上に実際に装着された部品の位置に合うように変更することができる機能が備えられていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-134051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように検査基準位置を変更すると、検査基準位置は目標装着位置と一致しなくなる。従って、検査装置で算出された部品の位置ずれ量をそのまま部品装着装置にフィードバックすると、部品の装着時の動作パラメータの補正は不正確なものとなり、部品の装着精度が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、部品の装着精度の向上を図ることができる部品装着システム、検査装置、基板製造方法および検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品装着システムは、装着ヘッドにより部品をピックアップして基板上に設定された目標装着位置に装着する部品装着装置と、前記部品装着装置により前記基板に装着された前記部品を検査する検査装置とを備えた部品装着システムであって、前記検査装置は、前記基板に対して前記目標装着位置と異なる検査基準位置を設定する検査基準位置変更部と、前記基板に装着された部品の位置と前記検査基準位置変更部によって設定された前記検査基準位置とを比較することによって、前記検査基準位置からの前記部品の位置ずれ量である第1位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出部と、前記目標装着位置からの前記部品の位置ずれ量である第2位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出部と、前記第2位置ずれ量算出部により算出された前記第2位置ずれ量を出力する出力部と、を備え、前記部品装着装置は、前記出力部から出力された前記第2位置ずれ量に基づいて補正値を算出し、その算出した補正値を用いて前記装着ヘッドの動作パラメータを補正する。
【0008】
本発明の検査装置は、基板上に設定された目標装着位置に装着された前記部品を検査する検査装置であって、前記基板に対して前記目標装着位置と異なる検査基準位置を設定する検査基準位置変更部と、前記基板に装着された部品の位置と前記検査基準位置変更部によって設定された前記検査基準位置とを比較することによって、前記検査基準位置からの前記部品の位置ずれ量である第1位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出部と、前記目標装着位置からの前記部品の位置ずれ量である第2位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出部と、前記第2位置ずれ量算出部により算出された前記第2位置ずれ量を出力する出力部と、を備えた。
【0009】
本発明の基板製造方法は、基板に部品が装着された実装基板を製造する基板製造方法であって、装着ヘッドにより部品をピックアップして基板上に設定された目標装着位置に装着する部品装着工程と、前記基板に対して前記目標装着位置と異なる検査基準位置を設定する検査基準位置変更工程と、前記基板に装着された部品の位置と前記検査基準位置変更工程で設定された前記検査基準位置とを比較することによって、前記検査基準位置からの前記部品の位置ずれ量である第1位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出工程と、前記目標装着位置からの前記部品の位置ずれ量である第2位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程と、前記第2位置ずれ量算出工程で算出された前記第2位置ずれ量を出力する出力工程と、前記出力工程で出力された前記第2位置ずれ量に基づいて補正値を算出し、その算出した補正値を用いて前記部品装着工程での前記装着ヘッドの動作パラメータを補正する補正工程と、を含む。
【0010】
本発明の検査方法は、基板上に設定された目標装着位置に装着された部品を検査する検査方法であって、前記基板に対して前記目標装着位置と異なる検査基準位置を設定する検査基準位置変更工程と、前記基板に装着された部品の位置と前記検査基準位置変更工程で設定された前記検査基準位置とを比較することによって、前記検査基準位置からの前記部品の位置ずれ量である第1位置ずれ量を算出する第1位置ずれ量算出工程と、前記目標装着位置からの前記部品の位置ずれ量である第2位置ずれ量を算出する第2位置ずれ量算出工程と、前記第2位置ずれ量算出工程で算出された前記第2位置ずれ量を出力する出力工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品の装着精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態1における部品装着システムの構成図
図2】本発明の実施の形態1における部品装着装置システムを構成する部品装着装置の斜視図
図3】本発明の実施の形態1における部品装着装置が備える目標装着位置を示す基板の平面図
図4】本発明の実施の形態1における部品装着装置の制御系統を示すブロック図
図5】(a)~(e)本発明の実施の形態1における部品装着システムにおいて用いられる部品中心の検出方式の例を示す図
図6】本発明の実施の形態1における部品装着装置システムを構成する検査装置の斜視図
図7】本発明の実施の形態1における検査装置の制御系統を示すブロック図
図8】本発明の実施の形態1における検査基準位置と目標装着位置の関係を示す図
図9】(a)(b)本発明の実施の形態1における検査装置の検査基準位置変更部により検査基準位置を変更する手順を示す図
図10】本発明の実施の形態1における検査基準位置と装着部品位置との位置関係および目標装着位置と検査基準位置との位置関係を示す図
図11】本発明の実施の形態1における管理装置の制御系統を示すブロック図
図12】本発明の実施の形態1における検査装置が実行する検査作業の流れを示すフローチャート
図13】本発明の実施の形態2における検査装置の制御系統を示すブロック図
図14】本発明の実施の形態2における変更後の検査基準位置と装着部品位置との位置関係、変更前の検査基準位置と変更後の検査基準位置との位置関係および目標装着位置と変更前の検査基準位置との位置関係を示す図
図15】本発明の実施の形態3における検査装置の制御系統を示すブロック図
図16】本発明の実施の形態3における検査基準位置と装着部品位置との位置関係および目標装着位置と装着部品位置との位置関係を示す図
図17】本発明の実施の形態3における検査装置が実行する検査作業の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
先ず、本発明の実施の形態1について説明する。図1において、部品装着システム1は、部品装着装置11、検査装置12および管理装置13を備えている。
【0014】
部品装着装置11は、上流の装置(例えば半田印刷装置)から基板KBを受け取って位置決めし、その位置決めした基板KBに部品BHを装着して下流の検査装置12に搬出する部品装着作業を行う。検査装置12は上流の部品装着装置11から基板KBを受け取って位置決めし、その位置決めした基板KBに装着されている部品BHの装着状態を検査して下流の装置に搬出する検査作業を行う。管理装置13は部品装着装置11および検査装置12と通信可能に繋がっており、部品装着装置11と検査装置12から情報を取得して各装置の動作を管理する。以下、各装置の詳細を説明する。
【0015】
先ず、部品装着装置11について説明する。図1および図2において、部品装着装置11は、基板搬送路21、部品供給部22、装着ヘッド23、ヘッド移動機構24、部品認識カメラ25、装着装置表示入力部26および装着装置制御部27を備えている。基板搬送路21は基板KBの搬入、位置決めおよび搬出を行う。部品供給部22は例えばテープフィーダから成り、所定の位置に部品BHを供給する。
【0016】
図2において、ヘッド移動機構24は固定ビーム24aと固定ビーム24aに対して移動自在な移動ビーム24bを備えたXYビーム機構から成り、装着ヘッド23を水平面内で移動させる。装着ヘッド23は下端に部品BHの吸着口を備えたノズル23Nを備えており、部品供給部22が供給する部品BHのピックアップと、ピックアップした部品BHの基板KBへの装着を行う。
【0017】
部品認識カメラ25は撮像視野を上方へ向けており、ノズル23Nに部品BHを吸着させた装着ヘッド23が上方を通過するときにその部品BHを下方から撮像する。部品認識カメラ25が撮像して得た部品BHの画像はその部品BHの認識とノズル23Nに対する部品BHの位置(部品中心の位置)の検出に用いられる。ここで検出されたノズル23Nに対する部品BHの位置の情報は、基板KB上の目標装着位置MK(図3)に部品BHを装着する際に利用される。目標装着位置MKは図3に示すように、基板KBを基準に定められた座標系の座標として定められている。
【0018】
装着装置表示入力部26は例えばタッチパネルから成る。装着装置表示入力部26は作業者による入力操作を受け入れるとともに、作業者が行うべき作業や種々の情報を画面や音声等で作業者に報知する。
【0019】
図4において、装着装置制御部27は、装着装置記憶部31、装着処理部32、ピックアップ部品位置算出部33、フィードバック処理部34および装着装置通信部35を備えている。装着装置記憶部31には生産データ41が記憶されており、生産開始後には位置ずれ量データ42が記憶される。生産データ41には目標装着位置データ41a、装着プログラム41b、部品データ41cおよび部品中心検出方式データ41dが含まれている。
【0020】
目標装着位置データ41aには、基板KB上に設定されている目標装着位置MK(図3)が記録されている。装着プログラム41bは、目標装着位置データ41aに記録されている各目標装着位置MKに部品BHが装着されるように部品装着装置11の各部(部品供給部22、装着ヘッド23、ヘッド移動機構24、部品認識カメラ25等)を動作させる制御プログラムである。部品データ41cには、各目標装着位置MKに装着される部品BHの種類や装着方向等が記録されている。
【0021】
部品中心検出方式データ41dには、部品BHの位置を検出する際に必要となる部品BHの中心(部品中心)を検出する方式として、例えば図5(a)~(e)の方式が記録されている。図5(a)は、チップ状の部品BHが有する2つの電極DKの重心位置間の中点位置をその部品中心とするものであり、図5(b)は、チップ状の部品BHの全体の外形の重心位置をその部品中心とするものであり、図5(c)は、チップ状の部品BHのボディBDの重心位置をその部品中心とするものである。図5(d)は、複数のリードRDを有する部品BHのうち、特定の番号の複数のリードRDそれぞれの座標から算出される複数のリードRD全体の重心位置をその部品中心とするものであり、図5(e)は、複数のリードRDを有する部品BHのボディBDの重心位置をその部品中心とするものである。
【0022】
位置ずれ量データ42は、検査装置12で検出された結果のデータであり、基板KB上に装着された各部品BHの基準位置(後述する検査基準位置)からの位置ずれ量のデータである。位置ずれ量データ42は、後述するように、検査装置12によって算出され、管理装置13を通じて送られてくる。
【0023】
装着処理部32は、装着装置記憶部31に記憶された装着プログラム41bに基づいて、部品装着装置11の各部(基板搬送路21、部品供給部22、装着ヘッド23、ヘッド移動機構24および部品認識カメラ25等)を作動させる。これにより基板搬送路21は基板KBの搬入および位置決めを行い、部品供給部22は部品BHを供給し、ヘッド移動機構24と装着ヘッド23は連動して作動して装着ターンを繰り返し実行する。
【0024】
1回の装着ターンにおいて、装着ヘッド23は、部品BHをピックアップする動作(ピックアップ動作)、部品認識カメラ25の上方を通過する動作(カメラ上方通過動作)、部品BHを装着する動作(装着動作)をこの順序で実行する。ピックアップ動作では、装着ヘッド23は部品供給部22の上方に移動して部品供給部22が供給する部品BHをノズル23Nに吸着させる。カメラ上方通過動作では、装着ヘッド23は部品認識カメラ25の上方を通過して、ノズル23Nに吸着させた部品BHを部品認識カメラ25に撮像させる。このカメラ上方通過動作において、装着ヘッド23に吸着された部品BHの画像が取得され、部品BHが認識される。装着動作では、装着ヘッド23が基板KBの上方に移動し、部品BHの認識結果に基づいて基板KB上の目標装着位置MKに部品BHを装着する。
【0025】
ピックアップ部品位置算出部33は、上記装着ターンのカメラ上方通過動作において取得された部品BHの画像に基づいて、ノズル23Nに対する部品中心の位置を算出する。このノズル23Nに対する部品中心の位置の算出には、前述した複数の部品中心の検出方式の中から選択されたひとつの検出方式が用いられる。このように部品認識カメラ25とピックアップ部品位置算出部33は、装着ヘッド23にピックアップされた部品BHのノズル23Nに対する部品中心の位置(ピックアップ部品位置)を検出するピックアップ部品位置検出部43(図4)となっている。
【0026】
フィードバック処理部34は、補正部44および情報集計部45を備えている。フィードバック処理部34は、検査装置12から出力されて装着装置記憶部31に記憶された前述の位置ずれ量データ42に基づいてフィードバック処理を行う。フィードバック処理の主な内容は、部品装着装置11が基板KBに部品BHを装着する際の装着ヘッド23の動作パラメータの補正である。動作パラメータとは、ここでは、基板KB上の目標装着位置MKに部品BHが装着されるように装着ヘッド23を動作させるための制御データをいう。フィードバック処理部34については、検査装置12および管理装置13の説明の後に説明する。
【0027】
装着装置通信部35は、管理装置13および検査装置12の双方と通信可能に繋がっている(図4)。装着装置通信部35は、検査装置12により検出された前述の位置ずれ量データ42等の情報を、管理装置13を介して受け取る。
【0028】
次に、検査装置12について説明する。図1および図6において、検査装置12は、基板搬送部51、カメラ移動機構52、検査カメラ53、検査装置表示入力部54および検査装置制御部55を備えている。基板搬送部51は基板KBの搬入、位置決めおよび搬出を行う。カメラ移動機構52は固定側ビーム52aと固定側ビーム52aに対して移動自在な移動側ビーム52bを備えたXYビーム機構から成り、検査カメラ53を水平面内で移動させる。検査カメラ53は撮像視野を下方に向けており、基板搬送部51が位置決めした基板KB上の所定領域(部品BHが装着される領域)を上方から撮像する。
【0029】
検査装置表示入力部54は例えばタッチパネルから成る。検査装置表示入力部54は作業者による入力操作を受け入れるとともに、作業者が行うべき作業や種々の情報を画面や音声等で作業者に報知する。
【0030】
検査装置制御部55は、図7に示すように、検査装置記憶部61、装着部品位置算出部62、検査基準位置変更部63、差分算出部64、第1位置ずれ量算出部65、第2位置ずれ量算出部66、良否判定部67および検査装置通信部68を備えている。検査装置記憶部61には検査データ71、目標装着位置データ72および検査基準位置データ73が記憶されている。検査データ71には、検査プログラム71a、検査用部品データ71bおよび部品中心検出方式データ71cが含まれている。
【0031】
検査プログラム71aは、検査装置12の各部(基板搬送部51、カメラ移動機構52および検査カメラ53等)を動作させる制御プログラムである。検査装置12の各部は検査プログラム71aに従って動作することで、部品装着装置11によって基板KBに装着された各部品BHの装着状態の良否判定を行う。
【0032】
検査用部品データ71bは検査対象となる部品BHのデータである。検査用部品データ71bには、装着装置記憶部31に記憶された部品データ41cの内容を含むデータが記録されている。
【0033】
部品中心検出方式データ71cには、基板KBに装着された部品BHの中心(部品中心)を検出する際に用いる部品中心の検出方式のデータが記録されている。この部品中心検出方式データ71cに記録されている部品中心の検出方式は、部品装着装置11のピックアップ部品位置検出部43がピックアップ部品位置を検出する際に用いる部品中心の検出方式(図5(a)~(e))と同じである。
【0034】
目標装着位置データ72は、基板KB上に設定された目標装着位置MKのデータである。目標装着位置データ72は、検査装置12が部品装着装置11から目標装着位置データ41aを入手できる場合には、その入手した目標装着位置データ41aをそのまま目標装着位置データ72とすることができる。
【0035】
これに対し、検査装置12が部品装着装置11から目標装着位置データ41aを入手できない場合には、検査装置12は部品装着装置11によって部品BHが装着されたダミーの基板KBを検査カメラ53により撮像し、目標装着位置MKに相当する位置を検出することによって目標装着位置データ72を作成する。前者の方法は、部品装着装置11と検査装置12が同じメーカによって製造された場合に多く採用され、後者の方法は、部品装着装置11と検査装置12が異なるメーカによって製造された場合に多く採用される。
【0036】
検査基準位置データ73は、基板KBに装着された部品BHの検査用の基準位置である検査基準位置KK(図8)のデータである。検査基準位置KKは当初は目標装着位置MKと一致しているが、後述するように、検査基準位置KKは検査基準位置変更部63を通じて変更することができ、検査基準位置KKを変更した場合には、目標装着位置MKとは異なる位置(座標)となる。図8は、検査基準位置KKが当初の位置から変更された状態を示している。
【0037】
装着部品位置算出部62は、検査装置記憶部61に記憶されている部品中心検出方式データ71cに基づき、検査カメラ53によって取得した画像(検査画像)から、基板KBに装着された部品BHの基板KB上での位置(部品中心の位置)である装着部品位置Z(図9(a))を算出する。装着部品位置Zを検出する際に用いられる部品中心の検出方式は、部品BHごとに定められている。
【0038】
このように検査カメラ53と検査装置制御部55の装着部品位置算出部62は、基板KBに装着された部品BHの基板KB上での位置を装着部品位置Zとして検出する装着部品位置検出部69(図7)となっている。ここで、装着部品位置検出部69は、検出対象となっている部品BHがリードRDを有する場合には、その部品BHが有するリードRDの測定に関するリード計測基準(リードRDの座標等)に基づいて、その部品BHの部品中心を検出する(前述の図5(d))。
【0039】
検査基準位置変更部63は、検査基準位置KKを変更する機能部である。部品装着システム1では、基板生産を開始する前に、検査基準位置KKの取得(設定)のために用意されたダミーの基板KBに対して部品BHを装着し、ダミーの基板KBに装着された各部品BHのダミーの基板KB上における位置(部品中心の位置)を装着部品位置検出部69によって検出する。検査基準位置KKは、前述したように当初は目標装着位置MKと一致しているが、検査基準位置変更部63は、その検出された基板KB上の部品BHの位置(装着部品位置Z)を、目標装着位置MKに替えて、新たな検査基準位置KKとして設定(変更)することができる(図9(a)→図9(b))。このような検査基準位置KKの変更操作は、検査装置表示入力部54から行うことができる。
【0040】
検査基準位置KKが変更(新たに設定)された場合には、変更後の検査基準位置KKのデータが検査基準位置データ73として検査装置記憶部61に記憶される。検査基準位置KKの変更は複数回行うことが可能である。
【0041】
図7において、差分算出部64は、差分演算部64Aと差分記憶部64Bを備えている。差分演算部64Aは、目標装着位置MKと検査基準位置KKとの間の差分δ(δX,δY)を算出する(図10)。具体的には、各部品BHについて、目標装着位置データ72から読み出した目標装着位置MKと検査基準位置データ73から読み出した検査基準位置KKのX座標とY座標それぞれの差を求めることによって、その部品BHについての差分δ(δX,δY)を算出する。差分算出部64は、検査基準位置変更部63を通じて検査基準位置KKが変更された場合は、その都度、部品BHごとの差分δ(δX,δY)を算出する。
【0042】
差分記憶部64Bは、差分演算部64Aが算出した目標装着位置MKと検査基準位置KKとの間の差分δ(δX,δY)を部品BHごとに記憶する。検査基準位置KKが変更された場合には変更後の検査基準位置KKについての差分δ(δX,δY)のみが記憶されればよく、過去の検査基準位置KKについての差分δ(δX,δY)については消去されてもよい。
【0043】
第1位置ずれ量算出部65は、基板KBに装着された部品BHの位置と基板KBに対して設定された検査基準位置KKとを比較することによって、検査基準位置KKからの部品BHの位置ずれ量である第1位置ずれ量ΔZ1を算出する。具体的には、装着部品位置検出部69により検出された装着部品位置Zと、検査基準位置データ73から読み出したその部品BHについての検査基準位置KKのX座標とY座標それぞれの差を求めることによって、第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)を算出する(図10)。
【0044】
第2位置ずれ量算出部66は、目標装着位置MKからの部品BHの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2(ΔX2,ΔY2)を算出する。具体的には、差分算出部64により算出された差分δ(δX,δY)を、第1位置ずれ量算出部65により算出された第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)に加算することによって(ΔX2=ΔX1+δX,ΔY2=ΔY1+δY)、第2位置ずれ量ΔZ2(ΔX2,ΔY2)を算出する(図10)。なお、検査基準位置KKが変更される場合には、差分算出部64は、検査基準位置KKが変更されるごとに、目標装着位置MKと変更後の検査基準位置KKとを比較して部品BHごとの差分δ(δX,δY)を算出する。
【0045】
良否判定部67は、第1位置ずれ量算出部65により算出された第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)に基づいて、基板KB上に装着された各部品BHの装着状態の良否判定を行う。具体的には、第1位置ずれ量算出部65で算出された第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)のXY各成分を、その部品BHに対応して定められている許容値のXY各成分と比較し、第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)が許容値以下であるか否かを調べる。そして、第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)が許容値以下であった場合にはその部品BHの装着状態は良好であると判定し、第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)が許容値を超えていた場合にはその部品BHの装着状態は不良であると判定する。
【0046】
例えば、第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)の許容値のX成分がRX、Y成分がRYであるとすると、良否判定部67は、ΔX1≦RXかつΔY1≦RYであった場合には、部品BHの装着状態が良好であると判定する。一方、良否判定部67は、ΔX1>RXまたはΔY1>RYであった場合には、部品BHの装着状態は不良であると判定する。なお、各部品BHについての許容値のデータは検査装置記憶部61に記憶されている。
【0047】
検査装置通信部68は、管理装置13および部品装着装置11の双方と通信可能に繋がっている(図7)。検査装置通信部68は、第2位置ずれ量算出部66で算出された各部品BHについての第2位置ずれ量ΔZ2のデータのほか、良否判定部67で判定された基板KB上の各部品BHについての良否判定結果の情報を出力(管理装置13に送信)する。このように検査装置通信部68は、第2位置ずれ量算出部66により算出された第2位置ずれ量ΔZ2を出力する出力部となっている。
【0048】
図11において、管理装置13は、管理装置記憶部81、管理装置通信部82および管理装置表示入力部83を備えている。管理装置記憶部81には、部品装着装置11の装着装置記憶部31に記憶されている生産データ41のマスターデータである生産マスターデータ91と、検査装置12の検査装置記憶部61に記憶されている検査データ71のマスターデータである検査マスターデータ92が記憶されている。
【0049】
図11に示すように、管理装置記憶部81には、検査情報93が記憶される。検査情報93は、検査装置12で検査された結果(各部品BHについての第2位置ずれ量ΔZ2のデータや良否判定の結果)等のデータである。
【0050】
管理装置通信部82は、部品装着装置11および検査装置12の双方と通信可能に繋がっている。管理装置通信部82は、検査装置12より送られてきた各部品BHについての検査結果のデータを部品装着装置11に送信(転送)する。
【0051】
次に、部品装着装置11の装着装置制御部27が備えるフィードバック処理部34について説明する。フィードバック処理部34は前述したように、補正部44および情報集計部45を備えている。補正部44は、検査装置12で算出されて出力され、管理装置13を経由して送られてきた各部品BHについての第2位置ずれ量ΔZ2のデータを受け取る。そして、その受け取った各部品BHについての第2位置ずれ量ΔZ2のデータに基づいて、装着ヘッド23の動作パラメータの補正値を算出し、その算出した補正値を用いて動作パラメータを補正する。なお、補正値は、基板KBにおける目標装着位置MKごとに複数のデータ(部品BHの位置ずれデータ)を蓄積し、統計的な手法によって補正値を算出する。
【0052】
情報集計部45は、管理装置13を通じて検査装置12から送られてきた各部品BHについての情報を集計する。具体的には、情報集計部45は、検査装置12から送られてきた各部品BHについての第2位置ずれ量ΔZ2のデータの情報を用いて部品BHの装着精度に関する情報を集計する。
【0053】
次に、このような構成の部品装着システム1により、基板KBに部品BHを装着する部品装着作業を行って実装基板(部品BHが装着された基板KB)を製造する手順(基板製造方法)およびこの基板製造方法に含まれる基板KB上に設定された目標装着位置MKに装着された部品BHを検査する検査方法について説明する。実装基板を製造する場合には、部品装着システム1は先ず、部品装着装置11が基板搬送路21によって上流の装置(例えば半田印刷装置)から基板KBを受け取り、所定の部品装着作業位置に位置決めする(位置決め工程)。基板KBが部品装着作業位置に位置決めされたら、装着ヘッド23が部品供給部22の上方に移動し、部品供給部22によって供給される部品BHをノズル23Nによりピックアップする(ピックアップ工程)。
【0054】
装着ヘッド23は、部品BHをノズル23Nによりピックアップしたら、部品認識カメラ25の上方を通過するように移動し、部品認識カメラ25は部品BHの画像を取得する(ピックアップ部品画像取得工程)。部品装着装置11は、装着ヘッド23にピックアップされた部品BHの画像を取得したら、生産データ41に含まれる部品中心検出方式データ41dに基づいて、装着ヘッド23にピックアップされた部品BHのノズル23Nに対する部品中心の位置(ピックアップ部品位置)を検出する(ピックアップ部品位置検出工程)。そして、所定の場合に動作パラメータの補正を行ったうえで(補正工程)、装着ヘッド23によりピックアップした部品BHを基板KB上の目標装着位置MKに装着する(部品装着工程)。部品装着装置11は、基板KBに装着すべき部品BHを全て装着したら、その基板KBを下流の検査装置12に搬出して(基板搬出工程)、基板KBの1枚当たりの部品装着作業を終了する。
【0055】
図12に示すフローチャートは、検査装置12が行う検査作業の流れを示している。検査装置12は、検査作業を行う場合には先ず、部品装着装置11から基板KBを受け取って搬入し、所定の検査作業位置に位置決めする(ステップST1。基板位置決め工程)。基板KBが検査作業位置に位置決めされたら、検査カメラ53が基板KBの上方を移動しつつ、基板KB上に装着された各部品BHについての画像(検査画像)を取得する(ステップST2。検査画像取得工程)。
【0056】
検査装置12は、基板KB上の各部品BHについての検査画像を取得したら、その取得した検査画像に基づいて、基板KBに装着された各部品BHの装着部品位置Zを検出する(ステップST3。装着部品位置検出工程)。この装着部品位検出工程において、検査装置12は、検査データ71に含まれる部品中心検出方式データ71cに基づいて、基板KBに装着された部品BHの中心の位置を検出する。
【0057】
検査装置12は、ステップST3で装着部品位置Zを検出したら、各部品BHについての検査基準位置KKを検査基準位置データ73から読み出す。そして、各部品BHについて、検出した装着部品位置Z(すなわち、基板KBに装着された部品BHの位置)と、基板KBに対して設定された検査基準位置KKとを比較することによって、検査基準位置KKからの部品BHの位置ずれ量である第1位置ずれ量ΔZ1を算出する(ステップST4。第1位置ずれ量算出工程)。
【0058】
検査装置12は、第1位置ずれ量ΔZ1を算出したら、その算出した第1位置ずれ量ΔZ1に基づいて、基板KBに装着された各部品BHについての装着状態の良否を判定する(ステップST5。良否判定工程)。そして、検査装置12は、各部品BHについての装着状態の良否を判定したら、差分算出部64において、目標装着位置MKと検査基準位置KKとの間の差分δ(δX,δY)を算出する(ステップST6。差分算出工程)。
【0059】
検査装置12は、ステップST6において目標装着位置MKと検査基準位置KKとの間の差分δ(δX,δY)を算出したら、その算出した差分δ(δX,δY)をステップST4で算出した第1位置ずれ量ΔZ1に加算することによって、目標装着位置MKからの部品BHの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2を算出する(ステップST7。第2位置ずれ量算出工程)。
【0060】
検査装置12は、第2位置ずれ量ΔZ2を算出したら、良否判定工程で判定した各部品BHについての良否判定結果と、第2位置ずれ量算出工程で第2位置ずれ量算出部66により算出した第2位置ずれ量ΔZ2を、フィードバックデータとして、検査装置通信部68から管理装置13に出力する(ステップST8。出力工程)。そして、基板KB上の全ての部品BHについての検査が終了したら、その基板KBを下流に搬出して(ステップST9。基板搬出工程)、基板KBの1枚当たりの検査作業を終了する。
【0061】
管理装置13は、検査装置12から各部品BHについての第2位置ずれ量ΔZ2のデータを受け取ったら、その受け取ったデータを検査情報93として管理装置記憶部81に記憶する。そして、その記憶した各部品BHについての第2位置ずれ量ΔZ2のデータを、部品装着装置11に送信(転送する)。部品装着装置11は、管理装置13から第2位置ずれ量ΔZ2のデータを受け取ったら、その第2位置ずれ量ΔZ2のデータを、前述の位置ずれ量データ42として、装着装置記憶部31に記憶する。
【0062】
部品装着装置11は、検査装置12からのフィードバックデータとしての第2位置ずれ量ΔZ2のデータを管理装置13から受け取ったら、その第2位置ずれ量ΔZ2のデータを位置ずれ量データ42として装着装置記憶部31に記憶する。そして、必要なデータ数が集まった場合には、フィードバック処理部34の補正部44が、第2位置ずれ量ΔZ2に基づいて動作パラメータの補正値を算出する。動作パラメータの補正値が算出されたら、部品装着装置11は、その算出された補正値を用いて部品装着工程における装着ヘッド23の動作パラメータを補正する(前述の補正工程)。このため装着ヘッド23は補正された動作パラメータを用いて部品BHを基板KBに装着することになり、部品BHは高い装着精度で基板KBに装着されることになる。
【0063】
部品装着装置11はまた、記憶した第2位置ずれ量ΔZ2のデータに基づいて、情報集計部45により、部品BHの装着精度に関する情報を集計する(情報集計工程)。この情報集計工程では、例えば第2位置ずれ量ΔZ2の変化を時系列に沿って集計し、動作パラメータの補正によって第2位置ずれ量ΔZ2が次第に小さくなっていく状態を確認できるデータを作成する。
【0064】
このように実施の形態1において、検査装置12は、基板KBに対して設定された検査基準位置KKからの部品BHの位置ずれ量である第1位置ずれ量ΔZ1を算出するだけでなく、目標装着位置MKと検査基準位置KKとの間の差分δを算出し、その算出した差分δを第1位置ずれ量ΔZ1に加算することによって、目標装着位置MKからの部品BHの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2を算出するようになっている。そして、基板KBに装着された部品BHの装着状態の良否の判定を第1位置ずれ量ΔZ1に基づいて行う一方、算出した第2の位置ずれ量ΔZ2をフィードバックデータとして部品装着装置11に出力するようになっている。このため、部品装着装置11は部品BHの装着時の基準である目標装着位置MKを基準とする位置ずれ量(第2位置ずれ量ΔZ2)で装着ヘッド23の動作パラメータの補正値を求めることができ、部品BHの装着精度を向上させることができる。
【0065】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2が実施の形態1と異なるところは、検査装置12が備える検査装置制御部55の構成および動作(第2位置ずれ量ΔZ2の算出手順)のみである。
【0066】
図13において、実施の形態2では、検査装置制御部55の差分算出部64が、実施の形態1における差分演算部64Aと差分記憶部64Bの代わりに、オフセット量算出部64Cとオフセット量累積値記憶部64Dを備えている。オフセット量算出部64Cは、検査基準位置KKを変更した場合の変更前の検査基準位置(図14において符号「KK(n-1)」で示す)と変更後の検査基準位置(図14において符号「KK(n)」で示す)との間の差分であるオフセット量δm(δmX,δmY)を算出し、オフセット量累積値記憶部64Dは、オフセット量算出部64Cで算出されたオフセット量δm(δmX,δmY)を順次累積して得られるオフセット量累積値Σδm(ΣδmX,ΣδmY)を記憶するようになっている。
【0067】
実施の形態2では、オフセット量累積値記憶部64Dに記憶されたオフセット量累積値Σδm(ΣδmX,ΣδmY)が、実施の形態1における差分δ(δX,δY)に相当する。よって、第1位置ずれ量算出部65により算出された第1位置ずれ量ΔZ1(ΔX1,ΔY1)に、オフセット量累積値記憶部64Dに記憶されたオフセット量累積値Σδm(ΣδmX,ΣδmY)を加算することによって、装着部品位置Zの目標装着位置MKからの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2(ΔX2,ΔY2)を算出することができる(図14)。具体的には、演算ΔX2=ΔX1+ΣδmX,ΔY2=ΔY1+ΣδmYによって、第2位置ずれ量ΔZ2(ΔX2,ΔY2)を求めることができる。
【0068】
このように実施の形態2において、検査装置12は、基板KBに対して設定された検査基準位置KKからの部品BHの位置ずれ量である第1位置ずれ量ΔZ1を算出するだけでなく、変更前の検査基準位置KKと変更後の検査基準位置KKとの間のオフセット量δm(δmX,δmY)を順次累積して得られるオフセット量累積値Σδm(ΣδmX,ΣδmY)から差分δ(δX,δY)を算出し、その算出した差分δを第1位置ずれ量ΔZ1に加算することによって、目標装着位置MKからの部品BHの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2を算出するようになっている。そして、基板KBに装着された部品BHの装着状態の良否の判定を第1位置ずれ量ΔZ1に基づいて行う一方、算出した第2の位置ずれ量ΔZ2をフィードバックデータとして部品装着装置11に出力するようになっている。このため、部品装着装置11は部品BHの装着時の基準である目標装着位置MKを基準とする位置ずれ量(第2位置ずれ量ΔZ2)で装着ヘッド23の動作パラメータの補正値を求めることができ、実施の形態1の場合と同様に、部品BHの装着精度を向上させることができる。
【0069】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3が実施の形態1,2と異なるところは、検査装置12が備える検査装置制御部55の構成および動作(第2位置ずれ量ΔZ2の算出手順)のみである。
【0070】
図15において、実施の形態3における検査装置制御部55は、実施の形態1,2と異なり、差分算出部64を備えていない。実施の形態3では、第2位置ずれ量算出部66が、基板KBに装着された部品BHの位置と基板KBにおける部品BHの目標装着位置MKとを比較することによって、部品BHの目標装着位置MKからの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2を算出(検査基準位置KKが変更される場合には、検査基準位置KKが変更されるごとに第2位置ずれ量ΔZ2を算出)する。具体的には、装着部品位置検出部69により検出された装着部品位置Zと、目標装着位置データ72から読み出した目標装着位置MKのX座標とY座標それぞれの差を求めることによって、第2位置ずれ量ΔZ2(ΔX2,ΔY2)を算出する(図16)。なお、検査基準位置KKが変更される場合には、第2位置ずれ量算出部66は、検査基準位置KKが変更されるごとに第2位置ずれ量ΔZ2(ΔX2,ΔY2)を算出する。
【0071】
図17のフローチャートは、実施の形態3における検査装置12が行う検査作業の流れを示している。フローチャートに示すステップST11~ステップST15は、実施の形態1,2におけるフローチャート(図12)のステップST1~ステップST5と同じである。実施の形態3では、ステップST15において、各部品BHについての装着状態の良否を判定したら、目標装着位置データ72から読み出した目標装着位置MKとステップST13で検出した装着部品位置Zとを比較することによって、目標装着位置MKからの部品BHの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2を算出する(ステップST16。第2位置ずれ量算出工程)。
【0072】
検査装置12は、ステップST16で第2位置ずれ量ΔZ2を算出したら、ステップST15の良否判定工程で判定した各部品BHについての良否判定結果と、ステップST16の第2位置ずれ量算出工程で算出した第2位置ずれ量ΔZ2のデータを、検査装置通信部68から管理装置13に出力する(ステップST17。出力工程)。そして、基板KB上の全ての部品BHについての検査が終了したら、その基板KBを下流に搬出して(ステップST18。基板搬出工程)、基板KBの1枚当たりの検査作業を終了する。
【0073】
このように実施の形態3において、検査装置12は、基板KBに対して設定された検査基準位置KKからの部品BHの位置ずれ量である第1位置ずれ量ΔZ1を算出するだけでなく、基板KBに装着された部品BHの位置(装着部品位置Z)と目標装着位置MKとを比較することによって、目標装着位置MKからの部品BHの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2を算出するようになっている。そして、基板KBに装着された部品BHの装着状態の良否の判定を第1位置ずれ量ΔZ1に基づいて行う一方、算出した第2の位置ずれ量ΔZ2をフィードバックデータとして部品装着装置11に出力するようになっている。このため、部品装着装置11は部品BHの装着時の基準である目標装着位置MKを基準とする位置ずれ量(第2位置ずれ量ΔZ2)で装着ヘッド23の動作パラメータの補正値を求めることができ、実施の形態1,2の場合と同様に、部品BHの装着精度を向上させることができる。
【0074】
以上説明したように、実施の形態1,2,3における部品装着システム1では、検査装置12が、検査基準位置KKからの部品BHの位置ずれ量である第1位置ずれ量ΔZ1を算出して部品BHの装着状態の良否判定を行う一方、目標装着位置MKからの部品BHの位置ずれ量である第2位置ずれ量ΔZ2を算出するようになっている。そして、部品装着装置11には第2位置ずれ量ΔZ2をフィードバックデータとして出力し、部品装着装置11はその第2位置ずれ量ΔZ2を用いて補正値を算出するようになっている。このため部品装着装置11は装着ヘッド23の動作パラメータの補正を適切な補正値で行うことができるので、部品BHの装着精度の向上を図ることができる。
【0075】
これまで本発明の実施の形態1,2,3について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態1,2,3では、部品装着装置11は検査装置12が出力する検査情報を管理装置13経由で受け取るようになっていたが、管理装置13を経由することなく、検査装置12から直接受け取るようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
部品の装着精度の向上を図ることができる部品装着システム、検査装置、基板製造方法および検査方法を提供する。
【符号の説明】
【0077】
1 部品装着システム
11 部品装着装置
12 検査装置
23 装着ヘッド
64 差分算出部
65 第1位置ずれ量算出部
66 第2位置ずれ量算出部
68 検査装置通信部(出力部)
KK 検査基準位置
MK 目標装着位置
ΔZ1 第1位置ずれ量
ΔZ2 第2位置ずれ量
δ 差分
δm オフセット量
Σδm オフセット量累積値
BH 部品
RD リード
KB 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17