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特許7557826映像送信方法、映像受信方法、映像送信装置及び映像受信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-19
(45)【発行日】2024-09-30
(54)【発明の名称】映像送信方法、映像受信方法、映像送信装置及び映像受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/2343 20110101AFI20240920BHJP
   H04N 21/462 20110101ALI20240920BHJP
   H04N 5/20 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04N21/2343
H04N21/462
H04N5/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023074871
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2022068538の分割
【原出願日】2016-05-20
(65)【公開番号】P2023106428
(43)【公開日】2023-08-01
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】62/238,155
(32)【優先日】2015-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】遠間 正真
(72)【発明者】
【氏名】西 孝啓
(72)【発明者】
【氏名】井口 賀敬
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特許第7108864(JP,B2)
【文献】特開2017-069933(JP,A)
【文献】特開2011-146894(JP,A)
【文献】特表2014-534719(JP,A)
【文献】特開平11-146291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04N 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを含む送信信号を生成する生成ステップと、
前記送信信号を送信する送信ステップとを含み、
前記生成ステップでは、前記第1映像データから前記第2映像データへの切り替えにおける前記第2映像データの表示開始前の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを、下限値である0に制限し、
前記生成ステップは、
前記第1映像データ及び前記第2映像データを符号化することで映像信号を生成する符号化ステップと、
生成された前記映像信号と音声信号とを多重化することで、前記送信信号を生成する多重化ステップとを含む
映像送信方法。
【請求項2】
表示部を備える映像受信装置における映像受信方法であって、
第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを含む受信信号を受信する受信ステップを含み、
前記受信信号では、前記第1映像データから前記第2映像データへの切り替えにおける前記第2映像データの表示開始前の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルが、下限値である0に制限されており、
前記映像受信方法は、さらに、
輝度ダイナミックレンジの切り替え処理に許容される時間の間に、前記表示部の前記輝度ダイナミックレンジを切り替える切り替えステップと
映像信号と音声信号とが多重化された前記受信信号を逆多重化することで、前記映像信号を取得する逆多重化ステップと、
取得された前記映像信号を復号することで、前記第1映像データ及び前記第2映像データを取得する復号ステップとを含む
映像受信方法。
【請求項3】
第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを含む送信信号を生成する生成部と、
前記送信信号を送信する送信部とを備え、
前記生成部は、前記第1映像データから前記第2映像データへの切り替えにおける前記第2映像データの表示開始前の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを、下限値である0に制限し、
前記生成部は、
前記第1映像データ及び前記第2映像データを符号化することで映像信号を生成する符号化部と、
生成された前記映像信号と音声信号とを多重化することで、前記送信信号を生成する多重化部とを備える
映像送信装置。
【請求項4】
表示部を備える映像受信装置であって、
第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを含む受信信号を受信する受信部を備え、
前記受信信号では、前記第1映像データから前記第2映像データへの切り替えにおける前記第2映像データの表示開始前の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルが、下限値である0に制限されており、
前記映像受信装置は、さらに、
輝度ダイナミックレンジの切り替え処理に許容される時間の間に、前記表示部の前記輝度ダイナミックレンジを切り替える表示制御部と、
映像信号と音声信号とが多重化された前記受信信号を逆多重化することで、前記映像信号を取得する逆多重化部と、
取得された前記映像信号を復号することで、前記第1映像データ及び前記第2映像データを取得する復号部とを備える
映像受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像送信方法、映像受信方法、映像送信装置及び映像受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の映像における暗部階調を維持しつつ、現行のTV信号では表現不能な鏡面反射光などの明るい光を、より現実に近い明るさで表現するために最大輝度値を拡大した輝度範囲に対応させた方式として、HDR(High Dynamic Range)が注目されている。具体的には、これまでのTV信号が対応している輝度範囲の方式は、SDR(Standard Dynamic Range)と呼ばれ、最大輝度値が100nitであったのに対して、HDRでは1000nit以上まで最大輝度値を拡大することが想定されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】ARIB STANDARD ARIB STD-B67 Version 1.0 July 3, 2015
【文献】BBC Research & Development White Paper WHP 283, July 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、複数の輝度ダイナミックレンジに対応した映像信号の送信又は受信においては、映像受信装置における輝度ダイナミックレンジの切り替え処理を容易化できることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、映像受信装置における輝度ダイナミックレンジの切り替え処理を容易化できる映像送信方法、映像受信方法、映像送信装置又は映像受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る映像送信方法は、第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを含む送信信号を生成する生成ステップと、前記送信信号を送信する送信ステップとを含み、前記生成ステップでは、前記第1映像データから前記第2映像データへの切り替えにおける前記第2映像データの表示開始前の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを、下限値である0に制限し、前記生成ステップは、前記第1映像データ及び前記第2映像データを符号化することで映像信号を生成する符号化ステップと、生成された前記映像信号と音声信号とを多重化することで、前記送信信号を生成する多重化ステップとを含む
【0007】
本発明の一態様に係る映像受信方法は、表示部を備える映像受信装置における映像受信方法であって、第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを含む受信信号を受信する受信ステップを含み、前記受信信号では、前記第1映像データから前記第2映像データへの切り替えにおける前記第2映像データの表示開始前の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルが、下限値である0に制限されており、前記映像受信方法は、さらに、輝度ダイナミックレンジの切り替え処理に許容される時間の間に、前記表示部の前記輝度ダイナミックレンジを切り替える切り替えステップと、映像信号と音声信号とが多重化された前記受信信号を逆多重化することで、前記映像信号を取得する逆多重化ステップと、取得された前記映像信号を復号することで、前記第1映像データ及び前記第2映像データを取得する復号ステップとを含む
【0008】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、映像受信装置における輝度ダイナミックレンジの切り替え処理を容易化できる映像送信方法、映像受信方法、映像送信装置又は映像受信装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る映像受信装置のブロック図である。
図2図2は、実施の形態1に係る表示制御部による処理のフローチャートである。
図3図3は、実施の形態1に係る映像受信処理のフローチャートである。
図4図4は、実施の形態1に係る伝達特性変化時の動作を示す図である。
図5図5は、実施の形態1に係る伝達特性変化時の動作を示す図である。
図6図6は、実施の形態1に係る映像送信装置のブロック図である。
図7図7は、実施の形態1に係る映像送信処理のフローチャートである。
図8図8は、実施の形態2に係る伝達特性変化時の異常動作を示す図である。
図9図9は、実施の形態2に係る映像受信装置のブロック図である。
図10図10は、実施の形態1に係る表示制御部による処理のフローチャートである。
図11図11は、実施の形態3に係るタイムスタンプ記述子の一例を示す図である。
図12図12は、実施の形態3に係る拡張タイムスタンプ記述子の一例を示す図である。
図13図13は、実施の形態3に係る映像コンポーネント記述子の一例を示す図である。
図14図14は、実施の形態3に係る表示制御部による処理のフローチャートである。
図15図15は、実施の形態3に係る映像受信処理のフローチャートである。
図16図16は、実施の形態4に係るHDR及びSDRの電気信号レベルと輝度との関係を示すカーブの一例を示す図である。
図17図17は、実施の形態4に係るSDRからHDRへの切り替え時に動作を示す図である。
図18図18は、実施の形態4に係る実施の形態4に係るHDRからSDRへの切り替え時に動作を示す図である。
図19図19は、実施の形態4に係る映像送信装置のブロック図である。
図20図20は、実施の形態4に係る映像送信処理のフローチャートである。
図21図21は、実施の形態4に係る映像受信装置のブロック図である。
図22図22は、実施の形態4に係る映像受信処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の基礎となった知見)
映像信号のOETF(Optical-Electro Transfer Function:光電伝達関数)又はEOTF(Electro-Optical Transfer Function:電光伝達関数)は、例えば、映像符号化標準のITU-T H.265|ISO/IEC 23008-2 HEVCでは、Sequence Parameter Set(SPS)中のVideo Usability Information(VUI)において、transfer characteristics(伝達特性)というシンタクスにより通知される。このSPSの伝達特性を用いると、フレーム精度で伝達特性(伝達関数)の切り替わりを通知することができる。映像受信装置は伝達特性に基づいて、映像表示部の制御方法を決定する。
【0012】
テレビ放送など映像信号と音響信号とを多重化して伝送する際に用いられるMPEG-2 TS(トランスポートストリーム)標準では、上記SPSに含まれるパラメータ及びパラメータに関連する情報を、Program-specific information(PSI)のDescriptor(記述子)に記載し、より上位の層で映像受信装置の動作に関係する情報を通知する方法が知られている。伝達特性についても、PSIの記述子を利用することで、映像受信装置はより簡単に映像表示部の制御方法を決定できる。一般的に、PSIは一定周期で多重化ストリームに挿入されるため、映像信号のフレームとは同期していない。なお、MPEG-H MMT標準では、PSIと同様の仕組みがMMT-SIとして規定されている。
【0013】
伝達特性は、ITU-R BT.2020(以下、BT.2020)、ARIB STD-B67(以下、STD-B67)、及びSMPTE ST2084(以下、ST2084)などで規定されている。STD-B67及びST2084は、高ダイナミックレンジ(HDR)と呼ばれる、従来のBT.2020より10倍から100倍の高輝度を含む映像信号を扱うことができる。HDRに対し、従来のBT.2020などは標準ダイナミックレンジ(SDR)と呼ばれる。
【0014】
HDRに対応したテレビ放送では、番組毎又はコマーシャル毎にHDRとSDRとが混在する可能性がある。このため映像受信装置は、HDRかSDRかに応じて表示部の制御を切り替えて動作する必要がある。
【0015】
本発明の一態様に係る映像送信方法は、第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを時系列に含む送信信号を生成する生成ステップと、前記送信信号を送信する送信ステップとを含み、前記生成ステップでは、前記第1映像データ及び前記第2映像データの一方から他方への切り替え時の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを予め定められた制限値より低い値に制限する。
【0016】
これにより、異なる輝度ダイナミックレンジの映像データへの切り替え時の遷移期間において、映像データの信号のレベルが制限値より低い値に制限される。これにより、映像受信装置は、例えばフレーム単位で表示部の輝度ダイナミックレンジを変更する必要がなく、当該遷移期間中において表示部の輝度ダイナミックレンジを変更すればよい。よって、映像受信装置における輝度ダイナミックレンジの切り替え処理を容易化できる。
【0017】
例えば、前記生成ステップでは、前記第1映像データから前記第2映像データへの切り替え時の第1遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを前記制限値より低い値に制限してもよい。
【0018】
例えば、前記生成ステップでは、前記第2映像データから前記第1映像データへの切り替え時の第2遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを前記制限値より低い値に制限しなくてもよい。
【0019】
例えば、前記送信信号は、前記遷移期間開始直後の第1期間において、輝度ダイナミックレンジの切り替えを通知するための第1情報を含んでもよい。
【0020】
例えば、前記第1期間は、前記遷移期間開始直後から、前記送信信号を受信する映像受信装置において輝度ダイナミックレンジの切り替え処理に許容される時間である切り替え許容時間だけ前記切り替え時刻より前の時刻までの期間であってもよい。
【0021】
例えば、前記生成ステップは、前記第1映像データ及び前記第2映像データを符号化することで映像信号を生成する符号化ステップと、生成された前記映像信号と音声信号とを多重化することで、前記第1情報を含む前記送信信号を生成する多重化ステップとを含んでもよい。
【0022】
例えば、前記送信信号は、前記遷移期間を示す第2情報を含んでもよい。
【0023】
また、本発明の一態様に係る映像受信方法は、表示部を備える映像受信装置における映像受信方法であって、第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを時系列に含む受信信号を受信する受信ステップを含み、前記受信信号では、前記第1映像データ及び前記第2映像データの一方から他方への切り替え時の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルが予め定められた制限値より低い値に制限されており、前記受信信号は、前記遷移期間開始直後の第1期間において、輝度ダイナミックレンジの切り替えを通知するための第1情報を含み、前記映像受信方法は、さらに、前記第1情報を取得してから、輝度ダイナミックレンジの切り替え処理に許容される時間である切り替え許容時間の間に、前記表示部の前記輝度ダイナミックレンジを切り替える切り替えステップとを含む。
【0024】
これにより、異なる輝度ダイナミックレンジの映像データへの切り替え時の遷移期間において、映像データの信号のレベルが制限値より低い値に制限される。これにより、映像受信装置は、例えばフレーム単位で表示部の輝度ダイナミックレンジを変更する必要がなく、当該遷移期間中において表示部の輝度ダイナミックレンジを変更すればよい。よって、映像受信装置における輝度ダイナミックレンジの切り替え処理を容易化できる。
【0025】
例えば、前記第1期間は、前記遷移期間開始直後から、前記切り替え許容時間だけ前記切り替え時刻より前の時刻までの期間であってもよい。
【0026】
例えば、前記映像受信方法は、さらに、映像信号と音声信号とが多重化された前記受信信号を逆多重化することで、前記映像信号と、前記第1情報とを取得する逆多重化ステップと、取得された前記映像信号を復号することで、前記第1映像データ及び前記第2映像データを取得する復号ステップとを含んでもよい。
【0027】
例えば、前記受信信号は、前記遷移期間を示す第2情報を含んでもよい。
【0028】
また、本発明の一態様に係る映像送信装置は、第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを時系列に含む送信信号を生成する生成部と、前記送信信号を送信する送信部とを備え、前記生成部は、前記第1映像データ及び前記第2映像データの一方から他方への切り替え時の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを予め定められた制限値より低い値に制限する。
【0029】
これにより、異なる輝度ダイナミックレンジの映像データへの切り替え時の遷移期間において、映像データの信号のレベルが制限値より低い値に制限される。これにより、映像受信装置は、例えばフレーム単位で表示部の輝度ダイナミックレンジを変更する必要がなく、当該遷移期間中において表示部の輝度ダイナミックレンジを変更すればよい。よって、映像受信装置における輝度ダイナミックレンジの切り替え処理を容易化できる。
【0030】
また、本発明の一態様に係る映像受信装置は、表示部を備える映像受信装置であって、第1輝度ダイナミックレンジの第1映像データと、前記第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジの第2映像データとを時系列に含む受信信号を受信する受信部を備え、前記受信信号では、前記第1映像データ及び前記第2映像データの一方から他方への切り替え時の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルが予め定められた制限値より低い値に制限されており、前記受信信号は、前記遷移期間開始直後の第1期間において、輝度ダイナミックレンジの切り替えを通知するための第1情報を含み、前記映像受信装置は、さらに、前記第1情報を取得してから、輝度ダイナミックレンジの切り替え処理に許容される時間である切り替え許容時間の間に、前記表示部の前記輝度ダイナミックレンジを切り替える表示制御部を備える。
【0031】
これにより、異なる輝度ダイナミックレンジの映像データへの切り替え時の遷移期間において、映像データの信号のレベルが制限値より低い値に制限される。これにより、映像受信装置は、例えばフレーム単位で表示部の輝度ダイナミックレンジを変更する必要がなく、当該遷移期間中において表示部の輝度ダイナミックレンジを変更すればよい。よって、映像受信装置における輝度ダイナミックレンジの切り替え処理を容易化できる。
【0032】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0033】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0034】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る映像受信装置は、フレーム精度で伝達特性を示す伝達特性情報を用いて、フレーム精度で表示部の輝度ダイナミックレンジの制御を行う。これにより、当該映像受信装置は、より適切な映像を表示できる。
【0035】
まず、本実施の形態に係る映像受信装置の構成を説明する。図1は、本実施の形態に係る映像受信装置100のブロック図である。映像受信装置100は、例えば、テレビ等であり、放送波により送信された受信信号111を受信し、受信した受信信号111に基づく映像を表示する。映像受信装置100は、受信部101と、逆多重化部102と、映像復号部103と、表示制御部104と、表示部105とを備える。
【0036】
受信部101は、受信信号111を受信する。受信信号111は、映像信号と音声信号とが多重化されたシステムストリームである。
【0037】
逆多重化部102は、受信信号111を逆多重化(システム復号)することで、映像ストリームである映像信号112を生成する。また、逆多重化部102は、受信信号111に含まれるデスクリプタ等から取得した伝達特性を、第1伝達特性情報113として出力する。つまり、第1伝達特性情報113は、多重化レイヤ(Multiplexing Layer)に含まれる。
【0038】
映像復号部103は、映像信号112を復号することで映像データ114を生成する。また、映像復号部103は、SPSから取得した伝達特性を、第2伝達特性情報115として出力する。つまり、第2伝達特性情報115は、映像符号化レイヤ(Video Coding Layer)に含まれる。
【0039】
この第2伝達特性情報115は、映像データ114の輝度ダイナミックレンジに対応するフレーム精度での伝達関数(OETF又はEOTF)を特定するための情報である。例えば、この第2伝達特性情報115は、第1輝度ダイナミックレンジ(SDR)に対応した第1伝達関数、又は、第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジ(HDR)に対応した第2伝達関数をフレーム精度で特定するための情報である。つまり、第2伝達特性情報115は、映像データ114がSDRであるかHDRであるかを示す。また、HDRに複数の形式が存在する場合には、第2伝達特性情報115は、どの形式のHDRであるかを示してもよい。つまり、第2伝達特性情報115は、映像データ114の輝度ダイナミックレンジを示し、例えば、予め定められた複数の輝度ダイナミックレンジのうちのいずれかを示す。
【0040】
また、SPSとは、映像信号112に含まれる、シーケンス単位(複数フレーム単位)の制御情報である。
【0041】
表示制御部104は、第1伝達特性情報113及び第2伝達特性情報115に応じて、表示部105を制御する制御情報116を生成する。
【0042】
表示部105は、制御情報116(つまり第1伝達特性情報113及び第2伝達特性情報115)に応じてフレーム精度で輝度ダイナミックレンジを制御しながら映像データ114を表示する。この表示部105は、映像特性変換部106と、表示デバイス107とを備える。
【0043】
映像特性変換部106は、制御情報116に応じて、映像データ114を変換することで入力信号117を生成する。具体的には、映像特性変換部106は、第1伝達特性情報113又は第2伝達特性情報115で示される伝達関数を用いて、映像データ114を入力信号117に変換する。
【0044】
表示デバイス107は、例えば、液晶パネルであり、制御情報116に応じて、表示する映像の輝度ダイナミックレンジを変更する。例えば、表示デバイス107が液晶パネルの場合には、表示デバイス107は、バックライトの最高輝度を変更する。
【0045】
次に、映像受信装置100の動作を説明する。なお、図1では、第1伝達特性情報113及び第2伝達特性情報115の両方を用いる構成を記載しているが、少なくとも第2伝達特性情報115が用いられればよい。以下、第2伝達特性情報115を用いた制御について詳細に説明する。
【0046】
図2は、表示制御部104による表示制御処理のフローチャートである。なお、図2に示す処理は、フレーム単位、又は第2伝達特性情報115が変更される毎に行われる。
【0047】
まず、表示制御部104は、第2伝達特性情報115によりSDR及びHDRのいずれか示されるかを判定する(S101)。
【0048】
第2伝達特性情報115によりHDRが示される場合(S101でYes)、表示制御部104は、HDR表示用の制御情報116を出力する(S102)。これにより、表示部105は、HDRに対応する輝度ダイナミックレンジで映像を表示する。
【0049】
一方、第2伝達特性情報115によりSDRが示される場合(S101でNo)、表示制御部104は、SDR表示用の制御情報116を出力する(S103)。これにより、表示部105は、SDRに対応する輝度ダイナミックレンジで映像を表示する。
【0050】
このように、フレーム精度で通知される第2伝達特性情報115に応じて制御情報116を切り替えることで、伝達特性の切り替わりと表示部105の制御とをフレーム精度で同期できる。
【0051】
なお、複数のHDR方式(例えば、STD-B67及びST2084)が存在する場合には、HDR表示用の制御情報116に、HDR方式の識別情報が含まれてもよい。これにより、表示部105は、対応する方式の輝度ダイナミックレンジで映像を表示できる。
【0052】
図3は、映像受信装置100による映像受信処理のフローチャートである。まず、受信部101は、受信信号111を受信する(S111)。次に、逆多重化部102は、受信信号111を逆多重化することで、映像信号112を生成する(S112)。次に、映像復号部103は、映像信号112を復号することで映像データ114を生成するとともに、第2伝達特性情報115を取得する(S113)。
【0053】
次に、表示制御部104は、第2伝達特性情報115に応じて表示部105の輝度ダイナミックレンジを制御する。具体的には、表示制御部104は、第2伝達特性情報115に基づき、各フレームがHDRであるかSDRであるかをフレーム精度で判定する(S114)。HDRである場合には(S114でYes)、表示部105はHDRの輝度ダイナミックレンジで映像を表示する(S115)。SDRである場合には(S114でNo)、表示部105はSDRの輝度ダイナミックレンジで映像を表示する(S116)。
【0054】
図4は、SDR番組からHDR番組への切り替え時の様子を示す図である。図5は、HDR番組からSDR番組への切り替え時の様子を示す図である。図4及び図5に示すように、上記処理により、フレーム精度でSDRとHDRとの切り替えを適切に行うことができる。
【0055】
以下、上述した受信信号111に対応する送信信号212を生成する映像送信装置200について説明する。図6は、本実施の形態に係る映像送信装置200のブロック図である。図6に示す映像送信装置200は、生成部201と、送信部202とを備える。
【0056】
生成部201は、映像データと、当該映像データの輝度ダイナミックレンジに対応する伝達関数をフレーム精度で特定するための第2伝達特性情報とを含む送信信号212を生成する。生成部201は、映像符号化部203と、多重化部204とを含む。
【0057】
図7は、映像送信装置200による映像送信処理のフローチャートである。まず、映像符号化部203は、映像データと第2伝達特性情報とを符号化することで映像信号211を生成する(S201)。この第2伝達特性情報は、上述した第2伝達特性情報115に対応し、第1輝度ダイナミックレンジ(例えばSDR)に対応した第1伝達関数、又は、第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジ(例えばHDR)に対応した第2伝達関数をフレーム精度で特定するための情報である。また、第2伝達特性情報は、映像信号211に含まれるSPS内に格納される。
【0058】
次に、多重化部204は、符号化された映像信号211と音声信号とを多重化することで送信信号212を生成する(S202)。次に、送信部202は、生成された送信信号212を送信する(S203)。
【0059】
以上により、映像送信装置200は、フレーム精度で伝達関数を特定するための第2伝達特性情報を含む送信信号212を生成する。これにより、送信信号212を受信する映像受信装置は、フレーム精度で表示部の輝度ダイナミックレンジを制御できるので、より適切な映像を表示できる。
【0060】
(実施の形態2)
TV放送では、地上波又は衛星などの電波状況によってエラーが発生する場合がある。図8は、電波障害等のより受信エラーが発生した場合の様子を示す図である。図8に示すように、SDRからHDRへの切り替わり時において、映像受信装置がSPS内の第2伝達特性情報115を取得後に、電波障害等により、映像ストリームが欠落し、HDRの最初のフレームが取得できない場合を想定する。この場合、映像復号部103は、エラー隠蔽のために直前のフレームを引き続き表示する。つまり、SDR番組のフレームが繰り返し表示される。
【0061】
この場合、このフレームが後続のフレームから参照されることで、後続の映像として、過去の番組の映像が混じった異常な映像が表示されてしまう。
【0062】
また、切り替え直後においては、表示部の輝度ダイナミックレンジがHDRに設定されるため、SDR番組のフレームがHDRの輝度ダイナミックレンジで表示されてしまう。これにより、本来の意図よりも高輝度の映像が表示されるという問題がある。
【0063】
本実施の形態ではこの問題に対応した映像受信装置について説明する。図9は、本実施の形態に係る映像受信装置100Aのブロック図である。図9に示す映像受信装置100Aは、図1に示す映像受信装置100に対して、さらに、異常検知部108と、表示部105A内のメッセージ重畳部109とを備える。また、表示制御部104Aに機能が追加されている。
【0064】
異常検知部108は、映像データ114(映像信号112)を正しく取得できたかを判定する。具体的には、異常検知部108は、パケットのシーケンス番号に基づいてパケットロスを検出するとともに、パケットのペイロードを解析してフレームデータの開始位置を取得することで、フレームデータを全て取得したか(正常)、フレームデータの一部のみを取得したか(異常)を判定する。また、異常検知部108は、判定結果を示す異常通知情報118を表示制御部104Aに出力する。つまり、異常が発生したこと、又は、異常が発生したフレームを特定するための情報が表示制御部104Aに通知される。
【0065】
表示制御部104Aは、第1伝達特性情報113及び第2伝達特性情報115に加え、異常通知情報118に応じて、制御情報116及びメッセージ119を生成する。具体的には、表示制御部104Aは、異常がある場合に、異常があることを示すメッセージ119を生成するとともに、SDR表示用の制御情報116を生成する。
【0066】
メッセージ重畳部109は、制御情報116及びメッセージ119に応じて、映像データ(入力信号117)にメッセージ119を重畳することで入力信号120を生成し、生成した入力信号120を表示デバイス107に出力する。これにより、例えば、「エラーが発生しました」などのメッセージが表示デバイス107に表示されることで、機器の故障でないことを視聴者に伝えることができる。
【0067】
図10は、表示制御部104Aのよる表示制御処理のフローチャートである。まず、表示制御部104Aは、第2伝達特性情報115が更新されたかを判定する(S121)。第2伝達特性情報115が更新された場合(S121でYes)、表示制御部104Aは、表示制御の切り替えの判断を開始する。
【0068】
まず、表示制御部104Aは、映像データを正しく取得できたかを判定する。具体的には、表示制御部104Aは、異常通知情報118に基づきイントラ符号化フレームが正常に復号されたかを判定する(S122)。イントラ符号化フレームが正常に復号されていない場合(S122でNo)、表示制御部104Aは、表示制御部104は、SDR表示用の制御情報116を出力する(S123)。これにより、表示部105は、SDRに対応する輝度ダイナミックレンジで映像を表示する。つまり、表示制御部104Aは、映像データを正しく取得できなかったと判定された場合、表示部105の輝度ダイナミックレンジをSDR(第1輝度ダイナミックレンジ)に設定する。
【0069】
切り替え時においてエラーが発生した場合には、表示されるフレームに切替え前のフレームの画素が含まれる可能性がある。これに対して、本実施の形態では、このような場合に、表示制御をSDR表示用に設定することで、SDR番組のフレームがHDRの高輝度設定で表示されることを抑制できる。
【0070】
また、HEVCのIDR又はCRAなど、飛び込み再生を保証しているイントラ符号化フレームが正常に復号された場合(S122でYes)、実施の形態1と同様に表示制御を切り替える。つまり、表示制御部104Aは、更新後の第2伝達特性情報115によりSDR及びHDRのいずれか示されるかを判定する(S124)。第2伝達特性情報115によりHDRが示される場合(S124でYes)、表示制御部104Aは、HDR表示用の制御情報116を出力する(S125)。一方、第2伝達特性情報115によりSDRが示される場合(S124でNo)、表示制御部104Aは、SDR表示用の制御情報116を出力する(S126)。
【0071】
このように、本実施の形態に係る映像受信装置100Aは、エラー発生時にSDRの輝度ダイナミックレンジで映像を表示することで、エラー発生時に過度に明るい映像が表示されることを抑制できる。
【0072】
(実施の形態3)
本実施の形態では、第1伝達特性情報113の詳細及び第1伝達特性情報113を用いた処理について説明する。まず、逆多重化部102において取得する伝達特性の例を説明する。
【0073】
多重化方式としてMMTを用いる場合、MPU(Media Processing Unit)と呼ばれるランダムアクセス単位において復号順で先頭となるアクセスユニット(ピクチャに相当)のPTS及びDTSは、記述子(デスクリプタ)により伝送できる。例えば、ARIB(Association of Radio Industries and Business)のSTD-B60においては、MPUタイムスタンプ記述子又はMPU拡張タイムスタンプ記述子を用いて、MPUの先頭アクセスユニットのPTS、又は、MPUの先頭アクセスユニットのDTS及び後続アクセスユニットのDTSとPTSとが、それぞれプログラムの制御情報として伝送される。
【0074】
図11は、HDR識別情報301を含むMPUタイムスタンプ記述子(MPU_Timestamp_Discriptor)のシンタックス例を示す図である。図12は、HDR識別情報301を含むMPU拡張タイムスタンプ記述子(MPU_Extended_Timestamp_Discriptor)のシンタックス例を示す図である。
【0075】
図11又は図12に示すように、MPUタイムスタンプ記述子、又はMPU拡張タイムスタンプ記述子を拡張することで、送信信号212(受信信号111)に、MPUを構成するアクセスユニットのEOTFがHDR又はSDRのどちらであるかを示すHDR識別情報301(mpu_hdr_indicator)を付加することができる。なお、STD-B67とSMPTE ST2084とが共に使用可能である場合など、HDRのEOTFが複数存在する際には、HDR識別情報301は、HDRのEOTFの種類を識別するための情報を含んでもよい。また、MPU単位のEOTF識別情報が伝送できれば、他の記述子を用いてもよい。
【0076】
多重化方式としてMPEG-2 TSを用いる場合は、13818-1 AMD6( Delivery of Timeline for External Data )を拡張して、アクセスユニットのPTS又はDTSと、EOTFの識別情報とを関連付けてもよい。あるいは、MMTと同様に記述子を用いてランダムアクセス単位のEOTF識別情報を格納してもよいし、PES又はTSのヘッダ情報を用いてランダムアクセス単位のEOTF識別情報をシグナリングしてもよい。
【0077】
このように、第1伝達特性情報113は、送信信号212(受信信号111)に含まれるランダムアクセス単位毎の制御情報に含まれる。ここでランダムアクセス単位とは任意のアクセスが保証されている複数のアクセスユニット(フレーム)で構成される単位である。
【0078】
第1伝達特性情報113は、MPUタイムスタンプ記述子などMPU単位の情報としてではなく、複数のMPUを含むプログラム単位の情報に格納されてもよい。ARIBでは、プログラム単位の情報である映像コンポーネント記述子に、ビデオストリームの解像度、アスペクト比、及びフレームレートなどが格納される。よって、第1伝達特性情報113もこの映像コンポーネント記述子に格納できる。しかしながら、プログラム単位の情報は0.5秒又は0.1秒ごとなど周期的に伝送されることから、フレーム単位又はランダムアクセス単位では情報を更新できない場合がある。従って、この場合には、現在有効な伝達特性情報と共に、将来有効になる伝達特性情報が格納される。
【0079】
図13は、映像コンポーネント記述子のシンタックス例を示す図である。Current_EOTF(第1情報)は現在有効なEOTF(伝達関数)を示し、EOTF_update_flag(第2情報)は将来EOTFが切り替わるかどうかを示す。つまり、EOTF_update_flag(第2情報)は、当該プログラム内において伝達関数が切り替わるか否かを示す。
【0080】
EOTF_update_flag(第2情報)により、EOTFが切り替わることが示される場合には、映像コンポーネント記述子は、切り替わり後のEOTFを示すnew_EOTF(第3情報)と、切り替わり後のEOTFが有効になるMPUのシーケンス番号を示すnew_EOTF_start_mpu_sequence_number(第4情報)とを含む。つまり、new_EOTF_start_mpu_sequence_number(第4情報)は、EOTFの切り替えを行うランダムアクセス単位を特定するための情報である。
【0081】
なお、HDRが1種類である場合には、HDRかSDRであるかのみが分かればよい。つまり、EOTF_update_flagのみにより切り替わり後のEOTFが決定できるため、new_EOTFのフィールドは省略してもよい。
【0082】
以上のように伝達特性を伝送することで、映像受信装置は、多重化レイヤ(多重化されるAVデータの属性情報、及びAVデータを格納するパケットのヘッダ情報)の情報のみに基づいて、MPUを構成するアクセスユニットの伝達特性を取得することができる。さらに、従来のARIBにおけるシームレス接続では、解像度などの切り替わり前後でビデオストリームを格納するTSパケットのPID又はMMTパケットのアッセットID(あるいはパケットID)が切り替えられるため、同一IDのパケットにおけるSTD(System Target Decoder)バッファの管理が困難である、又は、切り替え点において送出側のデータ供給が一時的に途絶えるなどのデメリットがあった。これに対して、本手法を用いることで、この課題を解決できる。
【0083】
なお、本手法は、複数のオーディオコーデックをシームレスに切り替える場合にも適用できる。
【0084】
また、本実施の形態に係る映像受信装置100Aの構成は、図9に示す構成において、表示制御部104Aに機能が追加されている点が実施の形態2と異なる。
【0085】
まず、逆多重化部102は、映像信号112の復号に先立って、多重化レイヤの情報から上述した伝達特性(HDR識別情報301等)を取得し、取得した伝達特性を特定するための第1伝達特性情報113を表示制御部104Aに出力する。
【0086】
このように、映像受信装置100Aは、第1伝達特性情報113を映像信号112の復号に先立って取得できるため、第2伝達特性情報115よりも時間的に先に第1伝達特性情報113を取得できる。よって、表示制御部104Aが伝達特性情報を取得してから実際に映像特性変換部106、及び表示デバイス107を制御するまでの期間を長くすることができる。特に、アクセスユニット単位での伝達特性の切り替えを想定すると、復号結果に基づいて伝達特性を取得する場合には、フレームレートが増加するほど時間的な余裕が少なくなるため、多重化レイヤから前もって伝達特性を取得することの効果が高い。
【0087】
図14は、表示制御部104Aのよる表示制御処理のフローチャートである。図14に示す処理は、図10に示す処理に対して、ステップS121A及びS124Aが異なる。
【0088】
ステップS121Aでは、表示制御部104Aは、第2伝達特性情報115に加えて、第1伝達特性情報113が更新されたかどうかを判定する。また、MPUの先頭アクセスユニットはイントラ符号化フレームであるため、ステップS122では、表示制御部104Aは、第1伝達特性情報113に基づいて動作する際には、同一MPUのシーケンス番号(mpu_sequence_number)に対応する第1伝達特性情報113と、イントラ符号化フレームの復号結果とに基づいて動作する。また、ステップS124Aにおいて、表示制御部104Aは、第1伝達特性情報113又は第2伝達特性情報115に基づいて動作する。
【0089】
なお、図14では、第1伝達特性情報113と第2伝達特性情報115との両方が用いられる例を示すが第1伝達特性情報113のみが用いられてもよい。
【0090】
図15は、本実施の形態に係る映像受信装置100Aによる映像受信処理のフローチャートである。まず、受信部101は、受信信号111を受信する(S111)。次に、逆多重化部102は、受信信号111を逆多重化することで、映像信号112を生成するとともに、第1伝達特性情報113を取得する(S112A)。
【0091】
ここで、第1伝達特性情報113は、映像データ114(映像信号112)の輝度ダイナミックレンジに対応する伝達関数(OETF又はEOTF)をランダムアクセス単位(MPU単位)毎に特定するための情報である。例えば、この第1伝達特性情報113は、第1輝度ダイナミックレンジ(SDR)に対応した第1伝達関数、又は、第1輝度ダイナミックレンジより広い第2ダイナミックレンジ(HDR)に対応した第1伝達関数をランダムアクセス単位毎に特定するための情報である。つまり、第1伝達特性情報113は、映像データ114がSDRであるかHDRであるかを示す。また、HDRに複数の形式が存在する場合には、第1伝達特性情報113は、どの形式のHDRであるかを示してもよい。つまり、第1伝達特性情報113は、映像データ114の輝度ダイナミックレンジを示し、例えば、予め定められた複数の輝度ダイナミックレンジのうちのいずれかを示す。
【0092】
次に、映像復号部103は、映像信号112を復号することで映像データ114を生成する(S113)。
【0093】
次に、表示制御部104Aは、第1伝達特性情報113に応じて表示部105の輝度ダイナミックレンジを制御する。具体的には、表示制御部104Aは、第1伝達特性情報113に基づき、各MPUがHDRであるかSDRであるかをMPU単位で判定する(S114A)。HDRである場合には(S114でYes)、表示部105はHDRの輝度ダイナミックレンジで映像を表示する(S115)。SDRである場合には(S114でNo)、表示部105はSDRの輝度ダイナミックレンジで映像を表示する(S116)。
【0094】
以上により、映像受信装置100Aは、ランダムアクセス単位毎に表示部105の輝度ダイナミックレンジを制御できるので、より適切な映像を表示できる。また、映像受信装置100Aは、多重化レイヤに含まれる第1伝達特性情報113を用いることで、映像信号112の復号に先立って伝達特性を取得できるので、伝達特性の切り替え処理を容易に行うことができる。
【0095】
また、上述した受信信号111に対応する送信信号212を生成する映像送信装置200の構成及び動作は、上述した実施の形態1と概ね同様である。
【0096】
具体的には、図7に示すステップS202において、多重化部204は、第1伝達特性情報113を含む送信信号212を生成する。
【0097】
このように、映像送信装置200は、ランダムアクセス単位毎に伝達関数を特定するための第1伝達特性情報を含む送信信号212を生成する。これにより、送信信号212を受信する映像受信装置は、ランダムアクセス単位毎に表示部の輝度ダイナミックレンジを制御できるので、より適切な映像を表示できる。また、また、多重化レイヤに第1伝達特性情報113が含まれることで、映像受信装置は、伝達特性の切り替え処理を容易に行うことができる。
【0098】
以下、本実施の形態の変形例について説明する。
【0099】
システムストリームをSTB(Set Top Box)、DVD機器又はBlu-ray(登録商標)機器である映像受信装置が受信して、テレビなどの表示デバイスに出力するケースでは、HDMI(登録商標)などの通信プロトコルを介して映像受信装置と表示デバイスとが接続される。ここで、HDMI(登録商標)などにおいては、ストリームの解像度などが切り替わるとプロトコルの再認証手続きが発生する。
【0100】
従って、2K(1920×1080画素など)と4K(3840×2160画素など)となどの解像度の切り替わりが発生し得る場合には、映像受信装置は再生開始時に最大の解像度に合わせて映像信号を出力することが望ましい。つまり、2Kと4Kとが混在する場合には、受信装置は、2Kのストリームから再生開始する際にも、当該2Kのストリームを4Kにアップコンバートして出力する。こうすることで、途中で信号が4Kに切り替わった場合にも解像度は4Kのままとなり、解像度の切り替わりは発生しない。例えば、2KのSDRと4KのHDRとの間の切り替わりが発生する場合には、映像受信装置は、2KのSDRを4KのSDRに変換して出力する。
【0101】
つまり、映像信号(映像データ114)は、第1解像度又は第1解像度より高い第2解像度の映像信号である。映像受信装置100Aは、映像信号の解像度が第1解像度と第2解像度との間で切り替わる場合には、第1解像度の映像信号を第2解像度の映像信号に変換する。
【0102】
また、放送においては、放送サービスにおいて許容される最大解像度の識別情報がデスクリプタなどにより示されるため、映像受信装置は、HDMI(登録商標)への出力信号を、常に最大解像度に合わせるように動作してもよい。例えば、UHD(Ultra High Definition)サービスであれば最大解像度が4K又は8Kのいずれかであると規定される。また、多重化方式がTSである場合には最大解像度が2Kに規定され、MMTである場合には最大解像度が4Kに規定される。このように、映像受信装置は、多重化方式に応じた最大解像度に映像信号を常に変換し、出力してもよい。
【0103】
つまり、映像受信装置100Aは、映像信号(映像データ114)の解像度が受信信号111の放送サービスで規定されている最大解像度より低い場合、当該映像信号の解像度を上記最大解像度に変換する。
【0104】
(実施の形態4)
本実施の形態では、SDRとHDRとの切り替え時に映像信号の信号レベルを制限する。これにより、映像受信装置における輝度ダイナミックレンジの切り替え処理を容易化できる。
【0105】
まず、HDRに対応したSTD-B67における互換特性について説明する。伝達特性を取得してから映像特性変換部106及び表示デバイス107を制御するまでに一定の遅延を許容することが、機器実装の観点から重要である。その実現例として、多重化レイヤにおける記述子を用いて伝達特性の切替わりを予め通知することを先に述べた。
【0106】
しかしながら、伝達特性の切替わりを予め通知した場合においても、SDRからHDR、又は、HDRからSDRに切替わるフレームに同期して、映像特性変換部106及び表示デバイス107を制御する必要がある。
【0107】
一方、電気信号レベル1.0における輝度値を、STD-B67(HDR)の1200%に対してSDR(例えばBT.2020)を400~500%程度に調整すると、STD-B67の電気信号レベルと輝度との関係を示すカーブの形状は、低い輝度においてSDRのカーブの形状と概ね一致する。
【0108】
図16は、HDR(STD-B67)及びSDR(BT.2020)の電気信号レベルと輝度との関係を示すカーブを示す図である。図16に示すように低い輝度範囲において、HDRとSDRとのカーブは概ね一致する。このため、STB-B67により変換されたHDRの映像データの輝度範囲が、上記のカーブの形状が概ね一致している輝度範囲と同等であれば、SDRのみに対応した表示装置においても、視覚的に違和感のない映像を再生できる。つまり、STD-B67はSDRとHDRとの互換特性を有している。以降、SDRとHDR(STD-B67)のカーブの形状が概ね一致する輝度範囲に対応する電気信号レベルの範囲を互換領域と呼ぶ。つまり、互換領域とは、図16に示すように、予め定められた電気信号レベルの範囲であり、予め定められた制限値より低い電気信号レベルの範囲である。
【0109】
例えば、図16において、電気信号レベルAは互換領域に含まれるため、STDB67とBT.2020とで輝度値が同等である。一方、電気信号レベルBに対応する輝度値は、BT.2020、及びSTD-B67のそれぞれに対してn1とn2となり、大きく異なる。これにより、例えば、HDRからSDRへの切替わりにおいて、映像受信装置における伝達特性の切り替えが遅延することで互換領域外のSDRの画素を誤ってHDRとして再生すると、不当に高い輝度値で再生されてしまうという問題が生じる。
【0110】
以下、本実施の形態に係る伝達特性の切り替えにおいて遷移期間を設ける方法について説明する。上述した互換特性を利用することで、映像受信装置がフレームに同期して伝達特性を切り替えない場合であっても、違和感のない映像を表示できる。
【0111】
まず、図17を用いて、SDR番組からHDR番組への切り替え時の動作を説明する。SDR番組の末尾の一定期間をSDRからHDRへの遷移期間と設定する。そして、この遷移期間においては互換領域内の電気信号レベルを用いて映像データを生成する。こうすることで、遷移期間においては、SDR表示用の制御設定とHDR表示用の制御設定とのいずれが用いられても、視覚的に同等輝度の映像が再生される。よって、誤って不当な高輝度で映像が再生されることを抑制できる。
【0112】
この伝達特性の切替わりは、図11図13で示した映像コンポーネント記述子などの多重化レイヤの情報により通知できる。ここで、遷移期間をT秒、映像受信装置における伝達特性の切り替えの許容時間をS秒とすると、遷移期間の開始から(T-S)秒間の間に、伝達特性の切り替えを通知する記述子が送信される。映像受信装置は、記述子を取得してから、S秒以内に表示制御を切り替えることで、HDR番組の開始までに表示制御の切り替えを完了できる。
【0113】
このように、遷移期間を設けて、期間内における画面最高輝度を制約すると共に、伝達特性の切り替えを多重化レイヤで通知することで、映像受信装置においては、映像ストリーム(映像信号112)を解析することなく、多重化レイヤの情報のみに基づいて表示制御を切り替えられる。
【0114】
なお、映像ストリームの解析が必要となるものの、SEIメッセージなど、映像ストリームの情報として遷移期間を通知してもよい。
【0115】
次に、HDR番組からSDR番組への切り替え時の動作を説明する。この場合においても上述したSDR番組からHDR番組への切り替え時の動作と同様に遷移期間を設けることができる。
【0116】
ここで、互換輝度範囲外となるHDRの画素をSDRとみなして再生した場合には、実際よりも低い輝度値として再生される。よって、この場合には、視聴者に健康面等において悪影響を与える可能性は低い。従って、図18に示すように、HDR番組からSDR番組の切り替えでは、遷移期間において電気信号レベルの範囲を互換領域に制限しなくてもよい。
【0117】
なお、上述した互換領域とは、予め定められた電気信号レベルの範囲であり、予め定められた制限値より低い電気信号レベルの範囲である。例えば、これらのSDR及びHDRのカーブの特定については非特許文献2(P9、Figure3等)に記載されている。つまり、互換領域の下限値は電気信号レベル0、すなわち黒である。
【0118】
以下、上記機能を実現する映像送信装置及び映像受信装置について説明する。図19は、本実施の形態に係る映像送信装置200Bのブロック図である。映像送信装置200Bは、生成部201Bと、送信部202とを備える。生成部201Bは、第1輝度ダイナミックレンジ(SDR)の第1映像データと、第1輝度ダイナミックレンジ(SDR)より広い第2ダイナミックレンジ(HDR)の映像データとを時系列に含む送信信号212Bを生成する。この生成部201Bは、映像データ生成部205と、映像符号化部203と、多重化部204とを含む。送信部202は、送信信号212Bを送信する。
【0119】
図20は、映像送信装置200Bによる映像送信処理のフローチャートである。まず、映像データ生成部205は、映像データ213を生成する(S204)。この時、映像データ生成部205は、上述したように、第1映像データ及び第2映像データの一方から他方への切り替え時の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを互換領域内に制限する。つまり、映像データ生成部205は、当該信号のレベルを予め定められた制限値より低い値に制限する。また、遷移期間とは、例えば、切り替え時刻の直前の期間である。
【0120】
また、上述したように、SDRからHDRの切り替え時においてのみ制限を行い、HDRからSDRへの切り替え時には制限を行わなくてもよい。つまり、第1映像データ(SDR)から第2映像データ(HDR)への切り替え時の第1遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを制限値より低い値に制限し、第2映像データ(HDR)から第1映像データ(SDR)への切り替え時の第2遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルを制限値より低い値に制限しなくてもよい。
【0121】
次に、映像符号化部203は、映像データ213を符号化することで映像信号211Bを生成する(S201)。次に、多重化部204は、生成された映像信号211Bと音声信号とを多重化することで送信信号212Bを生成する(S202)。そして、送信部202は送信信号212Bを送信する(S203)。
【0122】
また、図17及び図18に示すように、送信信号212Bは、遷移期間開始直後の第1期間において、輝度ダイナミックレンジの切り替えを通知するための第1情報(切り替え通知記述子)を含む。例えば、この第1期間は、遷移期間開始直後から、送信信号212Bを受信する映像受信装置において輝度ダイナミックレンジの切り替え処理に許容される時間である切り替え許容時間だけ切り替え時刻より前の時刻までの期間である。
【0123】
また、この第1情報(切り替え通知記述子)は、多重化レイヤで伝送される。つまり、多重化部204は、映像信号211Bと音声信号とを多重化することで、第1情報(切り替え通知記述子)を含む送信信号212Bを生成する。また、送信信号212Bは、遷移期間を示す第2情報を含んでもよい。
【0124】
図21は、本実施の形態に係る映像受信装置100Bのブロック図である。この映像受信装置100Bは、図19に示す映像送信装置200Bにより生成された送信信号212Bである受信信号111Bを受信する。なお、基本的な構成は図1に示す映像受信装置100と同様であり、表示制御部104Bの機能が表示制御部104と異なる。
【0125】
図22は、映像受信装置100Bにより映像受信処理のフローチャートである。まず、受信部101は、第1輝度ダイナミックレンジ(SDR)の第1映像データと、第1輝度ダイナミックレンジ(SDR)より広い第2ダイナミックレンジ(HDR)の第2映像データとを時系列に含む受信信号111Bを受信する(S111)。ここで、上述したように、受信信号111Bにおいて、第1映像データ及び第2映像データの一方から他方への切り替え時の遷移期間において、輝度値に対応する信号のレベルが予め定められた制限値より低い値に制限されている。
【0126】
次に、逆多重化部102は、映像信号と音声信号とが多重化された受信信号111Bを逆多重化することで、映像信号112を取得する(S112)。また、多重化レイヤには、切り替え通知記述子121(第1情報)が含まれ、逆多重化部102は、切り替え通知記述子121を取得する。ここで、切り替え通知記述子121は、遷移期間開始直後の第1期間において、輝度ダイナミックレンジの切り替えを通知するための情報である。
【0127】
切り替え通知記述子121が受信された場合(S114BでYes)、表示制御部104Bは、切り替え通知記述子121を取得してから、輝度ダイナミックレンジの切り替え処理に許容される時間である切り替え許容時間の間に、表示部105の輝度ダイナミックレンジを切り替える(S115B)。
【0128】
なお、図示していないがこれらのステップS114B及びS115Bの処理と並列に、映像復号部103は、映像信号112を復号することで映像データ114を取得する。表示部105は、現在設定されている輝度ダイナミックレンジで映像データ114を表示する。
【0129】
以上のように、本実施の形態では、異なる輝度ダイナミックレンジの映像データへの切り替え時の遷移期間において、映像データの信号のレベルが制限値より低い値に制限される。これにより、映像受信装置は、例えばフレーム単位で表示部の輝度ダイナミックレンジを変更する必要がなく、当該遷移期間中において表示部の輝度ダイナミックレンジを変更すればよいので、映像受信装置は輝度ダイナミックレンジの切り替えの制御を容易に行うことができる。
【0130】
以上、本発明の実施の形態に係る映像受信装置及び映像送信装置について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0131】
また、上記実施の形態に係る映像受信装置及び映像送信装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0132】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0133】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0134】
また、本発明は、映像受信装置又は映像送信装置により実行される映像受信方法又は映像送信方法として実現されてもよい。
【0135】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0136】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0137】
以上、一つまたは複数の態様に係る映像受信装置及び映像送信装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、TV等の映像受信装置及び映像送信装置に適用できる。
【符号の説明】
【0139】
100、100A、100B 映像受信装置
101 受信部
102 逆多重化部
103 映像復号部
104、104A、104B 表示制御部
105、105A 表示部
106 映像特性変換部
107 表示デバイス
108 異常検知部
109 メッセージ重畳部
111、111B 受信信号
112、211、211B 映像信号
113 第1伝達特性情報
114、213 映像データ
115 第2伝達特性情報
116 制御情報
117、120 入力信号
118 異常通知情報
119 メッセージ
121 切り替え通知記述子
200、200B 映像送信装置
201、201B 生成部
202 送信部
203 映像符号化部
204 多重化部
205 映像データ生成部
212、212B 送信信号
301 HDR識別情報
図1
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